JP6708467B2 - 円筒状の基体の塗膜除去方法および電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
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Description
そこで、円筒状の基体に浸漬塗布法によって塗膜を形成する場合、塗膜形成後に基体下方外周面の不要な塗膜を除去する工程が必要である。
該方法が、
該基体の外周面の該被除去部に該外周面塗膜除去部材の該溝形状を有する面を該基体に対向させ、該溝形状と該基体とで空間を形成するように当接する工程、
溶剤が、該空間の下端よりしみ上がることで、該空間に該溶剤を供給する工程、および
該基体と該外周面塗膜除去部材とを相対的に回転させて摺擦し、該被除去部の塗膜を除去する工程、を有することを特徴とする円筒状の基体の塗膜除去方法である。
浸漬塗布法により該基体に電子写真感光体用塗布液の塗膜を形成後、上記の塗膜除去方法により該基体の長手方向下方にある塗膜を除去する工程を有する電子写真感光体の製造方法である。
該方法が、
該基体の外周面の該被除去部に該外周面塗膜除去部材の該溝形状を有する面を該基体に対向させ、該溝形状と該基体とで空間を形成するように当接する工程
溶剤が、該空間の下端よりしみ上がることで、該空間に該溶剤を供給する工程、および
該基体と該外周面塗膜除去部材とを相対的に回転させて摺擦し、該被除去部の塗膜を除去する工程、を有することを特徴とする円筒状の基体の塗膜除去方法である。
浸漬塗布法により該基体に電子写真感光体用塗布液の塗膜を形成後、上記の円筒状の基体の塗膜除去方法により該基体の長手方向下方にある塗膜を除去する工程を有する電子写真感光体の製造方法である。
本発明の塗膜除去方法に用いられる塗膜除去装置について図1を例にして説明する。図1は、本発明の塗膜除去方法に用いられる塗膜除去装置の全体の概略構成を示す断面図である。
図2には、塗膜除去に用いられる外周面塗膜除去部材6の形状の斜視図を示す。本発明の外周面塗膜除去部材6は、溝形状を有している。溝形状の幅としては、図2(c)のような線状の切り込み形状、図2(a)のような矩形、図2(b)のようなU字型等が挙げられる。また、複数の溝形状を有していても良く、図2(g)のような矩形の溝が2つあるもの、図2(e)のような矩形と線状の切り込みが同時にあるものでもよい。好ましくは、図2(g)のようにそれぞれ独立した溝形状を複数有するものが好ましい。また、図2(a)のように当接させる基体2の鉛直方向に沿って、上から下まで溝形状がつながっていることが好ましい。ただし、図2(f)のように溝形状が途切れているものであっても、少なくとも上端部が開放された溝形状であれば、基体2の下端と溝との接触部に溶剤11が接することにより、該溶剤11は溝形状と基体2により形成された空間にしみ上がることにより供給されるため、本発明の外周面塗膜除去部材6として用いることができる。さらに、図2(d)のように複数の部材を重ね合わせることで、溝形状を設けることで、本発明の外周面塗膜除去部材6としても良い。
まず、浸漬塗布法により外周面に塗膜が形成された円筒状の基体2を、基体保持部材1によって鉛直方向に保持する。
次に、塗膜除去を実施する領域(「被除去部」とも記載する。)の上端が外周面塗膜除去部材6の上端と同じ高さになる位置まで基体2を下降し、軸部15を挿入する。このとき基体2の外周面の被除去部の塗膜の上端から下端まで、外周面塗膜除去部材6の溝形状と基体2とで空間を形成するように当接する(外周面塗膜除去部材当接工程)。
本発明の電子写真感光体の製造方法で製造される電子写真感光体は、円筒状の基体、および基体上に形成された電荷発生物質および電荷輸送物質を含有する感光層を有する。感光層は、基体側から電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層をこの順に積層してなるものでも、電荷発生物質と電荷輸送物質を同一の層に含有させてなるものでもよい。基体上に感光層を直接設けると、感光層の剥がれが生じたり、基体の表面の欠陥(傷などの形状的欠陥又は不純物などの材質的欠陥)が画像にそのまま反映され、黒点状や白抜け状の画像欠陥が生じたりする場合がある。これらの問題を解消するために、下引き層を感光層と基体との間に有することが好ましい。
円筒状の基体としては、導電性を有するもの(導電性基体)が好ましく、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、金、鉄などの金属又は合金製の基体を用いることができる。ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ガラスなどの絶縁性基体上にアルミニウム、銀、金などの金属の薄膜を形成した基体、又は酸化インジウム、酸化スズなどの導電性材料の薄膜を形成した基体が挙げられる。
円筒状の基体の表面には、電気的特性の改善や干渉縞の抑制のため、陽極酸化などの電気化学的な処理や、湿式ホーニング処理、ブラスト処理、切削処理などを施してもよい。
基体と下引き層との間に、導電層を設けてもよい。導電層は、導電性粒子を樹脂に分散させた導電層用塗布液(第一中間層用塗布液)の塗膜を基体上に形成し、塗膜を乾燥させることで得られる。導電性粒子としては、たとえば、カーボンブラック、アセチレンブラックや、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀のような金属粉や、導電性酸化スズ、ITOのような金属酸化物粉体が挙げられる。
また、樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂およびアルキッド樹脂が挙げられる。
導電層用塗布液の溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤および芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。
支持体側からの感光層側への電荷注入を抑制し、カブリなどの画像欠陥の発生を抑制することを目的として、支持体と感光層との間には下引き層を設けることもできる。
下引き層としては、ポリアミド等の結着樹脂からなる層、結着樹脂に金属酸化物を分散させた層、電子輸送物質を含有させた層などが挙げられる。
電子輸送物質を含有する下引き層の製造方法としては、例えば、まず重合性官能基を有する電子輸送物質、架橋剤および熱可塑性樹脂、並びに場合によってはシリカ粒子を含有する下引き層用塗布液(第二中間層用塗布液)の塗膜を形成する。そして、この塗膜を加熱乾燥させることによって、重合性官能基を有する電子輸送物質、架橋剤を重合させ、下引き層を形成することができる。
前記ブロックイソシアネート基は、−NHCOX1(X1は保護基)という構造を有する基である。X1は、イソシアネート基に導入可能な保護基であれば何れでも良い。
電荷発生層は、基体上、導電層上又は下引き層上に設けられる。
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤とともに分散して得られる電荷発生層用塗布液の塗膜を形成し、塗膜を乾燥させることによって形成することができる。
分散方法としては、たとえば、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルを用いた方法が挙げられる。
電荷輸送層は、電荷発生層上に設けられる。
電荷輸送層は、電荷輸送物質を結着樹脂および溶剤とともに分散して得られる電荷輸送層用塗布液の塗膜を乾燥することで形成することができる。
塗膜を形成後、上記本発明の塗膜除去方法により、基体の長手方向下方に形成された不要な塗膜である被除去部の塗膜を除去する。
被除去部の塗膜を除去した後、残存する塗膜を加熱や硬化することにより、各層が形成される。
長さ260.5mmおよび外径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を基体2(導電性基体)とした。
下記式(A11)で示される電子輸送物質10部、ブロックされたイソシアネート化合物(商品名:SBN−70D、旭化成ケミカルズ(株)製)13.5部、樹脂として、ポリビニルアセタール樹脂(商品名:KS−5Z、積水化学工業(株)製)1.5部、触媒としてヘキサン酸亜鉛(II)(商品名:ヘキサン酸亜鉛(II)、三津和化学薬品(株)製)0.05部を、1−メトキシ−2−プロパノール100部とテトラヒドロフラン100部の混合溶媒に溶解し、これに添加剤として平均一次粒子径9−15nmの有機溶媒分散コロイダルシリカスラリー(商品名:IPA−ST−UP、日産化学工業(株)製)3.3部を加え1時間撹拌し、第二中間層用塗布液1を調製した。
基体2の下端から15mmまでの領域に外周面塗膜除去部材6が当接するように、基体2の下端から15mmの位置に外周面塗膜除去部材6の上端がそろう位置で基体2の下降を停止した。そして、外側方向に退避していた外周面塗膜除去部材6を半径方向の内側方向に移動させ、外周面塗膜除去部材6を基体2の外周面に当接させた。このとき、外周面塗膜除去部材6の下端5mm部分が基体2下端から下方に伸びていた。また、外周面塗膜除去部材6と基体2との当接位置関係は、図3に示すように、外周面塗膜除去部材6の溝形状を有する面が基体2と当接し、前記溝形状と前記基体2とで空間を形成するように当接した。軸部15の上端にある溶剤供給口3から溶剤11としてシクロヘキサノンを吐出しながら、外周面塗膜除去部材6を15秒間、45rpmの速度で回転させて摺擦し、塗膜の除去を行った。
A:塗膜の拭き残しは確認できす、非常に良好である。
B:塗膜の拭き残しはほとんど確認できず、良好である。
C:塗膜の拭き残しが見られる。
(第二中間層用塗布液2の調整)
下記式(A12)で示される電子輸送物質10部、ブロックされたイソシアネート化合物(商品名:SBN−70D、旭化成ケミカルズ(株)製)13.5部、樹脂として、ポリビニルアセタール樹脂(商品名:KS−5Z、積水化学工業(株)製)1.5部、触媒としてヘキサン酸亜鉛(II)(商品名:ヘキサン酸亜鉛(II)、三津和化学薬品(株)製)0.05部を、1−メトキシ−2−プロパノール100部とテトラヒドロフラン100部の混合溶媒に溶解し、第二中間層用塗布液2を調製した。
基体2の下端から15mmまでの領域に外周面塗膜除去部材6が当接するように、基体2の下端から15mmの位置に外周面塗膜除去部材6の上端がそろう位置で基体2の下降を停止した。そして、外側方向に退避していた外周面塗膜除去部材6を半径方向の内側方向に移動させ、外周面塗膜除去部材6を基体2の外周面に当接させた。このとき、外周面塗膜除去部材6の下端5mm部分が基体2下端から下方に伸びており、基体2の下端部および外周面塗膜除去部材6の下端が溶剤11に浸漬していた。また、外周面塗膜除去部材6と基体2との当接位置関係は、図3に示すように、外周面塗膜除去部材6の溝形状を有する面が、溝形状と基体2とで空間を形成するように当接した。溶剤供給口3から溶剤11としてシクロヘキサノンを吐出し、溶剤貯留部16から溶剤11をオーバーフローしながら、外周面塗膜除去部材6を15秒間、45rpmの速度で回転させて摺擦し、塗膜の除去を行った。
外周面塗膜除去部材6の形状を変更した以外は実施例1と同様にして浸漬塗布法による塗膜の形成と塗膜の除去を行い、実施例1と同様に評価を行った。基体2の外周面の塗膜の除去度合いの目視による確認結果を表1に示す。なお、基体2の内周面の塗膜の拭き残しは確認できず、非常に良好であった。外周面塗膜除去部材6の形状としては、図2(c)に示す形状のエチレンプロピレンジエンゴム製のゴムブレードを使用した。ゴムブレード全体の寸法は、幅寸法3mm、奥行き寸法8mm、高さ寸法20mmで、中央の線状の溝形状は奥行き寸法1.5mmであった。
外周面塗膜除去部材6の形状を変更した以外は実施例1と同様にして浸漬塗布法による塗膜の形成と塗膜の除去を行い、実施例1と同様に評価を行った。基体2の外周面の塗膜の除去度合いの目視による確認結果を表1に示す。なお、基体2の内周面の塗膜の拭き残しは確認できず、非常に良好であった。外周面塗膜除去部材6の形状としては、図2(d)に示す形状のエチレンプロピレンジエンゴム製のゴムブレードで、幅寸法1.5mm、奥行き寸法8mm、高さ寸法20mmのゴムブレードを2つ重ね合わせたものであった。
外周面塗膜除去部材6の溝の形状を変更した以外は実施例1と同様にして浸漬塗布法による塗膜の形成と塗膜の除去を行い、実施例1と同様に評価を行った。基体2の外周面の塗膜の除去度合いの目視による確認結果を表1に示す。なお、基体2の内周面の塗膜の拭き残しは確認できず、非常に良好であった。外周面塗膜除去部材6の形状としては、図2(a)に示す形状のエチレンプロピレンジエンゴム製のゴムブレードを使用した。ゴムブレード全体の寸法は、幅寸法3mm、奥行き寸法8mm、高さ寸法20mmで、溝形状の寸法は、幅寸法1.0mm、奥行き寸法1.5mmであった。
外周面塗膜除去部材6の溝の形状を変更した以外は実施例1と同様にして浸漬塗布法による塗膜の形成と塗膜の除去を行い、実施例1と同様に評価を行った。基体2の外周面の塗膜の除去度合いの目視による確認結果を表1に示す。なお、基体2の内周面の塗膜の拭き残しは確認できず、非常に良好であった。外周面塗膜除去部材6の形状としては、図2(a)に示す形状のエチレンプロピレンジエンゴム製のゴムブレードを使用した。ゴムブレード全体の寸法は、幅寸法3mm、奥行き寸法8mm、高さ寸法20mmで、溝形状の寸法は、幅寸法2.0mm、奥行き寸法2.5mmであった。なお、塗膜の除去の際に、溶剤11は外周面塗膜除去部材6の溝形状と基体2とで形成された空間にしみ上がっていたが、しみ上がってくる高さは変動しやすく、しみ上がる量が安定しなかった。
外周面塗膜除去部材6の形状を変更した以外は実施例2と同様にして浸漬塗布法による塗膜の形成と塗膜の除去を行い、実施例2と同様に評価を行った。基体2の外周面の塗膜の除去度合いの目視による確認結果を表1に示す。外周面塗膜除去部材6の形状としては、図2(a)に示す形状のエチレンプロピレンジエンゴム製のゴムブレードを使用した。ゴムブレード全体の寸法は、幅寸法3mm、奥行き寸法8mm、高さ寸法20mmで、溝形状の寸法は、幅寸法2.0mm、奥行き寸法2.5mmであった。なお、塗膜の除去の際に、溶剤11は外周面塗膜除去部材6の溝形状と基体2とで形成された空間にしみ上がっていたが、しみ上がってくる高さは変動しやすく、しみ上がる量が安定しなかった。
外周面塗膜除去部材6の形状と外周面塗膜除去部材6と基体2との当接位置関係を変更した以外は実施例1と同様にして浸漬塗布法による塗膜の形成と塗膜の除去を行い、実施例1と同様に評価を行った。基体2の外周面の塗膜の除去度合いの目視による確認結果を表1に示す。なお、基体2の内周面の塗膜の拭き残しは確認できず、非常に良好であった。外周面塗膜除去部材6の形状としては、図2(g)に示す形状のエチレンプロピレンジエンゴム製のゴムブレードを使用した。ゴムブレード全体の寸法は、幅寸法4.5mm、奥行き寸法8mm、高さ寸法20mmで、二つの溝形状の寸法は、どちらも幅寸法0.5mm、奥行き寸法1.5mmであった。また、外周面塗膜除去部材6と基体2との当接位置関係は、図5(a)に示すように、溝形状を有する面が基体2と当接し、二つの溝形状が2と空間を形成するように当接した。なお、塗膜の除去の際に、溶剤11は外周面塗膜除去部材6の溝形状と基体2とで形成された空間をしみ上がり、外周面塗膜除去部材6で摺擦して塗膜を除去している際は常に、溶剤11は外周面塗膜除去部材6の溝形状と基体2とで形成された空間の上端まで溜まっていた。
外周面塗膜除去部材6と基体2との当接位置関係を変更した以外は実施例8と同様にして浸漬塗布法による塗膜の形成と塗膜の除去を行い、実施例8と同様に評価を行った。基体2の外周面の塗膜の除去度合いの目視による確認結果を表1に示す。なお、基体2の内周面の塗膜の拭き残しは確認できず、非常に良好であった。外周面塗膜除去部材6と基体2との当接位置関係は、図5(b)に示すようにした。すなわち、外周面塗膜除去部材6の回転方向下流側の溝形状は、溝形状と基体2とで空間を形成するように当接した。もう一方の外周面塗膜除去部材6の回転方向上流側の溝形状は、回転方向上流側の側面に開口ができるように当接した。
なお、塗膜の除去において、溶剤11は外周面塗膜除去部材6の回転方向下流側の溝形状と基体2とで形成された空間をしみ上がり、外周面塗膜除去部材6で摺擦して塗膜を除去している際は常に、溶剤11は外周面塗膜除去部材6の溝形状と基体2とで形成された空間の上端まで溜まっていた。外周面塗膜除去部材6の回転方向上流側のもう一方の溝形状と基体2とで形成された空間では、溝形状の高さ寸法の半分の高さまで溶剤11のしみ上がりが確認できた。
外周面塗膜除去部材6の形状と外周面塗膜除去部材6と基体2との当接位置関係を変更した以外は実施例2と同様にして浸漬塗布法による塗膜の形成と塗膜の除去を行い、実施例2と同様に評価を行った。基体2の外周面の塗膜の除去度合いの目視による確認結果を表1に示す。外周面塗膜除去部材6の形状としては、図2(g)に示す形状のエチレンプロピレンジエンゴム製のゴムブレードを使用した。ゴムブレード全体の寸法は、幅寸法4.5mm、奥行き寸法8mm、高さ寸法20mmで、二つの溝形状の寸法は、どちらも幅寸法0.5mm、奥行き寸法1.5mmであった。外周面塗膜除去部材6と基体2との当接位置関係は、図5(b)に示すようにした。すなわち、外周面塗膜除去部材6の回転方向下流側の溝形状は、溝形状と基体2とで空間を形成するように当接した。もう一方の外周面塗膜除去部材6の回転方向上流側の溝形状は、回転方向上流側の側面に開口ができるように当接した。
外周面塗膜除去部材6の形状と外周面塗膜除去部材6と基体2との当接位置関係を変更した以外は実施例1と同様にして浸漬塗布法による塗膜の形成と塗膜の除去を行い、実施例1と同様に評価を行った。基体2の外周面の塗膜の除去度合いの目視による確認結果を表1に示す。なお、基体2の内周面の塗膜の拭き残しは確認できず、非常に良好であった。外周面塗膜除去部材6の形状としては、図2(h)に示す形状のエチレンプロピレンジエンゴム製のゴムブレードを使用した。ゴムブレード全体の寸法は、幅寸法4.5mm、奥行き寸法8mm、高さ寸法20mmで、二つの溝形状の寸法は、どちらも幅寸法0.5mm、奥行き寸法1.5mmであった。また、一方の溝形状の側面は、上端5mmの位置から下端の奥行き寸法1.3mmの位置まで斜めに切り取られた形のものであった。また、外周面塗膜除去部材6と基体2との当接位置関係は、図5(a)に示すように、溝形状を有する面が基体2と当接し、上面から見た場合、二つの溝形状とも基体2とで空間を形成するように当接した。このとき、外周面塗膜除去部材6の回転方向上流側の溝形状は、回転方向上流側の側面に開口ができるように基体2に当接されている。
外周面塗膜除去部材6の形状を変更した以外は実施例2と同様にして浸漬塗布法による塗膜の形成と塗膜の除去を行い、実施例2と同様に評価を行った。基体2の外周面の塗膜の除去度合いの目視による確認結果を表1に示す。外周面塗膜除去部材6の形状としては、溝形状を有さない当接面が基体2に合わせた曲率をもったエチレンプロピレンジエンゴム製のゴムブレードを使用した。ゴムブレード全体の寸法は、幅寸法3mm、奥行き寸法8mm、高さ寸法20mmであった。
外周面塗膜除去部材6と基体2との当接位置関係を変更した以外は実施例2と同様にして浸漬塗布法による塗膜の形成と塗膜の除去を行い、実施例2と同様に評価を行った。基体2の外周面の塗膜の除去度合いの目視による確認結果を表1に示す。外周面塗膜除去部材6と基体2との当接位置関係は、図4(b)に示すようにした。すなわち、ゴムブレードのエッジ部分のみが当たるように当接した。溝形状の部分に、溶剤11のしみ上がりは確認できなかった。
(第一中間層用塗布液の調整)
酸素欠損型酸化スズが被覆されている酸化チタン粒子(粉体抵抗率:120Ω・cm、酸化スズの被覆率:40%)50部、フェノール樹脂(プライオーフェンJ−325、DIC(株)(旧:大日本インキ化学工業(株))製、樹脂固形分:60質量%)40部、溶剤(分散媒)としてのメトキシプロパノール50部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、3時間分散処理することによって、第一中間層用塗布液を調製した。
塗膜除去方法として、メトキシプロパノールを溶剤11として用い、除去時間を30秒と60秒で実施した以外は実施例9と同様に行い、評価を行った。なお、塗膜の除去において、溶剤11は外周面塗膜除去部材6の溝形状と基体2で形成される空間をしみ上がり、外周面塗膜除去部材6で摺擦して塗膜を除去している際は常に、溶剤11は外周面塗膜除去部材6の溝形状と基体2とで形成された空間の上端まで溜まっていた。基体2の外周面の塗膜の除去度合いの目視による確認結果を表2に示す。
第一中間層用塗布液を上記アルミニウム製の円筒状の基体2上に浸漬塗布し、塗膜を形成した。その後、外周面の塗膜除去を実施せず、内周面の塗膜除去のみを行った。内周面のみの塗膜除去は、メトキシプロパノールを浸したシルボン紙を用いて、手で内周面を拭くことにより行った。内周面の塗膜除去後、30分間150℃で乾燥・熱硬化し、中央部の膜厚が20μmの第一中間層を形成した。
塗膜除去方法は、除去時間を30秒と60秒で実施した以外は実施例9と同様に行い、同様に評価を行った。なお、塗膜の除去において、溶剤11は外周面塗膜除去部材6の溝形状と基体2で形成される空間をしみ上がり、外周面塗膜除去部材6で摺擦して塗膜を除去している際は常に、溶剤11は外周面塗膜除去部材6の溝形状と基体2とで形成された空間の上端まで溜まっていた。基体2の外周面の第二中間層用塗布液1の除去度合いの目視による確認結果を表2に示す。
第一中間層用塗布液を上記アルミニウム製の円筒状の基体2上に浸漬塗布し、塗膜を形成した。その後、外周面の塗膜除去を実施せず、実施例13と同様の方法で内周面の塗膜除去のみを行った。30分間150℃で乾燥・熱硬化し、中央部の膜厚が20μmの第一中間層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°にピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)を用意した。このヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶10部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部およびシクロヘキサノン250部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、1.5時間分散処理した。次に、これに酢酸エチル250部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
塗膜除去方法は、除去時間を30秒と60秒で実施した以外は実施例9と同様に行い、同様に評価を行った。なお、塗膜の除去において、溶剤11は外周面塗膜除去部材6の溝形状と基体2で形成される空間をしみ上がり、外周面塗膜除去部材6で摺擦して塗膜を除去している際は常に、溶剤11は外周面塗膜除去部材6の溝形状と基体2とで形成された空間の上端まで溜まっていた。基体2の外周面の電荷発生層用塗布液の除去度合いの目視による確認結果を表2に示す。
第一中間層用塗布液を上記アルミニウム製の円筒状の基体2上に浸漬塗布し、塗膜を形成した。その後、外周面の塗膜除去を実施せず、実施例13と同様の方法で内周面の塗膜除去のみを行った。30分間150℃で乾燥・熱硬化し、中央部の膜厚が20μmの第一中間層を形成した。
次に、下記式(CTM−1)で示される化合物5部、下記式(CTM−2)で示される化合物5部、下記式(B1−1)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂10部を、モノクロロベンゼン50部に溶解させ、電荷輸送層用塗布液を調製した。
2:基体
3:溶剤供給口
4:溶剤供給流路
5:内周面塗膜除去部材
6:外周面塗膜除去部材
7:外周面塗膜除去部材用保持部材
8:支持体
9:溶剤回収タンク
10:溶剤供給タンク
11:溶剤
12:溶剤供給ポンプ
13:回転モーター
15:軸部
16:溶剤貯留部
Claims (7)
- 電子写真感光体用塗布液の塗膜が形成された円筒状の基体を鉛直方向に支持し、該基体の外周面の長手方向下方にある被除去部の塗膜を、少なくとも上端部が開放された溝形状を有する外周面塗膜除去部材を用いて除去する塗膜除去方法であって、
該方法が、
該基体の外周面の該被除去部に該外周面塗膜除去部材の該溝形状を有する面を対向させ、該溝形状と該基体とで空間を形成するように当接する工程、
溶剤が、該空間の下端よりしみ上がることで、該空間に該溶剤を供給する工程、および
該基体と該外周面塗膜除去部材とを相対的に回転させて摺擦し、該被除去部の塗膜を除去する工程、
を有することを特徴とする円筒状の基体の塗膜除去方法。 - 前記溶剤が、前記基体の内部かつ前記基体と前記外周面塗膜除去部材とが当接する部位の下端よりも上方に位置する溶剤供給口より吐出されることを特徴とする、請求項1に記載の塗膜除去方法。
- 前記基体の内周面の長手方向下方にある被除去部の塗膜を除去するための、内周面塗膜除去部材をさらに有することを特徴とする、請求項2に記載の塗膜除去方法。
- 前記内周面塗膜除去部材が、前記基体と前記外周面塗膜除去部材との当接部と前記溶剤供給口とを結ぶ直線上を避ける位置に配置されることを特徴とする、請求項3に記載の塗膜除去方法。
- 円筒状の基体に浸漬塗布法により電子写真感光体用塗布液の塗膜を形成する電子写真感光体の製造方法において、
浸漬塗布法により該基体に電子写真感光体用塗布液の塗膜を形成後、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗膜除去方法により該基体の長手方向下方にある塗膜を除去する工程を有する電子写真感光体の製造方法。 - 前記電子写真感光体用塗布液が下引き層用塗布液である請求項5に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記下引き層用塗布液が、重合性官能基を有する電子輸送物質、架橋剤、および熱可塑性樹脂を含有する請求項6に記載の電子写真感光体の製造方法。
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