JP6745244B2 - アレイコイル及び磁気共鳴撮像装置 - Google Patents

アレイコイル及び磁気共鳴撮像装置 Download PDF

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Description

本発明は、磁気共鳴撮像(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置に関り、特に高周波磁場(RF磁場)を照射して核磁気共鳴信号を検出するRFコイルに関する。
MRI装置は、核磁気共鳴現象を用いて被写体を横切る任意の断面を画像化する装置である。具体的には、MRI装置は、空間的に均一な磁場(静磁場)中に置かれた被写体に対しRF磁場を照射して核磁気共鳴を起こし、発生する核磁気共鳴信号を検出し、検出した信号に画像処理を施すことで断面画像を取得する。
被写体にRF磁場を照射したり、被写体から発生する核磁気共鳴信号を検出したりする装置をRFコイル(以下、RF(Radio Frequency)コイルという)と呼ぶ。RFコイルは、RF磁場の照射及び検出を行うループ部(コイルループ)を有する。このコイルループを小さくすればするほど感度領域は狭くなるが、感度が高くなる。一方、コイルループを大きくすれば感度領域を広げることができる。このように、RFコイルでは、感度の高さと、感度領域の広さとは、トレードオフの関係にある。
また、核磁気共鳴信号は、磁石が作る静磁場と垂直な方向に生じる回転磁場の信号であるため、RFコイルは静磁場と垂直な方向の磁場を照射、検出できる向きに配置することが好ましい。
前述の通り、RFコイルは、小さいほど感度は高くなるが、感度領域が狭くなる。これを解決するものとして、感度の高い小径RFコイルをアレイ状に複数配置した多チャンネルアレイコイルがある(例えば、非特許文献1参照)。多チャンネルアレイコイルは高感度と広い感度領域を有するため、高いSNR(Signal to Noise Ratio:信号対ノイズ比)の画像を取得でき、現在の受信RFコイルの主流となっている。
通常同じ共振特性を持ったRFコイルが互いに近くに配置されると、それらは磁気結合により干渉する。磁気結合による干渉はRFコイルの性能を劣化させるため、多チャンネルアレイコイルでは、RFコイル間の磁気結合の除去は必須である。そこで、非特許文献1では、隣り合ったRFコイルのコイルループの一部が重なり合うように配置することで、磁気結合を最大限低下させている。さらに低入力のプリアンプとインダクタとキャパシタとを用いて、コイルループの一部を高インピーダンスにすることによって、当該RFコイル以外からの干渉を低減させている。
また特許文献1や特許文献2には、多チャンネルコイルについて、デカップリング手段を設けることで、多チャンネルコイルを構成するRFコイル間の磁気結合を低減する技術が開示されている。また特許文献3では磁気結合を有効に用いることで高い感度が実現できる技術が開示されている。
このように、近年RFコイルでは、多チャンネル化を図り、磁気結合による干渉を低減させることによってその感度を向上させている。
特許第3197262号公報 特開2002−119495号公報 特開2016−054785号公報
Roemer PB他著、「NMR フェーズドアレイ(The NMR Phased Array)」、ジャーナル オブ マグネティックレゾナンス(Journal of Magnetic Resonance)、USA、1990、16、p.192−225
しかしながら、RFコイルでは、被写体から生じている熱雑音もコイルが作る電場を介してノイズとして検出される。このため、RFコイルの感度を向上させるには、磁気結合による干渉を低減させるだけでは足りず、被写体から生じる熱雑音によるノイズも考慮する必要がある。
ここで、一般的に、熱雑音によるノイズはGauss型のノイズである。よって理想的にノイズが独立している場合の合成信号のノイズはチャンネル数の1/2乗で増加することとなる。しかしながらアレイコイルでは、互いに隣接するチャンネルにおいて、一方のRFコイルで作る電場が被写体を介して他方のRFコイルへ電流を誘起するため、検出されたノイズは被写体を介して共有され、相関を持ったノイズが両方のチャンネルで検出される。このためノイズが共有されている場合は、合成信号のノイズはチャンネル数の1/2乗よりも速いペースで増加する。
よってノイズに相関が強く生じるような多チャンネルアレイコイル(特に32ch以上のアレイコイル)では、さらにチャンネル数を増やしてもノイズばかりが大きくなり期待通りのSNRが上昇しないということが起こり得る。つまり、更なる多チャンネル化を図ったとしても、チャンネル数の増加に見合った効果を得ることができない。
ところで、非特許文献1ではノイズ相関マトリックスを用いてノイズを最小化しSNRを最大化する画像再構成方法が提案されているが、ノイズ相関マトリックスが正しく求まらない場合やSNRが低い場合は、この手法は逆にSNRを低下させることがある。
また特許文献3ではコイル同士を磁気結合させることで高い感度を得る方法が提案されているが、磁気結合するコイルが互いに信号を検出するRFコイルであるため、コイルの調整が困難なことがある。したがって、何れの手法もノイズ低減が十分でない場合があり、SNRを向上させることが困難であった。
本発明は、上記実情に鑑みて成されたもので、アレイコイルにおけるノイズを低減させ、SNRを向上させた画像を取得することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、導体からなる第一のループコイル部を有し、被写体からの磁気共鳴信号の受信が可能な第一のRFコイルと、導体からなる第二のループコイル部を有し、被写体からの磁気共鳴信号の受信が可能であり、前記第一のRFコイルと磁気結合が除去された第二のRFコイルと、少なくとも一つの導体の端部が互いに接続されたループ部を有し、前記第一のRFコイル及び前記第二のRFコイルと磁気結合された電界生成回路と、を備え、該電界生成回路は、前記第一のRFコイルにより前記電界生成回路に誘起される第一のサブ電流と、前記第二のRFコイルにより前記電界生成回路に誘起される第二のサブ電流とによって、被写体内にそれぞれ生成する電場の内積の体積積分値が、前記第一のループコイル部に流れる第一の電流と、前記第二のループコイル部のRFコイルに流れる第二の電流とによって被写体内に生成する電場の内積の体積積分値を相殺するような符号及び値となるように、配置調整されるアレイコイルを提供する。
また、本発明の他の態様は、静磁場を形成する静磁場形成部と、傾斜磁場を形成する傾斜磁場形成部と、前記静磁場に配置された検査対象にRF磁場を照射する送信RFコイルと、前記検査対象からの核磁気共鳴信号を検出する受信RFコイルと、前記受信RFコイルが検出した核磁気共鳴信号を処理する信号処理部と、を備え、前記受信RFコイルが、上述したアレイコイルである磁気共鳴撮像装置を提供する。
本発明によれば、アレイコイルにおけるノイズを低減させ、SNRを向上させた画像を取得することができる。
本発明の実施形態に係るMRI装置の外観図であり、それぞれ(a)は水平磁場方式のMRI装置、(b)は、オープン型の垂直磁場方式のMRI装置の外観図である。 MRI装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係るMRI装置における送信RFコイルと受信RFコイルの接続を説明するための説明図である。 (a)は、送信RFコイルとして用いる鳥かご型RFコイルの構成を示す図であり、(b)は、送信RFコイルの送受間磁気結合防止回路の一例を示す図である。 (a)は、受信RFコイルとして用いるアレイコイルの一実施形態を示す図であり、(b)および(c)は、受信RFコイルの送受間磁気結合防止回路の例を示す図である。 (a)〜(b)は、従来アレイコイルの動作と作用を説明するための説明図である。 (a)〜(d)は、実施例1のアレイコイルの動作と作用を説明するための説明図である。 (a)〜(c)は、それぞれ、本実施形態の変形例を示す図である。 (a)は実施例1の調整例を説明する図あり、(b)はその配置を説明する図である。 (a)〜(c)は、RFコイルと導体ループが磁気結合して電流を誘起する原理を説明する図である。 (a)は、実施例および比較例の感度プロファイルのグラフであり、(b)はサブ電流の電流比とノイズ相関との関係を示すグラフである。 実施例2に係るアレイコイルの動作を説明するための回路を示す図である。 (a)および(b)は、導体ループを使用していない従来の二つのRFコイルが作る電場の内積分布を説明する説明図である。 実施例2に係るアレイコイルの内積分布を説明する図であるであり、(a)は、被写体とアレイコイルの配置例を示し、(b)は信号受信時に第一のRFコイルに第一の電流が流れた場合の動作を示し、(c)は信号受信時に第二のRFコイルに第二の電流が流れた場合の動作を示し、(d)は二つのRFコイルが作る電場の内積の分布の概念を示す。 変形例に係るアレイコイル400の構成を示す説明図である。 二つのRFコイルを共通のキャパシタ451Cを介して磁気結合を除去した例に係る参考図である。 導体ループを使用していない、従来の二つのRFコイルが作る電場の内積分布を説明する図であり、(a)は被写体とアレイコイルの配置例を示し、(b)は二つのRFコイルが作る電場の内積の分布の概念を示す。 本実施例の内積分布を説明する図であり、(a)は被写体とアレイコイルの配置例を示し、(b)は信号受信時に第一のRFコイル第一の電流(図中実線)が流れた場合の動作を示し、(c)は信号受信時に第二のRFコイルに第二の電流が流れた場合の動作を示し、(d)は二つのRFコイルが作る電場の内積の分布の概念を示す。 RFコイルを3つ備えた場合のアレイコイルの構成を示す図である。 RFコイルのコイルエレメントと導体ループに、RFコイルと導体ループのとの磁気結合を行うためのインダクタを備えた場合の構成を示す図である。
以下、本発明の一実施形態に係るMRI装置について図面を参照して説明する。以下、各実施形態乃至実施例に係る図面おいて、同一の構成には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
<MRI装置の全体構成>
まず、本実施形態を適用可能なMRI装置について説明する。
図1は、本実施形態を適用可能なMRI装置の一例に係る外観を示している。特に、図1(a)は、ソレノイドコイルによって静磁場を生成するトンネル型磁石110を用いた水平磁場方式のMRI装置100である。図1(b)は、開放感を高めるために磁石111を上下に分離したオープン型の垂直磁場方式のMRI装置101である。これらのMRI装置100、101は、検査対象(被写体)103を載置するテーブル102を備える。被写体103はテーブルに載置された状態で、磁石110、111によって均一な磁場(静磁場)が発生している検査空間に配置される。なお磁石110、111は、静磁場を形成する静磁場形成部を構成する。
本実施形態に係るMRI装置は、受信RFコイルとして、複数のRFコイル及び導体プールを有する所謂多チャンネルRFコイルを適用するものであり、上記した水平磁場方式のMRI装置100、垂直磁場方式のMRI装置101のいずれも適用可能である。
また図1に示すMRI装置の形態は一例であり、本発明は装置の形態やタイプを問わず、公知の各種のMRI装置を用いることができる。以下の説明において、水平磁場方式及び垂直磁場方式に共通する座標系として、静磁場方向をz方向、それに垂直な2方向を、それぞれx方向及びy方向とする座標系090を用いる。
以下、本実施形態では水平磁場方式のMRI装置を適用した場合を例に、MRI装置100の概略構成を説明する。
図2に示すように、MRI装置100は、水平磁場方式のマグネット(静磁場磁石)110、傾斜磁場コイル131、送信RFコイル151、受信RFコイル161、傾斜磁場電源132、シムコイル121、シム電源122、RF磁場発生器152、受信器162、磁気結合防止回路駆動装置180、計算機(PC)170、シーケンサ140、及び表示装置171を備える。なお、102は、検査対象(被写体)103を載置するテーブルである。
傾斜磁場コイル131は、傾斜磁場電源132に接続され、傾斜磁場を発生させる。傾斜磁場コイル131及び傾斜磁場電源132は、傾斜磁場を形成する傾斜磁場形成部を構成する。シムコイル121は、シム電源122に接続され、磁場の均一度を調整する。送信RFコイル151は、RF磁場発生器152に接続され、被写体103にRF磁場を照射(送信)する。
受信RFコイル161は、受信器162に接続され、被写体103からの核磁気共鳴信号を受信する。ここで、本実施形態に係る受信RFコイル161として、複数のRFコイル及び導体ループからなる多チャンネルRFコイル(以下、アレイコイルという)を適用している。以下の説明において、アレイコイルを構成するRFコイルの数とチャンネル数は一致するとして取り扱う。受信RFコイル161としてのアレイコイルの詳細は、後述する。
磁気結合防止回路駆動装置180は、磁気結合防止回路(後述)に接続される。なお、磁気結合防止回路は、送信RFコイル151及び受信RFコイル161にそれぞれ接続される、送信RFコイル151と受信RFコイル161との間の磁気結合を防止する回路である。
シーケンサ140は、傾斜磁場電源132、RF磁場発生器152、磁気結合防止回路駆動装置180に命令を送り、それぞれ動作させる。命令は、計算機(PC)170からの指示に従って送出する。また、計算機(PC)170からの指示に従って、受信器162で検波の基準とする磁気共鳴周波数をセットする。例えば、シーケンサ140からの命令に従って、RF磁場が、送信RFコイル151を通じて被写体103に照射される。RF磁場を照射することにより被写体103から発生する核磁気共鳴信号は、受信RFコイル161によって検出され、受信器162で検波が行われる。
計算機(PC)170は、MRI装置100全体の動作の制御、各種の信号処理を行う。例えば、受信器162で検波された信号をA/D変換回路を介して受信し、画像再構成などの信号処理(画像再構成部の機能)を行う。その結果は、表示装置171に表示される。検波された信号や測定条件は、必要に応じて、記憶媒体に保存される。また、予めプログラムされたタイミング、強度で各装置が動作するようシーケンサ140に命令を送出させる。さらに、静磁場均一度を調整する必要があるときは、シーケンサ140により、シム電源122に命令を送り、シムコイル121に磁場均一度を調整させる。
<送信RFコイル及び受信RFコイルの概要>
上述したように本実施形態のMRI装置は、送信RFコイル151と受信RFコイル161の2種類のRFコイルが用いられる。送信RFコイル151と受信RFコイル161は、一つのRFコイルが両方を兼ねることもできるし、それぞれ別個のRFコイルを用いることもできる。
以下、送信RFコイル151と受信RFコイル161とが別個のRFコイルであり、送信RFコイル151が鳥かご型形状を有するRFコイル(鳥かご型RFコイル)、受信RFコイル161が複数のRFコイルからなるマルチチャネルアレイコイルである場合を例に、RFコイルの詳細を説明する。
まず、送信RFコイル151として用いる鳥かご型RFコイル300及び受信RFコイル161として用いるアレイコイル400の配置と、鳥かご型RFコイル300、アレイコイル400、RF磁場発生器152、受信器162、及び、磁気結合防止回路駆動装置180の接続態様とを、図3を用いて説明する。
図3に示すように、鳥かご型RFコイル300は、外観が略円柱状(楕円柱や多角形柱を含む)の形状を有し、略円柱の軸が、磁石110の中心軸(Z方向の軸)と同軸となるよう配置される。被写体103は、鳥かご型RFコイル300の内側に配置される。そして、アレイコイル400は、鳥かご型RFコイル300内に、被写体103に近接して配置される。また、上述のように、鳥かご型RFコイル300は、RF磁場発生器152に接続される。アレイコイル400は、受信器162に接続される。
さらに、鳥かご型RFコイル300には、アレイコイル400との磁気結合を防止する磁気結合防止回路210が備えられ、アレイコイル400には、鳥かご型RFコイル300との磁気結合を防止する磁気結合防止回路220が備えられる。これらを送受間磁気結合防止回路と呼ぶ。送受間磁気結合防止回路により、上述するような配置において、互いに磁気結合することなく、RF磁場の送信と核磁気共鳴信号の受信とが可能となる。
[送信RFコイル]
次に、本実施形態の送信RFコイル151として用いる鳥かご型RFコイル300について図4を用いて説明する。
本実施形態の鳥かご型RFコイル300は、励起対象元素の共鳴周波数(磁気共鳴周波数)が共振周波数となるよう調整され、当該磁気共鳴周波数のRF磁場を照射する。本実施形態では、水素原子核の励起が可能な、水素原子核の磁気共鳴周波数f0に調整される。以後、照射するRF磁場の磁気共鳴周波数をf0とする。
図4(a)は、本実施形態の鳥かご型RFコイル300の構成を説明するためのブロック図である。本図に示すように、本実施形態の鳥かご型RFコイル300は、複数の直線導体301と、各直線導体301の端部を接続する端部導体302と、端部導体302に挿入されるキャパシタ303と、を備える。
また、鳥かご型RFコイル300は、二つの入力ポート311、312を備える。第一の入力ポート311と第二の入力ポート312とには、位相が90度異なった送信信号が入力され、効率よく被写体103にRF磁場が加えられるよう構成される。
さらに、本実施形態の鳥かご型RFコイル300では、受信RFコイル161(アレイコイル400)との間の磁気結合を防止する送受間磁気結合防止回路210が、鳥かご型RFコイル300の直線導体301に直列に挿入される。
送受間磁気結合防止回路210は、例えば、図4(b)に示すように、直線導体301に直列に挿入されたPINダイオード211で構成することができ、その両端に、制御用信号線212が接続される。制御用信号線212は磁気結合防止回路駆動装置180に接続される。制御用信号線212には、高周波の混入を避けるためチョークコイル(不図示)が挿入されることが望ましい。
PINダイオード211は、通常は高抵抗(オフ)を示し、PINダイオード211の順方向に流れる直流電流の値が一定値以上となると概ね導通状態(オン)となる特性を持つ。本実施形態ではこの特性を利用し、磁気結合防止回路駆動装置180から出力される直流電流によりPINダイオード211のオン/オフを制御する。すなわち、高周波信号送信時には、制御用信号線212を介して、PINダイオード211を導通状態とする制御電流を流し、鳥かご型RFコイル300を送信RFコイル151として機能させる。また、核磁気共鳴信号受信時には、制御電流を停止し、鳥かご型RFコイル300を高インピーダンス化し、開放状態とする。
このように、本実施形態では、磁気結合防止回路駆動装置180からの直流電流(制御電流)を制御することにより、高周波信号送信時には鳥かご型RFコイル300を送信RFコイル151として機能させ、核磁気共鳴信号受信時には、開放状態として受信RFコイル161であるアレイコイル400との磁気結合を除去する。
[受信RFコイル]
次に、本実施形態の受信RFコイル161として用いるアレイコイル400について、図5を用いて説明する。ここでは、説明の簡単にするために、一例としてループ形状のコイルループ部を有する二つのRFコイル(表面コイル)と、一つの導体の端部が互いに接続されたループ部を有する電界生成回路を並べたアレイコイルを用いて説明する。以下、説明の便宜上、電界生成回路のループ部を、単に「導体ループ」という。なお、本実施形態の受信RFコイルは、少なくとも二つ以上のRFコイルと一つ以上の導体ループ(電界生成回路)を並べたアレイコイルであればよく、これに限定されない。
本実施形態のアレイコイル400は、図5(a)に示すように、2つのRFコイル410と導体ループ415を備える。アレイコイル400を構成する2つのRFコイル410を、それぞれ、第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bと呼ぶ。ただし、アレイコイル400を構成する各RFコイル410の構成要素について、特にRFコイル410毎に区別する必要がない場合は、符号の最後の英文字を省略する(以下、同様とする)。
第一のRFコイル410A、第二のRFコイル410B及び導体ループ415は、それぞれ、略平面上に被写体を被うように配置、構成されたループを有する表面コイルであり、両RFコイル410の間の磁気的な結合は、磁気結合防止手段の一つである、コイルループの導体の一部を重ね合わせるオーバラップ451Aで防止されている。また導体ループは、二つのRFコイルが並んでいる方向、すなわちX方向を縦方向として8の字となるように配置される。さらに各RFコイル410と導体ループ415はそれぞれ意図的に磁気結合450するよう配置、構成されている。それぞれの磁気結合の機能及び詳細は後述する。
2つのRFコイル410は、それぞれが、導体ループと磁気結合した状態で、鳥かご型RFコイル300が励起可能な元素の核磁気共鳴信号の受信が可能となるよう調整され、それぞれが1つのチャンネルとして機能する。第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bが受信した信号は、それぞれ、受信器162に送られる。
2つのRFコイル410の構成は同様であるので、以下、代表して第一のRFコイル410Aの構成について説明する。第一のRFコイル410Aは、核磁気共鳴信号(RF磁場)を検出するループコイル部420(第一のループコイル部420A)と、低入力インピーダンスプリアンプ430(第一の低入力インピーダンスプリアンプ430A)と、ループコイル部420と低入力インピーダンスプリアンプ430とを接続するインダクタ441(第一のインダクタ441A)とを備え、低入力インピーダンスプリアンプ430を介して受信器162に接続される。
なお、インダクタ441は、キャパシタに代用されることもある。コイルループから低入力インピーダンスプリアンプ側を見て、キャパシタ421と低入力インピーダンスプリアンプとインダクタ441若しくは代用されるキャパシタとこれらをつなぐ導体から成る並列共振回路のインピーダンスがf0で他の周波数のインピーダンスより高くなるように構成される。
第一のループコイル部420Aのループ部分は、導体21Aで形成される。そして、第一のループコイル部420Aは、第一のループコイル部420Aのインダクタ成分に対して直列に挿入されるキャパシタ424を備える。このインダクタ成分とキャパシタ424とは、並列共振回路を構成する。このキャパシタ424を、他のキャパシタと区別するため、並列キャパシタ424と呼ぶ。
また、第一のループコイル部420Aには、共振周波数を調整するキャパシタ422Aと、送受間磁気結合防止回路220とが直列に挿入される。キャパシタ422Aを、他のキャパシタと区別するため、直列キャパシタと呼ぶ。なお、ここでは、第一の直列キャパシタを2つ(422A)備える場合を例示するが、第一の直列キャパシタの数は1以上であればよい。
このように、第一のRFコイル410Aは、調整用の回路素子として、第一のインダクタ441Aと、第一のループコイル部421Aのインダクタ成分に対して直列に挿入される第一の直列キャパシタ422Aと、前記インダクタ成分に対して直列に挿入され、第一のループコイル部420Aを並列共振回路とする第一の並列キャパシタ424と、を備える。同様に、第二のRFコイル410Bは、調整用の回路素子として、第二のインダクタ441Bと、第二のループコイル部421Bのインダクタ成分に対して直列に挿入される第二の直列キャパシタ422Bと、インダクタ成分に対して直列に挿入され、第二のループコイル部420Bを並列共振回路とする第二の並列キャパシタ424Bと、を備える。
低入力インピーダンスプリアンプ430のループコイル部420側の一方の端子は、インダクタ441を介してループコイル部420の並列キャパシタ424の一方の端に接続される。低入力インピーダンスプリアンプ430のループコイル部420側のもう一方の端子は、直接ループコイル部420の並列キャパシタ424の他方の端に接続される。
送受間磁気結合防止回路220は、送信RFコイル151である鳥かご型RFコイル300との間の磁気結合を除去する。送受間磁気結合防止回路220は、例えば、図5(b)に示すように、ループ421を構成する導体21に直列に挿入されたキャパシタ423と、キャパシタ423に並列に接続されたPINダイオード221と、インダクタ222とから構成することができる。
PINダイオード221の両端には制御用信号線223が接続される。そして、制御用信号線223は磁気結合防止回路駆動装置180に接続される。制御用信号線223には高周波の混入を避けるためチョークコイル(不図示)が挿入されていることが好ましい。インダクタ222とキャパシタ423とは、受信する核磁気共鳴信号の周波数で並列共振するように調整される。
一般に、並列共振回路は共振周波数で他の周波数より高インピーダンス(高抵抗)となる特性を持つ。よって、PINダイオード221に電流が流れると、PINダイオード221はオンになり、ループ421のキャパシタ423は、受信する核磁気共鳴信号の周波数でインダクタ222と共に並列共振して高インピーダンス状態となる。従って、受信する核磁気共鳴信号の周波数で、ループコイル部420は、その一部が高インピーダンスとなり、開放状態となり、そのループコイル部420を有するRFコイル410も開放状態となる。
このように、PINダイオード221に電流が流れてオンとなることによって、各RFコイル410A及び410Bと鳥かご型RFコイル300との磁気結合は除去される。従って、各RFコイル410をコイル素子とするアレイコイル400と鳥かご型RFコイル300との磁気結合も除去される。
なお、図5(a)では、一つの送受間磁気結合防止回路220がRFコイル410に挿入される例を示しているが、RFコイル410に挿入される送受間磁気結合防止回路220の数は一つに限定されない。各ループ421に、二つ以上挿入されても良い。複数挿入することで送信RFコイル151と受信RFコイル161との磁気結合を十分に低下させることができる。
また、送受間磁気結合防止回路220の構成は、上記構成に限定されない。例えば、図5(c)に示す送受信間磁気結合防止回路220mの変形例のように、PINダイオード221の代わりに、クロスダイオード221mを用いてもよい。これにより、ループ421を構成する導体に大きな信号が流れた場合、クロスダイオード221mはオンになり、ループ421のキャパシタ423は、受信する核磁気共鳴信号の周波数でインダクタ222と共に並列共振して高インピーダンス状態となる。この場合、磁気結合防止回路駆動装置180は備えなくてもよい。
本実施形態のアレイコイル400では、各RFコイル410A、410Bに含まれる調整用の回路素子のインダクタンスやキャパシタンス及び電磁気結合部450によってもたらされるインダクタンスやキャパシタンスの値を調整することによって、各RFコイル410A、410Bが、それぞれ、核磁気共鳴信号を受信可能であり、且つ、各RFコイルと導体ループはそれぞれ磁気結合して、RFコイルに流れる電流の一部が導体ループにサブ電流として流れる様に配置、調整される。
具体的には、第一のRFコイル410Aには、信号受信時に、当該第一のRFコイル410Aが作る磁場が、導体ループの図上左側のループである第一のRFコイル側のループ416に、導体ループの図上右側のループである第二のRFコイル側のループ417より強い電流を誘起するように配置し、意図的に第一のRFコイル側のループ416に誘起される電流が支配的となる電流を導体ループに流れる様にする。
同時に、当該第二のRFコイル410Bが作る磁場が、導体ループの図上右側のループである第二のRFコイル側のループ417に、導体ループの図上左側のループである第一のRFコイル側のループ416より強い電流を誘起するように配置し、意図的に第二のRFコイル側のループ417に誘起される電流が支配的となる電流を導体ループに流れる様にする。
具体的な調整方法及び電磁気結合手段の具体例については、後述するRFコイルの実施形態において説明する。ここでは先ず、上述の通り、各RFコイルが導体ループに電流を流すように磁気結合することによってノイズが低減されることを説明する。
MRI装置の受信RFコイル各チャンネルのノイズは、主に被写体から生じる熱雑音であり、コイルと被写体との電場結合によって検出されるGauss型のノイズである。このようなノイズは、各コイルの入力インピーダンスが50Ωに調整されていれば、いずれも同じ強度のガウス分布に従うランダムノイズである。
よって、画像再構成において、各チャンネルの二乗和平方根合成を行った場合、一般的には合成チャンネル数に応じてノイズは1/2乗で増加する。しかしアレイコイルでは、複数のRFコイルが被写体を覆って隣接して配置されることで、RFコイルが被写体を介して電場結合するため、一部ノイズ信号が共有される。そのため検出されるノイズは独立したガウス分布とはならずノイズ信号に相関が生じる。この相関(ノイズ相関)は−1から+1の値を取り、0であれば独立したノイズであり、+1であれば同様のノイズ、−1であれば異符号の同様のノイズということになる。
すなわち、ノイズ相関が1である場合、ノイズは合成チャンネル数に応じてノイズは比例して増加するため、ノイズ相関が0の場合より速いペースで増加する。よって一般的にはノイズ相関は低い(絶対値が0に近い)方が好ましい。
一般的に、RFコイルどうしのノイズ相関Ψは、以下の式(1)、(2)で求められる。
Figure 0006745244
Figure 0006745244
ここでσは被写体の導電率、Vは被写体の体積、Eiはi番目のRFコイルが作る電場(複素数)、Ejはj番目のRFコイルが作る電場(複素数)である。EはEの複素共役を示す。すなわちノイズ相関の大きさは各コイルが被写体内に作る電場の内積の体積積分Rijによって決定される。Rijを小さくすることでノイズ相関を低く抑えることができ、ノイズ相関増加に伴うSNRの低下を防止できる。
本実施形態のアレイコイル400において、第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bが導体ループ415にそれぞれ磁気結合して電流を誘起した場合に生成する電場が作る電場の内積ついて、図6及び図7を用いてノイズが低減されることを説明する。
図6は導体ループ415を使用していない、従来の二つのRFコイル410Aと410Bが作る電場の内積分布を説明する図である。図6(a)に示すようにアレイコイルを形成する第一のRFコイル410A及び第二のRFコイルは、被写体103を被い、且つ、磁気結合しないように配置されている。
信号受信時、第一のRFコイル410Aには図に示すとおり右回りの第一の電流(図中実線)が流れ、第二のRFコイル410Bには図に示すとおり右回りの第二の電流(図中破線)が流れる。なお本実施形態では二つのRFコイル410が隣接して配置され、遠方から見た場合ほぼ同じ感度領域を持ち同様の信号を検出するため、RFコイルに誘起される電流は同じ向きとして取り扱う。
図6(b)は図6(a)をZ軸方向から見た図であり、二つのRFコイルが作る電場の内積の分布の概念を示す。電場の内積が正の領域を細かいドットで、負の領域を粗いドットで、それぞれ示している。図6に示す通り第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bは被写体内に正の内積分布を示す。このように正になるのは、被写体から見ると第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bはほぼ同じ方向に存在し、共に同じ向きの電流が流れているため、第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bが被写体内に作る電場は類似しているためである。
このように、従来のコイル構成では正の内積成分が支配的となるため、その積分値は正となり、式(2)で求まるノイズ相関は正の大きな値となる。そのためこれら構成で取得された信号の合成値のノイズは、相関がないものより大きくなる。すなわちSNRは低くなる。
図7は本実施形態の内積分布を説明する図である。図7(a)に示すようにアレイコイルを形成する第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bは、被写体103を被い、且つ、磁気結合しないように配置され、さらに導体ループ415が第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bとそれぞれ磁気結合すると共に被写体を被うよう配置されている。
図7(b)に、信号受信時、図6の従来構成時と同様に第一のRFコイル410Aに図に示すとおり右回りの第一の電流(図中実線)が流れた場合の動作を示す。本実施形態では、第一のRFコイル410Aは導体ループと磁気結合しているため、第一のRFコイル410Aが作る磁場が、導体ループの図上左側のループである第一のRFコイル側のループ416に左周りの電流を誘起し、8の字ループとしては図に示すような第一のサブ電流418Aが流れる。
図7(c)に、信号受信時、図6の従来構成時と同様に第二のRFコイル410Bに図に示すとおり右回りの第二の電流(図中破線)が流れた場合の動作を示す。本実施形態では、第二のRFコイル410Bは導体ループと磁気結合しているため、第二のRFコイル410Bが作る磁場が、導体ループの図上右側のループである第二のRFコイル側のループ417に左周りの電流を誘起し、8の字ループとしては図に示すような第二のサブ電流418Bが流れる。
すなわち、本実施形態では、第一のRFコイル及び第二のRFコイルが導体ループに流れる電流の向きは共に右回りで同じ向きであっても、誘導された第一のサブ電流418Aと第二のサブ電流418Bは、導体ループ415上では電流の向きが逆となる。
図7(d)は図7(a)をZ軸方向から見た図であり、二つのRFコイルが作る電場の内積の分布の概念を示す。正の電界を細かいドットで、負の電界を粗いドットで、それぞれ示している。本図に示す通り第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bは図6に示した従来構成と同様の電流を形成するため、被写体内に同様の正の内積分布を示す。一方で導体ループ415付近では負の内積分布を示す。このように負になるのは、前述の通り、磁気結合して生じた電流の向きが逆になるためである。電流の符号が異なるため電場の符号も異なり、内積は負となる。
このように本実施形態では、従来構成のように内積が正領域だけで無く、負の領域が生成される。よって、上述した式(1)及び式(2)に示す通り、ノイズ相関は電場の体積積分で求まるため、本実施形態では正と負を構成することにより、積分値をゼロに近づけることができる。よってゼロに近づければ、図6で示した従来構成よりノイズを低下させ、SNRを向上させることができる。
なお、本実施形態では、各RFコイルに流れる電流の向きと、導体ループの近傍のループ(416もしくは417)に流れる電流の向きは逆(電流の位相差が180度)になる場合を示したが、これに限定されない。第一のサブ電流418Aと第二のサブ電流418Bが被写体内に作る電場の内積の積分値が、第一のRFコイル410Aのループコイル部420Aと第二のRFコイル410Bのループコイル部420Bが被写体内に作る電場の内積の積分値の符号が異なるように構成できればよい。これにより設計の自由度が向上し、関心領域でのSNRが向上できる。
また8の字を構成する二つのループの対称性はこれに限定されない。図8(a)に示す通り非対称であっても良い。非対称であっても構成されるサブ電流の内積の積分値を負となるように電流が構成できればよい。これにより設計の自由度が向上し、関心領域でのSNRが向上できる。
また本実施形態では、第一のRFコイル410A及び、第二のRFコイル410Bに共に右回りの電流が流れると定義して説明したが、逆向きで定義しても効果は同様である。第一のRFコイル410A及び、第二のRFコイル410Bが被写体内に作る電場の内積の積分値の符号と、第一のRFコイル410A及び、第二のRFコイル410Bが磁気結合して導体ループに作るサブ電流が作る内積の積分値の符号が異符号となれば、その積分値はゼロに近づきノイズは低下してSNRは向上する。
このように構成されたMRI装置を用いた撮像方法は、従来のMRI装置の動作と同様であり、静磁場磁石110が生成する静磁場空間に配置された被写体103に対し、例えば、撮像方法によって選択されるパルスシーケンスに従って、送信RFコイル151(例えば鳥かご型RFコイル300)からRF磁場パルスを印加するとともに傾斜磁場コイル131により傾斜磁場パルスを印加する。
送信RFコイル151の動作時には、受信RFコイル161は送受磁気結合防止回路220が開となり、受信RFコイル161との磁気結合を除去する。RF磁場パルス印加から所定時間経過後に、被写体103の生体組織を構成する元素の原子核から生じる核磁気共鳴信号を被写体103に近接して配置された受信RFコイル161(マルチチャンネルコイル:アレイコイル400)で受信する。受信動作時には、送受磁気結合防止回路210が開となり、送信RFコイル151と受信RFコイル161との磁気結合を除去する。
計算機(信号処理部)170は、受信RFコイル161のRFコイルでそれぞれ受信したMR信号を処理し、例えば、撮像方法がパラレルイメージングを採用する高速撮像方法であれば、パラレルイメージングのアルゴリズムに従った画像再構成方法で被検体の画像を作成する。或いは各チャンネルの信号で得た画像をMAC合成し画像を作成する。この際、適宜、各RFコイルの感度分布情報を利用する。
本実施形態のMRI装置によれば、受信RFコイルとして、特定の調整がなされた多チャンネルコイルを用いることにより、各RFコイル間のノイズ相関が低減され、高画質の画像を得ることができる。
すなわち本実施形態のMRI装置は、静磁場を形成する静磁場形成部と、傾斜磁場を形成する傾斜磁場形成部と、前記静磁場に配置された検査対象にRF磁場を照射する送信RFコイルと、前記検査対象からの核磁気共鳴信号を検出する受信RFコイルと、前記受信RFコイルが検出した核磁気共鳴信号を処理する信号処理部と、を備える。
受信RFコイルは、少なくとも二つのRFコイルと電界生成回路としての導体ループを備え、第一のRFコイルと第二のRFコイルに流れる電流が被写体の中に作る電界の内積の積分値は、第一のRFコイルが磁気結合することで導体ループに誘起された電流と第二のRFコイルが磁気結合することで導体ループに誘起された電流が被写体の中に作る電界の内積の積分値と符号が異なるように配置、調整されたMRI装置用のRFコイル(アレイコイル)である。
具体的には、第一のRFコイルと、第二のRFコイルと、導体ループ(電界生成回路)からなるアレイコイルであって、第一のRFコイルと第二のRFコイルのコイルループは互いに磁気結合しないように配置、構成されている。
そして、第一のRFコイルのコイルループ面に略垂直な第一の軸と、第二のRFコイルのコイルループ面に略垂直な第二の軸とのなす角度の余弦値が0より小さい場合は、略円形状の前記導体ループが被写体を被うようにさらに配置されている。一方、第一のRFコイルのコイルループ面に垂直な第一の軸と、第二のRFコイルのコイルループ面に垂直な第二の軸とのなす角度の余弦値が0より大きいの場合は、8の字形状の導体ループが被写体を被うようにさらに配置されている。
すなわち、第一のRFコイルと導体ループ及び第二のRFコイルと記導体ループはそれぞれ磁気結合するよう調整される。
上述のように配置され、調整された本実施形態のアレイコイル400は、磁気共鳴周波数f0に同調する。また、信号受信時に、第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bが被写体内に作る電場の内積の積分値は、第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bが磁気結合している導体ループに流す電流がそれぞれ作る電場の内積の積分値の符号とは異符号となるように構成され、これら内積の積分値の和はゼロに近づく。
これにより第一のRFコイル410Aと第二のRFコイル410Bのノイズ相関が低下し、合成画像のSNRが上昇する。
このように、本実施形態のアレイコイル400によれば、多チャンネルと低ノイズを両立できる。また、この多チャンネルと、低ノイズを、配置と回路素子の値の調整とにより実現する。従って、構成が複雑化することもない。そして、このアレイコイル400を受信RFコイル161として用いることにより、本実施形態のMRI装置は、広い領域で高画質な画像を得ることができる。
なお本実施形態に係るMRI装置は、特定の調整がなされた受信RFコイルを用いることが特徴であり、それ以外の構成については種々の変更が可能である。例えば、図2に示す各要素のうち一部を省略することや、図2に示されていない要素を追加することも本実施形態に含まれる。また上記実施形態では、水平磁場方式のMRI装置について説明したが、垂直磁場方式のMRI装置であっても同様に適用することができる。
<RFコイルの実施例>
次に、受信RFコイルとしてのアレイコイルについてより詳細に説明する。アレイコイルは、MRI装置の受信RFコイルとして用いられる多チャンネルRFコイルであり、複数のRFコイルを備える。複数のRFコイルは、それぞれがMRI装置で発生する核磁気共鳴信号を受信可能であり、且つ、各RFコイルに流れる電流によって被写体内に生成する電場が隣接するRFコイル間で強められるように調整されている。このような調整を実現するための具体的なコイルの構成と調整方法の詳細を以下に説明する。
(実施例1)
以下、本実施例に係る受信RFコイルとしてのアレイコイルについて説明する。
本実施例に係る受信RFコイルは、図9に示すように、二つのRFコイル、第一のRFコイル410A、第二のRFコイル410B及び導体ループ415を有する。また、第一のRFコイル410Aのコイルエレメントが作る第一のコイル面と、第二のRFコイル410Bのコイルエレメントが作る第二のコイル面は被写体を被うように配置され、且つ、第一のコイル面の垂線と、第二のコイル面の垂線が交わる点でのなす角の余弦は正となる位置に配置される。
図9に示す座標系090は、紙面縦方向をX軸方向、横方向をY軸方向、紙面に垂直方向をZ軸方向とする。図9の例では、各RFコイルはほぼXZ面に配置されるため、これらのコイルエレメントの垂線は無限遠で交わり、そのなす角度はほぼ0度となる。すなわち余弦は+1となる。
なお、上述した実施形態を始め各実施例におけるコイル面は、コイルループの中だけでは無く、外側に延長した面もコイル面として扱う。また第一のコイル面の垂線と、第二のコイル面の垂線はコイルループの内側に限定されない。これら垂線が交わる点を持つように無限平面を考え、垂線を引く。
一般的にこのような配置に二つの同一のRFコイルを配置すると、これらコイルが被写体の中に作る電場の内積の積分値は正となり、結果正のノイズ相関が生じる。
各RFコイル410A、410Bは、磁気結合が除去されるように互いに一部が重なり合った磁気結合除去部451を有しつつ配置されており、これにより各RFコイル間の磁気結合は除去される。各RFコイル410A、410Bと導体ループの間には、磁気結合部450を備える。
本実施例では各RFコイルと導体ループの配置によって磁気結合がなされている。第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bは、導体ループと結合した状態で磁気共鳴信号が受信できるように夫々磁気共鳴周波数foと同じ周波数に調整されている。導体ループ415は、キャパシタ422Cと磁気結合調整回路を備える。
導体ループ415には、第一のRFコイル410Aの信号受信時に、第一のRFコイル410Aで検出された電流の一部(サブ電流:第一のサブ電流)が流れると共に、第二のRFコイル410Bの信号受信時に、第二のRFコイル410Bで検出された電流の一部(サブ電流:第二のサブ電流)が流れるように調整されている。具体的には、導体ループの共振周波数が、気共鳴周波数fより低い周波数fに調整されている。
サブ電流の強度は、配置もしくは、導体ループ若しくはRFコイル、若しくはその両方に挿入される磁気結合調整回路452によって調整することができ、第一のRFコイルは若しくは第二のRFコイルに流れる電流の5%〜30%が好ましい。これにより各コイルが生じる電場の内積の積分値がゼロに近づき、効果的にノイズ相関を低減することができる。
第一のRFコイル410Aと第二のRFコイル410Bとは、被写体を被うように略同一平面上に配置される。ここで略同一平面とは、隣接するコイルエレメントの面がほぼ被写体面に沿って配置されていることを示し、その他の領域(他の端部)は曲がっていても良い関係とする。なお、第一のRFコイル410Aと第二のRFコイル410Bとはコイルエレメントは、磁気結合が十分に除去されていれば重なって配置されていなくても良い。
以下、受信RFコイルについてより詳細に説明する。
図9(b)に示すように、本実施例では、第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bは、それぞれのループコイル部420のループ421が形成する面が、磁石の静磁場方向(Z軸方向)にほぼ平行な面となるよう配置されている。以下、導体ループの面は、磁石の静磁場方向にほぼ垂直な面となる場合を例にあげて説明する。なお、ループコイル部420のループ421の形状は、図示するような矩形の他、多角形や円形(楕円形を含む)でもよく任意である。
本実施例では、2つのRFコイル410A、410Bはコイルエレメントの一部が重なり合うことで磁気結合が除去できるオーバラップ方式によって磁気結合が除去されている。2つのRFコイル410A、410Bと導体ループの磁気結合を調整するために二つの手法が用いられている。すなわち、磁気結合を調整するために、一つはループコイル部420と導体ループ415の距離を調整し、もう一つは回路上に磁気結合調整回路452を設けている。
また本実施例のアレイコイルの各RFコイルは、低入力インピーダンスプリアンプ431を備える。低入力インピーダンスプリアンプ431を用いることにより、ループコイル部420が検出した信号をすぐに増幅することができるため、外乱によるノイズの少ないデータをすることができる。また、低入力インピーダンスプリアンプ431とインダクタ441とキャパシタ421が構成する並列共振回路によって、キャパシタ421の両端が高インピーダンスとなるため、当該RFコイルは他のRFコイルから見ると磁気結合し難くなる。
低入力インピーダンスプリアンプ431の入力インピーダンスの大きさは、限定されるものではないが、例えば2Ω程度以下である。なお、低入力インピーダンスプリアンプ430は、低入力インピーダンスの信号増幅器431に限定されない。
各ループコイル部420に挿入される直列キャパシタ422、送受間磁気結合防止回路220(キャパシタ423を含む)及び並列キャパシタ424は、図5のアレイコイルで説明した構成と同様である。本実施形態でも、キャパシタ(422、424)は、ループコイル部420のループ421中に3つ挿入しているが、これに限定されるわけではない。無くても良い。
図9の例では、コイルエレメント420と入力インピーダンスプリアンプ431との間はインダクタを用いて接続しているが、インダクタ441はインダクタを用いる場合に限定されない。通常、並列キャパシタ424とインダクタ441とは、導体で接続される。当該導体もインダクタ成分を有するため、更にインダクタを追加しなくても、並列キャパシタ423と、インダクタ441と、それらを接続する導体のインダクタ成分とで並列共振回路が形成される。この並列共振回路の共振周波数を何らかの方法で調整できれば、インダクタ441はキャパシタであってもよい。
キャパシタとインダクタの並列回路でもよい。なお、以下の説明では、説明簡略化のため、並列キャパシタ424とインダクタ441とを接続する導体のインダクタ成分は無いものとする。
導体ループは磁気結合調整回路451を備える。磁気結合調整回路451を備えることで、サブ電流の量や、サブ電流の位相を調整できる。磁気結合調整回路451は、キャパシタ451Aとインダクタ451Bの並列共振回路で構成される。本実施形態では、キャパシタ451Aとインダクタ451Bから構成される並列共振回路共振周波数は、気共鳴周波数fより低い周波数fに調整されている。
次に、本実施例のアレイコイル400の各回路素子の動作、調整について説明する。ここでは、送信RFコイル151は常に開放状態であるものとし、送信RFコイル151と受信RFコイル161との磁気結合の除去についての説明は省略する。
本実施例のアレイコイル400の第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bは、導体ループの配置、構成及び、磁気結合調整回路452のキャパシタ451Aもしくはインダクタ451Bの値を調整することにより、上記機能を実現する。
本実施例のアレイコイルの動作の説明に先立って、図10(a)に示す一つのRFコイル410が、導体ループ415と磁気結合して導体ループに電流を誘導する基本原理を、等価回路を用いて説明する。
図10(b)は、図10(a)に示すRFコイル410と導体ループ415の等価回路である。L11及びL21は、RFコイルと導体ループの合成リアクタンスを示す。L12はインダクタ441のインダクタンスを示す。L22は、磁気結合調整回路のインダクタ452Aのインダクタンスを示す。C22は,磁気結合調整回路のキャパシタ452Bのキャパシタンスを示す。Z11は、低入力インピーダンスプリアンプの入力抵抗を示し、2Ω以下であるため以後の等価回路では短絡回路として取り扱う。ここでは相反定理より、RFコイルの感度は、コイルに単位電力のRF信号を印加した場合に発生する磁場強度と等価であることを用い、図10(b)及び図10(c)ではRF信号を印加した場合の動作で本コイルの動作原理を示す。
図10(b)はRFコイル410に磁気共鳴周波数fと同じ周波数のRF電力を印加した場合の等価回路である。RFコイル410にRF電力が印加されると、コイルエレメントに以下の式(3)に示すIが流れる。
Figure 0006745244
但し、iは電流の大きさ、ω(=2πf)は印加する高周波信号の角周波数,θは位相差の定数を示す。RFコイル410のコイルエレメントにIが流れると,導体ループ415に変動する磁場が生成される。そのため、以下の式(4)に示すように、導体ループのエレメント(L21)には起電力Veが生じる。
Figure 0006745244
上述の通り、磁気結合調整回路452を構成するL22とC22からなる並列共振回路は、磁気共鳴周波数fより低い周波数fに設定されている。一般的に並列共振回路は、その共振周波数より高い周波数が印加された場合キャパシタとして動作する。すなわち、L22とCmからなる並列共振回路に磁気共鳴周波数の信号が印加されると、本並列共振回路はキャパシタ(C)として動作する。そのときの等価回路を図10(c)に示す。よって、Veが印加されればキャパシタの電荷qは、以下に示す式(5)から求められる。
Figure 0006745244
また、キャパシタに流れる電流、導体ループ415に流れる電流Iは、以下の式(6)から求められる。
Figure 0006745244
式(6)から分かるように、図10(a)に示す回路は上記調整によりIはIと逆向きの電流となる。
以上より、図10(a)に示す一つのRFコイル410は、導体ループ415と磁気結合して、導体ループに電流を構成する。なお、上記は互いに逆向きになる電流分布が実現でき動作原理ついて説明したが、上記と同じ構成で、L22とC22からなる直列共振回路の共振周波数を磁気共鳴周波数より高い周波数fとすれば、第一のRFコイル410と導体ループ415で同じ方向に流れる電流分布も形成することが可能である。
本実施例のアレイコイルの動作は上記原理で説明することができる。
先ず、第一のRFコイル410Aと導体ループ415のみが存在する場合の動作について説明する。
本実施例は、図10で説明した基本原理の回路とは導体ループ415の形状が異なる。本実施例の導体ループ415は、第一のRFコイル側のループ416と第二のRFコイル側のループ417とで構成され、互いに逆向きの電流が流れ、8の字形状の電流が流れるよう構成されている。また第一のRF410Aコイルと第一のRFコイル側のループ416の距離と、第一のRF410Aコイルと第二のRFコイル側のループ417の距離が異なって配置されている。そのため、第一のRFコイル側のループ416と第二のRFコイル側のループ417で生じている第一のRF410Aが作る磁場の強さは異なり、それぞれのループで誘起される電流が異なる。
一般的に誘起される電流の量は距離に比例して減衰する。またこれら電流は8の字形状で接続されるため異なった符号で合成された結果が、第一のRF410Aコイルと導体ループ415が磁気結合して導体ループに作るサブ電流となる。すなわち、本実施例では、距離の関係から、第一のRFコイル410Aに近い第一のRFコイル側のループ416の方が、第二のRFコイル側のループ417より強い電流が誘起されるため、支配的電流となる。よって図7(b)に示すような電流が構成される。
同様に第二のRFコイル410Bと導体ループ415のみが存在する場合も同じ原理で説明でき、図7(c)に示すような電流が構成される。
以上より、本実施形態のアレイコイルは、第一のRFコイル410Aと第二のRFコイル410Bがそれぞれ導体ループ415と磁気結合して導体ループにそれぞれ逆向きの電流が流れる。
これにより、第一のRFコイル410Aが導体ループ415に磁気結合して導体ループに作る第一のサブ電流と、第二のRFコイル410Bが導体ループ415に磁気結合して導体ループに作る第二のサブ電流とが被写体内に作る電場の内積の積分値は、第一のRFコイル410Aの第一のループコイル部420Aに流れる電流と、第二のRFコイル410Bの第一のループコイル部420Aに流れる電流とが被写体内に作る電場の内積の積分値とは異なる符号となる。このため、合成値の絶対値は小さくなり、結果としてノイズ相関は下がり、合成画像のSNRが向上することとなる。
また、本実施例では導体ループである8の字エレメントをファントムのXY面に配置していることから、第一のRFコイル若しくは第二のRFコイルが作る感度に寄与しないZ方向の磁場を、8の字の導体ループが検出し、誘導電流を形成することでファントムの深部にてX方向の磁場を生成するため、感度も向上する。
以上のように調整することにより、各RFコイル410は、検出対象の核磁気共鳴信号を、それぞれ受信できる。また、以上のような電流経路を形成することで図7(d)の様な電場が発生するためノイズ相関が低下する。
[調整例1]
以下、本実施例の各回路素子の調整手順を、具体的に説明する。
ここでは、アレイコイル400が、静磁場強度3T(テスラ)における水素の原子核の磁気共鳴周波数128MHz(f0=128MHz)で共振するよう調整した実施例を例にあげて説明する。
RFコイルの形状及びサイズは、一例として、ループが矩形であって、第一のループコイル部420A及び第二のループコイル部420Bそれぞれのループ421A、421Bの縦と横のサイズを10センチ、20センチとする。また、2つのRFコイル410のコイル中心間距離は10センチとする。導体ループ415の大きさは縦と横のサイズを16センチ、8センチとする。被写体は図9(b)に示すような直径17cmの高さ28cmの円柱とした。各RFコイル410と導体ループ415の配置関係は各コイルの中心点のZ方向の距離を11センチとした。
ここでは、第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bが導体ループ415とそれぞれ図7に示すように、電磁気的に結合したとき、図7(b)及び図7(c)の様に電流が流れる様に調整する。具体的には、それぞれ磁気結合によって導体ループに各RFコイルのコイルエレメントに流れる15%の電流が流れるように調整する。
まず、導体ループの調整415を行う。導体ループは直列キャパシタ422Cの容量を調整する。ここでは、導体ループが第一のRFコイル若しくは第二のRFコイルと効率よく磁気結合するように、8の字エレメントに直列に挿入された直列キャパシタ422Cに磁気結合調整回路のキャパシタ452Aのみが並列に接続された並列共振回路が磁気共鳴周波数で共振するように、422C及び452Aを調整する。その後、同時に回路全体の調整を容易とするため、磁気結合調整回路451であるキャパシタ452Aにインダクタ452Bを並列に接続し、磁気結合調整回路451の共振周波数がf0となるように調整する。これにより磁気結合調整回路は高インピーダンスとなるため、ほとんど他のコイルと磁気結合しない。
また、各RFコイルは磁気共鳴周波数と同じ周波数で共振するようにキャパシタ422A及び422Cが調整される。同時にキャパシタ421は低入力インピーダンスプリアンプから見たRFコイル側の回路の入力インピーダンスが50Ωとなるように調整される。また、キャパシタ421から見た、キャパシタ421と低入力インピーダンスプリアンプとインダクタ441の並列共振回路が高インピーダンスとなるように調整する。
このとき第一のRFコイル410Aと第二のRFコイル410Bの磁気結合が除去されるよう、これらRFコイル410のコイルエレメントの10%程度をオーバラップさせる。
次に第一のRFコイル及び第二のRFコイルと導体ループの磁気結合の調整を行う。ここでは磁気結合後も第一のRFコイル及び第二のRFコイルが磁気共鳴周波数f0と同じ周波数で共振するよう、磁気結合を調整した後、再度RFコイルの調整も行う。
磁気結合量を調整するときには、先ず電流の向きを決定する。本実施例のアレイコイルでは第一のRFコイル410Aと、導体ループ415の第一のRFコイル側のループ416がそれぞれ関心領域であるその間の空間に作る磁場に打ち消し合いが生じないように、これら二つのコイルの電流の向きの関係が8の字になるよう決定した。
すなわち、図7(b)に示すように逆向きに決定した。よって、上述の通り、磁気結合調整回路451の共振周波数fLを下げることによって、逆向きの電流を生成した。本実施例ではインダクタ415Bの値を調整して、磁気結合調整回路の共振周波数の値がf0由り20%低い102MHzを用いた。
なお、本実施形態ではX方向に対称で作成してあるため本調整を行うことで、第二のRFコイル410Bと、導体ループ415の第一のRFコイル側のループ416にも逆向きの電流が流れ、同様な調整が行われる。
次に、上記調整で第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bの周波数が若干f0からずれているので、再度キャパシタ422A及び422Bを調整してそれぞれ周波数f0を合わせ、同時にキャパシタ422A及び422Bを調整してそれぞれ各コイルの入力インピーダンスを50Ωに再調整した。またこの結果、サブ電流の値は各RFコイルに流れる電流の15%となった。
なお、これら第一のRFコイル410A、第二のRFコイル410B、導体ループの調整は、必要に応じて数回繰り返しても良い。
このように調整することで、本実施例のアレイコイル400は、核磁気共鳴周波数で共振し、核磁気共鳴信号を受信する。また、第一のRFコイル410Aが導体ループ415に磁気結合して導体ループに作る第一のサブ電流と、第二のRFコイル410Bが導体ループ415に磁気結合して導体ループに作る第二のサブ電流が被写体内に作る電場の内積は、第一のRFコイル410Aに流れる電流と、第二のRFコイル410Bに流れる電流が被写体内に作る電場の内積の値とは異なる符号となるため、合成値の絶対値は小さくなり、結果としてノイズ相関は下がり、合成画像のSNRが向上する。
また本実施例では導体ループである8の字エレメントをファントムのXY面に配置していることから、第一のRFコイル若しくは第二のRFコイルが作る感度に寄与しないZ方向の磁場を、8の字の導体ループが検出し、誘導電流を形成することでファントムの深部にてX方向の磁場を生成するため、感度も向上する。
[調整例1の結果]
上述のように調整したアレイコイルを用いて、MRI装置(3テスラ、水平磁場方式)で水ファントムを撮像したシミュレーション結果を図11に示す。図11(a)は画像合成後、ファントム中心のZ方向のSNRプロファイルである。図11(a)中、実線は本実施例のプロファイル、破線は従来(比較例)のRFコイルの磁気結合を除去した場合の感度分布プロファイルである。
これらの結果から分かるように、本実施例のアレイコイル400は、磁気的結合によって合成画像のSNRが向上する。
なお、本実施例では、磁気結合調整回路の共振周波数はf0より20%小さい値としたが、これに限定されない。第一のRFコイル410Aと、導体ループ415の第一のRFコイル側のループ416がそれぞれ関心領域である空間に作る磁場に打ち消し合いが生じず、同時に第二のRFコイル410Bと、導体ループ415の第二のRFコイル側のループ417がそれぞれ関心領域である空間に作る磁場に打ち消し合いが生じなければ他の値でも良い。
例えば、各RFコイルと導体ループが重なるように配置された場合は、導体ループに誘導される電圧の向きと電流の向きが逆となるため、導体ループ415の第一のRFコイル側のループ416がそれぞれ関心領域である空間に作る磁場に打ち消し合いが生じないようにするには、磁気結合調整回路の共振周波数はf0より高い値を選択する必要がある。コイルモデルの構成や配置状況に応じて調整値を設定することで調整の自由度が向上し、結果最終的なSNRを向上させることができる。
また、磁気結合調整回路を用いることで、各RFコイルと導体ループの電流の位相差が調整できるが、基本的には関心領域で最終的に生成される磁場の位相差が等しくなるように調整することが好ましい。
さらに、本実施例ではサブ電流の量(電流比)を15%に調整したが、サブ電流の量は、ノイズ相関を任意の値へ変化させ、対象とする画像領域のSNRを向上させることができればよく、コイル間距離等に応じて適宜調整される。図11(b)にノイズ相関と電流の関係を示したグラフを示す。磁気結合が増え電流比が大きくなっても、それに伴いノイズ相関が低下すればノイズは低下する。磁気結合によって信号の分布も変わるため、これらを総合的に考え関心領域でSNRが上がるような条件を設定することが好ましい。
なお、本実施例では8の字ループをXY面上に配置したが、これに限定されない。ノイズ低下という観点では他の配置でも構わない。しかし信号増加の観点から8の字ループが作る磁場の向きが関心領域にて、静磁場に対して垂直となるように構成することが好ましい。これにより効率よく信号も取得できるためSNRを向上させることができる。
(実施例2)
上述した実施例1では、第一のRFコイル410Aの第一のループコイル部420Aが作る第一のコイル面と、また第二のRFコイル410Bの第2のループコイル部420Bが作る第二のコイル面は被写体を被うように配置され、且つ第一のコイル面の垂線と、第二のコイル面の垂線が交わる点でのなす角の余弦は正となる位置に配置される場合を説明した。
本実施例では、第一のコイル面の垂線と、第二のコイル面の垂線が交わる点でのなす角の余弦は負となる位置に配置される場合について説明する。
一般的に、このような角度に二つの同一のRFコイルを配置すると、これらコイルが被写体の中に作る電場の内積の積分値は負となり、結果負のノイズ相関が生じる。この場合、導体ループ415を加え、被写体内に正の相関を加えることでノイズ相関を0とできるため、回路構成が異なる。具体的には、図12に示すように、導体ループが8の字形状では無く円形若しくは矩形のループ形状となる。
以下、図12に示すアレイコイル400を用いて本実施例の動作を説明する。
なお、本実施例は上述した実施例1と、基本的には第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bの配置と、導体ループの形状が異なるに過ぎず、その他の構成は同一であり、基本原理や調整方法も実施例1と同様である。
本実施例のアレイコイル400において、第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bが導体ループにそれぞれ電流を誘起した場合に生じる電場が作る電場の内積ついて、図13及び図14を用いて説明する。
図13は、導体ループを使用していない従来の二つのRFコイルが作る電場の内積分布を説明する図である。図13(a)に示すようにアレイコイルを形成する第一のRFコイル410A及び第二のRFコイルは、被写体103を被い、且つ、磁気結合しないように配置されている。
本実施例では磁気結合除去手段451として、図12に図示した、それぞれのRFコイルのコイルループにインダクタを挿入して、磁気結合を除去するインダクタ方式を用いた。信号受信時、第一のRFコイル410Aには図13(a)に示すとおりZ軸マイナス方向のエレメントにはX方向プラス向きの第一の電流(図中実線)が流れ、第二のRFコイル410Bには図に示すとおりZ軸マイナス方向のエレメントにはX方向プラス向きの第二の電流(図中破線)が流れる。
図13(b)は、二つのRFコイルが作る電場の内積の分布の概念を示す。正の電界を細かいドットで、負の電界を粗いドットで、それぞれ示している。本図に示す通り第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bは被写体内に負の内積分布を示す。このように負になるのは、被写体から見ると第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bはほぼ逆の方向に存在し、共に同じ向きの電流が流れているため、それぞれのRFコイルが被写体内に作る電場は符号が逆であるため、各領域の内積はほとんどが負となるためである。
このように、従来のコイル構成では負の内積成分が支配的となるため、式(2)で求まるノイズ相関は負の大きな値となる。そのため、これら構成で取得された信号の合成値のノイズは、相関がゼロのものより大きくなりSNRは低くなる。
図14は、本実施例の内積分布を説明する図である。図14(a)に示すようにアレイコイルを形成する第一のRFコイル410A及び第二のRFコイルは、被写体103を被い、且つ、磁気結合しないように配置され、さらに導体ループが二つのRFコイルと磁気結合すると共に被写体を被うよう配置されている。
図14(b)に、信号受信時、図13の従来構成時と同様に第一のRFコイル410Aに図に示すとおり第一の電流(図中実線)が流れた場合の動作を示す。
本実施例では、第一のRFコイル410Aは導体ループと磁気結合しているため、第一のRFコイル410Aが作る磁場が、図10で説明した基本原理と同じ原理で導体ループのZ軸マイナスよりのエレメントに右方向に流れる電流を誘起し第一のサブ電流418Aが流れる。
図14(c)に、信号受信時、図13の従来構成時と同様に第二のRFコイル410Bに図に示すとおり第二の電流(図中破線)が流れた場合の動作を示す。
本実施例では、第二のRFコイル410Bは導体ループと磁気結合しているため、第二のRFコイル410Bが作る磁場が、図10で説明した基本原理と同じ原理で導体ループのZ軸マイナスよりのエレメントに右方向に流れる電流を誘起し第二のサブ電流418Aが流れる。
すなわち、本実施形態では、第一のRFコイル及び第二のRFコイルが導体ループに流れる電流の向きはX方向プラス向きであり、誘導された第一のサブ電流418Aと第二のサブ電流418Bも共にX方向プラス向きとなる。
図14(d)は二つのRFコイルが作る電場の内積の分布の概念を示す。正の電界を細かいドットで、負の電界を粗いドットで、それぞれ示している。本図に示す通り第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bは図13に示した従来構成と同様の電流を形成するため、被写体内に同様の負の内積分布を示す。一方で導体ループ415付近では正の内積分布を示す。このように正になるのは、前述の通り、磁気結合して生じた電流の向きが共に同じ向きになるためである。電流の向きが同じであるため電場の符号も等しくなり、内積は負となる。
このように本実施例では、従来構成のように内積が負領域だけで無く、正の領域が生成される。よって式(1)及び式(2)に示す通り、ノイズ相関は電場の体積積分で求まるため、本実施形態では負と正を構成することにより、積分値をゼロに近づけることができる。
よって、ノイズ相関をゼロに近づければ、図13で示した従来構成よりノイズを低下させ、SNRを向上させることができる。また、本実施例においても、第一のRFコイル410Aと第二のRFコイル410Bはそれぞれ導体ループと結合して磁気共鳴周波数f0と同じ周波数で共振するように調整されているため、磁気共鳴信号を取得することができる。
なお、本実施形態では導体ループを図14に示すようにY軸方向マイナスの位置に設置したがこれに限定されない。Y軸方向のプラスの位置であってもよい。またXやZ方向の位置も限定されないが、第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bと導体ループの磁気結合の強さは同等と成る位置に配置することが好ましい。
以上、本実施形態及び各実施例に係るMRI装置乃至受信RFコイルの実施例について説明したが、各実施形態のRFコイルは図面や上記説明に限定されることなく適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。
(電磁気結合手段の変形例)
上述した実施例1では、第一のRFコイル410Aと第二のRFコイル410Bの磁気結合除去手段にオーバラップ方式を用いたが、本変形例では実施例2と同様にインダクタ451Bを用いた磁気結合手段を用いる。
図15に、本変形例に係るアレイコイル400の構成を示す。図15に示すように、このアレイコイル400は、第一のループコイル部420Aと第二のループコイル部420Bにインダクタが直列に挿入され、これらが磁気結合することで、第一のRFコイル410Aと第二のRFコイル410Bの磁気結合が除去される。
このように磁気結合を除去することで、二つのアレイコイルの配置が制限を受けにくくなるため設計の自由度が上がる。
また、例えば、図16に示すように、二つのRFコイルを共通のキャパシタ451Cを介して磁気結合を除去しても良い。
このように除去することにより、可変キャパシタ等を用いることで容易に調整がすることができる。またインダクタでは調整が困難な場合でも本形態により調整することが可能になる。
また、実施例2においては、第一のRFコイル410Aと第二のRFコイル410Bの磁気結合除去手段にインダクタ方式を用いたが、二つのRFコイルを共通のキャパシタ451Cを介して磁気結合を除去しても良い。
このように除去することにより、可変キャパシタ等を用いることで容易に調整がすることができる。またインダクタでは調整が困難な場合でも本形態により調整することが可能になる。
なお、変形例においても、各回路素子を、各RFコイルが核磁気共鳴信号を受信できるように調整すること、且つ導体ループ415と結合してサブ電流を形成し、第一のサブ電流が作る電場と、第二のサブ電流が作る電場の内積の積分値は、第一のRFコイル410Aと第二のRFコイル410Bが被写体内に生成する電場の内積の積分値と異符号となるように調整する。
一方のRFコイルが検出した電流の一部がサブ電流として他方のRFコイルに流れ且つサブ電流の方向が一方のRFコイルと逆方向となるように調整することは上述した各実施例と同様である。
(垂直磁場の適用例)
上述した実施例1及び実施例2では、水平磁場に適用した例を示したが、垂直磁場に適用しても良い。垂直磁場に適用することで、垂直磁場のアレイコイルでもノイズ相関を低減することができSNRが向上する。
以下、図17に示す二つのループコイルの面が被写体が貫く例について説明する。
なお、本例においても、基本的に実施例1及び実施例2と同様の原理で動作し、同様の方法で調整されている。本例においては、第一のコイル面の垂線と、第二のコイル面の垂線が交わる点でのなす角の余弦は、実施例2と同様に負となる位置に配置される。よって、一般的にこのような角度に二つの同一のRFコイルを配置すると、これらコイルが被写体の中に作る電場の内積の積分値は負となり、結果負のノイズ相関が生じる。この場合、導体ループ415を加え、被写体内に正の相関を加えることでノイズ相関を0とできるため、回路構成は実施例2と同一となる。
以下、本変形例のアレイコイル400において、第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bが導体ループにそれぞれ電流を誘起した場合に生成する電場が作る電場の内積ついて、図17及び図18を用いてノイズが低減されることを説明する。
図17は従来の導体ループを使用していない、二つのRFコイルが作る電場の内積分布を説明する図である。
図17(a)に示すようにアレイコイルを形成する第一のRFコイル410A及び第二のRFコイルは、被写体103を被い、且つ、磁気結合しないように配置されている。本例では磁気結合除去手段451として、図12に図示した、それぞれのRFコイルのコイルループにインダクタを挿入して、磁気結合を除去するインダクタ方式を用いた。
信号受信時、第一のRFコイル410Aには図17(a)に示すとおりZ軸マイナス方向のエレメントにはX方向プラス向きの第一の電流(図中実線)が流れ、第二のRFコイル410Bには図に示すとおりZ軸マイナス方向のエレメントにはX方向プラス向きの第二の電流(図中破線)が流れる。図17(b)は、二つのRFコイルが作る電場の内積の分布の概念を示す。
本図に示す通り第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bは被写体内に負の内積分布を示す。このように負になるのは、被写体から見ると第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bはほぼ逆の方向に存在し、共に同じ向きの電流が流れているため、それぞれのRFコイルが被写体内に作る電場は符号が逆であるため、各領域の内積はほとんどが負となるためである。このように従来のコイル構成では負の内積成分が支配的となるため式2で求まるノイズ相関は負の大きな値となる。そのためこれら構成で取得された信号の合成値のノイズは、相関がゼロのものより大きくなりSNRは低くなる。
図18は本実施例の内積分布を説明する図である。正の電界を細かいドットで、負の電界を粗いドットで、それぞれ示している。図18(a)に示すようにアレイコイルを形成する第一のRFコイル410A及び第二のRFコイルは、被写体103を被い、且つ、磁気結合しないように配置され、さらに導体ループが二つのRFコイルと磁気結合すると共に被写体を被うようX軸方向に配置されている。
図18(b)に、信号受信時、図13の従来構成時と同様に第一のRFコイル410Aに図に示すとおり第一の電流(図中実線)が流れた場合の動作を示す。本実施形態では、第一のRFコイル410Aは導体ループと磁気結合しているため、第一のRFコイル410Aが作る磁場が、図10で説明した基本原理と同じ原理で導体ループのZ軸マイナスよりのエレメントに左方向に流れる電流を誘起し第一のサブ電流418Aが流れる。
図18(c)に、信号受信時、図13の従来構成時と同様に第二のRFコイル410Bに図に示すとおり第二の電流(図中破線)が流れた場合の動作を示す。本例では、第二のRFコイル410Bは導体ループと磁気結合しているため、第二のRFコイル410Bが作る磁場が、図10で説明した基本原理と同じ原理で導体ループのZ軸マイナスよりのエレメントに左方向に流れる電流を誘起し第二のサブ電流418Aが流れる。
すなわち本例では、第一のRFコイル及び第二のRFコイルが導体ループのZ方向マイナスよりの導体に流れる電流の向きはX方向マイナス向きであり、誘導された第一のサブ電流418Aと第二のサブ電流418Bも共にY方向マイナス向きとなる。
図18(d)は二つのRFコイルが作る電場の内積の分布の概念を示す。正の電界を細かいドットで、負の電界を粗いドットで、それぞれ示している。本図に示す通り、第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bは図13に示した従来構成と同様の電流を形成するため、被写体内に同様の負の内積分布を示す。一方で導体ループ415付近では正の内積分布を示す。このように正になるのは、前述の通り、磁気結合して生じた電流の向きが共に同じ向きになるためである。電流の向きが同じであるため電場の符号も等しくなり、内積は負となる。
このように本例では、従来構成のように内積が負領域だけで無く、正の領域が生成される。よって式(1)及び式(2)に示す通り、ノイズ相関は電場の体積積分で求められるので、本実施例では負と正を構成することにより互いに相殺し、積分値をゼロに近づけることができる。よってノイズ相関をゼロに近づければ、図13で示した従来構成よりノイズを低下させ、SNRを向上させることができる。
また本例でも第一のRFコイル410Aと第二のRFコイル410Bは、それぞれ導体ループと結合して磁気共鳴周波数f0と同じ周波数で共振するように調整されているため、磁気共鳴信号を取得することができる。
以上示したように、垂直磁場であっても水平磁場と同じように動作する。また、導体ループ415の構成方法も水平磁場と同じように、第一のコイル面の垂線と、第二のコイル面の垂線が交わる点でのなす角の余弦が正の場合は8の字コイルを使用し、負の場合は円形若しくは矩形のコイルを使用すればノイズが低下する。また、導体ループに流れる電流が作る磁場がMRIの感度に寄与するよう、磁石の静磁場の向きと垂直になるように配置することによって信号取得効率が上がる。
また本例では、第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410Bのループコイル部420が被写体を一周巻くように配置したが、これに限定されない。ループコイル部420を二周巻いても良い。これにより感度領域を広げることができる。
また、実施例1及び実施例2とこれらの変形例においては、導体ループ415が一つの場合を示したが、二つ以上備えていても良い。複数用いることでノイズ相関の調整幅が広がりSNRを向上させることができる。
また実施例1及び実施例2とこれらの変形例では、RFコイルが二つの場合を示したが、三つ以上備えていても良い。これにより3つ以上のRFコイルのアレイコイルを作製することができる。図19に示す例は、3つRFコイル備える場合である。ノイズ相関を低下させたいコイルの組み合わせ(第一のRFコイル410A及び第二のRFコイル410B)のみ導体ループと磁気結合し、それ以外のコイルは導体ループとの磁気結合が切れるように配置することによって、必要なところだけノイズ相関を低下させSNRを向上させることができる。
また、実施例1及び実施例2とこれらの変形例では、RFコイルがと導体ループの磁気結合は配置により磁気結合していたが、磁気結合方法はこれに限らない。インダクタを用いた磁気結合を行っても良い。図20に示す例は各RFコイルのコイルエレメントと導体ループに、RFコイルと導体ループのとの磁気結合を行うためのインダクタを備える。これらの磁気結合を調整することにより、RFコイルと導体ループのとの磁気結合を調整できる。これによりRFコイルと導体ループの磁気結合の調整幅が広がるため、配置に依存せず磁気結合量を調整しノイズを低下させることができる。
090・・・座標系、100・・・MRI装置、101・・・MRI装置、102・・・テーブル、103・・・検査対象、110・・・磁石、111・・・磁石、121・・・シムコイル、122・・・シム電源、131・・・傾斜磁場コイル、132・・・傾斜磁場電源、140・・・シーケンサ、151・・・送信RFコイル、152・・・RF磁場発生器、161・・・受信RFコイル、162・・・受信器、170・・・計算機、171・・・表示装置、180・・・磁気結合防止回路駆動装置、210・・・送受間磁気結合防止回路、211・・・PINダイオード、212・・・制御用信号線、220・・・送受間磁気結合防止回路、221・・・PINダイオード、221・・・クロスダイオード、222・・・インダクタ、223・・・制御用信号線、300・・・鳥かご型RFコイル、301・・・直線導体、302・・・端部導体、303・・・キャパシタ、311・・・入力ポート、312・・・入力ポート、400・・・アレイコイル、410・・・RFコイル、415・・・導体ループ、420・・・ループコイル部、421・・・ループ、422・・・直列キャパシタ、424・・・並列キャパシタ431・・・低入力インピーダンスプリアンプ、450・・・磁気結合部、452・・・磁気結合調整回路

Claims (15)

  1. 導体からなる第一のループコイル部を有し、被写体からの磁気共鳴信号の受信が可能な第一のRFコイルと、
    導体からなる第二のループコイル部を有し、被写体からの磁気共鳴信号の受信が可能であり、前記第一のRFコイルと磁気結合が除去された第二のRFコイルと、
    少なくとも一つの導体の端部が互いに接続されたループ部を有し、前記第一のRFコイル及び前記第二のRFコイルと磁気結合された電界生成回路と、を備え、
    該電界生成回路は、
    前記第一のRFコイルにより前記電界生成回路に誘起される第一のサブ電流と、前記第二のRFコイルにより前記電界生成回路に誘起される第二のサブ電流とによって、被写体内にそれぞれ生成する電場の内積の体積積分値が、前記第一のループコイル部に流れる第一の電流と、前記第二のループコイル部のRFコイルに流れる第二の電流とによって被写体内に生成する電場の内積の体積積分値を相殺するような符号及び値となるように、配置調整されるアレイコイル。
  2. 前記第一のループコイル部と前記第二のループコイル部は、互いに磁気結合防止手段によって磁気結合しないように配置及び構成されると共に、前記電界生成回路のループ部が被写体を被うように配置され、
    前記第一のループコイル面に略垂直な第一の軸と、前記第二のループコイル面に略垂直な第二の軸とのなす角度の余弦値が負となる場合に、前記電界生成回路が略円形状のループ部を有する、請求項1記載のアレイコイル。
  3. 前記第一のループコイル部と前記第二のループコイル部は、互いに磁気結合防止手段によって磁気結合しないように配置及び構成されると共に、前記電界生成回路のループ部が被写体を被うように配置され、
    前記第一のループコイル面に略垂直な第一の軸と、前記第二のループコイル面に略垂直な第二の軸とのなす角度の余弦値が正となる場合に、前記電界生成回路が8の字形状のループ部を有する、請求項1記載のアレイコイル。
  4. 前記電界生成回路が、ループ部に直列に挿入されたキャパシタを有する直列共振回路である請求項1乃至請求項3の何れか1項記載のアレイコイル。
  5. 前記ループ部が、少なくとも一つ以上の磁気結合調整回路を備えている請求項1乃至請求項4の何れか1項記載のアレイコイル。
  6. 前記磁気結合調整回路は、キャパシタ及びインダクタが並列に接続された並列共振回路であり、前記ループ部に直列に挿入される請求項5記載のアレイコイル。
  7. 前記第一のループコイル部に挿入される第一のインダクタを有し、
    前記磁気結合調整回路が、前記ループ部に直列に挿入された第二のインダクタであり、
    前記第一のインダクタと第二のインダクタとを磁気結合させることにより、磁気結合を調整する請求項5記載のアレイコイル。
  8. 前記第一のループコイル部の面と、前記第二のループコイル部の面は被写体を被うように配置されている請求項1乃至請求項7の何れか1項記載のアレイコイル。
  9. 前記第一のループコイル部の面及び前記第二のループコイル部の面は被写体によって貫かれたように配置されている請求項1乃至請求項8の何れか1項記載のアレイコイル。
  10. 前記第一のコイルループ部の一部と前記第二のコイルループ部との一部とを互いに重ねて配置することにより、前記第一のRFコイルと前記第二のRFコイルとの磁気結合を除去するオーバーラップ方式を適用した請求項1乃至請求項9の何れか1項記載のアレイコイル。
  11. 前記第一のRFコイルが第三のインダクタを有し、
    前記第二のRFコイルが第四のインダクタを有し、
    前記第三のインダクタと前記第四のインダクタとを磁気結合させることにより、前記第一のRFコイルと前記第二のRFコイルの磁気結合を除去するインダクタ方式を適用した請求項1乃至請求項10の何れか1項記載のアレイコイル。
  12. 前記第一のRFコイル及び第二のRFコイルが、共に同一のキャパシタに直列に接続されることにより、前記第一のRFコイルと前記第二のRFコイルの磁気結合を除去するキャパシタ方式を適用した請求項1乃至請求項11の何れか1項記載のアレイコイル。
  13. 前記第一のRFコイル又は前記第二のRFコイルが前記電界生成回路と結合することにより前記ループ部に流れる電流が被写体の関心領域に作るRF磁場の位相と、前記第一のRFコイル又は前記第二のRFコイルが前記関心領域に作るRF磁場の位相との差が−30度から+30度である請求項1乃至請求項12の何れか1項記載のアレイコイル。
  14. 前記電界生成回路と磁気結合しない第三のRFコイルをさらに備える請求項1乃至請求項13の何れか1項記載のアレイコイル。
  15. 静磁場を形成する静磁場形成部と、
    傾斜磁場を形成する傾斜磁場形成部と、
    前記静磁場に配置された検査対象にRF磁場を照射する送信RFコイルと、
    前記検査対象からの核磁気共鳴信号を検出する受信RFコイルと、
    前記受信RFコイルが検出した核磁気共鳴信号を処理する信号処理部と、を備え、
    前記受信RFコイルが、請求項1乃至請求項14の何れか1項記載のアレイコイルである磁気共鳴撮像装置。
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