JP6808544B2 - 固体酸化物形電気化学セル用ハーフセル、固体酸化物形電気化学セル及び固体酸化物形電気化学セル用ハーフセルの製造方法 - Google Patents
固体酸化物形電気化学セル用ハーフセル、固体酸化物形電気化学セル及び固体酸化物形電気化学セル用ハーフセルの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6808544B2 JP6808544B2 JP2017046581A JP2017046581A JP6808544B2 JP 6808544 B2 JP6808544 B2 JP 6808544B2 JP 2017046581 A JP2017046581 A JP 2017046581A JP 2017046581 A JP2017046581 A JP 2017046581A JP 6808544 B2 JP6808544 B2 JP 6808544B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fuel electrode
- oxide
- zirconia
- cell
- layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P70/00—Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
- Y02P70/50—Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product
Landscapes
- Inert Electrodes (AREA)
- Fuel Cell (AREA)
Description
燃料極(水素極を含む)と、前記燃料極の一方の主面上に配置された固体電解質層とを備えた固体酸化物形電気化学セル用ハーフセルであって、
前記固体電解質層は、ジルコニア系酸化物(A)を含んでおり、
前記燃料極は、YbをZr100モルに対して6モル以上30モル以下の範囲内で含むジルコニア系酸化物(B)を含んでおり、
前記ジルコニア系酸化物(B)の平均粒子径(B)に対する前記ジルコニア系酸化物(A)の平均粒子径(A)の比率(平均粒子径(A)/平均粒子径(B))が、1.0以上8.0以下である、
固体酸化物形電気化学セル用ハーフセルを提供する。
第1の態様に係る固体酸化物形電気化学セル用ハーフセルと、空気極(酸素極を含む)とを備えた固体酸化物形電気化学セルであって、
前記空気極は、前記空気極と前記燃料極との間に前記固体電解質層が配置されるように配置されている、
固体酸化物形電気化学セルを提供する。
固体酸化物形電気化学セル用ハーフセルを製造する方法であって、
ジルコニア系酸化物(a)を含む固体電解質層用原料粉末を用いて、固体電解質層を作製する固体電解質層作製工程と、
酸化イッテルビウムYbをZr100モルに対して6モル以上30モル以下の範囲内で含むジルコニア系酸化物(b)と、導電性金属の酸化物とを含む燃料極(水素極を含む)原料粉末を用いて燃料極(水素極を含む)を作製する燃料極(水素極を含む)作製工程と、
を含み、
前記燃料極原料粉末の細孔容積が0.012cm3/g以上0.9cm3/g以下であり、
前記固体電解質層用原料粉末の平均粒子径(a)に対する前記燃料極原料粉末の平均粒子径(b)の比率(平均粒子径(b)/平均粒子径(a))が、0.3以上4以下である、
固体酸化物形電気化学セル用ハーフセルの製造方法を提供する。
ジルコニア系酸化物(a)を含む固体電解質層用原料粉末を用いて、固体電解質層を作製する固体電解質層作製工程と、
YbをZr100モルに対して6モル以上30モル以下の範囲内で含むジルコニア系酸化物(b)と、導電性金属の酸化物とを含む燃料極原料粉末を用いて燃料極を作製する燃料極作製工程と、
を含み、
前記燃料極原料粉末の細孔容積が0.012cm3/g以上0.9cm3/g以下であり、
前記固体電解質層用原料粉末の平均粒子径(a)に対する前記燃料極原料粉末の平均粒子径(b)の比率(平均粒子径(b)/平均粒子径(a))が、0.3以上4以下である、
製造方法とできる。ここで、粉末の平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置によって測定される値であり、平均粒子径とは体積基準の累積粒度分布から求められるメジアン径、すなわち体積累積が50%に相当する粒子径(D50)のことである。本明細書においては、特に言及しない限り、粉末の平均粒子径は同様の方法によって求められる値である。
(1)燃料極支持基板111用のグリーンシート上に、燃料極層112用のグリーン層(燃料極層112を設けない構成の場合は不要)と、固体電解質層12用のグリーン層と、バリア層13用のグリーン層(バリア層13を設けない構成の場合は不要)と、が順に積み重ねられた積層体を形成した後、これら全体を一括して焼成する方法、
又は、
(2)燃料極支持基板111用のグリーンシートを焼成して燃料極支持基板111を作製し、その上に燃料極層112用のグリーン層(燃料極層112を設けない構成の場合は不要)と、固体電解質層12用のグリーン層と、バリア層13用のグリーン層(バリア層14を設けない構成の場合は不要)と、が順に積み重ねられた積層体を形成した後、これらを焼成する方法、
を用いて作製できる。ここでは、(1)の方法を例に挙げて、多層焼成体の作製方法を説明する。
(燃料極支持基板グリーンシートの作製)
導電成分としての酸化ニッケル(正同化学工業社製、商品名「Green」)60質量部、骨格成分としての3モル%イットリア安定化ジルコニア粉末(東ソー社製、商品名「TZ3Y」)40質量部、気孔形成剤としてのカーボンブラック(SECカーボン社製、SGP−3)10質量部、メタクリレート系共重合体からなるバインダー(分子量:30,000、ガラス転移温度:−8℃、固形分濃度:50質量部)30質量部、可塑剤としてジブチルフタレート2質量部及び分散媒としてトルエン/イソプロピルアルコール(質量比=3/2)の混合溶剤80質量部を、ボールミルにより混合して、スラリーを調製した。得られたスラリーを使用し、ドクターブレード法によりシート成形し、70℃で5時間乾燥させて、燃料極支持基板グリーンシートを作製した。なお、グリーンシートの厚さについては、同じ組成のスラリーを用いて予備実験を行い、グリーンシートと焼成後のシートとの厚さの関係を考慮して、焼成後のシートの厚さが400μmになるようにコントロールしてグリーンシート(1)を作製した。
塩化イッテルビウム(III)水和物(和光純薬工業製)及び塩化ジルコニウム(IV)(和光純薬工業製)を、YbがZr100モルに対して17.4モルになるように計量した。超純水(抵抗率:17.5MΩ・cm)を用意し、加温機能付きのマグネチックスターラーを用いて水温が20℃になるようにコントロールし、上記塩化物を溶解させた。なお、30分経っても溶解しない場合には、さらに超純水を加え、目視で、塩化物が溶解するまで溶解させた。目視で塩化物が溶解したことを確認した後、それまで溶解に必要とした超純水の10質量%に当たる量の超純水をさらに加え、水溶液を25℃になるように加温・保温しながらさらに1時間攪拌して、塩化物を完全に溶解させた。得られた水溶液をアンモニア水に滴下して得られた沈殿物を、洗浄及び乾燥後、800℃で1時間仮焼した。仮焼した粉末にエタノールを加え、ボールミルで10時間粉砕混合してから乾燥させて、さらに乳鉢にて解砕を行い、解砕した粉を1200℃で焼成して、ジルコニア系酸化物粉末(1)としてYbがZr100モルに対して17.4モルである粉末を得た。得られたジルコニア系酸化物粉末(1)の平均粒子径(D50)は1.79μmであった。
ポリ容器に、導電成分としての酸化ニッケル(日興リカ株式会社、商品名「高純度酸化ニッケルF」)60質量部、骨格成分であり、かつイオン伝導成分としての上記ジルコニア系酸化物粉末(1)40質量部、さらに分散媒としてのエタノールを加え、これをボールミルで粉砕混合してから乾燥させて、混合粉末(1b)(NiO/8YbSZ混合粉末)を得た。なお、このボールミル処理では、回転時間を調整して、平均粒子径(D50)が0.29μmの粉末を得た。
上記のボールミル処理により得られた混合粉末(1b)60質量部、溶剤としてのα−テルピネオール(和光純薬工業社製)36質量部、バインダーとしてのエチルセルロース(和光純薬工業製)4質量部、可塑剤としてのジブチルフタレート(和光純薬工業社製)6質量部及び分散剤としてのソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤4質量部を、乳鉢を用いて混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」、ロール材質:アルミナ)を用いて解砕し、燃料極層用ペースト(1)を作製した。なお、このペースト化処理では、3本ロールミル間のギャップと回転速度とを調整することによって、後述の<ペースト中の凝集物の評価>に記載されたグラインドメータで計測される最大粒子径の大きさが10μm以下になるまで解砕/混練した。
ポリ容器に、上記ジルコニア系酸化物粉末(1)、さらに分散媒としてのエタノールを加え、これをボールミルで粉砕してから乾燥させて、ボールミル処理した固体電解質層用原料粉末(1)を得た。なお、このボールミル処理では、回転時間を調整して、平均粒子径(D50)が0.25μmの粉末を得た。
上記のボールミル処理により得られた固体電解質層用原料粉末(1)を60質量部、バインダーとしてエチルセルロース(和光純薬工業社製)を5質量部、溶剤としてα−テルピネオール(和光純薬工業社製)を40質量部、可塑剤としてジブチルフタレート(和光純薬工業社製)を6質量部及び分散剤としてソルビタン酸エステル系界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、商品名「イオネットS−80」)5質量部を、乳鉢を用いて混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」ロール材質:アルミナ)を用いて解砕し、固体電解質層用ペースト(1)を作製した。なお、このペースト化処理では、3本ロールミル間のギャップと回転速度を調整することによって、後述の<ペースト中の凝集物の評価>に記載されたグラインドメータで計測される最大粒子径の大きさが10μm以下になるまで解砕/混練した。
セラミック質として、10モル%ガドリニアがドープされているセリア粉末(阿南化成株式会社製)60質量部、バインダーとしてのエチルセルロース(和光純薬工業株式会社製)5質量部、溶剤としてのα−テルピネオール(和光純薬工業株式会社製)40質量部、可塑剤としてのジブチルフタレート(和光純薬工業株式会社製)6質量部及び分散剤としてのソルビタン酸エステル系界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、商品名「イオネットS−80」)5質量部、を乳鉢を用いて混合した後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」、ロール材質:アルミナ)を用いて解砕した。これにより、バリア層用ペースト(1)を得た。なお、このペースト化処理では、3本ロールミル間のギャップと回転速度を調整することによって、後述の<ペースト中の凝集物の評価>に記載されたグラインドメータで計測される最大粒子径の大きさが10μm以下になるまで解砕/混練した。
上記燃料極層用ペースト(1)をスクリーン印刷により、上記で得た燃料極支持基板グリーンシート(1)に、焼成後の厚さが20μmとなるように印刷し、100℃で30分間乾燥させ、燃料極層用グリーン層(1)を形成した。
上記で得た燃料極層用グリーン層(1)上に、上記固体電解質層用ペースト(1)をスクリーン印刷により、焼成後の厚さが7μmとなるように印刷し、100℃で30分間乾燥させ、固体電解質層用グリーン層(1)を形成した。
上記で得た固体電解質層用グリーン層(1)上に、上記バリア層用ペースト(1)をスクリーン印刷により、焼成後の厚さが3μmとなるように印刷した。これを100℃で30分間乾燥させることによって、バリア層用グリーン層(1)を形成した。
上記で得たバリア層用グリーン層(1)、固体電解質層用グリーン層(1)、燃料極層用グリーン層(1)が形成された燃料極支持基板グリーンシート(1)を、焼成後の1辺が60mmの正方形になるように打ち抜いた。打ち抜いた後、1350℃で2時間焼成して燃料極支持基板上に燃料極層、固体電解質層およびバリア層を有するハーフセル(1)を得た。
空気極層の原料となる粉末材料として、LSCFの粉末(1)を以下のようにして調製した。すなわち、市販の純度99.9%のLa2O3、SrO、純度99%のCoO及びFe2O3の粉末を元素比がLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8となるように混合した。得られた混合物にエタノールを加えて、これをビーズミルで1時間粉砕混合した。次いで、得られた混合物を乾燥させてから、800℃で1時間仮焼した。仮焼後の混合物に対し、さらにエタノールを加えてビーズミルで1時間粉砕混合してから、乾燥させた。その後、1200℃で混合物を5時間加熱することによって、粉末を得た。得られた粉末にエタノールを加え、さらにこれをボールミルで10時間粉砕混合してから乾燥させて、粉末を得た。なお、得られた粉末は、X線回折によって、ペロブスカイトからなる単一相であることが確認された。さらにその後、遊星ボールミルを用い、回転数と回転時間を調製しながら粉砕することによって、平均粒子径(D50)が0.52μmである、LSCF粉末(1)を得た。
上記の方法で調製されたLSCF粉末(1)100質量部に対して、バインダーとしてのエチルセルロースが3質量%、溶剤としてのα−テルピネオールが30質量%の割合となるように加え、これを乳鉢を用いて予備混合した。その後、3本ロールミル(EXAKT technologies社製、型式「M−80S」、ロール材質:アルミナ)を用いて混練し、空気極層用ペースト(1)を得た。
上記バリア層を有する燃料極支持型ハーフセル(1)のバリア層の表面に、スクリーン印刷により、上記空気極層用ペースト(1)を1cm×1cmの正方形に塗布し、90℃で1時間乾燥させ、空気極層用グリーン層(1)を形成した。この空気極層用グリーン層(1)を1000℃で2時間焼成して空気極を形成し、実施例1に係るSOFC用単セル(1)を得た。
実施例1におけるジルコニア系酸化物粉末(1)として、Zr100モルに対してYbが17.4モルであるジルコニア系酸化物の代わりに、Zr100モルに対してYbが27.3モルであるジルコニア系酸化物を製造して使用した以外は、実施例1と同様にして実施例2のSOFC用単セル(2)を作製した。
実施例1におけるジルコニア系酸化物粉末(1)からの固体電解質層用原料粉末(1)の調製において、ボールミル処理する際の回転数と回転時間とを変更することによって、平均粒子径(D50)が0.89μmの粉体を得、その粉体を固体電解質層用原料粉末(3)として使用した以外は、実施例1と同様に実施例3のSOFC用単セル(3)を作製した。
実施例1における酸化ニッケル粉末とジルコニア系酸化物粉末(1)とから燃料極層用原料粉末を調製する際のボールミル処理条件である回転数と回転時間とを変更することによって、平均粒子径(D50)が0.98μmの粉体を得、その粉体を燃料極層用原料粉末(4b)として使用して燃料極層用ペースト(4)を作製した以外は、実施例1と同様に実施例4のSOFC用単セル(4)を作製した。
実施例1における燃料極層用原料粉末の調製においてボールミル処理条件である回転数と回転時間とを変更することによって、平均粒子径(D50)が0.11μmの粉体を得、その粉体を燃料極層用原料粉末(5b)として使用して燃料極層用ペースト(5)を作製した以外は、実施例1と同様に実施例4のSOFC用単セル(5)を作製した。
実施例1における燃料極層用原料粉末の調製においてボールミル処理条件である回転数と回転時間とを変更することによって、平均粒子径(D50)が0.098μmの粉体を得、その粉体を燃料極層用原料粉末(6b)として使用して燃料極層用ペースト(6)を作製した以外は、実施例1と同様に実施例4のSOFC用単セル(6)を作製した。
実施例1におけるジルコニア系酸化物粉末(1)として、Zr100モルに対してYbが17.4モルであるジルコニア系酸化物の代わりに、Zr100モルに対してScが17.4モルであるジルコニア系酸化物を製造して使用した以外は、実施例1と同様にして比較例1のSOFC用単セル(c1)を作製した。
実施例1におけるジルコニア系酸化物粉末(1)として、Zr100モルに対してYbが17.4モルであるジルコニア系酸化物の代わりに、Zr100モルに対してYが17.4モルであるジルコニア系酸化物を製造して使用した以外は、実施例1と同様にして比較例2のSOFC用単セル(c2)を作製した。
実施例1において、固体電解質層用原料粉末(1)の代わりに、ジルコニア系酸化物粉末(1)をボールミル処理を行わずに用いて固体電解質層用ペースト(c3)を作製した以外は、実施例1と同様にして比較例3のSOFC用単セル(c3)を作製した。
実施例1の「燃料極層用原料粉末の調製」において、酸化ニッケル粉末、ジルコニア系酸化物粉末(1)およびエタノールを実施例1と同様の比率で混合し、しかしボールミル処理は行わずに得た粉末を燃料極層用原料粉末として用いて燃料極層用ペースト(c4)を作製した以外は、実施例1と同様にして比較例4のSOFC用単セル(c4)を作製した。
実施例1の燃料極層用原料粉末の調製」において、ボールミル処理条件である回転数と回転時間とを変更することによって、平均粒子径(D50)が0.089μmの粉体を得、その粉体を燃料極層用原料粉末として使用して燃料極層用ペースト(c5)を作製した以外は、実施例1と同様に比較例5のSOFC用単セル(c5)を作製した。
ピロリン酸ナトリウム(和光純薬製、商品名「ピロリン酸ナトリウム+水和物」)を0.2重量%になるように純水に溶解し、分散媒とした。この分散媒に粉末を分散させ、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製、型番LA−920)を用いて、粉末の平均粒子径を測定した。なお、ここで測定された平均粒子径とは、体積基準の累積粒度分布から求められるメジアン径、すなわち体積累積が50%に相当する粒子径(D50)のことである。各実施例及び各比較例における燃料極層用原料粉末及び固体電解質用原料粉末の平均粒子径の測定結果を表1に示す。
ペースト中の凝集物の最大粒子径は、JIS K5600−2−5.分散度に従い、グラインドメータを用いて測定した。具体的には、グラインドメータ(BYK社製)の溝にペーストを垂らし、スクレーバーを用いてしごき溝の中に厚さが連続して変化したペースト層を作る。この時、ペースト中の凝集物による顕著な斑点が現れ始めた箇所の層の厚さを読み取り、凝集物の最大粒子径とする。なお、この測定を3回行い、3回の平均値を求めてペースト中の凝集物の最大粒子径とした。
燃料極層用原料粉末のボールミル処理後の粉末の細孔容積は、水銀ポロシメータにより求めた。具体的には、マイクロメリティックス社製 AutoPore IV 9520を用いて、粉末の細孔容積を計測した。各実施例及び各比較例における燃料極層用原料粉末の細孔容積の測定結果を表1に示す。
作製したジルコニア系酸化物粉末、およびLSCF粉末の組成は、粉末をペレット状に圧縮成型したものについて、XRF(BRUKER社製:S8 TIGER)を用いて分析を行い、目的の組成となっているとことを確認した。
作製したジルコニア系酸化物粉末の結晶構造は、XRD(スペクトリス株式会社製:X PERT−MPD)を用いて分析を行い、安定化されていることを確認した。作製したLSCF粉末の結晶構造については、XRD(スペクトリス株式会社製:X PERT−MPD)により、分析を行ない、ペロブスカイトからなる単一相であることを確認した。
各実施例及び比較例のSOFC用単セルについて、以下の方法で電池性能を評価した。SOFC用単セルの燃料極に100mL/分の窒素を、空気極に100mL/分の空気を供給しつつ、100℃/時間の速度で測定温度(750℃)まで昇温した。昇温後、燃料極、空気極の出口側のガスについて、流量計で、流量を測定し、漏れが無いことを確認した。次いで、水温25℃のバブラーにより加湿した、水素6mL/分及び窒素194mL/分の混合ガスを燃料極へ、400mL/分の空気を空気極へ供給した。10分以上経過後に起電力が発生し、漏れが無いことを再度確認した後、燃料極側のガスを、水素/水蒸気が20/80vol%であって、かつ水素及び水蒸気の合計の流量が200mL/分になるようにバブラーの温度と水素流量とを調整して変更し、燃料極へ供給した。起電力が安定してから、10分以上経過後に、電流密度を0.4A/cm2にし耐久試験(一定電流下におけるにおける電圧の劣化試験)を実施した。初期電圧V0h及び500時間後の電圧V500hから、以下の式により劣化率を求めた。各実施例及び各比較例の電池性能評価試験の結果を表1に示す。
劣化率(%)={(V500h−V0h)÷V0h}×100
上記の電池性能評価試験後の各実施例及び比較例のSOFC用単セルについて、水素を6mL/分、窒素を194mL/分の混合ガスを燃料極へ供給しながら降温を行い、常温において、燃料極層が金属Niを維持したまま(燃料極層が還元状態)のサンプルを得た。各サンプルをガラスカッターを用いて切断し、断面観察用サンプルを作製した。電解放出型走査電子顕微鏡(日本電子社製:JSM−7600F)を用いてその断面観察用サンプルの固体電解質層及び燃料極層の断面観察を行い、8000倍拡大写真を撮影した。なお、撮影は、SOFC用単セルにおいて空気極が形成されている領域の中央部分と空気極の端部から約2mm離れた部分との2か所を1視野内に含む3視野について行った。得られた写真を用いて固体電解質層及び燃料極層中のジルコニア系酸化物の結晶粒子の大きさを測定した。具体的には固体電解質層及び燃料極層中の任意のジルコニア系酸化物の粒子100個について、Media Cybernetics社製画像解析用ソフトImage−Pro(version4.0.0.11)を用いて写真中のジルコニア系酸化物の粒子の周長を計測し、その周長を円相当径に変換し、得られた円相当径から個数基準の平均粒子径を求めた。すなわち、固体電解質層中のジルコニア系酸化物(A)の平均粒子径(A)と燃料極層中のジルコニア系酸化物(B)の平均粒子径(B)とを求め、これらの比(A/B)を求めた。また、同様にして、得られた燃料極層中のジルコニア系酸化物の粒子の粒子径の標準偏差(C)を求め、燃料極層中のジルコニア系酸化物の粒子(B)の平均粒子径(B)と粒子径の標準偏差(C)との差:(B−C)を求めた。結果を表1に示す。
2 SOFC用単セル
11 燃料極
12 固体電解質層
13 バリア層
14 空気極
111 燃料極支持基板
112 燃料極層
Claims (4)
- 燃料極(水素極を含む)と、前記燃料極の一方の主面上に配置された固体電解質層とを備えた固体酸化物形燃料電池用ハーフセルであって、
前記固体電解質層は、ジルコニア系酸化物(A)を含んでおり、
前記燃料極は、YbをZr100モルに対して6モル以上30モル以下の範囲内で含むジルコニア系酸化物(B)含んでおり、
前記ジルコニア系酸化物(B)の平均粒子径(B)に対する前記ジルコニア系酸化物(A)の平均粒子径(A)の比率(平均粒子径(A)/平均粒子径(B))が、1.0以上8.0以下である、
固体酸化物形電気化学セル用ハーフセル。 - 前記ジルコニア系酸化物(B)の平均粒子径(B)と、前記ジルコニア系酸化物(B)の粒子径の標準偏差との差が、0.15μm以上3.0μm以下である、
請求項1に記載の固体酸化物形電気化学セル用ハーフセル。 - 請求項1又は2に記載の固体酸化物形電気化学セル用ハーフセルと、空気極(酸素極を含む)とを備えた固体酸化物形燃料電池用単セルであって、
前記空気極は、前記空気極と前記燃料極との間に前記固体電解質層が配置されるように配置されている、
固体酸化物形電気化学セル。 - 固体酸化物形電気化学セル用ハーフセルを製造する方法であって、
ジルコニア系酸化物(a)を含む固体電解質層用原料粉末を用いて、固体電解質層を作製する固体電解質層作製工程と、
YbをZr100モルに対して6モル以上30モル以下の範囲内で含むジルコニア系酸化物(b)と導電性金属の酸化物とを含む燃料極(水素極を含む)原料粉末を用いて燃料極(水素極を含む)を作製する燃料極(水素極を含む)作製工程と、
を含み、
前記燃料極原料粉末の細孔容積が0.012cm3/g以上0.9cm3/g以下であり、
前記固体電解質層用原料粉末の平均粒子径(a)に対する前記燃料極原料粉末の平均粒子径(b)の比率(平均粒子径(b)/平均粒子径(a))が、0.3以上4以下である、
固体酸化物形電気化学セル用ハーフセルの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017046581A JP6808544B2 (ja) | 2017-03-10 | 2017-03-10 | 固体酸化物形電気化学セル用ハーフセル、固体酸化物形電気化学セル及び固体酸化物形電気化学セル用ハーフセルの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017046581A JP6808544B2 (ja) | 2017-03-10 | 2017-03-10 | 固体酸化物形電気化学セル用ハーフセル、固体酸化物形電気化学セル及び固体酸化物形電気化学セル用ハーフセルの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018152200A JP2018152200A (ja) | 2018-09-27 |
JP6808544B2 true JP6808544B2 (ja) | 2021-01-06 |
Family
ID=63681799
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017046581A Active JP6808544B2 (ja) | 2017-03-10 | 2017-03-10 | 固体酸化物形電気化学セル用ハーフセル、固体酸化物形電気化学セル及び固体酸化物形電気化学セル用ハーフセルの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6808544B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020187864A (ja) * | 2019-05-10 | 2020-11-19 | 株式会社東芝 | 電気化学セル、電気化学セルスタック、燃料電池および水素製造装置 |
JP2020191221A (ja) * | 2019-05-21 | 2020-11-26 | 株式会社東芝 | 電気化学セル、電気化学セルスタック、燃料電池および水素製造装置 |
CN114725454A (zh) * | 2022-04-06 | 2022-07-08 | 山东工业陶瓷研究设计院有限公司 | 一种sofc电池及其制备方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3205681B2 (ja) * | 1995-04-03 | 2001-09-04 | 科学技術振興事業団 | ジルコニア粉末の製造方法 |
JP2016071983A (ja) * | 2014-09-29 | 2016-05-09 | 株式会社日本触媒 | 固体酸化物形燃料電池用燃料極材料及びその製造方法、並びに、固体酸化物形燃料電池用ハーフセル及びそれを備えた固体酸化物形燃料電池用単セル |
JP6422120B2 (ja) * | 2015-02-19 | 2018-11-14 | 株式会社日本触媒 | 固体電解質材料 |
-
2017
- 2017-03-10 JP JP2017046581A patent/JP6808544B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018152200A (ja) | 2018-09-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6018639B2 (ja) | 固体酸化物形燃料電池ハーフセル及び固体酸化物形燃料電池 | |
JP2010282772A (ja) | 固体酸化物形燃料電池用電極材及び固体酸化物形燃料電池用電極 | |
JP6808544B2 (ja) | 固体酸化物形電気化学セル用ハーフセル、固体酸化物形電気化学セル及び固体酸化物形電気化学セル用ハーフセルの製造方法 | |
JP6748955B2 (ja) | 電気化学セル | |
JP2017022111A (ja) | 積層体 | |
JP6338342B2 (ja) | 固体酸化物形燃料電池ハーフセル、及び固体酸化物形燃料電池 | |
JP7089838B2 (ja) | 固体酸化物形燃料電池用単セル及びその製造方法、並びに、固体酸化物形燃料電池用カソード及びその製造方法 | |
JP5546559B2 (ja) | 固体酸化物形燃料電池および該燃料電池のカソード形成用材料 | |
JP6832636B2 (ja) | 固体酸化物形燃料電池および該電池の空気極用組成物 | |
JP2016072037A (ja) | 固体酸化物形燃料電池用単セルの製造方法、固体酸化物形燃料電池用カソード及び固体酸化物形燃料電池用単セル | |
WO2013054759A1 (ja) | 燃料電池セル | |
WO2020004333A1 (ja) | 固体酸化物形セル用電極及びそれを用いた固体酸化物形セル | |
JP2013229311A (ja) | 固体酸化物形燃料電池 | |
JP5655032B2 (ja) | 固体酸化物形燃料電池および該燃料電池のカソード形成用材料 | |
JP2006040822A (ja) | 多孔質混合伝導体およびその製造方法および固体酸化物形燃料電池の空気極材料 | |
JP6891008B2 (ja) | イオン伝導性材料及び固体酸化物形電気化学セル | |
JP7208764B2 (ja) | 固体酸化物形燃料電池とこれに用いる集電部形成用材料 | |
JP2009230929A (ja) | 固体酸化物形燃料電池の集電体材料、空気極集電体及び固体酸化物形燃料電池 | |
JP2008234915A (ja) | 固体酸化物形燃料電池の集電体材料、空気極集電体及び固体酸化物形燃料電池 | |
JP2018063871A (ja) | 電気化学セル用燃料極、およびそれを含む電気化学セル | |
JP6795359B2 (ja) | 電気化学セル用電解質層、およびそれを含む電気化学セル | |
JP6562623B2 (ja) | 固体酸化物型燃料電池用混合空気極材料、及び、固体酸化物型燃料電池 | |
JP7510669B2 (ja) | 固体酸化物形セル用燃料極、積層構造体及びその製造方法、並びに固体酸化物形セル及びその製造方法 | |
JP6199680B2 (ja) | 固体酸化物形燃料電池のハーフセル及び固体酸化物形燃料電池セル | |
WO2022004253A1 (ja) | 固体酸化物形セル用燃料極、積層構造体及びその製造方法、並びに固体酸化物形セル及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20190514 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20191205 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20201118 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20201201 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20201209 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6808544 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |