JP6744146B2 - タイヤ - Google Patents
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そこで、上記課題を鑑みてなされたものであり、リブ剛性を維持しつつWET性能を向上可能なタイヤを提供することを目的とする。
本構成によれば、中間副溝の閉口端側延長部がタイヤ円周方向に向けて延長しているため、摩耗初期段階でのWET性能(タイヤ踏面と路面間の水膜の除去)を維持しつつ、タイヤ接地時の中間副溝の閉口端部における応力集中を低減し、クラックの発生を抑制することができる。
また、上記タイヤの他の構成として、中間副溝のタイヤ幅方向の長さ寸法を中間陸部の幅寸法に対する割合の50%〜90%とすることにより、中間陸部の剛性を低下させることなくエッジ効果を得ることができる。
また、上記タイヤの他の構成として、中間副溝のタイヤ円周方向の長さ寸法をタイヤ幅方向の長さ寸法の10〜50%としたことにより、タイヤ接地時の中間副溝の閉口端部における応力集中を低減し、クラックの発生を抑制することができる。
また、上記タイヤの他の構成として、開口端側延長部のタイヤ円周方向に交差する角度を60〜80度としたので、中間副溝のエッジ効果により除去されたタイヤ踏面と路面間の水膜を主溝に円滑に排出することができる。
また、上記タイヤの他の構成として、閉口端側延長部側に位置する中間サイプから閉口端側延長部の閉口端部までのタイヤ円周方向の距離が、タイヤ円周方向に隣接する中間サイプ間の距離の25%〜40%であるようにすると良い。
図2に示すように、タイヤTは、コード部材を主体として構成される一対のビードコア51、カーカス53、複数のベルトプライで構成されるベルト層54、ゴム部材を主体として構成されるビードフィラー52、ベルトアンダーゴム55、ベースゴム56、トレッドゴム57、リムクッションゴム58、サイドゴム59、ミニサイドゴム60、インナーライナー62等を備える。
外側主溝3,4の溝幅m3,m4及び内側主溝5,6の溝幅m5,m6は、それぞれ5mm〜30mmの範囲で設定される。例えば、外側主溝3,4の溝幅m3,m4及び内側主溝5,6の溝幅m5,m6は、全て同じであっても良く、また、上記範囲を満たしつつ、全ての溝幅m3,m4,m5,m6が異なっていても良い。また、外側主溝3,4の溝幅m3,m4が同じ、内側主溝5,6の溝幅m5,m6が同じで、外側主溝3,4の溝幅m3,m4と内側主溝5,6の溝幅m5,m6とが異なっていても良い。上記各溝幅m3,m4,m5,m6は、各主溝3,4,5,6の踏面において互いに対向する溝壁間の最短距離により測定される。
内側主溝5,6の溝底には、石噛みを防止する石噛み防止突起が溝の延長方向に沿って断続的に形成されている。
副溝13は、具体的には、一方の内側主溝6から傾斜して延長する第1区間13aと、第1区間13aから連続し、第1区間13aの延長方向に対してタイヤ円周方向逆向きに延長する第2区間13bと、第2区間13bから連続し、第1区間13aと平行な方向に傾斜して他方の内側主溝5まで延長する第3区間13cとを備える。
第1区間13aは、内側主溝6との開口部を始端とし、タイヤ幅方向に対して所定の傾斜角度a1傾斜した状態で延長し、中央陸部7内で終端する。第1区間13aの延長する長さは、例えば、タイヤセンターCLに至る前で終端するように設定される。第2区間13bは、第1区間13aの終端を始端とし、第1区間13aの傾斜方向とはタイヤ円周方向逆向きのタイヤ幅方向に対して傾斜角度a2で傾斜して延長し、タイヤセンターCLを超えた中央陸部7内で終端する。第3区間13cは、第2区間13bの終端を始端とし、第2区間13bの傾斜方向とはタイヤ円周方向逆向きにタイヤ幅方向に対して傾斜角度a3で傾斜して延長し、内側主溝5に開口して終端する。
第1区間13aと第3区間13cとは、タイヤ幅方向に対する傾斜角度a1と傾斜角度a3とが同じ、タイヤ幅方向の長さとが同じに設定される。
副溝13は、延長方向における溝深さd13及び溝幅m13が一様に設定される。
例えば、副溝13の溝深さd13は1mm〜2mmの範囲、溝幅m13は1mm〜2mmの範囲で設定されることが好ましい。
第1区間14aが内側主溝6に開口する傾斜角度b1は、副溝13の第1区間13aの傾斜角度a1と同じ角度となるように設定される。
また、第2区間14bが延長する傾斜角度b2は、副溝13の第2区間13bの傾斜角度a2と同じ角度となるように設定される。
また、第3区間14cが内側主溝5に開口する傾斜角度b3は、副溝13の第3区間13cと平行となるように設定される。
サイプ14の溝幅m14は、0.3mm〜1.5mmの範囲が好ましい。
副溝15は、主としてタイヤ幅方向に延長した後に、タイヤ円周方向に屈曲するように向きを変えて延長するように形成される。具体的には、副溝15は、一端が中間陸部8を画成する内側主溝5に開口し、他端が中間陸部8内で終端するように外側主溝3に向けて延長する開口端側延長部15aと、開口端側延長部15aが中間陸部8内で終端する屈曲部15Bからタイヤ円周方向に向けて延長し、該中間陸部8内で終端する閉口端側延長部15bとを有する。
閉口端側延長部15bの延長する方向は、例えば、タイヤ円周方向に対して傾斜角度c2が、屈曲部15Bから延長するタイヤ円周方向の直線から左右に0度〜10度の範囲で設定される。好ましくは、0度〜5度の範囲、より好ましくは傾斜角度c2をタイヤ円周方向に一致する0度とすると良い。
なお、副溝15の開口端側延長部15a及び閉口端側延長部15bが直線状に延長するとは、円弧状に緩やかに曲がる曲線を含む概念である。
また、中間陸部8の幅寸法w8は、踏面に内側主溝5が開口する外側エッジ5oから踏面に外側主溝3が開口する内側エッジ3iまでのタイヤ幅方向の長さである。
また、副溝15は、閉口端部15Cのサイプ16に対する距離L30が、該副溝15に隣接するサイプ16;16同士のタイヤ円周方向の距離L20に対し、25%〜40%の範囲で形成されることが好ましい。例えば、25%を下回る場合には、副溝15がサイプ16に近づき過ぎるため、路面に対する踏み込み時や蹴り出し時の変形が大きくなり、クラック発生の抑制性能が低下する虞がある。また、40%を上回る場合には、副溝15が、隣接するサイプ16;16により区画されたブロックの対田円周方向の中央側に近づくため、放熱しにくくかつ発熱しやすいのでクラック発生の抑制性能が低下する虞がある。
サイプ16の溝幅m16は、0.3mm〜1.5mmの範囲が好ましい。
なお、上記説明における延長上に位置するとは、各サイプや各副溝の中心線が同一直線上に位置するだけでなく、例えばサイプや副溝の溝幅の範囲内に、サイプや副溝の中心線が含まれることを意味する。
(副溝13の幅方向長さ寸法w13/中央陸部7の幅寸法w7) >
(副溝15の幅方向長さ寸法w15/中間陸部8,9の幅寸法w8,w9) >
(副溝17の幅方向長さ寸法w17/外側陸部10,11の幅寸法w10,w11)。
このように、各陸部7〜11の幅寸法w7〜w11に対する副溝13,15,17の幅方向長さ寸法w13,w15,17を設定することにより、各陸部7〜11の剛性を維持しつつ、各副溝13,15,17によるエッジ成分を好適に得ることができる。なお、外側陸部10の幅寸法w10は、踏面に外側主溝3が開口する外側エッジ3oからトレッド端2tまでのタイヤ幅方向の長さである。
ベルト71〜73は、タイヤ幅方向の端部が外側陸部10,11のタイヤ半径方向内側に位置するようにベルト幅が設定される。
例えば、ベルト72の端部72tの位置が、外側主溝3から70%以下の場合には、耐カット性が低下する虞がある。また、95%以上とした場合ベルト端におけるひずみが悪化する虞がある。
例えば、ベルト73の端部73tの位置が、外側主溝3から40%以下の場合には、耐カット性が低下する虞がある。また、70%以上とした場合ベルト端におけるひずみが悪化する虞がある。
例えば、ベルト74の端部74tの位置が、内側主溝5から75%以下の場合には、耐カット性が低下する虞がある。また、95%以上とした場合ベルト端におけるひずみが悪化する虞がある。
特に、タイヤ半径方向外側の最外層に位置するベルト74には、ブラスめっきされたスチールコードからなる2本のコアフィラメントを撚り合わせた外周に、ブラスめっきされたスチールコードからなる8本のシースフィラメントを撚り合わせた2層の層撚り構造を有するベルトコードを用いることが好ましい。
本実施形態に係るタイヤTの効果を検証するため、図8の表に示すように設定された従来例タイヤ(以下従来例という)1,2(図7参照)と、本実施形態に係るタイヤ(以下実施例という)1,2,3との計5種類のタイヤを試作し、JATMAで規定されるリムにリム組みして規定内圧を印加して、WET時における発進・加速性能評価、ブレーキ性能評価、5%,10%,15%摩耗時のフィーリング評価及びクラック発生状態評価を行った。従来例1,2及び実施例1,2,3のいずれのタイヤもタイヤサイズは、12R22.5インチである。
また、ブレーキ評価は、WETμ試験により評価した。
また、5%,10%,15%摩耗時のフィーリング評価は、実地試験により摩耗の際のドライバビリティにより評価した。
クラック発生状態評価は、新品状態から15%摩耗時に至ったときのクラックの発生状態を目視による確認により評価した。
各評価結果は、図9の表に示す。なお、各評価は、実施例1の結果を100として指数化して相対評価した。各評価とも数値が大きい程性能が優れる。
また、サイプ間距離L20に対する副溝15の距離L30の割合が、40%を上回ると、比較例3に示すように、ブレーキ評価及びクラック発生状態評価が低下することが分かる。
7 中央陸部、13,15 副溝、14,16 サイプ、
15a 開口端側延長部、15b 閉口端側延長部、
CL タイヤセンター、T タイヤ。
Claims (5)
- トレッド幅方向両側においてタイヤ円周方向に連続して延びる外側主溝と、
前記各外側主溝とタイヤ赤道との間においてそれぞれ設けられ、タイヤ円周方向に連続して延びる内側主溝と、
前記各内側主溝により区画された中央陸部と、
前記各外側主溝と前記各内側主溝とによりそれぞれ区画された中間陸部と、
を備えるタイヤであって、
前記中央陸部は、タイヤ円周方向に交互に形成され、幅方向一方の内側主溝から他方の内側主溝まで、前記内側主溝と交わる向きに延長する中央サイプ及び中央副溝を有し、
前記中間陸部は、タイヤ円周方向に交互に形成され、前記外側主溝と前記内側主溝に交わる向きに延びる中間サイプ及び中間副溝を有し、
前記中間サイプは、一端が前記外側主溝、他端が前記内側主溝に開口し、
前記中間副溝は、タイヤ円周方向に隣接する前記中間サイプにより区画された前記中間陸部の区画内に形成され、
一端が前記外側主溝又は前記内側主溝に開口し、他端が前記区画内で終端する開口端側延長部と、
前記他端からタイヤ円周方向に向けて延長し、前記区画内で終端する閉口端側延長部と、を有し、
前記閉口端側延長部の延長する角度がタイヤ円周方向に対して0度〜10度の範囲であることを特徴とするタイヤ。 - 前記中間副溝のタイヤ幅方向の長さ寸法は、前記中間陸部の幅寸法の50%〜90%である請求項1記載のタイヤ。
- 前記中間副溝のタイヤ円周方向の長さ寸法は、当該中間副溝のタイヤ幅方向の長さ寸法の10〜50%である請求項1又は請求項2記載のタイヤ。
- 前記開口端側延長部は、タイヤ円周方向に対して60〜80度の範囲で傾斜して延長する請求項1乃至請求項3いずれかに記載のタイヤ。
- 前記閉口端側延長部側に位置する前記中間サイプから前記閉口端側延長部の閉口端部までのタイヤ円周方向の距離が、前記タイヤ円周方向に隣接する前記中間サイプ間の距離の25%〜40%である請求項1乃至請求項4いずれかに記載のタイヤ。
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