JP6745344B2 - パターン形成方法、積層体の製造方法および電子デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
<1> 樹脂および光重合開始剤を含むネガ型感光性樹脂組成物を用いて支持体上にネガ型感光性樹脂組成物層を形成し、ネガ型感光性樹脂組成物層に対して露光および現像を行って、厚さの異なる2種以上のパターンを同時に形成するパターン形成方法であって、
同時に形成する厚さの異なるパターンのうち、最も厚いパターンの厚さは、最も薄いパターンの厚さの1.5〜10倍であり、
ネガ型感光性樹脂組成物として、厚さ15μm、線幅15μm以下のパターンを解像可能な露光量の最大値と最小値との差が600mJ/cm2以上であるネガ型感光性樹脂組成物を用いる、パターン形成方法。
<2> 支持体上にネガ型感光性樹脂組成物層を2層以上積層し、2層以上積層したネガ型感光性樹脂組成物層に対して露光および現像を行って、厚さの異なる2種以上のパターンを同時に形成する、<1>に記載のパターン形成方法。
<3> 同時に形成する厚さの異なるパターンのうち、最も厚いパターンの厚さは、最も薄いパターンの厚さの1.75〜8倍である、<1>または<2>に記載のパターン形成方法。
<4> 同時に形成する厚さの異なるパターンのうち、最も厚いパターンの厚さは、最も薄いパターンの厚さの2〜6倍である、<1>または<2>に記載のパターン形成方法。
<5> ネガ型感光性樹脂組成物として、厚さ15μm、線幅15μm以下のパターンを解像可能な露光量の最大値と最小値の差が900mJ/cm2以上であるネガ型感光性樹脂組成物を用いる、<1>〜<4>のいずれか1つに記載のパターン形成方法。
<6> 樹脂がポリイミド前駆体である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載のパターン形成方法。
<7> ポリイミド前駆体が、下記式(1)で表される、<6>に記載のパターン形成方法;
<8> 式(1)中、R23およびR24の少なくとも一方が、ラジカル重合性基を含む、<7>に記載のパターン形成方法。
<9> 式(1)における、R22は、芳香環を含む4価の基である、<7>または<8>に記載のパターン形成方法。
<10> 更に、金属層を形成する工程を含む、<1>〜<9>のいずれか1つに記載のパターン形成方法。
<11> <1>〜<10>のいずれか1つに記載のパターン形成方法を含む、積層体の製造方法。
<12> <1>〜<10>のいずれか1つに記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基と共に置換基を有する基をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含める。また、露光に用いられる光としては、一般的に、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線または放射線が挙げられる。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」および「メタクリレート」の双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アリル」は、「アリル」および「メタリル」の双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」および「メタクリル」の双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」および「メタクリロイル」の双方、または、いずれかを表す。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、固形分濃度とは、組成物の総質量に対する、溶剤を除く他の成分の質量百分率である。また、固形分濃度は、特に述べない限り25℃における濃度をいう。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、特に述べない限り、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定に従い、ポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC−8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてガードカラムHZ−L、TSKgel Super HZM−M、TSKgel Super HZ4000、TSKgel Super HZ3000およびTSKgel Super HZ2000(東ソー(株)製)を用いることによって求めることができる。溶離液は特に述べない限り、THF(テトラヒドロフラン)を用いるものとする。また、検出は特に述べない限り、UV線(紫外線)の波長254nm検出器を使用したものとする。
本発明のパターン形成方法は、樹脂および光重合開始剤を含むネガ型感光性樹脂組成物を用いてネガ型感光性樹脂組成物層を形成し、ネガ型感光性樹脂組成物層に対して露光および現像を行って、厚さの異なる2種以上のパターンを同時に形成するパターン形成方法であって、同時に形成する厚さの異なるパターンのうち、最も厚いパターンの厚さは、最も薄いパターンの厚さの1.5〜10倍であり、ネガ型感光性樹脂組成物として、厚さ15μm、線幅15μm以下のパターンを解像可能な露光量の最大値と最小値との差が600mJ/cm2以上であるネガ型感光性樹脂組成物を用いることを特徴とする。
なお、本発明において、パターンの線幅とは、ネガ型感光性樹脂組成物層の現像除去部(ネガパターン)の線幅のことである。また、本発明において、下地の露出幅が、マスク寸法の0.8〜1.2倍である場合を、所望のサイズのパターンを解像できたとする。例えば、15μmの線幅のマスクを使用してパターンを形成した場合、下地の露出幅が、15±3μmである場合を、線幅15μmのパターンを解像できたとする。
本発明において、同時に形成する厚さの異なるパターンのうち、最も厚いパターンの厚さは、0.1〜100μmであることが好ましい。上限は、90μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。下限は、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることが更に好ましい。
本発明において、同時に形成する厚さの異なるパターンのうち、最も薄いパターンの厚さは、0.05〜75μmであることが好ましい。上限は、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。下限は、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることが更に好ましい。
ネガ型感光性樹脂組成物層の厚さは、加熱後の膜厚が0.05〜100μmとなるように塗布することが好ましく、1〜50μmとなるように塗布することがより好ましい。また、形成されるネガ型感光性樹脂組成物層の厚さは、必ずしも均一である必要はない。例えば、図1に示すように、凹凸のある表面上にネガ型感光性樹脂組成物層を形成する場合、厚さの異なるネガ型感光性樹脂組成物層となることがある。
加熱は、20〜150℃の温度から最高加熱温度まで1〜12℃/分の昇温速度で行うことが好ましく、2〜10℃/分がより好ましく、3〜10℃/分がさらに好ましい。昇温速度を1℃/分以上とすることにより、高い生産性を確保しつつ、アミンの過剰な揮発を防止することができ、昇温速度を12℃/分以下とすることにより、得られる膜の残存応力を緩和することができる。
加熱開始時の温度は、20〜150℃が好ましく、20℃〜130℃がより好ましく、25℃〜120℃がさらに好ましい。加熱開始時の温度は、最高加熱温度まで加熱を開始する際の温度のことをいう。例えば、ネガ型感光性樹脂組成物を支持体上に適用した後、乾燥させる場合、この乾燥後の温度が加熱開始温度である。加熱工程では、例えば、ネガ型感光性樹脂組成物に含まれる溶剤の沸点よりも30〜200℃低い温度から徐々に昇温させることが好ましい。
加熱工程においては、最高加熱温度に到達した後、10〜360分間加熱することが好ましく、20〜300分間加熱することがさらに好ましく、30〜240分間加熱することが特に好ましい。
金属層の厚さとしては、最も厚い部分で0.1〜50μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
表面活性化処理は、通常、金属層を形成した後に行うが、上記現像工程後(加熱工程をさらに行う場合は加熱工程後)のネガ型感光性樹脂組成物層に表面活性化処理を行ってから、金属層を形成してもよい。
表面活性化処理は、金属層の少なくとも一部について行うことが好ましく、金属層のうち、表面にネガ型感光性樹脂組成物層を形成する領域の一部または全部に表面活性化処理を行うことが好ましい。このように、金属層の表面に表面活性化処理を行うことにより、その表面に設けられるネガ型感光性樹脂組成物層との密着性を向上させることができる。
また、表面活性化処理は、ネガ型感光性樹脂組成物層の一部または全部についても行うことが好ましい。このように、ネガ型感光性樹脂組成物層の表面に表面活性化処理を行うことにより、表面活性化処理した表面に設けられる金属層やネガ型感光性樹脂組成物層との密着性を向上させることができる。
表面活性化処理としては、各種原料ガス(酸素、水素、アルゴン、窒素、窒素/水素混合ガス、アルゴン/酸素混合ガスなど)のプラズマ処理、コロナ放電処理、CF4/O2、NF3/O2、SF6、NF3、NF3/O2によるエッチング処理、紫外線(UV)オゾン法による表面処理、塩酸水溶液に浸漬して酸化皮膜を除去した後にアミノ基とチオール基を少なくとも一種有する化合物を含む有機表面処理剤への浸漬処理、ブラシを用いた機械的な粗面化処理から選択され、プラズマ処理が好ましく、特に原料ガスに酸素を用いた酸素プラズマ処理が好ましい。コロナ放電処理の場合、エネルギーは、500〜200000J/m2が好ましく、1000〜100000J/m2がより好ましく、10000〜50000J/m2が最も好ましい。
次に、本発明のパターン形成方法に用いるネガ型感光性樹脂組成物について説明する。以下、ネガ型感光性樹脂組成物を樹脂組成物ともいう。
本発明のパターン形成方法に用いるネガ型感光性樹脂組成物は、樹脂と光重合開始剤とを含む。本発明におけるネガ型感光性樹脂組成物は、樹脂がラジカル重合性基を含むか、あるいは、樹脂以外のラジカル重合性化合物を含むことが好ましい。以下、ネガ型感光性樹脂組成物の各成分について詳細に説明する。
本発明における樹脂組成物は、樹脂を含む。樹脂としては、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。本発明において樹脂はポリイミド前駆体であることが好ましい。ポリイミド前駆体としては、式(1)で表される繰り返し単位を含むポリイミド前駆体であることが好ましい。
式(1)
1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタンおよび1,6−ジアミノヘキサン;1,2−または1,3−ジアミノシクロペンタン、1,2−、1,3−または1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−、1,3−または1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス−(3−アミノシクロヘキシル)メタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルシクロヘキシルメタンおよびイソホロンジアミン;m−およびp−フェニレンジアミン、ジアミノトルエン、4,4’−および3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−および3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−および3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−および3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−および3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−および3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’−ジアミノパラテルフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(2−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルエーテル、1,4−ジアミノアントラキノン、1,5−ジアミノアントラキノン、3,3−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジメチル−3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4−および2,5−ジアミノクメン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、アセトグアナミン、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、2,4,6−トリメチル−m−フェニレンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、2,7−ジアミノフルオレン、2,5−ジアミノピリジン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、ジアミノベンズアニリド、ジアミノ安息香酸のエステル、1,5−ジアミノナフタレン、ジアミノベンゾトリフルオライド、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)オクタフルオロブタン、1,5−ビス(4−アミノフェニル)デカフルオロペンタン、1,7−ビス(4−アミノフェニル)テトラデカフルオロヘプタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(2−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、p−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロトリジンおよび4,4’’’−ジアミノクアテルフェニルから選ばれる少なくとも1種のジアミン。
ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ジフェニルヘキサフルオロプロパン−3,3,4,4−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,8,9,10−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、および1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、並びに、これらの炭素数1〜6のアルキル誘導体および炭素数1〜6のアルコキシ誘導体から選ばれる少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物。
式(III)において、R201は、炭素数2〜12のアルキレン基、−CH2CH(OH)CH2−または炭素数4〜30のポリオキシアルキレン基を表す。好適なR201の例としては、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,2−ブタンジイル基、1,3−ブタンジイル基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、ドデカメチレン基、−CH2CH(OH)CH2−が挙げられ、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、−CH2CH(OH)CH2−がより好ましい。R200がメチル基で、R201がエチレン基である組み合わせが特に好ましい。
環状のアルキル基は、単環の環状アルキル基であってもよく、多環の環状アルキル基であってもよい。単環の環状アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびシクロオクチル基が挙げられる。多環の環状アルキル基としては、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基、カンフェニル基、デカヒドロナフチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、カンホロイル基、ジシクロヘキシル基およびピネニル基が挙げられる。中でも、高感度化との両立の観点から、シクロヘキシル基が好ましい。
芳香族基としては、置換または無置換のベンゼン環基、ナフタレン環基、ペンタレン環基、インデン環基、アズレン環基、ヘプタレン環基、インダセン環基、ペリレン環基、ペンタセン環基、アセナフテン環基、フェナントレン環基、アントラセン環基、ナフタセン環基、クリセン環基、トリフェニレン環基、フルオレン環基、ビフェニル環基、ピロール環基、フラン環基、チオフェン環基、イミダゾール環基、オキサゾール環基、チアゾール環基、ピリジン環基、ピラジン環基、ピリミジン環基、ピリダジン環基、インドリジン環基、インドール環基、ベンゾフラン環基、ベンゾチオフェン環基、イソベンゾフラン環基、キノリジン環基、キノリン環基、フタラジン環基、ナフチリジン環基、キノキサリン環基、キノキサゾリン環基、イソキノリン環基、カルバゾール環基、フェナントリジン環基、アクリジン環基、フェナントロリン環基、チアントレン環基、クロメン環基、キサンテン環基、フェノキサチイン環基、フェノチアジン環基またはフェナジン環基が挙げられる。ベンゼン環基が好ましい。
他の繰り返し単位を含む場合、ポリイミド前駆体における、他の繰り返し単位の割合は、1〜60モル%であることが好ましく、5〜50モル%であることがより好ましい。
樹脂組成物におけるポリイミド前駆体の含有量は、樹脂組成物の全固形分に対し20〜100質量%が好ましく、50〜99質量%がより好ましく、60〜99質量%がさらに好ましく、70〜99質量%が特に好ましい。
また、本発明では、ポリイミド前駆体以外の樹脂を実質的に含まない構成とすることもできる。実質的に含まないとは、例えば、樹脂組成物に含まれるポリイミド前駆体以外の樹脂の含有量が、ポリイミド前駆体の含有量の3質量%以下であることをいう。
本発明における樹脂組成物は、更に、ラジカル重合性化合物を含有していてもよい。ラジカル重合性化合物を含有させることにより、ネガ型感光性樹脂組成物として好ましく用いることができる。更には、より耐熱性に優れた硬化膜を形成することができる。ラジカル重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合を有する基を2個以上含む化合物であることがより好ましい。ラジカル重合性化合物は、例えば、モノマー、プレポリマー、オリゴマーおよびそれらの混合物並びにそれらの多量体などの化学的形態のいずれであってもよい。エチレン性不飽和結合を有する基としては、スチリル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基および(メタ)アリル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。なお、本発明におけるラジカル重合性化合物は、上述した樹脂とは異なる成分である。
また、オリゴマータイプのラジカル重合性化合物は、典型的には比較的低い分子量の重合体であり、10個から100個のラジカル重合性モノマーが結合した重合体であることが好ましい。分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法でのポリスチレン換算の重量平均分子量が、2000〜20000であることが好ましく、2000〜15000がより好ましく、2000〜10000であることがさらに好ましい。
上記式(MO−1)〜(MO−5)で表される化合物の各々において、複数のRの内の少なくとも1つは、−OC(=O)CH=CH2、または、−OC(=O)C(CH3)=CH2で表される基を表す。
上記式(MO−1)〜(MO−5)で表される化合物の具体例としては、特開2007−269779号公報の段落0248〜0251に記載されている化合物が挙げられる。
式(i)中、(メタ)アクリロイル基の合計は3個または4個であり、mは各々独立に0〜10の整数を表し、各mの合計は0〜40の整数である。但し、各mの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
式(ii)中、(メタ)アクリロイル基の合計は5個または6個であり、nは各々独立に0〜10の整数を表し、各nの合計は0〜60の整数である。但し、各nの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
式(ii)中、nは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。また、各nの合計は、3〜60の整数が好ましく、3〜24の整数がより好ましく、6〜12の整数が特に好ましい。
式(i)または式(ii)中の−((CH2)yCH2O)−または−((CH2)yCH(CH3)O)−は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。特に、式(ii)において、6個のX全てがアクリロイル基である形態が好ましい。
市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、NKエステルM−40G、NKエステル4G、NKエステルM−9300、NKエステルA−9300、UA−7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA−40H(日本化薬(株)製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社化学(株)製)、ブレンマーPME400(日油(株)製)などが挙げられる。
また、ポリイミド前駆体とラジカル重合性化合物との質量割合(ポリイミド前駆体/ラジカル重合性化合物)は、98/2〜10/90が好ましく、95/5〜30/70がより好ましく、90/10〜50/50がさらに好ましい。ポリイミド前駆体とラジカル重合性化合物との質量割合が上記範囲であれば、硬化性および耐熱性により優れた硬化膜を形成できる。ラジカル重合性化合物は、1種のみ用いても、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明における樹脂組成物は、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、光カチオン重合開始剤、光ラジカル重合開始剤などが挙げられ、光ラジカル重合開始剤が好ましい。本発明における樹脂組成物が光ラジカル重合開始剤を含むことにより、樹脂組成物を半導体ウエハなどの支持体に適用して樹脂組成物層を形成した後、光を照射することで、ラジカルに起因する硬化が起こり、光照射部における溶解性を低下させることができる。このため、例えば、電極部のみをマスクするパターンを持つフォトマスクを介して樹脂組成物層を露光することで、電極などのパターンにしたがって、溶解性の異なる領域を簡便に作製できるという利点がある。
α−ヒドロキシケトン化合物としては、IRGACURE−184(IRGACUREは登録商標)、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959、IRGACURE−127(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
α−アミノケトン化合物としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、および、IRGACURE−379(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。α−アミノケトン化合物としては、365nmまたは405nm等の波長光源に吸収極大波長がマッチングされた特開2009−191179号公報に記載の化合物も用いることができる。
アシルホスフィン化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイドなどが挙げられる。また、市販品であるIRGACURE−819やIRGACURE−TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
メタロセン化合物としては、IRGACURE−784(BASF社製)などが例示される。
オキシム化合物の具体例としては、特開2001−233842号公報に記載の化合物、特開2000−80068号公報に記載の化合物、特開2006−342166号公報に記載の化合物を用いることができる。好ましいオキシム化合物としては、例えば、3−ベンゾオキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、および2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
最も好ましいオキシム化合物としては、特開2007−269779号公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009−191061号公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物などが挙げられる。
式中、R55〜R57は、上記式(I)のR52〜R54と同じである。
本発明における樹脂組成物は、重合禁止剤を含むことが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、p−tert−ブチルカテコール、p−ベンゾキノン、ジフェニル−p−ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、フェノチアジン、N−ニトロソジフェニルアミン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルフォプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−(1−ナフチル)ヒドロキシアミンアンモニウム塩、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−tert−ブチル)フェニルメタンなどが好適に用いられる。また、特開2015−127817号公報の段落0060に記載の重合禁止剤、および、国際公開WO2015/125469号の段落0031〜0046に記載の化合物を用いることもできる。
本発明における樹脂組成物は、光塩基発生剤を含んでいてもよい。光塩基発生剤とは、露光により塩基を発生するものであり、常温常圧の通常の条件下では活性を示さないが、外部刺激として電磁波の照射と加熱が行なわれると、塩基(塩基性物質)を発生するものであれば特に限定されるものではない。
発生する塩基性物質は、より塩基性度の高いアミノ基を有する化合物が好ましい。ポリイミド前駆体のイミド化における脱水縮合反応等に対する触媒作用が強く、より少量の添加で、より低い温度での脱水縮合反応等における触媒効果の発現が可能となるからである。つまりは、発生した塩基性物質の触媒効果が大きい為、樹脂組成物としての見た目の感度が向上する。上記触媒効果の観点からアミジン、脂肪族アミンであることが好ましい。
本発明における樹脂組成物は、熱塩基発生剤を含んでいてもよい。熱塩基発生剤としては、40℃以上に加熱すると塩基を発生する酸性化合物(A1)、および、pKa1が0〜4のアニオンとアンモニウムカチオンとを有するアンモニウム塩(A2)から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。ここで、pKa1とは、多価の酸の第一のプロトンの解離定数(Ka)の対数表示(−Log10Ka)を示す。
上記酸性化合物(A1)および上記アンモニウム塩(A2)は、加熱すると塩基を発生するので、これらの化合物から発生した塩基により、ポリイミド前駆体などの環化反応を促進でき、ポリイミド前駆体などの環化を低温で行うことができる。また、これらの化合物は、塩基により環化して硬化するポリイミド前駆体などと共存させても、加熱しなければポリイミド前駆体などの環化が殆ど進行しないので、保存安定性に優れた樹脂組成物を調製することができる。
なお、本明細書において、酸性化合物とは、化合物を容器に1g採取し、イオン交換水とテトラヒドロフランとの混合液(質量比は水/テトラヒドロフラン=1/4)を50mL加えて、室温で1時間攪拌し、得られた溶液をpHメーターを用いて、20℃にて測定したpH値が7未満である化合物を意味する。
酸性化合物(A1)およびアンモニウム塩(A2)の塩基発生温度が120℃以上であれば、保存中に塩基が発生しにくいので、安定性に優れた樹脂組成物を調製することができる。酸性化合物(A1)およびアンモニウム塩(A2)の塩基発生温度が200℃以下であれば、ポリイミド前駆体などの環化温度を低くすることができる。塩基発生温度は、例えば、示差走査熱量測定を用い、化合物を耐圧カプセル中5℃/分で250℃まで加熱し、最も温度が低い発熱ピークのピーク温度を読み取り、ピーク温度を塩基発生温度として測定することができる。
アニオンの種類は、カルボン酸アニオン、フェノールアニオン、リン酸アニオンおよび硫酸アニオンから選ばれる1種が好ましく、塩の安定性と熱分解性を両立させられるという理由からカルボン酸アニオンがより好ましい。すなわち、アンモニウム塩は、アンモニウムカチオンとカルボン酸アニオンとの塩がより好ましい。
カルボン酸アニオンは、2個以上のカルボキシル基を持つ2価以上のカルボン酸のアニオンが好ましく、2価のカルボン酸のアニオンがより好ましい。この態様によれば、樹脂組成物の安定性、硬化性および現像性をより向上できる熱塩基発生剤とすることができる。特に、2価のカルボン酸のアニオンを用いることで、樹脂組成物の安定性、硬化性および現像性をさらに向上できる。
本発明において、カルボン酸アニオンは、pKa1が4以下のカルボン酸のアニオンであることが好ましい。pKa1は、3.5以下がより好ましく、3.2以下がさらに好ましい。この態様によれば、樹脂組成物の安定性をより向上できる。
ここでpKa1とは、酸の第一解離定数の逆数の対数を表し、Determination of Organic Structures by Physical Methods(著者:Brown, H. C., McDaniel, D. H., Hafliger, O., Nachod, F. C.; 編纂:Braude, E. A., Nachod, F. C.; Academic Press, New York, 1955)や、Data for Biochemical Research(著者:Dawson, R.M.C.et al; Oxford, Clarendon Press, 1959)に記載の値を参照することができる。これらの文献に記載の無い化合物については、ACD/pKa(ACD/Labs製)のソフトを用いて構造式より算出した値を用いることとする。
σmが正の値を示す置換基の例としては、例えば、CF3基(σm=0.43)、CF3CO基(σm=0.63)、HC≡C基(σm=0.21)、CH2=CH基(σm=0.06)、Ac基(σm=0.38)、MeOCO基(σm=0.37)、MeCOCH=CH基(σm=0.21)、PhCO基(σm=0.34)、H2NCOCH2基(σm=0.06)などが挙げられる。なお、Meはメチル基を表し、Acはアセチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
R102〜R111は、それぞれ独立に、水素原子、または、炭化水素基を表し、
R150およびR151は、それぞれ独立に、炭化水素基を表し、
R104とR105、R104とR150、R107とR108、および、R109とR110は、互いに結合して環を形成していてもよく、
Ar101およびAr102は、それぞれ独立に、アリール基を表し、
nは、1以上の整数を表し、
mは、0〜5の整数を表す。
R11およびR12は、水素原子が好ましい。
炭化水素基としては、上述したR11、R12で説明した炭化水素基が挙げられる。R13〜R15は、特にアルキル基が好ましく、好ましい態様もR11、R12で説明したものと同じである。
また、発生するアミン種の塩基性や沸点の観点から、R13とR14とR15の炭素原子の総数が7〜30であることが好ましく、10〜20であることがより好ましい。
また、沸点の高いアミン種を発生しやすいという理由から、式(Y)における「−NR13R14R15」の化学式量は、80〜2000が好ましく、100〜500がより好ましい。
1価の脂肪族基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基等が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。アルキル基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基等が挙げられる。
アルケニル基の炭素数は、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましく、2〜10がさらに好ましい。アルケニル基は直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。アルケニル基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。アルケニル基としては、ビニル基、(メタ)アリル基等が挙げられる。
2価以上の脂肪族基としては、上記の1価の脂肪族基から水素原子を1個以上除いた基が挙げられる。
芳香族基は、単環であってもよく、多環であってもよい。芳香族基は、ヘテロ原子を含む芳香族複素環基であってもよい。芳香族基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。無置換が好ましい。芳香族基の具体例としては、ベンゼン環基、ナフタレン環基、ペンタレン環基、インデン環基、アズレン環基、ヘプタレン環基、インダセン環基、ペリレン環基、ペンタセン環基、アセナフテン環基、フェナントレン環基、アントラセン環基、ナフタセン環基、クリセン環基、トリフェニレン環基、フルオレン環基、ビフェニル環基、ピロール環基、フラン環基、チオフェン環基、イミダゾール環基、オキサゾール環基、チアゾール環基、ピリジン環基、ピラジン環基、ピリミジン環基、ピリダジン環基、インドリジン環基、インドール環基、ベンゾフラン環基、ベンゾチオフェン環基、イソベンゾフラン環基、キノリジン環基、キノリン環基、フタラジン環基、ナフチリジン環基、キノキサリン環基、キノキサゾリン環基、イソキノリン環基、カルバゾール環基、フェナントリジン環基、アクリジン環基、フェナントロリン環基、チアントレン環基、クロメン環基、キサンテン環基、フェノキサチイン環基、フェノチアジン環基、および、フェナジン環基が挙げられ、ベンゼン環基が最も好ましい。
芳香族基は、複数の芳香環が、単結合または後述する連結基を介して連結していてもよい。連結基としては、例えば、アルキレン基が好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐のいずれも好ましい。複数の芳香環が単結合または連結基を介して連結した基の具体例としては、ビフェニル基、ジフェニルメタン基、ジフェニルプロパン基、ジフェニルイソプロパン基、トリフェニルメタン基、テトラフェニルメタン基などが挙げられる。
R1は、カルボキシル基を有する基であることが好ましい。すなわち、R1は、下記式で表される基が好ましい。
−L2−(COOH)n
式中、L2は(n+1)価の連結基を表し、nは1以上の整数を表す。
L2が表す連結基は、上述したL1で説明した基が挙げられ、好ましい範囲も同様であり、エチレン基またはメチレン基が特に好ましく、メチレン基が最も好ましい。
nは1以上の整数を表し、1または2が好ましく、1がより好ましい。nの上限は、L2が表す連結基が取り得る置換基の最大数である。nが1であれば、200℃以下の加熱により、沸点の高い3級アミンを発生しやすい。更には、樹脂組成物の安定性を向上できる。
pは、1以上の整数を表し、1または2が好ましく、1がより好ましい。pの上限は、A1が表す有機基が取り得る置換基の最大数である。pが1であれば、200℃以下の加熱により、沸点の高い3級アミンを発生しやすい。
一般式(1a)のA1、L1、L2、m、nおよびpは、一般式(A1)で説明した範囲と同義であり、好ましい範囲も同様である。
熱塩基発生剤は、1種または2種以上を用いることができる。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
本発明における樹脂組成物は、熱ラジカル重合開始剤を含んでいてもよい。熱ラジカル重合開始剤としては、公知の熱ラジカル重合開始剤を用いることができる。熱ラジカル重合開始剤は、熱のエネルギーによってラジカルを発生し、重合性化合物などの重合反応を開始または促進させる化合物である。熱ラジカル重合開始剤を添加することによって、ポリイミド前駆体などの環化反応を進行させる際に、重合性化合物などの重合反応を進行させることができる。また、ポリイミド前駆体がラジカル重合性基を含む場合は、ポリイミド前駆体の環化と共に、ポリイミド前駆体の重合反応を進行させることもできるので、より高耐熱化が達成できることとなる。
熱ラジカル重合開始剤としては、芳香族ケトン類、オニウム塩化合物、過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アゾ系化合物等が挙げられる。中でも、過酸化物またはアゾ系化合物がより好ましく、過酸化物が特に好ましい。
本発明で用いる熱ラジカル重合開始剤は、10時間半減期温度が90〜130℃であることが好ましく、100〜120℃であることがより好ましい。
具体的には、特開2008−63554号公報の段落番号0074〜0118に記載されている化合物が挙げられる。
市販品では、パーブチルZおよびパークミルD(日油(株)製)を好適に用いることができる。
本発明における樹脂組成物には、防錆剤を含有することが好ましい。樹脂組成物が防錆剤を含むことにより、金属層(金属配線)由来の金属イオンが樹脂組成物層内へ移動することを効果的に抑制できる。防錆剤としては、特開2013−15701号公報の段落0094に記載の防錆剤、特開2009−283711号公報の段落0073〜0076に記載の化合物、特開2011−59656号公報の段落0052に記載の化合物、特開2012−194520号公報の段落0114、0116および0118に記載の化合物などを使用することができる。具体的には、複素環(ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、2H−ピラン環および6H−ピラン環、トリアジン環)を有する化合物、チオ尿素類およびメルカプト基を有する化合物、ヒンダードフェノール系化合物、サリチル酸誘導体系化合物、ヒドラジド誘導体系化合物が挙げられる。なかでも、トリアゾール、ベンゾトリアゾール等のトリアゾール系化合物、テトラゾール、ベンゾテトラゾール等のテトラゾール系化合物が好ましく、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾールがより好ましく、1H−テトラゾールが最も好ましい。市販品としては、KEMITEC BT−C(ケミプロ化成(株)製、1,2,3−ベンゾトリアゾール)、1HT(東洋紡(株)製、1H−テトラゾール)、P5T(東洋紡(株)製、5−フェニル−1H−テトラゾール)などが挙げられる。また、KEMINOX 179(ケミプロ化成(株)製)を用いることも好ましい。
本発明における樹脂組成物は、電極や配線などに用いられる金属材料との接着性を向上させるためシランカップリング剤を含んでいることが好ましい。シランカップリング剤の例としては、特開2014−191002号公報の段落0062〜0073に記載の化合物、国際公開WO2011/080992A1号の段落0063〜0071に記載の化合物、特開2014−191252号公報の段落0060〜0061に記載の化合物、特開2014−41264号公報の段落0045〜0052に記載の化合物、国際公開WO2014/097594号の段落0055に記載の化合物が挙げられる。また、特開2011−128358号公報の段落0050〜0058に記載のように異なる2種以上のシランカップリング剤を用いることも好ましい。また、シランカップリング剤は、2−((3−(トリエトキシシリル)プロピル)カルバモイル)安息香酸、トリエトキシシリルプロピルマレインアミド酸、下記化合物を用いることも好ましい。以下の式中、Etはエチル基を表す。市販品としては、KBM−602(信越化学工業(株)製、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)などを用いることもできる。
本発明において、樹脂組成物を塗布によって層状にする場合、樹脂組成物に溶剤を配合することが好ましい。溶剤としては、公知の溶剤を任意に使用できる。例えば、エステル類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類、スルホキシド類などの化合物が挙げられる。
エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、アルキルオキシ酢酸アルキル(例えば、アルキルオキシ酢酸メチル、アルキルオキシ酢酸エチル、アルキルオキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば3−アルキルオキシプロピオン酸メチル、3−アルキルオキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、2−アルキルオキシプロピオン酸メチル、2−アルキルオキシプロピオン酸エチル、2−アルキルオキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−アルキルオキシ−2−メチルプロピオン酸メチルおよび2−アルキルオキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等が好適に挙げられる。
エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が好適に挙げられる。
ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、N−メチル−2−ピロリドン等が好適に挙げられる。
芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン、アニソール、リモネン等が好適に挙げられる。
スルホキシド類としてジメチルスルホキシド等が好適に挙げられる。
溶剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。溶剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
また、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN,N−ジメチルホルムアミドの含有量は、膜強度の観点から、樹脂組成物の全質量に対して5質量%未満が好ましく、1質量%未満がより好ましく、0.5質量%未満がさらに好ましく、0.1質量%未満が一層好ましい。
本発明における樹脂組成物は、増感色素を含んでいてもよい。増感色素は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感色素は、熱塩基発生剤、光塩基発生剤、熱ラジカル重合開始剤、光重合開始剤などと接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより、熱塩基発生剤、光塩基発生剤、熱ラジカル重合開始剤、光重合開始剤は化学変化を起こして分解し、ラジカル、酸或いは塩基を生成する。増感色素の詳細については、特開2016−027357号公報の段落0161〜0163の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。樹脂組成物が増感色素を含む場合、増感色素の含有量は、樹脂組成物の全固形分に対し、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、0.5〜10質量%がさらに好ましい。増感色素は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明における樹脂組成物は、連鎖移動剤を含有してもよい。連鎖移動剤は、例えば高分子辞典第三版(高分子学会編、2005年)683−684頁に定義されている。連鎖移動剤としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成し得る。特に、チオール化合物(例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類、2−メルカプトベンズチアゾール類、2−メルカプトベンズオキサゾール類、3−メルカプトトリアゾール類、5−メルカプトテトラゾール類等)を好ましく用いることができる。樹脂組成物が連鎖移動剤を含有する場合、連鎖移動剤の含有量は、樹脂組成物の全固形分100質量部に対し、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部、さらに好ましくは1〜5質量部である。連鎖移動剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。連鎖移動剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
本発明における樹脂組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。また、下記界面活性剤も好ましい。
本発明における樹脂組成物には、酸素に起因する重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体を添加して、塗布後の乾燥の過程で組成物の表面に偏在させてもよい。樹脂組成物が高級脂肪酸誘導体を有する場合、高級脂肪酸誘導体の含有量は、樹脂組成物の全固形分に対して、0.1〜10質量%が好ましい。高級脂肪酸誘導体は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。高級脂肪酸誘導体が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
本発明における樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、各種添加物、例えば、無機粒子、硬化剤、硬化触媒、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加剤を配合する場合、その合計配合量は樹脂組成物の固形分の3質量%以下とすることが好ましい。
本発明における樹脂組成物の水分含有量は、塗布面性状の観点から、5質量%未満が好ましく、1質量%未満がさらに好ましく、0.6質量%未満が特に好ましい。
また、樹脂組成物に意図せずに含まれる金属不純物を低減する方法としては、樹脂組成物を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、樹脂組成物を構成する原料に対してフィルター濾過を行う、装置内をポリテトラフロロエチレン等でライニングしてコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法を挙げることができる。
樹脂組成物は、上記各成分を混合して調製することができる。混合方法は特に限定はなく、従来公知の方法で行うことができる。
また、樹脂組成物中のゴミや微粒子等の異物を除去する目的で、フィルターを用いたろ過を行うことが好ましい。フィルター孔径は、1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.1μm以下がさらに好ましい。フィルターの材質は、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンまたはナイロンが好ましい。フィルターは、有機溶剤であらかじめ洗浄したものを用いてもよい。フィルターろ過工程では、複数種のフィルターを直列または並列に接続して用いてもよい。複数種のフィルターを使用する場合は、孔径および/または材質が異なるフィルターを組み合わせて使用しても良い。また、各種材料を複数回ろ過してもよい。複数回ろ過する場合は、循環ろ過であっても良い。また、加圧してろ過を行ってもよい。加圧してろ過を行う場合、加圧する圧力は0.05MPa以上0.3MPa以下が好ましい。
フィルターを用いたろ過の他、吸着材を用いた不純物の除去処理を行っても良い。フィルターろ過と吸着材を用いた不純物除去処理とを組み合わせても良い。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができる。例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機系吸着材、活性炭などの有機系吸着材が挙げられる。
次に、本発明の積層体の製造方法について説明する。本発明の積層体の製造方法は、上述した本発明のパターン形成方法を含む。
金属層301上には、樹脂層202が形成されている。樹脂層202には所望のパターンが形成されて金属層301の一部が樹脂層202から露出している。このパターンはネガ型現像によって形成されている。樹脂層202の表面には金属層302が形成されている。この金属層302は樹脂層202に形成された溝402の表面の一部を覆うように形成され、樹脂層202から露出した金属層301と電気的に接続している。
金属層302上には、樹脂層203が形成されている。樹脂層203には所望のパターンが形成されて、金属層302の一部が樹脂層203から露出している。このパターンはネガ型現像によって形成されている。樹脂層203の表面には金属層303が形成されている。この金属層303は樹脂層203に形成された溝403の表面の一部を覆うように形成されており、樹脂層203から露出した金属層302と電気的に接続している。
金属層303上には、樹脂層204が形成されている。樹脂層204には所望のパターンが形成されて、金属層303の一部が樹脂層204から露出している。また、図3では金属層302の一部も樹脂層204から露出している。
この積層体は、樹脂層201〜204が絶縁膜として働き、金属層301〜303が配線層として機能する。このような積層体は、電子デバイスにおける再配線層として好ましく用いることができる。
次に、本発明の電子デバイスの製造方法を説明する。本発明の電子デバイスの製造方法は、上述した本発明のパターン形成方法を含む。本発明のパターン形成方法を適用して得られる電子デバイスの一実施形態について図面を用いて説明する。図4に示す電子デバイス100は、いわゆる3次元実装デバイスであり、複数の半導体素子(半導体チップ)101a〜101dが積層した積層体101が、配線基板120上に配置されている。なお、この実施形態では、半導体素子(半導体チップ)の積層数が4層である場合を中心に説明するが、半導体素子(半導体チップ)の積層数は特に限定されるものではなく、例えば、2層、8層、16層、32層等であってもよい。また、1層であってもよい。
最上段の半導体素子101aは、貫通電極を有さず、その一方の面に電極パッド(図示せず)が形成されている。
半導体素子101b〜101dは、貫通電極102b〜102dを有し、各半導体素子の両面には、貫通電極に一体に設けられた接続パッド(図示せず)が設けられている。
すなわち、貫通電極を有さない半導体素子101aの電極パッドと、これに隣接する貫通電極102bを有する半導体素子101bの半導体素子101a側の接続パッドが、半田バンプ等の金属バンプ103aで接続され、貫通電極102bを有する半導体素子101bの他側の接続パッドが、それに隣接する貫通電極102cを有する半導体素子101cの半導体素子101b側の接続パッドと、半田バンプ等の金属バンプ103bで接続されている。同様に、貫通電極102cを有する半導体素子101cの他側の接続パッドが、それに隣接する貫通電極102dを有する半導体素子101dの半導体素子101c側の接続パッドと、半田バンプ等の金属バンプ103cで接続されている。
配線基板120としては、例えば樹脂基板、セラミックス基板、ガラス基板等の絶縁基板を基材として用いた多層配線基板が使用される。樹脂基板を適用した配線基板120としては、多層銅張積層板(多層プリント配線板)等が挙げられる。
配線基板120と積層体101との間には、再配線層105が形成された絶縁層115が配置されており、配線基板120と積層体101とは、再配線層105を介して電気的に接続されている。絶縁層115は、本発明のパターン形成方法を用いて形成してなるものである。絶縁層115は、図3に示すような多層配線構造の積層体であってもよい。
再配線層105の一端は、半田バンプ等の金属バンプ103dを介して、半導体素子101dの再配線層105側の面に形成された電極パッドに接続されている。また、再配線層105の他端は、配線基板の表面電極120aと、半田バンプ等の金属バンプ103eを介して接続している。
そして、絶縁層115と積層体101との間には、アンダーフィル層110aが形成されている。また、絶縁層115と配線基板120との間には、アンダーフィル層110bが形成されている。
[ピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジアニリンおよびベンジルアルコールからのポリイミド前駆体(P−1:ラジカル重合性基を有さないポリイミド前駆体)の合成]
14.06g(64.5ミリモル)のピロメリット酸二無水物(140℃で12時間乾燥)と、14.22g(131.58ミリモル)のベンジルアルコールとを、50mlのN−メチルピロリドンに懸濁させ、モレキュラーシーブで乾燥させた。懸濁液を100℃で3時間加熱した。加熱を開始してから数分後に透明な溶液が得られた。反応混合物を室温に冷却し、21.43g(270.9ミリモル)のピリジンおよび90mlのN−メチルピロリドンを加えた。次いで、反応混合物を−10℃に冷却し、温度を−10±4℃に保ちながら16.12g(135.5ミリモル)のSOCl2を10分かけて加えた。SOCl2を加えている間、粘度が増加した。50mlのN−メチルピロリドンで希釈した後、反応混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、100mlのN−メチルピロリドンに11.08g(58.7ミリモル)の4,4’−オキシジアニリンを溶解させた溶液を、20〜23℃で20分かけて反応混合物に滴下した。次いで、反応混合物を室温で1晩撹拌した。次いで、5リットルの水の中でポリイミド前駆体を沈殿させ、水−ポリイミド前駆体混合物を5000rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体を濾取し、再度4リットルの水に投入してさらに30分間撹拌し再び濾過した。次いで、得られたポリイミド前駆体を減圧下で、45℃で3日間乾燥し、下記式で表される繰り返し単位を含むポリイミド前駆体(P−1)を得た。
[ピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジアニリンおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレートからのポリイミド前駆体(P−2:ラジカル重合性基を有するポリイミド前駆体)の合成]
14.06g(64.5ミリモル)のピロメリット酸二無水物(140℃で12時間乾燥した)と、18.6g(129ミリモル)の2−ヒドロキシエチルメタクリレートと、0.05gのハイドロキノンと、10.7gのピリジンと、140gのダイグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)とを混合し、60℃の温度で18時間撹拌して、ピロメリット酸と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとのジエステルを製造した。次いで、得られたジエステルをSOCl2により塩素化した後、合成例1と同様の方法で4,4’−オキシジアニリンでポリイミド前駆体に変換し、合成例1と同様の方法で、下記式で表される繰り返し単位を含むポリイミド前駆体(P−2)を得た。
[4,4’−オキシジフタル酸無水物、4,4’−オキシジアニリンおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレートからのポリイミド前駆体(P−3:ラジカル重合性基を有するポリイミド前駆体)の合成]
20.0g(64.5ミリモル)の4,4’−オキシジフタル酸無水物(140℃で12時間乾燥した)と、18.6g(129ミリモル)の2−ヒドロキシエチルメタクリレートと、0.05gのハイドロキノンと、10.7gのピリジンと、140gのダイグライムとを混合し、60℃の温度で18時間撹拌して、4,4’−オキシジフタル酸と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとのジエステルを製造した。次いで、得られたジエステルをSOCl2により塩素化した後、合成例1と同様の方法で4,4’−オキシジアニリンでポリイミド前駆体に変換し、合成例1と同様の方法で、下記式で表される繰り返し単位を含むポリイミド前駆体(P−3)を得た。
[4,4’−オキシジフタル酸無水物、および4,4’−オキシジアニリンからのポリイミド前駆体(P−4:カルボキシル基を有するポリイミド前駆体)の合成]
20.0g(64.5ミリモル)の4,4’−オキシジフタル酸無水物(140℃で12時間乾燥した)を180mlのNMP(N−メチル−2−ピロリドン)に溶解させて、さらに21.43g(270.9ミリモル)のピリジンを加えて、反応液を−10℃に冷却し、温度を−10±4℃に保ちながら、11.08g(58.7ミリモル)の4,4’−オキシジアニリンをNMP100mlに溶解させた溶解液を30分かけて滴下し、次いで反応混合液を室温で1晩撹拌した。次いで、5リットルの水に投入してポリイミド前駆体を沈殿させ、水−ポリイミド前駆体混合物を5000rpmの速度で15分間撹拌した。ポリイミド前駆体を濾取し、再度4リットルの水に投入してさらに30分間撹拌し、再び濾取した。次いで、得られたポリイミド前駆体を減圧下、45℃で3日間乾燥して、下記式で表される繰り返し単位を含むポリイミド前駆体(P−4)を得た。
27.0g(153.2ミリモル)のベンジルメタクリレート、20g(157.3ミリモル)のN−イソプロピルメタクリルアミド、39g(309.2ミリモル)のメタクリル酸アリル、13g(151.0ミリモル)のメタクリル酸、重合開始剤(V−601、和光純薬工業製)3.55g(15.4ミリモル)、および3−メトキシ−2−プロパノール300gを混合した。混合液を、窒素雰囲気下、75℃に加熱した3−メトキシ−2−プロパノール300gの中に、2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに窒素雰囲気下、75℃で2時間撹拌した。反応終了後、5リットルの水に投入してポリマーを沈殿させて、5000rpmの速度で15分間撹拌した。アクリル樹脂を濾取し、再度4リットルの水に投入してさらに30分間撹拌し、再び濾取した。次いで、得られたアクリル樹脂を減圧下、45℃で3日間乾燥して、下記式で表されるアクリル系ポリマー(P−6)を得た。
下記記載の成分を混合し、均一な溶液として、ネガ型感光性樹脂組成物の塗布液を調製した。
(組成)
樹脂:下記表に記載の質量部
ラジカル重合性化合物:下記表に記載の質量部
光ラジカル重合開始剤:下記表に記載の質量部
シランカップリング剤:下記表に記載の質量部
防錆剤:下記表に記載の質量部
重合禁止剤:下記表に記載の質量部
塩基発生剤:下記表に記載の質量部
溶剤1(ジメチルスルホキシド):100質量部
溶剤2(γ−ブチロラクトン):25質量部
Si基板上に、ネガ型感光性樹脂組成物を塗布して、塗布膜を形成した。次いで、100℃のホットプレートを用いて240秒間加熱処理を行い膜厚15μmのネガ型感光性樹脂組成物層を形成した。次いで、ネガ型感光性樹脂組成物層に対し、ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、15μm四方のベイヤーを有するパターンマスクを介してi線(365nmの波長の光)を100〜1000mJ/cm2にて100mJ/cm2ずつ露光量を変化させて照射し、次いで、露光後のネガ型感光性樹脂組成物層が形成されているSi基板をスピン・シャワー現像機(DW−30型;(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、シクロペンタノンを用いて23℃で60秒間現像を行なって未露光部を現像除去してパターンを形成した。ネガ型感光性組成物の解像性を以下の基準で評価した。なお、下地基板の露出幅が15μm±3μmである場合を、線幅15μmのパターン(15μm四方のパターン)を解像可能であるとした。
A:厚さ15μm、線幅15μmのパターンを解像可能な露光量の最大値と最小値との差が900mJ/cm2以上である。
B:厚さ15μm、線幅15μmのパターンを解像可能な露光量の最大値と最小値との差が600mJ/cm2以上900mJ/cm2未満である。
C:厚さ15μm、線幅15μmのパターンを解像可能な露光量の最大値と最小値との差が600mJ/cm2未満である。
(樹脂)
P−1〜P−4:合成例1〜4で合成したポリイミド前駆体(P−1)〜(P−4)
P−5:Matrimid5218(Huntsman Corporation製、閉環型ポリイミド)
P−6:合成例5で合成したアクリル系ポリマー(P−6)
P−7:ポリメタクリル酸メチル(Mw=15000、シグマアルドリッチジャパン合同会社製)
B−1:SR209(サートマー社製、テトラエチレングリコールジアクリレート)
B−2:NKエステルA−9300(新中村化学工業(株)製、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート)
B−3:A−TMMT(新中村化学工業(株)製、ペンタエリスリトールテトラアクリレート)
B−4:A−DPH(新中村化学工業(株)製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
C−1:IRGACURE OXE 01(BASF社製、オキシム化合物)
C−2:IRGACURE OXE 02(BASF社製、オキシム化合物)
C−3:IRGACURE−784(BASF製、メタロセン化合物)
C−4:アデカアークルズNCI−831((株)ADEKA製、オキシム化合物)
D−1:KBM−602(信越化学工業(株)製、アミノ基を有するシラン化合物)
D−2:2−((3−(トリエトキシシリル)プロピル)カルバモイル)安息香酸(Aquila Pharmatech LLC製、カルボキシル基を有するシラン化合物)
D−3:トリエトキシシリルプロピルマレインアミド酸(Gelest,Inc製、カルボキシル基を有するシラン化合物)
E−1:KEMITEC BT−C(ケミプロ化成(株)製、1,2,3−ベンゾトリアゾール)
E−2:1HT(東洋紡(株)製、1H−テトラゾール)
E−3:P5T(東洋紡(株)製、5−フェニル−1H−テトラゾール)
F−1:4−メトキシフェノール
F−2:pーベンゾキノン
F−3:1−ニトロソ−2−ナフトール
A−1、A−21、A−40:下記構造の化合物(熱塩基発生剤)
A−43:WPBG−266(和光純薬工業(株)製、光塩基発生剤。加熱によって分解して塩基を発生する化合物でもある)
図5に示す段差を有するSi基板(t1〜t8=2μm、t9=0.5μm、t10=0.5μm、t11=1μm)上に、ネガ型感光性樹脂組成物を塗布し、一番厚い箇所で塗布膜の乾燥後の膜厚T1が20μmになるように、塗布回転数を調整して塗膜を形成し、100℃のホットプレートを用いて240秒間加熱処理を行い、ネガ型感光性樹脂組成物層を形成した。ネガ型感光性樹脂組成物層に対し、ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、15μm四方のベイヤーを有するパターンマスクを介してi線(365nmの波長の光)を100〜1000mJ/cm2にて100mJ/cm2ずつ露光量を変化させて照射した。次いで、露光後のネガ型感光性樹脂組成物層が形成されているSi基板をスピン・シャワー現像機(DW−30型;(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置してシクロペンタノンを用いて23℃で60秒間現像を行ない、未露光部を現像除去した。次いで、窒素オーブンにて230℃で180分間加熱処理を実施することで、Si基板の各段差上にパターンを形成した。なお、図5において形成されるパターンの厚みは、2μm、3μm、3.5μm、4μm、6μm、8μm、10μm、12μm、14μm、16μm、18μm、20μmである。
以下の基準で解像性を評価した。なお、現像後における下地基板の露出幅が15μm±3μmである場合を、線幅15μmのパターン(15μm四方のパターン)を解像可能であるとした。
A:厚さ2〜20μmの範囲にて、線幅15μmのパターンを形成できた。
B:厚さ2〜16μmの範囲にて、線幅15μmのパターンを形成できたが、厚さ16μmを超える部分において、線幅15μmのパターンを形成できなかった。
C:厚さ2〜12μmの範囲にて、線幅15μmのパターンを形成できたが、厚さ12μmを超える部分において、線幅15μmのパターンを形成できなかった。
D:上記A〜Cのいずれにも該当しない。
厚さ2〜20μmのいずれにおいても、線幅15μmのパターンを形成できなかった。
11:ネガ型感光性樹脂組成物層
20:支持体
50:マスク
100:電子デバイス
101a〜101d:半導体素子
101:積層体
102b〜102d:貫通電極
103a〜103e:金属バンプ
105:再配線層
110、110a、110b:アンダーフィル層
115:絶縁層
120:配線基板
120a:表面電極
201〜204:樹脂層
301〜303:金属層
401〜403:溝
500:積層体
Claims (12)
- 樹脂および光重合開始剤を含むネガ型感光性樹脂組成物を用いて支持体上にネガ型感光性樹脂組成物層を形成し、前記ネガ型感光性樹脂組成物層に対して露光および現像を行って、厚さの異なる2種以上のパターンを同時に形成するパターン形成方法であって、
同時に形成する厚さの異なるパターンのうち、最も厚いパターンの厚さは、最も薄いパターンの厚さの1.5〜10倍であり、
前記ネガ型感光性樹脂組成物として、厚さ15μm、線幅15μm以下のパターンを解像可能な露光量の最大値と最小値との差が600mJ/cm2以上であるネガ型感光性樹脂組成物を用い、
前記樹脂がポリイミド前駆体であり、
前記露光と同じ波長の露光における、厚さ15μm、線幅15μm以下のパターンを解像可能な露光量の最小値が50〜500mJ/cm 2 である、パターン形成方法。 - 前記ネガ型感光性樹脂組成物がラジカル重合性化合物を含み、前記ネガ型感光性樹脂組成物における前記樹脂と前記ラジカル重合性化合物の質量比が5:1〜10:1であり、前記ネガ型感光性樹脂組成物における前記ラジカル重合性化合物と前記光重合開始剤の質量比が2:1〜8:1である、請求項1に記載のパターン形成方法。
- 支持体上に前記ネガ型感光性樹脂組成物層を2層以上積層し、前記2層以上積層したネガ型感光性樹脂組成物層に対して露光および現像を行って、厚さの異なる2種以上のパターンを同時に形成する、請求項1または2に記載のパターン形成方法。
- 同時に形成する厚さの異なるパターンのうち、最も厚いパターンの厚さは、最も薄いパターンの厚さの1.75〜8倍である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 同時に形成する厚さの異なるパターンのうち、最も厚いパターンの厚さは、最も薄いパターンの厚さの2〜6倍である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記ネガ型感光性樹脂組成物として、厚さ15μm、線幅15μm以下のパターンを解像可能な露光量の最大値と最小値の差が900mJ/cm2以上であるネガ型感光性樹脂組成物を用いる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記ポリイミド前駆体が、下記式(1)で表される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン形成方法;
- 前記式(1)中、R23およびR24の少なくとも一方が、ラジカル重合性基を含む、請求項7に記載のパターン形成方法。
- 前記式(1)における、R22は、芳香環を含む4価の基である、請求項7または8に記載のパターン形成方法。
- 更に、金属層を形成する工程を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載のパターン形成方法を含む、積層体の製造方法。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
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