JP6711613B2 - 重合体および該重合体を含んでなる樹脂組成物 - Google Patents
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Description
不飽和ポリエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等は、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂がラジカル重合性モノマーと共に混合されて使用され、ラジカル重合により3次元硬化物が得られることが知られている。しかしながら、これらについては、耐熱性を重視して架橋密度を上げると、硬化物が脆くなってしまい、樹脂組成の検討のみで高度に両立させることは困難である。
その他、上述した樹脂以外に、耐熱性の良好な硬化型樹脂として、ポリアミドイミド樹脂が開示されている(特許文献1参照)。この文献には、耐熱衝撃性、耐熱性、耐加水分解性等の諸特性向上の記載があるが、使用溶媒の環境への負担の点など、各種分野への適用において改善の余地があった。
すなわち、本発明の目的は、下記(1)〜(6)により達成される。
(1)重合体溶液を含んでなるネガ型用樹脂組成物であって、
該重合体溶液に含まれる重合体が、マレイミド系単量体単位と不飽和塩基酸単位とを必須単位として有する重合体であって、下記式(1)
R−OO−CO−R’ (1)
[上記式(1)中、R、R’は、同一または異なって、いずれも炭素数1〜4のアルキル基である]
で表される有機過酸化物由来の構成単位を含んでいる重合体である、
ネガ型用樹脂組成物。
(2)上記マレイミド系単量体単位の含有量が、全単量体単位100質量%中、10〜80質量%である(1)に記載のネガ型用樹脂組成物。
(3)全単量体単位100質量%中、前記不飽和塩基酸単位の含有量が、3〜70質量%である(1)又は(2)に記載のネガ型用樹脂組成物。
(4)上記不飽和塩基酸単位が(メタ)アクリル酸単位である(1)〜(3)のいずれかに記載のネガ型用樹脂組成物。
(5)上記有機過酸化物由来の構成単位の含有量が、全単量体単位100質量%に対して、7〜15質量%である(1)〜(4)のいずれかに記載のネガ型用樹脂組成物。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載のネガ型用樹脂組成物を硬化してなるネガ架橋硬化物。
このような単量体成分の具体例としては、前記したもの以外の芳香族ビニル系単量体;酢酸ビニル、アジピン酸ビニル等のビニルエステルモノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系単量体;n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテルや対応するアルキルビニル(チオ)エーテル;無水マレイン酸等の酸無水物基含有単量体あるいはこれをアルコール類等により酸無水物基を開環変性した単量体や前記したもの以外の不飽和塩基酸;N−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニル系単量体等が挙げられる。
R−OO−CO−R’ (1)
[上記式(1)中、R、R’は、同一または異なって、いずれも炭素数1〜4のアルキル基である]
で表される有機過酸化物である。上記R、R’としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基が好ましく例示され、中でもtert−ブチル基が好ましい。
有機過酸化物(P)としては、特に、t−ブチルパーオキシピバレートが好ましい。
上記硬化条件としては、重合体20〜40質量部に、クレゾールノボラックエポキシ樹脂(エポキシ当量200〜220、軟化点90〜100℃)17質量部、トリフェニルホスフィン(硬化触媒)0.5質量部を混合し、ポリエチレンテレフタレートフィルムに乾燥後の膜厚が約80μmになるように塗布し、70℃で20分間乾燥させ、200℃で1時間硬化させて冷却する。
上記硬化条件において、使用する重合体は溶媒を含む溶液であってもよく、質量は重合体の質量である。また、重合体の混合量は好ましくは25〜35質量部、クレゾールノボラックエポキシ樹脂のエポキシ当量は好ましくは205〜215である。
溶液重合の際の溶媒としては、重合を阻害したり、原料単量体各成分を変質させるおそれの無い溶媒であれば特に限定されない。使用可能な溶媒の具体的としては、トルエン、キシレン等の炭化水素類;セロソルブアセテート、カルビトールアセテート、(ジ)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グルタル酸(ジ)メチル、コハク酸(ジ)メチル、アジピン酸(ジ)メチル、メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、メチルプロピオネート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチル−t−ブチルエーテル、(ジ)エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して用いることができる。また、特に、(メタ)アクリル酸等の不飽和塩基酸の使用量が30質量%を超える場合には、重合体の析出を防止するために、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類とプロピレングリコールモノメチルエーテルやイソプロパノール等のアルコール類との混合溶媒が好ましい。
重合体を得る具体的手法としては特に限定されないが、溶媒中に、全ての成分を一括で仕込んで重合する方法、予め溶媒と成分の一部を仕込んだ反応容器に残りの成分を連続添加あるいは逐次添加して重合する方法等が採用可能である。
使用する場合の使用可能な連鎖移動剤としては、重合に使用する各単量体成分に悪影響を及ぼさないものであればよく、通常、チオール化合物が使用される。具体的には、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;チオフェノール等のアリールメルカプタン;メルカプトプロピオン酸、メルカプトプロピオン酸メチル等のメルカプト基含有脂肪族カルボン酸およびそのエステル等が好ましい物として挙げられる。連鎖移動剤の使用量は特に限定されず、所望の分子量を有する重合体が得られるように適宜調節すればよいが、一般的には、重合に使用される単量体総量に対して、0.1〜15質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%である。
反応条件については、公知の手法で触媒、反応温度を適宜選択して行えばよい。
これらは、用途や要求特性に応じて適宜選択され、1種または2種以上を混合して用いることができる。
各溶液約0.3gを精秤し、アセトン/水混合溶媒に溶解し、0.1規定のKOH水溶液を滴定液として用いて、自動滴定装置(平沼産業社製)により酸価を測定した。
ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶離液としてHLC−8220GPC(東ソー社製)によるGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法にて重量平均分子量を測定した。
各溶液100部に、クレゾールノボラックエポキシ樹脂(エポキシ当量209.9、軟化点95.5℃)17部、トリフェニルホスフィン(硬化触媒)0.5部を混合して熱硬化性樹脂溶液を調製した。ポリエチレンテレフタレートフィルムに乾燥後の膜厚が約80μmになるように塗布し、70℃で20分間乾燥させ、200℃で1時間硬化させて冷却した後、剥離した硬化塗膜を幅5mmに切り出して測定用試料とした。サーモメカニカルアナライザーBruker AXS TMA 4000(ブルカー・エイエックスエス(株))を用い、チャック間距離20mmで引っ張りモードにて熱分析し、ガラス転移温度(Tg)、150〜200℃における線膨張率(CTE150〜200)により評価した。
共重合体の合成
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート92.5部を仕込み、窒素置換した後、85℃に昇温した。他方、滴下槽1にN−フェニルマレイミド30部、重合開始剤としてルペロックス11(商品名;アルケマ吉富社製、t−ブチルパーオキシピバレートを70%含有する炭化水素溶液)を10部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート120部を混合した。また、滴下槽2にスチレン50.7部、滴下槽3にアクリル酸19.3部を仕込んだ。反応温度を85℃に保ちながら、滴下槽1、2から3.0時間、滴下槽3から2.5時間かけて滴下を行った。滴下終了後から更に85℃で30分、反応を継続した。その後、反応温度を105℃に昇温し、1.5時間反応を継続して重合体溶液A−1を得た。
得られた重合体溶液A−1について各種物性を測定したところ、重量平均分子量は9400、真空下160℃にて乾燥させて得られた固形分濃度は31.1%、固形分当たりの酸価は149mgKOH/gであった。
比較用共重合体の合成
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート92.5部を仕込み、窒素置換した後、90℃に昇温した。他方、滴下槽1にN−フェニルマレイミド30部、重合開始剤としてルペロックス575(商品名;アルケマ吉富社製、t−アミルパーオキシオクトエート)を8部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート120部を混合した。また、滴下槽2にスチレン50.7部、滴下槽3にアクリル酸19.3部を仕込んだ。反応温度を90℃に保ちながら、滴下槽1、2から3.0時間、滴下槽3から2.5時間かけて滴下を行った。滴下終了後から更に90℃で30分、反応を継続した。その後、反応温度を115℃に昇温し、1.5時間反応を継続して比較用重合体溶液B−1を得た。
得られた重合体溶液B−1について各種物性を測定したところ、重量平均分子量は9400、真空下160℃にて乾燥させて得られた固形分濃度は29.9%、固形分当たりの酸価は148mgKOH/gであった。
CTE150〜200:150〜200℃における線膨張率(ppm/K)
Claims (6)
- 重合体溶液を含んでなるネガ型用樹脂組成物であって、
該重合体溶液に含まれる重合体が、マレイミド系単量体単位と不飽和塩基酸単位とを必須単位として有する重合体であって、下記式(1)
R−OO−CO−R’ (1)
[上記式(1)中、R、R’は、同一または異なって、いずれも炭素数1〜4のアルキル基である]
で表される有機過酸化物由来の構成単位を含んでいる重合体である、
ネガ型用樹脂組成物。 - 前記マレイミド系単量体単位の含有量が、全単量体単位100質量%中、10〜80質量%である請求項1に記載のネガ型用樹脂組成物。
- 全単量体単位100質量%中、前記不飽和塩基酸単位の含有量が、3〜70質量%である請求項1又は2に記載のネガ型用樹脂組成物。
- 前記不飽和塩基酸単位が(メタ)アクリル酸単位である請求項1〜3のいずれか1項に記載のネガ型用樹脂組成物。
- 前記有機過酸化物由来の構成単位の含有量が、全単量体単位100質量%に対して、7〜15質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載のネガ型用樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のネガ型用樹脂組成物を硬化してなるネガ架橋硬化物。
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