以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電動アクチュエータの組み立て状態を示す縦断面図、図2は、前記電動アクチュエータの組み立て状態を示す外観斜視図、図3は、前記電動アクチュエータの分解斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の電動アクチュエータ1は、駆動力を発生させる駆動部2と、駆動部2からの回転運動を直線運動に変換する運動変換機構部3と、駆動部2から運動変換機構部3へ駆動力を伝達する駆動力伝達部4と、運動変換機構部3を支持する運動変換機構支持部5と、運動変換機構部3の運動を出力する操作部6と、運動変換機構部の駆動を防止するロック機構部7とを備える。駆動部2は、モータ部8と減速機構部9とで構成されている。
上記電動アクチュエータ1を構成する各部分は、それぞれケースを有し、各ケース内に構成部品が収容されている。具体的に、モータ部8は、駆動力発生用のモータ(駆動用モータ10)を収容するモータケース11を有し、減速機構部9は、減速ギヤ機構16を収容する減速ギヤケース17を有する。また、駆動力伝達部4は、伝達ギヤ機構28を収容する伝達ギヤケース29を有し、運動変換機構支持部5は、支持軸受40を収容する軸受ケース41を有する。本実施形態では、モータ部8と減速機構部9、減速機構部9と駆動力伝達部4、駆動力伝達部4と運動変換機構支持部5は、互いにケースごと連結分離可能に構成されている。さらに、軸受ケース41に対しては、軸ケース50が連結分離可能に構成されている。以下、電動アクチュエータ1を構成する各部の詳細な構成について説明する。
モータ部8は主に、運動変換機構部3を駆動させるための駆動用モータ(例えばDCモータ)10と、駆動用モータ10を収容するモータケース11とで構成されている。モータケース11は、内部に駆動用モータ10が収容される有底円筒状のケース本体12と、ケース本体12の底部12aから外部に突出する突出部13とを有する。突出部13は、ケース本体12の内部空間と連通する孔部13aが形成されている。この孔部13aは、突出部13の外面を覆う樹脂製の封止部材14によって封止されている。
駆動用モータ10は、ケース本体12の開口部12dから内部に挿入された状態にある。この際、駆動用モータ10の挿入方向奥側の端面がケース本体12の底部12aに当接している。また、底部12aの中央部には嵌合孔12cが形成されており、この嵌合孔12cに駆動用モータ10の挿入方向奥側の突起10bが嵌合することで、突起10bから突出する駆動用モータ10の出力軸10aの後端(図1の左端部)がモータケース11の底部12aと干渉する事態を回避可能としている。さらに、ケース本体12の周壁部12bの内周面は、開口部12d側から底部12a側に向かってテーパ状に縮径しており、駆動用モータ10がケース本体12内に挿入されると駆動用モータ10の挿入方向奥側の外周面が周壁部12bの内周面に接触するように構成されている。このように、駆動用モータ10は、ケース本体12内に収容された状態で、ケース本体12の内周面との接触と嵌合孔12cとの嵌合によって支持される。
また、モータケース11を開口部12d側から見た図4に示すように、ケース本体12には、駆動用モータ10を動力電源に接続するための一対のバスバー15が取り付けられている。各バスバー15の一端部15aはモータ端子10cに対して加締めることで接続され、他端部15bはケース本体12から外部に露出している(図2、図3を参照)。この外部に露出するバスバー15の他端部15bが動力電源に接続される。
図1に示すように、減速機構部9は主に、駆動用モータ10の駆動力を減速して出力する減速ギヤ機構16と、減速ギヤ機構16を収容する減速ギヤケース17とで構成されている。減速ギヤ機構16は、複数の歯車等からなる遊星歯車減速機構18で構成される。なお、遊星歯車減速機構18の詳細な構成については後述する。
減速ギヤケース17には、遊星歯車減速機構18を駆動用モータ10とは反対の側から収容するための収容凹部17aが設けられている。また、減速ギヤケース17には、モータアダプタ19が取付け可能に構成されている。モータアダプタ19は筒状の部材で、その内周面に駆動用モータ10の出力側(図1の右側)の突起10dが挿入されることでモータアダプタ19に駆動用モータ10が嵌合(内嵌)されている。減速ギヤケース17には、モータアダプタ19が嵌合される嵌合孔17bが形成されており、この嵌合孔17bに対してモータアダプタ19を駆動用モータ10側から挿入することで減速ギヤケース17にモータアダプタ19が取り付けられている。
減速ギヤケース17は、モータケース11に対して嵌合可能に構成されると共に、モータケース11とは反対の側に配置される後述の伝達ギヤケース29に対して嵌合可能に構成されている。減速ギヤケース17のうち、モータケース11側に配置される部分がモータケース11の開口部12d側に内嵌されると共に、伝達ギヤケース29側に配置される部分が伝達ギヤケース29に外嵌されている。この場合、減速ギヤケース17は、モータケース11に対して嵌合された状態でモータアダプタ19と一緒にボルト21(図3、図6を参照)によって駆動用モータ10に締結される。減速ギヤケース17の駆動用モータ10側には、減速ギヤケース17とモータケース11とが嵌合された状態で、駆動用モータ10から突出するモータ端子10c及びこのモータ端子10cに加締められた状態のバスバー15の一端部15aと減速ギヤケース17との干渉を回避するための凹部17cが形成されている。また、減速ギヤケース17の外周面のうちモータケース11の内周面と嵌合する小径外周面には、Oリング20を装着するための装着溝17dが形成されている。
運動変換機構部3は、本実施形態ではボールねじ22で構成される。ボールねじ22は、回転体としてのボールねじナット23と、直線運動する可動部(すなわちストローク部)としてのボールねじ軸24と、多数のボール25、及び循環部材としてのこま26とで構成されている。ボールねじナット23の内周面とボールねじ軸24の外周面にそれぞれ螺旋状溝23a,24aが形成されている。両螺旋状溝23a,24aの間にボール25が充填され、こま26が組み込まれ、これにより2列のボール25が循環する。
ボールねじナット23は、駆動用モータ10で発生させた駆動力を受けて正逆何れかの方向に回転する。一方、ボールねじ軸24は、その後端部(図1の右端部)に設けられた回転規制部材としてのピン27によって回転が規制されている。このため、ボールねじナット23が回転すると、ボール25が両螺旋状溝23a,24a及びこま26に沿って循環し、ボールねじ軸24がその軸方向に沿って直線運動を行う。図1は、ボールねじ軸24が最も図の右側へ後退した初期位置に配置された状態を示している。このボールねじ軸24は、駆動用モータ10の出力軸10aと平行に配置されており、駆動力伝達部4を介して駆動用モータ10から伝達された回転運動はボールねじ軸24によって出力軸10aと平行な軸方向の直線運動に変換される。この場合、ボールねじ軸24の前進方向の先端部(図1の左端部)が、操作対象を操作する操作部(アクチュエータヘッド)6として機能する。
駆動力伝達部4は主に、駆動部2が有する駆動用モータ10から運動変換機構部3を構成するボールねじ22へ駆動力及び回転運動を伝達する伝達ギヤ機構28と、伝達ギヤ機構28を収容する伝達ギヤケース29とで構成されている。伝達ギヤ機構28は、駆動側のドライブギヤ30と、これと噛み合う従動側のドリブンギヤ31、及びギヤボス32を有する。
ドライブギヤ30の回転中心部にはギヤボス32が圧入等により嵌合されている。ドライブギヤ30は、このギヤボス32を介して伝達ギヤケース29と後述する軸受ケース41それぞれに装着される2つの転がり軸受33,34によって回転可能に支持されている。一方、ドリブンギヤ31は、ボールねじナット23の外周面に圧入等により嵌合されることで固定されている。駆動用モータ10からの駆動力が遊星歯車減速機構18を介してドライブギヤ30に伝達されると、ドライブギヤ30とドリブンギヤ31との噛み合いにより上記駆動力がドリブンギヤ31に伝達される。これによりドリブンギヤ31とボールねじナット23が一体的に回転し、ボールねじ軸24がその長手方向に沿って前進又は後退する。
伝達ギヤケース29は、ドライブギヤ30およびドリブンギヤ31が収容される収容凹部29aを有する。また、伝達ギヤケース29には、ギヤボス32を挿通するための挿通孔29bが形成され、挿通孔29bの内周面には、ギヤボス32を支持する一方の転がり軸受33が装着される軸受装着面29cが形成されている。また、伝達ギヤケース29は、減速ギヤケース17の内周面と嵌合する環状突起29dを有する。この環状突起29dの外周面(嵌合面)には、Oリング35を装着するための装着溝29eが形成されている。また、伝達ギヤケース29の軸受ケース41側の面には、軸受ケース41と嵌合する溝状の嵌合凹部29fが形成されている。
また、伝達ギヤケース29は、ボールねじ軸24の先端部側(図1の左側)へ突出する円筒部29gを有する。この円筒部29gは、伝達ギヤケース29内にドリブンギヤ31が収容され、これにボールねじ22が組み付けられた状態で、ボールねじ軸24の周囲を覆うように配置される部分である。円筒部29gとボールねじ軸24の間には、伝達ギヤケース29内への異物侵入を防止するブーツ36が取り付けられる。この場合、円筒部29gは電動アクチュエータ1の固定系を構成している。ブーツ36は樹脂製又はゴム製であり、大径端部36aと小径端部36bとこれらを繋いで軸方向に伸縮する蛇腹部36cで構成されている。大径端部36aが円筒部29gの外周面の取付け部位にブーツバンド37によって締め付け固定され、小径端部36bがボールねじ軸24の外周面の取付け部位にブーツバンド38によって締め付け固定される。円筒部29gには、ブーツ36が伸縮したときに内外で通気させるための通気孔29hが設けられている。また、上記モータケース11には、ブーツ36の周囲に配置されるブーツカバー39が一体に設けられている。この場合、ブーツカバー39は電動アクチュエータ1の固定系を構成している。
運動変換機構支持部5は主に、運動変換機構部3であるボールねじ22を支持する支持軸受40と、支持軸受40を収容する軸受ケース41とで構成されている。支持軸受40は、本実施形態では、外輪42と内輪43とこれらの間に介在する複列のボール44を主要な構成要素とする背面合わせの複列アンギュラ玉軸受で構成される。
支持軸受40は、軸受ケース41と一体に形成されたスリーブ45内に収容され、スリーブ45の内周面に装着された止め輪46で固定されている。また、支持軸受40の固定位置は、ボールねじナット23の外周面に対して上記ドリブンギヤ31よりもボールねじ軸24の後端側(図1の右側)に圧入嵌合されている。ボールねじナット23の外周面に固定される支持軸受40とドリブンギヤ31は、ボールねじナット23のドリブンギヤ31側に設けられた規制突起23bと、支持軸受40側に装着された規制部材47によって軸方向の移動が規制される。規制部材47は、一対の半円弧状部材で構成され、これらを環状に組み合わせた状態でボールねじナット23の外周面に装着される。さらに、ボールねじナット23の外周面には、規制部材47を保持する押さえ用カラー48と、この押さえ用カラー48の軸方向の脱落を防止する止め輪49が装着される。
軸受ケース41の伝達ギヤケース29側には、伝達ギヤケース29の嵌合凹部29fと嵌合する突条部41aが設けられている。また、軸受ケース41の伝達ギヤケース29側には、軸受ケース41が伝達ギヤケース29と嵌合した状態で、伝達ギヤケース29から突出するギヤボス32の一部が収容されるギヤボス収容部41bが設けられている。このギヤボス収容部41bの内周面には、ギヤボス32を支持する転がり軸受34を装着するための軸受装着面41cが形成されている。
軸受ケース41の伝達ギヤケース29側とは反対側には、ボールねじ軸24の後端部側(図1の右端部側)を収容する有底筒状の軸ケース50がボルト51(図3を参照)で締結可能に構成されている。軸ケース50の軸受ケース41との当接面には、Oリング52を装着するための装着溝50aが形成されている。また、軸ケース50の内周面には、ボールねじ軸24に設けられたピン27の両端部が挿入される案内溝50bが軸方向に延在するように形成されている。ピン27の両端部にはそれぞれガイドカラー53が回転可能に装着されており、ボールねじ軸24が軸方向に進退する際、ガイドカラー53が案内溝50bに沿って回転しながら移動する。
図3に示すように、上記モータケース11、減速ギヤケース17、伝達ギヤケース29、軸受ケース41の各ケースの半径方向外側周辺には、これらを組み立て締結するためのボルト54を挿通するボルト挿通孔11a,17e,29i,41dが設けられている。さらに、伝達ギヤケース29と軸受ケース41の両方の半径方向外側周辺には、組立てられた電動アクチュエータ1を設置場所に取付けるための貫通孔29j,41eが設けられている。
ここで、図1、図5および図6に基づき遊星歯車減速機構18について説明する。図5は、図1のA−A線に沿った断面を矢印Aの向きから見た横断面図、図6は、遊星歯車減速機構18の分解斜視図である。
遊星歯車減速機構18は、リングギヤ55と、サンギヤ56と、複数の遊星ギヤ57と、遊星ギヤキャリア58(図1を参照)と、遊星ギヤホルダ59(図1を参照)から構成される。リングギヤ55は、軸方向に突出する複数の凸部55aを有し、減速ギヤケース17の収容凹部17aには凸部55aと同数の係合凹部17fが設けられている(図1を参照)。減速ギヤケース17の係合凹部17fにリングギヤ55の凸部55aを位相合わせした状態で組み込むことにより、リングギヤ55が減速ギヤケース17に対して回り止めされた状態で収容されている。
リングギヤ55の中央にサンギヤ56が配置され、サンギヤ56には駆動用モータ10の出力軸10aが圧入嵌合される。また、リングギヤ55とサンギヤ56との間には各遊星ギヤ57がこれらリングギヤ55及びサンギヤ56と噛み合うように配置されている。各遊星ギヤ57は、遊星ギヤキャリア58と遊星ギヤホルダ59によって回転可能に支持されている。遊星ギヤキャリア58はその中央部に円筒部58aを有し、円筒部58aは上述の如くギヤボス32の外周面と転がり軸受33の内周面との間に圧入嵌合されている(図1を参照)。なお、他方の転がり軸受34の内周面とギヤボス32の外周面との間には、環状のカラー75が装着されている。
上記の如く構成された遊星歯車減速機構18は、駆動用モータ10が回転駆動すると、駆動用モータ10の出力軸10aに連結されたサンギヤ56が回転し、これに伴って各遊星ギヤ57が自転しながらリングギヤ55に沿って公転する。そして、この遊星ギヤ57の公転運動により遊星ギヤキャリア58が回転する。これより、駆動用モータ10の回転運動が減速されてドライブギヤ30に伝達されると共に、駆動力としての回転トルクが増加した状態でドライブギヤ30に伝達される。このように、遊星歯車減速機構18を介して駆動力が伝達されることで、ボールねじ軸24に伝達される駆動力、ひいてはボールねじ軸24の出力が大きく得られるようになるので、駆動用モータ10の小型化を図ることが可能となる。
続いて、図1、図7および図8に基づき、ロック機構部7の詳細を説明する。図7は、軸ケース50と、これに取り付けられるロック機構部7の分解斜視図、図8は、図1のB−B線に沿った断面を矢印Bの向きから見た横断面図である。
ロック機構部7は、ロック部材60と、滑りねじナット61と、滑りねじ軸62と、ロック部材固定板63と、ロック用駆動源としてのロック用モータ(例えばDCモータ)64と、ばね65を主な構成とする。ロック機構部7は例えば以下の手順で組み立てられる。まず、ロック部材60を、滑りねじナット61に対してロック部材固定板63を介してボルト84(図7を参照)で締結する。次いで、ロック用モータ64を、軸ケース50に設けられたホルダ部66内に収容し、ホルダ部66から突出するロック用モータ64の出力軸64aに滑りねじ軸62を取り付ける。そして、滑りねじ軸62の外周にばね65を配置すると共に、ロック部材60が取り付けられた滑りねじナット61を滑りねじ軸62に対して螺合して装着する。このようにして、ロック機構部7の組み立てが完了する。
ホルダ部66は、有底筒状に形成され、その底部66aとは反対側にキャップ67が装着されている。ロック用モータ64がホルダ部66内に挿入され、キャップ67を装着した状態で、ロック用モータ64は、ホルダ部66の底部66aとキャップ67の内面に当接する。また、この状態で、ロック用モータ64の出力側(図1の左側)の突起64bがホルダ部66の底部66aに形成された嵌合孔66cに嵌合する。ロック用モータ64の本体外周面とホルダ部66の周壁部66bの内周面はいずれも円筒形ではない同じ形状に形成されているため、ホルダ部66の周壁部66b内にロック用モータ64が挿入されることで、ロック用モータ64の回転が規制される。このように、ホルダ部66にロック用モータ64が収容されることで、ホルダ部66によってロック用モータ64が保持され、ロック機構部7全体が保持される。また、キャップ67には、ロック用モータ64のモータ端子64dに接続されるケーブル68を挿通するための孔部67aが形成されている(図8を参照)。なお、ホルダ部66は、本実施形態では軸ケース50にその一部として一体的に設けられているが、もちろんホルダ部66を軸ケース50と別体に形成して、軸受ケース41に取り付けるようにしてもかまわない。
軸ケース50のホルダ部66が設けられた部分とこれに対向する軸受ケース41の部分には、それぞれロック機構収容凹部66d,41fが形成され、軸受ケース41側のロック機構収容凹部41fには貫通孔41gが形成されている。図1に示すように、軸ケース50が軸受ケース41に取り付けられた状態で、ロック機構収容凹部66d,41f内には、ホルダ部66から突出するロック用モータ64の出力軸64a、滑りねじ軸62、滑りねじナット61、ロック部材固定板63、ばね65およびロック部材60の一部が収容され、貫通孔41g内には、ロック部材60の先端部側が挿入される。また、軸ケース50が軸受ケース41に取り付けられた状態では、ばね65がホルダ部66の底部66aとロック部材固定板63との間で軸方向に圧縮され、この圧縮されたばね65によってロック部材60は前進する方向(図1の左側)へ常時付勢されている。
ロック部材60が前進する方向にはドライブギヤ30が配置されており、ドライブギヤ30にはロック部材60の先端部が係合可能な係合孔30aが形成されている。図1のC−C線に沿った断面を矢印Cの向きから見た横断面図である図9に示すように、係合孔30aは、ドライブギヤ30の周方向にわたって複数箇所に設けられている。ロック部材60はこれらの係合孔30aのうちのいずれかに係合されることで、ドライブギヤ30の回転が規制される。また、各係合孔30aの入口部には傾斜面30bが形成されていてもよい(図9を参照)。このように係合孔30aを形成することで、この傾斜面30bに沿ってロック部材60が係合孔30aにスムーズに挿入される効果が期待できる。
軸受ケース41には、ロック状態を検知するためのロックセンサ69が装着されている(図8を参照)。ロックセンサ69は、板バネ等の弾性部材で構成された接触子69aを有する接触式センサであり、ロック部材60が前進して係合孔30aに係合されると(ロック状態になると)、ロック部材60が接触子69aを押すことで、ロック状態となったことが検知される。
上記構成のロック機構部7は、例えば以下に述べる動作を行う。すなわち、ロック用モータ64に電力が供給されていない状態では、ロック部材60はばね65によって前進した位置に保持されており、ロック部材60の先端部がドライブギヤ30の係合孔30aに係合したロック状態にある。この状態から、ボールねじ軸24の駆動を開始するために駆動用モータ10に電力が供給されると、ロック用モータ64にも電力が供給され、ロック用モータ64はロック部材60を後退させる方向に駆動する。これにより、滑りねじ軸62が回転し、一方、滑りねじナット61は貫通孔41gに対するロック部材60の平板状先端部の挿入によって回転が規制されているため、滑りねじ軸62が回転すると、滑りねじナット61がばね65の付勢力に抗して後退し、これと一体的にロック部材60も後退する。これにより、ロック部材60の先端部がドライブギヤ30の係合孔30aから離脱し、ロック状態が解除される。こうして、ボールねじ軸24を駆動させている間は、ロック部材60が後退した位置に保持され、ドライブギヤ30がロックされない状態に保持される。
その後、駆動用モータ10への電力供給が遮断され、ボールねじ軸24の駆動が停止すると、ロック用モータ64への電力供給も遮断される。これにより、ロック部材60を後退させておくための駆動力が生じなくなるため、ロック部材60はばね65によって前進する方向へ押し動かされる。そして、ロック部材60の先端部がドライブギヤ30の係合孔30aに係合することでロック状態となり、ドライブギヤ30の回転が規制される。
このように、ロック部材60によってドライブギヤ30の回転が規制されることで、ボールねじ軸24が進退しない状態で保持される。これにより、操作対象側からボールねじ軸24側へ外力が入力されたとしても、ボールねじ軸24の位置を所定の位置に保持しておくことができる。上記構成は、特に位置保持が必要なアプリケーションに電動アクチュエータを適用する場合に好適である。
本実施形態では、ロック用モータ64を駆動させることにより、ロック部材60を後退させるようにしているが、反対に、ロック部材60を前進させるために、ロック用モータ64を駆動させてもよい。また、ロック用モータ64を正逆回転させることで、ロック部材60を前進させたり後退させたりすることも可能である。
電動アクチュエータ1には、ボールねじ軸24に設けられた操作部6のストローク方向の位置を検出するための位置検出装置が搭載される。この位置検出装置は、ボールねじ軸24に設けられるセンサターゲットとしての永久磁石73(図1を参照)と、ブーツ36を覆うブーツカバー39に、永久磁石73のストローク方向の位置を検出するストロークセンサとしての磁気センサ70が配設されている(図2及び図3を参照)。
ここで、磁気センサ70は、モータケース11と一体的に形成されたブーツカバー39に設けられている。具体的には、図10に示すように、モータケース11のうち駆動用モータ10が収容される部分(ケース本体12)とブーツカバー39との連結部近傍に、モータケース11の外側に向けて開口したセンサケース76が設けられている。そして、このセンサケース76に、二個の磁気センサ70を取り付けたセンサベース71がボルト72で締結固定されている(図3を参照)。これにより、磁気センサ70は、ブーツカバー39を介して永久磁石73と対向した状態となる。正確には、磁気センサ70の検知面70aが、図10に示す向きから見て、永久磁石73と向かい合う状態となるように、磁気センサ70がボールねじ軸24の半径方向外側に配設されている。この場合、磁気センサ70は、ブーツカバー39とセンサケース76、及びセンサベース71とで覆われた状態となる。
また、磁気センサ70は、ブーツカバー39の軸方向(ストローク方向)中間位置に配設されている(図11を参照)。この際、永久磁石73との位置関係でいえば、ボールねじ軸24に取り付けられる永久磁石73のストローク範囲内(図11及び図15を参照)に磁気センサ70を配設するのがよい。
磁気センサ70としては、任意のタイプが使用でき、その中でもホールIC、リニアホールICなどホール効果を利用して磁場の向き及び大きさを検出可能なタイプの磁気センサが好適に使用可能である。
また、磁気センサ70の周囲を覆うセンサベース71(特にセンサベース71のうち磁気センサ70と接するベースプレート71a)、センサケース76、及びブーツカバー39は何れも非磁性材料で形成されるのがよく、例えば樹脂で形成される。
一方、センサターゲットとなる永久磁石73は、可動部となるボールねじ軸24に配設されている。詳細には、図1に示すように、ボールねじ軸24のうち操作部6と螺旋状溝24aとの間に永久磁石73が配設されている。
また、磁気センサ70との位置関係でみると、図11に示すように、永久磁石73は、ボールねじ軸24の外周面のうちブーツ36で覆われた部分に配設されている。これにより磁気センサ70と永久磁石73との間には常にブーツ36が存在した状態になっている。
図12は、軸方向所定位置に永久磁石73を含むセンサターゲットが取り付けられた状態のボールねじ軸24(ボールねじ軸ユニット)の斜視図を示している。また、図13は、ボールねじ軸24単体の斜視図を示している。これらの図に示すように、ボールねじ軸24の軸方向所定位置には切欠き部241が形成されており、この切欠き部241にセンサターゲットが取り付けられている。切欠き部241の形状は、取り付け対象となる磁石ホルダ74の形状に応じて適宜設定される。本図示例では、ボールねじ軸24の中心から半径方向にずれた位置を通る仮想平面でボールねじ軸24を切断して得られる平坦面241aと、平坦面241aの軸方向両側に位置して平坦面241aからボールねじ軸24の半径方向に立ち上がった形状をなしている一対の軸方向端面241b,241bとで切欠き部241が構成されている。
図14は、永久磁石73を含むセンサターゲットの(a)斜視図と(b)正面図をそれぞれ示している。これらの図に示すように、センサターゲットは、永久磁石73と、永久磁石73を保持する磁石ホルダ74とを備える。磁石ホルダ74には、ボールねじ軸24の外周面、本実施形態であれば切欠き部241に嵌合可能な一対又は複数対(図示例では四対)の嵌合爪741が設けられている。また、嵌合爪741の突出側と反対の側に、永久磁石73を嵌合可能な嵌合凹部742が設けられている。
嵌合爪741は取り付け対象となるボールねじ軸24の外周面に倣った形状をなしており(図10及び図14を参照)、例えば切欠き部241の側から磁石ホルダ74を押し込むことで、各対の嵌合爪741が互いに離間する向きに変形(弾性変形)し、切欠き部241の平坦面241aに当接した状態で、元の位置に復元するようになっている。
嵌合凹部742は、一対の側壁部743と、一対の側壁部743と一体に形成される第一の挟持部744と、一対の側壁部743及び第一の挟持部744と別体に形成されて第一の挟持部744との間に永久磁石73を挟持可能な第二の挟持部745とで構成されている。この場合、嵌合凹部742を囲む略矩形状の四方のうち軸方向一方の側のみが開口しており、この開口部746(図14(a)を参照)の側から永久磁石73と第二の挟持部745を嵌合凹部742に向けて挿入可能としている。
また、一対の側壁部743は、その先端側に向かうにつれて互いに近づく形状をなしている(図14(b)を参照)。これにより、嵌合凹部742に嵌合された永久磁石73の半径方向外側(図14(b)の上側)への移動を規制している。
上記構成の磁石ホルダ74の材質は、一対又は複数対の嵌合爪741の弾性変形を伴うボールねじ軸24への嵌合が可能な限りにおいて基本的に任意である。例えば永久磁石73がその周囲に形成する磁場に及ぼす影響を考慮した場合、非磁性材料で形成するのがよく、嵌合爪741の弾性変形性を併せて考慮した場合、樹脂製とするのがよい。
また、永久磁石73は、その両端面73a,73bに直交する向きを着磁方向としている。すなわち、一方の端面73aがN極、他方の端面73bがS極となるように着磁された状態にある。これにより、ボールねじ軸24に取り付けられた状態における永久磁石73の着磁方向が、ボールねじ軸24の直線運動方向に一致している(図11を参照)。
以上のように構成された位置検出装置において、ボールねじ軸24が進退すると、磁気センサ70に対する永久磁石73の位置が変化し(図11及び図15を参照)、これに伴って磁気センサ70の配設箇所における磁場も変化する。よって、この磁場(例えば磁束密度の向き及び強さ)の変化を磁気センサ70によって検出することで、永久磁石73のストローク方向位置ひいてはボールねじ軸24の一端側に設けられた操作部6のストローク方向位置を取得することができる。
続いて、図16に基づき、磁気センサ70を用いたフィードバック制御について説明する。
図16に示すように、目標値が制御装置80に送られると、制御装置80のコントローラ81から駆動用モータ10に制御信号が送られる。なお、この目標値は、例えば、車両上位のECUに操作量が入力された際に、その操作量に基づいてECUが演算したストローク値である。
制御信号を受け取った駆動用モータ10は回転駆動を開始し、この駆動力が上記遊星歯車減速機構18、ドライブギヤ30、ドリブンギヤ31、ボールねじナット23を介してボールねじ軸24に伝達される。その結果、ボールねじ軸24が駆動用モータ10の出力軸10aと平行な向きに前進(又は後退)する。これにより、ボールねじ軸24の先端部側(アクチュエータヘッド側)に配置される操作対象が操作される。
このとき、磁気センサ70によってボールねじ軸24のストローク値(軸方向位置)が検出される。磁気センサ70によって検知された検出値は制御装置80の比較部82に送られ、検出値と上記目標値との差分が算出される。そして、検出値が目標値と一致するようになるまで、駆動用モータ10を駆動させる。このように、磁気センサ70によって検出されたストローク値がフィードバックされてボールねじ軸24の位置が制御されることで、本実施形態の電動アクチュエータ1を、例えば、シフトバイワイヤに適用した場合、シフト位置を確実にコントロールすることができる。
本実施形態の電動アクチュエータ1の構成および動作については以上の通りである。以下、本実施形態の電動アクチュエータ1に関して、本発明の作用効果を説明する。
上述のように、本実施形態の電動アクチュエータ1は、可動部としてのボールねじ軸24とその周囲に配設される伝達ギヤケース29の円筒部29gとの間にブーツ36を配設すると共に、ボールねじ軸24のブーツ36で覆われる部分に永久磁石73を配設し、かつブーツ36を覆うブーツカバー39に磁気センサ70を配設した構成をなしている。そのため、ブーツ36によって運動変換機構としてのボールねじ22内部への異物の侵入を防止することができる。また、磁気センサ70とセンサターゲットとしての永久磁石73の間にはブーツ36が存在するが、ブーツ36は樹脂製又はゴム製であるから磁気センサ70による磁場の検出を阻害することはない。よって、ブーツ36によりボールねじ22内部をシールしながらボールねじ軸24の直線運動方向の位置を正確に検出することが可能となる。また、ボールねじ軸24のブーツ36で覆われる部分に永久磁石73を配設することで、永久磁石73が外気に曝されることによる劣化、破損を可及的に防止することができるので、長期にわたって高精度な位置検出機能を発揮することが可能となる。
なお、減速機構部9とロック機構部7が必要ない場合は、図17に示すように、減速機構部9とロック機構部7とを有しない電動アクチュエータ1を構成することができる。図17に示す電動アクチュエータ1は、図1に示す電動アクチュエータ1と比べて、減速機構部9をなくして、モータ部8と駆動力伝達部4を直接連結し、軸ケース50を、ロック機構部7を取り付けるホルダ部66のないものに取り換えている。この場合、駆動用モータ10の出力軸10aは、減速機構部9がないので、ギヤボス32に圧入嵌合し、ギヤボス32を支持する伝達ギヤケース29側の転がり軸受33は省略している。また、駆動用モータ10の出力軸10aが取り付けられるモータアダプタ19は、嵌合する相手部材が減速ギヤケース17から伝達ギヤケース29に変わるので、相手部材の嵌合形状に合った別の形状のものに換えている。その他の構成は、図1に示す実施形態と同様である。なお、図17に示す実施形態の電動アクチュエータ1は、駆動用モータ10からの駆動力が減速機構部9を介さずに駆動力伝達部4に直接伝達される以外、図1に示す実施形態と基本的に同様に制御されて動作するので、制御および動作に関する説明は省略する。
このように、図1に示す電動アクチュエータ1と図17に示す電動アクチュエータ1とでは、一部の部品を取り換えるだけで、その他の多くの部品を共通の部品で構成することができ、低コストでシリーズ化を実現できる。特に、上述の実施形態では、モータケース11の開口部12d側の内径と、減速ギヤケース17のモータケース11側の外径、および伝達ギヤケース29の減速ギヤケース17側の外径は、いずれも同じ径に形成されており、モータケース11は減速ギヤケース17と伝達ギヤケース29のいずれに対しても嵌合可能に構成されている。このため、減速機構部9を省略しても、モータアダプタ19を別のものに換えるだけで、モータ部8と駆動力伝達部4を互いに連結することができる。また、ブーツカバー39が一体的に形成されたモータケース11と伝達ギヤケース29を変更することなくそのまま使用できるので、位置検出装置を構成する磁気センサ70及びセンサベース71についても先の実施形態と同様、全く同じものを使用することができる。これにより位置検出装置を搭載する場合においても、電動アクチュエータ1のシリーズ化を低コストに達成することが可能となる。なお、電動アクチュエータ1のシリーズ化に伴う多品種展開の具体例としては、二輪車を含む自動車用の電動パーキングブレーキ機構や、電動油圧ブレーキ機構、電動シフト切替機構、電動パワーステアリングのほか、2WD/4WD電動切替機構、船外機用(船舶推進機用)の電動シフト切替機構などを例示することができる。
図18は、本発明の他の実施形態に係る電動アクチュエータ1の横断面図を示している。この図に示すように、本実施形態に係る電動アクチュエータ1は、駆動用モータ10の周囲であって、かつ磁気センサ70との間に磁気遮蔽板101が配設されている点において、図1に示す電動アクチュエータ1と相違する。
この磁気遮蔽板101は、本実施形態では円筒形状をなし、駆動用モータ10と、モータケース11のケース本体12との間に配設された状態にある。なお、ケース本体12内周への組付けを容易にするため、磁気遮蔽板101は、図18に示すように、円周方向の一部に切欠きを設けた形状としてもよい。
磁気遮蔽板101の材質としては磁性材料であればよいが、駆動用モータ10外部への磁束の漏れを極力防止する観点からは、純鉄、低炭素鋼など透磁率の高い材料(例えば駆動用モータ10のヨークを形成する材料)で形成するのが好ましい。
このように、駆動用モータ10の周囲に磁気遮蔽板101を配設することにより、駆動用モータ10を発生源とする磁場が磁気センサ70の手前で遮断されるので、磁気センサ70が本来検出すべき磁場(永久磁石73により生じた磁場)のみを正確に検出して、精度よくボールねじ軸24の直線移動方向位置を検出することが可能となる。
また、本実施形態では、磁気遮蔽板101を円筒形状とし、駆動用モータ10とケース本体12との間に配設したので、駆動用モータ10がその全周にわたって磁気遮蔽板101によって覆われた状態となる。この場合、磁気遮蔽板101は一種のヨークとして、モータと共に閉じられた磁気回路を構成することができるので、駆動用モータ10内の磁石で生じた磁場(具体的には磁束など)が駆動用モータ10の外部に漏れる事態を可及的に防止することができる。従って、磁気センサ70に及ぼす磁場の影響をより確実に排除して、より高精度な位置検出を図ることが可能となる。
なお、磁気遮蔽板101の形状は任意であり、例えば図示は省略するが、円筒形状の磁気遮蔽板101を二分割してなる半筒形状の磁気遮蔽板を二個使用してもよい。また、上述した構成の磁気遮蔽板101は二重に重ねて使用してもよい。あるいは、モータケース11と一体に形成してもよく、例えば磁気遮蔽板101をインサート部品とする樹脂の射出成形品としてもよい。この場合、磁気遮蔽板101は、円筒形状に限らず多様な形態を採ることが可能である。
図19は、本発明の他の実施形態に係る電動アクチュエータ1の要部断面図を示している。この断面図は、図11に示す断面と同じ位置で電動アクチュエータ1を仮想的に切断して得た断面図である。図19に示すように、本実施形態に係る電動アクチュエータ1は、例えば磁気センサ70による検知可能領域をストローク方向に拡大する目的で、センサターゲットを構成する永久磁石73をストローク方向に複数(図19では3個)並べて配設した形態をとっている。この場合、複数の永久磁石73は、その着磁方向(両端面73a,73bに直交する向き)に沿って並べられており、N極(一方の端面73a)とS極(他方の端面73b)とが交互に配列される向きに整列されている。よって、この場合も永久磁石73の着磁方向は、ボールねじ軸24の直線運動方向に一致している(図19を参照)。
また、この場合、磁石ホルダ74には、図14に示すものと同様に、複数対の嵌合爪741と、永久磁石73を嵌合可能な嵌合凹部742とを一体に有するものが使用される。本実施形態では、二つの磁石ホルダ74が使用されており、嵌合凹部742をなす第一の挟持部744と反対の側、すなわち嵌合凹部742の開口側(図14に示す開口部746の側)を突き合わせるようにして二つの磁石ホルダ74をボールねじ軸24の切欠き部241に嵌め合せると共に、嵌合可能な容積が増大した状態の嵌合凹部742,742に複数の永久磁石73が嵌合により取り付けられている。この場合、各磁石ホルダ74において嵌合凹部742を構成する第一の挟持部744,744の間に複数の永久磁石73が挟持された状態となる。そのため、嵌合爪741等と別体に形成された第二の挟持部745(図14を参照)は省略可能である。
また、上述のようにセンサターゲットをボールねじ軸24上に配設した場合、何れの永久磁石73と磁気センサ70との間にもブーツ36が介在している。このように、ボールねじ軸24のブーツ36で覆われる部分に全ての永久磁石73を配設することで、永久磁石73が外気に曝されることによる劣化、破損を可及的に防止することができるので、永久磁石73を複数設けた場合であっても、長期にわたって高精度な位置検出機能を発揮することが可能となる。
また、以上の実施形態では、減速機構部9とロック機構部7の両方とも有するものと両方とも有しないものを例に説明したが、いずれか一方を有する電動アクチュエータを構成することも可能である。また、上述の例では、ロック機構部7の有無に応じて軸ケース50を変更しているが、軸ケース50を、ボールねじ軸24の長さに応じて異なる形状又はサイズのものに変更してもよい。
運動変換機構部3は、ボールねじ22に限らず、滑りねじ装置であってもよい。ただし、回転トルクを低減して、駆動用モータ10を小型化する観点からすれば、ボールねじ22の方が好適である。また、上述の実施形態では、運動変換機構部3を支持する支持軸受40として、複列のアンギュラ玉軸受を使用した構成を例示したが、これに限らず、一対の単列のアンギュラ玉軸受を組み合せて使用してもよい。また、支持軸受40には、アンギュラ玉軸受に限らず、例えば、深溝玉軸受等を用いた他の複列軸受を適用することも可能である。
減速機構部9は、遊星歯車減速機構18以外の減速機構でもよい。また、ドライブギヤ30とドリブンギヤ31とのギヤ比を変えることで、駆動力伝達部4が減速機構としての機能を兼ねるようにしてもよい。
また、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。