JP6739669B2 - ガラス被覆窒化アルミニウム粒子、その製造方法およびそれを含む放熱性樹脂組成物 - Google Patents

ガラス被覆窒化アルミニウム粒子、その製造方法およびそれを含む放熱性樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス被覆窒化アルミニウム粒子、その製造方法およびそれを含む放熱性樹脂組成物に関する。特に、窒化アルミニウム粒子の表面を覆うガラス成分を含む組成物からなる粒子に関するものである。
窒化アルミニウムは、熱伝導性が高く、優れた電気絶縁性を備えている。しかしながら、窒化アルミニウムは、水分との反応で加水分解を引き起こし、熱伝導性の低い水酸化アルミニウムに変性してしまう。窒化アルミニウムの加水分解は、大気中の水分によっても進行する。そのため、窒化アルミニウムを添加した製品は、高温、高湿の条件下において性能の劣化が懸念される。
窒化アルミニウムは、窒化アルミニウム粉末の表面にSi−Al−O−Nからなる層を表面に形成する方法(例えば、特許文献1参照)、窒化アルミニウム粉末の表面にシリケート処理剤とカップリング剤とで被覆層を形成する方法(例えば、特許文献2参照)、シリケート処理剤で処理し窒化アルミニウム粉末の表面に有機基を残す方法(例えば、特許文献3参照)、特定の酸性リン酸エステルを用いて表面修飾した窒化アルミニウム粒子(例えば、特許文献4参照)など、耐湿の向上を図る技術が提案されている。
特許文献1の防湿性アルミニウム粉末は、窒化アルミニウム粉末表面にケイ酸エステル層を塗布した後、350〜1000℃の高温で焼成することによりSi−Al−O−Nからなる層を表面に形成している。特許文献2の窒化アルミニウム系粉末は、シリケート処理剤とカップリング剤で表面処理後に高温加熱処理を行うことで表面に被覆層を形成している。特許文献3の窒化アルミニウム粉末は、シリケート処理剤で表面処理後に90℃を超えない温度で加熱処理することにより、有機基を残すことで樹脂との馴染性を向上させている。特許文献4の表面修飾粒子は、特定の酸性リン酸エステルを用いて表面修飾した窒化アルミニウム粒子により耐湿性を向上させている。
特許第3446053号公報 特許第4088768号公報 特許第4804023号公報 特開2015−71730号公報
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
窒化アルミニウム粉末は、耐湿の向上を図るため、Si−Al−O−Nの反応層、シリケート処理剤とカップリング剤とで形成する被覆層、表面修飾層などを有している。その結果、耐湿性の改善は、認められるが、まだ十分なレベルではなく、逆に耐湿の向上を図る手段として用いた被膜が、本来の窒化アルミニウムの熱伝導性を低下させる場合が多い。さらに、フィラーとして各種材料に高い充填率で配合することも困難になるという課題がある。
本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであり、高い熱伝導性を維持し、耐湿の向上を図ることを可能とするためのガラス被覆窒化アルミニウム粒子、その製造方法およびそれを含む放熱性樹脂組成物を得ることを目的とする。
本発明の第1の形態におけるガラス被覆窒化アルミニウム粒子は、窒化アルミニウム粒子と、窒化アルミニウム粒子の表面の少なくとも一部を覆うガラス相と、を備え、ガラス相は、少なくともガラス成分を含む組成物であり、ガラス成分を含む組成物は、窒化アルミニウム粒子100質量部に対して0.1質量部〜5.0質量部の比率を有し、窒化アルミニウム粒子は、体積累計のd50が10μm〜200μmである。
また、本発明の第2の形態におけるガラス被覆窒化アルミニウム粒子は、窒化アルミニウム粒子と、窒化アルミニウム粒子の表面の少なくとも一部を覆うガラス相と、を備え、ガラス相は、少なくともガラス成分を含む組成物であり、ガラス成分を含む組成物は、窒化アルミニウム粒子100質量部に対して0.2質量部〜5.0質量部の比率を有し、かつ、窒化ホウ素粒子をさらに含み、窒化アルミニウム粒子は、体積累計のd50が10μm〜200μmである。
さらに、本発明の第3の形態におけるガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法は、窒化アルミニウム粒子と窒化アルミニウム粒子の表面の少なくとも一部を覆うガラス相とを有するガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法であって、ガラス相の原料であるガラスフリットの体積累計のd50は、0.3μm〜50μmであり、窒化アルミニウム粒子とガラスフリットとを混合して混合物を生成する第1工程と、第1工程が終了した後の混合物を、ガラスフリットのガラス転移温度以上で、かつ、2000℃以下の温度で熱処理し、窒化アルミニウムに対してガラスフリットを被覆して被覆粒子を得る第2工程と、第2工程が終了した後の被覆粒子を解砕して、体積累計のd50が10μm〜200μmの粒子とする第3工程と、を備えるものである。
また、本発明の第4の形態におけるガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法は、窒化アルミニウム粒子と窒化アルミニウム粒子の表面の少なくとも一部を覆うガラス相とを有するガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法であって、ガラス相の原料であるガラスフリットの体積累計のd50は、0.3μm〜50μmであり、窒化アルミニウム粒子、ガラスフリット、体積累計のd50が0.3μm〜30μmの窒化ホウ素粒子とを混合して混合物を生成する第1工程と、第1工程が終了した後の混合物を、ガラスフリットのガラス転移温度以上で、かつ、2000℃以下の温度で熱処理し、窒化アルミニウムに対してガラスフリットを被覆して被覆粒子を得る第2工程と、第2工程が終了した後の被覆粒子を解砕して、体積累計のd50が10μm〜200μmの粒子とする第3工程と、を備えるものである。
さらに、本発明の第5の形態として、上述したいずれかのガラス被覆窒化アルミニウム粒子を含有する放熱性樹脂組成物である。
本発明に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子、その製造方法およびそれを含む放熱性樹脂組成物によれば、高い熱伝導性を維持し、耐湿の向上を図ることを可能とするためのガラス被覆窒化アルミニウム粒子、その製造方法およびそれを含む放熱性樹脂組成物を得ることができる。
本発明の実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子の熱伝導率に関する評価結果を示す図である。 本発明の実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子の耐湿性に関する評価結果を示す図である。 本発明の実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子の熱伝導率に関する評価結果を示す図である。 本発明の実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子の耐湿性に関する評価結果を示す図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、詳細に説明する。
(1)窒化アルミニウム粒子と、前記窒化アルミニウム粒子の表面の少なくとも一部を覆うガラス相と、を備え、前記ガラス相は、少なくともガラス成分を含む組成物であり、前記窒化アルミニウム粒子100質量部に対して0.1質量部〜5.0質量部の比率を有し、前記窒化アルミニウム粒子は、体積累計のd50が10μm〜200μmであるガラス被覆窒化アルミニウム粒子。
(2)前記ガラス成分を含む組成物は、前記窒化アルミニウム粒子100質量部に対して0.2質量部〜5.0質量部の比率を有し、かつ、窒化ホウ素粒子を含む(1)に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子。
(3)前記窒化ホウ素粒子は、前記窒化アルミニウム粒子100質量部に対して、0.1質量部〜10.0質量部の比率である(2)に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子。
(4)前記窒化アルミニウム粒子の平均アスペクト比は、0.8以上である(1)〜(3)のいずれかに記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子。
(5)窒化アルミニウム粒子と前記窒化アルミニウム粒子の表面の少なくとも一部を覆うガラス相とを有するガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法であって、前記ガラス相の原料であるガラスフリットの体積累計のd50は、0.3μm〜50μmであり、前記窒化アルミニウム粒子と前記ガラスフリットとを混合して混合物を生成する第1工程と、前記第1工程が終了した後の前記混合物を、前記ガラスフリットのガラス転移温度以上で、かつ、2000℃以下の温度で熱処理し、前記窒化アルミニウムに対して前記ガラスフリットを被覆して被覆粒子を得る第2工程と、前記第2工程が終了した後の前記被覆粒子を解砕して、体積累計のd50が10μm〜200μmの粒子とする第3工程と、を備えるガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法。
(6)前記第2工程は、酸素を含まない雰囲気下で行う(5)に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法。
(7)前記第2工程の熱処理は、400℃〜1400℃において、30分〜3時間の範囲で行う(5)または(6)に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法。
(8)前記第1工程と前記第2工程との間で、前記窒化アルミニウム粒子と前記ガラス相の原料である前記ガラスフリットとの前記混合物を、圧力を加えて賦形する工程を含む(5)〜(7)のいずれかに記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法。
(9)前記賦形工程は、10MPa〜300MPaの圧力で行う(7)に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法。
(10)窒化アルミニウム粒子と前記窒化アルミニウム粒子の表面の少なくとも一部を覆うガラス相とを有するガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法であって、前記ガラス相の原料であるガラスフリットの体積累計のd50は、0.3μm〜50μmであり、前記窒化アルミニウム粒子、前記ガラスフリット、体積累計のd50が0.3μm〜30μmの窒化ホウ素粒子とを混合して混合物を生成する第1工程と、第1工程が終了した後の前記混合物を、前記ガラスフリットのガラス転移温度以上で、かつ、2000℃以下の温度で熱処理し、前記窒化アルミニウムに対して前記ガラスフリットを被覆して被覆粒子を得る第2工程と、前記第2工程が終了した後の前記被覆粒子を解砕して、体積累計のd50が10μm〜200μmの粒子とする第3工程と、を備えるガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法。
(11)前記第2工程は、酸素を含まない雰囲気下で行う(10)に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法。
(12)前記第2工程の熱処理は、400〜1400℃において、30分〜3時間の範囲で行う(10)または(11)に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法。
(13)前記第1工程と前記第2工程との間で、前記窒化アルミニウム粒子、前記ガラスフリット、前記窒化ホウ素粒子の前記混合物を、圧力を加えて賦形する工程を含む(10)〜(12)のいずれか1項に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法。
(14)前記賦形工程は、10MPa〜300MPaの圧力で行う(13)に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法。
(15)(1)〜(4)のいずれか1項に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子を含有する放熱性樹脂組成物。
[ガラス被覆窒化アルミニウム粒子]
本発明の第1〜第4の形態におけるガラス被覆窒化アルミニウム粒子は、窒化アルミニウム粒子、ガラス相を基本的な構成としている。ここで、ガラス相とは、窒化アルミニウム粒子の表面の少なくとも一部を覆っているガラスフリットを、あらかじめ設定された方法で溶融したものである。また、後述するように、ガラス被覆窒化アルミニウム粒子は、耐湿性、ガラス被覆の密着性などを考慮して、上述したような基本構成に窒化ホウ素粒子を含む構成とする場合もある。
まず、窒化アルミニウム粒子、ガラス相で構成されたガラス被覆窒化アルミニウム粒子について説明する。
ガラス被覆窒化アルミニウム粒子は、原料として窒化アルミニウム粒子を用いる。窒化アルミニウム粒子は、市販品など公知のものを使用することができる。
窒化アルミニウム粒子の製法は、特に制限がなく、例えば、金属アルミニウム粉と窒素またはアンモニアとを直接反応させる直接窒化法、アルミナを炭素還元しながら窒素またはアンモニア雰囲気下で加熱して同時に窒化反応を行う還元窒化法、などがある。また、窒化アルミニウム粒子は、窒化アルミニウム微粒子の凝集体を焼結させて顆粒状にした粒子を用いることもできる。特に、高純度窒化アルミニウムの焼結顆粒は、体積累計のd50が1μm程度の場合で好適に用いることができる。
ここで、高純度窒化アルミニウムとは、酸素含有量が非常に低く、金属不純物も極めて少ない粒子のことである。
上述したように、高純度窒化アルミニウムは、良好な熱伝導性を得るために好適である。それらの窒化アルミニウム粒子は、単独または組み合わせて使用することができる。
本実施の形態に用いられる窒化アルミニウム粒子の形状は、特に制限がなく、無定形(破砕状)、球形、無定形と球形との混合物などを、適宜、組み合わせて用いることができる。窒化アルミニウム粒子を放熱材料用のフィラーとして樹脂に分散させて使用する場合には、窒化アルミニウム粒子の体積比(充填量)は、大きいほど熱伝導率が高くなる。そのため、窒化アルミニウム粒子は、窒化アルミニウム粒子の添加による粘度上昇が少ない球形に近い形状が好ましい。
窒化アルミニウム粒子の形状の指標は、アスペクト比で表すと、0.8〜1.0の範囲が好ましく、さらに好ましくは、0.9〜1.0の範囲である。ここで、アスペクト比とは、任意に抽出した粒子100個の電子顕微鏡写真像から、短径(D1)と長径(D2)とをそれぞれ測定し、その比であるD1/D2の相加平均値と定義する。
なお、任意に抽出した1以上の粒子のそれぞれに対する電子顕微鏡写真像において、短径は、一対の平行線で挟まれた最小の長さ、一方、長径は、一対の平行線で挟まれた最大の長さ、のことである。
本実施の形態に用いられる窒化アルミニウム粒子の体積累計のd50は、10〜200μmである。さらに好ましくは、30〜100μmの範囲である。窒化アルミニウム粒子の体積累計のd50が、10μm以上の場合には、均一なガラス被覆を容易に形成できる。その結果、ガラス被覆窒化アルミニウム粒子の耐湿性は、向上する。
また、窒化アルミニウム粒子の体積累計のd50が、200μm以下の場合には、放熱材料の厚みを決定するフィラーの大きさを最小にできる。その結果、パワー系電子部品を搭載する放熱材料は、薄層を図ることができる。
本実施の形態に使用される各種粒子の平均粒径は、レーザー回折散乱法による粒度分布から求めた値である。ここで、平均粒径とは、ある粒度分布に対して、体積累計の積算値が、50%となる粒径(体積累計のd50)を示している。具体的な測定は、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラックMT3300EX2:マイクロトラック・ベル株式会社製)を使用して、体積累計のd50を得た。
次に、第1の形態、第3の形態の窒化アルミニウム粒子の表面を被覆するガラス相について説明する。ガラス相は、ガラスフリットを溶融したものである。また、ガラスフリットは、後述するように、ガラス成分を含む組成物のことである。
本発明の実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子は、窒化アルミニウム粒子表面の少なくとも一部、好ましくは全部を、ガラスフリットを溶融したガラス相で被覆する。なお、ガラスフリットは、ガラス成分を含む組成物である。
ガラスフリットのガラス成分は、80質量%以上含むことが好ましく、さらに好ましくは90質量%以上である。ガラス成分は、特に限定するものではないが、市販のケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラスなどを使用することができ、SiO2、Al2O3およびB2O3から選ばれる2成分以上を含有することが好ましい。
また、後述するガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法で説明するように、ガラスフリットは、第2工程における被覆時の熱処理の温度を低下させたい場合には、低融点化のためにビスマス系ガラス、錫−リン酸系ガラス、バナジウム系ガラス、鉛系ガラスなどを用いることができる。
しかしながら、WEEEおよびRoHS指令に基づく、鉛の自主的なリスク・アセスメントの観点から、ガラスフリットは、ビスマス系ガラス、錫−リン酸系ガラス、バナジウム系ガラスが好ましい。
さらに、ガラスフリットは、被覆する窒化アルミニウム粒子と熱膨張係数を合わせるために、ZnO成分を含有することもできる(ZnOの場合には、熱膨張係数を低減させる)。
また、ガラスフリットは、耐湿性の観点から、Na2O、K2Oなどのアルカリ金属の酸化物の含有量を少なくする方が好ましい。さらに、ガラスフリットは、CaO、SrO、MgO、BaO、SnOなどの任意成分を含んでいてもよい。
ガラスフリットのガラス成分は、SiO2、Al2O3およびB2O3から選ばれる成分の合計量として、ガラス成分を含む組成物全体に対して、30〜95質量%の比率が好ましい。ガラスフリットは、30質量%以上で良好な被覆性を示し、95質量%以下とすることで他の成分の効果を有効に発揮できる。
第1の形態、第3の形態で用いられる、ガラス成分を含む組成物は、窒化アルミニウム粒子100質量部に対して、0.1〜5.0質量部の範囲が好ましく、より好ましくは、0.2〜4.0質量部、さらに好ましくは0.5〜3.0質量部の範囲である。この理由として、ガラス成分を含む組成物は、0.1質量部以上で窒化アルミニウム粒子へのガラス被覆が十分となり、5.0質量部以下とすることで、表面を被覆するガラス成分の影響による熱伝導率の低下を抑制することができるためである。
なお、本実施の形態で用いられるガラス成分を含む組成物は、後述するように、窒化ホウ素粒子を含む場合には、窒化アルミニウム粒子に対するガラス成分の組成物の割合が、上述したものと異なる場合がある。
次に、第2の形態、第4の形態の基本的な構成のガラス被覆窒化アルミニウム粒子に対して、窒化ホウ素粒子が含まれる構成の場合における、窒化ホウ素粒子について説明する。
本実施の形態に用いられる窒化アルミニウム粒子表面は、少なくとも一部を被覆するガラス成分を含む組成物に窒化ホウ素粒子を含んで構成する場合がある。窒化ホウ素は、本実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子の重要な構成要素であり、後述するように、ガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法に関わるものである。
本実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子は、窒化アルミニウム粒子の表面にガラスフリットを溶融して被覆したガラス相を形成し、その後に、溶融被覆時に融着したガラス被覆窒化アルミニウムの粒子同士を解砕することで得られる。
ガラス成分が、ガラス被覆窒化アルミニウムの粒子同士の融着した部分に多く集まった場合、厚いガラス被覆の場合など、窒化アルミニウム粒子とガラス被覆層との界面は、解砕時にガラス被覆窒化アルミニウムの粒子同士がほぐれる過程で剥離する場合がある。
その結果、窒化アルミニウム粒子の表面は、露出してしまう可能性がある。剥離による窒化アルミニウム粒子の露出は、窒化アルミニウムの加水分解を誘起するため、耐湿性の低下を引き起こす。つまり、ガラス被覆の欠損は、最小限に抑制しなければならない。
ところで、窒化ホウ素粒子は、モース硬度が小さく、劈開面に沿って割れやすいという性質を持っている。そのため、窒化ホウ素粒子をガラスフリットに添加することで、ガラス被覆層は、解砕時に窒化ホウ素粒子を起点に破断しやすくなる。その結果、ガラス被覆は、剥離することなく、個々のガラス被覆窒化アルミニウム粒子を得ることができる。
窒化ホウ素粒子の添加量は、窒化アルミニウム粒子100.0質量部に対して、0.1〜10.0質量部の範囲が好ましく、より好ましくは、0.5〜7.0質量部、さらに好ましくは、1.0〜5.0質量部の範囲である。この理由として、窒化ホウ素は、0.1質量部以上の添加で解砕時に、ガラス被覆窒化アルミニウム粒子の粒子同士の破断の基点として有効に作用し、10.0質量部以下とすることで、ガラス被覆層の影響による窒化アルミニウム粒子の熱伝導率の低下を抑制することができるためである。
窒化ホウ素粒子は、特に限定するものではないが、六方晶系窒化ホウ素粒子が好ましく、粒子形状は、鱗片状または顆粒状のどちらでも適宜使用でき、より好ましくは、鱗片状のものである。
窒化ホウ素粒子の体積累計のd50は、0.3〜30μmであり、より好ましくは、0.5〜15μm、さらに好ましくは、1〜5μmの範囲である。この理由として、窒化ホウ素粒子の体積累計のd50は、0.3μm以上の場合には、上述した解砕時に破断の基点となる効果を発揮し、一方、30μm以下の場合には、ガラス被覆層からの抜け落ちを防止できる。
次に、第2の形態、第4の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子に窒化ホウ素粒子が含まる構成における、ガラス相の原料であるガラスフリットについて説明する。
本実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子に用いられる窒化アルミニウム粒子の表面は、少なくとも一部、好ましくは全部を、ガラス相で被覆する。ガラス相は、ガラスフリットを溶融したもので、ガラス成分を含む組成物である。
ガラスフリットのガラス成分は、30〜90体積%含むことが好ましく、より好ましくは、40〜80体積%、さらに好ましくは、50〜70体積%の範囲である。なお、上述したように、本実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子は、窒化ホウ素粒子を含む場合には、窒化アルミニウム粒子に対するガラス成分の組成物の好適な割合が、上述した窒化ホウ素粒子を含まない場合とは異なっている。
ガラス成分は、特に限定するものではないが、市販のケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラスなどを使用することができ、SiO2、Al2O3およびB2O3から選ばれる2成分以上を含有することが好ましい。
また、後述するガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法で説明するように、ガラスフリットは、第2工程における被覆時の熱処理の温度を低下させたい場合には、低融点化のためにビスマス系ガラス、錫−リン酸系ガラス、バナジウム系ガラス、鉛系ガラスなどを用いることができる。
しかしながら、WEEEおよびRoHS指令に基づく、鉛の自主的なリスク・アセスメントの観点からビスマス系ガラス、錫−リン酸系ガラス、バナジウム系ガラスが好ましい。さらに、ガラスフリットは、被覆する窒化アルミニウム粒子と熱膨張係数を合わせるために、ZnO成分を含有することもできる(ZnOの場合には、熱膨張係数を低減させる)。
また、ガラスフリットは、耐湿性の観点から、Na2O、K2Oなどのアルカリ金属の酸化物の含有量を少なくする方が好ましい。さらに、ガラスフリットは、CaO、SrO、MgO、BaO、SnOなどの任意成分を含んでいてもよい。
ガラスフリットのガラス成分は、SiO2、Al2O3およびB2O3から選ばれる成分の合計量として、ガラス成分を含む組成物全体に対して、30〜90質量%の比率が好ましい。ガラスフリットは、30質量%以上で良好な被覆性を示し、90質量%以下とすることで他の成分の効果を有効に発揮できる。
第2の形態、第4の形態で用いられる、ガラス成分を含む組成物は、窒化アルミニウム粒子100.0質量部に対して、0.2〜15.0質量部の比率であり、より好ましくは、0.5〜10.0質量部、さらに好ましくは、1.0〜5.0質量部の範囲である。この理由として、ガラスフリットは、0.2質量部以上で窒化アルミニウム粒子へのガラス被覆が十分となり、15.0質量部以下とすることで、表面を被覆するガラス成分の影響による熱伝導率の低下を抑制することができるためである。
[ガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法]
本発明の実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法について、以下で説明する。
まず、ガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法における、ガラス被覆に用いるガラス相の原料であるガラスフリットについて説明する。
本実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子は、窒化アルミニウム粒子とガラスフリットとを混合した後、熱処理によりガラスフリットを溶融させて、窒化アルミニウム粒子表面にガラス相を形成する方法が好適である。
一般的に、ガラスフリットは、アルミナ、シリカ、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどを原料とし、それらを調合し、ガラス溶融炉において溶融し、冷却後に湿式粉砕または乾式粉砕によって粉砕することで製造される。溶融工程における温度は、ガラスの種類により異なり、概ね800℃〜1600℃である。
ガラスフリットは、市販品など公知のものを使用することができる。つまり、ガラスフリットは、携帯電話用基板、車載用基板、太陽電池セルの導電ペーストなど、各種電気・電子部品に関連する封止・封着用途などに使用されるものを好適に用いることができる。
なお、ガラスフリットの成分は、例えば、上述したような窒化アルミニウム粒子の被覆成分である組成物と同様の成分が好ましい。
また、ガラスフリットの体積累計のd50は、0.3〜50μmである。好ましくは、0.3〜10μm、さらに好ましくは、1〜5μmの範囲である。つまり、ガラスフリットの体積累計のd50が、0.3μm以上の場合には、ガラスフリットが凝集することなく均一に分散しやすくなり、均一なガラス被覆を容易に得られる。
さらに、ガラスフリットの体積累計のd50が、50μm以下の場合には、窒化アルミニウム粒子の表面に付着したガラスフリットは、滑落することなく、均一なガラス被膜を得られる。
次に、図1を用いて、窒化アルミニウム粒子、ガラスフリットで構成された第3の形態のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法の一態様について説明する。
図1は、本実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法のフローチャートである。ガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法は、原料を混合する第1工程、混合物を熱処理する第2工程、ガラス被覆窒化アルミニウム粒子を得るために解砕する第3工程、を有している。
まず、第1工程を説明する。第1工程は、原料の窒化アルミニウム粒子とガラスフリットとを混合する工程である。原料を混合する第1工程では、ガラスフリットは、窒化アルミニウム粒子の表面に対して、できる限り均一に付着させるように留意する。
紛体混合装置は、一般的な粉体混合装置を使用することができる。例えば、容器回転型のVブレンダー、ダブルコーン型ブレンダー、混合羽根を有するリボンブレンダー、スクリュー型ブレンダーなど、さらには各種粒子複合化装置などが挙げられ、混合工程の目的を満たすものであれば、特に限定するものではない。
また、第1工程は、バインダーを用いてガラスフリットを窒化アルミニウム粒子表面に安定に付着させる工程も含んでいる。バインダーは、後述する第2工程の熱処理工程において焼失し、ガラス被覆窒化アルミニウム粒子の表面に痕跡を残さないものが好ましく、例えば、パラフィン類などを用いることができる。
なお、バインダーは、特に限定されないが、例えば、重量平均分子量200〜600の流動パラフィン、固形パラフィンなどのパラフィン類を単独または2種類以上で併用して用いることができる。
次に、第2工程を説明する。第2工程は、窒化アルミニウム粒子とガラスフリットとの混合物に熱処理を行う工程である。熱処理を行う熱処理炉は、窒化アルミニウム粒子とガラスフリットとの混合物を、あらかじめ設定された温度範囲に保持できるものであれば、一般の加熱炉を使用することができる。
熱処理は、ガラスフリットのガラス転移温度以上で、かつ、窒化アルミニウムの融点を超えない2000℃以下で行う必要がある。そして、熱処理温度と被覆粒子の耐湿性との関係を検討した結果、被覆粒子の耐湿性は、熱処理温度と密接な関係にあることを見出した。
つまり、被覆粒子の耐湿性と熱処理温度との関係から、熱処理は、400℃〜1400℃の温度範囲で行うことにより、被覆粒子の良好な耐湿性が得られることを見出した。その場合における熱処理時間は、30分〜3時間の範囲が好ましい。
熱処理温度が、400℃〜1400℃の範囲で、熱処理時間を30分以上とすることにより、窒化アルミニウム粒子の表面に対して、ガラス成分の均一な被膜を得ることが可能となる。また、熱処理時間を3時間以下とすることで、第3の実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子の生産効率の向上を図る製造が可能となる。
ここで、第2工程の熱処理は、空気中で行ってもよいが、不活性ガス中または真空中などの酸素を含まない雰囲気中で行うことが好ましい。その理由は、窒化アルミニウムの酸化を防止することで、熱伝導率の悪いアルミナに変性することを避けるためである。なお、熱処理における雰囲気は、特に限定するものではないが、経済性などを考慮すると窒素ガス雰囲気中における熱処理が好ましい。
ところで、ガラス転移温度は、測定方法および条件により値が異なる。本実施の形態では、ガラス転移温度は、示差熱分析計(Differential Thermal Analysis:DTA)を用いて、DTAチャートの第1変曲点によって定義した。具体的には、示差熱天秤(Thermo plus EVO2:株式会社リガク製)を使用することにより測定した。
次に、本実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法において、第1工程と第2工程との間に、賦形する工程が含まれる場合について説明する。
賦形工程は、窒化アルミニウム粒子の表面に対してガラスフリットが均一に被覆するように、圧力を加える工程である。具体的には、例えば、第1工程の終了後に、窒化アルミニウム粒子とガラスフリットとの混合物を10〜300MPaの圧力で賦形する。
賦形工程により、第2工程の熱処理工程で窒化アルミニウム粒子表面に均一なガラス被覆を効率的に得ることができる。また、熱処理前に賦形工程を行うことで、均一なガラス被覆が形成されて、窒化アルミニウム粒子の耐湿性向上の効果が得られる。この理由として、第1工程で窒化アルミニウム粒子の表面に付着したガラスフリットは、賦形工程により付着位置を物理的に固定され、第2工程の熱処理工程において均一なガラス被膜を形成するためである。
賦形工程に使用する装置は、平板、棒状、ペレット状などを形成できる金型、圧縮プレスの組み合わせなどを用いることができる。また、各種打錠機などを用いて賦形することもできるが、特に限定するものではない。
賦形時の圧力は、10〜300MPaの範囲が好ましく、さらに好ましくは、50〜150MPaの範囲である。賦形時の圧力が、10MPa以上の場合には、適正な賦形体が成形でき、150MPa以下の場合には、窒化アルミニウム粒子、賦形体を破損しない。
次に、第3工程を説明する。第3工程は、部分的に融着した被覆粒子(ガラスフリット)を解砕する工程である。具体的には、例えば、第2工程の熱処理により、ガラスフリットは、溶融して窒化アルミニウム粒子の表面を被覆する。そして、被覆したガラスフリットは、冷却することで固化し、被覆粒子同士が部分的に融着してガラス相を形成する。ガラス被覆窒化アルミニウム粒子は、上述したように、部分的に融着した被覆粒子を解砕することで得られる。
上述した解砕工程で使用する装置は、特に限定するものではなく、ローラーミル、ハンマーミル、ジェットミル、ボールミルなどの一般的な粉砕機を使用することができる。
次に、図2を用いて、窒化アルミニウム粒子、ガラスフリット、窒化ホウ素粒子で構成された第4の形態のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法の一態様について説明する。
図2は、本実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法のフローチャートである。ガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法は、原料を混合する第1工程、混合物を熱処理する第2工程、ガラス被覆窒化アルミニウム粒子を得るために解砕する第3工程、を有している。
まず、第1工程を説明する。第1工程は、原料の窒化アルミニウム粒子、ガラスフリット、窒化ホウ素粒子を混合する工程である。原料を混合する第1工程では、ガラスフリット、窒化ホウ素粒子は、窒化アルミニウム粒子の表面に対して、できる限り均一に付着させるように留意する。
紛体混合装置は、一般的な粉体混合装置を使用することができる。例えば、容器回転型のVブレンダー、ダブルコーン型ブレンダー、混合羽根を有するリボンブレンダー、スクリュー型ブレンダーなど、さらには各種粒子複合化装置などが挙げられ、混合工程の目的を満たすものであれば、特に限定するものではない。
また、第1工程は、バインダーを用いてガラスフリット、窒化ホウ素粒子を窒化アルミニウム粒子表面に安定に付着させる工程も含んでいる。バインダーは、後述する第2工程の熱処理工程において焼失し、ガラス被覆窒化アルミニウム粒子の表面に痕跡を残さないものが好ましく、例えば、パラフィン類などを用いることができる。
なお、バインダーは、特に限定されないが、例えば、重量平均分子量200〜600の流動パラフィン、固形パラフィンなどのパラフィン類を単独または2種類以上で併用して用いることができる。
次に、第2工程を説明する。第2工程は、窒化アルミニウム粒子、ガラスフリット、窒化ホウ素粒子の混合物に熱処理を行う工程である。熱処理を行う熱処理炉は、窒化アルミニウム粒子、ガラスフリット、窒化ホウ素粒子の混合物を、あらかじめ設定された温度範囲に保持できるものであれば、一般の加熱炉を使用することができる。
熱処理は、ガラスフリットのガラス転移温度以上で、かつ、窒化アルミニウムの融点を超えない2000℃以下で行う必要がある。そして、熱処理温度と被覆粒子の耐湿性との関係を検討した結果、被覆粒子の耐湿性は、熱処理温度と密接な関係があることを見出した。
つまり、被覆粒子の耐湿性と熱処理温度との関係から、熱処理は、400℃〜1400℃の温度範囲で行うことにより、被覆粒子の良好な耐湿性が得られることを見出した。その場合における熱処理時間は、30分〜3時間の範囲が好ましい。
熱処理温度が、400℃〜1400℃の範囲で、熱処理時間を30分以上とすることにより、窒化アルミニウム粒子の表面に対して、ガラス成分の均一な被膜を得ることが可能となる。また、熱処理時間を3時間以下とすることで、第4の実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子の生産効率の向上を図る製造が可能となる。
ここで、第2工程の熱処理は、空気中で行ってもよいが、不活性ガス中または真空中などの酸素を含まない雰囲気中で行うことが好ましい。その理由は、窒化アルミニウムの酸化を防止することで、熱伝導率の悪いアルミナに変性することを避けるためである。なお、熱処理における雰囲気は、特に限定するものではないが、経済性などを考慮すると窒素ガス雰囲気中における熱処理が好ましい。
ところで、ガラス転移温度は、測定方法および条件により値が異なる。本実施の形態では、ガラス転移温度は、示差熱分析計(Differential Thermal Analysis:DTA)を用いて、DTAチャートの第1変曲点によって定義した。具体的には、示差熱天秤(Thermo plus EVO2:株式会社リガク製)を使用することにより測定した。
次に、本実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法において、第1工程と第2工程との間に、賦形する工程が含まれる場合について説明する。
賦形工程は、窒化アルミニウム粒子の表面に対してガラスフリット、窒化ホウ素粒子が均一に被覆するように、圧力を加える工程である。具体的には、例えば、第1工程の終了後に、窒化アルミニウム粒子、ガラスフリット、窒化ホウ素粒子の混合物を10〜300MPaの圧力で賦形する。
賦形工程により、第2工程の熱処理工程で窒化アルミニウム粒子表面に均一なガラス被覆を効率的に得ることができる。また、熱処理前に賦形工程を行うことで、均一なガラス被覆が形成されて、窒化アルミニウム粒子の耐湿性向上の効果が得られる。この理由として、第1工程で窒化アルミニウム粒子の表面に付着したガラスフリットは、賦形工程により付着位置を物理的に固定され、第2工程の熱処理工程において均一なガラス被膜が形成されるためである。
賦形工程に使用する装置は、平板、棒状、ペレット状などを形成できる金型、圧縮プレスの組み合わせなどを用いることができる。また、各種打錠機などを用いて賦形することもできるが、特に限定するものではない。
賦形時の圧力は、10〜300MPaの範囲が好ましく、さらに好ましくは、50〜150MPaの範囲である。賦形時の圧力が、10MPa以上の場合には、適正な賦形体が成形でき、150MPa以下の場合には、窒化アルミニウム粒子、窒化ホウ素粒子、賦形体を破損しない。
次に、第3工程を説明する。第3工程は、部分的に融着した被覆粒子(ガラスフリット)を解砕する工程である。具体的には、例えば、第2工程の熱処理により、ガラスフリットは、溶融して窒化アルミニウム粒子の表面を被覆する。そして、被覆したガラスフリットは、冷却することで固化し、被覆粒子同士が部分的に融着してガラス相を形成する。ガラス被覆窒化アルミニウム粒子は、上述したように、部分的に融着した被覆粒子を解砕することで得られる。
上述した解砕工程で使用する装置は、特に限定するものではなく、ローラーミル、ハンマーミル、ジェットミル、ボールミルなどの一般的な粉砕機を使用することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子は、本来の高熱伝導性を維持し、耐湿性にも優れており、電気・電子分野などで使用される放熱材料用途のフィラーとして広く適用できる。
[ガラス被覆窒化アルミニウム粒子を含有する放熱性樹脂組成物]
本発明の第5の形態に係るガラス被覆アルミニウム粒子を含有する放熱性樹脂組成物について、以下で説明する。
本実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子は、樹脂の中に添加することで、放熱性樹脂組成物にできる。また、本実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子は、窒化ホウ素、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛など一般的に使用されるフィラーと併用して樹脂の中に添加しても、放熱性樹脂組成物にすることができる。
放熱性樹脂組成物におけるガラス被覆窒化アルミニウム粒子を含むフィラーの総含有量は、50〜95体積%が好ましく、より好ましくは、60〜90体積%であり、さらに好ましくは、70〜90体積%の範囲である。フィラーの総含有量が、50体積%以上の場合には、良好な放熱性を発揮できる。また、フィラーの総含有量が、95体積%以下の場合には、放熱性樹脂組成物の使用時に良好な作業性が得られる。
ガラス被覆窒化アルミニウム粒子の含有量は、フィラーの総含有量の30〜100体積%が好ましく、より好ましくは、40〜100体積%であり、さらに好ましくは、50〜100体積%の範囲である。フィラーの総含有量が、30体積%以上の場合には、良好な放熱性を発揮できる。
放熱性樹脂組成物に使用する樹脂は、特に限定するものではなく、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合物などが、耐熱性に優れるという点において好ましい。
熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などがあり、単独または2種類以上を混ぜ合わせて使用することができる。
また、熱硬化性樹脂に対して、それらの硬化剤、硬化促進剤を加えた混合物として使用してもよい。特に、エポキシ樹脂は、硬化した後の耐熱性、接着性、電気特性が良いという点において好ましく、シリコーン樹脂は、耐熱性、柔軟密着性を重視する用途において好ましい。
エポキシ樹脂は、2官能グルシジルエーテル型エポキシ樹脂、グルシジルエステル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂、グルシジルアミン型エポキシ樹脂、多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂などがあり、単独または2種類以上を混合して使用することができる。
具体的には、例えば、2官能グルシジルエーテル型エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などがある。また、グルシジルエステル型エポキシ樹脂は、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステルなどがある。さらに、線状脂肪族エポキシ樹脂は、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油などがある。また、複素環型エポキシ樹脂は、トリグリシジルイソシアヌレートなどがある。さらに、グルシジルアミン型エポキシ樹脂は、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−ベンゼンジ(メタンアミン)、4−(グリシジロキシ)−N,N−ジグリシジルアニリン、3−(グリシジロキシ)−N,N−ジグリシジルアニリンなどがある。また、多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂は、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂などがある。
熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を使用した場合には、硬化剤、硬化促進剤を配合していてもよい。
硬化剤としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸および無水ハイミック酸などの脂環式酸無水物、ドデセニル無水コハク酸などの脂肪族酸無水物、無水フタル酸及び無水トリメリット酸などの芳香族酸無水物、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノール類、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン共重合体樹脂などのフェノール樹脂類、ジシアンジアミドおよびアジピン酸ジヒドラジドなどの有機ジヒドラジドがある。
また、硬化触媒としては、例えば、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルベンジルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセンおよびその誘導体などのアミン類、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールおよび2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類およびその誘導体がある。
上述したような硬化剤、硬化触媒は、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施の形態に係る放熱性樹脂組成物は、シリコーン、ウレタンアクリレート、ブチラール樹脂、アクリルゴム、ジエン系ゴムおよびその共重合体などの可撓性付与剤、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、無機イオン補足剤、顔料、染料、希釈剤、溶剤など、を必要に応じて、適宜、添加することができる。
また、放熱性樹脂組成物を製造する方法は、特に限定するものではなく、ガラス被覆窒化アルミニウム粒子、樹脂、その他の添加剤などを、一括または分割して、分散・溶解装置へ供給し、混合、溶解、混練する。分散・溶解装置は、例えば、らいかい器、プラネタリーミキサー、自転・公転ミキサー、ニーダー、ロールミルなどを、単独または適宜組み合わせて使用できる。なお、必要に応じて加熱しながら混合、溶解、混練する方法も可能である。
次に、本実施の形態に係る放熱性樹脂組成物を放熱シートに適用する場合について、以下で説明する。
放熱性樹脂組成物を用いた放熱シートは、半導体パワーデバイス、パワーモジュールなどの接着用途などに好適に使用することができる。
放熱シートの製造方法は、基材フィルムで両面を挟む形で放熱性樹脂組成物を圧縮プレスなどで成形する方法、基材フィルム上に放熱性樹脂組成物をバーコーター、スクリーン印刷、ブレードコーター、ダイコーター、コンマコーターなどの装置を用いて塗布する方法などがある。そして、成形、塗布後の放熱シートは、溶剤を除去する工程、加熱などによるBステージ化、完全硬化などの処理工程を追加することができる。
上述したように、適宜、必要な工程の組み合わせを変更できるため、様々な形態の放熱シートを得ることができ、対象となる用途分野、使用方法に広く対応することが可能となる。
放熱性樹脂組成物を基材フィルム上に形成または塗布する場合には、作業性をよくするために、溶剤を用いることができる。溶剤は、特に限定するものではないが、ケトン系溶剤のアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、エーテル系溶剤の1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、グリコールエーテル系溶剤のメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、その他ベンジルアルコール、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミドなど、を単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
放熱シートは、放熱性樹脂組成物から形成する場合には、シート形状を保持するシート形成性が必要になる。シート形成性は、放熱性樹脂組成物に、高分子量成分を添加することで得られる。
具体的には、例えば、高分子量成分は、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、アクリルゴムなどがある。
特に、高分子量成分は、耐熱性およびフィルム形成性に優れることから、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、アクリルゴム、シアネートエステル樹脂、ポリカルボジイミド樹脂などが好ましく、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、アクリルゴムがより好ましい。これらは、単独または2種類以上の混合物や共重合体として使用することができる。
高分子量成分の分子量は、10,000〜100,000の重量平均分子量が好ましく、さらに好ましくは、20,000〜50,000の範囲である。上述したような範囲の重量平均分子量成分を添加した場合には、取り扱い性の良好なシート形状を保持することができる。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた、ポリスチレン換算重量平均分子量である。具体的には、重量平均分子量は、カラム(ショウデックス(登録商標)LF−804:昭和電工株式会社製)と示差屈折計(ショウデックス(登録商標)RI−71S:昭和電工株式会社製)との組み合わせで測定することができる。
高分子量成分の添加量は、特に限定されないが、シート形状を保持するためには、放熱性樹脂組成物に対し、0.1〜20質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましい。また、高分子量成分の添加量が、0.1〜20質量%で、取り扱い性もよく、良好なシートの形成性、膜の形成性を得た。
放熱シートの製造時に使用する基材フィルムは、製造時の加熱、乾燥などの工程条件に耐えるものであれば、特に限定するものではなく、例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルムなどがある。
上述したように、基材フィルムは、2種類以上を組み合わせた多層フィルムであってもよく、表面がシリコーン系などの離型剤処理されたものであってもよい。また、基材フィルムの厚さは、10〜100μmが好ましい。
基材フィルム上に形成された放熱シートの厚さは、20〜500μmが好ましく、さらに好ましくは、50〜200μmである。放熱シートの厚さは、20μm以上の場合には、均一な組成の放熱シートが得られ、500μm以下の場合には、良好な放熱性が得られる。
以下に、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
(第1、第3の形態に関するガラス被覆窒化アルミニウム粒子)
まず、窒化アルミニウム粒子、ガラス相で構成されたガラス被覆窒化アルミニウム粒子について説明する。ガラス相とは、窒化アルミニウム粒子の表面の少なくとも一部を覆っているガラスフリットを、あらかじめ設定された方法で溶融したものである。
[ガラス被覆窒化アルミニウム粒子の作製]
窒化アルミニウム粒子およびガラスフリットの原料と、バインダーとなるパラフィン類とを、あらかじめ設定された配合成分で、ポリエチレンの袋に入れた。
窒化アルミニウム粒子とガラスフリットは、表1に示す実施例1〜6および表2の比較例2の質量部で配合した。そして、窒化アルミニウム粒子とガラスフリットとの配合物に、パラフィン類として流動パラフィン、固形パラフィンを添加した。
流動パラフィン(重量平均分子量337)は、窒化アルミニウム粒子とガラスフリットとの合計量に対して、6重量%を添加した。固形パラフィン(重量平均分子量521)は、窒化アルミニウム粒子とガラスフリットとの合計量に対して、4重量%を添加した。
ここで、窒化アルミニウム粒子(AlN800RF:ThruTek社製)は、体積累計のd50が、78μmの焼結顆粒状である。ガラスフリット(TMX−403SC:東罐マテリアル製)のガラス成分は、Al2O3が10-20質量%、CaOが10〜20質量%、B2O3が10〜20質量%、SiO2が40〜50質量%、BaOが1〜10質量%の成分比である。また、ガラスフリットの体積累計のd50は、2.4μm、ガラス転移温度は、674℃である。
図1に示す第1工程の混合は、上述した配合成分(窒化アルミニウム粒子、ガラスフリット、流動パラフィン、固形パラフィン)の入ったポリエチレンの袋を、手作業で3分間振とうして実施した。
次に、表1の実施例1〜5および表2の比較例2は、図1に示す賦形工程を実施した。一方、表1の実施例6は、賦形工程を実施しなかった。上述した賦形工程は、直径25mm、厚さ50mmの円形孔の開いた鉄製クロムメッキの金型を使用して、常温20MPaの条件で、圧縮プレスを用いて賦形した。そして、直径25mm、厚さ5mmのペレット状の賦形物を得た。
次に、図1に示す第2工程の熱処理は、高温炉を用い、窒素ガス雰囲気中で実施した。熱処理温度は、1350℃、熱処理時間は、1時間であった。ここで、熱処理は、賦形を実施した場合(表1の実施例1〜5および表2の比較例2)には、ペレットについて、賦形を実施しなかった場合(表1の実施例6)には、第1工程終了後の混合物について、それぞれ実施した。なお、上述したように、賦形工程で使用した流動パラフィン、固形パラフィンは、熱処理により、焼失した。
次に、熱処理が終了した後、図1に示す第3工程の解砕を実施し、ガラス被覆窒化アルミニウム粒子を得た。解砕は、表1の実施例1〜6および表2の比較例2について、乳鉢を用いて行った。なお、表2の比較例1は、実施例および比較例に用いた、焼結顆粒状の窒化アルミニウム粒子の未処理のものである。
Figure 0006739669
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[ガラス被覆窒化アルミニウム粒子の特性評価]
次に、ガラス被覆窒化アルミニウム粒子の特性評価について、説明する。
平均粒径は、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラックMT3300EX2:マイクロトラック・ベル株式会社製)を使用し、測定積算値が50%となる粒径である体積累計のd50を得た。
ガラス被覆窒化アルミニウム粒子の耐湿性評価は、50mlのサンプル管にpH4に調整した塩酸水溶液を17gとガラス被覆窒化アルミニウム粒子3gとを投入し、振とう式高温槽で40℃、80rpm、2時間の条件で振とうし、静置後の上澄み液のアンモニア濃度を、アンモニア電極(アンモニア電極5002A:株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。表1および表2は、実施例および比較例のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の特性評価の結果である。
[樹脂成形体の製造]
次に、樹脂成形体の工程、加工などの製造について、説明する。
樹脂成形体の原料は、表1の実施例2〜5および表2の比較例2のガラス被覆窒化アルミニウム粒子、表2の比較例1の窒化アルミニウム粒子、体積累計のd50が5μmの球状アルミナフィラー(アルナビーズ(登録商標)CB−P05:昭和電工株式会社製)、エポキシ樹脂、高分子量成分、硬化剤である。
エポキシ成分は、エポキシ当量189のビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD128:新日鉄住金化学株式会社製)である。高分子量成分は、ポリスチレン換算重量平均分子量40,000のビスフェノールA型フェノキシ樹脂(YD−50S:新日鉄住金化学株式会社製)を1−メトキシ−2−プロパノール(溶剤)に30質量%溶解したものである。硬化剤は、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ:四国化成工業株式会社製)である。
樹脂成形体は、上述した原料を、表1および表2に示す質量比で配合し、後述するような手順で得た。
樹脂成形体の製造工程は、まずエポキシ成分、高分子量成分および硬化剤を表1および表2に示す質量比でプラスチック容器に配合し、自公転ミキサーを使用して2,000rpm、2分間の条件で混合物を調整した。
次に、実施例または比較例のガラス被覆窒化アルミニウム粒子(但し、比較例1は窒化アルミニウム粒子)とアルミナフィラーとを、表1および表2の質量比でプラスチック容器に追加して、自転・公転ミキサーを使用して2,000rpm、3分間の条件で混合した。
混合物をステンレス製バットに取出し、真空乾燥器を用いて、50℃、15分間の状態で溶剤を飛ばし、放熱性樹脂組成物を得た。
なお、被覆厚は、実施例および比較例に使用した窒化アルミニウム粒子の平均粒径に対して、ガラスフリットの添加量から算出した計算値とした。
実施例および比較例の樹脂成形体の形成は、熱プレス機を用いて行った。樹脂成形体は、離型処理したポリエチレンテレフタレート(以下、PETと表記する)フィルムが表面に配置されたステンレスの板の上に、PET製の直径30mm、厚さ0.4mmの孔を有する型枠を載置し、型枠内に放熱性樹脂組成物を配置し、上面を離型処理したPETフィルムとステンレスの板とで挟み、5MPa、120℃、30分の条件で熱プレス機を用いて、成形および硬化して得た。
[熱伝導率の測定]
樹脂成形体の厚み方向の熱伝導率は、実施例および比較例で得られた樹脂成形体について、レーザーフラッシュ法熱拡散率測定装置(LFA447 NanoFlash:NETZSCH社製)を用いて熱拡散率を測定し、その測定結果に、それぞれの樹脂成形体の比熱と密度の理論値とを掛けることによって算出した。
熱拡散率測定用のサンプルは、10mm×10mmのサイズに切り出し、イオンコーター(IB−3:株式会社エイコー製)を用いて、両面に金コーティングを施した後、さらに両面をグラファイトコーティングしたものを使用した。
なお、各実施例および比較例の樹脂成形体の比熱は、窒化アルミニウムの理論比熱を0.72、アルミナフィラーの理論比熱を0.78、樹脂成分の理論比熱を1.80として計算した。また、各実施例および比較例の樹脂成形体の密度は、窒化アルミニウムの理論密度を3.40g/cm3、アルミナフィラーの理論密度を3.95g/cm3、樹脂成分の理論密度を1.18g/cm3として計算した。
実施例および比較例の樹脂成形体の熱伝導率の評価結果を表1および表2に示す。熱伝導率は、ガラス被覆窒化アルミニウム粒子を含む樹脂成形体として評価を行った。
結果を表1および表2に示す。ガラス被覆窒化アルミニウム粒子を用いた表1の実施例2〜5は、ガラス被覆の無い窒化アルミニウム粒子を用いた表2の比較例1と比較して、80%以上の良好な熱伝導率を示した。特に、ガラス被覆量の少ない表1の実施例2および実施例3は、表2の比較例1に対して、95%以上の高い熱伝導率を示した。
図3は、本実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子の熱伝導率に関する評価結果を示す図である。
表1および表2に示すように、窒化アルミニウム粒子にガラス成分を含む組成物(ガラスフリット)を、0.1〜5.0質量部の比率で被覆した表1の実施例1〜6のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の耐湿性は、被覆の無い窒化アルミニウム粒子のアンモニア濃度357mg/L(表2の比較例1)に対し、何れもアンモニア濃度100mg/L以下の良好な値を示した。
特に、窒化アルミニウム粒子にガラス成分を含む組成物(ガラスフリット)を0.5〜3.0質量部の比率で被覆した表1の実施例2〜4は、アンモニア濃度の値として大幅な低減が図られている。
一方、ガラス成分を含む組成物(ガラスフリット)の量が多い表2の比較例2は、実施例と比較し、悪いレベルとなった。電子顕微鏡観察の結果、表2の比較例2は、ガラス被覆の剥がれが観察された。
表2の比較例2は、ガラス被覆厚が厚くなったため、解砕工程でガラス被覆粒子がほぐれると同時に、被覆自体が剥がれる現象を引き起こしたと推察される。つまり、ガラス被覆厚は、適度な厚みを必要とすることがわかる。また、賦形工程の有無の違いは、表1の実施例3(あり)と実施例6(なし)との比較から、賦形工程を経た実施例3の耐湿性改善効果がより顕著であった。
図4は、本実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子の耐湿性に関する評価結果を示す図である。図3および図4の結果から、本実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子を用いれば、高い熱伝導性を維持し、耐湿の向上を図ることが可能である。
(第2、第4の形態のガラス被覆窒化アルミニウム粒子)
次に、窒化アルミニウム粒子、ガラスフリット、窒化ホウ素粒子で構成されたガラス被覆窒化アルミニウム粒子について説明する。
[ガラス被覆窒化アルミニウム粒子の作製]
窒化アルミニウム粒子、ガラスフリット、窒化ホウ素粒子の原料と、バインダーとなるパラフィン類とを、あらかじめ設定された配合成分で、ポリエチレンの袋に入れた。
窒化アルミニウム粒子、ガラスフリット、窒化ホウ素粒子は、表3に示す実施例7〜11および表4の参考例4の質量部で配合した。そして、窒化アルミニウム粒子とガラスフリットとの配合物に、パラフィン類として流動パラフィン、固形パラフィンを添加した。
流動パラフィン(重量平均分子量337)は、窒化アルミニウム粒子、ガラスフリット、窒化ホウ素粒子との合計量に対して、6重量%を添加した。固形パラフィン(重量平均分子量521)は、窒化アルミニウム粒子、ガラスフリット、窒化ホウ素粒子との合計量に対して、4重量%を添加した。
ここで、窒化アルミニウム粒子(AlN800RF:ThruTek社製)は、体積累計のd50が、78μmの焼結顆粒状である。
ガラスフリット1(TMX−403SC:東罐マテリアル製)のガラス成分は、Al2O3が10-20質量%、CaOが10〜20質量%、B2O3が10〜20質量%、SiO2が40〜50質量%、BaOが1〜10質量%の成分比である。また、ガラスフリットの体積累計のd50は、2.4μm、ガラス転移温度は、674℃である。ガラスフリット2(TMX−403J:東罐マテリアル製)は、体積累計のd50が、5.1μm、ガラス成分およびガラス転移温度は、ガラスフリット1と同じである。
窒化ホウ素粒子(ショウビーエヌ(登録商標)UHP−2:昭和電工株式会社製)は、体積累計のd50が、10.4μmである。
図2に示す第1工程の混合は、上述した配合成分(窒化アルミニウム粒子、ガラスフリット1、ガラスフリット2、窒化ホウ素粒子、流動パラフィン、固形パラフィン)の入ったポリエチレンの袋を、手作業で3分間振とうして実施した。
次に、表3の実施例10〜11および表4の参考例4は、図2に示す賦形工程を実施した。一方、表3の実施例7〜9は、賦形工程を実施しなかった。賦形工程は、直径25mm、厚さ50mmの円形孔の開いた鉄製クロムメッキの金型を使用して、常温20MPaの条件で、圧縮プレスを用いて賦形した。そして、直径25mm、厚さ5mmのペレット状の賦形物を得た。
次に、図2に示す第2工程の熱処理は、高温炉を用い、窒素ガス雰囲気中で実施した。熱処理温度は、1350℃、熱処理時間は、1時間であった。
ここで、熱処理は、賦形を実施した場合(表3の実施例10〜11および表4の参考例4)には、ペレットについて、賦形を実施しなかった場合(表3の実施例7〜9)には、第1工程終了後の混合物をアルミナ坩堝に入れて、それぞれ実施した。なお、上述したように、賦形工程で使用した流動パラフィン、固形パラフィンは、熱処理により、焼失した。
次に、熱処理が終了した後、図2に示す第3工程の解砕を実施し、ガラス被覆窒化アルミニウム粒子を得た。解砕は、表3の実施例7〜11および表4の参考例4について、乳鉢を用いて行った。
なお、表4の比較例3は、実施例および比較例に用いた、焼結顆粒状の窒化アルミニウム粒子の未処理のものである。
Figure 0006739669
Figure 0006739669
[ガラス被覆窒化アルミニウム粒子の特性評価]
次に、ガラス被覆窒化アルミニウム粒子の特性評価について、説明する。
平均粒径は、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラックMT3300EX2:マイクロトラック・ベル株式会社製)を使用し、測定積算値が50%となる粒径である体積累計のd50を得た。
ガラス被覆窒化アルミニウム粒子の耐湿性評価は、50mlのサンプル管にpH4に調整した塩酸水溶液を17gとガラス被覆窒化アルミニウム粒子3gとを投入し、振とう式高温槽で40℃、80rpm、2時間の条件で振とうし、静置後の上澄み液のアンモニア濃度を、アンモニア電極(アンモニア電極5002A:株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。表3および表4は、実施例および比較例のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の特性評価の結果である。
[樹脂成形体の製造]
次に、樹脂成形体の工程、加工などの製造について、説明する。
樹脂成形体の原料は、表3の実施例7〜11および表4の参考例4のガラス被覆窒化アルミニウム粒子、表4の比較例3の窒化アルミニウム、体積累計のd50が5μmの球状アルミナフィラー(アルナビーズ(登録商標)CB−P05:昭和電工株式会社製)、エポキシ樹脂、高分子量成分、硬化剤である。
エポキシ成分は、エポキシ当量189のビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD128:新日鉄住金化学株式会社製)である。高分子量成分は、ポリスチレン換算重量平均分子量40,000のビスフェノールA型フェノキシ樹脂(YD−50S:新日鉄住金化学株式会社製)を1−メトキシ−2−プロパノール(溶剤)に30質量%溶解したものである。硬化剤は、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ:四国化成工業株式会社製)である。
樹脂成形体は、上述した原料を、表3および表4に示す質量比で配合し、後述するような手順で得た。
樹脂成形体の製造工程は、まずエポキシ成分、高分子量成分および硬化剤を表3および表4に示す質量比でプラスチック容器に配合し、自転・公転ミキサーを使用して2,000rpm、2分間の条件で混合物を調整した。
次に、実施例または比較例のガラス被覆窒化アルミニウム粒子(但し、比較例3は窒化アルミニウム粒子)とアルミナフィラーとを、表3および表4の質量比でプラスチック容器に追加して、自転・公転ミキサーを使用して2,000rpm、3分間の条件で混合した。
混合物をステンレス製バットに取出し、真空乾燥器を用いて、50℃、15分間の状態で溶剤を飛ばし、放熱性樹脂組成物を得た。
なお、被覆厚は、実施例および比較例に使用した窒化アルミニウム粒子の平均粒径に対して、ガラスフリットの添加量から算出した計算値とした。
実施例および比較例の樹脂成形体の形成は、熱プレス機を用いて行った。樹脂成形体は、離型処理したポリエチレンテレフタレート(以下、PETと表記する)フィルムが表面に配置されたステンレスの板の上に、PET製の直径30mm、厚さ0.4mmの孔を有する型枠を載置し、型枠内に放熱性樹脂組成物を配置し、上面を離型処理したPETフィルムとステンレスの板とで挟み、5MPa、120℃、30分の条件で熱プレス機を用いて、成形および硬化して得た。
[熱伝導率の測定]
樹脂成形体の厚み方向の熱伝導率は、実施例および比較例で得られた樹脂成形体について、レーザーフラッシュ法熱拡散率測定装置(LFA447 NanoFlash:NETZSCH社製)を用いて熱拡散率を測定し、その測定結果に、それぞれの樹脂成形体の比熱と密度の理論値とを掛けることによって算出した。
熱拡散率測定用のサンプルは、10mm×10mmのサイズに切り出し、イオンコーター(IB−3:株式会社エイコー製)を用いて、両面に金コーティングを施した後、さらに両面をグラファイトコーティングしたものを使用した。
なお、各実施例および比較例の樹脂成形体の比熱は、窒化アルミニウムの理論比熱を0.73、アルミナフィラーの理論比熱を0.83、窒化ホウ素の理論比熱を0.80、樹脂成分の理論比熱を1.80として計算した。また、各実施例および比較例の樹脂成形体の密度は、窒化アルミニウムの理論密度を3.26g/cm3、窒化ホウ素の理論密度を2.27g/cm3、アルミナフィラーの理論密度を3.94g/cm3、樹脂成分の理論密度を1.17g/cm3として計算した。
実施例および比較例の樹脂成形体の熱伝導率の評価結果を表3および表4に示す。
熱伝導率は、ガラス被覆窒化アルミニウム粒子を含む樹脂成形体として評価を行った。結果を表3および表4に示す。
ガラス被覆窒化アルミニウム粒子を用いた表3の実施例7〜11は、ガラス被覆の無い窒化アルミニウム粒子を用いた表4の比較例3と比較して、80〜85%の10W/m・Kを超える良好な熱伝導率を示した。
図5は、本実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子の熱伝導率に関する評価結果を示す図である。
表3および表4に示すように、窒化アルミニウム粒子にガラス成分を含む組成物(ガラスフリットと窒化ホウ素粒子との合計量)を、窒化アルミニウム粒子100.0質量部に対して、3.0〜4.0質量部の比率で被覆した表3の実施例7〜11のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の耐湿性は、被覆の無い窒化アルミニウム粒子のアンモニア濃度357mg/L(表4の比較例3)に対し、何れもアンモニア濃度15mg/L以下の良好な値を示した。
一方、窒化ホウ素粒子を含まない場合(表4の参考例4)には、ガラス被覆による耐湿性の改善は、認められる。しかしながら、ガラス被膜による耐湿性の改善は、表3の実施例と比較するとあまり顕著ではなかった。
ガラス被覆窒化アルミニウム粒子の電子顕微鏡観察の結果、表4の参考例4は、一部にガラス被覆の剥がれが観察された。ガラス被覆の剥がれは、表4の参考例4では、解砕の起点となる窒化ホウ素粒子を含まないため、必ずしも被覆粒子間での破断が起きなかったためと推察される。
図6は、本実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子の耐湿性に関する評価結果を示す図である。図5および図6の結果から、本実施の形態に係るガラス被覆窒化アルミニウム粒子を用いれば、高い熱伝導性を維持し、耐湿の向上を図ることが可能である。

Claims (14)

  1. 窒化アルミニウム粒子と、
    前記窒化アルミニウム粒子の表面の少なくとも一部を覆うガラス相と、
    を備え、
    前記ガラス相は、少なくともガラス成分を含む組成物であり、前記ガラス成分を含む組成物は、前記窒化アルミニウム粒子100質量部に対して0.2質量部〜5.0質量部の比率を有し、かつ窒化ホウ素粒子を含み、前記窒化アルミニウム粒子は、体積累計のd50が10μm〜200μmである
    ガラス被覆窒化アルミニウム粒子。
  2. 前記窒化ホウ素粒子は、前記窒化アルミニウム粒子100質量部に対して0.1質量部〜10.0質量部の比率である請求項1に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子。
  3. 前記窒化アルミニウム粒子の平均アスペクト比は、0.8以上である請求項1または2に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子。
  4. 窒化アルミニウム粒子と前記窒化アルミニウム粒子の表面の少なくとも一部を覆うガラス相とを有するガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法であって、
    前記ガラス相の原料であるガラスフリットの体積累計のd50は、0.3μm〜50μmであり、
    前記窒化アルミニウム粒子と前記ガラスフリットとを混合して混合物を生成する第1工程と、
    前記第1工程が終了した後の前記混合物を、前記ガラスフリットのガラス転移温度以上で、かつ、2000℃以下の温度で熱処理し、前記窒化アルミニウム粒子に対して前記ガラスフリットを被覆して被覆粒子を得る第2工程と、
    前記第2工程が終了した後の前記被覆粒子を解砕して、体積累計のd50が10μm〜200μmの粒子とする第3工程と、
    を備えるガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法。
  5. 前記第2工程は、酸素を含まない雰囲気下で行う請求項4に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法。
  6. 前記第2工程の熱処理は、400℃〜1400℃において、30分〜3時間の範囲で行う請求項4または5に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法。
  7. 前記第1工程と前記第2工程との間で、前記窒化アルミニウム粒子と前記ガラス相の原料である前記ガラスフリットとの前記混合物を、圧力を加えて賦形する工程を含む請求項4〜6のいずれか1項に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法。
  8. 前記賦形する工程は、10MPa〜300MPaの圧力で行う請求項7に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法。
  9. 窒化アルミニウム粒子と前記窒化アルミニウム粒子の表面の少なくとも一部を覆うガラス相とを有するガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法であって、
    前記ガラス相の原料であるガラスフリットの体積累計のd50は、0.3μm〜50μmであり、
    前記窒化アルミニウム粒子、前記ガラスフリット、体積累計のd50が0.3μm〜30μmの窒化ホウ素粒子を混合して混合物を生成する第1工程と、
    前記第1工程が終了した後の前記混合物を、前記ガラスフリットのガラス転移温度以上で、かつ、2000℃以下の温度で熱処理し、前記窒化アルミニウム粒子に対して前記ガラスフリットを被覆して被覆粒子を得る第2工程と、
    前記第2工程が終了した後の前記被覆粒子を解砕して、体積累計のd50が10μm〜200μmの粒子とする第3工程と、
    を備えるガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法。
  10. 前記第2工程は、酸素を含まない雰囲気下で行う請求項9に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法。
  11. 前記第2工程の熱処理は、400〜1400℃において、30分〜3時間の範囲で行う請求項9または10に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法。
  12. 前記第1工程と前記第2工程との間で、前記窒化アルミニウム粒子、前記ガラスフリット、前記窒化ホウ素粒子の前記混合物を、圧力を加えて賦形する工程を含む請求項9〜11のいずれか1項に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法。
  13. 前記賦形する工程は、10MPa〜300MPaの圧力で行う請求項12に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法。
  14. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス被覆窒化アルミニウム粒子を含有する放熱性樹脂組成物。
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