以下、車両用照明装置が設けられる車両用の空調用レジスタの一実施形態を、図1〜図14を参照して説明する。
なお、以下の記載においては、車両の進行方向(前進方向)を前方とし、後進方向を後方とし、高さ方向を上下方向として説明する。また、車幅方向(左右方向)については、車両を後方から見た場合を基準として方向を規定する。
車室内において、車両の前席(運転席及び助手席)の前方にはインストルメントパネルが設けられ、その左右方向における中央部、側部等には空調用レジスタが組込まれている。この空調用レジスタの主な機能は、空調装置から送られてきて、吹出口から車室内に吹出す空調用空気の向きを変更すること、同空調用空気の吹出し量を調整すること等である。吹出し量の調整には、吹出しを遮断することが含まれる。
図1、図5及び図6に示すように、空調用レジスタは、リテーナ10、吹出し調整部及び操作ノブ55を備えている。吹出し調整部は、空調用レジスタから吹出す空調用空気A1の状態を調整するためのものであり、下流フィン群、上流フィン群及びシャットダンパ40を備えている。なお、図1では、リテーナ10におけるベゼル等の加飾パネル12の図示が省略されている。次に、空調用レジスタを構成する各部の構成について説明する。
<リテーナ10>
図5及び図6に示すように、リテーナ10は、空調装置の送風ダクト(図示略)と、インストルメントパネルに設けられた開口(図示略)とを繋ぐためのものであり、リテーナ本体11及び加飾パネル12を備えている。なお、リテーナ10は、固定部材に相当する。
リテーナ10の内部空間は、空調用空気A1の流路(以下「通風路13」という)を構成している。ここで、空調用空気A1の流れ方向に関し、空調装置に近い側を「上流」といい、同空調装置から遠い側を「下流」というものとする。
通風路13は、リテーナ10の4つの壁部によって取り囲まれている。これらの4つの壁部は、左右方向に相対向する一対の縦壁部14と、上下方向に相対向する一対の横壁部15とを備えている。
加飾パネル12は、リテーナ10の最下流部分を構成する部材である。加飾パネル12において、通風路13の下流端となる箇所には、空調用空気A1の吹出口16が形成されている。加飾パネル12の下流端面であって、吹出口16の周りの部分は、空調用レジスタの意匠面の一部を構成している。
<下流フィン群>
図2及び図5に示すように、下流フィン群は、上下方向に離間した状態で配列された複数(2つ)の下流フィン18,19からなる。各下流フィン18,19は、吹出口16からの空調用空気A1の吹出し方向を上下に変更するために用いられている。各下流フィン18,19の主要部は、それぞれ通風路13内で左右方向及び空調用空気A1の流れ方向へ延びる板状体によって構成されている。
図2及び図6に示すように、各下流フィン18,19の左右方向における両端部には、下流フィン軸21がそれぞれ設けられている。下流フィン18,19毎の各下流フィン軸21は、軸受部22により、対応する縦壁部14に支持されている。
各下流フィン18,19において、一方(右方)の下流フィン軸21から上流へ偏倚した箇所には、同下流フィン軸21に平行に延びる連結ピン23が設けられている。下流フィン18,19毎の連結ピン23は、略上下方向へ延びる縦連結ロッド24によって相互に連結されている。上記連結ピン23及び縦連結ロッド24により、両下流フィン18,19を同じ傾向の傾きとなるように同期した状態で傾動させるリンク機構LM1が構成されている。
上側の下流フィン18における左右方向の中間部分には、上記流れ方向における両端部がともに開放された筒状部25が形成されている(図5参照)。筒状部25は、上下方向の寸法に対し左右方向の寸法が大きな偏平な形状をなしている。
<上流フィン群>
上流フィン群は、通風路13内の上記下流フィン群よりも上流側に配列された複数の上流フィンからなる。各上流フィンは、吹出口16からの空調用空気A1の吹出し方向を左右に変更するために用いられている。各上流フィンの主要部は、それぞれ通風路13内で上下方向及び上記流れ方向へ延びる板状体によって構成されている。複数の上流フィンの多くは、左右方向に略等間隔で互いに略平行に離間した状態で配列されている。
ここで、複数の上流フィンを区別するために、左右方向における中央部分で互いに隣り合うものを「中央上流フィン28」といい、それ以外のものを「上流フィン29」というものとする。なお、複数の上流フィンを区別する必要がない場合には、単に、上流フィン28,29ということもある。
各上流フィン28,29の上下方向における両端部には、上流フィン軸31がそれぞれ設けられている。上流フィン28,29毎の各上流フィン軸31は、軸受部(図示略)により、対応する横壁部15に対し傾動可能に支持されている。各上流フィン28,29には、切欠き部33及び連結ピン34がそれぞれ設けられている。各連結ピン34は、切欠き部33において、上流フィン軸31から下流側へ偏倚した箇所で上下方向に延びている。上流フィン28,29毎の連結ピン34は、略左右方向へ延びる横連結ロッド35によって相互に連結されている。そして、これらの連結ピン34及び横連結ロッド35により、全ての上流フィン28,29を同じ傾向の傾きとなるように同期した状態で傾動させるリンク機構LM2が構成されている。
<シャットダンパ40>
図4及び図6に示すように、シャットダンパ40は、リテーナ10内の上流フィン群よりも上流側で通風路13を開放及び閉鎖するためのものである。シャットダンパ40は、上下一対のダンパプレート41,46を備えている。各ダンパプレート41,46は、上記流れ方向よりも左右方向に細長い板状をなしている。各ダンパプレート41,46の周
囲には、同ダンパプレート41,46の他の箇所よりも薄くて、可撓性を有するシール部41a,46aが形成されている。
上側のダンパプレート41の左右方向の両端部には、ダンパ軸42が設けられている。上側のダンパプレート41において、両ダンパ軸42間であって、左右方向に互いに離間した箇所には、一対の軸受部43が設けられている。下側のダンパプレート46の左右方向の両端部には、ダンパ軸47が設けられている。下側のダンパプレート46において、両ダンパ軸47間であって、左右方向に互いに離間した箇所には、一対の軸受部48が設けられている。
上側のダンパプレート41は、右側のダンパ軸42において、軸受部51により、右側の縦壁部14に支持されるとともに、左側のダンパ軸42において、軸受部48により、下側のダンパプレート46に支持されている。下側のダンパプレート46は、左側のダンパ軸47において、軸受部52により、左側の縦壁部14に支持されるとともに、右側のダンパ軸47において、軸受部43により、上側のダンパプレート41に支持されている。
各ダンパプレート41,46は、自身の両ダンパ軸42,47を支点として、開位置と閉位置との間で、互いに反対方向へ傾動可能である。
各ダンパプレート41,46は、開位置では、図5において実線で示すように、両横壁部15間の略中央部分で、それらの横壁部15に対し略平行となって、通風路13を大きく開放する。空調用空気A1は、ダンパプレート41の上側とダンパプレート46の下側とに分かれて流れる。両ダンパプレート41,46を通過した空調用空気A1は、上流フィン群、下流フィン群等に沿って流れた後、吹出口16から吹出す。
各ダンパプレート41,46は、閉位置では、図5において二点鎖線で示すように、両横壁部15に対し大きく傾斜した状態で接触し、通風路13を閉鎖する。通風路13の両ダンパプレート41,46よりも下流では空調用空気A1の流通が遮断され、吹出口16からの空調用空気A1の吹出しが停止される。
<操作ノブ55>
図1、図4〜図6に示すように、操作ノブ55は、下流フィン18,19、上流フィン28,29及びシャットダンパ40をそれぞれ作動させる際に乗員によって操作される部材であり、吹出口16に配置されている。操作ノブ55は、取付基部、ノブ本体64、レンズ74、キャップ76及び弾性部材71を備えている。
取付基部は、上記流れ方向に沿って配置され、かつ爪係合等によって相互に連結された上流取付基部56及び下流取付基部58を備えている。上流取付基部56は、上記流れ方向に貫通する孔部57を自身の中心部に有している。
図10及び図11(a)に示すように、下流取付基部58は、上流端部が開放され、かつ下流端部が閉塞された有底の略円筒状をなしている。下流取付基部58の底部58aは、上記流れ方向に貫通する孔部59を、自身の中心部に有している。底部58aにおいて、孔部59と同心円上には、下流側へ向けて突出する筒状部61が形成されている。底部58aにおいて、筒状部61の外周側であって周方向に互いに離間した複数箇所には、同筒状部61に沿って同方向に延びる円弧状の回り止め溝62が形成されている。
図7〜図9に示すように、下流取付基部58の左部及び右部には、それぞれ上下一対の切欠き部63が形成されている。各切欠き部63は、下流取付基部58の上流端面から下流側へ向けて延びている。そして、これらの切欠き部63において、下流取付基部58が
、上側の下流フィン18の筒状部25に対し、左右方向へスライド可能に装着されている(図5参照)。
図3、図10及び図11(a),(b)に示すように、ノブ本体64は、レンズ保持部65及び軸部72を備えており、全体が硬質の樹脂材料によって形成されている。
レンズ保持部65は、上記流れ方向における下流端部が開放された略円筒状をなしている。レンズ保持部65の外周部は、下流側に向けて徐々に縮径している。レンズ保持部65は、上記流れ方向における中間部分に底部65aを有している。レンズ保持部65の周方向に互いに離間した複数箇所(2箇所)には、下流端面からそれぞれ上流側へ向けて延びる回り止め溝66が形成されている(図11(b)参照)。レンズ保持部65の外周部には、上流被係合部が形成されている。本実施形態では、上流被係合部は、図12に示すように、半円状の断面形状を有し、かつレンズ保持部65の全周にわたって形成された環状凹部67によって構成されている。レンズ保持部65の上流端面であって、周方向に互いに離間した複数箇所(2箇所)には、それぞれ上流側へ向けて突出するストッパ68が形成されている。各ストッパ68は、上記下流取付基部58の対応する回り止め溝62に係合されている。各ストッパ68は、回り止め溝62の周方向における両端部の間でのみ周方向に移動可能である。各ストッパ68が、回り止め溝62の周方向における端部に当接すると、ストッパ68がそれ以上同方向へ移動することを規制される。この規制を通じ、ノブ本体64の回転できる領域が規定されている。図3及び図11(a)に示すように、レンズ保持部65の外周面であって、周方向に互いに離間した複数箇所には、それぞれ上記流れ方向に延びる回り止め溝69が形成されている。図3及び図10に示すように、レンズ保持部65の内周部であって、下流端面から上流側へ離れた箇所には、係止段部70が全周にわたって形成されている。この係止段部70により、レンズ保持部65の内径は、同係止段部70よりも下流側では上流側よりも大きくなっている。
軸部72は、レンズ保持部65における底部65aの中心部から上流側へ向けて延びており、下流取付基部58の孔部59と、上流取付基部56の孔部57(図4参照)とに対し下流側から回転可能に挿通されている。底部65aは、下流取付基部58の筒状部61に対し下流側から接近している。
図3及び図11(a),(b)に示すように、筒状部61と軸部72との間には、板ばねを曲げ加工することによって形成されたシム73が配置されている。シム73は、筒状部61の内周面と軸部72の外周面とに対し弾性的に接触している。この形態の接触により、操作ノブ55が回転操作されたときに、シム73と軸部72との間に摺動抵抗が発生し、適度な荷重が付与される。
レンズ74は、上記ノブ本体64と同様に、硬質の樹脂材料によって透明に形成されていて光透過性を有している。レンズ74は、レンズ保持部65の下流側に配置されている。レンズ74の外周部における上流部は下流部よりも大径状に形成されている。このように、下流部と上流部とで外径が異なる構成により、レンズ74は、外周部に段差部75を下流被係合部として有している。段差部75は、レンズ74の全周にわたって形成されている。
キャップ76は、ノブ本体64及びレンズ74よりも軟質の材料、例えば、エラストマー、ゴム等を用いて形成されている。キャップ76は、上流端部及び下流端部がともに開放された略円筒状をなしており、上流端から下流端に向けて徐々に縮径している。キャップ76の上流端部の内周部には、上記ノブ本体64の環状凹部67に係合される上流係合部が形成されている。上流係合部は、半円状の断面形状を有し、かつキャップ76の全周にわたって形成された環状突部77によって構成されている(図12参照)。キャップ76の内周部の下流端部における下流部は、上流部よりも小径状に形成されている。このよ
うに、下流部と上流部とで外径が異なる構成により、キャップ76は、下流端部の内周部に段差部78を、下流係合部として有している。
キャップ76の内周部における段差部78の上流近傍であって、周方向に互いに離間した複数箇所(2箇所)には、係止段部79が形成されている。キャップ76の内周部であって、環状突部77と段差部78との間の領域には、それぞれ上記流れ方向に延びる回り止め突条部81が形成されている。回り止め突条部81は、キャップ76の内周部の周方向に互いに離間した複数箇所に形成されている。そして、これらの回り止め突条部81は、ノブ本体64の回り止め溝69に係合されている。この係合により、キャップ76がノブ本体64に対し一体回転可能に取付けられている。
そして、環状突部77が環状凹部67に係合されることにより、キャップ76は、上流端部の内周部において、ノブ本体64の外周部に対し凹凸関係で係合した状態で圧接されている。また、段差部78が段差部75に係合されることにより、キャップ76は、下流端部の内周部において、レンズ74の外周部に対し凹凸関係で係合した状態で圧接されている。レンズ74の段差部75は、レンズ保持部65とキャップ76の段差部78とによって、上記流れ方向の両側から挟み込まれて保持されている。このレンズ74により、キャップ76の下流端部が閉塞されている。また、上記係合によりレンズ74のノブ本体64からの脱落が規制されている。
ノブ本体64、キャップ76及びレンズ74により囲まれた空間は、収容空間82を構成しており、この収容空間82に発光ユニット83が配置されている。発光ユニット83は、発光部84及び受電部85を配線基板88に設けることによって構成されている。配線基板88は略円形の板状をなしている。配線基板88の周方向に互いに離間した複数箇所(2箇所)には、ストッパ90が径方向外方へ突設されている。各ストッパ90は、ノブ本体64において、対応する回り止め溝66内に入り込ませられている。さらに、配線基板88は、係止段部70と係止段部79との間に配置されており、それらによって上記流れ方向の両側から挟み込まれている。すなわち、配線基板88は、操作ノブ55に固定されている。なお、操作ノブ55は、操作部材に相当する。
発光部84としては、電流を流すと光を発する半導体素子、例えば、LED(発光ダイオード)が用いられている。発光部84は、配線基板88の下流側に配置され、光の照射方向が下流側となるように配線基板88に実装されている。
受電部85は、フェライトコア86及びループコイル87を備えている。フェライトコア86とループコイル87の大部分とは、配線基板88の上流側に配置されている。ループコイル87は、受電側共振回路の一部を構成するものであり、フェライトコア86の回りに巻かれている。なお、フェライトコア86は磁性体に、ループコイル87は受電コイルに、それぞれ相当する。
ここで、ループコイル87のうちフェライトコア86の外周面に巻回されている部分を巻回部87a、巻回部87aから当該巻回部87aの軸線方向に延びる部位を取付脚部87bと規定する。なお、巻回部87aの軸線は、図3において一点鎖線で示され、上記流れ方向と対応するように延びている。
ループコイル87は、巻回部87aにおいて、その内側に挿通されているフェライトコア86の外周面に固定されている。このため、ループコイル87とフェライトコア86との位置関係は変更されない。
ループコイル87の一対の取付脚部87bは、配線基板88に形成されたスルーホール
89に挿通されている。配線基板88の下流側の面には、発光部84や電子部品に電気的に接続された配線パターン(図示略)が形成されている。スルーホール89に挿通された一対の取付脚部87bは、この配線パターンに対し、はんだ付け等により電気的に接続されている。このようにして、受電部85は発光部84に対し、配線パターンを介して電気的に接続されている。
なお、図10に示すように、一対の取付脚部87bには、配線基板88とフェライトコア86(巻回部87a)との間に折り曲げ部87cが設けられている。折り曲げ部87cは、フェライトコア86側から配線基板88側へ向かうにしたがい一対の取付脚部87b同士の離間距離が短くなるように折り曲げられている。折り曲げ部87cは、金属の線材で形成されるループコイル87の一部であるため、弾性変形可能である。言い換えれば、折り曲げ部87cを有する一対の取付脚部87bは、配線基板88に対して巻回部87a及びフェライトコア86を弾性支持する。したがって、配線基板88に振動が入力されても、折り曲げ部87cにおいて振動が吸収され、ループコイル87自体の振動が抑制される。
弾性部材71は、スポンジ等の弾性材料によって構成されており、発光ユニット83とノブ本体64の底部65aとの間に配置されている。底部65aは、配線基板88と対向する対向壁に相当する。この弾性部材71によって、発光ユニット83が下流側へ付勢され、配線基板88のストッパ90がキャップ76の係止段部79に押付けられている。この押付けにより、収容空間82内での発光ユニット83のがたつきが抑制されている。
より詳述すれば、ループコイル87とフェライトコア86とが固定された固定体Fは、巻回部87aの軸線方向の一方において一対の取付脚部87bを介して配線基板88に固定されるとともに、他方において対向壁に相当する底部65aに設けられた弾性部材71に当接されている。すなわち、固定体Fは、折り曲げ部87cを有する一対の取付脚部87bと弾性部材71とにより挟持されている。このため、操作ノブ55に振動が入力されても、折り曲げ部87c及び弾性部材71において振動が吸収され、ループコイル87自体の振動、すなわち巻回部87aの軸線方向におけるループコイル87の位置ずれがより確実に阻止される。
一方、リテーナ10、例えば加飾パネル12には、図1において二点鎖線で示す給電部91が設けられている。図1及び図13に示すように、給電部91は、給電側共振回路の一部を構成するループコイル92を備えている。ループコイル92は、吹出口16を囲むように設けられており、操作ノブ55に内蔵された受電部85に対し直流共鳴方式でワイヤレス給電する。給電部91と受電部85とは、給電可能な相対距離の範囲内に位置している。
ここで採用されているワイヤレス給電システムは、直流電圧から共鳴周波数で時間的に変化する電磁界共鳴フィールドを形成し、給電側の共振回路と受電側の共振回路とを互いに共鳴させて、空間を隔てて電力を供給する直流共鳴方式を採用している。具体的には、給電部91は、直流電源である車載用バッテリ93に対して、給電側のループコイル92とコンデンサ94とが直列に接続されることにより、共振回路を構成している。さらに、給電部91は、高速スイッチング動作をするスイッチング回路95を備えている。給電側のループコイル92は、ここでは1ターンであり、簡素化されている。スイッチング回路95は、高速スイッチング動作に対してスイッチング損失等の電力損失を低減し、電磁雑音を抑制できるゼロ電圧スイッチング動作(ZVS:Zero Voltage Switching)をする。また、受電部85は、発光部84に対して、受電側のループコイル87とコンデンサ96とが直列に接続され、共振回路を構成している。なお、ループコイル92は給電コイルに相当する。
この直流共鳴方式のワイヤレス給電システムは、車載用バッテリ93といった直流電源から、直接、時間的に変化する共鳴フィールドを形成し、給電側と受電側の共振回路を互いに共鳴させて、空間を隔てて電力を供給する。この直流共鳴方式は、直流電源からダイレクトなエネルギ変換を行なうことで、エネルギ変換効率が高く、送電効率が高いものとなっている。
また、本実施形態においては、ループコイル87の一部を構成する巻回部87aの内側にフェライトコア86が挿通されている。これにより、フェライトコア86を設けない場合と比較してループコイル87における磁束密度が増加する。これにより、ループコイル87におけるインダクタンスが増大するため、給電部91から受電部85への給電効率が高いものとなっている。
図14は、給電部91と受電部85との相対距離、及び給電部91と受電部85とがなす相対角度について、本実施形態での発光部84が発光可能な領域を示している。この領域では、相対距離が長くなるに連れて給電効率が下がる。また、相対角度が大きくなるに連れて給電効率が下がる。
また、同図14に示すように、給電部91と受電部85との相対距離に関し、Qi規格に準拠した電磁誘導方式においては、発光可能な相対距離の最大値は、数mm〜1cm程度である。これに対して、直流共鳴方式における発光可能な相対距離の最大値は、10cm〜20cm程度と長い。
また、Qi規格に準拠した電磁誘導方式において、給電部91と受電部85の発光可能な相対角度の最大値は、0°程度であり、極めて小さい。これに対して、直流共鳴方式の給電部91と受電部85の発光可能な相対角度の最大値は、90°程度である。従って、給電部91と受電部85の配置の自由度が高い。
上記発光可能な領域のうち、相対距離がL1以下の領域Z1では、給電効率の変化が発光部84の照度に及ぼす影響は小さい。これに対し、相対距離がL1からL2(>L1)までの領域Z2では、給電効率の変化が発光部84の照度に及ぼす影響は大きい。この領域Z2では、相対距離が長くなるに連れて給電効率が低下するところ、この低下に従い照度が低くなる。この領域Z2は、直流共鳴方式における漸減領域であり、この領域Z2(漸減領域)で相対距離及び相対角度を変化させることで、発光部84の照度を変化させることが可能である。
ところで、本実施形態では、図2及び図6に示すように、操作ノブ55の動きを、両中央上流フィン28及びシャットダンパ40のそれぞれに伝達して、これらを傾動させるために次の構成が採用されている。
横連結ロッド35のうち、両中央上流フィン28間に位置する部分には、上記流れ方向に延びる伝達孔37を有する四角枠状の伝達部36が形成されている。図4〜図6に示すように、伝達部36には、上記流れ方向に沿って延びる伝達シャフト101が挿通されている。伝達シャフト101の伝達孔37に対する挿通箇所には、接触子102が形成されている。
伝達シャフト101と両ダンパプレート41,46との間には、回転方向変換機構TM1が設けられている。回転方向変換機構TM1は、伝達シャフト101を介して伝達される操作ノブ55の回転の方向を変更して両ダンパプレート41,46に伝達するためのものであり、上側のダンパプレート41から下流側へ延びるアーム部44と、下側のダンパ
プレート46から下流側へ延びるアーム部49と、カム部材103とを備えている。
上側のアーム部44は、上方へ膨らむように湾曲しており、球面を有する摺動端部44aを下流端部に有している。下側のアーム部49は、下方へ膨らむように湾曲しており、球面を有する摺動端部49aを下流端部に有している。
カム部材103を両ダンパプレート41,46に支持するために、円筒状の外筒部材105が用いられている。外筒部材105は、それぞれ左右方向に延びる一対の軸106を備えており、これらの軸106により、両ダンパプレート41,46に支持されている。すなわち、左側の軸106が軸受部43に支持され、右側の軸106が軸受部48に支持されている。
カム部材103は、外筒部材105内に回転可能に装着されている。カム部材103は、上記摺動端部44a,49aが摺動可能に係合されるカム溝104を外面に有している。
伝達シャフト101の下流端部は、下流側のカルダンジョイントJ1によりノブ本体64に対し、屈曲可能かつ回転伝達可能に連結されている。本実施形態では、カルダンジョイントJ1として、ユニバーサルジョイントが用いられている。伝達シャフト101の上流端部は、上流側のカルダンジョイントJ2によりカム部材103に対し、屈曲可能かつ回転伝達可能に連結されている。
次に、上記のように構成された本実施形態の作用及び効果について説明する。
シャットダンパ40を閉位置から開位置へ切替える場合、及び、開位置から閉位置へ切替える場合には、図10及び図11(a),(b)に示すように、操作ノブ55におけるキャップ76を摘んで回転させる操作が行なわれる。キャップ76の回転に伴い、ノブ本体64がキャップ76及び発光ユニット83と一体となって、下流取付基部58及び上流取付基部56に対し回転させられる。また、各ストッパ68が回り止め溝62内を周方向に移動する。この回転は、図5及び図6に示すように、下流側のカルダンジョイントJ1、伝達シャフト101及び上流側のカルダンジョイントJ2を介してカム部材103に伝達される。カム部材103が回転し、それに伴い、アーム部44,49毎の摺動端部44a,49aがカム溝104と係合する位置が、それぞれ変化する。両係合位置の変化に伴い、各ダンパプレート41,46がダンパ軸42,47を支点として、それぞれ開位置と閉位置との間で、互いに反対方向へ傾動させられる。これらの傾動により、通風路13の開度が変化する。通風路13においてシャットダンパ40を通過する空調用空気A1の量を調整することができる。各ストッパ68が回り止め溝62の周方向における端まで移動すると、キャップ76のそれ以上の回転が規制される。
また、上記のように伝達シャフト101が回転された場合、その回転は上流フィン28,29に伝達されない。上記回転に伴い接触子102が伝達孔37内で回転し、接触子102と伝達部36との間で力の伝達が行なわれないからである。そのため、上流フィン28,29は傾動しない。また、操作ノブ55と筒状部25との間で力の伝達が行なわれない。そのため、下流フィン18,19も傾動しない。
ここで、キャップ76がノブ本体64及びレンズ74よりも軟質の材料によって形成されているため、キャップ76を摘んだときの触感が柔らかい。また、上記回転操作の際には、キャップ76が指に沿って弾性変形して指との接触面積が増えるため、滑りにくく操作がしやすい。
なお、以下の説明は、シャットダンパ40が開位置にあることを前提としている。
図5及び図6は、両下流フィン18,19が中立状態にあり、かつ全ての上流フィン28,29が中立状態にあるときの空調用レジスタを示している。このときには、両下流フィン18,19が、両横壁部15に対し略平行にされる。また、上流フィン28,29が両縦壁部14に対し略平行にされる。従って、シャットダンパ40を通過した空調用空気A1は、上流フィン28,29、縦壁部14等に沿って流れた後、下流フィン18,19、両横壁部15等に沿って流れて吹出口16から真っ直ぐ吹出す。
上記の両中立状態から、操作ノブ55に対し上方又は下方へ向かう力が加えられると、上側の下流フィン18が両下流フィン軸21を支点として傾動させられる。この傾動は、リンク機構LM1(図6参照)を介して下側の下流フィン19に伝達される。この伝達により、下側の下流フィン19が上側の下流フィン18に同期して、操作ノブ55の操作された側へ傾動する。空調用空気A1は、上記のように傾動された下流フィン18,19に沿って流れることで、向きを変えられて吹出口16から斜め上方又は斜め下方へ向けて吹出す。
上記操作ノブ55の傾動は、下流側のカルダンジョイントJ1を介して伝達シャフト101に伝達される。そのため、伝達シャフト101は、両ダンパプレート41,46に係合された外筒部材105の軸106を支点として、上方又は下方へ揺動する。ただし、伝達シャフト101の上記揺動は、上流フィン28,29に伝達されない。これは、上記揺動に伴い伝達シャフト101の接触子102が伝達孔37内を上記方向へ移動し、接触子102と伝達部36との間で力の伝達が行なわれないからである。伝達孔37の上下の両内壁面は接触子102にも、伝達シャフト101の接触子102とは異なる箇所にも接触しない。その結果、全ての上流フィン28,29が傾動しない。
上記の両中立状態から、操作ノブ55に対し、左方又は右方へ向かう力が加えられると、操作ノブ55が下流側のカルダンジョイントJ1を伴って同方向へスライドされる。そのため、伝達シャフト101は、上流端部を支点として、上記方向へ揺動する。
伝達シャフト101の上記揺動は、横連結ロッド35に伝達される。これは、揺動に伴い伝達シャフト101の接触子102が伝達部36における伝達孔37の左右のいずれかの内壁面に接触し、接触子102と伝達部36との間で力の伝達が行なわれるからである。伝達部36が横連結ロッド35の他の部分と一緒に左方又は右方へ移動する。この動きが上流フィン28,29に伝達される。その結果、上流フィン28,29が、それぞれ上流フィン軸31を支点として左方又は右方へ傾動する。空調用空気A1は、上記のように傾動された上流フィン28,29に沿って流れることで、向きを変えられて吹出口16から左方又は右方へ吹出す。
なお、以上は、上記上流フィン28,29及び上記下流フィン18,19の両中立状態を基準とし、この中立状態から操作ノブ55を傾動させたりスライドさせたりした場合の作用であるが、中立状態とは異なる状態から操作ノブ55を傾動させたりスライドさせたりした場合にも、空調用レジスタの各部は上記と同様に作動する。また、キャップ76を回転させてシャットダンパ40を傾動させる操作は、上流フィン28,29が両縦壁部14に対し傾斜した状態であっても、下流フィン18,19が両横壁部15に対し傾斜した状態であっても可能である。
操作ノブ55を上記のように上下方向へ移動させたり左右方向へスライドさせたりする操作は、上記回転操作時と同様に、キャップ76を摘むことによって行なわれる。キャップ76が軟質の材料によって形成されていることから、キャップ76を摘んだときの触感が柔らかい。また、この場合にも、キャップ76が指に沿って弾性変形して指との接触面積が増えるため、滑りにくく操作がしやすい。
このように、操作ノブ55を操作することで、下流フィン18,19、上流フィン28,29及びシャットダンパ40をそれぞれ傾動させることができる。
ところで、本実施形態の空調用レジスタでは、加飾パネル12の給電部91から操作ノブ55の受電部85に対して、直流共鳴方式によりワイヤレス給電されると、発光部84が発光する。発光部84から照射された光は、レンズ74を透過し、周囲を明るくする。
また、空調用空気A1の吹出し方向を変更するために、操作ノブ55が左右方向又は上下方向に移動されると、給電部91のループコイル92と、受電部85のループコイル87との相対距離及び相対角度が変化する。この状態は、図14の領域Z2(漸減領域)を利用することで得られる。この変化により、給電部91から受電部85への給電効率が変化し、照度が変化する。
ここで、図10及び図11(b)に示すように、発光部84及び受電部85が配置される収容空間82は、ノブ本体64及びレンズ74と、これらに取付けられたキャップ76とにより囲まれている。操作ノブ55の外部の気体が、これらの発光部84及び受電部85に触れるには、ノブ本体64とキャップ76との隙間、及びキャップ76とレンズ74との隙間を経路とし、この経路を通って、上記収容空間82に流入する必要がある。
しかし、キャップ76は、ノブ本体64及びレンズ74よりも軟質の材料によって形成されている。キャップ76では、上流端部の内周部が弾性変形した状態で、ノブ本体64の外周部に対し圧接されている。そのため、キャップ76がノブ本体64と同様に硬質の材料によって形成されている場合に比べ、キャップ76の上流端部の内周部とノブ本体64の外周部との隙間が狭い。しかも、上記圧接は、キャップ76の上流端部の内周部がノブ本体64の外周部に対し凹凸関係で係合した状態でなされている。すなわち、キャップ76の環状突部77(上流係合部)が、ノブ本体64の環状凹部67(上流被係合部)に係合されることで、キャップ76は、上流端部の内周部において、ノブ本体64の外周部に対し凹凸関係で係合されている(図12参照)。このことから、凹凸関係で係合された部分では、キャップ76及びノブ本体64が凹凸関係なしで係合する場合に比べ、上記経路が長くなる。その分、操作ノブ55の外部の気体は、ノブ本体64とキャップ76との間から収容空間82に入り込みにくい。
特に、本実施形態では、環状突部77がキャップ76の全周にわたって形成され、環状凹部67がノブ本体64の全周にわたって形成されている。そのため、上記気体の経路を長くする効果が、キャップ76及びノブ本体64の全周にわたって得られる。その分、収容空間82の密封度が高くなり、操作ノブ55の外部の気体が、周方向のどの箇所からも、ノブ本体64とキャップ76との間から収容空間82に入り込みにくくなる。
また、キャップ76では、下流端部の内周部が弾性変形した状態で、レンズ74の外周部に対し圧接されている。そのため、キャップ76がレンズ74と同様に硬質の材料によって形成されている場合に比べ、キャップ76の下流端部の内周部とレンズ74の外周部との隙間が狭い。しかも、上記圧接は、キャップ76の下流端部の内周部がレンズ74の外周部に対し凹凸関係で係合した状態でなされている。すなわち、キャップ76の段差部78(下流係合部)が、レンズ74の段差部75(下流被係合部)に係合されることで、キャップ76は、下流端部の内周部において、レンズ74の外周部に対し凹凸関係で係合されている。このことから、凹凸関係で係合された部分では、キャップ76及びレンズ74が凹凸関係なしで係合する場合に比べ、上記経路が長くなる。その分、操作ノブ55の外部の気体は、キャップ76とレンズ74との間から収容空間82に入り込みにくい。
特に、本実施形態では、段差部78がキャップ76の全周にわたって形成され、段差部
75がレンズ74の全周にわたって形成されている。そのため、上記気体の経路を長くする効果が、キャップ76及びレンズ74の全周にわたって得られる。その分、収容空間82の密封度が高くなり、操作ノブ55の外部の気体が、周方向のどの箇所からも、キャップ76とレンズ74との間から収容空間82に入り込みにくくなる。
その結果、通風路13を流れる空調用空気A1に含まれる水蒸気が発光部84や受電部85の表面で凝縮する現象(結露)が発生しにくくなる。結露に起因する腐食、短絡、レンズ74の曇り等の発生を抑制することができる。また、発光部84及び受電部85を構成する電子部品中の銀に硫化ガスが触れると、銀と硫化ガスとが反応し、発光部84の発光特性に影響を及ぼす。しかし、本実施形態では、上記のように気密性が高められている。そのため、上記反応を抑制し、発光部84の発光特性が硫化ガスから影響を受けるのを抑制することができる。
なお、キャップ76は上流端から下流端に向けて縮径しているため、下流側へ引っ張られると、ノブ本体64から抜けるおそれがある。この点、本実施形態では、図12に示すように、キャップ76の環状突部77が、ノブ本体64の環状凹部67に係合されている。環状突部77は、空調用空気A1の流れ方向(引っ張られる方向)に交差(直交)する方向へ突出している。環状凹部67も上記流れ方向に交差(直交)する方向に凹んでいる。そのため、環状凹部67に係合された環状突部77は下流側へ動きにくい。従って、キャップ76が下流側へ引っ張られてもノブ本体64から抜けるのを抑制することができる。
本実施形態によると、上記以外にも、次の効果が得られる。
・図1に示すように、リテーナ10に支持される下流フィン18は薄板状であり、この下流フィン18に設けられる操作ノブ55に有線で給電することは困難である。この点、本実施形態では、リテーナ10(加飾パネル12)の給電部91から操作ノブ55内の受電部85にワイヤレスで給電している。そのため、給電線や信号線を省略し、美観を向上させることができる。有線の場合とは異なり、断線の発生を抑制することができる。また、給電線及び信号線を、これらが断線しないように配線しなくてもすむ。さらに、給電の構造が操作ノブ55の作動の妨げになりにくく、その操作ノブ55を設計通りに作動させることができる。
・本実施形態では、ワイヤレス給電システムとして直流共鳴方式を採用している。従って、Qi規格に準拠した電磁誘導方式よりも給電効率を高くすることができる。また、直流共鳴方式は、電磁誘導方式よりも給電部91及び受電部85の相対距離や相対角度について発光部84を発光させることのできる範囲が広い。その分、給電側のループコイル92や受電側のループコイル87の配置の自由度を高くすることができる。
・なお、本実施形態では、ループコイル87の一部を構成する巻回部87aの内側にフェライトコア86を設けた。これにより、フェライトコア86を省略した場合と比較してループコイル87におけるインダクタンスが増大する。このため、給電部91から受電部85への給電効率が高まる。したがって、本実施形態のように、操作ノブ55へ設けるべく、ループコイル87を小型化した場合であれ、発光部84の照度を確保することができる。
・発光部84を発光させると、操作ノブ55は、暗い車室でも目立つ。そのため、乗員は、操作ノブ55の位置を容易に視認することができる。ひいては、操作ノブ55の操作が容易となる。
・操作ノブ55の操作方向によって、受電部85と給電部91との相対距離や相対角度
が変わることで、照度が変わるため、発光部84を演出照明のように機能させることができる。
・ループコイル87は、巻回部87aにおいて、その内側に挿通されているフェライトコア86の外周面に固定されている。このため、ループコイル87とフェライトコア86との位置関係が変更されない。したがって、例えば車両走行に伴う振動が配線基板88を通じてループコイル87に入力されても、ループコイル87における磁束密度に変化がないので、給電部91から受電部85への給電効率の変動を抑制することができ、発光部84を安定的に発光させることができる。
・一対の取付脚部87bには、配線基板88とフェライトコア86(巻回部87a)との間に折り曲げ部87cが設けられている。折り曲げ部87cは、金属の線材で形成されるループコイル87の一部であるため、弾性変形可能である。したがって、例えば車両走行に伴って配線基板88に振動が入力されても、折り曲げ部87cにおいて振動が吸収され、ループコイル87自体の振動が抑制される。これにより、受電するループコイル87と給電するループコイル92との位置ずれが抑制される、すなわち、ループコイル87における磁束密度に変化がないので、給電部91から受電部85への給電効率の変動を抑制することができ、発光部84を安定的に発光させることができる。
・ループコイル87とフェライトコア86とが固定された固定体Fは、巻回部87aの軸線方向の一方において一対の取付脚部87bを介して配線基板88に固定されるとともに、他方において対向壁に相当する底部65aに設けられた弾性部材71に当接されている。すなわち、固定体Fは、折り曲げ部87cを有する一対の取付脚部87bと弾性部材71とにより挟持されている。このため、例えば車両走行に伴って操作ノブ55に振動が入力されても、折り曲げ部87c及び弾性部材71において振動が吸収され、ループコイル87自体の振動、すなわち巻回部87aの軸線方向におけるループコイル87の位置ずれがより確実に阻止される。
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<キャップ76の係合に関する事項>
・上記実施形態とは逆に、キャップ76の上流係合部が凹部によって構成され、ノブ本体64の上流被係合部が突部によって構成されてもよい。
・キャップ76の上流端部における上流係合部は、周方向における一部にのみ設けられてもよい。また、ノブ本体64における上流被係合部は、周方向における一部にのみ設けられてもよい。この場合であっても、上流係合部と上流被係合部との間で気体が流れる経路を長くして、その気体を収容空間82に入り込みにくくする効果が得られる。
・キャップ76の下流端部における下流係合部は、周方向における一部にのみ設けられてもよい。また、レンズ74における下流被係合部は、周方向における一部にのみ設けられてもよい。この場合であっても、下流係合部と下流被係合部との間で気体が流れる経路を長くして、その気体を収容空間82に入り込みにくくする効果が得られる。
・ノブ本体64における環状凹部67の断面形状が、半円状とは異なるものに変更されてもよい。図15は、その一例を示している。この変形例における環状凹部67は、内下流壁面111、内中間壁面112及び内上流壁面113を有している。内下流壁面111は、環状凹部67の最下流部に位置しており、ノブ本体64の中心軸線(図示略)に対し直交又は直交に近い状態で交差している。内中間壁面112は、内下流壁面111に対し上流側に隣接しており、上記中心軸線に対し平行又は平行に近い状態で延びている。内上
流壁面113は、内中間壁面112に対し上流側に隣接しており、上流側ほど上記中心軸線から遠ざかるように傾斜し、レンズ保持部65の外周面に繋がっている。
環状凹部67の断面形状の上記変更に伴い、キャップ76の環状突部77の断面形状も変更される。環状突部77は、外下流壁面114、外中間壁面115及び外上流壁面116を有している。外下流壁面114は、環状突部77の最下流部に位置しており、キャップ76の中心軸線(図示略)に対し直交又は直交に近い状態で交差している。外中間壁面115は、外下流壁面114に対し上流側に隣接しており、上記中心軸線に対し平行又は平行に近い状態で延びている。外上流壁面116は、外中間壁面115に対し上流側に隣接しており、上流側ほど上記中心軸線から遠ざかるように傾斜し、キャップ76の内周面に繋がっている。
上記の変形例によれば、環状突部77が環状凹部67に係合されると、外下流壁面114が内下流壁面111に当接し、外中間壁面115が内中間壁面112に当接し、外上流壁面116が内上流壁面113に当接する。これらの当接箇所のうち、少なくとも1箇所では、当接が圧接状態で行なわれる。
環状突部77の外上流壁面116が、上述したように上流側ほど中心軸線から遠ざかるように傾斜しているため、環状突部77を環状凹部67に係合させる際に、キャップ76をノブ本体64に被せる作業がしやすい。また、内下流壁面111及び外下流壁面114が中心軸線に対し直交又は直交に近い状態で交差しているため、環状突部77が環状凹部67に係合した状態では、内下流壁面111は、環状突部77がそれ以上下流側へ移動するのを規制する。そのため、キャップ76は下流側へ引っ張られても、ノブ本体64から一層抜けにくくなる。
<ワイヤレス給電に関する事項>
・給電部91が加飾パネル12の複数箇所に設けられてもよい。
・発光部84は、ヘッドライトに連動して点灯させられてもよい。すなわち、ヘッドライトが点灯するとき、車載用バッテリ93から給電部91に電力が供給されるようにしてもよい。
・ループコイル92のターン数が複数に変更されてもよい。
・給電側の共振回路及び受電側の共振回路が、図13とは異なる構成を有するものに変更されてもよい。例えば、ループコイル87,92と並列にコンデンサが設けられ、蓄電部として機能させられてもよい。
・ワイヤレス給電として、直流共鳴方式とは異なる方式、例えば、電磁誘導方式が採用されてもよい。
<吹出し調整部に関する事項>
・シャットダンパ40が単一のダンパプレートによって構成されてもよい。
・下流フィン18,19及び上流フィン28,29のそれぞれの数が、上記実施形態とは異なる数に変更されてもよい。
・下流フィン18,19として、主要部がそれぞれ通風路13内で上下方向及び空調用空気A1の流れ方向へ延びる板状体によって構成されたものが用いられてもよい。また、上流フィン28,29として、主要部がそれぞれ通風路13内で左右方向及び空調用空気A1の流れ方向へ延びる板状体によって構成されたものが用いられてもよい。
・吹出し調整部は、下流フィン18,19、上流フィン28,29及びシャットダンパ40の1種又は2種によって構成されてもよい。
<その他の事項>
・下流側のカルダンジョイントJ1は、ノブ本体64及び伝達シャフト101を、それらの軸線の交差する角度が自由に変化し得るように連結するものであればよい。従って、カルダンジョイントJ1として、上記ユニバーサルジョイントとは異なるタイプのジョイント、例えば、ボールジョイントが用いられてもよい。
・上記空調用レジスタは、車室内においてインストルメントパネルとは異なる箇所に設けられる空調用レジスタにも適用可能である。
・上記空調用レジスタは、操作ノブ55の操作に応じて吹出し調整部を作動させて、吹出口16から吹出す空調用空気A1の状態を調整することができるものであれば、車両に限らず広く適用可能である。
・上記実施形態では、ループコイル87の巻回部87aの内側に設けられる磁性体としてフェライトコア86が採用されたが、酸化鉄、酸化クロム、コバルトなど他の磁性体に変更してもよい。
・上記実施形態では、操作ノブ55が上記流れ方向に延びる形状であったため、その内部には、上記流れ方向に軸線が延びるように巻回された巻回部87aを有するループコイル87が採用された。これに対し、板状の操作ノブを採用する空調用レジスタもある。このような空調用レジスタに車両用発光装置を適用する場合、例えば中央に配置した磁性体の周囲を巻回するような巻回部を有する受電コイルであれば、上記実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
・上記実施形態では、フェライトコア86は、円柱状をなしていたが、三角柱、四角柱などの柱状のものであってもよいし、円筒などの筒状のものであってもよい。また、巻回部87aの内側に配置されていればよいので、板状のものであってもよい。すなわち、磁性体の形状は問わない。
・上記実施形態において、弾性部材71が省略されてもよい。
・上記実施形態において、折り曲げ部87cが省略されてもよい。
なお、上記実施形態において、ループコイル87は、フェライトコア86側から配線基板88側へ向かうにしたがい一対の取付脚部87b同士の離間距離が短くなるように折り曲げられる折り曲げ部87cが採用された。これは、巻回部87aの直径に対して、配線基板88に設けられるスルーホール89同士の間の距離が短いためである。例えば、巻回部87aの直径に対して、配線基板88に設けられるスルーホール89同士の間の距離が長い場合、ループコイル87は、フェライトコア86側から配線基板88側へ向かうにしたがい一対の取付脚部87b同士の離間距離が長くなるように折り曲げられる折り曲げ部が採用されることになる。このように、折り曲げ部87cは、弾性変形可能であれば、その折り曲げ方向は問われない。
・上記実施形態では、車両用発光装置が適用された空調用レジスタを説明したが、車両用発光装置は、空調用レジスタに限らず、種々の操作スイッチを有する装置に適用可能である。
例えば、インパネに設けられる、ダイヤル式やスライド式、プッシュ式などの空調温度や空調風量、或いは、スピーカ音量などを切り替えるスイッチに受電コイルを含む受電部、磁性体、及び発光部を、これらスイッチを操作可能に支持するインパネに給電コイルを含む給電部を、それぞれ設けてもよい。