JP6729505B2 - インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録装置と、インクジェット記録方法とに関する。
インクジェット記録装置を用いて記録媒体に記録を行う場合、まず、インクを記録ヘッドの吐出面から吐出する。次に、記録ヘッドのメンテナンスを行う。詳しくは、まず、インクを吐出面から排出する(パージ工程)。また、洗浄液を吐出面へ供給する。洗浄液としては、例えば、下記特許文献1に記載のメンテナンス液が知られている。その後、例えばブレードを用いて、吐出面を払拭する(ワイプ工程)。記録ヘッドのメンテナンスを行うことで、インクの吐出性能の低下を防止できる。
特開2013−146965号公報
洗浄液を吐出面へ供給する方法としては、種々の方法が知られている。例えば、洗浄液を含浸するスポンジを、吐出面へ押し当ててもよい。洗浄液を含浸するローラーを用いて、洗浄液を吐出面へ塗布してもよい。噴霧器を用いて、洗浄液を吐出面へ噴霧してもよい。しかし、何れの方法を用いても、インクジェット記録装置が大型化してしまう。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、インクの吐出性能に優れるインクジェット記録装置の小型化を図ることである。また、本発明の別の目的は、このようなインクジェット記録装置を用いたインクジェット記録方法を提供することである。
本発明に係るインクジェット記録装置は、記録媒体に記録を行う。詳しくは、本発明に係るインクジェット記録装置は、ノズルヘッドと、前記ノズルヘッドに設けられ、前記ノズルヘッドの下面の第1領域において開口するインク用ノズルと、前記インク用ノズルから吐出及び排出される水性インクと、前記第1領域を洗浄する水性洗浄液と、前記ノズルヘッドの下面に接触しながら前記ノズルヘッドの下面に沿って移動するクリーニング部材とを備える。前記ノズルヘッドには、前記ノズルヘッドの下面のうち前記第1領域を除く第2領域において開口する洗浄液用ノズルが、さらに、設けられている。前記水性洗浄液は、前記洗浄液用ノズルから前記第2領域へ供給される。前記クリーニング部材は、前記第2領域に対向する位置から前記第1領域に対向する位置へ移動する。前記水性インクの表面張力が、30mN/m以上37mN/m以下である。前記水性洗浄液の表面張力が、26mN/m以上32mN/m以下である。前記水性洗浄液の表面張力に対する前記水性インクの表面張力の比率が、1.10以上1.40以下である。
本発明に係るインクジェット記録方法では、前述の構成を有するインクジェット記録装置を用いて記録媒体に記録を行う。詳しくは、本発明に係るインクジェット記録方法は、前記水性インクが前記インク用ノズルから前記記録媒体へ吐出される吐出工程と、前記水性インクが前記インク用ノズルから排出されるパージ工程と、前記水性洗浄液が前記洗浄液用ノズルから前記第2領域へ供給される供給工程と、前記クリーニング部材が前記ノズルヘッドの下面に接触しながら前記ノズルヘッドの下面に沿って前記第2領域に対向する位置から前記第1領域に対向する位置へ移動するワイプ工程とを含む。前記パージ工程と、前記供給工程とは、各々、前記吐出工程よりも後であって前記ワイプ工程よりも前に、行われる。前記供給工程では、前記水性洗浄液が、前記洗浄液用ノズルの開口から鉛直方向下側へ突出する液滴の状態で、保持される。
本発明によれば、インクの吐出性能に優れるインクジェット記録装置の小型化を図ることができる。
本発明に係るインクジェット記録装置の一例を示す図である。 本発明に係るインクジェット記録装置に含まれるノズルヘッドの断面構造の一例を示す図である。 本発明に係るインクジェット記録方法の一工程を示す図である。 本発明に係るインクジェット記録方法の一工程を示す図である。
以下、図1〜図4を用いて、本実施形態に係るインクジェット記録装置と本実施形態に係るインクジェット記録方法とを順に説明する。なお、図面において、同一の参照符号は、同一部分又は相当部分を表すものである。長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は、図面の明瞭化及び簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。また、図1〜図4に示すX軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。また、図1〜図4において、Z1は、鉛直方向上側を表し、Z2は、鉛直方向下側を表す。
[インクジェット記録装置]
図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置を示す図である。インクジェット記録装置10は、記録媒体Sに記録を行う。詳しくは、インクジェット記録装置10は、カートリッジ2と、ノズルヘッド4と、クリーニング部材6と、制御部8と、給紙カセット91と、手差しトレイ93と、第1搬送部95と、第2搬送部97と、排出トレイ99とを備える。以下、インクジェット記録装置10の構成を具体的に説明する。
給紙カセット91には、複数の記録媒体Sが重ねられた状態で収納される。手差しトレイ93には、複数の記録媒体Sが重ねられた状態でセットされる。第1搬送部95は、給紙カセット91又は手差しトレイ93から供給された記録媒体Sを吸着しながら搬送方向M1に沿って搬送する。第2搬送部97は、第1搬送部95から搬送された記録媒体Sを吸着しながら搬送方向M2に沿って搬送する。排出トレイ99には、第2搬送部97から搬送された記録媒体Sが排出される。記録媒体Sとしては、例えば、普通紙、コピー紙、再生紙、薄紙、厚紙、光沢紙、又はOHP用紙を使用できる。
カートリッジ2は、インクジェット記録装置10に着脱自在に装着される。カートリッジ2は、水性インクと、水性洗浄液と、第1タンク21と、第2タンク23とを有する。第1タンク21は、水性インクを収容する。第2タンク23は、水性洗浄液を収容する。
ノズルヘッド4は、水性インクを吐出及び排出する。それだけでなく、ノズルヘッド4は、水性洗浄液を供給する。クリーニング部材6は、ノズルヘッド4の下面を払拭する。制御部8は、インクジェット記録装置10を制御して、記録媒体Sへの記録を実行する。以下、水性インク及び水性洗浄液の各々の物性と、ノズルヘッド4の構成と、クリーニング部材6の構成とを、順に説明する。
<水性インク及び水性洗浄液の各々の物性>
水性インクの表面張力が、30mN/m以上37mN/m以下である。水性洗浄液の表面張力が、26mN/m以上32mN/m以下である。水性洗浄液の表面張力に対する水性インクの表面張力の比率(以下、「表面張力の比率」と記載する)が、1.10以上1.40以下である。
水性インクの表面張力が30mN/m以上であれば、表面張力の比率が1.10以上となり易い。水性インクの表面張力が37mN/m以下であれば、表面張力の比率が1.40以下となり易い。水性洗浄液の表面張力が26mN/m以上であれば、表面張力の比率が1.40以下となり易い。水性洗浄液の表面張力が32mN/m以下であれば、表面張力の比率が1.10以上となり易い。
水性インクが0.6質量%以上1.5質量%以下のアセチレン型界面活性剤を含有すれば、水性インクの表面張力が30mN/m以上37mN/m以下となり易い。水性インクにおけるアセチレン型界面活性剤の含有量が多くなるほど、水性インクの表面張力が小さくなる傾向にある。水性インクにおけるアセチレン型界面活性剤の含有量が少なくなるほど、水性インクの表面張力が大きくなる傾向にある。アセチレン型界面活性剤としては、例えば、日信化学工業株式会社製「オルフィン(登録商標)E1010」を使用できる。「オルフィンE1010」は、アセチレンジオールのエチレンオキシド付加物を含む。
水性洗浄液が1.0質量%以上2.0質量%以下のポリオキシアルキレンアルキルアミンを含有すれば、水性洗浄液の表面張力が26mN/m以上32mN/m以下となり易い。水性洗浄液におけるポリオキシアルキレンアルキルアミンの含有量が多くなるほど、水性洗浄液の表面張力が小さくなる傾向にある。水性洗浄液におけるポリオキシアルキレンアルキルアミンの含有量が少なくなるほど、水性洗浄液の表面張力が大きくなる傾向にある。
ポリオキシアルキレンアルキルアミンは、下記式(1−1)で表される構造を有することが好ましい。下記式(1−1)で表される構造を有するポリオキシアルキレンアルキルアミン(以下、「アミン型界面活性剤(1−1)」と記載する)としては、例えば、花王株式会社製「アミート(登録商標)105A」、花王株式会社製「アミート320」、又は、三洋化成工業株式会社製「ピュアミール(登録商標)EP−300S」を使用できる。
上記式(1-1)において、R1は炭素数が1以上24以下である炭化水素基を表す。好ましくは、R1は炭素数が1以上24以下であるアルキル基又はアルケニル基を表す。A1O、及びA2Oは、各々独立に、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とのうちの少なくとも1つを表す。m1及びn1は、各々、0以上の整数を表し、1≦(m1+n1)≦100を満たす整数を表す。好ましくは、m1及びn1は、各々、0以上の整数を表し、1≦(m1+n1)≦40を満たす整数を表す。
なお、水性インクの表面張力は、25℃で測定される水性インクの表面張力を意味する。水性インクの表面張力は、例えば、Wilhelmy法(プレート法)に従って測定される。同様に、水性洗浄液の表面張力は、25℃で測定される水性洗浄液の表面張力を意味する。水性洗浄液の表面張力は、例えば、Wilhelmy法(プレート法)に従って測定される。Wilhelmy法による表面張力の測定において、表面張力測定計としては、例えば、協和界面科学株式会社製「自動表面張力計 DY−300」を使用できる。
<ノズルヘッド>
図1及び図2を用いて、ノズルヘッド4を説明する。図2は、ノズルヘッド4の断面構造を示す図である。
前述したように、ノズルヘッド4は、水性インクを吐出及び排出し、水性洗浄液を供給する。そのため、ノズルヘッド4の下面には、水性インクが吐出及び排出される領域(第1領域R1)と、水性洗浄液が供給される領域(第2領域R2)とが、存在する。より具体的には、ノズルヘッド4は、記録ヘッド41と、洗浄液供給部141とを有する。記録ヘッド41は、インク用流路により第1タンク21に接続され、第1タンク21から供給された水性インクを吐出及び排出する。また、洗浄液供給部141は、洗浄液用流路により第2タンク23に接続され、第2タンク23から供給された水性洗浄液を供給する。よって、第1領域R1は記録ヘッド41の下面42に位置し、第2領域R2は洗浄液供給部141の下面142に位置する。以下、記録ヘッド41と洗浄液供給部141とを順に説明する。
(記録ヘッド)
記録ヘッド41は、ラインヘッドであり、記録媒体Sの搬送方向M1に対して垂直な方向に延びる。そのため、記録ヘッド41の長手方向は、X軸方向に対して平行である。
記録ヘッド41には、複数のインク用ノズル47が設けられている。インク用ノズル47は、各々、記録ヘッド41の下面42の中央領域において開口する。インク用ノズル47は、各々、水性インク(例えば、第1タンク21から供給された水性インク)を、インク用ノズル47の開口48から鉛直方向下側Z2へ吐出及び排出する。
なお、記録ヘッド41は、シリアルヘッドであってもよい。少なくとも記録ヘッド41の下面42は、ステンレス鋼(SUS)で構成されていることが好ましい。記録ヘッド41の下面42におけるインク用ノズル47の開口48の個数、大きさ、外形、及び配置は、何れも、特に限定されない。水性インクの吐出方式は、ピエゾ方式であってもよいし、サーマル方式であってもよい。
(洗浄液供給部)
洗浄液供給部141は、記録ヘッド41の長手方向一端に固定されている。洗浄液供給部141は、筐体143と、板状の蓋体145とを有する。また、洗浄液供給部141には、少なくとも1つの洗浄液用ノズル147が設けられている。
筐体143は、第2タンク23から供給された水性洗浄液を収容する。詳しくは、筐体143は、ヘッド側側壁143Aと、反対側側壁143Bと、第1傾斜部143Cとを有する。筐体143を構成する側壁のうち、記録ヘッド41のヘッド端面に当接する側壁がヘッド側側壁143Aに相当し、ヘッド側側壁143Aとは反対側に位置する側壁が反対側側壁143Bに相当する。第1傾斜部143Cは、反対側側壁143Bの下端に接続される。第1傾斜部143Cは、鉛直方向上側Z1から鉛直方向下側Z2へ進むにつれてヘッド側側壁143Aへ近づくように傾斜するが、ヘッド側側壁143Aに接触しない。
蓋体145は、筐体143よりも、鉛直方向下側Z2に位置する。蓋体145は、折曲部を有し、折曲部を挟んで第2傾斜部145Aと水平部145Bとをさらに有する。第2傾斜部145Aは、第1傾斜部143Cの下面に当接する。水平部145Bは、第2傾斜部145Aよりも鉛直方向下側Z2に位置する。水平部145Bは、記録ヘッド41の下面42の周縁領域へ向かって水平方向に延び、記録ヘッド41の下面42の周縁領域に固定される。そのため、洗浄液供給部141の下面142は、記録ヘッド41の下面42よりも、鉛直方向下側Z2に位置する。
洗浄液用ノズル147は、洗浄液供給部141の下面142において開口し、より具体的には水平部145Bの下面において開口する。洗浄液用ノズル147は、各々、水性洗浄液(例えば、第2タンク23から供給された水性洗浄液)を、洗浄液用ノズル147の開口148から第2領域R2へ供給する。ここで、水性洗浄液の表面張力は、26mN/m以上32mN/m以下である。そのため、水性洗浄液は、洗浄液用ノズル147の開口148から鉛直方向下側Z2へ突出する液滴(以下、「半球状の液滴」と記載する)の状態で、洗浄液供給部141の下面142へ供給され易い。水性洗浄液の表面張力が小さすぎると、水性洗浄液を半球状の液滴の状態で保持し難い。水性洗浄液の表面張力が大きすぎると、水性洗浄液が洗浄液用ノズル内を流動し難いため、水性洗浄液が第2領域へ供給され難い。
洗浄液用ノズル147の内径が小さいほど、半球状の液滴の半径が小さくなる傾向にあるため、水性洗浄液を半球状の液滴の状態で保持し易い傾向にある。一方、洗浄液用ノズル147の内径が大きいほど、半球状の液滴の半径が大きくなる傾向にあるため、水性洗浄液の供給量(洗浄液用ノズル147の開口148の近傍に保持される水性洗浄液の量)が多くなる傾向にある。これらを考慮して、さらには水性洗浄液の表面張力が26mN/m以上32mN/m以下であることを考慮して、洗浄液用ノズル147の内径を決定することが好ましい。例えば、洗浄液用ノズル147の内径は、好ましくは10μm以上500μm以下であり、より好ましくは30μm以上400μm以下であり、さらに好ましくは40μm以上200μm以下である。内径が10μm未満であるノズルの加工は困難となることがある。
なお、少なくとも洗浄液供給部141の下面142は、樹脂で構成されていることが好ましい。洗浄液供給部141の下面142における洗浄液用ノズル147の開口148の個数、大きさ、外形、及び配置は、何れも、特に限定されない。また、洗浄液用ノズル147の開口148を塞ぐためのキャップ部材が設けられていても良い。キャップ部材が設けられていれば、洗浄液用ノズル147内において水性洗浄液が乾燥することを防止できる。
<クリーニング部材>
図1を用いて、クリーニング部材6を説明する。クリーニング部材6は、ブレード61を有する。ブレード61は、ノズルヘッド4の下面に対向する位置と第2搬送部97に対向する位置との間を移動する。また、ブレード61は、上昇方向D1及び下降方向D2の各方向に沿って移動する。「上昇方向D1」とは、Z軸方向に沿って鉛直方向上側Z1へ向かう方向を意味する。「下降方向D2」とは、Z軸方向に沿って鉛直方向下側Z2へ向かう方向を意味する。
また、ブレード61は、ノズルヘッド4の下面に接触しながら、ノズルヘッド4の下面に沿って洗浄液供給部141の下面142に対向する位置から記録ヘッド41の下面42に対向する位置へ移動する。後述する「ブレード61がワイピング方向D3に沿って移動すること」とは、ブレード61がノズルヘッド4の下面に沿って洗浄液供給部141の下面142に対向する位置から記録ヘッド41の下面42に対向する位置へ移動することを意味する。
[インクジェット記録方法]
図1〜図4を用いて、インクジェット記録装置10を用いたインクジェット記録方法を説明する。図3及び図4は、各々、インクジェット記録方法の一工程を示す図である。インクジェット記録装置10では、制御部8がROMに記憶させた所定の制御プログラムをCPUで実行することによって、記録媒体Sに記録を行うことができる。
詳しくは、まず、制御部8が、記録媒体Sを、給紙カセット91又は手差しトレイ93からインクジェット記録装置10内へ供給する。次に、制御部8が、記録媒体S(インクジェット記録装置10内へ供給された記録媒体S)を、第1搬送部95へ搬送する。続いて、制御部8が記録ヘッド41を制御することで、水性インクが、第1タンク21から記録ヘッド41へ供給されて、インク用ノズル47の開口48から鉛直方向下側Z2へ吐出される(吐出工程)。続いて、制御部8が、記録媒体S(水性インクが吐出された記録媒体S)を、第2搬送部97へ搬送した後、排出トレイ99へ排出する。吐出工程の後、制御部8は、以下に示す制御をさらに行う。
まず、制御部8が、水性インクを、第1タンク21から記録ヘッド41へ供給する。その後、制御部8が記録ヘッド41を制御することで、水性インクが、インク用ノズル47の開口48から鉛直方向下側Z2へ排出される(パージ工程)。これにより、図3に示すように、記録ヘッド41の下面42には、パージインク51が供給される。
次に、制御部8が、水性洗浄液を、第2タンク23から洗浄液供給部141へ供給する。その後、制御部8が洗浄液供給部141を制御することで、水性洗浄液が、洗浄液用ノズル147内を鉛直方向上側Z1から鉛直方向下側Z2へ流動して、洗浄液供給部141の下面142へ供給される(供給工程)。ここで、水性洗浄液の表面張力は、26mN/m以上32mN/m以下である。そのため、水性洗浄液は、図3に示すように、半球状の液滴52の状態で、洗浄液供給部141の下面142へ供給される。
なお、吐出工程では、制御部8が洗浄液供給部141を制御することで、水性洗浄液が、洗浄液供給部141の下面142へ供給されないことが好ましい。つまり、吐出工程では、水性洗浄液は、洗浄液用ノズル147の開口148から鉛直方向下側Z2へ突出しない状態で洗浄液用ノズル147内に保持されることが好ましい。これにより、水性洗浄液が記録媒体Sに付着することを防止できる。供給工程は、パージ工程よりも前に行われてもよいし、パージ工程と同時に行われてもよい。
続いて、制御部8がブレード61を制御することで、ブレード61が、第2傾斜部145Aよりも記録ヘッド41の長手方向端部側へ配置される(図4において破線で示されたブレード61を参照)。その後、ブレード61の上端がノズルヘッド4の下面に接触しながら、ブレード61がワイピング方向D3に沿って移動する(ワイプ工程)。
ブレード61の上端は、第2傾斜部145Aの下面に接触すると、湾曲する(図4において実線で示されたブレード61を参照)。そのため、ブレード61は、その上端が湾曲した状態で水平部145Bの下面に接触しながら、ワイピング方向D3に沿って移動する。これにより、ブレード61は、半球状の液滴52を構成する水性洗浄液を押しながら、ワイピング方向D3に沿って移動する(図4参照)。よって、水性洗浄液が記録ヘッド41の下面42へ供給される。
その後、ブレード61は、その上端が湾曲した状態で記録ヘッド41の下面42に接触しながら、ワイピング方向D3に沿ってさらに移動する。これにより、ブレード61は、水性洗浄液とパージインク51とを押しながら、ワイピング方向D3に沿って移動する。ワイピング方向D3に沿ったブレード61の移動が終了すると、制御部8がブレード61を制御することでブレード61が下降方向D2に沿って移動する。このようにして、インクジェット記録装置10を用いたインクジェット記録方法が終了する。
[インクジェット記録装置が奏する効果]
インクジェット記録装置10が奏する効果について説明する。インクジェット記録装置10は、後述する効果1〜3を奏することができる。
<効果1>
効果1には、インクジェット記録装置10の小型化を図ることが含まれる。以下では、従来の課題を説明した後、効果1を説明する。
従来、洗浄液を記録ヘッドの下面(吐出面に相当)へ供給する方法としては、以下に示す方法が知られている。例えば、洗浄液を含浸するスポンジを、吐出面へ押し当ててもよい。洗浄液を含浸するローラーを用いて、洗浄液を吐出面へ塗布してもよい。噴霧器を用いて、洗浄液を吐出面へ噴霧してもよい。
スポンジ又はローラー(以下、「スポンジ等」と記載する)を用いて洗浄液を吐出面へ供給する場合、記録ヘッドのメンテナンス時には、スポンジ等が吐出面へ押し当てられる。そのため、吐出面には、スポンジ等が対向する。しかし、水性インクの吐出時には、水性インクが吐出面から記録媒体へ吐出される。そのため、吐出面には、記録媒体が対向し、スポンジ等は対向しない。このように、スポンジ等は、記録媒体への記録中、記録媒体に対向する位置(対向位置)と、記録媒体に対向しない位置(非対向位置)との間を、移動する。よって、スポンジ等が移動するための空間をインクジェット記録装置内に設ける必要がある。したがって、インクジェット記録装置の小型化を図ることは難しい。
また、噴霧器を用いて洗浄液を吐出面へ供給する場合、噴霧器をインクジェット記録装置内に設置する必要がある。この場合においても、インクジェット記録装置の小型化を図ることは難しい。噴霧器が対向位置と非対向位置との間を移動する場合には、インクジェット記録装置の小型化がより一層困難となる。
一方、インクジェット記録装置10では、洗浄液供給部141を用いて記録ヘッド41のメンテナンスを行う。これにより、洗浄液供給部141の移動を伴うことなく、記録ヘッド41のメンテナンスを行うことができる。よって、洗浄液供給部141が移動するための空間をインクジェット記録装置10内に設ける必要がない。したがって、インクジェット記録装置10の小型化を図ることができる。
洗浄液供給部141が移動しなければ、制御部8が洗浄液供給部141の移動を制御する必要がない。これにより、インクジェット記録装置10の制御プログラムが複雑化することを防止できる。
また、インクジェット記録装置10では、記録ヘッド41とは別部材である洗浄液供給部141に、洗浄液用ノズル147が設けられている。これにより、洗浄液の供給機構(例えば洗浄液用ノズル147)を記録ヘッド41に設ける必要がない。よって、洗浄液の供給機構が記録ヘッドに設けられている場合に比べ、記録ヘッド41の小型化を図ることができる。したがって、インクジェット記録装置10の小型化が実現され易い。
洗浄液の供給機構を記録ヘッド41に設ける必要がなければ、記録ヘッド41の構成が複雑化することを防止できる。これにより、記録ヘッド41の加工コストを抑えることができる。よって、インクジェット記録装置10を比較的低コストで提供できる。
<効果2>
効果2には、インクジェット記録装置10が水性インクの吐出性能に優れることが含まれる。
詳しくは、水性洗浄液の表面張力が、26mN/m以上32mN/m以下である。これにより、供給工程では、水性洗浄液が半球状の液滴52の状態で保持され易いため、水性洗浄液の供給量を確保し易い。よって、ワイプ工程では、水性洗浄液が記録ヘッド41の下面42全体に濡れ拡がり易い。
また、表面張力の比率が、1.10以上1.40以下である。ここで、水性洗浄液の供給量は、パージインク51の排出量に比べて多い。そのため、ワイプ工程においてブレード61にワイプされる液体の物性は、パージインク51の物性よりも、水性洗浄液の物性に、支配され易い。よって、表面張力の比率が1.10以上1.40以下であれば、ワイプ工程においてブレード61にワイプされる液体の表面張力が大きくなり過ぎることを防止できる。したがって、ワイプ工程では、パージインク51と水性洗浄液とが記録ヘッド41の下面42全体に濡れ拡がり易い。
このように、インクジェット記録装置10を用いて記録媒体Sに記録を行えば、パージインク51と水性洗浄液とが記録ヘッド41の下面42全体に濡れ拡がり易い。そのため、パージ工程と供給工程とワイプ工程とを行えば、固着インクを記録ヘッド41の下面42から除去できる。よって、吐出性能に優れるインクジェット記録装置10を提供できる。固着インクについては、後述する。
また、ワイプ工程においてパージインク51と水性洗浄液とが記録ヘッド41の下面42全体に濡れ拡がり易ければ、パージ工程の回数と供給工程の回数とが過剰となることを防止できる。これにより、水性インクの消費量と水性洗浄液の消費量とが過剰となることを防止できる。よって、記録媒体Sへの記録に要する費用を抑えることができる。
インクジェット記録装置10を用いて記録媒体Sに記録を行った場合に固着インクが除去される理由として、次に示すことが考えられる。以下では、固着インクが除去される理由の説明に先立ち、水性インクの構成と固着インクの形成プロセスとを順に説明する。
(水性インクの構成)
水性インクは、顔料分散体を有する。顔料分散体は、複数の顔料粒子が水性媒体中において互いに分散されて構成されたものを意味する。顔料粒子は、各々、顔料を含有する顔料コアと、顔料コアの表面に設けられた被覆樹脂とを含む。
被覆樹脂としては、樹脂塩を使用する。また、水性インクは、十分な量の水性媒体を含有する。これらのことから、被覆樹脂の表面では電離が起こり易い。そのため、被覆樹脂の表面には電気二重層が形成される。よって、顔料粒子は、水性媒体中において互いに分散する。
(固着インクの形成プロセス)
吐出工程を行うと、水性インクが、記録ヘッドの下面に付着して、記録ヘッドの下面において乾燥することがある。水性インクが乾燥すると、被覆樹脂の表面において電離が起こり難いため、顔料粒子同士が互いに凝集し易い。顔料粒子同士が互いに凝集すると、互いに異なる顔料コアの表面に存在する被覆樹脂が接触して膜を形成し易い。このように、水性インクが乾燥すると、顔料コアの凝集体が樹脂膜で被覆され易い。このようにして、固着インクが形成される。
(固着インクが除去される理由)
前述の(固着インクの形成プロセス)で説明したように、顔料粒子が互いに凝集して、固着インクが形成される。しかし、パージインクと水性洗浄液とは、各々、固着インクの形成中に記録ヘッドの下面へ供給されることが多い。
本実施形態では、表面張力の比率が1.10以上1.40以下である。これにより、水性洗浄液は、水性インクに対して高い親和性を示すため、隣り合う顔料粒子間へ浸入し易い。また、水性洗浄液は、水性インクに対して高い親和性を示すため、パージインク51に対しても高い親和性を示す。そのため、水性洗浄液とともにパージインク51も、隣り合う顔料粒子間へ浸入し易い。これらのことから、固着インクは、パージインク51に溶解され易い。つまり、固着インクは、除去され易い。
また、前述したように、水性洗浄液におけるアミン型界面活性剤(1−1)の含有量を調整することによって、水性洗浄液の表面張力を26mN/m以上32mN/m以下とすることができる。ここで、アミン型界面活性剤(1−1)は、アミン型界面活性剤(1−1)でない界面活性剤に比べ、隣り合う顔料粒子間へ浸入し易い。そのため、水性洗浄液がアミン型界面活性剤(1−1)を含有する場合には、水性洗浄液がアミン型界面活性剤(1−1)を含有しない場合に比べ、隣り合う顔料粒子間への水性洗浄液の浸入が容易となる。このことによっても、固着インクは、パージインク51に溶解され易い。つまり、固着インクは、除去され易い。
<効果3>
効果3には、インクジェット記録装置10が耐久時においても水性インクの吐出性能に優れることが含まれる。
詳しくは、洗浄液供給部141の下面142は、記録ヘッド41の下面42よりも、鉛直方向下側Z2に位置する。これにより、ブレード61の上端が記録ヘッド41の下面42に接触しながらブレード61がワイピング方向D3に沿って移動しているときには、ブレード61の上端が洗浄液供給部141の下面142に接触しながらブレード61がワイピング方向D3に沿って移動しているときに比べ、ブレード61の上端の湾曲具合が緩和される。そのため、鉛直方向において記録ヘッドの下面の位置と洗浄液供給部の下面の位置とが互いに同一である場合に比べ、ワイプ工程においてブレード61に作用する負荷が小さくなる。よって、耐久時においてもワイプ工程を行うことができる。したがって、耐久時においてもインクジェット記録装置10はインクの吐出性能に優れ易い。
また、洗浄液供給部141の下面142が記録ヘッド41の下面42よりも鉛直方向下側Z2に位置するため、ワイプ工程において水性洗浄液が記録ヘッド41の下面42と蓋体145との間に浸入することを防止できる。これにより、記録ヘッド41の下面42が水性洗浄液によって汚染されることを防止できる。ワイプ工程を複数回行った場合であっても水性洗浄液による記録ヘッド41の下面42の汚染を防止できるため、耐久時においてもインクジェット記録装置10はインクの吐出性能に優れ易い。
以上、図1〜図4を用いて、インクジェット記録装置10とインクジェット記録方法とを説明した。以下、図面を用いることなく、水性インクに含有される材料、水性インクの好ましい製造方法、水性洗浄液に含有される材料、及び水性洗浄液の好ましい製造方法について、順に説明する。
なお、粉体に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の個数平均である。また、粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折式粒度分布測定装置(マルバーン社製の「Zetasizer nano−ZS(ゼータサイザー ナノZS)」)を用いて測定した値である。
また、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。
[水性インクに含有される材料]
水性インクは、顔料分散体と、水性媒体とを含有する。水性インクは、アセチレン型界面活性剤をさらに含むことが好ましい。水性インクは、アセチレン型界面活性剤でない界面活性剤、溶解安定剤、保湿剤、及び浸透剤のうちの少なくとも1つをさらに含有してもよい。水性インクは、ソルビトールをさらに含有してもよい。
<顔料分散体>
顔料分散体は、複数の顔料粒子を含む。顔料粒子は、各々、顔料コアと、被覆樹脂とを含む。
(顔料コア)
顔料コアは、顔料を含有する。顔料としては、例えば、黄色顔料、橙色顔料、赤色顔料、青色顔料、紫色顔料、又は黒色顔料を使用できる。黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー74、93、95、109、110、120、128、138、139、151、154、155、173、180、185、又は193が挙げられる。橙色顔料としては、例えばC.I.ピグメントオレンジ34、36、43、61、63、又は71が挙げられる。赤色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド122又は202が挙げられる。青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー15又は15:3が挙げられる。紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット19、23、又は33が挙げられる。黒色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブラック7が挙げられる。
水性インクにおける顔料コアの含有量は、4質量%以上8質量%以下であることが好ましい。これにより、所望の画像濃度を有する画像が得られ易い。また、記録媒体に対する水性インクの浸透性を確保し易い。顔料コアの含有量が少なすぎると、所望の画像濃度を有する画像が得られないことがある。一方、顔料コアの含有量が多すぎると、記録媒体に対する水性インクの浸透性を確保できないことがある。また、水性インクにおいて顔料粒子の流動性を確保できないことがあるため、所望の画像濃度を有する画像が得られないことがある。
顔料コアの体積中位径(D50)は、30nm以上200nm以下であることが好ましい。これにより、水性インクの色濃度、色相、及び安定性が向上し易い。より好ましくは、顔料コアの体積中位径(D50)が70nm以上130nm以下である。
(被覆樹脂)
被覆樹脂は、顔料コアの表面に設けられる。被覆樹脂は、アニオン性を有することが好ましく、例えば、スチレン−アクリル酸系樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、及びビニルナフタレン−マレイン酸共重合体のうちの少なくとも1つであることが好ましい。より好ましくは、被覆樹脂は、スチレン−アクリル酸系樹脂である。被覆樹脂がスチレン−アクリル酸系樹脂であれば、顔料粒子を容易に作製できる。また、顔料コアの分散性を高めることができる。
スチレン−アクリル酸系樹脂は、スチレンに由来する単位と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、又はメタクリル酸エステルに由来する単位とを含む樹脂である。好ましくは、スチレン−アクリル酸系樹脂は、スチレンとアクリル酸とアクリル酸アルキルエステルとの共重合体、スチレンとメタクリル酸とメタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとの共重合体、スチレンとアクリル酸との共重合体、スチレンとマレイン酸とアクリル酸アルキルエステルとの共重合体、スチレンとメタクリル酸との共重合体、及びスチレンとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合体のうちの少なくとも1つである。より好ましくは、スチレン−アクリル酸系樹脂は、スチレンとメタクリル酸とメタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとの共重合体である。より具体的には、スチレン−アクリル酸系樹脂は、スチレンとメタクリル酸とメタクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルとの共重合体である。
被覆樹脂の含有量は、100質量部の顔料コアに対して、15質量部以上100質量部以下であることが好ましい。これにより、記録後の記録媒体において裏抜けが生じることを防止し易い。また、所望の画像濃度を有する画像が得られ易い。被覆樹脂の含有量が少なすぎると、記録後の記録媒体において裏抜けが生じることがある。一方、被覆樹脂の含有量が多すぎると、所望の画像濃度を有する画像が得られないことがある。
<水性媒体>
水性媒体は、水を含有することが好ましく、より好ましくはイオン交換水を含有する。水性インクにおける水の含有量は、20質量%以上70質量%以下であることが好ましい。これにより、適切な粘度を有する水性インクを提供できる。
水性媒体は、イオン交換水と、グリセリン及び/又はグリコールと、アルコール及び/又はグリコールエーテルとを含有することが好ましい。水性インクがグリセリン及び/又はグリコールを含有すれば、水性インクの乾燥を防止できる。水性インクがアルコール及び/又はグリコールエーテルを含有すれば、記録媒体に対する水性インクの浸透性を高めることができる。
グリコールエーテルとしては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、又はジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルが挙げられる。
<界面活性剤>
水性インクが界面活性剤を含有すれば、記録媒体に対する水性インクの濡れ性が向上する。アセチレン型界面活性剤でない界面活性剤は、ノニオン型界面活性剤であることが好ましい。また、アセチレン型界面活性剤でない界面活性剤は、水性インクにおいて、0.05質量%以上2.00質量%以下含有されていることが好ましい。これにより、画像のオフセットを抑制しつつ、画像濃度が向上する。
<溶解安定剤>
水性インクが溶解安定剤を含有すれば、水性インクに含まれる成分が相溶し易くなるため、水性インクの溶解状態を安定化できる。溶解安定剤としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、又はγ−ブチローラークトンが挙げられる。水性インクにおける溶解安定剤の含有量は、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上15質量%以下である。
<保湿剤>
水性インクが保湿剤を含有すれば、水性インクからの液体成分の揮発を抑制できるため、水性インクの粘性を安定化できる。保湿剤としては、例えば、ポリアルキレングリコール類、又はアルキレングリコール類が挙げられる。ポリアルキレングリコール類は、ポリエチレングリコール、又はポリプロピレングリコールであることが好ましい。アルキレングリコール類は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール(1,3−プロパンジオール)、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、1,3−ブタンジオール、又は1,5−ペンタンジオールであることが好ましい。水性インクにおける保湿剤の含有量は、好ましくは2質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上25質量%以下である。
<浸透剤>
水性インクが浸透剤を含有すれば、記録媒体への水性インクの浸透性が向上する。浸透剤としては、例えば、1,2−へキシレングリコール、1,2−オクタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、又はトリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルが挙げられる。水性インクにおける浸透剤の含有量は、好ましくは0.5質量%以上20.0質量%以下である。
[水性インクの好ましい製造方法]
まず、被覆樹脂を合成する。詳しくは、所定の溶媒に、重合により被覆樹脂を合成可能なモノマー又はプレポリマーと、重合開始剤とを加え、所定の温度で加熱還流を行う。このようにして、被覆樹脂が合成される。より具体的には、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンとの混合液に、スチレンと、(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、重合開始剤とを加え、70℃で加熱還流を行う。これにより、スチレン−アクリル酸系樹脂が合成される。
次に、メディア型分散機を用いて、合成された樹脂と、顔料コアと、水性媒体とを混練する。このようにして、多数の顔料粒子を含む顔料分散液を得る。メディア型分散機で用いるメディアの粒子径(例えば、ビーズの径)を変えることで、顔料粒子の分散度合、顔料分散液に遊離する樹脂の量、又は顔料粒子の粒子径を調整できる。例えば、メディアの粒子径を小さくするほど、顔料粒子の粒子径が小さくなる傾向がある。
得られた顔料分散液と、他のインク成分とを混合する。攪拌機(例えば、新東科学株式会社製「スリーワンモーター(登録商標) BL−600」)を用いて、顔料分散液と他のインク成分とを混合することが好ましい。他のインク成分は、アセチレン型界面活性剤を含むことが好ましい。また、他のインク成分は、アセチレン型界面活性剤でない界面活性剤、溶解安定剤、保湿剤、及び浸透剤のうちの少なくとも1つをさらに含んでもよい。顔料分散液と他のインク成分とを混合した後、必要に応じてろ過を行う。このようにして、水性インクが得られる。
[水性洗浄液に含有される材料]
水性洗浄液は、水性媒体と、界面活性剤とを含有する。界面活性剤は、アミン型界面活性剤(1−1)からなってもよいし、アミン型界面活性剤(1−1)でない界面活性剤をさらに含んでもよい。水性洗浄液は、溶解安定剤、保湿剤、浸透剤、及びpH調整剤のうちの少なくとも1つをさらに含有してもよい。水性洗浄液は、ソルビトールをさらに含有してもよい。
アミン型界面活性剤(1−1)は、ノニオン型界面活性剤である。そのため、界面活性剤としてアミン型界面活性剤(1−1)を使用すれば、前述の効果に加え、以下に示す2つの効果を得ることができる。詳しくは、水性洗浄液の発泡性を抑えることができる。また、人体にとって低害な水性洗浄液を提供できる。このような2つの効果を効果的に得るためには、アミン型界面活性剤(1−1)でない界面活性剤がノニオン型界面活性剤であることが好ましい。
水性媒体としては、前述の<水性媒体>に記載の材料を使用することが好ましい。溶解安定剤としては、前述の<溶解安定剤>に記載の材料を使用することが好ましい。保湿剤としては、前述の<保湿剤>に記載の材料を使用することが好ましい。浸透剤としては、前述の<浸透剤>に記載の材料を使用することが好ましい。これらのことから、水性洗浄液は、水性インクに対して親和性を示し易く、パージインクに対しても親和性を示し易い。
水性洗浄液がpH調整剤を含有すれば、水性洗浄液のpHが水性インクのpHに近い値を示すように水性洗浄液のpHを調整できる。このことによっても、水性洗浄液は、水性インクに対して親和性を示し易く、パージインクに対しても親和性を示し易い。
水性インクが塩基性を示し易いことを考慮すれば、pH調整剤は、アルカリ金属塩であることが好ましい。より具体的には、アルカリ金属塩は、アルカリ金属の水酸化物であることが好ましい。より好ましくは、アルカリ金属塩は、水酸化リチウムと水酸化ナトリウムと水酸化カリウムと水酸化セシウムとのうちの少なくとも1つを含む。
[水性洗浄液の好ましい製造方法]
水性洗浄液の好ましい製造方法は、材料を所定の配合量で均一に混合する工程を含む。攪拌機(例えば、新東科学株式会社製「スリーワンモーター BL−600」)を用いて材料を混合することが好ましい。
本発明の実施例を説明する。なお、複数の粒子を含む粉体に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の個数平均である。誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均を評価値とした。
以下に示す方法で、実施例及び比較例に係るインクジェット記録装置(より具体的には装置A−1〜A−10の各々)を準備した。次に、装置A−1〜A−10を用いて、拭き取り性能と着弾精度とを評価した。以下、装置A−1〜A−10の製造方法、評価方法、及び評価結果を順に説明する。
[インクジェット記録装置の製造方法]
表1に、装置A−1〜A−10の各構成を示す。表2に、水性インクB−1〜B−6の各構成を示す。表2において、「界面活性剤」は、日信化学工業株式会社製「オルフィンE1010」を意味する。「BTG」は、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルを意味する。「1,3−PG」は、1,3−プロパンジオールを意味する。「顔料分散液L」については、表3に示すとおりである。表3において、「樹脂A−Na」は、樹脂Aを水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で中和することで得られた樹脂を意味する。また、「顔料」は、シアン顔料とイエロー顔料とマゼンタ顔料とブラック顔料とのうちの何れか1つを意味する。表4に、水性洗浄液C−1〜C−5の各構成を示す。表4において、「界面活性剤」は、三洋化成工業株式会社製「ピュアミールEP−300S」を意味する。「1,3−PG」は、1,3−プロパンジオールを意味する。「NaOH水溶液」は、濃度が0.1NであるNaOH水溶液を意味する。「BTG」は、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルを意味する。
<水性インクの製造>
実施例及び比較例における水性インク(より具体的には水性インクB−1〜B−6)は、何れも、シアン顔料を含有する水性インク(シアンインク)と、イエロー顔料を含有する水性インク(イエローインク)と、マゼンタ顔料を含有する水性インク(マゼンタインク)と、ブラック顔料を含有する水性インク(ブラックインク)とを、含んでいた。以下では、シアンインクの製造方法を主に説明する。なお、水性インクの色を表記する必要がない場合には、「水性インク」と記載する。
(樹脂Aの合成)
まず、樹脂Aを合成した。詳しくは、四つ口フラスコ(容量:1000mL)に、スターラーと、窒素導入管と、コンデンサー(攪拌機)と、滴下ロートとをセットした。次に、フラスコに、100gのイソプロピルアルコールと300gのメチルエチルケトンとを入れた。フラスコの内容物に窒素をバブリングしながら、70℃で加熱還流を行った。
また、40.0gのスチレンと、10.0gのメタクリル酸と、40.0gのメタクリル酸メチルと、10.0gのアクリル酸n−ブチルと、0.4gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN、重合開始剤)とを混合して、モノマー溶液を得た。70℃で加熱還流した状態で、約2時間かけて、モノマー溶液をフラスコに滴下した。滴下後、さらに6時間、70℃で加熱還流を行った。
0.2gのAIBNを含有するメチルエチルケトン溶液を、15分かけて、フラスコに滴下した。滴下後、さらに5時間、70℃で加熱還流を行った。このようにして、樹脂A(スチレン−アクリル酸系樹脂)を得た。得られた樹脂Aでは、質量平均分子量(Mw)が20000であり、酸価が100mgKOH/gであった。
樹脂Aの質量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィー(東ソー株式会社製「HLC−8020GPC」)を用いて、下記条件で、測定された。
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」(4.6mmI.D.×15cmのセミミクロカラム)
カラム本数:3本
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.35mL/分
サンプル注入量:10μL
測定温度:40℃
検出器:IR検出器
なお、検量線は、東ソー株式会社製のTSKgel標準ポリスチレンから、F−40、F−20、F−4、F−1、A−5000、A−2500、及びA−1000の7種とn−プロピルベンゼンとを選択して作成された。
また、樹脂Aの酸価は、「JIS(日本工業規格)K0070−1992(化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法)」に記載の方法に準拠して、求められた。
(顔料分散液Lの調製)
樹脂Aを用いて、表3に示す構成を有する顔料分散液Lを調製した。詳しくは、メディア型分散機(ウィリー・エ・バッコーフェン社(WAB社)製「ダイノミル」)のベッセル(容量:0.6L)に、6.0質量%の樹脂Aと、15.0質量%のフタロシアニンブルー15:3(シアン顔料、東洋インキ株式会社製「リオノール(登録商標)ブルーFG−7330」)と、0.5質量%の1,2−オクタンジオールと、イオン交換水(残量)とを入れた。
また、樹脂Aの中和に必要な量のNaOH水溶液をベッセルに加えた。ここで、ベッセルの内容物のpHが8になるように、NaOH水溶液をベッセルに加えた。より具体的には、中和当量の1.1倍の質量のNaOH水溶液をベッセルに加えた。なお、顔料分散液Lを構成する材料の配合量を決定するさいには、樹脂Aの質量とベッセルに加えるべきNaの質量との合計を樹脂Aの質量とみなした。また、イオン交換水の質量とNaOH水溶液に含まれる水の質量と中和反応で生じた水の質量との合計をイオン交換水の質量とみなした。
充填量がベッセルの容量に対して70体積%となるように、メディア(径が0.5mmのジルコニアビーズ)をベッセルに充填した。温度が10℃であり且つ周速が8m/秒である条件でベッセルを水冷しながら、顔料粒子の体積中位径(D50)が70nm以上130nm以下の範囲に入るようにメディア型分散機を用いてベッセルの内容物を混練した。このようにして、顔料分散液Lが得られた。
(顔料分散液Lと他のインク成分との混合)
顔料分散液Lと他のインク成分とを混合した。詳しくは、表2に記載の材料を表2に記載の配合量でビーカーに入れた。攪拌機(新東科学株式会社製「スリーワンモーター BL−600」)を用いてビーカーの内容物を回転速度400rpmで攪拌して、ビーカーの内容物を均一に混合した。フィルター(孔径5μm)を用いて混合液をろ過し、混合液に含有される異物及び粗大粒子を除去した。このようにして、シアンインクを得た。
顔料としてC.I.ピグメントイエロー74を用いて、イエローインクを得た。また、顔料としてキナクリドン・マゼンタ(PR122)を用いて、マゼンタインクを得た。また、顔料としてカーボンブラックを用いて、ブラックインクを得た。このようにして、実施例及び比較例における水性インク(より具体的には水性インクB−1〜B−6の各々)を得た。
Wilhelmy法(プレート法)に準拠し、表面張力測定計(協和界面科学株式会社製「自動表面張力計 DY−300」)を用いて、25℃における水性インクの表面張力を測定した。結果を表2に示す。
<水性洗浄液の製造>
表4に記載の材料を表4に記載の配合量でビーカーに入れた。攪拌機(新東科学株式会社製「スリーワンモーター(登録商標) BL−600」)を用いてビーカーの内容物を回転速度400rpmで攪拌して、ビーカーの内容物を均一に混合した。フィルター(孔径5μm)を用いて得られた混合液をろ過し、混合液に含有される異物及び粗大粒子を除去した。このようにして、実施例及び比較例における水性洗浄液(より具体的には水性洗浄液C−1〜C−5の各々)を得た。
Wilhelmy法(プレート法)に準拠し、表面張力測定計(協和界面科学株式会社製「自動表面張力計 DY−300」)を用いて、25℃における水性洗浄液の表面張力を測定した。結果を表4に示す。
<試作機の準備>
図1に示すインクジェット記録装置を試作機として準備した。詳しくは、試作機は、4つの第1タンクと、1つの第2タンクと、4つのノズルヘッドと、4つのブレードとを備えていた。ノズルヘッドは、各々、記録ヘッドと洗浄液供給部とを有していた。記録ヘッドには、互いに異なる第1タンクが接続されていた。また、記録ヘッドには、各々、複数のインク用ノズルが設けられており、インク用ノズルは、各々、記録ヘッドの下面において開口していた。記録ヘッドは、各々、解像度360dpi(=180dpi×2列)、ノズル数512個(=256個×2列)、液滴量14pL、駆動周波数12.8kHzのピエゾ型ラインヘッド(コニカミノルタ株式会社製)であった。また、記録ヘッドは、その長手方向が紙の搬送方向に直交するように、間隔20mmで配列されていた。なお、記録ヘッドの下面は、何れも、洗浄されており、水性インクで汚染されていなかった。
洗浄液供給部は、各々、記録ヘッドの長手方向一端に固定されていた。洗浄液供給部には、各々、複数の洗浄液用ノズルが設けられており、洗浄液用ノズルは、各々、洗浄液供給部の下面において開口していた。洗浄液供給部の下面は、記録ヘッドの下面よりも、鉛直方向下側に位置していた。
ブレードは、その上端がノズルヘッドの下面に接触しながら、ノズルヘッドの下面に沿って洗浄液供給部の下面に対向する位置から記録ヘッドの下面に対向する位置へ移動した。このような試作機は、制御部がROMに記憶させた所定の制御プログラムをCPUで実行することによって、記録シートに記録を行うことが可能であった。
<液の充填>
第1タンクには、互いに色の異なる水性インク(実施例及び比較例における水性インクB−1〜B−6の各々)を収容した。また、第2タンクには、水性洗浄液(実施例及び比較例における水性洗浄液C−1〜C−5の各々)を収容した。その後、インストール動作を行った。このようにして、実施例及び比較例に係るインクジェット記録装置(より具体的には装置A−1〜A−10の各々)を得た。
[評価方法]
<拭き取り性能の評価>
まず、温度25℃且つ湿度60%RHの環境下で、実施例及び比較例に係るインクジェット記録装置(より具体的には装置A−1〜A−10の各々)を用いて、耐刷試験を行った。耐刷試験では、搬送速度350mm/秒で、色が互いに異なるソリッド画像(サイズ10cm×10cm、印字率100%)を5000枚の記録シート(富士ゼロックス株式会社製「C2」、A4サイズの普通紙)に連続して記録した。また、記録シートにおいて色が互いに異なるソリッド画像が重なるように、ソリッド画像を記録した。
耐刷試験の後、記録ヘッドのメンテナンスを行った。詳しくは、まず、実施例及び比較例に係るインクジェット記録装置の制御部が、水性インク(より具体的には水性インクB−1〜B−6の各々)を、第1タンクから記録ヘッドへ供給した。また、制御部が、水性洗浄液(より具体的には水性洗浄液C−1〜C−5の各々)を、第2タンクから洗浄液供給部へ供給した。次に、制御部が記録ヘッドの各々を制御することで、水性インクが、インク用ノズルの開口から鉛直方向下側へ排出された。また、制御部が洗浄液供給部を制御することで、水性洗浄液が、洗浄液用ノズル内を鉛直方向上側から鉛直方向下側へ流動して、洗浄液供給部の下面へ供給された。続いて、制御部がブレードを制御することで、ブレードが、洗浄液供給部の第2傾斜部よりも記録ヘッドの長手方向端部側へ配置された。その後、ブレードの上端がノズルヘッドの下面に接触しながら、ブレードがワイピング方向に沿って移動した。
記録ヘッドのメンテナンスが終了したら、光学顕微鏡を用いて記録ヘッドの下面を観察し、記録ヘッドの下面におけるインク汚れの有無を確認した。評価基準を以下に示す。また、評価結果を表5に示す。
優良(◎):記録ヘッドの下面においてインク汚れが確認されなかった。
良好(○):記録ヘッドの下面においてインク汚れが確認された。確認されたインク汚れは許容範囲内であった。
不良(×):記録ヘッドの下面においてインク汚れが確認された。確認されたインク汚れは許容範囲を超えていた。
<着弾精度の評価>
まず、初期の着弾精度(3σ値)を求めた。
次に、前述の<拭き取り性能の評価>に記載の方法に従って、耐刷試験と記録ヘッドのメンテナンスとを行った。1週間にわたって、実施例及び比較例に係るインクジェット記録装置(より具体的には装置A−1〜A−10の各々)を静置した。その後、着弾精度(3σ値)を求めた。このようにして、静置後の着弾精度(3σ値)を求めた。評価基準を以下に示す。また、評価結果を表5に示す。
良好(○):初期の着弾精度(3σ値)と静置後の着弾精度(3σ値)との差が3未満であった。
不良(×):初期の着弾精度(3σ値)と静置後の着弾精度(3σ値)との差が3以上であった。
着弾精度(3σ値)は、次に示す方法で、求められた。詳しくは、記録シートを搬送しない状態(スタンプ式)で、記録シートに対して4つの記録ヘッドの全ノズルから1ドット吐出を行った。次に、記録シート上の各ドットについて、汎用画像処理システム(王子計測機器株式会社製「DA−6000」)を用いて、着弾精度3σを測定した。得られた測定データ(各ドットの着弾精度3σ)の算術平均値を着弾精度(3σ値)とした。
着弾精度3σは、式「3σ=3√(σx 2+σy 2)」で表される着弾精度を意味する。式において、σxは、ノズル設計位置からのX方向の位置ずれ量の標準偏差を意味する。また、σyは、ノズル設計位置からのY方向の位置ずれ量の標準偏差を意味する。
[評価結果]
表5に、装置A−1〜A−10の評価結果を示す。表5において、「比率」には、水性洗浄液の表面張力に対する水性インクの表面張力の比率を記す。「評価A」には、記録ヘッドの下面における固着インクの拭き取り性能の評価結果を記す。「評価B」には、1週間静置後における水性インクの着弾精度の評価結果を記す。
[考察]
実施例1〜4に係るインクジェット記録装置(より具体的には装置A−1〜A−4)は、各々、以下に示す基本構成を有していた。より具体的には、実施例1〜4に係るインクジェット記録装置は、ノズルヘッドと、インク用ノズルと、洗浄液用ノズルと、水性インクと、水性洗浄液と、クリーニング部材とを備えていた。インク用ノズルは、ノズルヘッドに設けられ、ノズルヘッドの下面の第1領域R1において開口していた。水性インクは、インク用ノズルから吐出及び排出された。洗浄液用ノズルは、ノズルヘッドに設けられ、ノズルヘッドの下面の第2領域において開口していた。水性洗浄液は、洗浄液用ノズルから第2領域へ供給され、第1領域を洗浄した。クリーニング部材は、ノズルヘッドの下面に接触しながら、ノズルヘッドの下面に沿って第2領域に対向する位置から第1領域に対向する位置へ移動した。水性インクの表面張力が、30mN/m以上37mN/m以下であった。水性洗浄液の表面張力が、26mN/m以上32mN/m以下であった。表面張力の比率が、1.10以上1.40以下であった。
実施例1〜4に係るインクジェット記録装置は、各々、記録ヘッドの下面における固着インクの拭き取り性能に優れていた。また、実施例1〜4に係るインクジェット記録装置では、各々、水性洗浄液が供給されてから1週間が経過しても、水性インクの着弾精度が維持された。本発明者らは、実施例1〜4に係るインクジェット記録装置の評価結果に関して、次に示すように考察した。実施例1〜4に係るインクジェット記録装置は、前述の基本構成を有していた。そのため、記録ヘッドのメンテナンス時には、水性洗浄液は、半球状の液滴の状態で洗浄液供給部の下面へ供給され易い。よって、拭き取り性能に優れ、且つ水性インクの着弾精度が維持された。
本発明に係るインクジェット記録装置は、例えばカラープリンターとして用いることができる。
4 ノズルヘッド
6 クリーニング部材
10 インクジェット記録装置
41 記録ヘッド
42 記録ヘッドの下面
47 インク用ノズル
48 インク用ノズルの開口
52 半球状の液滴
141 洗浄液供給部
142 洗浄液供給部の下面
147 洗浄液用ノズル
148 洗浄液用ノズルの開口
R1 第1領域
R2 第2領域
S 記録媒体


Claims (3)

  1. 記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置であって、
    ノズルヘッドと、
    前記ノズルヘッドに設けられ、前記ノズルヘッドの下面の第1領域において開口するインク用ノズルと、
    前記インク用ノズルから吐出及び排出される水性インクと、
    前記第1領域を洗浄する水性洗浄液と、
    前記ノズルヘッドの下面に接触しながら前記ノズルヘッドの下面に沿って移動するクリーニング部材と、
    を備え、
    前記ノズルヘッドには、前記ノズルヘッドの下面のうち前記第1領域を除く第2領域において開口する洗浄液用ノズルが、さらに、設けられ、
    前記水性洗浄液は、前記洗浄液用ノズルから前記第2領域へ供給され、
    前記クリーニング部材は、前記第2領域に対向する位置から前記第1領域に対向する位置へ移動し、
    前記水性インクの表面張力が、30mN/m以上37mN/m以下であり、
    前記水性洗浄液の表面張力が、26mN/m以上32mN/m以下であり、
    前記水性洗浄液の表面張力に対する前記水性インクの表面張力の比率が、1.10以上1.40以下であり、
    前記ノズルヘッドは、記録ヘッドと、洗浄液供給部とを有し、
    前記記録ヘッドには、前記インク用ノズルが設けられ、
    前記インク用ノズルは、前記記録ヘッドの下面において開口し、
    前記洗浄液供給部には、前記洗浄液用ノズルが設けられ、
    前記洗浄液用ノズルは、前記洗浄液供給部の下面において開口し、
    前記洗浄液供給部の下面は、前記記録ヘッドの下面よりも、鉛直方向下側に位置する、インクジェット記録装置。
  2. 前記水性インクは、0.6質量%以上1.5質量%以下のアセチレン型界面活性剤を含有し、
    前記水性洗浄液は、1.0質量%以上2.0質量%以下のポリオキシアルキレンアルキルアミンを含有し、
    前記ポリオキシアルキレンアルキルアミンは、下記式(1−1)で表される構造を有する、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
    上記式(1−1)において、R1は炭素数が1以上24以下である炭化水素基を表す。A1O及びA2Oは、各々独立に、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とのうちの少なくとも1つを表す。m1及びn1は、各々、0以上の整数を表し、1≦(m1+n1)≦100を満たす整数を表す。
  3. 請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置を用いて記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であって、
    前記水性インクが前記インク用ノズルから前記記録媒体へ吐出される吐出工程と、
    前記水性インクが前記インク用ノズルから排出されるパージ工程と、
    前記水性洗浄液が前記洗浄液用ノズルから前記第2領域へ供給される供給工程と、
    前記クリーニング部材が前記ノズルヘッドの下面に接触しながら前記ノズルヘッドの下面に沿って前記第2領域に対向する位置から前記第1領域に対向する位置へ移動するワイプ工程と、
    を含み、
    前記パージ工程と、前記供給工程とは、各々、前記吐出工程よりも後であって前記ワイプ工程よりも前に、行われ、
    前記供給工程では、前記水性洗浄液が、前記洗浄液用ノズルの開口から鉛直方向下側へ突出する液滴の状態で、保持される、インクジェット記録方法。
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