ところで、ユーザーが給湯使用のために給湯先を開いたとしても、設定温度の湯が給湯先から即座に出湯される訳ではなく、実際に出湯されるまでにはある一定の時間待つ必要がある。このような待ち時間は、給湯装置の運転状況や設置環境の違いなどの種々の要因によって変化し、その違いによって、給湯先を開けば設定温度の湯が比較的早く出湯されるときもあれば、給湯先を開いても設定温度の湯がなかなか出てこないときもある、というようにばらつく場合が生じるおそれがある。
このため、ユーザーの側からすると、実際に給湯先を開いて出湯させてみないと、その待ち時間の程度は分からず、戸惑い、イライラやストレスをユーザーに抱かせる事態を招くおそれがある。例えば「昨日と同じ使い方をしているつもりなのに、今日は湯の出が遅いのはなぜだ?」、「シャワー栓を開いた後、余裕をみてから服を脱いだのに、なかなか湯が出てこない!」というような事態を生じさせるおそれがある。この結果、設定温度の湯が出湯されるまでは多少の遅れがあること、つまり待ち時間が存在すること自体は経験的に理解はしていても、給湯使用についての満足感を損ね、給湯装置に対する信頼感を損ねるおそれがある。
しかも、前記の如き待ち時間のバラツキは、給湯器単体で構成された給湯装置よりも、複数のユニット(例えば主熱源、貯湯タンク及び補助熱源機等)で構成された給湯装置の方がより顕著に生じる傾向にあり、これに伴い、前記の複数のユニットで構成された給湯装置では前記の不都合の度合も大きくなってしまうことになる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、給湯使用する場合の参考として、設定温度の湯が給湯先等から出湯されるまでの待ち時間が長いか短いか等の現在の待ち時間状況に係る情報をユーザーに案内することができる給湯装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、貯湯タンクと、この貯湯タンクの下流側に接続された瞬間燃焼式の熱源機と、制御部を備えた給湯装置を対象として、次の技術的手段を講じた。すなわち、前記制御部は、給湯先で出湯させる給湯使用のための開栓操作から所望温度の湯が給湯先に到達するまでの湯待ち時間の長短傾向について、給湯運転状況に係る情報を含む判定材料に基づいて判定する判定部と、前記判定部による判定結果に基づいて、前記湯待ち時間の長短傾向に係る情報を報知するための報知部とを備え、前記給湯運転状況に係る情報として、給湯先への給湯のために貯湯タンク側から熱源機を介して給湯先まで送られる際に、熱源機の制御モードが燃焼を許容するものか、燃焼を禁止するものかのいずれに設定されているかの制御モードに係る情報を含むものとした(請求項1)。
この発明の場合、判定部により給湯先で出湯させる給湯使用のための開栓操作から所望温度の湯が給湯先に到達するまでの湯待ち時間の長短傾向について判定され、その判定結果に基づいて、報知部により湯待ち時間の長短傾向に係る情報がユーザーに報知されることになる。これにより、ユーザーに対し、今、給湯使用したら給湯先から早めに所望温度の湯が得られるか、あるいは、所望温度の湯が出湯してくるまでは少し時間がかかるか等の現況における湯待ち時間に係る情報を与えることが可能となる。このため、ユーザーは給湯先から所望の温度の湯が実際に出湯してくるまでの時間(湯待ち時間)について、戸惑ったりイライラしたりすることなく待つことができ、給湯使用における満足感や信頼感を損ねることなく、使い勝手の良い給湯装置とすることが可能となる。特に、給湯運転状況に係る情報として、給湯先への給湯のために貯湯タンク側から熱源機を介して給湯先まで送られる際に、熱源機の制御モードが燃焼を許容するものか、燃焼を禁止するものかのいずれに設定されているかの制御モードに係る情報を含むものとしているため、給湯運転状況が燃焼を禁止する制御モードに設定されている場合には、特に湯待ち時間の長期化が懸念されるところ、ユーザーに対し湯待ち時間の長短傾向が報知されるため、給湯使用にあたりユーザーの戸惑いやイライラ発生を抑制して、給湯装置の信頼感を損ねることなく、使い勝手の良い給湯装置とすることが可能となる。
本発明における判定材料として、給湯運転状況に係る情報に加え、設置環境に係る情報を含むものとすることができる(請求項2)。このように複数種類の情報を用いることにより、判定部による湯待ち時間の長短傾向の判定をより広い情報に基づいて的確に行い得るようになる。又、給湯運転状況に係る情報や、設置環境に係る情報による判定結果がいずれも同方向(長い又は短い)への傾向であれば、長短傾向についてより増大傾向にあると判定し得ることになり、単に長いか短いかの判定に止まらず、複数段階での判定結果を得ることが可能となる。
本発明における給湯運転状況に係る情報として、前回の給湯が終了してからの経過時間の長短如何に係る情報を含むものとすることができる(請求項3)。このようにすることにより、給湯運転状況に係る情報の内容をより具体的に特定することができ、発明の作用もより具体的に得られるようになる。
請求項2に係る発明において、雰囲気温度を検出するための雰囲気温度センサを備え、設置環境に係る情報として、雰囲気温度センサにより検出される雰囲気温度の高低如何に係る情報を含むものとすることができる(請求項4)。又、請求項2又は請求項4に係る発明において、入水温度を検出するための入水温度センサを備え、設置環境に係る情報として、入水温度センサにより検出される入水温度の高低如何に係る情報を含むものとすることができる(請求項5)。いずれも、設置環境に係る情報の内容をより具体的に特定することができ、発明の作用もより具体的に得られるようになる。
なお、判定部として、判定材料に係る情報と、その情報に対応する判定基準との対比に基づき湯待ち時間の長短傾向を判定する構成とすることにより、判定材料に基づき湯待ち時間の長短傾向を判定するにあたり、より明確でかつ具体的に判定結果を得ることが出来るようになる。
この場合、判定部として、判定基準を設置環境に係る情報の内の温度情報の高低如何に応じて増減補正し、増減補正後の判定基準を用いる構成とすることにより、例えば雰囲気温度や入水温度というような設置環境に係る情報の内の温度情報の高低如何を加味することが可能となり、湯待ち時間の長短傾向についてより実際の設置環境に即した判定を行い得ることとなる。
請求項2、請求項4又は請求項5に係る発明において、設置環境に係る情報として、貯湯タンク側から熱源機に対し湯水を送るための接続配管の配管長の長短如何に係る情報を含むものとすることができる(請求項6)。このようにすることにより、貯湯タンクと熱源機とに分かれ、両者間が接続配管により接続されている給湯装置において、特に湯待ち時間に影響を与える配管長の長短如何に基づいて判定することが可能となり、湯待ち時間の長短傾向について、より実情に即した判定結果を得ることが可能となる。
以上の各発明における報知部として、報知を給湯停止中の期間、及び/又は、給湯開始時に実行する構成とすることができる(請求項7)。このようにすることにより、給湯使用を開始しようとするユーザーに対し、湯待ち時間の長短傾向を有効に報知・案内することが可能となる。
以上の各発明における報知部として、湯待ち時間の長短傾向に係る情報として、標準湯待ち時間よりも長いか、短いかを内容とする情報を報知する構成とすることができる(請求項8)。このようにすることにより、湯待ち時間の長短傾向について、ユーザーに対し、より分かり易く案内することが可能となる。
以上説明したように、本発明の給湯装置によれば、判定部により給湯先で出湯させる給湯使用のための開栓操作から所望温度の湯が給湯先に到達するまでの湯待ち時間の長短傾向について判定され、その判定結果に基づいて、報知部により湯待ち時間の長短傾向に係る情報がユーザーに報知することができるようになる。これにより、ユーザーに対し、今、給湯使用したら給湯先から早めに所望温度の湯が得られるか、あるいは、所望温度の湯が出湯してくるまでは少し時間がかかるか等の現況における湯待ち時間に係る情報を与えることができるようになる。このため、ユーザーは給湯先から所望の温度の湯が実際に出湯してくるまでの時間(湯待ち時間)について、戸惑ったりイライラしたりすることなく待つことができ、給湯使用における満足感や信頼感を損ねることなく、使い勝手の良い給湯装置とすることができる。特に、給湯運転状況に係る情報として、給湯先への給湯のために貯湯タンク側から熱源機を介して給湯先まで送られる際に、熱源機の制御モードが燃焼を許容するものか、燃焼を禁止するものかのいずれに設定されているかの制御モードに係る情報を含むものとしているため、給湯運転状況が燃焼を禁止する制御モードに設定されている場合には、特に湯待ち時間の長期化が懸念されるところ、ユーザーに対する湯待ち時間の長短傾向の報知により、給湯使用にあたりユーザーの戸惑いやイライラ発生を抑制して、給湯装置の信頼感を損ねることなく、使い勝手の良い給湯装置とすることができるようになる。
特に請求項2の給湯装置によれば、給湯運転状況に係る情報に加え、設置環境に係る情報を含むものとすることにより、判定部による湯待ち時間の長短傾向の判定をより広い情報に基づいて的確に行うことができるようになる。又、給湯運転状況に係る情報や、設置環境に係る情報による判定結果がいずれも同方向(長い又は短い)への傾向であれば、長短傾向についてより増大傾向にあると判定することができ、単に長いか短いかの判定に止まらず、複数段階での判定結果を得ることができるようになる。
請求項3の給湯装置によれば、給湯運転状況に係る情報として、前回の給湯が終了してからの経過時間の長短如何に係る情報を含むものとすることにより、給湯運転状況に係る情報の内容をより具体的に特定することができ、発明の効果をより具体的に得ることができるようになる。
請求項4の給湯装置によれば、雰囲気温度を検出するための雰囲気温度センサを備え、設置環境に係る情報として、雰囲気温度センサにより検出される雰囲気温度の高低如何に係る情報を含むものとすることにより、又、請求項5の給湯装置によれば、入水温度を検出するための入水温度センサを備え、設置環境に係る情報として、入水温度センサにより検出される入水温度の高低如何に係る情報を含むものとすることにより、いずれの場合も、設置環境に係る情報の内容をより具体的に特定することができ、発明の効果をより具体的に得ることができるようになる。
請求項6の給湯装置によれば、設置環境に係る情報として、貯湯タンク側から熱源機に対し湯水を送るための接続配管の配管長の長短如何に係る情報を含むものとすることにより、貯湯タンクと熱源機とに分かれ、両者間が接続配管により接続されている給湯装置において、特に湯待ち時間に影響を与える配管長の長短如何に基づいて判定することができ、湯待ち時間の長短傾向について、より実情に即した判定結果を得ることができるようになる。
請求項7の給湯装置によれば、報知部として、報知を給湯停止中の期間、及び/又は、給湯開始時に実行する構成とすることにより、給湯使用を開始しようとするユーザーに対し、湯待ち時間の長短傾向を有効に報知・案内することができる。
請求項8の給湯装置によれば、報知部として、湯待ち時間の長短傾向に係る情報として、標準湯待ち時間よりも長いか、短いかを内容とする情報を報知する構成とすることにより、湯待ち時間の長短傾向について、ユーザーに対し、より分かり易く案内することができるようになる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る給湯装置を模式的に示したものである。この給湯装置は、主熱源装置1と、貯湯タンク21を含み給湯装置の主機能部分がユニット化されたタンクユニット2と、補助熱源装置としての給湯器3とを組み合わせたものである。この給湯装置は、図2に設置例を示すように、主熱源装置1及びタンクユニット2が住宅Hの外壁に沿って設置される一方、給湯器3がパイプシャフト内に設置され、タンクユニット2と給湯器3とが接続配管41により互いに接続され、給湯器3から給湯配管42が屋内の給湯先(給湯栓やシャワー栓等)Kに配管されている。ここで、接続配管41は、主熱源装置1及びタンクユニット2の設置場所の関係で給湯器3との間の距離が変化するため、給湯装置が設置される住宅毎に、その配管長は大幅に変化する場合(例えば最大では10m超)がある。一方、給湯配管42は住宅の広さの影響を受けて配管長も変動はするものの、その変動幅は接続配管41との対比ではごく小さいものと考えられる。
第1実施形態の給湯装置の給湯までの動作は次の通りである。すなわち、タンクユニット2の貯湯タンク21内の湯水を主熱源装置1との間で循環させて貯湯タンク21内に貯湯(蓄熱)する一方、給湯先Kからの給湯要求(例えば給湯栓の開操作)を受けて貯湯タンク21内の湯水を接続配管41,給湯器3及び給湯配管42を通して給湯先Kに給湯するようになっている。この給湯の際には、貯湯タンク21内の湯水の温度(貯湯温度)の如何によって、給湯器3を非燃焼のままに維持させて貯湯タンク21内の湯水を素通りさせたり、給湯器3を燃焼させて補助加熱した上で給湯先Kに給湯させたり、切換制御可能になっている。つまり、給湯器3は、補助熱源、すなわちバックアップ給湯器として機能するものであり、タンクユニット2の後述の湯水混合部27から供給される湯水の給湯温度が設定温度に満たない場合には、給湯器3によって設定温度まで補助加熱できるように構成されている。なお、給湯先Kへの給湯時において、給湯器3を非燃焼に維持する制御は、貯湯タンク21内の貯湯温度又は前記の給湯温度に応じて自動制御により実行される他、ユーザーの意思に基づくモード設定操作(例えば、後述の燃料節約重視モードの選択・設定操作)によっても実行される。
主熱源装置1としては、燃料電池(例えばPEFC;固体高分子型燃料電池)やガスエンジン等の作動に伴い発生する排熱を用いるもの、ヒートポンプを用いるもの、集熱パネルにより集熱した太陽熱を用いるもの等の適宜の熱源を採用することができる。又、熱源の利用手法としては、前記の燃料電池等の主熱源装置1に貯湯タンク内の水を循環させつつ排熱との熱交換により加熱する手法の他に、主熱源装置1により加熱された熱媒を貯湯タンク21内の熱交換器との間で循環させ、この熱交換器により貯湯タンク21内の湯水を加熱する手法を採用することができる。給湯器3としてはガス等を燃料とする瞬間燃焼式の熱源機を用いることができる。
次に、図3を参照しつつ、給湯装置の具体的な構成例について説明する。この例では、主熱源装置1として、燃料電池の排熱を利用するものを示している。すなわち、主熱源装置1として、図示省略のガス供給系から供給されるガスを燃料として発電する燃料電池11と、燃料電池11から発生する排熱を熱源として供給される排熱回収用熱交換器12とを備え、タンクユニット2の後述の蓄熱循環回路22により供給される貯湯タンク21の底部からの湯水が熱交換加熱対象として前記排熱回収用熱交換器12に供給されるようになっている。なお、符号10は燃料電池11の作動制御を行う燃料電池コントローラであり、燃料電池コントローラ10はタンクコントローラ5と相互に通信可能に接続されている。又、タンクユニット2や給湯器3は例示であり、この他の構成のものを用いて構成された給湯装置であっても、本発明を適用し得ることは言うまでもない。
タンクユニット2は、主熱源装置1によって加熱された湯を貯湯する貯湯タンク21と、貯湯タンク21内の湯水を底部から取り出して頂部に戻す間に前記主熱源装置1によって加熱するための蓄熱循環回路22と、外部の水道管等S(図1参照)から水道水等を給水するための給水回路23と、貯湯タンク21から供給される湯を用いて給湯先K等に給湯するための給湯回路24と、給湯器3に対する制御指令を含みタンクユニット2の作動制御を行うマイコン等からなるタンクユニット制御部としてのタンクコントローラ5とを備えている。つまり、タンクユニット2として、前記の各構成要素が1つの筐体20内に内蔵されてユニット化した状態で構成されている。なお、同図の符号25は、給湯回路24からの高温出湯を回避するための高温回避部である。
タンクユニット2の構成についてさらに詳細に説明すると、貯湯タンク21は密閉式に構成されている。貯湯タンク21の側部には少なくとも頂部から底部側にかけて高さ方向の複数箇所(図例では5箇所)にそれぞれ配設されたタンク温度センサ211〜215からなる残湯水量センサが設けられ、この残湯水量センサにより各高さ位置における貯湯の湯温を検出できるように構成されており、これにより、貯湯タンク21内の上部側から貯湯される所定温度以上(例えば60℃以上)の高温水の残湯量(蓄熱量)を検出できるようになっている。
蓄熱循環回路22は、蓄熱用循環ポンプ221が作動されると、貯湯タンク21の底部から貯湯タンク21内の比較的低温の湯水を取り出し、主熱源装置1の排熱回収用熱交換器12を通過することにより熱交換加熱された湯水を貯湯タンク21の頂部に戻すことになるように配設されている。そして、タンクコントローラ5の蓄熱運転制御部52(図4参照)により蓄熱運転制御が開始されると、蓄熱用循環ポンプ221が作動され、これにより、貯湯タンク21の底部から取り出された湯水が、排熱回収用熱交換器12において燃料電池11からの排熱により熱交換加熱され、熱交換加熱後の湯水が貯湯タンク21の頂部に戻されて、貯湯タンク21内で上から温度成層を形成しつつ所定温度(例えば60℃以上)の湯として蓄熱されることになる。
給水回路23は、その上流端が外部の水道管等S(図1参照)に接続され、主給水路231と混水用給水路232とに分岐されている。主給水路231は、下流端が貯湯タンク21の底部に接続されており、貯湯タンク21内の湯が頂部から出湯されるに伴い貯湯タンク21の底部に対し水道水が給水されるように構成されている。混水用給水路232の下流端は、後述の湯水混合部27の混合制御弁271の水側流入口に対し給水可能に接続されている。主給水路231と混水用給水路232との分岐部よりも上流側位置の給水回路23には、給水温度センサ230や、例えば図示省略の減圧弁,逆止弁等が設けられている。
給湯回路24は、上流端が貯湯タンク21の頂部に接続されて下流端がタンクユニット2の接続口201に接続された給湯路241を備えている。給湯路241には、混合制御弁271を有する湯水混合部27と、タンク出口温度センサ242と、混合制御弁271のタンク側流入口に流入する湯温を検出する貯湯出湯温度センサ243と、湯水混合部27の下流側位置に配設された給湯温度センサ244及び給湯流量センサ245とが介装されている。湯水混合部27は、タンク側流入口から流入する湯と、水側流入口から流入する水とを所定の混合比で混水させることにより、ユーザーがリモコン51等に設定した設定温度に温調した上で、給湯器3の側に給湯するものである。このような湯水混合部27での湯水混合制御はタンクコントローラ5のタンク給湯運転制御部53(図4参照)により実行されるようになっている。具体的には、給湯温度センサ244により検出された温調後の給湯温度に基づいて混合制御弁271のタンク側流入口及び水側流入口の各開度がタンク給湯運転制御部53によりフィードバック制御されて、設定温度への温調が実現されるようになっている。
また、高温回避部25は、混水用給水路232の途中と、湯水混合部27の下流側であって給湯温度センサ244の介装位置よりも上流側位置の給湯路241とを接続するためのバイパス流路251と、このバイパス流路251を開閉するための電磁開閉弁である高温回避弁252とからなり、平時は閉状態に維持される高温回避弁252を高温出湯回避のために強制的に開切換制御して混水可能となっている。
タンクユニット2の接続口201と、給湯器3の入水接続口311とが接続配管41により互いに接続され、接続配管41を通してタンクユニット2からの湯水が給湯器3の入水路31に入水するようになっている。給湯器3においては、入水路31に入水した湯水が熱交換器32に導かれ、主として燃焼バーナ33の燃焼熱との熱交換により加熱され、加熱後の湯水が出湯路34に出湯され、出湯接続口341から給湯配管42を通して給湯先Kに給湯されるようになっている。ここで、給湯先Kは、例えば台所の給湯栓やシャワー栓であり、1つに限らず、2以上のものを備えるようにすることができる。入水路31には入水温度センサ35や入水流量センサ36が介装され、出湯路34には出湯温度センサ37が介装されている。
給湯器3はその作動制御のために独自の給湯器制御部としての給湯器コントローラ6を備えている。給湯器コントローラ6はタンクコントローラ5と相互に通信し得るように接続され、ユーザーがリモコン51に入力操作した各種情報や操作指令に係る情報をタンクコントローラ5から受けるようになっている。給湯器コントローラ6は燃焼バーナ33の燃焼制御を主とする給湯制御部61(図4参照)を備えており、この給湯制御部61により独自の作動制御を実行する一方、タンクコントローラ5からの燃焼禁止指令や燃焼禁止解除指令の出力を受けて燃焼開始を制限して禁止したり、その禁止を解除して独自制御に基づく燃焼開始を許容したり、し得るようになっている。独自制御を実行する場合には、給湯制御部61は、ユーザーの開栓操作により給湯先Kが開かれて入水流量センサ36又はタンクユニット側給湯流量センサ245が最低作動流量(MOQ)以上の流量を検出すると、入水温度センサ35により検出される入水温度(タンクユニット2から供給される湯水の温度)が所定の加熱開始温度より低ければ燃焼バーナ33の燃焼を開始して、入水される湯水を設定温度まで加熱して給湯先Kに給湯し、あるいは、加熱開始温度以上であれば、非燃焼に維持してそのまま給湯先Kに給湯する。ここで、加熱開始温度とは、ユーザーがリモコン51に設定した設定温度との関係で定められ、例えば設定温度よりも僅かに低い温度が設定される。
又、タンクコントローラ5は、ユーザーが例えばリモコン51を用いて燃料節約重視モードへの切換設定操作を行うと、給湯器コントローラ6に対し燃焼禁止指令を出力し、給湯器コントローラ6は前記のMOQ以上の流量を検出したとしても燃焼バーナ33を非燃焼に維持するようになっている。そして、ユーザーにより燃料節約重視モードが解除されたり、あるいは、自動制御に基づく解除指令が出力されたりすると、タンクコントローラ5は給湯器コントローラ6に対し燃焼禁止解除指令を出力し、給湯器コントローラ6の給湯制御部61は独自制御に基づく燃焼制御を再開するようになっている。ここで、燃料節約重視モードとは、給湯器3を非燃焼状態に維持し、給湯には貯湯タンク21内に蓄熱された貯湯を使い切るまで活用することにより、給湯器3で消費される燃料の節約を図るためのモードである。この場合、給湯器3に入水されるタンクユニット2からの湯水の入水温度が規定のものよりも多少低くても、給湯器3は非燃焼のままとされ、給湯器3を素通りした湯水がそのまま給湯先Kまで給湯されることになる。この燃料節約重視モードへのモード切換制御や解除制御は、コントローラ5の例えばタンク給湯運転制御部53に設けたモード切換部531により実行される。
以上の給湯装置は、リモコン51からの設定温度等の入力設定信号や操作指令信号の出力や、種々の温度センサや水量センサ等からの検出信号の出力を受けて、タンクコントローラ5により総合的に作動制御されるようになっている。又、リモコン51にユーザーが設定した例えば設定温度等の入力設定情報はタンクコントローラ5から給湯器コントローラ6に対し送出可能となっており、給湯器コントローラ6の給湯制御部61はそれらの情報に基づいて独自の給湯制御を実行するようになっている。なお、タンクコントローラ5,給湯器コントローラ6及び燃料電池コントローラ10は、それぞれ、CPU、書き換え可能メモリや入出力インタフェース等を備えるマイコンによって主構成されており、メモリに記憶されたプログラム及び各種データに基づいて前記の各種の作動制御を行うようになっている。又、リモコン51は、図例の如くタンクコントローラ5に接続させる他、燃料電池コントローラ10や給湯器コントローラ6に接続させるようにすることができる。以上のタンクコントローラ5、給湯器コントローラ6、燃料電池コントローラ10及びリモコン51によって給湯装置全体の作動制御を行うための制御部が構成され、本発明の特徴的な湯待ちアシスト制御に係る制御部が湯待ちアシスト制御部54によって構成されることになる。以下、湯待ちアシスト制御部54による湯待ちアシスト制御について、図5を参照しつつ詳細に説明する。
湯待ちアシスト制御部54は、湯待ち時間判定部541と、タイマー542とを備え、ユーザーに対し現状における湯待ち時間の長短傾向について報知・案内するための湯待ちアシスト制御を実行するものである。湯待ち時間判定部541は、給湯装置の運転状況に関するデータ、及び、給湯装置の設置環境に関するデータに基づいて、判定周期時点における湯待ち時間の長短傾向を判定・予測するものである。ここで、「湯待ち時間」とは、ユーザーが給湯先Kから出湯させるために開栓操作を行ってから、設定温度の湯が給湯先Kから実際に出湯されるまでに要する時間のことをいう。又、「湯待ち時間の長短傾向」とは、現実の時間値ではなくて、湯待ち時間が所定の標準湯待ち時間と比べ長い(遅い)か、短い(早い)かを指す。単なる、長いか、短いかの択一的な傾向に加え、標準湯待ち時間よりも長い場合には非常に長い・長い、あるいは、標準湯待ち時間よりも短い場合には短い・ごく短い、というように段階的に傾向を表すようにすることができる。例えば、非常に長い(非常に遅い)、長い(遅い)、標準的、短い(早い)、非常に短い(非常に早い)というように、長短傾向の判定として複数段階で表すこともできる。
標準湯待ち時間tdとして、次のようにして定めることができる。例えば、給湯器3の給湯路34の出口から給湯先(給湯栓)Kまでの給湯配管42の配管長として所定の代表値(例えば5m)で表し、給湯装置の標準的な運転状況や標準的な設置環境において、給湯器3から前記代表値だけ先にある給湯先Kから、設定温度Ts(℃)以上又は設定温度よりも僅かに低く定めた温度(例えば(Ts−3.0℃))以上の湯が到達するまでの時間値を試験により計測し、これを標準湯待ち時間tdとして定めることができる。つまり、厳密に設定温度の湯が出湯されるまでではなくて、ユーザー自身が設定等した設定温度とユーザーが認識し得る温度の湯が出湯すれば、ユーザーの満足感は得られるため、ユーザーの所望温度の湯の出湯で湯待ちは完了したものとしている。
湯待ち時間の長短傾向を判定するための判定材料としては、湯待ち時間の長短に影響を与える因子として特に大きくかつ直接的に影響を与えると考えられる給湯装置の給湯運転状況や給湯装置の設置環境を選択し、これら給湯運転状況や設置環境に係るデータを取得して湯待ち時間判定部541による判定を行うようにしている。給湯運転状況としては特に現在設定されている制御モードが給湯器3の燃焼を禁止(非燃焼状態に維持)するもの(例えば燃料節約重視モード)か、燃焼を許可するものかに係る情報や、前回の給湯使用(給湯先Kからの最後の出湯)が終了してからの経過時間tgの長短如何に係る情報があり、設置環境としては特にタンクユニット2と給湯器3との間の接続配管41の配管長の長短如何に係る情報がある。タイマー542は、前記の経過時間tgを計測するためのものであり、タンク給湯運転制御部53や給湯制御部61、あるいは、入水流量センサ36やタンクユニット側給湯流量センサ245からの出力に基づいて、計時を開始したり終了してリセットしたりするようになっている。又、接続配管41の配管長については、例えば設置工事の際に計測した具体的な値に係るデータPgを予め登録させておいてもよいし、あるいは、所定の判定基準値Paに比して長いか短いかの情報を予め登録させておくようにすることができる。「予め」とは、例えば設置工事の際又は設置後の試運転の際であり、その「登録」は、例えばリモコン51等を用いて具体的数値を設定したり、ディップスイッチを用いて長いか短いかの情報登録を行ったりすることができる。そして、登録先としては、タンクコントローラ5に設けられた図示省略の記憶部や、湯待ちアシスト制御部54の記憶部に登録しておくことができる。
湯待ちアシスト制御は、非給湯使用状態の期間に実行される。すなわち、給湯使用の終了により制御を開始し、次回の給湯使用の開始後に制御を終了する。詳しくは、給湯使用のために給湯先Kの開栓操作をユーザーが行って入水流量センサ36又はタンクユニット側給湯流量センサ245がMOQを検出した時点まで、あるいは、MOQ検出後、設定温度の湯が給湯先Kに到達するであろうと考えられる想定時間が経過するまで、制御を続けて終了するようにすることができる。給湯先Kとしては給湯栓やシャワー栓等を含むため、その給湯栓Kの開栓操作とは、給湯栓等を物理的に開く操作の他に、例えば押しボタンの押し操作等の給湯栓等を電気的に開くための操作も含む。
まず、給湯器3が燃料節約重視モードに基づく制御状態等(自動制御に基づき非燃焼状態に維持された制御状態も含む)にあるか否かを判定し(ステップS1)、燃料節約重視モードに基づく制御状態等にあることを確認すれば(ステップS1でYES)、前回の給湯使用の終了からの経過時間tgをタイマー542から取得し、この経過時間tgが所定の判定基準taよりも長いか否かを判定する(ステップS2)。経過時間tgが判定基準ta未満であれば(ステップS2でNO)、さらに、タンクユニット2と給湯器3の間(図5ではタンク・BU間と表示)の配管長Pgが判定基準Paよりも長いか否かを判定する(ステップS3)。配管長Pgが具体的データとして登録されていれば、そのデータを参照し、判定基準Pgよりも長いか短いかの情報が登録されていれば、その登録情報に基づき判定する。配管長Pgが判定基準Pa未満であれば(ステップS3でNO)、待ち時間の長短傾向の判定フラグWに「0」を設定する(ステップS4)。一方、前記のステップS1での判定で現在の制御モード等の判定において、給湯器3が燃料節約重視モードに基づく制御状態等にはない(ステップS1でNO)、つまり、給湯器3は必要に応じて燃焼可能な制御状態にあれば、前記と同様に判定フラグWに「0」を設定する(ステップS4)。ここで、判定フラグW=0とは次の判定内容を意味する。すなわち、前回給湯使用からまだそれほどの時間も経過していないため、各通路や配管内もそれほど冷却されてなく、しかも配管長Pgが判定基準Paよりも短くて湯水が流れる過程での温度低下や、滞留水の容積もそれほど多くはないため、次回の給湯使用が生じれば、標準湯待ち時間tdよりも短い時間で(つまり早く)給湯先Kにおいて設定温度の湯が得られる、ことを意味する。又、そもそも現在の制御状態が燃料節約重視モードではなくて給湯器3の燃焼が許容されている制御状態であれば、例えば接続配管41等の滞留水が冷えていても燃焼熱による加熱が実行されるため、前記の標準湯待ち時間tdと同等程度の湯待ち時間で給湯先Kにおいて設定温度の湯が得られることが期待されるため、判定フラグWに「0」を設定するようにしている。
経過時間tgは判定基準ta未満と短いものの(ステップS2でNO)、配管長Pgが判定基準Pa以上と長いものであれば(ステップS3でYES)、判定フラグWに「1」を設定する(ステップS5)。一方、経過時間tgは判定基準ta以上と長く経過してしまっている場合には(ステップS2でYES)、ステップS3と同様に、配管長Pgが判定基準Paよりも長いか否かを判定する(ステップS6)。そして、配管長Pgが判定基準Pa未満と短いものであれば(ステップS6でNO)、前記と同様に、判定フラグWに「1」を設定する(ステップS5)。つまり、経過時間tgが長い、あるいは、配管長Pgが長いのいずれか一方に該当すれば、判定フラグW=1と設定する。判定フラグW=1とは次の判定内容を意味する。すなわち、前回給湯使用からかなり時間が経過していれば、各通路や配管内の冷却が進んでおり、次回の給湯使用の開始時には給湯初期に熱を奪われてしまうことになるため、あるいは、配管長Pgが判定基準Paよりも長ければ、たとえ各通路や配管内の冷却がそれほど進んでいなくても、次回の給湯使用の開始時には給湯初期に湯水が流れる過程で熱を奪われる容積もその分大きくなる上に、滞留水の容積も配管長Pgに対応して多くなるため、次回の給湯使用が生じれば、給湯先Kにおいて設定温度の湯が得られるまで、標準湯待ち時間tdよりも長い時間を要する(つまり遅くなる)、ことを意味する。
一方、経過時間tgが判定基準taよりも長く(ステップS2でYES)、その上に、配管長Pgが判定基準Paよりも長ければ(ステップS6でYES)、判定フラグWに「2」を設定する(ステップS7)。判定フラグW=2とは次の判定内容を意味する。すなわち、前回給湯使用からかなり時間が経過していれば、各通路や配管内の冷却が進んでおり、次回の給湯使用の開始時には給湯初期に熱を奪われてしまうことになり、それに加重して、配管長Pgも判定基準Paよりも長ければ、次回の給湯使用の開始時には給湯初期に湯水が流れる過程で熱を奪われる容積もその分大きくなる上に、滞留水の容積も配管長Pgに対応して多くなるため、次回の給湯使用が生じれば、給湯先Kにおいて設定温度の湯が得られるまでの湯待ち時間が標準湯待ち時間tdよりも長いことは当然のこと、さらに非常に長い時間を要する(つまり非常に遅くなる最遅ケースである)、ことを意味する。
以上で湯待ち時間判定部541による判定処理が終わり、次に、ユーザーに対する報知を実行するタイミング(報知更新タイミング)が来たか否かを判定し(ステップS8)、報知更新タイミングになれば(ステップS8でYES)、判定フラグWの値をチェックし(ステップS9)、W=0であれば湯待ち時間は「短い」旨の報知を(ステップS10)、W=1であれば湯待ち時間は「長い」旨の報知を(ステップS11)、W=2であれば湯待ち時間は「非常に長い」旨の報知を(ステップS12)それぞれ実行してリターンする。ここで、報知更新タイミングとしては、少なくともユーザーが開栓操作を行って入水流量センサ36等がMOQ未満であっても流れが発生したことを検知したとき、又は、MOQを検知したときにユーザーに報知するものとする。通常は、前記入水流量センサ36等によるMOQが非検出であれば、MOQが検出されるまでの間、例えば1秒間の周期毎に報知することができる。
報知はリモコン51を報知部として用いて行い、その具体的な報知は、所定のテキスト文を表示する、所定のマーク(専用アイコン)を表示する、あるいは、既存の表示マーク部分又はテキスト表示部分を通常とは異なる表示態様に変更する、等の手段を採用することができる。テキスト文としては、例えば「今なら、お湯が比較的早めに出ます。」又は「今は、お湯が出るまで少し時間がかかります。」を表示することができる。専用アイコンとしては、例えば図6に符号71で示すような専用アイコンを例えばリモコン51の表示部511に表示することで、現在の湯待ち時間の長短傾向が「短い」ことを表し、これが非表示であれば「長い」ことを表すというように報知することができる。又、湯待ち時間の長短傾向が「長い」こと等を表す専用アイコンを作成し、例えば「短い」・「長い」の2種類の専用アイコンの表示を切換えるようにすることができる。さらに、前記の専用アイコン71について、これを単に表示した状態で「短い」を表し、点滅(表示・非表示)を繰り返す状態(同図の符号71a参照)で「非常に短い」を表すようにすることができる。そして、例えば図7に示すように、表示部511の通常表示コンテンツの一部(例えば設定温度表示部分72)の表示色を種々に変更することで、現在の湯待ち時間の長短傾向が「短い」か、「長い」かを表すようにしたり、設定温度表示部分72の輝度を変更したり(同図の符号72a参照)、することができる。
以上の湯待ちアシスト制御を実行した結果、ユーザーに対し、今、給湯使用したら給湯先Kから早めに所望温度の湯が得られるか、あるいは、所望温度の湯が出湯してくるまでは少し時間がかかるか等の現況の湯待ち時間に係る情報を与えることができる。このため、ユーザーは給湯先Kから所望の温度の湯が実際に出湯してくるまでの時間(湯待ち時間)について、戸惑ったりイライラすることなく待つことができ、給湯使用における満足感や信頼感を損ねることなく、使い勝手の良い給湯装置とすることができる。
なお、湯待ち時間の長短傾向を判定するための判定材料である給湯装置の設置環境の一つとして、給湯装置の設置場所の雰囲気温度を用いることができる。雰囲気温度センサ38(図3参照)を設置し、検出された雰囲気温度の高低如何に応じて、配管長や経過時間に係る閾値(配管長についての判定基準値Pa,経過時間についての判定基準値ta)を増減補正するようにすることができる。すなわち、真冬のように雰囲気温度が低ければ、雰囲気温度が低い程、判定基準値Pa,taをより厳しい側(小値側)に変更補正することができる。この雰囲気温度に基づく増減補正については、次の第2実施形態においても同様に適用することができる。
<第2実施形態>
図8は第2実施形態の湯待ちアシスト制御に係るフローチャートを示す。この第2実施形態は、特に湯待ち時間判定部541による湯待ち時間の長短傾向が最遅ケース(判定フラグW=2の場合)と判定される場合には、燃料節約重視モードを強制的に一時解除するように制御するものである。
具体的には、給湯器3が燃料節約重視モードに基づく制御状態等(自動制御に基づき非燃焼状態に維持された制御状態も含む)にあることを確認すれば(ステップS21でYES)、前回の給湯使用の終了からの経過時間tgが所定の判定基準taよりも長いか否かを判定し(ステップS22)、経過時間tgが判定基準ta未満であれば(ステップS22でNO)、さらに、タンクユニット2と給湯器3の間(タンク・BU間)の配管長Pgが判定基準Paよりも長いか否かを判定し(ステップS23)、配管長Pgが判定基準Pa未満であれば(ステップS23でNO)、待ち時間の長短傾向の判定フラグWに「0」を設定する(ステップS24)。又、前記のステップS21での判定で現在の制御モード等の判定において、給湯器3が燃料節約重視モードに基づく制御状態等にはない(ステップS21でNO)、つまり、給湯器3は必要に応じて燃焼可能な制御状態にあれば、前記と同様に判定フラグWに「0」を設定する(ステップS24)。ステップS23で、配管長Pgが判定基準Pa以上と長いものであれば(ステップS23でYES)、判定フラグWに「1」を設定する(ステップS25)。一方、ステップS22で、経過時間tgは判定基準ta以上と長く経過してしまっている場合には(ステップS22でYES)、配管長Pgが判定基準Paよりも長いか否かを判定し(ステップS26)、配管長Pgが判定基準Pa未満と短いものであれば(ステップS26でNO)、前記と同様に、判定フラグWに「1」を設定する(ステップS25)。以上を第1実施形態のステップS1〜S6(図5参照)までと同様にして実行する。
一方、経過時間tgが判定基準taよりも長く(ステップS22でYES)、その上に、配管長Pgが判定基準Paよりも長ければ(ステップS26でYES)、待ち時間が非常に長くなる最遅ケースであると判定し、一時的に燃料節約重視モードを強制解除する(ステップS27)。そして、判定フラグWには「0」を設定する(ステップS28)。すなわち、湯待ち時間が最悪ケースと判定された場合には、ユーザー自身の燃料節約重視モードの選択という意思に反してでも、あまりにも長い湯待ち時間となる不都合を回避するために、既にモード設定されている燃料節約重視モードを強制解除するのである。これにより、給湯器3はタンクユニット2から接続配管41を通して入水する湯水の温度が所定よりも低ければ、即座に燃焼を開始するようになるため、給湯先Kに対する設定温度の給湯も速やかに行われることになる。このため、判定フラグW=0と判定する。
以後、報知更新タイミングの判定を行い(ステップS29)、報知更新タイミングになれば(ステップS29でYES)、判定フラグWの値をチェックし(ステップS30)、W=0であれば湯待ち時間は「短い」旨の報知を(ステップS31)、W=1であれば湯待ち時間は「長い」旨の報知を(ステップS32)を、第1実施形態のステップS8〜S11(図5参照)と同様に実行してリターンする。
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態に係る給湯装置を模式的に示したものである。この第3実施形態の給湯装置は、給湯器3により主要構成されたものであり、住宅Hの外壁又は内壁に配設され、屋内の給湯先Kまで給湯配管42が配管されるものである。給湯器3自体の構成は、入水接続口311(図3参照)に水道管等Sの下流端が接続され、給湯器コントローラ6にリモコン51が接続され、湯待ちアシスト制御のために湯待ち時間判定部とタイマーとを備えた湯待ちアシスト制御部が給湯器コントローラに設けられ、この給湯器コントローラ6が制御装置を構成することになる点以外は、図3を用いて説明した給湯器3の構成と同様である。以下、給湯器3の構成要素に付した符号は図3に示したものである。なお、給湯器3自体の構成は、他の構成のものを用いたものであっても、本発明を適用し得る。
この第3実施形態の給湯装置の構成の場合であっても、主として給湯装置の運転状況の如何によって、湯待ち時間の長短傾向が変動するため、湯待ちアシスト制御を実行することにより、ユーザーに対し、今、給湯使用したら給湯先Kから早めに所望温度の湯が得られるか、所望温度の湯が出湯してくるまでは少し時間がかかるか等の現況の湯待ち時間に係る情報を与えることができる。このため、ユーザーは給湯先Kから所望の温度の湯が実際に出湯してくるまでの時間(湯待ち時間)について、戸惑ったりイライラすることなく待つことができ、給湯使用における満足感や信頼感を損ねることなく、使い勝手の良い給湯装置とすることができる。
具体的な湯待ちアシスト制御は、図10に示すように、前回の給湯使用の終了からの経過時間tgをタイマーから取得し、この経過時間tgが所定の判定基準taよりも長いか否かを判定する(ステップS41)。経過時間tgが判定基準ta未満であれば(ステップS41でNO)、待ち時間の長短傾向の判定フラグWに「0」を設定する(ステップS42)。この第3実施形態における判定フラグW=0とは次の判定内容を意味する。すなわち、前回給湯使用からまだそれほどの時間も経過していないため、燃焼バーナ33、熱交換器32の他、出湯路34や給湯配管42の内部(内部の滞留水)もそれほど冷却されていないため、次回の給湯使用が生じれば、標準湯待ち時間tdよりも短い時間で(つまり早く)給湯先Kにおいて設定温度の湯が得られる、ことを意味する。
一方、経過時間tgが判定基準ta以上と長く経過してしまっている場合には(ステップS41でYES)、判定フラグWに「1」を設定する(ステップS43)。この第3実施形態における判定フラグW=1とは次の判定内容を意味する。すなわち、前回給湯使用からかなり時間が経過していれば、燃焼バーナ33、熱交換器32のみならず、出湯路34や給湯配管42の内部(内部の滞留水)の冷却が進んでおり、次回の給湯使用の開始時には燃焼バーナ33や熱交換器32が未だ暖められている状態よりも昇温のために熱を奪われるため、次回の給湯使用が生じれば、給湯先Kにおいて設定温度の湯が得られるまで、標準湯待ち時間tdよりも長い時間を要する(つまり遅くなる)、ことを意味する。
判定処理が終了すれば、以後、ユーザーに対する報知を実行するタイミング(報知更新タイミング)が来たか否かを判定し(ステップS44)、報知更新タイミングになれば(ステップS44でYES)、判定フラグWの値をチェックし(ステップS45)、W=0であれば湯待ち時間は「短い」旨の報知を(ステップS46)、W=1であれば湯待ち時間は「長い」旨の報知を(ステップS47)それぞれ実行してリターンする。報知の詳細内容については、第1実施形態にて説明したものと同様である。
この第3実施形態においても、雰囲気温度センサ38(図3参照)を設置し、検出された雰囲気温度の高低如何に応じて、経過時間に係る閾値(判定基準値ta)を増減補正し、増減補正した値をステップS41での判定に用いるようにすることができる。すなわち、真冬のように雰囲気温度が低ければ、雰囲気温度が低い程、判定基準値taをより厳しい側(小値側)に変更補正することができる。又、この第3実施形態の場合には、雰囲気温度に加え、又は、雰囲気温度に代えて、入水路31に入水する水の温度を判定材料として用いることもできる。すなわち、入水温度センサ35により検出される入水温度の高低如何に応じて、経過時間に係る閾値(判定基準値ta)を増減補正し、増減補正した値をステップS41での判定に用いるようにすることができる。すなわち、真冬のように入水温度が低ければ、入水温度が低い程、判定基準値taをより厳しい側(小値側)に変更補正することができる。さらに、第3実施形態においては、経過時間tgの長短如何と共に、又は、経過時間tgの長短如何に代えて、雰囲気温度の高低如何及び/又は入水温度の高低如何を湯待ち時間の長短傾向の判定に用いることができる。すなわち、雰囲気温度や入水温度が真冬等のように低ければ、燃焼バーナ33の燃焼能力を調整したとしても、設定温度まで昇温させるために時間が僅かでも余分にかかる場合があるため、これを湯待ち時間の長短傾向の判定に用いることもできる。