JP6809325B2 - 2相ステンレス鋼形鋼およびその製造方法 - Google Patents
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Description
熱間加工性が劣る材料の場合には、変形時に拘束されていない面、すなわち、圧延端部に割れが生じやすい。鋼板の場合には、圧延により板厚が減少する、すなわち、上下面は圧延ロールに接しており、拘束されていない面は端部に限定される。幅を揃えるための幅圧下圧延が加わることはあるが、基本的に板厚のみ減少する。ところが、形鋼熱間圧延の場合は、圧延被圧延鋼材を、圧延方向を軸として90°回転させる工程を複数回含む圧延を前半に行い、圧延後半では全方向が拘束されたロール間を通ってアングルあるいはチャンネル等の形状に作り込まれる。したがって、圧延前半においては、板厚方向と板幅方向が圧延パス毎に変わることになる。したがって、端部で割れが生じると、それが次パスで圧延面となって延ばされるため、ヘゲ疵として残りやすいのである。中でも、Mn量が多い成分系では、ヘゲ疵の発生が顕著になるため、Mnを含有する2相ステンレス鋼の形鋼製品は存在していない。
以下に本発明で得られた知見について説明する。
(ii)ヘゲ疵が発生しない適正な加熱条件は、成分の影響を受ける。Mn量だけでなく、Cr量およびSi量にも依存する。
(iii)前述のごとく形鋼熱間圧延の場合は、被圧延鋼材を、圧延方向を軸として90°回転させる工程を複数回含む圧延を前半に行うため、2相ステンレス鋼を製造した場合の金属組織は、圧延方向に対して垂直な断面をミクロ観察したときに、フェライト相とオーステナイト相の混合組織であり、ヘゲ疵が発生しない時には特徴的な金属組織(結晶粒形状)を示し、オーステナイト相のアスペクト比が大きい。
上記(ii)についての詳細な結果を以下に示す。
成分が異なる4種類の素材を用いて、加熱温度を変更して圧延後の疵を調査した。厚み120mm×幅120mmの素材を用いて、形鋼熱間圧延をシミュレートするために、厚み方向と幅方向の圧延を1パス毎に繰り返して、最終的に厚み35mm×幅35mmまで圧延した後に冷却し、表面疵の有無を調査した。表面疵は厚みと幅の4面を調査し、外観で確認できる5mm以上のヘゲ疵が存在する場合に「圧延疵あり」とした。図1に本実験において得られた結果を示す。横軸は成分(Cr、Si、Mn)を考慮した式であり、縦軸は加熱温度である。成分と加熱温度を考慮することで、圧延疵が発生しない範囲が明確となる。
また、ヘゲ疵発生部およびヘゲ疵未発生部の熱処理後の金属組織を図2に示す。金属組織は圧延方向に対して垂直な断面をミクロ観察している。組織の中で白い部分がオーステナイト相、黒みがかった部分がフェライト相を示す。(a)ヘゲ疵未発生部ではオーステナイト相の結晶粒が等軸晶に近いのに対して、(b)ヘゲ疵発生部ではオーステナイト相の結晶粒が扁平している。
(2)質量%で、Ti:0.010%以上0.050%以下、Nb:0.020%以上0.150%以下、Mo:0.05%以上2.00%以下、Cu:0.05%以上3.00%以下、W:0.05%以上2.00%以下、Mg:0.0002%以上0.0050%以下、Ca:0.0002%以上0.0050%以下、REM:0.005%以上0.300%以下、B:0.0003%以上0.0040%以下のいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)に記載の2相ステンレス鋼形鋼である。
(3)鋼素材を1100℃以上かつ下記(1)式で規定されるT℃以下の温度範囲に1時間以上24時間以内の加熱をした後、圧延方向を軸として被圧延材を90°回転する工程を複数回含む熱間圧延を実施し、形鋼形状に成形することを特徴とする(1)または(2)に記載の2相ステンレス鋼形鋼の製造方法である。
T=800+18[Cr]+73[Si]−0.5[Mn]・・・(1)
ただし、[Cr]、[Si]および[Mn]は、それぞれCr、SiおよびMnの含有量(質量%)を示す。
本発明の2相ステンレス鋼形鋼は、質量%で、C:0.001%以上0.060%以下、Mn:2.00%超15.00%以下、Si:0.01%以上1.50%以下、P:0.050%以下、S:0.0050%以下、Cr:19.0%以上23.0%以下、Ni:1.00%以上4.00%以下、N:0.050%以上0.250%以下、Al:0.003%以上0.050%以下を含有する2相ステンレス鋼形鋼であって、オーステナイト相の面積率が30%〜70%で、残部がフェライト相である金属組織を有し、2相ステンレス鋼形鋼の屈曲部または湾曲部の外側表面から深さ100μmに位置し、圧延長手方向に対して垂直な断面に位置するオーステナイト相結晶粒の平均アスペクト比が0.40〜1.00であり、引張試験の0.2%耐力が350MPa以上である2相ステンレス鋼形鋼である。
また、本発明の2相ステンレス鋼形鋼は、質量%で、Ti:0.010%以上0.050%以下、Nb:0.020%以上0.150%以下、Mo:0.05%以上2.00%以下、Cu:0.05%以上3.00%以下、W:0.05%以上2.00%以下、Mg:0.0002%以上0.0050%以下、Ca:0.0002%以上0.0050%以下、REM:0.005%以上0.300%以下、B:0.0003%以上0.0040%以下のいずれか1種または2種以上を含有してもよい。
ここで、不純物とは、鋼を工業的に製造する際に、鉱石やスクラップ等のような原料を始めとして、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
本発明の2相ステンレス鋼形鋼の金属組織は、オーステナイト相の面積率が常温で30%〜70%で、残部が実質的にフェライト相である金属組織とする。オーステナイト相率が30%未満であると、後述する0.2%耐力が低くなる。一方、オーステナイト相率が70%超であると、成形時の割れが生じやすい。オーステナイト相の面積率は、40%〜60%であることがより好ましい。
オーステナイト相は、フェライト相と結晶構造が異なるため、結晶構造を判別できる解析機器、例えば、後方散乱電子回折(Electron Back Scatter Diffraction、EBSD)等で測定することが好ましい。また、フェライトスコープのように磁力からフェライト相率を測定する機器を用いても良い。
オーステナイト相結晶粒の平均アスペクト比は0.40〜1.00であることとする。アスペクト比が0.40未満である場合は、圧延疵が認められるためこれらを下限とした。アスペクト比の測定位置は、2相ステンレス鋼形鋼の圧延長手方向に対して垂直な断面の屈曲部(屈曲部のない形状の形鋼の場合は曲率の最も小さい湾曲部)の外側表面から深さ100μm付近の位置とする。当該断面を研磨後エッチングし、結晶粒界を出現させる。この時、着色エッチングを行うと、オーステナイト相が判別しやすい。アスペクト比は、前記位置におけるオーステナイト相の結晶粒30個を任意に選び、各結晶粒について最大長さXと、Xの測定方向に直交する方向の最大長さYを測定し、下記(2)式より算出する。
アスペクト比 = Y/X・・・(2)
結晶粒30個に対し(2)式で算出したアスペクト比の算術平均値をもって平均アスペクト比とする。
ヘゲ疵の発生状況と平均アスペクト比が相関する理由は明らかではないが、圧延前加熱時に生成する表層スケールと圧延中の再結晶挙動が相関しているものと推察される。ヘゲ疵部に巻き込まれている酸化スケールは圧延前加熱で生成したものであり、その形態は加熱温度及び成分に依存する。一方、変形時にヘゲ疵として残存するか否かは圧延変形時のひずみの入り方およびパス間再結晶挙動によると考えられる。
上記化学成分を有する形鋼を製造するに際し、熱間圧延前の加熱温度を1100℃以上とする。1100℃未満の場合、圧延中の温度低下によって材料が硬質化してロールに噛み込まなくなる場合がある。また、変形抵抗の増大によりヘゲ疵が生じる。
加熱温度の上限は、下記(1)式で決められた温度とする。
T=800+18[Cr]+73[Si]−0.5[Mn]・・・(1)
ただし、[Cr]、[Si]および[Mn]は、それぞれCr、SiおよびMnの含有量(質量%)を示す。
また、本発明の2相ステンレス鋼形鋼は、H形鋼、I形鋼、山形鋼(アングル材)、平鋼、溝形鋼(チャンネル材)、Z形鋼、丸型鋼等、圧延によって形状を造り込む形鋼に適用できる。
その後、フェライトスコープを用いてフェライト相率F(%)を測定し、オーステナイト相率を100−F(%)として算出した。
なお、本材料を用いて、板厚方向のみ減少させる圧延により100mm厚から4.0mm厚まで圧延した(減面率96%)が、いずれも表面疵は認められなかった。このことからも板圧延では発生せず、形鋼圧延において発生する疵を対象としていることが分かる。
本発明例では、いずれもヘゲ疵が全く認められないのに対し、比較例では、ヘゲ疵が発生もしくは0.2%耐力が低く、基準に未達であった。
Claims (3)
- 質量%で、C:0.001%以上0.060%以下、Mn:2.00%超15.00%以下、Si:0.01%以上1.50%以下、P:0.050%以下、S:0.0050%以下、Cr:19.0%以上23.0%以下、Ni:1.00%以上4.00%以下、N:0.050%以上0.250%以下、Al:0.003%以上0.050%以下を含有し、残部がFeおよび不純物である2相ステンレス鋼形鋼であって、
オーステナイト相の面積率が30%〜70%で、残部がフェライト相である金属組織を有し、2相ステンレス鋼形鋼の屈曲部または湾曲部の外側表面から深さ100μmに位置し、圧延長手方向に対して垂直な断面に位置するオーステナイト相結晶粒の平均アスペクト比が0.40〜1.00であり、引張試験の0.2%耐力が350MPa以上であることを特徴とする2相ステンレス鋼形鋼。 - 質量%で、Ti:0.010%以上0.050%以下、Nb:0.020%以上0.150%以下、Mo:0.05%以上2.00%以下、Cu:0.05%以上3.00%以下、W:0.05%以上2.00%以下、Mg:0.0002%以上0.0050%以下、Ca:0.0002%以上0.0050%以下、REM:0.005%以上0.300%以下、B:0.0003%以上0.0040%以下のいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の2相ステンレス鋼形鋼。
- 鋼素材を1100℃以上かつ下記(1)式で規定されるT℃以下の温度範囲に1時間以上24時間以内の加熱をした後、圧延方向を軸として被圧延材を90°回転する工程を複数回含む熱間圧延を実施し、形鋼形状に成形することを特徴とする請求項1または2に記載の2相ステンレス鋼形鋼の製造方法。
T=800+18[Cr]+73[Si]−0.5[Mn]・・・(1)
ただし、[Cr]、[Si]および[Mn]は、それぞれCr、SiおよびMnの含有量(質量%)を示す。
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