JP6630061B2 - 拡散スペクトルデータの処理方法及び処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、拡散スペクトルデータの処理方法及びそれに関連する処理装置、特に散乱媒体中の吸収特性の測定方法に関するものである。
スペクトル検出法は、無公害であり、サンプルを破壊せず、検出の速度が速く、複数の成分の同時の定量分析を実現でき、いずれの試薬又は試験紙を使用する必要がなく、且つ連続的に、リアルタイムでモニタするなどの長所を有しており、本当の意味での非侵襲的な検出技術である。
実際な適用において、測定される被検体は、通常、精製などのプリ処理を介さない、複雑なサンプルであり、例えば、ミルク、生体組織体などの散乱媒体である。これらの散乱媒体は、近赤外帯域において、強い散乱、且つ高い吸収という特徴を有している。純粋な吸収媒体と比べると、散乱媒体の測定スペクトルに散乱及び吸収という2つの作用が含まれており、この場合、ランベルト・ベール法則は適用されなくなる。また、散乱媒体における粒子の強い散乱作用の影響を受けて、大部分の光は散乱光である。これらの拡散光子の走行経路は固定しておらず、媒体の吸収特性、散乱特性などの光学パラメーターの変化に伴って変化している。従って、スペクトル法によって散乱媒体における物質の成分を検出するとき、媒体自身の光学パラメーターの変化で干渉されやすく、特に、散乱特性の変化の影響が大きく、純粋な吸収媒体の測定精度に類似するレベルに達することが困難である。
現在、散乱媒体における物質成分の測定は、主に物質成分の濃度が大きく、且つ吸収が強い場合にうまく適用されている。この場合、吸収作用が主導的な情報であると考えられ、散乱作用による小さい光路の変化が無視され、例えば、光電パルス波に基づく血中酸素飽和度の測定およびヘモグロビンの測定に適用される。ヘモグロビンが血液の主要な吸収成分であり、その濃度が高くて、近赤外帯域における吸収が強いため、薄層媒体を測定する場合、ランベルト・ベール法則が適用できると近似的に考えられる。しかしながら、ヘモグロビンの場合、その検出精度はまだ高くない。そして、例えば、血糖、アルブミンなどの含有量が低くて、吸収が弱い成分については、検出精度が良くなく、実際的な適用の精度の要求を満たさない。故に、散乱媒体の微かな成分の検出はスペクトル検出分野の難点である。
したがって、スペクトル法において、特定の散乱媒体に対して測定モデルを構築しなければならない。モデルの間は移植されにくい。例えば、1ロットのミルクに対して構築された測定モデルを、別のロットのミルクの検出に適用する場合、誤差はいつも高い。また、異なる散乱媒体の間にモデルを互いに借用することも困難である。例えば、ミルクに対するモデルは、生体組織の成分の検出に良好に適用されることができない。
測定精度が低くて、モデルが移植されにくいという2つの要因によって、スペクトル法の散乱媒体の成分検出における適用は制限されている。しかしながら、スペクトル法が、非破壊性、リアルタイム性、オンライン性という長所を有するため、食品安全の検出、環境安全の検出、生体組織成分の非侵襲的な検出などの分野に潜在的な適用需要を有している。
そこで、本発明は、少なくとも、散乱作用の変化による光学情報と、吸収作用の変化による光学情報とに有効的に分離する拡散スペクトルデータ処理方法を提供し、これらの分離された情報を用いて予測モデルを構築し、散乱媒体における成分検出濃度を予測する方法、及び相応的な処理装置を提供することを課題とする。
したがって、本発明の第1目的は、拡散スペクトルデータ処理方法を提供することにあり、該第1の方法は、被測定媒体の1つ又は複数の第1のラジアル位置における拡散スペクトルデータを取得し、取得された拡散スペクトルデータに基づいて、1つ又は複数の第2のラジアル位置における、実質的に被測定媒体の散乱特性の変化のみによる光学情報及び/又は実質的に被測定媒体の吸収特性の変化のみによる光学情報を確定することにある。
また、本発明の第2の目的は、予測モデルを構築する方法を提供することにある。該第2の方法は、背景媒体又は基準媒体、及び背景媒体又は基準媒体に添加される異なる既知濃度の特定成分をそれぞれ含む一連の被測定媒体を提供し、そして前記基準媒体は背景媒体及び初期濃度の該特定成分を含み、前記一連の被測定媒体に対し、上記第1の方法によって処理し、各既知濃度及び相応的な実質的に被測定媒体の吸収特性の変化のみによる光学情報及び/又は実質的に被測定媒体の散乱特性の変化のみによる光学情報に基づいて、予測モデルを取得することにある
本発明の第3の目的は、濃度の予測方法を提供することにあり、該第3の方法は、被測定媒体に対して、上記第3の方法によって処理する。被測定媒体は背景媒体又は基準媒体を含み、基準媒体は背景媒体及び初期濃度の特定成分を含み、特定成分の濃度変化によって被測定媒体の該特定成分の濃度が未知になる場合、被測定媒体についての実質的に被測定媒体の吸収特性の変化のみによる光学情報と実質的に被測定媒体の散乱特性の変化のみによる光学情報の少なくとも1つ、及び上記のように取得された予測モデルに基づいて、前記特定成分の濃度を予測することにある
本発明の第4の目的は、濃度の予測方法を提供することにあり、該第4の方法は、純粋な吸収背景媒体、及び該純粋な吸収背景媒体に添加される異なる既知濃度の特定成分をそれぞれ含む一連の媒体を提供し、相応する吸収係数又は吸光度を取得し、各既知濃度及び相応する吸収係数又は吸光度に基づいて、予測モデルを取得し、被測定媒体に対して、その散乱非感応点における拡散スペクトルデータを取得し、被測定媒体は散乱背景媒体又は基準媒体を含み、かつ基準媒体は散乱背景媒体及び初期濃度の特定成分を含み、特定成分の濃度変化によっては、被測定媒体における該特定成分の濃度が未知になる場合、被測定媒体に対して取得された散乱非感応点における拡散スペクトルデータ及び予測モデルに基づいて、前記特定成分の濃度を予測することにある。なお、前記散乱非感応点は、スペクトルデータ中の光度情報が被測定媒体の散乱特性の変化に感応しないラジアル位置を示す。
本発明の第5の目的は、処理装置を提供することにあり、該処理装置は、被測定媒体のスペクトルを探知する探知器と、探知器の探知によって、1つ又は複数のラジアル位置における実質的に被測定媒体の散乱特性の変化のみによる光学情報及び/又は実質的に被測定媒体の吸収特性の変化のみによる光学情報を確定するように配置されるプロセッサと、を含むことにより提供することにある。
したがって、本発明は、散乱特性の変化による光学情報と、吸収特性の変化による光学情報とに分離することができることに着目し、これらの情報によって、高い予測精度を実現しようとするものである。本発明は特に、基本的に純粋な吸収情報を抽出でき、物質成分の濃度測定に有効的に適用することができるようにすることを目的とする。
本発明の第1は、被測定媒体の1つ又は複数の第1のラジアル(半径方向)位置における拡散スペクトルデータを取得し、
取得された拡散スペクトルデータに基づいて、1つ又は複数の第2のラジアル位置における、実質的に被測定媒体の散乱特性の変化のみによる光学情報及び/又は実質的に被測定媒体の吸収特性の変化のみによる光学情報を決定することによる拡散スペクトルデータ処理方法である。本発明において、拡散スペクトルデータの取得は、少なくとも2つのラジアル位置における拡散スペクトルデータを取得し、線形フィット(リニアフィティング)法によって、前記1つ又は複数の第1のラジアル位置における拡散スペクトルデータを確定することを含む拡散スペクトルデータ処理方法にある。
ここで、前記少なくとも2つのラジアル位置は、綜合変動基準点を含み、前記綜合変動基準点は、スペクトルデータ中の光度情報が被測定媒体における特定成分の濃度変化に対して実質的に感応しないラジアル位置を示す。前記光学情報を決定する工程は、散乱非感応点及び/又は吸収非感応点に応じて確定することを含む。
前記散乱非感応点は、スペクトルデータ中の光度情報が被測定媒体の散乱特性の変化に対して実質的に感応しないラジアル位置を示す。
前記吸収非感応点は、スペクトルデータ中の光度情報が被測定媒体の吸収特性の変化に対して実質的に感応しないラジアル位置を示す。
本発明において、前記被測定媒体は、背景媒体と背景媒体にある特定成分とを含み、前記背景媒体あるいは前記背景媒体と、一定の濃度の前記特定成分とを含む散乱媒体を提供する。本発明においては、散乱媒体の散乱係数/吸収係数が変化し、該散乱媒体の該第1の波長での吸収特性/散乱特性が基本的に変化しないときの光度の変化情報を取得する。 光度の変化が実質的に零である箇所におけるラジアル位置に応じて、散乱非感応点/吸収非感応点を取得するという操作によって、第1の波長での散乱非感応点/吸収非感応点を予め取得することをさらに含む。ここで、吸収非感応点は、ラジアル位置が0である箇所に近似するのが好ましい。また、複数の波長に対して、各波長での散乱非感応点及び/又は吸収非感応点をそれぞれ取得するのが好ましい。
また、前記決定する工程は、散乱非感応点及び/又は吸収非感応点における拡散スペクトルデータを取得することと、散乱非感応点における拡散スペクトルデータ及び吸収非感応点に応じて、実質的に被測定媒体の吸収特性の変化のみによる光学情報を取得すること、及び/又は吸収非感応点における拡散スペクトルデータ及び散乱非感応点に応じて、実質的に被測定媒体の散乱特性の変化のみによる光学情報を取得すること、を含む。
さらに、(1)拡散スペクトルデータを取得する工程は、
第1の波長に近く、且つ被測定媒体に含まれる特定成分の吸収が比較的に弱いあるいは基本的に吸収がない第2の波長を選択することと、
第1の波長及び第2の波長での拡散スペクトルデータをそれぞれ取得することと、を含む。
該方法は、
第2の波長での拡散スペクトルデータが示す光度の変化が実質的に零である箇所におけるラジアル位置に応じて、第2の波長での散乱非感応点を決定する。
第2の波長での散乱非感応点に応じて、第1の波長での散乱非感応点を確定する
という操作によって、第1の波長での散乱非感応点を決定することをさらに含む。
また、拡散スペクトルデータを取得する工程は、
第1の波長に近く、且つ被測定媒体に含まれる特定成分の吸収が比較的に弱いあるいは基本的に吸収がない第2の波長を選択することと、
第1の波長及び第2の波長での拡散スペクトルデータをそれぞれ取得することと、を含む。
(2)前記光学情報を決定する工程は、
第2の波長の拡散スペクトルデータに基づいて、前記被測定媒体の第1の波長での実質的に被測定媒体の散乱特性の変化のみによる光学情報を確定することと、
第1の波長での拡散スペクトルデータ、及び前記被測定媒体の第1の波長での実質的に被測定媒体の散乱特性の変化のみによる光学情報に応じて、前記被測定媒体の第1の波長での実質的に被測定媒体の吸収特性の変化のみによる光学情報を取得することと、を含む。
さらに、(3)拡散スペクトルデータを取得する工程は、
散乱非感応点及び/又は吸収非感応点における拡散スペクトルデータを取得することを含む。
(4)前記光学情報を決定する工程は、
散乱非感応点における拡散スペクトルデータを散乱非感応点における実質的に被測定媒体の吸収特性の変化のみによる光学情報として確定すること、及び/又は吸収非感応点における拡散スペクトルデータを吸収非感応点における実質的に被測定媒体の散乱特性の変化のみによる光学情報として確定することを含む。
さらにまた、(5)拡散スペクトルデータを取得する工程は、
複数の波長の各波長での散乱非感応点及び/又は吸収非感応点における拡散スペクトルデータを取得することを含む。
したがって、前記複数の波長の各波長に対して、固定の少なくとも1つのラジアル位置において拡散スペクトルデータを取得し、これにより、前記複数の波長の各波長での散乱非感応点及び/又は吸収非感応点における拡散スペクトルデータを確定することができる
本発明の第2は、背景媒体又は基準媒体、及び背景媒体又は基準媒体に添加される異なる既知濃度の特定成分をそれぞれ含む一連の被測定媒体を提供し、前記基準媒体は背景媒体及び初期濃度の該特定成分を含む場合に、前記一連の被測定媒体に対して、上記拡散スペクトルデータ処理方法を適用し、
各既知濃度及び相応的な実質的に被測定媒体の吸収特性の変化のみによる光学情報及び/又は実質的に被測定媒体の散乱特性の変化のみによる光学情報に基づいて、予測モデルを取得することを含む予測モデルを構築する方法を提供するものである。
本発明において、前記光学情報は線形規則を現しており、
予測モデルを取得することは、前記光学情報の傾きに基づいて、予測モデルを取得することを含む。また、被測定媒体に対して、上記拡散スペクトルデータ処理方法によって処理し、被測定媒体は背景媒体又は基準媒体を含み、基準媒体は背景媒体及び初期濃度の特定成分を含み、特定成分の濃度変化によって被測定媒体の該特定成分の濃度は未知になり、被測定媒体についての実質的に被測定媒体の吸収特性の変化のみによる光学情報と実質的に被測定媒体の散乱特性の変化のみによる光学情報の少なくとも1つ、及び上記予測モデルに基づいて、前記特定成分の濃度を予測することを含む濃度の予測方法を提供するものでもあり、実質的に被測定媒体の吸収特性の変化のみによる光学情報に応じて、モデリング及び予測を行う濃度の予測方法である。また、本方法において、モデリング及び予測するときに使用される拡散スペクトルデータは、光度、光度の絶対変化量、光度の相対変化量、吸収係数、吸収係数の絶対変化量、吸収係数の相対変化量又はその関連量の少なくとも1つを含み、予測モデルを取得するための背景媒体又は基準媒体は、予測待ちの被測定媒体における背景媒体又は基準媒体と異なっているのが好ましい。さらに、予測モデルによって該未知の濃度を予測するとき、2つの背景媒体又は基準媒体の間の吸収係数の比率によって拡散スペクトルデータに対してプリ処理を行うのが好ましい。これにより、実質的に被測定媒体の散乱特性の変化のみによる光学情報に応じて、モデリング及び予測を行うことができる。
また、本方法において、モデリング及び予測するときに使用される拡散スペクトルデータは、光度、光度の絶対変化量、光度の相対変化量、散乱係数、散乱係数の絶対変化量、散乱係数の相対変化量又はその関連量の少なくとも1つを含み、予測モデルを取得するための背景媒体又は基準媒体は、予測待ちの被測定媒体における背景媒体又は基準媒体と異なっているのが好ましく、予測モデルによって該未知の濃度を予測するとき、2つの背景媒体又は基準媒体の間の散乱係数の比率によって拡散スペクトルデータに対してプリ処理を行うのが好ましい。ここで、前記濃度を予測することは、前記特定成分以外の干渉成分に対して、その単位濃度変化量のときの散乱信号を取得することと、被測定媒体の散乱非感応点におけるスペクトルデータによって、干渉成分の予測モデルに基づいて、干渉成分の濃度を予測することと、干渉成分の濃度を単位濃度変化量の散乱信号にかけて、被測定媒体における干渉成分の散乱信号を取得することと、被測定媒体のスペクトルデータから、干渉成分の散乱信号を除去することと、干渉成分の散乱信号が除去されたスペクトルデータによって、特定成分の濃度を予測することを含む。
また、純粋な吸収背景媒体、及び該純粋な吸収背景媒体に添加される異なる既知濃度の特定成分をそれぞれ含む一連の媒体を提供し、相応的な吸収係数又は吸光度を取得することと、
各既知濃度及び相応的な吸収係数又は吸光度に基づいて、予測モデルを取得することと、
被測定媒体に対して、その散乱非感応点における拡散スペクトルデータを取得し、被測定媒体は散乱背景媒体又は基準媒体を含み、基準媒体は散乱背景媒体及び初期濃度の特定成分を含み、特定成分の濃度変化によって、被測定媒体における該特定成分の濃度は未知になることと、
被測定媒体に対して取得された散乱非感応点における拡散スペクトルデータ及び予測モデルに基づいて、前記特定成分の濃度を予測することと、を含み、
前記散乱非感応点は、スペクトルデータ中の光度情報が被測定媒体の散乱特性の変化に感応しないラジアル位置を示す濃度の予測方法では濃度値、及び特定成分の濃度が0であるときの吸収係数又は吸光度に対する相応的な濃度での吸収係数又は吸光度の相対変化値に基づいて、予測モデルを取得することができる。したがって、拡散スペクトルデータは、光度、光度の変化量、光度の相対変化量、吸収係数、吸収係数の絶対変化量、吸収係数の相対変化量又はその関連量の少なくとも1つを含み、
予測モデルを用いて濃度を予測するとき、散乱背景媒体と純粋な吸収背景媒体との吸収係数の比率によって拡散スペクトルデータに対してプリ処理を行うのが好ましい。
本発明はまた、上記拡散反射スペクトルデータ処理方法を適用し、少なくとも部分的に、普遍性がより強いスペクトル測定方法を提供しようとするもので、具体的には
本発明は、プローブ光を用いて、特定成分を含む被測定媒体に対して照射し、被測定媒体の第一の径方向位置における第一のスペクトルデータ及び第二の径方向位置における第二のスペクトルデータを取得し、前記第一の径方向位置と前記第二の径方向位置が任意に選択し、第一のスペクトルデータと第二のスペクトルデータに対して差分処理を行うスペクトルデータ処理方法を提供している。
また、本発明は、入射光を案内する第一の光ファイバ束であって、出射端面が光ファイバプローブの検知端面のほぼ中心に位置する第一の光ファイバ束と、第二の光ファイバ束と、第三の光ファイバ束と、を備え、検知端面において、第二の光ファイバ束における光ファイバの端面と第三の光ファイバ束における光ファイバの端面は、それぞれ第一の光ファイバ束の出射端面から異なる距離離れている光ファイバプローブを提供する。
更に、本発明は、背景媒体又は基準媒体、及び背景媒体又は基準媒体に入れた異なる既知濃度の特定成分をそれぞれ含む一連の被測定媒体を提供し、前記基準媒体が背景媒体及び初期濃度の当該特定成分を含むことと、前記一連の被測定媒体に対して、上記方法に従って処理することと、各既知濃度及び相応的な処理済のスペクトルデータに基づいて、予測モデルを取得することと、を含む予測モデルを構築する方法を提供する。
さらにまた、本発明は、背景媒体又は基準媒体を含む被測定媒体に対して、上記方法に従って処理し、基準媒体が背景媒体及び初期濃度の特定成分を含み、特性成分の濃度変化によって被測定媒体の中の当該特定成分の濃度が未知になることと、被測定媒体に対する処理済のスペクトルデータ及び予測モデルに基づいて、前記特定成分の濃度を予測することと、を含む濃度予測方法を提供する。
最後に、本発明は、特定成分を含む被測定媒体のプローブ光に対する拡散反射及び/又は拡散散乱光のスペクトルデータを検知する探触子と、探触子を用いて、任意に選択された第一の径方向位置と第二の径方向位置におけるスペクトルデータを検知し、それらに対して差分処理を行うように配置されているプロセッサと、を含む処理装置を提供する。
本発明によれば、浮動基準位置を確定する必要がなく、これよりより簡易な測定方法を提供することができる。
本発明のスペクトル検出法の提供が望まれる具体的背景は以下の通りである。スペクトル検出法は、無公害であり、サンプルを破壊しなく、検出速度が速く、複数の成分の同時の定量分析を実現でき、いずれの試薬や試験紙を使用する必要がなく、且つ連続的に、リアルタイムでモニタするなどの長所を有しており、本当の意味での非侵襲的な検出技術である。生化学分野において、近赤外吸収スペクトル方法を採用することは、生体組織血酸素飽和度などの生化学的指標を迅速かつ非侵襲的に検出することを既に見事に実現しており、近赤外スペクトル測定法は、最も応用の見通しを持つ人体内の化学成分の非侵襲的な検出技術の1つと認められている。
スペクトル方法を利用して被測定物の成分濃度を検出する際に、測定される被測定物、通常、精製などのプリ処理を介さない、複雑なサンプルであり、または人体におけるある測定する成分である。測定する成分の濃度変化は明らかな波長特性があるとき、多変量回帰の方法を採用してキャリブレーションモデルを構築して、測定する成分の濃度測定を行うことができる。しかし複雑なサンプルや個体において、測定する成分を除いて、予知できない干渉成分も多く含んでおり、例えば、人体のある成分濃度の変化が人体温度、気持ちなどの変化によって影響され、波長特性が明らかではない。このため、被測定物の濃度分析に対するこれらの予知できない背景の影響を除去した後、また濃度測定分析を行うことが必要である。近赤外スペクトル分析は、数学モデルを構築するに用いられるキャリブレーションサンプルセットが被測定サンプルの種々の背景を含むべきである。
非侵襲的血糖濃度検出を例として、人体組織における血糖の含有量が少なく、生理的範囲内での変化がとても小さいため、血糖変化による信号がきわめてかすかである。一方で、組織自体の光学特性も非常に複雑であり、動的に変化する人体組織を光が通るとき、一部の光が吸収される以外、非線形散乱の存在によっても、糖信号を抽出することは非常に困難になる。組織における水、脂肪、蛋白などの近赤外領域はいずれも吸収することがあり、これらの干渉要因による信号強度はブドウ糖濃度の変化による光強度よりも大きいである。そして、同一ラジカルはこのスペクトル領域における異なる倍周波数領域に吸収ピークが生じることができるため、複雑なサンプルまたは個体は、同一の近赤外スペクトル領域内に異なる分子、複数の種類のラジカルのスペクトルピークがよく重なり合っている。これに加えて、生体の新陳代謝、生理周期、気分のムラおよび環境影響などの要素はすべて直接的または間接的に人体組織に各種の物質成分の含有量に影響を与えて、効果的に被測定サンプルにおける血糖濃度情報を抽出することができない。これらの問題に係る要素が多くて複雑であるため、現在の科学研究レベルで、これらの要素の変化をリアルタイムでモニタすることが困難である。したがって、1種類の参考測定を求める方法も前記の問題を解決する実現可能な経路である。人体血酸素飽和度測定は、相対的な測定を取って成功を得る典型的な例である。
インビトロ実験では、一般的に、デュアル光学参考測定と隣接背景差し引きという方法を採用して、機器のドリフトによるコモンモード干渉を除去し、つまり、スペクトル性質が被測定物に近い参照サンプルのスペクトルを背景スペクトルとして測定することによって、差分演算を行う。実験結果は、この方法が測定におけるコモンモード変化の影響を効果的に除去できることを示している。
ところがある応用、例えば、人体血糖濃度の測定において、被測定物と光学的性質が同じで、被測定物の背景変動情報を含む参考物を求めて参考測定を実現することは困難である。近赤外非侵襲血糖検出の臨床において、光学特性が人体に相似する参照物を求めることは難しく、人体にある部位にブドウ糖が含まれないことまたはブドウ糖濃度がずっと変わらないまま固定されることはないため、このようなインビトロ実験において採用可能な背景参照物を差し引くスペクトル処理方法はまだ直接的に生体検出に応用することができない。測定システムに反射率のオーダーが人体の皮膚の拡散反射率に近い標準反射板または倣体を背景参照物として導入しても、一部のハードウェアシステム参照信号の影響を除去するが、反射板や倣体における光の伝播方式は人体の皮膚と相違があるため、人体にそれ自体の新陳代謝、生理周期、気分のムラおよび環境影響などの要素が反射板や倣体のスペクトルに現されなく、変化信号が得られなくて、これも、現在、近赤外スペクトル方法を利用して人体の血糖濃度を抽出する最大の障害である。
したがって、近赤外スペクトル法を採用して人体組織のある成分濃度を検出する際に、実際的な測定過程は、複雑な重なり合っていた背景からかすかな濃度変化特異性情報を抽出するようにまとめられることが可能であり、かつ有用な情報の抽出過程は人体の各種生理要素によって制限されて影響される。
このため、徐可欣たちは浮動基準位置を利用して濃度測定を実現する原理および方法を発明しており(中国特許出願、公開番号CN1699973A)、図1に示すように、測定スペクトル自身に含まれる情報のうち「背景」とすることができる参照基準を求めていた。被測定物、例えば人体におけるある成分、例えばブドウ糖濃度が変化するとき、被測定物の吸収係数および散乱係数などの光学特性の変化を引き起こすことになる。光源から離れた所定の径向位置rに,組織の吸収および散乱作用によって変えられた拡散反射光エネルギーが基本的に互いに相殺することができ、基本的にブドウ糖濃度の変化に伴って変化することがなく、この位置rを浮動基準位置と呼ぶ。この位置に測定して得られた光エネルギーは、検出中においてブドウ糖濃度変化以外の基本的なすべての干渉要因の影響を除去することを反映している。このため、この位置のスペクトルを人体血糖非侵襲検出過程における「背景」としてブドウ糖の特異性情報を抽出することができ、インビトロ実験における参考測定に類似するものを実現する。位置浮動基準の存在特性は、モンテカルロシミュレーション法およびインビトロ実験によって検証されたものである。しかし血糖濃度の変化による光エネルギーの変化が人体組織の光学特性に関するため、異なる被測定物、同一被測定物の異なる位置および異なるプローブ光の波長に対して、この「背景」とする参照基準が異なるものであり、つまり、浮動基準位置の位置が異なる。
モンテカルロシミュレーションの計算において、手のひらの皮膚が人体血糖濃度を測定するための標的組織層として選択されており、三次元皮膚モデルを測定対象にし、即ち皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3つに分ける。そのうちモンテカルロシミュレーションプログラムに設けられた光子数が10である。Maruoなどで与えられた各層光学パラメータを基づいて(Maruo K., Tsurugi M., Chin J., et al., Noninvasive blood glucose assay using a newly developed near-infrared system, IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics, 2003. 9(2): p. 322-330;Maruo K., Oota T., Tsurugi M., et al., New methodology to obtain a calibration model for noninvasive near-infrared blood glucose monitoring, Applied Spectroscopy, 2006. 60(4): p. 441-449)、ブドウ糖濃度が0からそれぞれ500、1000および1500mg/dLを増加するとき、皮膚モデルの真皮層の光学パラメータも相応的に変化し、その他の皮層の光学パラメータが変化しない。三次元皮膚モデルの表皮、真皮と皮下組織をそれぞれ0.5mm、3.5mmと∞に設定する場合、1200〜1700nm波長で、典型的な、検出器が光源から径方向分布された拡散反射スペクトルを得ることができており、図2に示すように、その分布は負の指数分布に近くなり、径方向距離の増加に伴い、拡散反射光強度は急速に小さくなる。2.0mm後での拡散反射光強度が弱くて、10−1から10−8オーダーまで小さくなる。
得られた異なるブドウ糖濃度の拡散反射光強度から0mg/dLの拡散反射光強度を引いた径方向分布は、図3(a1)〜(a4)に示すように、それぞれ波長1200nm、1300nm、1400nmおよび各波長での統括図に対応する。同じの皮膚層厚さでは、同一被測定対象の同一被測定位置に、異なる波長で、拡散反射光強度がブドウ糖濃度の変化に敏感ではない径方向位置はいずれも1つ存在すると考えられており、この位置はすなわち浮動基準位置である。しかし、図から分かるように、この浮動基準位置は明らかな波長特性を有し、1200nm〜1300nmで、位置浮動基準位置の変化が緩やかであり、特に、前半領域には、波長の変化による基準位置がほとんど変化しない。1300nm〜1400nmで、基準位置の揺らぎが大きく、基準位置が光源に近づく傾向にある。そして波長が1400nmより大きいとき、浮動基準位置が存在しなくなる。
同じの波長であっても、異なる測定対象の組織成分に相違があり、同一の測定対象が違い時間でその組織成分も全部同じではなく、つまり、組織体の光学特性に相違があるため、1300nmの波長で、正常な人体血糖濃度(100mg/dL)をモデル環境として、真皮層の吸収係数μaと散乱係数μsを変更し、それぞれ20%の勾配で変更させて、図3(b)に示すように三次元皮膚モデル中浮動基準位置が真皮層光学特性につれて変化する分布図を得る。図から分かるように、異なる測定対象または同一の被測定対象は、異なる時間帯における皮膚組織の散乱特異性が違っており、浮動基準位置の位置付けを顕著に影響する。
同様に、異なる測定対象または同一測定対象の異なる生理部位に対して、皮膚の生理構造、組織厚さも全部同じではなくて、同一の波長で、浮動基準位置も相応的に変化する。前記のシミュレーションの場合に類似しており、1300nmの波長で、正常な人体血糖濃度(100mg/dL)をモデル環境として、手のひらの皮膚厚さの典型的な数値に応じて、表皮厚さが0.1〜1.0mm範囲に変化し、真皮厚さが2.0〜4.0mmの範囲に変更する際に、三次元皮膚モデル中浮動基準位置の分布は、図3(c)に示すようになる。拡張反射光に対する表皮層厚さの変化の影響が大きく、浮動基準位置が表皮層厚さの増加に伴って光源から離れて移動する。
上述したように、ある1つの固定の径方向位置を参照点として選択して測定すると、異なる測定対象、同一測定対象の異なる状態と多波長を覆うことができなくなり、ひいては測定誤差をもたらすことになる。異なる被測定対象と波長に対して、一般的な適用性を実現することができる測定方法を開発することが望ましいからであった。
以下の図面を参照して本発明の実施例に対する説明によって、本発明の上記及び他の目的、特徴及び長所はより明らかにする。図面において、
スペクトル検出を示す概略図である。 本発明の実施例によるスペクトルデータ分離を示す概略図である。 本発明の実施例による特定成分の異なる濃度におけるスペクトルデータ分離を示す概略図である。 本発明の実施例による拡散スペクトルデータ処理方法を示すフローチャートである。 本発明の実施例による散乱非感応点を確定する方法を示すフローチャートである。 本発明の実施例による異なる波長における散乱非感応点の位置を示す概略図である。 本発明の実施例による吸収非感応点を確定する方法を示すフローチャートである。 本発明の他の実施例による散乱非感応点を確定する方法を示すフローチャートである。 本発明の他の実施例による散乱信号及び/又は吸収信号に分離する方法を示すフローチャートである。 濃度予測モデルを構築する、及び濃度予測を行う一般的な原理を示す概略図である。 本発明の実施例による予測モデル構築/濃度予測方法を示すフローチャートである。 本発明の実施例による散乱非感応点における拡散スペクトルデータを用いてモデリング/予測を行う方法を示すフローチャートである。 本発明の実施例による異なる散乱媒体間のモデル移植方法を示すフローチャートである。 本発明の実施例による純粋な吸収媒体と散乱媒体との間のモデル移植方法を示すフローチャートである。 本発明の実施例による吸収非感応点における拡散スペクトルデータを用いてモデリング/予測を行う方法を示すフローチャートである。 本発明の実施例による3%intralipid溶液+10000mg/dLブドウ糖についての1160nm波長の感知光におけるスペクトルデータ分離を示す概略図である。 本発明の実施例による3%intralipid溶液中の異なるブドウ糖濃度におけるスペクトルデータから抽出した純粋な吸収情報を示す概略図である。 本発明の実施例による理想的な50mMのブドウ糖濃度の変化による吸収係数の変化量を示す概略図である。 本発明の実施例による3%intralipid溶液の吸収係数を示す概略図である。 本発明の実施例による理想的なブドウ糖による吸収係数の相対的な変化量を示す概略図である。 本発明の実施例による異なる波長における散乱非感応点の位置を示す概略図である。 本発明の実施例による1mMのブドウ糖濃度の変化による吸収係数及び散乱係数の変化量を示す概略図である。 本発明の実施例による異なる散乱媒体におけるブドウ糖濃度の変化による吸収情報を示す概略図である。 本発明の実施例による処理装置を示すブロック図である。 本発明の実施例によるシミュレーションによって取得する光度相対変化量のラジアル位置に従う線形変化規則を示す図である。 本発明の実施例による複数の波長に対してそれぞれ取得する各波長における散乱非感応点のスペクトルデータを示す概略図である。 本発明の実施例による複数の波長に対して2点を固定することによって測定して取得する各波長における散乱非感応点のスペクトルデータを示す概略図である。 位置浮動基準の測定原理を模式的に示す。 典型的な拡散反射スペクトルの径方向分布を模式的に示す。 位置浮動基準変動の例を模式的に示す。 位置浮動基準変動の例を模式的に示し、図3(a1)と異なる波長による位置浮動基準変動を示す。 位置浮動基準変動の例を模式的に示し、図3(a1)、図3(a2)とは異なる波長による位置浮動基準変動を示す。 位置浮動基準変動の例を模式的に示し、図3(a1)〜図3(a3)は異なる波長による位置浮動基準変動を示す。 位置浮動基準変動の例を模式的に示し、皮膚光学特性による位置浮動基準変動を示示す。 皮膚構造特性による位置浮動基準変動を示す。 浮動基準位置の内側と外側領域のスペクトル変化の比較を模式的に示す。 本開示の実施例によるスペクトルデータ処理方法のフローチャートを模式的に示す。 皮膚モデルにおいて波長による散乱係数の変化率を示す。 Jensenたちは実験で得られた異なる温度での水のモル吸光係数εw(λ)と30℃でのεw(λ)の間の差を示す。 陳韻たちは実験で得られた異なる温度での水と30℃での水の間の吸光度変化曲線を示す。 本開示の実施例による段階的受信ポリシーを示す。 本開示の実施例による段階的受信ポリシーを示す。 本開示の実施例による段階的受信ポリシーを示す。 本開示の実施例による段階的受信ポリシーを示す。 本開示の実施例による光ファイバプローブを示す側面図である。 本開示の実施例による光ファイバプローブを示す断面図である。 本開示の実施例による光ファイバプローブを示す断面図である。 本開示の実施例による光ファイバプローブを示す断面図である。 本開示の実施例による光ファイバプローブを示す断面図である。 濃度予測モデルを構築する、及び濃度予測を行う一般的な原理を示す概略図である。 本開示の実施例による予測モデル構築・濃度予測方法を示すフローチャートである。 5%intralipid溶液のモンテカルロシミュレーションの浮動基準位置計算結果を示す。 5%intralipid溶液のブドウ糖が50mMと100mM変化するときの拡散反射光子数の変化量を示す。 光源ドリフトを修正する前に光源から離れた異なる径方向位置における拡散反射光子数の変化曲線を示す。 光源ドリフトを修正した後に異なる径方向位置における拡散反射光子数の変化曲線を示す。 異なる温度で各径方向位置がブドウ糖濃度の変更に伴って得た拡散反射光子数の変化量を示す。 光源ドリフトを修正する前後に濃度による拡散反射光子数の変化曲線を示す。 0mg/dLブドウ糖を初期化状態として信号修正前後の比較を行うことを示す。 3000mg/dLブドウ糖を初期化状態として信号修正前後の比較を行うことを示す。 6000mg/dLブドウ糖を初期化状態として信号修正前後の比較を行うことを示す。 本開示の実施例による測定システムの配置例を示す。 要素Xの作用で径方向位置による拡散光相対変化量の変化を模式的に示す。 光源パワーを変更した後に浮動基準位置の内側、その自身、外側における光強度相対変化量を示す。 単一温度作用線と温度基準点の存在性を示す。
(実施例1)
以下、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。しかしながら、これらの説明は例示的なものであり、本発明の範囲を制限しないと理解すべきである。また、以下の説明において、本発明の概念を混同することを避けるために、公知構成及び技術に対する記載を省略する可能性がある。
発明者は、散乱媒体の混雑な拡散スペクトルデータから、散乱媒体の各成分粒子の散乱特性(常に、散乱係数μs又は等価散乱係数μs'で表す)の変化による光学信号と、吸収特性(常に、吸収係数μaで表す)の変化による光学信号とに分離することができることを発見した。ここで、散乱媒体とは、光に対して強い散乱作用を有する(同時に、一般的には、吸収作用も有する)成分がある媒体(純粋な吸収媒体と異なっており、ランベルト・ベール法則は適用されない)である。例えば、intralipid溶液は脂肪乳剤であり、スラリーであり、光に対して強い散乱を有している。通常、人体の皮膚の光学特性をintralipid溶液で模擬できると、それにブドウ糖を添加して皮膚のブドウ糖の測定を模擬することができる。
特に、ある特定の測定位置に対して、「(基本的に)純粋な散乱特性の変化による光学信号」(単に、「純粋な散乱信号」という)及び「(基本的に)純粋な吸収特性の変化による光学信号」(単に、「純粋な吸収信号」という)のみを取得することができる。この2つの「純粋な信号」は散乱作用及び吸収作用の影響をそれぞれ表すことができる。
これは、発明者が、測定位置が遠くなるに従って、光度の相対的な変化は、単調増加又は単調減少という線形又は線形に近似する規則を現していることを発見したためである。
以下、散乱媒体の測定理論における拡散方程式の無限媒体における定常解で、この規則を説明する。
図1に示すように、光源101からの検出距離がrである環状又は球形領域の場合、検出距離ρ=r、光のエネルギー束密度Φの1次近似解は式(1)のように示されてよい。
Figure 0006630061
ただし、ρは検出器と光源との間のラジアル距離である;
μaは吸収係数である;
μs'は等価散乱係数であり、
(1-g)μsに定義され、
gは異方性因子であり、
μsは散乱係数である;
Dは光子の拡散係数であり、
Figure 0006630061

μeff有効減衰係数であり、
Figure 0006630061
仮に、初期状態において、散乱媒体の吸収係数はμaであり、散乱係数はμsであり、異方性因子はgであり、且つ屈折率はnであり、この場合に取得するスペクトルは初期スペクトルであり、すなわち、式(1)である。仮に、散乱媒体の光学性質(例えば、吸収及び/又は散乱特性)は、例えば、成分の濃度変化(更には0から一定の値まで、すなわち、ある成分を添加する)などによって変化し、それによって、例えば、吸収係数の変化量はΔμaであり、且つ散乱係数の変化量はΔμsであり、この場合に取得する光エネルギー束密度はdΦ又はΔΦに変化される。式(1)を全微分して、式(2)を得る。

Figure 0006630061

Figure 0006630061
光のエネルギー束密度Φは、光源からρの単位体積内における光放射強度であり、その強さ及び変化規則は、実際な検出光度の強さ及び変化規則を反映することができる。ここでは、エネルギー束密度の相対変化量Sを定義し、すなわち、S=dΦ/Φ。式(2)によって、式(3)のようなSの表現式を得ることができる:

Figure 0006630061

Figure 0006630061
式(3)から分かるように、散乱媒体の吸収係数及び/又は散乱係数が変化した後で、光のエネルギー束密度の相対変化量Sは、検出距離ρに従って線形変化の規則を現す。また、Sは、実質的に散乱特性の変化(dμs')のみによる変化(すなわち、式(3)の第1項)と、実質的に吸収特性の変化(dμa)のみによる変化(すなわち、式(3)の第2項)とに分離でき、且つこの2つの変化も線形変化の規則をそれぞれ現しているということも分ることができる。実際な検出において、測定値は、常に光度であり、受信面積、角度、時間などのパラメーターが固定された場合、光のエネルギー束密度と線形関係になる。このため、光度の相対変化量も上記規則を満たすと推測できる。以下、光度の相対変化量もSに記述される。
式(3)は無限媒体の場合に得られているが、発明者は、このような線形規則が半無限媒体にも適用できることを発見した。半無限測定の場合に、いくつかの散乱媒体は上記線形規則に厳格に従わないが、基本的には線形規則に満たすことができる。特に、全てのラジアル距離範囲(0から無限大まで)でなく、小さい範囲のラジアル距離範囲で光度の変化を調査する場合、上記線形規則を用いて近似することができる。実際な測定において、常に半無限測定の状況があり、発明者は、実験及び模擬シミュレーションの手段によって当該線形規則が適用できることを検証した。例えば、発明者は、散乱媒体溶液の半無限媒体の測定実験を行った。光源は媒体の上方に位置しており、媒体は下に延び、厚さは大きくて無限に近似する。この場合、光源から異なる位置の光度を順に測定して、光度の相対変化量Sがラジアル距離に従って、図16の実線に示すような略線形変化の規則を表していることを分かることができる。また、発明者は、モンテカルロ模擬によって半無限媒体を計算してシミュレーションし、10個の光子の散乱媒体におけるランダム走行を模擬した。具体的には、散乱媒体としての3%intralipid溶液におけるブドウ糖の濃度が50mMに変化されるときの光度の相対変化量を模擬した。異なるラジアル位置から出射する光子数は出射光度の強さを反映でき、出射する光子数の相対変化量は出射する光度の相対変化量Sを反映できる。図25は、Sのラジアル距離ρに従う変化規則を反映している。これから分かるように、光源から少々距離、例えば、0.5mm離れた場合、線形規則は非常に明らかになる。
一方、光度の変化も下式で表されてよい。
Figure 0006630061

ただし、ρはラジアル距離であり、Ici(ρ)は散乱媒体のある特定成分の濃度がCiとする場合の測定光度であり、Ic0(ρ)は散乱媒体に該特定成分を含まない場合、あるいは、該特定成分がある固定の初期濃度となる場合の測定光度であり、μs'は散乱媒体の等価散乱係数であり、μaは散乱媒体の吸収係数であり、∂I(ρ)/∂μs'はラジアル距離ρにおける光度I(ρ)の等価散乱係数μs'の変化に対する変化率を表し、∂I(ρ)/∂μaはラジアル距離ρにおける光度I(ρ)の散乱係数μaの変化に対する変化率を表し、Δμs'は等価散乱係数の変化量であり、Δμaは吸収係数の変化量である。
その中、式(5)に示すように、散乱係数(又は等価散乱係数)及び吸収係数の変化量は、複数の要素の組合せで取得されている。jは媒体の光学パラメーターに影響するある要素、例えば、ある成分の濃度(さらには、0から一定の値まで、すなわち、該成分を添加する)であり、その変化は吸収係数に作用するとともに、散乱係数(又は、等価散乱係数)にも作用する。
Figure 0006630061

ただし、Δμs,j'(λ)はj番目の要素による等価散乱係数の変化を表し、
Δμa,j(λ)はj番目の要素による吸収係数の変化を表す。
分離を便利にするために、ここでは光度の相対変化量を用いて処理し、すなわち、Sの表現式を用いて複数の要素が変化する状況を続いて分析する。無限媒体でのS式(3)を(5)に代入して、式(5)が式(6)になる。以上のように、図2に示すように、光度の相対変化量Sはラジアル検出距離に従って線形変化の規則を表している。複数の要素における任意の単一の要素jについて、それは全て距離ρに従って線形変化を表し、ここではそれを「作用線」という;そして、複数の要素の綜合的な作用の結果として、複数の作用線の重ね合わせであり、それも1つの線形な「作用線」である。
Figure 0006630061

Figure 0006630061

ただし、λは測定光の波長を表し、これは散乱係数(又は等価散乱係数)及び吸収係数が測定光の波長の変化に従って変化可能であるためである。
ここで以下のことを説明すべきである。本願に係る光度を算出する相対変化量が「(自然)対数をとってから」減算することを採用してもよく、これは算出を便利にするためである(例えば、割算を減算に変換できる)。しかしながら、この演算自身は本発明の技術にとって必要不可欠なものではない。
図2に示すように、上記のように、光度の相対変化量(ΔI(ρ)/I(ρ))はラジアル位置(ρ)に沿って線形規則を表している。図2の直線201はこのような線形変化を示している。そして、本明細書において、この直線を「綜合作用線」と呼び(すなわち、散乱および吸収の共同作用による光学情報)、散乱媒体に含まれる各成分又は要素の変化による散乱変化の情報および吸収変化の情報を含んでいる。
なお、図2の直線205は上記式(3)における第1項(dμs'に係る)又は上記式(6)における第1項(Δμs,j'(λ)に係る)、すなわち、実質的に散乱特性の変化のみによる光学情報(例えば、光度の変化)を示す。そして、本明細書において、該直線を「散乱作用線」と呼ぶ。図2の直線209は上記式(3)の第2項(dμaに係る)又は上記式(6)の第2項(Δμa,j(λ)に係る)、すなわち、実質的に吸収特性の変化のみによる光学情報(例えば、光度の変化)を示す。そして、本明細書において、該直線を「吸収作用線」と呼ぶ。以上のように、この2項もそれぞれ線形規則を表している。
すなわち、散乱作用線は、「実質的に散乱特性の変化のみによる光学情報(又は信号)」の各ラジアル検出位置における表現を表すことができる;即ち、吸収作用線は、「実質的に吸収特性の変化のみによる光学情報(又は信号)」の各ラジアル検出位置における表現を表すことができる。一方、綜合作用線は、吸収係数および散乱係数(又は等価散乱係数)の変化により直接的又は間接的に綜合する変化による光学情報または信号を主に考慮する。綜合作用線は、実際に測定した光度変化の結果であってよい。この綜合的な結果を散乱作用線と吸収作用線とに分解して、吸収、散乱情報の分析にそれぞれ用いる。
ここでは、散乱非感応点203、吸収非感応点207および綜合変動基準点215の概念を導入し、散乱作用線205、吸収作用線209および綜合作用線201のゼロクロス位置としてもよい。
ある波長のある位置において、∂I(ρ)/∂μs =0の場合、「(基本的に)純粋な吸収変化による光学情報」を得ることができる。該位置は散乱非感応点203に定義され、ρ*に記述される。式(3)(第1項を零にする)によれば、
Figure 0006630061
ある波長のある位置において、∂I(ρ)/∂μa=0の場合、「(基本的に)純粋な散乱変化による光学情報」を取得することができる。該位置は吸収非感応点207と定義され、
ρ’に記述される。式(3)(第2項を零にする)によれば、
Figure 0006630061
ある波長の位置において、散乱及び吸収は共に作用する場合、
Figure 0006630061
、綜合作用線が0点であることを得ることができる。該位置は綜合変動基準点215と定義され、ρ♯に記述される。式(3)(2項の合計を0にする)によれば、
Figure 0006630061
さらに、異なる物質の作用をそれぞれ考慮するために、式(6)に示すように、ある特定の成分について、それによる吸収係数の変化及び散乱係数の変化がその濃度と正比例になれば、その濃度が小さい範囲内で変動する場合、各要素の微分結果(式(10)に示すように)を式(6)に代入して、式(11)を得る。そして、このとき、該成分について固定の綜合基準点位置が存在しており、式(12)によって求め得ることができる。このときの散乱作用線と吸収作用線との分離は図3に示すように。
Figure 0006630061

Figure 0006630061

Figure 0006630061

ただし、∂μs'/∂Cjは等価散乱係数μs'が成分jの濃度Cjに対して変化する変化率を示し、∂μa/∂Cjは吸収係数μaが成分jの濃度Cjに対して変化する変化率を示し、ΔCjは成分jの濃度変化量を示す。
図3を参照して、同じ散乱媒体におけるある特定の成分の濃度が変化した(図に3つの濃度変化を示す)場合、相応する綜合作用線301、散乱作用線305及び吸収作用線309を取得する。その綜合基準点315、散乱非感応点303及び吸収非感応点307の位置は基本的に変化しない。発明者は、この規則は散乱媒体の光学パラメーター(特に散乱係数)が大きい範囲で変化する場合(例えば、ある散乱媒体にとって、その散乱係数が50%よりも小さい変化があったとき)に常に適用できることを発見した。スペクトル測定に影響を及ぼす要素が主に媒体散乱係数の変動であるため、吸収変化は信号とみなされてもよく;実際なスペクトル検出分野において、このような大きい散乱係数の変動は実質的にあまり現われない。このため、一般的なスペクトル検出に対して、この規則は適用できる。一方、特定の成分に対して、その濃度は一定の範囲内に限定されてよく、なぜならば、ここで議論するのは、散乱媒体における該特定成分の(高精度)測定であるためである。検出範囲が広く求められる場合(すなわち、該特定成分の濃度変化が大きい場合)に対して、濃度の格差が大きすぎると、媒体自身が変化することになり、よって、異なる測定範囲内の媒体をいくつかの異なる媒体とみなすことができる;そして、小さい測定範囲において、ここで提出された綜合基準点、散乱非感応点及び吸収非感応点は基本的に固定され、変化しないため、この規則も適用できる。つまり、この規則は、スペクトル法による濃度測定に用いる場合に一般的に常に成立している。
上記特性を基礎として、本発明は拡散スペクトルデータ(diffuse spectrum data)処理方法を提出している。図4に示すように、この方法は、操作S401において、被測定媒体の1つ又は複数の第1のラジアル位置における拡散スペクトルデータを取得することを含む。例えば、複数の連続的な位置における拡散スペクトルデータ、例えば、光度の相対変化は、上記「綜合作用線」を構成することができる。被測定媒体は、例えば、ミルク、血液などの各種類の(散乱)媒体を含める。説明を便利にするために、被測定媒体を、背景媒体及び背景媒体にある特定の成分(すなわち、背景媒体は被測定媒体の特定成分以外の他の成分であってよい)を含むものと見なされる。このような特定成分は、例えば、ミルクの乳糖、血液の血糖などの関心対象であってよい。
当業者は、スペクトル測定を行って、拡散スペクトルデータを取得する複数の方式を知っている。例えば、光源によって一定の波長の光で被測定媒体を照射し、検出器によって被測定媒体の拡散、及び/又は乱透過光を感知し、例えば、その光度(例えば、複数の波長における光度はスペクトルを構成できる)を測定する。あるいは、光源及び検出器はいずれも被測定媒体の内部に侵入して、拡散スペクトルデータを測定でき、この場合は無限媒体の場合に類似している。検出器の位置を調整して、複数のラジアル位置の測定を実現することができる。本発明の実施例によれば、少なくとも2つのラジアル位置における測定データによって、他のラジアル位置における測定データを推測して取得する(さらに綜合作用線全体を取得する)ことができる。以下、これをさらに詳細に説明する。
また、被測定媒体及び/又はその特定成分の特性に応じて、例えば、紫外、可視光及び赤外帯域という1つ又は複数の波長の光を選択して測定することができる。例えば、該特定成分の散乱及び/又は吸収特性感応な波長、及び/又は背景媒体の散乱及び/又は吸収特性非感応な波長を選択することができる。
有利的には、光度の相対変化量(例えば、被測定媒体の特定成分の濃度変化による)を拡散スペクトルデータとして測定することができる。例えば、背景媒体に該特定成分が含まない場合、あるいは、該特定成分がある固定の初期濃度値である場合(以下、背景媒体+初期濃度の特定成分を「基準媒体」という)に対して、1つ又は複数のラジアル検出距離でスペクトルを測定し、初期スペクトルとし、I1に記載することができる。そして、背景媒体において、該特定成分の濃度が初期濃度に対して変化する場合、このときの被測定媒体の1つ又は複数のラジアル検出距離でのスペクトルを測定し、I2に記述する。例えば、血液における血糖の測定に対して、まず、空腹で(このとき、血糖は安定的に低いレベルの状態にある)の血液的スペクトルを測定し、初期スペクトルとする;そして、食後(このとき、血糖が変化し、食後の2時間まで次第に安定になる)の血液的スペクトルを測定して、血糖の変化情報を取得することができる。
この2つのスペクトルによって光度の相対変化量
Figure 0006630061
又はs=(I-I)/Iを上記拡散スペクトルデータとして取得することができる。しかしながら、拡散スペクトルデータが上記光度の相対変化量に限られず、下記のように、他の類型のデータ(例えば、光度の変化量)を取得してもよいことを説明すべきである。
本発明のたくさんの実施例において、初期スペクトルを測定することが必要となる。背景媒体に特定成分が含まない場合のスペクトルを初期スペクトルとしてもよく、背景媒体に任意な固定の初期濃度の特定成分(すなわち、基準媒体)が含まれる場合のスペクトルを初期スペクトルとしてもよい。例えば、いくつかの媒体(特に、特定成分が含まない背景媒体)に対して、初期スペクトルデータベースを構築して、重複に使用する(例えば、予め実験に使用し、実際な測定に使用するなど)ことによって、作業の負担を低下してもよい。
なお、スペクトルデータを取得するとき、上記のような線形規則により、少ないラジアル検出位置における測定データのみを採用して推測し、他の位置におけるデータを取得することができる。例えば、ラジアル位置における拡散スペクトルデータ(例えば、光度の相対変化量)を少なくとも2つ測定して、ラジアル位置を横座標とし、例えば線形フィットにより、他の位置(特にこの2点の付近)における拡散スペクトルデータ(例えば、光度の相対変化量S)を取得することができる。さらに、光度の絶対変化量のデータを推測することができ、ΔI=S・I1、ただし、I1は背景媒体に該特定成分が含まない場合、あるいは該特定成分がある固定の初期濃度である場合の光度であり、すなわち、初期スペクトルである。特に、若し、この2点のうちの1つが「綜合作用線」のゼロクロス点(「綜合変動基準点」ともいう。例えば、図2の「215」を参照) を採用すれば、この点が実質的に物質成分の濃度変化に感応しないため、その測定値はそのまま初期光度と推定されることができ、測定の必要がない。
拡散スペクトルデータ(例えば、綜合作用線又は綜合作用線における一点又は複数の点)を取得した後で、該方法は、操作S403において、拡散スペクトルデータに応じて、1つ又は複数の第2のラジアル位置における実質的に被測定媒体の散乱特性の変化のみによる光学情報(例えば、散乱作用線又は散乱作用線における一点又は複数の点)及び/又は実質的に被測定媒体の吸収特性の変化のみによる光学情報(例えば、吸収作用線又は吸収作用線における一点又は複数の点)を確定することも含む。上記のように、このような散乱作用及び吸収作用の抽出は可能である。該1つ又は複数の第2のラジアル位置は、上記1つ又は複数の第1のラジアル位置と異なってもよく、同じであってもよく、部分的に同じであってもよい。
例えば、この抽出は、被測定媒体の散乱非感応点及び/又は吸収非感応点に応じて行われることができる。ここでは、「散乱非感応点」とは、スペクトルデータ中の光度情報が被測定媒体における散乱特性の変化に対して実質的に感応しないラジアル位置を意味し、「吸収非感応点」とは、スペクトルデータ中の光度情報が被測定媒体の吸収特性の変化に対して実質的に感応しないラジアル位置を意味してよい。図3を参照して、被測定媒体の特定成分の濃度が変化する場合、散乱非感応点及び吸収非感応点の位置は基本的に変化しない。したがって、被測定媒体の散乱非感応点及び/又は吸収非感応点は、背景媒体又は基準媒体を測定することによって取得されることができる。
散乱非感応点及び/又は吸収非感応点によって散乱信号及び/又は吸収信号を抽出することは、例えば、以下のように行われることができる。具体的には、図2を参照して、吸収非感応点207におけるスペクトルデータ(すなわち、点213)及び散乱非感応点203に応じて、例えば線形フィット又はこの2点213、203を直接的に接続することによって散乱作用線を取得することができる。類似的には、散乱非感応点203におけるスペクトルデータ(すなわち、点211)及び吸収非感応点207に応じて、例えば線形フィット又はこの2点211、207を直接的に接続することによって吸収作用線を取得することができる。
複数の波長のスペクトルデータを測定した場合、各波長のスペクトルデータについて、各波長の相応的な散乱非感応点及び/又は吸収非感応点によって、データの抽出を行うことができる。
図3を参照して、この散乱作用線及び/又は吸収作用線(又は、その傾き)が背景媒体の特定成分の濃度変化を反映するため、濃度の予測に用いることができる。以下、これをさらに詳しく説明する。
ここでは、散乱作用線及び吸収作用線の両者に分離する必要がなく、そのうちの一つに分離すればよいことを理解すべきである。例えば、下記のように、散乱作用線又は吸収作用線のみによって濃度の予測を行うことができる。なお、散乱作用線又は吸収作用線全体を取得する必要がなく、散乱作用線又は吸収作用線における一点又は複数の点を取得すればよい。
上記操作において、被測定媒体の散乱非感応点及び吸収非感応点を採用している。この散乱非感応点及び吸収非感応点は例えば下記のように確定されることができる。
図5を参照して、操作S501において、背景媒体又は基準媒体(背景媒体及び基準媒体は一般的に散乱媒体であってもよい)に対して、一定波長の測定光で、異なるラジアル検出距離においてスペクトルを測定し、初期スペクトルとし、Iに記述する。そして、操作S503において、背景媒体又は基準媒体の散乱係数を微細な変化を行い、例えば、少量の散乱粒子を添加してもよいが、該背景媒体又は基準媒体の該波長での吸収特性に基本的に影響しない(例えば、添加された粒子は該波長で、基本的に吸収を表しない)。ここで、「微細な」変化とは、この変化が、スペクトルデータ中では観察できる変化の原因となるが、それに加え、背景媒体又は基準媒体の全体的な光学性質が基本的に変化しないことを意味する。すなわち、この微細な変化は、微分概念dμs'又はΔμs,j'(λ)と見なされる。微分又は差分法の測定原理において、常にこのような概念を使用するため、当業者は、実際な適用において、この「微細な」変化の具体的な数値選択及びその実現方式を理解できる。ここで、この「微細な」変化は必ずしも極めて小さい数値の絶対値と言えない;同様に、極めて小さい絶対値の変化が必ずしもここの「微細な」変化とも言えない(例えば、一人の皮膚から他人の皮膚への変化は、一般的に微細な変化と見なされず、背景媒体の変化と見なされる)ことに注意すべきである。このとき、同じ波長の測定光によって、背景媒体又は基準媒体の異なるラジアル検出距離でのスペクトルを測定して、
とする。そして、操作S505において、光度の変化情報に応じて、該波長での散乱非感応点を確定することができる。具体的には、光度の絶対変化量I'=I-I、あるいは光度の相対変化量Sを算出でき、
Figure 0006630061
又はs=(I-I)/I
と計算することができる。光度の変化が、操作S503における背景媒体又は基準媒体の散乱特性の変化による(吸収特性は基本的に変化しない)ため、光度の変化情報は基本的に背景媒体又は基準媒体の散乱特性の変化に完全に反映している。絶対変化量I'又は相対変化量Sのゼロクロス点に対応するラジアル位置、すなわち、光度の変化が実質的に零である箇所におけるラジアル位置を、散乱非感応点とすることができ、この原因は、該点はスペクトルデータ(ここでは光度である)が背景媒体又は基準媒体の散乱特性の変化に従って変化せず、すなわち、散乱特性に感応しないことを表すためである。上記のように、該点は被測定媒体の散乱非感応点と見なされてよく、それは、上記のように、該特定成分の濃度の変化が基本的に散乱非感応点の位置に影響しないためである。
ここでは、基準媒体において、該特定成分の初期濃度は、上記被測定媒体の初期スペクトルを測定するときの被測定媒体における該特定成分の初期濃度と同じであってもよく、異なってもよいことを理解すべきである。同様に、以下の実施例において、異なる場合に使用する基準媒体において、特定成分の初期濃度は必ずしも同じと言えない。
異なる波長について、これらの波長に対して背景媒体の各波長での散乱非感応点をそれぞれ取得するように、図5に示すような処理をそれぞれ行う。
図6は濃度が3%であるintralipid溶液に対する実験の結果を示す。このintralipid溶液は例えば人体の皮膚の状況を模擬でき、例えば、ある人の皮膚の光学パラメーターは3%濃度のintralipidに類似しているが、ある人の皮膚の光学パラメーターは4%濃度のintralipidに類似している。このため、intralipid溶液のシミュレーション実験を用いて、生体測定を模擬できる(例えば、intralipid溶液にブドウ糖を添加して、生体の血糖測定を模擬する)。この例示では、intralipid溶液は上記背景媒体と見なされ、ブドウ糖は上記特定成分と見なされる。図6において、1100-1340nm帯域に対する散乱非感応点を示している。
背景媒体又は基準媒体に対して、一定波長の測定光で、異なるラジアル検出距離においてスペクトルを測定し、初期スペクトルとし、Iに記述する。そして、操作S703において、背景媒体又は基準媒体の吸収係数を微細な変化を行い、例えば、少量の吸収成分を添加し、該背景媒体又は基準媒体の該波長での散乱特性に基本的に影響しない(例えば、添加された成分は該波長で、基本的に散乱を表しない)。ここで、「微細な」変化とは、上記記述を参照できる。このとき、同じ波長の測定光によって、背景媒体又は基準媒体の異なるラジアル検出距離でのスペクトルを測定し、Iとする。そして、操作S705において、光度の変化情報に応じて、該波長での吸収非感応点を確定することができる。具体的には、光度の絶対変化量I'=I-I、あるいは光度の相対変化量S、
Figure 0006630061
又はs=(I-I)/Iと計算できる。光度の変化が、操作S703における背景媒体又は基準媒体の吸収特性の変化による(散乱特性は基本的に変化しない)ため、光度の変化情報は基本的に背景媒体又は基準媒体の吸収特性の変化を完全に反映している。絶対変化量I'又は相対変化量Sのゼロクロス点に対応するラジアル位置、すなわち、光度の変化が実質的に零である箇所におけるラジアル位置を、吸収非感応点とすることができ、この原因は、該点はスペクトルデータ(ここでは光度である)が背景媒体又は基準媒体の吸収特性の変化に従って変化しなく、すなわち、吸収特性に感応しないことを表すためである。上記のように、該点は被測定媒体の吸収非感応点と見なされてよく、それは、上記のように、該特定成分の濃度の変化が基本的に吸収非感応点の位置に影響しないためである。
上記のように、吸収非感応点を測定するときの基準媒体における該特定成分の初期濃度は、上記被測定媒体の初期スペクトルを測定するときの被測定媒体における該特定成分の初期濃度と同じであってもよく、異なってもよく、上記散乱非感応点を測定するときの基準媒体の該特定成分の初期濃度と同じであってもよく、異なってもよい。
同様に、異なる波長について図7に示すような処理をそれぞれ行い、これらの波長に対して背景媒体の各波長での散乱非感応点をそれぞれ取得することができる。
実際には、吸収非感応点は、常に光源に近いため、ρ’=0に近似し、あるいは相対的に小さい数値をとることができる。
図5及び7に示す処理において、予め実験によって、必要な波長での散乱非感応点及び吸収非感応点を予め確定する。しかしながら、本発明はこれに限られない。例えば、他の波長での測定データに応じて、目標波長での散乱非感応点を推測できる。吸収非感応点は、上記予め実験によって確定でき、あるいは、直接的に比較的に小さい位置(例えばρ’=0)を用いて近似してもよい。
図8を参照して、操作S801において、被測定媒体のスペクトルを測定するための目標波長λについて、近似する波長λrを参照波長とすることができる。該参照波長λrは、被測定媒体に含まれる特定成分の吸収が弱い波長、あるいは吸収がない波長をとして選択できる。例えば、特定成分としてのブドウ糖に対して、1150nmの波長を目標波長(すなわち、測定に用いられる)とすることができ、該波長において、ブドウ糖の吸収は比較的に強い(吸収情報は成分をよりよく反映でき、下記のように);そして、1050nmの波長を参照波長とすることができ、その原因は、該波長でブドウ糖の吸収は比較的に弱いためである。なお、参照波長λrでの散乱作用線と目標波長λでの散乱作用線とは近似してもよい。
続いて、操作S803において、目標波長λ及び参照波長λrについて、被測定媒体のスペクトルデータをそれぞれ取得できる。このスペクトルデータは、例えば上記光度の変化量又は光度の相対変化量を含める。具体的には、例えば、被測定媒体のスペクトルI2λr、Iを測定でき、初期状態(例えば、背景媒体に特定成分が含まない、あるいはある固定濃度の特定成分を含む)のスペクトルI1λr、I1λに対して処理し、例えば光度の相対変化量Sλr、Sλを取得する。それらはそれぞれ参照波長λr及び目標波長λでのスペクトルデータ(例えば、綜合作用線)とすることができる。
そして、操作S805において、参照波長λrでのスペクトルデータ(例えば、上記綜合作用線)に応じて、目標波長λでの散乱非感応点を確定できる。例えば、参照波長λrでのスペクトルデータに応じて、参照波長λrでの散乱非感応点ρ*λrを確定できる。上記のように、参照波長λrは、被測定媒体の吸収が弱い波長、又はさらに吸収がない波長をとして選択できるため、取得した綜合作用線(Sλr)をそのまま散乱作用線とすることができ(このときの綜合作用線が、被測定媒体における特定成分の濃度が初期状態の濃度に対して変化することによる光学情報を表し、この濃度の変化による吸収情報が非常に小さくて、またはさらに零であるため、無視することができる)、これにより、散乱非感応点ρ*λr(例えば、光度の変化量又は相対変化量のゼロクロス点)を取得できる。その後、ρ*λrに応じて、目標波長λでの散乱非感応点ρ*λを確定できる。例えば、そのままρ*λrをρ*λとし、あるいは、ρ*λrを簡単に演算してρ*λを取得することができる。この「簡単な演算」は例えば線形又は二次的フィットであってよい。
式(7)を参照して、散乱非感応点ρ*の位置は有効減衰係数μeffに関連している。同一の背景媒体(或基準媒体)にとって(上記のように、特定成分の濃度の変化は基本的に散乱非感応点の位置変化を引き起こさない)、例えばそれらの異なる波長でのμeff(より具体的には、吸収係数μa及び散乱係数μs)に応じて、波長間の散乱非感応点の推測を実現できる。異なる波長間のマッピング規則を予め確定でき、上記のように、これは背景媒体(又は基準媒体)のみに関連している。背景媒体の吸収が比較的に安定な帯域(例えば、1200-1250nm)において、近接する波長の吸収が近いため(なお、散乱が近似しているため、波長間の散乱非感応点は近似している)、そのままρ*λrをρ*λとすることができる。
図8に示す処理は、例えば、生体の血糖測定という媒体が予め実験を行い難しい場合に特に適用できる。この場合、図5及び7に示す処理によって、血液の散乱/吸収係数を単独に変化して、散乱/吸収非感応点を取得することは困難である。
本発明の他の実施例によれば、散乱非感応点における拡散スペクトルデータを取得することができる。この取得は、例えば直接的に散乱非感応点でスペクトルを測定することにより行われ、あるいは、散乱非感応点以外の少なくとも2つの位置でスペクトルを測定することにより、例えば線形フィットによって、散乱非感応点におけるスペクトルデータを推定できる。図2を参照して、散乱非感応点203において、光度が散乱特性の変化に感応しないため、(綜合)拡散スペクトルデータ(例えば、点211)は、基本的に吸収特性の変化による信号のみを含む。すなわち、そのまま散乱非感応点における拡散スペクトルデータを、実質的に被測定媒体の吸収特性の変化のみによる光学情報(例えば、吸収作用線の散乱非感応点における値)に確定することができる。
類似的には、吸収非感応点における拡散スペクトルデータを取得できる。この取得は、例えば直接的に吸収非感応点でスペクトルを測定することにより行われ、あるいは、吸収非感応点以外の少なくとも2つの位置でスペクトルを測定することにより、例えば線形フィットによって、吸収非感応点におけるスペクトルデータを推定できる。図2を参照して、吸収非感応点207において、光度が吸収特性の変化に感応しないため、(綜合)拡散スペクトルデータ(例えば、点213)は散乱特性の変化による信号のみを基本的に含む。すなわち、吸収非感応点における拡散スペクトルデータを、実質的に被測定媒体の散乱特性の変化のみによる光学情報(例えば、散乱作用線の吸収非感応点における値)を直接的に確定することができる。このような実施例において、拡散スペクトルデータを取得するときは、直接的に散乱情報及び/又は吸収情報を抽出することである。
上記実施例において、散乱非感応点及び/又は吸収非感応点に基づいて、綜合作用線(あるいはその上における一点又は複数の点)を分離して、散乱作用線及び/又は吸収作用線(あるいはその上における一点又は複数の点)を取得する。しかしながら、本発明はこれに限られない。例えば、この分離は散乱非感応点及び吸収非感応点に依存せずに行われることができる。
図9を参照して、操作S901において、被測定媒体のスペクトルを測定するための目標波長λ(例えば、上記ブドウ糖に対する1150nm)について、近似する波長λr(例えば、上記ブドウ糖に対する1050nm)を参照波長とすることができる。該参照波長λrは、被測定媒体に含まれる特定成分の吸収が弱い波長、又はさらに吸収がない波長をとして選択できる。なお、参照波長λrでの散乱作用線と目標波長λでの散乱作用線とは近似することができる。
続いて、操作S903において、目標波長λ及び参照波長λrについて、被測定媒体のスペクトルデータをそれぞれ取得することができる。このスペクトルデータは、例えば上記光度の変化量又は光度の相対変化量を含める。具体的には、例えば、被測定媒体のスペクトルI2λr、I2λを測定し、初期状態(例えば、背景媒体に特定成分が含まない、あるいは、ある固定濃度の特定成分が含まれる)のスペクトルI1λr、I1λに対して処理し、例えば光度の相対変化量Sλr、Sλを取得する。それらはそれぞれ参照波長λr及び目標波長λでのスペクトルデータ(例えば、綜合作用線)とすることができる。
そして、操作S905において、参照波長λrでのスペクトルデータ(例えば、上記綜合作用線)に応じて、目標波長λでの散乱作用線及び/又は吸収作用線を確定することができる。上記のように、参照波長λrが被測定媒体の吸収が弱い波長、又はさらに吸収がない波長をとして選択できるため、取得した綜合作用線(Sλr)をそのまま散乱作用線とすることができる。参照波長λrでの散乱作用線を、そのまま、あるいは簡単な演算によって目標波長λでの散乱作用線とすることができる。ここでは、隣接する波長間の近似性により、この「簡単な演算」は例えば線形又は二次的フィットであることができる。また、目標波長λでの綜合作用線(Sλ)から、推測された散乱作用線を除いて、吸収作用線を取得し、分離を実現することができる。
上記のように、分離された「散乱作用線」あるいはその上における一点又は複数の点、及び「吸収作用線」あるいはその上における一点又は複数の点のデータを用いて、濃度の予測をそれぞれ行ってもよく、それらを綜合的に濃度の予測に用いてもよい。
図10はスペクトルデータによって濃度の予測を行う一般的な原理を示す。図10に示すように、背景媒体又は基準媒体(背景媒体及び初期濃度の特定成分を含む)に、一連の既知濃度{C}の特定成分を添加して、相応的な拡散スペクトルデータ{I(ρ)}をそれぞれ取得することができる。これらの既知濃度のデータ集合X⌒及び相応的な拡散スペクトルデータの集合Y⌒によって、予測モデルMを構築することができる。当業者は、予測モデルMを構築する方式を複数知っており、例えば、部分最小二乗(PLS)回帰。そして、背景媒体又は基準媒体(モデリングときの背景媒体又は基準媒体と異なってもよく、下記のように)における特定成分の未知の濃度(又は濃度変化)C'に対して、相応的な拡散スペクトルデータI'(ρ)(“Y”)を取得することができる。I'(ρ)及び予測モデルMによって、濃度(“X”)を予測することができる。
以上のように、拡散スペクトルデータは、例えば光度の変化又は相対変化という各適宜なデータを含める。相対的な光度が変化することを利用する場合、例えば、図3に示すような各濃度に対応する一クラスターの綜合作用線(あるいは、相応的な一クラスターの散乱作用線及び/又は吸収作用線)を取得できる。なお、1つ又は複数の波長を用いて相応的な拡散スペクトルデータを取得できる。
モデリングするとき、背景媒体又は基準媒体のスペクトルを測定して初期スペクトルとすることができ、既知濃度{Ci}の特定成分が添加されたスペクトルを測定して測定スペクトルとすることができ、これに応じて光度の変化情報を取得することができる。予測するとき、同様に背景媒体又は基準媒体(基準媒体の特定成分の初期濃度は、モデリングするときの基準媒体における特定成分の初期濃度と同じであってもよく、異なってもよい)のスペクトルを初期スペクトルとして測定することができ、特定成分の濃度が変化した後のスペクトルを測定スペクトルとして測定することができ、これに応じて光度の変化情報を取得することができる。予測して取得するのは濃度相対値(すなわち、濃度変化量)であり、初期値(背景媒体の場合には0である;基準媒体の場合には前記初期濃度である)を加算して濃度予測値を取得できる。
本発明の実施例によれば、これらの拡散スペクトルデータを処理して、散乱信号及び/又は吸収信号を抽出できる。例えば、この分離は上記のように行われる。ここでは、このようなモデリング及び/又は濃度の予測方法を提案する。図11を参照して、操作S1101において、拡散スペクトルデータを取得できる。例えば、モデリングするとき、既知濃度{Ci}の特定成分が添加された後の背景媒体又は基準媒体に対して、拡散スペクトルデータ(例えば、特定成分が添加される前に対する光度の変化情報)を取得できる;予測するとき、その特定成分の濃度が変化した背景媒体又は基準媒体に対して、拡散スペクトルデータ(例えば、特定成分の濃度が変化する前に対する光度の変化情報)を取得できる。続いて、操作S1103において、拡散スペクトルデータを分離し、例えば散乱信号(例えば、散乱作用線あるいはその上における一点又は複数の点)及び/又は吸収信号(例えば、吸収作用線あるいはその上における一点又は複数の点)に分離することができる。そして、操作S1105において、分離された散乱信号(例えば、散乱作用線あるいはその上における一点又は複数の点)及び/又は吸収信号(例えば、吸収作用線あるいはその上における一点又は複数の点)を用いて、モデリング又は予測を行うことができる。図11の処理は、モデリングに適用される場合と予測に適用される場合とは基本的に同じであり、区別は、モデリングするとき、特定成分の濃度は既知であり、濃度(X⌒)及びスペクトルデータ(Y⌒)によって予測モデル(M)を取得する;予測するとき、特定成分の濃度(又は濃度変化)は未知であり、スペクトルデータ(Y)及び予測モデル(M)によって予測濃度(或濃度変化)(X)を取得する、ということである。
具体的には、モデリングするとき、分離された散乱信号(すなわち、Yはスペクトルデータとしての散乱信号を含む)を採用でき、予測するとき、分離された散乱信号(すなわち、Yはスペクトルデータとしての散乱信号を含む)も採用できる。散乱による信号が常に吸収信号よりも強いため、散乱信号によってモデリング及び予測することは、信号の強度が大きいという長所を有している。しかしながら、各波長間の散乱情報の差異が大きくない可能性があり、混合成分を区分できないため、そのまま混合成分の定量分析に用いられることができない場合がある。
あるいは、モデリングするとき、分離された吸収信号(すなわち、Y⌒はスペクトルデータとしての吸収信号を含む)を採用でき、予測するとき、分離された吸収信号(すなわち、Yはスペクトルデータとしての吸収信号を含む)も採用できる。吸収情報が物質成分の原子又は分子構造に直接的に関連しており、且つ各成分が自分の特別な波長の吸収ピーク又は吸収帯域を有するため、この場合は純粋な吸収媒体の測定に類似しており、混合成分の定量分析に用いられることができる。しかしながら、いくつかの関心がある成分は吸収が弱くて、吸収信号が小さくて、ノイズの影響を受けやすい。
あるいは、上記のように、散乱信号及び吸収信号をそれぞれ用いてモデリング及び予測することができ、2つの予測結果を取得する。実際な環境(異なる波長で散乱/吸収の感応性など)に応じて、この2つの結果のうちの一つを選択し、あるいは、この2つの結果を融合して(例えば、加重平均、散乱信号及び吸収信号の重みを特定成分の異なる波長での散乱及び吸収特性に応じて確定し、例えば、それぞれを0.5に確定することができる)、予測結果とすることができる。
あるいは、散乱信号及び吸収信号を採用してモデリング及び予測を行うことができる。すなわち、Y⌒はスペクトルデータとしての散乱信号及び吸収信号を含め、Yはスペクトルデータとしての散乱信号及び吸収信号を含める。
他の実施例によれば、モデリング及び/又は予測するとき、少なくもと2つのラジアル位置におけるスペクトルデータを使用できる。例えば、Y⌒は少なくとも2つのラジアル位置におけるスペクトルデータ(例えば、光度の変化又は相対変化)を含め、Yは少なくとも2つのラジアル位置におけるスペクトルデータ(例えば、光度の変化又は相対変化)を含める。モデリング及び予測するときに採用されるラジアル位置は異なってもよい。あるいは、モデリング及び/又は予測するとき、散乱作用線及び/又は吸収作用線の傾きを使用できる。例えば、Y⌒はスペクトルデータとしての散乱作用線及び/又は吸収作用線の傾きを含め、Yはスペクトルデータとしての散乱作用線及び/又は吸収作用線の傾きを含める。
予測モデルMは、背景媒体/基準媒体及び特定成分に対して予め構築されて、例えばデータベース又はサーバに記憶されてもよい。必要なとき、データベース又はサーバから予測モデルMを取得してもよい。
上記実施例によれば、スペクトルデータを測定するとき、いくつかの特定なラジアル位置(例えば、散乱非感応点及び/又は吸収非感応点)を選択して、測定するときに散乱信号及び/又は吸収信号の直接的な抽出を実現することができる。この場合、例えば以下のようにモデリング及び/又は予測を行うことができる。
特に、散乱非感応点について、ここの光度が散乱特性の変化に感応しないため、測定データに基本的に吸収特性の変化による信号のみが含まれ、該信号を用いて濃度の予測を行うことは、基本的に全ての媒体の散乱特性の変化からの測定に対する干渉を除去できる。そして、該信号の組成は基本的に媒体の初期スペクトル(すなわち、被測定成分を含まない、あるいは被測定成分の濃度がある固定の初期濃度であるときのスペクトル)及び吸収係数の変化量という2つのみであるため、初期スペクトルが既知であり、数学の方法で除去すれば、異なる散乱媒体に対して同じ信号―吸収係数の変化量を取得し、純粋な吸収媒体と一致する測定結果を実現する。この原理に基づいて、散乱係数が異なる散乱媒体に対して構築するスペクトル予測モデルは移植性を有しており、目標媒体に対する測定は、他の散乱媒体又は純粋な吸収媒体の測定スペクトルデータを予め用いて行われる。例えば、生体組織の成分の測定は、生体から離れる実験によってモデルを構築することができる;複雑な散乱媒体の成分の測定は、簡単な体系な散乱媒体、さらに純粋な吸収媒体によってモデルを構築することができる。このように、実際な適用において、スペクトルモデルを構築することは簡単化にされる。特に、生体の測定にとって、該方法は、各測定生体の光学パラメーターの差異によるモデルの差異を除去することができる。
なお、吸収非感応点について、ここの光度が吸収特性の変化に感応しないため、測定データに基本的に散乱特性の変化による信号のみが含まれ、被測定成分又は他の要素による散乱係数の変化を検出することに用いてもよく、散乱情報に基づく成分濃度の測定に用いてもよい。
以下、散乱非感応点におけるスペクトルデータ及び吸収非感応点におけるスペクトルデータによってモデリング/予測を行う実施例をそれぞれ紹介する。
具体的には、図12を参照して、操作S1201において、例えば光度の変化又は相対変化という散乱非感応点におけるスペクトルデータを取得できる。そして、操作S1203において、散乱非感応点におけるスペクトルデータによってモデリング及び/又は予測を行うことができる。
散乱非感応点の位置に対して、例えば上記のように、予め実験によって確定し(例えば、図5を参照する)、あるいは波長間の推定によって確定することができる(例えば、図8を参照する)。
散乱非感応点を確定した後で、該位置におけるスペクトルデータを取得するために、該位置のスペクトルを実際に検出しなくてもよく、他(少なくとも2つ)のラジアル距離での光度を測定することにより、その光度の相対変化量を算出して、散乱非感応点における値を推測することができる。ラジアル距離において、光度の相対変化量が線形又は線形に近似する規則を現すため、任意の2点から、他の点の値を推測することができる。特に、その一点が該物質成分の変動基準点を採用すれば、該点の光度が濃度に従って変化しなく、初期スペクトルのみを記録すればよい。このように、検出しやすい位置のデータによって、他の検出し難しい位置のデータを推測することができる。例えば、いくつかの散乱非感応点が光源から遠く離れた位置に位置しており、光度が弱くて、正確な測定を実現し難しい。上記方法を採用すれば、光源から近く位置する他の2点の位置、更に一点の位置を選択することができ、この場合、光度が強くて、正確な測定を実現しやすく、他の位置の光度を推測することができる。
この方式は、複数の波長での散乱非感応点の測定を簡単化にすることにも適用できる。例えば、N個の波長に対して相応的な散乱非感応点におけるスペクトルをそれぞれ測定すれば、散乱非感応点の波長の依存性により(例えば、図6を参照する)、このN個の波長に対応するN個の散乱非感応点の位置で測定をそれぞれ行う必要がある。例えば、図26に示すように、検出器の位置を移動して、このN個の位置における測定を実現する必要がある。これは複雑である。
しかしながら、上記方法によれば、少なくとも2つの位置におけるスペクトルを固定して測定できる。例えば、光源を固定し、少なくとも2つの位置で検出器をそれぞれ設置し、相応的な位置におけるスペクトルを測定する。このように、光源から発射する波長のみを変化すればよく、検出器を移動する必要がない。しかしながら、この少なくとも2つの位置における測定スペクトルに応じて、上記のように、各波長に対応する散乱非感応点におけるスペクトルデータを推定できる。例えば、図27に示すように、複数の波長λ1、λ2、λ3、λ4に対して、2点ρA、ρBで測定することができる。そのうちの一点が特定波長で特定成分に感応しない変動基準点であれば、該特定波長では、この点も測定される必要がなく、初期スペクトルを採用すればよい。例えば、図27の例示において、ρA点はλ2波長での変動基準点であり、該波長λ2では、ρA点も測定される必要がなく、初期スペクトルを採用すればよい。このように、検出位置は一点だけであればよく(該点と各波長での変動基準点とは一対の測定位置を構成する)、この点がN個の波長の任意波長での変動基準点ではない必要があり、そうでなければ、この波長に対してさらに1つの測定位置を選択する必要がある。例えば、図27の例示のように、ρB点に対して検出でき、この点ρBが複数の波長λ1、λ2、λ3及びλ4のいずれか1つの波長での変動基準点でないため、それは全ての波長の変動基準点(これらの点は測定される必要がなく、S=0により簡単化にすることができる)と共に測定対を構成して(例えば、波長λ2に対して、ρA点と共に測定対を構成する)、それぞれの散乱非感応点におけるS値を推測できる。ρA点を選択して一点測定を行うと、それが波長λ2の変動基準点であるため、波長λ2に対してさらに1つの測定位置を選択し、測定対を構成する必要がある。
散乱非感応点におけるデータを用いてモデリング及び濃度の予測を行うとき、採用できるデータの形式は、「散乱非感応点」における絶対光度I2(散乱非感応点で実際に測定され、あるいは上記のように推測される)、光度の絶対変化量I'=I2-I1、光度の相対変化量
S1=ΔI/I=(I2-I1)/I1、吸収係数μa2、吸収係数の絶対変化量Δμa=μa2-μa1、吸収係数の相対変化量
Figure 0006630061
、吸光度A2
、吸光度の絶対変化量
Figure 0006630061
、吸光度の相対変化量
Figure 0006630061
又は上記信号により構成する他の関連量(例えば、これらの情報を線形変化して取得した信号)(ただし、I1、μa1及びA1はそれぞれ散乱非感応位置における初期光度(すなわち、背景媒体又は基準媒体を測定するときの光度)、初期吸収係数(すなわち、背景媒体又は基準媒体の吸収係数)及び初期吸光度(すなわち、背景媒体又は基準媒体の吸光度)であり、I、μa及びAはそれぞれ被測定成分の濃度が変化した後(モデリングするとき、背景媒体又は基準媒体に既知濃度の特定成分を添加した後;予測するとき、背景媒体又は基準媒体に特定成分の濃度が変化した後)で散乱非感応位置における光度、吸収係数及び吸光度である)を含むが、これらに限られない。上記信号は基本的にいずれも特定成分の吸収変化によるものであり(散乱非感応点におけるデータであるため)、これらの間は以下のように、直接的に線形変換できる。
具体的には、光度、吸収係数、吸光度の間の理論的関係は、
Figure 0006630061
であり、ただし、L*は散乱非感応点における平均等価光路であり、同一の媒体にとって、それを定数と見なされる;I光源の入射光度である。
無限媒体にとって、(散乱非感応点で)以下の関係がある:
Figure 0006630061

したがって、同一の媒体にとって、光度の相対変化量、吸収係数の相対変化量及び吸光度の相対変化量は等価である。
一方、半無限媒体にとって、散乱非感応位置で、上記関係が変化している。しかしながら、固定の被測定媒体にとって、光度の相対変化量、吸収係数の相対変化量及び吸光度の相対変化量は下式のように、直接的に線形変換でき、ただし、特定の媒体にとってαは固定の定数である:
Figure 0006630061

また、上記相対変化量以外に、他の形式の信号の間も互いに変換できる。例えば、式(13)又は式(14)によって、光度の度量、吸収係数の度量及び吸光度の度量という3つの関連を実現でき、そして、初期光度、初期吸収係数又は初期吸光度を基礎とし、光度、吸収係数及び吸光度の絶対変化量又は絶対値を取得することができる。例えば、散乱非感応点における絶対光度Iを測定し、あるいは推測すれば、初期光度Iによって、相対光度変化量S1=ΔI/I=(I2-I1)/I1を算出でき、式(13)又は式(14)によって吸収係数又は吸光度の相対変化量Sμa又はSAを取得できる。さらに、取得された吸収係数又は吸光度の相対変化量Sμa又はSAに基づき、初期吸収係数μa1又は吸光度A1を結合して、吸収係数μa又は吸光度Aを取得できる。
ここでは、モデリング及び予測するときに同じ信号形式を採用してもよく、異なる信号形式を採用してもよいことを理解すべきである。例えば、モデリング及び予測するときに、光度の相対変化量又は吸収係数の相対変化量などを採用できる。あるいは、例えば、モデリングするときに、光度の相対変化量(あるいは、ほかの信号形式)を採用するが、予測するときに、吸収係数の相対変化量(あるいは、他の信号形式)を採用できる。この場合、上記の信号の間が直接的に変換できるため、予測するとき、吸収係数の相対変化量を光度の相対変化量に変換して、予測モデルを入力することができる。
モデリングと予測するときに異なる信号形式を採用する場合、変換しなくてもよい(例えば、上記のように、予測するときに採用する信号形式をモデリングするときに採用する信号形式に変換する)。このとき、予測するときに大きいシステム誤差を生する可能性がある。しかしながら、該システム誤差は、濃度の真値を取得した後で推定でき、例えば、定期に被測定成分の濃度の真値によってシステムの予測誤差Ce及び補正係数kを取得して、例えば式(15)に従って濃度の予測値を線形補正する。
Figure 0006630061

ここでは、C予測は予測の濃度を示し、C補正は補正後の濃度を示す。
つまり、モデリング及び予測するとき、上記任意の信号形式を採用することができる。
モデルを長時間の予測に用いるとき、長時間以前の初期信号を採用すれば、予測の精度が低下する可能性があり、その原因は、機械の移動、環境の変化などの測定背景の変化がシステム誤差を引き起こす可能性があるためである。初期光度、初期吸収係数又は初期吸光度を含む初期信号を定期に更新することができる。初期信号を更新するとともに、このときの被測定成分の濃度の真値を取得することができる。この値は、モデル予測により取得でき、あるいは精度がより高い他の検出方法又は機械によって検出して取得されることもできる。そして、濃度の予測値はいずれも該真値に対する濃度変化値である。あるいは、元の初期信号を採用してもよいが、濃度の予測値に対してシステム補正を行い、あるいは、式(15)に従って濃度の予測値を補正する。
「散乱非感応点」における上記信号又はそれらに関連する他の信号を採用すると、同じ背景媒体又は基準媒体における該特定成分に対する測定を実現できるとともに、モデル変換によって、他の背景媒体又は基準媒体における該特定成分に対する測定も実現できる。例えば、生体を測定するとき、被測定成分と干渉成分とを変動させて異なる状況のスペクトルデータを取得することは実現され難しい。例えば、生体のいくつかの成分の濃度は、短期において安定であり、変化後の測定データを取得し難しい。生体から離れてモデリング実験を行うことは便利であり、純粋な吸収媒体を採用すると、モデリングはより便利になる。したがって、若し、散乱媒体の間、散乱媒体と純粋な吸収媒体との間は便利に変換できれば、モデルの汎用性が強くなり、移植性も強くなる。生体のスペクトル検出に対して、個体の差異によるモデルの汎用性がない、及びしょっちゅう失効するという課題を解決する可能性もある。
図13を参照して、操作S1301において、(既知)予測モデルを構築するための背景媒体又は基準媒体の吸収係数μas1、および予測するときの背景媒体又は基準媒体(モデリングするための背景媒体又は基準媒体と異なっている;ここでは、「異なる」とは、特定成分の濃度が異なる以外に、互いの背景媒体も異なり、例えば、成分の組成が異なる)の吸収係数μas2を測定できる。例えば、吸収係数は、積分球又は他の汎用な光学パラメーターの測定方法により測定できる。上記のように、モデリングするための背景媒体又は基準媒体に一連の既知濃度の特定成分を添加し、相応的なスペクトルデータを測定して、モデリングすることができる。なお、予測待ちの背景媒体又は基準媒体の特定成分の濃度は変化でき、これにより、上記のようにその光度の変化情報を取得することができる。
続いて、操作S1303において、取得した吸収係数μas1及びμas2(例えば、その比率)によって、予測待ちの媒体の散乱非感応点における拡散スペクトルデータに対してプリ処理することができる。拡散スペクトルデータは例えば上記信号形式を含む。例えば、2つの背景媒体又は基準媒体間の吸収係数の比率により、以下のようにプリ処理することができる。
具体的には、モデリング及び予測するときに光度の相対変化量、吸収係数の相対変化量又は吸光度の相対変化量を採用すれば、以下のようにプリ処理を行うことができる:
Figure 0006630061

ただし、Sμa'は予測媒体に対して取得した吸収係数の相対変化量であり、SμaはSμa'に対してプリ処理を行った後で取得したプリ処理後の信号である;SA'は予測媒体に対して取得した吸光度の相対変化量であり、SAはSA'に対してプリ処理を行った後で取得したプリ処理後の信号である;SI'は予測媒体に対して取得した光度の相対変化量であり、SIはSI'
に対してプリ処理を行った後で取得したプリ処理後の信号である。そして、プリ処理後の信号をモデリングするときに取得したモデルに入力することができる。若し、モデリングするときの背景媒体又は基準媒体と予測するときの背景媒体又は基準媒体との吸収係数が近似すれば、又はほぼ同じであれば、それらの区別は、主に散乱係数又は等価散乱係数が異なると(これは例えば背景媒体又は基準媒体の成分により確定でき、例えば、それらの成分の差異は吸収係数の変化を基本的に引き起こさない)、吸収係数を測定するステップS1301を省略でき、式(16)の係数は基本的に1であるためである。
上記のように、モデリング及び予測するときに同じ信号形式を採用するか否かに応じて、これらの信号を変換するか否かを確定できる;あるいは、変換せずに、式(15)によって濃度予測値に対してシステム補正を行うことができる。
あるいは、プリ処理せずに、2つの媒体の吸収係数間の差異をシステム誤差と見なし、式(15)によって濃度予測値を補正することができる。
もちろん、他の信号形式を採用してもよい。モデリング及び予測するときに異なる信号形式を採用すれば、上記のように、式(13)及び(14)によって、予測するときに採用する信号形式をモデリングするときに使用する信号形式に変換し、変換後の信号を予測モデルに入力することができる。このとき、同じ信号であるが、異なる媒体であるため、一般的には、その初期信号に大きい差異がある。このため、システム誤差を生じる可能性もある。同様に、式(15)に従ってシステム補正を行うことができる。あるいは、信号を変換せずに、式(15)に従って濃度予測値に対してシステム補正を行うこともできる。
あるいは、吸収係数によってプリ処理を行ってもよい。例えば、絶対光度Iを用いるとき、それを光度の相対変化量S1=ΔI/I=(I2-I1)/I1に変換し、式(16)に従ってプリ処理を行って、プリ処理後の光度の相対変化量を取得できる。プリ処理後の光度の相対変化量を初期光度I1にかけて、初期光度I1と加算して、プリ処理後の絶対光度を取得できる。プリ処理後の絶対光度を予測モデル(例えば、絶対光度に基づく予測モデル)に入力することができる。他の信号形式に対して類似的に処理できる。
そして、操作S1305において、予測モデルによって、予測待ちの媒体における特定成分の濃度予測値を取得できる。
上記プリ処理は例えば以下のように理解できる。
式(7)を式(3)に代入して、散乱非感応点における光度の相対変化量(すなわち、純粋な吸収情報)を取得できる:
Figure 0006630061

散乱非感応点で測定した信号Sは被測定媒体の吸収係数及び吸収係数の変化量のみに関連しており、散乱係数又は等価散乱係数に関連していない。したがって、散乱媒体の散乱係数が異なり、吸収係数が同じであれば、同じ測定情報Sを取得する。
異なる吸収係数の散乱媒体(例えば、μa1とμa2という2つの媒体)に対して、同じ特定成分による吸収係数の変化Δμaを測定するとき、Sが反映する吸収情報の区別は、係数項1/μaのみであり、該係数は、μa1及びμa2を予め測定して、両者の比例係数を取得することによって補正されることができる。
Figure 0006630061

Figure 0006630061

Figure 0006630061

したがって、異なる散乱媒体間に構築されるスペクトル測定モデルは、便利に移植及び使用することができる。
ここで以下のことを理解すべきである。上記散乱非感応点における拡散スペクトルデータによってモデリング/予測を行うことに対する説明は、同様に吸収作用線の他の点における拡散スペクトルデータによってモデリング/予測を行うことにも適用できる。その原因は、吸収作用線において、全ての点の拡散スペクトルデータが基本的にいずれも媒体の吸収特性の変化による(以上のように、散乱非感応点における拡散スペクトルデータの方はより抽出しやすいだけである)ためである。
上記のように、異なる散乱係数の散乱媒体がスペクトルモデルを互いに移植できる以外に、純粋な吸収背景媒体における測定モデルによって移植することもできる。その前提としては、当該純粋な吸収背景媒体の吸収係数と散乱媒体の吸収係数とが近似しており、あるいは、両者の吸収係数が予め測定され、式(20)を用いてデータ変換を行う。純粋な吸収媒体によって測定モデルを構築するとき、光路がL*=1/μaである透過測定に相当し、取得及び実現しやすい。そして、この光路は透過測定の最適な光路であり、この光路における測定は最も感度よいである。
具体的には、図14を参照して、操作S1401において、純粋な吸収媒体を用いて予測モデルを構築することができる。モデリングするとき、上記各種類の信号形式を採用できる。以下の説明において、吸収係数を例とする。例えば、異なる濃度の特定成分を含む純粋な吸収背景媒体に対して吸光度Aciの測定を行い、背景は空気又はある固定の純粋な吸収媒体である。具体的には、吸光度Aci=lnI-lnI0、ただし、Iは測定スペクトルであり、I0は背景スペクトルである。一連の濃度に対して、一連の吸収係数μa,ciの値を更に取得し、μa,ci=A/L、Lは透過光路である;濃度が0である場合、μaは該純粋な吸収背景媒体の吸収係数に記述される。濃度値と相応的な濃度での吸収係数及び初期濃度とを比較するときの相対変化値Ri=(μa,ciーμa)/μaを用いて、濃度予測モデルを構築することができる。吸収係数の相対変化量と吸光度係数の相対変化量とは実質的に同じであるため、吸光度の相対変化量によって直接的に取得されることができる。
操作S1403において、被測定媒体の散乱非感応点における拡散スペクトルデータを取得できる。例えば、被測定媒体は背景媒体及び特定成分を含め、拡散スペクトルデータは上記各種類の信号形式を含める。例えば、散乱背景媒体/基準媒体(散乱背景媒体に初期濃度の特定成分が含まれる)に対して初期スペクトルを取得し、特定成分の濃度が変化(未知の濃度に変化する)した後で測定スペクトルを取得できる。
次に、操作S1405において、純粋な吸収背景媒体の吸収係数μa及び散乱背景媒体/基準媒体の吸収係数μa'(例えば、その比率)に基づいて、散乱非感応点における拡散スペクトルデータに対してプリ処理を行うことができる。プリ処理の方式は上記図13に対して記載のプリ処理の方式と同じであってよい。散乱背景媒体/基準媒体の吸収係数μa'は積分球又は他の汎用な光学パラメーターの測定方法によって測定されてよく、背景は純粋な吸収背景媒体で吸光度を測定するときに同じであってよい。複数の波長の場合、それぞれの波長に対して上記処理を行って、各波長でのプリ処理の信号を取得してよい。あるいは、プリ処理せずに、例えば式(16)に従ってシステム補正を行ってよい。
そして、操作S1407において、予測モデルによって、散乱背景媒体の特定成分の濃度予測値を取得できる。
上記散乱非感応点における拡散スペクトルデータを利用する実施例に類似的に、吸収非感応点における拡散スペクトルデータを利用することができる。
具体的には、図15を参照して、操作S1501において、例えば、光度の変化又は相対変化という吸収非感応点におけるスペクトルデータを取得できる。そして、操作S1503において、吸収非感応点におけるスペクトルデータによってモデリング及び/又は予測を行うことができる。
吸収非感応点の位置に対して、例えば上記のように、予め実験によって確定してもよく(例えば、図7を参照する),あるいは、比較的に小さい値(例えば、0)によって近似してもよい。
吸収非感応点を確定した後で、該位置におけるスペクトルデータを取得するために、該位置のスペクトルを実際に検出しなくてもよく、他(少なくとも2つ)のラジアル距離での光度を測定し、その光度の相対変化量を算出することにより、吸収非感応点における値を推測できる。
上記散乱非感応点におけるデータによってモデリング及び予測を行う場合に類似的に、吸収非感応点におけるデータによってモデリング及び予測を行うとき、採用できるデータの形式は、「吸収非感応点」における絶対光度I2、光度の絶対変化量I'=I2-I1、光度の相対変化量、散乱係数、散乱係数の絶対変化量、散乱係数の相対変化量又は関連量を含めるが、これらに限られない。これらの信号の間は実質的に互いに変換できる。その原因は、下記のように、光度の相対変化量が散乱係数の相対変化量に近似しており、あるいは、両者の間にある固定の係数が異なっている(すなわち、上記式(13)又は(14)に類似する関係がある)ためである。したがって、上記各信号形式の間の変換、プリ処理、補正に関する説明(例えば、式(13)-(16)を結合する説明)はここでも適用できる。
一例示によれば、吸収非感応点における光度の相対変化量を取得でき、wに記述する。例えば、モデリングするとき、背景媒体又は基準媒体に対して、初期スペクトルを取得し、背景媒体又は基準媒体に一連の既知濃度の特定成分を添加した後で、測定スペクトルを取得し、これにより、光度の相対変化量を取得できる。予測するとき、背景媒体又は基準媒体(その中、特定成分の初期濃度は、モデリングするときの基準媒体における特定成分の初期濃度とは同じであってもよく、異なってもよい)に対して、初期スペクトルを取得し、背景媒体又は基準媒体の特定成分の濃度が変化(未知の濃度に変化する)した後で測定スペクトルを取得し、これにより、光度の相対変化量を取得できる。測定波長で、吸収係数が散乱係数よりも非常に小さければ、wは該被測定媒体の散乱係数の相対変化量を表してよい(下式(21)を参照する)。一方、測定波長で、吸収係数が大きければ、wを変換し、定数k(μas')にかけた後で、w'=w・k(μas')に変換してよい。ただし、kは被測定媒体の光学パラメーターに関連する定数であり、k(μas')=(2μas')/μs'
、ただし、μaは背景媒体又は基準媒体の吸収係数であり、μs'は背景媒体又は基準媒体の等価散乱係数である。w'は散乱係数の相対変化量を表してよい。
若し、モデリングに用いられる背景媒体又は基準媒体と予測するときの背景媒体又は基準媒体と同じであれば(成分組成は同じであり、基準媒体の特定成分の濃度は異なってもよい)、散乱係数の相対変化量を直接的に採用することができ、物質の濃度と共に予測モデルを構築する。若し、モデリングに用いられる背景媒体又は基準媒体と予測するときの背景媒体又は基準媒体と異なれば(特定成分の濃度が異なる以外に、同士の背景媒体は異なり、例えば、成分組成は異なる)、例えば、以下のように、モデル移植を行うことができる。例えば、モデリングするときに散乱係数の絶対変化量を採用してよい;予測するときに、散乱係数の相対変化量によって散乱係数の絶対変化量を間接的に取得し、それをモデルに入力して濃度の予測を行ってもよい。あるいは、モデリングするときに、散乱係数の相対変化量を採用してよい;予測するときに、光度の相対変化量を係数hにかけて、予測モデルに入力してもよく、ただし、hは2つの媒体の散乱係数の比率であり、
h=
Figure 0006630061
、ただし、
Figure 0006630061
はモデリングに用いられる背景媒体又は基準媒体の等価散乱係数を示し、
Figure 0006630061
は予測するときの背景媒体又は基準媒体の等価散乱係数を示す。
ここでは散乱係数の相対変化量を例として説明するが、本発明はこれに限られない。例えば、上記他の信号形式を採用でき、これはこれらの信号の間が互いに変換できるためである。具体的な変換及びプリ処理について、上記散乱非感応点における各信号形式に対する説明を参照でき、散乱係数が吸収係数を切り替える以外に、それらは類似している。
上記実施例は例えば以下のように理解できる。
式(8)を式(3)に代入すると、吸収非感応点における光度相対変化量(すなわち、純粋な散乱情報)を取得できる:
Figure 0006630061

式(21)に示すように、吸収非感応点で測定した信号Sは散乱作用の影響のみを反映する。そして、該点は常に光源位置に隣接し、光源の位置に簡単化することができる。特別に、吸収が弱い波長において、μa値は小さく、あるいは、吸収係数が散乱係数よりも非常に小さい場合、すなわち、μs'>>μa、吸収非感応点における光度相対変化量は散乱係数又は等価散乱係数の相対変化量Δμs'/μs'を反映できる。該情報はある物質の濃度が変化した後でのそれによる散乱係数の相対変化量及び絶対変化量を測定することに適用されることができる。
ここで以下のことを理解すべきである。上記吸収非感応点における拡散スペクトルデータによってモデリング/予測を行うことに対する説明は、同様に散乱作用線の他の点における拡散スペクトルデータによってモデリング/予測を行うことにも適用できる。その原因は、散乱作用線において、全ての点の拡散スペクトルデータが基本的にいずれも媒体の散乱特性の変化による(以上のように、吸収非感応点における拡散スペクトルデータの方はより抽出しやすいだけである)ためである。
上記のように、散乱信号と吸収信号とはそれぞれの長所を有するため、散乱信号と吸収信号を綜合的に用いて濃度の予測を行うと、より正確な物質成分の検出を実現できる。特に、いくつかの特定成分(例えば、ブドウ糖)の吸収が弱くて、上記方法によって抽出した吸収信号応じてブドウ糖を直接的に予測すれば(予め構築されたブドウ糖に対する予測モデルを利用する)、機械の測定精度が非常に高い必要があり、同時に、生体を測定するとき、ランダム誤差が測定に大きく影響する。散乱信号も利用すれば、吸収信号によって取得した測定結果を一定の程度に補助し、さらに補正することができる。これは、通常、これらの特定成分(例えば、ブドウ糖)による散乱信号が吸収信号よりも大きいためである。したがって、機械の精度に対する要求は低くなる一方、生体測定のランダム誤差を耐える能力は強くなる。
本発明の実施例れによれば、例えば以下のように濃度の予測を行うことができる。
具体的には、被測定媒体の特定成分(例えば、ブドウ糖)以外の干渉成分(例えば、ヘモグロビン)に対して、その単位濃度の変化量での散乱信号を(予め)取得してよい。例えば、該干渉成分の濃度を単独に変化させ(該干渉成分を含まない背景媒体あるいは初期濃度の該干渉成分を含む背景媒体について;ここで、「背景媒体」とは、測定される干渉成分に対することであり、すなわち、このとき、該「干渉成分」は「特定成分」である)、その拡散スペクトルデータを測定し、上記のように、散乱信号を分離し、それを濃度変化値で割って、単位濃度変化量の散乱信号を取得できる。
被測定媒体(その特定成分の濃度と干渉成分とはいずれも変化してよい)に対して、散乱非感応点におけるデータ(被測定成分及び干渉成分の総吸収情報を反映する;干渉成分の吸収が強く、例えば、特定成分の吸収よりも非常に大きい場合、主に干渉成分の吸収を表す)を採用し、干渉成分の濃度予測モデル(例えば、上記のように構築する。例えば、散乱非感応点におけるデータによって構築する)に入力し、干渉成分の濃度を予測できる。ここで散乱非感応点におけるデータによって予測したが、上記のように、吸収作用線の他の点のデータによって予測してもよい。
予測された干渉成分の濃度を単位濃度変化量の散乱信号にかけることによって、被測定媒体の干渉成分の散乱信号を取得できる。
被測定媒体の拡散スペクトルデータ(例えば、綜合作用線)から、取得した干渉成分の散乱信号を差し引く。全ての干渉成分に対して上記操作を行って、それらの影響を差し引くことができる。
上記のように処理された拡散スペクトルデータによって被測定成分に対して濃度の予測を行うことができる(例えば、上記のように特定成分に対して構築する予測モデルに入力する)。ここでは、吸収非感応点におけるデータを採用でき、あるいは、吸収が弱い波長に対して、散乱非感応点以外の他の位置におけるデータを直接的に採用こともできる。この場合、特定成分の散乱作用によって濃度の予測を行う。散乱情報が強くて、高いSNRの測定を実現しやすいため、濃度予測の精度は向上される。
図16は一例示の綜合作用線、それから分離した吸収作用線及び散乱作用線を示す。具体的には、3%のintralipid溶液に対して、濃度が10000mg/dLであるブドウ糖を添加し、そのスペクトルを測定する。測定スペクトルに対して信号分離を行い、1160nmの波長を例として、図16の結果を得た。
したがって、全ての波長に対して信号分離を行った後で、純粋な吸収作用線及び純粋な散乱作用線を取得することができる。特に、散乱非感応点で純粋な吸収作用の情報を取得でき、それは論理的に吸収係数の相対変化量である。図17は、3%intralipidの溶液に濃度が1800 mg/dL、5000 mg/dL、10000 mg/dLであるブドウ糖をそれぞれ添加した後で、1100-1350帯域から抽出した純粋な吸収情報(すなわち、吸収係数の相対変化量)を示す。
理想な50mMブドウ糖による吸収係数変化量は図18に示すようであり、3%intralipidの吸収係数は図19に示すようである。理想なブドウ糖による吸収係数の相対変化量は図20に示すようである。
図17と図20とを比較して分かるように、1100-1350nm帯域で、散乱媒体を分離して取得する純粋な吸収情報と、理想な純粋な吸収媒体における透過スペクトルの吸収情報とは類似しており、両者のスペクトルモデルは互いに移植できる。
別の例示によれば、モンテカルロは2%、3%、4%intralipid溶液の異なるブドウ糖濃度での半無限媒体の拡散スペクトルを模擬する。その中、模擬に用いられる光学パラメーターは、吸収係数、散乱係数、異方性因子和散乱係数を含み、波長範囲は1000-1700 nmであり、ブドウ糖の濃度はそれぞれ0-100 mMであり、間隔は10mMであり、光子数は10である。
まず、仮に、全ての波長で、ブドウ糖の濃度の変化が吸収係数の変化を引き起こさなければ、すなわち、散乱係数のみを影響すれば、異なる濃度での光度の模擬結果を差分すると、光度が変化しない位置を取得でき、該波長での散乱非感応点位置に記述する。3つの2%、3%、4%intralipid溶液の散乱非感応位置は図21に示すようである。
ここで、図6と図21の3% intralipid溶液に関する結果が異なっていることを理解すべきである。これは以下の原因による。図6の結果は無限媒体の実験データに応じて取得されており、その中、3% intralipid溶液の配置に誤差があり、その光学パラメーターは必ずしも理論値と一致すると言えない。図21は、intralipidの理論な光学パラメーター値を採用しており、モンテカルロ模擬プログラムに入力し、半無限媒体の模擬を行う結果である。その中、実際な実験とコンピューターのシミュレーションとの区別があり、無限と半無限との自身が異なる原因もある。
そして、ブドウ糖の濃度を変化させるとき、吸収係数及び散乱係数はいずれも変化し、真実な光度の変化を模擬する。模擬するとき、単位mM(1mM)のブドウ糖の濃度による吸収係数の変化規則及び散乱係数の変化規則は図22に示すようであり、他の濃度での吸収係数及び散乱係数の変化量は単位濃度での変化量を濃度にかけるものであてよい。
ブドウ糖の濃度が0であるときを初期スペクトルとし、異なる濃度のブドウ糖のスペクトルに対して差分処理を行い、ブドウ糖による光度相対変化量を取得し、そして、それに対して信号分離を行い、特に、図21の散乱非感応位置で、ブドウ糖による純粋な吸収情報を取得する。図23に示すように、3つの媒体に対してそれぞれ抽出した純粋なブドウ糖吸収情報を比較する。
図23から分かるように、半無限媒体を測定するとき、光源からの検出距離は散乱不感応位置において、異なる散乱媒体に対して、類似な測定情報を取得でき、その形状は純粋な吸収媒体の吸収係数の相対変化量に類似しており、簡単な線形変化により、両者のスペクトルモデルを互いに移植することができる。
本発明の実施例によれば、スペクトルデータから散乱信号及び吸収作用を抽出し、モデリング及び予測にそれぞれ用いる。特に、吸収信号は、散乱粒子の散乱媒体の測定に対する影響を除去し、測定精度を向上することができる。また、これらの吸収信号に対して構築する濃度予測モデルも、媒体の散乱特性及び散乱特性の変化によらず、したがって、これらのモデルは互いに移植でき、さらに純粋な吸収媒体で構築するモデルと汎用することができる。
本発明の実施例によれば、処理装置を提供している。図24を参照して、該処理装置は、被測定媒体のスペクトル(例えば、ラジアル位置に沿う光度)を探知するように配置される探知器2401(例えば、光度の探知器)を含める。探知器2401は、1つ又は複数のラジアル位置に固定され、該1つ又は複数のラジアル位置のスペクトルを測定するための相応的な1つまたは複数の探知器を含め、あるいは、ラジアル位置に沿って移動し、1つまたは複数のラジアル位置のスペクトルを測定するための探知器を含める。
該処理装置はプロセッサ2403を更に含める。プロセッサ2403は、探知器2401が探知したスペクトル(たとえば、1つの複数の第1のラジアル位置における拡散スペクトルデータ)に応じて、1つ又は複数の第2のラジアル位置で実質的に被測定媒体の散乱特性の変化のみによる光学情報及び/又は実質的に被測定媒体の吸収特性の変化のみによる光学情報を確定するように配置されることができる。該1つ又は複数の第2のラジアル位置と上記1つ又は複数の第1のラジアル位置とは異なってもよく、同じであってもよく、部分的に同じであってもよい。
プロセッサ2403は、例えば汎用コンピューター、専用集積回路(ASIC)、FPGAなどの各形式の計算設備を含める。プロセッサ2403は、記憶装置に記憶されるプログラム、コードセグメントなどをロードすることによって、上記のような各方法、フローに従って動作して、散乱/吸収信号の抽出、モデルの創立及び濃度予測を実現することができる。
該処理装置は、例えばマウス、キーボードなどの、ユーザの命令、データなどを入力するための入力装置2405と、例えばディスプレイなどの、プロセッサ2403の処理結果(例えば、分離した散乱信号/吸収信号、予測結果など)を出力するための出力装置2407と、をさらに含める。入力装置2405及び出力装置2407は組み合ってタッチパネルとして実現されることができる。
本発明の技術は、データ処理装置で実行できるアルゴリズムのプログラムを含むように実現でき、あるいは、非一時的なコンピューター読み取り可能な媒体に記憶されて提供されることができる。
本発明の技術はコンピューターの読み取り可能な媒体におけるコンピューター読み取り可能なコードとして実現されることができる。コンピューター読み取り可能な媒体は、コンピューターの読み取り可能な記録媒体及びコンピューター読み取り可能な伝送媒体を含む。コンピューター読み取り可能な記録媒体は、データをその後コンピューターシステムにより読み取る可能なプログラムとして記憶する任意のデータ記憶装置である。コンピューター読み取り可能な記録媒体の例示は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、シーディーROM(CD-ROM)、テープ、ディスク及び光データの記憶装置を含む。コンピューター読み取り可能な記録媒体はインターネットに接続されるコンピューターシステムにおいて分布されてもよく、これにより、分散的な形式によってコンピューター読み取り可能なコードを記憶して実行する。コンピューター読み取り可能な伝送媒体は、搬送波又は信号によって伝送されることができる(例えば、インターネットを介する有線又は無線データ伝送)。また、本発明技術を実現する機能プログラム、コード及びコードセグメントは、本発明の全体構想の本分野のプログラマーにより容易に解釈されることができる。
以上、複数の実施例に本発明の複数の特徴をそれぞれ説明している。しかしながら、これは、これらの特徴が有利に結合されて使用できないことを意味しない。
以上、本発明の実施例を説明している。しかしながら、これらの実施例は説明するためものであり、本発明の範囲を限定しない。本発明の範囲は権利請求項及びその等価物により限定される。本発明の範囲を逸脱しない限り、当業者は複数の置換及び補正を行え、これらの置換及び補正は全て本発明の範囲に含まれるべきである。
(実施例2)
以下、図面を参照して、本開示の実施例を説明する。しかしながら、これらの説明はただ例示的なものだけであり、本開示の範囲を制限しないと理解すべきである。また、以下の説明において、本開示の概念を不必要に混同することを避けるために、公知構造及び技術に対する記載を省略する可能性がある。
本開示の実施例によって、光源から離れた異なる位置の第一の径方向位置と第二の径方向位置を任意に選択することができ、この2つ径方向位置のスペクトルデータを取得し、これらに対して差分処理を行う。発明者は、このような差分処理が同様に効果的な複数の種類の干渉(特に、コモンモード干渉)の除去を実現できることを発見した。中国特許出願CN1699973Aに開示された技術に比べて、浮動基準点を確定する手間を避けることができる。
より良い処理効果(例えば、干渉抑止、有効信号向上)を実現するために、このような第一の径方向位置と第二の径方向位置は、以下のように選択することができる。例えば、被測定媒体における特定成分(関心のある成分、例えば血糖)の濃度による被測定媒体の光源から離れた異なる位置での拡散反射及び/又は拡散散乱の変化率に応じて、測定に必要な径方向位置(選択可能、浮動基準位置も確定可能)を取得することができる。具体的に、浮動基準位置は、絶対変化率が最も小さい(例えば、ほぼゼロ)受光点、即ち、この特定成分の濃度の変化に対して基本的に敏感ではない径方向位置と定義することができる。例えば、人体皮膚の典型的な三層構造モデルのモンテカルロシミュレーション結果から分かるように、血糖濃度測定の浮動基準位置がおよそ光源から離れた1.7〜3.2mm間にあり、変化範囲が大きい。同一のプローブ光波長で、浮動基準位置を臨界点として、ブドウ糖濃度が増加して、浮動基準内側の径方向位置に拡散反射及び/又は拡散散乱光強度が徐々に小さくなり、浮動基準外側の径方向位置に拡散反射及び/又は拡散散乱光強度が徐々に大きくなっており、そのために拡散反射及び/又は拡散散乱光強度は、図31に示すように、浮動基準内側に負値であり、浮動基準外側に正値である。さらに、浮動基準内側に浮動基準位置に近い位置に拡散反射及び/又は拡散散乱光強度のオーダーが伯仲しており、ブドウ糖濃度の変化に対するこの二つ位置の敏感度が伯仲すると考えられる。径方向距離の減少に伴い、即ち、光源位置を近づくほど、拡散反射及び/又は拡散散乱光強度変化の絶対値が大きくなっており、浮動基準外側に拡散反射及び/又は拡散散乱光強度変化が一番大きいなところと比べて、光源に近づくほど、拡散反射及び/又は拡散散乱光強度の変化量の絶対値が外側の約100倍であり、そして表皮から出射される拡散反射及び/又は拡散散乱光強度値も大きくなる。
上記の特性によれば、本開示はスペクトル検出方法を提出している。図32に示すように、この方法は、操作S501において、被測定媒体の第一の径方向位置での第一のスペクトルデータおよび第二の径方向位置での第二のスペクトルデータを測定することを含む。上述のように、第一の径方向位置と第二の径方向位置は任意に選択できるものである。即ち、第一の径方向位置と第二の径方向位置をランダムに確定することができる。被測定媒体は、例えば、人体皮膚などの各種の媒体を含むことができる。説明の便宜のために、被測定媒体を背景媒体及び背景媒体にある特定の成分(即ち、背景媒体は被測定媒体における特定成分以外の他の成分であってよい)を含むものと見なされる。このような特定成分は、例えば、血糖などの関心のある対象であってよい。
当業者は、スペクトル測定を行って、スペクトルデータを取得する複数の方式を知っている。例えば、光源によって一定の波長のプローブ光で被測定媒体を照射し、検出器によって被測定媒体の拡散反射及び/又は拡散透過光を感知し、例えば、その光強度を測定する。以下の説明において、拡散反射光を例にするが、本開示はこれに限られない。あるいは、光源及び検出器はいずれも被測定媒体の内部に侵入してスペクトルデータを測定することができており、この場合は無限媒体の場合に類似している。検出器の位置を調整して、複数の径方向位置の測定を実現することができる。あるいは、検出器は、異なる位置に設けられた2つ以上の受光部を含めて相応的な2つ以上の位置での光強度を同時に検出することができる。これは、以下にさらに詳細に説明する。
また、被測定媒体及び/又はその特定成分の特性に応じて、1つ又は複数の波長のプローブ光、例えば、紫外、可視光及び赤外帯域を選択して測定することができる。例えば、当該特定成分の散乱及び/又は吸収特性敏感な波長、及び/又は背景媒体の散乱及び/又は吸収特性非敏感な波長を選択することができる。
有利的には、光強度(絶対及び/又は相対)変化量(例えば、被測定媒体における特定成分の濃度変化による)をスペクトルデータとして測定することができる。例えば、背景媒体に当該特定成分を含まない、あるいは、当該特定成分がある固定の初期濃度値である(以下、背景媒体+初期濃度の特定成分を「基準媒体」と呼ぶ)場合に対して、1つ径方向位置にスペクトルを測定し、初期スペクトルとして、I1に記述することができる。そして、背景媒体において当該特定成分の濃度が初期濃度に対して変化する際に、このときの被測定媒体のこの径方向位置でのスペクトルを測定し、I2に記述する。例えば、血糖の測定に対して、まず、空腹時(このとき、血糖は安定的に低いレベルの状態にある)の血液的スペクトルを測定し、初期スペクトルとする;そして、食後(このとき、血糖が変化し、食後2時間までまた次第に安定になる)の血液的スペクトルを測定して、血糖の変化情報を取得することができる。この2つのスペクトルによって光強度の(絶対)変化量s=(I−I)を上記のスペクトルデータとして得ることができる。しかしながら、スペクトルデータは上記の光強度の絶対変化量に限られず、下記のように、他の型のデータ(例えば、光強度の相対変化量S=lnI−lnI又はs=(I−I)/I)を取得してもよいことを留意すべきである。
本開示の多くの実施例において、初期スペクトルを測定する必要であり可能である。背景媒体に特定成分を含まない場合のスペクトルを初期スペクトルとして採用しても良く、背景媒体に任意な固定の初期濃度の特定成分(すなわち、基準媒体)を含む場合のスペクトルを初期スペクトルとして採用しても良い。例えば、いくつかの媒体(特に、特定成分を含まない背景媒体)に対して、初期スペクトルのデータベースを構築して、重複に使用する(例えば、予め実験に使用し、実際な測定に使用するなど)ことによって、作業の負担を低下してもよい。
第一の径方向位置と第二の径方向位置のところで、プローブ光に対する被測定媒体の拡散反射光及び/又は拡散散乱光の光強度が当該特定成分の濃度変化に伴って異なる変化率を有するように、この第一の径方向位置と第二の径方向位置を選択することができる。このほか、この二つ位置でのコモンモード干渉が一般に特定の関係があるため、実際の測定においては、データ処理によってこの両位置の間のコモンモード干渉を除去して、被測定成分の濃度変化に関する情報を残すことができる。
具体的に、第一の径方向位置と第二の径方向位置のところで、プローブ光に対する被測定媒体の拡散反射光及び/又は拡散散乱光の光強度が当該特定成分の濃度変化に伴って異なる符号の変化率を有するように、この第一の径方向位置と第二の径方向位置を選択することができる。ここで、「異なる符号」とは、正(+)と負(−)、正(+)と零(0)、又は負(−)と零(0)を含むことができる。即ち、本願において、零(0)値を正(+)および負(−)と異なる符号を有するものと見なすようにする。変化率が零値の径方向位置は、例えば、上記の浮動基準位置である。実際な測定において、絶対値が一定閾値より小さい変化率を「零」変化率と見なすことができ、この閾値は実際な応用環境に応じて設定されて良い。
下記のとおり、このようにして選択される第一の径方向位置と第二の径方向位置は、コモンモード干渉を除去することに寄与する。例えば、第一の径方向位置と第二の径方向位置は、これらの変化率が1つの正と負(例えば、第一の径方向位置の変化率が負、第二の径方向位置の変化率が正)になるように選択することができる。このとき、第一の径方向位置が浮動基準位置(例えば、図31に示すBエリア内)の内側(例えば、図31に示すAエリア)にあり、第二の径方向位置が浮動基準位置の外側(例えば、図31に示すCエリア)にある。そのため、実際な応用において、第一の径方向位置を光源位置に近いように選択し、かつ第二の径方向位置を光源位置から離れるように選択することができる。そして、大多数の場合に対して、第一の径方向位置が浮動基準位置の内側にあり、第二の径方向位置が浮動基準位置の外側にあることができる。それによって、固定の第一の径方向位置と第二の径方向位置のところでスペクトルデータを測定することができており、それぞれ浮動基準位置の精確な位置のあるところを確定する必要がない。また、以下にさらに説明するように、複数の測定環境に適する検知器配置を提供することができる。
径方向位置の選択はスペクトル測定と同時に行うことができる。例えば、いくつかの径方向位置を初期選択して、これらの径方向位置のところで初期スペクトル、例えば光強度(或は上記のように、初期スペクトルデータベースから取得)を測定することができる。そして、被測定媒体における特定成分濃度が変化した後(或は、特定成分濃度が初期スペクトルデータベースからデータを取得するために用いられる特定成分濃度に対して異なり)、これらの径方向位置のところで変化スペクトル、例えば光強度を測定する。初期スペクトルと変化スペクトルによって、各径方向位置での光強度変化(率)の方向(正又は負)を確定することができる。補間によってその他の径方向位置での光強度変化(率)を取得することもできる。そのうち変化が正の1つ径方向位置および変化が負の1つ径方向位置をそれぞれ第一の径方向位置および第二の径方向位置として選択することができ、あるいは、そのうち変化が正又は負の1つ径方向位置及び変化が一定閾値(或は「零」)より小さい1つ径方向位置(上記のように、この径方向位置は実際に浮動基準位置と見なすことができる)をそれぞれ第一の径方向位置および第二の径方向位置として選択することができ、かつこのとき第一の径方向位置および第二の径方向位置でのスペクトルデータも上記のように得られている。
このように、予め浮動基準位置を確定する必要がなく、このような確定は手間のかかる(複数回測定して光強度変化の最小の位置を確定する必要あり)ことである。もし初期選択された径方向位置にちょうど浮動基準位置を含めば、もちろんこの位置を利用することもできる。ただし、これはあらかじめ浮動基準位置を確定してからこの位置でのスペクトルデータを用いることと異なっており、浮動基準位置を確定する不便を解消したためである。
他の実施例によれば、浮動基準点の位置を確定することもできる。例えば、光強度絶対変化の最小の径方向位置を浮動基準点として選択する。光強度変化が零に近い径方向位置の近いところで複数測定して、浮動基準点の位置精度を改善することができる。それ以外に、浮動基準点でのスペクトルデータを取得することができる。
上記のように第一と第二の径方向位置でのスペクトルデータを取得した後に、当該方法は、操作S503において、スペクトルデータに対して差分処理を行うことも含む。
例えば、このような差分処理は以下のように行うことができる。
第一の径方向位置がρmと記され、第二の径方向位置がρnと記される。特に、径方向位置が浮動基準点の内側にあると、ρIと(変化率が負であることができる)記述される;径方向位置が浮動基準点の外側にあると、ρOと(変化率が正であることができる)記述される。なお、もしあらかじめ浮動基準点を確定していれば、あるいは、選択された径方向位置にちょうど浮動基準点を含めば、浮動基準点がρRと記される。
本開示の実施例によれば、重み付け係数η例えば以下のように確定することができる。数値計算を採用し或は特定成分濃度Cを一定に保って、異なる径方向位置での拡散反射光を繰り返し測定して、任意の2つ径方向位置での干渉要因ΔNの影響下での拡散反射光の変化量の比率ΔI(ρm, C, ΔN)/ ΔI(ρn, C, ΔN)を得ており、ηと記し、即ち:
Figure 0006630061


ただし、ρmとρnは任意の異なる径方向位置、例えばρI、ρOとρRのうち任意の2つを示す;ΔI(ρm, C, ΔN)は特定成分濃度Cが固定の場合にρmでの干渉要因ΔNによる光強度の変化を示し、ΔI(ρn, C, ΔN)は特定成分濃度Cが固定の場合にρnでのΔNによる光強度の変化を示す。
実際の測定過程では、測定する成分の濃度変化以外、拡散反射光の変化を引き起こす干渉要因の変化もある。測定する成分の濃度がΔC変化し、干渉要因がΔN変化するとき、以下のようになる。
Figure 0006630061


ただし、ρiは任意の径方向位置、例えばρI、ρOおよびρRのいずれか一つを示す;ΔI(ρi, ΔC, ΔN)はρiでの濃度変化ΔCおよび干渉要因ΔNによる光強度変化を示し、ΔI(ρi, C, ΔN)はρiでの干渉要因ΔNによる光強度変化を示し、ΔI(ρi, ΔC, N)はρiでの濃度変化ΔCによる光強度変化を示す。
式(22)によって、任意の二つ径方向位置(例えば、ρI、ρOおよびρRのいずれか二つ)でのスペクトルデータを以下の差分処理を行うことができる。
Figure 0006630061


式(24)から分かるように、このような差分処理によって、コモンモード干渉によるノイズ信号を効果的に減少又は差し引くことができ、測定する成分濃度(ΔC)だけに関する有用な信号(ΔI(ΔC))を得る。
以下の説明においては主としてρI、ρOおよびρRのいずれか二つに対して説明するが、ここで、式(24)から分かるように、このような差分処理は任意の二つ径方向位置ρmおよびρnに適用できることを留意すべきである。
また、任意の二つ径方向位置ρmおよびρnで、コモンモード干渉によるノイズ信号の間の比例定数ηはあらかじめ推定できるものである。実際の測定では、この比例定数を直接に採用して両位置での光強度絶対変化量に対して差分処理を行うことができ、即ち、測定する成分の濃度(ΔC)だけに関する有用な信号(ΔI(ΔC))を得ることができる。
以下、無限媒体における拡散方程式の定常解でηの表現式を推定し、この理論に基づいて比例定数ηのサンプル推定方法を与える。
無限媒体において一つ点光源の場合に対する光束Φの解は下記である。 ・
Figure 0006630061


ただし、ρは検出器と光源との間の径方向距離である;λは光源から発されるプローブ光の波長である;μaは吸収係数である;μs'は等価散乱係数であり、 (1-g)μsと定義され、gは異方性因子である;μsは散乱係数である;Dは光子の拡散係数であり、
Figure 0006630061
;μeffは有効減衰係数であり、
Figure 0006630061
。したがって、式(25)は下記のように記述することができる。
Figure 0006630061


入射光が媒体に入った後に、光子が媒体における粒子と相互作用を発生した後に出射されて拡散反射光を得ており、一般に拡散反射エネルギー変化を引き起こす要因は主で下記の三種類に分けることができる:(1)被測定媒体の光学特性の変化;(2)入射光源のドリフト;(3)検出器状態のドリフトなど。そのうち、入射光が媒体に入った後に、光子が媒体における粒子と衝突し、一部の光子が粒子に吸収されて損失し、他の部分の光子が散乱され、被測定媒体の光学特性の変化は吸収効果と散乱効果の総合的な作用の結果である。被測定媒体の吸収係数及び散乱係数などの光学特性の変化を引き起こす要因は、主で被測定媒体における測定する成分の濃度変化、干渉成分濃度の変化及び温度の変化などを含む。上記の拡散反射エネルギーの変化を引き起こす要因に、被測定媒体における測定する成分の濃度変化の測定だけが希望されるものであり、他の影響要因による拡散反射光エネルギー変化は減少又は差し引きすべきである。
人体組織中のブドウ糖濃度変化を例として、無限媒体における拡散方程式の定常解によって、血糖濃度が変化ΔCgするの場合に、同一径方向位置で血糖濃度変化による光束Φ(ρ)の変化量ΔΦ(ρ, ΔCg)は以下である:
Figure 0006630061


ただし、
Figure 0006630061


Figure 0006630061


式(6)から分かるように、ある一つの波長で、光束の変化量ΔΦ(ρ, ΔCg)は径方向距離ρの関数である。
浮動基準位置の定義によって、被測定物による被測定媒体における光源から離れた異なる位置の光強度の変化率が最も小さい受光点、即ち特定成分例えば血糖の濃度変化に対して敏感ではない径方向位置が、浮動基準位置である。そのために、理想的な場合に、血糖の濃度変化ΔCgだけがあっていかなる干渉要因がないとき、ある一つの波長で、無限媒体における拡散方程式の定常解によって、血糖濃度変化の浮動基準位置ρRに下記の感度SengR)がある:
Figure 0006630061


式(28)と式(29)を(30)に代入して得られる浮動基準位置は以下である:
Figure 0006630061


この位置で、血糖濃度変化による光束Φ(ρR)の変化量ΔΦ(ρR, ΔCg)は0(ゼロ)である。そして、実際の測定過程では、浮動基準位置ρRでの拡散反射光の変化が背景干渉変化によるものであり、血糖濃度変化に関連しない、つまり、
Figure 0006630061


通常∂μa/∂Cgは∂μs'/∂Cgに比べて1〜2オーダー低くなるため、式(29)を式(27)に代入して近似的に得ることができる:
Figure 0006630061


これによって得られる拡散反射光の変化率は下記である:
Figure 0006630061


式において、∂μs'/∂Cgはブドウ糖濃度変化による等価散乱係数の変化率である。通常、ある一つの固定の母液モデルに対して、等価散乱係数に対するブドウ糖濃度の変化の影響が定数である。例えば、異なる濃度のIntralipid溶液モデルに対して、∂μs'/∂Cgは下記のように表すことができる:
Figure 0006630061

皮膚(水+ポリスチレン)モデルに対して、∂μs'/∂Cgは下記のように表すことができる:

Figure 0006630061

ただし、m値は、図33に示すように(Matthias Kohl, Matthias Essenpreis and Mark Cope, The influence of glucose concentration upon the transport of light in tissue-simulating phantoms)、Mie理論によって計算された波長変化による散乱係数の変化率である。図中の2つ実線曲線はそれぞれ皮膚(水+ポリスチレン)モデルにおいて、ブドウ糖濃度が85mM/Lと144mM/Lときの散乱係数μs変化の曲線を示しており、それを直線にフィッティングする傾きがそれぞれ-1.569*10-7及び-1.5*10-7であり、後のシミュレーションは50、100、150mMの三つの異なる勾配を採用して行われるものであるため、それぞれ近似的な傾きを選択して計算を行う。
これによって、図50に示すように、ブドウ糖濃度変化による拡散反射光の変化率dΦ/Φは径方向距離ρの(略線形)関数であると近似的に考えられる。
実際の測定では、光強度Iと光のエネルギー束密度Φの関係は固定倍数の関係であり、光のエネルギー束密度の相対変化量は光強度の相対変化量に近似的に等価し、即ち、
Figure 0006630061
。そのために、測定位置の変化による
Figure 0006630061
の変化も線形に近似される。
したがって、以下のように異なる位置間の比例定数ηを推定することができる。
同一影響要因ΔXで、ΔI(ρ)/I(ρ)がρの線形関数を利用し、先に第一の径方向位置における光強度相対変化量ΔI(ρm, ΔX)/I(ρm)によって、第二の径方向位置における光強度相対変化量ΔI(ρn, ΔX)/I(ρn)を推定するようにして、両者の比率をξと記し、それが径方向位置の選択に関するものであり、下記の式(S−1)で示される。


Figure 0006630061
(S-1)

式(S−1)において、
ρRはこの要因作用の非敏感位置である。例えばブドウ糖が変化する場合、この位置がブドウ糖測定の浮動基準位置である。特定の被測定物および特定の被測定媒体に対して、
ξが相対的な固定の位置であることが証明されている。そのために、二つの測定位置
ρm及びρnが固定された後、ξの値が1つの固定定数値である。これから分かるように、ξの値はあらかじめ実験によって推定することができる。
式(S−1)を変形した後、下記の式(S−2)を得ることができる。

Figure 0006630061
(S-2)
そして、

Figure 0006630061
(S-3)
式(S−2)及び(S−3)から分かるように、あらかじめξの値を推定した後に、式(S−3)に代入した後、比例定数ηの値を得ることができ、ηを式(3)に代入して測定する成分濃度(ΔC)に関する有用な信号(ΔI(ΔC))を得ることができる。
実際の測定過程に拡散反射光エネルギーの変化を引き起こす影響要因ΔNを大きく2種類に分けて討論を行う:一種類は、被測定媒体において干渉成分濃度又は測定温度による光学特性の変化である;もう一種類は、測定システムにおいて光源ドリフト又は検出器状態ドリフトなどである。
(1)被測定媒体において干渉成分濃度又は測定温度による光学特性の変化
干渉成分濃度又は測定温度が変化する場合、被測定媒体の光学特性の変化を引き起こすことになる。温度変化を例として、温度の変化が分子の振動・回転状態及びエネルギー遷移確率を変化させるため、異なる温度下で物質のモル吸光係数が若干異なることになる。同時に、温度の変化は、吸収物質の濃度がそれに伴って変化することを引き起こすことになり、これは以下のためである:温度上昇が分子間の化学結合の結合程度を増加することになって、同一分子の隣接分子数が増加するようになり、物質の密度が大きくなる;しかしながら、温度の上昇も分子間の距離を大きく増加させ、物質の密度を小さくすることになる。両者の総合効果は、温度による物質濃度の変化規則を決めている。血糖濃度を相対的に一定Cgに保持し、温度変化ΔTだけある場合、同一径方向位置で引き起こされる光束Φ(ρ)の変化量ΔΦ(ρ, Cg, ΔT)は、下記の通りである。

Figure 0006630061

式(28)及び式(29)を式(37)に代入して下記の式(38)を得ることができる。

Figure 0006630061

ただし、
Figure 0006630061
と記される。
光源から離れた径方向距離がρI及びρOの二つの位置をそれぞれ浮動基準内側測定位置及び外側測定位置として取得し、式(38)によって、浮動基準内側測定位置ρIと浮動基準位置ρRでの温度変化による光束変化量の比率、及び浮動基準外側測定位置ρOと浮動基準位置ρRでの温度変化による光束変化量の比率は、それぞれ下記の通りである。

Figure 0006630061


Figure 0006630061

生体組織中に70%程度の水を含むため、生体組織近赤外スペクトルに対する温度はかなりの程度水のスペクトルの温度特性に関連する。図34に示すのは、Jensenたちが実験によって得られた32℃〜42℃下での水モル吸光係数εw(λ)と30℃下でのεw(λ)の間の差曲線図(Peter Snor Jensen, Jimmy Bak, Stenfan Andersson-Engels, Influence of temperature on water and aqueous glucose absorption spectra in the near- and mid-infrared regions at physiologically relevant temperatures, Applied Spectroscopy, 2003, 57(1):28-36)である。1440nm、1780nm、2180nm、2750nm、4900nm、5300nm、および6300nmで温度の変化に敏感ではないこと以外、他の波長でεw(λ)が温度の変化に伴って規則的に変化する。そのために、人体体温変化の範囲内(約35℃〜40℃)の各波長下で、温度によるモル吸光係数の変化率∂εw(λ)/ ∂Tは定数であるが、異なる波長に対してこの定数が異なる値を取ると近似的に考えられる。これによって、各波長下での温度による吸光係数の変化率∂μa(λ)/ ∂Tも定数に近似される。類似的に、陳韻たちは、2℃を間隔にして、温度範囲が30℃〜40℃の水サンプルをスペクトル測定実験を行うことによって、図35に示す異なる温度下での水と30℃下での水の間の吸光度変化値曲線を得ており、1525、1832、および2060nmでの吸光度変化量と温度の間の線形関係式(陳韻,近赤外非侵襲的血糖測定−基準波長浮動基準法の研究:「博士学位論文」,天津,天津大学,2009)を得ている。図からも分かるように、各波長下で、吸光度の変化量と温度の間は線形関係に近似する。水は純粋な吸収媒体であるため、同じ結論、即ち各波長下での温度による吸光係数の変化率∂μa(λ)/ ∂Tが定数に近似すると考えることを得ることができる。
Lauferたちは、インビトロ皮膚サンプル実験を採用し、25℃〜40℃の範囲内に人体真皮層及び皮下組織と温度影響の関係を研究していた(Jan Laufer, et al., Effect of temperature on the optical properties of ex vivo human dermis and subdermis, Phys. Med. Biol.,1998, 43: 2479-2489)。実験結果は、温度変化による真皮層の等価散乱係数の変化率が(4.7±0.5)×10-3-1であり、温度変化による皮下組織の等価散乱係数の変化が(-1.4±0.28) ×10-3-1であることを示している。そのために、人体体温変化の範囲内(約35℃〜40℃)で、温度変化による等価散乱係数の変化率∂μs'/ ∂Tが定数に近似する。
従って、式(39)及び式(40)から分かるように、浮動基準内側測定位置ρI
浮動基準位置ρR及び浮動基準外側測定位置ρOが確定した場合、同一波長下で温度変化による光束の変化量の比率ΔΦ(ρI, Cg, ΔT)/ΔΦ(ρR, Cg, ΔT)及びΔΦ(ρO, Cg, ΔT)/ΔΦ(ρR, Cg, ΔT)はいずれも定数であり、それぞれη1とη2を記述する。即ち:

Figure 0006630061


Figure 0006630061

そのために温度変化による拡散反射光強度の変化量はコモンモード干渉とすることができる。そのうち、光学パラメータが既知の被測定媒体に対して、式(39)及び式(40)によって定数η1とη2を計算することができる;光学パラメータが未知の被測定媒体に対して、測定して得られる拡散反射スペクトルを採用して、光学パラメータを再構成する方法によって、被測定媒体の光学パラメータを算出することができ、さらに式(39)及び式(40)によって定数η1とη2を計算し、或は血糖濃度が相対的に一定に保持される場合で、温度変化時の拡散反射光の変化量を繰り返し測定し、式(41)及び式(42)によって定数η1とη2の値を計算する(例えば、複数回の測定の平均値を取る)。
実際の測定過程では、ブドウ糖濃度がΔCg変化する同時に測定温度がΔT変化する場合、同一の径方向位置でこの二つ要因による光束Φ(ρ)の変化量ΔΦ(ρ, ΔCg, ΔT)は下記の通りである。

Figure 0006630061

ただし、ΔΦ(ρ, ΔCg, T)は関心のある測定待ちの有用な信号であり、ΔΦ(ρ, Cg, ΔT)は径方向位置に関するコモンモード干渉信号である。
次に式(32)及び(43)によって、浮動基準内側測定位置ρI、浮動基準位置ρR及び浮動基準外側測定位置ρOでΔCgとΔTとによる光束Φ(ρ)の変化量ΔΦ(ρI, ΔCg, ΔT)、ΔΦ(ρR, ΔCg, ΔT)及びΔΦ(ρO, ΔCg, ΔT)は、それぞれ下記の通りである。

Figure 0006630061


Figure 0006630061


Figure 0006630061

式(41)で式(44)と(45)を重み付け差分演算して下記の式を得ることができる。

Figure 0006630061

式(47)から分かるように、温度変化による拡散反射光変化のコモンモード干渉量は、浮動基準内側測定位置ρI及び浮動基準位置ρRでの拡散反射光変化量の差分演算によって除去され、血糖濃度の変化のみに関する有用な信号を得ることができる。
類似的に、式(42)、(45)及び(46)によって、浮動基準外側測定位置ρO及び浮動基準位置ρRでの拡散反射光変化量の差分演算で同様に温度変化による拡散反射光変化のコモンモード干渉量を除去することができる:

Figure 0006630061

式(47)及び(48)は、それぞれ浮動基準内側測定位置ρIでの信号と浮動基準外側測定位置ρOでの信号を採用して浮動基準位置ρRでの信号を結合し、血糖濃度の変化情報のみに関する有用な信号を効果的に得ており、コモンモードノイズの干渉を差し引いている。
式(41)及び(42)から分かるように、浮動基準内側測定位置ρIと浮動基準外側測定位置ρOが確定した場合、同一波長下で温度変化による二つの測定位置での光束の変化量の比率ΔΦ(ρI, Cg, ΔT)/ΔΦ(ρO, Cg, ΔT)も定数であり、η3と記する。

Figure 0006630061

即ち:

Figure 0006630061

そして、式(44)、(46)及び(50)によって、浮動基準内側測定位置と外側測定位置での測定信号を差分演算して下記の式を得る。

Figure 0006630061

式(51)から分かるように、浮動基準内側測定位置ρIと外側測定位置ρOでの拡散反射光変化量の差分演算によって、同様に温度変化による拡散反射光変化のコモンモード干渉量を除去し、血糖濃度変化のみに関する有用な信号を得るという目的を達成することができる。なお、図31から分かるように、血糖濃度変化による浮動基準内側測定位置ρIと外側測定位置ρOでの拡散反射光の変化量の方向は反対になり、式(51)における差分演算方法を採用することは、微弱な有用な信号の絶対値も増加して、測定待ち信号の特異性を向上し、より正確な測定結果を得ている。
被測定媒体に干渉成分濃度変化によるコモンモード干渉信号は、類似的な方法を採用して差し引くことができる。
(2)測定システムにおいて光源ドリフト又は検出器状態ドリフト
入射光源の光強度がドリフトする、または拡散反射光を検出するための検出器状態がドリフトする場合は、いずれも拡散反射光強度値の変化を引き起こすことになる。入射光源の光強度がドリフトすることを例として、血糖濃度を相対的に一定Cgに保持し、入射光源の光強度がΔF倍変化する場合、同一径方向位置に対して引き起こされる光束Φ(ρ)の変化量ΔΦ(ρ, Cg, ΔF)は下記の通りである。

Figure 0006630061

ただし、Φ0(ρ)はこの測定位置での拡散反射光強度の初期値を示す。光源から離れた径方向距離がρIとρOの二つの位置をそれぞれ浮動基準内側測定位置及び外側測定位置として取り、式(52)によって、浮動基準内側測定位置ρIと浮動基準位置ρRで入射光源の光強度のドリフトによる光束変化量の比率、及び浮動基準外側測定位置ρOと浮動基準位置ρRで入射光源の光強度のドリフトによる光束変化量の比率は、それぞれ下記の通りである。

Figure 0006630061


Figure 0006630061

式(53)と式(54)も任意の二つの測定位置に拡張することができる。式を変形し
て分かるように、任意の測定位置での光強度相対変化量
Figure 0006630061
は全部同じであり、1つの固定値と見なすことができ、即ち図50において、光源ドリフト干渉だけある場合、その作用線は1つ横軸に平行な直線であり、このとき式(S−3)におけるξの値は約1になって、式(S−3)を式(S−4)に簡略化する。即ち、

Figure 0006630061
(S-4)
図51は、intralipid 3%溶液に対して拡散反射光を測定する結果である。拡散光の出力電力を変更して光源のドリフトをシミュレーションし、五回連続して変更した後に、三つの異なる測定位置を見つけることができ、その拡散反射光強度の相対変化量が一貫性のある現象を呈し、即ちこのときξの値は約1と記することができる。
浮動基準内側測定位置ρI、浮動基準位置ρR及び浮動基準外側測定位置ρOが確定した場合、各測定位置での拡散反射光強度の初期値が既知で確定であるため、同一波長下で入射光源の光強度のドリフトによる光束の変化量の比率ΔΦ(ρI, Cg, ΔF)/ΔΦ(ρR, Cg, ΔF)及びΔΦ(ρO, Cg, ΔF)/ΔΦ(ρR, Cg, ΔF)は、いずれも定数であり、それぞれη4とη5を記し、即ち下記の式がある。

Figure 0006630061


Figure 0006630061

そのために、入射光源の光強度のドリフトによる拡散反射光強度の変化量は、コモンモード干渉とすることができる。ただし、η4およびη5の値は、血糖濃度が相対的に一定に保持されるときに、温度が変化するときの拡散反射光の変化量を繰り返し測定し、式(55)と(56)によって計算して得られる。
実際の測定過程においては、ブドウ糖濃度がΔCg変化すると同時に入射光源の光強度値がΔF倍ドリフトする場合、同一の径方向位置でこの二つ要因による光束Φ(ρ)の変化量ΔΦ(ρ, ΔCg, ΔF)が下記の通りである。

Figure 0006630061

実際の測定過程では、ΔFが10-3〜10-2オーダーであり、乗積
Figure 0006630061
は無視可能である。式(57)は下記のように記することができる。

Figure 0006630061

ただし、ΔΦ(ρ, Cg, ΔF)は径方向測定位置に関するコモンモード干渉信号であり、ΔΦ(ρ, ΔCg, F)は関心のある測定待ちの有用な信号である。
そして式(32)及び(58)によって、浮動基準内側測定位置ρI、浮動基準位置ρR及び浮動基準外側測定位置ρOでΔCgとΔFとによる光束Φ(ρ)の変化量ΔΦ(ρI, ΔCg, ΔF)、ΔΦ(ρR, ΔCg, ΔF)及びΔΦ(ρO, ΔCg, ΔF)は、それぞれ下記の通りである。

Figure 0006630061


Figure 0006630061


Figure 0006630061

式(55)で式(59)と(60)を差分演算して、下記の式を得ることができる。

Figure 0006630061

式(59)から分かるように、入射光源の光強度のドリフトによる拡散反射光変化のコモンモード干渉量は、浮動基準内側測定位置ρIと浮動基準位置ρRでの拡散反射光変化量の差分演算によって除去され、血糖濃度変化のみに関する有用な信号を得ることができる。
類似的に、式(56)、(60)及び(61)によって、浮動基準外側測定位置ρO和と浮動基準位置ρRでの拡散反射光変化量の差分演算で同様に入射光源の光強度のドリフトによる拡散反射光変化のコモンモード干渉量を除去することができる。

Figure 0006630061

式(62)及び(63)は、それぞれ浮動基準内側測定位置ρIでの信号と浮動基準外側測定位置ρOでの信号を採用して浮動基準位置ρRでの信号を結合して、血糖濃度変化情報のみに関する有用な除法を効果的に得ており、コモンモードノイズの干渉を差し引いている。
式(55)及び(56)から分かるように、浮動基準内側測定位置ρIと浮動基準外側測定位置ρOが確定した場合、同一波長下で入射光源の光強度のドリフトによる二つの測定位置での光束の変化量の比率ΔΦ(ρI, Cg, ΔF)/ΔΦ(ρO, Cg, ΔF)も定数であり、η6と記する。

Figure 0006630061

即ち:

Figure 0006630061

そして、式(59)、(61)及び(65)によって、浮動基準内側測定位置と外側測定位置での測定信号を差分演算して下記の式を得る。

Figure 0006630061

式(66)から分かるように、浮動基準内側測定位置ρIと外側測定位置ρOでの拡散反射光変化量の差分演算によって、入射光源の光強度のドリフトによる拡散反射光の変化のコモンモード干渉量を除去し、血糖濃度変化のみに関する有用な信号を得るという目的を同様に達成することができ、かつ、浮動基準測定方法の普遍性を向上し、微弱な有用な信号の絶対値を増加している。
拡散反射光強度を検出するための検出器状態ドリフトによるコモンモード干渉信号は、類似的な方法を採用して差し引くことができる。
これから分かるように、操作503においては、第一と第二の径方向位置でのスペクトルデータを差分処理しており、2種類の異なる干渉要因が式(24)に示すような重み付け差分によってコモンモード干渉信号を除去することができる。ほかの異なる波長下で測定された拡散反射光信号を類似的な方法で修正して、重み付け差分処理された各波長下での有効信号ΔΦ(λi, Cg)を得ることができる。
本開示の実施例によれば、異なる受信方式を採用して異なる位置でのスペクトル信号を検出することができる。
同一被測定媒体の異なる被測定部位、異なる測定波長または異なる被測定媒体の変化に伴って浮動基準位置のオフセットがあまり大きくない場合、以下のように異なる位置での拡散反射スペクトルを抽出することができる。
1)図36(a)に示すように、光源からの浮動基準内側の位置(図31中のエリアA)でのスペクトル信号を測定点として受信し、浮動基準位置(図31中のエリアB)でのスペクトル信号を参考点として受信する;
2)図36(b)に示すように、絶対変化率が最も小さい受光点、即ちB点を浮動基準位置として選択し、変化率の局部的な極大値の受光点、即ちC点を測定点として選択する;
3)図36(c)に示すように、光源からの浮動基準内側の位置(図31中のエリアA)、浮動基準位置(図31中のエリアB)及び光源からの浮動基準外側の位置(図31中のエリアC)でのスペクトル信号を同時に受信し、浮動基準内側と外側のスペクトル信号を重み付け差分処理する。
同一被測定媒体の異なる被測定部位、異なる測定波長または異なる被測定媒体の変化に伴って浮動基準位置のオフセットが大きくて浮動基準位置を確定しにくい場合、以下のように異なる位置での拡散反射スペクトルを抽出することができる。具体的に,同一測定個体の異なる測定部位、異なる波長又は異なる測定個体に対して、光学パラメータの相違が浮動基準位置の確定に大きく影響するため、図30に示すように、測定部位、測定波長の変化に伴って,浮動基準位置が相応的に変化する。これによって、図 36(d)に示すように、光源からの浮動基準内側と外側とが同じノイズ情報を含む特征を利用して,浮動基準内側の受信半径を適当に縮小し、浮動基準外側の受信半径を増大して、各波長或は各部位での浮動基準位置がいずれも含まれないことを保証して、径向半径が浮動基準位置より小さい(図 31におけるエリアA)及び浮動基準位置より大きい(図 31におけるエリアC)拡散反射光をそれぞれ受信することによって,浮動基準位置の内外両側のスペクトルに対して重み付け差分分析計算をする。
図37(a)には本開示の実施例による光ファイバプローブ構造を模式的に示している。図37に示すように、この光ファイバプローブ1000はクラッドに被覆された複数の光ファイバ束1001、1003、1005及び1007を含むことができる。光ファイバ束毎に1本又は複数本のファイバを含むことができる。その中、光ファイバ束1001が光源からの入射光を案内するために用いられ、光ファイバ束1003、1005及び1007が被測定媒体からの拡散反射光を案内するために用いられる。より具体的に、光ファイバ束1003が浮動基準位置内側の径向位置からの拡散反射光を案内するために用いられ、光ファイバ束1005が浮動基準位置からの拡散反射光を案内するために用いられ、光ファイバ束1007が浮動基準位置外側の径向位置からの拡散反射光を案内するために用いられ、これらの光ファイバ束はN端から集束する。光ファイバ束1001に案内された入射光はM端から出射することができ、かつ、光ファイバ束1003、1005及び1007はM端から拡散反射光を受信することができる。これによって,M端は光ファイバプローブ1000の検知端面と呼ぶことができる。
ここで留意されたいことは、ここに記載の”光ファイバ束”はこれらの機能による論理的な区画である。物理的には、すべてのファイバが混在して、明確なグループ分けがない可能性がある。
なお,図37(a)には四つの光ファイバ束が示されているが,本開示がこれに限定されない。例えば、より多い、又はより少ない光ファイバ束を含んでもいい。そして,これらの光ファイバ束の配列も図37(a)に示すレイアウトに限定されない。例えば、各光ファイバ束中の光学がクラッド内に絡み合うことまでできる。
図37(b)−37(e)は本開示の異なる実施例の光ファイバプローブのM端での断面図をそれぞれ模式的に示している。図の中、各円形パターンは光ファイバ束におけるファイバの端面を示すことができる。
図37(b)に示すように、入射光を案内するための光ファイバ束1001は、ほぼ中心に位置することができる。光ファイバ束1003は光ファイバ束1001を回ってその周囲に設置することができ、光ファイバ束1007は光ファイバ束1001を回って、相対的に光ファイバ束1001から離れるように設置することができる。また、光ファイバ束1005は光ファイバ束1001を回って、光ファイバ束1003と1007との間に設置することができる。異なる被測定物の浮動基準位置の差異によって、異なるサイズの光ファイバプローブを設計することができる。
実際に測定する場合には、光ファイバ束1005の端面が浮動基準位置(もし存在し且つ確定する、或はそのおおよその範囲を分かる)にほぼ合わせ、光ファイバ束1003、1005和1007における拡散反射光信号(即ち、浮動基準位置及び浮動基準位置内側と外側位置でのスペクトル信号)を抽出することができるように、光ファイバプローブ1000を放置する。或は、光ファイバ束1003及び1007における拡散反射光信号(即ち、浮動基準内側と外側のスペクトル信号;例えば、浮動基準位置が正確に確定されていない場合或は光ファイバ束1005の端面が浮動基準位置のおおよそのエリアに大略に合わせられて浮動基準位置に正確に合わせられていない場合)、又は光ファイバ束1003及び1005における拡散反射光信号(即ち、浮動基準内側と浮動基準位置でのスペクトル信号)、又は光ファイバ束1005及び1007における拡散反射光信号(即ち、浮動基準位置と浮動基準外側のスペクトル信号)だけを抽出しても良い。
図37(C)は光ファイバ束1007を含めず、光ファイバ束1001、1003及び1005を含む配置を示している。このような配置で、浮動基準位置内側と浮動基準位置のスペクトル信号を受信することができる。
図37(d)は光ファイバ束1005を含めず、光ファイバ束1001、1003及び1007を含む配置を示している。このような配置で、浮動基準位置内側と浮動基準位置外側のスペクトル信号を受信することができる。
図37(e)は光ファイバ束1003を含めず、光ファイバ束1001、1005及び1007を含む配置を示している。このような配置で、浮動基準位置と浮動基準位置外側のスペクトル信号を受信することができる。
通常、浮動基準位置に対する光ファイバ束1005の端面と光ファイバ束1001の端面の間の距離は大体確定的な数値(上記の配置に、光ファイバ束1005の端面は光ファイバ束1001の端面を回る所定半径の円形状に現れる)である;ほかの光ファイバ束1003/1007の端面と光ファイバ束1001の端面の間の距離は一定の範囲(上記の配置に、光ファイバ束1003/1007の端面は光ファイバ束1001の端面を回るリング形状に現れる)を覆うことができる。
ここで留意されたいことは、図37(b)〜37(e)において、光ファイバ束1003、1005及び1007における各光ファイバの端面を、光ファイバ束1001を回って略円形状又はリング形状に緊密に配列するように示しているが、本開示はこれに限られない。例えば、これらは緊密に配列されなく、まばらに配列されても良い;或はこれらは完全な円形状又はリング形状パターンを構成しなく、このようなパターンの一部だけ構成しても良い。
実際の測定環境において、測定位置及び基準位置は物理的に実現可能な点からなる可能であるが、入射や出射にかかわらず、点以外、同じ特性の複数の点の集合からなる幾何図形であっても良く、円形状、リング形状、矩形状などを含む。
本開示の実施例によれば、光強度の相対変化量をスペクトルデータとして採用して差分して、濃度変化に関する測定情報のみを保留する。
発明者は、径方向位置ρに沿って光強度の相対変化量も線形又は線形近似を呈することを既に発見していた。以上の論述を参照し、例えば図50の説明を結合して分かるように、上記の差分処理は同様に光強度相対変化量に適用する。例えば、二つの径方向位置での光強度相対変化量を直接差分処理することによって、乗法性ノイズを除去することができる;二つの径方向位置での光強度相対変化量を上記のように因数ηを利用して重み付け差分処理することで、加法性ノイズを除去することができる。
図38はスペクトルデータを利用して濃度予測を行う一般的な原理を示している。図38に示すように、背景媒体又は基準媒体(背景媒体及び初期濃度の特定成分を含み)に一連の既知濃度{Ci}の特定成分を入れ、それに応じたスペクトルデータ{I(ρ)}をそれぞれ取得する。これらの既知濃度のデータ集合X⌒と相応的なスペクトルデータの集合Y⌒
によって、予測モデルを構築することができる。そして、背景媒体又は基準媒体に特定成分の未知濃度(或は濃度変化)C'iに対して、それに応じたスペクトルデータI'(ρ)(“Y”)を取得することができる。I'(ρ)と予測モデルMによって、濃度(“X”)を予測することができる。
上記のように、スペクトルデータは、各種の適合なデータ、例えば拡散反射及び/又は拡散散乱光の光強度変化や相対変化を含むことができる。
モデリングするときには、背景媒体又は基準媒体のスペクトルを初期スペクトルとして測定することができ、既知濃度{Ci}の特性成分が入れられた後のスペクトルを測定スペクトルとして測定することができ、これで光強度変化情報を取得することができる。予測するときには、同様に背景媒体又は基準媒体(基準媒体に特定成分の初期濃度がモデリングするとき基準媒体に特定成分の初期濃度と同じでも異なっても良く)のスペクトルを初期スペクトルとして測定することができ、特定成分濃度変化後のスペクトルを測定スペクトルとして測定することができ、これで光強度変化情報を取得することができる。予測されたものは濃度相対値(即ち、濃度変化量)であってもよく、初期値(背景媒体の場合は0;基準媒体の場合は上記初期濃度)を加えて濃度予測値を得ても良い。
本開示の実施例によれば、これらのスペクトルデータに対して上記の差分処理を行って、干渉要因の影響を効果的に除去することができる。例えば、計量化学方法を採用して予測モデルMを構築する。具体的に、差分処理が行われた後のデータに対して最小二乗法を採用してモデリングすることができ、さらに正味信号モデルを構築することができる。
予測モデルMは背景媒体/基準媒体と特定成分に対して予め構築され、例えばデータベース又はサーバに保存されることができる。必要の場合にデータベース又はサーバから予測モデルMを取得することができる。
ここで、このようなモデリング及び/又は濃度予測方法を提出している。図39を参照して、操作S1201において、スペクトルデータを取得することができる。例えば、モデリングするときには、既知濃度{Ci}の特定成分が入れられた後の背景媒体又は基準媒体に対して、スペクトルデータ(例えば、特定成分を入れる前に対しての光強度変化情報)を取得することができる;予測するときには、そのうち特定成分濃度が変化した背景媒体又は基準媒体に対して、スペクトルデータ(例えば、特定成分濃度変化前に対しての光強度変化情報)を取得することができる。続いて、操作S1203において、スペクトルデータに対して差分処理を行うことができ、例えば、光強度変化率の符号が異なる二つの位置でのスペクトルデータに対して差分処理を行う。そして、操作S1205において、処理された後の差分信号を利用してモデリング又は予測することができる。図39の処理は、モデリングに応用されると予測に応用されるときに基本的に同じであり、その区別は以下にある:モデリングするときには、特定成分の濃度が既知であり、濃度(X⌒)とスペクトルデータ(Y⌒)によって予測モデル(M)を得ることである;予測するときには、特定成分の濃度(或は濃度変化)が未知であり、スペクトルデータ(Y)と予測モデル(M)によって予測濃度(或は濃度変化)(X)を得ることである。
本開示の実施例によれば、このようなモデリング/予測方法は人体非侵襲的血糖濃度測定に応用することができる。この場合、プローブ光の波長は約1.0〜2.4μmの範囲内にあって良い。
一例によれば、モンテカルロシミュレーションの方法によって5% intralipid溶液の浮動基準位置を確定することができ、入射光子数の変化によって光源のドリフトをシミュレーションすることができる。
図40は濃度が5%であるintralipid溶液に対するモンテカルロシミュレーションの浮動基準位置計算結果である。シミュレーションに用いられる、吸収係数、散乱係数、各異方性因子及び散乱係数を含む光学パラメータは、Tamara L. Troy & Suresh N. Thennadil, Optical properties of human skin in the near infrared wavelength range of 1000 to 2200 nm, Journal of Biomedical Optical, 2001, 6(2):167-176.からのものであり、シミュレーションの波長範囲は1100〜1600nmである。ブドウ糖濃度はそれぞれ0〜100mMであり、間隔が10mMであり、光子数が10である。異なるブドウ糖濃度下でのintralipid溶液による拡散反射光とブドウ糖が含まれない純粋なintralipid溶液による拡散反射光の差を算出して、波長範囲が1100〜1600nmで、浮動基準位置が約0.9〜2mmの範囲内に変化することを分かることができる。同一被測定個体又はサンプルの基準位置は異なる波長下で大きな差があることを示している。
したがって、図36(d)に示す拡散反射光受信方案を採用することができる。具体的に、光源からの浮動基準内側、外側の両位置でのスペクトルを同時に受信する。図41は入射光子数が10の場合に、1300nm波長下でブドウ糖濃度が50mMと100mM変化するときの拡散反射光光子数変化量の図。
通常、測定された信号をブドウ糖濃度変化による有用な信号IS及び人体生理背景又は外部環境変化に関するノイズ信号INに分ける、即ち、

Figure 0006630061

ただし、ISはブドウ糖濃度Cgに関連しており、INは主に光源ドリフト、温度、圧力、変位などの物理的要因によって影響される。ここで、光源ドリフトによるノイズ干渉のみを考えるようにする。これによって、光源ドリフトと血糖濃度変化とによる光強度測定値Iの変化は下記の通りである。

Figure 0006630061

ただし、ρは検出器と光源の径方向距離(モンテカルロシミュレーションに球座標の径方向半径位置)であり、ΔCgは血糖濃度の変化量であり、ΔNは背景の変化量である。ΔIS(ρ, ΔCg, N)は有効なブドウ糖濃度情報であり、この部分の情報が必要である。背景干渉信号であるΔIN(ρ, Cg, ΔN)はブドウ糖濃度情報に関連しなく、かつ、通常不規則に変化して、ΔI(ρ, ΔCg, ΔN)からブドウ糖濃度変化情報を抽出し難しいことに至る主な理由である。
基準位置ρRで、拡散反射光強度はブドウ糖濃度変化に敏感でなく又はブドウ糖濃度変化に関連しなくて、下記がある:

Figure 0006630061

基準位置での光強度変化は完全に背景干渉によって引き起こされて、下記がある:

Figure 0006630061

相応的に、浮動基準内側と外側測定位置での拡散反射光強度変化は、それぞれ下記の通りである。

Figure 0006630061


Figure 0006630061

基準位置ρRでの背景干渉変化ΔINR, Cg, ΔN)、と測定位置での背景干渉変化との間の内因性関係は、固定的なものであるので、

Figure 0006630061


Figure 0006630061

ただし、η1及びη2は比例係数である。留意されたいことは、異なる径方向位置又は異なる測定半径を測定位置として選択する場合、得られる倍数関係が異なり、即ち適当な重み付け係数を選択すべきである。実際の測定過程においては、ブドウ糖濃度が相対的に一定に保持されるときに繰り返し測定することによって得られることができる。式(70)〜(74)によって差分演算で下記の有効なブドウ糖信号表現式を求めることができる。

Figure 0006630061


Figure 0006630061

式(75)によって、浮動基準内側及び浮動基準測定位置の情報だけを採用して、さらに計量化学モデリング分析を行うことができる;式(76)によって、浮動基準外側及び浮動基準位置の情報だけを採用して計量化学モデリング分析を行うことができる。浮動基準位置の情報を完全に採用しない場合、式(73)と(74)を除算して下記の式を得ている。

Figure 0006630061

これによって、浮動基準内−外側受信方案を採用して、有効な測定信号ΔII-O(ΔCg)を得ることができる。

Figure 0006630061

浮動基準位置に基づく拡散反射信号を差分処理して得られた血糖情報は、直接測定して得られた拡散反射光強度変化情報に比べて、より高い特異性を有しており、実際の測定における背景干渉を効果的に差し引いている。
本実施例は、入射光子数を変更することによって光源のドリフトをシミュレーションしており、変化範囲が±20%である。図40から分かるように、波長1300nmで、ブドウ糖の浮動基準位置が約1.3mm付近であるので、図41中のエリアAのように、径方向位置が0.7〜0.9mmの位置を浮動基準内側測定位置として選択することができて、測定されたスペクトルがI(ρI)である;図41中のエリアBのように、径方向位置が1.3mmの位置を浮動基準位置として選択して、測定されたスペクトルがI(ρR)である;図41中のエリアCのように、径方向位置が1.8mm〜2.0mmの位置を浮動基準外側測定位置として選択して、測定されたスペクトルがI(ρO)である。
溶液中にブドウ糖が含まれず、即ち光源ドリフトのノイズ信号のみが含まれる場合には、同一測定位置が光源ドリフトで相応的なノイズ信号を発することになる。モンテカルロシミュレーションの結果によって得られる、異なる入射光子数で異なる測定位置での拡散反射光子数を表1に示す。入射光子数が10から±20%変化する場合には、相応的な測定位置で拡散反射光子数の変化量を表2に示す。なお、拡散反射光子数の相対変化量は表2−1に示される。これから分かるように、三つの測定位置で、拡散反射光子数の相対変化量は基本的に一致している。したがって、任意の二つ位置の拡散光子数の相対変化量の比率ξは約1である。
Figure 0006630061
Figure 0006630061
Figure 0006630061

このときブドウ糖濃度が変わらないため,測定された信号変化量は完全に光源ドリフトの変化によって引き起こされるものであり、即ち、このとき測定された信号変化量はノイズ信号であると考えられる。したがって、表3に示すように、異なる測定位置でのノイズ干渉の比率を計算することができる。
Figure 0006630061


表3における任意の二つの位置でのノイズ干渉の絶対変化量の比率も、以下の方法によって直接取得される。ξはもう1と確定されるため,表3−1に示すように、式(S−3)を利用して直接にηの値を取得することができる。
Figure 0006630061
表3と表3−1とを比較して、実際に得られたηの値は式(S−3)を採用して推定されたηの値と基本的に一致している。
表3と3−1から分かるように、ブドウ糖濃度が変化せず、光源のみドリフトする場合には、下記の通りである:
浮動基準内側測定位置信号の変化量ΔINI, ΔCg, ΔN)は、浮動基準測定位置信号の変化量ΔINR, ΔCg, ΔN)の約7.0倍であり、即ち、ΔINI, ΔCg, ΔN)=7.0ΔINR, ΔCg, ΔN);
浮動基準外側測定位置信号の変化量ΔINO, ΔCg, ΔN)は、浮動基準測定位置信号の変化量の約1.06倍であり、即ち、ΔINo, ΔCg, ΔN)=1.06ΔINR, ΔCg, ΔN);
浮動基準内側測定位置信号の変化量ΔINI, ΔCg, ΔN)は、浮動基準外側測定位置信号の変化量ΔINO, ΔCg, ΔN)の6.6倍であり、即ち、ΔINI, ΔCg, ΔN)=6.6ΔINO, ΔCg, ΔN)。
ブドウ糖濃度と光源は何れも変化する場合には、浮動基準位置での光強度変化がブドウ糖濃度変化に関連せず、即ち、この位置での光強度変化が完全に光源ドリフトによって引き起こされるものであるため、式(75)と式(76)によって得られる浮動基準内側と外側のブドウ糖濃度変化による有用な信号はそれぞれ下記の通りである。

Figure 0006630061


Figure 0006630061

それぞれ六つの異なる濃度のブドウ糖拡散反射スペクトルを選択して、対応するブドウ糖濃度と入射光子数を表4に示す。
Figure 0006630061


光源ドリフトに対して修正しない場合に、図42に示すように、ブドウ糖濃度がそれぞれ20、40、60、80及び100mM変化する場合、光源から離れた異なる径方向位置での拡散反射光子数変化曲線が得られており、即ち、拡散反射光強度を測定する曲線は、ブドウ糖濃度によって規則的な逓増又は逓減変化を呈することがない。つまり、光源ドリフトによる信号変化はブドウ糖濃度変化の特徴信号を覆っている。
同様に浮動基準内側測定位置を0.7〜0.9mmに、基準位置を1.3mm、外側測定位置を1.8〜2mmに取る。光源ドリフトに対して修正する前に、表5に示すように、ブドウ糖濃度変化下で各測定位置での拡散反射光子数変化値が得られる。
Figure 0006630061

式(79)と(80)を採用して浮動基準位置の情報を結合して浮動基準内側と外側測定位置拡散反射光子数変化量に対してそれぞれ光源ドリフトの修正を行っており、計算結果を表6に示す。
Figure 0006630061

図16から分かるように、浮動基準内側測定位置で、ブドウ糖濃度変化の増大に伴い、拡散反射光子数は順に逓減するように変化し、変化量が負値である;浮動基準外側測定位置で、ブドウ糖濃度変化の増大に伴い、拡散反射光子数は順に逓増するように変化し、変化量が正値である。すなわち、光源ドリフトの影響を効果的に除去している。
完全に浮動基準位置での測定情報を採用しないと、上記の計算から分かるように、浮動基準内側測定位置信号の変化量ΔINI, ΔCg, ΔN)が浮動基準外側測定位置信号の変化量ΔINO, ΔCg, ΔN)の約6.6倍であり、即ち、ΔINI, ΔCg, ΔN)=6.6ΔINO, ΔCg, ΔN)、式(78)によって測定された浮動基準内側と外側測定信号に対して重み付け差分演算を行って下記になる。

Figure 0006630061

即ち、得られた信号は浮動基準内側と外側有効信号の加重和であり、完全に光源ドリフトによるノイズを除去している。
式(81)を採用し、完全に浮動基準位置情報を採用せず、浮動基準位置内側と外側測定信号のみを採用して上記のブドウ糖濃度変化だけでなく光源ドリフトも存在する情況に対して修正して、算出された異なるブドウ糖濃度変化でのΔII-O(ΔCg)結果を表7に示す。結果に表われることは、ブドウ糖濃度変化量の逓増に伴い、浮動基準内側と外側測定信号に対する重み付け差分処理によって得られた有効信号ΔII-O(ΔCg)が順に逓増する傾向を呈し、光源ドリフトによるコモンモード干渉の影響を効果的に除去していることである。
Figure 0006630061
その他の異なる波長下で測定されたスペクトル信号に対して類似的な方法を採用して光源ドリフトの修正を行い、さらに重み付け差分処理を行って得られた各波長下での有効信号ΔISi)をそれに対応する一系列の参考濃度パラメタと結合して、部分最小二乗数理モデルを構築し、未知濃度スペクトル濃度の予測を行うことができる。
別の一例によれば、モンテカルロシミュレーションの方法によって、光源からの浮動基準内側−外側を受信方案として測定待ち対象温度が変化するときの情況を分析することができる。
2%のintralipid溶液に対して、波長が1400nmより大きいの場合、浮動基準位置がなくなり、つまり、波長が1400より大きいの場合、浮動基準測定方法の理論が適用されなくなることを発見した。そのために、ここで濃度が2%のintralipid溶液をモデルとして、波長1600nm下でのブドウ糖濃度と温度とによる拡散反射光の変化情況に対してモンテカルロシミュレーションを行う。ブドウ糖濃度変化範囲が0〜100mMであり、間隔が20mMである;温度変化範囲が32℃〜40℃であり、間隔が0.5℃である;入射光子数が1011であり、サンプルを経過して拡散反射された絶対光子数を出射光とする。温度変化する場合には、吸収係数と散乱係数の変化量がそれぞれ下記の通りである。

Figure 0006630061


Figure 0006630061

1600nmを例として、温度のみを変化させて、32度の出射光を基準として、得られる温度による拡散光の相対変化量を図52に示す。
これから分かるように、光源−探触子距離が2mmの付近に、温度変化に敏感でない位置があり、それを「温度基準位置」と呼ぶすることができる。それに、光源から一定の距離を離れた後、一定の範囲に、異なる位置の間の光強度相対変化量が線形に近似した変化規則を呈する。注意されることは、光源からあまり離れすぎた後、出射光が急に下がるため、ノイズ影響が大きくなり、このとき測定が大きな影響を受けることになる。ここで、ノイズが大きすぎるの情況を考えないようにする。二つの測定位置を固定すると、図52によって、ξの値を推定することができる。また式(S−3)を利用して、ηの値を直接取得することができる。
ηの値を精確に取得するために、以下、温度変化した後で実際に生じられたノイズ量によって計算する。
温度が32℃、35℃、38℃及び40℃でブドウ糖濃度が60mM及び100mM変化するとき異なる位置での拡散反射光変化量をそれぞれ取って、図44に示す分布図が得られる。図から分かるように、この波長で、私たちは浮動基準位置がないと考えることは、ブドウ糖濃度の変化による感度がほぼゼロに常に保持されるある一つの径方向位置が実際にないことである。しかしながら、いかなる一つの温度で、ブドウ糖濃度の変化による拡散反射光の変化量が常に負値になる径方向位置があり、それにこのエリア内の拡散反射光の変化量はより高い絶対値と安定性を有する。そのため、このエリアで二つの径方向位置を二つの測定位置として選択し、浮動基準位置がない場合のコモンモード干渉ノイズを除去するために用いることができる。
径方向位置0.6〜1mmを測定位置1として、径方向位置1〜2mmを測定位置2として選択する。溶液にブドウ糖が含まれない場合、即ち温度による変化しかない場合、異なる径方向位置は温度の変化に伴って相応的なノイズ信号を生じることになる。モンテカルロシミュレーションによって、異なる温度で異なる径方向測定位置での拡散反射光子数を得ることができる。36℃を基準として、温度が32℃から40℃まで変化する場合、即ち、温度が±4℃変化する場合、二つの測定位置で検出された拡散反射光子数の変化量を表8に示す。
Figure 0006630061

このときブドウ糖濃度が変わらないため、測定された信号変化量が完全に温度変化によって引き起こされるものであり、即ち、このとき測定された信号変化量がノイズ信号と考えられる。そのため、二つの測定位置でノイズ干渉の比率を計算することができ、温度変化で、測定位置2の拡散反射光子数変化量と測定位置1の拡散反射光子数変化量の比率が約0.17である。即ち、下記のように記することができる。

Figure 0006630061

したがって、ブドウ糖濃度と温度が全部変化する場合、式(84)によってρ1とρ2での拡散反射光の変化量に対して差分演算を行って、得られるブドウ糖濃度変化による、温度によるコモンモード干渉を除去する有効信号は、下記の通りである。

Figure 0006630061

ランダムで六つの異なる温度で異なる濃度のブドウ糖拡散反射光を選択して、ブドウ糖濃度と温度の間の相関係数が−0.01918であるため、両者の間に関係がないと考えられ、これで実際の測定過程においてブドウ糖濃度が変化すると同時に温度が不規則的なドリフトを発生する情況をシミュレーションしており、対応するブドウ糖濃度及び温度の情況は表9に示すとおりである。
Figure 0006630061
第一グループのデータを測定開始時刻の状態として、温度変化による干渉信号に対して修正しない場合に、図45に示すように、ブドウ糖濃度がそれぞれ20、40、60、80及び100mM変化する場合、同じの二つの測定位置での拡散反射光子数の変化曲線が得られる。図の中で拡散反射光強度変化量を測定する曲線は、ブドウ糖濃度の変化によって規則的な逓増又は逓減変化を呈することがなく、温度変化による信号変化はブドウ糖濃度変化の特徴信号を覆っている。
式(85)を採用して二つの測定位置での拡散反射光子数変化量に対して温度変化の修正を行って、計算結果は図45における曲線に示す通りである。図から分かるように、二つの測定位置での信号の重み付けと修正後の信号を採用して、その絶対値が修正前の二つの測定位置での信号値より小さくなるが、曲線の絶対値がブドウ糖濃度の変化に伴って規則的な逓増変化を呈して、温度ドリフトによるコモンモード干渉を除去するという目的を達成している。
別の一例によれば、SLD光源に基づく多環式光ファイバ測定システムを採用して、濃度が3%のintralipid溶液を測定待ち対象として、光源がドリフトする場合の情況を分析する。
実験分析によって測定されることは、波長が1219nmである場合、濃度が3%のintralipid溶液のブドウ糖の浮動基準位置がおよそ3.0〜3.2mmのところにあることである。これによって、この位置を多環式光ファイバプローブに浮動基準位置信号検出リングとして選択する。加工工程に対する考慮から、径方向位置が0.24〜0.96mmの位置を内側測定位置信号検出リングとし、3.2〜4.1mmの位置を外側測定位置信号検出リングとして、図37(a)に示すような構造の多環式光ファイバプローブが作製された。
実験過程では、ランダムでSLDの電力を変更して光源の不規則的なドリフト現象をシミュレーションして、波長が1219nmになるときに、異なる時刻での三つの径方向位置での拡散反射光強度を測定し、一回目の測定値を測定の初期状態と仮定して、光源がドリフトを発生する場合、拡散反射光の変化量は当時状態の光強度測定値と初期状態ときの光強度値で差分計算を行って得られる。これによって、光源ドリフトによる三つの測定位置での拡散反射光信号値の変化量の比率を算出することができる。計算によって得られることは、浮動基準外側測定位置での光源ドリフトによる拡散反射光信号値の変化量が浮動基準位置での信号変化量の約0.84場合であり、浮動基準位置での信号の変化量が浮動基準内側測定位置での信号変化量の約0.7倍であり、浮動基準外側測定位置での信号の変化量が内側測定位置での信号の変化量の約0.58倍である。これらを光源状態とブドウ糖濃度が同時に変化するときの差分比例係数として信号の修正を行うために用いており、即ち、下記のように近似的に考えられる。
Figure 0006630061


Figure 0006630061


Figure 0006630061

次いで、濃度が3%のintralipid溶液を母液として、ブドウ糖濃度範囲が1000〜6000mg/dL、間隔が1000mg/dLの六つのサンプルを配置して、ランダム順に六つのブドウ糖intralipid溶液を測定し、測定過程中に同時にSLDの電力を変更して光源の不規則的なドリフト現象をシミュレーションして、異なる時刻での三つの径方向位置での拡散反射光強度を測定し、サンプル溶液の拡散反射光強度と初期状態時の拡散反射光強度に対して差演算を行って、光源ドリフトとブドウ糖濃度が同時に変化するときに三つの測定位置での拡散反射光の変化量を算出しており、結果は図46に示すとおりである。結果から分かるように、光源ドリフトがブドウ糖濃度の検出に大きな影響を与え、光源ドリフトのランダム性によって、三つの位置で測定された信号はいずれもブドウ糖変化との間の線形関係を失ってしまい、即ち、光源ドリフトによる拡散反射光強度信号の変化量はもう完全にブドウ糖濃度変化の有効情報を覆っているため、測定された光強度信号を修正する必要がある。
式(86)、(87)及び(88)の比例関係によって、式(75)、(76)及び(78)を採用してブドウ糖濃度変化と光源ドリフトとによって共同で引き起こされた拡散反射光強度信号を修正しており、結果は図46に示すとおりである。結果から分かるように、任意の二つの位置の信号を採用して重み付け差分処理を行い、修正後の光強度信号はいずれもブドウ糖濃度変化と明らかな線形関係を呈し、ブドウ糖濃度検出に対する光源ドリフトの影響が減少又は除去され、さらにブドウ糖濃度変化の有効情報を効果的に抽出することができる。なお、結果からも分かるように、内リングと基準リング測定位置での信号、および外リングと内リング測定位置での信号を採用して修正された有効信号は、外リングと基準リング測定位置での信号を採用して修正された有効信号より明らかに大きくなっており、これは、光源からの径方向距離の増大に伴い、拡散反射光強度値は式指数的に減衰する。それに内リング及び外リングを採用する修正効果と内リング及び基準リングを採用する効果が伯仲しているが、内リング及び外リングを採用して信号検出と修正を行う場合、基準リングでの測定信号を採用しなくなり、浮動基準位置に対する測定波長、被測定対象自身状態などの変化の影響を受けなくても良く、当該信号修正方法の普遍性を効果的に強めている。
上記の分析において、濃度が3%の純粋なintralipid溶液で光源ドリフトによる比例係数を算出し、それを測定の初期状態として後続の信号処理を行う。同様に、類似的なステップに従って、異なる濃度を含むブドウ糖溶液サンプルで、最初に光源のランダムのドリフト下で相応的な比例係数を計算して、さらにこの濃度サンプルを測定の初期状態として後続の信号処理を行うことができる。ブドウ糖濃度が3000と6000mg/dLのサンプルをそれぞれ採用してスペクトル修正に用いられる比例係数を算出し、それを測定の初期状態としてスペクトル信号の修正を行い、図47と図48に示すようなブドウ糖濃度が3000と6000mg/dLのサンプルをそれぞれ初期状態として信号修正を行った結果を得ており、図から分かるように、異なる濃度のブドウ糖溶液を初期状態として、光源ドリフトによるコモンモード干渉を減少又は除去するという目的を同様に達成することができ、それに内側と外側測定位置での信号、及び内側と浮動基準位置での信号を採用して修正された効果が、外側と浮動基準位置での信号を採用して修正された効果より優れるように同様に現れており、得られた結論は純粋なintralipid溶液を初期サンプルとして信号修正を行う場合と一致している。また注意されたいことは、どのようなブドウ糖濃度のサンプルを初期状態として信号修正を行う場合でも、得られた修正後の結果は全部初期状態でのブドウ糖濃度情報に対する変化量であるため、異なる測定時刻でのブドウ糖濃度測定値がこの変化量と初期状態でのブドウ糖濃度値の和になるべきである。
図49は本開示実施例による測定システムの配置例を示している。
図49に示すように、当該測定システムは、光源2201、光源2201からの光を光ファイバに結合されるように適合するための結合システム2203、光ファイバプローブ2205、及び処理装置2209を含むことができる。
光源2201は、必要な波長の光を発射可能な各種の適切な光源を含むことができる。例えば、近赤外範囲で、ハロゲンランプを連続光源として使用することができる。或は、光源2201はスーパーコンティニウムパルスレーザ光源も含むことができる。
結合システム2203は、光源2201からの光を直線偏光に変換するためのグランプリズム2203−1、グランプリズム2203−1からの直線偏光を偏光状態が0次光と直交する+1次光(或は−1次光)に分光(回折)するための音響光学チューナブルフィルタ(AOTF)2203−2、グランプリズム2203−1と直交して設けられて0次光を除去するためのグランプリズム2203−3、およびグランプリズム2203−3からの+1次光(或は−1次光)を後継デバイスに結合するためのカプラ2203−4を含むことができる。
ここで留意されたいことは、図49は結合システムの1つ具体的な例を示しているが、本開示がこれに限らない。業業者は、複数の結合システムを知っており、光源からの光を光ファイバシステムに結合することができる。
光ファイバプローブ2205は例えば前に図37を参照して説明した構造を含むことができる。具体的に、結合システム2203は光源からの光を光ファイバプローブ2205の入射光ファイバ束(例えば、図37中の1001)に結合することができ、入射光ファイバ束は、光を被測定媒体2207に案内することができる。そして、光ファイバプローブ2205中のプローブ光ファイバ束(例えば、図37中の1003、1005及び1007の二つ以上)は被測定媒体2007の拡散反射光を処理装置2209に案内することができる。
処理装置2209は、探触子2209−1(例えば、光電探触子)を含むことができ、光ファイバプローブからの光信号を探知するために用いられ、それを電信号に変換してさらなる処理に供することができる。光ファイバプローブの配置によって、探触子2209−1は、複数の径方向位置(例えば、浮動基準位置内側、浮動基準位置及び/又は浮動基準外側)でのスペクトルデータを探知することができる。
処理装置2209はプロセッサ2209−2を更に含める。プロセッサ2209−2は、探触子2401に探知されたスペクトルデータに対して上記のような差分処理を行うように配置されることができる。具体的に、プロセッサ2209−2は、被測定媒体における特定成分の濃度変化の伴って拡散反射光の光強度が異なる符号の変化率を有する二つの径方向位置を選択し、この二つの径方向位置でのスペクトルデータに対して重み付け差分処理を行うことができる。
プロセッサ2209−2は、例えば汎用コンピューター、専用集積回路(ASIC)、FPGAなどの各形式の計算設備を含むことができる。プロセッサ2403は、記憶装置に記憶されるプログラム、コードセグメントなどをロードすることによって、上記のような各方法、プロセスに従って動作して、スペクトルデータ差分処理、モデルの構築及び濃度予測を実現することができる。
該処理装置2209は、例えばマウス、キーボードなどの、ユーザの命令、データなどを入力するための入力装置2209−3と、例えばディスプレイなどの、プロセッサ2403の処理結果(例えば、分離した散乱信号/吸収信号、予測結果など)を出力するための出力装置2209−4と、をさらに含める。入力装置2209−3及び出力装置2209−4は組み合ってタッチパネルとして実現されることができる。
本開示の技術は、データ処理装置で実行できるアルゴリズムのプログラムを含むように実現でき、あるいは、非一時的なコンピューター読み取り可能な媒体に記憶されて提供されることができる。
本開示の技術はコンピューターの読み取り可能な媒体におけるコンピューター読み取り可能なコードとして実現されることができる。コンピューター読み取り可能な媒体は、コンピューターの読み取り可能な記録媒体及びコンピューター読み取り可能な伝送媒体を含む。コンピューター読み取り可能な記録媒体は、データをその後コンピューターシステムにより読み取る可能なプログラムとして記憶する任意のデータ記憶装置である。コンピューター読み取り可能な記録媒体の例示は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、シーディーROM(CD-ROM)、テープ、ディスク及び光データの記憶装置を含む。コンピューター読み取り可能な記録媒体はインターネットに接続されるコンピューターシステムにおいて分布されてもよく、これにより、分散的な形式によってコンピューター読み取り可能なコードを記憶して実行する。コンピューター読み取り可能な伝送媒体は、搬送波又は信号によって伝送されることができる(例えば、インターネットを介する有線又は無線データ伝送)。また、本開示技術を実現する機能プログラム、コード及びコードセグメントは、本発明の全体構想の本分野のプログラマーにより容易に解釈されることができる。
以上、複数の実施例に本開示の複数の特徴をそれぞれ説明している。しかしながら、これは、これらの特徴が有利に結合されて使用できないことを意味しない。
以上、本開示の実施例を説明している。しかしながら、これらの実施例は説明するためものであり、本開示の範囲を限定しない。本開示の範囲は権利請求項及びその等価物により限定される。本開示の範囲を逸脱しない限り、当業者は複数の置換及び補正を行え、これらの置換及び補正は全て本開示の範囲に含まれるべきである。



Claims (32)

  1. 媒体の拡散スペクトルデータに基づいて、検出される媒体中の特定の成分の濃度の変化を予測するにあたり、
    1つまたは複数の第1の半径方向(ラジアル)位置で、媒体の拡散スペクトルデータを取得し、散乱非感応な点及び/又は吸収非感応な点に応じて光学情報を確定させ、散乱特性に非感応的及び/又は吸収特性に非感応な光学情報を得ることを特徴とする拡散スペクトルデータ処理方法。
  2. 請求項1記載の処理方法を利用し、媒体の拡散スペクトルデータに基づいて、ある基準に対し検出される媒体中の特定の成分の濃度の変化を予測する方法であって、
    1つまたは複数の第1の半径方向(ラジアル)位置で、媒体の拡散スペクトルデータを取得する工程と
    上記得られた拡散スペクトルデータから、1つ又は複数の第2の半径方向位置で、上記基準に対する検出対象の媒体の散乱特性の実質的に変動のみに起因する光学情報、または上記基準に対する検出対象の媒体の吸収特性の変動のみに起因する光学情報の少なくとも一方を決定する工程と、
    そして、決定された散乱特性に非感応的及び/又は吸収特性に非感応な光学的情報に基づいて特定の成分の濃度の変化を予測する工程からなることを特徴とする方法
  3. 拡散スペクトルデータを取得する工程は、少なくとも2つの半径方向位置で拡散スペクトルデータを取得する工程と、そして線形フィット(リニアフィッティング)法によって1つ又は複数の第1の半径方向位置における拡散スペクトルデータを決定することを含む請求項2記載の方法。
  4. 前記少なくとも2つの半径方向位置は、複合基準点からなり、その基準点は前記スペクトルデータに含まれる光強度情報が前記媒体中の前記特定成分の濃度の変動に対して実質的に非感応的である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記光学情報を決定する工程は、散乱に非感応的な点または吸収に非感応的な点の少なくとも一方に基づいて決定を実行する工程を含み、ここで、散乱に非官能な点は、スペクトルデータに含まれる光強度情報が、検出される媒体の散乱特性の変動に実質的に非感応的である半径方向位置を示し、また、吸収に非感応的な点は、スペクトルデータに含まれる光強度情報が、検出される媒体の吸収特性の変動に実質的に非感応的である半径方向位置を示す、請求項2記載の方法。
  6. 検出される媒体は背景媒体と背景媒体に含まれる特定の成分とを含み、さらに、この方法は、第1波長で散乱/吸収に非感応な点を決定する工程を含み、この工程は、背景媒体を含むか、または背景媒体と特定の成分とを一定の濃度で含む散乱媒体を調製する工程と、散乱媒体の散乱/吸収特性の係数は変化するが、散乱媒体の吸収/散乱特性は前記第1の波長では実質的に変化しないときに、光強度変動を取得する工程と、散乱/吸収に非感応的な点を光強度の変動が実質的にゼロである半径方向位置として決定する工程を含む請求項5の方法。
  7. 前記吸収に非感応的な点は、ほぼ、0の半径方向位置である、請求項5に記載の方法。
  8. 複数の波長のそれぞれにおいて、散乱に非感応的な複数の点または吸収に非感応的な複数の点を決定する工程をさらに含む、請求項5に記載の方法
  9. 前記決定する工程は、散乱に非感応的な点または吸収に非感応的な点の少なくとも一方で拡散スペクトルデータを取得する工程と、そして
    実質的に、吸収に非感応的な点における検出される媒体の吸収特性における変動と散乱に非感応的な点の拡散スペクトルデータのみに起因する光学情報を決定するか、又は散乱に非感応的な点における検出される媒体の散乱特性における変動と吸収に非感応的な点の拡散スペクトルデータのみに起因する光学情報を決定する工程を、含む、請求項5に記載の方法。
  10. 前記拡散スペクトルデータを取得する工程は、前記第1の波長に近く、そこでは検出される媒体に含まれる特定の成分が比較的弱いかまたは実質的に吸収を持たない第2の波長を選択する行程と、そして、それぞれ第1の波長および第2の波長で拡散スペクトルデータを取得する工程を含み、ここで、この方法はさらに、第1の波長での散乱に対して非感応的な点を決定する行程を含み、この工程は、第2の波長における拡散スペクトルデータが光強度の実質的にゼロの変動を示す半径方向位置として、第2の波長における散乱の影響を受けない点を決定する工程と、そして、第2の波長における散乱に対して非感応的な点において、第1の波長における散乱に対して非感応的な点を決定する工程を含む、請求項5に記載の方法。
  11. 前記拡散スペクトルデータを取得する工程は、散乱に非感応的な点または吸収に非感応的な点の少なくとも一方で拡散スペクトルデータを取得する工程を含み、
    前記光学情報を決定する工程は、散乱に非感応的な点で検出される媒体の吸収特性の実質的な変動のみに起因する光学情報として、散乱に非感応的な点での拡散スペクトルデータを決定する行程、または吸収に非感応的な点での媒体の散乱特性の実質的に変動のみによって引き起こされる光学情報として、吸収に非感応的な点での拡散スペクトルデータを決定する行程を含む、請求項5に記載の方法。
  12. 前記拡散スペクトルデータを取得する工程は、複数の波長の中から各波長について、散乱に非感応的な点および/または吸収に非感応的な点の少なくとも一方で拡散スペクトルデータを取得する工程を含む、請求項11に記載の方法。
  13. さらに、複数の波長の中から各波長に対し、固定された少なくとも一つの半径方向位置で拡散スペクトルデータを取得する工程と、得られた拡散スペクトルデータから複数の波長の中から各波長に対し、散乱に非感応的な点および/または吸収に非非感応的な点の少なくとも一方で拡散スペクトルデータを決定する工程を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記拡散スペクトルデータを取得する工程は、検出される媒体に含まれる特定の成分が比較的弱いか、または実質的に吸収を持たない第1の波長に近い第2の波長を選択する工程と、第1の波長および第2の波長でそれぞれ拡散スペクトルデータを取得する工程からなり、
    前記光学情報を決定する工程は、第2の波長における拡散スペクトルデータから、第1
    の波長において検出されるべき媒体の散乱特性の実質的に変動のみに起因する光学情報を決定する工程と、第1の波長での拡散スペクトルデータに基づいて第1の波長で検出される媒体の吸収特性の実質的に変動のみに起因する光学情報を決定する工程を含む請求項2記載の方法。
  15. 前記予測する工程は、予測モデルに基づいて実行され、前記予測モデルは、以下の工程から、即ち、一連の媒体から拡散スペクトルの断片を取得する工程と、ここでは一連の媒体のそれぞれは、既知の濃度の特定の成分を含む背景媒体または基準媒体を含み、そこでは基準媒体は背景媒体と初期濃度の特定の成分を含み、そして、少なくとも光学情報は背景又は基準媒体に対し一連の媒体の各々の散乱特性における変動のみを起因として又は得られる散乱スペクトルから一又はそれ以上の第2半径方向位置における背景又は基準媒体に対し一連の媒体の各々の吸収特性における変動のみを起因として決定される工程と、更にそれぞれの既知の濃度およびそれぞれの媒体の決定された光学的情報に基づいて予測モデルを確立する行程とから確立される、請求項1に記載の方法。
  16. 前記光学情報は実質的な線形性(リニアリティ)を示し、前記予測モデルは前記光学情
    報の勾配に基づいて確立される、請求項15に記載の方法。
  17. 前記基準は、背景又は基準媒体を含み、そこでは基準媒体は、背景媒体および特定の成
    分を初期濃度で含む、請求項15に記載の方法。
  18. 前記モデルを確立する行程および前記予測する工程は、実質的に前記吸収特性の変動のみに起因する前記光学情報に基づいて実行される、請求項17に記載の方法
  19. 前記モデルを設定する行程および予測する工程で使用される前記拡散スペクトルデータは、光強度、光強度の絶対変動、光強度の相対変動、吸収係数、吸収係数での絶対変動、吸収係数の相対的変動、またはそれに関連した他の量における少なくとも1つを含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記モデルを確立する行程で使用される背景または基準媒体は、予測される媒体の背景
    または基準媒体とは異なる、請求項19に記載の方法。
  21. さらに、予測モデルに従って濃度変化を予測する前に、異なる背景媒体または基準媒体
    間の吸収係数の比に基づいて拡散媒体データを前処理する工程を含む、請求項20に記載の方法
  22. 前記モデルを確立する行程および前記予測する工程は、実質的に前記散乱特性の変動のみに起因する前記光学情報に基づいて実行される、請求項21に記載の方法。
  23. 前記モデルを確立することおよび前記予測することにおいて使用される前記拡散スペクトルデータは、光強度、光強度の絶対変動、光強度の相対変動、散乱係数、散乱係数の絶対変動、散乱係数の相対的変動、またはそれに関連する他の量のうちの少なくとも1つを含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記モデル確立において使用される前記背景または基準媒体は、前記予測されるべき媒
    体の背景または基準媒体とは異なる、請求項23に記載の方法。
  25. さらに、予測モデルに従って濃度変化を予測する前に、異なる背景媒体または基準媒体間の散乱係数の比に基づいて拡散媒体データを前処理する工程を含む、請求項24に記載の方法
  26. 前記濃度を予測する工程は、干渉成分の濃度の単位変動の下で、特定の成分以外の干渉成分の散乱信号を取得する工程と、
    散乱に影響されない点で検出される媒体のスペクトルデータに基づいて、干渉成分の予測モデルに従って干渉成分の濃度を予測する工程と、
    干渉成分の濃度に単位濃度の変動の下での散乱信号を掛けることによって、検出されるき媒体中の干渉成分のさらなる散乱信号を得る工程と、
    検出されるべき媒体のスペクトルデータから干渉成分のさらなる散乱信号を除去する工程と、そして
    干渉成分のさらなる散乱信号が除去された状態でスペクトルデータに基づいて特定の成分の濃度を予測する工程を備える、請求項17に記載の方法
  27. 前記拡散スペクトルデータが、前記基準に関して検出される前記媒体の微分拡散スペクトルデータを含む、請求項2に記載の方法。
  28. 濃度を予測する方法であって、
    一連の媒体のそれぞれの吸収係数または吸光度を得る工程と、該工程では各媒体は、純粋吸収性背景媒体にそれぞれ既知の濃度の特定の成分を含む純粋吸収性背景媒体を含み、 それぞれの既知の濃度およびそれぞれの吸収係数または吸光度に基づいて予測モデルを確立する工程と、
    散乱の影響を受けない点で検出対象媒体の拡散スペクトルデータを取得する工程と、ここで、検出対象媒体は、散乱背景媒体と、初期濃度からの濃度変化に起因する未知の濃度の特定の成分とを含み、そして
    散乱に非感応的な点で検出されるべき媒体の拡散スペクトルデータに基づく予測モデルに従って特定の成分の濃度を予測する工程とからなり、ここで、散乱に非感応的な点は、 スペクトルデータに含まれる光強度情報が、検出される媒体の散乱特性の変動に実質的に非感応的である半径方向位置を示す、ことを特徴とする方法。
  29. 前記予測モデルが、前記特定の0の濃度における吸光係数または吸光度に対し、それぞれの既知の濃度、および既知濃度におけるそれぞれの既知の濃度でのそれぞれの吸光係数または吸光度の相対的変動に基づいて確立される、請求項28に記載の方法。
  30. 前記拡散スペクトルデータが、光強度、光強度の絶対変化、光強度の相対変化、吸収係数、吸収係数の絶対変化、吸収係数の相対変化、またはそれに関連する他の量のうちの少なくとも1つを含み、予測モデルによる濃度予測のために、散乱背景媒体と純粋吸収背景媒体との間の吸収係数の比によって前処理される、請求項28に記載の方法。
  31. 媒体はその中に特定の成分を含み、検出される媒体のスペクトルを検出するように構成された検出器と、基準に対する検出対象の媒体の散乱特性の変動のみによって引き起こされる光学情報、または検出対象の媒体の吸収特性の実質的にのみ変動によって生じる光学情報の少なくとも一方を決定するように構成されたプロセッサとを備え、検出器の検出からの1つ以上の半径方向位置における基準に対し、決定された光学的情報に基づいて基準に関して特定の成分の濃度の変化を予測することを特徴とする処理装置。
  32. 散乱媒体の拡散スペクトルデータに基づいて、検出される媒体中の特定の成分の濃度の変化を予測するにあたり、
    1つまたは複数の第1の半径方向(ラジアル)位置で、媒体の拡散スペクトルデータを取得し、散乱非感応な点に応じて光学情報を確定させ、散乱特性に非感応的光学情報を得ることを特徴とする請求項1記載の拡散スペクトルデータ処理方法。
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