JP6714758B2 - シリカ層形成用塗布溶液およびシリカ層の形成方法 - Google Patents

シリカ層形成用塗布溶液およびシリカ層の形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、シリカ層形成用塗布溶液等に関する。より詳しくは、表示装置の表示部の表面に設けるシリカ膜を作成することができるシリカ層形成用塗布溶液等に関する。
例えば、液晶パネルを備えた表示装置では、その最外面に偏光フィルムを設けることがある。偏光フィルムの表面は、例えば、トリアセチルセルロースフィルム(TAC)等からなる。ただしこのTACは傷が生じやすいため、傷を生じにくくするためTAC上にハードコート層を設ける場合がある。さらに外部から照射された光を反射しにくくするための低屈折率層をハードコート層上に設けることがある。このとき低屈折率層に、樹脂等からなる母材としてのバインダに中空シリカ粒子を含有させ、反射率を低下させることがある。
特許文献1には、反射防止フィルムが開示されている。反射防止フィルムは、透明基材フィルムの少なくとも片面に、直接または別の層を介して、反射防止層が形成されている。反射防止層は、屈折率:nd20≦1.49を満足する、少なくとも二種類の低屈折率材料によって形成されている。
また特許文献2には、硬化性樹脂組成物が開示されている。シリカ微粒子の表面ヒドロキシ基に、多官能(メタ)アクリレートを含む多官能シラン化合物を化学的に結合させる。この有機−無機シリカ微粒子を含む有機−無機ハイブリッドハードコーティング液と帯電防止性コーティング液とを混合する。帯電防止性コーティング液は、酸化金属微粒子の表面に多官能(メタ)アクリレートを化学的に結合させた導電性酸化金属微粒子を含む。そして二つのコーティング液間の自己組織性によって帯電防止性及び防眩性を単層で同時に与える。また、帯電防止性防眩コーティング液に相安定剤を添加し、帯電防止性防眩層の自己組織性を調節する。そして表面凹凸形状を低屈折効果を与えられるナノサイズに調節することにより低反射機能を与える。
特開2004−109966号公報 特開2008−15527号公報
しかしながら、低屈折率層に中空シリカ粒子を含有させると、中空シリカ粒子がバインダ同士の架橋密度を低下させることがある。そのため低屈折率層の膜強度が低下しやすい問題が生じる。さらに従来の低屈折率層は、反射率が十分低くないという問題もある。
本発明は、中空シリカ粒子を使用した場合でも、膜強度が低下しにくいシリカ膜を作成できるシリカ層形成用塗布溶液等を提供しようとするものである。また反射率がより低いシリカ膜を作成できるシリカ層形成用塗布溶液等を提供しようとするものである。
本発明のシリカ層形成用塗布溶液は、ポリシラザンと、フッ素化中空シリカ粒子と、溶媒と、を含む。溶媒は、ポリシラザンおよびフッ素化中空シリカ粒子を分散する。
シリカ層形成用塗布溶液は、反応性シリコーンをさらに含むことが好ましい。
またポリシラザンとフッ素化中空シリカ粒子との組成比(wt%)が、94:6以上で、かつ98:2以下であることが好ましい。
さらに溶媒は、疎水性かつ無極性の有機溶媒であることが好ましい。
さらに本発明のシリカ層の形成方法は、塗布溶液作成工程と、塗布工程と、硬化工程と、を有する。塗布溶液作成工程は、シリカ層を形成するための塗布溶液を作成する。塗布工程は、塗布溶液を塗布する。硬化工程は、塗布した塗布溶液を硬化させシリカ層とする。塗布溶液作成工程では、ポリシラザンと、フッ素化中空シリカ粒子と、ポリシラザンおよび溶媒と、を含む塗布溶液を作成する。溶媒は、フッ素化中空シリカ粒子を分散する。硬化工程では、ポリシラザンをシリカ転化させる処理を含む。
塗布工程は、塗布溶液をダイコーティング、グラビアコーティング、またはスプレーコーティングにより塗布することができる。
また硬化工程は、溶媒を除去する乾燥工程を含み、乾燥工程は、温度が100℃以上で、かつ2分以上加熱することで行うことが好ましい。
さらに硬化工程は、ポリシラザンをシリカ転化するシリカ転化工程を含み、シリカ転化工程は、温度が20℃以上40℃以下で、かつ湿度が40%以上65%以下の条件で行うことが好ましい。
本発明によれば、中空シリカ粒子を含有させた場合でも、膜強度が低下しにくいシリカ膜を作成できるシリカ層形成用塗布溶液等を提供できる。また反射率がより低いシリカ膜を作成できるシリカ層形成用塗布溶液等を提供できる。
(a)は、本実施の形態が適用される表示装置について説明した図である。(b)は、図1(a)のIb―Ib断面図であり、本実施の形態が適用される表示画面の構成の一例を示したものである。(c)は、(b)の拡大図であり、表示画面の最外面部について拡大した図である。 (a)〜(b)は、シリカ層をさらに詳しく説明した図である。 (a)〜(b)は、中空シリカ粒子の構造を示す模式図である。 中空シリカ粒子をフッ素化する方法について示した図である。 中空シリカ粒子をフッ素化する方法について示した図である。 本実施の形態のフッ素化中空シリカ粒子の粒度分布曲線について示した図である。 本実施の形態のシリカ層の形成方法を説明したフローチャートである。 本実施の形態のシリカ層の形成方法の各工程の状態について示した図である。 本実施の形態のシリカ層の形成方法の各工程の状態について示した図である。 本実施の形態のシリカ層の形成方法の各工程の状態について示した図である。 鉛筆硬度を測定する鉛筆硬度測定装置を示した図である。 実施例および比較例について説明した図である。 偏光フィルムの評価結果について示した図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。またその要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。さらに使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさを表すものではない。
<表示装置の説明>
図1(a)は、本実施の形態が適用される表示装置について説明した図である。
図示する表示装置1は、例えばPC(Personal Computer)用の液晶ディスプレイ、あるいは液晶テレビなどである。表示装置1は、表示画面1aに画像を表示する。
<液晶パネルの説明>
図1(b)は、図1(a)のIb―Ib断面図であり、本実施の形態が適用される表示画面1aの構成の一例を示したものである。
表示画面1aは、表示手段の一例である液晶パネルEとその表面に形成されたシリカ層(シリカ膜)13により構成される。
図示するように液晶パネルEは、液晶Lと、液晶Lを図中上下に挟み配される偏光フィルムDと、図中下側の偏光フィルムDのさらに図中下側に配されるバックライトBとを備える。
上下の偏光フィルムDは、光を偏光させる偏光手段の一例であり、偏光方向が互いに直交するようになっている。偏光フィルムDは、例えば、ポリビニルアルコール(PVA:poly-vinyl alcohol)にヨウ素化合物分子を含ませた樹脂フィルムを備える。そしてこれをトリアセチルセルロース(TAC:triacetylcellulose)からなる樹脂フィルムで挟み接着したものである。ヨウ素化合物分子を含ませることで光が偏光する。またバックライトBは、例えば、冷陰極蛍光ランプや白色LED(Light Emitting Diode)である。
液晶Lには、図示しない電源が接続され、この電源により電圧を印加すると液晶Lの配列方向が変化する。そしてバックライトBから光を照射するとまず下側の偏光フィルムDを光が通過して偏光となる。液晶パネルEがTN型液晶パネルである場合、この偏光は、液晶Eに電圧が印加しているときは、そのまま通過する。そして偏光方向が異なる上側の偏光フィルムDはこの偏光を遮断する。一方、この偏光は、液晶Eに電圧が印加していないときは、液晶Eの作用により偏光の方向が90度回転するようになっている。そのため上側の偏光フィルムDはこの偏光を遮断せず、透過する。よって液晶Eに電圧を印加するか否かで画像を表示できる。なお図示はしていないが、カラーフィルタを使用することでカラー画像を表示することもできる。ここでは、シリカ層13を形成した偏光フィルムDは、偏光部材の一例である。
図1(c)は、図1(b)の拡大図であり、表示画面1aの最外面部について示した図である。
ここでは、基材11と、シリカ層13とを図示している。基材11は、偏光フィルムDの最表面層である。なお基材11とシリカ層13とで、保護フィルム10として単独で使用することができる。基材11とシリカ層13とを保護フィルム10として捉えた場合、保護フィルム10は、偏光フィルタDを保護する役割を担う。またこの場合、保護フィルム10は、本実施の形態では、光学部材の一例である。
基材11は、全光線透過率85%以上の透明基材であることが好ましい。基材11は、例えば、上述したトリアセチルセルロース(TAC:triacetylcellulose)が用いられる。またこれに限られるものではなく、ポリエチレンテレフタラート(PET:polyethylene terephthalate)等を使用することもできる。ただし本実施の形態では、トリアセチルセルロース(TAC)をより好適に使用することができる。基材11は、例えば、20μm以上200μm以下の厚さを有する。
シリカ層13は、基材11を含む偏光フィルタDに傷が生じさせにくくするための機能層である。またそれとともに、外光が照射されたときに反射を抑制するための機能層である。
以下、シリカ層13の構造について説明を行なう。
図2(a)〜(b)は、シリカ層13をさらに詳しく説明した図である。
シリカ層13は、フッ素化中空シリカ粒子131と、シリカ132とを備える。そしてフッ素化中空シリカ粒子131がシリカ132中に分布する構造となっている。またフッ素化中空シリカ粒子131は、シリカ層13の表面側に偏在する。詳しくは後述するが、これによりシリカ層13は、表面側に低屈折率層135が形成される。またシリカ層13の基材11側には、フッ素化中空シリカ粒子131がほとんどない。そして大部分がシリカ132により構成される。詳しくは後述するが、これによりシリカ層13は、基材11側にハードコート層136が形成される。
図2(a)〜(b)では、低屈折率層135とハードコート層136との境界を点線にて図示している。このうち図2(a)では、フッ素化中空シリカ粒子131は、シリカ層13の表面側において凝集した場合を示している。そしてこれにより海島構造(凹凸構造)を採る。また図2(b)は、フッ素化中空シリカ粒子131同士が集合せず、海島構造を形成しなかった場合を示している。詳しくは後述するが、中空シリカ粒子とフッ素化合物との混合比(wt%)を調整することで何れかのシリカ層13となる。
シリカ132は、パーヒドロポリシラザン(Perhydropolysilazane)(以下、ポリシラザン(Polysilazane)という)がシリカ転化したものである。詳しくは後述するが、シリカ層13は、ポリシラザン溶液とフッ素化中空シリカ粒子131とを混合し塗布溶液とする。そして塗布溶液を塗布して塗布膜とし、塗布膜を乾燥後、ポリシラザンをシリカ転化することで作成される。
ポリシラザンは、-(SiH2NH)-を基本ユニットとする有機溶媒に可溶な無機ポリマーである。ポリシラザンを加水分解してシリカ転化することにより、ガラスに近い強度を有する高強度のシリカ層13を得ることができる。ポリシラザンの加水分解反応(シリカ転化)を以下に示す。
-(SiH2NH)- + 2H2O → SiO2 + NH3 + 2H2
ポリシラザンの表面張力は、フッ素化中空シリカ粒子131の表面張力よりも高いことが好ましい。ポリシラザンの表面張力がフッ素化中空シリカ粒子131の表面張力よりも高い場合、塗布膜中のフッ素化中空シリカ粒子131が塗布膜の表面にブリードアウトする。そのため、フッ素化中空シリカ粒子131を塗布膜の表面側に偏在させることが可能になる。ポリシラザンの表面張力とフッ素化中空シリカ粒子131の表面張力との差は、10以上であれば好ましく、15以上であれば特に好ましい。
また、ポリシラザンの表面張力がフッ素化中空シリカ粒子131の表面張力よりも高い場合、フッ素化中空シリカ粒子131は、自然に塗布膜の表面にブリードアウトする。その結果、フッ素化中空シリカ粒子131は、シリカ層13の表面側に偏在する。そのため、塗布膜を1層コーティングするだけで、フッ素化中空シリカ粒子131が表面側に偏在したシリカ層13を作成することができる。ポリシラザンの表面張力とフッ素化中空シリカ粒子131の表面張力との差分はなるべく大きいことが好ましい。両者の表面張力の差分が大きいほど、フッ素化中空シリカ粒子131は塗布膜の表面にブリードアウトしやすくなる。
フッ素化中空シリカ粒子131を含有させると、含有させた部分は低屈折率となる。これにより外光の反射抑制機能が生じる。本実施の形態では、フッ素化中空シリカ粒子131は、シリカ層13の表面側に偏在する。そのためシリカ層13の表面側は低屈折率層135となる。低屈折率層135の屈折率は、例えば、1.50以下である。
またこれによりシリカ層13の基材11側は、大部分がシリカ132により構成される。そのためシリカ層13の基材11側は、高強度となり、ハードコート層136となる。
フッ素化中空シリカ粒子131は、中空シリカ粒子の表面をフッ素化したものである。
図3(a)〜(b)は、中空シリカ粒子の構造を示す模式図である。
図3(a)に示すように、中空シリカ粒子131aは、ケイ素およびその他の無機化合物からなるコア131cを含む。そしてコア131cの表面にアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基とが、Si-O-Si結合及び/又は水素結合を介して結合されている。そのため中空シリカ粒子131aの表面には、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基、水酸基等が多数存在している。図3(b)に示すように、中空シリカ粒子131aのコア131cの内部は空気層131dを含む。この構造により中空シリカ粒子131aの屈折率が低くなる。
フッ素化していない中空シリカ粒子131aの外殻層の表面側には、上述したように通常水酸基が多数結合している。ここでポリシラザンは反応性が高く、水酸基と反応して加水分解される。そのため、表面に多数の水酸基が存在している中空シリカ粒子131aをポリシラザン溶液に添加すると、この水酸基と反応が生ずる。つまりポリシラザンのシリカ転化の前に、中空シリカ粒子131aの表面に存在する水酸基とポリシラザンとが反応する。そしてポリシラザンの加水分解反応が開始されるとともに溶液の白濁化が発生してしまう。また水酸基と反応したポリシラザンの反応点は、ポリシラザンのシリカ転化の際に周辺のシリカ骨格と架橋しない。そのためシリカ層13の強度が低下してしまう。
そこで本実施の形態では、中空シリカ粒子131aとポリシラザンとの反応を抑制するため、中空シリカ粒子131aをフッ素化する。即ち、中空シリカ粒子131aをフッ素化中空シリカ粒子131とする。具体的には、中空シリカ粒子131aの表面に存在する水酸基の一部にポリシラザンとの反応性が低いフッ素官能基を導入する。フッ素官能基としては、(パー)フルオロアルキル基、(パー)フルオロポリエーテル基などが挙げられる。
(パー)フルオロアルキル基の構造は、特に限定されない。(パー)フルオロアルキル基は、例えば、直鎖(例えば−CF2CF3、−CH2(CF2)4H、-CH2(CF2)8CF3、−CH2CH2(CF2)4H等)のものが挙げられる。また(パー)フルオロアルキル基は、例えば、分岐構造(例えばCH(CF3)2、CH2CF(CF3)2、CH(CH3)CF2CF3、CH(CH3)(CF2)5CF2H等)のものが挙げられる。さらに(パー)フルオロアルキル基は、例えば、脂環式構造のものが挙げられる。脂環式構造は、例えば、5員環又は6員環である。また脂環式構造としては、例えば、パーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基又はこれらで置換されたアルキル基等である。
(パー)フルオロポリエーテル基は、エーテル結合を有する(パー)フルオロアルキル基であり、その構造は特に限定されない。すなわち、(パー)フルオロポリエーテル基としては、例えば、−CH2OCH2CF2CF3、−CH2CH2OCH2C4F8Hなどである。また(パー)フルオロポリエーテル基としては、例えば、−CH2CH2OCH2CH2C8F17、−CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2Hなどである。また(パー)フルオロポリエーテル基としては、フッ素原子を5個以上有する炭素数4以上20以下のフルオロシクロアルキル基などである。さらに、(パー)フルオロポリエーテル基としては、例えば、−(CF2)xO(CF2CF2O)y、−[CF(CF3)CF2O]x―[CF2(CF3)]、(CF2CF2CF2O)x、(CF2CF2O)xなどである。ここで、x、yは任意の自然数である。
フッ素化中空シリカ粒子131の中央粒径(d50)は、10nm以上100nm以下であることが好ましい。またより好ましくは40nm以上60nm以下である。中央粒径が10nm未満の場合、低屈折率層135の屈折率を下げる効果が生じにくくなる。また、中央粒径が100nmを超える場合、低屈折率層135の透明性が低下する場合がある。
フッ素化中空シリカ粒子131の中央粒径は、フッ素化中空シリカ粒子131の粒径の中央値である。粒径は、フッ素化中空シリカ粒子131を球と仮定したときの直径である。フッ素化中空シリカ粒子131の粒径は、例えば、レーザ回折・散乱粒度分布計によって測定される。レーザ回折・散乱粒度分布計は、例えば、株式会社堀場製作所製 LA−920が挙げられる。また、フッ素化中空シリカ粒子131の屈折率は、低屈折率層135に要求される屈折率に応じて変動する。フッ素化中空シリカ粒子131の屈折率は、例えば、例えば1.10以上1.40以下、好ましくは1.15以上1.25以下である。フッ素化中空シリカ粒子131の屈折率は、例えば、シミュレーションソフトによって測定される。シミュレーションソフトとしては、例えば、Lambda Reserch Optics,Inc.製のTraceProを用いることができる。
<中空シリカ粒子のフッ素化の説明>
図4および図5は、中空シリカ粒子131aをフッ素化する方法について示した図である。
なお、以下に説明するフッ素化中空シリカ粒子131の作成方法は一例であって、これに限定されるわけではない。ここでは、中空シリカ粒子131aにフッ素官能基を有する化合物であるフッ素化合物を反応させる。これにより中空シリカ粒子131aの表面にフッ素官能基を導入し、中空シリカ粒子131aをフッ素化できる。なおここでは、中空シリカ粒子としてスルーリア4320(日揮触媒化成株式会社製)を使用する。またフッ素化合物としてパーフルオロポリエーテルシランであるKY−108(信越化学工業株式会社製)を使用する。KY−108は、反応性シラノール基を有する。
まず中空シリカ粒子131aをメチルイソブチルケトン(MIBK:methyl isobutyl ketone)に溶解させて10wt%の中空シリカ粒子溶液を調製する。次に、中空シリカ粒子溶液にKY−108を所定量加え、50℃にて24時間攪拌する。このとき触媒として、塩酸、酢酸などを加えてもよい。その結果、図4に示すように、中空シリカ粒子131aの表面に存在する水酸基とKY−108のシラノール基とが脱水縮合する。そして共有結合(シロキサン結合)が形成される。これにより、中空シリカ粒子131aの表面において水酸基に代わって、フッ素官能基131bを導入できる。そして図5右図に示すようなポリシラザンとの反応性が低いフッ素化中空シリカ粒子131が作成できる。なお反応温度が70℃以上になると、中空シリカ粒子131aが凝集するため、好ましくない。なお以下、中空シリカ粒子131aの表面にフッ素官能基を導入することを、フッ素による中空シリカ粒子131aの表面処理という。中空シリカ粒子溶液に加えるKY−108の量は、フッ素による中空シリカ粒子131aの表面に対する所望の表面処理比に基づいて決定される。
フッ素による中空シリカ粒子131aの表面に対する表面処理比は特に限定されない。ただしフッ素による表面処理の割合が大きいと、ポリシラザンの表面張力とフッ素化中空シリカ粒子131の表面張力との差が大きくなる。その結果、塗布膜の表面においてフッ素化中空シリカ粒子131同士が集合し、微細な海島構造を形成する。塗布膜の表面に海島構造が形成されると、ポリシラザンのシリカ転化後のシリカ層13の表面に凹凸形状が形成される。そしてシリカ132の表面に空気層ができる。そのため、シリカ132の屈折率をより低減することができる。シリカ層13表面の凹凸の算術平均粗さ(Ra)は、10nm以上であることが好ましい。シリカ層13表面の算術平均粗さ(Ra)を0nm以上にするためには、中空シリカ粒子131aとフッ素化合物との混合比(wt%)を調整する。即ち、中空シリカ粒子131a:フッ素化合物=100:3≦100:X≦100:5となることが好ましい。ここでXは、任意の自然数、有理数、無理数であってもよい。フッ素化中空シリカ粒子131の3690cm−1の面積強度は、0.5以下であることが好ましい。なお中空シリカ粒子131aの表面において、フッ素官能基が導入されない水酸基は、ポリシラザンと反応する。そのためポリシラザンのシリカ転化の際にSi−O−Siの共有結合に組み込まれる。
なお配合されるフッ素化合物が過度に多い場合、未反応のフッ素化合物が残留してしまう。未反応のフッ素化合物が残留している場合、シリカ132が白濁してしまうおそれがある。これは、ポリシラザン溶液とフッ素化中空シリカ粒子131とを混合した際に、残留したフッ素化合物がポリシラザン溶液に溶解せずに分離することによる。
<フッ素化中空シリカ粒子131の粒径分布の説明>
またフッ素化中空シリカ粒子131は、フッ素化中空シリカ粒子131の粒度分布を表す粒径に対する頻度曲線(粒度分布曲線)に複数の極大値を有することが好ましい。つまりフッ素化中空シリカ粒子131は、粒径分布の異なる複数のものからなる。
図6は、本実施の形態のフッ素化中空シリカ粒子131の粒度分布曲線について示した図である。図6で横軸は、フッ素化中空シリカ粒子131の粒径を表し、縦軸は、粒径に対応する頻度分布を個数%で表わしている。
図示するようにフッ素化中空シリカ粒子131は、中央粒径が50nmのときと、中央粒径が60nmのときについて2つの極大値を有している。これは、中央粒径が50nmのフッ素化中空シリカ粒子と中央粒径が60nmのフッ素化中空シリカ粒子を混合することで実現することができる。
このようにフッ素化中空シリカ粒子131として、中央粒径が異なるものを混合することで、フッ素化中空シリカ粒子131の表面積が拡大する。よってシリカ層13の膜強度が向上する。
<反応性シリコーンの説明>
また本実施の形態では、シリカ層13は、反応性シリコーンをさらに含むことが好ましい。
ここで反応性シリコーンとしては、ジメチルシリコーン主鎖を有する材料である。そして片方の末端部分もしくは、両末端部分、側鎖部分のいずれかに水酸基またはアミノ基、イソシアネート基を2か所以上もつ材料を使用することが好ましい。また反応性シリコーンの平均分子量(Mn)は、Mn≧5,000であることが好ましい。そしてMn≧10,000であることがより好ましい。反応性シリコーンの平均分子量(Mn)が、Mn<5,000であると、詳しくは後述するシリカ層13の膜強度が向上しにくくなる。この特性を満たす反応性シリコーンとしては、例えば、JNC株式会社製のサイラプレーンFM−DA26が挙げられる。また同社製のサイラプレーンFM−4425等が挙げられる。
また反応性シリコーンの含有量としては、0.5wt%以上であることが好ましい。また3wt%以下であることが好ましい。なおこれは、ポリシラザン、フッ素化中空シリカ粒子131、および反応性シリコーンの合計を100wt%とした場合の含有量である。反応性シリコーンの含有量が、0.5wt%未満であると、シリカ層13の膜強度が向上しにくくなる。また反応性シリコーンの含有量が、3wt%を超えると、ヘイズ(HAZE)が発生しやすくなる。
反応性シリコーンは、中空シリカ粒子131aの表面に存在する水酸基と結合する。これにより反応性シリコーンは、フッ素化中空シリカ粒子131の表面に主に分布することになる。なお上述したようにフッ素化中空シリカ粒子131は、シリカ層13の表面に偏在する。よって反応性シリコーンもシリカ層13の表面に偏在すると言うこともできる。
一方、反応性シリコーンは、ポリシラザンとも結合し得る。即ち、反応性シリコーンを添加することで、フッ素化中空シリカ粒子131同士を結びつける。さらにフッ素化中空シリカ粒子131とポリシラザンがシリカ転化後のシリカ132とを結びつける。その結果、反応性シリコーンを添加することで、シリカ層13の膜強度がより向上する。
さらに反応性シリコーンは、シリカ層13の表面に主に存在するため、これによりシリカ層13表面が低摩擦化する。その結果、シリカ層13表面の滑り性が向上する。
<シリカ層の形成方法の説明>
次にシリカ層13の形成方法の説明を行なう。
図7は、本実施の形態のシリカ層13の形成方法を説明したフローチャートである。また図8〜図10は各工程の状態について示した図である。以下、図7〜図10を使用して本実施の形態のシリカ層13の形成方法を説明する。
まず、ポリシラザンを溶媒に溶解させたポリシラザン溶液Pを作成する(ステップ101)。ポリシラザンは反応性が高く、水酸基(−OH)を有する物質と容易に反応して加水分解される。そのため、溶媒には、疎水性かつ無極性の有機溶媒が使用される。このような溶媒としては、例えば、ジブチルエーテル、キシレンが挙げられる。またミネラルターペン(石油系炭化水素)、高沸点芳香族系溶媒などが挙げられる。ポリシラザン溶液としては、例えば、AZエレクトロリックマテリアルズ株式会社製のポリシラザンを使用できる。これは、溶媒としてジブチルエーテルを使用している。なおこのとき上述した反応性シリコーンを添加してもよい。
次にフッ素化中空シリカ粒子131をポリシラザン溶液Pに混合して塗布溶液(シリカ層形成用塗布溶液)を作成する(ステップ102:塗布溶液作成工程)。この塗布溶液は、図8で示す状態となっている。塗布溶液中のポリシラザンとフッ素化中空シリカ粒子131との組成比(wt%)は、94:6以上で98:2以下であることが好ましい。フッ素化中空シリカ粒子131の組成が6wt%を超えると、後述する塗布膜Tの表面においてフッ素化中空シリカ粒子131の凝集化が進行しすぎてしまう。その結果、ヘイズが発生するおそれがある。
一方、塗布溶液におけるフッ素化中空シリカ粒子131の組成が2wt%未満となると、フッ素化中空シリカ粒子131の凝集が発生しない。その結果、シリカ層13の表面がシリカを主に含んで平滑となり、低屈折率層135を形成することができない。
次に、塗布溶液を基材11上に塗布する(ステップ103:塗布工程)。塗布溶液を基材11上に塗布する方法は特に限定されず、ダイコーティング法などの公知の方法が任意に適用される。またダイコーティングに限るものではなく、グラビアコーティング、スプレーコーティングを使用してもよい。塗布溶液を基材11上に塗布することにより、塗布溶液からなる塗布膜Tが基材11上に形成される。塗布膜T中のフッ素化中空シリカ粒子131は、溶媒との表面張力の差によって塗布膜Tの表面にブリードアウトして凝集する(図9の状態)。この際、中空シリカ粒子とフッ素化合物との混合比(wt%)が、上述した範囲であると、フッ素化中空シリカ粒子131同士が集合する。そして微細な海島構造Uを形成する(図10の状態)。
次に、塗布膜T中の溶媒を乾燥させ除去する(ステップ104:乾燥工程)。溶媒は、例えば、塗布膜Tを100℃で2分以上加熱することにより除去することができる。
次に、塗布膜T中のポリシラザンをシリカ転化する(ステップ105:シリカ転化工程)。なお市販のポリシラザンの場合、通常触媒が含まれ、これによりポリシラザンのシリカ転化が進行する。例えば、触媒としてパラジウム触媒が含まれる場合は、室温でシリカ転化が進行する。このとき温度が20℃以上40℃以下で、かつ湿度が40%以上65%以下の条件で行うことが好ましい。また触媒としてアミン系触媒が含まれる場合は、加熱することでシリカ転化が進行する。塗布膜Tのうち、主に塗布膜T表面にブリードアウトしたフッ素化中空シリカ粒子131が分布している部分は低屈折率層135となる。また主にポリシラザンのシリカ転化によるシリカ132から構成される部分はハードコート層136となる。これによりシリカ層13が形成される。なお乾燥工程とシリカ転化工程は、まとめて塗布した塗布溶液を硬化させシリカ層13とする硬化工程として捉えることができる。なお図9の状態で硬化工程を行った場合は、図2(b)で示すシリカ層13が形成される。また図10の状態で硬化工程を行った場合は、図2(a)で示すシリカ層13が形成される。
上述したように、本実施の形態に係るシリカ層13は、フッ素化中空シリカ粒子131が添加されたポリシラザンの硬化物膜である。ここでは中空シリカ粒子131aの表面に存在する水酸基にポリシラザンとの反応性が低いフッ素官能基を導入する。そしてこれによりポリシラザンとの反応が抑制されて、ポリシラザン溶液が白濁することを抑制することができる。さらにポリシラザンのシリカ転化後のシリカ層13の膜強度を保つことができる。
また、フッ素化中空シリカ粒子131は、シリカ層13の表面に偏在する。フッ素化中空シリカ粒子131は、その内部が空気層である。そのためシリカ層13表面における低屈折率層135の視感度反射率を0.3%以下に抑え、シリカ層13の低屈折率を実現することができる。また、フッ素化中空シリカ粒子131の表面はフッ素官能基などによって実質的に覆われている。そのためフッ素化中空シリカ粒子131はバルク体となっており、防汚性、滑り性を向上させることができる。シリカ層13表面(低屈折率層135表面)の接触角は、100°以上であることが好ましい。
またフッ素化中空シリカ粒子131がシリカ層13の表面に偏在することで、シリカ層13の基材11側は、大部分がシリカ132となる。そのためシリカ層13の基材11側は、フッ素化中空シリカ粒子131が存在することによる強度の低下が生じにくい。よってシリカ層13全体の膜強度も向上する。
またフッ素化中空シリカ粒子131として中央粒径の異なる複数のものを使用することでシリカ層13の膜強度がさらに向上する。
また、中空シリカ粒子131aとフッ素化合物との混合比を調整すると、シリカ層13表面に微細な海島構造を形成することができる。混合比は、上述したように中空シリカ粒子131a:フッ素化合物=100:3≦100:X≦100:5の範囲である。即ち、フッ素化中空シリカ粒子131によって形成される海島構造により、シリカ転化後のシリカ層13の表面に凹凸ができる。これによりシリカ層13表面の屈折率をより低減することができる。またシリカ層13表面が低摩擦化し、滑り性が向上する。
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明する。本発明は、その要旨を越えない限りこれらの実施例により限定されるものではない。
以下、本発明に係るシリカ層13を実施例A1〜A4及び比較例A1〜A8に基づいてを説明する。
(実施例A1)
まず、中空シリカ粒子であるスルーリア4320 100gをメチルイソブチルケトン(methyl isobutyl ketone、MIBK)107gに溶解させた。スルーリア4320は、20.7wt%で日揮触媒化成株式会社製である。これにより10wt%の中空シリカ粒子溶液を調製した。次に、中空シリカ粒子溶液にKY−108(20wt%、信越化学工業株式会社製)を3.105g加えた。そして50℃にて24時間攪拌してフッ素化中空シリカ粒子F−1を206g得た。その後、窒素雰囲気化にて、有効成分としてポリシラザン94重量部に有効成分としてフッ素化中空シリカ粒子F−1を6重量部加えた。ポリシラザンは、20wt%でAZエレクトロリックマテリアルズ社製であり、溶媒は、ジブチルエーテルである。そして10分間撹拌した。その後、ジブチルエーテルを加え、緩やかに10分間撹拌し、固形分1.5wt%溶液である塗布溶液を完成させた。続いて、ワイヤーバーを使用してポリメチルメタクリレート(PMMA)基板上に塗布溶液を105nmの膜厚で塗布した。次いで、塗布膜が形成されたPMMA基板を100℃で約1分間乾燥処理した後に室温(23℃)、湿度54%にて7日間放置した。これによりPMMA基板上にシリカ層13を作成した。
(実施例A2)
スルーリア4320:100gをメチルイソブチルケトン107gに溶解させて10wt%の中空シリカ粒子溶液を調製した。次に、中空シリカ粒子溶液にKY−108を5.175g加え、50℃にて24時間攪拌して、フッ素化中空シリカ粒子F−2を202g得た。その後のシリカ層13の作成方法は、フッ素化中空シリカ粒子F−2を使用したこと以外は、実施例A1と同様である。
(実施例A3)
実施例A1と同様に、フッ素化中空シリカ粒子F−1を作成した。その後のシリカ層13の作成方法は、有効成分としてポリシラザン96重量部に、有効成分としてフッ素化中空シリカ粒子F−1を4重量部を加えて塗布溶液を調製した。これ以外は、実施例A1と同様にシリカ層13を作成した。
(実施例A4)
実施例A1と同様に、フッ素化中空シリカ粒子F−1を作成した。その後のシリカ層13の作成方法は、有効成分としてポリシラザン98重量部に、有効成分としてフッ素化中空シリカ粒子F−1を2重量部を加えて塗布溶液を調製した。これ以外は、実施例A3と同様である。
(比較例A1)
スルーリア4320:100gをメチルイソブチルケトン107gに溶解させて10wt%の中空シリカ粒子溶液を調製した。次に、中空シリカ粒子溶液にKY−108を0.1035g加えた。そして50℃にて24時間攪拌して、フッ素化中空シリカ粒子F−3を201g得た。その後のシリカ層13の作成方法は、フッ素化中空シリカ粒子F−3を使用したこと以外は、実施例A1と同様である。
(比較例A2)
スルーリア4320:100gをメチルイソブチルケトン107gに溶解させて10wt%の中空シリカ粒子溶液を調製した。次に、中空シリカ粒子溶液にKY−108を1.035g加えた。そして50℃にて24時間攪拌して、フッ素化中空シリカ粒子F−4を203g得た。その後のシリカ層13の作成方法は、フッ素化中空シリカ粒子F−4を使用したこと以外は、実施例A1と同様である。
(比較例A3)
スルーリア4320:100gをメチルイソブチルケトン107gに溶解させて10wt%の中空シリカ粒子溶液を調製した。次に、中空シリカ粒子溶液にKY−108を7.7625g加えた。そして50℃にて24時間攪拌して、フッ素化中空シリカ粒子F−5を210g得た。その後のシリカ層13の作成方法は、フッ素化中空シリカ粒子F−5を使用したこと以外は、実施例A1と同様である。
(比較例A4)
スルーリア4320:100gをメチルイソブチルケトン107gに溶解させて10wt%の中空シリカ粒子溶液を調製した。次に、中空シリカ粒子溶液にKY−108を10.35g加えた。そして50℃にて24時間攪拌して、フッ素化中空シリカ粒子F−6を214g得た。その後のシリカ層13の作成方法は、フッ素化中空シリカ粒子F−6を使用したこと以外は、実施例A1と同様である。
(比較例A5)
スルーリア4320:100gをメチルイソブチルケトン107gに溶解させて10wt%の中空シリカ粒子溶液を調製した。次に、中空シリカ粒子溶液にKY−108を15.525g加えた。そして50℃にて24時間攪拌して、フッ素化中空シリカ粒子F−7を218g得た。その後のシリカ層13の作成方法は、フッ素化中空シリカ粒子F−7を使用したこと以外は、実施例A1と同様である。
(比較例A6)
スルーリア4320:100gをメチルイソブチルケトン107gに溶解させて10wt%の中空シリカ粒子溶液を調製した。次に、中空シリカ粒子溶液にKY−108を20.7g加えた。そして50℃にて24時間攪拌して、フッ素化中空シリカ粒子F−8を224g得た。その後のシリカ層13の作成方法は、フッ素化中空シリカ粒子F−8を使用したこと以外は、実施例A1と同様である。
(比較例A7)
実施例A1と同様に、フッ素化中空シリカ粒子F−1を作成した。その後のシリカ層13の作成方法は、有効成分としてポリシラザン99重量部に、有効成分としてフッ素化中空シリカ粒子F−1を1重量部を加えて塗布溶液を調製した。これ以外は、実施例A1と同様である。
(比較例A8)
実施例A1と同様に、フッ素化中空シリカ粒子F−1を作成した。その後のシリカ層13の作成方法は、有効成分としてポリシラザン92重量部に、有効成分としてフッ素化中空シリカ粒子F−1を8重量部を加えて塗布溶液を調製した。これ以外は、実施例A1と同様である。
(吸光度測定)
実施例A1〜A4、及び比較例A1〜A8で作成したシリカ層13のIR測定(3690cm−1)を行い、面積強度を測定した。測定装置は、Nicolet iS10 FT-IR(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いた。
以下の表1に実施例A1〜A4及び比較例A1〜A8における評価結果をまとめた。表1では、フッ素による中空シリカ粒子の表面処理における中空シリカ粒子とフッ素化合物との混合比(wt%)を示した。また表1では、IR測定により測定された面積強度、及び塗布溶液におけるポリシラザンとフッ素化中空シリカ粒子の組成を示した。尚、比較例A3〜A6及び比較例A8で作成したシリカ層13は白濁した。
Figure 0006714758
(最低反射率(MinR)の評価)
シリカ層13の最低反射率(%)を測定した。測定装置は、コニカミノルタ株式会社製の分光測色計CM−2600dを使用した。このときシリカ層13でコートされていないPMMA基板の裏面側を黒インクで塗りつぶした。そしてシリカ層13でコートしたPMMA基板の表面側を測定した。測定時の測定径は8mm、視野角は2°、D65光源相当の光源で正反射光の反射率(Y値、視感度反射率)を測定した。
また光の周波数に対するY値の変化を調べ、最もY値が小さくなるときの値を最低反射率(MinR)とした。正反射光の反射率や最低反射率はシリカ層13の屈折率に相当するパラメータであり、最低反射率が低いほど屈折率が低いことを意味する。さらにより低い数値となった方がシリカ層13が低反射であることを意味する。
(接触角の評価)
シリカ層13の接触角を測定した。測定装置は、協和界面科学株式会社製の全自動接触角計DM700を使用し、シリカ層13をコートしたPMMA基板上に2μlの純水を滴下し接触角を測定した。接触角は、シリカ層13の防汚性、滑り性に影響するパラメータである。尚、シリカ層13が白濁したものについての評価は省略した。
(鉛筆硬度試験)
図11は、鉛筆硬度を測定する鉛筆硬度測定装置を示した図である。
図示する鉛筆硬度測定装置100は、車輪110と、鉛筆120と、鉛筆締め具130とを備える。さらに鉛筆硬度測定装置100は、水準器140と、筐体150とを備える。
車輪110は、筐体150の両側に2つ設けられる。そして2つの車輪110は、車軸111により連結される。車軸111は、図示しないベアリング等を介して筐体150に取り付けられる。また車輪110は、金属製であり、外径部分にゴム製のOリング112を備える。
鉛筆120は、鉛筆締め具130を介して筐体150に取り付けられる。鉛筆120は、先端部に所定の硬度を有する芯121を有する。鉛筆120は、試験対象であるシリカ層13を形成したPMMA基板に対し、45°の角度になるように取り付けられる。そして先端部の芯121の部分がシリカ層13を形成したPMMA基板に接触する。芯121は、鉛筆120の木部122を削ることで5mm〜6mm露出するように調整される。さらに芯121は、先端部が研磨紙により平らになるように研磨されている。そして芯121の先端部において、シリカ層13を形成したPMMA基板に対し、500gの重量が付勢されるようになっている。
この構成において、鉛筆硬度測定装置100は、筐体150を押すことにより移動可能である。つまり鉛筆硬度測定装置100を押すと、シリカ層13を形成した基材11上を図中左右方向に移動できる。このとき車輪110は回転し、鉛筆120の芯121は、シリカ層13上を押しつけられつつ移動する。
実際に鉛筆硬度を測定する際は、まず水準器140により水平を確認する。そして鉛筆120の芯121をシリカ層13を形成した基材11に押しつけながら図中右方向に移動させる。このとき0.8mm/sの速度で、少なくとも7mmの距離を押す。そしてシリカ層13における擦り傷の有無を目視で確認する。これは、鉛筆120を交換し、芯121の硬度を6B〜6Hまで変化させることで順次行なう。そして擦り傷が生じなかった最も硬い芯121の硬度を鉛筆硬度とする。
鉛筆硬度は、より硬い硬度となった方がシリカ層13が硬いことを意味する。尚、シリカ層13が白濁したものについての評価は省略した。
(表面粗さの評価)
シリカ層13の表面粗さを測定した。表面粗さ測定は、レーザを用いて対象物の非接触3次元測定を行うことで、観察視野全域の3次元データを取得するものである。KEYENCE JAPAN社製のVK−9500を形状測定レーザマイクロスコープとして使用した。測定面積内より5ポイント解析し、最大凹凸高さの平均値(算術平均粗さ(Ra))を算出した。尚、シリカ層13が白濁したものについての評価は省略した。
以上の評価及び評価の結果を表2に示す。
Figure 0006714758
上述したように、比較例A3〜A6及び比較例A8では、シリカ層13が白濁した。比較例A3〜A6では、フッ素による中空シリカ粒子の表面処理の際に、フッ素化合物の配合量が多く、未反応のフッ素化合物がフッ素化中空シリカ粒子に混じっていたため、ポリシラザン溶液に混合した際に、未反応のフッ素化合物が分離してフッ素化合物同士が凝集したためであると考えられる。また、比較例A8では、塗布溶液中のフッ素化中空シリカ粒子の組成分が多く、塗布膜の表面におけるフッ素化中空シリカ粒子の凝集化が進行しすぎたためであると考えられる。
実施例A1〜A4と比較例A1、A2、A7とを比較すると、実施例A1〜A4の最低反射率は、いずれも0.3%以下であり、比較例A1、A2、A7の最低反射率よりも低い。実施例A1〜A4では、シリカ層13の表面の算術平均粗さ(Ra)が10nm以上であり、シリカ層13の表面にできた空気層によって、最低反射率が低減されたと考えられる。
実施例A1〜A4と比較例A1、A2、A7とを比較すると、実施例A1〜A4の接触角は、いずれも100°以上であり、比較例A1、A2、A7よりも防汚性に優れていることが分かる。実施例A1〜A4では、比較例A1、A2と比べて、シリカ層13表面のフッ素化中空シリカ粒子のフッ素による表面処理比の割合が高い。また、実施例A1〜A4では、比較例A7と比べて、シリカ層13組成中のフッ素化中空シリカ粒子が多い。よって、シリカ層13表面のフッ素化中空シリカ粒子によって、シリカ層13の防汚性が向上されたと考えられる。
実施例A1〜A4と比較例A1、A2、A7とを比較すると、鉛筆硬度は、いずれも2Hであり、実施例A1〜A4及び比較例A1、A2、A7のシリカ層13の強度が高いことが分かる。これにより、ポリシラザンをシリカ転化することにより、高強度のシリカ層13が得られたことが分かる。
以上の実施例A1〜A4及び比較例A1〜A8のシリカ層13の各種評価の結果から分かるように、本発明に係るシリカ層13は、ポリシラザンとポリシラザンとの反応性が低減されたフッ素化中空シリカ粒子から形成されることにより、シリカ転化の前にポリシラザンとフッ素中空シリカ粒子との反応が抑制されて、ポリシラザン溶液が白濁することが防止され、且つシリカ層13の高強度を実現できる。また、フッ素化中空シリカ粒子を用いることにより、本発明に係るシリカ層13は、低屈折率を実現することができ、且つ防汚性を向上させることができる。
次にフッ素化中空シリカ粒子131として、粒径分布の異なるものを使用した場合について説明する。また反応性シリコーンを使用した場合について説明する。
〔シリカ層13の形成〕
(実施例B1)
本実施例では、中空シリカ粒子131aとして、2種類のものを使用した。即ち、日揮触媒化成株式会社製のスルーリア4320(中央粒径60nm、固形分20.7wt%)を使用した。さらに同社製のスルーリア2320(中央粒径50nm、固形分20.5wt%)を使用した。そして前者を62.2g、後者を37.7g用い、メチルイソブチルケトン(MIBK)106.2gに溶解させた。これにより10wt%の中空シリカ粒子溶液を調製した。このときスルーリア4320とスルーリア2320との固形分の重量比は5:3となる。次に、中空シリカ粒子溶液に信越化学工業株式会社製KY−108(20wt%)を5.152g加え、50℃にて24時間攪拌した。これによりフッ素化中空シリカ粒子溶液を作成した。このとき中空シリカ粒子131aとフッ素化合物の重量比は、100:5となる。
またポリシラザンは、AZエレクトロリックマテリアルズ株式会社製、溶媒:ジブチルエーテル、20wt%のものを使用した。そして窒素雰囲気化にて、有効成分としてポリシラザン92質量部に、上記フッ素化中空シリカ粒子溶液を有効成分として8質量部加えた。そして10分間撹拌した。その後、ジブチルエーテルを加えた。そして緩やかに10分間撹拌し、固形分1.5wt%溶液である塗布溶液を完成させた。続いて、ワイヤーバーを使用してポリメチルメタクリレート(PMMA)基板上に塗布溶液を105nmの膜厚で塗布した。次いで、塗布膜が形成されたPMMA基板を100℃で約1分間乾燥処理した。そして室温(23℃)、湿度54%にて7日間放置して、PMMA基板上にシリカ層13を形成した。
(実施例B2〜B3、比較例B1〜B4)
実施例B2〜B3および比較例B1〜B4では、実施例B1でシリカ層13を作成するために使用した成分を図12に示すように変更した。そして他は、実施例B1と同様にしてシリカ層13を作成した。
図示するように実施例B1〜B4では、フッ素化中空シリカ粒子について、上述した2種類の中央粒径を有するものを使用した。対して比較例B1〜B4では、スルーリア4320(中央粒径60nm)のみ使用した。
(実施例B5、比較例B4〜B5)
実施例B4〜B5および比較例B5では、実施例B1でシリカ層13を作成するために使用した成分を図12に示すように変更した。そして他は、実施例B1と同様にしてシリカ層13を作成した。
図示するように実施例B4では、フッ素化中空シリカ粒子について、上述した2種類の中央粒径を有するものを使用した。また塗布溶液に反応性シリコーンを1wt%となるように加えた。反応性シリコーンとしては、JNC株式会社製のサイラプレーンFM−DA26を使用した。
また実施例B5では、フッ素化中空シリカ粒子として、スルーリア2320(中央粒径50nm)を使用しなかった。即ち、フッ素化中空シリカ粒子として、スルーリア4320(中央粒径60nm)のみ使用した。また塗布溶液に反応性シリコーンを3wt%となるように加えた。
そして比較例B5では、フッ素化中空シリカ粒子として、スルーリア4320(中央粒径60nm)のみ使用した。また塗布溶液に反応性シリコーンを4wt%となるように加えた。
〔評価方法〕
シリカ層13の反射率(Y値)、MinR、SW擦り試験、鉛筆硬度について評価を行なった。以下、評価方法を説明する。
(Y値、MinR)
上述した場合と同様の方法で、正反射光の反射率(Y値)および最低反射率(MinR)を測定した。
(SW擦り試験)
シリカ層13を形成した基材11の表面に、約1cmの円柱の先端にスチールウール(SW)を巻きつけたものを押し当てた。そしてSWに荷重をかけて10往復(移動距離70mm)の擦り試験を行なった。このとき、移動速度を140mm/sとした。そして荷重を変化させ、目視による擦り傷が生じたか否かを確認した。
SW擦り試験は、より大きい数値となった方がシリカ層13の膜強度が高いことを意味する。
(鉛筆硬度試験)
上述した場合と同様にして鉛筆硬度試験を行った。
〔評価結果〕
評価結果を図12に示す。
なお図12のSW擦り試験でNGが付与されていない数値は、この加重で擦り傷が生じなかったことを意味する。一方、NGが付与されている数値は、この加重で擦り傷が生じたことを意味する。
図示するようにY値およびMinRは、実施例B1〜B5、比較例B1〜B5の何れも比較的良好であった。
一方、SW擦り試験および鉛筆硬度については、実施例B1〜B3の方が、比較例B1〜B3の何れに対しても優れた結果となった。つまりフッ素化中空シリカ粒子131として、上述した2種類の中央粒径を有するものを使用した方が膜強度が高いことがわかる。より具体的には、同じ量のフッ素化中空シリカ粒子131を使用した実施例B1と比較例B1とを比較する。また実施例B2と比較例B2とを比較する。さらに実施例B3と比較例B3とを比較する。これらを比較すると実施例B1より比較例B1の方が膜強度が高い。また実施例B2より比較例B2の方が膜強度が高い。さらに実施例B3より比較例B3の方が膜強度が高い。
またSW擦り試験および鉛筆硬度について、実施例B4〜B5の方が、比較例B4に対して優れた結果となった。つまり反応性シリコーンを使用した方が膜強度が高いことがわかる。なお反応性シリコーンを4wt%を使用した比較例5は、ヘイズ(HAZE)が発生した。よって反応性シリコーンは実施例B5のように3wt%以下であることが好ましい。
なお上述した実施例および比較例は、便宜的に分類したものである。即ち、表示装置1は、表示画面1aに対しより好適に使用できるものを実施例とし、他を比較例としている。つまり比較例であってもシリカ層13として使用できないことを意味するものではない。
次に本実施の形態の偏光フィルムDを作成し、評価を行った。
〔偏光フィルムDの作成〕
(実施例C1)
偏光フィルムDは、PVAにヨウ素化合物分子を含ませた樹脂フィルムを、TACからなる樹脂フィルムで挟み接着することで作成した。このとき空気が入らないようにした。そして一方のTACの表面には、シリカ層13を実施例A4の条件で作成した。
(比較例C1)
実施例C1に対し、シリカ層13を形成しないで偏光フィルムを作成した。
〔評価方法〕
偏光フィルムDの光学物性としてY値、MinR、色相について評価を行なった。また偏光フィルムDの偏光板性能の評価を行った。
偏光フィルムDのY値、MinRは上述した方法と同様にして測定した。また偏光フィルムDの色相についても同じ装置で測定ができる。
偏光板性能は、次のようにして測定を行った。まず日本分光株式会社製の紫外可視分光光度計V−7100に偏光フィルムDをセットした。次に偏光フィルムDに透過軸方向の直線偏光を入射したときの紫外可視透過スペクトルを測定した。さらに偏光フィルムDに吸収軸方向の直線偏光を入射したときの、紫外可視透過スペクトルを測定した。そしてこの紫外可視透過スペクトルに基づき、単体透過率と偏光度を算出した。
〔評価結果〕
評価結果を図13に示す。
実施例C1と比較例C1とを比較すると、光学物性は、実施例C1は比較例C1に対し、Y値、MinRが大幅に小さくなった。これは反射率が著しく低くなったことを意味する。また両者の色相は大差なかった。
また偏光板性能は、まず両者の偏光度は同等であった。そして実施例C1は比較例C1に対し、単体透過率が高く、より良好な性能を示した。
次に実施例C1の偏光フィルムDを使用した表示装置1の評価を行った。
〔表示装置1の作成〕
(実施例D1)
実施例C1の偏光フィルムDを表示装置1に組み込んだ。
(比較例D1)
比較例C1の偏光フィルムを表示装置に組み込んだ。
〔評価方法〕
表示装置1が未起動時の状態で、表面のY値を上述した方法と同様にして測定した。
〔評価結果〕
実施例D1の表示装置1では、Y値が2.3%であったのに対し、比較例D1の表示装置では、Y値が6%であった。
つまり実施例D1の表示装置1は、比較例D1の表示装置に対し、反射率が低く、外光の反射が抑制される。また実施例D1の表示装置1を起動して映像を表示したところ、外光の映り込みが少なく、精細な画像表示を行うことができた。
なお上述した例では、表示装置1は、液晶パネルにシリカ層13を形成する場合を示したが、これに限られるものではない。例えば、有機ELやブラウン菅にシリカ層13を形成してもよい。また表示装置に限らず、レンズなどの表面にシリカ層13を形成する場合についても適用できる。この場合、基材11は、ガラスやプラスチックなどの材料により形成されたレンズ本体等となる。そしてシリカ層13を形成したレンズは、光学部材の一例である。
1…表示装置、1a…表示画面、11…基材、13…シリカ層、131…フッ素化中空シリカ粒子、132…シリカ、135…低屈折率層、136…ハードコート層、E…液晶パネル、D…偏光フィルム、L…液晶

Claims (8)

  1. ポリシラザンと、
    フッ素化中空シリカ粒子と、
    前記ポリシラザンおよび前記フッ素化中空シリカ粒子を分散する溶媒と、
    を含むことを特徴とするシリカ層形成用塗布溶液。
  2. 反応性シリコーンをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のシリカ層形成用塗布溶液。
  3. 前記ポリシラザンと前記フッ素化中空シリカ粒子との組成比(wt%)が、94:6以上で、かつ98:2以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のシリカ層形成用塗布溶液。
  4. 前記溶媒は、疎水性かつ無極性の有機溶媒であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のシリカ層形成用塗布溶液。
  5. シリカ層を形成するための塗布溶液を作成する塗布溶液作成工程と、
    前記塗布溶液を塗布する塗布工程と、
    塗布した前記塗布溶液を硬化させ前記シリカ層とする硬化工程と、
    を有し、
    前記塗布溶液作成工程では、ポリシラザンと、フッ素化中空シリカ粒子と、当該ポリシラザンおよび当該フッ素化中空シリカ粒子を分散する溶媒と、を含む塗布溶液を作成し、
    前記硬化工程では、前記ポリシラザンをシリカ転化させる処理を含むことを特徴とするシリカ層の形成方法。
  6. 前記塗布工程は、前記塗布溶液をダイコーティング、グラビアコーティング、またはスプレーコーティングにより塗布することを特徴とする請求項5に記載のシリカ層の形成方法。
  7. 前記硬化工程は、溶媒を除去する乾燥工程を含み、当該乾燥工程は、温度が100℃以上で、かつ2分以上加熱することで行うことを特徴とする請求項5または6に記載のシリカ層の形成方法。
  8. 前記硬化工程は、ポリシラザンをシリカ転化するシリカ転化工程を含み、当該シリカ転化工程は、温度が20℃以上40℃以下で、かつ湿度が40%以上65%以下の条件で行うことを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載のシリカ層の形成方法。
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