JP6796390B2 - アルミナ系酸化物連続繊維及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、耐熱性に優れたアルミナ系酸化物連続繊維及びその製造方法に関する。
一般にアルミナ長繊維と呼ばれるアルミナ(Al)を主成分とするアルミナ系酸化物連続繊維は、高い耐熱性を有し、引張強度が高く、また電気絶縁性に優れる等多くの優れた特性を有しており、特に高温耐熱材料として広い分野で使用されている。
しかしながら、従来のアルミナ系酸化物連続繊維は、1200℃以上の高温雰囲気で長時間使用されることによって引張強度の低下を生じる傾向にあり、さらなる耐熱性の向上が求められている。
アルミナ系酸化物連続繊維の耐熱性を向上させるために、通常アルミナの他にシリカ(SiO)を成分として含有させるが、さらに第3成分として酸化ホウ素を含有させることが提案されている(特許文献1、2、3、4)が、かかる繊維はホウ素を含有することが好ましくない用途や分野においては使用できないという問題がある。
他方、アルミナ系酸化物連続繊維を得るために、第3成分として酸化ホウ素以外の成分を含有させることも提案されている(特許文献5)。この提案では、アルミナを主成分とし、3〜12重量%のシリカと第3成分としてP、Ba、Sn、Y、Co、Sr、Cr、ZrまたはFeの酸化物の少なくとも1つを含有させたアルミナ質繊維が開示されているが、この繊維は不活性ガス雰囲気下で焼成されてなるものであり、また、この繊維の強さについては示されているものの、高温雰囲気で長時間使用された場合の引張強度の保持については何ら示されていない。
さらに、還元性金属化合物としてNi、Fe、CoまたはCuの化合物を不均一になるように添加したセラミック繊維が提案されている(特許文献6)が、この提案は還元雰囲気下で焼成することによって金属化合物を還元し、サーメット繊維を得るものであって、この繊維を高温雰囲気で長時間使用された場合の引張強度の保持については何ら示されていない。
特公昭61−32405号公報 特公平1−14325号公報 特開昭63−288217号公報 特開2007−277744号公報 特開昭62−100457号公報 特開昭62−199818号公報
本発明は、上記のような従来のアルミナ系酸化物連続繊維における問題に鑑みなされたもので、アルミナ及びシリカを主成分とするアルミナ系酸化物連続繊維が、その製造時の焼成の過程で生成するムライト結晶の影響について検討し、特定の金属化合物を含有させた前駆体繊維を焼成することにより、焼成が完了した時点で、予めアルミナ系酸化物連続繊維を構成する結晶構造の一部を安定なムライトの結晶に転移させておくならば、その後1200℃以上の高温雰囲気下で長時間曝されても新たに生成するムライト結晶が成長し難くなり、繊維は緻密な結晶構造を維持することによって、引張強度の経時的低下が少なくなることを見いだし、本発明に至ったものである。
本発明の目的とするところは、1200℃以上の高温雰囲気下での長時間の使用時における引張強度の経時的低下が少なく、使用分野での制約のない耐熱性に優れたアルミナ系酸化物連続繊維を提供することにある。
本発明の要旨は、次のとおりである。
1.アルミナを全成分に対し70〜75重量%、シリカを全成分に対し20〜29.7重量%及び鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)の群から選ばれる金属の酸化物を全成分に対し0.3〜5重量%含み、繊維中の結晶構造全体に占めるムライトの比率が5〜50%であるアルミナ系酸化物連続繊維。
2.繊維の引張強度が60N/200Tex以上であり、1250℃で24時間加熱後の繊維の引張強度の保持率が加熱前の引張強度の70%以上である前記1に記載のアルミナ系酸化物連続繊維。
3.出発原料はいずれも水溶性または水分散性であって、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、及びFe、Mg、Cu、Y、Zr、Ni、Znの群から選ばれる金属の化合物を出発原料とし、前記出発原料を水に溶解または懸濁させ、アルミニウム化合物をアルミナに換算して70〜75重量%、ケイ素化合物をシリカに換算して20〜29.7重量%、及び前記金属の群から選ばれる金属の化合物を該金属酸化物に換算して0.3〜5重量%の重量比で含み、20℃における粘度を10〜2000Pa・sの範囲に調製した紡糸原液を用い、乾式紡糸して得た前駆体繊維を1000〜1500℃の大気雰囲気でムライト化率5〜50%の結晶構造に焼成することを特徴とする前記1に記載のアルミナ系酸化物連続繊維の製造方法。
本発明のアルミナ系酸化物連続繊維は、1200℃以上の高温雰囲気下での長時間の使用時における引張強度の経時的低下が少なく、長時間の使用に耐えるものであり、ホウ素を含まないことにより使用分野での制約のない耐熱性に優れたものである。
また、本発明のアルミナ系酸化物連続繊維の製造方法によれば、特定の金属化合物を用い第3成分として含ませることによって、特殊な焼成方法に拠らなくとも、耐熱性に優れたアルミナ系酸化物連続繊維を得ることが可能である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明のアルミナ系酸化物連続繊維は、アルミナを主成分とする繊維であって、アルミナを全成分に対し70〜75重量%、シリカを全成分に対し20〜29.7重量%、及びFe、Mg、Cu、Y、Zr、Ni、Znの群、好ましくはFe、Mg、Cu、Yの群から選ばれる金属の酸化物を全成分に対し0.3〜5重量%含み、繊維中の結晶構造全体に占めるムライト(3Al・2SiO〜2Al・SiO)の比率が5〜50%であるムライト結晶を有する繊維である。
本発明のアルミナ系酸化物連続繊維は、好ましくは、アルミナを70〜74重量%、シリカを23〜29.5重量%、さらに第3成分であるFe、Mg、CuまたはYの酸化物を0.5〜3重量%含んでなる繊維である。
また、本発明のアルミナ系酸化物連続繊維は、繊維中の結晶構造全体に占めるムライトの比率、即ちムライト化率が5〜50%の繊維である。ムライト化は、アルミナ、シリカによる結晶γアルミナ・非晶シリカからのムライトへの結晶転移であり、ムライト化率が高い程引張強度の保持率の面では好ましいが、焼成した繊維の引張強度が低く、使用用途等に制約を受け易くなる。本発明のアルミナ系酸化物連続繊維においては、ムライト化率は、好ましくは10〜45%であり、繊維の結晶構造にムライトが特定の比率で占めていることが必要である。
なお、ムライト化率は、前記結晶転移前後の粉末X線回析(XRD)による測定結果から算出される。
本発明のアルミナ系酸化物連続繊維は、主たる第1成分としてアルミナ、第2成分としてシリカ、さらには第3成分として前記金属の酸化物を含み、結晶構造の一部を安定なムライトとすることによって、繊維の引張強度が60N/200Tex以上、さらには65N/200Tex以上であり、1200℃以上の高温雰囲気下における引張強度の経時的低下が少なく、1250℃で24時間加熱後の引張強度の保持率が、加熱前の引張強度の70%以上、さらには75%以上であるという耐熱性に優れるものである。
本発明のアルミナを主成分とし、シリカ、さらに特定の前記金属の酸化物から選ばれる1種を含み、繊維中の結晶構造全体でのムライト化率が5〜50%であるアルミナ系酸化物連続繊維は、次のようにして製造することができる。
すなわち、本発明のアルミナ系酸化物連続繊維は、出発原料はいずれも水溶性または水分散性の化合物であって、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、及びFe、Mg、Cu、Y、Zr、Ni、Znの群、好ましくはFe、Mg、Cu、Yの群から選ばれる金属の化合物を出発原料とし、前記出発原料を水に溶解または懸濁させ、アルミニウム化合物をアルミナに換算し全成分に対し70〜75重量%、ケイ素化合物をシリカに換算し全成分に対し20〜29.7重量%、及びFe、Mg、Cu、Y、Zr、Ni、Znの群、好ましくはFe、Mg、Cu、Yの群から選ばれる金属の化合物を該金属酸化物に換算し全成分に対し0.3〜5重量%の重量比で含み、20℃における粘度を10〜2000Pa・sの範囲に調製した紡糸原液を用い、乾式紡糸して得た前駆体繊維を1000〜1500℃の大気雰囲気でムライト化率5〜50%の結晶構造に焼成することにより得ることができる。
本発明の製造方法において用いる出発原料は、いずれも水溶性または水分散性であり、
出発原料のアルミニウム化合物は、アルミナ系酸化物連続繊維の主成分であるアルミナを前駆体繊維の焼成の過程で形成しうるもので、例えば、塩基性酢酸アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウム等の有機酸アルミニウムの塩基性塩、塩基性塩化アルミニウム、塩基性硝酸アルミニウム等の無機酸アルミニウムの塩基性塩、アルミナゾル等が挙げられる。
また、出発原料のケイ素化合物は、前駆体繊維の焼成の過程でシリカを形成しうるもので、例えば、メチルシリケート、エチルシリケート等の加水分解物、シリカゾル、水に溶けるように変性された水溶性シリコーン等のシリコーン化合物等が挙げられる。さらに、出発原料のFe、Mg、Cu、Y、Zr、NiまたはZnの化合物、好ましくはFe、Mg、CuまたはYの化合物は、前駆体繊維の焼成の過程で第3成分として該金属酸化物を形成しうるもので、例えば、これら金属の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸金属塩、酢酸塩、ギ酸塩等の有機酸金属塩が挙げられる。
出発原料であるアルミニウム化合物、ケイ素化合物、及び前記金属の化合物を水に溶解または懸濁させて紡糸原液を調製するに際しては、水溶性有機重合体を紡糸助剤として添加することが曳糸性を高めるうえで好ましい。水溶性有機重合体としては、曳糸性向上機能を有するものであればよく、カルボキシメチルセルロース、ポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアルコール等が挙げられ、なかでもポリビニルアルコールが好ましいものとして挙げられる。
紡糸助剤を添加する際には、出発原料と紡糸助剤とを、出発原料を全酸化物に換算して重量比で好ましくは95/5〜70/30、より好ましくは90/10〜75/25の範囲になるようにして水に溶解または懸濁させ、アルミニウム化合物をアルミナに換算して70〜75重量%、ケイ素化合物をシリカに換算して20〜29.7重量%、及び前記金属の化合物を該金属酸化物に換算して0.3〜5重量%の重量比で含む紡糸原液を調製する。
紡糸原液の調製では、紡糸原液に含まれる前記金属の化合物は、該金属酸化物に換算して0.5〜3重量%添加することが必要であり、添加量が0.3重量%未満では、後述する添加の効力が発揮できず、5重量%を超えると、紡糸原液の粘度が経時的に急激に上昇し、また曳糸性も低下し、前駆体繊維を安定に得ることが困難になる。
また、紡糸原液としては、20℃における粘度を10〜2000Pa・sの範囲になるように調製した紡糸原液を用いることが乾式紡糸法により紡糸するうえで好ましく、より好ましくは粘度が20〜500Pa・sの範囲の紡糸原液であれば、紡糸工程の安定性をより増加させる。紡糸原液における粘度の調整は、減圧濃縮法によって好ましい粘度範囲に容易にすることができる。
本発明の製造方法においては、調製した紡糸原液を用いて乾式紡糸し、長繊維状の前駆体繊維を得る。乾式紡糸法により長繊維状の前駆体繊維を得る際には、紡糸原液を紡糸ノズルから加熱雰囲気中に吐出し、十分に乾燥しつつ所定の繊維径になるように巻き取る。
前駆体繊維の焼成は、得られた前駆体繊維を、アルミナ系酸化物連続繊維の製造で通常用いられる焼成方法、すなわち1000〜1500℃、好ましくは1000〜1200℃の大気雰囲気下で焼成することにより、本発明のアルミナ系酸化物連続繊維が得られる。
本発明の製造方法においては、特に前記金属化合物を用い、金属酸化物に換算しての所定量を前駆体繊維に含ませたことにより、該前駆体繊維を焼成すると、添加した金属化合物が第3成分としての金属酸化物が生成する。該金属酸化物は、焼結助剤として作用し、短時間の焼成でアルミニウム化合物・ケイ素化合物から生成したγアルミナ・非晶シリカの一部を、速やかに安定なムライト結晶に結晶転移させ、ムライト化を生起させる。本発明の製造方法によれば、焼結助剤として作用する該金属酸化物の存在下での速やかな結晶転移によってムライト化率5〜50%の結晶構造とすることができる。
すなわち、本発明によれば、第3成分としての金属酸化物が含まれたアルミナ系酸化物連続繊維中には、焼成が完了した時点で既にムライト化率が5〜50%という特定比率の安定なムライトが結晶構造に存在している。そのため、本発明のアルミナ系酸化物連続繊維を耐熱材料として使用した際に、1200℃を超える高温に長時間曝されることによりムライト化率が50%以上にムライト化の進行により新たなムライト結晶が生成しても、既に存在するムライト結晶によって更なる結晶成長が阻害・抑制される。したがって、高温に長時間曝された繊維中には粗大なムライト結晶が少なく、緻密な結晶構造が維持されることによって、60N/200Tex以上の引張強度を有しながら、1200℃以上の高温雰囲気下における経時的な引張強度の低下が起こり難いアルミナ系酸化物連続繊維を得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
出発原料として、アルミニウム化合物に塩基性塩化アルミニウム水溶液、ケイ素化合物にシリカゾル、第3成分の金属酸化物となる金属化合物に硫酸鉄を用い、紡糸助剤としてポリビニルアルコール(PVA)を用い、出発原料とPVAとを出発原料を全酸化物に換算して85/15の重量比で水に添加して懸濁させ、出発原料を表1に示す成分比に換算して含む混合溶液とし、さらに減圧濃縮し20℃での粘度が240Pa・sの紡糸原液を調製した。この紡糸原液を用い、乾式紡糸法にて、紡糸ノズルから60℃の加熱雰囲気中に吐出し、線条物を乾燥して巻き取ることで長繊維状の前駆体繊維を作製した。得られた長繊維状の前駆体繊維を1170℃の大気雰囲気下で焼成して、繊度200Texのアルミナ系酸化物連続繊維を得た。
得られたアルミナ系酸化物連続繊維は、第3成分として酸化鉄を含み、引張強度が83.4N/200Texであり、XRDでの測定結果から、繊維の結晶構造のムライト化率が25%であった。
得られたアルミナ系酸化物連続繊維を1250℃で24時間(hr)加熱し、引張強度を測定したところ、引張強度が70.6N/200Texで、引張強度の保持率が85%であり、得られたアルミナ系酸化物連続繊維は、優れた耐熱性を示すものであった。
また1250℃で24hrの加熱では、ムライト化が進行し、ムライト化率がほぼ10
0%であったが、緻密な結晶構造は維持されていた
(実施例2)
実施例1において、出発原料として、第3成分の金属酸化物となる硫酸鉄の成分比、紡糸原液粘度を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、乾式紡糸し、作製した長繊維状の前駆体繊維を焼成し、アルミナ系酸化物連続繊維を得た。
得られたアルミナ系酸化物連続繊維は、第3成分として酸化鉄を含み、表2に示すとおり、引張強度が72.6N/200Texであり、XRDでの測定結果から、繊維の結晶構造のムライト化率が30%であった。
得られたアルミナ系酸化物連続繊維を1250℃で24hr加熱し、引張強度を測定したところ、表2に示すとおり、引張強度が65.7N/200Texで、引張強度の保持率が90%であり、得られたアルミナ系酸化物連続繊維は、優れた耐熱性を示すものであった。また1250℃で24hrの加熱では、ムライト化が進行し、ムライト化率がほぼ100%であったが、緻密な結晶構造は維持されていた
(実施例3)
実施例1において、第3成分の金属酸化物となる出発原料を硫酸マグネシウムに、また紡糸原液粘度を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、乾式紡糸し、作製した長繊維状の前駆体繊維を焼成し、アルミナ系酸化物連続繊維を得た。
得られたアルミナ系酸化物連続繊維は、第3成分として酸化マグネシウムを含み、表2に示すとおり、引張強度が78.5N/200Texであり、XRDでの測定結果から、繊維の結晶構造のムライト化率が40%であった。
得られたアルミナ系酸化物連続繊維を1250℃で24hr加熱し、引張強度を測定したところ、表2に示すとおり、引張強度が63.8N/200Texで、引張強度の保持率が81%であり、得られたアルミナ系酸化物連続繊維は、優れた耐熱性を示すものであった。また1250℃で24hrの加熱では、ムライト化が進行し、ムライト化率がほぼ100%であったが、緻密な結晶構造は維持されていた
(実施例4)
実施例1において、第3成分の金属酸化物となる出発原料を酢酸イットリウムに、またその成分比、紡糸原液粘度を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、乾式紡糸し、作製した長繊維状の前駆体繊維を焼成し、アルミナ系酸化物連続繊維を得た。
得られたアルミナ系酸化物連続繊維は、第3成分として酸化イットリウムを含み、表2に示すとおり、引張強度が68.5N/200Texであり、XRDでの測定結果から、繊維の結晶構造のムライト化率が33%であった。
得られたアルミナ系酸化物連続繊維を1250℃で24hr加熱し、引張強度を測定したところ、表2に示すとおり、引張強度が62.8N/200Texで、引張強度の保持率が91%であり、得られたアルミナ系酸化物連続繊維は、優れた耐熱性を示すものであった。また1250℃で24hrの加熱では、ムライト化が進行し、ムライト化率がほぼ100%であったが、緻密な結晶構造は維持されていた
(実施例5)
実施例1において、第3成分の金属酸化物となる出発原料を塩化銅に、また紡糸原液粘度を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、乾式紡糸し、作製した長繊維状の前駆体繊維を焼成し、アルミナ系酸化物連続繊維を得た。
得られたアルミナ系酸化物連続繊維は、第3成分として酸化銅を含み、表2に示すとおり、引張強度が80.4N/200Texであり、XRDでの測定結果から、繊維の結晶構造のムライト化率が10%であった。
得られたアルミナ系酸化物連続繊維を1250℃で24hr加熱し、引張強度を測定したところ、表2に示すとおり、引張強度が64.7N/200Texで、引張強度の保持率が80%であり、得られたアルミナ系酸化物連続繊維は、優れた耐熱性を示すものであった。また1250℃で24hrの加熱では、ムライト化が進行し、ムライト化率がほぼ100%であったが、緻密な結晶構造は維持されていた
(比較例1)
実施例1において、第3成分の金属酸化物となる出発原料の金属化合物を用いず、塩基性塩化アルミニウム水溶液とシリカゾルにて、成分比、紡糸原液粘度を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、乾式紡糸し、作製した前駆体繊維を焼成し、アルミナ系酸化物長繊維を得た。
得られたアルミナ系酸化物連続繊維は、第3成分の金属酸化物を含まず、表2に示すとおり、引張強度が89.2N/200Texであり、XRDでの測定結果から、繊維の結晶構造のムライト化率が0%であって、結晶構造にはムライトが存在しないものであった。
また、得られたアルミナ系酸化物連続繊維を1250℃で24hr加熱し、XRDでの測定結果から繊維の結晶構造のムライト化率がほぼ100%となっていたが、引張強度を測定したところ、表2に示すとおり、引張強度が41.2N/200Texで、引張強度の保持率が46%であり、得られたアルミナ系酸化物連続繊維は、耐熱性に劣るものであった。
本発明のアルミナ系酸化物連続繊維は、1200℃以上の高温雰囲気下における引張強度の経時的低下が少なく、長時間の使用に耐え、耐熱性に優れるものであり、断熱材、耐火材、補強材、炉材、耐熱シール材、触媒担持材等の用途に有用なるもので、またホウ素を含まないことにより、意図しないホウ素の存在が好ましくない半導体製造等の分野での使用が可能である。さらに、本発明のアルミナ系酸化物連続繊維の製造方法は、大気雰囲気下での焼成を含むことから、前記繊維を商業的にも有利に得ることが可能である。

Claims (2)

  1. アルミナを全成分に対し70〜75重量%、シリカを全成分に対し20〜29.7重量%及び鉄、マグネシウム、銅、イットリウムの群から選ばれる金属の酸化物を全成分に対し0.3〜5重量%含み、主体成分に基づいた結晶γアルミナ・非晶シリカの一部のムライト化によるムライト化率が5〜50%である結晶構造の在るアルミナ系酸化物連続繊維。
  2. 繊維の引張強度が60N/200Tex以上であり、1250℃で24時間加熱後の繊維の引張強度の保持率が加熱前の引張強度の70%以上である請求項1に記載のアルミナ系酸化物連続繊維。
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