JP2004124270A - 紙壁紙 - Google Patents

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山崎 洋一
Aya Kikuchi
菊池 彩
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Abstract

【課題】張り替え時に剥がし易いだけでなく、剥がした後に壁面に残る紙層が均一であって、特に下地処理をしなくても容易にその上から新たに貼ることができ、しかもボリューム感に優れたものとなる、紙壁紙を提供する。
【解決手段】少なくとも一層の嵩高パルプを主成分とする嵩高パルプ層、及び少なくとも一層の天然パルプを主成分とする支持層とから構成される多層紙を上層紙とし、該上層紙の前記支持層側に裏打ち紙を貼合してなる紙壁紙。前記裏打ち紙と上層紙の支持層との間の界面剥離強度をP、上層紙の支持層と嵩高パルプ層との間の界面剥離強度をP、上層紙における嵩高パルプ層内部の層間剥離強度をPとした時、P>P≧Pである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高嵩高性で意匠性に優れた紙壁紙に関し、特に、リフォーム時の壁紙の張り替え時に剥がし易く、作業性が良好な紙壁紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
壁紙は、裏打ち紙の面に澱粉糊を塗布し、壁面に貼合されて施工される。近年、居住空間に対する意匠性の高まりから、既設住宅における壁紙の張り替え需要が多くなってきている。この場合、張り替えられる壁紙の剥がし易さと、剥がした跡に壁面に残る紙層の均一性が重視される。壁紙の張り替え作業の多くは人手によるものであり、剥離抵抗が高く、剥がし難くい場合には、剥がした跡も不均一になり、下地の修正にかなりの時間を要する。
【0003】
従来、塩化ビニル壁紙に用いられている裏打ち紙は、木材パルプ、及び填料(例えば、二酸化チタン、タルク、クレー、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなど)や抄紙薬品から成るスラリーを抄紙機で抄造して得られる紙匹を、乾燥して製造される。その後、塩化ビニルペーストを塗布し、加熱処理してゲル化させ、印刷、エンボス、発泡などの工程を経て製品化される。このようにして製品化される塩化ビニル壁紙を張り替える際には、塩化ビニル層間では剥離せず、裏打ち紙の層間で剥離するので、比較的均一な紙層が壁に残る。
【0004】
しかしながら、塩化ビニルが廃棄物として焼却処理される際にダイオキシンを発生する恐れがあるため、環境面に対する配慮から最近では「脱塩化ビニル壁紙」へと移行しつつある。そこで、塩化ビニル壁紙の代わりに、オレフィン型樹脂のような合成樹脂型樹脂を塗工または貼合した壁紙や、不織布や紙をベースとした壁紙が増加しつつある。特に、紙壁紙は紙と裏打ち紙を貼合して製造され、壁面に張られるため、それをリフォームの際に張り替える場合には、上層紙または裏打ち紙の層間、もしくは貼合糊との界面で剥離が発生し、剥がした後に壁に残る紙層が塩化ビニル壁紙の場合に比べて不均一となるので、下地の処理にかなりの時間を要するという欠点を有していた。
【0005】
そこで、張替え作業に要する手間や費用を減少させるために、表面に剥離可能に保護層を設け、古くなって汚れた場合に、該保護層を剥離して新品同様の壁紙表面としたり(例えば特許文献1参照)、表面側に所望の図柄を印刷した裏打紙と、塗工層と、該裏打紙の表面に設けられた熱可塑性樹脂からなる装飾層とを有し、該装飾層が剥離可能に設けられた熱可塑性樹脂製壁紙も開発されている(例えば特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−259559号公報
【特許文献2】
特開2001−246719号公報
【0007】
しかしながら、前者の場合には、保護層を剥離するとき、後者の場合には装飾層を剥離する時に、裏打紙からの剥離が全く発生しないようにすることが困難であるだけでなく、樹脂の使用量が多いために廃棄上の問題が生じる上、製品の価格も大巾に高くなる等の欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、上記の欠点を解決すべく鋭意検討した結果、裏打紙を貼り合わせる上層紙を嵩高パルプ層を有する多層紙とすると共に、上層紙の支持層と嵩高パルプ層との間の界面はくり強度を、他の部分からの剥離強度より小さくすることにより、安価で張替え作業性に優れると共にボリューム感にも優れた紙壁紙となることを見出し、本発明に到達した。
従って本発明の目的は、従来の壁紙が持っていた欠点を改善し、張り替え時に剥がし易いだけでなく、剥がした後に壁面に残る紙層が均一であって、特に下地処理をしなくても容易にその上から新たに貼ることができ、しかもボリューム感に優れたものとなる、紙壁紙を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の目的は、少なくとも一層の嵩高パルプを主成分とする嵩高パルプ層、及び少なくとも一層の天然パルプを主成分とする支持層とから構成される多層紙を上層紙とし、該上層紙の前記支持層側に裏打ち紙を貼合してなる紙壁紙であって、前記裏打ち紙と上層紙の支持層との間の界面剥離強度をP、上層紙の支持層と嵩高パルプ層との間の界面剥離強度をP、上層紙における嵩高パルプ層の層間剥離強度をPとした時、P>P≧Pであることを特徴とする紙壁紙によって達成された。この場合、前記嵩高パルプ層に使用される嵩高パルプは、セルロース繊維を9重量%以上50重量%以下の濃度のアルカリ水溶液でマーセル化処理した後、pHが3〜12で50〜100℃の温水を用いて処理することにより、製造されたものであることが好ましい。また、前記嵩高パルプ層中の嵩高パルプの配合率は20〜90重量%であることが好ましく、その嵩高パルプ中のセルロースIIの含有量は50〜100重量%であることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の紙壁紙は、少なくとも一層の嵩高パルプを主成分とする嵩高パルプ層、及び少なくとも一層の天然パルプを主成分とする支持層とから構成される多層紙を上層紙とし、該上層紙に裏打ち紙を貼合したものである。
本発明の上層紙の嵩高パルプ層に使用する嵩高パルプは、原料パルプをアルカリ水溶液を用いてマーセル化処理した後、温水を用いて処理する(以下、単に「温水処理」とする)ことにより製造されるものであることが好ましい。
【0011】
使用される嵩高パルプの原料は特に制限されるものでは無く、針葉樹、広葉樹、非木材繊維等を使用することができる。非木材繊維としては、例えば、ケナフ、ジュート、リンター、マニラ麻、竹、わら、バガス、エスパルト等から選択することが可能である。本発明においては、これらの材種を、亜硫酸塩パルプ化(サルファイト法。これによって得られたパルプをSPとする。)あるいは硫酸塩パルプ化(クラフト法。これによって得られたパルプをKPとする。)するか、SPやKPをさらに化学的に精製し、α−セルロース含有量を高めた溶解パルプ(DP)を嵩高パルプの原料として使用する。
【0012】
前記したマーセル化処理は、アルカリ水溶液に浸漬して行うことができる他、噴霧等によってアルカリ水溶液を含浸させて行うこともできる。アルカリ水溶液としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム等の苛性アルカリ及び炭酸塩等の水溶液アルカリを使用することが好ましい。マーセル化処理を進めると、セルロースは著しく膨潤し、セルロースの結晶構造も、セルロースIからアルカリセルロースI、そしてさらにより安定的な結晶形をとるアルカリセルロースIIへと変化する。このアルカリセルロースI及びアルカリセルロースIIは、洗浄・乾燥によってセルロースIIに変化する。また、セルロースIIは吸着性が増大し、種々の試薬に対して反応しやすくなっている。
【0013】
本発明においては、嵩高パルプ中のセルロースIIの含有量が50〜100重量%、好ましくは80〜100重量%となるように、一連の処理を行うことが好ましい。マーセル化処理は公知の方法によって行えば良く、通常は、パルプをアルカリ水溶液中に浸漬し、室温で10分〜24時間程度処理すれば良い。セルロースIIの含有量は次式により算出される。
セルロースII含有量(%)=(I−I)/(III−I)×100
ここでIは原料パルプ(セルロースI含有量100%)、IIは完全にマーセル化処理したパルプ(セルロースII含有量100%)それぞれの、2θ=19.8°におけるバックグラウンドの強度を差引いた結晶性干渉強度である(非特許文献1)。
【非特許文献1】
北海道大学工学部研究報告No.75、p125
【0014】
水酸化ナトリウムを例に取ると、嵩高パルプ中のセルロースIIの含有量を50〜100重量%とする為に必要なアルカリ水溶液の濃度は9重量%以上50重量%以下であり、好ましくは12〜25重量%である。なお、マーセル化処理は、10〜40℃で行うことが好ましい。
【0015】
パルプをマーセル化処理した後のアルカリ水溶液は、必要に応じて濾過や遠心分離などによってパルプから分離し、再使用することができる。本発明においては、アルカリ水溶液によるマーセル化処理によって多量のアルカリ分が残存するので、水や酸水溶液による洗浄によってアルカリ分を除くことが好ましい。酸水溶液は、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等の鉱酸又はこれらの酸性塩、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム等のマグネシウム塩、塩化亜鉛、硝酸亜鉛等の亜鉛塩を水に溶解して調製される。
【0016】
次に、本発明におけるマーセル化処理後の温水処理について説明する。この処理には50〜100℃の温水を使用する必要があり、好ましくは70〜100℃の温水を使用する。50℃未満の温水で処理しても、十分嵩高なパルプは得られない。アルカリ分を除去する工程を経てから温水処理する場合には、50〜100℃の温水で連続的に洗浄することによって、実質的に一工程で温水処理迄行ってもよい。また、温水処理におけるpHは3〜12、好ましくは5〜10である。pHがこの範囲外であると、セルロースの加水分解が顕著となり、嵩高化に悪影響を与えるだけではなく、収率も低下する。
【0017】
温水処理は、30分以上行うことが好ましく、2時間以上行うことがより好ましい。しかしながら、処理時間が5時間を超えても嵩高化の効果は頭打ちとなる。また、温水処理時に撹拌等の手段によってパルプ繊維をある程度屈曲化させることが、さらに嵩高化させたパルプが得られるので好ましい。マーセル化処理のみでもパルプを嵩高化することは可能であるが、マーセル化処理後に更に50〜100℃の温水で処理しなければ、紙製造時のプレス処理やカレンダー処理等の外力に対してその嵩高性を維持することは困難である。
【0018】
上記の如くして得られた嵩高パルプは十分に嵩高となり、このパルプを配合したシートは、嵩高パルプの特性によって緻密な構造を取らないのでボリューム感に優れている。さらに、セルロースの水酸基が嵩高化処理により水素結合を形成しにくい状態となり、繊維間結合を十分に形成することができないので、シートの層間強度を低下させることが可能となる。
【0019】
上層紙と裏打ち紙の各層間強度の差が大きいほど、張り替え時の作業性が容易になるものの、層間強度の低下は、引張強度の低下をも同時に引き起こすため、抄紙時や壁紙加工時に断紙が発生する恐れがあるので、安定操業を可能とするシート強度は必要である。言い換えると、単層の嵩高シートにおいてシート強度を向上させることは、層間強度をも同時に向上させるため、嵩高パルプが本来持つ低い層間強度を十分に発現させることができず、上層紙のみを裏打ち紙から剥離することが容易ではなくなる。
【0020】
そこで、本発明においては、上層紙を、少なくとも一層の嵩高パルプを主成分とする嵩高パルプ層、及び少なくとも一層の天然パルプを主成分とする支持層とから構成される多層紙とし、上層紙の支持層側に裏打ち紙を貼合する。これによって、張り替えのために上層紙を剥がした場合、壁面に残る紙層をより均一にすることが可能になる。これは、上層紙を多層紙化することによって、層間剥離を容易に起こす層とシート強度を付与する層とに役割を分担させたことによる。
【0021】
裏打ち紙と上層紙における支持層との間の界面剥離強度をP、上層紙の支持層と上層紙の嵩高パルプ層との間の界面剥離強度をP、嵩高パルプ層内部の層間剥離強度をPとした時、P>P≧Pであることが必要である。このようにすることによって、張り替え時に、上層紙の支持層と嵩高パルプ層の層間、あるいは嵩高パルプ内部の層間で剥離させることができるため、剥がした後に壁面に残る紙層も均一となり、下地処理がほとんど不要となる。
【0022】
本発明の紙壁紙の上層紙は、天然パルプを主成分とする支持層を一層以上有するが、この支持層の坪量は、10g/m以上であることが好ましく、特に15g/m以上であることが好ましい。10g/m未満ではシートの形成が困難であり、また十分なシート強度が得られない。
【0023】
本発明に使用される天然パルプは特に限定されるものではなく、通常用いられる針葉樹あるいは広葉樹を原料とする硫酸塩パルプ、亜硫酸塩パルプ、ソーダパルプ等の化学パルプ;グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等の機械パルプ;ケナフ、ジュート、マニラ麻等の非木材繊維から得られるパルプ、DIP等のパルプ等の公知のパルプの中から適宜選択することができる。パルプは一種類で所定の濾水度に叩解して使用しても良いが、数種類のパルプを配合して所定の濾水度に調製しても良い。叩解機についても特に限定されることはなく、シングルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナー、コニカルリファイナー、ビーター等の公知の叩解機を使用することが可能である。
【0024】
嵩高パルプ繊維の含有率は、嵩高パルプ層を構成する全パルプに対して20重量%以上90重量%以下であることが好ましい。含有率が20重量%未満であると、層間強度の低下が不十分となる。また、含有率が90重量%を越えると、層間強度や表面強度が弱すぎるため、壁紙加工時に紙剥け等のトラブルが発生する恐れがある。
【0025】
本発明の嵩高パルプ層には、嵩高性を損なわない範囲で合成繊維または天然パルプを配合してもよい。上記合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等のポリオレフィン系繊維、アクリロニトリル繊維、ビニロン繊維、ポリアミド系繊維、セルロースを再生したレーヨン繊維等が挙げられる。特に、意匠性に寄与するエンボス性を付与するためには、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂を多分岐状の繊維に加工した合成パルプや、融点の異なる二成分の組み合わせからなる芯鞘型を代表とするポリオレフィンの複合繊維等を配合することが効果的である。
【0026】
天然パルプとしては、化学パルプ(針葉樹の晒クラフトパルプ(NBKP)または未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹の晒クラフトパルプ(LBKP)または未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹の晒サルファイトパルプ(NBSP)または未晒サルファイトパルプ(NUSP)、広葉樹の晒サルファイトパルプ(LBSP)または未晒サルファイトパルプ(LUSP)等)、機械パルプ(グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等)、脱墨パルプ(DIP)、コットンやケナフ等の非木材繊維パルプで、未叩解、または叩解したものが挙げられる。これらの合成繊維や天然パルプは、単独で使用しても2種以上を任意の割合で混合しても良い。
【0027】
本発明で使用する多層紙から成る上層紙を製造するには、多層抄紙できるような構造を持った抄紙機を用いて抄紙すればよい。このような抄紙機としては、例えば、長網抄き合わせ抄紙機、長網円網抄き合わせ抄紙機、円網短網抄き合わせ抄紙機、円網抄き合わせ抄紙機等の、従来の抄き合わせ抄紙機を使用することができる他、多層紙抄紙用ヘッドボックスを有した抄紙機等を使用することもできる。
【0028】
また、本発明の効果を阻害しない限り、紙料中には必要に応じて、填料、サイズ剤、歩留り向上剤、紙力増強剤等の化学薬品(助剤)等を内添剤として使用することが可能である。抄紙時のpHは酸性抄紙の4.5付近から中性抄紙の6〜8程度の範囲とすれば良い。また、得られた多層紙に2ロールコーターあるいはゲートロールコーター等のサイズプレス装置、スプレー装置やブレードコーター等によって、紙の表面に澱粉、ラテックス、PVA、スチレン−アクリル系等の各種表面サイズ剤、表面強度剤、顔料、染料等を塗布することも可能である。
【0029】
【発明の効果】
本発明の多層紙の層構成、各層の坪量や配合薬品等は、目的、用途に応じて適宜決められる。このようにして得られる本発明の多層紙を上層紙とし裏打ち紙を貼合させた紙壁紙は、張り替え時に剥がし易く、剥がした後に壁面に残る紙層が均一であるので、特に下地の処理に手間をかけなくても張り替え後の表面が滑らかであるだけでなく、ボリューム感にも優れるので実用上極めて有用である。
【0030】
【実施例】
以下に、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、「%」は、特に明記しない限り「重量%」を表す。
【0031】
実施例1.
−パルプ原料の調製−
<嵩高パルプ(原料A)の調製>
市販針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)の未叩解品に、濃度15%の水酸化ナトリウム水溶液をパルプ濃度が5%となるように加え、20℃で30分間浸漬してマーセル化した。次に、十分に水洗してpHを7に調整した後、パルプ濃度が5%となるように温水を加えて70℃で2時間処理し、次いで遠心脱水機を用いてパルプと温水を分別した。なお、得られたパルプにおけるセルロースIIの含有率は100%であった。この原料Aのカナダ標準フリーネス(以下、CSFとする)は750mlであった。
<NBKP(原料B)の調製>
市販NBKPをダブルディスクリファイナーにて叩解し、CSF600mlの原料Bを得た。
<LBKP(原料C)の調製>
市販LBKPをダブルディスクリファイナーにて叩解し、CSF500mlの原料Cを得た。
【0032】
−紙料の調製−
原料Cに、硫酸バンド及び製紙用ロジンサイズ剤(商品名:サイズパインE50、荒川化学工業株式会社製)を対パルプ当たりでそれぞれ1.0%となるように添加し、支持層を構成する紙料とした。また、原料A85%と原料B15%を配合し、硫酸バンド及び製紙用ロジンサイズ剤を、対パルプ当たりでそれぞれ1.5%となるように添加し、嵩高パルプ層を構成する紙料とした。
【0033】
−多層紙の製造−
上記のように調製した紙料を、円網/円網抄き合わせ抄紙機にて、嵩高パルプ層の坪量が80g/m、支持層の坪量が20g/mとなるように二層抄紙し、坪量100g/mの多層紙を得た。
【0034】
実施例2.
嵩高パルプ層を構成するパルプとして、パルプ状多分岐繊維(商品名:E790、三井化学株式会社、原料D)を用い、配合割合を原料A60%、原料D40%としたこと以外は、実施例1と同様にして坪量100g/mの多層紙を得た。
【0035】
実施例3.
嵩高パルプ層を構成するパルプとして、コットンリンターパルプ(市販コットンリンターパルプをビーターにて叩解しCSF600mlに調製したもの。原料E)を用い、配合割合を原料A60%、原料D20%、原料E20%としたこと以外は、実施例1と同様にして坪量100g/mの多層紙を得た。
【0036】
比較例1.
原料A85%と原料B15%を配合し、硫酸バンド及び製紙用ロジンサイズ剤を、対パルプ当たりでそれぞれ1.0%となるように添加した紙料を、坪量が100g/mとなるように一層で抄紙した。
【0037】
比較例2.
嵩高パルプ層の構成を、原料A15%で原料Bが85%としたこと以外は、実施例1と同様にして坪量が100g/mの多層紙を得た。
【0038】
得られたシート5種類について以下の評価を行い、その結果を表1に示した。−評価方法及び判定−
(1)密度:JIS P8118に準じて測定した。
(2)引張強度:JIS P8113に準じて測定した。
(3)剥離強度:各シート裏面に、坪量が85g/mの壁紙用裏打ち紙をエチレン−酢酸ビニルエマルジョン接着剤を用いて貼り合わせ、得られた壁装材の裏打ち紙側に澱粉系糊を塗布し、ベニヤ板に接着させて一昼夜乾燥させた。その後、カッターで切れ込みを入れ、ベニヤ板から剥がした時の剥離強さをテンシロン万能試験機で測定した。
(4)剥離時作業性:壁紙の剥がし易さと、剥離後の壁面に残った紙面の状態
○:剥離抵抗が小さく上層面できれいに剥がれ、紙面も均一で良好
△:剥離抵抗は小さいが、紙面が荒れている
×:剥離抵抗が大きく、紙面も荒れている
【0039】
【表1】
Figure 2004124270
尚、比較例1のシートは、シート強度が弱く、安定操業が困難であり、壁紙加工を実施することが出来なかった。
【0040】
表1に示されるように、嵩高パルプを含有する嵩高パルプ層と天然パルプを主成分とする支持層とから構成される多層紙を上層紙とし、裏打ち紙と貼り合わせた本発明の紙壁紙は、高いボリューム性を維持している。また、裏打ち紙と上層紙の支持層の界面剥離強度が、上層紙の支持層と嵩高パルプ層との界面剥離強度及び上層紙の嵩高パルプ層内の層間剥離強度に比べて高いので、剥離時作業性における剥離抵抗が小さく、上層紙がきれいに剥がれた。従って、剥離後の壁面に残った紙面も均一で、下地処理に手間をかける必要もなかったので実用性に優れたものであった。

Claims (4)

  1. 少なくとも一層の嵩高パルプを主成分とする嵩高パルプ層、及び少なくとも一層の天然パルプを主成分とする支持層とから構成される多層紙を上層紙とし、該上層紙の前記支持層側に裏打ち紙を貼合してなる紙壁紙であって、前記裏打ち紙と上層紙の支持層との間の界面剥離強度をP、上層紙の支持層と嵩高パルプ層との間の界面剥離強度をP、上層紙における嵩高パルプ層内部の層間剥離強度をPとした時、P>P≧Pであることを特徴とする紙壁紙。
  2. 前記嵩高パルプ層における嵩高パルプの含有率が20〜90重量%である請求項1に記載された紙壁紙。
  3. 前記嵩高パルプ層に使用する嵩高パルプ中のセルロースIIの含有量が50〜100重量%である請求項1又は2に記載された紙壁紙。
  4. 前記支持層の坪量が10g/m以上である、請求項1〜3のいずれかに記載された紙壁紙。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007077526A (ja) * 2005-09-13 2007-03-29 Nippon Paper Industries Co Ltd 壁紙用裏打ち紙
JP2007092260A (ja) * 2005-09-30 2007-04-12 Kohjin Co Ltd 化粧シート
JP2018168514A (ja) * 2017-03-30 2018-11-01 北越コーポレーション株式会社 薬液含浸基材及びその製造方法

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