JP6775660B2 - 多位置拡散スペクトルデータの処理、モデリング、予測方法および処理装置 - Google Patents
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Description
スペクトル方法を利用して被測定物の成分濃度を検出する際に、測定される被測定物、通常、精製などのプリ処理を介さない、複雑なサンプルであり、または人体におけるある測定する成分である。測定する成分の濃度変化は明らかな波長特性があるとき、多変量回帰の方法を採用してキャリブレーションモデルを構築して、測定する成分の濃度測定を行うことができる。しかし複雑なサンプルや個体において、測定する成分を除いて、予知できない干渉成分も多く含んでおり、例えば、人体のある成分濃度の変化が人体温度、気持ちなどの変化によって影響され、波長特性が明らかではない。このため、被測定物の濃度分析に対するこららの予知できない背景の影響を除去した後、また濃度測定分析を行うことが必要である。近赤外スペクトル分析は、数学モデルを構築するに用いられるキャリブレーションサンプルセットが被測定サンプルの種々の背景を含むべきである。
非侵襲的血糖濃度検出を例として、人体組織における血糖の含有量が少なく、生理的範囲内での変化がとても小さいため、血糖変化による信号がきわめてかすかである。一方で、組織自体の光学特性も非常に複雑であり、動的に変化する人体組織を光が通るとき、一部の光が吸収される以外、非線形散乱の存在によっても、糖信号を抽出することは非常に困難になる。組織における水、脂肪、蛋白などの近赤外領域はいずれも吸収することがあり、これらの干渉要因による信号強度はブドウ糖濃度の変化による光強度よりも大きいである。そして、同一ラジカルはこのスペクトル領域における異なる倍周波数領域に吸収ピークが生じることができるため、複雑なサンプルまたは個体は、同一の近赤外スペクトル領域内に異なる分子、複数の種類のラジカルのスペクトルピークがよく重なり合っている。これに加えて、生体の新陳代謝、生理周期、気分のムラおよび環境影響などの要素はすべて直接的または間接的に人体組織に各種の物質成分の含有量に影響を与えて、効果的に被測定サンプルにおける血糖濃度情報を抽出することができない。これらの問題に係る要素が多くて複雑であるため、現在の科学研究レベルで、これらの要素の変化をリアルタイムでモニタすることが困難である。したがって、1種類の参考測定を求める方法も前記の問題を解決する実現可能な経路である。人体血酸素飽和度測定は、相対的な測定を取って成功を得る典型的な例である。
インビトロ実験では、一般的に、デュアル光学参考測定と隣接背景差し引きという方法を採用して、機器のドリフトによるコモンモード干渉を除去し、つまり、スペクトル性質が被測定物に近い参照サンプルのスペクトルを背景スペクトルとして測定することによって、差分演算を行う。実験結果は、この方法が測定におけるコモンモード変化の影響を効果的に除去できることを示している。
ところがある応用、例えば、人体血糖濃度の測定において、被測定物と光学的性質が同じで、被測定物の背景変動情報を含む参考物を求めて参考測定を実現することは困難である。近赤外非侵襲血糖検出の臨床において、光学特性が人体に相似する参照物を求めることは難しく、人体にある部位にブドウ糖が含まれないことまたはブドウ糖濃度がずっと変わらないまま固定されることはないため、このようなインビトロ実験において採用可能な背景参照物を差し引くスペクトル処理方法はまだ直接的に生体検出に応用することができない。測定システムに反射率のオーダーが人体の皮膚の拡散反射率に近い標準反射板または倣体を背景参照物として導入しても、一部のハードウェアシステム参照信号の影響を除去するが、反射板や倣体における光の伝播方式は人体の皮膚と相違があるため、人体にそれ自体の新陳代謝、生理周期、気分のムラおよび環境影響などの要素が反射板や倣体のスペクトルに現されなく、変化信号が得られなくて、これも、現在、近赤外スペクトル方法を利用して人体の血糖濃度を抽出する最大の障害である。
したがって、近赤外スペクトル法を採用して人体組織のある成分濃度を検出する際に、実際的な測定過程は、複雑な重なり合っていた背景からかすかな濃度変化特異性情報を抽出するようにまとめられることが可能であり、かつ有用な情報の抽出過程は人体の各種生理要素によって制限されて影響される。
このため、徐可欣たちは浮動基準位置を利用して濃度測定を実現する原理および方法を発明しており(中国特許出願、公開番号CN1699973A)、図1に示すように、測定スペクトル自身に含まれる情報のうち「背景」とすることができる参照基準を求めていた。被測定物、例えば人体におけるある成分、例えばブドウ糖濃度が変化するとき、被測定物の吸収係数および散乱係数などの光学特性の変化を引き起こすことになる。光源から離れた所定の径向位置rkに,組織の吸収および散乱作用によって変えられた拡散反射光エネルギーが基本的に互いに相殺することができ、基本的にブドウ糖濃度の変化に伴って変化することがなく、この位置rkを浮動基準位置と呼ぶ。この位置に測定して得られた光エネルギーは、検出中においてブドウ糖濃度変化以外の基本的なすべての干渉要因の影響を除去することを反映している。このため、この位置のスペクトルを人体血糖非侵襲検出過程における「背景」としてブドウ糖の特異性情報を抽出することができ、インビトロ実験における参考測定に類似するものを実現する。位置浮動基準の存在特性は、モンテカルロシミュレーション法およびインビトロ実験によって検証されたものである。しかし血糖濃度の変化による光エネルギーの変化が人体組織の光学特性に関するため、異なる被測定物、同一被測定物の異なる位置および異なるプローブ光の波長に対して、この「背景」とする参照基準が異なるものであり、つまり、浮動基準位置の位置が異なる。
モンテカルロシミュレーションの計算において、手のひらの皮膚が人体血糖濃度を測定するための標的組織層として選択されており、三次元皮膚モデルを測定対象にし、即ち皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3つに分ける。そのうちモンテカルロシミュレーションプログラムに設けられた光子数が109である。Maruoなどで与えられた各層光学パラメータを基づいて(Maruo K., Tsurugi M., Chin J., et al., Noninvasive blood glucose assay using a newly developed near-infrared system, IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics, 2003. 9(2): p. 322-330;Maruo K., Oota T., Tsurugi M., et al., New methodology to obtain a calibration model for noninvasive near-infrared blood glucose monitoring, Applied Spectroscopy, 2006. 60(4): p. 441-449)、ブドウ糖濃度が0からそれぞれ500、1000および1500mg/dLを増加するとき、皮膚モデルの真皮層の光学パラメータも相応的に変化し、その他の皮層の光学パラメータが変化しない。三次元皮膚モデルの表皮、真皮と皮下組織をそれぞれ0.5mm、3.5mmと∞に設定する場合、1200〜1700nm波長で、典型的な、検出器が光源から径方向分布された拡散反射スペクトルを得ることができており、図2に示すように、その分布は負の指数分布に近くなり、径方向距離の増加に伴い、拡散反射光強度は急速に小さくなる。2.0mm後での拡散反射光強度が弱くて、10−1から10−8オーダーまで小さくなる。
得られた異なるブドウ糖濃度の拡散反射光強度から0mg/dLの拡散反射光強度を引いた径方向分布は、図3(a1)〜(a4)に示すように、それぞれ波長1200nm、1300nm、1400nmおよび各波長での統括図に対応する。同じの皮膚層厚さでは、同一被測定対象の同一被測定位置に、異なる波長で、拡散反射光強度がブドウ糖濃度の変化に敏感ではない径方向位置はいずれも1つ存在すると考えられており、この位置はすなわち浮動基準位置である。しかし、図から分かるように、この浮動基準位置は明らかな波長特性を有し、1200nm〜1300nmで、位置浮動基準位置の変化が緩やかであり、特に、前半領域には、波長の変化による基準位置がほとんど変化しない。1300nm〜1400nmで、基準位置の揺らぎが大きく、基準位置が光源に近づく傾向にある。そして波長が1400nmより大きいとき、浮動基準位置が存在しなくなる。
同じの波長であっても、異なる測定対象の組織成分に相違があり、同一の測定対象が違い時間でその組織成分も全部同じではなく、つまり、組織体の光学特性に相違があるため、1300nmの波長で、正常な人体血糖濃度(100mg/dL)をモデル環境として、真皮層の吸収係数μaと散乱係数μsを変更し、それぞれ20%の勾配で変更させて、図3(b)に示すように三次元皮膚モデル中浮動基準位置が真皮層光学特性につれて変化する分布図を得る。図から分かるように、異なる測定対象または同一の被測定対象は、異なる時間帯における皮膚組織の散乱特異性が違っており、浮動基準位置の位置付けを顕著に影響する。
同様に、異なる測定対象または同一測定対象の異なる生理部位に対して、皮膚の生理構造、組織厚さも全部同じではなくて、同一の波長で、浮動基準位置も相応的に変化する。前記のシミュレーションの場合に類似しており、1300nmの波長で、正常な人体血糖濃度(100mg/dL)をモデル環境として、手のひらの皮膚厚さの典型的な数値に応じて、表皮厚さが0.1〜1.0mm範囲に変化し、真皮厚さが2.0〜4.0mmの範囲に変更する際に、三次元皮膚モデル中浮動基準位置の分布は、図3(c)に示すようになる。拡張反射光に対する表皮層厚さの変化の影響が大きく、浮動基準位置が表皮層厚さの増加に伴って光源から離れて移動する。
上述したように、ある1つの固定の径方向位置を参照点として選択して測定すると、異なる測定対象、同一測定対象の異なる状態と多波長を覆うすることができなくなり、ひいては測定誤差をもたらすことになる。異なる被測定対象と波長に対して、一般的な適用性を実現することができる測定方法を開発することが望ましい。
本開示の他の一局面によれば、入射光を案内する第一の光ファイバ束であって、出射端面が光ファイバプローブの検知端面のほぼ中心に位置する第一の光ファイバ束と、第二の光ファイバ束と、第三の光ファイバ束と、を備え、検知端面において、第二の光ファイバ束における光ファイバの端面と第三の光ファイバ束における光ファイバの端面は、それぞれ第一の光ファイバ束の出射端面から異なる距離離れている光ファイバプローブを提供している。
本開示の他の一局面によれば、背景媒体又は基準媒体、及び背景媒体又は基準媒体に入れた異なる既知濃度の特定成分をそれぞれ含む一連の被測定媒体を提供し、前記基準媒体が背景媒体及び初期濃度の当該特定成分を含むことと、前記一連の被測定媒体に対して、上記方法に従って処理することと、各既知濃度及び相応的な処理済のスペクトルデータに基づいて、予測モデルを取得することと、を含む予測モデルを構築する方法を提供している。
本開示の他の一局面によれば、背景媒体又は基準媒体を含む被測定媒体に対して、上記方法に従って処理し、基準媒体が背景媒体及び初期濃度の特定成分を含み、特性成分の濃度変化によって被測定媒体の中の当該特定成分の濃度が未知になることと、被測定媒体に対する処理済のスペクトルデータ及び予測モデルに基づいて、前記特定成分の濃度を予測することと、を含む濃度予測方法を提供している。
本開示の他の一局面によれば、特定成分を含む被測定媒体のプローブ光に対する拡散反射及び/又は拡散散乱光のスペクトルデータを検知する探触子と、探触子を用いて、任意に選択された第一の径方向位置と第二の径方向位置におけるスペクトルデータを検知し、それらに対して差分処理を行うように配置されているプロセッサと、を含む処理装置を提供している。
本開示の実施例によって、光源から離れた異なる位置の第一の径方向位置と第二の径方向位置を任意に選択することができ、この2つ径方向位置のスペクトルデータを取得し、これらに対して差分処理を行う。発明者は、このような差分処理が同様に効果的な複数の種類の干渉(特に、コモンモード干渉)の除去を実現できることを発見した。中国特許出願CN1699973Aに開示された技術に比べて、浮動基準点を確定する手間を避けることができる。
より良い処理効果(例えば、干渉抑止、有効信号向上)を実現するために、このような第一の径方向位置と第二の径方向位置は、以下のように選択することができる。例えば、被測定媒体における特定成分(関心のある成分、例えば血糖)の濃度による被測定媒体の光源から離れた異なる位置での拡散反射及び/又は拡散散乱の変化率に応じて、測定に必要な径方向位置(選択可能、浮動基準位置も確定可能)を取得することができる。具体的に、浮動基準位置は、絶対変化率が最も小さい(例えば、ほぼゼロ)受光点、即ち、この特定成分の濃度の変化に対して基本的に敏感ではない径方向位置と定義することができる。例えば、人体皮膚の典型的な三層構造モデルのモンテカルロシミュレーション結果から分かるように、血糖濃度測定の浮動基準位置がおよそ光源から離れた1.7〜3.2mm間にあり、変化範囲が大きい。同一のプローブ光波長で、浮動基準位置を臨界点として、ブドウ糖濃度が増加して、浮動基準内側の径方向位置に拡散反射及び/又は拡散散乱光強度が徐々に小さくなり、浮動基準外側の径方向位置に拡散反射及び/又は拡散散乱光強度が徐々に大きくなっており、そのために拡散反射及び/又は拡散散乱光強度は、図4に示すように、浮動基準内側に負値であり、浮動基準外側に正値である。さらに、浮動基準内側に浮動基準位置に近い位置に拡散反射及び/又は拡散散乱光強度のオーダーが伯仲しており、ブドウ糖濃度の変化に対するこの二つ位置の敏感度が伯仲すると考えられる。径方向距離の減少に伴い、即ち、光源位置を近づくほど、拡散反射及び/又は拡散散乱光強度変化の絶対値が大きくなっており、浮動基準外側に拡散反射及び/又は拡散散乱光強度変化が一番大きいなところと比べて、光源に近づくほど、拡散反射及び/又は拡散散乱光強度の変化量の絶対値が外側の約100倍であり、そして表皮から出射される拡散反射及び/又は拡散散乱光強度値も大きくなる。
上記の特性によれば、本開示はスペクトル検出方法を提出している。図5に示すように、この方法は、操作S501において、被測定媒体の第一の径方向位置での第一のスペクトルデータおよび第二の径方向位置での第二のスペクトルデータを測定することを含む。上述のように、第一の径方向位置と第二の径方向位置は任意に選択できるものである。即ち、第一の径方向位置と第二の径方向位置をランダムに確定することができる。被測定媒体は、例えば、人体皮膚などの各種の媒体を含むことができる。説明の便宜のために、被測定媒体を背景媒体及び背景媒体にある特定の成分(即ち、背景媒体は被測定媒体における特定成分以外の他の成分であってよい)を含むものと見なされる。このような特定成分は、例えば、血糖などの関心のある対象であってよい。
当業者は、スペクトル測定を行って、スペクトルデータを取得する複数の方式を知っている。例えば、光源によって一定の波長のプローブ光で被測定媒体を照射し、検出器によって被測定媒体の拡散反射及び/又は拡散透過光を感知し、例えば、その光強度を測定する。以下の説明において、拡散反射光を例にするが、本開示はこれに限られない。あるいは、光源及び検出器はいずれも被測定媒体の内部に侵入してスペクトルデータを測定することができており、この場合は無限媒体の場合に類似している。検出器の位置を調整して、複数の径方向位置の測定を実現することができる。あるいは、検出器は、異なる位置に設けられた2つ以上の受光部を含めて相応的なの2つ以上の位置での光強度を同時に検出することができる。これは、以下にさらに詳細に説明する。
また、被測定媒体及び/又はその特定成分の特性に応じて、1つ又は複数の波長のプローブ光、例えば、紫外、可視光及び赤外帯域を選択して測定することができる。例えば、当該特定成分の散乱及び/又は吸収特性敏感な波長、及び/又は背景媒体の散乱及び/又は吸収特性非敏感な波長を選択することができる。
有利的には、光強度(絶対及び/又は相対)変化量(例えば、被測定媒体における特定成分の濃度変化による)をスペクトルデータとして測定することができる。例えば、背景媒体に当該特定成分を含まない、あるいは、当該特定成分がある固定の初期濃度値である(以下、背景媒体+初期濃度の特定成分を「基準媒体」と呼ぶ)場合に対して、1つ径方向位置にスペクトルを測定し、初期スペクトルとして、 I1
に記述することができる。そして、背景媒体において当該特定成分の濃度が初期濃度に対して変化する際に、このときの被測定媒体のこの径方向位置でのスペクトルを測定し、I2
に記述する。例えば、血糖の測定に対して、まず、空腹時(このとき、血糖は安定的に低いレベルの状態にある)の血液的スペクトルを測定し、初期スペクトルとする;そして、食後(このとき、血糖が変化し、食後2時間までまた次第に安定になる)の血液的スペクトルを測定して、血糖の変化情報を取得することができる。この2つのスペクトルによって光強度の(絶対)変化量s=(I2−I1)を上記のスペクトルデータとして得ることができる。しかしながら、スペクトルデータは上記の光強度の絶対変化量に限られず、下記のように、他の型のデータ(例えば、光強度の相対変化量
又はs=(I2−I1)/I1)を取得してもよいことを留意すべきである。
本開示の多くの実施例において、初期スペクトルを測定する必要であり可能である。背景媒体に特定成分を含まない場合のスペクトルを初期スペクトルとして採用しても良く、背景媒体に任意な固定の初期濃度の特定成分(すなわち、基準媒体)を含む場合のスペクトルを初期スペクトルとして採用しても良い。例えば、いくつかの媒体(特に、特定成分を含まない背景媒体)に対して、初期スペクトルのデータベースを構築して、重複に使用する(例えば、予め実験に使用し、実際な測定に使用するなど)ことによって、作業の負担を低下してもよい。
第一の径方向位置と第二の径方向位置のところで、プローブ光に対する被測定媒体の拡散反射光及び/又は拡散散乱光の光強度が当該特定成分の濃度変化に伴って異なる変化率を有するように、この第一の径方向位置と第二の径方向位置を選択することができる。このほか、この二つ位置でのコモンモード干渉が一般に特定の関係があるため、実際の測定においては、データ処理によってこの両位置の間のコモンモード干渉を除去して、被測定成分の濃度変化に関する情報を残すことができる。
具体的に、第一の径方向位置と第二の径方向位置のところで、プローブ光に対する被測定媒体の拡散反射光及び/又は拡散散乱光の光強度が当該特定成分の濃度変化に伴って異なる符号の変化率を有するように、この第一の径方向位置と第二の径方向位置を選択することができる。ここで、「異なる符号」とは、正(+)と負(−)、正(+)と零(0)、又は負(−)と零(0)を含むことができる。即ち、本願において、零(0)値を正(+)および負(−)と異なる符号を有するものと見なすようにする。変化率が零値の径方向位置は、例えば、上記の浮動基準位置である。実際な測定において、絶対値が一定閾値より小さい変化率を「零」変化率と見なすことができ、この閾値は実際な応用環境に応じて設定されて良い。
下記のとおり、このようにして選択される第一の径方向位置と第二の径方向位置は、コモンモード干渉を除去することに寄与する。例えば、第一の径方向位置と第二の径方向位置は、これらの変化率が1つの正と負(例えば、第一の径方向位置の変化率が負、第二の径方向位置の変化率が正)になるように選択することができる。このとき、第一の径方向位置が浮動基準位置(例えば、図4に示すBエリア内)の内側(例えば、図4に示すAエリア)にあり、第二の径方向位置が浮動基準位置の外側(例えば、図4に示すCエリア)にある。そのため、実際な応用において、第一の径方向位置を光源位置に近いように選択し、かつ第二の径方向位置を光源位置から離れるように選択することができる。そして、大多数の場合に対して、第一の径方向位置が浮動基準位置の内側にあり、第二の径方向位置が浮動基準位置の外側にあることができる。それによって、固定の第一の径方向位置と第二の径方向位置のところでスペクトルデータを測定することができており、それぞれ浮動基準位置の精確な位置のあるところを確定する必要がない。また、以下にさらに説明するように、複数の測定環境に適する検知器配置を提供することができる。
径方向位置の選択はスペクトル測定と同時に行うことができる。例えば、いくつかの径方向位置を初期選択して、これらの径方向位置のところで初期スペクトル、例えば光強度(或は上記のように、初期スペクトルデータベースから取得)を測定することができる。そして、被測定媒体における特定成分濃度が変化した後(或は、特定成分濃度が初期スペクトルデータベースからデータを取得するために用いられる特定成分濃度に対して異なり)、これらの径方向位置のところで変化スペクトル、例えば光強度を測定する。初期スペクトルと変化スペクトルによって、各径方向位置での光強度変化(率)の方向(正又は負)を確定することができる。補間によってその他の径方向位置での光強度変化(率)を取得することもできる。そのうち変化が正の1つ径方向位置および変化が負の1つ径方向位置をそれぞれ第一の径方向位置および第二の径方向位置として選択することができ、あるいは、そのうち変化が正又は負の1つ径方向位置及び変化が一定閾値(或は「零」)より小さい1つ径方向位置(上記のように、この径方向位置は実際に浮動基準位置と見なすことができる)をそれぞれ第一の径方向位置および第二の径方向位置として選択することができ、かつこのとき第一の径方向位置および第二の径方向位置でのスペクトルデータも上記のように得られている。
このように、予め浮動基準位置を確定する必要がなく、このような確定は手間のかかる(複数回測定して光強度変化の最小の位置を確定する必要あり)ことである。もし初期選択された径方向位置にちょうど浮動基準位置を含めば、もちろんこの位置を利用することもできる。ただし、これはあらかじめ浮動基準位置を確定してからこの位置でのスペクトルデータを用いることと異なっており、浮動基準位置を確定する不便を解消したためである。
他の実施例によれば、浮動基準点の位置を確定することもできる。例えば、光強度絶対変化の最小の径方向位置を浮動基準点として選択する。光強度変化が零に近い径方向位置の近いところで複数測定して、浮動基準点の位置精度を改善することができる。それ以外に、浮動基準点でのスペクトルデータを取得することができる。
上記のように第一と第二の径方向位置でのスペクトルデータを取得した後に、当該方法は、操作S503において、スペクトルデータに対して差分処理を行うことも含む。
例えば、このような差分処理は以下のように行うことができる。
第一の径方向位置がρmと記され、第二の径方向位置がρnと記される。特に、径方向位置が浮動基準点の内側にあると、ρIと(変化率が負であることができる)記述される;径方向位置が浮動基準点の外側にあると、ρOと(変化率が正であることができる)記述される。なお、もしあらかじめ浮動基準点を確定していれば、あるいは、選択された径方向位置にちょうど浮動基準点を含めば、浮動基準点がρRと記される。
本開示の実施例によれば、重み付け係数η例えば以下のように確定することができる。数値計算を採用し或は特定成分濃度Cを一定に保って、異なる径方向位置での拡散反射光を繰り返し測定して、任意の2つ径方向位置での干渉要因ΔNの影響下での拡散反射光の変化量の比率ΔI(ρm, C, ΔN)/ ΔI(ρn, C, ΔN)を得ており、ηと記し、即ち:
ただし、ρmとρnは任意の異なる径方向位置、例えばρI、ρOとρRのうち任意の2つを示す;ΔI(ρm, C, ΔN)は特定成分濃度Cが固定の場合にρmでの干渉要因ΔNによる光強度の変化を示し、ΔI(ρn, C, ΔN)は特定成分濃度Cが固定の場合にρnでのΔNによる光強度の変化を示す。
実際の測定過程では、測定する成分の濃度変化以外、拡散反射光の変化を引き起こす干渉要因の変化もある。測定する成分の濃度がΔC変化し、干渉要因がΔN変化するとき、以下のようになる。
ただし、ρiは任意の径方向位置、例えばρI、ρOおよびρRのいずれか一つを示す;ΔI(ρi, ΔC, ΔN)はρiでの濃度変化ΔCおよび干渉要因ΔNによる光強度変化を示し、ΔI(ρi, C, ΔN)はρiでの干渉要因ΔNによる光強度変化を示し、ΔI(ρi, ΔC, N)はρiでの濃度変化ΔCによる光強度変化を示す。
式(1)によって、任意の二つ径方向位置(例えば、ρI、ρOおよびρRのいずれか二つ)でのスペクトルデータを以下の差分処理を行うことができる。
式(3)から分かるように、このような差分処理によって、コモンモード干渉によるノイズ信号を効果的に減少又は差し引くことができ、測定する成分濃度(ΔC)だけに関する有用な信号(ΔI(ΔC))を得る。
以下の説明においては主としてρI、ρOおよびρRのいずれか二つに対して説明するが、ここで、式(3)から分かるように、このような差分処理は任意の二つ径方向位置ρmおよびρnに適用できることを留意すべきである。
また、任意の二つ径方向位置ρmおよびρnで、コモンモード干渉によるノイズ信号の間の比例定数ηはあらかじめ推定できるものである。実際の測定では、この比例定数を直接に採用して両位置での光強度絶対変化量に対して差分処理を行うことができ、即ち、測定する成分の濃度(ΔC)だけに関する有用な信号(ΔI(ΔC))を得ることができる。
以下、無限媒体における拡散方程式の定常解でηの表現式を推定し、この理論に基づいて比例定数ηのサンプル推定方法を与える。
無限媒体において一つ点光源の場合に対する光束Φの解は下記である。 ・
ただし、ρは検出器と光源との間の径方向距離である;λは光源から発されるプローブ光の波長である;μaは吸収係数である;μs'は等価散乱係数であり、 (1-g)μsと定義され、gは異方性因子である;μsは散乱係数である;Dは光子の拡散係数であり、
;μeffは有効減衰係数であり、
したがって、式(4)は下記のように記述することができる。
入射光が媒体に入った後に、光子が媒体における粒子と相互作用を発生した後に出射されて拡散反射光を得ており、一般に拡散反射エネルギー変化を引き起こす要因は主で下記の三種類に分けることができる:(1)被測定媒体の光学特性の変化;(2)入射光源のドリフト;(3)検出器状態のドリフトなど。そのうち、入射光が媒体に入った後に、光子が媒体における粒子と衝突し、一部の光子が粒子に吸収されて損失し、他の部分の光子が散乱され、被測定媒体の光学特性の変化は吸収効果と散乱効果の総合的な作用の結果である。被測定媒体の吸収係数及び散乱係数などの光学特性の変化を引き起こす要因は、主で被測定媒体における測定する成分の濃度変化、干渉成分濃度の変化及び温度の変化などを含む。上記の拡散反射エネルギーの変化を引き起こす要因に、被測定媒体における測定する成分の濃度変化の測定だけが希望されるものであり、他の影響要因による拡散反射光エネルギー変化は減少又は差し引きすべきである。
人体組織中のブドウ糖濃度変化を例として、無限媒体における拡散方程式の定常解によって、血糖濃度が変化ΔCgするの場合に、同一径方向位置で血糖濃度変化による光束Φ(ρ)の変化量ΔΦ(ρ, ΔCg)は以下である:
ただし、
式(6)から分かるように、ある一つの波長で、光束の変化量ΔΦ(ρ, ΔCg)は径方向距離ρの関数である。
浮動基準位置の定義によって、被測定物による被測定媒体における光源から離れた異なる位置の光強度の変化率が最も小さい受光点、即ち特定成分例えば血糖の濃度変化に対して敏感ではない径方向位置が、浮動基準位置である。そのために、理想的な場合に、血糖の濃度変化ΔCgだけがあっていかなる干渉要因がないとき、ある一つの波長で、無限媒体における拡散方程式の定常解によって、血糖濃度変化の浮動基準位置ρRに下記の感度Seng(ρR)がある:
式(7)と式(8)を(9)に代入して得られる浮動基準位置は以下である:
この位置で、血糖濃度変化による光束Φ(ρR)の変化量ΔΦ(ρR, ΔCg)は0(ゼロ)である。そして、実際の測定過程では、浮動基準位置ρRでの拡散反射光の変化が背景干渉変化によるものであり、血糖濃度変化に関連しない、つまり、
通常∂μa/∂Cgは∂μs'/∂Cgに比べて1〜2オーダー低くなるため、式(8)を式(6)に代入して近似的に得ることができる:
これによって得られる拡散反射光の変化率は下記である:
式において、∂μs'/∂Cgはブドウ糖濃度変化による等価散乱係数の変化率である。通常、ある一つの固定の母液モデルに対して、等価散乱係数に対するブドウ糖濃度の変化の影響が定数である。例えば、異なる濃度のIntralipid溶液モデルに対して、∂μs'/∂Cgは下記のように表すことができる:
皮膚(水+ポリスチレン)モデルに対して、∂μs'/∂Cgは下記のように表すことができる:
ただし、m値は、図6に示すように(Matthias Kohl, Matthias Essenpreis and Mark Cope, The influence of glucose concentration upon the transport of light in tissue-simulating phantoms)、Mie理論によって計算された波長変化による散乱係数の変化率である。図中の2つ実線曲線はそれぞれ皮膚(水+ポリスチレン)モデルにおいて、ブドウ糖濃度が85mM/Lと144mM/Lときの散乱係数μs変化の曲線を示しており、それを直線にフィッティングする傾きがそれぞれ-1.569*10-7及び-1.5*10-7であり、後のシミュレーションは50、100、150mMの三つの異なる勾配を採用して行われるものであるため、それぞれ近似的な傾きを選択して計算を行う。
これによって、図23に示すように、ブドウ糖濃度変化による拡散反射光の変化率dΦ/Φは径方向距離ρの(略線形)関数であると近似的に考えられる。
実際の測定では、光強度Iと光のエネルギー束密度Φの関係は固定倍数の関係であり、光のエネルギー束密度の相対変化量は光強度の相対変化量に近似的に等価し、即ち、
。そのために、測定位置の変化によるΔI/Iの変化も線形に近似される。
したがって、以下のように異なる位置間の比例定数ηを推定することができる。
同一影響要因ΔXで、ΔI(ρ)/I(ρ)がρの線形関数を利用し、先に第一の径方向位置における光強度相対変化量ΔI(ρm, ΔX)/I(ρm)によって、第二の径方向位置における光強度相対変化量ΔI(ρn, ΔX)/I(ρn)を推定するようにして、両者の比率をξと記し、それが径方向位置の選択に関するものであり、下記の式(S−1)で示される。
(S-1)
式(S−1)において、
はこの要因作用の非敏感位置である。例えばブドウ糖が変化する場合、この位置がブドウ糖測定の浮動基準位置である。特定の被測定物および特定の被測定媒体に対して、
が相対的な固定の位置であることが証明されている。そのために、二つの測定位置
及び
が固定された後、ξの値が1つの固定定数値である。これから分かるように、ξの値はあらかじめ実験によって推定することができる。
式(S−1)を変形した後、下記の式(S−2)を得ることができる。
(S-2)
そして、
(S-3)
式(S−2)及び(S−3)から分かるように、あらかじめξの値を推定した後に、式(S−3)に代入した後、比例定数ηの値を得ることができ、ηを式(3)に代入して測定する成分濃度(ΔC)に関する有用な信号(ΔI(ΔC))を得ることができる。
実際の測定過程に拡散反射光エネルギーの変化を引き起こす影響要因ΔNを大きく2種類に分けて討論を行う:一種類は、被測定媒体において干渉成分濃度又は測定温度による光学特性の変化である;もう一種類は、測定システムにおいて光源ドリフト又は検出器状態ドリフトなどである。
(1)被測定媒体において干渉成分濃度又は測定温度による光学特性の変化
干渉成分濃度又は測定温度が変化する場合、被測定媒体の光学特性の変化を引き起こすことになる。温度変化を例として、温度の変化が分子の振動・回転状態及びエネルギー遷移確率を変化させるため、異なる温度下で物質のモル吸光係数が若干異なることになる。同時に、温度の変化は、吸収物質の濃度がそれに伴って変化することを引き起こすことになり、これは以下のためである:温度上昇が分子間の化学結合の結合程度を増加することになって、同一分子の隣接分子数が増加するようになり、物質の密度が大きくなる;しかしながら、温度の上昇も分子間の距離を大きく増加させ、物質の密度を小さくすることになる。両者の総合効果は、温度による物質濃度の変化規則を決めている。血糖濃度を相対的に一定Cgに保持し、温度変化ΔTだけある場合、同一径方向位置で引き起こされる光束Φ(ρ)の変化量ΔΦ(ρ, Cg, ΔT)は、下記の通りである。
式(7)及び式(8)を式(16)に代入して下記の式(17)を得ることができる。
ただし、
と記される。
光源から離れた径方向距離がρI及びρOの二つの位置をそれぞれ浮動基準内側測定位置及び外側測定位置として取得し、式(17)によって、浮動基準内側測定位置ρIと浮動基準位置ρRでの温度変化による光束変化量の比率、及び浮動基準外側測定位置ρOと浮動基準位置ρRでの温度変化による光束変化量の比率は、それぞれ下記の通りである。
生体組織中に70%程度の水を含むため、生体組織近赤外スペクトルに対する温度はかなりの程度水のスペクトルの温度特性に関連する。図7に示すのは、Jensenたちが実験によって得られた32℃〜42℃下での水モル吸光係数εw(λ)と30℃下でのεw(λ)の間の差曲線図(Peter Snor Jensen, Jimmy Bak, Stenfan Andersson-Engels, Influence of temperature on water and aqueous glucose absorption spectra in the near- and mid-infrared regions at physiologically relevant temperatures, Applied Spectroscopy, 2003, 57(1):28-36)である。1440nm、1780nm、2180nm、2750nm、4900nm、5300nm、および6300nmで温度の変化に敏感ではないこと以外、他の波長でεw(λ)が温度の変化に伴って規則的に変化する。そのために、人体体温変化の範囲内(約35℃〜40℃)の各波長下で、温度によるモル吸光係数の変化率∂εw(λ)/ ∂Tは定数であるが、異なる波長に対してこの定数が異なる値を取ると近似的に考えられる。これによって、各波長下での温度による吸光係数の変化率∂μa(λ)/ ∂Tも定数に近似される。類似的に、陳韻たちは、2℃を間隔にして、温度範囲が30℃〜40℃の水サンプルをスペクトル測定実験を行うことによって、図8に示す異なる温度下での水と30℃下での水の間の吸光度変化値曲線を得ており、1525、1832、および2060nmでの吸光度変化量と温度の間の線形関係式(陳韻,近赤外非侵襲的血糖測定−基準波長浮動基準法の研究:「博士学位論文」,天津,天津大学,2009)を得ている。図からも分かるように、各波長下で、吸光度の変化量と温度の間は線形関係に近似する。水は純粋な吸収媒体であるため、同じ結論、即ち各波長下での温度による吸光係数の変化率∂μa(λ)/ ∂Tが定数に近似すると考えることを得ることができる。
Lauferたちは、インビトロ皮膚サンプル実験を採用し、25℃〜40℃の範囲内に人体真皮層及び皮下組織と温度影響の関係を研究していた(Jan Laufer, et al., Effect of temperature on the optical properties of ex vivo human dermis and subdermis, Phys. Med. Biol.,1998, 43: 2479-2489)。実験結果は、温度変化による真皮層の等価散乱係数の変化率が(4.7±0.5)×10-3℃-1であり、温度変化による皮下組織の等価散乱係数の変化が(-1.4±0.28) ×10-3℃-1であることを示している。そのために、人体体温変化の範囲内(約35℃〜40℃)で、温度変化による等価散乱係数の変化率∂μs'/ ∂Tが定数に近似する。
従って、式(18)及び式(19)から分かるように、浮動基準内側測定位置ρI、
浮動基準位置ρR及び浮動基準外側測定位置ρOが確定した場合、同一波長下で温度変化による光束の変化量の比率ΔΦ(ρI, Cg, ΔT)/ΔΦ(ρR, Cg, ΔT)及びΔΦ(ρO, Cg, ΔT)/ΔΦ(ρR, Cg, ΔT)はいずれも定数であり、それぞれη1とη2を記述する。即ち:
そのために温度変化による拡散反射光強度の変化量はコモンモード干渉とすることができる。そのうち、光学パラメータが既知の被測定媒体に対して、式(18)及び式(19)によって定数η1とη2を計算することができる;光学パラメータが未知の被測定媒体に対して、測定して得られる拡散反射スペクトルを採用して、光学パラメータを再構成する方法によって、被測定媒体の光学パラメータを算出することができ、さらに式(18)及び式(19)によって定数η1とη2を計算し、或は血糖濃度が相対的に一定に保持される場合で、温度変化時の拡散反射光の変化量を繰り返し測定し、式(20)及び式(21)によって定数η1とη2の値を計算する(例えば、複数回の測定の平均値を取る)。
実際の測定過程では、ブドウ糖濃度がΔCg変化する同時に測定温度がΔT変化する場合、同一の径方向位置でこの二つ要因による光束Φ(ρ)の変化量ΔΦ(ρ, ΔCg, ΔT)は下記の通りである。
ただし、ΔΦ(ρ, ΔCg, T)は関心のある測定待ちの有用な信号であり、ΔΦ(ρ, Cg, ΔT)は径方向位置に関するコモンモード干渉信号である。
次に式(11)及び(22)によって、浮動基準内側測定位置ρI、浮動基準位置ρR及び浮動基準外側測定位置ρOでΔCgとΔTとによる光束Φ(ρ)の変化量ΔΦ(ρI, ΔCg, ΔT)、ΔΦ(ρR, ΔCg, ΔT)及びΔΦ(ρO, ΔCg, ΔT)は、それぞれ下記の通りである。
式(20)で式(23)と(24)を重み付け差分演算して下記の式を得ることができる。
式(26)から分かるように、温度変化による拡散反射光変化のコモンモード干渉量は、浮動基準内側測定位置ρI及び浮動基準位置ρRでの拡散反射光変化量の差分演算によって除去され、血糖濃度の変化のみに関する有用な信号を得ることができる。
類似的に、式(21)、(24)及び(25)によって、浮動基準外側測定位置ρO及び浮動基準位置ρRでの拡散反射光変化量の差分演算で同様に温度変化による拡散反射光変化のコモンモード干渉量を除去することができる:
式(26)及び(27)は、それぞれ浮動基準内側測定位置ρIでの信号と浮動基準外側測定位置ρOでの信号を採用して浮動基準位置ρRでの信号を結合し、血糖濃度の変化情報のみに関する有用な信号を効果的に得ており、コモンモードノイズの干渉を差し引いている。
式(20)及び(21)から分かるように、浮動基準内側測定位置ρIと浮動基準外側測定位置ρOが確定した場合、同一波長下で温度変化による二つの測定位置での光束の変化量の比率ΔΦ(ρI, Cg, ΔT)/ΔΦ(ρO, Cg, ΔT)も定数であり、η3と記する。
即ち:
そして、式(23)、(25)及び(29)によって、浮動基準内側測定位置と外側測定位置での測定信号を差分演算して下記の式を得る。
式(30)から分かるように、浮動基準内側測定位置ρIと外側測定位置ρOでの拡散反射光変化量の差分演算によって、同様に温度変化による拡散反射光変化のコモンモード干渉量を除去し、血糖濃度変化のみに関する有用な信号を得るという目的を達成することができる。なお、図4から分かるように、血糖濃度変化による浮動基準内側測定位置ρIと外側測定位置ρOでの拡散反射光の変化量の方向は反対になり、式(30)における差分演算方法を採用することは、微弱な有用な信号の絶対値も増加して、測定待ち信号の特異性を向上し、より正確な測定結果を得ている。
被測定媒体に干渉成分濃度変化によるコモンモード干渉信号は、類似的な方法を採用して差し引くことができる。
(2)測定システムにおいて光源ドリフト又は検出器状態ドリフト
入射光源の光強度がドリフトする、または拡散反射光を検出するための検出器状態がドリフトする場合は、いずれも拡散反射光強度値の変化を引き起こすことになる。入射光源の光強度がドリフトすることを例として、血糖濃度を相対的に一定Cgに保持し、入射光源の光強度がΔF倍変化する場合、同一径方向位置に対して引き起こされる光束Φ(ρ)の変化量ΔΦ(ρ, Cg, ΔF)は下記の通りである。
ただし、Φ0(ρ)はこの測定位置での拡散反射光強度の初期値を示す。光源から離れた径方向距離がρIとρOの二つの位置をそれぞれ浮動基準内側測定位置及び外側測定位置として取り、式(31)によって、浮動基準内側測定位置ρIと浮動基準位置ρRで入射光源の光強度のドリフトによる光束変化量の比率、及び浮動基準外側測定位置ρOと浮動基準位置ρRで入射光源の光強度のドリフトによる光束変化量の比率は、それぞれ下記の通りである。
式(32)と式(33)も任意の二つの測定位置に拡張することができる。式を変形し
て分かるように、任意の測定位置での光強度相対変化量
は全部同じであり、1つの固定値と見なすことができ、即ち図23において、光源ドリフト干渉だけある場合、その作用線は1つ横軸に平行な直線であり、このとき式(S−3)における
の値は約1になって、式(S−3)を式(S−4)に簡略化する。即ち、
(S-4)
図24は、intralipid 3%溶液に対して拡散反射光を測定する結果である。拡散光の出力電力を変更して光源のドリフトをシミュレーションし、五回連続して変更した後に、三つの異なる測定位置を見つけることができ、その拡散反射光強度の相対変化量が一貫性のある現象を呈し、即ちこのときξの値は約1と記することができる。
浮動基準内側測定位置ρI、浮動基準位置ρR及び浮動基準外側測定位置ρOが確定した場合、各測定位置での拡散反射光強度の初期値が既知で確定であるため、同一波長下で入射光源の光強度のドリフトによる光束の変化量の比率ΔΦ(ρI, Cg, ΔF)/ΔΦ(ρR, Cg, ΔF)及びΔΦ(ρO, Cg, ΔF)/ΔΦ(ρR, Cg, ΔF)は、いずれも定数であり、それぞれη4とη5を記し、即ち下記の式がある。
そのために、入射光源の光強度のドリフトによる拡散反射光強度の変化量は、コモンモード干渉とすることができる。ただし、η4およびη5の値は、血糖濃度が相対的に一定に保持されるときに、温度が変化するときの拡散反射光の変化量を繰り返し測定し、式(34)と(35)によって計算して得られる。
実際の測定過程においては、ブドウ糖濃度がΔCg変化すると同時に入射光源の光強度値がΔF倍ドリフトする場合、同一の径方向位置でこの二つ要因による光束Φ(ρ)の変化量ΔΦ(ρ, ΔCg, ΔF)が下記の通りである。
実際の測定過程では、ΔFが10-3〜10-2オーダーであり、乗積
は無視可能である。式(36)は下記のように記することができる。
ただし、ΔΦ(ρ, Cg, ΔF)は径方向測定位置に関するコモンモード干渉信号であり、ΔΦ(ρ, ΔCg, F)は関心のある測定待ちの有用な信号である。
そして式(11)及び(37)によって、浮動基準内側測定位置ρI、浮動基準位置ρR及び浮動基準外側測定位置ρOでΔCgとΔFとによる光束Φ(ρ)の変化量ΔΦ(ρI, ΔCg, ΔF)、ΔΦ(ρR, ΔCg, ΔF)及びΔΦ(ρO, ΔCg, ΔF)は、それぞれ下記の通りである。
式(34)で式(38)と(39)を差分演算して、下記の式を得ることができる。
式(38)から分かるように、入射光源の光強度のドリフトによる拡散反射光変化のコモンモード干渉量は、浮動基準内側測定位置ρIと浮動基準位置ρRでの拡散反射光変化量の差分演算によって除去され、血糖濃度変化のみに関する有用な信号を得ることができる。
類似的に、式(35)、(39)及び(40)によって、浮動基準外側測定位置ρO和と浮動基準位置ρRでの拡散反射光変化量の差分演算で同様に入射光源の光強度のドリフトによる拡散反射光変化のコモンモード干渉量を除去することができる。
式(41)及び(42)は、それぞれ浮動基準内側測定位置ρIでの信号と浮動基準外側測定位置ρOでの信号を採用して浮動基準位置ρRでの信号を結合して、血糖濃度変化情報のみに関する有用な除法を効果的に得ており、コモンモードノイズの干渉を差し引いている。
式(34)及び(35)から分かるように、浮動基準内側測定位置ρIと浮動基準外側測定位置ρOが確定した場合、同一波長下で入射光源の光強度のドリフトによる二つの測定位置での光束の変化量の比率ΔΦ(ρI, Cg, ΔF)/ΔΦ(ρO, Cg, ΔF)も定数であり、η6と記する。
即ち:
そして、式(38)、(40)及び(44)によって、浮動基準内側測定位置と外側測定位置での測定信号を差分演算して下記の式を得る。
式(45)から分かるように、浮動基準内側測定位置ρIと外側測定位置ρOでの拡散反射光変化量の差分演算によって、入射光源の光強度のドリフトによる拡散反射光の変化のコモンモード干渉量を除去し、血糖濃度変化のみに関する有用な信号を得るという目的を同様に達成することができ、かつ、浮動基準測定方法の普遍性を向上し、微弱な有用な信号の絶対値を増加している。
拡散反射光強度を検出するための検出器状態ドリフトによるコモンモード干渉信号は、類似的な方法を採用して差し引くことができる。
これから分かるように、操作503においては、第一と第二の径方向位置でのスペクトルデータを差分処理しており、2種類の異なる干渉要因が式(3)に示すような重み付け差分によってコモンモード干渉信号を除去することができる。ほかの異なる波長下で測定された拡散反射光信号を類似的な方法で修正して、重み付け差分処理された各波長下での有効信号ΔΦ(λi, Cg)を得ることができる。
本開示の実施例によれば、異なる受信方式を採用して異なる位置でのスペクトル信号を検出することができる。
同一被測定媒体の異なる被測定部位、異なる測定波長または異なる被測定媒体の変化に伴って浮動基準位置のオフセットがあまり大きくない場合、以下のように異なる位置での拡散反射スペクトルを抽出することができる。
1)図9(a)に示すように、光源からの浮動基準内側の位置(図4中のエリアA)でのスペクトル信号を測定点として受信し、浮動基準位置(図4中のエリアB)でのスペクトル信号を参考点として受信する;
2)図9(b)に示すように、絶対変化率が最も小さい受光点、即ちB点を浮動基準位置として選択し、変化率の局部的な極大値の受光点、即ちC点を測定点として選択する;
3)図9(c)に示すように、光源からの浮動基準内側の位置(図4中のエリアA)、浮動基準位置(図4中のエリアB)及び光源からの浮動基準外側の位置(図4中のエリアC)でのスペクトル信号を同時に受信し、浮動基準内側と外側のスペクトル信号を重み付け差分処理する。
同一被測定媒体の異なる被測定部位、異なる測定波長または異なる被測定媒体の変化に伴って浮動基準位置のオフセットが大きくて浮動基準位置を確定しにくい場合、以下のように異なる位置での拡散反射スペクトルを抽出することができる。具体的に,同一測定個体の異なる測定部位、異なる波長又は異なる測定個体に対して、光学パラメータの相違が浮動基準位置の確定に大きく影響するため、図3に示すように、測定部位、測定波長の変化に伴って,浮動基準位置が相応的に変化する。これによって、図 9(d)に示すように、光源からの浮動基準内側と外側とが同じノイズ情報を含む特征を利用して,浮動基準内側の受信半径を適当に縮小し、浮動基準外側の受信半径を増大して、各波長或は各部位での浮動基準位置がいずれも含まれないことを保証して、径向半径が浮動基準位置より小さい(図 4におけるエリアA)及び浮動基準位置より大きい(図 4におけるエリアC)拡散反射光をそれぞれ受信することによって,浮動基準位置の内外両側のスペクトルに対して重み付け差分分析計算をする。
図10(a)には本開示の実施例による光ファイバプローブ構造を模式的に示している。図10に示すように、この光ファイバプローブ1000はクラッドに被覆された複数の光ファイバ束1001、1003、1005及び1007を含むことができる。光ファイバ束毎に1本又は複数本のファイバを含むことができる。その中、光ファイバ束1001が光源からの入射光を案内するために用いられ、光ファイバ束1003、1005及び1007が被測定媒体からの拡散反射光を案内するために用いられる。より具体的に、光ファイバ束1003が浮動基準位置内側の径向位置からの拡散反射光を案内するために用いられ、光ファイバ束1005が浮動基準位置からの拡散反射光を案内するために用いられ、光ファイバ束1007が浮動基準位置外側の径向位置からの拡散反射光を案内するために用いられ、これらの光ファイバ束はN端から集束する。光ファイバ束1001に案内された入射光はM端から出射することができ、かつ、光ファイバ束1003、1005及び1007はM端から拡散反射光を受信することができる。これによって,M端は光ファイバプローブ1000の検知端面と呼ぶことができる。
ここで留意されたいことは、ここに記載の”光ファイバ束”はこれらの機能による論理的な区画である。物理的には、すべてのファイバが混在して、明確なグループ分けがない可能性がある。
なお,図10(a)には四つの光ファイバ束が示されているが,本開示がこれに限定されない。例えば、より多い、又はより少ない光ファイバ束を含んでもいい。そして,これらの光ファイバ束の配列も図10(a)に示すレイアウトに限定されない。例えば、各光ファイバ束中の光学がクラッド内に絡み合うことまでできる。
図10(b)−10(e)は本開示の異なる実施例の光ファイバプローブのM端での断面図をそれぞれ模式的に示している。図の中、各円形パターンは光ファイバ束におけるファイバの端面を示すことができる。
図10(b)に示すように、入射光を案内するための光ファイバ束1001は、ほぼ中心に位置することができる。光ファイバ束1003は光ファイバ束1001を回ってその周囲に設置することができ、光ファイバ束1007は光ファイバ束1001を回って、相対的に光ファイバ束1001から離れるように設置することができる。また、光ファイバ束1005は光ファイバ束1001を回って、光ファイバ束1003と1007との間に設置することができる。異なる被測定物の浮動基準位置の差異によって、異なるサイズの光ファイバプローブを設計することができる。
実際に測定する場合には、光ファイバ束1005の端面が浮動基準位置(もし存在し且つ確定する、或はそのおおよその範囲を分かる)にほぼ合わせ、光ファイバ束1003、1005和1007における拡散反射光信号(即ち、浮動基準位置及び浮動基準位置内側と外側位置でのスペクトル信号)を抽出することができるように、光ファイバプローブ1000を放置する。或は、光ファイバ束1003及び1007における拡散反射光信号(即ち、浮動基準内側と外側のスペクトル信号;例えば、浮動基準位置が正確に確定されていない場合或は光ファイバ束1005の端面が浮動基準位置のおおよそのエリアに大略に合わせられて浮動基準位置に正確に合わせられていない場合)、又は光ファイバ束1003及び1005における拡散反射光信号(即ち、浮動基準内側と浮動基準位置でのスペクトル信号)、又は光ファイバ束1005及び1007における拡散反射光信号(即ち、浮動基準位置と浮動基準外側のスペクトル信号)だけを抽出しても良い。
図10(C)は光ファイバ束1007を含めず、光ファイバ束1001、1003及び1005を含む配置を示している。このような配置で、浮動基準位置内側と浮動基準位置のスペクトル信号を受信することができる。
図10(d)は光ファイバ束1005を含めず、光ファイバ束1001、1003及び1007を含む配置を示している。このような配置で、浮動基準位置内側と浮動基準位置外側のスペクトル信号を受信することができる。
図10(e)は光ファイバ束1003を含めず、光ファイバ束1001、1005及び1007を含む配置を示している。このような配置で、浮動基準位置と浮動基準位置外側のスペクトル信号を受信することができる。
通常、浮動基準位置に対する光ファイバ束1005の端面と光ファイバ束1001の端面の間の距離は大体確定的な数値(上記の配置に、光ファイバ束1005の端面は光ファイバ束1001の端面を回る所定半径の円形状に現れる)である;ほかの光ファイバ束1003/1007の端面と光ファイバ束1001の端面の間の距離は一定の範囲(上記の配置に、光ファイバ束1003/1007の端面は光ファイバ束1001の端面を回るリング形状に現れる)を覆うことができる。
ここで留意されたいことは、図10(b)〜10(e)において、光ファイバ束1003、1005及び1007における各光ファイバの端面を、光ファイバ束1001を回って略円形状又はリング形状に緊密に配列するように示しているが、本開示はこれに限られない。例えば、これらは緊密に配列されなく、まばらに配列されても良い;或はこれらは完全な円形状又はリング形状パターンを構成しなく、このようなパターンの一部だけ構成しても良い。
実際の測定環境において、測定位置及び基準位置は物理的に実現可能な点からなる可能であるが、入射や出射にかかわらず、点以外、同じ特性の複数の点の集合からなる幾何図形であっても良く、円形状、リング形状、矩形状などを含む。
本開示の実施例によれば、光強度の相対変化量をスペクトルデータとして採用して差分して、濃度変化に関する測定情報のみを保留する。
発明者は、径方向位置ρに沿って光強度の相対変化量も線形又は線形近似を呈することを既に発見していた。以上の論述を参照し、例えば図23の説明を結合して分かるように、上記の差分処理は同様に光強度相対変化量に適用する。例えば、二つの径方向位置での光強度相対変化量を直接差分処理することによって、乗法性ノイズを除去することができる;二つの径方向位置での光強度相対変化量を上記のように因数ηを利用して重み付け差分処理することで、加法性ノイズを除去することができる。
図11はスペクトルデータを利用して濃度予測を行う一般的な原理を示している。図11に示すように、背景媒体又は基準媒体(背景媒体及び初期濃度の特定成分を含み)に一連の既知濃度{Ci}の特定成分を入れ、それに応じたスペクトルデータ{I(ρ)}をそれぞれ取得する。これらの既知濃度のデータ集合
と相応的なスペクトルデータの集合
によって、予測モデルを構築することができる。そして、背景媒体又は基準媒体に特定成分の未知濃度(或は濃度変化)C'iに対して、それに応じたスペクトルデータI'(ρ)(“Y”)を取得することができる。I'(ρ)と予測モデルMによって、濃度(“X”)を予測することができる。
上記のように、スペクトルデータは、各種の適合なデータ、例えば拡散反射及び/又は拡散散乱光の光強度変化や相対変化を含むことができる。
モデリングするときには、背景媒体又は基準媒体のスペクトルを初期スペクトルとして測定することができ、既知濃度{Ci}の特性成分が入れられた後のスペクトルを測定スペクトルとして測定することができ、これで光強度変化情報を取得することができる。予測するときには、同様に背景媒体又は基準媒体(基準媒体に特定成分の初期濃度がモデリングするとき基準媒体に特定成分の初期濃度と同じでも異なっても良く)のスペクトルを初期スペクトルとして測定することができ、特定成分濃度変化後のスペクトルを測定スペクトルとして測定することができ、これで光強度変化情報を取得することができる。予測されたものは濃度相対値(即ち、濃度変化量)であってもよく、初期値(背景媒体の場合は0;基準媒体の場合は上記初期濃度)を加えて濃度予測値を得ても良い。
本開示の実施例によれば、これらのスペクトルデータに対して上記の差分処理を行って、干渉要因の影響を効果的に除去することができる。例えば、計量化学方法を採用して予測モデルMを構築する。具体的に、差分処理が行われた後のデータに対して最小二乗法を採用してモデリングすることができ、さらに正味信号モデルを構築することができる。
予測モデルMは背景媒体/基準媒体と特定成分に対して予め構築され、例えばデータベース又はサーバに保存されることができる。必要の場合にデータベース又はサーバから予測モデルMを取得することができる。
ここで、このようなモデリング及び/又は濃度予測方法を提出している。図12を参照して、操作S1201において、スペクトルデータを取得することができる。例えば、モデリングするときには、既知濃度{Ci}の特定成分が入れられた後の背景媒体又は基準媒体に対して、スペクトルデータ(例えば、特定成分を入れる前に対しての光強度変化情報)を取得することができる;予測するときには、そのうち特定成分濃度が変化した背景媒体又は基準媒体に対して、スペクトルデータ(例えば、特定成分濃度変化前に対しての光強度変化情報)を取得することができる。続いて、操作S1203において、スペクトルデータに対して差分処理を行うことができ、例えば、光強度変化率の符号が異なる二つの位置でのスペクトルデータに対して差分処理を行う。そして、操作S1205において、処理された後の差分信号を利用してモデリング又は予測することができる。図12の処理は、モデリングに応用されると予測に応用されるときに基本的に同じであり、その区別は以下にある:モデリングするときには、特定成分の濃度が既知であり、濃度(
)とスペクトルデータ(
)によって予測モデル(M)を得ることである;予測するときには、特定成分の濃度(或は濃度変化)が未知であり、スペクトルデータ(Y)と予測モデル(M)によって予測濃度(或は濃度変化)(X)を得ることである。
本開示の実施例によれば、このようなモデリング/予測方法は人体非侵襲的血糖濃度測定に応用することができる。この場合、プローブ光の波長は約1.0〜2.4μmの範囲内にあって良い。
一例によれば、モンテカルロシミュレーションの方法によって5% intralipid溶液の浮動基準位置を確定することができ、入射光子数の変化によって光源のドリフトをシミュレーションすることができる。
図13は濃度が5%であるintralipid溶液に対するモンテカルロシミュレーションの浮動基準位置計算結果である。シミュレーションに用いられる、吸収係数、散乱係数、各異方性因子及び散乱係数を含む光学パラメータは、Tamara L. Troy & Suresh N. Thennadil, Optical properties of human skin in the near infrared wavelength range of 1000 to 2200 nm, Journal of Biomedical Optical, 2001, 6(2):167-176.からのものであり、シミュレーションの波長範囲は1100〜1600nmである。ブドウ糖濃度はそれぞれ0〜100mMであり、間隔が10mMであり、光子数が109である。異なるブドウ糖濃度下でのintralipid溶液による拡散反射光とブドウ糖が含まれない純粋なintralipid溶液による拡散反射光の差を算出して、波長範囲が1100〜1600nmで、浮動基準位置が約0.9〜2mmの範囲内に変化することを分かることができる。同一被測定個体又はサンプルの基準位置は異なる波長下で大きな差があることを示している。
したがって、図9(d)に示す拡散反射光受信方案を採用することができる。具体的に、光源からの浮動基準内側、外側の両位置でのスペクトルを同時に受信する。図14は入射光子数が109の場合に、1300nm波長下でブドウ糖濃度が50mMと100mM変化するときの拡散反射光光子数変化量の図。
通常、測定された信号をブドウ糖濃度変化による有用な信号IS及び人体生理背景又は外部環境変化に関するノイズ信号INに分ける、即ち、
ただし、ISはブドウ糖濃度Cgに関連しており、INは主に光源ドリフト、温度、圧力、変位などの物理的要因によって影響される。ここで、光源ドリフトによるノイズ干渉のみを考えるようにする。これによって、光源ドリフトと血糖濃度変化とによる光強度測定値Iの変化は下記の通りである。
ただし、ρは検出器と光源の径方向距離(モンテカルロシミュレーションに球座標の径方向半径位置)であり、ΔCgは血糖濃度の変化量であり、ΔNは背景の変化量である。ΔIS(ρ, ΔCg, N)は有効なブドウ糖濃度情報であり、この部分の情報が必要である。背景干渉信号であるΔIN(ρ, Cg, ΔN)はブドウ糖濃度情報に関連しなく、かつ、通常不規則に変化して、ΔI(ρ, ΔCg, ΔN)からブドウ糖濃度変化情報を抽出し難しいことに至る主な理由である。
基準位置ρRで、拡散反射光強度はブドウ糖濃度変化に敏感でなく又はブドウ糖濃度変化に関連しなくて、下記がある:
基準位置での光強度変化は完全に背景干渉によって引き起こされて、下記がある:
相応的に、浮動基準内側と外側測定位置での拡散反射光強度変化は、それぞれ下記の通りである。
基準位置ρRでの背景干渉変化ΔIN(ρR, Cg, ΔN)、と測定位置での背景干渉変化との間の内因性関係は、固定的なものであるので、
ただし、η1及びη2は比例係数である。留意されたいことは、異なる径方向位置又は異なる測定半径を測定位置として選択する場合、得られる倍数関係が異なり、即ち適当な重み付け係数を選択すべきである。実際の測定過程においては、ブドウ糖濃度が相対的に一定に保持されるときに繰り返し測定することによって得られることができる。式(49)〜(53)によって差分演算で下記の有効なブドウ糖信号表現式を求めることができる。
式(54)によって、浮動基準内側及び浮動基準測定位置の情報だけを採用して、さらに計量化学モデリング分析を行うことができる;式(55)によって、浮動基準外側及び浮動基準位置の情報だけを採用して計量化学モデリング分析を行うことができる。浮動基準位置の情報を完全に採用しない場合、式(52)と(53)を除算して下記の式を得ている。
これによって、浮動基準内−外側受信方案を採用して、有効な測定信号ΔII-O(ΔCg)を得ることができる。
浮動基準位置に基づく拡散反射信号を差分処理して得られた血糖情報は、直接測定して得られた拡散反射光強度変化情報に比べて、より高い特異性を有しており、実際の測定における背景干渉を効果的に差し引いている。
本実施例は、入射光子数を変更することによって光源のドリフトをシミュレーションしており、変化範囲が±20%である。図13から分かるように、波長1300nmで、ブドウ糖の浮動基準位置が約1.3mm付近であるので、図14中のエリアAのように、径方向位置が0.7〜0.9mmの位置を浮動基準内側測定位置として選択することができて、測定されたスペクトルがI(ρI)である;図14中のエリアBのように、径方向位置が1.3mmの位置を浮動基準位置として選択して、測定されたスペクトルがI(ρR)である;図14中のエリアCのように、径方向位置が1.8mm〜2.0mmの位置を浮動基準外側測定位置として選択して、測定されたスペクトルがI(ρO)である。
溶液中にブドウ糖が含まれず、即ち光源ドリフトのノイズ信号のみが含まれる場合には、同一測定位置が光源ドリフトで相応的なノイズ信号を発することになる。モンテカルロシミュレーションの結果によって得られる、異なる入射光子数で異なる測定位置での拡散反射光子数を表1に示す。入射光子数が109から±20%変化する場合には、相応的な測定位置で拡散反射光子数の変化量を表2に示す。なお、拡散反射光子数の相対変化量は表2−1に示される。これから分かるように、三つの測定位置で、拡散反射光子数の相対変化量は基本的に一致している。したがって、任意の二つ位置の拡散光子数の相対変化量の比率ξは約1である。
このときブドウ糖濃度が変わらないため,測定された信号変化量は完全に光源ドリフトの変化によって引き起こされるものであり、即ち、このとき測定された信号変化量はノイズ信号であると考えられる。したがって、表3に示すように、異なる測定位置でのノイズ干渉の比率を計算することができる。
表3
表3における任意の二つの位置でのノイズ干渉の絶対変化量の比率も、以下の方法によって直接取得される。
ξはもう1と確定されるため,表3−1に示すように、式(S−3)を利用して直接に
ηの値を取得することができる。
表3と表3−1とを比較して、実際に得られたηの値は式(S−3)を採用して推定されたηの値と基本的に一致している。
表3と3−1から分かるように、ブドウ糖濃度が変化せず、光源のみドリフトする場合には、下記の通りである:
浮動基準内側測定位置信号の変化量ΔIN(ρI, ΔCg, ΔN)は、浮動基準測定位置信号の変化量ΔIN(ρR, ΔCg, ΔN)の約7.0倍であり、即ち、ΔIN(ρI, ΔCg, ΔN)=7.0ΔIN(ρR, ΔCg, ΔN);
浮動基準外側測定位置信号の変化量ΔIN(ρO, ΔCg, ΔN)は、浮動基準測定位置信号の変化量の約1.06倍であり、即ち、ΔIN(ρo, ΔCg, ΔN)=1.06ΔIN(ρR, ΔCg, ΔN);
浮動基準内側測定位置信号の変化量ΔIN(ρI, ΔCg, ΔN)は、浮動基準外側測定位置信号の変化量ΔIN(ρO, ΔCg, ΔN)の6.6倍であり、即ち、ΔIN(ρI, ΔCg, ΔN)=6.6ΔIN(ρO, ΔCg, ΔN)。
ブドウ糖濃度と光源は何れも変化する場合には、浮動基準位置での光強度変化がブドウ糖濃度変化に関連せず、即ち、この位置での光強度変化が完全に光源ドリフトによって引き起こされるものであるため、式(54)と式(55)によって得られる浮動基準内側と外側のブドウ糖濃度変化による有用な信号はそれぞれ下記の通りである。
それぞれ六つの異なる濃度のブドウ糖拡散反射スペクトルを選択して、対応するブドウ糖濃度と入射光子数を表4に示す。
光源ドリフトに対して修正しない場合に、図15に示すように、ブドウ糖濃度がそれぞれ20、40、60、80及び100mM変化する場合、光源から離れた異なる径方向位置での拡散反射光子数変化曲線が得られており、即ち、拡散反射光強度を測定する曲線は、ブドウ糖濃度によって規則的な逓増又は逓減変化を呈することがない。つまり、光源ドリフトによる信号変化はブドウ糖濃度変化の特徴信号を覆っている。
同様に浮動基準内側測定位置を0.7〜0.9mmに、基準位置を1.3mm、外側測定位置を1.8〜2mmに取る。光源ドリフトに対して修正する前に、表5に示すように、ブドウ糖濃度変化下で各測定位置での拡散反射光子数変化値が得られる。
式(58)と(59)を採用して浮動基準位置の情報を結合して浮動基準内側と外側測定位置拡散反射光子数変化量に対してそれぞれ光源ドリフトの修正を行っており、計算結果を表6に示す。
図16から分かるように、浮動基準内側測定位置で、ブドウ糖濃度変化の増大に伴い、拡散反射光子数は順に逓減するように変化し、変化量が負値である;浮動基準外側測定位置で、ブドウ糖濃度変化の増大に伴い、拡散反射光子数は順に逓増するように変化し、変化量が正値である。すなわち、光源ドリフトの影響を効果的に除去している。
完全に浮動基準位置での測定情報を採用しないと、上記の計算から分かるように、浮動基準内側測定位置信号の変化量ΔIN(ρI, ΔCg, ΔN)が浮動基準外側測定位置信号の変化量ΔIN(ρO, ΔCg, ΔN)の約6.6倍であり、即ち、ΔIN(ρI, ΔCg, ΔN)=6.6ΔIN(ρO, ΔCg, ΔN)、式(57)によって測定された浮動基準内側と外側測定信号に対して重み付け差分演算を行って下記になる。
即ち、得られた信号は浮動基準内側と外側有効信号の加重和であり、完全に光源ドリフトによるノイズを除去している。
式(60)を採用し、完全に浮動基準位置情報を採用せず、浮動基準位置内側と外側測定信号のみを採用して上記のブドウ糖濃度変化だけでなく光源ドリフトも存在する情況に対して修正して、算出された異なるブドウ糖濃度変化でのΔII-O(ΔCg)結果を表7に示す。結果に表われることは、ブドウ糖濃度変化量の逓増に伴い、浮動基準内側と外側測定信号に対する重み付け差分処理によって得られた有効信号ΔII-O(ΔCg)が順に逓増する傾向を呈し、光源ドリフトによるコモンモード干渉の影響を効果的に除去していることである。
その他の異なる波長下で測定されたスペクトル信号に対して類似的な方法を採用して光源ドリフトの修正を行い、さらに重み付け差分処理を行って得られた各波長下での有効信号ΔIS(λi)をそれに対応する一系列の参考濃度パラメタと結合して、部分最小二乗数理モデルを構築し、未知濃度スペクトル濃度の予測を行うことができる。
別の一例によれば、モンテカルロシミュレーションの方法によって、光源からの浮動基準内側−外側を受信方案として測定待ち対象温度が変化するときの情況を分析することができる。
2%のintralipid溶液に対して、波長が1400nmより大きいの場合、浮動基準位置がなくなり、つまり、波長が1400より大きいの場合、浮動基準測定方法の理論が適用されなくなることを発見した。そのために、ここで濃度が2%のintralipid溶液をモデルとして、波長1600nm下でのブドウ糖濃度と温度とによる拡散反射光の変化情況に対してモンテカルロシミュレーションを行う。ブドウ糖濃度変化範囲が0〜100mMであり、間隔が20mMである;温度変化範囲が32℃〜40℃であり、間隔が0.5℃である;入射光子数が1011であり、サンプルを経過して拡散反射された絶対光子数を出射光とする。温度変化する場合には、吸収係数と散乱係数の変化量がそれぞれ下記の通りである。
1600nmを例として、温度のみを変化させて、32度の出射光を基準として、得られる温度による拡散光の相対変化量を図25に示す。
これから分かるように、光源−探触子距離が2mmの付近に、温度変化に敏感でない位置があり、それを「温度基準位置」と呼ぶすることができる。それに、光源から一定の距離を離れた後、一定の範囲に、異なる位置の間の光強度相対変化量が線形に近似した変化規則を呈する。注意されることは、光源からあまり離れすぎた後、出射光が急に下がるため、ノイズ影響が大きくなり、このとき測定が大きな影響を受けることになる。ここで、ノイズが大きすぎるの情況を考えないようにする。二つの測定位置を固定すると、図25によって、ξの値を推定することができる。また式(S−3)を利用して、ηの値を直接取得することができる。ηの値を精確に取得するために、以下、温度変化した後で実際に生じられたノイズ量によって計算する。
温度が32℃、35℃、38℃及び40℃でブドウ糖濃度が60mM及び100mM変化するとき異なる位置での拡散反射光変化量をそれぞれ取って、図17に示す分布図が得られる。図から分かるように、この波長で、私たちは浮動基準位置がないと考えることは、ブドウ糖濃度の変化による感度がほぼゼロに常に保持されるある一つの径方向位置が実際にないことである。しかしながら、いかなる一つの温度で、ブドウ糖濃度の変化による拡散反射光の変化量が常に負値になる径方向位置があり、それにこのエリア内の拡散反射光の変化量はより高い絶対値と安定性を有する。そのため、このエリアで二つの径方向位置を二つの測定位置として選択し、浮動基準位置がない場合のコモンモード干渉ノイズを除去するために用いることができる。
径方向位置0.6〜1mmを測定位置1として、径方向位置1〜2mmを測定位置2として選択する。溶液にブドウ糖が含まれない場合、即ち温度による変化しかない場合、異なる径方向位置は温度の変化に伴って相応的なノイズ信号を生じることになる。モンテカルロシミュレーションによって、異なる温度で異なる径方向測定位置での拡散反射光子数を得ることができる。36℃を基準として、温度が32℃から40℃まで変化する場合、即ち、温度が±4℃変化する場合、二つの測定位置で検出された拡散反射光子数の変化量を表8に示す。
このときブドウ糖濃度が変わらないため、測定された信号変化量が完全に温度変化によって引き起こされるものであり、即ち、このとき測定された信号変化量がノイズ信号と考えられる。そのため、二つの測定位置でノイズ干渉の比率を計算することができ、温度変化で、測定位置2の拡散反射光子数変化量と測定位置1の拡散反射光子数変化量の比率が約0.17である。即ち、下記のように記することができる。
したがって、ブドウ糖濃度と温度が全部変化する場合、式(63)によってρ1とρ2での拡散反射光の変化量に対して差分演算を行って、得られるブドウ糖濃度変化による、温度によるコモンモード干渉を除去する有効信号は、下記の通りである。
ランダムで六つの異なる温度で異なる濃度のブドウ糖拡散反射光を選択して、ブドウ糖濃度と温度の間の相関係数が−0.01918であるため、両者の間に関係がないと考えられ、これで実際の測定過程においてブドウ糖濃度が変化すると同時に温度が不規則的なドリフトを発生する情況をシミュレーションしており、対応するブドウ糖濃度及び温度の情況は表9に示すとおりである。
第一グループのデータを測定開始時刻の状態として、温度変化による干渉信号に対して修正しない場合に、図18に示すように、ブドウ糖濃度がそれぞれ20、40、60、80及び100mM変化する場合、同じの二つの測定位置での拡散反射光子数の変化曲線が得られる。図の中で拡散反射光強度変化量を測定する曲線は、ブドウ糖濃度の変化によって規則的な逓増又は逓減変化を呈することがなく、温度変化による信号変化はブドウ糖濃度変化の特徴信号を覆っている。
式(64)を採用して二つの測定位置での拡散反射光子数変化量に対して温度変化の修正を行って、計算結果は図18における曲線に示す通りである。図から分かるように、二つの測定位置での信号の重み付けと修正後の信号を採用して、その絶対値が修正前の二つの測定位置での信号値より小さくなるが、曲線の絶対値がブドウ糖濃度の変化に伴って規則的な逓増変化を呈して、温度ドリフトによるコモンモード干渉を除去するという目的を達成している。
別の一例によれば、SLD光源に基づく多環式光ファイバ測定システムを採用して、濃度が3%のintralipid溶液を測定待ち対象として、光源がドリフトする場合の情況を分析する。
実験分析によって測定されることは、波長が1219nmである場合、濃度が3%のintralipid溶液のブドウ糖の浮動基準位置がおよそ3.0〜3.2mmのところにあることである。これによって、この位置を多環式光ファイバプローブに浮動基準位置信号検出リングとして選択する。加工工程に対する考慮から、径方向位置が0.24〜0.96mmの位置を内側測定位置信号検出リングとし、3.2〜4.1mmの位置を外側測定位置信号検出リングとして、図10(a)に示すような構造の多環式光ファイバプローブが作製された。
実験過程では、ランダムでSLDの電力を変更して光源の不規則的なドリフト現象をシミュレーションして、波長が1219nmになるときに、異なる時刻での三つの径方向位置での拡散反射光強度を測定し、一回目の測定値を測定の初期状態と仮定して、光源がドリフトを発生する場合、拡散反射光の変化量は当時状態の光強度測定値と初期状態ときの光強度値で差分計算を行って得られる。これによって、光源ドリフトによる三つの測定位置での拡散反射光信号値の変化量の比率を算出することができる。計算によって得られることは、浮動基準外側測定位置での光源ドリフトによる拡散反射光信号値の変化量が浮動基準位置での信号変化量の約0.84場合であり、浮動基準位置での信号の変化量が浮動基準内側測定位置での信号変化量の約0.7倍であり、浮動基準外側測定位置での信号の変化量が内側測定位置での信号の変化量の約0.58倍である。これらを光源状態とブドウ糖濃度が同時に変化するときの差分比例係数として信号の修正を行うために用いており、即ち、下記のように近似的に考えられる。
次いで、濃度が3%のintralipid溶液を母液として、ブドウ糖濃度範囲が1000〜6000mg/dL、間隔が1000mg/dLの六つのサンプルを配置して、ランダム順に六つのブドウ糖intralipid溶液を測定し、測定過程中に同時にSLDの電力を変更して光源の不規則的なドリフト現象をシミュレーションして、異なる時刻での三つの径方向位置での拡散反射光強度を測定し、サンプル溶液の拡散反射光強度と初期状態時の拡散反射光強度に対して差演算を行って、光源ドリフトとブドウ糖濃度が同時に変化するときに三つの測定位置での拡散反射光の変化量を算出しており、結果は図19に示すとおりである。結果から分かるように、光源ドリフトがブドウ糖濃度の検出に大きな影響を与え、光源ドリフトのランダム性によって、三つの位置で測定された信号はいずれもブドウ糖変化との間の線形関係を失ってしまい、即ち、光源ドリフトによる拡散反射光強度信号の変化量はもう完全にブドウ糖濃度変化の有効情報を覆っているため、測定された光強度信号を修正する必要がある。
式(65)、(66)及び(67)の比例関係によって、式(54)、(55)及び(57)を採用してブドウ糖濃度変化と光源ドリフトとによって共同で引き起こされた拡散反射光強度信号を修正しており、結果は図19に示すとおりである。結果から分かるように、任意の二つの位置の信号を採用して重み付け差分処理を行い、修正後の光強度信号はいずれもブドウ糖濃度変化と明らかな線形関係を呈し、ブドウ糖濃度検出に対する光源ドリフトの影響が減少又は除去され、さらにブドウ糖濃度変化の有効情報を効果的に抽出することができる。なお、結果からも分かるように、内リングと基準リング測定位置での信号、および外リングと内リング測定位置での信号を採用して修正された有効信号は、外リングと基準リング測定位置での信号を採用して修正された有効信号より明らかに大きくなっており、これは、光源からの径方向距離の増大に伴い、拡散反射光強度値は式指数的に減衰する。それに内リング及び外リングを採用する修正効果と内リング及び基準リングを採用する効果が伯仲しているが、内リング及び外リングを採用して信号検出と修正を行う場合、基準リングでの測定信号を採用しなくなり、浮動基準位置に対する測定波長、被測定対象自身状態などの変化の影響を受けなくても良く、当該信号修正方法の普遍性を効果的に強めている。
上記の分析において、濃度が3%の純粋なintralipid溶液で光源ドリフトによる比例係数を算出し、それを測定の初期状態として後続の信号処理を行う。同様に、類似的なステップに従って、異なる濃度を含むブドウ糖溶液サンプルで、最初に光源のランダムのドリフト下で相応的な比例係数を計算して、さらにこの濃度サンプルを測定の初期状態として後続の信号処理を行うことができる。ブドウ糖濃度が3000と6000mg/dLのサンプルをそれぞれ採用してスペクトル修正に用いられる比例係数を算出し、それを測定の初期状態としてスペクトル信号の修正を行い、図20と図21に示すようなブドウ糖濃度が3000と6000mg/dLのサンプルをそれぞれ初期状態として信号修正を行った結果を得ており、図から分かるように、異なる濃度のブドウ糖溶液を初期状態として、光源ドリフトによるコモンモード干渉を減少又は除去するという目的を同様に達成することができ、それに内側と外側測定位置での信号、及び内側と浮動基準位置での信号を採用して修正された効果が、外側と浮動基準位置での信号を採用して修正された効果より優れるように同様に現れており、得られた結論は純粋なintralipid溶液を初期サンプルとして信号修正を行う場合と一致している。また注意されたいことは、どのようなブドウ糖濃度のサンプルを初期状態として信号修正を行う場合でも、得られた修正後の結果は全部初期状態でのブドウ糖濃度情報に対する変化量であるため、異なる測定時刻でのブドウ糖濃度測定値がこの変化量と初期状態でのブドウ糖濃度値の和になるべきである。
図22は本開示実施例による測定システムの配置例を示している。
図22に示すように、当該測定システムは、光源2201、光源2201からの光を光ファイバに結合されるように適合するための結合システム2203、光ファイバプローブ2205、及び処理装置2209を含むことができる。
光源2201は、必要な波長の光を発射可能な各種の適切な光源を含むことができる。例えば、近赤外範囲で、ハロゲンランプを連続光源として使用することができる。或は、光源2201はスーパーコンティニウムパルスレーザ光源も含むことができる。
結合システム2203は、光源2201からの光を直線偏光に変換するためのグランプリズム2203−1、グランプリズム2203−1からの直線偏光を偏光状態が0次光と直交する+1次光(或は−1次光)に分光(回折)するための音響光学チューナブルフィルタ(AOTF)2203−2、グランプリズム2203−1と直交して設けられて0次光を除去するためのグランプリズム2203−3、およびグランプリズム2203−3からの+1次光(或は−1次光)を後継デバイスに結合するためのカプラ2203−4を含むことができる。
ここで留意されたいことは、図22は結合システムの1つ具体的な例を示しているが、本開示がこれに限らない。業業者は、複数の結合システムを知っており、光源からの光を光ファイバシステムに結合することができる。
光ファイバプローブ2205は例えば前に図10を参照して説明した構造を含むことができる。具体的に、結合システム2203は光源からの光を光ファイバプローブ2205の入射光ファイバ束(例えば、図10中の1001)に結合することができ、入射光ファイバ束は、光を被測定媒体2207に案内することができる。そして、光ファイバプローブ2205中のプローブ光ファイバ束(例えば、図10中の1003、1005及び1007の二つ以上)は被測定媒体2007の拡散反射光を処理装置2209に案内することができる。
処理装置2209は、探触子2209−1(例えば、光電探触子)を含むことができ、光ファイバプローブからの光信号を探知するために用いられ、それを電信号に変換してさらなる処理に供することができる。光ファイバプローブの配置によって、探触子2209−1は、複数の径方向位置(例えば、浮動基準位置内側、浮動基準位置及び/又は浮動基準外側)でのスペクトルデータを探知することができる。
処理装置2209はプロセッサ2209−2を更に含める。プロセッサ2209−2は、探触子2401に探知されたスペクトルデータに対して上記のような差分処理を行うように配置されることができる。具体的に、プロセッサ2209−2は、被測定媒体における特定成分の濃度変化の伴って拡散反射光の光強度が異なる符号の変化率を有する二つの径方向位置を選択し、この二つの径方向位置でのスペクトルデータに対して重み付け差分処理を行うことができる。
プロセッサ2209−2は、例えば汎用コンピューター、専用集積回路(ASIC)、FPGAなどの各形式の計算設備を含むことができる。プロセッサ2403は、記憶装置に記憶されるプログラム、コードセグメントなどをロードすることによって、上記のような各方法、プロセスに従って動作して、スペクトルデータ差分処理、モデルの構築及び濃度予測を実現することができる。
該処理装置2209は、例えばマウス、キーボードなどの、ユーザの命令、データなどを入力するための入力装置2209−3と、例えばディスプレイなどの、プロセッサ2403の処理結果(例えば、分離した散乱信号/吸収信号、予測結果など)を出力するための出力装置2209−4と、をさらに含める。入力装置2209−3及び出力装置2209−4は組み合ってタッチパネルとして実現されることができる。
本開示の技術は、データ処理装置で実行できるアルゴリズムのプログラムを含むように実現でき、あるいは、非一時的なコンピューター読み取り可能な媒体に記憶されて提供されることができる。
本開示の技術はコンピューターの読み取り可能な媒体におけるコンピューター読み取り可能なコードとして実現されることができる。コンピューター読み取り可能な媒体は、コンピューターの読み取り可能な記録媒体及びコンピューター読み取り可能な伝送媒体を含む。コンピューター読み取り可能な記録媒体は、データをその後コンピューターシステムにより読み取る可能なプログラムとして記憶する任意のデータ記憶装置である。コンピューター読み取り可能な記録媒体の例示は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、シーディーROM(CD-ROM)、テープ、ディスク及び光データの記憶装置を含む。コンピューター読み取り可能な記録媒体はインターネットに接続されるコンピューターシステムにおいて分布されてもよく、これにより、分散的な形式によってコンピューター読み取り可能なコードを記憶して実行する。コンピューター読み取り可能な伝送媒体は、搬送波又は信号によって伝送されることができる(例えば、インターネットを介する有線又は無線データ伝送)。また、本開示技術を実現する機能プログラム、コード及びコードセグメントは、本発明の全体構想の本分野のプログラマーにより容易に解釈されることができる。
以上、複数の実施例に本開示の複数の特徴をそれぞれ説明している。しかしながら、これは、これらの特徴が有利に結合されて使用できないことを意味しない。
以上、本開示の実施例を説明している。しかしながら、これらの実施例は説明するためものであり、本開示の範囲を限定しない。本開示の範囲は権利請求項及びその等価物により限定される。本開示の範囲を逸脱しない限り、当業者は複数の置換及び補正を行え、これらの置換及び補正は全て本開示の範囲に含まれるべきである。
Claims (23)
- スペクトルデータに基づき、基準に対し、被測定媒体中の検出される特定の成分の濃度の変化を予測する方法であって、
プロ―ブ等から被測定媒体に光を照射する工程と、
基準位置に基づいて第1の径方向位置および第2の径方向位置を選択する工程と、
さらに、前記基準に対する濃度変化を原因とする、第1の径方向位置における媒体に関する第1のスペクトルデータと第2の径方向位置における媒体に関する第2のスペクトルデータとを取得する工程と、
第1のスペクトルデータと第2のスペクトルデータとの間の差分を計算する工程と そして計算された差分に基づいて特定の成分の濃度変化を予測する工程と、を備え、ここで、第1の径方向位置、第2の径方向位置、および基準位置はそれぞれ、媒体を 通過する光の経路上の半径方向位置であって、基準位置は、拡散反射光および/または拡 散透過光の強度が、特定の成分の濃度の変化と共に、実質的に最小の絶対値を有する変化率で変化する半径方向位置を示す、ことを特徴とする方法。 - 前記第1の径方向位置で検出される拡散反射光および拡散透過光の強度は、媒体中の特 定成分の濃度の変化と共に、第1の変化率で変化するものであって、前記第2の径方向位置で検出される拡散反射光および/または拡散透過光の強度は、媒体中の特定の成分の濃度変化と共に、第2の変化率で変化するものであり、前記第1の径方向位置と前記第2の径方向位置とは、第1の変化率と第2の変化率とが 異なる符号を有するように選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 前記第1の変化率は正の符号を有する一方、前記第2の変化率は負の符号を有するか、 または前記第1の変化率は正の符号または負の符号を有する一方、第2の変化率は実質的にゼロであることを特徴とする請求項2記載の方法。
- 前記基準位置における前記変化率が実質的にゼロである、請求項1に記載の方法。
- 前記第1の径方向位置と前記第2の径方向位置とを選択する工程では、
(a)基準位置よりも光源に近い位置を第1の径方向位置として選択する一方、基準位置よりも光源から遠い位置を第2の径方向位置として選択するか、或いは(b)第1の径方向位置として基準位置を選択する一方、第2の径方向位置として基準位 置よりも光源に近い位置を選択するか、或いは、 (c)第1の径方向位置として基準位置を選択する一方、第2の径方向位置として基準位 置よりも光源から遠い位置を選択する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 前記(a)の場合、基準に対する濃度変化によって引き起こされる基準位置での第3の スペクトルデータを取得する工程をさらに含むことを特徴とする請求項5記載の方法。
- 前記第1のスペクトルデータおよび前記第2のスペクトルデータはそれぞれ、前記基準に対し前記媒体について測定された光強度の変化を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記差分を計算する工程は、第1の径方向位置における光強度変化から係数又は因子で あるファクタηによって重み付けされた第2の径方向位置における光強度変化を減算する 工程を含む、請求項7に記載の方法。
ここで、前記ファクタηは、第1の径方向位置における拡散反射光および/または拡散 透過光の光強度変化と同じ干渉ファクタによって生じる第2の径方向位置における光強度 変化との比である一方、特定成分の濃度は実質的に非変化を維持するものである。 - 前記ファクタηが前記媒体の光学パラメータから計算される、請求項8に記載の方法。
- 前記媒体の前記光学パラメータは、前記光学パラメータ逆構成法によって得られる、請求項9に記載の方法。
- 前記ファクタηが複数の測定によって得られる、請求項8に記載の方法。
- 前記ファクタηは、前記基準に対する前記第1の径方向位置における前記光強度と、前 記第2の径方向位置における前記光強度との間の比に、ある固定ファクタを掛けることに よって推定される、請求項8に記載の方法。
- 前記固定ファクタは、前記第1の径方向位置と前記第2の径方向位置とに基づいて推定 される、請求項12に記載の方法。
- 前記第1のスペクトルデータおよび前記第2のスペクトルデータはそれぞれ、前記基準に対し前記媒体について測定された光強度の相対変化を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記予測は、ある予測モデルに基づいて実行され、前記予測モデルは、以下の工程によ って確立される、請求項1に記載の方法。
ここで、一連の媒体の各媒体について、媒体は、背景媒体または基準媒体に特定の成分 をそれぞれ既知の濃度で加えた背景媒体または参照媒体を含み、参照媒体とは、背景媒体 および初期濃度の特定の構成要素からなり、 更に、光照射工程と、背景媒体または基準媒体に対する濃度変化を原因とする第1の径方向位置における媒体の第1のスペクトルデータと、背景媒体または基準媒体に関する濃度変化を原因とする第2の径方向位置における媒体の第2のスペクトルデータとを取得する工程を含み、ここでは第1の径方向位置および第2の径方向位置は任意に選択され、 更にまた、前記第1のスペクトルデータと第2のスペクトルデータとの間の差分を計算する工程と、そして、それぞれの既知の濃度および対応する計算された差分に基づいて予測モデルを確立する工程とを含む。 - 前記方法が血糖濃度の非侵襲的検出に使用される、請求項15に記載の方法。
- 前記照射された光が、約1.0ないし2.4μmの範囲の波長を有する、請求項16に記載の方法。
- 前記請求項1に記載の方法を実施する装置であって、媒体からの拡散反射光および/または拡散透過光のスペクトルデータを検出して内部の特定成分を検出するように構成される探触子等の検出器と、基準位置に基づいて第1の径方向位置および第2の径方向位置を選択する手段と、前記検出器を使用することによって、基準に対する特定の成分の濃度の変化に よって引き起こされる第1の径方向位置および第2の径方向位置におけるスペクトルデータを取得し、そして、第1の径方向位置と第2の径方向位置で検出されたスペクトルデータ間の差分を計算するように構成されるプロセッサと、を備える処理装置。
- 前記第1の径方向位置で検出される拡散反射光および拡散透過光の強度は、媒体中の特定成分の濃度の変化と共に第1の変化率で変化し、前記第2の径方向位置で検出される拡散反射光および拡散透過光の強度は、媒体中の特定成分の濃度の変化と共に第2の変化率で変化し、前記第1の径方向位置と第2の径方向位置とは、前記第1の変化率と第2の変化率とが 異なる符号を有するように選択されることを特徴とする請求項18に記載の処理装置。
- スペクトルデータに基づき、基準に対し、被測定媒体中の検出される特定の成分の濃度 の変化を予測する方法であって、
プロ―ブ等から被測定媒体に光を照射する工程と、
基準位置に基づいて第1の径方向位置および第2の径方向位置を選択する工程と、
さらに、前記基準に対する濃度変化を原因とする、第1の径方向位置における媒体に関する第1のスペクトルデータと第2の径方向位置における媒体に関する第2のスペクトルデータとを取得する工程と、
第1のスペクトルデータと第2のスペクトルデータとの間の差分を計算する工程と、
そして計算された差分に基づいて特定の成分の濃度変化を予測する工程と、を備え、
ここで、第1の径方向位置、第2の径方向位置、および基準位置はそれぞれ、媒体を 通過する光の経路上の半径方向位置であって、第1の径方向位置および第2の径方向位置 は、拡散反射光および/または拡散透過光の強度が、媒体中の特定の成分の濃度の変化と 共に、第1変化率及び第2変化率で変化し、第1の径方向位置と第2の径方向位置は第1変化率及び第2変化率が異なる符号を有するように選択される、ことを特徴とする方法。 - 請求項20記載の方法において、前記第1の変化率は正の符号を有する一方、前記第2の変化率は負の符号を有するか、 または第1の変動率は正の符号または負の符号を有し、第2の変動率は実質的にゼロであることを特徴とする方法。
- 請求項20記載の方法を実施するための装置であって、媒体からの拡散反射光および/または拡散透過光のスペクトルデータを検出して内部の特定成分を検出するように構成される探触子等の検出器と、第1の径方向位置および第2の径方向位置のそれぞれは、媒体を通過する光の経路上の半径方向位置であり、ここで、拡散反射光および/または拡散透過光の強度は、第1の半径位置および第2の半径位置では、それぞれ媒体中の特定成分の濃度変化に応じて第1の 変化率および第2の変化率で変化し、しかも、第1の半径位置および第2の半径位置は第1の変動率と第2の変動率とが異なる符号を有するように選択され、前記検出器を使用することによって、基準に対する特定の成分の濃度の変化によって引 き起こされる第1の径方向位置および第2の径方向位置におけるスペクトルデータを取得し、そして、第1の径方向位置と第2の径方向位置で検出されたスペクトルデータ間の差分を計算するように構成されるプロセッサと、を備えることを特徴とする処理装置。
- 前記第1の変化率は正の符号を有する一方、前記第2の変化率は負の符号を有するか、 或いは前記第1の変化率は正の符号または負の符号を有する一方、前記第2の変化率は実質的にゼロであることを特徴とする請求項22記載の処理装置。
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