JP6729134B2 - 回転力伝達機構、およびそれを備えた定着装置と画像形成装置 - Google Patents
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Description
本発明の別の態様としての回転力伝達機構は、それぞれの有歯部が駆動ギアに噛み合う回転姿勢を取ることのできるように同軸に配置された1対の欠歯ギアであり、回転姿勢を維持する間は同方向へ回転し、有歯部が駆動ギアから離脱すると、欠歯部が駆動ギアに面する停止姿勢を維持する第1欠歯ギアおよび第2欠歯ギアと、第1欠歯ギアを停止姿勢から回転姿勢へ移行させる初動部材と、回転姿勢の第1欠歯ギアから回転力を第2欠歯ギアへ伝達することにより、第2欠歯ギアを停止姿勢から回転姿勢へ移行させる伝達部材と、第2欠歯ギアの回転力で回転して外部の固定部材または可動部材との接触点を移動させることにより、固定部材に対して可動部材を変位させるカムと、を備えている。第2欠歯ギアの有歯部は、回転方向の先頭に位置する歯の歯先が切り欠かれている。初動部材は、第1欠歯ギアと第2欠歯ギアとの間に周方向の力を加える付勢部材と、付勢部材の加える力に抗して第1欠歯ギアを停止姿勢に保持する保持部材と、保持部材を変位させて第1欠歯ギアの保持を解除させる駆動部と、を含む。第1欠歯ギアの表面には、第1欠歯ギアと同心で、半径が互いに異なる複数の弧状部分を含む溝が刻まれており、保持部材は、先端が溝の中に位置し、かつ第1欠歯ギアの半径方向に変位可能に支持された突起部を含む。突起部は先端を、溝のうち、いずれかの弧状部分の端に接触させることにより第1欠歯ギアを停止姿勢に保持し、駆動部は、突起部を第1欠歯ギアの半径方向に変位させて突起部の先端を溝の別の弧状部分へ移動させることにより、保持部材に第1欠歯ギアの保持を解除させる。
第1欠歯ギアの有歯部は、回転方向の先頭に位置する歯の歯先が切り欠かれていてもよい。第1欠歯ギアの有歯部において回転方向の先頭に位置する歯は、歯先が切り欠かれた傾斜面を含み、当該傾斜面は、回転方向の端部が逆方向の端部よりも前記第1欠歯ギアの中心に近くてもよい。この歯は、歯先の表面に、第1欠歯ギアの中心からの距離が第1欠歯ギアのピッチ円の半径よりも長い部分を含んでもよい。
第2欠歯ギアは、中心部から回転軸方向に突出するスリーブを同軸に含み、第1欠歯ギアは、このスリーブが挿入される穴を中心部に含んでもよい。第1欠歯ギアと第2欠歯ギアとの軸方向の間隔は、両欠歯ギアの温度が許容上限に達した場合でも実質的に詰まらない値に設計されていてもよい。
[画像形成装置の外観]
図1の(a)は、本発明の実施形態による画像形成装置100の外観を示す斜視図である。この画像形成装置100は電子写真方式のカラープリンター、すなわちカラーレーザープリンターである。プリンター100の筐体の上面には排紙トレイ41が設けられ、その奥に開いた排紙口42から排紙されたシートを収容する。排紙トレイ41の前方には操作パネル51が取り付けられている。操作パネル51には、各種の機械的な押しボタンに加え、タッチパネル内蔵のディスプレイが配置されている。ディスプレイは、操作画面、各種情報の入力画面等のグラフィックスユーザーインターフェース(GUI)画面を表示する。タッチパネルは、アイコン、仮想ボタン、メニュー、ツールバー等、GUI画面の含むガジェットを通してユーザーの入力操作を受け付ける。プリンター100の底部には給紙カセット11が引き出し可能に取り付けられ、その中にシートの束が収容される。「シート」とは、紙製もしくは樹脂製の薄膜状もしくは薄板状の材料、物品、または印刷物をいう。給紙カセット11に収容可能なシートの種類すなわち紙種は、普通紙、上質紙、カラー用紙、または塗工紙であり、サイズは、A3、A4、A5、またはB4である。さらに、シートの姿勢は縦置きと横置きとのいずれにも設定可能である。
図1の(b)は、図1の(a)の示す直線Ib−Ibに沿ったプリンター100の模式的な断面図である。この図が示すようにプリンター100は、給送部10、作像部20、定着部30、および排紙部40を含む。
給送部10は、給紙ローラー12を利用して給紙カセット11からシートSH1を1枚ずつ繰り出す。このシートSH1が給紙カセット11から到達する時点ではタイミングローラー13は停止しているので、そのシートSH1はその先端をタイミングローラー13に接触させた状態で一旦停止する。その到着時点から所定時間が経過した時点で、給送部10はタイミングローラー13に回転を開始させる。これにより、停止していたシートSH1が作像部20へ送出される。
[定着ローラーの駆動機構]
図2の(a)は、定着ローラー31、均熱ローラー33、およびクリーニングローラー34とそれらの駆動機構300との模式的な斜視図である。図1の(b)と図2の(a)とが示すように、定着部30は更に、均熱ローラー33とクリーニングローラー34とを含む。これらのローラー33、34は定着ローラー31と回転軸が互いに平行に配置されている。定着ローラー31の回転軸はフレーム31Fにより直接、回転可能に支持され、他のローラー33、34の回転軸は、支持部材33A、34Aを通してフレーム31Fにより間接的に、回転可能に支持されている。フレーム31Fと支持部材33A、34Aとは硬質樹脂製または金属製である。フレーム31Fはその下面がプリンター100の筐体に固定される。
図2の(b)が示すように駆動機構300は更に、駆動ギア310、第1欠歯ギア321、第2欠歯ギア322、および初動部材331−334を含む。これらは協働して均熱ローラー33を定着ローラー31から離間させ、または再び定着ローラー31に接触させる。駆動ギア310は、クリーニングローラー34のシャフト34Sに同軸に固定された硬質樹脂製または金属製の平歯車であり、クリーニングローラー34と同じ角速度で回転する。第1欠歯ギア321と第2欠歯ギア322とは硬質樹脂製または金属製の平歯車であり、外周の一部から歯が除去されている。欠歯ギア321、322は歯先円が同じサイズであり、互いに同軸に重ね合わされ、均熱ローラー33のシャフトにより同軸に、そのまわりを均熱ローラー33とは独立に回転可能であるように支持されている。各欠歯ギア321、322は、有歯部が駆動ギア310と噛み合い可能である。2枚重ねの欠歯ギア321、322全体の歯幅が駆動ギア310の歯幅とほぼ等しい。初動部材331−334は定着ローラー31のフレーム31Fの上部に設置され、欠歯ギア321、322に覆い被さるように下方へ伸びている。
図3の(a)は、定着ローラー31のフレーム31Fからギア列201−207を除去したときの外観を示す拡大斜視図であり、(b)は、(a)の示す構成から更に初動部材の一部331を除去したときの外観を示す斜視図である。これらの図が示すように、初動部材は、スライダー331、保持部材332、ソレノイド333、および緩衝部材334を含む。スライダー331は実質的に板状の部材であり、均熱ローラー33のシャフトに対して垂直に拡がるフレーム31Fの側面に板面を接触させた状態でその側面を上下方向に摺動可能である。保持部材332は棒状部材であり、フレーム31Fの側面の貫通穴31Hを通してその側面の法線方向に伸びている。保持部材332の基端はスライダー331の摺動面に固定され、先端は、均熱ローラー33のシャフトに支持された第1欠歯ギア321の表面に接している。保持部材332はスライダー331の摺動に伴い、フレーム31Fの側面に対して垂直な姿勢を保ったまま、上下方向に平行移動する。ソレノイド333はスライダー331の上端に固定され、プランジャー33Pの先端がフレーム31Fの上面を押すように設置されている。緩衝部材334は円柱形状のエラストマーであり、ソレノイド333の下方に位置するフレーム31Fの側面の上端から下へ伸びる切り込み31Cの中に配置されている。緩衝部材334の下端はその切り込み31Cの下面に固定され、上端はフレーム31Fの上面よりも高い位置まで伸びている。ソレノイド333のオフ時、ソレノイド333に内蔵のバネの弾性力によりプランジャー33Pはその先端でフレーム31Fの上面を押す。これにより、ソレノイド333とスライダー331との全体がフレーム31Fに対して持ち上がる。図3はこの状態を示す。ソレノイド333がオンするとプランジャー33Pがソレノイド333の内部に引き込まれるので、ソレノイド333とスライダー331との全体が自重で落下する。このとき、ソレノイド333の下面が緩衝部材334の上端に受け止められるので、緩衝部材334の弾性により、フレーム31Fの上面から受ける衝撃が緩和される。図3の(a)が示す一点鎖線はこの状態におけるスライダー331の位置を示す。こうして、ソレノイド333のオンオフに合わせてスライダー331が上下に変位する。
図4の(a)は、図3の(b)の示す構成から初動部材331−334を除去したときの外観を示す拡大斜視図である。定着ローラー31は、図2の示すギア列の前半201−203を通して駆動モーターから受けた回転力により、シャフト31Sのまわりを反時計方向CCWに回転する。クリーニングローラー34のシャフト34Sは支持部材34Aの貫通穴に回転可能に挿入され、その支持部材34Aは上端がコイルバネ34Bでフレーム31Fの上面(図4の(a)は示していない。)に接続されている。このシャフト34Sのまわりをクリーニングローラー34は、図2の示すギア列の後半204−207を通して定着ローラー31から分け与えられた回転力により、時計方向CWに回転する。この回転に合わせて駆動ギア310も時計方向CWに回転する。均熱ローラー33のシャフト33Sは支持部材33Aの貫通穴に回転可能に挿入され、その支持部材33Aは上端がコイルバネ33Bでフレーム31Fの上面(図4の(a)は示していない。)に接続されている。このシャフト33Sのまわりを欠歯ギア321、322は、駆動ギア310に対して回転姿勢にある間、駆動ギア310からの回転力により反時計方向CCWに回転する。
図5の(a)は、第1欠歯ギア321の表面(回転軸方向において均熱ローラー33とは反対側に位置する面)32Oを示す平面図であり、(b)は、第1欠歯ギア321の裏面(回転軸方向において均熱ローラー33と同じ側に位置する面)32Uを示す平面図であり、(c)は第1欠歯ギア321の側面図である。
第1欠歯ギア321の表面32Oには半円形状の外溝41Gと内溝41Hとが刻まれている。各溝41G、41Hは第1欠歯ギア321と同心であり、その中心に対して互いに対称的に配置されている。外溝41Gが描く半円は、内溝41Hが描く半円よりも半径が大きい。各溝41G、41Hの周方向における端は第1欠歯ギア321の回転方向における有歯部41Tの後端とほぼ同じ半径方向に位置し、互いに接続されている。回転方向における各溝41G、41Hの後端は、半径方向に伸びる壁41W、41Xで仕切られている。これらの溝41G、41Hの中に保持部材332の先端32Tが挿入される。
−第2欠歯ギアの構造−
図6の(a)は、第2欠歯ギア322の表面(回転軸方向において均熱ローラー33とは反対側に位置する面)を示す平面図であり、(b)は、第1欠歯ギア321と第2欠歯ギア332との分解斜視図である。
第2欠歯ギア322の表面は、第2欠歯ギア322と同心弧状の凹部42Gを含む。第2欠歯ギア322の回転方向において凹部42Gの後端は一方の有歯部42Tの後端とほぼ同じ半径方向に位置する。凹部42Gの周方向の各端は、半径方向に伸びる壁42W、42Xで仕切られている。凹部42Gの中には、第1欠歯ギア321の裏面32Uから突出した伝達部材350が挿入され、さらに、伝達部材350と凹部42Gの先端の壁42Xとの間にコイルバネ335が周方向に伸縮可能に挿入される。このバネ335は、後述のように、第1欠歯ギア321に対する初動部材の一部として機能する。
図7の(a)は、軸方向から見たときの、定着ローラー31、駆動ギア310、および欠歯ギア321、322の位置を示す側面図であり、(b)は、(a)から駆動ギア310と第1欠歯ギア321とを除去したときの側面図であり、(c)は、(b)からローラー31、33以外の部材をすべて除去したときの側面図である。
図8の(a)−(c)は、カム360が1回転する期間の前半における第1欠歯ギア321の姿勢の変化を、回転角の順に示す模式的な平面図であり、(d)−(f)は、第1欠歯ギア321が(a)−(c)の各姿勢を取るときにおける第2欠歯ギア322の姿勢を示す模式的な平面図である。
第1欠歯ギア321の回転に伴って保持部材332の先端は、図9の(a)が示すように第1欠歯ギア321の外溝41Gの先端の壁41Wに衝突する。このとき、欠歯部41Mが駆動ギア310に面しているので第1欠歯ギア321の回転が止まり、第1欠歯ギア321は停止姿勢に移行する。一方、第2欠歯ギア322は、図9の(d)が示すように回転姿勢を維持しているので、駆動ギア310からの回転力でカム360と共に反時計方向CCWへ回転し続ける。第1欠歯ギア321の停止により伝達部材350が停止しているので、第2欠歯ギア322の凹部42Gの中ではコイルバネ335が凹部42Gの後端の壁42Xに押されて再び縮む。
[第1欠歯ギアの歯先の切り欠き]
図5の(a)、(b)が示すように、第1欠歯ギア321の有歯部41Tは、回転方向(図5の(a)では反時計方向CCW、(b)では時計方向CW)の先頭に位置する歯411の歯先が切り欠かれている。特にこの歯411は、歯先が切り欠かれていることにより、その歯先に傾斜面412を含む。この切り欠きにより、以下に述べるように、有歯部41Tが駆動ギア310と噛み合い始める際、先頭の歯411の歯先が駆動ギア310の歯先と衝突すること、すなわち歯先当たりが回避される。
図6の(a)が示すように、第2欠歯ギア322の有歯部42Tは、回転方向(図では反時計方向CCW)の先頭に位置する歯421の歯先が切り欠かれている。特にこの歯421は、歯先が切り欠かれていることにより、その歯先に傾斜面422を含む。この切り欠きにより、以下に述べるように、有歯部42Tが駆動ギア310と噛み合い始める際、先頭の歯421の歯先が駆動ギア310の歯先と衝突すること、すなわち歯先当たりが回避される。
本発明の上記の実施形態によるプリンター100では、定着ローラー31からの均熱ローラー33の離間機構に、第1欠歯ギア321と第2欠歯ギア322との組み合わせを利用する。第1欠歯ギア321が初動部材331−335により停止姿勢から回転姿勢へ移行し、回転姿勢の第1欠歯ギア321が第2欠歯ギア322を停止姿勢から回転姿勢へ移行させる。この構成において、第2欠歯ギア322の有歯部42Tは、回転方向CCWの先頭に位置する歯421の歯先が切り欠かれている。これにより、第1欠歯ギア321と第2欠歯ギア322との隙間GP1、および均熱ローラー33のシャフト33Sと第2欠歯ギア322との隙間GP2の両方においてガタが無視できない場合でも、少なくとも第2欠歯ギア322が駆動ギア310に噛み合う際に歯先当たりが生じる危険性を回避することができる。
(A)本発明の実施形態による画像形成装置はレーザープリンター100である。本発明の実施形態による画像形成装置はその他に、インクジェット等の他方式のプリンターであってもよく、ファクシミリ、コピー機等の単機能機であっても、または複合機であってもよい。
31 定着ローラー
31S 定着ローラーのシャフト
31F フレーム
31C フレームの側面上端の切り込み
31H フレームの側面の貫通穴
33 均熱ローラー
33S 均熱ローラーのシャフト
33L 均熱ローラーのシャフトの軸受
33A 均熱ローラーの支持部材
33B 支持部材上端のコイルバネ
33C 支持部材下部の切り込み
34 クリーニングローラー
34S クリーニングローラーのシャフト
34A クリーニングローラーの支持部材
34B 支持部材上端のコイルバネ
300 駆動機構
310 駆動ギア
311、312 駆動ギアの歯
321 第1欠歯ギア
32O 第1欠歯ギアの表面
32U 第1欠歯ギアの裏面
322 第2欠歯ギア
32V 第2欠歯ギアのスリーブ
331 スライダー
332 保持部材
32T 保持部材の先端
333 ソレノイド
33P ソレノイドのプランジャー
334 緩衝部材
335 コイルバネ
350 伝達部材
41M 第1欠歯ギアの欠歯部
41T 第1欠歯ギアの有歯部
411 有歯部の先頭の歯
412 歯先の傾斜部
42M 第2欠歯ギアの欠歯部
42T 第2欠歯ギアの有歯部
421 有歯部の先頭の歯
422 歯先の傾斜部
PTC 欠歯ギアのピッチ円
Claims (14)
- 定常的に回転する1枚の駆動ギアの回転力を利用して可動部材を間欠的に変位させる回転力伝達機構であって、
それぞれの有歯部が前記駆動ギアに噛み合う回転姿勢を取ることのできるように同軸に配置された1対の欠歯ギアであり、回転姿勢を維持する間は同方向へ回転し、有歯部が前記駆動ギアから離脱すると、欠歯部が前記駆動ギアに面する停止姿勢を維持する第1欠歯ギアおよび第2欠歯ギアと、
前記第1欠歯ギアを停止姿勢から回転姿勢へ移行させる初動部材と、
前記第1欠歯ギアと一体に形成され、回転姿勢の前記第1欠歯ギアから回転力を前記第2欠歯ギアへ伝達することにより、前記第2欠歯ギアを停止姿勢から回転姿勢へ移行させる伝達部材と、
前記第2欠歯ギアの回転力で回転して外部の固定部材または前記可動部材との接触点を移動させることにより、前記固定部材に対して前記可動部材を変位させるカムと、
を備え、
前記初動部材は、
前記第1欠歯ギアと前記第2欠歯ギアとの間に周方向の力を加える付勢部材としてのバネと、
前記付勢部材の加える力に抗して前記第1欠歯ギアを停止姿勢に保持する保持部材と、
前記保持部材を変位させて前記第1欠歯ギアの保持を解除させる駆動部と、を含み、
前記第1欠歯ギアの有歯部において回転方向の先頭に位置する歯は、歯先が切り欠かれた傾斜面を含み、当該傾斜面は、回転方向の端部が逆方向の端部よりも前記第1欠歯ギアの中心に近く、
前記第2欠歯ギアの有歯部において回転方向の先頭に位置する歯は、歯先が切り欠かれた傾斜面を含み、当該傾斜面は、回転方向の端部よりも逆方向の端部が前記第2欠歯ギアの中心に近い
ことを特徴とする回転力伝達機構。 - 定常的に回転する1枚の駆動ギアの回転力を利用して可動部材を間欠的に変位させる回転力伝達機構であって、
それぞれの有歯部が前記駆動ギアに噛み合う回転姿勢を取ることのできるように同軸に配置された1対の欠歯ギアであり、回転姿勢を維持する間は同方向へ回転し、有歯部が前記駆動ギアから離脱すると、欠歯部が前記駆動ギアに面する停止姿勢を維持する第1欠歯ギアおよび第2欠歯ギアと、
前記第1欠歯ギアを停止姿勢から回転姿勢へ移行させる初動部材と、
回転姿勢の前記第1欠歯ギアから回転力を前記第2欠歯ギアへ伝達することにより、前記第2欠歯ギアを停止姿勢から回転姿勢へ移行させる伝達部材と、
前記第2欠歯ギアの回転力で回転して外部の固定部材または前記可動部材との接触点を移動させることにより、前記固定部材に対して前記可動部材を変位させるカムと、
を備え、
前記第2欠歯ギアの有歯部は、回転方向の先頭に位置する歯の歯先が切り欠かれており、
前記初動部材は、
前記第1欠歯ギアと前記第2欠歯ギアとの間に周方向の力を加える付勢部材と、
前記付勢部材の加える力に抗して前記第1欠歯ギアを停止姿勢に保持する保持部材と、
前記保持部材を変位させて前記第1欠歯ギアの保持を解除させる駆動部と、を含み、
前記第1欠歯ギアの表面には、前記第1欠歯ギアと同心で、半径が互いに異なる複数の弧状部分を含む溝が刻まれており、
前記保持部材は、先端が前記溝の中に位置し、かつ前記第1欠歯ギアの半径方向に変位可能に支持された突起部を含み、
前記突起部は先端を、前記溝のうち、いずれかの弧状部分の端に接触させることにより前記第1欠歯ギアを停止姿勢に保持し、
前記駆動部は、前記突起部を前記第1欠歯ギアの半径方向に変位させて前記突起部の先端を前記溝の別の弧状部分へ移動させることにより、前記保持部材に前記第1欠歯ギアの保持を解除させる
ことを特徴とする回転力伝達機構。 - 前記第2欠歯ギアの有歯部において回転方向の先頭に位置する歯は、歯先が切り欠かれた傾斜面を含み、当該傾斜面は、回転方向の端部よりも逆方向の端部が前記第2欠歯ギアの中心に近いことを特徴とする請求項2に記載の回転力伝達機構。
- 前記第2欠歯ギアの有歯部において回転方向の先頭に位置する歯は、歯先の表面に、前記第2欠歯ギアの中心からの距離が前記第2欠歯ギアのピッチ円の半径よりも長い部分を含む請求項1から請求項3までのいずれかに記載の回転力伝達機構。
- 前記第1欠歯ギアの有歯部は、回転方向の先頭に位置する歯の歯先が切り欠かれていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の回転力伝達機構。
- 前記第1欠歯ギアの有歯部において回転方向の先頭に位置する歯は、歯先が切り欠かれた傾斜面を含み、当該傾斜面は、回転方向の端部が逆方向の端部よりも前記第1欠歯ギアの中心に近いことを特徴とする請求項5に記載の回転力伝達機構。
- 前記第1欠歯ギアの有歯部において回転方向の先頭に位置する歯は、歯先の表面に、前記第1欠歯ギアの中心からの距離が前記第1欠歯ギアのピッチ円の半径よりも長い部分を含む請求項5または請求項6に記載の回転力伝達機構。
- 前記付勢部材は、
一端が前記第1欠歯ギアに固定され、他端が前記第2欠歯ギアに固定されたバネであって、前記保持部材が前記第1欠歯ギアを停止姿勢に保持する間、前記第2欠歯ギアの回転により復元力を高め、前記駆動部が前記保持部材に前記第1欠歯ギアの保持を解除させるのに伴い、当該復元力で前記第1欠歯ギアを前記第2欠歯ギアに対して回転させるバネを含む請求項1または請求項2に記載の回転力伝達機構。 - 前記第1欠歯ギアの表面には、前記第1欠歯ギアと同心で、半径が互いに異なる複数の弧状部分を含む溝が刻まれており、
前記保持部材は、先端が前記溝の中に位置し、かつ前記第1欠歯ギアの半径方向に変位可能に支持された突起部を含み、
前記突起部は先端を、前記溝のうち、いずれかの弧状部分の端に接触させることにより前記第1欠歯ギアを停止姿勢に保持し、
前記駆動部は、前記突起部を前記第1欠歯ギアの半径方向に変位させて前記突起部の先端を前記溝の別の弧状部分へ移動させることにより、前記保持部材に前記第1欠歯ギアの保持を解除させる
ことを特徴とする請求項1に記載の回転力伝達機構。 - 前記第1欠歯ギアに面した前記第2欠歯ギアの表面は、前記第2欠歯ギアと同心弧状の凹部を含み、
前記伝達部材は、一端が前記凹部の中に位置し、他端が前記第1欠歯ギアに固定された柱状部を含み、
前記柱状部は、前記第1欠歯ギアの回転に伴い、前記一端で前記凹部の端を周方向に押すことにより、前記第2欠歯ギアを前記第1欠歯ギアの回転に連動して回転させる
ことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかに記載の回転力伝達機構。 - 前記第2欠歯ギアは、中心部から回転軸方向に突出するスリーブを同軸に含み、
前記第1欠歯ギアは、前記スリーブが挿入される穴を中心部に含む
請求項1から請求項10までのいずれかに記載の回転力伝達機構。 - 前記第1欠歯ギアと前記第2欠歯ギアとの軸方向の間隔は、両欠歯ギアの温度が許容上限に達した場合でも実質的に詰まらない値に設計されていることを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれかに記載の回転力伝達機構。
- 画像形成装置に搭載され、シートに画像を熱定着させる定着装置であって、
シートに接触して加熱する定着ローラーと、
前記定着ローラーを定常的に回転させるモーターと、
前記定着ローラーに接触して従動回転する位置と、前記定着ローラーから離間する位置との間で変位可能に支持された別ローラーと、
前記モーターの回転力により定常的に回転する駆動ギアと、
前記駆動ギアの回転力を利用して前記別ローラーを前記定着ローラーから間欠的に離間させる請求項1から請求項12までのいずれかに記載の回転力伝達機構と、
を備えた定着装置。 - シートを搬送する搬送装置と、
前記シートに画像を作成する作像装置と、
前記シートに前記画像を熱定着させる請求項13に記載の定着装置と、
を備えた画像形成装置。
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