以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る歯車装置を示す縦断面図である。図2は、第1実施の形態に係る歯車装置を軸方向に見た側面図(A)とその部分拡大図(B)である。軸方向とは歯車装置1の回転軸Oの軸方向を意味する。図3は、第1実施の形態に係る歯車装置の歯車周辺の機構を示す分解斜視図である。
本発明の第1実施の形態に係る歯車装置1は、入力軸と出力軸とを同軸上に配置して、高い減速比で回転運動を伝達する減速機である。歯車装置1は、一部の歯車が撓み変形して別の歯車と噛合う撓み噛合い式歯車装置である。
歯車装置1は、図1〜図3に示すように、2つの内歯歯車11、12と、撓み歯車としての外歯歯車13と、起振体軸受としての軸受14と、起振体としての偏心カム15と、発電素子16とを備えている。2つの内歯歯車11、12は同軸上に並列し、これらの内側に、外歯歯車13、軸受14、偏心カム15が順に配置されている。図3においては、内歯歯車11、12と外歯歯車13と軸受14の外輪14aのみを示している。
内歯歯車11、12は、剛性を有する円筒状の歯車である。内歯歯車11、12には、それぞれ内周側の全周に渡って歯部11a、12aが設けられている。一方の内歯歯車11の歯部11aと、他方の内歯歯車12の歯部12aとは、回転軸Oを中心に同一半径上に設けられている。一方の内歯歯車11の歯数と他方の内歯歯車12の歯数とは、異なる値に設定されている。2つの内歯歯車11、12は、典型的には一方が固定され、他方が出力軸に連結される。
偏心カム15は、剛性を有する剛体であり、回転軸Oを中心に偏心したカム面15aを有する。カム面15aは、回転軸Oを中心とした周方向に偏心した曲率を有する一方、回転軸Oの軸方向には曲率を有さない形状である。カム面15aの軸直角断面形状は、図2(A)に示すように、長軸Laと短軸Lbとを有する楕円に近い形状である。長軸Laの中点と短軸Lbの中点とは回転軸Oで交差する。長軸Laは、外歯歯車13と内歯歯車11、12とを噛み合わす長さを有する一方、短軸Lbは、外歯歯車13と内歯歯車11、12とを離間させる長さを有する。
偏心カム15には、例えば連結孔15bが設けられ、歯車装置1の外部の軸が連結される。偏心カム15は、典型的には入力軸(モータ軸)に連結される。
外歯歯車13は、撓み変形して内歯歯車11、12と噛合う撓み歯車であり、周方向の曲率を変化させる向きに撓み変形可能なように構成されている。外歯歯車13は、筒状の基部13bと、基部13bの外周に設けられた歯部13aとを備えている。歯部13aは、2つの内歯歯車11、12の歯部11a、12aと対向する配置で、基部13bの外周側の全周に渡って設けられている。外歯歯車13は、偏心カム15のカム面15aに沿って偏心し、偏心カム15の長軸Laの延長線上の部位周辺の範囲が内歯歯車11、12と噛合い、残りの範囲が内歯歯車11、12から離間して噛合わない状態にされる。
外歯歯車13の基部13bは、回転軸Oの軸方向に歯部13aを超えて延在する延在部13b1を有する。基部13bは、回転軸Oを中心とした周方向の全周に連なって設けられている。
発電素子16は、基部13bの延在部13b1に設けられている。発電素子16は、曲げ変形により発電する圧電材料を膜状にした部材である。発電素子16としては、例えばピエゾフィルム或いは高分子系の圧電フィルムなどを採用することができる。発電素子16は、図1に示すように、延在部13b1の内周面および外周面の両方に設けられている。また、図2(A)および図2(B)に示すように、複数の発電素子16が延在部13b1の周方向に間隔を空けて複数の範囲に設けられている。なお、発電素子16は、延在部13b1の内周面および外周面の何れか一方にのみ設けられていてもよいし、延在部13b1の全周に渡って設けられていてもよい。
軸受14は、外歯歯車13と偏心カム15との間に介在して、外歯歯車13を偏心カム15の偏心したカム面15aに沿った形状に規制しつつ、外歯歯車13と偏心カム15との相対的な回転移動を小さい抵抗で実現するためのものである。軸受14は、例えばローラベアリングであり、円筒状の外輪14aと、複数のローラ14bと、複数のローラ14bの間隔を保持する保持器14cとを有する。軸受14の内側には偏心カム15のカム面15aが当接し、軸受14の外側には外歯歯車13の内周面が当接している。
外輪14aは、厚み方向に圧縮する力に対しては高い硬度を有する一方、周方向の曲率を変化させる向きには弾性変形可能な部材から構成されている。外輪14aは、複数のローラ14bの転がり抵抗を小さくするために設けられている。外輪14aは、外歯歯車13の内周面に接触して、外歯歯車13と一体的に撓み変形し、外歯歯車13が回転するときには外歯歯車13と一体的に回転する。
なお、軸受14は、複数のローラ14bと偏心カム15との間に内輪を有する構成としてもよい。この場合、内輪は偏心カム15のカム面と接触して偏心カム15と一体的に回転する。
<第1例の電力取出部>
図4は、電力取出部の第1例を示す斜視図である。図5は、図4の電力取出部の一部破断の拡大斜視図である。
本実施の形態の歯車装置1は、図4に示す電力取出部17をさらに備えている。図4では、説明を分かりやすくするため、外歯歯車13に固定された1つの発電素子16と、これに対応する1組の電力取出部17とを抽出して描いている。図4では、破線の矢印線により外歯歯車13の基部13bに沿った周方向が示されている。
電力取出部17は、図4および図5に示すように、円周に沿って延設されたリング状の形態を有する。電力取出部17は、外歯歯車13の基部13bに隣接し、発電素子16から回転軸Oの軸方向に離間して配置される。
電力取出部17は、陽極の電極リング17aと陰極の電極リング17bとを有し、これらが回転軸Oを中心とする半径方向に並列されて構成される。電極リング17a、17bには、発電素子16から電力を導く導線16a1、16a2の一部がそれぞれ接触して、発電素子16から電力を取り出す。導線16a1、16a2は、根元側の端部が発電素子16に連結されており、発電素子16および外歯歯車13と一体的に回転する。導線16a1、16a2は張りを有し、接触部位が電極リング17a、17bの方へ付勢された状態で、電極リング17a、17bに接触し、摺動する。
電極リング17a、17bは、外歯歯車13の変形に伴って発電素子16が半径方向に変位しても、導線16a1、16a2との接触が維持されるように、回転軸Oを中心とした半径方向に所定の幅を有している。電極リング17a、17bには、導線16a1、16a2が電極リング17a、17bから外れないように発電素子16の方へ張り出した側壁h1、h1が設けられている。導線16a1、16a2には、折曲部s1、s1が設けられている。折曲部s1、s1は丸みを有し、導線16a1、16a2の先端が電極リング17a、17bから浮き上がるように曲げられている。これにより、外歯歯車13が順方向と逆方向のどちらに回転しても、導線16a1、16a2の先端が電極リング17a、17bに引っかからず、導線16a1、16a2は安定して電極リング17a、17bと接触する。
なお、歯車装置1には、回転軸Oに沿った一方の側の延在部13b1と他方の側の延在部13b1とにそれぞれ対応して、これらにそれぞれ隣接する少なくとも2組の電力取出部17が設けられる。また、歯車装置1には、延在部13b1の外周面に設けられる発電素子16と内周面に設けられる発電素子16とにそれぞれ対応して、更に2倍の個数の電力取出部17が設けられてもよい。外周面に設けられる発電素子16からの電力の取出しと、内周面に設けられる発電素子16からの電力の取出しとを共通の電力取出部17により行わせてもよい。
<第2例の電力取出部>
図6は、電力取出部の第2例を示す斜視図である。図7は、図6の電力取出部の一部破断の拡大斜視図である。
本実施の形態の歯車装置1は、第1例の電力取出部に替えて、図6の第2例の電力取出部27を備えていてもよい。図6では、説明を分かりやすくするため、外歯歯車13に固定された1つの発電素子16と、これに対応する1組の電力取出部27とを抽出して描いている。図6では、破線の矢印線により外歯歯車13の基部13bに沿った周方向が示されている。
電力取出部27は、図6および図7に示すように、円周に沿って延設されたリング状の形態を有する。電力取出部27は、外歯歯車13の基部13bに隣接し、発電素子16から回転軸Oを中心とした半径方向に離間して配置される。
電力取出部27は、陽極の電極リング27aと陰極の電極リング27bとを有し、これらが回転軸Oの軸方向に並列されて構成される。電極リング27a、27bには、発電素子16から電力を導く導線16b1、16b2の一部がそれぞれ接触して、発電素子16から電力を取り出す。導線16b1、16b2は張りを有し、接触部位が電極リング27a、27bの方へ付勢された状態で、電極リング27a、27bに接触し、摺動する。
導線16b1、16b2は、外歯歯車13の変形に伴って発電素子16が半径方向に変位しても、電極リング27a、27bとの接触が維持されるように、長さと弾性力とを有している。電極リング27a、27bには、導線16b1、16b2が電極リング27a、27bから外れないように発電素子16の方へ張り出した側壁h1、h1が設けられていてもよい。導線16b1、16b2には、第1例と同様に、安定して電極リング27a、27bと接触するように曲げられた折曲部s1、s1が設けられていてもよい。また、導線16b1、16b2がしなって、その根元部分と折曲部s1、s1との角度が変化することで、発電素子16の変位に対応して導線16b1、16b2と電極リング27a、27bとの接触が維持されるようにしてもよい。
なお、歯車装置1には、回転軸Oに沿った一方の側の延在部13b1と他方の側の延在部13b1とにそれぞれ対応して、これらにそれぞれ隣接する少なくとも2組の電力取出部27が設けられる。また、歯車装置1には、延在部13b1の外周面の発電素子16と内周面の発電素子16とにそれぞれ対応して、更に2倍の個数の電力取出部27が設けられる。延在部13b1の内周面の発電素子16に対応する電力取出部27は、回転軸Oを中心とする半径方向において、延在部13b1の内方に離間するように設けられる。
<動作説明>
次に、歯車装置1の動作について説明する。ここでは、偏心カム15が入力軸に連結され、内歯歯車11が出力軸に連結され、内歯歯車12が固定された構成について説明する。また、特に制限されるものではないが、一方の内歯歯車11と外歯歯車13との歯数が同数であり、他方の内歯歯車12と外歯歯車13との歯数に差があるものとする。
入力軸の回転駆動により偏心カム15が回転すると、軸受14を介して偏心カム15の運動が外歯歯車13に伝わる。外歯歯車13は、固定された内歯歯車12に一部が噛合っているので、偏心カム15の回転に追従して外歯歯車13が回転することはなく、外歯歯車13に対して偏心カム15が相対的に回転する運動が得られる。このとき、外歯歯車13は偏心カム15のカム面15aに沿った形状に規制されているため、外歯歯車13は偏心カム15の回転に従って撓み変形する。具体的には、外歯歯車13の曲率が大きくなる部位と曲率が小さくなる部位との位置が、周期的に移動するように変形する。この変形の周期は、偏心カム15の高速な回転周期に比例する。
外歯歯車13の変形があると、この変形が発電素子16に伝わって、発電素子16で発電が行われる。この電力は、発電素子16から電力取出部17へ導かれ、電力取出部17から歯車装置1の外部の電気機器に供給される。電力取出部17と電気機器との間にはレギュレータ回路など電圧を調整する回路が設けられていてもよい。
上述したように、偏心カム15の回転により外歯歯車13が変形すると、偏心カム15の長軸Laの回転に従って外歯歯車13と内歯歯車12との噛合う位置が回転方向に変化する。ここで、外歯歯車13と内歯歯車12との歯数に違いがあると、噛合う位置が一周するごとに噛合わされる歯部13a、12aの対応関係がずれていくので、これにより外歯歯車13が回転する。例えば、内歯歯車12の歯数が102で、外歯歯車13の歯数が100であれば、偏心カム15の回転運動は減速比100:2で減速されて外歯歯車13に伝達される。
一方、外歯歯車13は内歯歯車11とも同様に噛合っているため、偏心カム15の回転によって外歯歯車13と内歯歯車11との噛合う位置も同様に回転方向に変化する。内歯歯車11の歯数と外歯歯車13の歯数とは同数であるので、外歯歯車13と内歯歯車11とは相対的に回転移動せずに、外歯歯車13の回転運動が減速比1:1で内歯歯車11へ伝達される。これにより、内歯歯車11が回転して出力軸から減速された回転運動が出力される。
<機械装置への適用例>
図8は、本発明の実施の形態に係る歯車装置を備える産業用ロボットの構成図を示す。
この産業用ロボット(ロボット装置と呼んでもよい)100は、水平多関節ロボットであり、先端に物体を把持するヘッドが取り付けられた上下動ユニット110と、上下動ユニット110を水平方向に移動するアームユニット120とを備えている。アームユニット120には2つの関節部121、125が設けられている。
関節部121、125は、それぞれサーボモータ122、126と、減速機123、127とを備えている。関節部121、125は、サーボモータ122、126の回転運動を減速機123、127で減速した運動により、アームユニット120の各関節を回動させる。
このような産業用ロボット100において、関節部125の減速機127に本実施の形態の歯車装置1が適用されている。減速機127の発電素子16で発電された電力は、電力取出部17により取り出されて、レギュレータ回路等を介してサーボモータ126を冷却する冷却部18に供給される。
冷却部18は、例えばペルチェ素子であり、冷却面がサーボモータ126に接触するように配置され、放熱面がヒートパイプ20に接触するように配置されている。ヒートパイプ20は、例えばケーブル配管130を介して台座140等まで導かれ、冷却部18から導かれた熱を外部に排出する。
なお、歯車装置1で発電された電力の供給先は、様々に変更可能である。例えば、歯車装置1自体を冷却する冷却部、各種センサ、産業用ロボット100の各部に電力を供給する電源装置のバッテリ(蓄電部)に、歯車装置1で発電された電力を供給するようにしてもよい。冷却部は、ペルチェ素子に限られず、ファンなどであってもよい。各種センサには、例えば、アームユニット120の各関節の角度、回転速度、上下動ユニット110の昇降位置、又は昇降速度等を計測する内界センサ、並びに、把持および搬送する対象物の認識等を行う外界センサなどが含まれていてもよい。
以上のように、第1実施の形態の歯車装置1およびこれを備えた産業用ロボット100によれば、歯車装置1の振動として消失していたエネルギーを発電素子16により回収して、他の電気機器に電力を供給することができる。よって、総合的な消費電力を低減することができる。また、歯車装置1から近くの冷却部18に電力を供給することで、従前の冷却部18を動かすために必要だった電源装置からの長い配線および冷却部18専用の電圧を生成する電源回路などを省くことができる。
(第2実施の形態)
図9は、本発明の第2実施の形態の歯車装置を示す縦断面図である。
第2実施の形態の歯車装置1Aは、第1実施の形態と発電素子16の配置箇所が異なり、他の構成は第1実施の形態とほぼ同様である。第1実施の形態と同様の構成については同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
第2実施の形態においては、外歯歯車13の延在部13b1の代わりに、軸受14の外輪14aに外輪延在部14a1が設けられている。外輪延在部14a1は、回転軸Oの軸方向において、外歯歯車13を超えて延在する。外輪延在部14a1は、外歯歯車13の撓み変位とともに変形し、外歯歯車13が回転するときには外歯歯車13とともに回転する。
第2実施の形態において、発電素子16は外輪延在部14a1に設けられている。図9に示すように、発電素子16は、外輪延在部14a1の内面および外面の両方に設けられてもよいし、外輪延在部14a1の内面と外面の何れか一方にのみ設けてもよい。また、発電素子16は、第1実施の形態と同様に、外輪延在部14a1の周方向の複数の範囲に設けられてもよいし、外輪延在部14a1の全周範囲に設けられてもよい。
第2実施の形態の歯車装置1Aによれば、歯車装置1Aの動作中、外輪14aは偏心カム15の回転に伴って、外歯歯車13と一体的に変形し、この変形により発電素子16で発電が行われる。よって、発電された電力を、歯車装置1Aが組み込まれた機械装置の他の電気機器を駆動するために利用することができる。
以上、本発明の第1および第2の実施の形態について説明した。
なお、本発明は、上記実施の形態に制限されるものでなく、様々な変形例が考えられる。例えば、上記実施の形態では、一部の歯車が撓み変形する歯車装置として、2つの内歯歯車と、外歯歯車と、偏心カムと、軸受とを有する構成を例にとって説明した。しかしながら、2つの内歯歯車のうち出力軸と連結される内歯歯車を省略し、出力軸が外歯歯車と連結される構成を、本発明の歯車装置として適用してもよい。この場合、外歯歯車は有底筒状のカップ型の構成とし、ダイヤフラム(有底筒状の底の部位)に出力軸を連結すればよい。或いは、外歯歯車は回転軸を中心とした半径方向に広がるフランジを有するシルクハット型の構成とし、フランジに出力軸を連結すればよい。このような構成においても、外歯歯車又は軸受の外輪が周期的に変形するので、これらに発電素子を設けて発電することができる。
また、上記実施の形態では、撓み歯車として外歯歯車を適用した構成を例にとって説明した。しかしながら、例えば、撓み歯車として遊星歯車装置の内歯歯車を適用することもできる。遊星歯車装置は、入力軸と同軸上に配置される太陽歯車と、太陽歯車の周囲に配置され太陽歯車と噛合う複数の遊星歯車と、遊星歯車を保持する遊星キャリアと、遊星歯車と太陽歯車とを囲んで遊星歯車と噛合う内歯歯車とを備えている。このような遊星歯車装置において、内歯歯車を撓み変形可能とし、内歯歯車の内径を遊星歯車が通過する最外周の径より小さくした構成を採用することができる。このような構成により、内歯歯車は、遊星歯車と噛合う部分が外方へ張り出すように弾性変形する。加えて、内歯歯車と遊星歯車との相対的な回転移動により、このように弾性変形する位置が回転方向へ周期的に変化する。このような遊星歯車装置において、撓み変形する内歯歯車或いはこの内歯歯車と一体的に撓み変形する部材に発電素子を設けることで、遊星歯車装置の回転運動に伴って発電素子で発電を行うことができる。
また、上記実施の形態では、歯車装置が適用される機械装置として水平多関節型ロボットを例示し、モータの冷却部に電力を供給する構成を例にとって説明した。しかしながら、本発明に係る歯車装置は、様々なロボット装置、或いは、動力伝達部を有する様々な機械装置に適用することができる。また、本発明に係る歯車装置で発電された電力の供給先は様々に変更可能である。
また、上記実施の形態では、2つの内歯歯車と外歯歯車との歯数の設定、入力軸および出力軸の連結相手など、細部についても具体的に説明したが、これら細部は本発明を制限するものではない。例えば、固定される内歯歯車と外歯歯車との歯数を同数とし、回転する内歯歯車と外歯歯車との歯数を異ならせてもよい。この場合、外歯歯車は、偏心カムの回転に伴って変形する一方、回転することがない。従って、外歯歯車又は外輪に設けられる発電素子は回転移動せず、発電素子からの電力の取出しが容易となる。その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
また、上記実施の形態では、電力取出部17、27として、主に、電極リング17a、17a、27a、27bを有する構成を示した。しかし、電極リング17a、17b、27a、27bと、導線16a1、16a2、16b1、16b2とを含む構成が、電力取出部17、27と見なされてもよい。この場合、導線16a1、16a2、16b1、16b2は、本発明に係る配線部材の一例に相当し、電極リング17a、17b、27a、27bは、本発明に係る電力受部材の一例に相当する。
(第3実施形態)
図10は、本発明の第3実施の形態に係る撓み噛合い式歯車装置を示す縦断面図である。図11は、図10の発電素子の周辺部分を示す拡大図である。
第3実施の形態では、発電素子16から電力を取り出す構成要素を含めて、撓み噛合い式歯車装置1Bの各構成要素が一体的に組み付けられた形態について説明する。第3実施の形態において、第1実施の形態又は第2実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。以下、撓み噛合い式歯車装置1Bの回転軸O1に沿った方向を軸方向、回転軸O1に直交する方向を径方向、回転軸O1を中心とする回転方向を周方向と定義する。
第3実施の形態の撓み噛合い式歯車装置1Bは、一方の内歯歯車11を有する第1支持部材210と、他方の内歯歯車12を有する第2支持部材220と、外歯歯車13と、起振体軸受としての軸受14と、偏心カム15を有する軸部材250とを備える。また、撓み噛合い式歯車装置1Bは、ケーシング部材201と、2つの蓋部材202、203と、軸受205、206と、主軸受207と、規制部材280と、発電素子16と、電力取出部270と、コネクタ部260とを備える。
第1支持部材210は、周方向に連なる環状で剛性を有する部材であり、内周部の一部に内歯歯車11を有する。第1支持部材210は、内歯歯車11の部分と、内歯歯車11よりも軸方向の一方(内歯歯車12から内歯歯車11を向く方)に延設された支持延在部211を有する。第1支持部材210は、内歯歯車11に伝達される回転運動により、内歯歯車11と一体的に回転運動する。但し、第1支持部材210が固定されて撓み噛合い式歯車装置1Bが使用される場合には、第1支持部材210と内歯歯車11とは、他方の内歯歯車12または偏心カム15と相対的に回転する。
第2支持部材220は、周方向に連なる環状で剛性を有する部材であり、内周部の一部に内歯歯車12を有する。第2支持部材220は、内歯歯車12の部分と、内歯歯車12よりも軸方向の一方(内歯歯車11から内歯歯車12を向く方)に延設された支持延在部221を有する。第2支持部材220は、内歯歯車12に伝達される回転運動により、内歯歯車12と一体的に回転運動する。但し、第2支持部材220が固定されて撓み噛合い式歯車装置1Bが使用される場合には、第2支持部材220および内歯歯車12は、他方の内歯歯車11または偏心カム15と相対的に回転する。
軸部材250は、軸状或いは中空の管状で剛性を有する部材であり、外周部の一部に偏心カム15を有する。軸部材250は、軸受205、206によって回転可能に支持される。軸部材250は、偏心カム15の部分より軸方向の一方および他方に延在する軸延在部251、252を有する。軸延在部251、252は偏心を有さず、軸受205、206はこれらを支持する。
外歯歯車13は、延在部13b1が軸方向の一方にのみ有する点が、第1実施の形態と異なり、その他は第1実施の形態と同様である。延在部13b1には、外周面に発電素子16が設けられている。
軸受14は、第1実施の形態と同様である。
第1支持部材210と第2支持部材220と軸部材250とは、各回転中心が回転軸O1と重なるように配置される。また、第1支持部材210と第2支持部材220とは、内歯歯車11、12の部分が軸方向に隣接されて配置される。さらに、軸部材250は、第1支持部材210と第2支持部材220との内方(径方向における内方)に配置される。このような配置により、第1支持部材210の内歯歯車11と、第2支持部材220の内歯歯車12と、軸部材250の偏心カム15とが、第1実施の形態と同様の関係で配置される。また、外歯歯車13と軸受14とは、第1実施の形態と同様に内歯歯車11、12と偏心カム15との間に配置される。
ケーシング部材201は、周方向に連なる環状で剛性を有する部材である。ケーシング部材201は、第2支持部材220と固定的に連結され、第1支持部材210の径方向の外方に配置される。ケーシング部材201は、主軸受207を介して、第1支持部材210を相対的に回転可能な状態に支持する。なお、ケーシング部材201は、第1支持部材210を同様に支持することができれば、環状の構成でなくてもよい。
蓋部材202は、環状の部材であり、撓み噛合い式歯車装置1Bの軸方向の一方の端部に組み付けられる。蓋部材202は、軸方向の一方の端部において、軸部材250と第1支持部材210との間を覆う。蓋部材202はオイルシールを介して組み付けられても良い。蓋部材202は、例えば、第1支持部材210と固定的に連結され、軸受205の径方向の外側を保持する。
蓋部材203は、環状の部材であり、撓み噛合い式歯車装置1Bの軸方向の別方の端部に組み付けられる。蓋部材203は、軸方向の別方の端部において、軸部材250と第2支持部材220との間を覆う。蓋部材203はオイルシールを介して組み付けられても良い。蓋部材203は、例えば、第2支持部材220と固定的に連結され、軸受206の径方向の外側を保持する。
軸受205、206は、例えば転がり軸受であり、互いに軸方向に離れた複数の箇所で軸部材250を支持する。
主軸受207は、例えばクロスローラ軸受など、軸方向の一方および他方の2方向と、径方向との荷重を受けられる軸受であり、ケーシング部材201と第1支持部材210との間に配置される。
電力取出部270は、発電素子16に接続された配線部材271と、配線部材271から電力を受ける電力受部材272とを含む(図11を参照)。
配線部材271は、発電素子16の陽極と陰極とにそれぞれ接続される一対を1組として、1組または複数組設けられる。複数の発電素子16が延在部13b1の周方向の複数の箇所に設けられる場合、複数組の配線部材271は、複数の発電素子16に対応して延在部13b1の周方向の複数の箇所に設けられる。各組の配線部材271は、例えば一端が発電素子16に連結され、発電素子16の発電に基づく起電力を導く。
電力受部材272は、第1実施の形態の電極リング17a、17bと同様の構成である。電力受部材272は、配線部材271が外歯歯車13と一緒に周方向に回動する場合に、配線部材271と摺接し、配線部材271から電力を受ける。また、配線部材271が複数組設けられる場合には、電力受部材272は複数組の配線部材271から電力を集める母線としても機能する。
コネクタ部260は、発電素子16で発電された電力を、撓み噛合い式歯車装置1Bの外方に導く端子である。コネクタ部260は、例えば、第2支持部材220の外周面に固定され、撓み噛合い式歯車装置1Bの外部に露出される。第2支持部材220には、コネクタ部260と電力受部材272とを結ぶ貫通孔j1が設けられ、貫通孔j1にはコネクタ部260と電力受部材272とを電気的に接続する配線m1が設けられている。なお、撓み噛合い式歯車装置1Bにおいて、歯車部分を収容し、且つ、撓み噛合い式歯車装置1Bの外部に露出する部分をケーシングと定義すれば、コネクタ部260はケーシングに設けられていると見なしてもよい。
規制部材280は、外歯歯車13と軸受14との軸方向の一方に配置され、これらと隣接して、外歯歯車13と軸受14とが軸方向に変位することを規制する。ここで、変位の規制とは、変位を完全に禁止する意味ではなく、所定量以上の変位を禁止することを意味する。規制部材280の詳細は後述する。
このような構成によれば、撓み噛合い式歯車装置1Bに動力が伝達されて外歯歯車13が撓み変形すると、これに伴って発電素子16が撓み変形して発電する。そして、発電素子16の出力電極に起電力が生じると、この起電力が配線部材271から電力受部材272へ、さらに、電力受部材272からコネクタ部260へと送られる。
<発電素子、電力取出部および規制部材の配置構成>
以下、軸方向の一方および逆方のうち、外歯歯車13の中央から延在部13b1を向く方を「軸方向の固定側」と呼ぶ。
第2支持部材220の支持延在部221は、内歯歯車12の歯部を超えて軸方向の固定側へ延設されている。また、軸部材250の一方の軸延在部251は、偏心カム15を超えて軸方向の固定側へ延設されている。支持延在部221と軸延在部251とは、外歯歯車13の延在部13b1をさらに超えて、軸方向の固定側に延設されている。このような構成により、外歯歯車13の延在部13b1の周囲に、支持延在部221と軸延在部251とで囲まれたスペースを有する収容室C1が設けられる。収容室C1の軸方向の固定側は、他の部材(例えば軸受206)で仕切られる。
外歯歯車13の延在部13b1と発電素子16とは、収容室C1内に配置される。発電素子16は、収容室C1内において、延在部13b1の外周面に設けられる。
電力取出部270は、収容室C1内に配置される。配線部材271と電力受部材272とは、径方向から見て、延在部13b1と発電素子16とに重なる位置に配置される。さらに、配線部材271と電力受部材272とは、延在部13b1の外周側(径方向の外方)に配置される。なお、本明細書において、径方向から見てとは、実際に目に見える状態を意味するのでなく、対象の部材以外の部材を透明なものとみなしたときに見える状態を意味する。
ここで、例えば第2支持部材220が台座に固定され、第1支持部材210が回動アームに固定的に連結され、軸部材250が台座に搭載されたモータの出力軸に連結される利用形態を想定して説明する。
このような利用形態においては、第2支持部材220が台座に固定されるため、コネクタ部260が台座に対して相対的に変位せず、コネクタ部260を介して外部へ電力を導出しやすい。また、コネクタ部260と電力受部材272との相対的な配置関係が変化しないので、配線m1の敷設が容易となる。
さらに、発電素子16を設けるために、外歯歯車13に延在部13b1を設けると、延在部13b1より径方向の外方と内方の範囲に余剰スペースができる。そこで、上記の配置構成によれば、電力取出部270により余剰スペースを有効活用して、電力取出部270が設けられる。さらに、電力取出部270は、延在部13b1の外周側に設けられるので、外部に露出されるコネクタ部260と電気的に接続するための配線経路を単純化できる。これらによって、発電と電力の取出しを行う構成による体積の増加分を抑制して、撓み噛合い式歯車装置1Bの構成のコンパクト化を図れる。
<規制部材の詳細>
外歯歯車13と軸受14とは、偏心カム15と内歯歯車11、12との間に保持されて径方向の移動が規制される。一方、外歯歯車13と軸受14とは、偏心カム15と内歯歯車11、12によって、軸方向の移動が規制されない。さらに、外歯歯車13と軸受14との軸方向の固定側には、収容室C1のスペースがあるので、収容室C1に何もないと、撓み噛合い式歯車装置1Bの使用中、外歯歯車13と軸受14とが収容室C1の方へ変位する可能性がある。そこで、規制部材280が、収容室C1に設けられ、外歯歯車13と軸受14とが軸方向に移動することを規制する。
規制部材280は、回転軸O1を中心とする環状の構成であり、外歯歯車13と軸受14とに隣接する側面において、軸方向の高さが異なる段差を有する。そして、段の高い部分が軸受規制部282を構成し、段が低い部分が外歯規制部281を構成する。このような形状により、規制部材280は、軸受14に軸受規制部282の側面が軸方向から当接し、軸受14より延設された延在部13b1に外歯規制部281の側面が軸方向から当接して、これらのストッパーとして機能する。
延在部13b1は、根元部分が内歯歯車12と軸受14とに挟まれて保持される一方、延在部13b1の先端部は径方向に拘束されない。さらに、延在部13b1は、撓み変形する柔軟性を有する。このような構成により、延在部13b1は、別の部材に先端部が引っかかったりすると、期待される変形が得られない可能性が生じる。
しかし、延在部13b1には、ストッパーとしての機能を専用とする規制部材280が当接する。従って、例えば、規制部材280の延在部13b1に接触する部分を連続する滑らかな面として、延在部13b1の引っかかりが抑制されるように規制部材280を構成できる。さらに、規制部材280を収容室C1内に固定したり、回転方向或いはその他の方向に変位可能な遊びを設けたり、規制部材280を環状とせずに、複数に分割された構成としたり、または、滑らかな材質を採用したりするなど、規制部材280の設計自由度が増す。これにより、規制部材280には、延在部13b1の規制に適切な設計を適用できる。従って、規制部材280により、延在部13b1の撓み変形を阻害せずに、延在部13b1の軸方向の変位を規制することが可能となる。
以上のように、第3実施の形態の撓み噛合い式歯車装置1Bによれば、第1実施の形態の作用効果に加えて、延在部13b1によって生じる余剰スペースを有効活用して電力取出部270を配置することができる。従って、発電と電力の取出しを行う構成が付加されても、これらによる体積の増加分を抑制して、撓み噛合い式歯車装置1Bの全体的なコンパクト化を図ることができる。また、電力取出部270を延在部13b1の径方向の外方に設けることで、電力取出部270とコネクタ部260とを結ぶ配線m1の経路を単純化して、配線m1の敷設を容易にすることができる。
さらに、第3実施の形態の撓み噛合い式歯車装置1Bによれば、外歯規制部281と軸受規制部282との間に段差を有する規制部材280を有するので、収容室C1に面する外歯歯車13と軸受14とが収容室C1の方へ変位することを規制できる。さらに、外歯規制部281の設計自由が高いため、延在部13b1の撓み変形を阻害せずに、外歯歯車13の軸方向の変位を適切に規制することが可能となる。
(第4実施の形態)
図12は、本発明の第4実施の形態に係る撓み噛合い式歯車装置を示す縦断面図である。図13は、図12の発電素子の周辺部分を示す拡大図である。
第4実施の形態の撓み噛合い式歯車装置1Cは、第2実施の形態と同様に、軸受14の外輪14aに外輪延在部14a1を設け、外輪延在部14a1に発電素子16を配置した点が、主に、第3実施の形態と異なる。第1実施の形態から第3実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
電力取出部270は、収容室C1内に配置される。配線部材271と電力受部材272とは、径方向から見て、外輪延在部14a1と発電素子16とに重なる位置に配置される。さらに、配線部材271と電力受部材272とは、外輪延在部14a1の外周側(径方向の外方)に配置される。
規制部材290は、収容室C1において、軸受14の外輪延在部14a1および保持器14cの軸方向の固定側に配置され、軸受14が軸方向に大きく変位することを規制する。規制部材290は、回転軸O1を中心とする環状の構成であり、外輪延在部14a1と保持器14cとに隣接する側面において、軸方向の高さが異なる段差を有する。そして、段の高い部分が保持器規制部292を構成し、段が低い部分が外輪規制部291を構成する。このような形状により、保持器規制部292が軸受14の保持器14cに軸方向から当接し、外輪規制部291が外輪延在部14a1に軸方向から当接して、規制部材290がストッパーとして機能する。
さらに、第4実施の形態の外輪14aの外周面には、外歯歯車13と重なる部分と、外輪延在部14a1との間に径方向に突出する段S1(図13を参照)が設けられている。段S1は、外歯歯車13の基部13b(図9を参照)の端部に係止して、外歯歯車13が収容室C1の方へ移動することを規制する。
以上のように、第4実施の形態の撓み噛合い式歯車装置1Cによれば、外輪延在部14a1の撓み変形により発電素子16で発電した電力を、電力取出部270およびコネクタ部260を介して、撓み噛合い式歯車装置1Cの外部へ導くことができる。さらに、第3実施の形態と同様に、電力を外部へ導く構成による体積の増加分が抑制され、撓み噛合い式歯車装置1Cのコンパクト化を図れる。
また、第4実施の形態の撓み噛合い式歯車装置1Cによれば、規制部材290と、外輪延在部14a1の段S1とによって、外輪延在部14a1を含んだ軸受14と外歯歯車13とが軸方向に変位することを規制できる。さらに、規制部材290は、第3実施の形態の規制部材280と同様に、高い設計自由度を有するので、外輪延在部14a1の撓み変形を阻害せずに、外輪延在部14a1の軸方向の変位を規制できる。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限られない。例えば、第3と第4の実施の形態では、発電素子16と電力取出部270とが、軸方向の一方に、1系統設けられた構成を例にとって説明した。しかし、発電素子16と電力取出部270とは、外歯歯車13又は内歯歯車11、12を挟んで、軸方向の一方と他方とに、2系統設けられてもよい。例えば、収容室C1と同様に、第1支持部材210の支持延在部211と軸部材250の軸延在部252との間に他方の収容室を設けることができる。さらに、この収容室に、延在部13b1或いは外輪延在部14a1、発電素子16、電力取出部270、および規制部材280或いは規制部材290と同様の構成を配置できる。さらに、コネクタ部260と同様の構成を第1支持部材210に設けて電力を外部に導くことができる。このような構成によれば、第1支持部材210に固定的に連結されるアームとコネクタとの関係が相対的に固定的となり、アームに取り付けられる電気部品にコネクタから電力を供給することが容易となる。
また、第3と第4の実施の形態では、発電素子16と電力取出部270とが、延在部13b1又は外輪延在部14a1の径方向の外側に配置された構成を一例にとって説明した。しかし、発電素子16と電力取出部270とは、延在部13b1又は外輪延在部14a1の径方向の内側に配置されてもよい。この場合、電力受部材272を軸受14の軸方向の変位を規制するストッパーとして作用させることができる。また、第3と第4の実施の形態では、コネクタ部260を電力取出部270の径方向に配置した構成を示したが、コネクタ部260の配置は適宜変更可能である。
また、第3と第4の実施の形態では、発電素子16が電力受部材272に対して相対的に回転する構成を採用したため、電力取出部270の配線部材271が電力受部材272に摺接する構成とした。しかし、外歯歯車13の歯数と内歯歯車12の歯数とが同一になる構成を採用すれば、発電素子16は電力受部材272に対して回転方向にほぼ停止する構成となる。この場合、配線部材271と電力受部材272とは接合されてもよい。この場合、電力受部材272は、周方向に配置された複数組の配線部材271から電力を集めてコネクタ部260へ送る母線として機能する。
また、第3と第4の実施の形態では、蓋部材202、203、又はケーシング部材201が、第1支持部材210或いは第2支持部材220に固定的に連結された構成を示したが、固定的に連結される部分は、予め一体的な構成としてもよい。その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。