第1の実施の形態.
<1.システム>
図1は、電子機器10が使用されるシステムの一例を示す図である。電子機器10は、例えば、スマートフォン等の携帯電子機器である。電子機器10は、例えば、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)、具体的には、安全運転支援通信システム1で使用されることが可能である。安全運転支援通信システム1は、安全運転支援システムと呼ばれたり、安全運転支援無線システムと呼ばれたりする。
図1に示されるように、安全運転支援通信システム1では、交差点2等に配置されている路側機5と、車道7を走る自動車等の車両6と、歩行者であるユーザ9が持つ電子機器10とが、互いに無線通信を行うことが可能である。これにより、路側機5、車両6および電子機器10は、互いに情報をやり取りすることが可能である。また、複数の車両6は、互いに無線通信を行うことが可能である。これにより、複数の車両6は、互いに情報をやり取りすることが可能である。路側機5と車両6との間の通信、車両6間の通信、路側機5と歩行者の電子機器10との間の通信、歩行者の電子機器10と車両6の間の通信は、それぞれ、路車間通信、車車間通信、路歩間通信、歩車間通信と呼ばれる。
路側機5は、例えば、信号機4の点灯に関する情報、および、道路規制に関する情報などを車両6および電子機器10に通知することが可能である。また、路側機5は、その近くの車両6および歩行者を検知することが可能である。交差点2に配置された路側機5は、例えば、横断歩道3を渡る歩行者を検知することが可能である。そして、路側機5は、検知した車両6および歩行者に関する情報を、車両6および電子機器10に通知することが可能である。また、路側機5は、車両6および電子機器10から通知される情報を、他の車両6および他の電子機器10に通知することが可能である。
車両6は、自身の位置、速度、および、ウィンカーに関する情報などを、他の車両6、路側機5および電子機器10に対して通知することが可能である。そして、車両6は、通知される情報に基づいて警告等の各種通知を運転者に行うことによって、運転者の安全運転を支援することが可能である。車両6は、スピーカおよび表示装置等を利用して、運転者に各種通知を行うことが可能である。
電子機器10は、そのユーザ9の状態(以下、ユーザ状態と呼ぶ)を特定することが可能である。電子機器10は、特定したユーザ状態に関する情報などを路側機5および車両6等に通知することが可能である。電子機器10の具体的な動作については後で詳細に説明するものの、例えば、電子機器10はユーザ9が自転車に乗って移動していることを、ユーザ状態として特定することができる。このとき電子機器10は、その旨を示す情報を路側機5および車両6等に通知してもよい。車両6は当該情報を受信したときに、その旨を運転者に通知してもよい。これにより、運転者は、ユーザ9が自転車に乗って移動していることを了知できる。したがって、運転者はユーザ9に注意を払いながら、車両を運転することができる。
このように、安全運転支援通信システム1では、路車間通信、車車間通信、路歩間通信および歩車間通信が行われることによって、車両6の運転者の安全運転が支援される。
<2.電子機器の外観>
図2および図3は、それぞれ、電子機器10の外観の一例を概略的に示す斜視図および背面図である。図2および図3に示されるように、電子機器10は、平面視で例えば略長方形の板状の機器ケース11を備えている。機器ケース11は電子機器10の外装を構成している。
機器ケース11の前面11aには、文字、記号、図形等の各種情報が表示される表示領域12が位置している。表示領域12の背面側にはタッチパネル130(後述の図4参照)が位置している。これにより、ユーザ9は、電子機器10の前面11aの表示領域12を指等で操作することによって、電子機器10に対して各種情報を入力することができる。なお、ユーザ9は、指以外の操作子、例えば、スタイラスペンなどのタッチパネル用ペンで表示領域12を操作することによっても、電子機器10に対して各種情報を入力することができる。
機器ケース11の前面11aの上端部にはレシーバ穴15が位置している。機器ケース11の前面11aの下端部にはスピーカ穴16が位置している。機器ケース11の下側の側面11cにはマイク穴17が位置している。
機器ケース11の前面11aの上端部においては、後述する第1カメラ180が有するレンズ181が視認可能となっている。図3に示されるように、機器ケース11の背面11bの上端部においては、後述する第2カメラ190が有するレンズ191が視認可能となっている。
電子機器10は、複数の操作ボタン14から成る操作ボタン群140(後述の図4参照)を備えている。複数の操作ボタン14のそれぞれはハードウェアボタンである。具体的には、複数の操作ボタン14のそれぞれは押しボタンである。なお、操作ボタン群140に含まれる少なくとも一つの操作ボタン14は、表示領域12に表示されるソフトウェアボタンであってもよい。
操作ボタン群140には、機器ケース11の前面11aの下端部に位置する操作ボタン14a,14b,14cが含まれる。また、操作ボタン群140には、機器ケース11の表面に位置する図示しない電源ボタンおよびボリュームボタンが含まれる。
操作ボタン14aは、例えばバックボタンである。バックボタンは、表示領域12の表示を一つ前の表示に切り替えるための操作ボタンである。ユーザ9が操作ボタン14aを操作することよって、表示領域12の表示が一つ前の表示に切り替わる。操作ボタン14bは、例えばホームボタンである。ホームボタンは、表示領域12にホーム画面を表示させるための操作ボタンである。ユーザ9が操作ボタン14bを操作することよって、表示領域12にホーム画面が表示される。操作ボタン22cは、例えば履歴ボタンである。履歴ボタンは、電子機器10で実行されたアプリケーションの履歴を表示領域12に表示させるための操作ボタンである。ユーザ9が操作ボタン14cを操作することよって、表示領域12には、電子機器10で実行されたアプリケーションの履歴が表示される。
<3.電子機器の電気的構成>
図4は、電子機器10の電気的構成の一例を概略的に示すブロック図である。図4に示されるように、電子機器10は、制御部100、無線通信部110、表示部120、タッチパネル130および操作ボタン群140を備える。さらに電子機器10は、衛星信号受信部220、レシーバ150、スピーカ160、マイク170、第1カメラ180、第2カメラ190、発光部200、振動部210、イヤホン端子230、加速度センサ240、方位センサ250、ジャイロセンサ260および電池270を備える。電子機器10が備えるこれらの構成要素は、機器ケース11内に収められている。
制御部100は、電子機器10の他の構成要素を制御することによって、電子機器10の動作を統括的に管理することが可能である。制御部100は制御回路とも言える。制御部100は、以下にさらに詳細に述べられるように、種々の機能を実行するための制御および処理能力を提供するために、少なくとも1つのプロセッサを含む。
種々の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)として、または複数の通信可能に接続された集積回路ICおよび/またはディスクリート回路(discrete circuits)として実行されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、種々の既知の技術に従って実行されることが可能である。
1つの実施形態において、プロセッサは、例えば、関連するメモリに記憶された指示を実行することによって1以上のデータ計算手続または処理を実行するように構成された1以上の回路またはユニットを含む。他の実施形態において、プロセッサは、1以上のデータ計算手続きまたは処理を実行するように構成されたファームウェア(例えば、ディスクリートロジックコンポーネント)であってもよい。
種々の実施形態によれば、プロセッサは、1以上のプロセッサ、コントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号処理装置、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはこれらのデバイス若しくは構成の任意の組み合わせ、または他の既知のデバイスおよび構成の組み合わせを含み、以下に説明される機能を実行してもよい。
本例では、制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、DSP(Digital Signal Processor)102および記憶部103を備えている。記憶部103は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などの、CPU101およびDSP102が読み取り可能な非一時的な記録媒体を含む。記憶部103が有するROMは、例えば、不揮発性メモリであるフラッシュROM(フラッシュメモリ)である。記憶部103には、電子機器10を制御するための複数の制御プログラム103a等が記憶されている。制御部100の各種機能は、CPU101およびDSP102が記憶部103内の各種の制御プログラム103aを実行することによって実現される。
なお、制御部100の全ての機能あるいは制御部100の一部の機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路によって実現されてもよい。また、記憶部103は、ROMおよびRAM以外の、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体を備えていてもよい。記憶部103は、例えば、小型のハードディスクドライブおよびSSD(Solid State Drive)などを備えていてもよい。
記憶部103内の複数の制御プログラム103aには、様々なアプリケーション(アプリケーションプログラム)が含まれている。記憶部103には、例えば、音声通話およびビデオ通話を行うための通話アプリケーション、ウェブサイトを表示するためのブラウザ、電子メールの作成、閲覧および送受信を行うためのメールアプリケーションが記憶されている。また記憶部103には、第1カメラ180および第2カメラ190を利用して被写体を撮影するためのカメラアプリケーション、記憶部103に記録されている静止画像および動画像を表示するための記録画像表示アプリケーション、記憶部103に記憶されている音楽データの再生制御を行うための音楽再生制御アプリケーションなどが記憶されている。記憶部103内の少なくとも一つのアプリケーションは、記憶部103内にあらかじめ記憶されているものであってよい。また、記憶部103内の少なくとも一つのアプリケーションは、電子機器10が他の装置からダウンロードして記憶部103内に記憶したものであってよい。
また電子機器10は記憶部103とは別の記憶部を備えていてもよい。記憶部103に記憶される前述の情報、または、記憶部103に記憶される後述の情報は、当該別の記憶部に記憶されても構わない。
無線通信部110は、アンテナ111を有している。無線通信部110は、アンテナ111を用いて、例えば複数種類の通信方式で無線通信することが可能である。無線通信部110の無線通信は、制御部100によって制御される。
無線通信部110は、携帯電話システムの基地局と無線通信することが可能である。無線通信部110は、当該基地局およびインターネット等のネットワークを通じて、電子機器10とは別の携帯電話機およびウェブサーバ等と通信することが可能である。また、無線通信部110は、無線LANに設けられるアクセスポイントと通信することが可能である。無線通信部110は、このアクセスポイントおよびインターネット等のネットワークを通じて、電子機器10とは別の携帯電話機およびウェブサーバ等と通信することが可能である。電子機器10は、他の携帯電話機等と、データ通信、音声通話およびビデオ通話等を行うことが可能である。また、無線通信部110は、路側機5および車両6と無線通信することが可能である。無線通信部110は、アンテナ111で受信した信号に対して増幅処理等の各種処理を行い、処理後の受信信号を制御部100に出力する。制御部100は、入力される受信信号に対して各種処理を行って、当該受信信号に含まれる情報を取得する。また、制御部100は、情報を含む送信信号を無線通信部110に出力する。無線通信部110は、入力される送信信号に対して増幅処理等の各種処理を行って、処理後の送信信号をアンテナ111から無線送信する。
表示部120は、電子機器10の前面11aに位置する表示領域12と、表示パネル121とを備えている。表示部120は、表示領域12に各種情報を表示することが可能である。表示パネル121は、例えば、液晶表示パネルあるいは有機ELパネルである。表示パネル121は、制御部100によって制御されることによって、文字、記号、図形などの各種情報を表示することが可能である。表示パネル121は、機器ケース11内において、表示領域12と対向している。表示パネル121に表示される情報は表示領域12に表示される。
タッチパネル130は、表示領域12に対する指等の操作子による操作を検出することが可能である。タッチパネル130は、例えば、投影型静電容量方式のタッチパネルである。タッチパネル130は、例えば、表示領域12の裏側に位置する。ユーザ9が指等の操作子によって表示領域12に対して操作を行ったとき、その操作に応じた電気信号をタッチパネル130は制御部100に出力することが可能である。制御部100は、タッチパネル130からの電気信号(出力信号)に基づいて、表示領域12に対して行われた操作の内容を特定することが可能である。そして制御部100は、特定した操作内容に応じた処理を行うことが可能である。
操作ボタン群140の各操作ボタン14は、ユーザ9によって操作されると、操作されたことを示す操作信号を制御部100に出力することが可能である。これにより、制御部100は、各操作ボタン14について、当該操作ボタン14が操作されたか否かを判断することができる。操作信号が入力された制御部100が他の構成要素を制御することによって、電子機器10では、操作された操作ボタン14に割り当てられている機能が実行される。
タッチパネル130および操作ボタン群140は入力部135の一例である、とも言える。なお入力部135は、種々の実施の形態において、例えばQWERTYキーボード、ポインティングデバイス(例えばマウス)、ジョイスティック、スタイラス、タッチスクリーン表示パネル、キーパッド、1以上のボタン、技術的に知られた任意の入力技術または入力装置など、または、これらの技術の任意の組み合わせなどの、この分野で知られた任意の入力技術または入力デバイスを用いて実装されてもよい。
衛星信号受信部220は、測位衛星が送信する衛星信号を受信することが可能である。そして、衛星信号受信部220は、受信した衛星信号に基づいて、電子機器10の位置情報を取得することが可能である。この位置情報には、例えば、電子機器10の位置を示す緯度経度が含まれる。制御部100は、衛星信号受信部220を動作させたり、その動作を停止したりすることが可能である。
衛星信号受信部220は、例えばGPS受信機であって、GPS(Global Positioning System)の測位衛星からの無線信号を受信することが可能である。衛星信号受信部220は、受信した無線信号に基づいて電子機器10の現在位置を例えば緯度経度で算出し、算出した緯度経度を含む位置情報を制御部100に出力する。電子機器10の位置情報は、当該電子機器10を持つユーザ9の位置情報であるともいえる。
なお、衛星信号受信部220は、GPS以外のGNSS(Global Navigation Satellite System)の測位衛星からの信号に基づいて電子機器10の位置情報を求めてもよい。例えば、衛星信号受信部220は、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、IRNSS(Indian Regional Navigational Satellite System)、COMPASS、Galileoあるいは準天頂衛星システム(QZSS:Quasi-Zenith Satellites System)の測位衛星からの信号に基づいて電子機器10の位置情報を求めてもよい。
また現在位置はユーザ9が移動することによって変化するので、現在位置情報はユーザ9の移動および停止に応じて変化する情報であるといえる。また衛星信号受信部220は、当該情報を生成する生成部であるといえる。
マイク170は、電子機器10の外部から入力される音を電気的な音信号(音情報とも呼ぶ)に変換し、この音信号を制御部100に出力することが可能である。電子機器10の外部からの音は、マイク穴17から電子機器10の内部に取り込まれてマイク170に入力される。
スピーカ160は、例えばダイナミックスピーカである。スピーカ160は、制御部100からの電気的な音信号を音に変換し、この音を外部に出力することが可能である。スピーカ160から出力される音は、スピーカ穴16から外部に出力される。ユーザ9は、スピーカ穴16から出力される音を、電子機器10から離れた場所でも聞くことが可能である。
レシーバ150は受話音を出力することが可能である。レシーバ150は例えばダイナミックスピーカである。レシーバ150は、制御部100からの電気的な音信号を音に変換し、この音を外部に出力することが可能である。レシーバ150から出力される音はレシーバ穴15から外部に出力される。レシーバ穴15から出力される音の音量は、スピーカ穴16から出力される音の音量よりも小さくなっている。ユーザ9は、レシーバ穴15から出力される音を、当該レシーバ穴15に耳を近づけることによって聞くことができる。なお、レシーバ150の代わりに、機器ケース11の前面部分を振動させる、圧電振動素子等の振動素子を設けてもよい。この場合には、音は、当該前面部分の振動によりユーザに伝達される。よって、レシーバ穴15は不要である。
発光部200は光を発することが可能である。発光部200は例えばLED(Light Emitting Diode)などの発光素子を有している。この発光部200は例えば電子機器10の前面11a側に設けられ、ユーザによって視認される(図2も参照)。制御部100は発光部200の発光を制御することが可能である。
振動部210は振動することが可能である。この振動は機器ケース11に伝達される。つまり、機器ケース11が振動する。振動部210は例えば偏心モータを有している。偏心モータが回転することにより、振動が発生する。制御部100は振動部210の振動を制御することが可能である。この振動は機器ケース11を介してユーザ9に伝達し得る。
表示部120、レシーバ150、スピーカ160、発光部200および振動部210はユーザ9に対して通知を行うことが可能であることから、これらは通知部125の一例である、ともいえる。
イヤホン端子230には、イヤホン(不図示)の端子が着脱可能に接続される。イヤホンはレシーバを有している。このレシーバは、イヤホンがユーザ9に装着された状態で、ユーザ9の耳の近傍に位置する。制御部100はイヤホン端子23を介して音信号をイヤホンへ出力することが可能である。イヤホンのレシーバはこの音信号を音に変換し、当該音を出力する。このイヤホンも通知部125の一例とみなすことができる。
なお無線通信部110は無線によりイヤホンと通信可能であってもよい。この場合、イヤホンは、無線通信部110と通信する無線通信部を有する。制御部100は無線通信部110を介して音信号をイヤホンに送信することが可能である。イヤホンの無線通信部は電子機器10から音信号を無線で受信し、イヤホンのレシーバがこの音信号を音に変換して、当該音を出力する。ユーザ9はイヤホンを装着して、イヤホンから出力される音を聞く。
第1カメラ180は、レンズ181およびイメージセンサなどを備えている。第2カメラ190は、レンズ191およびイメージセンサなどを備えている。第1カメラ180および第2カメラ190のそれぞれは、制御部100による制御に基づいて被写体を撮影し、撮影した被写体を示す静止画像あるいは動画像を生成し、この画像を制御部100に出力することが可能である。
第1カメラ180のレンズ181は、機器ケース11の前面11aから視認可能となっている。したがって、第1カメラ180は、電子機器10の前面側(表示領域12側)に存在する被写体を撮影することが可能である。この第1カメラ180はインカメラと呼ばれる。第2カメラ190のレンズ191は、機器ケース11の背面11bから視認可能となっている。したがって、第2カメラ190は、電子機器10の背面側に存在する被写体を撮影することが可能である。第2カメラ190はアウトカメラと呼ばれる。
加速度センサ240は、電子機器10の加速度を検出し、検出した加速度を示す加速度情報を制御部100へと出力することが可能である。加速度センサ240としては例えば3軸加速度センサを採用し得る。加速度センサ240は、x軸方向、y軸方向およびz軸方向の電子機器10の加速度を検出することが可能である。x軸方向、y軸方向およびz軸方向は、例えば、電子機器10の長手方向、短手方向および厚み方向にそれぞれ設定される。
方位センサ250は、電子機器10に固定された方向に対して、基準方向(例えば北)がどの方向にあるかを検出することが可能である。方位センサ250は、検出した基準方向を示す方位情報を制御部100へと出力することが可能である。この基準方向は、地球に生じる地磁気によって規定され得る。例えば基準方向が北である場合、理想的には地磁気の向きが基準方向と一致する。そこで、方位センサ250として、磁気センサを採用してもよい。磁気センサは磁気を検出し、検出した磁気を示す磁気情報を制御部100へと出力することが可能である。磁気センサとしては、例えば3軸の磁気センサを採用し得る。磁気センサは例えばx軸方向、y軸方向およびz軸方向の磁気を検出する。方位センサ250は磁気の各軸成分を合成することで、磁気の方向を算出することが可能である。なお、各軸成分の合成は制御部100によって実行されてもよい。
ジャイロセンサ260は電子機器10の角速度を検出し、検出した角速度を示す角速度情報を制御部100へと出力することが可能である。ジャイロセンサ260としては、例えば3軸のジャイロセンサを採用し得る。ジャイロセンサ260は、例えばx軸回りの角速度、y軸回りの角速度、および、z軸回りの角速度を検出することが可能である。
電池270は電子機器10の電源を出力することが可能である。電池270は例えば充電式の電池である。電池270から出力される電源は、電子機器10が備える制御部100および無線通信部110などの各種構成に対して供給される。
<4.制御部>
図5は、電子機器10の構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。図5の例においては、制御部100は状況判断部300と送信決定部310とを備えている。これらの機能部はソフトウェアによって実現されてもよく、あるいはその一部または全部がハードウェアによって実現されてもよい。以下で述べる他の機能部についても同様である。
状況判断部300は、ユーザ9が交通事故を誘発する可能性が高いか否かの判断を行うことが可能である。この判断の具体的な方法は後に詳述する。
送信決定部310は、無線通信部110を介して所定情報を外部(例えば路側機5または車両6)に送信するか否かを、状況判断部300の判断の結果に基づいて行うことが可能である。例えば送信決定部310は、ユーザ9が交通事故を誘発する可能性が高いと状況判断部300が判断したときに、所定情報の送信を決定し、当該所定情報を無線通信部110へと出力する。無線通信部110は所定情報を外部へと送信する。所定情報は、特に限定されないものの、例えばユーザ9が交通事故を誘発する可能性が高いことを示す情報であってもよい。
これにより、ユーザ9が交通事故を誘発する可能性が高いことを外部が認識できる。例えば車両6は、当該所定情報を受信したときに、当該所定情報を運転者に通知してもよい。これにより、運転者は、交通事故を誘発する可能性が高いユーザの存在を了知することができる。これにより、交通網の安全性を向上できる。
<5.不安定移動>
<5−1.歩行時の蛇行>
ユーザ9は例えば体調不良などにより、その移動が不安定になることがある。具体的な一例として、ユーザ9は蛇行することがある。図6は、ユーザ9が蛇行する様子の一例を概略的に示す図である。図6の例においては、ユーザ9は、車道7に隣接する歩道において蛇行している。このような場合、ユーザ9は意図せず車道7に進入する可能性がある。つまりこの場合、ユーザ9が交通事故を誘発する可能性は高い、と考えることができる。そこで、このような不安定な移動を検知することを企図する。
図5を参照して、状況判断部300には、例えば、加速度センサ240からの加速度情報、および、方位センサ250からの方位情報が入力される。状況判断部300は、ユーザ9の移動が不安定であるか否かを、例えば加速度情報および方位情報に基づいて判断することが可能である。後に詳述するように、加速度情報は主としてユーザ9の移動の検知に用いられ、方位情報は主として電子機器10の傾斜姿勢の検知に用いられる。
まず電子機器10の加速度について説明する。電子機器10には、ユーザ9の移動および停止に応じた加速度が発生する。より具体的には、ユーザ9が停止しているときには、電子機器10の加速度は非常に小さい。一方で、ユーザ9が移動しているときには、電子機器10の加速度は時間の経過とともに周期的に変動する。よって、加速度は大きな値をとり得る。したがって、加速度センサ240から出力される加速度情報は、ユーザ9の移動および停止に応じて変化する情報であると言える。また加速度センサ240は、当該情報を生成する生成部であるとも言える。
しかも電子機器10の加速度は、当該電子機器10を持つユーザ9の移動態様に応じた固有の時間変化のパターン(周期的な時間変化)を示すことが知られている。ここでいう移動態様は、例えば、ユーザ9が歩き又は走りにより移動する態様、および、ユーザ9が自転車に乗って移動する態様、および、ユーザ9が自動車両(車、バスおよび電車など)に乗って移動する態様を含む。よって、加速度センサ240から出力される加速度情報は、ユーザの移動態様に応じて変化する情報であるとも言える。
次に電子機器10の傾斜姿勢について述べる。例えばユーザ9が蛇行するような不安定な移動においては、ユーザ9に携帯される電子機器10は時間の経過とともに交互に反対側に傾き得る。図7は、ユーザ9が蛇行する様子、および、その際の電子機器10の傾斜姿勢の一例を概略的に示す図である。
電子機器10の傾斜姿勢は、例えば、電子機器10に固定された方向D1と、基準方向D0とによって表現され得る。方向D1としては、例えば電子機器10の厚み方向(z軸方向)を採用し得る。ここでは、説明の簡単のために、ユーザ9が向く方向と、方向D1とは互いに一致していると仮定する。例えばユーザが上着の胸ポケットに電子機器10を入れている場合には、この仮定は妥当である。但し、この仮定は必ずしも必要ではなく、ユーザ9が向く方向と方向D1は互いに相違していてもよい。
図7においては、基準方向D0も示されている。この基準方向D0は例えば南から北へ向かう方向であり、図7においては紙面右下方向に沿っている。電子機器10の傾斜姿勢は、基準方向D0に対して方向D1がどのように配置されるかによって表現され得る。言い換えれば、電子機器10の傾斜姿勢は方向D1と基準方向D0との間の角度θ1によって表現され得る。
図7の例においては、ユーザ9は全体としては進行方向D2に向かって移動しつつ、蛇行している。電子機器10の傾斜姿勢(方向D1)はこのユーザ9の蛇行に起因して変化する。具体的には、ユーザ9が紙面左下に向かって移動するときには、方向D1も紙面左下方向に沿い、ユーザ9が紙面右下に向かって移動するときには、方向D1も紙面右下方向に沿う。図7の例においては、方向D1は、紙面左下方向に沿う状態から紙面右下方向に沿う状態に変化し、続けて紙面左下方向に沿う状態に変化する。換言すれば、電子機器10は第1側(紙面左側)から第2側(紙面右側)に傾いた後、続けて第1側へと傾く。
図8は、角度θ1,θ2の一例を概略的に示すグラフである。角度θ2は基準方向D0と進行方向D2との間の角度を示している。角度θ2の利用方法については後に述べる。図8の例においては、角度θ1は、ユーザ9の蛇行に応じて、低減と増大とを交互に繰り返す。逆に言えば、角度θ1が周期的に増大と低減とを繰り返す場合には、ユーザ9は蛇行していると考えることができる。なお、ユーザ9の向きは一般的には一歩ごとに決まると考えることができるので、図8の例では、横軸に歩数を採用している。
さて上述のように、方位センサ250は、電子機器10に固定された方向D1に対する基準方向D0を検出することが可能であり、この方位情報も角度θ1によって表現され得る。つまり、この方位情報は電子機器10の傾斜姿勢に応じて変化する情報である、といえる。また方位センサ250は、当該情報を生成する生成部である、と言える。
状況判断部300はユーザ9の移動が不安定であるか否かを、例えば加速度情報および方位情報に基づいて判断する。以下、具体的な動作の例について説明する。
<5−1−1.不安定移動の第1検知例>
図5に示すように、例えば状況判断部300は移動検知部301と姿勢変化検知部302とを備えている。移動検知部301には、例えば加速度センサ240から加速度情報が入力される。移動検知部301はユーザ9の移動を、例えば加速度情報に基づいて検知することが可能である。つまり移動検知部301はユーザ9が移動しているか否かを、例えば加速度情報に基づいて判断することが可能である。より具体的な動作の一例は後に詳述する。
姿勢変化検知部302には、例えば方位センサ250から方位情報が入力される。姿勢変化検知部302は、電子機器10が第1側に傾いた後に、続けて第2側に傾く姿勢変化が生じたことを、例えば方位情報に基づいて検知することができる。つまり、姿勢変化検知部302は上記姿勢変化が生じたか否かを、例えば方位情報に基づいて判断することが可能である。より具体的な動作の一例は後に詳述する。
送信決定部310は移動検知部301の判断の結果、および、姿勢変化検知部302の判断の結果に基づいて、所定情報の送信を決定することが可能である。つまり、送信決定部はこれらの判断の結果に基づいて、所定情報の送信要否を判断することが可能である。例えば送信決定部310は、ユーザ9の移動中に上記姿勢変化が生じたときに、所定情報の送信を決定してもよい。つまり、ユーザ9の移動中に上記姿勢変化が生じたときには、ユーザ9の移動が不安定であると判断して、電子機器10は所定情報を外部へ送信してもよい。当該所定情報としては、例えばユーザ9の移動が不安定であることを示す情報であってもよい。
ところで、ユーザ9の向きは一歩ごとに決まり得る。よって、少なくとも姿勢変化検知部302の判断はユーザ9の一歩ごとに行われてもよい。そこで、電子機器10はユーザ9の一歩を検出してもよい。例えば図5に示すように、状況判断部300は歩数計303を備えていてもよい。歩数計303はユーザ9の歩数を計測することが可能である。歩数計303には、例えば加速度センサ240から加速度情報が入力される。歩数計303は電子機器10の加速度に基づいて、歩数を計測することが可能である。例えばユーザ9が歩いている場合、その加速度の周期はユーザ9の一歩に要する時間とみることができる。そこで、歩数計303は、加速度の周期を加速度情報に基づいて検出してもよい。歩数計303は例えばこの周期を検出する度に、つまり、一歩を検出する度に、歩数に1を加えて歩数を算出してもよい。
図9は、電子機器10の上記動作の一例を示すフローチャートである。この一連の動作は例えば所定時間ごとに実行されてもよい。まずステップS11にて、移動検知部301は加速度センサ240から加速度情報を取得する。次にステップS12にて、移動検知部301はユーザ9が移動しているか否かを、加速度情報に基づいて判断する。例えば移動検知部301は、検出された加速度が第1所定期間に亘って加速度基準値よりも小さいという条件が成立するときに、ユーザ9が停止していると判断してもよい。その一方で、移動検知部301は、当該条件が成立しないときに、ユーザ9が移動していると判断してもよい。第1所定期間および加速度基準値は例えば予め設定されて、記憶部103に記憶されていてもよい。
なおここでは一例として、ユーザ9が歩いている場合を想定しているので、移動検知部301はユーザが歩いているか否かを、加速度情報に基づいて判断してもよい。つまり、検出された加速度のパターンが、ユーザが歩いているときの典型的なパターン(歩行用の登録パターンとも呼ぶ)と類似するか否かを判断してもよい。この歩行用の登録パターンを示す登録パターン情報は例えば予め設定されて、記憶部103に記憶されていてもよい。
加速度のパターンと登録パターンとの類否判断の手法は特に限定されず、適宜の手法を用いて行わればよい。例えば移動検知部301は、検出された加速度の各時点における値と登録パターンの値との差の絶対値の、第1所定期間における総和を算出してもよい。この総和は、加速度のパターンが登録パターンに類似するほど小さい。移動検知部301はこの総和が類似度基準値よりも小さいときに、加速度のパターンが当該登録パターンに類似していると判断してもよい。類似度基準値は例えば予め設定されて記憶部103に記憶されてもよい。以下では、ステップS12にてユーザ9が歩いているか否かを判断する場合について説明する。
ユーザ9が歩いていないと判断したときには、制御部100は図9の動作を終了してもよい。この場合、例えば所定情報は送信されない。ユーザ9が歩いていると判断したときには、ステップS13にて、歩数計303はユーザ9の一歩を検出したか否かを判断する。歩数計303が一歩を検出していないときには、歩数計303は再びステップS13を実行する。
歩数計303が一歩を検出したときには、ステップS14にて、姿勢変化検知部302は方位センサ250から方位情報を取得する。次にステップS15にて、姿勢変化検知部302は、電子機器10が第1側に傾いた後に、続けて第2側に傾く姿勢変化が生じたか否かを、方位情報に基づいて判断する。
図9の例においては、ステップS15はステップS13にて肯定的な判断がなされたときに実行される。つまり図9の例においては、姿勢変化検知部302はユーザ9の一歩ごとに判断を行う。
次に姿勢変化検知部302のより具体的な動作(ステップS15のより具体的な動作)の一例を説明する。図8を参照して、上記姿勢変化が生じるときには、角度θ1は極値を伴って交互に増大と低減とを繰り返す。そこで、姿勢変化検知部302はステップS15の判断として、所定の歩数内において角度θ1の極値が複数存在するか否かを判断してもよい。
図10は、姿勢変化検知部302の上記動作の一例を示すフローチャートである。つまり、図10に示される一連の動作はステップS15の具体的な動作を示している。まずステップS151にて、姿勢変化検知部302は角度θ1の極値を検出したか否かを判断する。角度θ1の極値は、角度θ1の時系列データ(つまり方位情報の時系列データ)に基づいて検出される。極値の検出方法は特に限定されないものの、簡単な一例について説明する。姿勢変化検知部302は、前回に検出された角度θ1と、今回に検出された角度θ1とを用いて角度θ1の時間変化率を、ステップS151毎に算出してもよい。姿勢変化検知部302は、今回のステップS151にて算出された時間変化率の正負の極性が、前回のステップS151にて算出された時間変化率の極性と異なるときに、極値を検出してもよい。
極値を検出しない場合、ステップS155にて、姿勢変化検知部302は上記姿勢変化が生じていないと判断する。
極値を検出した場合、ステップS152にて、姿勢変化検知部302は歩数計303によって計測される歩数を、その極値に対応付けて記憶部103に記憶する。つまり、姿勢変化検知部302は極値の検出時における歩数を記憶部103に記憶する。
次にステップS153にて、姿勢変化検知部302は、今回の極値の検出時の歩数と、前回の極値の検出時の歩数との差を算出し、この差が所定の歩数基準値よりも小さいか否かを判断する。所定の歩数基準値は例えば予め設定されて、記憶部103に記憶されていてもよい。歩数基準値は例えば3であってもよい。
当該差が歩数基準値よりも小さいと判断したときには、ステップS154にて、姿勢変化検知部302は上記姿勢変化が生じたと判断する。つまり、短い歩数(例えば数歩)内において、複数の極値が存在するときには、姿勢変化検知部302は上記姿勢変化が生じたと判断している。一方で、当該差が歩数基準値よりも大きいときには、ステップS155にて、姿勢変化検知部302は上記姿勢変化が生じていないと判断する。つまり、傾斜姿勢の交互の変化が短い期間(歩数)で連続して生じている訳でない。この場合、ユーザ9の移動が不安定なのではなく、ユーザ9が例えば道に沿って交互に向きを変えていると考えられる。よって、姿勢変化検知部302は上記姿勢変化が生じていないと判断している。
図9も参照して、ステップS15(S154)にて上記姿勢変化が生じたと姿勢変化検知部302が判断したときには、ステップS16にて、送信決定部310は所定情報の送信を決定し、無線通信部110を介して所定情報を外部に送信する。つまりユーザ9の移動中に姿勢変化が生じたときには、ユーザ9の移動が不安定であると判断して、電子機器10は所定情報を送信する。その一方で、ステップS15(S155)にて姿勢変化が生じていないと判断したときには、制御部100は図9の処理を終了してもよい。
なおステップS15にて上記姿勢変化が生じたと姿勢変化検知部302が判断した場合には、その後のステップS15において否定的な判断がなされたとしても、送信決定部310は所定情報の送信を維持してもよい。つまり、一旦、姿勢変化を検出した場合には、次の姿勢変化を検出するまでの間も、ユーザ9が不安定な移動を継続している可能性が高いので、所定情報の送信を維持してもよい。その一方で、例えば送信決定部310は、肯定的な判断がなされた最後のステップS15から第2所定期間が経過したときに、所定情報の送信停止を決定してもよい。つまり、送信決定部310は、最後に上記姿勢変化が生じてから第2所定期間内に再び上記姿勢変化が検出されると、そのまま所定情報の送信を維持し、第2所定期間内に上記姿勢変化を一度も検出しないときに、所定情報の送信停止を決定してもよい。時間の経過は例えばタイマ回路などの計時回路によって測定される。第2所定期間は例えば予め設定されて記憶部103に記憶されていてもよい。
また図9の例においては、姿勢変化検知部302の判断はユーザ9の一歩ごとに実行されている(ステップS13,S15)。比較のために、例えば所定時間ごとにステップS15を実行する場合を考慮する。この場合、例えば図9のステップS13が省略される。図9の一連の動作は所定時間ごとに実行されるので、ステップS15はユーザ9の移動中において所定時間ごとに実行される。
もし仮に、この所定時間がユーザ9の一歩に要する時間よりも短い場合、ユーザ9が一歩を踏み出す期間において、ステップS15が複数回実行され得る。この期間では、ユーザ9の向きが変わらないと考えられるので、不要なステップS15が実行される。これにより、消費電力が無駄に増大する。逆に、所定時間が一歩に要する時間よりも長い場合、ユーザ9の向きの変化について、検出漏れが生じ得る。
これに対して、ステップS15をユーザ9の一歩ごとに行うことにより、小さい消費電力で検出漏れを抑制しつつ、ユーザ9の向きの変化を適切に検出できる。
<5−1−2.不安定移動の第2検知例>
図7および図8を参照して、ユーザ9が蛇行しているときには、方向D1が進行方向D2に対して比較的大きな角度で交差し得る。言い換えれば、方向D1と進行方向D2との間の角度(=|θ1−θ2|)が大きいときには、ユーザ9の移動は不安定である可能性が高い、と考えることができる。
そこで、まず進行方向D2を推定することを企図する。図11は、電子機器10の構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。制御部100は移動ルート設定部320を更に備えている。移動ルート設定部320はユーザ9の移動ルートを地図情報に基づいて設定することが可能である。例えばユーザ9は移動ルートのスタート地点およびゴール地点の情報を入力部135に入力する。移動ルート設定部320はこの情報を入力部135から受け取り、スタート地点およびゴール地点を結ぶ少なくとも一つのルートを地図情報に基づいて抽出する。
地図情報は、例えば道路の位置および形状を示す道路データを有している。地図情報は例えば記憶部103に予め記憶されていてもよく、あるいは、制御部100が無線通信部110を介して外部のサーバなどから取得してもよい。
移動ルート設定部320は、抽出したルートをユーザに示す。例えば移動ルート設定部320は当該ルートを表示部120に表示させる。ユーザはそのルートのうち一つを移動ルートとして選択するための指示を入力部135に入力する。移動ルート設定部320は、ユーザ9によって選択されたルートを移動ルートに設定する。移動ルート設定部320は、この移動ルートを示す移動ルート情報を姿勢変化検知部302へ与える。
移動ルート設定部320には、衛星信号受信部220から現在位置情報が入力されてもよい。移動ルート設定部320は、ユーザ9の現在位置が移動ルート上にあるか否かを判断してもよい。そして、現在位置が移動ルートから逸脱したと判断したときには、移動ルート設定部320は、その現在位置からゴール地点までの新たなルートを地図情報に基づいて抽出し、これを移動ルートに再設定してもよい。
姿勢変化検知部302には、衛星信号受信部220から現在位置情報が入力される。姿勢変化検知部302は、現在位置情報と地図情報(より詳細には移動ルート情報)とに基づいて、進行方向D2を推定する。例えば姿勢変化検知部302は、現在位置が移動ルート上にあるときには、その現在位置における移動ルートの接線方向であって、ゴール地点に向かう方向を、進行方向D2と推定する。
移動ルートは地図情報に基づいて設定され、進行方向D2はこの移動ルートに基づいて推定されるので、この推定された進行方向D2は地図上における進行方向とも言える。ユーザ9のより局所的な移動方向(方位)は方向D1によって表現される。この進行方向D2は、例えば基準方向D0に対して表現されてもよい。具体的には、進行方向D2は、例えば基準方向D0と進行方向D2との間の角度θ2によって表現され得る(図7も参照)。
姿勢変化検知部302は方向D1が大きな角度で進行方向D2と交差しているか否かを判断する。具体的な一例として、姿勢変化検知部302は、方向D1と進行方向D2との間の角度Δθ(=|θ1−θ2|)が所定の角度基準値よりも高いか否かを判断する。所定の角度基準値は例えば予め設定されて、記憶部103に記憶されていてもよい。例えば角度基準値は10度である。
送信決定部310は移動検知部301の判断の結果および姿勢変化検知部302の判断の結果に基づいて、所定情報の送信要否を判断する。例えば、送信決定部310は、ユーザ9の移動中において、方向D1と進行方向D2との間の角度が基準値よりも大きいときに、所定情報の送信を決定してもよい。
図12は、電子機器10の上記動作の一例を示すフローチャートである。この一連の動作は例えば所定時間ごとに繰り返し実行される。ステップS21〜S23はそれぞれステップS11〜S13と同一である。ステップS23にて歩数計303が一歩を検出したときには、ステップS24にて、姿勢変化検知部302は、衛星信号受信部220から現在位置情報を取得する。
次にステップS25にて、姿勢変化検知部302はユーザ9の進行方向D2を、現在位置情報と移動ルート情報とに基づいて推定する。姿勢変化検知部302は、現在位置における移動ルートの接線方向であって、ゴール地点へ向かう方向を、進行方向D2と推定する。具体的な動作の一例として、姿勢変化検知部302は、まず、現在位置から所定の微小距離だけゴール地点に近い点を地図情報に基づいて抽出する。そして、姿勢変化検知部302は現在位置から当該点へ向かう方向を進行方向D2に推定する。この進行方向D2は例えば基準方向D0に対する角度θ2によって表される。
次にステップS26にて、姿勢変化検知部302は、方位センサ250から方位情報を取得する。この方位情報は角度θ1を含んでいる。
次にステップS27にて、姿勢変化検知部302は方向D1と進行方向D2との間の角度Δθ(=|θ1−θ2|)を算出し、この角度Δθが角度基準値よりも大きいか否かを判断する。
角度Δθが角度基準値よりも大きいと姿勢変化検知部302が判断したときには、ステップS28にて、送信決定部310は所定情報の送信を決定する。つまり、方向D1と進行方向D2との間の角度Δθが大きいときには、ユーザ9の移動が不安定であると判断して、電子機器10が所定情報を送信する。一方で、角度Δθが角度基準値よりも小さいと姿勢変化検知部302が判断したときには、制御部100は図12の処理を終了してもよい。
以上のように、本動作によれば、方向D1と進行方向D2との間の角度Δθの大小に基づいて、不安定移動を検知することができる。これによれば、図10の動作に比べて、短時間で不安定移動を検知することができる。なぜなら、角度θ1における複数の極値を検出する場合には、角度θ1が複数の極値をとるための期間(例えば数歩に要する期間)が必要であるのに対して、方向D1と進行方向D2との間の角度Δθの大小は、そのような期間なしに判別できるからである。
その一方で、図10の動作においては、方向D1が必ずしもユーザ9の向く方向と一致していなくてもよい。図10の動作においては、ユーザ9の向く方向の変化、つまり、電子機器10の姿勢変化に基づいて、不安定移動を検知しているからである。つまり、この検知に角度θ1の絶対値は不問である。他方、図12の動作においては、ユーザ9の向く方向(方向D1)と進行方向D2との間の角度の大小に基づいて不安定移動を検知している。よって、ユーザ9の向く方向と方向D1との関係が既知である必要がある。この場合、例えばユーザ9は予め決められた姿勢で電子機器10を携帯してもよい。例えばユーザ9は、電子機器10の方向D1がユーザ9の向きと一致するように、電子機器10を携帯してもよい。
<5−1−3.変形例>
<5−1−3−1.移動態様>
上述の例においては、ユーザ9が歩いている場合について説明した。よって、姿勢変化検知部302の判断を一歩ごとに行った。しかしながら、ユーザ9は走っていても一歩を検知できる。そこで、ステップS12,S22においては、ユーザ9が歩き又は走りにより移動しているか否かを判断してもよい。
またユーザ9が乗り物に乗って移動する場合であっても、蛇行移動は交通事故を誘発する可能性が高いと考えることができる。例えばユーザ9が車両6に乗って移動しているときであっても、蛇行移動は交通事故を誘発する可能性が高いと考えることができる。よって、上記制御部100の動作はユーザ9が移動していれば、その移動態様に関わらず適用することが可能である。ただしユーザ9が乗り物に乗って移動する場合には、歩数計303は一歩を検出できないので、姿勢変化検知部302の判断は所定時間ごとに行う。例えば移動検知部301は、ユーザ9が乗り物に乗って移動しているか否かを判断してもよい。そして、ユーザ9が乗り物に乗って移動しているときには、姿勢変化検知部302の判断を所定時間ごとに行ってもよい。これにより、適切に不安定移動を検知できる。
図13は、電子機器10の上記動作の一例を示すフローチャートである。この一連の動作は例えば所定時間ごとに実行される。ステップS101にて、移動検知部301は加速度センサ240から加速度情報を取得する。次にステップS102にて、移動検知部301はユーザ9が歩き又は走りにより移動しているか否かを、加速度情報に基づいて判断する。ユーザ9が歩き又は走りにより移動していると判断したときには、制御部100はステップS103〜S106を実行する。ステップS103〜106は図9のステップS13〜S15とそれぞれ同一である。つまり、ユーザ9が歩き又は走りにより移動しているときには、姿勢変化検知部302の判断(ステップS105)をユーザ9の一歩ごとに行う。
ユーザ9が歩き又は走りにより移動していないと判断したときには、ステップS107にて、移動検知部301はユーザ9が乗り物に乗って移動しているか否かを、加速度情報に基づいて判断する。ユーザ9が乗り物に乗って移動していると判断したときには、制御部100はステップS104を実行する。つまり、ユーザ9が乗り物に乗って移動するときには、姿勢変化検知部302の判断(ステップS105)を所定時間ごとに実行する。
ユーザ9が乗り物に乗って移動していないと判断したときには、制御部100は図13の動作を終了してもよい。
なお図13は、図9の動作を用いてフローチャートを示しているものの、図12の動作を用いてもよい。
<5−1−3−2.移動検知>
上述の例では、移動検知部301はユーザ9が移動しているか否かを加速度情報を用いて判断しているものの、必ずしもこれに限らない。例えば移動検知部301は現在位置情報に基づいて当該判断を行ってもよい。移動検知部301は現在位置が時間の経過とともに変化しているか否かを、現在位置情報に基づいて判断する。移動検知部301は、現在位置が変化しているときに、ユーザ9が移動していると判断してもよい。
<5−1−3−3.姿勢変化の検知>
上述の例では、姿勢変化検知部302は方位センサ250からの方位情報を用いているものの、必ずしもこれに限らない。例えば姿勢変化検知部302は、ジャイロセンサ260から出力される角速度情報を用いてもよい。電子機器10の傾斜姿勢は角速度の積分によって表現することができるからである。例えば蛇行移動において、角速度も周期的に増大と低減とを繰り返し得る。よって例えば図10と同様の動作によって、姿勢変化検知部302は姿勢変化を検知することができる。或いは、方位情報および角速度情報の両方を用いても構わない。
<5−2.二輪車(例えば自転車)を用いた不安定移動>
ユーザ9が二輪車(例えば自転車)に慣れていない場合、または、重い荷物を自転車に積載している場合には、二輪車を用いた移動が不安定になる場合がある。また二輪車においては、そのふらつきは、ユーザ9の向きではなく、ユーザ9の向きに垂直な面におけるユーザ9の左右方向の傾きで表現される場合がある。図14は、ユーザ9が自転車61に乗っている様子を示す図である。図14の例においては、ユーザ9のふらつきを弧状の両端矢印で模式的に示している。このようなふらつきを伴う移動は、交通事故を誘発する可能性が高い、と言える。そこで、ここでは二輪車におけるふらつきを検知することを企図する。また以下では、二輪車として自転車を採用する場合について説明する。
図14に示すように、電子機器10は例えば自転車61に搭載されていてもよい。例えば電子機器10はその方向D1が自転車61の進行方向に向く姿勢で、自転車61に搭載されてもよい。あるいは、電子機器10はユーザ9のポケットまたは鞄などに収容されていてもよい。ユーザ9が左右方向に傾くと、当該傾き動作に応じた角速度が電子機器10に発生する。
図15は、電子機器10の構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。制御部100の状況判断部300は二輪車検知部304とふらつき検知部305とを備えている。二輪車検知部304は、ユーザ9が自転車に乗って移動しているか否かを判断することが可能である。例えば二輪車検知部304には、加速度センサ240からの加速度情報が入力される。二輪車検知部304は、検出された加速度のパターンが、自転車の典型的なパターンと類似するか否かを判断する。二輪車検知部304は、検出されたパターンがこの典型的なパターンと類似するときに、ユーザ9が自転車に乗って移動していると判断する。
ふらつき検知部305には、ジャイロセンサ260から角速度情報が入力される。ふらつき検知部305は、電子機器10の角速度が正の第1角速度基準値よりも高いか否か、あるいは、角速度が負の第2角速度基準値よりも低いか否かを判断することが可能である。第1角速度基準値および第2角速度基準値は例えば予め設定されて、記憶部103に記憶されていてもよい。第1角速度基準値および第2角速度基準値は例えば500[dps]および−500[dps]に設定され得る。
要するに、自転車61が左右方向に交互に傾くような不安定な移動においては、自転車61の傾く速度が高いと考えることができるので、角速度が第1角速度基準値よりも高いとき、又は、第2角速度基準値よりも低いときには、自転車61による移動が不安定であると判断しているのである。簡単のために、ふらつき検知部305は、角速度の絶対値が第1角速度基準値よりも高いときに、移動が不安定である判断してよい。
送信決定部310は二輪車検知部304による判断の結果およびふらつき検知部305による判断の結果に基づいて、所定情報の送信要否を判断することが可能である。例えば送信決定部310は、ユーザ9が自転車に乗っており、かつ、角速度の絶対値が第1角速度基準値よりも高いときに、所定情報の送信が必要であると判断してもよい。
図16は電子機器10の上記動作の一例を示すフローチャートである。この一連の動作は例えば所定時間ごとに実行される。ステップS31にて、二輪車検知部304は加速度センサ240から加速度情報を取得する。次にステップS32にて、二輪車検知部304はユーザ9が自転車61に乗って移動しているか否かを、加速度情報に基づいて判断する。ユーザ9が自転車61に乗って移動していないと判断したときには、制御部100は図16の動作を終了してもよい。ユーザ9が自転車61に乗って移動していると二輪車検知部304が判断したときには、ステップS33にて、ふらつき検知部305はジャイロセンサ260から角速度情報を取得する。次にステップS34にて、ふらつき検知部305は角速度の絶対値が第1角速度基準値よりも高いか否かを判断する。角速度の絶対値が第1角速度基準値よりも低いと判断したときには、制御部100は図16の動作を終了してもよい。角速度の絶対値が第1角速度基準値よりも高いと、ふらつき検知部305が判断したときには、ステップS35にて、送信決定部310は所定情報の送信を決定する。
<5−2−1.ふらつき検知の他の例>
自転車61が左右方向に交互に傾くような不安定な移動では、比較的短い期間で角速度が正負に大きく振れる。そこで、ふらつき検知部305はこの現象を検知してもよい。具体的には、ふらつき検知部305は、角速度が正の第1角速度基準値を超える第1現象と、角速度が負の第2角速度基準値を下回る第1現象とが、第3所定期間において所定の回数を超えて交互に発生したか否かを判断してもよい。所定の回数および第3所定期間は例えば予め設定されていて、記憶部103に記憶されていてもよい。所定の回数は例えば3回に設定され得る。第3所定期間は例えば数[秒]程度に設定され得る。
図17は、電子機器10の上記動作の一例を示すフローチャートである。この一連の動作は例えば所定時間ごとに実行される。ステップS301〜S303はステップS31〜S33とそれぞれ同じである。ステップS303の次にステップS304にて、ふらつき検知部305は、角速度が正の第1角速度基準値を下から上に超えたか否かを判断する。つまり、ふらつき検知部305は第1現象が生じたか否かを判断する。例えば、ふらつき検知部305は、前回のステップS303で検出された角速度と第1角速度基準値と比較するとともに、今回のステップS303で検出された角速度と第1角速度基準値とを比較する。そして、前回の角速度が第1角速度基準値よりも低く、今回の角速度が第1角速度基準値よりも高いと判断したときに、ふらつき検知部305はステップS304において肯定的な判断を行う。
ステップS304にて肯定的な判断がなされたときに、ステップS305にて、ふらつき検知部305は値nに1を加算する。次にステップS306にて、ふらつき検知部305は、現在時刻を時刻t[n]として記憶する。
他方、ステップS304において否定的な判断がなされたときには、ステップS309にて、角速度が負の第2角速度基準値を上から下へ下回ったか否かを判断する。つまり、ふらつき検知部305は第2現象が生じたか否かを判断する。例えば、ふらつき検知部305は、前回のステップS303で検出された角速度と第2角速度基準値とを比較するとともに、今回のステップS303で検出された角速度と第2角速度基準値とを比較する。そして、前回の角速度が第2角速度基準値よりも高く、今回の角速度が第2角速度基準値よりも低いと判断したときに、ふらつき検知部305はステップS309において肯定的な判断を行う。
ステップS309において、肯定的な判断がなされたときに、ステップS310にて、ふらつき検知部305は値nに1を加算する。次にステップS311にて、ふらつき検知部305は、現在時刻を時刻t[n]として記憶する。
以上のように、第1現象および第2現象の各々が検知される度に、値nがインクリメントされて、時刻t[n]が記憶される。つまり、時刻t[n]は第1現象および第2現象の各々が生じた時刻を示す時系列データである。また自転車が一方に傾いた後には、元の姿勢に戻るので、時刻t[n]の時系列データは、第1現象の検知時刻および第2現象の検知時刻が交互に記憶される。
ステップS306またはステップS311の次に、ステップS307にて、ふらつき検知部305は、例えば時刻t[n],t[n−2]の間の期間が第3所定期間よりも短いか否かを判断する。これにより、第1現象および第2現象が第3所定期間内において合わせて3回以上生じたか否かの判断を行うことができる。
肯定的な判断がふらつき検知部305によってなされたときには、ステップS308にて、送信決定部310は所定情報の送信を決定する。ステップS302,S307,S309の各々において、否定的な判断がなされたときには、制御部100は図17の動作を終了してもよい。
<6.方位情報と角速度情報>
ユーザ9が歩き又は走りにより、移動するときには、その不安定移動の検知に少なくとも方位情報(磁気情報)を採用してもよい(例えば図9)。方位センサ250のサンプリングレートは比較的低く、消費電力が小さいからである。他方、ユーザ9が二輪車(例えば自転車)により、移動するときには、その不安定移動の検知に少なくとも角速度情報を採用してもよい(例えば図16および図17)。ジャイロセンサ260のサンプリングレートは比較的高いので、移動速度の高い自転車に乗って移動する場合であっても、適切に不安定移動を検出できる。
<7.所定情報とは異なる情報の送信>
上述のように、制御部100(送信決定部310)は、ユーザ9が交通事故を誘発する可能性が低いときには、所定情報の外部へ送信しなくてもよい。但し、これは、電子機器10が、所定情報とは異なる情報を外部に送信することを禁ずるものではない。
第2の実施の形態.
ユーザ9は電子機器10を使用しながら移動する場合がある。この場合、ユーザ9の注意が電子機器10に集中しやすい。逆に言えば、ユーザ9は周囲への注意が散漫になりやすい。特にユーザ9が電子機器10の表示領域12を見ながら移動する場合、ユーザ9は周囲への注意がより散漫になりやすい。したがって、ユーザ9が電子機器10を使用しながら移動している場合には、ユーザ9が交通事故を誘発する可能性は高い、と考えることができる。そこで第2の実施の形態では、ユーザ9が電子機器10を使用しながら移動することを検知する。
第2の実施の形態にかかる電子機器10の構成は第1の実施の形態と同様である。ただし、制御部100の内部構成が第1の実施の形態と相違する。第2の実施の形態にかかる制御部100を以下では制御部100Aとも呼ぶ。図18は、制御部100Aの内部構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。
制御部100Aは、状況判断部400と、送信決定部410と、アプリケーション実行部420とを備えている。アプリケーション実行部420は、例えばユーザ9による入力部135への入力に応じて、種々のアプリケーションを実行する。このアプリケーションの処理を規定するアプリケーションプログラムは、記憶部103に記憶されている。アプリケーション実行部420は記憶部103から当該プログラムを読み出して実行することにより、当該処理を実行する。アプリケーションは、例えば通話アプリケーション、メッセージアプリケーション、ブラウザおよびナビゲーション(道案内)アプリケーションなどを含む。メッセージアプリケーションは例えばメールアプリケーションおよびSNS(Social Networking service)アプリケーションを含む。
状況判断部400は、ユーザ9が電子機器10を使用しながら移動しているか否かの判断を、例えば少なくとも加速度情報に基づいて行うことが可能である。例えば状況判断部400は、移動検知部401と、使用検知部402とを備えている。
移動検知部401は、第1の実施の形態で述べた通り、ユーザ9が移動しているか否かを、例えば加速度情報に基づいて判断することが可能である。また移動検知部401は、ユーザ9の移動態様を特定してもよい。この移動態様の特定も第1の実施の形態で述べた通りである。
使用検知部402はユーザ9による電子機器10の使用を検知することができる。つまり、使用検知部402は当該使用の有無を判断することが可能である。
図19は電子機器10の動作の一例を示すフローチャートである。この一連の動作は例えば所定時間ごとに実行される。ステップS41,S42はそれぞれステップS31,S32と同一である。ステップS41では、移動検知部401はユーザ9の歩き又は走りによる移動を検知してもよい。ステップS42においてユーザ9が移動していると移動検知部401が判断したときには、ステップS43にて、使用検知部402はユーザ9が電子機器10を使用しているか否かを判断する。
例えばユーザ9が電子機器10の前面11aの表示領域12を視認しているときには、ユーザ9の顔が前面11a側の第1カメラ180によって撮像される可能性が高い。よって、第1カメラ180の撮像画像に人の顔が含まれるときには、ユーザ9は電子機器10を使用している、と考えることができる。
そこで、使用検知部402には、第1カメラ180によって撮像された撮像画像が入力されてもよい。使用検知部402は、この撮像画像に人の顔が含まれているか否かを判断する。このような判断は、例えばパターン認識技術を用いた画像処理によって行うことができる。例えば使用検知部402は、撮像画像のうち所定の探索領域内の画像に顔画像が含まれているかを判断する処理を、探索領域を撮像画像内で移動させながら行うことにより、撮像画像に顔が含まれているか否かを判断できる。
あるいは、使用検知部402は、ユーザ9が入力部135へ情報を入力したか否かを判断してもよい。使用検知部402は、ユーザ9が入力部135へ情報を入力したときに、ユーザ9が電子機器10を使用していると判断してもよい。
あるいは、使用検知部402は、アプリケーション実行部420が予め定められたアプリケーションを実行しているときに、ユーザ9が電子機器10を使用していると判断してもよい。このアプリケーションとしては、例えば地図情報を表示部120に表示させるアプリケーションを採用できる。例えば、ゴール地点までの道を、地図を用いて示すナビゲーションアプリケーションを採用できる。表示領域12に地図が表示されているときには、ユーザ9は表示領域12を視認する可能性が高いからである。
あるいは、使用検知部402は、電子機器10あるいはイヤホンが音を出力しているか否かを判断してもよい。このような音が出力されているときには、ユーザ9は電子機器10の音を聞いている、つまりユーザ9は電子機器10を使用している、と考えることができる。
送信決定部410は移動検知部401の判断の結果、および、使用検知部402の判断の結果に基づいて、所定情報の送信要否を判断することが可能である。例えばステップS43において、ユーザ9が電子機器10を使用していると使用検知部402が判断したときには、ステップS44にて、送信決定部410は所定情報の送信を決定してもよい。その一方、ステップS43において、ユーザ9が電子機器10を使用していないと使用検知部402が判断したときには、制御部100Aは図19の動作を終了してもよい。
所定情報は、例えばユーザ9が電子機器10を使用しながら移動していることを示す情報であってもよい。この所定情報を受信した車両6がこれを運転者に通知することにより、運転者は、電子機器10を使用しながら移動しているユーザ9の存在を了知できる。
第3の実施の形態.
ユーザ9が立ち止まっているときには、ユーザ9が交通事故を誘発する可能性は高くないと考えることができる。よって、電子機器10はユーザ9の停止を検知したときには、所定情報を送信しなくてもよい。この場合、車両6では、所定情報の受信を運転者へ通知しないので、運転者はユーザ9の存在に気づいていない可能性がある。ユーザ9が移動を再開した場合には、電子機器10はユーザ9の移動を検知してから所定情報を送信する。よって、ユーザ9の移動再開と、電子機器10による所定情報の送信との間にはタイムラグが生じる。したがって、ユーザ9の移動直後には、車両6の運転者はユーザ9の存在に気づいていないままの可能性がある。
そこで、ユーザ9の停止が一時的であると考えられる場合には、ユーザ9が停止しているときにも、電子機器10は所定情報を送信してもよい。これによれば、ユーザ9が移動を再開した時点の前後において所定情報が送信されているので、運転者はユーザ9が移動を再開した時点でも、このユーザ9に対する注意を維持できる。
次にユーザ9が一時的に停止し得る状況について考察する。電子機器10はユーザ9に通知する機能を有している。この通知は、ユーザ9に対して電子機器10への指示の入力を促す通知である。例えば電子機器10は通話用の着信信号を受信したり、或いは、電子メールを受信したときに、その受信をユーザ9へ通知することができる。この通知はユーザ9の移動中にも行われ得る。ユーザ9は当該通知を受け取ると、その通知内容を確認すべく移動を停止することがある。このような場合、ユーザ9は通知内容の確認を終了すると、移動を再開する。つまり、このような停止は一時的な停止であると考えられる。そこで、第3の実施の形態では、このような停止を検知することを企図する。
第3の実施の形態にかかる電子機器10の構成は第1の実施の形態と同様である。ただし、制御部100の内部構成が第1の実施の形態と相違する。第3の実施の形態にかかる制御部100を以下では制御部100Bとも呼ぶ。図20は、制御部100Bの内部構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。
制御部100Bは、状況判断部500と、送信決定部510と、アプリケーション実行部520とを備えている。
アプリケーション実行部520は、アプリケーション実行部420と同様に、種々のアプリケーションを実行することが可能である。このアプリケーション実行部520は例えば当該アプリケーションの一機能として、通知部125に通知を行わせることが可能である。この通知は、電子機器10への入力をユーザ9に促すための通知である。例えばアプリケーション実行部520は外部から情報(以下、受信情報と呼ぶ)を受信したときに、これを通知部125に通知させる。受信情報としては、例えば受信メールなどのメッセージ情報を例示できる。例えばアプリケーション実行部520は、受信情報の受信に対応した音をスピーカ160などから出力させたり、振動部210を振動させたり、あるいは、発光部200を発光させる。
ユーザ9は電子機器10からの通知を認識すると、通知内容を確認するための指示を適宜に入力部135へ入力する。例えばこの通知がメッセージ情報の受信を示す場合、アプリケーション実行部520は、この入力に応答して、メッセージアプリケーションを実行することにより、表示部120にメッセージ情報を表示させる。これにより、ユーザ9は通知内容を確認できる。
アプリケーション実行部520は通知部125に通知を行わせるときに、その通知内容を示す通知情報を記憶部103に記憶してもよい。例えば受信メールの受信を通知するときには、通知情報として「受信メールの受信」を示す情報が記憶され得る。また、ユーザ9がその通知内容を確認するための指示を入力部135へ入力したときには、アプリケーション実行部520は当該入力に応じた処理を行うとともに、記憶部103から当該通知情報を消去してもよい。つまり、この通知情報が記憶部103に記憶されていることは、その通知内容を確認するための指示が未だ入力されていないことを意味する。この通知情報が記憶部103に記憶されていないことは、通知内容を確認するための指示が既に入力されたこと、あるいは、通知自体が行われていないことを意味する。
また制御部100Bは、ユーザ9による入力部135への入力に応じて、記憶部103に記憶された通知情報の一覧を表示部120に表示させてもよい。これにより、ユーザ9は全ての通知内容を容易に確認できる。また、制御部100Bは、当該一覧を確認したユーザ9による入力部135への入力に応じて、通知情報を記憶部103から全て消去してもよい。
状況判断部500は、ユーザ9への通知を確認するための指示が入力部135に未だ入力されていない状態(以下、未確認状態と呼ぶ)で、ユーザ9が移動を停止したか否かを判断することが可能である。例えば状況判断部500は停止検知部501と通知関連判断部502とを備えている。
停止検知部501はユーザ9が停止していることを検知することが可能である。言い換えれば、停止検知部501はユーザ9が停止しているか否かを判断できる。この判断の手法は例えば移動検知部301,401による手法と同様である。
通知関連判断部502は、ユーザ9への通知を確認するための指示が入力部135へ入力されているか否かを判断することが可能である。例えば通知関連判断部502は記憶部103に通知情報が記憶されているか否かを判断する。
送信決定部510は状況判断部500の判断結果に基づいて、所定情報の送信要否を判断することが可能である。例えば送信決定部510は、未確認状態で、ユーザ9が停止したときには、所定情報の送信が必要であると判断してもよい。
図21は、電子機器10の上記動作の一例を示すフローチャートである。この一連の動作は例えば所定時間ごとに実行される。ステップS51にて、停止検知部501は加速度情報を加速度センサ240から取得する。次にステップS52にて、停止検知部501はユーザ9が移動を停止しているか否かを加速度情報に基づいて判断する。ユーザ9が停止していると停止検知部501が判断したときには、ステップS54にて、通知関連判断部502は、通知を確認するための指示が既に入力されているか否かを判断する。例えば通知関連判断部502は記憶部103に通知情報が記憶されているときに、当該指示が未だ入力されていないと判断する。このとき、通知関連判断部502はステップS55にて未確認停止フラグを記憶部103に記憶する。次に、ステップS56にて、送信決定部510は所定情報の送信を決定する。つまり、未確認状態でユーザ9が停止したときには、一時的な停止と判断して、電子機器10は所定情報を送信する。
ステップS52においてユーザ9が停止していないと停止検知部501が判断したときには、ステップS53にて、通知関連判断部502は未確認停止フラグを消去する。次にステップS56にて、送信決定部510は所定情報の送信を決定する。つまり、ユーザが移動を再開したときには、電子機器10は未確認停止フラグを消去し、所定情報を送信する。
ステップS54において、通知を確認するための指示が既に入力されていると判断したときには、ステップS57にて、通知関連判断部502は未確認停止フラグが記憶されているか否かを判断する。ステップS57にて未確認停止フラグが記憶されていると通知関連判断部502が判断したときに、ステップS56にて送信決定部510は所定情報の送信を決定する。つまりユーザ9が上記指示を停止中に入力して、通知内容を確認しているときには、ステップS54において肯定的な判断がなさるものの、未確認停止フラグは記憶されているので、この場合にも、適切に所定情報を送信することができる(ステップS57、S56)。つまり、ユーザ9が停止しながら通知内容を確認しているときには、その停止は一時的なものと判断して、電子機器10が所定情報を送信する。
ステップS57にて未確認停止フラグが記憶されていないと判断したときには、制御部100Bは図21の動作を終了してもよい。確認を要する通知が残っていない状態で、ユーザ9が停止したときには、ステップS57にて否定的な判断がなされる。この停止は一時的なものと断言できないので、電子機器10は所定情報を送信しなくてもよい。
以上のように、通知内容を確認するための指示が未だ入力されていない状態でユーザ9が停止したときには、所定情報が送信される(ステップS55〜S57)。したがって、ユーザ9が通知に対する操作を終了して移動を再開する前後においても所定情報が送信される。その一方で、確認を要する通知が残ってない状態でユーザ9が停止したときには、電子機器10は所定情報の送信を停止してもよい。これによれば、不要な所定情報の送信を抑制でき、通信の混雑を抑制できる。
<停止時間の推定>
上述の例では、ユーザ9が移動を再開するタイミングが分からないので、ユーザ9の停止が一時的なものであると判断される場合には、電子機器10は停止中であっても所定情報を送信した。しかるに、もしユーザ9が移動を再開するタイミングを推定することができれば、ユーザ9が停止してから当該タイミングまでの期間においては、所定情報を送信しなくてもよい。これによれば、不要な所定情報の送信を抑制でき、通信の混雑を抑制することができる。
図20に例示するように、状況判断部500は停止時間推定部503を備えていてもよい。停止時間推定部503は、通知に応じて推定停止時間を決定することが可能である。推定停止時間とは、ユーザ9が停止し続けると推定される時間である。ユーザ9は通知内容の確認中は移動を停止し、確認が終了すると、移動を再開すると考えられる。つまり、ユーザ9の停止時間は通知内容の確認に要する時間とみなすことができる。
次に、ユーザ9が通知内容の確認に要する時間の長短について考察する。受信情報の受信が電子機器10によって通知された場合、受信情報の情報量が大きい場合、ユーザ9はその受信情報の確認に、より長い時間を要すると考えることができる。そこで、アプリケーション実行部520は受信情報の受信を通知部125に通知させるときに、その受信情報の情報量を算出し、この情報量を通知情報に含めて記憶部103に記憶してもよい。
停止時間推定部503は、受信情報の情報量が大きいほど推定停止時間を長く決定してもよい。情報量と推定停止時間との関係は例えば予め設定されて、記憶部103に記憶されてもよい。
また通知の対象である受信情報がメッセージ情報(例えば受信メール)である場合、そのメッセージ情報に含まれるメッセージ本文(メール本文)が長いほど、その確認に要する時間は長い。そこで、アプリケーション実行部520はメッセージ情報の受信を通知部125に通知させるときに、メッセージ情報に含まれるメッセージ本文の情報量(テキスト情報の情報量)を算出し、その情報量を通知情報に含めて記憶部103に記憶してもよい。
停止時間推定部503はメッセージ本文の情報量が多いほど推定停止時間を長く算出してもよい。この情報量と推定停止時間との関係は例えば予め設定されて、記憶部103に記憶されていてもよい。
送信決定部510は、未確認状態でユーザ9が停止したとしても、その停止から推定停止時間が経過するまでは、所定情報の送信は不要であると判断してもよい。時間の経過は、例えばタイマ回路などの計時回路によって測定される。逆に言えば、送信決定部510は未確認状態におけるユーザ9の停止から推定停止時間が経過したときに、所定情報の送信を決定してもよい。
図22は、電子機器10の上記動作の一例を示すフローチャートである。この一連の動作は例えば所定時間ごとに実行される。ステップS501にて、停止検知部501は加速度情報を加速度センサ240から取得する。次にステップS502にて、停止検知部501はユーザ9が移動を停止しているか否かを加速度情報に基づいて判断する。ユーザ9が停止していないと停止検知部501が判断したときには、ステップS503にて、未確認停止フラグを記憶部103から消去し、ステップS504にて、移動フラグを記憶部103に記憶する。ステップS503,S504の実行順序は逆でもよい。次にステップS512にて送信決定部510は所定情報の送信を決定する。
ステップS502においてユーザ9が停止していると通知関連判断部502が判断したときには、ステップS505にて、通知関連判断部502は移動フラグが記憶されているか否かを判断する。移動フラグが記憶されていると判断したときには、ステップS506において通知関連判断部502は移動フラグを消去し、ステップS507にて、タイマ回路が出力するタイマ値を初期化する。つまり、ユーザ9が停止している状態で移動フラグが記憶されていることは、ユーザ9が移動を停止した動作を示すので、このときタイマ値を初期化しているのである。これにより、タイマ回路のタイマ値は、ユーザ9が移動を停止してからの経過時間、つまり停止時間を示す。
次にステップS508にて、通知関連判断部502は、通知内容を確認するための指示が既に入力されているか否かを判断する。当該指示が未だ入力されていないと判断したときには、ステップS509にて通知関連判断部502は未確認停止フラグを記憶部103に記憶する。次にステップS510にて、停止時間推定部503は通知に応じて推定停止時間を決定する。ステップS509,S510の実行順序は逆でもよい。次にステップS511にて、通知関連判断部502は、停止時間が推定停止時間よりも長いか否かを判断する。停止時間が推定停止時間よりも短いと判断したときには、制御部100Bは図22の動作を終了する。つまり、停止時間が推定停止時間よりも短いときには、ユーザ9は未だ通知の確認中である可能性が高い。このときユーザ9が移動を再開する可能性は低いので、電子機器10は所定情報を送信しない。
停止時間が推定停止時間よりも長いと通知関連判断部502が判断したときには、ステップS512にて、送信決定部510は所定情報の送信を決定する。つまり、停止時間が推定停止時間よりも長いときには、ユーザ9が確認を終了して移動を再開する可能性が高いので、電子機器10は所定情報を送信する。
ステップS505において移動フラグが記憶されていないと判断したときには、通知関連判断部502はステップS508を実行する。つまり、移動フラグが記憶されていないときには、タイマ値を初期化しない。これにより、タイマ回路は適切に停止時間を計時できる。
ステップS508にて、通知内容を確認するための指示が既に入力されていると判断したときには、ステップS513にて、通知関連判断部502は未確認停止フラグが記憶されているか否かを判断する。未確認停止フラグが記憶されていると判断したときには、通知関連判断部502はステップS511を実行する。つまり、ユーザ9が停止中に当該指示を入力したときには、ユーザ9は通知内容の確認中であるので、ステップS511を実行する。一方で、未確認停止フラグが記憶されていないと判断したときには、制御部100Bは図22の動作を終了する。
以上のように、ユーザ9が停止してから推定停止時間が経過する期間においては、ユーザ9が移動を再開しない限り、所定情報は送信されない(ステップS502,S505〜S511)。つまり、ユーザ9が停止し続ける可能性が高い期間においては、ユーザ9が移動を再開しない限り、所定情報が送信されない。したがって、不要な所定情報の送信を抑制できる。これによれば、通信の混雑を抑制できる。その一方で、推定停止時間が経過すると、所定情報が送信される(ステップS511,S512)。つまり、ユーザ9が移動を再開する可能性が高い期間においては、所定情報が送信される。この所定情報を受信した車両6がこれを運転者に通知することにより、運転者は、移動を再開する可能性が高い、或いは、既に移動しているユーザ9の存在を了知できる。
<推定停止時間の決定方法>
受信情報が通話の着信信号である場合、停止時間推定部503は過去の通話時間に基づいて推定停止時間を決定してもよい。この過去の通話時間は例えばアプリケーション実行部520によって記録される。具体的には、アプリケーション実行部520は通話アプリケーションにおいて、ユーザ9の通話時間を計測し、その通話の相手毎にその通話時間を通話時間情報として記憶部103に記憶する。通話時間情報は、通話相手を識別する識別情報(例えば電話番号)と、当該識別情報に対応した通話時間とを含んでいる。
例えば停止時間推定部503は、記憶部103に記憶された通知情報が通話用の着信信号の受信を示すときには、通知情報から識別情報を抽出する。そして、停止時間推定部503は、その通話相手の過去の通話時間を通話時間情報に基づいて特定し、その通話相手の過去の通話時間に基づいて推定停止時間に決定する。例えば停止時間推定部503は過去の通話時間よりも短く推定停止時間を決定する。これにより、推定停止時間を過去の通話時間よりも長く決定する場合に比べて、所定情報を送信するタイミングを早めることができる。これによれば、所定情報が送信されやすくなり、交通網の安全性を高めることができる。
また、通話相手の通話時間が複数記録されている場合には、停止時間推定部503はそれらの通話時間の統計値に基づいて推定停止時間を決定してもよい。統計値としては、例えば平均値または最小値などを採用することができる。
以上のように、停止時間推定部503は過去の通話時間に基づいて推定停止時間を決定するので、適切に推定停止時間を決定することができる。
第4の実施の形態.
人が道路において他の人とすれ違う場合、一方の人が他方の人をよけるべく、車道側に進入する場合も考えられる。例えば図23の例においては、ユーザ9,91は同じ歩道の上を互いに近づくように移動している。ユーザ91は例えば自転車に乗って移動しており、ユーザ9は例えば歩いて移動している。ユーザ9,91がすれ違うときには、ユーザ9,9の一方は他方をよけるために、車道7側に進入する可能性がある。この場合、交通事故が誘発される可能性は高いと考えられる。そこで、第4の実施の形態では、人がすれ違う可能性が高いか否かを判断することを企図する。
第4の実施の形態にかかる電子機器10の構成は第1の実施の形態と同様である。ただし、制御部100の内部構成が第1の実施の形態と相違する。第4の実施の形態にかかる制御部100を以下では制御部100Cとも呼ぶ。図24は、制御部100Cの内部構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。
制御部100Cは状況判断部600と送信決定部610とを備えている。状況判断部600は他のユーザとすれ違う可能性が高いか否かを判断することが可能である。例えば状況判断部600は近接検知部601を備えている。近接検知部601はユーザ9と他のユーザ91との近接を検知することができる。以下に詳述する。
無線通信部110は、ユーザ91の無線装置10’と直接に無線通信することが可能である。この無線装置10’は例えばユーザ91によって携帯されたり、あるいは、ユーザ91の自転車に搭載される。つまりユーザ91が移動すれば、無線装置10’もユーザ91とともに移動する。無線装置10’は電子機器10と同様の構成を有していてもよい。無線通信部110は、例えば無線LAN(Local Area Network)、無線PAN(Personal Area Network)、又は、短距離無線などの方式に準拠して、無線装置10’と直接に通信することが可能である。
近接検知部601は、無線通信部110を介して無線装置10’から信号を受信したか否かを判断することが可能である。例えば無線装置10’はブロードキャストで所定の信号(以下、近接信号とも呼ぶ)T1を周囲に送信する。無線装置10’はこの近接信号T1を繰り返し送信する。電子機器10が無線装置10’の通信可能圏内に進入すると、無線通信部110はこの近接信号T1を受信することができる。つまり、無線通信部110がこの近接信号T1を受信したときには、ユーザ9は他のユーザ91と近接している、と考えることができる。そこで、近接検知部601は近接信号T1を受信したか否かを判断し、近接信号T1を受信したときに、ユーザ9,91が近接していると判断する。
送信決定部610は近接検知部601の判断の結果に基づいて、所定情報の送信要否を判断することが可能である。例えば送信決定部610は、無線通信部110が無線装置10’から近接信号T1を受信したときに、所定情報の送信を決定してもよい。つまり、ユーザ9,91が近いときには、ユーザ9,91が遠いときに比べて、すれ違う可能性が高いので、電子機器10は所定情報を送信するのである。
図25は、電子機器10の上記動作の一例を示すフローチャートである。この一連の動作は例えば所定時間ごとに実行される。ステップS61にて、近接検知部601は、無線通信部110が無線装置10’からの近接信号T1を受信したか否かを判断する。近接信号T1を受信していないと判断したときには、制御部100Cは図25の動作を終了してもよい。近接信号T1を受信したと近接検知部601が判断したときには、ステップS62にて送信決定部610は所定情報の送信を決定する。所定情報は例えばユーザ9,91のすれ違いが生じる可能性が高いことを示す情報であってもよい。
<受信強度>
ユーザ9,91が近づくように相対的に移動している場合には、ユーザ9,91はすれ違う可能性はより高い。この場合には、電子機器10と無線装置10’との間の距離は時間の経過とともに短くなる。よって、無線通信部110が受信する近接信号T1の受信強度(電力)は、時間の経過とともに増大する。一方で、ユーザ9,91がすれ違った後に互いに遠ざかっている場合には、電子機器10と無線装置10’との間の距離は時間の経過とともに長くなる。この場合、受信強度は時間の経過とともに低減する。
そこで、図24に例示するように、状況判断部600は受信強度判断部602を備えていてもよい。受信強度判断部602は、無線装置10’から受信した近接信号T1に基づいて、その受信強度を算出することが可能である。そして、受信強度判断部602はこの受信強度が時間の経過とともに増大しているか否かを判断することが可能である。
図26は、電子機器10の上記動作の一例を示すフローチャートである。この一連の動作は例えば所定時間ごとに繰り返し実行される。ステップS601はステップS61と同一である。ステップS601にて近接信号T1を受信したと判断したときには、ステップS602にて、受信強度判断部602は、近接信号T1に基づいて受信強度を算出する。次にステップS603にて、受信強度判断部602は受信強度が増大しているか否かを判断する。例えば受信強度判断部602は、今回に算出された受信強度が前回のステップS602にて算出された受信強度よりも大きいか否かを判断する。今回の受信強度が前回の受信強度よりも大きいときには、受信強度は増大している。ステップS603にて受信強度が増大していないと判断したときには、制御部100Cは図26の動作を終了してもよい。つまり受信強度が増大していないときには、ユーザ9,91が近づいていない可能性が高いので、電子機器10は所定情報を送信しなくてもよい。
受信強度が増大していると受信強度判断部602が判断したときには、ステップS604において、送信決定部610は所定情報の送信を決定する。
以上のように、ユーザ9,91が近づいているときに所定情報を送信しているので、ユーザ9,91がすれ違う可能性がより高いときに、所定情報が送信される。
<進行方向>
ユーザ9,91が互いにすれ違うときには、ユーザ9,91の進行方向は互いに反対である。つまり、ユーザ9,91の進行方向が反対であるときには、ユーザ9,91がすれ違う可能性が高い。
無線装置10’はユーザ91の進行方向を近接信号T1に含めてもよい。無線装置10’はユーザ91の進行方向を例えば次のように推定してもよい。例えば無線装置10’は第1の実施の形態で説明したように、進行方向を移動ルートに基づいて推定してもよい。またユーザ91が道路に沿って移動している態様を想定する場合には、ユーザ91の向きを進行方向と考えてもよい。つまり、第1の実施の形態で説明した方向D1を進行方向として採用してもよい。
あるいは、ユーザ91が自転車に乗って移動しているときには、発進および停止に伴う加速度の変化は、主として進行方向に沿って生じる。よって無線装置10’は、ユーザ91が自転車に乗って移動しているか否かを加速度情報に基づいて判断し、肯定的な判断をしたときに、加速度の変化が大きい方向を加速度情報に基づいて特定し、この方向を進行方向と推定してもよい。
図24に例示するように、状況判断部600は方向判断部603を備えていてもよい。方向判断部603はユーザ9の進行方向を推定するとともに、無線装置10’からの進行方向を近接信号から抽出することが可能である。ユーザ9の進行方向の推定方法は上述の通りである。また方向判断部603は、ユーザ9の進行方向とユーザ91の進行方向との間の角度が所定の角度範囲内であるか否かを判断することが可能である。
図27は、電子機器10の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS611はステップS61と同一である。ステップS611にて近接信号T1を受信したと近接検知部601が判断したときに、ステップS612にて、方向判断部603はユーザ9の進行方向を推定する。次にステップS613にて、方向判断部603は、ユーザ91の進行方向を示す情報を近接信号T1から抽出する。ステップS612,S613の実行順序は逆でもよい。
次にステップS614にて、方向判断部603はユーザ9,91の進行方向の間の角度が所定の角度範囲内にあるか否かを判断する。所定の角度範囲は例えば予め設定されて記憶部103に記憶されてもよい。角度範囲としては、例えば180±α度の範囲を採用することができる。αは適宜に設定されればよい。当該角度が当該角度範囲にある場合、ユーザ9,91が互いに反対方向に移動しているので、すれ違う可能性が高い。
ステップS614にて、当該角度が角度範囲外であると判断したときには、制御部100Cは図27の動作を終了してもよい。当該角度が角度範囲内であると方向判断部603が判断したときには、ステップS615にて、送信決定部610は、所定情報の送信を決定する。
以上のように、電子機器10はユーザ9,91の進行方向が互いに反対であるときに所定情報を送信している。よって、ユーザ9,91がすれ違う可能性がより高いときに、所定情報が送信される。
<角度範囲>
ユーザ9,91の進行方向が同じ場合であっても、ユーザ9,91の一方が他方を追い越す場合もある。このような場合にもユーザ9,91は互いにすれ違う。そこで、角度範囲として、0度±β度の範囲を採用してもよい。βは適宜に設定されればよい。
<受信強度および進行方向>
送信決定部610は、近接信号T1の受信強度が増大しており、かつ、進行方向の角度が所定の角度範囲内にあるときに、所定情報の送信を決定してもよい。逆に言えば、送信決定部610は、受信強度が時間の経過とともに増大しておらず、または、角度が上記角度範囲外にあるときに、所定情報の送信が不要であると判断してもよい。これによれば、ユーザ9,91がすれ違う可能性がより高いときに所定情報を送信できる。
第5の実施の形態.
子供または老人は成人に比べて交通事故にあいやすい。そこで、第5の実施の形態では、ユーザの年齢に適した処理を実行できる電子機器を提供することを企図する。
第5の実施の形態にかかる電子機器10の構成は第1の実施の形態と同様である。ただし、制御部100の内部構成が第1の実施の形態と相違する。第5の実施の形態にかかる制御部100を以下では制御部100Dとも呼ぶ。図28は、制御部100Dの内部構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。
制御部100Dは年齢判断部700と送信決定部710とを備えている。年齢判断部700は、ユーザ9の年齢が所定の年齢層に属するか否かを判断することができる。ユーザ9の年齢を示す年齢情報は例えば記憶部103に記憶されている。この年齢情報は例えばユーザ9によって電子機器10に入力される。例えばユーザ9は入力部135を用いて年齢情報を入力する。制御部100Dは、入力部135から入力された年齢情報を記憶部103に記憶する。
年齢判断部700は、ユーザ9の年齢が所定の年齢層に属するか否かを、年齢情報に基づいて判断する。この所定の年齢層としては、例えば第1年齢基準値(例えば9歳)以下または第2年齢基準値(例えば70歳)以上の年齢層を採用することができる。第1年齢基準値および第2年齢基準値は例えば予め設定されて、記憶部103に記憶されていてもよい。送信決定部710は、年齢判断部700の判断の結果に基づいて、所定情報の送信要否を判断する。
図29は、電子機器10の上記動作の一例を示すフローチャートである。ステップS71にて、年齢判断部700は記憶部103から年齢情報を読み出す。次にステップS72にて、年齢判断部700はユーザ9の年齢が所定の年齢層に属するか否かを判断する。ユーザ9が所定の年齢層に属しないと年齢判断部700が判断したときには、制御部100Dは図29の動作を終了してもよい。年齢が所定の年齢層に属すると年齢判断部700が判断したときには、ステップS73にて、送信決定部710は所定情報の送信を決定する。所定情報は例えばユーザ9の年齢が当該年齢層に属することを示す情報であってもよい。
これによれば、所定の年齢層に属するユーザ9(例えば子供または老人)の存在を外部に通知することができる。例えば車両6が所定情報を運転者に通知することにより、運転者は所定の年齢層に属するユーザ9(例えば子供または老人)の存在を了知できる。
<他の実施の形態との関連>
第5の実施の形態を第1〜第4の実施の形態のいずれかに適用する場合、各送信決定部は、ユーザ9の年齢が所定の年齢層に属している限りにおいて、ユーザ9の状態に関わらず、所定情報の送信を決定してもよい。言い換えれば、ユーザ9の年齢が所定の年齢層に属するときには、第1〜第4の実施の形態で説明した所定情報の送信条件が成立するか否かに関わらず、送信決定部は所定情報の送信を決定してもよい。
また第5の実施の形態を第1の実施の形態に適用する場合、次にように適用することができる。例えば状況判断部300は、交通事故を誘発する可能性が高いか否かの判断に用いる基準値を、ユーザ9の年齢に応じて設定してもよい。例えば図10の例においては、姿勢変化検知部302は、2つの極値が所定の歩数内に存在するときに、姿勢変化を検知している。そして状況判断部300はこの検知を条件の一つとして、不安定移動を検知している。そこで、例えばユーザ9の年齢が所定の年齢層に属さないときには、例えば4つの極値が所定の歩数内に存在することを、姿勢変化の検知条件として採用し、ユーザ9の年齢が所定の年齢層に属するときには、例えば2つの極値が所定の歩数内に存在することを、姿勢変化の検知条件として採用してもよい。つまり、ユーザ9の年齢が所定の年齢層に属する場合には、姿勢変化を検知しやすいように、ひいては不安定移動を検知しやすいように、基準値(例えば極値の個数)を設定するのである。これによれば、子供および老人などの交通弱者に対しては所定情報が送信されやすい。その一方で、成人などの交通強者に対しては、姿勢変化、ひいては不安定移動をより厳密に検出して所定情報を送信することができる。
なお、交通事故を誘発する可能性の判断に用いる基準値としては、例えば第1の実施の形態で述べた第3所定期間、所定の回数、歩数基準値、角度基準値、第1角速度基準値および第2角速度基準値を採用できる。
以上のように、電子機器、電子機器の動作方法および制御プログラムは詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない多数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。