JP6716296B2 - 多孔体複合部材 - Google Patents

多孔体複合部材 Download PDF

Info

Publication number
JP6716296B2
JP6716296B2 JP2016047689A JP2016047689A JP6716296B2 JP 6716296 B2 JP6716296 B2 JP 6716296B2 JP 2016047689 A JP2016047689 A JP 2016047689A JP 2016047689 A JP2016047689 A JP 2016047689A JP 6716296 B2 JP6716296 B2 JP 6716296B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
porous
porous body
fiber
pores
fibrous substance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2016047689A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017160095A (ja
Inventor
勝哉 高岡
勝哉 高岡
和浩 黒澤
和浩 黒澤
邦治 田中
邦治 田中
高木 保宏
保宏 高木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Spark Plug Co Ltd filed Critical NGK Spark Plug Co Ltd
Priority to JP2016047689A priority Critical patent/JP6716296B2/ja
Publication of JP2017160095A publication Critical patent/JP2017160095A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6716296B2 publication Critical patent/JP6716296B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Ceramic Products (AREA)
  • Filtering Of Dispersed Particles In Gases (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Porous Artificial Stone Or Porous Ceramic Products (AREA)

Description

本発明は、多孔体と金属部材とが界面接合層を介して接合された多孔体複合部材に関する。
セラミックス製の多孔体は、耐熱性や対薬品性、吸音性等の機能に優れており、耐火部材や断熱材、触媒担持部材、吸音部材等の様々な用途で使用されている。また、連通気孔を有する場合には流体を通過させるので、気体や液体等のフィルター部材としても利用される。
セラミックス製の多孔体は、金属部材に接合した多孔体複合部材の形態で利用される場合も多い。但し、この場合には、多孔体と接合部材(例えばガラス)と金属部材の間の熱膨張係数の差に起因して、昇温時に接合状態が破壊されてしまう可能性がある。特許文献1,2には、この点を考慮して、多孔体の熱膨張係数に近いガラスを選択する技術が記載されている。
特開昭59−194836号公報 特開昭61−91074号公報
しかしながら、上述した従来技術でも必ずしも十分な接合強度が得られない場合があり、また、材料選択の余地も少ないという問題があった。また、多孔体複合部材に対しては接合強度以外の機械的強度についても向上させたいという要望があった。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、セラミックス製の多孔体と金属部材とが界面接合層を介して接合された多孔体複合部材が提供される。前記多孔体は、連通する多数の気孔を有し、その気孔率が32%以上96%以下である。前記界面接合層は、ガラスで形成された酸化物相と、セラミックス繊維との複合物であり、前記多孔体は、酸化物製の多孔質基材と、前記多孔質基材を補強する繊維状物質とを備える繊維強化多孔体であり、前記繊維状物質は、前記多孔質基材の気孔を充填すること無く前記気孔の壁面に層状に密着した繊維強化層として形成されており、前記繊維強化多孔体は、前記繊維強化多孔体の表面に存在する表層部分と、前記表層部分の下に存在する本体部分とを有し、前記表層部分と前記本体部分のそれぞれは前記多孔質基材と前記繊維状物質とを含み、前記表層部分における前記繊維状物質の含有量が前記本体部分における前記繊維状物質の含有量よりも多いことを特徴とする。
この多孔体複合部材は、多孔体の気孔率が32%以上96%以下であって金属部材との界面に接する多孔体の骨格の面積が小さく、両者の間に熱膨張差による大きな歪みが発生しにくいので、昇温時にも接合状態を維持しやすい。また、多孔体と金属部材とを接合する界面接合層が、酸化物相とセラミックス繊維との複合物なので、昇温時にも強固な接合状態を維持することができる。この結果、十分な接合強度を得ることが可能である。また、繊維強化多孔体の表層部分における繊維状物質の含有量を本体部分よりも多くすることによって、耐衝撃性などの機械的強度を高めることができる。また、本体部分の一部が破損した場合でも多孔体全体の形状を維持することが可能となる。
(2)上記多孔体複合部材において、前記多孔体の平均厚みが3mm以上40mm以下であるものとしてもよい。
この構成によれば、十分な接合強度を確保することが容易である。一方、多孔体の平均厚みがこの範囲を外れると、昇温時に熱膨張差によって接合強度が過度に低下する可能性がある。
(3)上記多孔体複合部材において、前記多孔体は、酸化物製の多孔質基材と、前記多孔質基材を補強する繊維状物質とを備える繊維強化多孔体である。前記繊維状物質は、前記多孔質基材の気孔を充填すること無く前記気孔の壁面に層状に密着した繊維強化層として形成されているものとしてもよい。
この構成によれば、繊維状物質が気孔の壁面に層状に堆積した繊維強化層として形成されているので、多孔質基材の気孔を充填すること無く多孔体の機械的強度を高めることができる。
(4)上記多孔体複合部材において、前記繊維強化層は、前記繊維状物質を前記気孔の壁面に接合する接合相を含み、前記接合相は、Si、P、B、Li、Na、K、Mg、Ca、Ba、Sr、Zn、Al、Ni、Coの内の少なくとも2つ元素の酸化物を含むものとしてもよい。
この構成によれば、接合相によって繊維状物質を多孔質基材の気孔の壁面に強固に密着させることができるので、機械的強度を高めることができる。
(5)上記多孔体複合部材において、前記繊維強化多孔体の表面に存在する表層部分における前記繊維状物質の含有量が、前記表層部分の下に存在する前記繊維強化多孔体の本体部分における前記繊維状物質の含有量よりも多いものとしてもよい。
この構成によれば、繊維強化多孔体の表層部分における繊維状物質の含有量を本体部分よりも多くすることによって、耐衝撃性などの機械的強度を高めることができる。また、本体部分の一部が破損した場合でも多孔体全体の形状を維持することが可能となる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、多孔体複合部材を用いた吸音材やフィルター等の装置、及び、それらの作製方法等の形態で実現することができる。
本発明の第1実施形態としての多孔体複合部材を示す説明図。 本発明の第2実施形態としての多孔体複合部材を示す説明図。 多孔体複合部材の製造方法を示すフローチャート。 多孔体複合部材のサンプルの仕様を示す図。 各サンプルの実験結果を示す図。
図1(A)は、本発明の第1実施形態としての多孔体複合部材の模式的な断面図である。多孔体複合部材400は、セラミックス製の多孔体100と、界面接合層200と、金属部材300とを有している。多孔体100と金属部材300は、界面接合層200を介して接合されている。
金属部材300としては、多孔体複合部材400の用途に合わせて任意の材質の部材を選択可能である。具体的には、例えば、鉄(Fe)や、チタン(Ti)、ステンレス鋼(SUS)、クロム鋼、モリブデン鋼、その他のFe合金、Ti合金等を利用可能である。また、金属部材300の形状も用途に合わせて種々の形状を採用することが可能である。例えば、フィルター部材や排気管用の吸音部材として多孔体複合部材400を用いる場合には、中空円筒状の金属部材300を利用可能である。
界面接合層200は、セラミックス繊維210と酸化物相220の混合物で形成されている。酸化物相220としては、例えば、Si、P、B、Li、Na、K、Mg、Ca、Ba、Sr、Zn、Al、Ni、Coの内の少なくとも2つ元素の酸化物を含むものを利用可能である。このような酸化物相220の代表的な材質は、ガラスである。利用可能なガラスの代表例は、ホウケイ酸ガラスなどのケイ酸塩ガラスである。なお、本明細書において「ガラス」という語句は、その一部が結晶化している結晶化ガラスも含む広い意味で使用される。このような酸化物相220を用いて界面接合層200を形成すれば、金属部材300に多孔体100を強固に接合することが可能である。
セラミックス繊維210としては、例えば、いわゆるセラミックファイバーや、ガラスファイバー、ロックウールなどを利用可能であり、酸化物製の繊維を利用することが好ましい。セラミックファイバーとしては、アルミナ(Al23)を主成分とするアルミナファイバーや、シリカ(SiO2)を主成分とするシリカファイバー、チタニア(TiO2)を主成分とするチタニアファイバー、ジルコニア(ZrO2)を主成分とするジルコニアファイバー、アルミナとシリカを主成分とするアルミナ/シリカファイバー、アルミナとジルコニアを主成分とするアルミナ/ジルコニアファイバー、アルミナとガラスを主成分とするアルミナ/ガラスファイバーなどを利用可能である。このようなセラミックス繊維210を界面接合層200に含めることによって、その接合強度を高めることが可能であり、昇温時にも強固な接合状態を維持することができる。また、セラミックス繊維210の材質や含有量を調整することによって、界面接合層200の熱膨張係数を多孔体100の熱膨張係数と金属部材300の熱膨張係数の中間の好ましい範囲に調整することができる。この結果、接合強度を更に高めることが可能である。
多孔体100は、連通する多数の気孔114を有する多孔質基材110を有している。図1(A)では、図示の便宜上、気孔114は互いに連通する様子は描かれていないが、実際には多数の気孔114は互いに連通しており、任意の方向に流体(気体や液体)を通過可能に形成されている。また、図1では、実際の寸法とは異なる寸法で個々の部材が描かれており、気孔114のサイズが大きく誇張されて描かれている。本明細書において、多孔質基材110の気孔114以外の部分を「多孔体の骨格」とも呼ぶ。
多孔体100の平均厚みT100は、3mm以上40mm以下の範囲とすることが好ましい。多孔体100の平均厚みT100をこの範囲外の値とした場合には、昇温時に熱膨張係数差によって接合強度が過度に低下する可能性がある。
図1(B)は、多孔質基材110の断面の一部を拡大した模式図である。多孔質基材110の気孔114の壁面(すなわち、多孔体の骨格表面)には、多孔質基材110を補強する繊維強化層120が層状に密着している。この繊維強化層120は、多数の繊維状物質122を含む層である。繊維状物質122は、例えば、ガラス相などの接合相124で気孔114の壁面に接合される。この場合に、繊維強化層120は、繊維状物質122と接合相124とを混合した層となる。或いは、接合相124を用いることなく、繊維状物質122を焼成によって気孔114の壁面に密着させてもよい。焼成を利用して密着させる場合に、繊維状物質122と多孔質基材110の材質が異なる場合には、焼成により繊維強化層120と多孔質基材110の界面に両者の反応相が形成される。一方、繊維状物質122と多孔質基材110の材質が同じ場合には、焼成により繊維強化層120と多孔質基材110が焼結して互いに接合する。
なお、繊維強化層120を構成する繊維状物質122は、気孔114を充填しないことが好ましい。本明細書において、繊維状物質122が「気孔114を充填する」という語句は、繊維状物質122が気孔114の中央を横切るように配置されていることを意味する。一方、繊維状物質122が「気孔114を充填しない」という語句は、繊維状物質122が気孔114の中央を横切ること無く、その壁面に層状に配置されていることを意味する。本実施形態では、繊維状物質122が気孔114を充填していないので、気孔114の機能(フィルター機能や消音機能)を損なうことを抑制できるという利点がある。
多孔質基材110の素材としては、例えば、アルミナ(Al23)や、シリカ(SiO2)、コージェライト、ムライト、又は、それらの混合物等の種々の酸化物を利用することが可能である。これらの素材に、連通する多数の気孔114を形成する方法は後述する。
多孔体100の気孔率は、32%以上96%以下とすることが好ましい。この気孔率の範囲を採用すれば、連通する気孔114の機能を損なうことなく、比較的高い機械的強度を確保することができる。繊維強化層120を含まない多孔質基材110の気孔率は、多孔体100の気孔率よりも大きく、その差は、例えば1%以上3%以下とすることが好ましい。多孔体100の気孔率を32%以上96%以下の範囲とすれば、金属部材300との界面に接する多孔体100の骨格の面積が小さく、両者の間に熱膨張差による大きな歪みが発生しにくいので、昇温時にも接合状態を維持しやすいという利点がある。
繊維状物質122としては、上述したセラミックス繊維210と同様の材料を利用可能である。例えば、セラミックファイバーや、ガラスファイバー、ロックウールなどを利用可能であり、酸化物製の繊維を利用することが好ましい。
繊維状物質122の寸法に関しては、平均繊維径が2μm以上30μm以下で、平均繊維長が450μm以下である短繊維を使用することが好ましい。このような短繊維で多孔質基材110を補強すれば、気孔114を充填することなく気孔114の壁面に繊維強化層120を容易に密着させることができる。なお、平均繊維径が2μm未満の場合には、繊維が細すぎて補強効果が十分得られない可能性がある。また、平均繊維径が30μmを超える場合には、繊維状物質122の密着状態が低下する傾向にあるので、十分な補強効果が得られない可能性がある。また、平均繊維長が450μmを超えると、繊維同士が絡んでしまい、十分な補強効果が十分得られない可能性がある。一方、繊維長が過度に短くても十分な補強効果を得られない可能性があるので、平均繊維長は80μm以上とすることが更に好ましい。
なお、接合相124を含む繊維強化層120を使用する場合には、その接合相124の材質として、上述した酸化物相220と同様の材料を利用可能である。具体的には、Si、P、B、Li、Na、K、Mg、Ca、Ba、Sr、Zn、Al、Ni、Coの内の少なくとも2つ元素の酸化物を含むものを利用可能である。このような接合相124を用いて繊維状物質122を気孔114の壁面に密着させるようにすれば、繊維状物質122の密着性が向上し、また、繊維量を増やすことが容易なので、繊維強化層120の補強効果を更に向上させることができる。
また、繊維強化層120が接合相124を含む場合には、多孔体100と界面接合層200との境界において、接合相124と界面接合層200の酸化物相220とが互いに接合するので、多孔体100と金属部材300の接合強度が更に高くなる。この意味では、接合相124と酸化物相220とを同じ成分で形成することが特に好ましい。
なお、繊維強化層120は、省略することも可能である。この場合には、多孔質基材110自身が「多孔体100」となる。但し、多孔体100として、繊維強化層120を備える繊維強化多孔体を使用すれば、機械的強度が向上する点で好ましい。
上述した第1実施形態の多孔体複合部材400は、多孔体100と金属部材300とを接合する界面接合層200が、酸化物相220とセラミックス繊維210との複合物なので、昇温時にも強固な接合状態を維持することができる。
なお、多孔体複合部材400は、例えば、高温・高圧の気体が流れるダクト用の吸音材や、内燃機関の排ガスのマフラー用の吸音材、排ガス処理用の触媒フィルター材、水処理用のフィルター材等として利用可能である。
図2は、本発明の第2実施形態としての多孔体複合部材400aを示す説明図である。第1実施形態との違いは、多孔体100aが、繊維状物質122がリッチな表層部分101と、表層部分101の下に存在する本体部分102とを有している点であり、他の構成は第1実施形態の多孔体複合部材400と同じである。
図2(B)は、多孔体100aの本体部分102を一部拡大した模式図であり、図2(C)は、多孔体100aの表層部分101を一部拡大した模式図である。本体部分102は、第1実施形態の図1(B)と同じ構成を有している。表層部分101は、本体部分102に比べて繊維強化層120の厚みが大きい。換言すれば、表層部分101は、本体部分102よりも単位重量当たりの繊維状物質122の含有量が多い。但し、表層部分101においても、気孔114同士が連通している状態は維持されている。このような構成を採用すれば、連通する気孔114の機能を損なうこと無く、多孔体100aの耐衝撃性などの機械的強度を更に高めることができる。また、本体部分102の一部が破損した場合でも多孔体100a全体の形状を維持することが可能となる。表層部分101の厚みは、例えば0.3mm以上1mm以下の範囲とすることが好ましい。
図3は、多孔体複合部材の製造方法の一例を示すフローチャートである。工程T110では、多孔質基材110の原料であるスラリー(セラミックススラリー)を調整する。
工程T120では、工程T110で調整したスラリーを用いて、多孔質基材110の未焼成成形体を作製する。この成形方法としては、例えば以下のような方法を採用可能である。
<成形方法1>
まず、互いに連通する多数の気孔を有するポリウレタンフォームを準備し、このポリウレタンフォームに、工程T110で調整したスラリーを含浸させる。次に、余分なスラリーを除去し、スラリーを含浸させたポリウレタンフォームを乾燥させる。この結果、多孔性のポリウレタンフォームにセラミックス未焼成部材が含浸した成形体が得られる。
<成形方法2>
まず、多孔質基材110の外形とほぼ同じ収容サイズを有する容器に、工程T110で調整したスラリーを入れる。次に、焼成により消失する多数の粒状造孔材(樹脂ボールやカーボン等)を投入し、スラリーを乾燥させる。この結果、多数の粒状造孔材を含むセラミックス未焼成部材の成形体が得られる。
工程T130では、工程T120で得た成形体を焼成することによって、多孔質基材110を得る。この焼成は、多孔質基材110の材質に応じた温度(例えば900℃以上1600℃以下の温度)で実行される。
工程T140では、多孔質基材110の気孔114の壁面に、繊維状物質122を密着させることによって、繊維強化層120を形成する。この密着方法としては、例えば以下のような方法を採用可能である。
<密着方法1:接合相124を用いる場合>
まず、接合相124の原料(例えばガラス原料)と繊維状物質122の混合物のスラリーを準備する。次に、スラリー内に多孔質基材110をディップさせた後に乾燥させる工程を、必要に応じて複数回繰り返すことによって、多孔質基材110の気孔114の壁面にスラリーを付着させる。そして、スラリーが付着した多孔質基材110を、接合相124の材質に適した焼成温度(例えば850℃以上1050℃以下の温度)で焼成する。
<密着方法2:接合相124を用いない場合>
まず、多孔質基材110の原料と繊維状物質122の混合物のスラリーを準備する。次に、スラリー内に多孔質基材110をディップさせた後に乾燥させる工程を、必要に応じて複数回繰り返すことによって、多孔質基材110の気孔114の壁面にスラリーを付着させる。そして、スラリーが付着した多孔質基材110を、多孔質基材110の材質に適した焼成温度(例えば900℃以上1600℃以下の温度)で焼成する。
以上の工程T110〜T140によって、多孔質基材110の気孔114の壁面に繊維強化層120が密着した多孔体100(図1)が得られる。
次の工程T150では、必要に応じて、多孔体100の表面に繊維リッチな表層部分101(図2)を形成する。この工程T150では、表層部分101に対して上述した工程T140と同様な工程を実行することによって、表層部分101における繊維強化層120の厚みを増大させる。この結果、図2で示したように、表層部分101における繊維状物質122の含有量が、本体部分102における繊維状物質122の含有量よりも多い多孔体100aが得られる。なお、繊維リッチな表層部分101を設けない場合には、工程T150は不要である。工程T150を実行する場合には、工程T140で行う焼成を省略し、工程T150において繊維強化層120の密着のための焼成を行うようにしてもよい。
なお、多孔質基材110の気孔114の壁面に繊維状物質122を密着させない場合には、上述した工程T140,T150は省略可能である。
工程T160では、多孔体100を金属部材300に接合させる。具体的には、まず、酸化物相220の原料粉末にセラミックス繊維210を混合したペーストを調整する。次に、調整したペーストを金属部材300の表面に塗布し、乾燥させる。そして、金属部材300の表面上のペースト層に多孔体100を押しつけることによって、多孔体100をペースト層に圧入し、その後、余分なペーストを除去する。更に、界面接合層200の材質に適した熱処理温度(例えば850℃以上1050℃以下の温度)で熱処理を行うことによって、接合が完了する。
図4は、多孔体複合部材に関する実験で用いたサンプルの仕様を示す図であり、図5はそれらのサンプルの実験結果を示す図である。実験による評価項目は、図5の右端に示すように、剥がれ量評価と圧縮強度の2項目とした。なお、図5では、図4に示した仕様の一部を簡略化している。
サンプルS01〜S25は実施例のサンプルであり、サンプル番号に*が付されたサンプルS31〜S33は比較例のサンプルである。実施例のサンプルS01〜S25は、上述した図3の工程に従ってそれぞれ作製した。但し、サンプルS01〜S13では多孔質基材110の気孔114内に繊維強化層120を形成せず、サンプルS14〜S25では繊維強化層120を形成した。なお、繊維強化層120としては、繊維状物質122と接合相124とを有するものを形成した。また、サンプルS20〜S25では、繊維リッチな表層部分101(図2)を形成した。
比較例のサンプルS31〜S33は、いずれも界面接合層200にセラミックス繊維210を含んでおらず、酸化物相220のみで界面接合層200が形成されている。なお、サンプルS31の多孔体100は連通する気孔114を有していないが、サンプルS32,S33の多孔体100は連通する気孔114を有している。サンプルS31〜S33は、図3の手順に従って作製したが、多孔体100の気孔114内に繊維強化層120は形成しなかった。
各サンプルの仕様や特性は、以下のように測定した。
<気孔率の測定>
気孔率(体積%)は、水銀圧入法で測定した。
<酸化物相220の含有元素の同定>
各サンプルの一部を切り出し、研磨したものをEPMAで分析することによって、酸化物相220のの含有元素を同定した。
<多孔体の平均厚み>
多孔体複合部材400を20mm以上の長さに切り出し、その長さ方向に沿った1mm毎の位置で多孔体100の厚みを測定し、その平均値を平均厚みとして算出した。このとき、金属部材300と界面接合層200の厚みを含まない多孔体100のみの厚みを測定した。
<界面の剥がれ量評価(図5)>
窒素ガスフローさせながら各サンプルの熱処理を行い、その後、金属部材300と多孔体100との間の界面に発生している剥がれ量(クラック長さ)を測定した。熱処理温度としては、500℃、600℃、700℃の3つの温度を採用した。その後、金属部材300と多孔体100の界面のうち、長さ20mmの範囲を3箇所観察し、3箇所におけるクラック長さの平均値を算出した。こうして得られたクラックの平均長さに応じて、各サンプルに以下の「○」「△」「×」評価を付した。
・「○」:クラックの平均長さが2mm未満
・「△」:クラックの平均長さが2mm以上5mm未満
・「×」:クラックの平均長さが5mm以上
<圧縮強度の測定(図5)>
圧縮強度は、JIS 1681(ファインセラミックス多孔体の球圧子押し込み試験法)に従って測定した。なお、いくつかのサンプルの気孔率は、JIS 1681で対象としている多孔体の気孔率(30%〜60%)の範囲外にあるが、試験方法としてはJIS 1681と同じである。
実施例のサンプルS01〜S25は、多孔体100の気孔率が32%以上96%以下の範囲にあるが、界面の剥がれ量は少なく、比較例に比べて接合強度が十分に高いことが確認できた。
サンプルS01〜S07は、多孔体100の平均厚みが3mm未満又は40mmを超えており、いずれも700℃程度の高温で熱処理した場合に界面の剥がれ量がかなり増加した。一方、サンプルS08〜S13では、多孔体100の平均厚みが3mm以上40mm以下の範囲にあり、700℃程度の高温で熱処理した場合にも、界面の剥がれ量がそれほど増加しなかった。これらの点を考慮すると、多孔体100の平均厚みは3mm以上40mm以下とすることが好ましい。
サンプルS14〜S25は、多孔体100が繊維強化層120(図1,図2)を有するという特徴を有している。これらのサンプルS14〜S25は、700℃で熱処理した場合の界面の剥がれ量が低下しており、接合強度が特に高いことが確認できた。サンプルS14〜S25は、更に、圧縮強度がいずれも3.0MPa以上であって十分に高い機械的強度を有する。この圧縮強度の改善は、繊維強化層120の寄与であるものと考えられる。サンプルS20〜S25は、繊維リッチな表層部分101(図2)を有しており、サンプルS14〜S19よりも更に高い圧縮強度が得られた。
・変形例
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
100,100a…多孔体
101…表層部分
102…本体部分
110…多孔質基材
114…気孔
120…繊維強化層
122…繊維状物質
124…接合相
200…界面接合層
210…セラミックス繊維
220…酸化物相
300…金属部材

Claims (3)

  1. セラミックス製の多孔体と金属部材とが界面接合層を介して接合された多孔体複合部材であって、
    前記多孔体は、連通する多数の気孔を有し、気孔率が32%以上96%以下であり、
    前記界面接合層は、ガラスで形成された酸化物相と、セラミックス繊維との複合物であり、
    前記多孔体は、酸化物製の多孔質基材と、前記多孔質基材を補強する繊維状物質とを備える繊維強化多孔体であり、
    前記繊維状物質は、前記多孔質基材の気孔を充填すること無く前記気孔の壁面に層状に密着した繊維強化層として形成されており、
    前記繊維強化多孔体は、前記繊維強化多孔体の表面に存在する表層部分と、前記表層部分の下に存在する本体部分とを有し、前記表層部分と前記本体部分のそれぞれは前記多孔質基材と前記繊維状物質とを含み、前記表層部分における前記繊維状物質の含有量が前記本体部分における前記繊維状物質の含有量よりも多いことを特徴とする多孔体複合部材。
  2. 請求項1に記載の多孔体複合部材であって、
    前記多孔体の平均厚みが3mm以上40mm以下であることを特徴とする多孔体複合部材。
  3. 請求項1又は2に記載の多孔体複合部材であって、
    前記繊維強化層は、前記繊維状物質を前記気孔の壁面に接合する接合相を含み、前記接合相は、ガラスを含むことを特徴とする多孔体複合部材。
JP2016047689A 2016-03-11 2016-03-11 多孔体複合部材 Expired - Fee Related JP6716296B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016047689A JP6716296B2 (ja) 2016-03-11 2016-03-11 多孔体複合部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016047689A JP6716296B2 (ja) 2016-03-11 2016-03-11 多孔体複合部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017160095A JP2017160095A (ja) 2017-09-14
JP6716296B2 true JP6716296B2 (ja) 2020-07-01

Family

ID=59853552

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016047689A Expired - Fee Related JP6716296B2 (ja) 2016-03-11 2016-03-11 多孔体複合部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6716296B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019157193A (ja) * 2018-03-12 2019-09-19 日本特殊陶業株式会社 遮熱膜
CN108909060A (zh) * 2018-06-08 2018-11-30 郭晓军 一种层状复合材料制备方法
WO2020145365A1 (ja) * 2019-01-10 2020-07-16 日本碍子株式会社 放熱部材

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59156976A (ja) * 1983-02-25 1984-09-06 臼井国際産業株式会社 金属部材とセラミツク部材との結合体及びその結合方法
JPS6445780A (en) * 1987-08-12 1989-02-20 Shinagawa Refractories Co Method for bonding material having different thermal expansion coefficients
JP2858773B2 (ja) * 1989-02-20 1999-02-17 日本発条株式会社 セラミックスと金属の接合材および接合方法
JP2016196378A (ja) * 2013-09-25 2016-11-24 住友化学株式会社 ハニカム構造体及びハニカムフィルタ
JP6280405B2 (ja) * 2014-03-19 2018-02-14 日本碍子株式会社 接合体及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017160095A (ja) 2017-09-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6716296B2 (ja) 多孔体複合部材
JP5112681B2 (ja) 部品の環境障壁コーティング及びタービンエンジン部品
CN102686843B (zh) 多层基底支承体和排气处理装置
KR101931401B1 (ko) 시멘트가 적용되고 외피를 갖는 세라믹 허니콤 구조체의 제조 방법
JP6028735B2 (ja) セラミックハニカム構造体の製造方法、及びセラミックハニカム構造体
JP5070910B2 (ja) セラミックス基複合部材およびセラミックス基複合部材の製造方法
JP4753568B2 (ja) SiC系繊維強化セラミックス複合材料耐環境コーティングおよびその製造方法
JPS606910B2 (ja) 金属セラミツクス接合体
US9938198B2 (en) Method for integral joining infiltrated ceramic matrix composites
US9593608B2 (en) Method of making polymeric barrier coating to mitigate binder migration in a diesel particulate filter to reduce filter pressure drop and temperature gradients
US20210331450A1 (en) Composite member
WO2008060699A2 (en) High temperature ceramic coatings incorporating nanoparticles
WO2022014613A1 (ja) 排気管
US5723213A (en) Integrated multiple-ceramic-layer fiber interfacial coating
JP2012532087A (ja) 接着及び表皮付き針状ムライトハニカム構造を製造するためのプロセス
US8349111B2 (en) Method for joining ceramic components
JP6695712B2 (ja) 繊維強化多孔体
JP2007106618A (ja) 繊維強化耐火物
JP2002173376A (ja) 酸化物系セラミックス繊維/酸化物系セラミックス複合材料、及びその製造方法
WO2022014617A1 (ja) 排気管
JP6280405B2 (ja) 接合体及びその製造方法
JPS59156976A (ja) 金属部材とセラミツク部材との結合体及びその結合方法
JPS5851913B2 (ja) 繊維強化セラミツクスの製造方法
JP2964858B2 (ja) 断熱被膜層を備えた鋳鉄製部品
JPH02225383A (ja) セラミック・鉄製部材接合体及びその製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190204

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200121

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200318

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200526

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200610

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6716296

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees