JP6788433B2 - 炭化珪素基板用研磨剤組成物 - Google Patents

炭化珪素基板用研磨剤組成物 Download PDF

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Description

本発明は、炭化珪素基板等を研磨する研磨剤組成物に関する。さらに詳しくは、炭化珪素パワー半導体、光デバイス分野での窒化ガリウム薄膜形成の下地基板を効果的に研磨するのに有用な研磨剤組成物に関する。
炭化珪素パワー半導体は、シリコンパワー半導体に比較し、次のような優れた特性を有している。(1)炭化珪素の禁制帯幅は、シリコンの約3倍あり、高温条件下で使用できる。(2)炭化珪素の絶縁破壊電圧は、シリコンの約10倍あり、高耐圧が可能となり、パワーデバイスの小型化が可能となる。(3)炭化珪素の熱伝導率は、シリコンの約3倍あり、放熱性に優れ冷却されやすく大電流化が可能である。炭化珪素は、シリコンより優れた特性を有し、パワーデバイス用半導体基板として、サーバーなどの情報機器、ハイブリッド車のモーター用インバーターの展開が図られている。このようなパワーデバイスの実現には、炭化珪素半導体層をエピタキシャル成長させるための表面粗度の優れた炭化珪素単結晶基板が必要である。
さらに、青色レーザーダイオードは、高い密度で情報を記録する光源として、白色ダイオードは、蛍光灯に替わる光源として注目されている。この発光素子は、窒化ガリウム半導体を用いて作製されており、基板として、炭化珪素単結晶基板が用いられている。炭化珪素ウエハは、一般に炭化珪素粉末を昇華して、種結晶を再結晶化で成長させた円柱状の炭化珪素半導体単結晶ブロックをダイヤモンドソーなどで、所定の厚さに切り出し、面取り、両面ラッピング、化学機械的研磨、洗浄の一連の工程を経て加工される。炭化珪素は、モース硬度が9.6でダイヤモンドに次ぐ材質で、酸に不溶で化学的に極めて安定な硬質材料である。炭化珪素用研磨剤組成物は、種々開示されているが、研磨に要する時間が長くなる問題点がある。
上述のように炭化珪素は、硬質材料であるため、従来から炭化珪素基板をダイヤモンド砥粒で研磨する方法が知られている。
特許文献1、特許文献2および特許文献3には、酸化クロム(III)を炭化珪素基板の研磨に用いる半導体ウエハのメカノケミカル研磨方法が開示されている。
特許文献4には、炭化珪素基板を過ヨウ素酸などの酸化剤で化学的研磨を行い、コロイダルシリカ砥粒で機械的研磨を行う方法が開示されている。
特許文献5には、炭化珪素基板をバナジン酸アンモニウム、バナジン酸ナトリウムなどのバナジン酸塩、および酸素供与剤を用いて化学的研磨を行い、コロイダルシリカ砥粒で機械的研磨を行う方法が開示されている。
特開平7−288243号公報 特開平7−80770号公報 特開2001−205555号公報 特開2007−27663号公報 特開2008−179655号公報
しかしながら、従来のメカノケミカルによる炭化珪素基板の研磨方法では、研磨速度が遅く、生産性に問題があった。従来から行われているダイヤモンド砥粒による炭化珪素基板の研磨では、研磨速度は速いが、被研磨表面にキズ等が発生する。
特許文献1、特許文献2および特許文献3の炭化珪素基板の研磨に酸化クロム(III)を使用する研磨方法は、使用した研磨廃液に環境汚染などの環境問題があり、実用上制限がある。
特許文献4は、炭化珪素基板の研磨に過ヨウ素酸などのヨウ素化合物を酸化剤に用い、コロイダルシリカで研磨する方法であるが、研磨速度が不十分である。
特許文献5は、炭化珪素基板の研磨にバナジン酸アンモニウム、バナジン酸ナトリウムなどのバナジン酸塩、および酸素供与剤を用いて、珪素−炭素結合を酸化開裂する方法であるが、これも研磨速度は不十分である。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、高い研磨速度で、表面粗度に優れた基板を作製することのできる研磨剤組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、砥粒、バナジン酸塩、過ヨウ素酸系酸化剤および水を含有し、pH値(25℃)が0.5〜7.0の範囲にあり、バナジン酸塩に対する過ヨウ素酸系酸化剤の割合(過ヨウ素酸系酸化剤/バナジン酸塩)が0.1〜3.0(モル比)である研磨剤組成物を使用することにより、上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、本発明によれば、炭化珪素基板等の基板を研磨する際に使用する研磨剤組成物が提供される。
[1]砥粒、バナジン酸塩、過ヨウ素酸系酸化剤および水を含有し、pH値(25℃)が0.5〜7.0の範囲にあり、バナジン酸塩に対する過ヨウ素酸系酸化剤の割合(過ヨウ素酸系酸化剤/バナジン酸塩)が0..0(モル比)である炭化珪素基板用研磨剤組成物。
[2]前記砥粒が、シリカ粒子であり、コロイダルシリカ、およびヒュームドシリカから選ばれる少なくとも1種である前記[1]に記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
[3]前記バナジン酸塩が、バナジン酸ナトリウム、バナジン酸カリウム、およびバナジン酸アンモニウムから選ばれる少なくとも1種である前記[1]または[2]に記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
[4]前記過ヨウ素酸系酸化剤が、オルト過ヨウ素酸、オルト過ヨウ素酸塩、メタ過ヨウ素酸、およびメタ過ヨウ素酸塩から選ばれる少なくとも1種である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
[5]さらに無機酸塩を含有する前記[1]〜[4]のいずれかに記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
[6]前記無機酸塩が、炭酸カリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、炭酸マンガン、塩化マンガン、硝酸マンガン、および硫酸マンガンからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記[5]に記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
]前記砥粒がコロイダルシリカであり、その平均粒子径(D50)が、10〜200
nmである前記[1]〜[]のいずれかに記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
本発明の研磨剤組成物を用いることにより、高い研磨速度にて、被研磨表面にキズ、スクラッチの無い状態に仕上げることができる。また、本発明の研磨剤組成物は、研磨時間を短縮し、低コストで炭化珪素、ケイ素、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガリウム燐、インジウム燐等の半導体基板、サファイア、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の単結晶基板等を製造することができる。特に炭化珪素基板の研磨に好適に用いることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
本発明の研磨剤組成物は、砥粒、バナジン酸塩、過ヨウ素酸系酸化剤および水を含有する。pH値(25℃)が0.5〜7.0の範囲にあり、バナジン酸塩に対する過ヨウ素酸系酸化剤の割合(過ヨウ素酸系酸化剤/バナジン酸塩)が0.1〜3.0(モル比)である。
(砥粒)
本発明で使用される砥粒としては、シリカ粒子、アルミナ粒子、などを挙げることができるが、好ましくはシリカ粒子である。シリカ粒子としては、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカなどを挙げることができるが、好ましくはコロイダルシリカが挙げられる。これらから、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
コロイダルシリカは、平均粒子径(D50)が好ましくは10〜200nmである。コロイダルシリカの平均粒子径が大きくなるにつれて、炭化珪素基板を機械的に研磨するコロイダルシリカの作用が強まるため、研磨剤組成物による炭化珪素基板の研磨速度は向上する。ただし、あまり平均粒子径が大きくなると、研磨後の炭化珪素基板の表面粗度が悪化する。
コロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸アルカリ金属塩を原料とし、当該原料を水溶液中で縮合反応させて粒子を成長させる水ガラス法、またはテトラエトキシシラン等のアルコキシシランを原料とし、当該原料をアルコール等の水溶性有機溶媒を含有する水中で、酸またはアルカリでの加水分解による縮合反応によって粒子を成長させるアルコキシシラン法等で得られる。
コロイダルシリカは球状、鎖状、金平糖型、異形型などの形状が知られており、水中に一次粒子が単分散してコロイド状をなしている。研磨剤組成物中の含有量は通常1〜50質量%であり、好ましくは2〜40質量%である。コロイダルシリカの含有量が多くなるにつれて、研磨剤組成物による炭化珪素基板の研磨速度は向上する。コロイダルシリカの含有量が少なくなるにつれて、研磨剤組成物のコストが下がり経済性の点で有利である。
(バナジン酸塩)
本発明で使用されるバナジン酸塩の具体例としては、バナジン酸ナトリウム、バナジン酸カリウム、バナジン酸アンモニウムなどを挙げることができる。これらから、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。バナジン酸塩の好ましい具体例としては、バナジン酸ナトリウムを挙げることができる。
本発明の研磨剤組成物中のバナジン酸塩の濃度は、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.2質量%以上である。バナジン酸塩の濃度が高くなるにつれて、研磨速度は向上する。またバナジン酸塩の濃度が10質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは5質量%以下である。バナジン酸塩の濃度が低くなるにつれて、不溶解分が生成する懸念が少なくなる。また、経済的にも有利となる。
本発明で使用されるバナジン酸塩と後述する過ヨウ素酸系酸化剤は共同して、研磨剤組成物による炭化珪素基板の研磨速度を向上させる働きをする。この働きは、バナジン酸塩の電離により生じるバナジン酸イオンが、過ヨウ素酸系酸化剤から酸素の供与を受けることにより、準安定なペルオキソバナジン酸イオンを生成し、このイオンが炭化珪素基板の表面において、珪素−炭素結合の酸化開裂を促進するためと考えられる。
(過ヨウ素酸系酸化剤)
本発明の研磨剤組成物中の過ヨウ素酸系酸化剤は、前述したバナジン酸塩に酸素を供与し、生成した準安定なペルオキソバナジン酸イオンが炭化珪素基板の表面において、珪素−炭素結合の酸化開裂を促進する働きをする。また、過ヨウ素酸系酸化剤は、炭化珪素基板の被研磨面が(0001)面である場合に酸化皮膜を形成するものである。この酸化皮膜を機械的な力で被研磨面から除去することにより、炭化珪素基板の研磨が促進される。すなわち、炭化珪素基板は難研磨材料であるが、研磨剤中の過ヨウ素酸系酸化剤により、炭化珪素基板(0001)面の表面に酸化皮膜を形成することができる。形成された酸化皮膜は、難研磨材料である炭化珪素基板に比べて硬度が低く、研磨されやすいので、砥粒であるコロイダルシリカ粒子により効果的に除去することができる。その結果、高い研磨速度が発現する。
本発明で使用される過ヨウ素酸系酸化剤の具体例としては、オルト過ヨウ素酸、オルト過ヨウ素酸塩、メタ過ヨウ素酸、メタ過ヨウ素酸塩、などを挙げることができる。これらから、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましくは、オルト過ヨウ素酸、メタ過ヨウ素酸ナトリウムなどを挙げることができる。
被研磨面の表面状態を良好に保ちながら、研磨速度向上効果を得るために、本発明の過ヨウ素酸系酸化剤は、バナジン酸塩に対して0.1〜3.0(モル比)の割合で使用される。好ましくは、0.2〜2.0(モル比)の割合で使用される。過ヨウ素酸系酸化剤をこの範囲内の割合で使用することにより、不溶物沈殿を生成することなく、均一溶液状態の混合物となり、被研磨面の表面状態を良好に保ちながら研磨速度を向上させることができる。
(無機酸塩)
本発明の研磨剤組成物は、さらに無機酸塩を含有することが好ましい。本発明に使用される無機酸塩としては、無機酸金属塩であることが好ましい。無機酸塩としては、無機酸アルカリ金属塩、無機酸アルカリ土類金属塩、無機酸遷移金属塩などを挙げることができ、好ましくは無機酸カリウム塩、無機酸マンガン塩である。無機酸塩を構成する無機酸としては、炭酸、ハロゲン化水素酸(フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸)、硝酸、硫酸、リン酸、ホスホン酸などを挙げることができ、好ましくは、炭酸、塩酸、硝酸、硫酸である。これらから、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機酸塩の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化マンガン、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸マンガン、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができる。このうち、好ましい具体例としては、炭酸カリウム、炭酸マンガン、塩化カリウム、塩化マンガン、硝酸カリウム、硝酸マンガン、硫酸カリウム、硫酸マンガンなどを挙げることができる。これらから、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の研磨剤組成物中の無機酸塩の添加効果としては、電気二重層の圧縮効果によるコロイダルシリカの炭化珪素基板への効率的な接触により、研磨速度が向上することが考えられる。
本発明の研磨剤組成物中の無機酸塩の濃度は、0.01〜10.0質量%が好ましく、0.1〜5.0質量%がさらに好ましい。0.01質量%未満では、研磨速度向上効果が不十分であり、10.0質量%以上では、研磨剤組成物の流動性が低下するので良くない。
(pH調整剤)
本発明においては、pH値(25℃)を0.5〜7.0の任意の値に調整する目的で、pH調整剤として、酸性物質又は塩基性物質を使用することができる。酸としては、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸などの無機酸、酢酸などの有機酸を挙げることができる。塩基としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピペラジンなどを挙げることができる。本発明の研磨剤組成物において、pH調整剤の濃度は、設定pH値に応じて、適宜決められる。本発明の研磨剤組成物のpH値(25℃)が7.0を超えると、炭化珪素基板の(0001)面を研磨する際の研磨速度が低下する。
(水)
本発明の研磨剤組成物に用いられる水としては、蒸留水、イオン交換水、などが挙げられる。炭化珪素基板の洗浄性を考慮すると、イオン交換水が好ましい。水は研磨剤の流動性を制御する機能を有するので、その含有量は、研磨速度のような目標とする研磨特性に合わせて適宜設定することができる。例えば、水の含有割合は、研磨剤全質量に対して40〜90質量%の範囲とすることが好ましい。水の含有量が、研磨剤全質量に対して40質量%未満では、研磨剤の粘性が高くなり流動性が損なわれる場合があり、90質量%を超えると、砥粒であるコロイダルシリカの濃度が低くなり、十分な研磨速度が得られないことがある。尚、本発明の研磨剤組成物は、炭化珪素基板を研磨するのに適した濃度に調整したものを製造してもよいが、濃厚液として製造したものを、使用時に適宜希釈して使用しても良い。
(その他の成分)
本発明の研磨剤組成物は、必要に応じて、通常の研磨剤組成物に含まれる成分を含有してもよい。そのような成分としては、界面活性剤、清浄剤、防錆剤、表面改質剤、粘度調節剤、抗菌剤、分散剤などが挙げられる。
(研磨対象)
本発明の研磨剤組成物は、炭化珪素、ケイ素、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガリウム燐、インジウム燐等の半導体基板、サファイア、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の単結晶基板等の研磨に利用することができる。特に、炭化珪素基板用研磨剤組成物として好適に用いることができる。
炭化珪素の結晶面の種類には、(0001)、(000−1)、(1−100)、(11−20)などの面がある。本発明の研磨剤組成物は、研磨加工の困難な(0001)面および(0001)面以外のいずれの結晶面の研磨においても好適に用いることができるが、特に(0001)面の研磨に用いることが好ましい。
本発明の研磨剤組成物を用いることにより、研磨速度を向上させ、表面粗度の良好な炭化珪素基板を製造することができる。本発明の研磨剤組成物は、すべての組成物を含有する一液型で供給されてもよく、また二液型で供給されてもよい。
以下に、本発明の研磨剤組成物を実施例により説明する。なお、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の態様で実施できることはいうまでもない。
本発明のコロイダルシリカの平均粒子径(D50)は、以下の方法により測定した。まず、コロイダルシリカの粒子径(Heywood径)を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子(株)製、透過型電子顕微鏡JEM2000FX(200kV))を用いて倍率10万倍の視野の写真を解析ソフト(マウンテック(株)製、Mac−View Ver.4.0)を用いて解析することによりHeywood径(投射面積円相当径)として測定した。
コロイダルシリカの平均粒子径(D50)は、前述の方法で2000個程度のコロイダルシリカの粒子径を解析し、小粒径側からの積算粒径分布(累積体積基準)が50%となる粒径を上記解析ソフト(マウンテック(株)製、Mac−View Ver.4.0)を用いて算出した。
研磨試験を行う際の研磨条件を以下に示す。
研磨対象物:直径3インチ、n型 4H−SiC−4°off基板
研磨対象結晶面:(0001)面
研磨加工機:不二越機械工業(株)製 RDP−500 片面研磨加工機
研磨パッド:SUBA800(ニッタ・ハース(株)製)
研磨圧力:500gf/cm
定盤回転数:68rpm
研磨時間:2h
研磨剤組成物の供給方法:循環
研磨剤組成物の供給速度:200ml/min
[被研磨面の特性評価・研磨速度の算出方法]
被研磨面の特性評価で、研磨速度は、下式により求めた。スクラッチ、キズの状態は、光学顕微鏡を用い、倍率200倍で調べた。表面にスクラッチ、キズがない状態を「○」、ほとんど認められない状態を「△」、認められるものを「×」とした。
研磨速度(nm/h)=(炭化珪素基板の研磨前質量−炭化珪素基板の研磨後質量)(g)÷炭化珪素基板の研磨面積(cm)÷炭化珪素基板の密度(g/cm)÷研磨時間(h)×10
[研磨剤組成物の調製方法]
実施例1〜12および比較例1〜6で使用した研磨剤組成物は、下記の材料を、下記の含有量または添加量で含んだ研磨剤組成物である。これらの研磨剤組成物を使用して研磨試験を行った結果を表1に示した。
コロイダルシリカ(平均粒子径(D50):37nm、市販のコロイダルシリカ) 30質量%(実施例1〜12、比較例1〜6で使用)
バナジン酸ナトリウム 1.00質量%(実施例1、4〜10、比較例1、6で使用)、0.64質量%(実施例2で使用)、0.43質量%(実施例3で使用)、0.26質量%(比較例2、4で使用)、1.22質量%(比較例3、5で使用)
バナジン酸アンモニウム 0.62質量%(実施例11、12で使用)
過酸化水素 1.00質量%(比較例1で使用)
メタ過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO) 0.50質量%(実施例1、5〜9、比較例6で使用)、1.13質量%(実施例2、11、12で使用)、1.50質量%(実施例3で使用)、1.80質量%(比較例2で使用)、0.11質量%(比較例3で使用)
オルト過ヨウ素酸(HIO) 0.50質量%(実施例4、10で使用)、1.92質量%(比較例4で使用)、0.11質量%(比較例5で使用)
硫酸カリウム(KSO) 1.00質量%(実施例5で使用)、0.25質量%(実施例12で使用)
塩化カリウム(KCl) 1.00質量%(実施例6で使用)
炭酸カリウム(KCO) 1.00質量%(実施例7で使用)
硝酸カリウム(KNO) 1.00質量%(実施例8で使用)
硫酸マンガン(MnSO) 0.25質量%(実施例9、10で使用)
硝酸 pH値(25℃)が設定値になるように必要量を添加(実施例1〜12、比較例1〜6で使用)
Figure 0006788433
[考察]
実施例1と比較例1の対比により、バナジン酸塩と過ヨウ素酸系酸化剤(メタ過ヨウ素酸ナトリウム)の組み合わせが、バナジン酸塩と過酸化水素との組み合わせよりも高い研磨速度を示すことがわかる。さらに実施例1〜3と比較例2および比較例3との対比により、バナジン酸塩に対する過ヨウ素酸系酸化剤の割合(過ヨウ素酸系酸化剤/バナジン酸塩)を適切に設定することにより、被研磨面の表面状態を良好に保ちながら、研磨速度向上が図れることがわかる。
また、実施例4と比較例1の対比によっても、バナジン酸塩と過ヨウ素酸系酸化剤(オルト過ヨウ素酸)の組み合わせが、バナジン酸塩と過酸化水素との組み合わせよりも高い研磨速度を示すことがわかる。さらにこの場合においても、実施例4と比較例4および比較例5との対比により、バナジン酸塩に対する過ヨウ素酸系酸化剤の割合を適切に設定することにより、被研磨面の表面状態を良好に保ちながら、研磨速度向上が図れることがわかる。
一方、実施例1と比較例6の対比から、研磨剤組成物のpH値(25℃)が7.0を超えると、本発明の研磨速度向上効果が低下することがわかる。また、実施例5〜10、12は、本発明のバナジン酸塩と過ヨウ素酸系酸化剤の組み合わせに、さらに無機酸塩を加えた研磨剤組成物が、被研磨面の表面状態を良好に保ちながら、さらに研磨速度を飛躍的に増大させることを示している。以上のことから、本発明により被研磨面の表面状態を良好に保ちながら、研磨速度向上が実現できることがわかる。
本発明の研磨剤組成物は、炭化珪素パワー半導体、光デバイス分野での窒化ガリウム薄膜の下地基板としての炭化珪素基板の製造に使用することができる。

Claims (7)

  1. 砥粒、バナジン酸塩、過ヨウ素酸系酸化剤、および水を含有し、pH値(25℃)が0.5〜7.0の範囲にあり、バナジン酸塩に対する過ヨウ素酸系酸化剤の割合(過ヨウ素酸系酸化剤/バナジン酸塩)が0..0(モル比)である炭化珪素基板用研磨剤組成物。
  2. 前記砥粒が、シリカ粒子であり、コロイダルシリカ、およびヒュームドシリカから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
  3. 前記バナジン酸塩が、バナジン酸ナトリウム、バナジン酸カリウム、およびバナジン酸アンモニウムから選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
  4. 前記過ヨウ素酸系酸化剤が、オルト過ヨウ素酸、オルト過ヨウ素酸塩、メタ過ヨウ素酸、およびメタ過ヨウ素酸塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
  5. さらに無機酸塩を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
  6. 前記無機酸塩が、炭酸カリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、炭酸マンガン、塩化マンガン、硝酸マンガン、および硫酸マンガンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
  7. 前記砥粒がコロイダルシリカであり、その平均粒子径(D50)が、10〜200nmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
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