JP6717063B2 - ハイブリッド車両の制御方法と制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、コーストEV走行中にドライバー操作による減速要求があるとき、ドライバーの要求減速Gを確保する制御を行うハイブリッド車両の制御方法と制御装置に関する。
従来、1モータ・2クラッチと呼ばれるパラレルハイブリッド駆動系を備えるFRハイブリッド車両において、第1クラッチを解放し、第2クラッチを締結し、駆動源をモータジェネレータとするEVモードを有する。ドライブEV走行中にエンジンを燃焼始動するときは、第2クラッチをスリップ締結状態とした後、第1クラッチを締結することにより、モータジェネレータをスタータとしエンジンを燃焼始動するエンジン始動制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−69817号公報
文献1に記載された1モータ・2クラッチのハイブリッド車両において、コーストEV走行中にドライバー操作により減速要求があるとき、第1クラッチを締結してエンジンを繋ぐと、エンジンクランキングによるフリクション負荷(エンジン負荷)が得られる。しかしながら、ドライバー操作による減速要求に対して第1クラッチを一気に締結すると、応答良くエンジン負荷を得ることができるものの、トルク段差により減速Gが急激に変動するショックが発生してしまう。一方、ドライバー操作による減速要求に対して第1クラッチをゆっくり締結すると、ショックの抑制は可能であるものの、エンジン負荷の発生応答が遅れ、減速要求に応答する要求減速Gを確保できない、という問題がある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、ドライバー操作による減速要求時、減速要求に応答する要求減速Gの確保と第1クラッチ締結ショック抑制との両立を達成するハイブリッド車両の制御方法と制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、エンジンとモータジェネレータとの間に第1クラッチが介装され、モータジェネレータと駆動輪との間に第2クラッチが介装される。
このハイブリッド車両において、EVモードでのコースト走行中にレバーやスイッチへのドライバー操作により減速要求があると、減速要求時の車速が、減速要求に応じた要求トルクに対し、モータジェネレータによる回生トルクとして、モータ回生最大トルクまで用いても要求減速Gが得られない設定車速以上であるか否かを判断する。
車速が設定車速以上であると判断されると、モータジェネレータのモータトルクを、モータトルク下限域の回生トルクへと低下させるモータブレーキ制御を行う。
モータブレーキ制御と同時に、EVモードで締結されている第2クラッチの締結トルクを抜くことで第2クラッチをスリップインさせるコーストCL2スリップイン制御を開始する。
第2クラッチのスリップの発生が判定されると、解放されている第1クラッチの締結を開始し、第1クラッチが締結完了するまで第2クラッチのスリップ締結状態を維持する。
第1クラッチが締結完了すると、第1クラッチを締結したままで第2クラッチのスリップを収束する制御を開始し、第2クラッチのスリップ収束によりエンジンをクランキング運転状態とするエンジンブレーキモードへモード遷移する。
エンジンブレーキモードへモード遷移すると、モータ負荷とエンジン負荷の合計負荷によって得られる減速Gが、要求減速Gとなるようにモータジェネレータによるモータ負荷分を調整する。
この結果、ドライバー操作による減速要求時、減速要求に応答する要求減速Gの確保と第1クラッチ締結ショック抑制との両立を達成することができる。加えて、減速Gを応答良く狙い通りに出しつつ、第1クラッチの締結によるエンジンのクランキング始動時に第1クラッチの締結ショックを抑えることができる。
実施例1の制御方法と制御装置が適用されたFFハイブリッド車両を示す全体システム図である。 実施例1の統合コントローラのモード遷移制御で用いられるモード遷移マップの一例を示すモード遷移マップ図である。 実施例1の変速機コントローラの変速制御で用いられる変速スケジュールの一例を示す変速スケジュール図である。 実施例1の統合コントローラにて実行されるドライバー操作による減速要求対応制御処理流れを示すフローチャートである。 実施例1のコーストEV走行中にDレンジからLレンジへのドライバー操作があったときの減速要求対応制御処理での設定車速の決め方を示す車速に対する入力軸コーストトルクの関係特性図である。 実施例1のコーストCL2スリップイン制御で演算されるCL2オフセットトルクをマップ化した一例を示すCL2オフセットトルクマップ図である。 実施例1のドライバー操作による減速要求対応制御において「EVモード」のままで初期減速レスポンスを得るモータブレーキ作用(モータ負荷)を示すモード遷移説明図である。 実施例1のドライバー操作による減速要求対応制御において「EVモード」から「EBモード」へのモード遷移過渡期において第2クラッチCL2のスリップ締結作用を示すモード遷移説明図である。 実施例1のドライバー操作による減速要求対応制御において「EBモード」へのモード遷移により要求減速Gを得るエンジンブレーキ作用(モータ負荷+エンジン負荷)を示すモード遷移説明図である。 比較例1(CL2オフセットトルク=小さな固定トルク値)でのD→L操作による減速要求対応制御における各特性を示すタイムチャートである。 比較例2(CL2オフセットトルク=大きな固定トルク値)でのD→L操作による減速要求対応制御における各特性を示すタイムチャートである。 実施例1(CL2オフセットトルク=変速比αに応じた可変値)でのD→L操作による減速要求対応制御における各特性を示すタイムチャートである。
以下、本発明のハイブリッド車両の制御方法と制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1における制御方法と制御装置は、1モータ・2クラッチと呼ばれるパラレルハイブリッド駆動系を備えるFFハイブリッド車両に適用したものである。以下、実施例1の制御方法と制御装置が適用されたFFハイブリッド車両の構成を、「全体システム構成」、「ドライバー操作による減速要求対応制御処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は、実施例1の制御方法と制御装置が適用されたFFハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)を示す全体システム図である。図2は、統合コントローラのモード遷移制御で用いられるモード遷移マップを示す。図3は、変速機コントローラの変速制御で用いられる変速スケジュールを示す。以下、図1〜図3に基づいて、FFハイブリッド車両の駆動系及び制御系の構成を説明する。
FFハイブリッド車両の駆動系は、図1に示すように、エンジンEngと、第1クラッチCL1と、モータジェネレータMGと、第2クラッチCL2と、無段変速機CVTと、ファイナルギヤFGと、左駆動輪LTと、右駆動輪RTと、を備えている。この駆動系により、運転モードとして、電気自動車モード(以下、「EVモード」という。)と、ハイブリッド車モード(以下、「HEVモード」という。)と、エンジンブレーキモード(以下、「EBモード」という。)等を有する。
前記「EVモード」は、第1クラッチCL1を解放状態とし、第2クラッチCL2を締結状態とし、アクセル踏み込みドライブ状態のときは、モータジェネレータMGを走行駆動モータとしてEV走行する。アクセル足離しコースト状態で発電要求があるときは、モータジェネレータMGを発電用ジェネレータとしてEV回生走行する。
前記「HEVモード」は、第1クラッチCL1を締結状態とし、第2クラッチCL2を締結状態とし、ドライブ状態のとき、エンジンEngとモータジェネレータMGの少なくとも一方を駆動源としてHEV走行する。アクセル足離しコースト状態で発電要求があるときは、モータジェネレータMGを発電用ジェネレータとしてHEV回生走行する。
前記「EBモード」は、「HEVモード」と同様に、第1クラッチCL1と第2クラッチCL2を締結状態とするが、コーストEV走行中にドラーバー操作により減速要求があるとき、エンジンEngをクランキング運転状態とするモードをいう。ここで、「クランキング運転状態」とは、第1クラッチCL1と第2クラッチCL2の締結によりエンジンEngから左右駆動輪LT,RTまでの駆動系が連結されているとき、左右駆動輪LT,RTの回転に伴ってエンジンEngを連れ回すことをいう。よって、「EBモード」では、モータジェネレータMGを回生トルク側とすることによるモータ負荷と、エンジンEngのクランキング運転によるエンジン負荷と、によって減速走行する。
「EVモード」と「HEVモード」と「EBモード」のモード遷移は、車速VSPと力行トルクと回生トルクと図2に示すモード遷移マップを用いて行われる。つまり、アクセル踏み込み操作によるドライブ状態のときには、図2の上半分に示すように、車速VSPと力行トルク(≒アクセル開度APO)による動作点が、EV領域内にあるときに「EVモード」が選択される。そして、アクセル踏み込み操作等により動作点がEV領域から外れると「EVモード」から第1クラッチCL1を締結してエンジンEngを燃焼始動し、「HEVモード」へモード遷移する。
アクセル足離し操作によるコースト状態のときには、図2の下半分に示すように、車速VSPと回生トルク(=目標駆動トルク)による動作点が、EV領域内にあるときに「EVモード」が選択される。そして、コーストEV走行中、ドライバー操作により減速要求があるときは、「EVモード」から第1クラッチCL1を締結してエンジンEngをクランキング始動し、「EBモード」へモード遷移する。なお、図2において、実線はモード遷移マップ特性を示し、点線はモータ力行最大トルク特性とモータ回生最大トルク特性を示す。そして、両特性のトルク方向乖離幅は、第1クラッチCL1,第2クラッチCL2のばらつきを考慮したマージンを示す。
前記エンジンEngは、スロットルアクチュエータによる吸入空気量とインジェクタによる燃料噴射量と、点火プラグによる点火時期の制御により、エンジントルクが指令値と一致するようにトルク制御される。また、エンジンEngは、燃焼運転状態ではなく、第1クラッチCL1を締結するだけでクランキング運転状態とすると、ピストンとシリンダー内壁との摩擦摺動抵抗、等によりフリクショントルクを発生する。
前記第1クラッチCL1は、エンジンEngとモータジェネレータMGとの間の位置に介装される。この第1クラッチCL1としては、例えば、ノーマルオープンの乾式多板クラッチ等が用いられ、エンジンEng〜モータジェネレータMG間の締結/スリップ締結/解放を行なう。この第1クラッチCL1が完全締結状態ならモータトルク+エンジントルクが第2クラッチCL2へと伝達され、解放状態ならモータトルクのみが、第2クラッチCL2へと伝達される。なお、第1クラッチCL1の締結/スリップ締結/解放は、クラッチ油圧(押付力)に応じて伝達トルク(クラッチトルク容量)が発生する油圧制御にて行われる。
前記モータジェネレータMGは、交流同期モータ構造であり、発進時や走行時にモータトルク制御やモータ回転数制御を行うと共に、制動時や減速時に回生ブレーキ制御による車両運動エネルギーのバッテリ9への回収(充電)を行なうものである。
前記第2クラッチCL2は、無段変速機CVTの前後進切替機構に設けられたノーマルオープンの湿式多板クラッチや湿式多板ブレーキであり、クラッチ油圧(押付力)に応じて伝達トルク(クラッチトルク容量)が発生する。この第2クラッチCL2は、無段変速機CVTおよびファイナルギヤFGを介し、エンジンEng及びモータジェネレータMG(第1クラッチCL1が締結されている場合)から出力されたトルクを左右駆動輪LT,RTへと伝達する。なお、第2クラッチCL2は、図1に示すように、モータジェネレータMGと無段変速機CVTの間の位置に設定する以外に、無段変速機CVTと左右駆動輪LT,RTの間の位置に設定しても良い。
前記無段変速機CVTは、変速機入力軸inputに接続したプライマリプーリPrPと、変速機出力軸outputに接続したセカンダリプーリSePと、プライマリプーリPrPとセカンダリプーリSePとの間に架け渡されたプーリベルトBEと、を有するベルト式無段変速機である。
プライマリプーリPrPは、変速機入力軸inputに固定された固定シーブと、変速機入力軸inputに摺動自在に支持された可動シーブと、を有している。セカンダリプーリSePは、変速機出力軸outputに固定された固定シーブと、変速機出力軸outputに摺動自在に支持された可動シーブと、を有している。
プーリベルトBEは、プライマリプーリPrPとセカンダリプーリSePとの間に巻き掛けられた金属ベルトであり、それぞれの固定シーブと可動シーブとの間に狭持される。ここで、プーリベルトBEとしては、ピン型ベルトやVDT型ベルトが使用される。
無段変速機CVTでは、両プーリPrP,SePのプーリ幅を変更し、プーリベルトBEの挟持面の径を変更して変速比(プーリ比)を自在に制御する。ここで、プライマリプーリPrPのプーリ幅が広くなると共に、セカンダリプーリSePのプーリ幅が狭くなると変速比がLow側に変化する。また、プライマリプーリPrPのプーリ幅が狭くなると共に、セカンダリプーリSePのプーリ幅が広くなると変速比がHigh側に変化する。
FFハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、統合コントローラ14と、変速機コントローラ15と、クラッチコントローラ16と、エンジンコントローラ17と、モータコントローラ18と、バッテリコントローラ19と、を備えている。そして、センサ類として、モータ回転数センサ6と、変速機入力回転数センサ7と、アクセル開度センサ10と、エンジン回転数センサ11と、油温センサ12と、変速機出力回転数センサ13と、を備えている。さらに、ブレーキセンサ20と、レバー位置検出センサ22と、車速センサ23と、を備えている。
前記統合コントローラ14は、バッテリ状態、アクセル開度、車速(変速機出力回転数に同期した値)、作動油温等から目標駆動トルクを演算する。そして、その結果に基づき各アクチュエータ(モータジェネレータMG、エンジンEng、第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、無段変速機CVT)に対する指令値を演算し、CAN通信線21を介して各コントローラ15,16,17,18,19へと送信する。
前記変速機コントローラ15は、統合コントローラ14からの変速指令を達成するように、無段変速機CVTのプライマリプーリPrPとセカンダリプーリSePに供給されるプーリ油圧を制御することにより変速制御を行なう。
変速機コントローラ15での変速制御は、図3に示す変速スケジュールと、車速VSPとアクセル開度APOによる運転点とを用い、変速スケジュール上での運転点(VSP,APO)により目標プライマリ回転数Npri*を決めることで行われる。変速スケジュールは、図3に示すように、運転点(VSP,APO)に応じて最Low変速比と最Hight変速比による変速比幅内で変速比を変更する。なお、図3の太線はアクセル足離し操作によるコースト変速線を示し、例えば、変速比が最High変速比でのコーストEV走行中、車速VSPが低下して減速すると、最High変速比から最Low変速比に向かってダウンシフトする。
前記クラッチコントローラ16は、エンジン回転数センサ11やモータ回転数センサ6や変速機入力回転数センサ7、等からのセンサ情報を入力し、第1クラッチCL1と第2クラッチCL2にクラッチ油圧指令値を出力する。これにより、第1クラッチCL1の押付力が設定されると共に、第2クラッチCL2の押付力が設定される。
前記エンジンコントローラ17は、エンジン回転数センサ11からのセンサ情報を入力すると共に、統合コントローラ14からのエンジントルク指令値を達成するように、エンジンEngのトルク制御を行なう。
前記モータコントローラ18は、統合コントローラ14からのモータトルク指令値やモータ回転数指令値を達成するように、インバータ8に対し制御指令を出力し、モータジェネレータMGのモータトルク制御やモータ回転数制御を行なう。なお、インバータ8は、直流/交流の相互変換を行うもので、バッテリ9からの放電電流を、モータジェネレータMGの駆動電流に変化する。また、モータジェネレータMGからの発電電流を、バッテリ9への充電電流に変換する。
前記バッテリコントローラ19は、バッテリ9の充電容量SOCを管理し、SOC情報を統合コントローラ14やエンジンコントローラ17へと送信する。
[ドライバー操作による減速要求対応制御処理構成]
図4は、実施例1の統合コントローラ14にて実行されるドライバー操作による減速要求対応制御処理流れを示すフローチャートである。以下、ドライバー操作による減速要求対応制御処理構成をあらわす図4の各ステップについて説明する。なお、このフローチャートは、コーストEV走行中(「EVモード」を選択してのコースト走行中)になると開始される。
ステップS1では、スタート、或いは、ステップS2でのドライバー操作による減速要求無しとの判断に続き、レバー位置センサ22からの位置検出信号を、変速機コントローラ15から統合コントローラ14にて受信し、ステップS2へ進む。
ここで、「レバー位置センサ24」は、インヒビタースイッチとマニュアルスイッチとオーバードライブスイッチ等の操作位置を検出するセンサである。インヒビタースイッチは、セレクトレバーへのドライバー操作により選択されているレンジ位置(Dレンジ位置やRレンジ位置やNレンジ位置やLレンジ等)を検出する。マニュアルスイッチは、スイッチをOFFにしたままで、無段変速機CVTを無段階変速モードにしているか、スイッチをON操作し、無段変速機CVTを有段変速機のようにステップ的に変速させるマニュアルモードを選択しているか否かを検出する。オーバードライブスイッチは、スイッチをOFFにしたままで、全変速比の選択を許可するモードにしているか、スイッチをON操作し、オーバードライブ変速比の選択しないモードを選択しているか否かを検出する。
ステップS2では、ステップS1でのレバー位置センサ22からの位置検出信号の受信に続き、ドライバー操作による減速要求有りか否かを判断する。YES(ドライバー操作による減速要求有り)の場合はステップS3へ進み、NO(ドライバー操作による減速要求無し)の場合はステップS1へ戻る。
ここで、「ドライバー操作による減速要求有り」とは、ドライバーがD→L操作やM選択操作やOD/OFF選択操作、等を行うことをいう。よって、ドライバーがセレクトレバーをDレンジからLレンジ(ロー変速比固定レンジ)に操作すると、D→L操作による減速要求有りと判断する。また、ドライバーがマニュアルスイッチをON操作すると、M選択操作による減速要求有りと判断する。さらに、ドライバーがOD/OFFスイッチをON操作すると、OD/OFF選択操作による減速要求有りと判断する。
ステップS3では、ステップS2でのドライバー操作による減速要求有りとの判断に続き、車速VSPが、減速要求の種類に応じた設定車速以上であるか否かを判断する。YES(車速VSP≧設定車速)の場合はステップS5へ進み、NO(車速VSP<設定車速)の場合はステップS4へ進む。
ここで、「設定車速」とは、各減速要求に応じた要求トルクに対し、モータジェネレータMGによる回生トルクとして、モータ回生最大トルク(=MOT回生最大トルク)まで用いても狙った減速Gが得られない車速限界値をいう。例えば、ドライバー操作による減速要求が、「EVモード」でのD→L操作であるとき、図5に示すように、Dレンジ要求トルクは、車速VSPにより多少変化する特性を示すが、モータジェネレータMGによるモータ回生最大トルクの範囲内に収まっている。一方、Lレンジ要求トルクは、車速VSPがある車速までDレンジ要求トルクより急勾配にて低下し、ある車速以降は上昇する特性を示し、車速VSPO以上になると、モータジェネレータMGによるモータ回生最大トルクの範囲を超えてしまう。このため、車速VSPO以上の車速領域でLレンジ要求トルクを達成するには、モータ負荷にエンジン負荷を加える必要がある。よって、車速VSPOを設定車速とすると、図5のハッチングGで示す領域が、エンジン負荷によるコーストトルクの分担領域になる。また、Lレンジ要求トルクとM選択操作要求トルクとOD/OFF選択操作要求トルクは、それぞれで要求されるコーストトルク低下特性が異なるため、要求トルクの種類に応じて設定車速も異なることになる。
ステップS4では、ステップS3での車速VSP<設定車速であるとの判断に続き、モータ負荷(モータ回生トルク)により狙った減速GとなるようにモータジェネレータMGに対しモータトルク指示を出力し、エンドへ進む。
即ち、車速VSP<設定車速であるときは、「EVモード」での減速要求トルクが、モータジェネレータMGによるモータ回生最大トルクの範囲内になるため、狙った減速Gを得る制御をモータジェネレータMGによる回生トルク制御にて行う。
ステップS5では、ステップS3での車速VSP≧設定車速であるとの判断、或いは、ステップS8でのCL2スリップ判定無しとの判断に続き、モータコントローラ18に対し回生側のモータ下限トルクまで低下させる指示を出力し、ステップS6へ進む。
ここで、モータ下限トルクまで低下させる指示は、目標駆動トルクに対し第2クラッチCL2をスリップさせるためのモータ引き剥がしトルク勾配を考慮してトルク目標を指示する(モータブレーキ制御)。
ステップS6では、ステップS5でのモータ下限トルクまでの低下指示出力に続き、変速機コントローラ15から変速比を受信する。そして、目標駆動トルクに対するCL2オフセットトルクToff(=CL2抜きトルク)を、第2クラッチCL2への変速比αに応じて演算し、演算結果に基づき目標CL2トルク容量を指示し、ステップS7へ進む(コーストCL2スリップイン制御)。
ここで、「変速比」は、変速機入力回転数センサ12からの変速機入力回転数と、変速機出力回転数センサ13からの変速機出力回転数により、入出力回転数比の演算にて求める。「CL2オフセットトルクToff」とは、締結している第2クラッチCL2をスリップ状態に突入させるコーストCL2スリップイン制御を行うとき、クラッチプレートの引き剥がしをするため、目標駆動トルクに対して抜くトルクをいう。そして、コーストCL2スリップイン制御の開始からCL2スリップが判定されるまでは、CL2オフセットトルクToffによるトルク容量低下幅を維持している。よって、コーストCL2スリップイン制御における第2クラッチCL2への目標CL2トルク容量特性は、CL2オフセットトルクToffによりCL2トルク容量を低下させた後、目標駆動トルクの上昇勾配に沿って上昇する特性を示す。
「CL2オフセットトルクToff」は、図6に示すように、無段変速機CVTの変速比αがハイ変速比であるほど大きなトルク値で与える。即ち、変速比αが、α1を超えるハイ変速比領域では、最大のCL2オフセットトルクToff1で与える。変速比αが、α1≦α≦1のハイ変速比側領域では、変速比α=α1のときCL2オフセットトルクToff1で与え、変速比αが、α1から1に近づくにつれ小さなトルク値とし、ハイ側変速比α=1のときCL2オフセットトルクToff2(<Toff1)で与える。変速比αが、1≦α≦α2のロー変速比側領域では、α=1のときCL2オフセットトルクToff2で与え、変速比αが、1からα2に近づくにつれ小さなトルク値とし、ロー側変速比α=α2のときCL2オフセットトルクToff3(<Toff2)で与える。
ステップS7では、ステップS6でのコーストCL2スリップイン制御に続き、第1クラッチCL1へ作動油を充填するプリチャージ制御を開始する。プリチャージ後、CL2スリップ判定までトルク容量を持つ直前のスタンバイ圧で待機し、ステップS8へ進む。
ステップS8では、ステップS7でのCL1プリチャージ制御に続き、第2クラッチCL2のスリップを判定したか否かを判断する。YES(CL2スリップ判定有り)の場合はステップS9へ進み、NO(CL2スリップ判定無し)の場合はステップS5へ戻る。
ここで、「第2クラッチCL2のスリップ判定」は、コーストCL2スリップイン制御により、第2クラッチCL2のクラッチ入力回転数が低下し、クラッチ出力回転数との間に所定の回転数差が出たときにスリップ発生と判定する。なお、クラッチ入力回転数は、モータ回転数センサ6により検出され、クラッチ出力回転数は、変速機入力回転数センサ7により検出される。
ステップS9では、ステップS8でのCL2スリップ判定有りとの判断、或いは、ステップS12でのCL2未締結であるとの判断に続き、第1クラッチCL1をスタンバイ圧からクランキングトルク相当油圧となるように指示し、ステップS10へ進む。即ち、CL2スリップ判定があると、第1クラッチCL1で応答良く実トルク容量を発生させ、そのまま実トルク容量を高めて締結させる。
ステップS10では、ステップS9での第1クラッチCL1の締結制御に続き、モータジェネレータMGの制御を、CL2スリップ判定までのモータトルク制御からモータ回転数制御へと移行する。そして、第1クラッチCL1の締結開始から完全締結まではCL2スリップ状態を維持し、その後、CL2スリップを締結方向に収束させ、ステップS11へ進む。
ステップS11では、ステップS10でのモータ回転数制御に続き、第2クラッチCL2へのCL2トルク容量指示を、コーストCL2スリップ制御でのトルク容量目標から目標駆動トルク相当に戻し、ステップS12へ進む。
ステップS12では、ステップS11での目標駆動トルク相当のCL2トルク容量指示の出力に続き、第2クラッチCL2が完全締結状態(ロックアップ状態)になったか否かを判断する。YES(CL2完全締結)の場合はステップS13へ進み、NO(CL2未締結)の場合はステップS9へ戻る。
ステップS13では、ステップS12でのCL2完全締結であるとの判断に続き、モータジェネレータMGの制御を、CL2完全締結までのモータ回転数制御からモータトルク制御へ移行する。そして、モータ負荷とエンジン負荷の合計負荷によって狙った減速Gとなるように、制御自由度を持つモータジェネレータMGに対してモータトルクを指示し、エンドへ進む。
次に、作用を説明する。
実施例1における作用を、「ドライバー操作による減速要求対応制御処理作用」、「ドライバー操作による減速要求対応制御作用」、「コーストCL2スリップイン制御作用」、「ドライバー操作による減速要求対応制御の特徴作用」に分けて説明する。
[ドライバー操作による減速要求対応制御処理作用]
以下、図4のフローチャートに基づき、ドライバー操作による減速要求対応制御処理作用を説明する。
ドライバー操作による減速要求有りであるが、車速VSPが、減速要求の種類に応じた設定車速未満であるときは、図4のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→エンドへと進む。ステップS4では、モータ負荷(モータ回生トルク)により狙った減速GとなるようにモータジェネレータMGに対しモータトルク指示が出力される。即ち、車速VSP<設定車速であるときは、EVレンジでの減速要求トルクが、モータジェネレータMGによるモータ回生最大トルクの範囲内になるため、狙った減速Gを得る制御が、モータジェネレータMGによる回生トルク制御にて行われる。
ドライバー操作による減速要求有りであるが、車速VSPが、減速要求の種類に応じた設定車速以上であるときは、図4のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8へと進む。そして、ステップS8にてCL2スリップ判定無しと判断されている間は、ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8へと進む流れが繰り返される。即ち、ドライバー操作による減速要求対応制御が開始されると、ステップS5によるモータブレーキ制御と、ステップS6によるコーストCL2スリップイン制御と、ステップS7によるCL1プリチャージ制御と、の三つの制御が同時に開始される。
ステップS5によるモータブレーキ制御では、モータコントローラ18に対し回生側のモータ下限トルクまで低下させる指示が出力される。つまり、減速要求対応制御を開始するとき、モータ目標駆動トルクの低下勾配よりも急な勾配にてモータ下限トルクまで低下させる指示をし、第2クラッチCL2のプレート引き剥がしを促進させる。そして、モータ下限トルクに到達すると、CL2スリップ判定有りと判断されるまでモータ下限トルクが維持される。
ステップS6によるコーストCL2スリップイン制御では、第2クラッチCL2へのCL2オフセットトルクToff(=CL2抜きトルク)が、無段変速機CVTの変速比αに応じて演算される。そして、CL2オフセットトルクToffと目標駆動トルクの勾配により決められた目標CL2トルク容量が指示される。ここで、CL2オフセットトルクToffは、変速比αの変化にかかわらず、変速比変動を考慮したショック許容限界値(例えば、0.02G)を超えることがない抜きトルクを与えるようにしている。つまり、図6に示すように、ショック許容限界値(例えば、0.04G)に対し、変速比変動を考慮したショック許容限界値(例えば、0.02G)を与えるとしたとき、CL2オフセットトルクToffは、変速比変動を考慮したショック許容限界値を下回るトルク値とされる。
ステップS7によるCL1プリチャージ制御では、エンジン負荷を加える減速要求対応制御を開始するのと同時に、第1クラッチCL1へ作動油を充填するプリチャージ制御が開始される。つまり、減速要求対応制御開始からCL2スリップ判定有りと判断されるまでの時間を利用し、プリチャージ制御によってCL2スリップ判定までトルク容量を持つ直前のスタンバイ圧とし、CL2スリップ判定有りと判断されるまでスタンバイ圧を維持したままで待機する。
次に、ステップS8にてCL2スリップ判定有りと判断されると、図4のフローチャートにおいて、ステップS8からステップS9→ステップS10→ステップS11→ステップS12へと進む。そして、ステップS12にてCL2未締結であると判断されている間は、ステップS9→ステップS10→ステップS11→ステップS12へと進む流れが繰り返される。即ち、第2クラッチCL2のスリップ判定がなされると、ステップS9によるCL1クラッチ締結制御と、ステップS10によるモータ回転数制御と、ステップS11によるCL2トルク容量制御と、の三つの制御が同時に開始される。
ステップS9によるCL1クラッチ締結制御では、第1クラッチCL1をスタンバイ圧からクランキングトルク相当油圧となるように指示される。即ち、CL2スリップ判定がなされると、第1クラッチCL1で応答良く実トルク容量を発生させ、そのまま実トルク容量を高めて締結させる。この第1クラッチCL1の締結作動によってエンジンEngのクランキング始動を行い、第1クラッチCL1の完全締結により、クラッチ入出力回転数を同期させ、運転モードを「EVモード」から「EBモード」へモード遷移する。
ステップS10によるモータ回転数制御では、モータジェネレータMGの制御を、CL2スリップ判定までのモータトルク制御からモータ回転数制御へと移行し、第1クラッチCL1の締結開始から完全締結までは、第2クラッチCL2が所定のスリップ量を保つCL2スリップ状態が維持される。その後、第2クラッチCL2の目標スリップ量を徐々に0にして締結方向に収束させる。
ステップS11によるCL2トルク容量制御では、第2クラッチCL2へのCL2トルク容量指示が、コーストCL2スリップ制御でのトルク容量目標から目標駆動トルク相当に戻される。つまり、第2クラッチCL2の締結容量を、目標駆動トルクを伝達することが可能な本来の目標値に戻す制御が行われる。
次に、ステップS12にてCL2完全締結であると判断されると、図4のフローチャートにおいて、ステップS12からステップS13→エンドへと進む。ステップS13では、モータジェネレータMGの制御が、CL2完全締結までのモータ回転数制御からモータトルク制御へ移行される。そして、モータ負荷とエンジン負荷の合計負荷によって狙った減速Gとなるように、制御自由度を持つモータジェネレータMGに対してモータトルクが指示される。
[ドライバー操作による減速要求対応制御作用]
上記のように、ドライバー操作による減速要求対応制御では、D→L操作やM選択操作やOD/OFF選択操作等のドライバー操作による減速度要求があった場合、モータトルクでモータトルク下限まで応答させ、初期減速レスポンスを演出する。そして、初期減速レスポンスを演出している時間を活用し、伝達トルクの変動を抑えながら第1クラッチCL1を締結し、エンジンEngをクランキング始動し、エンジンブレーキを出している。
即ち、“モータ負荷により初期減速レスポンスを演出しておき、続いて、第1クラッチCL1を締結することエンジンブレーキに繋いで要求減速Gを出す”というのがドライバー操作による減速要求対応制御のコンセプトである。
ここで、実施例1でのドライバー操作による減速要求対応制御作用を、図7〜図9に示すモード遷移説明図に基づいて説明する。ここで、例えば、図3において、ドライブ走行による運転点Aにてアクセル足離し操作(APO=0)が行われ、運転点Bへの移行によりコーストEV走行中になり、運転点Cにてドライバー操作により減速要求がなされたとする。そして、運転点Dを減速目標として運転点Cの車速VSP1から運転点Dの車速VSP2まで減速させる減速要求対応制御が行われるものとする。
コーストEV走行中、ドライバー操作による減速要求から第2クラッチCL2のスリップが判定されるまでのモータブレーキ区間は、図7に示すように、第1クラッチCL1を解放状態とし、第2クラッチCL2を締結状態とする「EVモード」の選択が維持される。
モータブレーキ区間では、モータジェネレータMGへの指示がモータ下限トルクとされる(例えば、図2において運転点がE点からF点に移動する)。このモータ下限トルクにより応答良くモータ負荷が駆動系に加わることにより、左右駆動輪LT,RTが減速し、初期減速レスポンスが演出される。なお、このモータブレーキ区間においては、モータブレーキ制御と並行して、第2クラッチCL2に対してコーストCL2スリップイン制御と、第1クラッチCL1に対してCL1プリチャージ制御と、が行われる。
第2クラッチCL2のスリップ判定から第1クラッチCL1が完全締結するまでのCL2スリップ区間は、第2クラッチCL2のスリップ状態を維持したままで、第1クラッチCL1のトルク容量が高められる。そして、第1クラッチCL1が完全締結すると、図8に示すように、てゆく「EB過渡モード」とされる。
CL2スリップ区間では、モータジェネレータMGの制御が、モータトルク制御からモータ回転数制御へと移行し、伝達トルク変動を遮断する第2クラッチCL2のスリップ状態が維持される。そして、第1クラッチCL1のトルク容量を高めてゆくにしたがって、エンジンフリクションによるエンジン負荷が徐々に高まり、第2クラッチCL2を介して目標駆動トルク相当までに制限された制動トルクが伝達され、左右駆動輪LT,RTが要求減速Gに向かって減速する。
第1クラッチCL1が完全締結してから第2クラッチCL2が完全締結するまでの第1エンジンブレーキ区間では、第1クラッチCL1を完全締結したままで、第2クラッチCL2のスリップを収束させる制御が行われる。そして、第2クラッチCL2のスリップが収束し、第2エンジンブレーキ区間になると、図9に示すように、第1クラッチCL1と第2クラッチCL2が締結状態である「EBモード」へとモード遷移される。
第1エンジンブレーキ区間では、モータジェネレータMGのモータ回転数制御と第2クラッチCL2のトルク容量の戻し制御により、第2クラッチCL2はスリップ状態から完全締結状態へと移行する。そして、第2クラッチCL2を介して目標駆動トルク相当の制動トルクが伝達され、左右駆動輪LT,RTが要求減速Gに向かって減速する。
第2エンジンブレーキ区間では、第2クラッチCL2の完全締結により「EBモード」へとモード遷移し、エンジンEngが、左右駆動輪LT,RTの回転に伴って連れ回るクランキング運転状態とされる。この「EBモード」へのモード遷移により、モータ負荷とエンジン負荷の合計負荷によって減速Gが得られるが、モータジェネレータMGによるモータ負荷分を調整代とし、狙った減速Gとなるように合計負荷が調整される。
[コーストCL2スリップイン制御作用]
1モータ・2クラッチのハイブリッド駆動系においては、ドライブEV走行中、エンジンの燃焼始動要求があると、第2クラッチCL2をスリップさせてエンジン初爆や第1クラッチCL1の締結時における入力トルク変動を遮断している。このとき、第2クラッチCL2をスリップさせるドライブCL2スリップイン制御では、ドライバー要求トルクに対し、モータ回転数制御によってモータトルクを加え、モータトルクとCL2容量の差分を生じさせる。加えて、CL2クラッチ容量は、目標駆動トルクに対するCL2オフセットトルク(トルク抜き量)を固定値で与えている。つまり、ドライブCL2スリップイン制御では、CL2クラッチ容量低下制御に比べ、第2クラッチCL2への入力トルク上昇制御への依存度を高くし、CL2スリップインを実現している。
これに対し、実施例1のドライバー操作による減速要求対応制御では、初期減速レスポンスのためにモータトルクを下限まで使用している(図2参照)。このため、減速要求対応制御において、第1クラッチCL1を締結する際に伝達トルクの変動を抑えるダンピング制御として、コーストCL2スリップイン制御を採用すると、第2クラッチCL2への入力トルクを低下させる入力トルク低下余裕代が無い。したがって、コーストCL2スリップイン制御では、CL2への入力トルク低下制御に比べ、CL2トルクを抜くCL2クラッチ容量低下制御への依存度を高くし、CL2スリップインを実現している。
そこで、コーストCL2スリップイン制御におけるCL2オフセットトルクToff(トルク抜き量)を、ドライブCL2スリップイン制御と同様に固定値で与えるとする。このとき、CL2オフセットトルクToffを小さな固定トルク値で与えると、狙い通りの減速Gが出ない(比較例1)。一方、CL2オフセットトルクToffを大きな固定トルク値で与えると、減速G抜け(ショック)になる(比較例2)。
即ち、CL2オフセットトルクを小さな固定トルク値で与えるものを比較例1とし、D→L操作による減速要求対応制御作用を、図10に示すタイムチャートにより説明する。なお、図10のタイムチャートにおいて、時刻t1から時刻t2までがモータブレーキ区間T1、時刻t2から時刻t3までがCL2スリップ区間T2、時刻t3から時刻t4までが第1エンジンブレーキ区間T3、時刻t4以降が第2エンジンブレーキ区間である。
CL2オフセットトルクを小さな固定トルク値で与えると、時刻t1にてドライバー操作による減速要求があってからCL2スリップと判定される時刻t2までのモータブレーキ区間T1に要する時間が長くなる。このため、図10の矢印Hで囲まれる減速G特性に示すように、実際の減速Gの変動は小さく抑えられるものの、狙いの減速G(点線)に対して実際の減速Gが小さくなり、狙い通りの減速Gが出ない。
次に、CL2オフセットトルクを大きな固定トルク値で与えるものを比較例2とし、D→L操作による減速要求対応制御作用を、図11に示すタイムチャートにより説明する。なお、図11のタイムチャートにおいて、時刻t1から時刻t2までがモータブレーキ区間T1’、時刻t2から時刻t3までがCL2スリップ区間T2’、時刻t3から時刻t4までが第1エンジンブレーキ区間T3’、時刻t4以降が第2エンジンブレーキ区間である。
CL2オフセットトルクを大きな固定トルク値で与えると、時刻t1にてドライバー操作による減速要求があってからCL2プレートが応答良く引き剥がされ、CL2スリップと判定される時刻t2までのモータブレーキ区間T1に要する時間が短くなる(T1>T1’)。しかし、図11の矢印Iで囲まれる減速G特性に示すように、第2クラッチCL2の締結トルク容量が急激に低下するCL2トルク抜けにより、狙いの減速G(点線)に対して実際の減速Gが大きく変動し、減速G抜け(ショック、押し出し感)になる。
即ち、コーストCL2スリップイン制御におけるCL2オフセットトルクを決めるときは、要求減速Gの確保と減速G抜けショックの抑制を両立する必要がある。この課題を解決したのが、実施例1のコーストCL2スリップイン制御であり、コーストCL2スリップイン制御におけるCL2オフセットトルクToff(トルク抜き量)を、無段変速機CVTの変速比αに応じた可変値により与えるようにしている。
実施例1でのD→L操作による減速要求対応制御作用を、図12に示すタイムチャートにより説明する。なお、図12のタイムチャートにおいて、時刻t1から時刻t2までがモータブレーキ区間T1”、時刻t2から時刻t3までがCL2スリップ区間T2”、時刻t3から時刻t4までが第1エンジンブレーキ区間T3”、時刻t4以降が第2エンジンブレーキ区間である。
まず、無段変速機CVTの変速比αがハイ変速比であるときは、CL2オフセットトルクを大きなトルク値で与えてもショックがショック許容限界値以下に抑えられる。よって、ハイ変速比であるときにCL2オフセットトルクを大きなトルク値で与えると、時刻t1にてドライバー操作による減速要求があってから、CL2抜きトルクによりCL2プレートが応答良く引き剥がされる。この結果、CL2スリップと判定される時刻t2までのモータブレーキ区間T1に要する時間が短くなる(T1>T1”)。
次に、無段変速機CVTの変速比αがロー変速比であるときは、CL2オフセットトルクを小さなトルク値で与えないと、ショックがショック許容限界値以下に抑えられない。しかし、同じコーストEV走行車速で比較した場合、ロー変速比のときは、無段変速機CVTの入力側に配置される第2クラッチCL2の回転数が、ハイ変速比のときの回転数に比べて高くなる。よって、ロー変速比であるときにCL2オフセットトルクを、ハイ変速比のときよりも小さなトルク値で与えても、時刻t1にてドライバー操作による減速要求があってから、CL2抜きトルクによりCL2プレートが応答良く引き剥がされる。この結果、CL2スリップと判定される時刻t2までのモータブレーキ区間T1に要する時間が短くなる(T1>T1”)。
このため、図12の矢印Jで囲まれる減速G特性に示すように、変速比Highのときも変速比Lowのときも、実際の減速Gがほぼ狙いの減速Gに沿った特性を示し、要求減速Gの確保とショック抑制の両立が達成される。
[ドライバー操作による減速要求対応制御の特徴作用]
実施例1では、「EVモード」でのコースト走行中にドライバー操作により減速要求があると、モータジェネレータMGのモータトルクを、モータトルク下限域の回生トルクへと低下させるモータブレーキ制御を行う。モータブレーキ制御に続いて、解放されている第1クラッチCL1を、伝達トルクの変動を抑えるダンピング制御を実行しながら締結し、エンジンEngをクランキング運転状態とする「EBモード」へモード遷移する。
即ち、コーストEV走行中にドライバー操作により減速要求があると、モータジェネレータMGのモータトルクを、モータトルク下限域の回生トルクへと低下させるモータブレーキ制御を行うことで、減速要求に対する初期減速レスポンスが演出される。モータブレーキ制御に続いて、解放されている第1クラッチCL1を、伝達トルクの変動を抑えるダンピング制御を実行しながら締結することで、CL1締結ショックが抑えられる。さらに、第1クラッチCL1の締結により、「EVモード」から「EBモード」へモード遷移し、エンジンEngを、左右駆動輪LT,RTにより連れ回されるクランキング運転状態とすることで、エンジンフリクションによる負荷が加わり、要求される減速Gが得られる。
従って、コーストEV走行中にドライバー操作により減速要求があると、モータ負荷による初期減速レスポンスの演出後にエンジン負荷が加えられ、減速要求に応答する要求減速Gが確保される。さらに、第1クラッチCL1を締結する際に伝達トルクの変動を抑えるダンピング制御を実行することで、第1クラッチCL1が締結するときのCL1締結ショックが抑制される。
実施例1では、ダンピング制御を、「EVモード」で締結されている第2クラッチCL2の締結トルクを抜くことで第2クラッチCL2をスリップインさせるコーストCL2スリップイン制御とする。
即ち、第2クラッチCL2をスリップ制御することで、第1クラッチCL1の締結によるエンジンEngのクランキング始動時に伝達トルク変動が遮断される。そして、コーストCL2スリップイン制御は、CL2トルク容量制御であるため、減速要求に対する初期減速レスポンスを確保するためのモータブレーキ制御(モータトルク制御)を、互いに重なり合う同時タイミングにて並行に実行することができる。
従って、減速Gを応答良く狙い通りに出しつつ、第1クラッチCL1の締結によるエンジンEngのクランキング始動時にCL1締結ショックが抑えられる。
実施例1では、コーストCL2スリップイン制御では、第2クラッチCL2の締結トルクを抜くときの目標駆動トルク相当に対する抜き量であるCL2オフセットトルクToffを、無段変速機CVTの変速比αがハイ変速比側であるほど大きなトルク値に決める。
即ち、変速比αがハイ変速比のときは、ショック抑制よりも減速Gの確保を優先したい高車速領域のときである。一方、変速比αがロー変速比のときは、減速Gの確保よりもショック抑制を優先したい低車速領域のときである。
従って、無段変速機CVTの変速比αがハイ変速比側であるほどCL2オフセットトルクToffを大きな値に決めることで、変速比αがハイ変速比のときの減速Gの確保と、変速比αがロー変速比のときのCL1締結ショック抑制と、の両立が達成される。
実施例1では、CL2オフセットトルクToffは、第1クラッチCL1を締結するときのCL1締結ショックがショック許容限界値以下になるトルク値に決める。
即ち、無段変速機CVTの変速比αに応じてCL2オフセットトルクToffを決めるとき、CL1締結ショックがショック許容限界値以下になるようにCL2オフセットトルクToffが決められる。
従って、無段変速機CVTの変速比αがロー側変速比であるかハイ側変速比であるかにかかわらず、CL1締結ショックを抑制しつつ、要求される減速Gが確保される。
実施例1では、CL2オフセットトルクToffは、コーストCL2スリップイン制御が開始されてから第2クラッチCL2のスリップの発生が判定されるまで維持(ラッチ)する。
従って、エンジンEngをクランキング始動する際のコーストCL2スリップイン制御中において、CL2トルク指令の変動による減速Gの変動が抑えられる。
実施例1では、コーストEV走行中にドライバー操作により減速要求があると、モータジェネレータMGの制御をモータトルク制御としてモータブレーキ制御を行う。並行してコーストCL2スリップイン制御と、第1クラッチCL1へ作動油を充填するプリチャージ制御とを開始する。CL2スリップイン制御により第2クラッチCL2のスリップの発生が判定されると、モータジェネレータMGの制御をモータ回転数制御とし、第1クラッチCL1が締結完了するまで第2クラッチCL2のスリップ締結状態を維持する。
即ち、コーストEV走行中にドライバー操作により減速要求があると、モータジェネレータMGの制御を、CL2スリップが判定されるまではモータトルク制御とし、CL2スリップが判定されるとモータ回転数制御に移行する。これによって、モータトルク制御が行われている時間を活用して、コーストCL2スリップイン制御と第1クラッチCL1のプリチャージ制御を実行できる。そして、モータ回転数制御に移行すると、モータ回転数制御にてスリップ量を精度よく管理することで、確実に第1クラッチCL1の締結に伴うショックを抑制できる。
従って、コーストEV走行中にドライバー操作により減速要求があるとき、制御精度と制御応答を確保しながら、減速要求に応答する要求減速Gの確保とCL1締結ショック抑制との両立が達成される。
次に、効果を説明する。
実施例1におけるFFハイブリッド車両の制御方法と制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) 駆動系にエンジンEngとモータジェネレータMGと駆動輪(左右駆動輪LT,RT)を備える。
エンジンEngとモータジェネレータMGとの間に第1クラッチCL1が介装され、運転モードとして、第1クラッチCL1を解放し、駆動源をモータジェネレータMGとするEVモードを有するハイブリッド車両(FFハイブリッド車両)である。
EVモードでのコースト走行中にドライバー操作により減速要求があると、モータジェネレータMGのモータトルクを、モータトルク下限域の回生トルクへと低下させるモータブレーキ制御を行う。
モータブレーキ制御に続いて、解放されている第1クラッチCL1を、伝達トルクの変動を抑えるダンピング制御(コーストCL2スリップイン制御)を実行しながら締結し、エンジンEngをクランキング運転状態とするエンジンブレーキモード(EBモード)へモード遷移する(図4)。
このため、ドライバー操作による減速要求時、減速要求に応答する要求減速Gの確保とCL1締結ショック抑制との両立を達成するハイブリッド車両(FFハイブリッド車両)の制御方法を提供することができる。
(2) モータジェネレータMGと駆動輪(左右駆動輪LT,RT)との間に第2クラッチCL2が介装される。
ダンピング制御を、EVモードで締結されている第2クラッチCL2の締結トルクを抜くことで第2クラッチCL2をスリップインさせるコーストCL2スリップイン制御とする(図4)。
このため、(1)の効果に加え、減速Gを応答良く狙い通りに出しつつ、第1クラッチCL1の締結によるエンジンEngのクランキング始動時にCL1締結ショックを抑えることができる。
(3) モータジェネレータMGと駆動輪(左右駆動輪LT,RT)との間に変速機(無段変速機CVT)が介装される。
コーストCL2スリップイン制御では、第2クラッチCL2の締結トルクを抜くときの目標駆動トルクに対する抜き量であるCL2オフセットトルクToffを、変速機(無段変速機CVT)の変速比αがハイ変速比側であるほど大きなトルク値に決める(図6)。
このため、(2)の効果に加え、変速機(無段変速機CVT)の変速比αがハイ変速比のときの減速Gの確保と、変速機(無段変速機CVT)の変速比αがロー変速比のときのCL1締結ショック抑制と、の両立を達成することができる。
(4) CL2オフセットトルクToffは、第1クラッチCL1を締結するときのCL1締結ショックがショック許容限界値以下になるトルク値に決める(図6)。
このため、(3)の効果に加え、変速機(無段変速機CVT)の変速比αがロー側変速比であるかハイ側変速比であるかにかかわらず、CL1締結ショックを抑制しながら、要求される減速Gを確保することができる。
(5) CL2オフセットトルクToffは、コーストCL2スリップイン制御が開始されてから第2クラッチCL2のスリップの発生が判定されるまで維持する(図4)。
このため、(4)の効果に加え、エンジンEngをクランキング始動する際のコーストCL2スリップイン制御中において、CL2トルク指令の変動による減速Gの変動を抑制することができる。
(6) EVモードでのコースト走行中にドライバー操作により減速要求があると、モータジェネレータMGの制御をモータトルク制御としてモータブレーキ制御を行い、並行してコーストCL2スリップイン制御と、第1クラッチへ作動油を充填するプリチャージ制御とを開始する。
CL2スリップイン制御により第2クラッチCL2のスリップの発生が判定されると、モータジェネレータMGの制御をモータ回転数制御とし、第1クラッチCL1が締結完了するまで第2クラッチCL2のスリップ締結状態を維持する(図4)。
このため、(2)〜(5)の効果に加え、コーストEV走行中にドライバー操作により減速要求があるとき、制御精度と制御応答を確保しながら、減速要求に応答する要求減速Gの確保とCL1締結ショック抑制との両立を達成することができる。
(7) 駆動系にエンジンEngとモータジェネレータMGと駆動輪(左右駆動輪LT,RT)を備える。
エンジンEngとモータジェネレータMGとの間に第1クラッチCL1が介装され、運転モードとして、第1クラッチCL1を解放し、駆動源をモータジェネレータMGとするEVモードを有する。
EVモードでのコースト走行中にドライバー操作により減速要求があると、ドライバーが要求する減速Gを確保する制御を行うコントローラ(統合コントローラ14)を備えるハイブリッド車両(FFイブリッド車両)の制御装置である。
コントローラ(統合コントローラ14)は、EVモードでのコースト走行中にドライバー操作により減速要求があると、モータジェネレータMGのモータトルクを、モータトルク下限域の回生トルクへと低下させるモータブレーキ制御を行う。
モータブレーキ制御に続いて、解放されている第1クラッチCL1を、伝達トルクの変動を抑えるダンピング制御(コーストCL2スリップイン制御)により締結し、エンジンEngをクランキング運転状態とするエンジンブレーキモード(EBモード)へモード遷移する制御処理を実行する(図4)。
このため、ドライバー操作による減速要求時、減速要求に応答する要求減速Gの確保とCL1締結ショック抑制との両立を達成するハイブリッド車両(FFハイブリッド車両)の制御装置を提供することができる。
以上、本発明のハイブリッド車両の制御方法と制御装置を、実施例1に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、伝達トルクの変動を抑えるダンピング制御として、第2クラッチCL2のトルクを抜いてスリップインさせるコーストCL2スリップイン制御とする例を示した。しかし、ダンピング制御としては、第1クラッチCL1の締結制御の例としても良いし、モータ制御の例としても良いし、無段変速機CVTの変速制御の例としても良いし、ブレーキ制御の例としても良い。さらに、第1クラッチCL1から駆動輪までの駆動系に有する制御対象に対して、複数の制御を組み合わせるようにしても良い。
実施例1では、コーストEV走行中にドライバー操作により減速要求があると、モータジェネレータMGのモータトルクを、モータ下限トルクまで低下させるモータブレーキ制御を行う例を示した。しかし、モータブレーキ制御としては、初期減速レスポンスを得ることができるトルク低下量を得ることができるならば、モータ下限トルクまでに多少の余裕トルクを残して低下させるようにしても良い。
実施例1では、変速機として、無段変速機CVTを用い、第2クラッチCL2を前後進切替機構に有するクラッチを流用する例を示した。しかし、変速機としては、変速比がステップ的に変化する有段変速機であっても良い。さらに、無段変速機と有段変速機の組み合わせ変速機であっても良い。また、有段変速機の場合、変速摩擦要素として用いられるクラッチ・ブレーキを、第2クラッチとしても良い。
実施例1では、本発明の制御方法と制御装置を、1モータ・2クラッチと呼ばれるパラレルハイブリッド駆動系を備えるFFハイブリッド車両に適用する例を示した。しかし、本発明の制御方法と制御装置は、FRハイブリッド車両や駆動系構成が異なるハイブリッド車両に対しても適用することができる。要するに、エンジンとモータジェネレータとの間に第1クラッチ(エンジンクラッチ)を備え、運転モードして、「EVモード」を有するハイブリッド車両であれば適用することができる。
Eng エンジン
CL1 第1クラッチ
MG モータジェネレータ
CL2 第2クラッチ
CVT 無段変速機(変速機)
FG ファイナルギヤ
LT 左駆動輪(駆動輪)
RT 右駆動輪(駆動輪)
10 アクセル開度センサ
11 エンジン回転数センサ
13 変速機出力回転数センサ
14 統合コントローラ(コントローラ)
15 変速機コントローラ
16 クラッチコントローラ
17 エンジンコントローラ
18 モータコントローラ
19 バッテリコントローラ
20 ブレーキセンサ
22 レバー位置検出センサ
23 車速センサ

Claims (6)

  1. 駆動系にエンジンとモータジェネレータと駆動輪を備え、
    前記エンジンと前記モータジェネレータとの間に第1クラッチが介装され、前記モータジェネレータと前記駆動輪との間に第2クラッチが介装され、運転モードとして、前記第1クラッチを解放し、前記第2クラッチを締結し、駆動源を前記モータジェネレータとするEVモードを有するハイブリッド車両において、
    前記EVモードでのコースト走行中にレバーやスイッチへのドライバー操作により減速要求があると、減速要求時の車速が、減速要求に応じた要求トルクに対し、前記モータジェネレータによる回生トルクとして、モータ回生最大トルクまで用いても要求減速Gが得られない設定車速以上であるか否かを判断し、
    前記車速が設定車速以上であると判断されると、前記モータジェネレータのモータトルクを、モータトルク下限域の回生トルクへと低下させるモータブレーキ制御を行い、
    前記モータブレーキ制御と同時に、前記EVモードで締結されている前記第2クラッチの締結トルクを抜くことで前記第2クラッチをスリップインさせるコーストCL2スリップイン制御を開始し
    前記第2クラッチのスリップの発生が判定されると、解放されている前記第1クラッチの締結を開始し、前記第1クラッチが締結完了するまで前記第2クラッチのスリップ締結状態を維持し、
    前記第1クラッチが締結完了すると、前記第1クラッチを締結したままで前記第2クラッチのスリップを収束する制御を開始し、前記第2クラッチのスリップ収束により前記エンジンをクランキング運転状態とするエンジンブレーキモードへモード遷移し、
    前記エンジンブレーキモードへモード遷移すると、モータ負荷とエンジン負荷の合計負荷によって得られる減速Gが、前記要求減速Gとなるように前記モータジェネレータによるモータ負荷分を調整する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御方法。
  2. 請求項1に記載されたハイブリッド車両の制御方法において、
    前記モータジェネレータと前記駆動輪との間に変速機が介装され、
    前記コーストCL2スリップイン制御では、前記第2クラッチの締結トルクを抜くときの目標駆動トルクに対する抜き量であるCL2オフセットトルクを、前記変速機の変速比がハイ変速比側であるほど大きなトルク値に決める
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御方法。
  3. 請求項2に記載されたハイブリッド車両の制御方法において、
    前記CL2オフセットトルクは、前記第1クラッチを締結するときの第1クラッチ締結ショックがショック許容限界値以下になるように決める
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御方法。
  4. 請求項2又は請求項3に記載されたハイブリッド車両の制御方法において、
    前記CL2オフセットトルクは、前記コーストCL2スリップイン制御が開始されてから前記第2クラッチのスリップの発生が判定されるまで維持する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御方法。
  5. 請求項1から請求項4までの何れか一項に記載されたハイブリッド車両の制御方法において、
    前記EVモードでのコースト走行中にドライバー操作により減速要求があると、前記モータジェネレータの制御をモータトルク制御としてモータブレーキ制御を行い、同時に前記コーストCL2スリップイン制御と、前記第1クラッチへ作動油を充填するプリチャージ制御とを開始し、
    前記CL2スリップイン制御により前記第2クラッチCL2のスリップの発生が判定されると、前記モータジェネレータの制御をモータ回転数制御とし、前記第1クラッチが締結完了するまで前記第2クラッチのスリップ締結状態を維持する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御方法。
  6. 駆動系にエンジンとモータジェネレータと駆動輪を備え、前記エンジンと前記モータジェネレータとの間に第1クラッチが介装され、前記モータジェネレータと前記駆動輪との間に第2クラッチが介装され、
    運転モードとして、前記第1クラッチを解放し、前記第2クラッチを締結し、駆動源を前記モータジェネレータとするEVモードを有し、
    前記EVモードでのコースト走行中にレバーやスイッチへのドライバー操作により減速要求があると、ドライバーが要求する減速Gを確保する制御を行うコントローラを備えるハイブリッド車両の制御装置において、
    前記コントローラは、
    前記ドライバー操作により減速要求があると、減速要求時の車速が、減速要求に応じた要求トルクに対し、前記モータジェネレータによる回生トルクとして、モータ回生最大トルクまで用いても要求減速Gが得られない設定車速以上であるか否かを判断し、
    前記車速が設定車速以上であると判断されると、前記モータジェネレータのモータトルクを、モータトルク下限域の回生トルクへと低下させるモータブレーキ制御を行い、
    前記モータブレーキ制御と同時に、前記EVモードで締結されている前記第2クラッチの締結トルクを抜くことで前記第2クラッチをスリップインさせるコーストCL2スリップイン制御を開始し
    前記第2クラッチのスリップの発生が判定されると、解放されている前記第1クラッチの締結を開始し、前記第1クラッチが締結完了するまで前記第2クラッチのスリップ締結状態を維持し、
    前記第1クラッチが締結完了すると、前記第1クラッチを締結したままで前記第2クラッチのスリップを収束する制御を開始し、前記第2クラッチのスリップ収束により前記エンジンをクランキング運転状態とするエンジンブレーキモードへモード遷移し、
    前記エンジンブレーキモードへモード遷移すると、モータ負荷とエンジン負荷の合計負荷によって得られる減速Gが、前記要求減速Gとなるように前記モータジェネレータによるモータ負荷分を調整する制御処理を実行する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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