JP6793587B2 - 易剥離性フィルム、蓋材、及び容器 - Google Patents
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Description
一実施形態に係る易剥離性フィルムは、典型的には、シール層及び基材層を備えた易剥離性フィルムである。易剥離性フィルムは、シール層及び基材層以外の層を備えていてもよく、このような層には、例えば中間層が挙げられる。
シール層とは、易剥離性フィルムが有する2つの表面層のうち、少なくとも一方の表面層であって、該易剥離性フィルムを容器の蓋材として用いる場合に当該容器に対して熱融着される層である。
基材層は、易剥離性フィルムを成形するときにおいて当該基材層と共押出されるシール層を支持する層である。また、基材層は、例えば、易剥離性フィルムを容器の蓋材として用いる場合に、当該基材層におけるシール層に背向する側の面に、ポリエチレンテレフタレート製フィルムのようなプラスチックフィルムが基材として積層される層でもある。この場合、基材層は、例えば、シール層とポリエチレンテレフタレートフィルム等の基材との間に介在する。
一実施形態に係る易剥離性フィルムは、シール層と基材層との間に介在する中間層を備えていてもよい。
結晶性ポリエステル(A)は、多価カルボン酸と多価アルコールとを重縮合して製造されるポリエステル樹脂である。
オレフィン系樹脂(B)としては、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂が挙げられる。
易剥離性フィルムにおけるシール層及び基材層に含まれるフィラー(C)には、無機フィラーが挙げられ、無機フィラーとしては、例えば炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、シリカ、カオリン、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、タルク、焼成タルク、ガラスフレーク、マイカ、ハイドロタルサイト、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、カーボンブラック等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。上記無機フィラーは、表面処理剤等により表面処理が施されたものであってもよい。
シール層、基材層、及び中間層のそれぞれは、本発明の効果を損なわない範囲で、結晶性ポリエステル(A)及びオレフィン系樹脂(B)以外の樹脂、相溶化剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、防曇剤等を含んでいてもよい。
易剥離性フィルムの製造には、公知のフィルム成形方法を採用し得る。その際、易剥離性フィルムを成形する前に、シール層の樹脂組成物を予め用意しておいてもよいし、樹脂組成物に含まれる結晶性ポリエステル(A)、オレフィン系樹脂(B)、及びフィラー(C)等を所定量計量して直接フィルム成形機に投入してもよい。また、同じく基材層も樹脂組成物を予め用意しておいてもよいし、結晶性ポリエステル(A)、オレフィン系樹脂(B)、及びフィラー(C)等を所定量計量して直接フィルム成形機に投入してもよい。かかる易剥離性フィルムはそれぞれ別個にフィルムを成形後貼り合せてもよいが、シール層及び基材層のみの場合は二層構造、中間層を設ける場合は少なくとも三層構造の多層ダイを用いて共押出し成形による方法が好ましい。
易剥離性フィルムは、容器の蓋材として、当該易剥離性フィルムにおける基材層側の面に基材が積層して好適に使用することができる。よって、一実施形態に係る易剥離性フィルムを含んでなる蓋材も本発明の範疇である。ここで、基材には、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムのようなプラスチックフィルム、アルミニウム等の金属箔、又は紙等が挙げられる。このような基材は、例えば、易剥離性フィルムを前もって製膜した後、公知の接着剤を用いて上記の基材に積層することができる。なお、蓋材を作製するために、易剥離性フィルムにおける基材層側の面には、コロナ放電処理等の表面処理が行なわれていてもよい。蓋材の全厚みにおけるシール層の厚みは、容器に対するシール強度観点から、2〜80%であることが好ましく、10〜50%であることがより好ましい。蓋材は、当該易剥離性フィルムのシール層をヒートシールによって被着体である容器に貼り付けることによって、当該容器を封緘する。
本発明に係る易剥離性フィルムを含んでなる蓋材に含まれる前記シール層を、ポリエステルからなる容器本体へヒートシールすることにより、前記蓋材と、ポリエステルからなる容器本体とを備えてなる容器を形成することができる。容器本体を構成するポリエステルとしては、結晶性ポリエステルが挙げられる。前記蓋材と、結晶性ポリエステルからなる容器本体とを備えてなる容器はレトルト殺菌処理にも耐えることができる。一実施形態に係る蓋材は、一実施形態に係る易剥離性フィルムを備えているため、結晶性ポリエステルからなる容器本体に対して、160℃〜200℃の温度条件にて好適にヒートシールすることができる。また、ヒートシール後の容器において、蓋材は適度な封緘性と易剥離性とを兼ね備えている。よって、一実施形態に係る蓋材を備えている容器も本発明の範疇である。
オレフィン系樹脂(B)としてポリプロピレン(商品名「ノーブレンFL6412」,住友化学株式会社製、MI=6g/10min)100重量部と、フィラー(C)としてタルク(商品名「ミクロンホワイトHS−T」(林化成株式会社製、平均粒径4.7μm))150重量部とを加え、シリンダー温度及びダイス温度を200℃に設定した同方向二軸押出機(直径45mm)を用いて溶融混合し、樹脂組成物(1)のペレットを得た。
実施例2の積層フィルムは、基材層とシール層との間に中間層を設けた積層フィルムである。当該中間層用の樹脂組成物は、実施例1で用いたものと同じ結晶性ポリエステル(A)、オレフィン系樹脂(B)、及び樹脂組成物(1)をペレットブレンドすることによって得た。中間層用の樹脂組成物の組成は、結晶性ポリエステル(A)100重量部に換算すると、オレフィン系樹脂(B)42重量部、フィラー(C)1.3重量部であった。実施例1で使用したTダイキャスト加工機を用い、押出機Aに基材層用の樹脂組成物、押出機Bに中間層用の樹脂組成物、押出機Cにシール層用の樹脂組成物を投入し、基材層/中間層/シール層の順に積層された実施例2の積層フィルムを得た。その後、実施例1と同様に実施例2の積層フィルムにおける基材層側表面にコロナ放電処理を行った。実施例2の積層フィルムにおける基材層の厚みは10μm、中間層の厚みは10μm、シール層の厚みは10μm、全体の厚みは30μmであった。
基材層を構成する樹脂組成物として、実施例1で用いた結晶性ポリエステル(A)、オレフィン系樹脂(B)、及び樹脂組成物(1)をペレットブレンドした。そして、結晶性ポリエステル(A)100重量部と、オレフィン系樹脂(B)98重量部と、フィラー(C)1.8重量部とからなる組成を用いた積層フィルムを得た。なお、比較例1の積層フィルムの基材層は、実施例1の積層フィルムにおける基材層とは組成が異なるが、シール層及び積層フィルムの製造条件は、実施例1の積層フィルムと同様である。
基材層を構成する樹脂組成物として、実施例1で用いた結晶性ポリエステル(A)、オレフィン系樹脂(B)、及び樹脂組成物(1)をペレットブレンドし、結晶性ポリエステル(A)100重量部と、結晶性ポリエステル(A)100重量部に対し、オレフィン系樹脂(B)42重量部と、フィラー(C)1.3重量部とからなる組成を用いた積層フィルムを得た。ここで、上述の積層フィルムは、組成以外は実施例1と同様である。
フィルム加工性の評価は、実施例及び比較例の積層フィルムがTダイキャスト加工機により押出成形された後、ニップロールを通過するときに、積層フィルムがニップロールに貼り付き、巻き付くか否かを基準として評価した。積層フィルムがニップロールに巻き付かなかった場合を「○」と評価し、巻き付いてフィルム採取困難となった場合を「×」と評価した。なお、評価に使用したニップロールは、以下の通りである。
ロール種類:スチールロール(硬質クロームメッキ)及びEPTラバーロール
ロール径:直径80mm
ロール幅:600mm
ニップ荷重:9.6kg
易剥離性の評価は、まず、各実施例及び比較例の積層フィルムのそれぞれに、コート剤を塗布したポリエステルフィルムを貼り付けることによって蓋材を作製し、作製した蓋材を用いて、剥離強度を測定することによって易剥離性の評価を行なった。
最初に、脂肪族エステル系コート剤を、コーター(康井精機株式会社製)を用いてポリエステルフィルム(商品名「エンブレットPET−S」(ユニチカ株式会社製、厚さ25μm、幅330mm))に塗布した。そして、当該ポリエステルフィルムにおける脂肪族エステル系コート剤を塗布した面と、実施例1の積層フィルムのコロナ放電処理面とを圧着させた後、オーブンを使用して40℃で24時間加熱することにより、実施例1の積層フィルムを含んでなる蓋材を得た。なお、脂肪族エステル系コート剤は、主剤(「タケラックA−525」(三井化学株式会社製))と、硬化剤(「タケネートA−52」(三井化学株式会社製))と、及び酢酸エチルとの重量比が、10対1対15で十分に混合したコート剤である。なお、実施例2及び比較例1の積層フィルムについても同じ条件にて蓋材を作製した。
結晶性ポリエチレンテレフタレート容器(白色)(吉村化成製、容器底厚み400μm)の底を、75×65mmに切り出したものを被着体とした。そして、実施例1の積層フィルムについて、シール層と被着体とを密着させ、圧力0.29MPa、160℃の条件にて1秒間、被着体における幅75mmの辺に対して平行になるようにして、幅10mmの帯状にヒートシールした。そして、この帯状のシール部分に対して垂直方向に沿って、シール部分を含むようにして15mm幅間隔に蓋材を切り出した。これにより、15mm×65mmの大きさの試験片を5片作製した。そして、引張試験機(オートグラフAGS10kNG型(東洋精機株式会社製))を使用して、23℃雰囲気下、300mm/分の引張速度にて180度剥離させたときの剥離強度を測定した。なお、表1に示すように、実施例1の蓋材は、ヒートシールの温度条件を180℃又は200℃に代えた以外は同じ条件にて易剥離性の評価を行なった。同様にして、実施例2及び比較例1の蓋材についても易剥離性の評価を行なった。
Claims (6)
- シール層及び基材層を備えた易剥離性フィルムであって、
前記シール層は、100重量部の結晶性ポリエステル(A)と、11重量部以上、43重量部以下の範囲内のオレフィン系樹脂(B)とを含有し、
前記基材層は、100重量部の結晶性ポリエステル(A)と、52重量部以上、82重量部以下の範囲内のオレフィン系樹脂(B)とを含有し、
該易剥離性フィルムが有する2つの表面層のうち、少なくとも一方の表面層が前記シール層であり、
前記結晶性ポリエステル(A)は、融点が100℃以上、180℃以下の範囲内であり、ガラス転移温度が10℃以下である、易剥離性フィルム。 - 前記シール層は、100重量部の前記結晶性ポリエステル(A)に対して、0.05重量部以上、18重量部以下の範囲内のフィラー(C)を含有している、請求項1に記載の易剥離性フィルム。
- 前記オレフィン系樹脂(B)は、融点が100℃以上、170℃以下の範囲内である、請求項1又は2に記載の易剥離性フィルム。
- 共押出フィルムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の易剥離性フィルム。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の易剥離性フィルムを含んでなる、蓋材。
- 請求項5に記載の蓋材と、ポリエステルを含んでなる容器本体とを備えてなる、容器。
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