JP6774863B2 - セラミックス基複合材料の製造方法 - Google Patents

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本発明は、セラミックス基複合材料の製造方法に関する。
航空機の機体やエンジン、産業用のガスタービンエンジンの高温となる部分や軽量でかつ高い耐久性が要求される部分に、複合材料を用いることが検討されている。このような複合材料の一例として、例えば下記特許文献1に記載されたセラミックス基複合材料(CMC:Ceramic Matrix Composites)が知られている。
セラミックス基複合材料は、複数の繊維束を有する織布と、繊維束同士の間の間隙に充填されたマトリックスと呼ばれる補強材と、を有する。セラミックス基複合材料を得るに当たっては、一例としてPIP法(Polymer Impregnation and Pyrolysis法)と呼ばれる技術が用いられる。PIP法は、マトリックスの前駆体となるポリマーを含む溶液中で織布にポリマーを含浸させる工程と、含浸されたポリマーを乾燥・焼成する工程を含む。
特許第5129997号公報
しかしながら、PIP法によって所望の強度特性を有するセラミックス基複合材料を得るためには、ポリマーの含浸・乾燥・焼成の各工程を複数回繰り返す必要がある。このため、製造期間が長期化してしまうことが課題とされていた。さらに、焼成工程を複数回繰り返した場合、繊維束の劣化による強度低下が生じることも知られている。そこで、強度低下を防ぐため、繊維束の表面に界面層を形成する技術も提唱されている。しかしながら、界面層を形成するには、繊維束に付着しているサイジング材をデサイジング工程によって予め除去する必要があるため、製造工程の複雑化を招いていた。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、強度低下が生じにくく、かつ製造工程を簡単にすることが可能なセラミックス基複合材料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のセラミックス基複合材料の製造方法は、複数の繊維束、及び該繊維束の周囲を覆うサイジング材を有する織布と、前記繊維束同士の間の間隙に配置されたマトリックスと、を有するセラミックス基複合材料の製造方法であって、前記織布に前記マトリックスの前駆体としてのポリマーを含浸させて素体を形成する素体形成工程と、前記素体に前記ポリマーをさらに含浸させ、焼成する緻密化工程と、を含み、前記素体形成工程は、前記織布を窒素雰囲気下で加熱することで、前記サイジング材を変性させて前記繊維束に界面層を形成する界面層形成工程を含む。
この方法によれば、繊維束、及び繊維束を形成する繊維の周囲に当初から付着しているサイジング材を用いて界面層を形成することができる。すなわち、従来行われていたデサイジング工程を実行することなく、繊維束、及び繊維の周囲に界面層を形成することができる。これにより、工数を削減することができる。
また、セラミックス基複合材料の製造方法では、前記サイジング材は、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリブタジエン、ポリアルキシレングリコール、ポリオレフィン樹脂、ビニルエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ピッチ系樹脂の群から選択された少なくとも1つであってもよい。
この方法によれば、サイジング材としてポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリブタジエン、ポリアルキシレングリコール、ポリオレフィン樹脂、ビニルエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ピッチ系樹脂の群から選択された少なくとも1つが用いられる。これらの化学種は、窒素雰囲気下で加熱することにより、炭素系の分子構造に変化する。したがって、この方法によれば、容易かつ廉価に界面層を形成することができる。
また、セラミックス基複合材料の製造方法では、前記緻密化工程は、前記素体に前記ポリマーをさらに含浸させて含浸済み素体を形成する含浸工程と、前記含浸済み素体を乾燥させて乾燥済み素体を形成する乾燥工程と、前記乾燥済み素体を焼成する焼成工程と、を含んでもよい。
この方法によれば、緻密化工程を実行することで、素体に対するポリマーの含浸効率を高めることができる。すなわち、緻密化されたセラミックス基複合材料を容易に得ることができる。
また、セラミックス基複合材料の製造方法では、前記乾燥工程の後で、前記含浸工程、及び前記乾燥工程を繰り返し、前記焼成工程は、前記含浸工程、及び前記乾燥工程を複数回繰り返した前記乾燥済み素体を焼成してもよい。
この方法によれば、素体に対するポリマーの含浸効率をさらに高めることができる。すなわち、さらに緻密化されたセラミックス基複合材料を容易に得ることができる。
本発明によれば、強度低下が生じにくく、かつ製造工程を簡単にすることが可能なセラミックス基複合材料の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の第一実施形態に係るセラミックス基複合材料の構成を示す模式図である。 図2は、本発明の第一実施形態に係るセラミックス基複合材料の構成を拡大して示す模式図である。 図3は、本発明の第一実施形態に係るセラミックス基複合材料の繊維を拡大して示す模式図である。 図4は、本発明の第一実施形態に係るセラミックス基複合材料の製造方法を示す工程図である。 図5は、本発明の第一実施形態において、サイジング材としてポリウレタンを用いた場合の合成・熱分解の過程を示す説明図である。 図6は、本発明の第二実施形態に係るセラミックス基複合材料の製造方法を示す工程図である。 図7は、本発明の第二実施形態に係る水蒸気処理工程におけるマトリックスの組成の変化を示す説明図である。 図8は、本発明の実施例における焼成工程の回数と、マトリックスの気孔率との関係を示すグラフである。
[第一実施形態]
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1に示すように、セラミックス基複合材料100は、複数の繊維層10を積層することで、一例として薄肉板状に形成されている。言い換えると、セラミックス基複合材料100は、重なり合って配置された複数の繊維層10を有している。なお、図1に示す例では、複数の繊維層10同士の間に境界線を便宜的に表示しているが、実際のセラミックス基複合材料100では繊維層10同士の間にこのような明確な境界線は存在せず、複数の繊維層10同士は一体をなしている。また、セラミックス基複合材料100の形状は、図1に示す板形状に限定されず、種々の形状とすることができる。以下の説明では、セラミックス基複合材料100をCMCと略称することがある。
繊維層10は、図2に示すように、織布1と、マトリックス3と、を備える。なお、図2は、繊維層10の構成を模式的に示している。図3に拡大して示すように、織布1は、複数の繊維束2と、繊維束2、及び繊維束2を形成する繊維2Aの外側を覆う界面層4と、を有している。織布1は、複数の繊維束2を織ることで形成された織物である。本実施形態に係る繊維束2は、アルミナ、ムライト等の酸化物を主成分とする繊維2Aを数百〜数千本束ねたものである。なお、繊維束2として、SiC系の繊維を用いることも可能である。織布1は、このような繊維束2に対して平織りや、朱子織りを施すことで形成することができる。さらに、織布1は繊維束2を用いた不織布として形成することもできる。
界面層4はCNO等の炭素系の組成を有する。詳しくは後述するが、界面層4を形成するに当たっては、織布1を窒素雰囲気下で加熱する。これにより、サイジング材として繊維束2に当初から付着しているポリウレタン系のポリマーに化学反応が生じる。結果として、上記した炭素系の界面層4が得られる。界面層4が形成されていることにより、繊維束2及び繊維2Aとマトリックス3との反応抑制がなされ、最終製品であるCMCの強度特性(例えば、強度、靱性)をさらに高めることができる。
マトリックス3は、複数の繊維束2同士の間に形成された間隙や、繊維2A同士の間の間隙に配置される。マトリックス3は、繊維束2に含浸することで当該繊維束2を補強する。マトリックス3は、具体的には繊維束2と同様に、アルミナ、ムライト等の酸化物を主成分とする。
次に、図4を参照して、セラミックス基複合材料100の製造方法について説明する。本実施形態に係るセラミックス基複合材料100の製造方法は、素体形成工程S1と、緻密化工程S2と、を含む。素体形成工程S1では、上記の織布1にマトリックス3の前駆体としてのポリマーを含浸させる。緻密化工程S2では、織布1にポリマーをさらに含浸させることで、マトリックス3の密度が高められる。
素体形成工程S1は、裁断工程S11と、界面層形成工程S12と、第一含浸工程S13と、積層工程S14と、仮焼成工程S15と、を含む。また、素体形成工程S1は、第一含浸工程S13と、積層工程S14とを複数回繰り返す場合もある。裁断工程S11は、織布1を予め定められた所望の形状、寸法に裁断する。第一含浸工程S13は、裁断した織布1に対して、マトリックス3の前駆体としてのポリマーを含浸させる。前駆体としてのポリマーは、後述する仮焼成工程S15で熱分解を生じ、セラミックス化することでマトリックス3となる材料である。
界面層形成工程S12では、裁断された織布1を窒素雰囲気下で加熱する。これにより、サイジング材が変性して、炭素系の界面層4を形成することができる。具体的には図5に示すように、サイジング材としてポリウレタンが用いられている場合、ポリウレタンの合成と熱分解を経て、界面層4としてのCNOが生成される。
なお、サイジング材として、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリブタジエン、ポリアルキシレングリコール、ポリオレフィン樹脂、ビニルエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ピッチ系樹脂の群から選択された少なくとも1つを用いることが可能である。言い換えると、上記の群のうち少なくとも1つの化学種をサイジング材として有していれば、窒素雰囲気下で加熱することによって、容易に界面層4を形成することができる。
第一含浸工程S13では、ポリマーの粉末を含むスラリーに織布1をひたすことで、織布1の一部にポリマーが含浸する。
積層工程S14は、所望の厚さになるまで、ポリマーが含浸した状態の織布1を複数積層する。なお、織布1を積層する際に、繊維の走行方向を層ごとに違えることで、積層された織布1に擬似等方性を持たせることもできる。具体的には、n層の織布1を積層する場合、各層の繊維の走行方向を(360/n)°ごとに違えることで擬似等方性を実現することができる。仮焼成工程S15は、積層された織布1を焼成する。仮焼成工程S15で焼成された状態の織布1を、以下では「素体」と呼ぶ。以上により、素体形成工程S1が完了する。素体形成工程S1で得られた素体は、緻密化工程S2を実行することにより、密度が高められる。
緻密化工程S2は、第二含浸工程S21(含浸工程)と、乾燥工程S22と、焼成工程S23と、判定工程S24と、を含む。緻密化工程S2は、第二含浸工程S21と、乾燥工程S22と、焼成工程S23と、判定工程S24と、をこの順で実行する。なお、緻密化工程S2は、一部の工程を繰り返し実行することもできる。
第二含浸工程S21は、素体に対してマトリックス3の前駆体としてのポリマーをさらに含浸させる。第二含浸工程S21を実行する前の素体は、マトリックス3が繊維束2同士の間の間隙の一部のみに配置されている。言い換えると、当該段階では素体の密度、すなわちマトリックス3の充填率が十分高められてはおらず、さらにマトリックス3を形成する余地がある。そこで、第二含浸工程S21を実行することにより、積層済みの素体に対して、マトリックス3の前駆体としてのポリマーがさらに含浸される。第二含浸工程S21により、含浸済み素体が形成される。
第二含浸工程S21の後で、乾燥工程S22を実行する。第二含浸工程S21でポリマーをさらに含浸させた素体は、含浸に用いられたスラリーの溶剤分や水分を多量に含んでいる。乾燥工程S22では、溶剤分を揮発させるとともに、水分を蒸発させる。これにより、乾燥済み素体が形成される。乾燥済み素体の体積は、含浸済み素体の体積よりも小さくなる。
乾燥工程S22の次に、焼成工程S23を実行する。焼成工程S23では、乾燥済み素体を焼成する。焼成工程S23を実行することにより、上述した前駆体としてのポリマーと織布1との間に化学反応が生じる。当該化学反応により、ポリマーはマトリックス3となるとともに、織布1の繊維束2に含浸した状態となる。
具体的に焼成工程S23では、脱水反応によってポリマーに含まれるOH基がオキソ基(O基)となり、前駆体としてのポリマーがマトリックス3となる。したがって、焼成工程S23後のポリマー中では、近接するオキソ基同士の間で分子間縮合が生じる。さらに、ポリマー中では、オキソ基による分子内縮合も生じる。
焼成工程S23の後で、判定工程S24を実行する。判定工程S24では、上記の処理済み素体が、予め定められた特性、条件を満たしているか否かを判定する。判定工程S24で、予め定められた特性、条件を満たしていると判定された場合には、所望の特性を有するCMCが完成したと判定される。一方で、予め定められた特性、条件を満たしていないと判定された場合には、再び上記の第二含浸工程S21、乾燥工程S22、及び焼成工程S23を実行する。すなわち、判定工程S24で予め定められた特性、条件を満たすまで、第二含浸工程S21、乾燥工程S22、及び焼成工程S23を繰り返す。なお、本実施形態では、判定工程S24で判定を実行するとしたが、予め定められた特性、条件を満たす第二含浸工程S21、乾燥工程S22、焼成工程S23及び判定工程S24の繰り返し回数を予め実験等で決定し、決定した回数を繰り返すようにしてもよい。以上により、セラミックス基複合材料100の製造方法の全工程が完了する。
上記で説明したように、本実施形態に係るセラミックス基複合材料100の製造方法によれば、界面層形成工程S12を実行することで、サイジング材を除去することなく、繊維束2の周囲に界面層4を形成することができる。これにより、織布1の繊維束2の周囲のサイジング材として付着している材料を除去して、界面を形成せずに、界面層形成工程S12で界面層4を形成することができる。これにより、工程を複雑長期化させることなく、界面層4を有するCMCを得ることができる。また、界面層4を形成するための材料を別個に用意する必要がないため、低コスト化を図ることもできる。
さらに、本実施形態に係るセラミックス基複合材料100の製造方法によれば、サイジング材としてポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリブタジエン、ポリアルキシレングリコール、ポリオレフィン樹脂、ビニルエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ピッチ系樹脂の群から選択された少なくとも1つが用いられる。これらの化学種は、窒素雰囲気下で加熱することにより、炭素系の分子構造に変化する。したがって、この方法によれば、容易かつ廉価に界面層を形成することができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について図6から図8を参照して説明する。図6に示すように、本実施形態に係るセラミックス基複合材料200の製造方法は、水蒸気処理工程S223と、予備判定工程S224とをさらに含む点で、上記の第一実施形態とは異なる。
具体的には、乾燥工程S222の後で、水蒸気処理工程S223を実行する。水蒸気処理工程S223では、乾燥済み素体を飽和水蒸気圧下に留置する。具体的には、乾燥済み素体を処理容器の中に密閉する。処理容器内の温度は、30〜200℃であることが望ましい。さらに望ましくは、処理容器内の温度は80〜150℃であり、最も望ましくは100〜130℃である。なお、水蒸気処理工程S223を行う期間は数分〜数時間の間で適宜選択され、ノミナル値としては約1時間である。
水蒸気処理工程S223では、上記乾燥済み素体に含まれるポリマー(すなわち、マトリックス3の前駆体としてのポリマー)の一部が加水分解される。具体的には、ポリマーには、水蒸気処理工程S223が実行されることで、図7に示すような化学反応が生じる。図7中で、「L」は所定の脱離基を表している。同図に示すように、水蒸気処理工程S223を実行することにより、ポリマー中のL基がOH基に置換される。水蒸気処理工程S223を実行することで、処理済み素体が形成される。
水蒸気処理工程S223の後に、予備判定工程S224を実行する。予備判定工程S224では、上記の処理済み素体が、予め定められた特性、条件を満たしているか否かを判定する。予備判定工程S224で、予め定められた特性、条件を満たしていると判定された場合には、後続の焼成工程S225に遷移する。一方で予め定められた特性、条件を満たしていないと判定された場合には、再び上記の第二含浸工程S221、乾燥工程S222、水蒸気処理工程S223を実行する。すなわち、予備判定工程S224予め定められた特性、条件を満たすまで、第二含浸工程S221、乾燥工程S222、水蒸気処理工程S223を繰り返す。なお、本実施形態では、予備判定工程S224で判定を実行するとしたが、予め定められた特性、条件を満たす第二含浸工程S221、乾燥工程S222、水蒸気処理工程S223の繰り返し回数を予め実験等で決定し、決定した回数を繰り返すようにしてもよい。
本実施形態に係るセラミックス基複合材料200の製造方法では、水蒸気処理工程S223を実行することで、素体に対するポリマーの含浸効率を高めることができる。すなわち、後続の焼成工程S225を多数回にわたって実行することなく、所望の特性を有するセラミックス基複合材料200を得ることができる。したがって、焼成工程S225を繰り返した場合に生じる、熱による強度低下や、製造期間の長期化を回避することができる。
さらに、水蒸気処理工程S223を実行することにより、ポリマー中の近接するオキソ基同士が分子間縮合する。さらに、ポリマー中では、オキソ基による分子内縮合も生じる。すなわち、ポリマー同士が3次元ネットワークを形成する。これにより、焼成工程S225後のマトリックス3の強度を高めることができる。言い換えれば、水蒸気処理工程S223を実行したことによって、例えば焼成工程S225のみを複数回繰り返した場合に比べて、少ない繰り返し回数で所望の強度を有するCMCを得ることができる。したがって、焼成工程S225の回数を低減することができるとともに、熱による強度低下や減量が生じる可能性をも低減することができる。
また、水蒸気処理工程S223は、30℃以上200℃以下の飽和水蒸気下で実行される。このように比較的低い温度下で処理を行うことができるため、大掛かりな設備を用いることなく、素体に対するポリマーの含浸効率を高めることができる。
以上、本発明の第二実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成や方法に種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第二実施形態では、第二含浸工程S221、乾燥工程S222、水蒸気処理工程S223を繰り返し実行するとしたが、1回のみとしてもよい。同様に、第二実施形態では、第二含浸工程S221、乾燥工程S222、水蒸気処理工程S223、予備判定工程S224及び焼成工程S225を繰り返し実行するとしたが、1回のみとしてもよい。
以上、本発明の第二実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成や方法に種々の変更を加えることが可能である。
次に、本発明の実施例について図8を参照して説明する。図8は、上記第二実施形態で説明した水蒸気処理工程S223の有無、及び緻密化工程S2の繰り返し回数と、マトリックス3のポロシティ(気孔率)との関係を表すグラフである。グラフの横軸は、焼成工程S25の繰り返し回数を表している。グラフの縦軸は、初期のマトリックス3のポロシティを1としたときのポロシティの値を表している。すなわち、ポロシティの値が低くなるほど、マトリックス3の含浸率が高く、緻密化が進んでいることを表す。また、焼成工程S25の繰り返し回数を少なく抑えた状態で低ポロシティ化を達成できるため、繊維の強度低下を抑えることができるとともに、低コスト化、短工期化を実現することができる。すなわち、本実施例で示されるように、水蒸気処理工程S223を繰り返して実行することにより、焼成工程S25の回数の削減、及び低ポロシティ化を実現することができる。
図8に比較例として示すように、水蒸気処理工程S223を実行しなかった場合、ポロシティを0.85程度まで低減させるためには、緻密化工程S2を8回繰り返して実行する必要があった。一方で、水蒸気処理を1回実行した場合には、緻密化工程S2を5回繰り返すのみで所望のポロシティに到達した。さらに、水蒸気処理を2回実行した場合には、緻密化工程S2を3回繰り返すのみで所望のポロシティに到達した。加えて、水蒸気処理を3回実行した場合には、緻密化工程S2を2回繰り返すのみで所望のポロシティに到達した。
このように、水蒸気処理工程S223を実行することで、緻密化工程S2を実行する回数を低減することができることが分かる。さらに、水蒸気処理工程S223を実行する回数を増やすほど、緻密化工程S2を実行する回数を減らせることが分かる。
1 織布
2 繊維束
2A 繊維
3 マトリックス
4 界面層
10 繊維層
100、200 セラミックス基複合材料

Claims (3)

  1. 複数の繊維束、及び該繊維束の周囲を覆うサイジング材を有する織布と、前記繊維束同士の間の間隙に配置されたマトリックスと、を有するセラミックス基複合材料の製造方法であって、
    前記織布に前記マトリックスの前駆体としてのポリマーを含浸させて素体を形成する素体形成工程と、
    前記素体に前記ポリマーをさらに含浸させ、焼成する緻密化工程と、
    を含み、
    前記素体形成工程は、前記織布を窒素雰囲気下で加熱することで、前記サイジング材を変性させて前記繊維束に界面層を形成する界面層形成工程を含み、
    前記サイジング材は、ポリブタジエン、ポリアルキシレングリコール、ポリオレフィン樹脂、ビニルエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ピッチ系樹脂の群から選択された少なくとも1つである
    セラミックス基複合材料の製造方法。
  2. 前記緻密化工程は、
    前記素体に前記ポリマーをさらに含浸させて含浸済み素体を形成する含浸工程と、
    前記含浸済み素体を乾燥させて乾燥済み素体を形成する乾燥工程と、
    前記乾燥済み素体を焼成する焼成工程と、
    を含む請求項1記載のセラミックス基複合材料の製造方法。
  3. 前記乾燥工程の後で、前記含浸工程、及び前記乾燥工程を繰り返し、
    前記焼成工程は、前記含浸工程、及び前記乾燥工程を複数回繰り返した前記乾燥済み素体を焼成する、
    請求項に記載のセラミックス基複合材料の製造方法。
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