JP6738243B2 - ガラス、プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランクおよび光学素子 - Google Patents

ガラス、プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランクおよび光学素子 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス、プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランクおよび光学素子に関する。
高屈折率低分散ガラスからなるレンズは、超低分散ガラスからなるレンズ等と組み合わせて接合レンズとすることにより、色収差を補正しつつ光学系のコンパクト化を可能にすることができる。そのため、高屈折率低分散ガラスは、撮像光学系やプロジェクタなどの投射光学系を構成する光学素子として非常に重要な位置を占めている。そのような高屈折率低分散ガラスが、例えば特許文献1に記載されている。
特開2014−062024号公報
光学素子用のガラスについては、光学特性の分布を示すために、光学特性マップ(アッベ図表とも呼ばれる)が広く使用されている。光学特性マップは、横軸にアッベ数νd、縦軸に屈折率ndを取り、アッベ数νdは横軸の右側から左側に向かうにしたがい増加し、屈折率は縦軸の下方から上方に向かうにしたがい増加するように作成される。なお以下において、屈折率、アッベ数は、特記しない限り、ヘリウムのd線(波長587.56nm)に対する屈折率nd、ヘリウムのd線(波長587.56nm)に対するアッベ数νdをいうものとする。
光学特性マップでは、高屈折率低分散ガラス(高nd高νdガラス)の光学特性は、アッベ数が小さくなると屈折率が増加し、アッベ数が増加すると屈折率が低下する、いわゆる右肩上がりの分布を一般に示す。これは、従来の高屈折率低分散ガラスでは、光学素子材料として使用すべくガラスの失透を抑制しつつアッベ数と屈折率を共に高めることが困難であったためと考えられる。
一方、光学系の設計において、屈折率が高く、アッベ数も大きい(分散の低い)ガラスは、色収差の補正、光学系の高機能化、コンパクト化のために極めて有効な光学素子用の材料である。したがって、光学特性マップ上で右肩上がりの直線を設定し、この直線上および直線よりも屈折率が高い(マップ上、直線よりも左側の領域に位置する)ガラスを提供することの意義は非常に大きい。
ところで、撮像光学系やプロジェクタなどの投射光学系を構成する光学素子は軽量化することが望ましい。光学素子を軽量化することは、この光学素子を組み込んだ撮像光学系や投影光学系の軽量化につながるからである。例えば、オートフォーカス式のカメラに重い光学素子を組み込むと、オートフォーカスを駆動する際の消費電力が増加し、早く電池が消耗してしまう。これに対し光学素子を軽量化すれば、オートフォーカスを駆動する際の消費電力を低減し電池寿命を延ばすことができる。
以上の点に関して本発明者が検討を重ねる中で、高屈折率低分散ガラスについて従来知られていたガラスの組成調整では、高屈折率化、低分散化および低比重化という3つの特性をいずれも満たすことが困難な領域があることが判明した。かかる領域とは、アッベ数νdが35.5以上39.0未満であり、かつ光学特性マップにおいて、右肩上がりの直線−1.0000×10−2×νd+2.2726の直線上および直線よりも屈折率が高い領域である。即ち、アッベ数νdが35.5以上39.0未満であり、nd≧−1.0000×10−2×νd+2.2726の関係を満たし、かつ光学素子の軽量化に寄与し得るガラスを得ることは、従来困難であった。
本発明の一態様は、アッベ数νdが35.5以上39.0未満であり、かつnd≧−1.0000×10−2×νd+2.2726の関係を満たし、かつ光学素子の軽量化に寄与するガラスを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、
アッベ数νdが35.5以上39.0未満であり、屈折率ndがアッベ数νdに対して式(1):
nd≧−1.0000×10−2×νd+2.2726 ・・・(1)
を満たし、
カチオン%表示のガラス組成において、
3+とSi4+との合計含有量が35.0〜53.0%の範囲であり、
La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量が30.0〜50.0%の範囲であり、
Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量が3.0〜20.0%の範囲であり、
Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するLa3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量のカチオン比{(La3++Gd3++Y3++Yb3+)/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}が3.56〜5.20の範囲であり、
3+とSi4+との合計含有量に対するZn2+含有量のカチオン比{Zn2+/(B3++Si4+)}が0.001〜0.200の範囲であり、
3+含有量に対するLa3+含有量のカチオン比(B3+/La3+)が1.165以下であり、
La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量に対するGd3+含有量のカチオン比{Gd3+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}が0.10以下であり、
La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量に対するY3+含有量のカチオン比{Y3+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}が0.03〜0.50の範囲であり、
Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するTi4+含有量のカチオン比{Ti4+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}が0.20〜0.70の範囲であり、
Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するTa5+含有量のカチオン比{Ta5+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}が0.10以下であり、
Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するW6+含有量のカチオン比{W6+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}が0.20以下であり、
La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量に対するB3+とSi4+との合計含有量のカチオン比{(B3++Si4+)/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}が1.40以下であり、
Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するB3+とSi4+との合計含有量のカチオン比{(B3++Si4+)/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}が3.50〜5.70の範囲であり、かつ
以下に示す表1に記載のカチオン成分について、各カチオン成分の含有量に表1に記載の係数を掛けた値の合計Aが屈折率ndに対して式(2):
A≦137.778×nd−175.033 ・・・(2)
を満たす酸化物ガラスであるガラス、
に関する。
上記の合計含有量およびカチオン比を満たすようにガラスの組成調整を行うことは、ガラスの高屈折率化および低分散化に寄与し得る。本発明者は、上記の合計含有量およびカチオン比を満たすガラス組成における各カチオン成分がガラスの比重に与える影響について相当数の試行錯誤を重ねた。その結果、各カチオン成分に表1に示す係数を定めた。上記の合計含有量およびカチオン比を満たすガラス組成において、かかる係数を用いて算出される合計Aが式(2)を満たすように組成調整を行うことによって、アッベ数νdが35.5以上39.0未満であり、かつnd≧−1.0000×10−2×νd+2.2726の関係を満たすガラスの低比重化が可能になる。即ち、アッベ数νdが35.5以上39.0未満であり、かつnd≧−1.0000×10−2×νd+2.2726の関係を満たし、かつ光学素子の軽量化に寄与し得るガラスの提供が可能になる。
本発明の一態様によれば、光学系において有用な光学特性を有し、かつ光学素子の軽量化に寄与し得るガラスを提供することができる。更に、本発明の一態様によれば、上記ガラスからなるプレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子を提供することができる。
図1は、実施例1の各ガラスの比重を横軸に取り、各カチオン成分の含有量に表1に記載の係数を掛けた値の合計Aを縦軸に取ったグラフである。
[ガラス]
以下、本発明の一態様にかかるガラスについて、更に詳細に説明する。
本発明および本明細書におけるガラス組成は、例えばICP−AES(Inductively Coupled Plasma−Atomic Emission Spectrometry)等の方法により定量することができる。ICP−AESにより求められる分析値は、分析値の±5%程度の測定誤差を含んでいることがある。また、本発明および本明細書において、構成成分の含有量が0%または含まないもしくは導入しないとは、この構成成分を実質的に含まないことを意味し、この構成成分の含有量が不純物レベル程度以下であることを指す。
本発明および本明細書では、ガラス組成を、カチオン成分についてカチオン%で表記する。カチオン%とは、周知のように、ガラスに含まれるすべてのカチオン成分の合計含有量を100%とした百分率である。
以下、特記しない限り、カチオン成分の含有量、複数種のカチオン成分の含有量の合計(合計含有量)をカチオン%で表示する。更に、カチオン%表示において、カチオン成分同士の含有量(複数種のカチオン成分の合計含有量も含む)の比をカチオン比という。
<アッベ数νd、屈折率nd>
上記ガラスは、アッベ数νdが35.5以上39.0未満であり、かつ屈折率ndがアッベ数νdに対して式(1):
nd≧−1.0000×10−2×νd+2.2726 ・・・(1)
を満たすガラスである。
アッベ数νdが35.5以上のガラスは、光学素子の材料として色収差の補正に有効である。アッベ数νdは、色収差の補正の観点から、36.0以上であることが好ましく、36.5以上であることがより好ましく、36.5以上であることが更に好ましく、36.7以上であることが一層好ましく、36.8以上であることがより一層好ましく、36.9以上であることが更に一層好ましい。また、アッベ数νdが39.0未満であるガラスは、ガラスの熱的安定性が良好であり、ガラスを製造する過程での失透傾向が少ない。アッベ数νdは、38.5以下であることが好ましく、38.0以下であることがより好ましく、37.8以下であることが更に好ましく、37.7以下であることが一層好ましく、37.6以下であることがより一層好ましく、37.5以下であることが更に一層好ましい。
上記ガラスは、屈折率ndが、アッベ数νdに対して式(1)を満たす。アッベ数νdが35.5以上39.0未満であり、かつ屈折率ndがアッベ数νdに対して式(1)を満たす光学特性を有するガラスは、光学系の設計において利用価値の高いガラスである。ただし従来のガラスの組成調整では、かかる光学特性を有するガラスであって、かつ低比重化が可能なガラスを得ることは困難であった。これに対し、本発明の一態様によれば、以下に詳述するガラスの組成調整を行うことにより、上記光学特性を有し、かつ低比重化が可能なガラスを提供することができる。
式(1)は、光学系の設計における利用価値の観点から、一態様では、下記式(1−1)であることが好ましく、下記式(1−2)であることがより好ましく、下記式(1−3)であることが更に好ましい。
nd≧−1.0000×10−2×νd+2.2727 ・・・(1−1)
nd≧−1.0000×10−2×νd+2.2728 ・・・(1−2)
nd≧−1.0000×10−2×νd+2.2729 ・・・(1−3)
また、式(1)は、一態様では、下記式(1−4)であることも好ましい。式(1−4)は、下記式(1−5)であることがより好ましく、下記式(1−6)であることが更に好ましい。
nd≦−1.0000×10−2×νd+2.2950 ・・・(1−4)
nd≦−1.0000×10−2×νd+2.2850 ・・・(1−5)
nd≦−1.0000×10−2×νd+2.2760 ・・・(1−6)
屈折率ndの上限は、アッベ数νdと上記式から自ずと定まる。屈折率ndは、好ましくは1.9550以下であり、より好ましくは1.9450以下であり、更に好ましくは1.9350以下である。また、屈折率ndは、高屈折率化の観点から、1.8800以上であることが好ましく、1.8850以上であることがより好ましく、1.8880以上であることが更に好ましく、1.8900以上であることが一層好ましく、1.8950以上であることがより一層好ましく、1.8980以上であることが更に一層好ましく、1.8990以上であることが更により一層好ましく、1.89978以上であることがなお一層好ましい。
上記ガラスのガラス特性については、更に後述する。
<ガラス組成>
ガラス組成に関して、先に記載し、かつ以下に詳述する合計含有量およびカチオン比を満たすようにガラスの組成調整を行うことは、ガラスの高屈折率化および低分散化に寄与し得る。更に、上記の合計含有量およびカチオン比を満たすガラス組成において、表1に記載の係数を用いて算出される合計Aが下記式(2):
A≦137.778×nd−175.033 ・・・(2)
を満たすように組成調整を行うことによって、アッベ数νdが35.5以上39.0未満であり、かつnd≧−1.0000×10−2×νd+2.2726の関係を満たすガラスの低比重化が可能になる。この点は、本発明者の鋭意検討の結果、新たに見出された。
表1に記載のカチオン成分の中には、上記ガラスに含まれない(即ち含有量が0%の)カチオン成分があってもよい。
式(2)は、一態様では、下記式(2−1)であることも好ましい。式(2−1)は、下記式(2−2)であることがより好ましく、下記式(2−3)であることが更に好ましく、下記式(2−4)であることが一層好ましく、下記式(2−5)であることがより一層好ましく、下記式(2−6)であることが更に一層好ましく、下記式(2−7)であることが更により一層好ましい。
A≦137.778×nd−177.033 ・・・(2−1)
A≦137.778×nd−178.033 ・・・(2−2)
A≦137.778×nd−178.333 ・・・(2−3)
A≦137.778×nd−178.533 ・・・(2−4)
A≦137.778×nd−178.833 ・・・(2−5)
A≦137.778×nd−179.433 ・・・(2−6)
A≦137.778×nd−179.833 ・・・(2−7)
また、一態様では、合計Aは下記式(2−8)であることが、ガラスの熱的安定性の観点から好ましい。ただし、合計Aの下限は特に限定されるものではなく、下記式(2−8)により算出される値を下回ってもよい。
A≧137.778×nd−191.089 ・・・(2−8)
上記ガラスは、以下に詳述する合計含有量およびカチオン比を満たす中で式(2)を満たす組成調整を行ったガラスであり、これによりアッベ数νdが35.5以上39.0未満であり、かつnd≧−1.0000×10−2×νd+2.2726の関係を満たす光学系の設計における利用価値の高いガラスであって、しかも低比重化により光学素子の軽量化に寄与し得るガラスとなる。
以下に、各種カチオン成分の合計含有量およびカチオン比等について、更に詳細に説明する。
3+およびSi4+は、ガラスのネットワーク形成成分である。B3+とSi4+との合計含有量(B3++Si4+)が35.0%以上であると、ガラスの熱的安定性を改善することができ、製造中のガラスの結晶化を抑制することができる。一方、B3+の含有量とSi4+との合計含有量が53.0%以下であると、屈折率ndの低下を抑制することができるため、上記した光学特性を有するガラスを作製するうえで好ましい。以上の観点から、上記ガラスにおけるB3+とSi4+との合計含有量は、35.0〜53.0%の範囲である。B3+とSi4+との合計含有量は、38.0%以上であることが好ましく、39.0%以上であることがより好ましく、40.0%以上であることが更に好ましく、41.0%以上であることが一層好ましい。また、B3+とSi4+との合計含有量は、50.0%以下であることが好ましく、48.0%以下であることがより好ましく、47.0%以下であることが更に好ましく、46.0%以下であることが一層好ましい。
La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+は、アッベ数νdの減少を抑えつつ屈折率を高める働きを有する成分である。また、これらの成分は、ガラスの化学的耐久性および/または耐候性を改善し、ガラス転移温度を高める働きも有する。
La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量(La3++Gd3++Y3++Yb3+)が30.0%以上であると、屈折率ndの低下を抑制することができるため、上記した光学特性を有するガラスを作製するうえで好ましい。更に、ガラスの化学的耐久性および/または耐候性の低下を抑制することもできる。なお、ガラス転移温度が低下すると、ガラスを機械的に加工(切断、切削、研削、研磨等)するときにガラスが破損しやすくなる(機械加工性の低下)が、La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量が30.0%以上であると、ガラス転移温度の低下を抑制することができるため、機械加工性を高めることもできる。一方、La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の各成分の合計含有量が50.0%以下であれば、ガラスの熱的安定性を高めることができるため、ガラスを製造するときの結晶化の抑制や、ガラスを熔融するときの原料の熔け残りを低減することもできる。また、比重の上昇を抑制するうえでも好ましい。以上の観点から、上記ガラスにおいて、La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量は、30.0〜50.0%の範囲である。La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量は、33.0%以上であることが好ましく、35.0%以上であることがより好ましく、36.0%以上であることが更に好ましく、37.0%以上であることが一層好ましい。また、La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量は、48.0%以下であることが好ましく、45.0%以下であることがより好ましく、44.0%以下であることが更に好ましく、43.0%以下であることが一層好ましく、42.0%以下であることがより一層好ましい。
Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+は、屈折率を高める働きのある成分であり、適量を含有させることにより、ガラスの熱的安定性を改善する働きも有する。Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)が3.0%以上であれば、熱的安定性を維持しつつ上記した光学特性を実現するうえで好ましい。一方、Ti4++Nb5++Ta5++W6+の合計含有量が20.0%以下であれば、ガラスの熱的安定性の維持およびアッベ数νdの低下抑制が可能である。以上の観点から、上記ガラスにおいて、Ti4++Nb5++Ta5++W6+の合計含有量を、3.0〜20.0%の範囲である。Ti4++Nb5++Ta5++W6+の合計含有量は、5.0%以上であることが好ましく、6.0%以上であることがより好ましく、7.0%以上であることが更に好ましく、8.0%以上であることが一層好ましく、9.0%以上であることがより一層好ましい。また、Ti4++Nb5++Ta5++W6+の合計含有量は、18.0%以下であることが好ましく、15.0%以下であることがより好ましく、14.0%以下であることが更に好ましく、13.0%以下であることが一層好ましく、12.0%以下であることがより一層好ましく、11.0%以下であることが更に一層好ましい。
ガラスの熱的安定性を維持しつつ、アッベ数νdの低下を抑える上で、Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するLa3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量のカチオン比{(La3++Gd3++Y3++Yb3+)/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、3.56以上であることが好ましい。一方、屈折率の低下を抑えつつ、ガラスの熱的安定性を維持する上で、カチオン比{(La3++Gd3++Y3++Yb3+)/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、5.20以下であることが好ましい。以上の観点から、上記ガラスにおいて、カチオン比{(La3++Gd3++Y3++Yb3+)/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、3.56〜5.20の範囲である。カチオン比{(La3++Gd3++Y3++Yb3+)/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、3.60以上であることが好ましく、3.65以上であることがより好ましく、3.70以上であることが更に好ましい。また、カチオン比{(La3++Gd3++Y3++Yb3+)/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、5.00以下であることが好ましく、4.80以下であることが更に好ましく、4.50以下であることが一層好ましく、4.30以下であることがより一層好ましく、4.20以下であることが更に一層好ましい。
熔融性を改善して、ガラス原料の溶け残りを防ぐ観点から、B3+とSi4+との合計含有量に対するZn2+含有量のカチオン比{Zn2+/(B3++Si4+)}は、0.001以上であることが好ましい。一方、ガラス転移温度(Tg)の低下を抑制する観点から、カチオン比{Zn2+/(B3++Si4+)}は、0.200以下であることが好ましい。以上の観点から、上記ガラスにおいて、カチオン比{Zn2+/(B3++Si4+)}は、0.001〜0.200の範囲である。カチオン比{Zn2+/(B3++Si4+)}は、0.002以上であることが好ましく、0.003以上であることがより好ましく、0.004以上であることが更に好ましい。また、カチオン比{Zn2+/(B3++Si4+)}は、0.180以下であることが好ましく、0.150以下であることがより好ましく、0.130以下であることが更に好ましく、0.100以下であることが一層好ましい。
ガラスの高屈折率低分散化と低比重化とを両立する観点から、上記ガラスにおいて、B3+含有量に対するLa3+含有量のカチオン比(B3+/La3+)は、1.165以下である。カチオン比(B3+/La3+)は、1.163以下であることが好ましく、1.160以下であることがより好ましく、1.158以下であることが更に好ましく、1.156以下であることが一層好ましい。また、ガラスの熱的安定性の維持、高分散化抑制および低比重化の観点から、上記ガラスにおいて、カチオン比(B3+/La3+)は、0.600以上であることが好ましく、0.700以上であることが更に好ましく、0.800以上であることが一層好ましく、0.850以上であることがより一層好ましく、0.900以上であることが更に一層好ましい。
希土類元素であるLa、Gd、YおよびYbに関して、Gdは、ガラスの安定供給の観点から、ガラス中の含有量を低減することが望ましい成分である。また、Gdは原子量が大きく、ガラスの比重を増加させる成分でもある。したがって、希土類元素の合計含有量に対するGd含有量の割合を低減することは好ましい。以上の観点から、上記ガラスにおいて、La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量に対するGd3+含有量のカチオン比{Gd3+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}は、0.10以下である。カチオン比{Gd3+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}は、0.08以下であることが好ましく、0.06以下であることがより好ましく、0.05以下であることが更に好ましい。また、ガラス中にGdが含まれないことも好ましい。即ち、カチオン比{Gd3+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}は、0であることも好ましい。
また、Y3+については、La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量に対するY3+の含有量のカチオン比{Y3+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}が0.03以上であることは、ガラスの熱的安定性の維持の観点から好ましい。一方、カチオン比{Y3+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}が0.50以下であることは、ガラスの熱的安定性の維持および高屈折率化の観点から好ましい。以上の観点から、上記ガラスにおいて、カチオン比{Y3+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}は、0.03〜0.50の範囲である。カチオン比{Y3+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}は、0.45以下であることが好ましく、0.40以下であることがより好ましく、0.35以下であることが更に好ましく、0.30以下であることが一層好ましく、0.28以下であることがより一層好ましい。また、カチオン比{Y3+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}は、0.05以上であることが好ましく、0.08以上であることがより好ましく、0.10以上であることが更に好ましく、0.13以上であることが一層好ましく、0.15以上であることがより一層好ましく、0.18以上であることが更により一層好ましい。
また、ガラスの高屈折率化の観点から、上記ガラスにおいて、La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量に対するガラスのネットワーク形成成分であるB3+とSi4+との合計含有量のカチオン比{(B3++Si4+)/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}は、1.40以下である。カチオン比{(B3++Si4+)/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}は、1.35以下であることが好ましく、1.30以下であることがより好ましく、1.28以下であることが更に好ましく、1.26以下であることが一層好ましく、1.24以下であることがより一層好ましく、1.22以下であることが更に一層好ましい。ガラスの熱的安定性の維持および低比重化の観点からは、カチオン比{(B3++Si4+)/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}は、0.70以上であることが好ましく、0.80以上であることがより好ましく、0.85以上であることが更に好ましく、0.90以上であることが一層好ましく、0.95以上であることがより一層好ましい。
Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+は、適量を含有させることにより、屈折率を高め、ガラスの熱的安定性を改善する働きをする。これらの成分に関して、上記ガラスにおいて、高分散化防止、ガラスの熱的安定性の維持および着色低減の観点から、Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するTi4+含有量のカチオン比{Ti4+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、0.20〜0.70である。カチオン比{Ti4+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、0.65以下であることが好ましく、0.60以下であることがより好ましく、0.55以下であることが更に好ましく、0.53以下であることが一層好ましく、0.50以下であることがより一層好ましい。また、カチオン比{Ti4+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、0.23以上であることが好ましく、0.24以上であることがより好ましく、0.25以上であることが更に好ましく、0.26以上であることが一層好ましい。
Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の中で、Ta5+は、屈折率を高める働きを有するものの、極めて高価な成分である。そのため、ガラスの安定供給の観点からは、Ta5+を積極的に使用することは好ましくない。また、Ta5+の含有量が多いと、ガラスを熔融するときに原料が熔け残りやすくなる。また、ガラスの比重が増加する傾向がある。このように、Ta5+は、含有量を低減することが望ましい成分である。そのため、上記ガラスにおいて、Ta5+については、ガラスの熱的安定性を改善しつつ、高屈折率低分散化とTaの使用量削減を図るため、Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するTa5+含有量のカチオン比{Ta5+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、0.10以下である。カチオン比{Ta5+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、0.08以下であることが好ましく、0.06以下であることがより好ましく、0.04以下であることが更に好ましく、0.02以下であることが一層好ましく、0.01以下であることがより一層好ましい。また、ガラス中にTaが含まれないことも好ましい。即ち、カチオン比{Ta5+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、0であることも好ましい。
6+については、ガラスの着色抑制および低比重化の観点から、上記ガラスにおいて、Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するW6+含有量のカチオン比{W6+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、0.20以下である。カチオン比{W6+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、0.18以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましく、0.13以下であることが更に好ましい。また、ガラス中にWが含まれないことも好ましい。即ち、カチオン比{W6+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、0であることも好ましい。
また、ガラスの高屈折率化の観点から、Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するガラスのネットワーク形成成分であるB3+とSi4+との合計含有量のカチオン比{(B3++Si4+)/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、5.70以下であることが好ましい。一方、ガラスの高分散化抑制および熱的安定性の維持の観点からは、カチオン比{(B3++Si4+)/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、3.50以上であることが好ましい。以上の観点から、上記ガラスにおいて、カチオン比{(B3++Si4+)/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、3.50〜5.70の範囲である。カチオン比{(B3++Si4+)/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、5.50以下であることが好ましく、4.80以下であることがより好ましく、4.70以下であることが更に好ましく、4.60以下であることが一層好ましく、4.55以下であることがより一層好ましい。また、カチオン比{(B3++Si4+)/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、3.60以上であることが好ましく、3.80以上であることがより好ましく、3.90以上であることが更に好ましい。
以下、上記ガラスのガラス組成について、更に説明する。
ガラスのネットワーク形成成分であるB3+とSi4+との合計含有量等については、先に記載した通りである。B3+含有量、Si4+含有量のそれぞれについて、ガラスの耐失透性、熔融性、成形性、化学的耐久性、耐候性、機械加工性等を改善する観点から好ましい範囲は、以下の通りである。
3+含有量は、14.0%以上であることが好ましく、18.0%以上であることがより好ましく、20.0%以上であることが更に好ましく、23.0%以上であることが一層好ましく、25.0%以上であることがより一層好ましく、27.0%以上であることが更に一層好ましい。また、B3+含有量は、50.0%以下であることが好ましく、45.0%以下であることがより好ましく、43.0%以下であることが更に好ましく、40.0%以下であることが一層好ましく、38.0%以下であることがより一層好ましい。
Si4+含有量は、2.0%以上であることが好ましく、4.0%以上であることがより好ましく、6.0%以上であることが更に好ましく、7.0%以上であることが一層好ましく、8.0%以上であることがより一層好ましく、9.0%以上であることが更に一層好ましい。また、Si4+含有量は、39.0%以下であることが好ましく、30.0%以下であることがより好ましく、25.0%以下であることが更に好ましく、23.0%以下であることが一層好ましく、20.0%以下であることがより一層好ましく、18.0%以下であることが更に一層好ましく、15.0%以下であることが更により一層好ましい。
一般に、Bと希土類元素を含む高屈折率低分散ガラスでは、熔融時のガラスの粘性が低い傾向がある。しかし、熔融時のガラスの粘性が低いと結晶化しやすくなる。ガラス製造時の結晶化は、アモルファス状態(非晶質状態)よりも結晶化したほうが安定であり、ガラスを構成するイオンがガラス中を移動して結晶構造をもつように配列することにより生じる。したがって、熔融時の粘性が高くなるようにB3+とSi4+の各成分の含有量の比率を調整することにより、ガラスを構成するイオンが結晶構造をもつように配列しにくくして、ガラスの結晶化を更に抑制しガラスの耐失透性を一層改善することができる。
以上の観点から、B3+とSi4+との合計含有量に対するB3+含有量のカチオン比{B3+/(B3++Si4+)}の好ましい範囲は、以下の通りである。
3+とSi4+との合計含有量に対するB3+含有量のカチオン比{B3+/(B3++Si4+)}は、0.40以上であることが好ましく、0.50以上であることがより好ましく、0.55以上であることが更に好ましく、0.60以上であることが一層好ましく、0.65以上であることがより一層好ましく、0.68以上であることが更に一層好ましい。カチオン比{B3+/(B3++Si4+)}が上記例示した下限以上であることは、ガラスの熔融性改善の観点からも好ましい。また、カチオン比{B3+/(B3++Si4+)}は、0.95以下であることが好ましく、0.90以下であることがより好ましく、0.85以下であることが更に好ましく、0.83以下であることが一層好ましく、0.80以下であることがより一層好ましく、0.78以下であることが更に一層好ましい。カチオン比{B3+/(B3++Si4+)}が上記例示した上限以下であることは、熔融時のガラスの粘性を高めるうえでも好ましい。更に、カチオン比{B3+/(B3++Si4+)}が上記例示した上限以下であることは、熔融時の揮発によるガラス組成の変動およびこれによる光学特性の変動を低減するために、またガラスの化学的耐久性、耐候性および機械加工性の1つ以上の改善の観点からも好ましい。
Zn2+に関して、ガラスの熱的安定性を改善してガラスの結晶化を抑制しつつ、上記した光学特性を実現するために、上記ガラスでは、La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量に対するZn2+含有量のカチオン比{Zn2+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}は、0.400以下であることが好ましい。また、カチオン比{Zn2+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}が0.400以下であることは、ガラス転移温度の低下抑制(これによる機械加工性の改善)および化学的耐久性向上の観点からも好ましい。カチオン比{Zn2+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}は、0.300以下であることがより好ましく、0.250以下であることが更に好ましく、0.200以下であることが一層好ましく、0.150以下であることがより一層好ましく、0.100以下であることが更に一層好ましい。カチオン比{Zn2+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}は、熔融性改善の観点からは、0%以上であることが好ましく、0%超であることがより好ましい。カチオン比{Zn2+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}は、0.001以上であることが更に好ましく、0.005以上であることが一層好ましく、0.010以上であることがより一層好ましく、0.015以上であることが更に一層好ましい。
ガラスの熱的安定性の更なる改善、ガラス転移温度の低下抑制(これによる機械加工性の改善)、化学的耐久性の改善の観点から、Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するZn2+含有量のカチオン比{Zn2+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、0.550以下であることが好ましい。カチオン比{Zn2+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、0.500以下であることがより好ましく、0.450以下であることが更に好ましく、0.430以下であることが一層好ましく、0.400以下であることがより一層好ましい。カチオン比{Zn2+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は。0であってもよく、熔融性の向上の観点から、0超であることが好ましい。カチオン比{Zn2+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、0.001以上であることがより好ましく、0.005以上であることが更に好ましく、0.010以上であることが一層好ましく、0.015以上であることがより一層好ましい。
ガラスの熔融性、熱的安定性、成形性、機械加工性等を改善し、上記した光学特性を実現する観点から、Zn2+含有量の好ましい範囲は、以下の通りである。
Zn2+含有量は、0%超であることが好ましく、0.1%以上であることがより好ましく、0.2%以上であることが更に好ましい。また、Zn2+含有量は、10.0%以下であることが好ましく、8.0%以下であることがより好ましく、7.0%以下であることが更に好ましく、6.0%以下であることが一層好ましく、5.0%以下であることがより一層好ましく、4.0%以下であることが更に一層好ましい。
La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量等については、先に記載した通りである。La3+は、熱的安定性を改善しつつ、比重の増大を抑制し、高屈折率低分散ガラスを提供するうえで有用な成分である。そこで上記ガラスでは、La3+については、La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量に対するLa3+含有量のカチオン比{La3+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}が、0.50以上であることが好ましく、0.55以上であることがより好ましく、0.65以上であることが更に好ましく、0.68以上であることが一層好ましく、0.70以上であることがより一層好ましく、0.70以上であることが更に一層好ましく、0.72以上であることが更により一層好ましい。また、カチオン比{La3+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}は、0.97以下であることが好ましく、0.95以下であることがより好ましく、0.93以下であることが更に好ましく、0.90以下であることが一層好ましく、0.88以下であることがより一層好ましく、0.85以下であることが更に一層好ましく、0.82以下であることが更により一層好ましい。
La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の各成分の含有量に関して、好ましい範囲は以下の通りである。
La3+含有量は、15.0%以上であることが好ましく、18.0%以上であることがより好ましく、20.0%以上であることが更に好ましく、23.0%以上であることが一層好ましく、25.0%以上であることがより一層好ましい。また、La3+含有量は、48.5%以下であることが好ましく、45.0%以下であることがより好ましく、43.0%以下であることが更に好ましく、40.0%以下であることが一層好ましく、38.0%以下であることがより一層好ましく、35.0%以下であることが更に一層好ましい。
Gd3+含有量は、4.0%以下であることが好ましく、3.0%以下であることがより好ましく、2.5%以下であることが更に好ましく、2.0%以下であることが一層好ましい。Gd3+含有量は、0%以上であることが好ましく、ガラスの安定供給および低比重化を容易にする観点から、Gd3+含有量が0%であること、即ちGd3+が含まれないことが特に好ましい。
3+含有量は、ガラスの熱的安定性および溶融性改善の観点から、0.9%以上であることが好ましく、2.0%以上であることがより好ましく、5.0%以上であることが更に好ましく、6.0%以上であることが一層好ましく、6.5%以上であることがより一層好ましく、7.0%以上であることが更に一層好ましい。また、Y3+含有量は、25.0%以下であることが好ましく、23.0%以下であることがより好ましく、20.0%以下であることが更に好ましく、18.0%以下であることが一層好ましく、15.0%以下であることがより一層好ましく、13.0%以下であることが更に一層好ましく、12.0%以下であることが更により一層好ましい。
Ybは希土類元素の中では原子量が大きくガラスの比重を増加させる傾向がある。また、Ybは近赤外域に吸収を有する。一方、一眼レフカメラ用の交換レンズや監視カメラのレンズは、近赤外域の光線透過率が高いことが望ましい。そのため、これらレンズの作製に有用なガラスとするためには、Ybの含有量を低減することが望ましい。以上の観点から、Yb3+含有量は、4.0%以下であることが好ましく、3.0%以下であることがより好ましく、2.0%以下であることが更に好ましく、1.0%以下であることが一層好ましい。また、Yb3+含有量は0%以上であることができ、0%であること、即ちYb3+が含まれないことが特に好ましい。
Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量等については、先に記載した通りである。これらの成分の中で、Nb5+については、熱的安定性に優れる高屈折率低分散ガラスを提供するために、Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するNb5+含有量のカチオン比{Nb5+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、0.30以上であることが好ましい。また、Nb5+は、Ta、W6+に比べ、比重を大きくせずに屈折率を高めることができる傾向のある成分である。したがって、比重の増大を抑制する上で、カチオン比{Nb5+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}を大きくすることは好ましい。カチオン比{Nb5+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、0.35以上であることがより好ましく、0.40以上であることが更に好ましく、0.45以上であることが一層好ましく、0.48以上であることがより一層好ましく、0.49以上であることが更に一層好ましい。また、カチオン比{Nb5+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、0.80以下であることが好ましく、0.75以下であることがより好ましく、0.73以下であることが更に好ましく、0.71以下であることが一層好ましく、0.70以下であることがより一層好ましく、0.69以下であることが更に一層好ましい。
Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の各成分の含有量に関して、好ましい範囲は以下の通りである。
Ti4+含有量は、15.0%以上であることが好ましく、13.0%以下であることがより好ましく、11.0%以下であることが更に好ましく、9.0%以下であることが一層好ましく、7.0%以下であることがより一層好ましく、6.0%以下であることが更に一層好ましく、5.0%以下であることが更により一層好ましい。また、Ti4+含有量は、0.6%以上であることが好ましく、1.0%以上であることがより好ましく、1.5%以上であることが更に好ましく、2.0%以上であることが一層好ましく、2.5%以上であることがより一層好ましい。
Nb5+含有量は、16.0%以下であることが好ましく、14.0%以下であることがより好ましく、12.0%以下であることが更に好ましく、10.0%以下であることが一層好ましく、9.0%以下であることがより一層好ましく、8.0%以下であることが更に一層好ましい。また、Nb5+含有量は、0%以上であることができ、1.0%以上であることが好ましく、2.0%以上であることがより好ましく、3.0%以上であることが更に好ましく、4.0%以上であることが一層好ましく、4.5%以上であることがより一層好ましい。
Ta5+含有量は、4.0%以下であることが好ましく、3.0%以下であることがより好ましく、2.0%以下であることが更に好ましく、1.0%以下であることが一層好ましく、0.5%以下であることがより一層好ましい。Ta5+含有量は、0%以上であることができ、一態様では、0%であること、即ちTa5+が含まれないことが好ましい。
6+含有量は、5.0%以下であることが好ましく、4.0%以下であることがより好ましく、3.0%以下であることが更に好ましく、2.0%以下であることが一層好ましく、1.5%以下であることがより一層好ましい。W6+含有量は、0%以上であることができ、一態様では、0%であること、即ちW6+が含まれないことが好ましい。
また、低比重化の観点からは、Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量においてTi4+とNb5+との合計含有量が占める割合を高めることが好ましい。この観点から、Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するTi4+とNb5+との合計含有量のカチオン比{(Ti4++Nb5+)/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、0.70以上であることが好ましく、0.75以上であることがより好ましく、0.80以上であることが更に好ましく、0.85以上であることが一層好ましく、カチオン比{(Ti4++Nb5+)/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}は、1.00以下であることができ、1.00であること、即ちTa5+およびW6+が含まれないことが特に好ましい。
次に、以上説明した成分以外の成分について説明する。
Zr4+は、屈折率を高める働きのある成分であり、適量を含有させることにより、ガラスの熱的安定性を改善する働きも有する。また、Zr4+は、ガラス転移温度を高めることにより機械的な加工時にガラスが破損しにくくする働きも有する。これらの効果を良好に得るために、上記ガラスでは、Zr4+の含有量が2.0%以上であることが好ましく、2.5%以上であることがより好ましく、3.0%以上であることが更に好ましく、3.5%以上であることが一層好ましく、4.0%以上であることがより一層好ましく、4.5%以上であることが更に一層好ましい。一方、Zr4+の含有量が10.0%以下であることは、ガラスの熱的安定性を改善する観点から好ましい。熱的安定性を改善することにより、ガラス製造時の結晶化やガラス熔融時の熔け残りの発生を抑制することができる。上記ガラスにおけるZr4+含有量は、8.0%以下であることがより好ましく、7.5%以下であることが更に好ましく、7.0%以下であることが一層好ましく、6.5%以下であることがより一層好ましく、6.0%以下であることが更に一層好ましく、5.5%以下であることが更により一層好ましい。
Zr4+については、屈折率を高める成分であるTi4+とNb5+との合計含有量に対するZr4+含有量のカチオン比{Zr4+/(Ti4++Nb5+)}が0.40以上であることが、アッベ数の低下を抑制する観点から好ましい。カチオン比{Zr4+/(Ti4++Nb5+)}は、0.42以上であることがより好ましく、0.44以上であることが更に好ましく、0.45以上であることが一層好ましく、0.46以上であることがより一層好ましく、0.47以上であることが更に一層好ましい。また、熔融性の改善によりガラスの熔け残りを抑制する観点やガラスの失透抑制の観点から、カチオン比{Zr4+/(Ti4++Nb5+)}は、0.60以下であることが好ましく、0.58以下であることがより好ましく、0.56以下であることが更に好ましく、0.55以下であることが一層好ましい。
Liは、ガラス転移温度を低下させる作用が強いため、その含有量が多くなると機械加工性が低下傾向を示す。また、化学的耐久性や耐候性も低下傾向を示す。したがって、Li含有量は5.0%以下であることが好ましく、4.0%以下であることがより好ましく、3.0%以下であることが更に好ましく、2.0%以下であることが一層好ましく、1.0%以下であることがより一層好ましい。また、Li含有量は0%以上であることができ、0%であってもよい。
Na、K、Rb、Csは、いずれも、ガラスの熔融性を改善する働きを有するが、これらの含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、耐候性、機械加工性が低下傾向を示す。したがって、Na、K、Rb、Csの各含有量の好ましい範囲は、以下の通りである。
Na含有量は、8.0%以下であることが好ましく、6.0%以下であることがより好ましく、4.0%以下であることが更に好ましく、2.0%以下であることが一層好ましい。また、Na含有量は0%以上であることができ、0%であってもよい。
含有量は、8.0%以下であることが好ましく、6.0%以下であることがより好ましく、4.0%以下であることが更に好ましく、2.0%以下であることが一層好ましい。また、K含有量は0%以上であることができ、0%であってもよい。
Rb含有量は、5.0%以下であることが好ましく、4.0%以下であることがより好ましく、3.0%以下であることが更に好ましく、2.0%以下であることが一層好ましく、1.0%以下であることがより一層好ましい。また、Rb含有量は0%以上であることができ、0%であってもよい。
Cs++含有量は、5.0%以下であることが好ましく、4.0%以下であることがより好ましく、3.0%以下であることが更に好ましく、2.0%以下であることが一層好ましく、1.0%以下であることがより一層好ましい。また、Cs含有量は0%以上であることができ、0%であってもよい。
ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、耐候性、機械加工性を維持しつつ、ガラスの熔融性を改善する観点から、Li、NaおよびKの合計含有量(Li+Na+K)の好ましい範囲は、以下の通りである。
Li、NaおよびKの合計含有量(Li+Na+K)は、8.0%以下であることが好ましく、6.0%以下であることがより好ましく、4.0%以下であることが更に好ましく、2.0%以下であることが一層好ましい。また、Li、NaおよびKの合計含有量(Li+Na+K)は、0%以上であることができ、0%であってもよい。
Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+は、いずれもガラスの熔融性を改善させる働きを有する成分である。ただし、これら成分の含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性が低下し、失透傾向を示す。以上の観点から、これら成分のそれぞれの含有量の好ましい範囲は、以下の通りである。
Mg2+含有量は、10.0%以下であることが好ましく、8.0%以下であることがより好ましく、6.0%以下であることが更に好ましく、4.0%以下であることが一層好ましく、2.0%以下であることがより一層好ましい。また、Mg2+含有量は0%以上であることができ、0%であってもよい。
Ca2+含有量は、10.0%以下であることが好ましく、8.0%以下であることがより好ましく、6.0%以下であることが更に好ましく、4.0%以下であることが一層好ましく、2.0%以下であることがより一層好ましい。また、Ca2+含有量は0%以上であることができ、0%であってもよい。
Sr2+含有量は、10.0%以下であることが好ましく、8.0%以下であることがより好ましく、6.0%以下であることが更に好ましく、4.0%以下であることが一層好ましく、2.0%以下であることがより一層好ましい。また、Sr2+含有量は0%以上であることができ、0%であってもよい。
Ba2+含有量は、10.0%以下であることが好ましく、8.0%以下であることがより好ましく、6.0%以下であることが更に好ましく、4.0%以下であることが一層好ましく、2.0%以下であることがより一層好ましい。また、Ba2+含有量は0%以上であることができ、0%であってもよい。
また、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量(Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+)は、ガラスの熱的安定性を維持する観点から、10.0%以下であることが好ましく、8.0%以下であることがより好ましく、6.0%以下であることが更に好ましく、4.0%以下であることが一層好ましく、2.0%以下であることがより一層好ましい。また、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量(Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+)は0%以上であることができ、0%であってもよい。
Al3+は、ガラスの化学的耐久性、耐候性を改善する働きを有する成分である。ただし、Al3+の含有量が多くなると、屈折率ndの低下傾向、ガラスの熱的安定性の低下傾向、熔融性の低下傾向がみられることがある。以上の点を考慮し、Al3+含有量の好ましい範囲は、以下の通りである。
Al3+含有量は、10.0%以下であることが好ましく、8.0%以下であることがより好ましく、6.0%以下であることが更に好ましく、4.0%以下であることが一層好ましく、2.0%以下であることがより一層好ましい。また、Al3+含有量は0%以上であることができ、0%であってもよい。
5+は、屈折率ndを低下させる成分であり、ガラスの熱的安定性を低下させる成分でもあるが、極少量の導入であればガラスの熱的安定性を改善することがある。上記した光学特性を有するとともに、熱的安定性が優れたガラスを作製するうえで、P5+含有量の好ましい範囲は、以下の通りである。
5+含有量は、5.0%以下であることが好ましく、4.0%以下であることがより好ましく、3.0%以下であることが更に好ましく、2.0%以下であることが一層好ましく、1.0%以下であることがより一層好ましい。また、P5+含有量は0%以上であることができ、0%であってもよい。
Bi3+は、屈折率ndを高めるとともに、アッベ数νdを低下させる成分である。また、比重や着色を増大させやすい成分でもある。上記した光学特性を有し、かつ着色が少なく低比重なガラスを作製するうえで、Bi3+含有量の好ましい範囲は、以下の通りである。
Bi3+含有量は、10.0%以下であることが好ましく、8.0%以下であることがより好ましく、6.0%以下であることが更に好ましく、4.0%以下であることが一層好ましく、2.0%以下であることがより一層好ましい。また、Bi3+含有量は0%以上であることができ、0%であってもよい。
Ga3+、In3+、Sc3+、Hf4+は、いずれも屈折率ndを高める働きを有する。ただし、これらの成分は高価であり、上記ガラスを得るうえで必須の成分ではない。したがって、Ga3+、In3+、Sc3+、Hf4+の各含有量の好ましい範囲は、以下の通りである。
Ga3+含有量は、5.0%以下であることが好ましく、4.0%以下であることがより好ましく、3.0%以下であることが更に好ましく、2.0%以下であることが一層好ましく、1.0%以下であることがより一層好ましい。また、Ga3+含有量は0%以上であることができ、0%であってもよい。
In3+含有量は、5.0%以下であることが好ましく、4.0%以下であることがより好ましく、3.0%以下であることが更に好ましく、2.0%以下であることが一層好ましく、1.0%以下であることがより一層好ましい。また、In3+含有量は0%以上であることができ、0%であってもよい。
Sc3+含有量は、5.0%以下であることが好ましく、4.0%以下であることがより好ましく、3.0%以下であることが更に好ましく、2.0%以下であることが一層好ましく、1.0%以下であることがより一層好ましい。また、Sc3+含有量は0%以上であることができ、0%であってもよい。
Sc3+含有量は、5.0%以下であることが好ましく、4.0%以下であることがより好ましく、3.0%以下であることが更に好ましく、2.0%以下であることが一層好ましく、1.0%以下であることがより一層好ましい。また、Sc3+含有量は0%以上であることができ、0%であってもよい。
Hf4+含有量は、10.0%以下であることが好ましく、8.0%以下であることがより好ましく、6.0%以下であることが更に好ましく、4.0%以下であることが一層好ましく、2.0%以下であることがより一層好ましい。また、Hf4+含有量は0%以上であることができ、0%であってもよい。
Lu3+は、屈折率ndを高める働きを有するが、ガラスの比重を増加させる成分でもある。また、LuはGd、Ybと同様、重希土類元素であることから、ガラスの安定供給の観点から、ガラス中の含有量を低減することが望ましい。以上の観点から、Lu3+含有量は、10.0%以下であることが好ましく、8.0%以下であることがより好ましく、6.0%以下であることが更に好ましく、4.0%以下であることが一層好ましく、2.0%以下であることがより一層好ましい。また、Lu3+含有量は0%以上であることができ、0%であってもよい。
Ge4+は、屈折率ndを高める働きを有するが、一般的に使用されるガラス成分の中で、突出して高価な成分である。ガラスの製造コストを低減する観点から、Ge4+含有量は、0.0%以下であることが好ましく、8.0%以下であることがより好ましく、6.0%以下であることが更に好ましく、4.0%以下であることが一層好ましく、2.0%以下であることがより一層好ましい。また、Ge4+含有量は0%以上であることができ、0%であってもよい。
Te4+は、屈折率ndを高める成分であるが、環境への配慮等の観点からTe4+の含有量を少なくすることが好ましい。Te4+含有量は、5.0%以下であることが好ましく、4.0%以下であることがより好ましく、3.0%以下であることが更に好ましく、2.0%以下であることが一層好ましく、1.0%以下であることがより一層好ましい。また、Te4+含有量は0%以上であることができ、0%であってもよい。
以上説明した各種作用および効果を良好に得る観点から、上記ガラスにおいて、B3+、La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Si4+、Zn2+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、Ta5+、W6+、Al3+、P5+、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびBi3+の合計含有量は、90.0%以上であることが好ましく、92.0%以上であることがより好ましく、94.0%以上であることが更に好ましく、96.0%以上であることが一層好ましく、98.0%以上であることがより一層好ましく、99.0%以上であることが更に一層好ましく、99.5%以上であることが更により一層好ましい。また、B3+、La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Si4+、Zn2+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、Ta5+、W6+、Al3+、P5+、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびBi3+の合計含有量は100%以下であることができ、100%であってもよい。
Pb、As、Cd、Tl、Be、Seは、それぞれ毒性を有する。そのため、これらの元素を含有させないこと、すなわち、これら元素をガラス成分としてガラス中に導入しないことか好ましい。
U、Th、Raはいずれも放射性元素である。そのため、これらの元素を含有させないこと、すなわち、これら元素をガラス成分としてガラス中に導入しないことか好ましい。
V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Pr,Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ceは、ガラスの着色を増大させたり、蛍光の発生源となり、光学素子用のガラスに含有させる元素としては好ましくない。そのため、これらの元素を含有させないこと、すなわち、これら元素をガラス成分としてガラス中に導入しないことか好ましい。
Sb、Snは清澄剤として機能する任意に添加可能な元素である。
Sbの添加量は、Sbに換算し、酸化物換算のガラス組成において、Sb以外のガラス成分の含有量の合計を100質量%としたときの含有率(以下、かかる含有率を「外割り」ともいう。)は、0〜0.11質量%の範囲にすることが好ましく、0.01〜0.08質量%の範囲にすることがより好ましく、0.02〜0.05質量%の範囲にすることが更に好ましい。
Snの添加量は、SnOに換算し、酸化物換算のガラス組成において、SnO以外のガラス成分の含有量の合計を100質量%としたときの含有率(外割り)は、0〜0.5質量%の範囲にすることが好ましく、0〜0.2質量%の範囲にすることがより好ましく、0質量%にすることが更に好ましい。
以上、カチオン成分について説明した。次に、アニオン成分について説明する。
上記ガラスは、酸化物ガラスであるため、アニオン成分としてO2−を含む。O2−含有量は、95.0アニオン%以上であることが好ましく、97.0アニオン%以上であることがより好ましく、98.0アニオン%以上であることが更に好ましく、99.0アニオン%以上であることが一層好ましく、99.5アニオン%以上であることがより一層好ましく、100アニオン%であってもよい。
2−以外のアニオン成分としては、F、Cl、Br、Iを例示することができる。ただし、F、Cl、Br、Iは、いずれもガラスの熔融中に揮発しやすい。これらの成分の揮発によって、ガラスの特性が変動しガラスの均質性が低下したり、熔融設備の消耗が著しくなる傾向がある。したがって、F、Cl、BrおよびIの合計含有量を、100アニオン%から、O2−の含有量を差し引いた量に抑えることが好ましい。
なお、アニオン%とは周知のように、ガラスに含まれるすべてのアニオン成分の合計含有量を100%とした百分率である。
<ガラス特性>
(部分分散特性)
色収差補正の観点から、上記ガラスは、アッベ数νdを固定したとき、部分分散比が小さいガラスであることが好ましい。
ここで、部分分散比Pg,Fは、g線、F線、c線における各屈折率ng、nF、ncを用いて、(ng−nF)/(nF−nc)と表される。
高次の色収差補正に好適なガラスを提供する観点から、上記ガラスの部分分散比Pg,Fの好ましい範囲は、以下の通りである。
部分分散比Pg,Fは、0.590以下であることが好ましく、0.588以下であることがより好ましく、0.586以下であることが更に好ましく、0.584以下であることが一層好ましく、0.583以下であることがより一層好ましく、0.582以下であることが更に一層好ましい。また、部分分散比Pg,Fは、0.564以上であることが好ましく、0.566以上であることがより好ましく、0.568以上であることが更に好ましく、0.570以上であることが一層好ましく、0.572以上であることがより一層好ましく、0.573以上であることが更に一層好ましく、0.574以上であることが更により一層好ましい。
(ガラス転移温度)
上記ガラスのガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、好ましくは670℃以上である。ガラス転移温度を670℃以上にすることにより、切断、切削、研削、研磨等のガラスの機械加工行う際にガラスを破損しにくくすることができる。また、ガラス転移温度を低下させる働きの強いLi、Znなどの成分を多量に含有させなくてもよいため、ガラスの安定供給等の観点から使用量を低減することが望ましいGd、Taの含有量を少なくしても、更にはYbの含有量も少なくしても、熱的安定性を改善しやすくなる。
一方、ガラス転移温度を高くし過ぎると、ガラスを高温でアニールしなければならなくなり、アニール炉が著しく消耗する。また、ガラスを成形するときに、高い温度で成形を行わなければならず、成形に使用する型の消耗が著しくなる。
機械加工性の改善、アニール炉や成形型への負担軽減から、ガラス転移温度の好ましい範囲は、以下の通りである。
ガラス転移温度は、670℃以上であることが好ましく、680℃以上であることがより好ましく、690℃以上であることが更に好ましく、695℃以上であることが一層好ましく、700℃以上であることがより一層好ましい。また、ガラス転移温度は、790℃以下であることが好ましく、780℃以下であることがより好ましく、770℃以下であることが更に好ましく、760℃以下であることが一層好ましく、750℃以下であることがより一層好ましく、745℃以下であることが更に一層好ましい。
(ガラスの比重)
光学系を構成する光学素子(レンズ)では、レンズを構成するガラスの屈折率とレンズの光学機能面(制御しようとする光線が入射、出射する面)の曲率によって、屈折力が決まる。光学機能面の曲率を大きくしようとすると、レンズの厚みも増加する。その結果、レンズが重くなる。これに対し、屈折率の高いガラスを使用すれば、光学機能面の曲率を大きくしなくても大きな屈折力を得ることができる。
以上より、ガラスの比重の増加を抑えつつ、屈折率を高めることができれば、一定の屈折力を有する光学素子の軽量化が可能となる。
屈折率ndの屈折力への寄与に関しては、ガラスの屈折率ndから真空中の屈折率である1を引いた値(nd―1)に対してガラスの比重dの比を取った値、d/(nd−1)、を光学素子の軽量化を図る際の指標とすることができる。すなわち、d/(nd−1)を光学素子の軽量化を図る際の指標とし、この値を低減することにより、レンズの軽量化を図ることができる。
上記ガラスは、上記の合計Aが屈折率ndに対して上記式(2)を満たすことにより、高屈折率低分散ガラスでありながら、低比重化が可能である。したがって、上記ガラスのd/(nd−1)は、例えば5.80以下であることができ、5.70以下であることが好ましく、5.65以下であることがより好ましく、5.60以下であることが更に好ましい。ただし、d/(nd−1)を過剰に減少させると、ガラスの熱的安定性が低下傾向を示す。そのため、d/(nd−1)は、4.50以上であることが好ましく、4.80以上であることがより好ましく、5.00以上であることが更に好ましく、5.10以上であることが一層好ましく、5.20以上であることがより一層好ましく、5.30以上であることが更に一層好ましい。
また、比重dが、屈折率ndに対して下記式(3)を満たすことも好ましい。
d≦14.00×nd−21.69 ・・・(3)
更に、上記ガラスの比重dは、5.30以下であることが好ましく、5.25以下であることがより好ましく、5.23以下であることが更に好ましく、5.20以下であることが一層好ましく、5.15以下であることがより一層好ましく、5.10以下であることが更に一層好ましい。比重dを上記例示した上限以下にすることは、このガラスからなる光学素子の軽量化の観点から好ましい。また、ガラスの比重は低いほど光学素子の軽量化の観点から好ましいため、上記ガラスの比重dについて、下限は特に限定されない。例えば、ガラスの熱的安定性をより改善する観点からは、上記ガラスの比重dは4.00以上であることが好ましい。
(液相温度)
ガラスの熱的安定性の指標の一つに液相温度がある。ガラス製造時の結晶化、失透を抑制する観点から、液相温度LTは1400℃以下であることが好ましく、1380℃以下であることがより好ましく、1360℃以下であることが更に好ましく、1340℃以下であることが一層好ましい。液相温度LTは、例えば1150℃以上であることができる。ただし、液相温度が低いことは好ましいため、液相温度は1150℃を下回ってもよく、下限は特に限定されるものではない。
(ガラスの光線透過性)
ガラスの光線透過性、詳しくは、短波長側の光吸収端の長波長化が抑制されていることは、着色度λ5により評価することができる。着色度λ5とは、紫外域から可視域にかけて、厚さ10mmのガラスの分光透過率(表面反射損失を含む)が5%となる波長を表す。後述の実施例に示すλ5は、250〜700nmの波長域において測定された値である。分光透過率とは、例えばより詳しくは、10.0±0.1mmの厚さに研磨された互いに平行な平面を有するガラス試料を用い、上記研磨された面に対して垂直方向から光を入射して得られる分光透過率、すなわち、上記ガラス試料に入射する光の強度をIin、上記ガラス試料を透過した光の強度をIoutとしたときのIout/Iinのことである。
着色度λ5によれば、分光透過率の短波長側の吸収端を定量的に評価することができる。接合レンズ作製のためにレンズ同士を紫外線硬化型接着剤により接合する際等、光学素子を通して接着剤に紫外線を照射し接着剤を硬化させることが行われる。効率よく紫外線硬化型接着剤の硬化を行う観点から、分光透過率の短波長側の吸収端が短い波長域にあることが好ましい。この短波長側の吸収端を定量的に評価する指標として、着色度λ5を用いることができる。上記ガラスは、先に記載した組成調整により、好ましくは370nm以下、より好ましくは360nm以下、更に好ましくは355nm以下、一層好ましくは350nm以下、より一層好ましくは349nm以下のλ5を示すことができる。λ5の下限は、一例として、315nmを目安とすることができるが、低いほど好ましく特に限定されるものではない。
一方、ガラスの着色度の指標としては、着色度λ70も挙げられる。λ70は、λ5について記載した方法で測定される分光透過率が70%となる波長を表す。着色の少ないガラスとする観点から、λ70の好ましい範囲は450nm以下、より好ましい範囲は440nm以下、一層好ましい範囲は430nm以下、より一層好ましい範囲は420nm以下である。λ70の下限の目安は360nmであるが、低いほど好ましく特に限定されるものではない。
以上説明した本発明の一態様にかかるガラスは、屈折率ndおよびアッベ数νdが大きく(即ち高屈折率低分散ガラスであり)、光学素子用のガラス材料として有用である。更に、先に記載した組成調整により、ガラスの均質化および低比重化も可能である。したがって上記ガラスは、より軽量な光学素子を与える光学ガラスとして好適である。
<ガラスの製造方法>
上記ガラスは、目的のガラス組成が得られるように、原料である酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、水酸化物などを秤量、調合し、十分に混合して混合バッチとし、熔融容器内で加熱、熔融し、脱泡、攪拌を行い均質かつ泡を含まない熔融ガラスを作り、これを成形することによって得ることができる。具体的には公知の熔融法を用いて作ることができる。上記ガラスは、上記した光学特性を有する高屈折率低分散ガラスでありながら、熱的安定性が優れているため、公知の熔融法、成形法を用いて、安定的に製造することができる。
[プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、およびそれらの製造方法]
本発明の他の一態様は、
上述のガラスからなるプレス成形用ガラス素材;
上述のガラスからなる光学素子ブランク、
に関する。
本発明の他の一態様によれば、
上述のガラスをプレス成形用ガラス素材に成形する工程を備えるプレス成形用ガラス素材の製造方法;
上述のプレス成形用ガラス素材を、プレス成形型を用いてプレス成形することにより光学素子ブランクを作製する工程を備える光学素子ブランクの製造方法;
上述のガラスを光学素子ブランクに成形する工程を備える光学素子ブランクの製造方法、
も提供される。
光学素子ブランクとは、目的とする光学素子の形状に近似し、光学素子の形状に研磨しろ(研磨により除去することになる表面層)、必要に応じて研削しろ(研削により除去することになる表面層)を加えた光学素子母材である。光学素子ブランクの表面を研削、研磨することにより、光学素子が仕上げられる。一態様では、上記ガラスを適量熔融して得た熔融ガラスをプレス成形する方法(ダイレクトプレス法と呼ばれる。)により、光学素子ブランクを作製することができる。他の一態様では、上記ガラスを適量熔融して得た熔融ガラスを固化することにより光学素子ブランクを作製することもできる。
また、他の一態様では、プレス成形用ガラス素材を作製し、作製したプレス成形用ガラス素材をプレス成形することにより、光学素子ブランクを作製することができる。
プレス成形用ガラス素材のプレス成形は、加熱して軟化した状態にあるプレス成形用ガラス素材をプレス成形型でプレスする公知の方法により行うことができる。加熱、プレス成形は、ともに大気中で行うことができる。プレス成形後にアニールしてガラス内部の歪を低減することにより、均質な光学素子ブランクを得ることができる。
プレス成形用ガラス素材は、そのままの状態で光学素子ブランク作製のためのプレス成形に供されるプレス成形用ガラスゴブと呼ばれるものに加え、切断、研削、研磨などの機械加工を施してプレス成形用ガラスゴブを経てプレス成形に供されるものも含む。切断方法としては、ガラス板の表面の切断したい部分にスクライビングと呼ばれる方法で溝を形成し、溝が形成された面の裏面から溝の部分に局所的な圧力を加えて、溝の部分でガラス板を割る方法や、切断刃によってガラス板をカットする方法などがある。また、研削、研磨方法としてはバレル研磨などが挙げられる。
プレス成形用ガラス素材は、例えば、熔融ガラスを鋳型に鋳込みガラス板に成形し、このガラス板を複数のガラス片に切断することにより作製することができる。または、適量の熔融ガラスを成形してプレス成形用ガラスゴブを作製することもできる。プレス成形用ガラスゴブを、再加熱、軟化してプレス成形して作製することにより、光学素子ブランクを作製することもできる。ガラスを再加熱、軟化してプレス成形して光学素子ブランクを作製する方法は、ダイレクトプレス法に対してリヒートプレス法と呼ばれる。
[光学素子およびその製造方法]
本発明の他の一態様は、
上述のガラスからなる光学素子
に関する。
上記光学素子は、上述のガラスを用いて作製される。上記光学素子において、ガラス表面には、例えば、反射防止膜等の多層膜等、一層以上のコーティングが形成されていてもよい。
また、本発明の一態様によれば、
上述の光学素子ブランクを研削および/または研磨することにより光学素子を作製する工程を備える光学素子の製造方法、
も提供される。
上記光学素子の製造方法において、研削、研磨は公知の方法を適用すればよく、加工後に光学素子表面を十分洗浄、乾燥させるなどすることにより、内部品質および表面品質の高い光学素子を得ることができる。このようにして、上記ガラスからなる光学素子を得ることができる。光学素子としては、球面レンズ、非球面レンズ、マイクロレンズなどの各種のレンズ、プリズムなどを例示することができる。
また、上記ガラスからなる光学素子は、接合光学素子を構成するレンズとしても好適である。接合光学素子としては、レンズ同士を接合したもの(接合レンズ)、レンズとプリズムを接合したものなどを例示することができる。例えば、接合光学素子は、接合する2つの光学素子の接合面を形状が反転形状となるように精密に加工(例えば、球面研磨加工)し、接合レンズの接着に使用される紫外線硬化型接着剤を塗布し、貼り合わせてからレンズを通して紫外線を照射し接着剤を硬化させることで作製することができる。このように接合光学素子を作製するために、上記ガラスは好ましい。接合する複数個の光学素子を、アッベ数νdが相違する複数種のガラスを用いてそれぞれ作製し、接合することにより、色収差の補正に好適な素子とすることができる。
ガラス組成の定量分析の結果、ガラス成分が酸化物基準で表され、ガラス成分の含有量が質量%表示されることがある。このように酸化物基準で質量%表示された組成は、例えば次のような方法で、カチオン%、アニオン%表示の組成に換算することができる。
ガラス中にN種のガラス成分が含まれる場合、k番目のガラス成分をA(k)と表記する。ただし、kは1以上、N以下の任意の整数である。
A(k)はカチオン、Oは酸素、mとnは化学量論的に定まる整数である。例えば、酸化物基準による表記がBの場合、m=2、n=3となり、SiOの場合、m=1、n=2となる。
次に、A(k)の含有量を、X(k)[質量%]とする。ここで、A(k)の原子量をP(k)、酸素Oの原子番号をQとすると、A(k)の形式的な分子量R(k)は、
R(k)=P(k)×m+Q×n
となる。
更に、
B=100/{Σ[m×X(k)/R(k)]}
とすると、カチオン成分A(k)s+の含有量(カチオン%)は、[X(k)/R(k)]×m×B(カチオン%)となる。ここで、Σは、k=1からNまでのm×X(k)/R(K)の合計を意味する。mはkに応じて変化する。sは2n/mである。
また、分子量R(k)は、小数点以下4桁目を四捨五入し、小数点以下3桁目までの表示とした値を用いて計算すればよい。なお、幾つかのガラス成分、添加剤について、酸化物基準による表記における分子量を、下記の表2に示す。
以下、本発明を実施例に基づき更に説明する。但し本発明は、実施例に示す態様に限定されるものではない。
(実施例1)
下記の表に示す組成を有するガラスが得られるように、原料として酸化物、ホウ酸などの化合物を秤量し、充分、混合してバッチ原料を作製した。
このバッチ原料を白金坩堝中に入れ、1350〜1450℃の温度に坩堝ごと加熱し、2〜3時間かけてガラスを熔融、清澄した。熔融ガラスを攪拌して均質化した後、予熱した成形型に熔融ガラスを鋳込み、ガラス転移温度付近まで放冷してから直ちに、成形型ごとガラスをアニール炉内に入れた。それから、ガラス転移温度付近で約1時間アニールした。アニールした後、アニール炉内で室温まで放冷した。
このようにして作製したガラスを観察したところ、結晶の析出、泡、脈理、原料の熔け残りは認められなかった。このようにして、均質性の高いガラスを作ることができた。
表3に示す各ガラスのアニオン成分については、O2−含有量が100アニオン%である。
得られたガラスのガラス特性を、以下に示す方法で測定した。測定結果を下記の表に示す。
(1)屈折率nd、nF、nc、ng、アッベ数νd
降温速度−30℃/時間で降温して得たガラスについて、日本光学硝子工業会規格の屈折率測定法により、屈折率nd、nF、nc、ngを測定した。屈折率nd、nF、ncの各測定値を用いて、アッベ数νdを算出した。
(2)ガラス転移温度Tg
示差走査熱量分析装置(DSC)を用いて、昇温速度を10℃/分にして測定した。
(3)比重
アルキメデス法により測定した。
(4)部分分散比Pg,F
上記(1)で測定したnF、nc、ngの値から算出した。
(5)液相温度LT
ガラスを所定温度に加熱された炉内に入れて2時間保持し、冷却後、ガラス内部を100倍の光学顕微鏡で観察し、結晶の有無から液相温度LTを決定した。
(6)着色度λ5、λ70
互いに対向する2つの光学研磨された平面を有する厚さ10±0.1mmのガラス試料を用い、分光光度計により、研磨された面に対して垂直方向から強度Iinの光を入射し、ガラス試料を透過した光の強度Ioutを測定し、分光透過率Iout/Iinを算出し、分光透過率が5%になる波長をλ5、分光透過率が70%になる波長をλ70とした。
図1は、実施例1の各ガラスの比重を横軸に取り、各カチオン成分の含有量に表1に記載の係数を掛けた値の合計Aを縦軸に取ったグラフである。
図1に示すように、実施例1の各ガラスについて、各カチオン成分の含有量に表1に記載の係数を掛けた値の合計Aが比重と良好な相関関係を示した。この結果から、合計Aに基づき式(2)式を満たすように組成調整を行うことにより、低比重のガラスが得られることが確認できる。
(実施例2)
実施例1で得られた各種ガラスを使用し、プレス成形用ガラス塊(ガラスゴブ)を作製した。このガラス塊を大気中で加熱、軟化し、プレス成形型でプレス成形し、レンズブランク(光学素子ブランク)を作製した。作製したレンズブランクをプレス成形型から取り出し、アニールし、研磨を含む機械加工を行い、実施例1で作製した各種ガラスからなる球面レンズを作製した。
(実施例3)
実施例1において作製した熔融ガラスを所望量、プレス成形型でプレス成形し、レンズブランク(光学素子ブランク)を作製した。作製したレンズブランクをプレス成形型から取り出し、アニールし、研磨を含む機械加工を行い、実施例1で作製した各種ガラスからなる球面レンズを作製した。
(実施例4)
実施例1において作製した熔融ガラスを固化して作製したガラス塊(光学素子ブランク)アニールし、研磨を含む機械加工を行い、実施例1で作製した各種ガラスからなる球面レンズを作製した。
(実施例5)
実施例2〜4において作製した球面レンズを、他種のガラスからなる球面レンズと貼り合せ、接合レンズを作製した。実施例2〜4において作製した球面レンズの接合面は凸面、他種の光学ガラスからなる球面レンズの接合面は凹面であった。上記2つの接合面は、互いに曲率半径の絶対値が等しくなるように作製した。接合面に光学素子接合用の紫外線硬化型接着剤を塗布し、2つのレンズを接合面同士で貼り合せた。その後、実施例2〜4において作製した球面レンズを通して、接合面に塗布した接着剤に紫外線を照射し、接着剤を固化させた。
上記のようにして接合レンズを作製した。
最後に、前述の各態様を総括する。
一態様によれば、アッベ数νdが35.5以上39.0未満であり、屈折率ndがアッベ数νdに対して上記式(1)を満たし、カチオン%表示のガラス組成において、B3+とSi4+との合計含有量が35.0〜53.0%の範囲であり、La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量が30.0〜50.0%の範囲であり、Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量が3.0〜20.0%の範囲であり、Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するLa3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量のカチオン比{(La3++Gd3++Y3++Yb3+)/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}が3.56〜5.20の範囲であり、B3+とSi4+との合計含有量に対するZn2+含有量のカチオン比{Zn2+/(B3++Si4+)}が0.001〜0.200の範囲であり、B3+含有量に対するLa3+含有量のカチオン比(B3+/La3+)が1.165以下であり、La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量に対するGd3+含有量のカチオン比{Gd3+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}が0.10以下であり、La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量に対するY3+含有量のカチオン比{Y3+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}が0.03〜0.50の範囲であり、Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するTi4+含有量のカチオン比{Ti4+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}が0.20〜0.70の範囲であり、Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するTa5+含有量のカチオン比{Ta5+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}が0.10以下であり、Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するW6+含有量のカチオン比{W6+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}が0.20以下であり、La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量に対するB3+とSi4+との合計含有量のカチオン比{(B3++Si4+)/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}が1.40以下であり、Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するB3+とSi4+との合計含有量のカチオン比{(B3++Si4+)/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}が3.50〜5.70の範囲であり、かつ表1に記載のカチオン成分について、各カチオン成分の含有量に表1に記載の係数を掛けた値の合計Aが屈折率ndに対して上記式(2)を満たす酸化物ガラスであるガラスが提供される。
上記ガラスは、アッベ数νdが35.5以上39.0未満であり、かつ式(1)を満たすガラスであり、光学系において有用な高屈折率低分散ガラスである。更に、上記ガラスは、光学素子の軽量化に寄与することができる。
一態様では、上記ガラスのZr4+含有量は、2.0〜10.0カチオン%の範囲であることが好ましい。
一態様では、上記ガラスのB3+とSi4+との合計含有量に対するB3+含有量のカチオン比{B3+/(B3++Si4+)}は、0.40〜0.95の範囲であることが好ましい。
一態様では、上記ガラスのB3+、La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Si4+、Zn2+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、Ta5+、W6+、Al3+、P5+、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびBi3+の合計含有量は、90.0カチオン%以上であることが好ましい。
以上説明したガラスから、プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子を作製することができる。即ち、他の態様によれば、上記ガラスからなるプレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子が提供される。
また、他の態様によれば、上記ガラスをプレス成形用ガラス素材に成形する工程を備えるプレス成形用ガラス素材の製造方法も提供される。
さらに他の態様によれば、上記プレス成形用ガラス素材を、プレス成形型を用いてプレス成形することにより光学素子ブランクを作製する工程を備える光学素子ブランクの製造方法も提供される。
さらに他の態様によれば、上記ガラスを光学素子ブランクに成形する工程を備える光学素子ブランクの製造方法も提供される。
さらに他の態様によれば、上記光学素子ブランクを研削および/または研磨することにより光学素子を作製する工程を備える光学素子の製造方法も提供される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、上述の例示されたガラス組成に対し、明細書に記載の組成調整を行うことにより、本発明の一態様にかかるガラスを得ることができる。
また、明細書に例示または好ましい範囲として記載した事項の2つ以上を任意に組み合わせることは、もちろん可能である。
本発明は、各種光学素子の製造分野において有用である。

Claims (7)

  1. アッベ数νdが35.5以上39.0未満であり、屈折率ndがアッベ数νdに対して式(1):
    nd≧−1.0000×10−2×νd+2.2726 ・・・(1)
    を満たし、
    カチオン%表示のガラス組成において、
    3+とSi4+との合計含有量が35.0〜53.0%の範囲であり、
    La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量が30.0〜50.0%の範囲であり、
    Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量が3.0〜20.0%の範囲であり、
    Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するLa3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量のカチオン比{(La3++Gd3++Y3++Yb3+)/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}が3.56〜5.20の範囲であり、
    3+とSi4+との合計含有量に対するZn2+含有量のカチオン比{Zn2+/(B3++Si4+)}が0.001〜0.200の範囲であり、
    3+含有量に対するLa3+含有量のカチオン比(B3+/La3+)が1.165以下であり、
    La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量に対するGd3+含有量のカチオン比{Gd3+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}が0.10以下であり、
    La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量に対するY3+含有量のカチオン比{Y3+/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}が0.03〜0.50の範囲であり、
    Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するTi4+含有量のカチオン比{Ti4+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}が0.20〜0.70の範囲であり、
    Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するTa5+含有量のカチオン比{Ta5+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}が0.10以下であり、
    Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するW6+含有量のカチオン比{W6+/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}が0.20以下であり、
    La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+の合計含有量に対するB3+とSi4+との合計含有量のカチオン比{(B3++Si4+)/(La3++Gd3++Y3++Yb3+)}が1.40以下であり、
    Ti4+、Nb5+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するB3+とSi4+との合計含有量のカチオン比{(B3++Si4+)/(Ti4++Nb5++Ta5++W6+)}が3.50〜5.70の範囲であり、かつ
    表1に記載のカチオン成分について、各カチオン成分の含有量に表1に記載の係数を掛けた値の合計Aが屈折率ndに対して式(2):
    A≦137.778×nd−175.033 ・・・(2)
    を満たす酸化物ガラスであるガラス。
  2. Zr4+含有量が2.0〜10.0カチオン%の範囲である、請求項1に記載のガラス。
  3. 3+とSi4+との合計含有量に対するB3+含有量のカチオン比{B3+/(B3++Si4+)}が0.40〜0.95の範囲である、請求項1または2に記載のガラス。
  4. 3+、La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+、Si4+、Zn2+、Zr4+、Ti4+、Nb5+、Ta5+、W6+、Al3+、P5+、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびBi3+の合計含有量が90.0カチオン%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラスからなるプレス成形用ガラス素材。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラスからなる光学素子ブランク。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラスからなる光学素子。
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