図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
<1.飲料製造装置の概要>
図1は飲料製造装置1の外観図である。本実施形態の飲料製造装置1は、焙煎コーヒー豆と液体(ここでは水)からコーヒー飲料を自動製造する装置であり、一回の製造動作につき、コップ一杯分のコーヒー飲料を製造可能である。原料となる焙煎コーヒー豆は、キャニスタ40に収容可能である。飲料製造装置1の下部にはカップの載置部110が設けられており、製造されたコーヒー飲料は注ぎ部10cからカップへ注がれる。
飲料製造装置1は、その外装を形成して内部機構を囲包するハウジング100を備える。ハウジング100は、本体部101と、飲料製造装置1の正面の一部及び側面の一部を覆うカバー部102とに大別される。カバー部102には情報表示装置12が設けられている。情報表示装置12は本実施形態の場合、タッチパネル式のディスプレイであり、各種の情報の表示の他、装置の管理者や飲料の需要者の入力を受け付けることが可能である。情報表示装置12は、移動機構12aを介してカバー部102に取付けられており、移動機構12aによって上下方向に一定の範囲で移動可能である。
カバー部102には、また、豆投入口103と、豆投入口103を開閉する扉103aが設けられている。開閉扉103を開放して豆投入口103へ、キャニスタ40に収容されている焙煎コーヒー豆とは別の焙煎コーヒー豆を、投入することが可能となっている。これにより飲料の需要者に特別な一杯を提供することが可能である。
カバー部102は、本実施形態の場合、アクリルやガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明カバーを構成している。このため、カバー部102に覆われたその内側の機構が外部から視認可能となっている。本実施形態の場合、コーヒー飲料を製造する製造部の一部がカバー部102を透して視認可能となっている。本体部101は本実施形態の場合その全体が非透過部とされており、その内部を外部から視認困難である。
図2は、飲料製造装置1の部分正面図であって、飲料製造装置1の正面視でユーザが視認可能な製造部の一部を示す図である。カバー部102や情報表示装置12は想像線で図示されている。
飲料製造装置1の正面部におけるハウジング100は、本体部101と、その外側(前方側)のカバー部102との二重構造となっている。前後方向で本体部101とカバー部12との間に製造部の一部の機構が配置されており、ユーザがカバー部102を介して視認可能である。
カバー部102を介してユーザが視認可能な製造部の一部の機構は、本実施形態の場合、後述する集合搬送部42、グラインダ5A、5B、分離装置6、抽出容器9等である。本体部101の正面部には、奥側に窪んだ矩形状の凹部101aが形成されており、抽出容器9等はこの凹部101a内の奥側に位置している。
カバー部102を介して外部からこれらの機構が視認可能であることにより、管理者にとっては点検や動作確認が容易になる場合がある。また、飲料の需要者にとってはコーヒー飲料の製造過程を楽しむことができる場合がある。
なお、カバー部102は、その右端部においてヒンジ102aを介して本体部101に横開き式に開閉自在に支持されている。カバー部102の左端部には、本体部101とカバー部102とを閉状態に維持する係合部102bが設けられている。係合部102bは例えば磁石と鉄の組合せである。管理者はカバー部102を開放することで、その内側の上述した製造部の一部の点検等を行うことができる。
なお、本実施形態の場合、カバー部102を横開き式としたが縦開き式(上下開き式)としてもよいし、スライド式としてもよい。また、カバー部102が開閉不能な構成であってもよい。
図3は飲料製造装置1の機能の概要図である。飲料製造装置1は、コーヒー飲料の製造部として、豆処理装置2及び抽出装置3を含む。
豆処理装置2は、焙煎コーヒー豆から挽き豆を生成する。抽出装置3は豆処理装置2から供給される挽き豆からコーヒー液を抽出する。抽出装置3は、流体供給ユニット7、後述する駆動ユニット8、抽出容器9及び切替ユニット10を含む。豆処理装置2から供給される挽き豆は、抽出容器9に投入される。流体供給ユニット7は、抽出容器9にお湯を投入する。抽出容器9内で挽き豆からコーヒー液が抽出される。抽出されたコーヒー液を含むお湯が切替ユニット10を介してコーヒー飲料としてコップCに送出される。
<2.流体供給ユニット及び切替ユニット>
流体供給ユニット7及び切替ユニット10の構成について図3を参照して説明する。まず、流体供給ユニット7について説明する。流体供給ユニット7は、抽出容器9へのお湯の供給や、抽出容器9内の気圧の制御等を行う。なお、本書において、気圧を数字で例示している場合、特に断わらない限り絶対圧を意味し、ゲージ圧とは大気圧を0気圧とする気圧である。大気圧とは、抽出容器9の周囲の気圧、又は、飲料製造装置の気圧を指し、例えば、飲料製造装置が海抜0mの地点に設置されている場合は、国際民間航空機関(=「International Civil Aviation Organization」〔[略]ICAO〕)が1976年に制定した国際標準大気(=「International Standard Atmosphere」〔[略]ISA〕)の海抜0mでの基準気圧(1013.25hPa)である。
流体供給ユニット7は配管L1〜L3を含む。配管L1は空気が流通する配管であり、配管L2は水が流通する配管である。配管L3は空気と水の双方が流通可能な配管である。
流体供給ユニット7は、加圧源としてコンプレッサ70を含む。コンプレッサ70は大気を圧縮して送出する。コンプレッサ70は例えばモータ(不図示)を駆動源として駆動される。コンプレッサ70から送出される圧縮空気は、逆止弁71aを介してリザーブタンク(アキュームレータ)71に供給される。リザーブタンク71内の気圧は圧力センサ71bにより監視され、所定の気圧(本実施形態では7気圧(ゲージ圧で6気圧))に維持されるよう、コンプレッサ70が駆動される。リザーブタンク71には排水用のドレイン71cが設けられており、空気の圧縮により生じる水を排水可能となっている。
水タンク72にはコーヒー飲料を構成するお湯(水)が蓄積される。水タンク72には、水タンク72内の水を加温するヒーター72a及び水の温度を計測する温度センサ72bが設けられている。ヒーター72aは温度センサ72bの検出結果に基づいて、蓄積されるお湯の温度を所定の温度(本実施形態では摂氏120度)に維持する。ヒーター72aは例えばお湯の温度が摂氏118度でONとされ、摂氏120度でOFFとされる。
水タンク72には、また、水位センサ72cが設けられている。水位センサ72cは水タンク72内のお湯の水位を検出する。水位センサ72cにより所定の水位よりも水位が下がったことが検出されると、水タンク72に水が供給される。本実施形態の場合、不図示の浄水器を介して水道水が供給される。浄水器からの配管L2の途中には電磁弁72dが設けられており、水位センサ72cにより水位の低下が検出されると電磁弁72dが開放されて水が供給され、所定の水位に到達すると電磁弁72dが閉鎖されて水の供給が遮断される。こうして水タンク72内のお湯が一定の水位に維持される。なお、水タンク72への給水は一回のコーヒー飲料の製造に使用するお湯を排出する度に行ってもよい。
水タンク72には、また、圧力センサ72gが設けられている。圧力センサ72gは水タンク72内の気圧を検出する。水タンク72には調圧弁72e及び電磁弁72fを介してリザーブタンク71内の気圧が供給される。調圧弁72eはリザーブタンク71から供給される気圧を所定の気圧に減圧する。本実施形態の場合、3気圧(ゲージ圧で2気圧)に減圧する。電磁弁72fは調圧弁72eで調圧された気圧の、水タンク72への供給と遮断とを切り替える。電磁弁72fは、水タンク72への水道水の供給時を除き、水タンク72内の気圧が3気圧に維持されるように開閉制御される。水タンク72への水道水の供給時には、水道水の水圧によって水タンク72に円滑に水道水が補給されるように、電磁弁72hにより水タンク72内の気圧を水道水の水圧よりも低い圧力(例えば2.5気圧未満)に減圧する。電磁弁72hは水タンク72内を大気に解放するか否かを切り替え、減圧時には水タンク72内を大気に解放する。また、電磁弁72hは水タンク72への水道水の供給時以外に、水タンク72内の気圧が3気圧を超える場合に水タンク72内を大気に解放し、水タンク72内を3気圧に維持する。
水タンク72内のお湯は、逆止弁72j、電磁弁72i及び配管L3を介して抽出容器9へ供給される。電磁弁72iを開放することで抽出容器9へお湯が供給され、閉鎖することでお湯の供給が遮断される。抽出容器9へのお湯の供給量は、電磁弁72iの開放時間で管理することができる。しかし、供給量を計測して電磁弁72iの開閉を制御してもよい。配管L3にはお湯の温度を計測する温度センサ73eが設けられており、抽出容器9へ供給される湯温が監視される。
リザーブタンク71の気圧は、また、調圧弁73a、電磁弁73bを介して抽出容器9へ供給される。調圧弁73aはリザーブタンク71から供給される気圧を所定の気圧に減圧する。本実施形態の場合、5気圧(ゲージ圧で4気圧)に減圧する。電磁弁73bは調圧弁73aで調圧された気圧の、抽出容器9への供給と遮断とを切り替える。抽出容器9内の気圧は圧力センサ73dで検出される。抽出容器9内の加圧時、圧力センサ73dの検出結果に基づいて電磁弁73bが開放され、抽出容器9内を所定の気圧(本実施形態の場合、最大で5気圧(ゲージ圧で4気圧))に加圧する。抽出容器9内の気圧は電磁弁73cで減圧可能である。電磁弁73cは抽出容器9内を大気に解放するか否かを切り替え、圧力異常時(例えば抽出容器9内が5気圧を超える場合)には抽出容器9内を大気に解放する。
一回のコーヒー飲料の製造が終わると、本実施形態の場合、抽出容器9内を水道水で洗浄する。電磁弁73fは洗浄時に開放され、抽出容器9に水道水を供給する。
次に切替ユニット10について説明する。切替ユニット10は抽出容器9から送出される液体の送出先を注ぎ部10cと廃棄タンクTとのいずれかに切り替えるユニットである。切替ユニット10は、切替弁10aと切替弁10aを駆動するモータ10bを含む。切替弁10aは、抽出容器9内のコーヒー飲料を送出する場合は注ぎ部10cへ流路を切り替える。コーヒー飲料は注ぎ部10cからカップCへ注がれる。洗浄時の廃液(水道水)及び残渣(挽き豆)を排出する場合は廃棄タンクTへ流路を切り替える。切替弁10aは本実施形態の場合3ポートのボール弁である。洗浄時には切替弁10aを残渣が通過することから、切替弁10aはボール弁が好適であり、モータ10bはその回転軸を回転することで、流路を切り替える。
<3.豆処理装置>
図1、図2を参照して豆処理装置2について説明する。豆処理装置2は、貯留装置4及び粉砕装置5を含む。
<3−1.貯留装置>
貯留装置4は、焙煎後のコーヒー豆が収容される複数のキャニスタ40を含む。本実施形態の場合、キャニスタ40は三つ設けられている。キャニスタ40は、焙煎コーヒー豆を収容する筒状の本体40aと、本体40aに設けられた取手40bとを含み、飲料製造装置1に対して着脱自在に構成されている。
各キャニスタ40は、互いに異なる種類の焙煎コーヒー豆を収容し、情報表示装置12に対する操作入力によって、コーヒー飲料の製造に用いる焙煎コーヒー豆の種類を選択できるようにしてもよい。種類が異なる焙煎コーヒー豆とは例えばコーヒー豆の品種が異なる焙煎コーヒー豆である。また、種類が異なる焙煎コーヒー豆とは、同じ品種のコーヒー豆であるが、焙煎度が異なる焙煎コーヒー豆であってもよい。また、種類が異なる焙煎コーヒー豆とは、品種も焙煎度も異なる焙煎コーヒー豆でもよい。また、三つのキャニスタ40の少なくともいずれか一つには、複数種類の品種の焙煎コーヒー豆が混合された焙煎コーヒー豆が収容されてもよい。この場合、各品種の焙煎コーヒー豆は、焙煎度が同程度であってもよい。
なお、本実施形態では複数のキャニスタ40を設けたが、一つのキャニスタ40のみが設けられる構成であってもよい。また、複数のキャニスタ40を設けた場合に、同じ種類の焙煎コーヒー豆が全部又は複数のキャニスタ40に収容されてもよい。
各キャニスタ40は計量搬送装置41に着脱自在に装着される。計量搬送装置41は、例えば、電動スクリューコンベアであり、キャニスタ40に収容された所定の量の焙煎コーヒー豆を自動計量して下流側に送出する。
各計量搬送装置41は下流側の集合搬送部42に焙煎コーヒー豆を排出する。集合搬送部42は中空の部材で構成されており、各コンベア41から粉砕装置5(特にグラインダ5A)への焙煎コーヒー豆の搬送通路を形成する。各計量搬送装置41から排出された焙煎コーヒー豆は集合搬送部42の内部を自重によって移動し、粉砕装置5へ流れ落ちる。
集合搬送部42には、豆投入口103に対応する位置に案内部42aが形成されている。案内部42aは豆投入口103から投入された焙煎コーヒー豆を粉砕装置5(特にグラインダ5A)へ案内する通路を形成する。これにより、キャニスタ40に収容された焙煎コーヒー豆以外に、豆投入口103から投入される焙煎コーヒー豆を原料としたコーヒー飲料も製造できる。
<3−2.粉砕装置>
図2及び図4を参照して粉砕装置5を説明する。図4は分離装置6の一部判断斜視図である。粉砕装置5は、グラインダ5A及び5B、及び、分離装置6を含む。グラインダ5A及び5Bは貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆を挽く機構である。貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆は、グラインダ5Aで挽かれた後、グラインダ5Bで更に挽かれて粉状にされ、排出管5Cから抽出容器9へ投入される。
グラインダ5A及び5Bは、豆を挽く粒度が異なっている。グラインダ5Aは粗挽き用のグラインダであり、グラインダ5Bは細挽き用のグラインダである。グラインダ5A、5Bはそれぞれ電動グラインダであり、駆動源であるモータと、モータにより駆動される回転刃等を含む。回転刃の回転数を変化させることで粉砕される焙煎コーヒー豆の大きさ(粒度)を変化可能である。
分離装置6は挽き豆から不要物を分離する機構である。分離装置6はグラインダ5Aとグラインダ5Bとの間に配置された通路部63aを含む。通路部63aはグラインダ5Aから自由落下してくる挽き豆が通過する分離室を形成する中空体である。通路部63aには、挽き豆の通過方向(本実施形態の場合、上下方向。)と交差する方向(本実施形態の場合、左右方向。)に延びる通路部63bが接続されており、この通路部63bには吸引ユニット60が接続されている。吸引ユニット60が通路部63a内の空気を吸引することで、
チャフや微粉といった軽量な物体が吸引される。これにより、挽き豆から不要物を分離できる。
吸引ユニット60は遠心分離方式の機構である。吸引ユニット60は、送風ユニット60A及び回収容器60Bを含む。送風ユニット60Aは本実施形態の場合、ファンモータであり、回収容器60B内の空気を上方へ排気する。
回収容器60Bは、分離可能に係合する上部61と下部62とを含む。下部62は上方が開放した有底の筒型をなしており、不要物を蓄積する空間を形成する。上部61は下部62の開口に装着される蓋部を構成する。上部61は、円筒形状の外周壁61aと、これと同軸上に形成された排気筒61bとを含む。送風ユニット60Aは排気筒61b内の空気を吸引するように排気筒61bの上方において上部61に固定されている。上部61には通路部63bが接続されている。通路部63bは排気筒61bの側方に開口している。
送風ユニット60Aの駆動により、図4において矢印d1〜d3で示す気流が発生する。この気流により、通路部63aから不要物を含んだ空気が通路部63bを通って回収容器60B内に吸引される。通路部63bは排気筒61bの側方に開口しているため、不要物を含んだ空気は排気筒61bの周囲を旋回する。空気中の不要物Dは、その重量によって落下し、回収容器60Bの一部に集められる(下部62の底面上に堆積する)。空気は排気筒61bの内部を通って上方に排気される。
排気筒61bの周面には複数のフィン61dが一体に形成されている。複数のフィン61dは排気筒61bの周方向に配列されている。個々のフィン61dは、排気筒61bの軸方向に対して斜めに傾斜している。このようなフィン61を設けたことで、不要物Dを含んだ空気の排気筒61bの周囲の旋回を促進する。
本実施形態の場合、下部62はアクリル、ガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明容器を構成している。また、下部62はカバー部102で覆われた部分である(図2)。管理者や飲料の需要者は、カバー部102、下部62の周壁を透して、下部62内に蓄積された不要物Dを視認可能である。管理者にとっては、下部62の清掃タイミングを確認し易い場合があり、飲料の需要者にとっては不要物Dが除去されていることが視認できることで、製造中のコーヒー飲料の品質に対する期待感が高まる場合がある。
このように本実施形態では、貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆は、まず、グラインダ5Aで粗挽きされ、その粗挽き豆が通路部63aを通過する際に、分離装置6によって不要物が分離される。不要物が分離された粗挽き豆は、グラインダ5Bにより細挽きされる。分離装置6で分離する不要物は、代表的にはチャフや微粉である。これらはコーヒー飲料の味を低下させる場合があり、挽き豆からチャフ等を除去することで、コーヒー飲料の品質を向上できる。
焙煎コーヒー豆の粉砕は、一つのグラインダ(一段階の粉砕)であってもよい。しかし、本実施形態のように、二つのグラインダ5A、5Bによる二段階の粉砕とすることで、挽き豆の粒度が揃い易くなり、コーヒー液の抽出度合を一定にすることができる。豆の粉砕の際にはカッターと豆との摩擦により、熱が発生する場合がある。二段階の粉砕とすることで、粉砕時の摩擦による発熱を抑制し、挽き豆の劣化(例えば風味が落ちる)を防止することもできる。
また、粗挽き→不要物の分離→細挽きという段階を経ることで、チャフなどの不要物を分離する際、不要物と挽き豆(必要部分)との質量差を大きくできる。これは不要物の分離効率を上げることができるとともに、挽き豆(必要部分)が不要物として分離されてしまうことを防止することができる。また、粗挽きと細挽きとの間に、空気の吸引を利用した不要物の分離処理が介在することで、空冷によって挽き豆の発熱を抑えることができる。
<4.駆動ユニット及び抽出容器>
<4−1.概要>
抽出装置3の駆動ユニット8及び抽出容器9について図5を参照して説明する。図5は駆動ユニット8及び抽出容器9の斜視図である。駆動ユニット8の大部分は本体部101に囲包されている。
駆動ユニット8はフレームFに支持されている。フレームFは、上下の梁部F1、F2及び梁部F1、F2を支持する柱部F3を含む。駆動ユニット8は、上部ユニット8A、中部ユニット8B及び下部ユニット8Cの三つのユニットに大別される。上部ユニット8Aは梁部F1に支持されている。中部ユニット8Bは梁部F1と梁部F2との間において、梁部F1及び柱部F3に支持されている。下部ユニット8Cは梁部F2に支持されている。
抽出容器9は、容器本体90及び蓋ユニット91を含むチャンバである。抽出容器9のことをチャンバと呼ぶ場合がある。中部ユニット8Bは、容器本体90を着脱自在に保持するアーム部材820を備える。アーム部材820は、保持部材820aと、左右に離間した一対の軸部材820bとを含む。保持部材820aは、Cの字型のクリップ状に形成された樹脂等の弾性部材であり、その弾性力により容器本体90を保持する。保持部材82aは容器本体90の左右の側部を保持し、容器本体90の前方側は露出させている。これにより容器本体90の内部を、正面視で視認し易くなる。
保持部材820aに対する容器本体90の着脱は手動操作で行い、保持部材820aに容器本体90を前後方向後方へ押し付けることで容器本体90が保持部材820aに装着される。また、容器本体90を保持部材820aから前後方向前側へ引き抜くことで、容器本体90を保持部材820aから分離可能である。
一対の軸部材820bは、それぞれ、前後方向に延設されたロッドであり、保持部材820aを支持する部材である。なお、本実施形態では軸部材820bの数を二本としたが、一本でもよいし、三本以上であってもよい。保持部材820aは、一対の軸部材820bの前側の端部に固定されている。後述する機構により、一対の軸部材82bは前後方向に進退され、これにより保持部材820aが前後に進退し、は容器本体90を前後方向に平行移動する移動動作を行うことができる。中部ユニット8Bは、また、後述するように、抽出容器9の上下を反転させる回動動作を行うことも可能である。
<4−2.抽出容器>
図6を参照して抽出容器9について説明する。図6は抽出容器9の閉状態及び開状態を示す図である。上記のとおり、抽出容器9は中部ユニット8Bにより上下が反転される。図6の抽出容器9は、蓋ユニット91が上側に位置している基本姿勢を示している。以下の説明において上下の位置関係を述べる場合、特に断らない限りは基本姿勢における上下の位置関係を意味するものとする。
容器本体90は有底の容器であり、ネック部90b、肩部90d、胴部90e及び底部90fを有するボトル形状を有している。ネック部90bの端部(容器本体90の上端部)には、容器本体90の内部空間と連通する開口90aを画定するフランジ部90cが形成されている。
ネック部90b及び胴部90eは、いずれも円筒形状を有している。肩部90dは、ネック部90bと胴部90eとの間の部分であり、その内部空間の断面積が胴部90e側からネック部90b側へ向かって徐々に小さくなるようにテーパ形状を有している。
蓋ユニット91は開口90aを開閉するユニットである。蓋ユニット91の開閉動作(昇降動作)は上部ユニット8Aにより行われる。
容器本体90は、本体部材900及び底部材901を含む。本体部材900は、ネック部90b、肩部90d、胴部90eを形成する上下が開放した筒部材である。底部材901は底部90fを形成する部材であり、本体部材900の下部に挿入されて固定される。本体部材900と底部材901との間にはシール部材902が介在し、容器本体90内の気密性を向上する。
本実施形態の場合、本体部材900はアクリル、ガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明容器を構成している。管理者や飲料の需要者は、カバー部102、容器本体90の本体部材900を透して、容器本体90内でのコーヒー飲料の抽出状況を視認可能である。管理者にとっては、抽出動作を確認し易い場合があり、飲料の需要者にとっては抽出状況を楽しめる場合がある。
底部材901の中心部には凸部901cが設けられ、この凸部901cには、容器本体90内を外部に連通させる連通穴や、この連通穴を開閉する弁(図8の弁903)が設けられている。連通穴は、容器本体90内を洗浄する際の廃液及び残渣の排出に用いられる。凸部901cにはシール部材908が設けられており、シール部材908は、上部ユニット8Aまたは下部ユニット8Cと底部材901との間を気密に維持するための部材である。
蓋ユニット91は、帽子状のベース部材911を備える。ベース部材911は、凸部911d、及び、閉時にフランジ部90cと重なる鍔部911cを有する。凸部911dには、容器本体90における凸部901cと同じ構造とされており、容器本体90内を外部に連通させる連通穴や、この連通穴を開閉する弁(図8の弁913)が設けられている。凸部911dの連通穴は、主に、容器本体90内へのお湯の注入とコーヒー飲料の送出に用いられる。凸部911dにはシール部材918aが設けられている。シール部材918aは、上部ユニット8Aまたは下部ユニット8Cとベース部材911との間を気密に維持するための部材である。蓋ユニット91には、また、シール部材919が設けられている。シール部材919は、蓋ユニット91の閉時に蓋ユニット91と容器本体90との気密性を向上する。蓋ユニット91には濾過用のフィルタが保持される。
<4−3.上部ユニット及び下部ユニット>
上部ユニット8A及び下部ユニット8Cについて図7、図8を参照して説明する。図7は上部ユニット8A及び下部ユニット8Cの一部の構成を示す正面図であり、図8は図7の縦断面図である。
上部ユニット8Aは、操作ユニット81Aを含む。操作ユニット81Aは容器本体90に対する蓋ユニット91の開閉操作(昇降)及び凸部901c及び911dの弁の開閉操作を行う。操作ユニット81Aは、支持部材800、保持部材801、昇降軸802及びプローブ803を含む。
支持部材800はフレームFに対する相対位置が変化しないように固定して設けられており、保持部材801を収容する。支持部材800は、また、配管L3と支持部材800内を連通させる連通部800aを備える。配管L3から供給されるお湯、水道水および気圧が連通部800aを介して支持部材800内に導入される。
保持部材801は、蓋ユニット91を着脱自在に保持可能な部材である。保持部材801は蓋ユニット91の凸部911d又は底部材901の凸部901cが挿入される円筒状の空間を有すると共に、これらを着脱自在に保持する機構を備える。この機構は、例えば、スナップリング機構であり、一定の押圧力により係合し、一定の分離力により係合が解除される。配管L3から供給されるお湯、水道水および気圧は、連通部800a及び保持部材801の連通穴801aを介して抽出容器9内へ供給可能である。
保持部材801は支持部材800内を上下方向にスライド自在に設けられた可動部材でもある。昇降軸802はその軸方向が上下方向となるように設けられている。昇降軸802は支持部材800の天部を上下方向に気密に貫通し、支持部材800に対して上下に昇降自在に設けられている。
昇降軸802の下端部には保持部材801の天部が固定されている。昇降軸802の昇降によって保持部材801が上下方向にスライドし、凸部911dや凸部901cへの保持部材801の装着と分離を行うことができる。また、容器本体90に対する蓋ユニット91の開閉を行うことができる。
昇降軸802の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ802aが形成されている。このねじ802aにはナット804bが螺着されている。上部ユニット8Aは、モータ804aを備えており、ナット804bはモータ804aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転される。ナット804bの回転によって昇降軸802が昇降する。
昇降軸802は、中心軸に貫通穴を有する管状の軸であり、この貫通穴にプローブ803が上下にスライド自在に挿入されている。プローブ803は保持部材801の天部を上下方向に気密に貫通し、支持部材800及び保持部材801に対して上下に昇降自在に設けられている。
プローブ803は、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903を開閉する操作子であり、プローブ803の降下により弁913、903を閉状態から開状態とし、プローブ803の上昇により弁を開状態から閉状態(不図示のリターンばねの作用による)とすることができる。
プローブ803の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ803aが形成されている。このねじ803aにはナット805bが螺着されている。上部ユニット8Aは、モータ805aを備えており、ナット805bはモータ805aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転するように設けられている。ナット805bの回転によってプローブ803が昇降する。
下部ユニット8Cは、操作ユニット81Cを含む。操作ユニット81Cは、操作ユニット81Aを上下に反転した構成であり、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903の開閉操作を行う。操作ユニット81Cも蓋ユニット91の開閉が可能な構成であるが、本実施形態では操作ユニット81Cを蓋ユニット91の開閉には用いない。
以下、操作ユニット81Aの説明と略同じであるが、操作ユニット81Cについて説明する。操作ユニット81Cは、支持部材810、保持部材811、昇降軸812及びプローブ813を含む。
支持部材810はフレームFに対する相対位置が変化しないように固定して設けられており、保持部材811を収容する。支持部材810は、また、切替ユニット10の切替弁10aと支持部材810内を連通させる連通部810aを備える。容器本体90内のコーヒー飲料、水道水、挽き豆の残渣が連通部810aを介して切替弁10aに導入される。
保持部材811は、蓋ユニット91の凸部911d又は底部材901の凸部901cが挿入される円筒状の空間を有すると共に、これらを着脱自在に保持する機構を備える。この機構は、例えば、スナップリング機構であり、一定の押圧力により係合し、一定の分離力により係合が解除される。容器本体90内のコーヒー飲料、水道水、挽き豆の残渣が連通部810a及び保持部材811の連通穴811aを介して切替弁10aに導入される。
保持部材811は支持部材810内を上下方向にスライド自在に設けられた可動部材でもある。昇降軸812はその軸方向が上下方向となるように設けられている。昇降軸812は支持部材800の底部を上下方向に気密に貫通し、支持部材810に対して上下に昇降自在に設けられている。
昇降軸812の下端部には保持部材811の底部が固定されている。昇降軸812の昇降によって保持部材811が上下方向にスライドし、凸部901cや凸部911dへの保持部材811の装着と分離を行うことができる。
昇降軸812の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ812aが形成されている。このねじ812aにはナット814bが螺着されている。下部ユニット8Cは、モータ814aを備えており、ナット814bはモータ814aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転される。ナット814bの回転によって昇降軸812が昇降する。
昇降軸812は、中心軸に貫通穴を有する管状の軸であり、この貫通穴にプローブ813が上下にスライド自在に挿入されている。プローブ813は保持部材811の底部を上下方向に気密に貫通し、支持部材810及び保持部材811に対して上下に昇降自在に設けられている。
プローブ813は、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903を開閉する操作子であり、プローブ813の上昇により弁913、903を閉状態から開状態とし、プローブ813の降下により弁を開状態から閉状態(不図示のリターンばねの作用による)とすることができる。
プローブ813の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ813aが形成されている。このねじ813aにはナット815bが螺着されている。下部ユニット8Cは、モータ815aを備えており、ナット815bはモータ815aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転するように設けられている。ナット815bの回転によってプローブ813が昇降する。
<4−4.中部ユニット>
中部ユニット8Bについて図5及び図9を参照して説明する。図9は中部ユニット8Bの模式図である。中部ユニット8Bは抽出容器9を支持する支持ユニット81Bを含む。支持ユニット81Bは上述したアーム部材820の他、ロック機構821を支持するユニット本体81B’を含む。
ロック機構821は、蓋ユニット91を容器本体90に対して閉状態に維持する機構である。ロック機構821は、蓋ユニット91の鍔部911cと容器本体90のフランジ部90cとを上下に挟持する一対の把持部材821aを含む。一対の把持部材821aは、鍔部911cとフランジ部90cとを挟み込んで嵌合するC字型の断面を有しており、モータ822の駆動力により左右方向に開閉される。一対の把持部材821aが閉状態の場合、図9の囲み図において実線で示すように、各把持部材821aは鍔部911cとフランジ部90cとを上下に挟み込むようにしてこれらに嵌合し、蓋ユニット91が容器本体90に対して気密にロックされる。このロック状態においては、保持部材801を昇降軸802によって上昇させて蓋ユニット91を開放しようとしても、蓋ユニット91は移動しない(ロックは解除されない)。つまり、保持部材801を用いて蓋ユニット91を開放する力よりもロック機構821によるロックの力の方が強く設定されている。これにより異常時に容器本体90に対して蓋ユニット91が開状態になることを防止することができる。
また、一対の把持部材821aが開状態の場合、図9の囲み図において破線で示すように、鍔部911cとフランジ部90cから各把持部材821aが離間した状態となり、蓋ユニット91と容器本体90とのロックが解除される。
保持部材801が蓋ユニット91を保持した状態にあり、かつ、保持部材801を降下位置から上昇位置に上昇する場合、一対の把持部材821aが開状態の場合には容器本体90から蓋ユニット91が分離される。逆に一対の把持部材821aが閉状態の場合には蓋ユニット91に対する保持部材801が解除され、保持部材801だけが上昇することになる。
中部ユニット8Bは、また、モータ823を駆動源としてアーム部材820を前後方向に水平移動する機構を含む。これにより、アーム部材820に支持された容器本体90を後側の抽出位置(状態ST1)と、前側の豆投入位置(状態ST2)との間で移動することができる。豆投入位置は、容器本体90に挽き豆を投入する位置であり、蓋ユニット91が分離された容器本体90の開口90aに、グラインダ5Bで挽かれた挽き豆が排出管5Cから投入される。換言すると、排出管5Cの位置は、豆投入位置に位置している容器本体90の上方である。
抽出位置は、容器本体90が操作ユニット81A及び操作ユニット81Cによる操作が可能となる位置であり、プローブ803、813と同軸上の位置であって、コーヒー液の抽出を行う位置である。抽出位置は豆投入位置よりも奥側の位置である。図5、図7及び図8はいずれも容器本体90が抽出位置にある場合を示している。このように、挽き豆の投入と、コーヒー液の抽出及び水の供給とで、容器本体90の位置を異ならせることにより、コーヒー液抽出時に発生する湯気が、挽き豆の供給部である排出管5Cに付着することを防止できる。
中部ユニット8Bは、また、モータ824を駆動源として支持ユニット81Bを前後方向の軸825回りに回転させる機構を含む。これにより、容器本体90(抽出容器9)の姿勢をネック部90bが上側の正立姿勢(状態ST1)からネック部90bが下側の倒立姿勢(状態ST3)へ変化させることができる。抽出容器9の回動中は、ロック機構821により容器本体90に蓋ユニット91がロックされた状態が維持される。正立姿勢と倒立姿勢とで抽出容器9は上下が反転される。正立姿勢における凸部901cの位置に、倒立姿勢では凸部911dが位置する。また、正立姿勢における凸部911dの位置に、倒立姿勢では凸部901cが位置する。このため、倒立姿勢では弁903に対する開閉操作を操作ユニット81Aが行うことができ、また、弁913に対する開閉操作を操作ユニット81Cが行うことができる。
<5.制御装置>
図10を参照して飲料製造装置1の制御装置11について説明する。図10は制御装置11のブロック図である。
制御装置11は飲料製造装置1の全体を制御する。制御装置11は、処理部11a、記憶部11b及びI/F(インタフェース)部11cを含む。処理部11aは例えばCPU等のプロセッサである。記憶部11bは例えばRAMやROMである。I/F部11cは外部デバイスと処理部11aとの間の信号の入出力を行う入出力インタフェースを含む。I/F部11cは、また、インターネットなどの通信ネットワーク15を介してサーバ16とデータ通信が可能な通信インタフェースを含む。サーバ16は、通信ネットワーク15を介してスマートフォン等の携帯端末17との通信が可能であり、例えば、飲料の需要者の携帯端末17から飲料製造の予約や、感想などの情報を受信可能である。
処理部11aは記憶部11bに記憶されたプログラムを実行し、情報表示装置12からの指示或いはセンサ群13の検出結果若しくはサーバ16からの指示に基づいて、アクチュエータ群14を制御する。センサ群13は飲料製造装置1に設けられた各種のセンサ(例えばお湯の温度センサ、機構の動作位置検出センサ、圧力センサ等)である。アクチュエータ群14は飲料製造装置1に設けられた各種のアクチュエータ(例えばモータ、電磁弁、ヒーター等)である。
<6.動作制御例>
処理部11aが実行する飲料製造装置1の制御処理例について図11A(A)及び(B)を参照して説明する。図11(A)は一回のコーヒー飲料製造動作に関わる制御例を示している。製造指示前の飲料製造装置1の状態を待機状態と呼ぶ。待機状態における各機構の状態は以下の通りである。
抽出装置3は図5の状態にある。抽出容器9は正立姿勢で、かつ、抽出位置に位置している。ロック機構821は閉状態であり、蓋ユニット91は容器本体90の開口90aを閉鎖している。保持部材801は降下位置にあり、凸部911dに装着されている。保持部材811は上昇位置にあり、凸部901cに装着されている。弁903及び913は閉状態にある。切替弁10aは操作ユニット8Cの連通部810aを廃棄タンクTと連通させる。
待機状態において、コーヒー飲料の製造指示があると、図11(A)の処理が実行される。S1では予熱処理が実行される。この処理は容器本体90内にお湯を注ぎ、容器本体90を事前に加温する処理である。まず、弁903及び913を開状態とする。これにより、配管L3、抽出容器9、廃棄タンクTが連通状態となる。
電磁弁72iを所定時間(例えば1500ms)だけ開放したのちに閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。続いて電磁弁73を所定時間(例えば500ms)だけ開放したのちに閉鎖する。これにより、抽出容器9内の空気が加圧され、廃棄タンクTへのお湯の排出を促進する。以上の処理により、抽出容器9の内部及び配管L2が予熱され、これに続くコーヒー飲料の製造において、お湯が冷めることを低減できる。
S2ではグラインド処理を行う。ここでは焙煎コーヒー豆を粉砕し、その挽き豆を容器本体90に投入する。まず、ロック機構821を開状態とし、保持部材801を上昇位置に上昇する。蓋ユニット91は保持部材801に保持され、保持部材801と共に上昇する。この結果、蓋ユニット91は容器本体90から分離する。保持部材811は降下位置に降下する。容器本体90を豆投入位置に移動する。続いて、貯留装置4及び粉砕装置5を作動する。これにより、貯留装置4から一杯分の焙煎コーヒー豆がグラインダ5Aに供給される。グラインダ5A及び5Bで焙煎コーヒー豆が二段階で挽かれ、かつ、分離装置6で不要物が分離される。挽き豆は容器本体90に投入される。
容器本体90を抽出位置に戻す。保持部材801を降下位置に降下して容器本体90に蓋ユニット91を装着する。ロック機構821を閉状態とし、蓋ユニット91を容器本体90に気密にロックする。保持部材811は上昇位置に上昇する。弁903、913のうち、弁903は開状態とし、弁913は閉状態とする。
S3では抽出処理を行う。ここでは容器本体90内の挽き豆からコーヒー液を抽出する。図11(B)はS3の抽出処理のフローチャートである。
S11では抽出容器9内の挽き豆を蒸らすため、一杯分のお湯よりも少ない量のお湯を抽出容器9に注入する。ここでは、電磁弁72iを所定時間(例えば500ms)開放して閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。その後、所定時間(例えば、5000ms)待機してS11の処理を終了する。この処理によって挽き豆を蒸らすことができる。挽き豆を蒸らすことで、挽き豆に含まれる炭酸ガスを放出させ、その後の抽出効果を高めることができる。
S12では、一杯分のお湯が抽出容器9に収容されるよう、残りの量のお湯を抽出容器9へ注入する。ここでは、電磁弁72iを所定時間(例えば7000ms)開放して閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。
S12の処理によって抽出容器9内を、1気圧で摂氏100度を超える温度(例えば摂氏110度程度)の状態とすることができる。続いてS13により抽出容器9内を加圧する。ここでは電磁弁73bを所定時間(例えば1000ms)開放して閉鎖し、抽出容器9内をお湯が沸騰しない気圧(例えば4気圧程度(ゲージ圧で3気圧程度))に加圧する。その後、弁903を閉状態とする。
続いて、この状態を所定時間(例えば7000ms)維持して浸漬式のコーヒー液抽出を行う(S14)。これにより高温高圧下での浸漬式によるコーヒー液の抽出が行われる。高温高圧下での浸漬式の抽出では、以下の効果が見込める。一つ目は、高圧にすることで、挽き豆の内部にお湯を浸透させ易くし、コーヒー液の抽出を促進させることができる。二つ目は、高温にすることで、コーヒー液の抽出が促進される。三つ目は、高温にすることで挽き豆に含まれるオイルの粘性を下がり、オイルの抽出が促進される。これにより香り高いコーヒー飲料を製造できる。
お湯(高温水)の温度は、摂氏100度を超えていればよいが、より高温である方がコーヒー液の抽出の点で有利である。一方、お湯の温度を高くするためには一般にコストアップとなる。したがって、お湯の温度は、例えば、摂氏105度以上、または、摂氏110度以上、或いは、摂氏115度以上とし、また、例えば、摂氏130度以下、または、摂氏120度以下としてもよい。気圧はお湯が沸騰しない気圧であればよい。
S15では抽出容器9内を減圧する。ここでは、抽出容器9内の気圧をお湯が沸騰する気圧に切り替える。具体的には、弁913を開状態とし、電磁弁73cを所定時間(例えば1000ms)開放して閉鎖する。抽出容器9内が大気に解放される。その後、弁913を再び閉状態とする。
抽出容器9内が沸点圧よりも低い気圧に急激に減圧され、抽出容器9内のお湯が一気に沸騰する。抽出容器9内のお湯、挽き豆は、抽出容器9内で爆発的に飛散する。これにより、お湯を均一に沸騰させることができる。また、挽き豆の細胞壁の破壊を促進させることができ、その後のコーヒー液の抽出を更に促進させることができる。また、この沸騰により挽き豆とお湯を撹拌させることもできるため、コーヒー液の抽出を促進させることができる。こうして本実施形態ではコーヒー液の抽出効率を向上することができる。
S16では抽出容器9を正立姿勢から倒立姿勢へ反転する。ここでは、保持部材801を上昇位置に、保持部材811を降下位置にそれぞれ移動する。そして、支持ユニット81Bを回転させる。その後、保持部材801を降下位置に、保持部材811を上昇位置にそれぞれ戻す。倒立姿勢の抽出容器9は、ネック部90bや蓋ユニット91が下側に位置することになる。
S17では透過式のコーヒー液抽出を行い、カップCにコーヒー飲料を送出する。ここでは、切替弁10aを切り替えて注ぎ部10cと操作ユニット81Cの通路部810aとを連通させる。また、弁903、913をいずれも開状態とする。更に、電磁弁73bを所定時間(例えば10000ms)開放し、抽出容器9内を所定気圧(例えば1.7気圧(ゲージ圧で0.7気圧))にする。抽出容器9内において、コーヒー液がお湯に溶け込んだコーヒー飲料が蓋ユニット91に設けたフィルタを透過してカップCに送出される。フィルタは挽き豆の残渣が漏出することを規制する。以上により抽出処理が終了する。
本実施形態では、S14での浸漬式の抽出とS17での透過式の抽出とを併用することによりコーヒー液の抽出効率を向上できる。抽出容器9が正立姿勢の状態では、挽き豆が胴部90eから底部90fに渡って堆積する。一方、抽出容器9が倒立姿勢の状態では、挽き豆が肩部90dからネック部90bに渡って堆積する。ネック部90bの断面積よりも胴部90eの断面積の方が大きく、倒立姿勢での挽き豆の堆積厚さは正立姿勢での堆積厚さよりも厚くなる。つまり、挽き豆は抽出容器9が正立姿勢の状態では相対的に薄く、広く堆積し、倒立姿勢の状態では相対的に厚く、狭く堆積する。
本実施形態の場合、S14の浸漬式抽出は抽出容器9が正立姿勢の状態で行われるので、お湯と挽き豆とを広範囲にわたって接触させることができ、コーヒー液の抽出効率を向上できる。但し、この場合はお湯と挽き豆とが部分的に接触する傾向にある。一方、S17の透過式抽出は抽出容器9が倒立姿勢の状態で行われるので、お湯がより多くの挽き豆と接触しながら堆積した挽き豆を通過することになる。お湯がより万遍なく挽き豆と接触することになり、コーヒー液の抽出効率を更に向上することができる。
図11(A)に戻り、S3の抽出処理の後は、S4の排出処理を行う。ここでは抽出容器9内の清掃に関する処理を行う。抽出容器9の清掃は、抽出容器9を倒立姿勢から正立姿勢に戻し、抽出容器9に水道水(浄水)を供給することで行う。そして、抽出容器9内を加圧し、抽出容器9内の水を挽き豆の残渣と共に廃棄タンクTへ排出する。
以上により一回のコーヒー飲料製造処理が終了する。以降、同様の処理が製造指示毎に繰り返される。一回のコーヒー飲料の製造に要する時間は、例えば、60〜90秒程度である。
次に、図12を参照しながら、飲料製造装置1を含むアプリシステム(以下、単にシステムという)について説明する。図12は、飲料製造装置1を含むシステム1200の全体構成を示す図である。システム1200は、サーバ1201、携帯端末1202、情報表示装置1203、飲料製造装置1204を含む。ここで、飲料製造装置1204は、飲料製造装置1に対応し、インタフェース製造装置1204は、情報表示装置12に対応する。携帯端末1202は、例えば、ユーザが所持するスマートフォンである。サーバ1201、携帯端末1202、情報表示装置1203は、インターネット等のネットワーク1205を介して相互に通信可能に接続されている。情報表示装置1203及び飲料製造装置1204は、例えば、コーヒー豆や飲料を提供する店舗に存在し、ユーザが所持する携帯端末1202と情報表示装置1203との間で、Bluetooth等の近距離無線通信が実行可能である。
システム1200において、サーバ1201は、携帯端末1202にダウンロードされたアプリにより、コーヒーに関する様々なサービス(機能)を提供可能である。サーバ1201により提供される機能には、例えば、店舗(カフェ等)で利用可能なポイントに関するサービス、コーヒー豆の通販サイトサービス、コメントやレーティング等の購買に関するレビューサービス、後述するカスタムレシピサービスがある。また、サーバ1201により提供されるサービスは、それらに限られるものではなく、例えば、カフェ検索サービスや、ユーザが注文したコーヒーをSNSにアップするために、携帯端末1202により撮影した撮影データを加工するためのサービスなどが含まれても良い。ユーザは、サーバ1201からダウンロードしたアプリをクリック等で起動することにより、上記のような、コーヒーに関する様々なサービスを享受できる。
図13は、サーバ1201の構成を示す図である。処理部1301は、例えばCPUを含み、サーバ1201を統括的に制御する。本実施形態におけるサーバ1201の動作は、例えば、処理部1301が記憶部1303に記憶されたプログラムをメモリ1302にロードして実行することにより実現される。メモリ1302は、処理部1301のCPUのワーキングメモリとしても用いられる。記憶部1303は、サーバ1201が動作するための基本的な制御プログラムや、データやパラメータを記憶する。また、記憶部1303には種種のデータベース1309が構築され、例えば、各ユーザの携帯端末1202から送信されたレビュー情報やコメント情報、レシピのカスタム情報に基づき、データベースが構築される。また、記憶部1303は、種種のアプリケーション1310を記憶し、例えば、上記のサービスを提供可能なアプリケーションを記憶する。ユーザは、携帯端末1202を介してサーバ1201にアクセスすることにより、携帯端末1202にアプリとしてダウンロードすることができる。
通信インタフェース(I/F)1304は、有線や無線等、ネットワーク1205の媒体に応じて構成される。表示部1305は、例えばディスプレイであり、例えば、データベース1309を構築する管理者に対してユーザインタフェース画面を表示する。また、操作部1306は、例えばキーボードやマウスであり、管理者からの操作を受付可能である。
データ処理部1307は、例えばGPUを含み、各ユーザの携帯端末1202から送信されたビッグデータに基づいて特徴量を解析する。各ユーザの携帯端末1202から送信されたビッグデータがデータベース1309として構築される場合もあれば、データ処理部1307により解析された結果がデータベース1309として構築される場合もある。図13の各部は、バス1308を介して相互に接続可能である。
図14は、携帯端末1202の構成を示す図である。上述したように、携帯端末1202は、例えばユーザが所持するスマートフォンである。処理部1401は、例えばCPUを含み、携帯端末1202を統括的に制御する。本実施形態における携帯端末1202の動作は、例えば、処理部1401が記憶部1403に記憶されたプログラムをメモリ1402にロードして実行することにより実現される。メモリ1402は、処理部1401のCPUのワーキングメモリとしても用いられる。記憶部1403は、携帯端末1202が動作するための基本的な制御プログラムや、データやパラメータを記憶する。また、記憶部1403には、サーバ1201からダウンロードされたアプリケーション1310を記憶する。
マイク1404はユーザの音声を入力し、スピーカ1405は他のユーザの音声を出力したり、所定の音声データに基づいてメッセージを再生したりする。撮像部1406は、カメラであり、静止画像や動画像の撮像データを生成する。表示部1407は、タッチパネルであり、例えば、アプリケーション1310を起動するためのアイコンや、アプリケーション1310に関する種種のユーザインタフェース画面を表示する。また、表示部1407は、タッチパネルを介してユーザからの操作を受付可能である。操作部1408は、ユーザからの操作を受付可能であり、例えば電源ボタンや音量調節ボタンである。
通信I/F1409は、有線や無線等、ネットワーク1205の媒体に応じて構成される。近距離無線通信I/F1410は、通信I/F1409による通信と異なる通信方法により通信を行い、例えばBluetoothである。本実施形態では、携帯端末1202は、レシピのカスタム情報等を近距離無線通信I/F1410を介して情報表示装置1203に送信可能である。図14の各部は、バス1411を介して相互に接続可能である。
図15は、情報表示装置1203の構成を示す図である。上述したように、情報表示装置1203は、情報表示装置12に対応する。処理部1501は、例えばCPUを含み、情報表示装置1203を統括的に制御する。本実施形態における情報表示装置1203の動作は、例えば、処理部1501が記憶部1503に記憶されたプログラムをメモリ1502にロードして実行することにより実現される。メモリ1502は、処理部1501のCPUのワーキングメモリとして用いられる。記憶部1503は、情報表示装置1203が動作するための基本的な制御プログラムや、データやパラメータを記憶する。
通信I/F1504は、有線や無線等、ネットワーク1205の媒体に応じて構成される。近距離無線通信I/F1505は、通信I/F1504による通信と異なる通信方法により通信を行い、例えばBluetoothである。本実施形態では、情報表示装置1203は、レシピのカスタム情報等を近距離無線通信I/F1505を介して携帯端末1202から受信可能である。
表示部1507は、タッチパネルであり、ユーザが飲料製造装置1204を用いるためのユーザインタフェース画面を表示する。また、操作部1508は、ユーザからの操作を受付可能であり、決定等のハードウェアキーを含む。表示部1507がタッチパネルである場合には、操作部1508は、タッチパネル上のソフトウェアキーとして実現されても良い。
撮像部1509は、カメラであり、静止画像の撮像データを生成する。撮像部1509は、例えばユーザにより店舗に持ち込まれたコーヒー豆を撮像したり、携帯端末1202の表示部1407に表示された二次元コードを撮像することが可能である。携帯端末1202の表示部1407に表示された二次元コードを撮像することにより、情報表示装置1203は、携帯端末1202との間で、通信I/F1504や近距離無線通信I/F1505による通信以外の通信方法が可能となる。本体I/F1506は、制御装置11とのインタフェース部であり、例えば、表示部1507や操作部1508を介してユーザにより設定されたコーヒー豆の選択情報や抽出プロファイルの情報を制御装置11に送信する。図15の各部は、バス1510を介して相互に接続可能である。
図13〜図15に示される装置はそれぞれ、発明を構成するコンピュータとなり得る。
図16は、システム1200において、ユーザが携帯端末1202を用いてレシピをカスタマイズし、飲料製造装置1204によりコーヒーを抽出するまでの流れを説明するための図である。
まず、ユーザは、携帯端末1202の表示部1407上に表示されたアイコンをクリックすることにより、予めサーバ1201からダウンロードしておいたアプリケーション1310を起動する(工程1601)。携帯端末1202上にアプリケーション1310を起動すると、サーバ1201にログインするためのログイン画面が携帯端末1202の表示部1407に表示される。ユーザは、ログイン画面において、予め取得しておいたIDとパスワードを入力する(工程1602)。サーバ1201での認証が成功すると、サーバ1201は、アプリケーション1310のTOP画面を携帯端末1202へ返信する。
図18は、携帯端末1202の表示部1407に表示されるアプリケーション1310のTOP画面の一例を示す図である。表示領域1801には、アプリケーション1310の名称「ABC app」が表示されている。また、表示領域1802には、ユーザが所持する現在の所持ポイントが表示されている。ユーザは、このポイントを用いて、例えばオンラインショップでコーヒー豆を購入することが可能である。表示領域1803には、アプリケーション1310が提供可能なサービスがリスト表示されている。ユーザは、各表示領域1804、1805、1806、1807をクリックすることが可能であり、いずれかがクリックされると、そのサービスの画面が表示される。
表示領域1804は店舗検索サービスであり、例えば、ユーザはポイントサービス加盟店のカフェを検索することができる。表示領域1805はレビューサービスであり、例えば、ユーザは訪問したカフェについてのコメントを投稿したり評価したりすることができる。表示領域1806はコーヒー豆通販サービスであり、ユーザはコーヒー豆のオンラインショップを閲覧し、コーヒー豆を購入することができる。表示領域1807はカスタムレシピサービスであり、ユーザは携帯端末1202上で抽出プロファイルを調整することができる。
図19は、ユーザが表示領域1805をクリックしたときに表示されるサービス画面の一例を示す図である。表示領域1901には、アプリケーション1310の名称「ABC app」が表示されている。また、表示領域1902には、レーティング情報が表示されており、ユーザは、訪問したカフェで購入したコーヒーについて評価することができる。また、表示領域1903には、コメント欄が表示されており、ユーザは、訪問したカフェについてのコメントを入力することができる。投稿ボタン1904が押下されると、本レビューサービスでユーザが入力した内容が確定する。本実施形態では、投稿ボタン1904の押下により内容が確定すると、その確定内容がサーバ1201に送信される。そのような構成により、サーバ1201は、各ユーザからレビュー情報を収集し、データ処理部1307により分析することが可能となる。
図20は、ユーザが表示領域1807をクリックしたときに表示されるサービス画面の一例を示す図である。ユーザは、図20の画面により、携帯端末1202上で抽出湯量等を調整することができる。図20の画面は、情報表示装置1203に表示される設定項目と基本的に同じものであり、ユーザは、カフェに訪問する前に、携帯端末1202上で抽出湯量等を好みの値に調整しておくことができる。
表示領域2001により、ユーザは、コーヒー豆の量を任意に調整して設定することができる。また、表示領域2002により、ユーザは、挽き粒度を任意に調整して設定することができる。また、表示領域2003により、ユーザは、蒸らし湯量を任意に調整して設定することができる。また、表示領域2004により、ユーザは、蒸らし時間を任意に調整して設定することができる。また、表示領域2005により、ユーザは、抽出湯量を任意に調整して設定することができる。また、表示領域2006により、ユーザは、抽出圧力を任意に調整して設定することができる。また、表示領域2007により、ユーザは、抽出時間を任意に調整して設定することができる。
ボタン2008は、表示領域2001〜2007の内容を確定するためのボタンである。図20の場合、ボタン2008が押下されると、表示領域2001〜2007の内容が保存され、2次元コードが表示される。ユーザは、カフェに訪問し、携帯端末1202に表示された2次元コードを情報表示装置1203の撮像部1509にかざすことにより、表示領域2001〜2007の内容を情報表示装置1203に伝えることができる。ボタン2008は、2次元コードを表示するためのボタンでなくても良い。例えば、表示領域2001〜2007の内容を確定して保存するためのボタンでも良く、情報表示装置1203に対して近距離無線通信I/F1410を介して、表示領域2001〜2007の内容を送信するようにしても良い。
図20のようなコーヒー飲料の抽出のためのパラメータ調整を携帯端末1202上で可能とすることにより、ユーザは、手軽にバリスタのようなコーヒー抽出操作の感覚を味わうことができる場合がある。本実施形態では、図20のようなコーヒー飲料の抽出のためのパラメータを、抽出プロファイルもしくはレシピと称する。
再び、図16を参照する。工程1603で携帯端末1202がサーバ1201からTOP画面を受信すると、ユーザは、表示領域1807をクリックして図20上で抽出プロファイルを調整して設定する(工程1604)。そして、ユーザは、上述したように、カフェに訪問し、携帯端末1202から情報表示装置1203へ設定情報を伝える(工程1605)。ここで、設定情報とは、例えば、図20の表示領域2001〜2007の内容である。また、設定情報の伝え方は、二次元コードによる場合、近距離無線通信による場合がある。
情報表示装置1203が設定情報を取得すると、情報表示装置1203は、本体I/F1506を介して設定情報を飲料製造装置1204の制御装置11に送信する(工程1606)。飲料製造装置1204では、設定情報に基づいて、コーヒー飲料の抽出が行われる(工程1607)。
図17は、システム1200において、ユーザが情報表示装置1203上でレシピをカスタマイズし、飲料製造装置1204によりコーヒーを抽出するまでの流れを説明するための図である。
図16では、ユーザは、携帯端末1202上で抽出プロファイルを調整したが、図17では、ユーザは、カフェにおいて、情報表示装置1203上で抽出プロファイルを調整する。
ユーザは、情報表示装置1203の表示部1507に表示されたユーザインタフェース画面上で抽出プロファイルを調整して設定する(工程1701)。ここで、ユーザインタフェース画面には、基本的に図20で表示される項目と同じ項目が表示される。情報表示装置1203が設定情報を取得すると、情報表示装置1203は、本体I/F1506を介して設定情報を飲料製造装置1204の制御装置11に送信する(工程1702)。飲料製造装置1204では、設定情報に基づいて、コーヒー飲料の抽出が行われる(工程1703)。
[第一実施形態]
次に、コーヒー豆の撮影データから、コーヒー豆の特性を推定する構成を説明する。本実施形態では、一例として、カフェ等の店舗に一般ユーザがコーヒー豆を持ち込み、そのコーヒー豆を撮影した撮影データを用いてコーヒー豆の特性を推定するケースを説明する。
図21は、コーヒー豆の特性を推定する処理を示すフローチャートである。図21の処理は、例えば、サーバ1201の処理部1301が記憶部1303に記憶されたプログラムをメモリ1302にロードして実行することにより実現される。
S2101において、処理部1301は、コーヒー豆の撮影データを取得する。本実施形態では、撮影データとして、カフェ等の店舗に一般ユーザが持ち込んだコーヒー豆の撮影データを想定しているので、まず、情報表示装置1203の撮像部1509が、一般ユーザが持ち込んだコーヒー豆を撮影し、処理部1501は、その撮影データをネットワーク1205を介してサーバ1201へ送信する。処理部1301は、情報表示装置1203から受信した撮影データを取得する。撮影データの送信の際には、ユーザ情報等の識別情報も合わせて送信される。
図22は、情報表示装置1203からサーバ1201に送信されたコーヒー豆の撮影データの概念を示す図である。図22に示すように、撮影データ2201は、単体や少量でなく、多数のコーヒー豆を含むように撮影されていることが望ましい。店舗では、撮像部1509に備えられた載置台に置かれたコーヒー豆が撮影される。撮像部1509から、基準スケールが付加された載置台までの距離は予め定められており、撮影データからコーヒー豆の実寸大の計測値を推定可能である。撮影データには、コーヒー豆とともに、上記の基準スケールが写るように撮影される。
S2102において、処理部1301は、取得した撮影データに基づいて特徴量を抽出するようにデータ処理部1307に要求する。図23は、特徴量の抽出の処理を示すフローチャートである。S2301は、データ処理部1307は、撮影データを用いて、各コーヒー豆の計測を行う。図24は、コーヒー豆の計測ポイントを説明するための図である。表面2401はコーヒー豆の表面を表し、裏面2401はコーヒー豆の裏面を表している。ここで、センターカット2404がある面を表面とし、センターカット2404がない面を裏面とする。センターカット2404とはコーヒー豆の中央部分において縦方向に形成されているくぼみであり、ライン2402はくぼみの左側のラインであり、ライン2403はくぼみの右側のラインである。スクリーンサイズ2406は、センターカット長さ2408の中央部分においてセンターカット2408と直交する方向の長さである。センターカット幅は、センターカット長さ2408の中央部分におけるライン2402とライン2403の間の距離である。センターカット端部幅2407は、センターカット2404端部のライン2402とライン2403の間の距離である。S2301では、上記の各計測ポイントのサイズの他、外郭形状2409や色情報が計測される。撮影データには、表面2401が撮影されているコーヒー豆だけでなく、裏面2410が撮影されているコーヒー豆も存在すると考えられる。S2301では、データ処理部1307は、表面2401が撮影されているコーヒー豆のみが計測対象とされても良いし、外郭形状2409や色情報について表面2401と裏面2410を計測対象とするようにしても良い。また、上記の色情報は、コーヒー豆の面全体の色情報の平均であっても良いし、風味の変化に寄与する要因が大きいライン2402とライン2403の間(即ち、センターカット2404)の部分の色情報であっても良い。
図25は、撮影データから得られた一つのコーヒー豆の計測値の一例を示す図である。識別情報2501は、撮影データにおいて一個のコーヒー豆を識別するための情報である。計測値2502はセンターカット長さ2408であり、計測値2504はセンターカット幅2405である。計測値2505はセンターカット端部幅2407であり、計測値2506はスクリーンサイズ2406である。計測値2502は、外郭形状を表す値である。本実施形態では、外郭形状は、「スクリーンサイズ2406/センターカット長さ2408」(即ち、楕円度)として規定される。また、計測値2507は、センターカット形状を表す値である。本実施形態では、センターカット形状は、「センターカット幅2405/センターカット端部幅2407」(即ち、細さ度合い)として規定される。外郭形状とセンターカット形状は、形状の特徴を規定するものであれば、上記以外の方法によって算出されても良い。計測値2508は、表面2401若しくは裏面2410の色情報である。
S2301で撮影データを用いて各コーヒー豆の計測が行われると、S2302において、データ処理部1307は、計測値を分析する。
図22で説明したように、撮影データ内には多数のコーヒー豆が撮影されており、複数種類のコーヒー豆がブレンドされている場合もあり得る。例えば、2種類のコーヒー豆がブレンドされている場合、撮影データからの計測値は大きく2種類に分類され得る。図26は、計測値が大きく2種類に分類され得ることを説明するための図である。図26中の各黒点は、1個のコーヒー豆の計測値に対応している。図26は、例えば、色(濃度)とセンターカット幅2405の2つの指標からなる2軸上の空間における、撮影データ中のコーヒー豆の計測値の散らばりを示している。図26に示されるように、計測値の散らばりは、グループ2601とグループ2602に分類され得る。つまり、撮影データで撮影されたコーヒー豆は、センターカット幅2405が狭く色が濃いコーヒー豆A(グループ2601に対応)と、センターカット幅2405が広く色が薄いコーヒー豆B(グループ2602に対応)とのブレンドであることが推定され得る。図26では、2つの指標を表す2軸上の空間における計測値の分類について説明したが、3軸以上の空間における計測値の分類が行われるようにしても良い。
S2302で計測値が分析されると、S2303において、データ処理部1307は、特徴量を抽出する。
図27は、特徴量の抽出を説明するための図である。分類が行われた計測値の各グループにおいて、特徴量が抽出される。識別情報2701は、撮影データを識別するための情報であり、例えばユーザ名称が用いられる。識別情報2702、2710は、計測値が分類された各グループを識別するための情報である。例えば、識別情報2702は図26のグループ2601に対応し、識別情報2710は図26のグループ2602に対応する。
特徴量2703、2704、2705、2706、2707、2708、2709は、識別情報2702で識別されるグループ(Bean0001)の特徴量を示している。ここで、特徴量とは、各グループに含まれる複数の計測値から導かれる量であり、例えば、各グループにおける計測値の平均値や中央値が用いられる。つまり、特徴量2703は、例えば、グループBean0001における外郭形状に関する平均値や中央値である。また、特徴量2704は、センターカット長さ2408に関する平均値や中央値である。また、特徴量2705は、センターカット幅2405に関する平均値や中央値である。また、特徴量2706は、センターカット端部幅2407に関する平均値や中央値である。また、特徴量2707は、スクリーンサイズ2406に関する平均値や中央値である。また、特徴量2708は、センターカット形状に関する平均値や中央値である。また、特徴量2709は、色情報に関する平均値や中央値である。
特徴量2711、2712、2713、2714、2715、2716、2717は、識別情報2710で識別されるグループ(Bean0002)の特徴量を示している。各特徴量については、グループBean0001における説明と同じである。また、上記では、特徴量として平均値や中央値を説明しているが、他の統計量であっても良い。また、図27に含まれる情報は、上記のものに限られず、例えば、各グループの割合(Bean0001が20%でBean0002が80%である等)が含まれても良い。
S2303で特徴量が抽出されると、図23の処理を終了し、図21のS2103において、データ処理部1307は、コーヒー豆の特性の推定を行う。
図28は、特性の推定の処理を示すフローチャートである。S2801において、データ処理部1307は、図27に示す複数のグループ(Bean0001等)のうち、特定のグループに着目する。ここでは、Bean0001に着目するとする。S2802において、データ処理部1307は、データベース1309を参照し、特徴量2703〜2709に対応するコーヒー豆のデータセットを検索する。検索の際には、例えば、各特徴量と所定範囲内で合致するデータセットが検索される。データベース1309には、コーヒー豆の特徴量、コーヒー豆の特性を示すデータ、がコーヒー豆の種類と紐づけられて記憶されている。ここで、コーヒー豆の特性を示すデータとは、例えば、品種、産地、焙煎度(加工度合い)、経過日数、味覚チャート、抽出プロファイルである。味覚チャートとは、例えば、香り、甘味、苦み、酸味、コク、についての強度を目安として示す指標であり、3段階等で表されている。
S2803において、データ処理部1307は、特徴量2703〜2709に対応するコーヒー豆のデータセットがあったか否かを判定する。ここで、あったと判定された場合にはS2804に進み、なかったと判定された場合にはS2805に進む。S2804において、データ処理部1307は、コーヒー豆のデータセットから、そのコーヒー豆の特性を示すデータを取得する。
S2805において、データ処理部1307は、全てのグループについて上記の処理を実行されたか否かを判定する。本例では、図27のうちグループBean0002については未処理であるので、全てのグループについて実行されていないと判定され、S2806に進む。S2806において、データ処理部1307は、次のグループ(Bean0002)に着目し、S2802からの処理を繰り返す。
S2802では、データ処理部1307は、データベース1309を参照し、特徴量2711〜2717に対応するコーヒー豆のデータセットを検索する。そして、S2803において、データ処理部1307は、特徴量2711〜2717に対応するコーヒー豆のデータセットがあったか否かを判定する。S2804の処理の後、S2805において、全てのグループについて処理が実行されたか否かが判定される。本例では、全てのグループについて処理が実行されたとして説明する。その場合、S2807に進む。
S2807において、データ処理部1307は、全てのグループについて、S2803においてデータベース1309で検索されたか否かを判定する。つまり、全てのグループについて、データベース1309で検索されS2804でコーヒー豆の特性を示すデータが取得されていれば、S2809に進み、後述するモデルの生成が行われる。一方、全てのグループのうち、データベース1309で検索されなかったグループがあった場合、即ち、S2804でコーヒー豆の特性を示すデータが取得されなかったグループがあった場合、S2808に進み、後述する味覚チャート/プロファイルの推定が行われる。
図29は、S2808における味覚チャート/プロファイルの推定の処理を示すフローチャートである。S2808の処理は、データベース1309で検索できなかったためにコーヒー豆の特性を示すデータが取得できなかったグループについて実行される。ここでは、グループBean0002について、図29の処理が実行されるとする。
S2901において、データ処理部1307は、特徴量2711〜2717に基づいて、データベース1309から、コーヒー豆の特性を示すデータを取得する。ここでの取得は、S2804での取得と異なる処理である。S2901では、例えば、データベース1309内の各コーヒー豆のデータセットに対して、特徴量2711〜2717の二乗誤差を算出し、最も誤差が少ないデータセットのコーヒー豆の特性を示すデータを特定する。そして、S2902において、データ処理部1307は、特定されたコーヒー豆の特性を示すデータを補正する。つまり、特徴量2711〜2717の各値の誤差に基づいて、味覚チャートと抽出プロファイルの補正が行われる。
誤差とは、例えば、色情報の相違である。例えば、データベース1309内で特定したコーヒー豆の特性を示すデータよりも、センターカット2404の部分がより白っぽい場合、味覚チャートにおける酸味を強くするといった補正を行う。これは、センターカット部分の白っぽいものはウォッシュトプロセスの豆であると推定され、酸味が強まる傾向にあることによっているからである。逆に、データベース1309内で特定したコーヒー豆の特性を示すデータよりも、センターカット2404の部分の褐色度が大きい場合、味覚チャートにおける甘味やコクを強くするといった補正を行う。つまり、誤差に応じた風味の傾向を推測することにより、味覚チャートと抽出プロファイルのそれぞれ、もしくはいずれかを補正する。また、上記では、特徴量2711〜2717の各値について二乗誤差を算出するとして説明したが、所定の特徴量に着目して二乗誤差を算出するようにしても良い。例えば、風味の変化に寄与する要因が大きいセンターカット2404に関する特徴量についてのみ二乗誤差を算出するようにしても良い。S2902の後、図29の処理を終了し、S2809に進み、モデルの生成が行われる。
図30は、S2809におけるモデルの生成の処理を示すフローチャートである。S3001において、データ処理部1307は、各グループ(例えば、図27のBean0001及び0002)について、抽出プロファイルを取得する。
S3002において、データ処理部1307は、取得した各抽出プロファイルの各項目について合成が可能であるか否かを判定する。ここで、各項目とは、例えば、蒸らし湯量、蒸らし時間、抽出湯量、抽出時間である。合成可能であるか否かの判定は、例えば、各項目についての差分量が所定範囲内であれば、つまりほぼ同一であれば、合成可能であると判定する。合成可能であると判定された場合、S3003に進み、データ処理部1307は、その項目について合成する。合成する際には、各抽出プロファイルの項目が示す値の平均値をとっても良いし、中央値をとっても良いし、他の統計量が用いられても良い。一方、合成可能でないと判定された場合、S3004に進み、データ処理部1307は、いずれかの抽出プロファイルの項目が示す量を暫定的に決定する。例えば、抽出湯量についての差分量が所定範囲外であれば、いずれかの値を暫定的に決定する。
S3003およびS3004の後、図30の処理を終了し、図28のS2810に進む。
S2810において、データ処理部1307は、S2101で取得された撮影データの各グループについて、特徴量、コーヒー豆の特性を示すデータ(品種等、味覚チャート)、および、合成された/暫定的に生成された抽出プロファイル、をモデルとして、データベース1309に格納する。その後、図28の処理を終了する。
以上のように、本実施形態によれば、一般ユーザがカフェ等の店舗に持ち込んだコーヒー豆の撮影データから、そのコーヒー豆の特性を推定することができる場合がある。また、サーバ1201の記憶部1303のデータベース1309には、既知のコーヒー豆の種類に関するモデルのみでなく、各一般ユーザから持ち込まれたコーヒー豆に関するモデルも蓄積されていく。そのような構成により、データベース1309内には、様々な組み合わせによりブレンドされたコーヒー豆のモデルのビッグデータが構築され、コーヒー豆の特性の推定の信頼度をますます高めていくことができる場合がある。
[第二実施形態]
本実施形態では、一般ユーザがカフェ等の店舗に持ち込んだコーヒー豆の撮影データから推定されたコーヒー豆の特性に基づいて、情報表示装置1203に表示する構成について説明する。以下、第一実施形態と異なる点について説明する。
図31は、撮影データから推定されたコーヒー豆の特性に基づいて表示する処理を示すフローチャートである。図31の処理は、例えば、情報表示装置1203の処理部1501が記憶部1503に記憶されたプログラムをメモリ1502にロードして実行することにより実現される。
S3101において、処理部1501は、S2809で生成されS2810でデータベース1309に記憶されたモデルをサーバ1201からネットワーク1205を介して取得する。その際にモデルとして取得されるものは、S2101で取得された撮影データの各グループについての特徴量、コーヒー豆の特性を示すデータ(品種等、味覚チャート)、および、合成された/暫定的に生成された抽出プロファイル、である。
S3102において、処理部1501は、取得したモデルに基づいて表示を行う。S3102の後、図31の処理を終了する。
図32は、取得したモデルに基づいて表示されるユーザインタフェース画面の一例を示す図である。図32の画面は、一般ユーザがカフェ等の店舗に持ち込んだコーヒー豆の撮影データに基づいて表示されるので、項目3201には例えば「あなたの豆から考えられる特性は以下のようです」と表示される。
撮影データから解析された結果、一般ユーザが持ち込んだコーヒー豆がコーヒー豆Aとコーヒー豆Bとのブレンドであった場合、項目3202と3203のそれぞれに、各グループについて取得されたコーヒー豆の特性を示すデータに基づく情報が表示される。図32の項目3202、3203は、S2804で特性が取得できたグループである。特性が取得できなかったグループについては、S2808で味覚チャートと抽出プロファイルは推定されるものの、品種、産地、焙煎度、経過日数といった固有の情報は通常、推定されることが難しい。従って、その場合には、項目3202及び3203上では「−」といった表示がされるようにしても良い。もっとも、特徴量から焙煎度を推測可能とするように構成するなど、上記の固有の情報を推測するようにしても良い。
図32には、味覚チャート3204が表示される。これは、例えば、ブレンドされている各コーヒー豆のうち、含まれている割合が多い方のコーヒー豆についての味覚チャートを表示するようにしても良い。図32では、項目3203で示されるコーヒー豆Bについての味覚チャートが表示されている。もしくは、表示されているコーヒー豆、図32の場合は項目3202、3203の味覚チャートの両方が表示されるようにしても良い。
ボタン3205は、味覚チャート3204に最も近い味覚チャートを有するコーヒー豆を検索するためのボタンである。ボタン3206は、押下されると、後述する抽出プロファイルの画面が表示される。ボタン3207が押下されると、図32の表示を終了し、情報表示装置1203の所定のメイン画面等に戻る。
図33は、ボタン3205(SEARCH)が押下された際に表示されるユーザインタフェース画面の一例を示す図である。情報表示装置1203の記憶部1503には、コーヒー豆の種類と、コーヒー豆の特性を示すデータとが対応付けて記憶されている。処理部1501は、ボタン3205が押下されると、S3101で取得したモデルに基づいて、コーヒー豆の特性が最も近い、例えば、味覚チャートの傾向が最も近いコーヒー豆の一覧が表示される。図33には、項目3302、3303、3304、3305、3306が選択可能に表示される。
図34は、項目3302が押下された際に表示されるユーザインタフェース画面の一例を示す図である。図33で他の項目が選択された際には、そのコーヒー豆に応じた特性の情報が同様に表示される。項目3401には選択されたコーヒー豆の特徴を表すフレーズが表示され、項目3402には選択されたコーヒー豆の特性の情報が表示される。また、項目3403には、選択されたコーヒー豆の味覚チャートが表示される。ボタン3405は、ユーザからオーダーを受け付けるためのボタンである。ボタン3405が押下されると、処理部1501は、選択されたコーヒー豆について排出までの処理(図11(A)及び(B))を行うよう制御装置11に指示する。ボタン3406が押下されると、図33の画面に戻る。なお、項目3403に示される味覚チャートは、以下のような形態により表示されるようにしても良い。図34では、味覚チャート上の各指標が点と線で表されているが(即ち、値による表示)、例えば、各指標を所定の値の幅をもたせた帯状等で表示し、当該選択されたコーヒー豆で実現され得る指標の範囲を表示するようにしても良い。そのような表示は、例えば、そのコーヒー豆に紐づけられた抽出プロファイルの各項目を変更し得る範囲に基づいて各指標の変化範囲を予め決定しておき、その決定された情報に基づいて表示するようにしても良い。また、当該選択されたコーヒー豆で実現され得る指標の範囲のうち、推奨される範囲を識別可能に表示するようにしても良い。例えば、当該選択されたコーヒー豆に紐づけられた抽出プロファイルの各項目を変更し得る範囲に基づいて各指標の変化範囲を定め、さらに、その変化範囲においてバリスタ等により推奨される範囲を予め決定しておく。そして、その決定された情報に基づいて表示するようにしても良い。項目3403の味覚チャートを上記のような各表示形態とすることにより、当該選択されたコーヒー豆について、一般ユーザに対して風味を損なわない範囲を感覚的に認識させることができる。また、上記のような各表示形態により表示された味覚チャートにおいて、ユーザからの指定を受付可能としても良い。例えば、帯状で示された指標の範囲内でユーザからの各指標の指定を受け付け、それらの指標のデータセットに対応した抽出プロファイルのデータを図12の装置の記憶部等から取得して表示するようにしても良い。そのような構成により、例えば、ユーザは、苦みを強くしたいと思ったときに味覚チャート上で指定すれば、風味を損なわない範囲での抽出プロファイルの情報を得ることができる。
図35は、図32のボタン3206(PROFILE)が押下された際に表示されるユーザインタフェース画面の一例を示す図である。図35は、図30のS3002で各グループの抽出プロファイルが合成可能であると判定されてS3003に進み、抽出プロファイルの合成が行われたモデルについて表示される画面である。項目3501には、「あなたの豆のレシピです。」とのメッセージが表示されるので、一般ユーザは、自身が持ち込んだコーヒー豆の抽出プロファイルを見ることができる場合がある。抽出プロファイルの項目として、項目3502(蒸らし湯量)、3503(蒸らし時間)、3504(抽出湯量)、3505(抽出時間)が表示されているが、それらの項目に限られるものではなく、抽出圧力等の項目が表示されても良い。また、各項目は、+ボタンと−ボタンのユーザ操作により調整可能である。図35に示すように、各項目は、数値表示領域3506とアナログ表示領域3507の2種類の表示領域を含んでいる。数値表示領域3506には、80mlのように値が表示されており、アナログ表示領域3507にはスライドバーが表示されている。そのような表示方法により、ユーザは、例えば、項目3502について、80mlの数値そのものを認識するとともに、ユーザが調整可能な最大量の80%であるといったことを感覚的に認識することができる場合がある。ボタン3508は、ユーザからのオーダーの指示を受け付けるためのボタンである。ボタン3509が押下されると、図32の画面に戻る。また、図35では、一般ユーザ自身が持ち込んだコーヒー豆の抽出プロファイルを表示しているが、以下のような形態としても良い。例えば、図35の画面上で、他のコーヒーマシン(例えば、家庭用コーヒーマシン)に使用可能なプロファイル情報を表示可能としても良い。そのための構成としては、例えば、図35の画面上で、「変換」ボタンを表示する。一般ユーザがその「変換」ボタンを押下すると、図35の抽出プロファイルの情報に基づいて、他のコーヒーマシンで使用可能なプロファイル情報(抽出湯量、抽出時間など)が生成されて表示される。また、表示される情報は、コーヒーマシン間で共通に使用可能なデータファイルとして出力されても良い。そのようなデータファイルを他のコーヒーマシンで用いることにより、他のコーヒーマシンでの抽出機構の特性が飲料製造装置1204と異なっていても、図35の抽出プロファイルで実現されるコーヒー豆の風味を損なわず、他のコーヒーマシンでのコーヒーの抽出を容易に実現させることができる。また、飲料製造装置1204の抽出プロファイルから生成されるプロファイル情報は、家庭でのドリップ操作を考慮したものであっても良く、例えば、蒸らし湯量、蒸らし時間、インターバル時間、所定回数の抽出操作それぞれにおける抽出湯量、抽出時間、インターバル時間といったものであっても良い。
図36は、図32のボタン3206(PROFILE)が押下された際に表示されるユーザインタフェース画面の一例を示す図である。図36は、図30のS3002で各グループの抽出プロファイルが合成可能でないと判定されてS3004に進み、暫定的に抽出プロファイルが生成されたモデルについて表示される画面である。項目3601には、「あなたの豆のレシピです。」の他に、「▲マークの項目を+方向に調整することをお奨めします。」と表示される。これは、S3004で説明したように、いずれかの抽出プロファイルの項目が示す量、例えば、抽出湯量を暫定的に決定しているために、コーヒー豆を持ち込んだ一般ユーザからの好みとずれていることが考えられるからである。そこで、暫定的に決定した項目についてマーク3602を表示することにより、一般ユーザに対して調製を促す。
S3004で、例えば抽出湯量150mlと170mlのうち、150mlに暫定的に決定していた場合には、項目3601において、増量する方向(+方向)への調整を促すようなメッセージを表示する。一方、上記の例で、170mlに暫定的に決定していた場合には、項目3601において、減量する方向(−方向)への調整を促すようなメッセージを表示する。
図37は、ボタン3508(ORDER)が押下された際の処理を示すフローチャートである。図37の処理は、例えば、情報表示装置1203の処理部1501が記憶部1503に記憶されたプログラムをメモリ1502にロードして実行することにより実現される。S3701において、処理部1501は、ボタン3508の押下を受け付ける。そして、S3702において、処理部1501は、その抽出プロファイルの情報をネットワーク1205を介してサーバ1201に送信する。その後、図37の処理を終了する。抽出プロファイルの情報の送信の際には、コーヒー豆若しくはユーザを識別可能な情報も合わせて送信される。
図38は、図37の処理が行われた際に、サーバ1201における処理を示すフローチャートである。図38の処理は、例えば、サーバ1201の処理部1301が記憶部1303に記憶されたプログラムをメモリ1302にロードして実行することにより実現される。S3801において、処理部1301は、ネットワーク1205を介して情報表示装置1203から抽出プロファイルの情報を受信する。S3802において、処理部1301は、受信した抽出プロファイルの情報により、S2810で既に記憶が行われていたデータベース1309を更新する。その後、図38の処理を終了する。また、S3802では、受信した抽出プロファイルを、S2810で既に記憶が行われていた抽出プロファイルに対して更新するのではなく、独立に保存するようにしても良い。そのような構成により、推定されたコーヒー豆の特性に対して、複数の抽出プロファイルを持つことができる場合がある。
図37及び図38の構成により、一般ユーザが店舗に持ち込んだコーヒー豆について、ユーザの好みをより反映した抽出プロファイルを、サーバ1201のデータベース1309に記憶させることができる場合がある。
図39は、図32の他の例を示す図である。項目3901には、「あなたの豆から考えられる特性は以下のようです。」の他に、「下の味覚チャートで調整してオーダーすることもできます。」と表示される。また、味覚チャート3204は、ユーザ操作により調整可能である。ボタン3902は、一般ユーザからのオーダーを受け付けるためのボタンである。例えば、一般ユーザが味覚チャート3204上で苦みを強くしボタン3902が押下された場合、苦みがより強くなるように湯量が調整された抽出プロファイルが生成される。そして、処理部1501は、その抽出プロファイルに基づいて、図11(A)及び(B)の処理を行うよう制御装置11に指示する。
以上のように、本実施形態によれば、一般ユーザがカフェ等の店舗に持ち込んだコーヒー豆の撮影データから推定されたコーヒー豆の特性に基づいて、情報表示装置1203に表示することができる場合がある。また、一般ユーザからの好みをサーバ1201のデータベース1309に反映させることができる場合がある。
<他の実施形態>
上記実施形態では、専らコーヒー飲料を対象としたが、日本茶、紅茶などの茶、スープなどの各種飲料も対象とすることができる。また、抽出対象として、コーヒー豆、コーヒーの生豆、コーヒー豆の挽き豆、焙煎コーヒー豆、焙煎コーヒー豆の挽き豆、焙煎されていないコーヒー豆、焙煎されていないコーヒー豆の挽き豆等、粉末のコーヒー豆、インスタントのコーヒー、ポッドに入ったコーヒー等を例示し、飲料として、コーヒー飲料等を例示し、飲料液としてコーヒー液を例示してきたが、これらだけに限定されない。また、抽出対象として、日本茶、紅茶、ウーロン茶などの茶葉、挽いた茶葉、野菜、粉砕された野菜、果物、粉砕した果物、穀物、粉砕した穀物、椎茸等のきのこ類、椎茸等のきのこ類を粉砕した物、椎茸等のきのこ類を加熱後に乾燥させた物、椎茸等のきのこ類を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物、鰹等の魚類、鰹等の魚類を粉砕した物、鰹等の魚を加熱後に乾燥させた物、鰹等の魚を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物、こんぶ等の海藻類、こんぶ等の海藻類を粉砕した物、こんぶ等の海藻類を加熱後に乾燥させた物、こんぶ等の海藻類を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物、牛、豚、鳥、等の肉を加熱後に乾燥させた物、当該肉等を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物、牛の骨、豚の骨、鳥の骨、等の肉を加熱後に乾燥させた物、当該骨等を加熱後に乾燥させた物を粉砕した物等の抽出材料であればよく、飲料として、日本茶、紅茶、ウーロン茶、野菜ジュース、果物ジュース、汁物、出汁、スープ等、飲料であればよく、飲料液として、日本茶のエキス、紅茶のエキス、ウーロン茶のエキス、野菜のエキス、果物のエキス、きのこのエキス、魚等のエキス、肉のエキス、骨のエキス等のエキス類であればよい。なお、実施例中で水、水道水、浄水、お湯、洗浄水と記載しているところがあるが、例えば水をお湯と置き換えたり、お湯を水と置き換えてもよい等いずれかの記載を別の記載に置き換えてもよく、全て液体、水蒸気、高温水、冷却水、冷水等と置き換えてもよい。例えば抽出対象(例えば、焙煎コーヒー豆の挽き豆)とお湯を抽出容器9に入れるといった記載であれば、抽出対象(例えば、焙煎コーヒー豆の挽き豆)と冷水(単に水でもよい)を抽出容器9に入れるといった記載に置き換えてもよく、この場合であれば水出しコーヒー等の抽出方法や飲料製造装置としてとらえてもよい。
<実施形態のまとめ>
上記の本実施形態の装置は、飲料の調製に用いられる前記飲料の材料の撮影データを取得する撮影データ取得手段と(S2101)、前記撮影データ取得手段により取得した前記撮影データに基づいて、前記飲料の材料の特性を推定する推定手段とを備えることを特徴とする(S2103)。また、前記撮影データから、前記飲料の材料の特徴量を抽出する抽出手段(S2102)、を備え、前記推定手段は、前記抽出手段により抽出した前記特徴量から前記飲料の材料の特性を推定することを特徴とする。そのような構成により、例えば、コーヒー豆の写真から、そのコーヒー豆の特性を推定することができる場合がある。
また、前記飲料の材料は豆であり、前記特徴量は、前記豆の形状、大きさ、の少なくともいずれかを含むことを特徴とする。そのような構成により、例えば、コーヒー豆の形状、大きさを特徴量とすることができる。
また、前記推定手段による推定結果を記憶する記憶手段(1303)、を備え、前記推定手段は、前記記憶手段に従前に記憶された推定結果を用いて、前記飲料の材料の特性を推定可能であることを特徴とする。そのような構成により、従前の推定結果を学習して推定を行うことができる場合がある。
また、前記推定手段による推定結果に応じた画面を表示する表示手段(図35、図36)、を備えることを特徴とする。そのような構成により、例えば、推定の程度に応じて、ユーザインタフェース画面を変更することができる場合がある。
また、前記表示手段は、前記推定手段による推定結果に基づいて、前記飲料の材料の一又は複数の種類を表示することを特徴とする(図32)。そのような構成により、例えば、ブレンドされている複数種類のコーヒー豆の特性情報を表示することができる場合がある。
また、前記表示手段は、前記推定手段による推定結果に基づいて、前記飲料の材料の特性を調整可能に表示することを特徴とする(図35、図36)。そのような構成により、例えば、味覚チャートを調整可能に表示することができる場合がある。また、前記飲料の材料の特性が調整された場合に、前記記憶手段に記憶された推定結果を更新する更新手段(S3802)、を備えることを特徴とする。そのような構成により、例えば、抽出プロファイルの調整結果をデータベースに反映することができる場合がある。
また、前記記憶手段に記憶された推定結果はビッグデータであることを特徴とする。そのような構成により、例えば、多数のユーザから収集されビッグデータとされた特性情報に基づいて推定を行うことができる場合がある。
また、前記推定手段による推定結果に基づいて、前記飲料の材料を用いて飲料を生成するための1又は複数のプロファイル情報を取得するプロファイル取得手段(S3801、S3802)、を備えることを特徴とする。そのような構成により、例えば、推定結果とともに、ユーザから調整された抽出プロファイルを、推定対象のコーヒー豆に対応づけることができる場合がある。
また、前記飲料の材料はコーヒー豆であることを特徴とする。また、前記推定手段は、前記コーヒー豆のセンターカットの形状に基づいて、前記飲料の材料の特性を推定することを特徴とする。そのような構成により、例えば、コーヒー豆のセンターカットに基づいて特性を推定することができる場合がある。
また、前記飲料の材料の特性は、品種、産地、加工度合い、加工からの経過日数、の少なくともいずれかを含むことを特徴とする。そのような構成により、例えば、特性として、品種、産地、加工度合い、加工からの経過日数を用いることができる場合がある。