JP6762901B2 - 薬液含浸基材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は薬液含浸基材及びその製造方法に関し、更に詳しくは適度な薬液含浸性と内部結合強度を有し、断裁工程や含浸工程に耐えうる強度を有する薬液含浸基材及びその製造方法に関する。
従来より、防虫剤や消臭剤などの有効期間を示すための期間インジケータが知られている。この種の期間インジケータは薬液含浸基材に常温揮散性の薬液を含浸させてなるものであり、経時による薬液量の変化に伴い所定の表示(有効期間の終期を示す表示等)が露呈するように構成されている。このような期間インジケータや薬液含浸基材については必要な特性を付与するために従前より様々な提案がなされている。
期間インジケータに関する技術としては、例えば特許文献1には、薬液透過性材からなる基板材と、この基板材面に対して部分的に積層された薬液透過性で光に対し低屈折率の材料による表示部とからなるシート材中に、常温揮散性の薬剤が含有されてなる構成を特徴とする薬液含有インジケータが提案されている。また特許文献2には、液体透過性を有する基材と、基材上に部分的に積層された液体透過性で光に対し低屈折率の材料よりなる期間終期の表示部とからなり、揮散性の液体が含有されてなる期間インジケータにおいて、液体不透過性で気体透過性の領域からなる期間初期の表示部が形成された期間インジケータが提案されている。
薬液含浸基材に必要な適性としては、上記のような期間インジケータ機能の付与以外に、薬液含浸速度、薬液保持量、断裁工程や薬液含浸工程に耐えうる内部結合強度等があげられる。なお、以下において薬液含浸速度と薬液保持量の2つの物性を合わせて「薬液含浸性」と現す場合がある。
次いで特許文献3には、表層、1層又は複数層から成る中層、及び裏層の多層抄きの含浸紙であって、裏層又は中層の少なくとも1層を吸液層とし、吸液層は少なくとも非木材繊維を含有させたパルプを用いて形成し、裏層の表面は吸油度が0.5〜9.5秒であることを特徴とするものが示されている。この含浸紙において、非木材繊維はパルプの種別ぼろの配合率が20〜80%になるように配合され、このような非木材繊維としてはコットンリンターパルプが用いられている。また、離解フリーネスが600〜700cc、クレム吸水度(縦)が80〜100mm、密度が0.40〜0.60g/cm3となるように構成されている。更に、当該含浸紙の表層表面に少なくともシリカを含む塗工層を形成したインジケータ台紙についても提案されている。
特許文献4には、表層、1層又は複数層から成る中層、及び裏層の多層抄きで構成される含浸紙と、含浸紙の表層の表面に形成された塗工層からなるインジケータ台紙であって、含浸紙は非木材繊維をパルプの種別ぼろの配合率が20〜80%となるように配合し、表層を着色層とし、裏層及び前記中層を吸液層とし、含浸紙は、裏層側の表面の吸油度が0.5〜9.5秒であり、塗工層は、顔料として平均粒子径が3〜8μmのシリカを固形分で10〜50質量%含有し、バインダーとして酢酸ビニル系樹脂、溶剤としてトルエンを含有し、剥離強度が0.35〜1.10MPaであるものが提案されている。
また特許文献5では、主としてセルロース繊維からなる第1層と第3層の2つの層の間にセルロース繊維と合成繊維からなる第2層が積層される薬液含浸基材で、第2の層のセルロース繊維と合成繊維の配合比率が20〜80:80〜20重量%であり、セルロース繊維が、少なくとも50重量%以上のマーセル化パルプもしくはコットンリンターパルプを含有し、合成繊維が主体繊維とバインダー繊維からなり、主体繊維とバインダー繊維の配合比率が20〜80:80〜20重量%、第1層と第2層と第3層の層比率が45〜35:30〜10:45〜35重量%であり、薬液含浸基材の坪量が75〜500g/m2、且つ密度が0.25〜0.50g/cm3であるものが提案されている。
上述の通り、薬液含浸基材の薬液含浸性と剥離強度を向上させる提案が種々なされている。ここでいう「薬液含浸性の向上」には、薬液含浸速度の向上と薬液保持量の増加が含まれる。薬液含浸速度が向上、すなわち短くなると、薬液含浸工程での加工時間が短くなる為に加工速度も短くなり製造工程全体としても時間が短縮されるというメリットがある。また薬液保持量が増加すると、より狭い面積で必要な薬液量を保持できるために製品を小型化できるメリットがある。このような薬液含浸性を向上させる為に、特許文献3,4では吸収層にコットンリンターパルプを配合し、離解フリーネスを600〜700ccとするという工夫がなされ、特許文献5では第2の層のセルロース繊維と合成繊維の配合比率が20〜80:80〜20重量%であり、セルロース繊維が少なくとも50重量%以上のマーセル化パルプもしくはコットンリンターパルプを含有するなどの工夫をしている。
しかしながら、マーセル化パルプやコットンリンターパルプを高配合させると薬液含浸速度は向上するもののその一方で剥離強度が低下するため、断裁加工時に切り口がめくれる等のトラブル発生の可能性が高くなるという問題がある。この点について特許文献5では剥離強度低下の対策の為高価なバインダー繊維の配合がされており、高い薬液含浸性を維持しながら断裁工程や薬液含浸工程などの加工工程に耐えうる強度を得るには高価な原料が必要であった。
実公平05−000938号公報 特許4336650号公報 特開2010−084278号公報 特開2010−197815号公報 特開2015−193954号公報
本発明はこのような問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、適度な薬液含浸性と内部結合強度を有し、断裁工程や薬液含浸工程に耐えうる強度を有する薬液含浸基材を安価に提供することにある。
本発明の他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
本発明の薬液含浸基材は、少なくともマーセル化パルプと非マーセル化パルプとを含有する薬液含浸基材であって、前記マーセル化パルプは、カナダ標準濾水度(フリーネス)が650〜750mlCSFであり、密度が0.30〜0.38g/cm3であり、JAPAN TAPPI No.18−2(紙及び板紙−内部結合強さ試験方法−第2部:インターナルボンドテスタ法)により測定された内部結合強度が50mJ以上であることを特徴とする。
このような構成によれば、マーセル化パルプと非マーセル化パルプの双方を含有することから適度な薬液含浸性と内部結合強度を有し、断裁工程や薬液含浸工程に耐えうる強度を有する薬液含浸基材を安価に提供することができる。
また、本発明の好ましい実施の形態においては、前記非マーセル化パルプのカナダ標準濾水度(フリーネス)が600〜750mlCSFであってもよい。
このような構成によれば、非マーセル化パルプについても濾水度が適切な範囲となるため、薬液含浸性と内部結合強度の双方により優れた薬液含浸基材が得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、薬液含浸基材に用いられるパルプ全量に対して、前記マーセル化パルプの配合割合が30〜90質量%の範囲としてもよい。
このような構成によれば、マーセル化パルプと非マーセル化パルプの配合バランスが好ましい範囲であるため薬液含浸基材を嵩高にしやすく、密度も適切な範囲に調整しやすくなる。
また、本願発明は、の製造方法としても捉えることができる。本発明に係る薬液含浸基材の製造方法は、カナダ標準濾水度(フリーネス)が650〜750mlCSFであるマーセル化パルプと、非マーセル化パルプとを混合してパルプスラリーとするパルプスラリー調製ステップと、該パルプスラリーを用いて抄紙する抄紙ステップとを有する薬液含浸基材の製造方法であって、薬液含浸基材の密度を0.30〜0.38g/cm3とし、JAPAN TAPPI No.8−2(紙及び板紙−内部結合強さ試験方法−第2部:インターナルボンドテスタ法)により測定される内部結合強度を50mJ以上とすることを特徴とする。
そして、このような構成によれば、薬液含浸性と内部結合強度とのバランスに優れた薬液含浸基材を容易に製造することができる。
本発明の薬液含浸基材の製造方法においては、前記非マーセル化パルプのカナダ標準濾水度(フリーネス)が600〜750mlCSFであることが好ましい。このような構成によれば、薬液含浸性と内部結合強度とを同時に満足させることがより容易になる。
また、本発明の薬液含浸基材の製造方法においては、前記マーセル化パルプと、前記非マーセル化パルプは、それぞれが単独で叩解処理されていることが好ましい。このような構成によれば、それぞれのパルプをそのパルプに適した濾水度に調製することが容易となるため、薬液含浸性と内部結合強度とを同時に満足させることがより容易になる。
本発明によれば、適度な薬液含浸性と内部結合強度を有し、断裁工程や薬液含浸工程に耐えうる強度を有する薬液含浸基材を安価に提供することが可能となる。
薬液含浸速度測定の説明図である。 実施例及び比較例による薬液含浸基材の配合と物性を示す図表である。
以下に、本発明に係る薬液含浸基材の好適な一実施例を詳細に説明する。
先にも述べたように、本発明に係る薬液含浸基材は、少なくともマーセル化パルプと非マーセル化パルプとを含有する薬液含浸基材であって、前記マーセル化パルプは、カナダ標準濾水度が650〜750mlCSFであり、密度が0.30〜0.38g/cm3であり、JAPAN TAPPI No.18−2により測定された内部結合強度が50mJ以上である、という構成を有するものである。
本発明に係る薬液含浸基材は2種類以上のセルロース繊維を含有するものであり、そのうちの1種として木材パルプ又は非木材パルプをアルカリ処理して得られるマーセル化パルプを配合する。マーセル化パルプは、パルプ繊維中のヘミセルロース等が溶出し、短繊維強度が増加することや極めて剛直になることが知られており、また、パルプ繊維間の水素結合がしにくくなる結果、マーセル化パルプを使用した紙は嵩高で密度の低い紙となる。さらに、同密度であっても他のパルプのみで構成される基材に比べて、薬液含浸速度が高くなり易い。この理由は明らかではないが、マーセル化パルプは比較的屈曲が小さく直線性が高くなる傾向にあるため、基材中の繊維と繊維の隙間の形状が薬液の浸透に適した構造になり易いのではないかと考えられる。
マーセル化処理を行うパルプとしては特に限定するものではなく、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)に代表される木材漂白化学パルプを使用することができる。これらの中でも針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)をマーセル化処理し、マーセル化パルプとしたものを用いることが好ましい。NBKPを原料とすると繊維長が比較的長いマーセル化パルプが得られるため、基材の各種強度が高くなり易く、嵩高となり密度のコントロールも行い易いため、薬液含浸性と内部結合強度とを同時に満足させ易くなる。
本発明においてはマーセル化パルプのカナダ標準濾水度(フリーネス)は、650〜750mlCSFの範囲とする。マーセル化パルプのカナダ標準濾水度が650mlCSFよりも低いと、繊維間の距離が小さくなることから密度が高くなり、その結果、薬液含浸速度が低下する。一方、マーセル化パルプのカナダ標準濾水度が750mlCSFより高くなると、繊維同士の絡み合いが少なくなるために内部結合強度が低下するとともに薬液含浸基材からの繊維の脱落も増加する。薬液含浸基材から繊維が脱落すると、断裁工程や薬液含浸工程などの加工工程において周辺の環境の悪化を招くとともに、製品への異物の混入にもつながるため好ましくない。
本発明の薬液含浸基材に用いる他のセルロース繊維としては、非マーセル化パルプを含有させる。ここで非マーセル化パルプとしては、特に限定するものではなく、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)に代表される木材漂白化学パルプ、GP(砕木パルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、BCTMP(晒ケミサーモメカニカルパルプ)等の機械パルプ、古紙パルプ、木材パルプ以外の楮、三椏、雁皮、麻、バガス、ケナフ、竹、コットンリンターなどの非木材パルプ、などを使用することができる。本発明の非マーセル化パルプとしては、上述のような一般的なパルプから1種以上を適宜選択して用いることができるが、これらの中でも針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を用いることが好ましい。NBKPは繊維長が比較的長く、強度が高いため、マーセル化パルプと共に配合することで基材の嵩高性を維持したまま内部結合強度の維持が見込める。
本発明において用いられる非マーセル化パルプの濾水度は特に限定するものではないが、カナダ標準濾水度(フリーネス)(JIS P 8121:1995「パルプのろ水度試験方法」)で、600〜750mlCSFの範囲とすることが好ましい。濾水度をこの範囲とすることで適度な薬液含浸性と内部結合強度を得ることが容易となり、薬液含浸基材に適した紙質を得られ易い。非マーセル化パルプのカナダ標準濾水度が750mlよりも高いと、繊維同士の絡みが少なくなることから内部結合強度が低下する傾向となり、繊維の脱落も生じ易い。一方、非マーセル化パルプのカナダ標準濾水度が600mlよりも低いと、基材の密度が高くなり易く、薬液含浸速度が低下するおそれがある。
本発明においてパルプの叩解方法は特に限定するものではなく、ビーター、ジョルダン、デラックス・ファイナー、ダブル・ディスク・レファイナー等、いずれの叩解機を単独または併用して使用してもよい。パルプは叩解を進めるにつれ繊維長が短くなるとともにフィブリル化して濾水度が低くなるため、パルプ同士の繊維間結合が強くなることで基材の内部結合強度は高くなるが、密度も高いものとなる。その逆に叩解の程度が少なければ当然に繊維長は長いままでありフィブリル化も少ないため、基材の内部結合強度は低く、密度も低くなるため嵩高の基材となる。
本発明においては、少なくともマーセル化パルプと非マーセル化パルプという2種のパルプを用いるため、パルプを叩解する手順としては2つ考えられる。すなわち、マーセル化パルプと非マーセル化パルプとをあらかじめ混合した後に叩解を行う(以下、「混合叩解」ということがある)か、それぞれのパルプを単独で叩解(以下、「単独叩解」ということがある)した後で混合するか、の2つである。一般的に、2種以上のパルプを混合して抄紙原料とする場合は、叩解効率、節水及びエネルギー効率が良い点から混合叩解が多く用いられている。しかしながら、叩解抵抗の異なるパルプを混合して叩解した場合には叩解抵抗の低いパルプが優先的に叩解されるため、叩解抵抗の高いパルプは不十分な叩解となり易く、本来目標とする各パルプの濾水度とすることが出来ずにパルプの性能を十分に引き出せないことがある。このため本発明においては、マーセル化パルプと非マーセル化パルプをそれぞれ単独叩解することが好ましい。各パルプを単独叩解することでそれぞれのパルプのフリーネスを調整し易くなり、目的とする性能を引き出すための叩解が十分に加えられる。
本発明において薬液含浸基材中のマーセル化パルプの含有割合は、薬液含浸基材のパルプ全量に対して、30〜90質量%であることが好ましく、40〜80質量%であればより好ましい。このような配合割合とすることで、嵩高な基材にして適切な密度に調整することが容易となる。
本発明の薬液含浸基材においては、密度を0.30〜0.38g/cm3の範囲とし、好ましくは0.32〜0.36g/cm3の範囲とする。密度が0.30g/cm3未満であると断裁工程や薬液含浸工程に耐えうる十分な強度が得られず、逆に密度が0.38g/cm3より高いと薬液含浸のための十分な空隙が得られず適度な薬液含浸速度を得ることが難しい。本発明において密度のコントロール方法は特に限定するものではないが、各パルプのフリーネスや、マーセル化パルプの配合率でコントロールすることができる。用いるパルプのフリーネスが高いほど、また、マーセル化パルプの配合率を多くするほど、密度は低くなる傾向となる。
本発明においては、薬液含浸基材のJAPAN TAPPI No.18−2(紙及び板紙−内部結合強さ試験方法−第2部:インターナルボンドテスタ法)により測定された内部結合強度を50mJ以上とし、好ましくは60mJ以上とし、より好ましくは70mJ以上とする。内部結合強度が50mJより小さいと断裁工程や薬液含浸工程などの加工工程に薬液含浸基材が耐え切れず端面めくれなどのトラブルとなるおそれがある。また、薬液含浸基材より繊維が脱落すると、各工程において周辺環境の悪化を招くとともに、製品への異物の混入にもつながる。
本発明の薬液含浸基材は、前述したようにマーセル化パルプと非マーセル化パルプとを混合してパルプスラリーとし、該パルプスラリーを用いて抄紙することで得ることができる。パルプスラリーには、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で、硫酸バンド、填料、サイズ剤、紙力剤、歩留まり向上剤、着色染料、着色顔料、等の各種製紙用資材を含有させることができる。填料としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミノケイ酸塩、焼成クレー、硫酸バリウム、合成樹脂填料などの公知の填料を1種以上使用することができる。
また、サイズ剤を用いる場合には、パラフィンワックス系サイズ剤、マイクロクリスタリンワックス系サイズ剤、カルナウバ(カルナバワックス)系サイズ剤、アルキルケテンダイマーワックス系サイズ剤、ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸サイズ剤等の中から1種以上を使用することができる。但し、基材に水性の薬液を含浸させる用途に用いる場合には、サイズ剤の適用は好ましくない。
紙力剤としては、澱粉、カチオン化澱粉、その他変性澱粉、ポリアクリルアミド系樹脂、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、植物ガム、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ゴム系ラテックス、ポリエチレンオキサイド、ポリアミド樹脂など乾燥紙力の向上を促すものに加え、ポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂など湿潤紙力の向上を促すものを1種以上使用することができる。紙力剤は内部結合強度の向上に効果があるが、添加量を多くしすぎると密度の上昇を招くことがある。本発明において、パルプスラリー中に紙力剤を添加する場合の添加量は、パルプ全量に対し、0.1〜5質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.3〜4質量%の範囲であり、更に好ましくは0.35〜2質量%の範囲である。紙力剤の添加量が5質量%を超えると、繊維同士の結合がより強固になるが、密度が高くなるとともに繊維の隙間に余分な紙力増強剤自体が入り込んで隙間が減る為、適度な薬液含浸速度を得ることが難しくなる。さらに繊維に定着できない紙力増強剤増えると浮遊した紙力増強剤が工程を汚すトラブルにもつながる。
本発明において薬液含浸基材の抄紙方法としては特に限定するものではなく、円網抄紙機、短網抄紙機、長網抄紙機、これらの抄紙機のコンビネーション抄紙機など従来から周知の抄紙機を使用して、単層または抄合わせにて抄造できる。抄合わせとする場合には、抄合わせ各層の層間剥離を防止するために層間用澱粉等の紙力剤をスプレー塗布しても良い。
本発明においては紙の表面にサイズプレスで、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で、紙力剤、サイズ剤、界面活性剤等の各種製紙用資材を含有させることができる。適度な紙力剤の添加は表面強度や層間強度の向上に効果があり、適度な界面活性剤の添加は薬液含浸性を向上させる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ固形分換算での質量部又は質量%を示す。また、硫酸バンドについては硫酸アルミニウム16水和物としての固形分部数を示す。
(実施例1)
叩解前フリーネスが775mlCSFのマーセル化パルプ(商品名「POROSANIEA」、RAYONIER社製、NBKP)を740mlCSFに単独叩解したもの50部と、非マーセル化パルプとして叩解前フリーネスが750mlCSFのNBKPを730mlCSFに単独叩解したもの50部とを水中に分散してパルプスラリーとし、該パルプスラリーに硫酸バンド(テクノ北越製)1部、ポリアミドエピクロロヒドリン(WS−4020、星光PMC製)0.39部をそれぞれ添加し紙料を得た後、その紙料を1層抄きで抄紙、乾燥することで、坪量150g/m2の薬液含浸基材を得た。
(実施例2)
実施例1において、単独叩解したマーセル化パルプの部数を75部、単独叩解した非マーセル化パルプ(NBKP)の部数を25部とした以外は実施例1と同様にして薬液含浸基材を得た。
(実施例3)
実施例2において、単独叩解したマーセル化パルプの叩解後フリーネスを663mlCSF、単独叩解した非マーセル化パルプ(NBKP)の叩解後フリーネスを675mlCSF部とした以外は実施例2と同様にして薬液含浸基材を得た。
(実施例4)
叩解前フリーネスが775mlCSFのマーセル化パルプ(商品名「POROSANIEA」、RAYONIER社製、NBKP)を663mlCSFに単独叩解したもの50部と、非マーセル化パルプとして叩解前フリーネスが770mlCSFのコットンリンターパルプを630mlCSFに単独叩解したもの50部とを水中に分散してパルプスラリーとし、該パルプスラリーに硫酸バンド(テクノ北越製)1部、ポリアミドエピクロロヒドリン(WS−4020、星光PMC製)0.39部をそれぞれ添加し紙料を得た後、その紙料を1層抄きで抄紙、乾燥することで、坪量150g/m2の薬液含浸基材を得た。
(実施例5)
実施例2において、単独叩解したマーセル化パルプの叩解後フリーネスを663mlCSFとした以外は実施例2と同様にして薬液含浸基材を得た。
(比較例1)
実施例1において、叩解前フリーネスが775mlCSFのマーセル化パルプ50部と、叩解前フリーネスが750mlCSFの非マーセル化パルプ(NBKP)50部とを混合後に叩解し、水中に分散してパルプスラリーとした以外は実施例1と同様にして薬液含浸基材を得た。この際、叩解後に得られたパルプのフリーネスは750mlCSFであった。
(比較例2)
実施例2において、叩解前フリーネスが775mlCSFのマーセル化パルプ75部と、叩解前フリーネスが750mlCSFの非マーセル化パルプ(NBKP)25部とを混合後に叩解し、水中に分散してパルプスラリーとした以外は実施例2と同様にして薬液含浸基材を得た。この際、叩解後に得られたパルプのフリーネスは745mlCSFであった。
(比較例3)
実施例2において、単独叩解したマーセル化パルプの叩解後フリーネスを580mlCSFとし、単独叩解した非マーセル化パルプ(NBKP)の叩解後フリーネスを580mlCSFとした以外は実施例2と同様にして薬液含浸基材を得た。
(比較例4)
実施例2において、マーセル化パルプに替えて、非マーセル化パルプである叩解前フリーネスが770mlCSFのコットンリンターパルプを740mlCSFに単独叩解したものに変更した以外は実施例2と同様にして薬液含浸基材を得た。
(比較例5)
実施例1において、単独叩解したマーセル化パルプの配合部数を100部とし、非マーセル化パルプ(NBKP)を配合しなかった以外は実施例1と同様にして薬液含浸基材を得た。
(比較例6)
実施例3において、単独叩解したマーセル化パルプの配合部数を100部とし、非マーセル化パルプ(NBKP)を配合しなかった以外は実施例3と同様にして薬液含浸基材を得た。
(比較例7)
実施例1において、マーセル化パルプの叩解後フリーネスを760mlCSFとした以外は実施例1と同様にして薬液含浸基材を得た。
(比較例8)
実施例2において、マーセル化パルプの叩解後フリーネスを580mlCSFとした以外は実施例2と同様にして薬液含浸基材を得た。
(比較例9)
実施例1において、単独叩解したマーセル化パルプの部数を25部、単独叩解した非マーセル化パルプ(NBKP)の部数を75部とした以外は実施例1と同様にして薬液含浸基材を得た。
各実施例及び比較例における紙料構成の概要と、得られた薬液含浸基材の評価結果とを図2に示す。尚、各物性の評価についてはそれぞれ以下の方法で行った。
<内部結合強度(インターナルボンド)>
JAPAN TAPPI No.18−2(紙及び板紙−内部結合強さ試験方法−第2部:インターナルボンドテスタ法)に準拠して、各実施例及び比較例で得られた薬液含浸基材の内部結合強度(mJ)を測定した。なお、測定方向は紙のCD方向(横方向)とした。
<薬液含浸速度>
薬液含浸速度の測定について、図1を用いて説明する。実施例及び比較例で得られた各薬液含浸基材を幅4cm、長さ3cmに断裁して試験片1とし、測定面を上にして、直径3.5cm、厚さ1mm、高さ1cmのリング状のプラスチック支持体3の上に置く。支持体3の上に置かれた試験片1の中央に試験用の薬液としてテキサノール(商品名:CS−12/JNC社製)0.1mlを紙面上方1cmの高さから自然落下で滴下し、薬液が薬液含浸基材表面に残らず紙中に完全に浸透するまでの時間を計測し、薬液含浸速度として評価した。薬液含浸速度が18秒以内のものは好ましい薬液含浸速度を有する。
なお、先にも述べたように本願に係る薬液含浸基材においては適度な薬液含浸性、すなわち適度な薬液含浸速度と薬液保持量を付与することを目的の一つとしているが、本件の構成によれば薬液保持量は必要性能に対して十分すぎる性能が得られているため、本実施例において薬液保持量の評価は行っていない。
<繊維脱落>
内部結合強度及び含浸時間測定時の繊維脱落を観察し、4段階で評価した。
◎:繊維の脱落が殆ど無い。合格。
○:繊維の脱落がごく僅か見られる。合格。
△:繊維の脱落がかなり見られる。不合格。
×:繊維の脱落が非常に多くみられる。不合格。
図2から明らかなように、実施例1〜5で得られた薬液含浸基材は、適度な薬液含浸速度と内部結合強度を有し、断裁工程や薬液含浸工程に耐えうる内部結合強度を有している。
一方、比較例1で得られた薬液含浸基材は、薬液含浸速度が遅く、薬液含浸速度に劣るものであった。また、比較例2で得られた薬液含浸基材は、内部結合強度に劣るものであった。これらの比較例は何れも基本的な構成は実施例1,2と同様であり、叩解方法が単独叩解か混合叩解かの差異のみが実施例1,2との違いとなっている。このことから、比較例1,2により得られた薬液含浸基材の問題点は、混合叩解を行ったことによりマーセル化パルプの叩解が十分に進まなかったことが原因と考えられる。
次に、比較例3、比較例8で得られた薬液含浸基材は、何れも薬液含浸速度が遅く不合格であった。これはマーセル化パルプのカナダ標準濾水度(フリーネス)が650mlより低く、薬液含浸基材の密度が高くなりすぎたことにより薬液含浸速度が遅くなったものと考えられる。
また、比較例4で得られた薬液含浸基材は、内部結合強度及び浸透時間に劣るものであった。これは、マーセル化パルプの代わりにコットンリンターパルプを用いたことが原因であり、同程度のフリーネスの場合、コットンリンターパルプはマーセル化パルプよりも強度が弱く、嵩が出にくいパルプであることが理由だと考えられる。
次いで、比較例5、比較例6で得られた薬液含浸基材は、何れも繊維の脱落が多いという点で不合格であった。これより、パルプとしてマーセル化パルプのみを用いた場合には繊維が脱落しやすいものと考えられる。
比較例7で得られた薬液含浸基材は、繊維の脱落が多く不合格であった。これは、マーセル化パルプの叩解が足りず、カナダ標準濾水度(フリーネス)が750mlより高いことが原因であり、他のパルプとの絡みつきが弱かったために繊維が脱落しやすい状態であったものと考えられる。
比較例9で得られた薬液含浸基材は、密度が高すぎたため、浸透時間が長く、薬液含浸速度に劣るものであった。
1 試験片(薬液含浸基材)
2 薬液含浸部
3 支持体

Claims (2)

  1. カナダ標準濾水度(フリーネス)が650〜750mlCSFであるマーセル化パルプと、非マーセル化パルプとを混合してパルプスラリーとするパルプスラリー調製ステップと、
    該パルプスラリーを用いて抄紙する抄紙ステップとを有する薬液含浸基材の製造方法であって、
    薬液含浸基材の密度が0.30〜0.38g/cm3、JAPAN TAPPI No.18−2(紙及び板紙−内部結合強さ試験方法−第2部:インターナルボンドテスタ法)により測定される内部結合強度が50mJ以上であり、前記マーセル化パルプと、前記非マーセル化パルプは、それぞれが単独で叩解処理されていることを特徴とする薬液含浸基材の製造方法。
  2. 前記非マーセル化パルプのカナダ標準濾水度(フリーネス)が600〜750mlCSFであることを特徴とする請求項に記載の薬液含浸基材の製造方法。
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