JP6734212B2 - X線断層撮影装置およびx線断層撮影方法 - Google Patents

X線断層撮影装置およびx線断層撮影方法 Download PDF

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Description

この発明は、X線断層撮影を行って、X線断層画像を取得する技術に関する。
医科用X線診断の分野では、人体の任意の部位を断層撮影するX線CT(コンピュータ断層撮影法)撮影装置が広く知られている。このX線CT撮影装置では、対向するように配されたX線発生器およびX線検出器を被写体の周囲において回転させることで、画像情報(X線投影画像又は透過画像)が取得される。そして、得られた画像情報を画像処理することによって、頭部、胴部等の任意の部位を切断した断層面を示すX線断層画像を生成する。
特許文献1には、被写体の内部に存在する高X線吸収部位情報に基づく制御モデルにより、被写体内部に存在する高X線吸収部位の影響を緩和して、CT撮影する技術を開示している。具体的には、X線コーンビームが高X線吸収部位(例えば、頸椎)にさしかかるタイミングにおいて、X線出力の上昇および旋回速度の低下のうち少なくとも一方を実行する。特許文献1では、このように高X線吸収部位の影響を緩和することによって、鮮明なX線断層画像を取得している。
特開2010−075682号公報
特許文献1の技術の場合、増大させた分の線量は高X線吸収部位において吸収される。このため、目的とする撮影領域のX線吸収に関する情報量については、高X線吸収部位の影響を緩和した場合と、高X線吸収部位が無い場合とでは、大略的に変わらない。すると、高X線吸収部位の影響を緩和して得たX線断層画像の解像度は、高X線吸収部位が無い場合とほとんど変わらない上に、線量増加の分だけX線被曝量が増大することとなる。
一方で、高解像度のX線断層画像を生成するためには、撮影領域に照射される線量を通常よりも増大させるとよい。しかしながら、被写体のX線被曝量が増大するという問題があった。
そこで、本発明は、X線被曝量の増大を抑制しつつ、高解像度のX線断層画像を取得する技術を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、第1態様は、X線断層撮影装置であって、X線ビームを出射するX線発生器と、前記X線発生器から出射された前記X線ビームを検出するX線検出器と、前記X線発生器および前記X線検出器を支持する支持部と、関心断層の位置を設定する関心断層設定部と、前記X線発生器および前記X線検出器を、前記関心断層に対して少なくとも旋回中心軸周りに相対的に旋回させる旋回駆動部と、前記X線検出器が出力する出力信号に基づいて生成された投影画像を画像処理することによって、前記関心断層を示すX線断層画像を生成する画像処理部と、前記旋回駆動部を制御するとともに、単位時間当たりに前記関心断層に照射されるX線の線量である単位時間線量を変更する制御を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記X線ビームの中心軸が前記関心断層に直交していない期間のうち少なくとも一部のときの前記単位時間線量を、直交するときの前記単位時間線量よりも相対的に小さくするように、前記旋回駆動部の制御および前記単位時間線量の変更制御を行う。
第2態様は、第1態様のX線断層撮影装置であって、前記支持部は、一端側に前記X線発生器を支持するとともに、他端側に前記X線検出器を支持する旋回アーム、を含み、前記旋回駆動部は、前記旋回アームにおける前記X線発生器および前記X線検出器の間の位置に接続されたシャフトを介して前記旋回アームを旋回させる。
第3態様は、第1態様又は第2態様のX線断層撮影装置であって、前記X線ビームが複数の方向から照射されることによって複数の投影画像が取得される撮影領域の指定を受け付ける撮影領域指定受付部、をさらに備える。
第4態様は、第3態様に係るX線断層撮影装置であって、前記関心断層設定部は、前記撮影領域指定受付部が受け付けた前記撮影領域に応じて前記関心断層の位置を設定する。
第5態様は、第4態様のX線断層撮影装置であって、前記撮影領域指定受付部は、歯列弓の一部を含むように前記撮影領域の指定を受付け、前記関心断層設定部は、前記撮影領域内に含まれる前記歯列弓の一部に沿う断層を前記関心断層に設定する。
第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか1つのX線断層撮影装置であって、前記制御部は、前記X線発生器から出射される前記X線ビームの強度を増減することによって、前記単位時間線量を増減させ、前記画像処理部は、所定のしきい値よりも低い強度の前記X線ビームの照射によって得られた前記投影画像に対して平滑化処理を行ってから、前記X線断層画像を生成する。
第7態様は、第1態様から第6態様のいずれか1つのX線断層撮影装置であって、前記関心断層の断層厚の指定を受け付ける断層厚指定受付部、をさらに備え、前記制御部は、指定された前記断層厚に応じて、前記単位時間線量を増大および減少させるときの前記X線ビームの入射角度を決定する。
第8態様は、第3態様のX線断層撮影装置であって、前記制御部は、X線吸収率が他の部位よりも高い高X線吸収部位の位置を示す位置情報に基づき、前記X線ビームの経路上にて、前記高X線吸収部位が存在する場合の前記単位時間線量を、前記高X線吸収部位が存在しない場合の前記単位時間線量よりも大きくする。
第9態様は、第1態様から第8態様のいずれか1つのX線断層撮影装置であって、前記X線検出器を、前記旋回中心軸に垂直な方向に、前記関心断層に対して相対的に移動させる移動駆動部、をさらに備え、前記制御部は、前記X線ビームの前記中心軸が前記関心断層に直交するときに、直交していない期間のうち少なくとも一部のときよりも、前記X線検出器を前記関心断層に接近、又は、前記X線発生器を前記関心断層から離隔するように、前記移動駆動部を制御する。
第10態様は、X線断層撮影方法であって、(a)関心断層の位置を設定する工程と、(b)X線発生器およびX線検出器の間に前記関心断層を配した状態で、前記X線発生器および前記X線検出器を、前記関心断層に対して旋回中心軸周りに相対的に旋回させる工程と、(c)前記(b)工程にて、前記X線発生器から出射されるX線ビームを前記X線検出器で検出する工程と、(d)前記(b)工程にて、単位時間あたりに前記関心断層に照射されるX線の線量である単位時間線量を変更する工程と、(e)前記(c)工程にて前記X線検出器が出力する出力信号に基づいて生成される複数の投影画像を画像処理して、前記関心断層を示すX線断層画像を生成する工程とを含み、前記(d)工程は、前記X線ビームの中心軸が前記関心断層に直交していない期間のうち少なくとも一部のときの前記単位時間線量を、直交するときの前記単位時間線量よりも相対的に小さくするように、前記単位時間線量を変更する工程である。
第11態様は、X線断層撮影装置であって、X線ビームを出射するX線発生器と、前記X線発生器から出射された前記X線ビームを検出するX線検出器と、前記X線発生器および前記X線検出器を支持する支持部と、関心断層の位置を設定する関心断層設定部と、前記X線発生器および前記X線検出器を、前記関心断層に対して少なくとも旋回中心軸周りに相対的に旋回させる旋回駆動部と、前記X線検出器が出力する出力信号に基づいて生成された投影画像を画像処理することによって、前記関心断層を示すX線断層画像を生成する画像処理部と、前記旋回駆動部を制御するとともに、単位時間当たりに前記関心断層に照射されるX線の線量である単位時間線量を増減させる制御を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記X線ビームが前記関心断層に正対入射するときの前記単位時間線量を、前記X線ビームが前記関心断層に正対入射していない期間のうち少なくとも一部のときの前記単位時間線量よりも相対的に大きくするように、前記旋回駆動部の制御および前記単位時間線量の変更制御を行う。
第12態様は、X線断層撮影装置であって、X線ビームを出射するX線発生器と、前記X線発生器から出射された前記X線ビームを検出するX線検出器と、前記X線発生器および前記X線検出器を支持する支持部と、関心断層の位置を設定する関心断層設定部と、前記X線発生器および前記X線検出器を、前記関心断層に対して少なくとも旋回中心軸周りに相対的に旋回させる旋回駆動部と、前記X線検出器が出力する出力信号に基づいて生成された投影画像を画像処理することによって、前記関心断層を示すX線断層画像を生成する画像処理部と、前記旋回駆動部を制御するとともに、単位時間当たりに前記関心断層に照射されるX線の線量である単位時間線量を変更する制御を行う制御部と、を備え、前記X線ビームの中心軸が前記関心断層に85°から95°の範囲の入射角度となるときを、前記X線発生器が前記関心断層に正対する状態とすると、前記制御部は、前記X線発生器が前記関心断層に正対していない期間のうち少なくとも一部のときの前記単位時間線量を、正対するときの前記単位時間線量よりも相対的に小さくするように、前記旋回駆動部の制御および前記単位時間線量の変更制御を行う。
第1態様のX線断層撮影装置によると、関心断層に対するX線ビームの中心軸が直交するときに、相対的に高い単位時間線量のX線を照射することによって、高解像度のX線投影画像を取得できる。また、X線ビームの中心軸が関心断層に直交していない期間において、単位時間線量を低下させることによって、被写体のX線被曝量を低減できる。したがって、被写体のX線被曝量を抑えつつ、高解像度である関心断層のX線断層画像を生成できる。
第2態様のX線断層撮影装置によると、シャフトを介して旋回アームを旋回させることによって、X線発生器およびX線検出器を一体的に旋回させることができる。
第3態様のX線断層撮影装置によると、被写体において、X線を照射する撮影領域をオペレータが指定できる。
第4態様のX線断層撮影装置によると、設定された撮影領域に応じて関心断層が自動で設定されるため、オペレータが関心断層を設定する作業を省略できる。
第5態様のX線断層撮影装置によると、歯列弓を含むように撮影領域が設定されると、該歯列弓に沿って関心断層が設定される。これによって、歯科診断に適した関心断層のX線断層画像を取得できる。
第6態様のX線断層撮影装置によると、低線量で得られた投影画像を平滑化処理することによって、低線量によって生じやすくなるノイズを低減できる。これによって、好適なX線断層画像を生成できる。
第7態様のX線断層撮影装置によると、指定された断層厚に応じて、単位時間線量を変更するときの好適な入射角度が決定される。これによって、指定された断層厚の関心断層を示すX線断層画像を好適に取得できる。
第8態様のX線断層撮影装置によると、X線ビームの経路上に高X線吸収部位が存在するときに単位時間線量を増大させることによって、高X線吸収部位によって吸収されるX線量を補完できる。したがって、高X線吸収部位によってX線投影画像の解像度が低下することを抑制できる。
第9態様のX線断層撮影装置によると、関心断層に対してX線ビームの中心軸が直交するときに、X線検出器を関心断層に接近又はX線発生器を関心断層から離隔することによって、X線検出器に投影されるX線投影画像の拡大率を低下させることができる。これによって、X線ビームの中心軸が関心断層に直交するときに得られるX線投影画像上において、X線の焦点サイズの影響によって生じるぼけを低減できる。これによって、投影画像の解像度を向上することができる。また、X線発生器およびX線検出器が相対的に旋回させる際の一部の投影角度に限定してX線検出器を関心断層に接近させるため、X線検出器が被写体に接触したり、あるいは、X線発生器が他の部材に衝突したりすることを抑制できる。
第10態様のX線断層撮影方法によると、関心断層に対するX線ビームの中心軸が直交するときに、相対的に高い単位時間線量のX線を照射することによって、高解像度のX線投影画像を取得できる。また、X線ビームの中心軸が関心断層に直交していない期間において、単位時間線量を低下させることによって、被写体のX線被曝量を低減できる。したがって、被写体のX線被曝量を抑えつつ、高解像度である関心断層のX線断層画像を生成できる。
第11態様のX線断層撮影装置によると、関心断層に対してX線ビームが正対入射するときに、正対入射していないときよりも相対的に高い単位時間線量のX線を照射することによって、高解像度のX線投影画像を取得できる。また、X線ビームの中心軸が関心断層に直交していない期間において、単位時間線量を低下させることによって、被写体のX線被曝量を低減できる。したがって、被写体のX線被曝量を抑えつつ、高解像度である関心断層のX線断層画像を生成できる。
第12態様のX線断層撮影装置によると、関心断層に対してX線ビームが略直角に入射するときに、略直角に入射していないときよりも相対的に高い単位時間線量のX線を照射することによって、良好な撮影条件でより高画質で高解像度のX線投影画像を取得できる。また、X線ビームの中心軸が関心断層に略直角に入射していない期間において、単位時間線量を低下させることによって、被写体のX線被曝量を低減できる。したがって、被写体のX線被曝量を抑えつつ、より高画質で高解像度である関心断層のX線断層画像を生成できる。
実施形態のX線断層撮影装置10の構成を示す図である。 実施形態の撮影部20を概略的に示す側面図である。 関心断層LOIを概念的に示す図である。 関心断層LOIの設定方法を示す図である。 関心断層LOIの設定方法を示す図である。 関心断層LOIの設定方法を示す図である。 撮影領域ROIおよび関心断層LOIの設定方法を示す図である。 関心断層LOIの設定方法を示す図である。 X線断層撮影の一例を示す図である。 関心断層LOIに入射する中心軸X線CBX1を示す図である。 図9に示すCT撮影における、投影角度に応じたX線強度のグラフG10を示す図である。 図9に示すCT撮影における、投影角度に応じたX線発生器42の旋回速度のグラフG12を示す図である。 X線断層撮影の一例を示す図である。 図13に示すCT撮影における、投影角度に応じたX線強度のグラフG10を示す図である。 図13に示すCT撮影における、投影角度に応じた旋回速度のグラフG12を示す図である。 X線断層撮影の一例を示す図である。 図16に示すCT撮影における、X線強度のグラフG14を示す図である。 X線投影画像における拡大率と解像度の関係について説明するための図である。 X線断層撮影の一例を示す図である。 投影角度に応じた投影拡大率の変動を説明するための図である。 X線断層撮影の一例を示す図である。 X線断層撮影の一例を示す図である。 図22に示すCT撮影における、投影角度に応じたX線強度のグラフG10を示す図である。 図22に示すCT撮影における、投影角度に応じた旋回速度のグラフG12を示す図である。 X線断層撮影の一例を示す図である。 X線断層撮影装置10の動作を示す流れ図である。 関心断層LOIに対してX線を照射する様子を示す図である。 関心断層LOIについてX線断層撮影するときのX線強度の変化を示す図である。 投影角度θで投影されたX線投影画像の周波数空間分布を示す図である。 180°分のX線投影データの周波数空間分布を概念的に示す図である。 図30に示す投影データの周波数空間分布にガウシアンフィルターHを掛けたものを示す図である。 低線量のX線投影画像について平滑化処理を行った場合の、全X線投影データの周波数空間分布を概念的に示す図である。 変形例のX線断層撮影装置10の構成を示す図である。 X線検出器52のみを移動させることによって、投影拡大率を低下させる様子を示す図である。 X線発生器42のみを移動させることによって、投影拡大率を低下させる様子を示す図である。 変形例の旋回アーム62aを示す概略側面図である。 変形例に係る旋回アーム62bを示す概略側面図である。 X線断層撮影の一例を示す図である。 図38に示すCT撮影における、投影角度に応じたX線強度のグラフG10を示す図である。 X線断層撮影の一例を示す図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
<1. 実施形態>
図1は、実施形態のX線断層撮影装置10の構成を示す図である。図2は、実施形態の撮影部20を概略的に示す側面図である。図3は、関心断層LOIを概念的に示す図である。
図1においては、右手系のXYZ(X軸、Y軸、Z軸)直交座標系および右手系のxyz(x軸、y軸、z軸)直交座標系を定義している。支柱部70や支持部60などの支持関係については後出にて詳述されるのでここでは詳述しないが、座標の各軸方向の説明のため、必要最小限の範囲で言及する。
支柱部70は、撮影部20を設置する地面上に置かれるベース7B上に立設され、上部フレーム64は支柱部70に接する部分に基端部があり、基端部から支柱部70の長手方向に交差する一方向に延びている。上部フレーム64がシャフト66を介して旋回部67を枢支している。シャフト66中に、機械的に旋回アーム62が旋回する軸となる旋回軸66Aが通っている。旋回軸66Aの軸方向がZ軸方向である。
図1に示すX線断層撮影装置10は、立位型の撮影装置である。Z軸方向は、鉛直方向であって、撮影部20に位置付される被写体M1の体軸方向と一致している。被写体保持部72のアーム部726は、支柱部70に接する部分に基端部があり、基端部から上部フレーム64と同じ方向に延びている。被写体M1の頭部MHは、アーム部726の先端部側に設けたチンレスト722などからなる頭部支持部72Hによって支持される。支柱部70はベース7Bに対してZ軸方向に延びる。ベース7Bは地面上において広がりを有しており、少なくとも被写体M1の足元まで広がっている。
本願では、頭部支持部72Hに頭部MHが、頭部支持部72Hによって、定められた正規の場所に正規の方向を向いて位置付支持されているとして、各方向を定義する。頭部MHの前後の方向がY軸方向であり、頭部MHの左右の方向がX軸方向である。Z軸方向をZ方向、Y軸方向をY方向、X軸方向をX方向と呼ぶこともある。頭部MHの正面すなわち顔を正面視する方向から見た撮影部20の面を撮影部20の正面とする。
図2は撮影部20を正面視した図である。この正面視において、上部フレーム64およびアーム部726は支柱部70からX方向(次に述べる−X方向)に延びている。上部フレーム64、アーム部726は必ずしもX方向のみに延びる必要はなく、例えば一旦Y方向(次に述べる−Y方向)に延びて、途中でX方向に延びていてもよい。
ここで、各軸方向の+側と−側について説明をする。頭部MHからベース7Bに向かう方向すなわち下側を−Z側とし、逆にベース7Bから遠ざかっていく方向すなわち上側を+Z側とする。シャフト66において、上部フレーム64で支持される側が+Z側であり、旋回アーム62を支持する側が−Z側である。頭部MHの前の方向を+Y側とし、後の方向が−Y側とする。頭部MHの右の方向を+X側とし、左の方向が−X側とする。図1に示す頭部MHの斜視図である頭部斜視図MHPIに、各軸方向と、各+、−を図示する。
本願では、視線方向を以下のように定義する。各軸方向で、数値の小さい方から大きい方に向かって見る方向を+方向視とし、数値の大きい方から小さい方に向かって見る方向を−方向視とする。具体的に、頭部斜視図MHPIに示す+ZVが+Z方向視であり、−ZVが−Z方向視であり、+YVが+Y方向視であり、−YVが−Y方向視であり、+XVが+X方向視であり、−XVが−X方向視である。
xyz直交座標系は、撮影部20において固定された部分(例えば、支柱部70)に対して回転する旋回アーム62において定義される直交座標系である。ここでは、シャフト66の軸方向をz軸方向としており、z軸方向はXYZ直交座標系におけるZ軸方向に一致する。また、X線発生器42とX線検出器52とが対向する方向をy軸方向とし、y軸方向およびz軸方向に直交する方向をx軸方向とする。旋回アーム62がシャフト66を回転軸にして回転することによって、xyz直交座標系がXYZ直交座標系に対してZ軸(=z軸)周りに回転する。本願では、z軸方向をz方向、y軸方向をy方向、x軸方向をx方向と呼ぶこともある。
y軸方向において、X線発生器42から見てX線検出器52側を+y側とする。また、x軸方向において、+y側に向かって右側を+x側とする。さらに、z軸方向において鉛直方向上側を+z側とする。XYZ直交座標系と同様、各軸方向で、数値の小さい方から大きい方に向かって見る方向を+方向視とし、数値の大きい方から小さい方に向かって見る方向を−方向視とする。
X線断層撮影装置10は、撮影部20および情報処理部30を備える。
<撮影部20>
撮影部20は、被写体M1についてX線断層撮影を行うことによって、X線投影データを収集する装置である。撮影部20は、X線発生部40、X線検出部50、支持部60、支柱部70および撮影制御部80を備える。
<X線発生部40>
X線発生部40は、X線発生器42およびX線規制部44を備える。
X線発生器42は、X線を発生させるX線源であるX線管を備える。X線発生器42から出射されるX線ビームの強度(出力強度)は、X線管に供給される電圧及び/又は電流を変更することによって制御可能とされる。X線発生器42の動作は、撮影制御部80のX線発生制御部810によって制御される。
X線規制部44は、X線発生器42から出射されるX線ビームの広がりを規制し、撮影目的に応じた形状のX線ビームを形成する。つまり、X線規制部44は、被写体M1(被験者)に対するX線の照射範囲を制御する。X線規制部44の動作は、X線発生制御部810によって制御される。
X線規制部44は、例えば、X線発生器42に近接する位置に配されたX線遮蔽部材、および、そのX線遮蔽部材を移動させる移動機構を備える(不図示)。X線遮蔽部材は、例えば、開口形状が異なる複数の開口を設けた1つの板状部材、あるいは、互いに接近又は離隔する方向に移動することで所要の大きさ又は形状の開口を形成する2つ以上の板状部材などで構成される。移動機構は、例えば、ボールネジ機構あるいはリニアモータ機構で構成される。
X線発生器42およびX線規制部44は、筐体46の内部に収容されている。筐体46は、支持部60(ここでは、旋回アーム62)に支持されている。
<X線検出部50>
X線検出部50は、X線検出器52を備える。
X線検出器52は、X線発生器42から出射されたX線ビームBX1を検出する。X線検出器52は、平面状に広がる検出面を有するフラットパネルディテクタ(FPD)あるいはX線蛍光増倍管(I.I.:Image Intensifier)などを備える。ここでは、X線検出器52の検出面を平面状に形成されているものとするが、曲面状に形成されていてもよい。
X線検出器52の検出面に配された複数の検出素子は、入射したX線の強度を電気信号に変換する。そして、その電気信号は、出力信号として撮影制御部80又は情報処理部30に入力され、その信号に基づいてX線投影画像が生成される。
X線検出器52は、筐体54のX線発生器42を向く側部に取り付けられており、その検出面に対してX線発生器42からのX線ビームが照射される。X線検出器52を支持する筐体54は、支持部60(ここでは、旋回アーム62)に支持されている。
<支持部60>
支持部60は、旋回アーム62および上部フレーム64を備える。旋回アーム62は、シャフト66を介して上部フレーム64につり下げ支持されている。旋回アーム62の一端部には筐体46が取り付けられており、旋回アーム62の他端部には筐体54が取り付けられている。すなわち、旋回アーム62は、一端側にて筐体46を介してX線発生器42を支持し、かつ、他端側にて筐体54を介してX線検出器52を支持する。
筐体46,54および旋回アーム62の内部は、一連の空洞を形成している。この空洞内には、X線発生部40およびX線検出部50の各要素を動作させるための配線(信号配線、電源配線、制御配線など)が配設される。筐体46,54および旋回アーム62の適宜の位置に、配線や制御基盤を取り付けるための作業用の開口、あるいは、放熱するための開口を設けてもよい。
図2に示すように、上部フレーム64は、支柱部70に取り付けられている。上部フレーム64には、Z軸方向に延びるシャフト66が取り付けられており、そのシャフト66の端部は、旋回アーム62における、X線発生部40およびX線検出部50を支持する部分間の中間位置に接続されている。このため、旋回アーム62は、シャフト66を介して、上部フレーム64につり下げ状態で支持されている。
上部フレーム64の内部には、旋回駆動部642が設けられている。旋回駆動部642は、シャフト66を回転させることによって、シャフト66を回転中心にして旋回アーム62を旋回させる。旋回駆動部642は、図示を省略するが、例えば、シャフト66に掛け渡された無端ベルトと、その無端ベルトを回転させるモータなどを備える。なお、旋回駆動部642を旋回アーム62の内部に設けてもよい。この場合、回転しないシャフト66に対して、旋回アーム62が相対的に回転する。旋回駆動部642の動作は、旋回制御部によって制御される。
シャフト66の内部には、機械的に旋回アーム62が旋回する軸となる旋回軸66Aが設計上設定されている。旋回アーム62と筐体46、筐体54は旋回部67を形成する。上部フレーム64はシャフト66を介して旋回部67を支持する旋回支持部64Aである。旋回アーム62がシャフト66の軸周りに旋回することにより、旋回部67は旋回軸66Aの周りに旋回する。
旋回アーム62が一端側にて筐体46を支持し、他端側にて筐体54を支持する。これによって、旋回アーム62が、旋回軸66Aを間に挟んだ一部でX線発生器42を支持し、他の一部でX線検出器52を支持する。すなわち、支持部60がX線発生器42とX線検出器52とを支持する。
上部フレーム64の内部には、シャフト66をX軸方向およびY軸方向に移動させるXY方向移動駆動部644が備えられている。XY方向移動駆動部644は、例えば、XYステージによって構成されている。
XY方向移動駆動部644は、シャフト66とともに、旋回駆動部642をX軸方向およびY軸方向に移動させる。このため、シャフト66は、XY平面内にて移動可能であるとともに、XY平面内の移動後の特定位置にて、Z軸方向の軸周りに回転可能である。
XY方向移動駆動部644を旋回アーム62の内部に設けてもよい。この場合、XY平面内の一定位置に固定されたシャフト66に対して、旋回アーム62が相対的にX軸方向およびY軸方向に移動する。
旋回駆動部642およびXY方向移動駆動部644の双方を旋回アーム62の内部に設けてもよい。この場合、XY平面内の一定位置に固定され、かつ、回転しないシャフト66に対して、旋回アーム62が相対的にX軸方向およびY軸方向に移動するとともに、相対的に回転する。
上部フレーム64と支柱部70とには、上部フレーム64をZ軸方向に昇降させるZ方向駆動部646が設けられている。図2に示すように、Z方向駆動部646は、モータ6462、ボールネジ6464、ナット部6466および複数(ここでは4つ)のローラ部6468を備える。
モータ6462はボールネジ6464を回転させる。ボールネジ6464は、Z軸方向に延びている。ナット部6466は、ボールネジ6464に螺合している。
ローラ部6468各々は、支柱部70に設けられた一対のレール部702に係合しており、一対のレール部702の延びる方向(Z軸方向)にのみ移動するように移動方向が規制されている。
図2に示す例では、モータ6462は、支柱部70に取り付けられており、ナット部6466は上部フレーム64に固定されている。ローラ部6468各々は上部フレーム64に取り付けられている。
モータ6462がボールネジ6464を時計回り又は反時計回りに回転させることによって、ナット部6466がボールネジ6464に沿って上方向又は下方向に移動する。このとき、ローラ部6468各々が、一対のレール部702上を移動する。これによって、上部フレーム64がZ軸方向に昇降する。この上部フレーム64の昇降移動に伴って、旋回アーム62に支持されたX線発生部40およびX線検出部50がZ軸方向に移動する。
<支柱部70>
支柱部70は、Z軸方向に延びる部材であって、上部フレーム64および被写体保持部72を支持する。
<被写体保持部72>
被写体保持部72は、被写体M1を保持する部材である。本例では、被写体保持部72は、チンレスト722、下部フレーム724、アーム部726および昇降駆動部728を備える。
チンレスト722は、被写体M1の顎を支持することによって、被写体M1の頭部を支持する。被写体保持部72は、アーム部726を介して下部フレーム724に接続されている。なお、被写体保持部72が、イヤーロッドなどの被写体M1の頭部を両側から固定する部材(イヤーロッドや被写体M1頭部の左右を挟み込むアームなど)を備えていてもよい。チンレスト722やイヤーロッドなどから成り、被写体M1の頭部MHを固定する機械的要素は、頭部支持部72Hとして、被写体保持部72またはその一部を構成する。
下部フレーム724は、支柱部70に取り付けられており、Z軸方向に移動する。下部フレーム724がZ軸方向に移動することによって、アーム部726に固定されたチンレスト722がZ軸方向に移動する。
アーム部726は、下部フレーム724とチンレスト722を接続する部材である。図2に示す例では、アーム部726は、下部フレーム724からXY平面に平行に延びる部分と、Z軸に延びてチンレスト722に接続する部分とで構成されている。
昇降駆動部728は、モータ7282、ボールネジ7284、ナット部7286および複数(ここでは4つ)のローラ部7288を備える。
モータ7282は、ボールネジ7284を回転させる。ボールネジ7284は、Z軸方向に延びている。ナット部7286は、ボールネジ7284に螺合している。
ローラ部7288各々は、一対のレール部702に係合しており、一対のレール部702の延びる方向(Z軸方向)にのみ移動するように移動方向が規制されている。図2に示す例では、モータ7282およびボールネジ7284は、下部フレーム724に固定されている。ナット部7286は、上部フレーム64に固定されている。図示の例では、ボールネジ7284は下部フレーム724の頂部から+Z方向に延出し、上部フレーム64の底部近傍に固定されたナット部7286と螺合するようになっている。ローラ部7288各々は、下部フレーム724に取り付けられている。
モータ7282がボールネジ7284を時計回り又は反時計回りに回転させることによって、上部フレーム64に固定されたナット部7286に対して、下部フレーム724が上方向または下方向に移動する。このとき、ローラ部7288各々が一対のレール部702に沿って移動することによって、下部フレーム724がZ軸方向に移動する。
下部フレーム724がZ軸方向に移動することによって、チンレスト722がZ軸に沿って移動する。頭部MHの高さを一定のところに維持したまま、相対的移動により、頭部MHに対して支持部60を昇降させて、X線照射する箇所をZ軸方向に変更し得る。具体的には、Z方向駆動部646によって被写体M1の頭部MHの位置に合わせて支持部60を被写体保持部72と共に昇降させて頭部MHを頭部支持部72Hに固定し、その後、Z方向駆動部646によって支持部60を上昇させると同時に支持部60に対して同じ駆動量で被写体保持部72を昇降駆動部728によって下降させるとよい。あるいは、Z方向駆動部646によって支持部60を下降させると同時に支持部60に対して同じ駆動量で被写体保持部72を昇降駆動部728によって上昇させるとよい。
チンレスト722のZ軸方向の位置を変更することによって、被写体M1の頭部が支持される位置を変更してもよい。例えば、直立姿勢の被写体M1の頭部の位置に合わせて、チンレスト722の位置が設定される。
<撮影制御部80>
撮影制御部80は、撮影部20の各要素の動作を制御することによって、撮影部20にX線断層撮影を実行させる。撮影制御部80のハードウェアとしての構成は、一般的なコンピュータ又はワークステーションと同様である。すなわち、撮影制御部80は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM、及び、制御用アプリケーションまたはデータなどを記憶する記憶部を備える。
撮影制御部80は、旋回制御部802、XY方向移動制御部804、Z方向移動制御部806、X線検出制御部808およびX線発生制御部810を備える。これらの各制御部は、CPU(汎用回路)が制御用アプリケーションに従って動作することによって実現される機能である。なお、これらの機能のうち一部又は全部を、専用の回路などで構成することによって、ハードウェア的に実現してもよい。CPUの回路のうち、各種制御用アプリケーションによって各種制御に用いられる部分をそれぞれ制御部802、804、806、808と考え、これらを総合したものを撮影制御部80と考えてもよい。
旋回制御部802は、旋回駆動部642の動作を制御することによって、旋回アーム62の旋回を制御する。具体的には、旋回制御部802は、旋回アーム62に支持されたX線発生器42をシャフト66周りに回転させることによって、被写体M1に対するX線ビームBX1の照射角度を変更する。
XY方向移動制御部804は、XY方向移動駆動部644の動作を制御することによって、シャフト66のX軸方向、Y軸方向への移動の結果として旋回アーム62のX軸方向およびY軸方向の移動を制御する。具体的には、XY方向移動制御部804は、X線発生器42およびX線検出器52をX軸方向およびY軸方向に移動させる。
旋回駆動部642とXY方向移動駆動部644とは旋回移動駆動部64Dを構成し、旋回制御部802とXY方向移動制御部804とは旋回移動駆動制御部80Dを構成する。
Z方向移動制御部806は、Z方向駆動部646の動作を制御することによって、旋回アーム62のZ方向の移動を制御する。具体的には、Z方向移動制御部806は、X線発生器42およびX線検出器52をZ方向に移動させる。
X線検出制御部808は、X線検出部50の動作を制御する。例えば、X線検出制御部808は、X線検出器52の動作を制御する。
X線発生制御部810は、X線発生部40の動作を制御する。例えば、X線発生制御部810は、X線発生器42の動作を制御する。具体的には、X線管に供給される電圧又は電流を制御することによって、X線発生器42から出射されるX線ビームのオン・オフおよびX線ビームの強度を制御する。また、X線発生制御部810は、X線規制部44の動作を制御することによって、X線ビームの遮蔽を制御する。このX線ビームの遮蔽制御によって、撮影目的に応じた形状のX線ビーム(例えば、細隙ビームおよびコーンビームなど)が形成される。また、X線発生制御部810がX線規制部44の動作を制御することによって、被写体M1における撮影領域ROI以外の領域にX線ビームが照射されることを抑制する。
撮影制御部80には、表示部82および操作パネル84が接続されている。表示部82は、液晶ディスプレイなどで構成されており、各種情報を表示するために設けられている。操作パネル84は、タッチパネルディスプレイで構成されており、オペレータが各種情報(撮影条件などを含む)を撮影制御部80に入力するために設けられている。
<情報処理部30>
情報処理部30は、撮影制御部80と情報通信可能に接続されている。情報処理部30のハードウェアとしての構成は、一般的なコンピュータ又はワークステーションと同様である。すなわち、情報処理部30は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM、及び、アプリケーションまたはデータなどを記憶する記憶部31を備える。
情報処理部30は、撮影領域設定部302、関心断層設定部304、撮影軌道設定部306、線量設定部308、画像処理部310を備える。これらの処理部は、CPUがアプリケーションに従って動作することによって実現される機能である。ただし、これらの機能の一部又は全部を専用の回路によってハードウェア的に実現してもよい。CPUの回路のうち、各種制御用アプリケーションによって各種制御に用いられる部分をそれぞれ設定部302、304、306、308、310と考え、これらを総合したものを情報処理部30と考えてもよい。
<撮影領域設定部302>
撮影領域設定部302は、撮影領域ROIを設定する機能を備える。撮影領域ROIは、撮影部20においてX線断層撮影を行う際に、X線ビームが複数の方向から照射されることによって、複数のX線投影画像が取得される領域である。撮影領域設定部302は、操作部34を介してオペレータが入力する入力操作に基づき、撮影領域ROIを設定する。情報処理部30は、撮影部20の実空間に対応する演算上の仮想空間が定義されている。撮影領域ROIを設定するとは、情報処理部30において定義された仮想空間において、撮影領域ROIの位置、大きさおよび形状などを設定することをいう。撮影領域ROIの具体的な設定方法については、後述する。
<関心断層設定部304>
関心断層設定部304は、関心断層LOIを設定する機能を備える。関心断層LOIは、通常、術者が画像化を望む断層である。関心断層設定部304は、オペレータが操作部34を介して情報処理部30に入力する情報に基づいて、関心断層LOIを設定する。「関心断層LOIを設定する」とは、情報処理部30にて定義された仮想空間において関心断層LOIを設定することをいう。
関心断層LOIは、例えば、以下の手順で設定される。すなわち、図3に示すように、関心断層設定部304は、オペレータの操作入力に基づいて、関心断層面SL1の位置、大きさ、および、向き(法線方向DN1)を決定する。また、関心断層設定部304は、関心断層面SL1を基準にして、法線方向DN1において所要の厚さを有する関心断層LOIを設定する。図3に示す例では、関心断層面SL1を中心にして、法線方向DN1の厚さがTN1の関心断層LOIが設定されている。関心断層LOIの厚さTN1は、オペレータからの指定入力に基づいて設定してもよいし、あるいは、予め定められた既定値としてもよい。既定値とする場合には、例えば、関心断層LOIの位置または被験者の特徴(身長、体重、年齢または性別など)、あるいは、撮影部位に応じた既定値を、予めデータベース化して記憶部31に保存しておき、撮影に応じて呼び出せるようにし得る。関心断層LOIのより具体的な設定方法については後述する。
<撮影軌道設定部306>
撮影軌道設定部306は、撮影部20においてX線断層撮影を行う際における、X線断層撮影中のX線発生器42およびX線検出器52の軌道(撮影軌道)を設定する機能を備える。具体的には、撮影軌道設定部306は、撮影領域ROIの中心を通るZ軸に平行な旋回中心軸RA1を回転中心とし、その旋回中心軸RA1周りにX線発生器42およびX線検出器52を所定の回転半径で回転したときの円形軌道を、通常撮影軌道とする。また、後述するように、本実施形態では、撮影軌道設定部306は、関心断層設定部304によって設定された関心断層LOIの位置に合わせて、通常撮影軌道を変更する場合がある。具体的には、撮影軌道設定部306は、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときにX線発生器42が関心断層LOIから離隔し、X線検出器52が関心断層LOIに接近するように、通常撮影軌道を変更し、最終的な撮影軌道を決定する。この撮影軌道の設定については後述する。
<線量設定部308>
線量設定部308は、撮影部20において行われるX線断層撮影中に、関心断層LOIを含む被写体M1の撮影領域ROIに対して照射される単位時間あたりの線量(単位時間線量)を設定する。具体的には、線量設定部308は、X線発生器42が関心断層LOIに正対していない期間のうち少なくとも一部の単位時間線量を、正対するときの単位時間線量よりも小さくするように、撮影制御部80を動作させる線量制御データを生成する。すなわち、相対的に考えれば、線量設定部308は、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときの単位時間線量を、正対していない期間のうち少なくとも一部の単位時間線量よりも大きくするように、撮影制御部80を動作させる線量制御データを生成する。単位時間線量の設定については後述する。
前歯領域に関心断層LOIを設定する場合は、図3に示すように、厚さTN1の厚みの方向をY方向と一致させ、横幅W1の幅方向をX方向と一致させて設定し得る。他の領域に関心断層LOIを設定する場合は、その領域ごとのX、Y方向のベクトルを適合させるとよい。
<画像処理部310>
画像処理部310は、撮影部20がX線断層撮影を実行した際に、X線検出器52が出力した信号に基づいて生成されるX線投影画像を処理して、関心断層LOIのX線断層画像を生成する。なお、画像処理部310が生成するX線断層画像は、関心断層LOIのX線断層画像に限定されるものではない。例えば、X線断層撮影後において、オペレータが撮影領域ROI内における関心断層LOIとは異なる位置の断層の指定を受付け、その断層に対応するX線断層画像を画像処理部310が生成してもよい。
上記の通り、線量設定部308が生成した線量制御データに基づき、撮影制御部80が、X線断層撮影中に、X線発生器42が関心断層LOIに正対していない期間の単位時間線量を、正対するときの単位時間線量よりも相対的に小さくする。単位時間線量が低下すると、ポアソンノイズ(ショットノイズ)の影響で、X線投影画像にノイズが生じやすい。このため、予め定められたしきい値よりも小さい単位時間線量の照射によって得られたX線投影画像については、画像処理部310が平滑化処理(ぼかし処理)を行ってもよい。平滑化処理を行う場合、所要半径の平滑化フィルター(移動平均フィルター、ガウシアンフィルターなど)を利用するとよい。
また、正対するとき、および、正対しないときの双方について平滑化処理を行うようにしてもよい。この場合に、投影角度、断層厚さ、または、単位時間線量の大きさ応じて、平滑化処理における平滑化のフィルター半径のサイズを変えるようにしてもよい。この平滑化のサイズの変更については後述する。
情報処理部30には、表示部32および操作部34が接続されている。
表示部32は、液晶ディスプレイなどで構成されており、各種情報を表示するために設けられている。具体的には、表示部32は、X線断層撮影の条件をオペレータが指定するための表示画像、撮影領域ROIまたは関心断層LOIをオペレータが指定するため表示画像、および、画像処理部310が生成したX線断層画像などを表示する。
操作部34は、キーボードやマウスなどの各種入力用デバイスで構成されている。一例として、操作部34は、オペレータが撮影領域ROIを指定する際に操作される。すなわち、操作部34は、撮影領域指定部の一例である。なお、表示部32をタッチパネルで構成することによって、表示部32が操作部34の機能の一部または全部を兼ね備えてもよい。また、撮影領域ROIの指定および関心断層LOIの指定は、撮影制御部80に接続された操作パネル84を介して行われてもよい。
<関心断層LOI又は撮影領域ROIの設定方法>
次に、図4〜図8を参照しつつ、関心断層LOI又は撮影領域ROIを設定する方法について説明する。なお、以下の説明においては、被写体M1の頭部の顎部に対して、関心断層LOI又は撮影領域ROIを設定するものとして説明する。ただし、関心断層LOI又は撮影領域ROIは、顎部に設定される場合に限定されるものではなく、他の部位に設定される場合もある。
図4は、関心断層LOIの設定方法を示す図である。図4に示す設定方法は、表示部32に、関心断層LOIを指定するための指定用画像として、下顎を模した模式図IL1とするものである。この模式図IL1には、複数の歯牙も描画されている。オペレータは、表示部32に表示された模式図IL1に対して、カーソルCU1を介して、2つの端点EP1,EP2を指定する。具体的には、操作部34がマウスを含む場合、ドラッグ操作によりカーソルCU1を移動させて、端点EP1,EP2が指定されてもよい。端点EP1,EP2の位置は、実空間におけるXY平面内の2つの点の位置に対応する。
2つの端点EP1,EP2が指定されると、端点EP1,EP2を両端とする直線状の関心断層面SL1が設定される(図3参照)。この場合、端点EP1,EP2まで関心断層面SL1の横幅W1となる。ただし、端点EP1,EP2を両端とすることは必須ではない。例えば、端点EP1,EP2を通る直線上において、任意の横幅の関心断層面SL1を設定してもよい。
関心断層面SL1が設定されると、その関心断層面SL1を基準にして、その法線方向DN1に所要の厚さTN1を有する直線状の関心断層LOIが設定される。図4においては、関心断層LOIが平面的に図示されているが、関心断層LOIの紙面奥行き方向(実空間のZ軸方向に対応する。)の長さ(縦幅W2)も適宜設定される。関心断層LOIの縦幅W2は、オペレータによって指定されてもよいし、関心断層設定部304によって被写体M1の身体的特徴(性別、年齢、身長又は体重など)や撮影部位などに応じて自動的に決定されてもよい。
図5は、関心断層LOIの設定方法を示す図である。図4に示す設定方法では、関心断層LOIがXY平面内で直線状に延びる形状に設定されているが、図5に示すように、関心断層LOIを曲線状に設定してもよい。この場合、例えばオペレータがカーソルCU1を曲線状に移動させるドラッグ操作を行うことによって、関心断層設定部304がそのカーソルCU1の移動軌跡に応じた曲線状に関心断層面SL1を設定するとよい。そして、関心断層設定部304が、その関心断層面SL1を基準にして、曲線状に延びる関心断層LOIを設定するとよい。
図6は、関心断層LOIの設定方法を示す図である。図4および図5に示す設定方法は、オペレータが関心断層LOIを任意の位置に設定するものである。これに対して、図6に示す設定方法は、関心断層LOIの候補となる複数の候補領域が予め規定されており、これらの候補領域のうちからオペレータが選択するものである。図6に示す例では、表示部32に表示されている顎部の模式図IL1に対して、7つの候補領域CR1が予め定められており、候補領域CR1各々が破線で表示されている。オペレータが、カーソルCU1を移動させて、この複数の候補領域CR1のうちから特定の候補領域CR1を選択する操作を行うと、関心断層設定部304が選択された候補領域CR1を関心断層LOIに設定する。この場合、関心断層LOIの設定の自由度は低下するものの、関心断層LOIの指定操作を簡易に行うことができる。
図7は、撮影領域ROIおよび関心断層LOIの設定方法を示す図である。図4〜図6に示す設定方法は、指定用画像上において、オペレータが関心断層LOIを直接指定するものである。これに対して、図7に示す設定方法は、先に撮影領域設定部302が撮影領域ROIを設定してから、関心断層設定部304がその撮影領域ROIに応じて関心断層LOIを自動で設定するものである。
撮影領域ROIは、例えば以下のように設定してもよい。すなわち、オペレータが、カーソルCU1などを介して撮影領域ROIの位置(例えば撮影領域ROIの中心位置)および撮影領域ROIの半径を指定する。これに応じて、関心断層設定部304が、その指定された位置に、指定された半径の撮影領域ROIを設定する。撮影領域ROIの半径は、キーボードなどを介した数値入力によって指定されてもよいし、マウスを用いたドラッグ操作などによって指定されてもよい。また、撮影領域ROIの大きさを示す、様々な半径の円形の枠を予め用意しておき、その中からオペレータが特定半径の枠を選択するようにしてもよい。この場合、選択された枠が模式図IL1上の所要の位置に配置されることに応じて、撮影領域設定部302がその枠の配置された位置に撮影領域ROIを設定してもよい。
続いて、設定された撮影領域ROIに対して、撮影領域設定部302が所定のルールに従って、関心断層LOIを自動的に設定する。例えば、撮影対象が顎部である場合、顎部に沿って既定された歯列弓DA1に基づいて、関心断層設定部304が関心断層LOIを設定してもよい。例えば、図7に示すように、顎部の模式図IL1において、U字状に湾曲する歯列弓DA1が既定されており、その歯列弓DA1を含むように撮影領域ROIが設定された場合を想定する。この場合、関心断層設定部304が、その撮影領域ROIに含まれる歯列弓DA1の一部に沿って、関心断層LOIを自動で設定してもよい。
曲線状の歯列弓DA1から直線状の関心断層LOIを設定する場合、例えば、撮影領域ROIの歯列弓DA1の部分上の一点を代表点とし、歯列弓DA1の代表点上の接線上に関心断層LOIを設定してもよい。また、撮影領域ROI内の歯列弓DA1の部分上の二点を選択し、それら二点を結ぶ直線上に関心断層LOIを設定してもよい。
また、曲線状の歯列弓DA1に基づいて、曲線状の関心断層設定部304の関心断層LOIを設定してもよい。例えば、撮影領域ROI内の歯列弓DA1の曲線部分を関心断層面SL1として、それを基準にして所要の厚みを持たせた領域を関心断層LOIに設定してもよい。
図8は、関心断層LOIの設定方法を示す図である。図8に示す設定方法では、指定用画像として、事前に被写体M1の顎部をパノラマ撮影することによって得られたパノラマX線画像IL2が利用されている。パノラマX線画像IL2を表示部32に表示し、その画像上で関心断層LOI又は撮影領域ROIを設定するものである。パノラマX線画像IL2を構成する各画素は、実空間上の座標位置の情報を有してる。このため、パノラマX線画像IL2上の特定部分がカーソルCU2を介して選択されると、実空間においてその特定部分に対応する座標位置が特定される。カーソルCU2は、ここでは、直交する2本の直線を含む。オペレータは、それら2本の直線の交点を、観察したい部位、すなわち、関心断層LOIに位置合わせして、その位置を指定する操作(マウスのクリック操作など)を行う。関心断層LOIの位置が指定されると、図4〜図7に示されるように、撮影領域設定部302が、直線状または曲線状の関心断層LOIを適宜設定する。
図4〜図8に示す関心断層LOIの設定方法は、あくまでも例示であり、これらに限定されるものではなく、他の方法によって関心断層LOIを設定してもよい。
例えば、被写体M1を異なる複数の方向からX線ビームBX1を照射することによって得られる複数のX線投影画像(透視画像)を、撮影領域ROIまたは関心断層LOIを指定するための指定用画像として利用してもよい。例えば、被写体M1を2方向から撮影して得られる2つの透視画像上で、撮影領域ROIまたは関心断層LOIの位置の指定を受け付けることによって、その指定された位置に対応する実空間上の座標位置を特定することができる。この2方向の透視画像から実空間における座標位置を特定する場合、特開2004−329293号公報に記載の技術を利用してもよい。
また、関心断層設定部304が関心断層LOIを設定してから、撮影領域設定部302がその関心断層LOIに合わせて撮影領域ROIを設定してもよい。このとき、撮影領域設定部302が先に設定された関心断層LOIを含むように撮影領域ROIを設定するとよい。
<単位時間線量の設定>
次に、X線断層撮影中における単位時間線量の設定について図9〜図17を参照しつつ説明する。
図9は、X線断層撮影の一例を示す図である。図9は、+Z側から見た(−Z方向視)X線断層撮影中におけるX線発生器42、X線検出器52および被写体M1の位置関係を示す図である。図13および図16についても同様である。
図9に示すX線断層撮影は、X線発生器42およびX線検出器52を被写体M1の周囲において180°旋回させるCT撮影である。前歯を含む部分を撮影領域ROIとしており、その撮影領域ROIに含まれる歯列弓DA1の一部分の接線に沿って直線状に延びる領域を関心断層LOIとしている。
本CT撮影においては、X線発生器42は、頭部右側の位置42p0から頭部後側の位置42p1〜位置42p3を通過して頭部左側の位置42p4まで旋回する。また、X線検出器52は、頭部左側の位置52p0から頭部前側の位置52p1〜位置52p3を通過して頭部右側の位置52p4まで旋回する。X線発生器42の撮影軌道LT42(NT42)、および、X線検出器52の撮影軌道LT52(NT52)は、撮影領域ROIの中心点CP1を中心とする所定半径の半円の円弧に一致する。
ここで、X線発生器42の撮影軌道LT42とX線検出器52の撮影軌道LT52について説明する。X線発生器42の撮影軌道LT42は、後述するX線発生器42の通常撮影軌道NT42と拡大率調整撮影軌道PT42の双方を含む上位概念である。すなわち、撮影軌道LT42は、通常撮影軌道NT42となる場合もあり得るし、拡大率調整撮影軌道PT42となる場合もあり得る。同様に、X線検出器52の撮影軌道LT52は後述のX線検出器52の通常撮影軌道NT52と拡大率調整撮影軌道PT52の双方を含む上位概念である。すなわち、撮影軌道LT52は、通常撮影軌道NT52となる場合もあり得るし、拡大率調整撮影軌道PT52となる場合もあり得る。
X線発生器42が旋回することによって、X線発生器42からX線検出器52に向かうX線ビームBX1が回転する。これによって、撮影領域ROIについて、X線検出器52の検出面に投影される角度が変化する。ここでは、X線ビームBX1の照射軸として、X線ビームBX1の中心軸である中心軸X線CBX1に着目し、X線断層撮影開始時からのその中心軸X線CBX1の回転角度を「投影角度」と称する。X線断層撮影開始時とは、X線検出器52が被写体M1を透過したX線ビームBX1を検出することによって、X線投影画像が取得され始めるときをいう。
例えば、図9に示すCT撮影の場合、X線断層撮影開始時は、X線発生器42が位置42p0に配されているときである。このため、X線発生器42が位置42p0にあるときの投影角度は、0°である。そして、X線発生器42が位置42p2にあるときの投影角度は90°であり、位置42p4にあるときの投影角度は180°である。
また、X線ビームBX1が回転することによって、中心軸X線CBX1が関心断層LOIに入射する角度(入射角度)も変化する。図10は、関心断層LOIに入射する中心軸X線CBX1を示す図である。中心軸X線CBX1が関心断層LOIに対して略直角に入射する状態を、X線発生器42が関心断層LOIに正対する状態(換言すると、X線ビームBX1の照射軸が関心断層LOIに正対入射する状態)という。なお、「略直角に入射する」とは、中心軸X線CBX1の関心断層LOIに対する入射角度ANG1が、かつ、85°〜95°の範囲すなわち90°−5°〜90°+5°の範囲となる状態をいい、特に、直角に入射する状態は、入射角度ANG1が90°となる状態である。いうまでもないが、90°など、直角に入射することは直交である。略直角に入射することを「略直交」と言い換えてもよい。
略直角の範囲をどの程度に設定するかは、画像処理の経験上適宜調整可能であり、85°〜95°よりも若干広めても、若干狭めてもよい。例えば、82°〜98°の範囲、88°〜92°の範囲とすることも考え得る。
図10に示すように、入射角度ANG1とは、Z軸方向上側から見て、すなわち−Z方向視で、関心断層LOIの中心を通る中心線LL1を規定したとき、その中心線LL1から中心軸X線CBX1までの、X線発生器42の旋回方向RD1周りの角度をいう。図10が示すCT撮影では、+Z側から見て、すなわち−Z方向視で、X線発生器42が被写体M1に対して右回りに回転する。このため、入射角度ANG1は中心線LL1から中心軸X線CBX1までの右回りの角度となる。なお、関心断層LOIを曲線状に延びる形状とした場合、その関心断層LOI上にあり、かつ、その関心断層LOIに沿った曲線上の任意の点(例えば、曲線の重心点など)における接線を、上記中心線LL1とし、その中心線LL1に対する中心軸X線CBX1のなす角度を上記入射角度ANG1とする。
図9に示すCT撮影では、X線発生器42が撮影開始時の位置42p0にあるとき(投影角度が0°のとき)、入射角度ANG1が0°となっている。X線発生器42が位置42p2にあるとき(投影角度が90°のとき)、入射角度ANG1が90°となる。X線発生器42が位置42p4にあるとき(投影角度が180°のとき)、入射角度ANG1が180°となる。すなわち、本例では、X線発生器42は、位置42p2を通過するときに、関心断層LOIに正対する。
図9に示すCT撮影を行うにあたって、撮影軌道設定部306は、X線発生器42およびX線検出器52の通常撮影軌道NT42,NT52を設定する。具体的には、X線発生器42およびX線検出器52各々が、撮影領域ROIの中心点CP1を中心にして、所定半径の半円の円周上を移動するように、撮影軌道設定部306が通常撮影軌道NT42,NT52を設定する。
また、線量設定部308は、図9に示すCT撮影中において、被写体M1に照射されるX線の投影角度に応じた単位時間線量を設定する。具体的には、線量設定部308は、X線発生器42が関心断層LOIに正対していない期間の単位時間線量を、正対するときの単位時間線量よりも小さくするように撮影制御部80を動作させる線量制御データを生成する。換言すると、線量設定部308は、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときの単位時間線量を、正対していない期間の単位時間線量よりも大きくするように撮影制御部80を動作させる線量制御データを生成する。
ここで、単位時間線量を変更する方法として、X線発生制御部810がX線発生器42から出力されるX線ビームBX1のX線強度を変更する方法と、旋回移動駆動制御部80D(旋回アーム62の旋回については特に旋回制御部802)がX線発生器42の旋回速度(旋回アーム62の角速度)を変更する方法とがあり得る。前者の場合、線量設定部308がX線発生制御部810を動作させるための線量制御データを生成するとよい。後者の場合、線量設定部308が旋回移動駆動制御部80Dを動作させるための線量制御データを生成するとよい。また、X線強度と旋回速度の双方を変更することによって、単位時間線量を変更してもよい。
図11は、図9に示すCT撮影における、投影角度に応じたX線強度のグラフG10を示す図である。図11中、横軸は投影角度を示しており、縦軸はX線の強度を示している。単位時間線量の変更をX線強度の変更によって行う場合、図11に示すように、X線発生器42が関心断層LOIに正対するとき(投影角度が90°のとき)のX線強度よりも、正対しない期間(X線ビームBX1の照射軸が関心断層LOIに正対入射していない状態。例えば、投影角度が0°,45°,135°,180°のとき)のX線強度を小さくするとよい。図11に示す例では、投影角度が0°〜45°の間はX線強度をIとし、投影角度が45°を過ぎた辺りから90°になるまでに、X線強度をIからIまで上昇させる。すなわち、入射角度ANG1が90°になるまでの間に、X線強度をIからIまで上昇させる。そして、投影角度が90°を越えてから135°に到達するまでにX線強度をIからIまで低下させ、投影角度が180°となるまでX線強度をIに維持する。すなわち、入射角度ANG1が90°を越えてからX線強度をIからIへ低下させる。線量設定部308は、図11に示すような投影角度に応じたX線強度の変更をX線発生制御部810に実行させる線量制御データを生成する。
ここでは、X線強度をIからIに上昇させてから、再びIからIに低下させるまでのX線強度の変化曲線(グラフG10)を、正対するときの投影角度90°を通る軸を対称軸として、線対称となる形状としている。
図12は、図9に示すCT撮影における、投影角度に応じたX線発生器42の旋回速度のグラフG12を示す図である。図12中、横軸は投影角度を示しており、縦軸は旋回速度(角速度)を示している。単位時間線量の変更を旋回速度の変更によって行う場合、図12に示すように、X線発生器42が関心断層LOIに正対するとき(投影角度が90°のとき)の旋回速度よりも、正対しないとき(例えば、投影角度が0°,45°,135°,180°のとき)の旋回速度を大きくするとよい。図12に示す例では、投影角度が0°〜45°の間は旋回速度をVとし、投影角度が45°をすぎた辺りから90°になるまでに、旋回速度をVからVまで低下させる。すなわち、入射角度ANG1が90°に至るまでの間に旋回速度をVからVまで低下させる。そして、投影角度が90°を越えてから135°に到るまでの間に旋回速度をVからVまで上昇させ、投影角度が180°となるまでX線強度をVに維持する。すなわち、入射角度ANG1が90°を越えてから旋回速度をVからVへ上昇させる。線量設定部308は、図12に示す投影角度に応じた旋回速度の変更を旋回移動駆動制御部80D、この場合は旋回制御部802に実行させる線量制御データを生成する。
図12に示すように、投影角度が0°のときの旋回速度をVとする場合、X線発生器42を、位置42p0よりも手前から旋回を開始させて、位置42p0を通過するまでに旋回速度をVまで上昇させるとよい。なお、X線発生器42が位置42p0から旋回し始めてもよい。この場合、投影角度が0°から所定の角度となるまでの間に、旋回速度を0からVまで上昇させるとよい。
図11又は図12に示すように、投影角度に応じてX線強度又は旋回速度を変更することによって、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときの単位時間線量よりも、正対しない期間の単位時間線量を小さくすることができる。これによって、関心断層LOIを正投影したときのX線投影画像を高解像度で取得できる。したがって、画像診断に適した関心断層LOIのX線断層画像を生成できる。また、X線発生器42が関心断層LOIに正対しない期間の単位時間線量を低く抑えることによって、被写体M1のX線被曝量を小さくすることができる。
本実施形態では、被写体M1のX線被曝量を抑えるため、X線撮影中、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときを除いて、単位時間線量を従来のCT撮影におけるよりも低くする。そして、その短時間占領の低下により生じるノイズを回避するために、X線検出器52で回路的なビニング、または、画像処理的なビニングを実行する。ビニングを行った場合、解像度が低下し得る。このため、関心断層LOIに対して正対する際は単位時間線量を高くしてビニングは行わない。このようなX線撮影によって、被写体M1のX線被曝量を抑えながら、関心断層LOIの高解像度のX線画像を取得し得る。
X線発生器42が関心断層LOIに正対するときの単位時間線量は従来のCT撮影における量と同じとしてよい。これによって、CT撮影における被写体M1の総被曝量を、従来よりも低く抑えることができる。
また、関心断層LOIの断層画像の画質(解像度)を向上するために、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときの単位時間線量を従来よりも大きくしてもよい。この場合、被写体M1の総被曝量が従来よりも小さくなるように、関心断層LOIに正対しないときの単位時間線量を低下させることが好ましい。
以下、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときの単位時間線量を、正対しない期間の単位時間線量よりも大きくことは、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときの単位時間線量よりも、正対しない期間の単位時間線量を小さくすることと同じである。
なお、図9に示すCT撮影では、入射角度ANG1が0°となる位置から旋回を開始させているが、これは必須ではない。例えば、入射角度ANG1が0°よりも大きい角度となる位置、あるいは、0°よりも小さい角度となる位置(関心断層LOIに対して、正対する側とは反対側に中心軸X線CBX1を出射する位置)から、X線発生器42の旋回を開始させてもよい。例えば、X線発生器42が位置42p1の位置にあり、X線検出器52が位置52p1にある位置から旋回を開始して180°旋回した位置を旋回の終了位置とすることもできる。この場合でも、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときすなわち位置42p2にあるときの単位時間線量を、正対しない期間の単位時間線量よりも大きくすることに変わりはない。また、X線発生器42を位置42p0よりも回転方向の手前側から回転を開始するようにして、位置42p0に到達してからX線ビームBX1の出射を開始してもよい。
ここで、略直角ほど直角に近くないが、直角に近い範囲を「近直角」と呼ぶこととする。入射角度が近直角である入射を「近直交」と呼んでもよい。
略直角において、直交に対して小さい側または大きい側の差分の範囲を角度Iaoとする。例えば、略直角を90°−5°〜90°+5°の範囲とした場合、角度Iaoは5°である。
近直角の範囲は、例えば、90°−30°〜90°−角度Iao、90°+角度Iao〜90°+30°の範囲、90°−15°〜90°−角度Iao、90°+角度Iao〜90°+15°の範囲など、様々に定めることができる。
図11においてX線強度を強度Iに保つ期間、図12において旋回速度を速度Vに保つ期間については、幅を持たせてよい。または、パターンを変えてよい。例えば、次のような制御が考えられる。共通するのは、少なくとも、直交のタイミングでX線強度を強度Iにすること、および/または、旋回速度を速度Vにすること、そして、直交のタイミングを外れた期間の少なくとも一部でX線強度を強度Iよりも低くすること、および/または、旋回速度を速度Vよりも高くすることである。これらのバリュエーションは後述のトモシンセシス撮影についても応用可能である。
なお、以下において、X線強度IとIの間のX線強度を強度Iとし、旋回速度VとVの間の旋回速度を速度Vとする。X線強度または旋回速度について、以下のように変更する制御が想定され得る。
(a)近直角の期間のX線強度を強度Iとし、略直角の期間で強度Iに保つ制御、および/または、近直角の期間の旋回速度を速度Vとし、略直角の期間で速度Vに保つ制御。
(b)上記(a)の制御において、さらに、近直角のうち、略直角に近い範囲についてはX線強度を強度Iに保つ制御、および/または、旋回速度を速度Vに保つ制御。
(c)上記(a)の制御において、略直角の期間のうち、直角のタイミングのみでX線強度をピークの強度Iとし、略直角の期間のうち、直角の前後の期間でX線強度を強度Iよりも高く強度Iよりも低い強度にする制御、および/または、略直角の期間のうち、直角のタイミングのみで旋回速度をピークの速度Vとし、略直角の期間のうち、直角の前後の期間で旋回速度を速度Vよりも低く速度Vよりも高い速度にする制御。
(d)上記(c)の制御において、さらに、近直角の期間のうち、略直角に近い範囲についてはX線強度を強度Iよりも高く強度Iよりも低い強度にする制御、および/または、旋回速度を速度Vよりも低く速度Vよりも高い速度にする制御。
(e)略直角の期間のみでX線強度を強度Iに保ち、他の期間で一律に強度Iに保つ制御、および/または、略直角の期間のみで旋回速度を速度Vに保ち、他の期間は一律に速度Vに保つ制御。
(f)上記(e)の制御において、略直角の期間と他の期間との間に旋回速度の変化の傾きを急峻にまたは緩やかにする制御。
(g)X線強度を直角のタイミングのみでピークの強度Iとすし、他の期間で一律に強度Iに保つ制御、および/または、旋回速度を直角のタイミングのみでピークの速度Vとし、他の期間で一律に速度Vに保つ制御。
(h)上記(g)の制御において、直角のタイミングと他の期間との間にX線強度および/または旋回速度の変化の傾きを急峻に、または緩やかにする制御。
図13は、X線断層撮影の一例を示す図である。図13に示すX線断層撮影は、X線発生器42およびX線検出器52を被写体M1の周囲において360°旋回させるCT撮影である。本CT撮影における撮影領域ROIおよび関心断層LOIは、図9に示すCT撮影と同一としている。
本CT撮影においては、X線発生器42は、頭部右側の位置42p0から頭部後側の位置42p1〜位置42p3を通過して頭部左側の位置42p4まで旋回する。さらに、X線発生器42は、位置42p4から頭部前側の位置42p5〜位置42p7を旋回しながら通過して、再び位置42p0に戻る。また、X線検出器52は、頭部左側の位置52p0から頭部前側の位置52p1〜52p3を通過して頭部右側の位置52p4まで旋回する。さらに、X線検出器52は、位置52p4から頭部後側の位置52p5〜位置52p7を旋回しながら通過して、再び位置52p0に戻る。X線発生器42の通常撮影軌道NT42およびX線検出器52の通常撮影軌道NT52はそれぞれ、撮影領域ROIの中心点CP1を中心とする所定半径の円周に一致する。
本CT撮影の場合、X線発生器42が関心断層LOIに対して、2回正対する。1回目は、X線発生器42が位置42p2にあるとき(投影角度が90°のとき)であり、2回目は、X線発生器42が位置42p6にあるとき(投影角度が270°のとき)である。線量設定部308は、X線発生器42がこれらの位置42p2,42p6を通過するときに、単位時間線量が増大するように、X線発生制御部810又は旋回制御部802を動作させる線量制御データを生成する。
図14は、図13に示すCT撮影における、投影角度に応じたX線強度のグラフG10を示す図である。図14中、横軸は投影角度を示しており、縦軸はX線強度を示している。単位時間線量の変更をX線強度の変更によって行う場合、図14に示すように、X線発生器42が関心断層LOIに正対していない期間のX線強度をIとし、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときのX線強度をIよりも大きいIとするとよい。図13に示すCT撮影では、投影角度が90°および270°のときに、X線強度をIとする。
具体的に、図14に示すグラフG10では、投影角度が45°を過ぎた辺りから90°になるまでにX線強度をIからIに上昇させ、投影角度が90°を過ぎてから180°になるまでにX線強度をIからIに低下させる。さらに、投影角度が180°から270°になるまでにX線強度をIからIに上昇させ、投影角度が270°を過ぎてから360°になるまでにX線強度をIからIに低下させる。
図15は、図13に示すCT撮影における、投影角度に応じた旋回速度のグラフG12を示す図である。図15中、横軸は投影角度を示しており、縦軸は旋回速度(角速度)を示している。単位時間線量の変更を旋回速度の変更によって行う場合、図15に示すように、X線発生器42が関心断層LOIに正対していない期間の旋回速度をVとし、正対するときの旋回速度をVよりも小さいVとするとよい。
具体的に、図15に示すグラフG12では、投影角度が45°を過ぎた辺りから90°になるまでに旋回速度をVからVに低下させ、投影角度が90°を過ぎてから180°になるまでに旋回速度をVからVに上昇させる。さらに、投影角度が180°から270°になるまでに旋回速度をVからVに低下させ、投影角度が270°を過ぎてから360°になるまでに旋回速度をVからVに上昇させる。
図14又は図15に示すように、投影角度に応じてX線強度又は旋回速度を変化させることによって、X線発生器42が関心断層LOIに正対したときの単位時間線量を、正対していない期間の単位時間線量に比べて大きくすることができる。これによって、正対したときに得られるX線投影画像の解像度を向上できる。したがって、画像診断に適した関心断層LOIを取得できる。また、一部の投影角度に限定して単位時間線量を上昇させるため、被写体M1のX線被曝量を抑制できる。
図16は、X線断層撮影の一例を示す図である。図16に示すX線断層撮影は、X線発生器42およびX線検出器52を被写体M1の周囲において180°旋回させるCT撮影である。ここでは、被写体M1の顎部のうち右臼歯を含む部分を撮影領域ROIとしており、その撮影領域ROIに含まれる歯列弓DA1の一部分の接線と平行な方向に沿って直線状に延びる領域を関心断層LOIとしている。
本CT撮影では、X線発生器42は、被写体M1の頭部右側後方の位置42p0から、頭部左側の位置42p1〜位置42p3を通過して、頭部左側前方の位置42p4まで旋回する。X線検出器52は、被写体M1の頭部左側前方の位置52p0から、頭部右側の位置52p1〜52p3を通過して、頭部右側後方の位置52p4まで旋回する。
図16に示すように、本CT撮影では、X線発生器42が旋回している最中に、X線ビームBX1のうち一部又は全部が高X線吸収部位HA1である頸椎を通過する状態が発生する。具体的には、X線発生器42が位置42p1を通過するとき、X線ビームBX1が高X線吸収部位HA1を通過する。このようにX線ビームBX1が高X線吸収部位HA1を通過した場合、X線が大幅に減弱されることによって、撮影領域ROIの正確な情報を得ることが困難となる場合がある。
そこで、線量設定部308は、X線ビームBX1の経路上に、高X線吸収部位HA1が存在するときの単位時間線量を、存在しないときの単位時間線量よりも大きくする線量制御データを生成してもよい。
図17は、図16に示すCT撮影における、X線強度のグラフG14を示す図である。X線強度の変更によって、単位時間線量の変更を行う場合、線量設定部308は、グラフG14に示すように、投影角度に応じてX線強度を変化させる線量制御データを作成するとよい。
ここで、グラフG14は、グラフG10にグラフG10aを足し合わせたものである。グラフG10は、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときの単位時間線量を増大させる場合のX線強度を示す曲線である。グラフG10においては、X線発生器42が関心断層LOIに正対しないときの投影角度ではX線強度をIとし、X線発生器42が関心断層LOIに正対する投影角度(90°)ではX線強度をI(>I)としている。
また、グラフG10aは、高X線吸収部位HA1の影響を緩和するために単位時間線量を増大させるX線強度の量を示す曲線である。グラフG10aに示すように、高X線吸収部位HA1の影響を緩和するため、X線ビームBX1が高X線吸収部位HA1に重なり始める投影角度θ(ここでは、0°<θ<45°)からX線強度を増大し始める。そして、X線ビームBX1と高X線吸収部位HA1の重なりが最大となる投影角度θ(ここでは、45°<θ<90°)において、X線強度をIの分だけ増大させる。その後、X線ビームBX1と高X線吸収部位HA1の重なりがなくなる投影角度θ(θ<θ<90°)まで徐々にX線強度を減らす。
投影角度が45度を過ぎてθとなるまで、グラフG10およびグラフ10aの双方においてX線強度が上昇する。このため、グラフG14においては、投影角度がθのときから、X線強度がIから上昇し始め、投影角度θでX線強度がIとなる。このX線強度Iは、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときのX線強度Iよりも大きくなっている。
線量設定部308が、グラフG14に示すようにX線強度を変化させる線量制御データを生成することによって、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときのX線投影画像の解像度を向上できるとともに、高X線吸収部位HA1の影響を緩和できる。
高X線吸収部位HA1の位置情報は、例えば記憶部31に予め保存しておくとよい。この場合、線量設定部308が、被写体M1の身体的特徴に応じた高X線吸収部位HA1の位置情報を読み出せるようにすることが好ましい。すなわち、被写体M1の身体的特徴毎の高X線吸収部位HA1の位置情報を予め用意しておくことによって、被写体M1に合わせて、高X線吸収部位HA1の影響を緩和するように、X線断層撮影を実行できる。また、高X線吸収部位HA1の位置をオペレータが指定してもよい。例えば、被写体M1を予めX線断層撮影することで得たX線投影画像(透過画像)を表示部32などに表示しておき、そのX線投影画像上において、オペレータが高X線吸収部位HA1を指定してもよい。この場合、個々の被写体M1に合わせて正確に高X線吸収部位HA1の高精度な位置情報を取得できる。したがって、高X線吸収部位HA1の影響の緩和を精度よく実行できる。
なお、図11、図12、図14および図15に示すX線断層撮影では、X線発生器42が関心断層LOIに正対するとき、単位時間線量が最も大きくなるようにしている。しかしながら、例えば図17に示すように、X線発生器42が関心断層LOIに正対しない期間の一部において、正対するときよりも単位時間線量が大きくなってもよい。すなわち、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときの単位時間線量は、正対していない期間の少なくとも一部のときの単位時間線量よりも大きければよい。
また、図9、図13に示す例では、理解を容易にするために高X線吸収部位HA1についてはあえて触れていない。しかしながら、図9、図13に示す例においても、高X線吸収部位HA1の影響の緩和を行ってもよい。
具体的に、図9に示す例においては、X線発生器42が位置42p2にあるタイミングで高X線吸収部位HA1(頸椎)がX線ビームBX1の経路と重なり得る。このため、X線発生器42が位置42p2にあるタイミングでの単位時間X線量の増強を行うとよい。単位時間X線量の増強がX線強度の変更による場合には、図11に示すグラフG10において、投影角度90°におけるX線強度をIよりもさらに大きくするとよい。また、単位時間X線量の増強が旋回角度の変更による場合、図12に示すグラフG12において、投影角度90°における旋回速度をVよりもさらに低下させるとよい。
また、図13に示す例においては、X線発生器42が位置42p2にあるタイミングと、位置42p6にあるタイミングで、高X線吸収部位HA1(頸椎)がX線ビームBX1の経路と重なり得る。このため、これらのタイミングでの単位時間X線量の増強を行うとよい。
<投影拡大率を低下させる撮影軌道について>
図18は、X線投影画像における拡大率と解像度の関係について説明するための図である。図18においては、+Z側から見たとき(−Z方向視)のX線発生器42およびX線検出器52を概略的に示している。図18に示すように、X線発生器42のX線管からは、扇状に広がるX線ビームBX1が出射される。このため、X線検出器52には、撮影領域ROIが拡大されて投影される。X線ビームBX1が撮影領域ROIを透過することで、X線検出器52に投影されるX線投影画像の拡大率(以下、「投影拡大率」と称する。)は、X線発生器42から撮影領域ROIまでの距離、および、撮影領域ROIからX線検出器52までの距離によって定まる。図18中、X線発生器42およびX線検出器52が破線で示す位置から実線で示す位置に移動すると、X線発生器42が撮影領域ROIから離隔し、X線検出器52が撮影領域ROIに接近する。これによって、投影拡大率が小さくなる。図示の実線のX線検出器52は被写体M1の鼻と重なっているように描いてあるが、これは近接離隔の原理説明のために強調して示したためである。
X線検出器52は、検出面内において多数の検出素子が配列されている。したがって、X線検出器52の分解能は固定されているため、投影拡大率を上げることによってX線投影画像の解像度を向上することができる。しかしながら、X線発生器42から出射されるX線ビームBX1の焦点は、厳密には点ではなく、一定の大きさを有する焦点面420となっている。実際のX線管の陽極(焦点面420)はX線の照射軸に対して傾斜しているが、ここでは、図示の便宜上、焦点面420が点でないことを原理的に示すため、X線の照射軸に対して垂直となるように図示している。ここで、撮影領域ROIの特定の点に着目すると、焦点面420から出射されたX線ビームBX1のうち、この特定の点を通過するX線束は、X線検出器52の検出面において一定の広がりで投影される。すなわち、焦点面420から出射されたX線ビームBX1によって、X線投影画像上にぼけが発生する。すると、投影拡大率が大きくなった場合、このぼけの度合いも大きくなってしまい、その結果、X線投影画像の解像度(鮮鋭度)が低下する。
したがって、X線投影画像の解像度を向上するためには、投影拡大率をできるだけ小さくすることが望ましい。このため、X線断層撮影の際には、X線検出器52をできるだけ撮影領域ROIに接近させるか、あるいは、X線発生器42をできるだけ撮影領域ROIから離隔することが望ましい。
しかしながら、X線検出器52を撮影領域ROIに接近させた場合、X線検出器52が被写体M1に接触するおそれがある。また、X線発生器42を撮影領域ROIから離隔させた場合、X線発生器42を収容するX線発生部40が、撮影部20の他の部材(例えば支柱部70)、又は、撮影部20以外の周辺に配された他の部材に衝突する可能性がある。
そこで、撮影軌道設定部306は、X線断層撮影中に、X線検出器52が被写体M1に接触することを抑制し、かつ、X線発生器42のX線発生部40が他部材に衝突することを抑制しつつ、可能な限り投影拡大率を低下させるように撮影軌道を設定する。以下では、具体的な撮影軌道の設定方法を説明する。
図19は、X線断層撮影の一例を示す図である。図19に示すX線断層撮影は、被写体M1の顎部の周囲において、X線発生器42およびX線検出器52を180°旋回させるCT撮影である。ここでは、被写体M1の前歯付近を撮影領域ROIとしており、関心断層LOIが歯列弓DA1に沿う直線状の領域としている。
本CT撮影では、X線発生器42は、被写体M1の頭部右側の位置42p0から、頭部後ろ側を通過し、頭部左側の位置42p4まで180°旋回させる。また、X線検出器52を、被写体M1の頭部左側の位置52p0から、頭部前側を通過して、頭部右側の位置52p4まで180°旋回させる。本CT撮影は、図9に示すCT撮影と、X線発生器42およびX線検出器52の撮影軌道が異なる点を除いて、撮影条件などは一致する。
投影拡大率を変更しない通常のCT撮影では、撮影領域ROIの中心点CP1を中心にして、X線発生器42およびX線検出器52各々を一定の回転半径で回転させる。すなわち、通常のCT撮影では、X線発生器42およびX線検出器52を通常撮影軌道NT42,NT52上を移動させる。X線発生器42は通常撮影軌道NT42をたどり、X線検出器52は通常撮影軌道NT52をたどる。
これに対して、本CT撮影では、撮影軌道設定部306は、撮影領域ROIにおける関心断層LOIに正対するときに、正対していないときよりも投影拡大率を小さくする撮影軌道PT42,PT52を設定する。より具体的には、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときに、正対していないときよりもX線発生器42を関心断層LOIから離隔させ、かつ、X線検出器52を関心断層LOIに接近させる。撮影軌道PT42,PT52を拡大率調整撮影軌道と呼ぶこととし、X線発生器42は拡大率調整撮影軌道PT42をたどり、X線検出器52は拡大率調整撮影軌道PT52をたどる。このような拡大率調整撮影軌道PT42,PT52によるCT撮影を拡大率調整CT撮影と呼ぶこととする。
図19に示すCT撮影では、拡大率調整撮影軌道PT42上、X線発生器42の位置42p0〜位置42p4各々は、入射角度ANG1が0°,45°,90°,135°,180°となるX線発生器42の位置である。つまり、X線発生器42が関心断層LOIに正対するとき(X線ビームBX1の照射軸が関心断層LOIに正対入射するとき)の位置は、位置42p2である。また、X線発生器42が関心断層LOIに正対していないとき(X線ビームBX1の照射軸が関心断層LOIに正対入射していないとき)の位置は、位置42p0,42p1,42p3,42p4である。ここで、正対する状態の位置42p2と、正対していない状態の位置42p0,42p1,42p3,42p4とを比較すると、位置42p2は、それ以外の位置よりも、関心断層LOIから遠ざかった位置となっている。すなわち、位置42p2は、X線発生器42の通常撮影軌道NT42よりも外側に設定されている。また、正対する状態におけるX線検出器52の位置52p2は、正対していないときの位置52p0,52p1,52p3,52p4に比べて、関心断層LOIに接近した位置となっている。この位置52p2は、X線検出器52の通常撮影軌道NT52よりも外側に設定されている。
本CT撮影では、X線発生器42が、入射角度ANG1が45°となる位置42p1を通過してから、正対状態となる位置42p2に至るまでの間に、X線発生器42を関心断層LOIから徐々に離隔させ、X線検出器52を関心断層LOIに徐々に接近させる。そして、X線発生器42が、正対状態となる位置42p2から入射角度ANG1が135°となる位置42p3に至るまでの間に、X線発生器42を関心断層LOIに徐々に接近させ、X線検出器52を関心断層LOIから徐々に離隔させる。すなわち、X線発生器42の撮影軌道PT42のうち、位置42p1から位置42p3までは通常撮影軌道NT42とは異なっており、それ以外は一致する。同様に、X線検出器52の撮影軌道PT52のうち、位置52p1から位置52p3までは通常撮影軌道NT52とは異なっており、それ以外は一致する。
図20は、投影角度に応じた投影拡大率の変動を説明するための図である。撮影軌道PT42,PT52を上記のように設定することによって、図20に示すように、入射角度ANG1が45°になるまでは投影拡大率が一定であり、入射角度ANG1が45°を越えてから90°になるまでの間に投影拡大率が次第に小さくなる。そして、入射角度ANG1が90°のときに投影拡大率が最も小さくなっている。さらに、入射角度ANG1が90°を越えてから135°になるまでの間に、投影拡大率が次第に大きくなっており、入射角度ANG1が135°を越えてからは投影拡大率が一定となる。すなわち、X線発生器42が正対する状態(X線発生器42が位置42p2にあるとき)と、正対しない状態(例えば、X線発生器42が位置42p0,42p1,42p3,42p4にあるとき)とを比較して、正対する状態にて拡大率が小さくなる。
拡大率は、入射角度ANG1が90°のときにのみ最小としてもよいが、幅を持たせてもよい。すなわち、入射角度ANG1が90°に若干満たないタイミングから入射角度ANG1が90°ちょうどのタイミングを経て入射角度ANG1が90°を若干超えるタイミングまでの一定期間、拡大率が同率の最小の大きさに保たれるようにしてもよい。
以上のように撮影軌道設定部306は、X線発生器42およびX線検出器52の撮影軌道PT42,PT52を設定する。そして、撮影制御部80が、旋回駆動部642およびXY方向移動駆動部644の動作を制御することによって、X線発生器42およびX線検出器52を撮影軌道PT42,PT52に沿って移動させる。すなわち、撮影制御部80は、旋回駆動部642の動作を制御することによって、入射角度ANG1を変更しつつ、入射角度ANG1に応じてXY方向移動駆動部644を制御する。これによって、撮影制御部80は、正対する状態と正対していない状態と比較して、正対する状態にて投影拡大率を相対的に小さくする。
ここで、X線発生器42およびX線検出器52の旋回中心である旋回中心軸RA1に着目する。X線発生器42が位置42p0から位置42p1まで移動する間と、位置42p3から位置42p4まで移動する間、旋回中心軸RA1は、中心点CP1に設定される。一方、X線発生器42が位置42p1から位置42p3まで移動する間は、図10中の矢符D1で示すように、中心点CP1から離れて、再び、中心点CP1に戻る環状の軌跡上を移動する。
旋回アーム62を回転させるシャフト66を旋回中心軸RA1に一致させる場合、シャフト66を図10に示す旋回中心軸RA1の軌跡上を移動させることによって、X線発生器42およびX線検出器52を撮影軌道PT42,PT52上を移動させることができる。なお、シャフト66を旋回中心軸RA1に一致させることは必須ではない。例えば、特開2007−29168号公報に記載された技術を本願にも適用できる。すなわち、シャフト66を回転させつつ、そのシャフト66を、XY平面内において、撮影領域ROIの中心点CP1を中心とする所定半径の円周に沿って移動させる。これによって、中心点CP1に一致する旋回中心軸RA1周りに、X線発生器42およびX線検出器52を旋回させてもよい。この場合、機械的な旋回軸であるシャフト66とは異なる位置に、旋回中心軸RA1が設定される。
本実施形態では、X線発生器42およびX線検出器52の回転移動およびXY平面内移動は、旋回アーム62のシャフト66のZ軸周りの回転およびXY平面内移動によって行われる。したがって、X線発生器42およびX線検出器52の撮影軌道PT42,PT52を設定することは、シャフト66の回転量に応じたシャフト66のXY平面内の位置を設定することと等価である。
旋回中心軸RA1の移動について、さらに説明を補充する。X線発生器42、X線検出器52が拡大率調整撮影軌道PT42,PT52に沿って移動をする間、旋回中心軸RA1は随時回転中心として移動する。ここで、通常のCT撮影において、入射角度ANG1が45°と90°の中間のときの入射角度を入射角度ANG1aとし、入射角度ANG1が90°のときの入射角度を入射角度ANG1bとする。また、入射角度ANG1aのときの中心軸X線CBX1を図示しない中心軸X線CBX1Aとし、入射角度ANG1bのときの中心軸X線CBX1を図示しない中心軸X線CBX1Bとする。
拡大率調整CT撮影においては、前述のとおり旋回中心軸RA1は随時回転中心として移動するので、入射角度ANG1aのときの旋回中心軸RA1の位置は、例えば図示のRA1aの位置をとり、入射角度ANG1bのときの旋回中心軸RA1の位置は、例えば図示のRA1bの位置をとる。
入射角度ANG1aのときの中心軸X線CBX1は入射角度的には中心軸X線CBX1Aと一致する中心軸X線CBX1aであり、入射角度ANG1bのときの中心軸X線CBX1は入射角度的には中心軸X線CBX1Bと一致する中心軸X線CBX1bである。
このように、入射角度を、旋回中心を1点に固定した通常のCT撮影における入射角度と対応させ、撮影中に撮影領域に対するX線発生器42、X線検出器52の近接離隔の変化を起こすことによって、拡大率調整CT撮影を実行できる。
図示の例では、入射角度90°のときの旋回中心軸RA1の位置RA1bが中心点CP1から離隔するピークにある。中心点CP1上にあるときの旋回中心軸RA1の位置を位置RA10とすると、位置RA1aの中心点CP1からの離隔の度合いは位置RA10と位置RA1bの間の度合いと等しくなる。すなわち、位置RA1aは位置RA10よりも大きく中心点CP1から離隔はするが、その度合いが位置RA1bほど大きくない関係にある。
図示の拡大率調整CT撮影においては、旋回中心軸RA1の位置が、入射角度が変化していく各タイミングでの中心軸X線CBX1の軸線上を移動していると見ることができる。その際、旋回中心軸RA1の位置は、中心軸X線CBX1が関心断層LOIに正対入射する状態において中心点CP1からの離隔度がピークとなるように漸次的に変化していく。
中心軸X線CBX1が関心断層LOIに正対入射する状態のみならず、その前後の、正対に近い良好な入射角度の期間を含めて離隔度が最大となるように保たれるようにしてもよい。
このように、本実施形態の撮影部20においては、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときに投影拡大率を小さくするため、関心断層LOIを正面から正投影したときのX線投影画像上において、焦点面420の大きさに起因したぼけを低減できる。すなわち、関心断層LOIを正投影したときのX線投影画像を高解像度で取得できる。したがって、画像処理部310が関心断層LOIについて生成するX線断層画像の画質を、向上できる。
また、X線断層撮影において、X線発生器42およびX線検出器52を旋回させる全旋回範囲のうち、一部の旋回範囲に限定して、X線検出器52を関心断層LOIに接近させるため、X線検出器52が被写体M1に接触することを抑制できる。また、一部の旋回範囲に限定してX線発生器42を関心断層LOIから離隔させるため、X線発生器42あるいはX線発生器42を収容するX線発生部40、および、X線発生部40を支持する旋回アーム62の一端部が他の部材(支柱部70など)に衝突することを抑制できる。
なお、X線発生器42が旋回中に関心断層LOIから離隔するのに応じて、X線発生制御部810が、X線規制部44の動作を制御することによって、X線ビームBX1の出射範囲(X線ビームBX1のZ軸周りの広がりの角度(ファン角))を小さくしてもよい。これによって、撮影領域ROIよりも広い範囲にX線ビームBX1が照射されることを抑制できるため、被写体M1のX線被曝量を低減できる。
図19に示すCT撮影においては、図7にて説明したように、歯列弓DA1の少なくとも一部を含むように撮影領域ROIの設定を受付け、その撮影領域ROIに設定された歯列弓DA1の一部に沿って関心断層LOIを設定してもよい。これによって、歯列弓DA1に沿ったX線断層画像を取得できるため、歯科診断に適したX線断層画像を取得できる。また、歯列弓DA1は、被写体M1の頭部の前方に偏在し、かつ、頭部の前方の縁部に沿うように延在する。このため、歯列弓に沿って関心断層LOIを設定することによって、X線発生器が関心断層LOIに正対するときに、X線検出器52を頭部に近々に接近させることができる。したがって、高解像度のX線断層画像を容易に取得できる。
また、撮影軌道設定部306が撮影軌道PT42,PT52を決定するとともに、線量設定部308が、X線断層撮影中に被写体M1に照射するX線の単位時間線量を設定する。すなわち、線量設定部308は、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときの単位時間線量が、正対していない期間の単位時間線量よりも大きくなるように、撮影制御部80を動作させる線量制御データを生成する。単位時間線量の変更をX線強度の変更によって行う場合、線量設定部308は、図11に示すX線強度の変更をX線発生制御部810に実行させる線量制御データを生成するとよい。また、単位時間線量の変更を旋回速度の変更によって行う場合、線量設定部308は、図12に示す旋回速度の変更を旋回制御部802に実行させる線量制御データを生成するとよい。
図21は、X線断層撮影の一例を示す図である。図21に示すX線断層撮影は、顎部における右臼歯付近を撮影領域ROIとするCT撮影であって、撮影領域ROI内に歯列弓DA1の一部が含まれている。そして、関心断層LOIを、撮影領域ROIに含まれる歯列弓DA1の一部分の接線に沿って直線状に延びる領域としている。
本CT撮影では、X線発生器42が、被写体M1の頭部右側後方の位置42p0から、位置42p1〜位置42p7各々を通過して、位置42p0まで360°旋回する。また、X線検出器52は、被写体M1の頭部左側前方の位置52p0から、位置52p1〜位置52p7各々を通過して、位置52p0まで360°旋回する。すなわち、本CT撮影は、図13に示すCT撮影と、撮影軌道が異なる点を除いて、撮影条件などは一致する。
ここで、頭部の中央からの方向を、時計の時針を想定して、頭部の鼻の方を12時、後頭部の方を6時、右耳の方を3時、左耳の方を9時と表現する。本CT撮影中においては、被写体M1の右側(詳細には12時と3時の間であるが、頭部全体を大きく左右に分けると右側である。)からX線ビームBX1を照射するとき(X線発生器42が位置42p2を、X線検出器52が位置52p2を通過するとき)と、被写体M1の左側(詳細には6時と9時の間であるが、頭部全体を大きく左右に分けると左側である。)からX線ビームBX1を照射するとき(X線発生器42が位置42p6を、X線検出器52が位置52p6をそれぞれ通過するとき)とにおいて、中心軸X線CBX1が関心断層LOIに直交し、正対状態となる。
そこで、本CT撮影では、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときに、X線発生器42を位置42p2,42p6を通過させる。位置42p2,42p6は、X線発生器42が関心断層LOIに正対していない期間のX線発生器42の位置(例えば、位置42p0,42p1,42p3〜42p5,42p7)よりも、関心断層LOIから離れた位置である。また、本CT撮影では、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときに、X線検出器52を位置52p2,52p6を通過させる。位置52p2,52p6は、X線発生器42が関心断層LOIに正対していない期間のX線検出器52の位置(位置52p0,52p1,52p3〜52p5,52p7)よりも、関心断層LOIに接近した位置である。このように、X線発生器42およびX線検出器52の撮影軌道PT42,PT52を設定することによって、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときの投影拡大率を、正対していないときの投影拡大率よりも小さくする。
ここで、X線発生器42が位置42p2を通過するときの正対状態を第1正対状態とし、X線発生器42が位置42p6を通過するときの正対状態を第2正対状態とする。第1正対状態時のX線検出器52の位置52p2は、第2正対状態時のX線検出器52の位置52p6よりも関心断層LOIに近い。これは、目標となった撮影領域ROIが被写体M1の頭部の右側(12時と3時の間)に偏在しているため、X線ビームBX1を被写体M1の左側(6時と9時の間)から照射するときに、右側(12時と3時の間)から照射するときよりもX線検出器52を撮影領域ROIに接近させることが可能なためである。
なお、他の機械的要素がX線発生器42およびX線検出器52の旋回の妨げになる場合には、撮影軌道PT42、PT52は修正され得る。例えば、X線発生器42の軌道の位置42p5から42p7までの間(X線検出器52のその間の軌道は位置52p5から位置52p7までである)に支柱部70がある場合には、その支柱部70を避けるように撮影軌道PT42、PT52が適宜修正され得る。
また、撮影軌道設定部306が撮影軌道PT42,PT52を決定するとともに、線量設定部308がX線断層撮影中に被写体M1に照射する線量を設定する。すなわち、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときに、正対していないときよりも単位時間線量を大きくなるように、撮影制御部80を動作させる線量制御データを生成する。単位時間線量の変更をX線強度の変更によって行う場合、線量設定部308は、図14に示すX線強度の変更をX線発生制御部810に実行させる線量制御データを生成するとよい。また、単位時間線量の変更を旋回速度の変更によって行う場合、線量設定部308は、図15に示す旋回速度の変更を旋回移動駆動制御部80Dに実行させる線量制御データを生成するとよい。
図19および図21に示すX線断層撮影では、撮影領域ROI内に1つの関心断層LOIのみが設定されている。しかしながら、撮影領域ROI内に設定される関心断層LOIは、1つに限定されるものではない。
図22は、X線断層撮影の一例を示す図である。図22に示すX線断層撮影は、被写体M1の顎部全体を撮影領域ROIとするCT撮影であり、この撮影領域ROIの内側には2つの関心断層LOI1,LOI2が設定されている。ここでは、関心断層LOI1,LOI2は、それぞれ、左顎関節および右顎関節に設定されている。
本CT撮影では、X線発生器42は、被写体M1の頭部前方の位置42p0から、位置42p1〜位置42p7を通過した後、位置42p0まで360°旋回する。また、X線検出器52は、被写体M1の頭部後方の位置52p0から、位置52p1〜位置52p7を通過した後、位置52p0まで360°旋回する。
本CT撮影においても、X線発生器42が関心断層LOI1に正対するときに、X線発生器42が通過する位置42p2は、正対していない期間の位置(例えば、位置42p0,42p1,42p3〜42p5,42p7)よりも、関心断層LOI1から遠くなっている。また、X線発生器42が関心断層LOI1に正対するときにX線検出器52が通過する位置52p2は、正対していない期間の位置(例えば、位置52p0,52p1,52p3〜52p5,52p7)よりも、関心断層LOI1に近くなっている。このため、X線発生器42が関心断層LOI1に正対したときの投影拡大率を、正対していない期間の投影拡大率と比べて、相対的に小さくすることができる。
また、X線発生器42が関心断層LOI2に正対するときに通過する位置42p6は、正対しないときの位置(例えば、位置42p0、42p1,42p3〜42p5、42p7)よりも、関心断層LOI2から遠くなっている。また、X線発生器42が関心断層LOI2に正対するときにX線検出器52が通過する位置52p6は、正対しないときの位置(例えば、位置52p0,52p1,p3〜52p5,52p7)よりも関心断層LOI2に近くなっている。これによって、X線発生器42が関心断層LOI2に正対したときの投影拡大率を相対的に小さくできる。
なお、位置42p6は、X線発生器42が関心断層LOI1に正対していないときの位置である。位置42p2は、その位置42p6よりも関心断層LOI1に近い位置になる場合も想定される。つまり、正対するときにX線発生器42が通過する位置42p2が、正対しないときに通過する全ての位置よりも、関心断層LOI1から遠いことは必須ではない。すなわち、位置42p2は、X線発生器42が関心断層LOI1に正対しないときにX線発生器42が通過する全ての位置のうち少なくとも一部の位置よりも、関心断層LOI1から遠ければよい。
同様に、位置52p6は、X線発生器42が関心断層LOIに正対してないときのX線検出器52の位置であるが、その位置52p6が位置52p2よりも関心断層LOIに近い位置となる場合も想定される。つまり、位置52p2は、X線発生器42が関心断層LOI1に正対しないときにX線検出器52が通過する全ての位置のうち少なくとも一部の位置よりも、関心断層LOI1に近ければよい。
また、線量設定部308は、X線発生器42が関心断層LOI1に正対するときの単位時間線量を、正対していない期間の単位時間線量よりも大きくする線量制御データを生成するとよい。また、線量設定部308は、X線発生器42が関心断層LOI2に正対するときの単位時間線量を、正対していない期間の単位時間線量よりも大きくする線量制御データを生成するとよい。
図23は、図22に示すCT撮影における、投影角度に応じたX線強度のグラフG10を示す図である。図23中、横軸は投影角度を示しており、縦軸はX線強度を示している。単位時間線量の変更をX線強度の変更によって行う場合、図23に示すように、X線発生器42が関心断層LOI1に正対するとき(投影角度がθのとき)、および、関心断層LOI2に正対するとき(投影角度θのとき)にX線強度をIとし、X線発生器42が関心断層LOI1および関心断層LOI2のいずれにも正対していないときのX線強度をIよりも小さいIとするとよい。
図24は、図22に示すCT撮影における、投影角度に応じた旋回速度のグラフG12を示す図である。図24中、横軸は投影角度を示しており、縦軸は旋回速度を示している。単位時間線量の変更を旋回速度の変更によって行う場合、図24に示すように、X線発生器42が、関心断層LOI1に正対するとき(投影角度がθのとき)、および、関心断層LOI2に正対するとき(投影角度がθのとき)に旋回速度をVとし、X線発生器42が関心断層LOI1および関心断層LOI2のいずれにも正対していないときの旋回速度をVよりも大きいVとするとよい。
図22に示すCT撮影においては、X線発生器42が被写体M1の頭部右側を旋回する最中に関心断層LOI1に正対するとき、投影拡大率を低下させるとともに、単位時間線量を大きくしている。しかしながら、X線発生器42が被写体M1の頭部左側を旋回する最中に関心断層LOI1に正対するとき(X線発生器42が位置42p2の正反対側を通過するとき)、投影拡大率を低下させ、かつ、単位時間線量を大きくしてもよい。
同様に、図22に示すCT撮影では、X線発生器42が被写体M1の頭部左側を旋回する最中に関心断層LOI2に正対するとき、投影拡大率を低下させるとともに、単位時間線量を大きくしている。しかしながら、X線発生器42が被写体M1の頭部右側を旋回する最中に関心断層LOI2に正対するとき(すなわち、X線発生器42が位置42p6とは正反対側を通過するとき)、投影拡大率を低下させ、かつ、単位時間線量を大きくしてもよい。
前述のとおり、Z方向駆動部646、昇降駆動部728によって頭部MHの高さは一定のところに維持したまま、相対的移動により、頭部MHに対して支持部60を昇降させて、X線照射する箇所をZ軸方向に変更し得る。このため、例えば、上顎の歯列と下顎の歯列の一方を撮影した後に他方の撮影を連続で行うなど、異なる高さ位置にある複数の撮影領域の連続撮影を行うことができる。この場合、上顎では前歯領域、下顎では臼歯領域というように、高さ位置ごとに歯列弓の異なる領域を撮影対象としてもよい。
図25は、X線断層撮影の一例を示す図である。図25に示すX線断層撮影は、被写体M1の頭部の周囲において、X線発生器42およびX線検出器52を180°未満の角度分だけ旋回させるトモシンセシス撮影である。旋回の角度は、例えば90°や60°に設定してよい。また、180°未満の任意の角度を操作で設定できるようにしてもよく、90°から60°の間で任意の角度を操作で設定できるようにしてもよい。トモシンセシス撮影は、図25に示すように、観察者が観察したい関心断層LOIに対してX線発生器42が正対するときの入射角度ANG1を中心にして、左右に所要の角度分だけX線発生器42およびX線検出器52を回転させることによって、X線投影画像を取得する。トモシンセシス撮影によると、関心断層LOIについては再構成によって比較的高画質のX線断層画像を取得できる。また、トモシンセシス撮影は、180°未満のX線照射しか行わないため、CT撮影に比べて、被写体M1のX線被曝量を低減できるとともに、撮影時間を短縮できるというメリットを有する。
図25に示すトモシンセシス撮影では、被写体M1の顎部の前歯付近に撮影領域ROIが設定されており、その撮影領域ROI内に含まれる歯列弓DA1の部分に沿って関心断層LOIが設定されている。そして、X線発生器42を、被写体M1の右側後方の位置42p0から左側後方の位置42p2まで旋回させるとともに、X線検出器52を、被写体M1の右側前方の位置52p0から左側前方の位置52p2まで旋回させている。そして、X線発生器42が関心断層LOIに対して正対状態となるときに、X線発生器42が位置42p1を通過するとともに、X線検出器52が位置52p1を通過するように、X線発生器42およびX線検出器52の撮影軌道が設定される。X線発生器42の位置42p1は、X線発生器42が関心断層LOIに正対していないときのX線発生器42の位置(例えば、位置42p0,42p2)よりも、関心断層LOIから遠くなっている。また、位置52p1は、X線発生器42が関心断層LOIに正対していないときのX線検出器52の位置(例えば、位置52p0,52p2)よりも、関心断層LOIに近くなっている。このように撮影軌道が設定されることによって、正対時に投影拡大率を低下させることができるため、関心断層LOIについて高画質のX線断層画像を生成できる。
また、図25に示すトモシンセシス撮影を行うにあたって、線量設定部308は、X線発生器42が関心断層LOIに正対するとき、正対していないときと比べて、単位時間線量を相対的に大きくするように、撮影制御部80を動作させる線量制御データを生成する。例えば、単位時間線量の変更をX線強度の変更によって行う場合、X線発生器42が関心断層LOIに正対する位置42p1を通過するときのX線強度を、正対していないときの位置(例えば、位置42p0,42p2)のときのX線強度よりも大きくするとよい。また、単位時間線量の変更を旋回速度の変更によって行う場合、X線発生器42が関心断層LOIに正対する位置42p1にあるときの旋回速度を、正対していないときの位置(例えば、位置42p0,42p2)にあるときの旋回速度よりも小さくするとよい。
<X線断層撮影の流れ>
図26は、X線断層撮影装置10の動作を示す流れ図である。以下の説明では、被写体M1が撮影部20における位置づけが完了しているものとする。
まず、情報処理部30が、関心断層LOI又は撮影領域ROIを指定するための指定用画像を表示部32に表示する(ステップS101)。この指定用画像は、例えば図4〜図8に示すように、関心部位が描かれた模式図IL1、又は、被写体M1をX線断層撮影して得られる透過画像(パノラマX線画像IL2又は2方向からX線断層撮影した透過画像など)である。
続いて、情報処理部30は、骨格サイズの指定操作を受け付ける(ステップS102)。例えば、オペレータが被写体M1の身体的特徴(性別、年齢、身長又は体重など)を入力すると、情報処理部30が入力された身体的特徴に対応する骨格サイズを所定のデータベースから取得する。各サイズは統計的なデータから標準的なものが設定されてよい。取得された骨格サイズは、撮影部20に配された被写体M1の撮影対象部位の位置と、指定用画像における撮影対象部位の位置とを近似的に合致させるために利用される。
なお、指定用画像として、被写体M1をX線断層撮影することによって得られた透過画像(パノラマX線画像IL2など)を使用する場合には、ステップS102をスキップしてもよい。また、ステップS102において骨格サイズが指定されると、情報処理部30がその指定の骨格サイズに合った指定用画像を表示部32に再表示してもよい。例えば、身体的特徴ごとの模式図IL1を予め用意しておき、指定の身体的特徴に応じた模式図IL1を表示してもよい。
続いて、情報処理部30が、関心断層LOI又は撮影領域ROIの指定操作を受け付ける(ステップS103)。関心断層LOI又は撮影領域ROIの指定操作は、例えば、図4〜図8において説明した通りである。なお、ステップS103において、関心断層LOIおよび撮影領域ROIの各々が、個別に指定されてもよい。また、図7において説明したように、撮影領域ROIを指定することに応じて、関心断層LOIが自動的に設定されてもよい。また、関心断層LOIを指定することに応じて、撮影領域ROIが自動的に設定されてもよい。
続いて、関心断層設定部304が、ステップS103にて受付けられた指定操作に基づき、関心断層LOIの位置、大きさ、および、向きを設定する(ステップS104)。
続いて、撮影軌道設定部306が、X線断層撮影を行う際のX線発生器42およびX線検出器52の撮影軌道を決定する(ステップS105)。ここで、X線断層撮影中に投影拡大率の変更を行う場合、撮影軌道設定部306は、ステップS104にて設定された関心断層LOIに基づき、X線発生器42およびX線検出器52の撮影軌道PT42,PT52を決定する。具体的には、図19〜図22および図25において説明したように、X線発生器42が関心断層LOIに対して正対するときの投影拡大率が、正対していないときの投影拡大率よりも小さくなるように、撮影軌道設定部306が撮影軌道PT42,PT52を決定する。一方、投影拡大率の変更を行わない場合、撮影軌道設定部306は、図9、図13および図16において説明したように、通常撮影軌道NT42,NT52を決定する。
X線断層撮影を行う際に投影拡大率を変更するか否かは、オペレータが選択できるようにするとよい。すなわち、投影拡大率の変更の要否を選択するための選択画面を表示部32し、それに応じてオペレータが操作部34を介して操作入力を行うようにしてもよい。
続いて、線量設定部308が、X線断層撮影を行う際の、被写体M1に照射される線量の設定を行う(ステップS106)。具体的には、図9〜図17などで説明したように、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときに、正対していないときと比べて、単位時間線量が大きくなるように撮影制御部80を動作させる線量制御データを生成する。X線強度を変更することによって、単位時間線量の変更を行う場合、線量設定部308は、X線発生制御部810を動作させるための線量制御データを生成するとよい。また、旋回速度を変更することによって、単位時間線量の変更を行う場合、線量設定部308は、旋回移動駆動制御部80Dを動作させるための線量制御データを生成するとよい。
また、図16において説明したように、線量設定部308は、高X線吸収部位HA1を考慮して、投影角度に応じた単位時間線量の変更を行ってもよい。X線ビームBX1が高X線吸収部位HA1を通過するときの投影角度において、単位時間線量を増大するように、撮影制御部80を動作させる線量制御データを、線量設定部308が生成するとよい。また、このときに使用される高X線吸収部位HA1の位置情報は、ステップS102において指定された骨格サイズに対応するものするとよい。この場合、予め、被写体の身体的特徴に合わせた複数の高X線吸収部位HA1の位置情報を記憶部31に保存しておき、指定さえた骨格サイズに対応するものを記憶部31から読み出すようにしてもよい。
ステップS105の撮影軌道の設定、および、ステップS106の単位時間線量の設定が行われた後に、撮影部20においてX線断層撮影が実行される(ステップS107)。具体的には、撮影軌道のデータおよび線量制御データが撮影制御部80に送られる。そして、それらのデータに基づいて、設定された単位時間線量によるX線照射が行われ、旋回制御部802が旋回駆動部642の動作を制御するとともに、XY方向移動制御部804がXY方向移動駆動部644の動作を制御するなど、旋回移動駆動制御部80Dによる制御が行われる。また、撮影部20は、X線検出器52の検出面に投影される撮影領域ROIのX線投影画像を所定のフレームレートで取り込む。取り込まれたX線投影画像は、情報処理部30の記憶部31などに適宜保存される。
続いて、画像処理部310が、ステップS107にて取得された複数のX線投影画像に対して再構成演算処理を行う(ステップS108)。具体的には、画像処理部310は、フィルター補正逆投影法(FBP法)又は重畳積分法などによって、撮影領域ROIの3次元ボリュームデータを生成する。そして、画像処理部310は、その3次元ボリュームデータに基づいて、関心断層LOIを表すX線断層画像を生成する。トモシンセシス撮影によっても、関心断層LOIおよびその周囲に集中するが、一定の厚みのある3次元画像データが生成でき、関心断層LOIを表すX線断層画像が生成できる。
なお、上述したように、撮影部20においては、X線発生器42が関心断層LOIに正対していないときの単位時間線量を小さくするように、線量設定部308が線量制御データを生成する。なることによって、X線投影画像にノイズが生じやすくなる。これは、低線量のために生じるポアソンノイズ(ショットノイズ)による影響で画質が低下するためである。そこで、正対していないときの投影角度において得られるX線投影画像については、画像処理部310が平滑化処理を行う。
関心断層LOIについてのX線断層画像が生成されると、そのX線断層画像が表示部32に表示される(ステップS109)。
<平滑化処理のフィルターについて>
ここで、画像処理部310が、X線投影画像を平滑化処理する際に使用する平滑化フィルターについて説明する。
図27は、関心断層LOIに対してX線を照射する様子を示す図である。図28は、関心断層LOIについてX線断層撮影するときのX線強度の変化を示す図である。
図27に示すように、ここでは、X軸に平行に延びており、Y軸方向に所定の厚さを有する関心断層LOIを想定する。また、関心断層LOIの中心をXY座標系の原点(0,0)とする。X線ビームBX1の中心軸X線CBX1が常にこの原点を通るように、X線発生器42が旋回するものとする。また、図28に示すように、X線断層撮影開始時の中心軸X線CBX1の向きを+X方向とし、X軸からの中心軸X線CBX1の回転角度を投影角度θとする。具体的には、投影角度0°からX線照射が相対的に低いX線強度Iで開始され、投影角度が90°−Θになる手前からX線強度が上げられる。そして、投影角度が90°−Θを過ぎてからは、相対的に高いX線強度IでX線照射が行われる。投影角度が90°およびその前後では、X線強度がIに維持される。さらに、投影角度が90°+Θになる手前からX線強度が下げられ、投影角度が90°+Θを過ぎた辺りからはX線強度が下げられていき、相対的に低いX線強度Iとされる。そして、投影角度が180°となるまで、X線強度がIに維持される。X線強度を変更するポイントとなるΘの設定例については後述する。
図29は、投影角度θで投影されたX線投影画像の周波数空間分布を示す図である。投影角度θで得られたX線投影画像をフーリエ変換すると、図29に示すように直線LL2の位置のフーリエ係数が得られる。この直線LL2と横軸(ξ軸)との間の角度は、θ−90°である。図29に示すように、高周波成分のフーリエ係数は、低周波成分のフーリエ係数よりも減衰されて取得される。
図30は、180°分のX線投影データの周波数空間分布を概念的に示す図である。180°分のX線投影データを取得することによって、図30に示すように、元の画像(実空間における、線減弱係数の分布)について、高周波成分のフーリエ係数が減衰されたものが得られる。この周波数空間分布について、フーリエ逆変換などを行うことによって、元の画像を再構成できる。
ここで、ガウシアンフィルターHでぼかすことを考える。ガウシアンフィルターHは、以下の式で表される。
Figure 0006734212
投影データの周波数空間分布にガウシアンフィルターHを掛けることは、フーリエ逆変換して得られる分布fと、Hのフーリエ逆変換であるhとの合成積(h*f)を求めることである。なお、Hのフーリエ逆変換hおよび合成積(h*f)は、以下の式で表される。
Figure 0006734212
Figure 0006734212
式(3)が示すように、分布fとフーリエ逆変換hとの合成積を求めることは、分布fをY方向についてぼかすことと等価である。また、Y方向についてぼかすとは、Y方向について足しあわせを行うことである。すなわち、断層厚み2r又は4rのX線断層画像を計算することに等しい。したがって、断層方向一定の関心断層LOIを計算する場合、式(2)で表されるhを適用した後の情報が得ればよいこととなる。
図31は、図30に示す投影データの周波数空間分布にガウシアンフィルターHを掛けたものを示す図である。図31に示すように、図30に示す投影データの周波数空間分布に、ガウシアンフィルターHを掛けることによって、η方向に減衰した形状になる。
ここで、図31に示す周波数空間分布を得るX線断層撮影を行い、フーリエ逆変換したものは、CT再構成で得られる分布fを式(2)のフーリエ逆変換hでぼかした画像、すなわち、X軸に平行な断層についての画像である。
本実施形態では、図28に示すようにX線強度(単位時間線量)を変更して撮影した後に、得られたX線投影画像について、画像処理を行う。このとき、X線強度が相対的に小さいとき(I)の投影角度にて得られるX線投影画像については、回転方向の平滑化処理(ぼかし処理)を行う。これは、低線量のために生じるポアソンノイズ(ショットノイズ)による影響で画質が低下するため、足し合わせによってノイズを低減させることである。
図32は、低線量のX線投影画像について平滑化処理を行った場合の、全X線投影データの周波数空間分布を概念的に示す図である。図32に示す周波数空間分布において、相対的に低い単位時間線量の投影角度(0°〜90°−Θ、90°+Θ〜180°)に対応する周波数空間分布については、平滑化処理によって高周波成分が減衰するため、分布半径が相対的に小さくなる。これに対して、相対的に高い単位時間線量の投影角度(90°−Θ〜90°+Θ)に対応する周波数空間分布については、分布半径が相対的に大きくなる。ここで、図32に示す周波数空間分布の中央部には、破線で示すように、図31に示す周波数空間分布と同等の矩形領域RRが含まれる。すなわち、図32に示す周波数空間分布は、Y軸方向に一定の厚みを持つ関心断層LOIのX線断層画像を計算するために必要な情報を含んでいるといえる。
ここで、平滑化フィルターの半径をdとおく。相対的に低い単位時間線量の投影角度で得られたX線投影データを、半径dのぼかしフィルターで処理した場合、その周波数空間分布の半径は1/dとなる。また、必要な関心断層LOIの厚みをσとおくと、周波数空間分布における矩形領域RRの+η側の長さは、1/σとなる。このため、平滑化フィルターの半径d、関心断層LOIの厚みσおよび角度Θには、下記の式が成り立つ。
Figure 0006734212
例えば、関心断層LOIの厚みσを大きくした場合、相対的に高い単位時間線量を照射する角度の範囲は小さくなり、関心断層LOIの厚みσを小さくした場合、相対的に高い単位時間線量を照射する角度の範囲は大きくなるという関係が成り立つ。
前述のとおり、図3に示す関心断層LOIの厚みTN1はオペレータからの指定入力に基づいて設定してもよいので、関心断層設定部304に図示しない断層厚み(断層厚)の指定を受け付ける断層厚指定受付部304tを設けてもよい。そして、断層厚指定受付部304tが受け付けた指定に係る断層厚の大小に応じて、撮影制御部80の制御に基づく単位時間線量の増減パターンが設定されるとよい。すなわち、指定に係る断層厚が比較的大きい場合、撮影制御部80が、相対的に高い単位時間線量を照射するX線ビームBX1の入射角度の範囲を比較的小さくするとよい。また、指定に係る断層厚が比較的小さい場合、撮影制御部80が相対的に高い単位時間線量を照射するX線ビームBX1の入射角度の範囲を大きくするとよい。
また、線量変化に合わせて、平滑化の半径を変えてよい(平滑化のサイズの変更)。具体的には、線量が1/αになった場合は、平滑化フィルターの半径dを2αよりも大きくするとよい。なお、半径dを大きくしすぎると、矩形領域RRの強度が弱くなってしまう。許容し得る半径dの最大のサイズは、式(4)の「Θ」を「θ」に置き換えて与えられるd(=σ・sinθ)である。すなわち、半径dは、2αからσ・sinθの範囲内で変更するとよい。
ここで、図28に示す例では、高いX線強度をIとし、低いX線強度をIとしている。仮に、X線強度をIに固定してX線断層撮影を行った場合の総線量Tγとし、本実施形態に係るX線断層撮影の総線量Tγとする。すると、それらの比は、以下の式(5)で表される。
Figure 0006734212
例えば、Θを10°とし、I/Iを1/5とする。これを、式(5)に代入すると、Tγ:Tγは、およそ4:1となる。すなわち、低線量と高線量とに切り替えてX線断層撮影を行った場合、常に高線量でX線断層撮影を行った場合に比べて、総被曝量を1/4に抑制できる。
また、単位時間線量を低下させることで、SN比が低下する。そこで、線量の比の分だけ画素値を足し合わせることによって、SN比を改善することが考えられる。例えば、線量の比(ここでは、X線強度IおよびIの比)が1/5である場合、平滑化フィルターの半径をdとすると、画素を連続で考える場合には、1/5=1/2d、すなわち、半径dを2.5とすればよい。また、画素を離散で考える場合には、1/5=1/(2d+1)、すなわち、半径dを2とすればよい。
Θの値は任意でよく、前述の図10に関する説明における略直角に対応して、例えば5°として演算してもよい。
<2. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。以下、上記実施形態の変形例について説明する。なお、以降の説明において、既に説明した要素と同様の機能を有する要素については、同じ符号又はアルファベット文字を追加した符号を付して、詳細な説明を省略する場合がある。
<第1変形例>
図33は、変形例のX線断層撮影装置10の構成を示す図である。本変形例に係る被写体保持部72aは、被写体M1が着座する被写体用椅子74を備える。図1、図2に示される上記実施形態では、XY方向移動駆動部644は、シャフト66をX軸方向およびY軸方向に移動させることによって、旋回アーム62をXY平面内で平行移動させる。これによって、X線発生器42およびX線検出器52が、被写体M1に対して相対的にX軸方向およびY軸方向に移動する。これに対して、本変形例では、XY方向移動駆動部644は、被写体用椅子74に接続されており、被写体用椅子74をX軸方向およびY軸方向に移動させる。これによって、被写体M1が、旋回アーム62のX線発生器42およびX線検出器52に対して相対的にX軸方向およびY軸方向に移動する。
本変形例のX線断層撮影装置10の場合において、X線断層撮影中に投影拡大率を小さくする場合、X線断層撮影中に、被写体用椅子74を移動させて被写体M1を適宜の位置へ移動させる。すなわち、関心断層LOIに対応する部分を、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときに、X線発生器42に対しては離隔させ、X線検出器52に対しては接近させる。これによって、正対状態における投影拡大率を低下させることができる。
上記実施形態の撮影部20は、旋回駆動部642が旋回アーム62を回転させることによって、X線発生器42およびX線検出器52を被写体M1の周囲で旋回させている。しかしながら、旋回駆動部642が被写体保持部を回転させることによって、被写体を回転させてもよい。
なお、撮影部20が旋回アーム62を備えることは必須ではない。例えば、円環状に形成された環状部材にX線発生部40およびX線検出部50を取付けるとともに、その環状部材の周方向に沿ってX線発生部40およびX線検出部50が移動するようにしてもよい。この場合、環状部材の中心を通る仮想的な軸が、旋回中心軸RA1となる。
また、上記撮影部20においては、Z軸方向に延びる旋回中心軸RA1を鉛直方向に設定している。しかしながら、旋回中心軸RA1を水平方向に設定してもよい。
<X線発生器42およびX線検出器52のうち一方のみを移動させる構成について>
上記実施形態では、関心断層LOIに対してX線発生器42およびX線検出器52の双方を移動させることによって、X線発生器42が関心断層LOIに正対したときの投影拡大率を小さくしている。しかしながら、X線発生器42およびX線検出器52のうち、どちらか一方のみを関心断層LOIに対して移動させることによって、投影拡大率を小さくしてもよい。
図34は、X線検出器52のみを移動させることによって、投影拡大率を低下させる様子を示す図である。図34に示すように、X線検出器52のみを撮影領域ROIに接近させることによって、投影拡大率が小さくなる。これによって、焦点面420の大きさに因るX線投影画像上におけるぼけを低減できる。
図34に示すように、X線検出器52のみを移動させる場合、X線検出部50にX線検出器52をy方向に移動させる移動駆動部(不図示)を設ければよい。このような移動駆動部は、リニアモータ式又はボールネジ式の駆動部で構成してもよい。
図35は、X線発生器42のみを移動させることによって、投影拡大率を低下させる様子を示す図である。図35に示すように、X線発生器42(焦点面420)のみを撮影領域ROIから離隔させることによって、投影拡大率が小さくなる。これによって、焦点面420の大きさに因るX線投影画像上におけるぼけを低減できる。なお、図34および図35に示す焦点面420は、図18に示す焦点面420と同等のものである。
X線発生器42のみを移動させる場合、旋回アーム62において、X線発生器42を含むX線発生部40全体をy方向に移動させる移動駆動部を設ければよい。この場合、旋回アーム62を伸縮可能に構成することが考えられる。
図36は、変形例の旋回アーム62aを示す概略側面図である。図36に示すように、旋回アーム62aのうちX線発生部40を支持する一端部620は、旋回アーム62の本体部622の内側に収容可能に構成されている。また、旋回アーム62aは、一端部620をy方向に移動させる移動駆動部(不図示)を備える。移動駆動部が一端部620を本体部622に収容することによって、旋回アーム62が短縮され、X線発生器42がX線検出器52に接近する。移動駆動部が一端部620を本体部622から出すことによって、旋回アーム62が延長され、X線発生器42がX線検出器52から離隔する。
この変形例に係る旋回アーム62aによれば、X線発生部40を移動させる際に、旋回アーム62a自体も伸縮する。旋回アーム62aが旋回中に他の部材に衝突する空間を通過する場合には、旋回アーム62aを縮めることによって衝突を回避できる。
図37は、変形例に係る旋回アーム62bを示す概略側面図である。旋回アーム62bは、旋回アーム62に対して、X線発生部40をy方向に移動させる移動駆動部624を備える。X線断層撮影中に、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときに、X線発生器42を被写体M1から離隔する方向に移動させることによって、投影拡大率を低下させることができる。
なお、旋回アーム62bの場合、X線発生部40をy方向に移動させることによって旋回中にX線発生部40が他部材に接触することを抑制できる。なお、旋回アーム62b自体は伸縮しないため、旋回アーム62が他の部材に接触しないように旋回させる必要がある。この点において、図37に示す旋回アーム62aの方が、旋回アーム62bよりも有利である。
<正対した状態からX線断層撮影を開始するX線断層撮影>
図38は、X線断層撮影の一例を示す図である。図39は、図38に示すCT撮影における、投影角度に応じたX線強度のグラフG10を示す図である。本CT撮影の撮影領域ROIおよび関心断層LOIは、図9に示すCT撮影における撮影領域ROIおよび関心断層LOIと一致している。ただし、本CT撮影は、X線開始時のX線発生器42の位置42p0が、関心断層LOIに正対する位置である点で、図9に示すCT撮影とは異なる。
本CT撮影のように、X線発生器42が関心断層LOIに正対した状態から撮影を開始する場合、図39に示すように、投影角度が0°の時点でX線強度を相対的に大きいIとする。そして、X線発生器42が関心断層LOIに正対していない期間(例えば、位置42p1〜位置42p3を通過する期間)は、X線強度をIよりも小さいIとする。投影角度が180°となる位置42p4では、再びX線発生器42が関心断層LOIに正対する。そこで、X線発生器42が位置42p4に到達するまでに、X線強度をIに上昇させるとよい。ここでは、単位時間線量の変更をX線強度の変更によって行う場合について説明したが、旋回速度の変更によって行ってもよい。
<X線ビームBX1をシフトさせるX線断層撮影の例>
図40は、X線断層撮影の一例を示す図である。図40に示すX線断層撮影は、オフセットスキャンと呼ばれるCT撮影の例である。オフセットスキャンにおいては、X線検出器52が撮影領域ROIの中心点CP1に対して横にずらして配置され、X線ビームBX1の照射範囲が撮影領域ROIの半分以上全域未満の領域となるように設定される。また、X線ビームBX1の中心軸X線CBX1が撮影領域ROIの中心点CP1から外れた位置に設定される。ただし、CT撮影中におけるX線ビームBX1の旋回中心は、撮影領域ROIの中心点CP1に設定される。
図示の例では、X線ビームBX1を、撮影領域ROIのうち半分の領域を常に通過するようにシフトさせて撮影領域ROIのX線投影データを取得するCT撮影を行う。本CT撮影においては、X線発生器42を位置42p0から、撮影領域ROIの中心点CP1を中心に360°旋回させることによって、撮影領域ROIについて、180°分のX線投影データを取得している。本CT撮影中、撮影制御部80が旋回駆動部642およびXY方向移動駆動部644を制御することによって、シャフト66が破線で示す円形状の軌道上を移動する。
本CT撮影においても、X線発生器42が関心断層LOIに正対するときの単位時間線量を、正対していない期間の単位時間線量よりも大きくするとよい。本例の場合、X線発生器42が、投影角度が0°となる位置42p0、および、投影角度が180°となる位置42p2において、X線発生器42から出射されたX線ビームBX1の中心軸X線CBX1が、関心断層LOIに対して直交に入射する状態、すなわち、X線発生器42が関心断層LOIに正対する状態となる。そこで、これらの位置42p0,42p2にあるときの単位時間線量を相対的に大きくするとよい。
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
10 X線断層撮影装置
20 撮影部
30 情報処理部
302 撮影領域設定部
304 関心断層設定部
306 撮影軌道設定部
308 線量設定部
310 画像処理部
31 記憶部
34 操作部
40 X線発生部
42 X線発生器
420 焦点面
44 X線規制部
52 X線検出器
60 支持部
62,62a,62b 旋回アーム
642 旋回駆動部
644 XY方向移動駆動部
66 シャフト
70 支柱部
72 被写体保持部
80 撮影制御部
802 旋回制御部
804 XY方向移動制御部
808 X線検出制御部
810 X線発生制御部
ANG1 入射角度
BX1 X線ビーム
CBX1 中心軸X線
CP1 中心点
DA1 歯列弓
HA1 高X線吸収部位
LOI 関心断層
M1 被写体
NT42 通常撮影軌道
NT52 通常撮影軌道
PT42 撮影軌道
PT52 撮影軌道
RA1 旋回中心軸
ROI 撮影領域

Claims (12)

  1. X線断層撮影装置であって、
    X線ビームを出射するX線発生器と、
    前記X線発生器から出射された前記X線ビームを検出するX線検出器と、
    前記X線発生器および前記X線検出器を支持する支持部と、
    関心断層の位置を設定する関心断層設定部と、
    前記X線発生器および前記X線検出器を、前記関心断層に対して少なくとも旋回中心軸周りに相対的に旋回させる旋回駆動部と、
    前記X線検出器が出力する出力信号に基づいて生成された投影画像を画像処理することによって、前記関心断層を示すX線断層画像を生成する画像処理部と、
    前記旋回駆動部を制御するとともに、単位時間当たりに前記関心断層に照射されるX線の線量である単位時間線量を変更する制御を行う制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記X線ビームの中心軸が前記関心断層に直交していない期間のうち少なくとも一部のときの前記単位時間線量を、直交するときの前記単位時間線量よりも相対的に小さくするように、前記旋回駆動部の制御および前記単位時間線量の変更制御を行う、X線断層撮影装置。
  2. 請求項1のX線断層撮影装置であって、
    前記支持部は、一端側に前記X線発生器を支持するとともに、他端側に前記X線検出器を支持する旋回アーム、を含み、
    前記旋回駆動部は、前記旋回アームにおける前記X線発生器および前記X線検出器の間の位置に接続されたシャフトを介して前記旋回アームを旋回させる、X線断層撮影装置。
  3. 請求項1又は請求項2のX線断層撮影装置であって、
    前記X線ビームが複数の方向から照射されることによって複数の投影画像が取得される撮影領域の指定を受け付ける撮影領域指定受付部、
    をさらに備える、X線断層撮影装置。
  4. 請求項3に記載のX線断層撮影装置であって、
    前記関心断層設定部は、前記撮影領域指定受付部が受け付けた前記撮影領域に応じて前記関心断層の位置を設定する、X線断層撮影装置。
  5. 請求項4のX線断層撮影装置であって、
    前記撮影領域指定受付部は、歯列弓の一部を含むように前記撮影領域の指定を受付け、
    前記関心断層設定部は、前記撮影領域内に含まれる前記歯列弓の一部に沿う断層を前記関心断層に設定する、X線断層撮影装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項のX線断層撮影装置であって、
    前記制御部は、前記X線発生器から出射される前記X線ビームの強度を増減することによって、前記単位時間線量を増減させ、
    前記画像処理部は、所定のしきい値よりも低い強度の前記X線ビームの照射によって得られた前記投影画像に対して平滑化処理を行ってから、前記X線断層画像を生成する、X線断層撮影装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項のX線断層撮影装置であって、
    前記関心断層の断層厚の指定を受け付ける断層厚指定受付部、
    をさらに備え、
    前記制御部は、指定された前記断層厚に応じて、前記単位時間線量を増大および減少させるときの前記X線ビームの入射角度を決定する、X線断層撮影装置。
  8. 請求項3のX線断層撮影装置であって、
    前記制御部は、
    X線吸収率が他の部位よりも高い高X線吸収部位の位置を示す位置情報に基づき、前記X線ビームの経路上にて、前記高X線吸収部位が存在する場合の前記単位時間線量を、前記高X線吸収部位が存在しない場合の前記単位時間線量よりも大きくする、X線断層撮影装置。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項のX線断層撮影装置であって、
    前記X線検出器を、前記旋回中心軸に垂直な方向に、前記関心断層に対して相対的に移動させる移動駆動部、
    をさらに備え、
    前記制御部は、前記X線ビームの前記中心軸が前記関心断層に直交するときに、直交していない期間のうち少なくとも一部のときよりも、前記X線検出器を前記関心断層に接近、又は、前記X線発生器を前記関心断層から離隔するように、前記移動駆動部を制御する、X線断層撮影装置。
  10. X線断層撮影方法であって、
    (a) 関心断層の位置を設定する工程と、
    (b) X線発生器およびX線検出器の間に前記関心断層を配した状態で、前記X線発生器および前記X線検出器を、前記関心断層に対して旋回中心軸周りに相対的に旋回させる工程と、
    (c) 前記(b)工程にて、前記X線発生器から出射されるX線ビームを前記X線検出器で検出する工程と、
    (d) 前記(b)工程にて、単位時間あたりに前記関心断層に照射されるX線の線量である単位時間線量を変更する工程と、
    (e) 前記(c)工程にて前記X線検出器が出力する出力信号に基づいて生成される複数の投影画像を画像処理して、前記関心断層を示すX線断層画像を生成する工程と、
    を含み、
    前記(d)工程は、前記X線ビームの中心軸が前記関心断層に直交していない期間のうち少なくとも一部のときの前記単位時間線量を、直交するときの前記単位時間線量よりも相対的に小さくするように、前記単位時間線量を変更する工程である、X線断層撮影方法。
  11. X線断層撮影装置であって、
    X線ビームを出射するX線発生器と、
    前記X線発生器から出射された前記X線ビームを検出するX線検出器と、
    前記X線発生器および前記X線検出器を支持する支持部と、
    関心断層の位置を設定する関心断層設定部と、
    前記X線発生器および前記X線検出器を、前記関心断層に対して少なくとも旋回中心軸周りに相対的に旋回させる旋回駆動部と、
    前記X線検出器が出力する出力信号に基づいて生成された投影画像を画像処理することによって、前記関心断層を示すX線断層画像を生成する画像処理部と、
    前記旋回駆動部を制御するとともに、単位時間当たりに前記関心断層に照射されるX線の線量である単位時間線量を増減させる制御を行う制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記X線ビームが前記関心断層に正対入射するときの前記単位時間線量を、前記X線ビームが前記関心断層に正対入射していない期間のうち少なくとも一部のときの前記単位時間線量よりも相対的に大きくするように、前記旋回駆動部の制御および前記単位時間線量の変更制御を行う、X線断層撮影装置。
  12. X線断層撮影装置であって、
    X線ビームを出射するX線発生器と、
    前記X線発生器から出射された前記X線ビームを検出するX線検出器と、
    前記X線発生器および前記X線検出器を支持する支持部と、
    関心断層の位置を設定する関心断層設定部と、
    前記X線発生器および前記X線検出器を、前記関心断層に対して少なくとも旋回中心軸周りに相対的に旋回させる旋回駆動部と、
    前記X線検出器が出力する出力信号に基づいて生成された投影画像を画像処理することによって、前記関心断層を示すX線断層画像を生成する画像処理部と、
    前記旋回駆動部を制御するとともに、単位時間当たりに前記関心断層に照射されるX線の線量である単位時間線量を変更する制御を行う制御部と、
    を備え、
    前記X線ビームの中心軸が前記関心断層に85°から95°の範囲の入射角度となるときを、前記X線発生器が前記関心断層に正対する状態とすると、
    前記制御部は、前記X線発生器が前記関心断層に正対していない期間のうち少なくとも一部のときの前記単位時間線量を、正対するときの前記単位時間線量よりも相対的に小さくするように、前記旋回駆動部の制御および前記単位時間線量の変更制御を行う、X線断層撮影装置。
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