JP6703443B2 - 積層目地材、スリット構造、及びスリットの施工方法 - Google Patents

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Description

本願発明は、集合住宅などで代表されるコンクリート建造物を構成する、壁体、柱部、梁部、床部など(以下、これらを総称して「コンクリート構造体」という。)が、相互に隣接する部分に設置される目地材に関するものである。より具体的には、2種の素材を含む積層目地材、その積層目地材が設置されたスリット構造、及びそのスリット構造の施工方法に関するものである。
我が国は地震が頻発する国として知られ、近年では、東北地方太平洋沖地震や、兵庫県南部地震、新潟県中越地震など大きな地震が発生し、そのたびに甚大な被害を被っている。一方で、オフィスビルやマンションなどコンクリート建造物の高層化は進み、その結果、耐震構造や免震構造など地震への対策技術も進んできた。
コンクリート建造物の地震対策の一つとして、壁体を天井側スラブで吊り下げる「吊り下げ工法」が知られている。図7は、この吊り下げ工法によって構築された壁体を示す正面図である。この図に示すように、壁体aは天井スラブbによってのみ固定され、下端側の床スラブc並びに両側の柱部dとは、狭小な隙間であるスリットeを設けることで、不連続な構造(いわゆる、「縁切り」)としている。このように、壁体aと周囲のコンクリート構造体とが「縁切り」されているので、例えば柱部dは地震時に独立して挙動する結果、壁体aの挙動によって曲げモーメントやせん断力を受けることがない。
図7に示すスリットeには、通常、壁体aと同等の防水性、防塵性、防音性等を確保する目的で、目地材が設置される。図7では、壁体a下部のスリットeに水平配置の目地材fが設置され、壁体a両側部のスリットeには鉛直配置の目地材fが設置されている。これら目地材fは、防水性、防塵性、防音性等を確保するため、スリットeを封止すべく、その空間を埋めるように配置される。
また、目地材fは、スリットe内を封止するほか、壁体aのコンクリート打設時に型枠としても使用されることから、耐火性、耐水性、所定の強度及び弾性、といった性能が要求される。すなわち、耐火性は、火災時における延焼を防ぐために必要とされる性能であり、耐水性は、完成時の漏水を防ぐとともにコンクリート打設時に不要な水分を吸収しないためにも必要とされる性能である。また図7に示すように、壁体aの下部に配置される目地材fは、壁体aのコンクリート打設時にフレッシュコンクリート(まだ固まらないコンクリート)重量を支えるため所定の圧縮強度が要求される。さらに、コンクリート硬化後、天井スラブbに吊り下げられる壁体aは、乾燥収縮等によって上側に縮む(短くなる)結果スリットeの間隔は広がるが、スリットe内を封止するためにはこの変形に追随し得るという性能も要求される。つまり目地材fは、壁体aコンクリート打設に伴う圧縮変形が可能であって、しかもコンクリート硬化後の膨張変形が可能である、といった所定の変形性能(以下、ここでは「弾性」という。)も要求される。
例えば、耐火性、耐水性、所定の強度及び弾性といった各種性能を発揮する目地材fとして、図8に示すような目地材fがある(例えば、特許文献1。)。図8は、図7に示すY−Y矢視断面図であり、積層状の目地材fの詳細図である。この図に示す目地材fは、第1層体f1と、第2層体f2からなる積層体である。すなわち、平面視では略同形である板状の第1層体f1と板状の第2層体f2とを、上下方向(鉛直スリットeに設置する場合は左右方向)に重ね合わせて一体に形成されている。
第1層体f1は、高い耐火性を備えた材料からなるものであり、火炎の侵入・侵出を防止することができる。第1層体f1の材料を例示すれば、炭酸カルシウム発泡体、ロックウール、セラミックファイバー、ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。
第2層体f2は、高い弾性を備えた材料からなるものであり、隣接するコンクリートの打設時荷重や乾燥収縮時の変形にも追随することができる。さらに、既構築コンクリート構造体の不陸面を目地材設置面とする場合であっても、第2層体f2の高い弾性によってこの不陸に対応して、スリットの空隙を封止することが可能である。第2層体f2は、高い耐水性を備えた材料からなるものであり、外部からの水の侵入を防止することができる。第2層体f2は、耐水性能と適当な弾性が要求される。これらの性能を満足する材料としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)といった樹脂を例示することができる。
特開2013−68009号公報
上述の通り、目地材は、火炎の侵入・侵出を防いだり、外部からの水の侵入を防止したり、さらに、防塵、防音のために、隙間をなくすようにスリットの空間を十分に埋めることが求められる。そこで、一時的に加圧された形状が元の状態にどの程度復元するかを評価する形状復元評価試験が行われる。形状回復性能試験では、例えば、目地材の平面に対して垂直方向から2cm角の鉄の棒を、21Nの力で目地材の平面部分に押し付けた後にその押し付けをやめ、押し付けた目地材の表面部分が所定時間でどの程度まで平面形状に回復するかが判定される。
しかしながら、上述の目地材fでは、押し付けた目地材の表面部分が所定時間で元の平面形状の70%までしか復元しない。そのため、スリットに目地材fを設置してスリットを封止しても、加圧よりにより一時的に目地材の形状が変化した場合、その加圧の跡が残り、目地材が充填されているスリットに空間(隙間)でできる。そうすると、その隙間から、火や水、塵、音等が漏れ出て、防火、防水、防塵、防音等の機能が低下することになる。
そこで、本発明では、外部からの圧力により一時的に形状が変形しても、元の状態に容易に復元可能な目地材を提供する。
本発明の一実施形態に係る、コンクリート構造体と他のコンクリート構造体と間に設けられるスリット内に、設置される積層目地材は、材質が異なる第1層と第2層と第3層を含んで構成される積層体であり、前記第1層は、前記第2層に比して高い耐火性能を備えた材料からなり、前記第2層は、前記第1層に比して高い弾性を備えた材料からなり、前記第3層は、前記第2層と積層された該第1層のうち、該第2層と対抗する面とは異なる面に積層され、該第1層に比して引っ張り強度が強く、かつ加圧されて歪んだ状態から該加圧がなくなって元の平面状態へ戻る復元力が該第1層に比して強い性質を有する材料からなることを特徴とする。
前記第3層は、前記第1層及び前記第2層のそれぞれに比して薄層である、ことを特徴とする。
前記積層体は、さらに、前記第3層と同一の前記性質を有する材料からなる第4層を含み、前記第4層は、前記第1層及び前記第2層のそれぞれに比して薄層であって、前記第1層と前記第2層との間に形成されていることを特徴とする。
本発明の別の実施形態に係る、コンクリート構造体と他のコンクリート構造体と間に設けられるスリット内に、積層目地材が設置されたスリット構造は、前記積層目地材は、材質が異なる第1層と第2層と第3層とを含んで構成される積層体であって、第1層は前記第2層に比して高い耐火性能を備えた材料からなり、第2層は第1層に比して高い弾性を備えた材料からなり、前記第3層は、前記第2層と積層された該第1層のうち、該第2層と対抗する面とは異なる面に積層され、該第1層に比して引っ張り強度が強く、かつ加圧されて歪んだ状態から該加圧がなくなって元の平面状態へ戻る復元力が該第1層に比して強い性質を有する材料からなり、前記積層目地材で封止されたことを特徴とする。
本発明の別の実施形態に係る、既に構築された既構築コンクリート構造体と、新たに新設コンクリート構造体を構築するコンクリート構造体と、の間に設けられるスリットの施工方法は、前記既構築コンクリート構造体に、積層目地材を設置する目地材設置工程と、前記目地材を設置した状態で、前記新設コンクリートを打設するコンクリート打設工程と、を備え、前記積層目地材は、材質が異なる第1層と第2層と第3層とを含んで構成される積層体であって、第1層は前記第2層に比して高い耐火性能を備えた材料からなり、第2層は第1層に比して高い弾性を備えた材料からなり、前記第3層は、前記第2層と積層された該第1層のうち、該第2層と対抗する面とは異なる面に積層され、該第1層に比して引っ張り強度が強く、かつ加圧されて歪んだ状態から該加圧がなくなって元の平面状態へ戻る復元力が該第1層に比して強い性質を有する材料からなり、前記目地材設置工程では、前記既構築コンクリート構造体の目地材設置面に、前記積層目地材の第2層側の面が配置されることを特徴とする。
本発明によれば、外部からの圧力により一時的に形状が変形しても、元の状態に容易に復元可能な目地材を提供することができる。
吊り下げ工法によって構築される壁体に、本願発明の積層目地材が設置された状態を示す正面図。 図1に示すX−X矢視断面図であり、積層目地材の構成を説明する詳細図(実施例1)。 積層目地材30の長手方向に対する垂直方向から加えた圧力をなくした場合に、元の水平状態に戻る様子を説明する図(実施例1)。 図1に示すX−X矢視断面図であり、積層目地材の構成を説明する詳細図(実施例2)。 積層目地材30の長手方向に対する垂直方向から加えた圧力をなくした場合に、元の水平状態に戻る様子を説明する図(実施例2)。 (a)は床スラブが構築された段階を示す第1ステップ図、(b)は床スラブ上に積層目地材が設置された段階を示す第2ステップ図、(c)は壁体と柱部が立ち上がった段階を示す第3ステップ図。 吊り下げ工法によって構築された壁体を示す正面図。 図11に示すY−Y矢視断面図であり、従来の目地材の詳細図。
[実施形態]
本願発明の積層目地材、積層目地材を備えたスリット構造、及びその施工方法の一実施形態を図に基づいて説明する。
まず、本願発明の積層目地材が設置された状態について簡単に説明する。図1は、吊り下げ工法によって構築される壁体に、本願発明の積層目地材が設置された状態を示す正面図である。なお図1は、設置された目地材を除いて図6と同様であり、図6と共通するものは同じ符番を付している。前記したとおり、吊り下げ工法では壁体aが天井スラブbによってのみ固定されている(図1では、天井スラブbと壁体aとの境界に破線を引いているが実際には一体構造である)。そして、壁体aと床スラブcの間には水平スリット10が設けられ、壁体aと両側の柱部dの間にはそれぞれ鉛直スリット20が設けられている。これらスリットを設けることによって、壁体aに作用する荷重は、直接的には周囲のコンクリート構造体に作用することがなく、地震時には、壁体aと他のコンクリート構造体はそれぞれ独立して挙動する。つまり、柱部dなど他のコンクリート構造体が、壁体aの挙動による曲げモーメントやせん断力を受けることがない。
水平スリット10は、極小ではあるが壁体aと床スラブcの間に形成された空間である。この空間のままの状態を完成形とすると、この空間から不要なものが侵入することとなり、音も漏れる。そのため、つまり壁体aと同等の防水性、防塵性、防音性等を確保するため、水平スリット10には積層目地材30がその空間を充填するように設置される。同様に、鉛直スリット20には普通目地材40が設置される。なお、便宜上、図1では水平スリット10にのみ積層目地材30を設置しているが、鉛直スリット20に積層目地材30を設置することもできる。また、ここでは吊り下げ工法の場合を例示して説明しているが、本願発明はこの工法に限定されるものではなく、コンクリート構造体が相互に隣接する部分、例えば、腰壁やたれ壁の垂直取り合い部分、あるいは帆立て壁の水平取り合い部分など、種々のコンクリート構造体隣接部分で実施できる。
(積層目地材)
次に、積層目地材30の構成について詳細に説明する。図2は、図1に示すX−X矢視断面図(実施例1)であり、積層目地材30の構成を説明する詳細図である。図3は、積層目地材30の長手方向に対する垂直方向から加えた圧力をなくした場合に、元の水平状態に戻る様子を説明する図(実施例1)である。
図1や図2に示すように、積層目地材30は板状を呈している。その平面形状を見ると略長方形であり、短手方向の寸法(幅)は壁体aの厚さと略等しく、長手方向の寸法(長さ)は柱部d間の寸法に略等しい。もちろん、本願発明の積層目地材30はこのような形状に限定されるわけではなく、特に長さについては柱部d間の寸法より短いものとすることもできる。例えば、柱部d間の寸法が6mの場合、積層目地材30の長さを2mとして、柱部d間にこれを3つ直列配置することもできる。
また、積層目地材30の厚さは、壁体aと床スラブcとの離隔、つまり水平スリット10の高さと略同等、もしくはこれより若干厚い程度とするのがよい。これは、水平スリット10の空間を確実に封止し、壁体aと同等の防水性、防塵性、防音性等を確保するためである。例えば、水平スリット10の高さは壁体aの高さの1/100程度である場合、壁体aが階高程度(約3m)であれば水平スリット10の高さは30mm程度としてもよい。すなわち、この場合の積層目地材30の厚さは、30mm程度としてもよい。
本実施形態では、積層目地材30のバリエーションとして、以下に2つの実施例を説明する。
実施例1として、図2に示すように、第1層体31と、第2層体32と、第3層体33とからなる積層目地材30について説明する。積層目地材30は、平面視では略同形である板状の第1層体31と、板状の第2層体32と、板状の第3層体33とを、上下方向(鉛直スリット20に設置する場合は左右方向)に重ね合わせて一体に形成されている。
積層目地材30を構成する第1層体31、第2層体32、及び第3層体33は、それぞれ要求される性能が異なることから、それぞれ異なる材料を使用している。
第1層体31は、耐火性能が要求されることから、優れた耐火性を具備する材料で形成される。その材料を例示すれば、炭酸カルシウム発泡体、ロックウール、セラミックファイバー、ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。このほか、鉄や合金など金属類も挙げられるが、製造コストの面や重さによる施工性の面で、その採用には慎重な検討を要する。炭酸カルシウム発泡体は、優れた耐火性のほか、適当な圧縮強度を備えるとともに、柔軟に変形し得る弾性も備えていることから、第1層体31として望ましい材質といえる。
積層目地材30を構成する第2層体32は、耐水性能と適当な弾性が要求される。これらの性能を満足する材料としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)といった樹脂を例示することができる。さらに、より柔軟に変形し得る弾性を発揮させるためには、PEやPPの発泡体の採用が適しており、より望ましくは30〜40倍発泡させたものがよい。このように高い弾性を必要とするのは、後に説明するように、積層目地材30を設置する面の不陸に対応するためであり、より具体的には、積層目地材30設置面の凹凸に合わせて柔軟に変形して凹部内に生ずる空隙を確実に充填するためである。
上記のとおり、第1層体31は耐火性能が要求され、第2層体32は耐水性能と適当な弾性が要求される。換言すれば、第1層体31は必ずしも耐水性能及び適当な弾性を必要とせず、第2層体32は必ずしも耐火性能を必要としないわけであるが、もちろん、第1層体31が耐水性能や適当な弾性を具備し、第2層体32が耐火性能を具備するものであってもよい。
図2に示すように、第2層体32は、第1層体31に比べてその厚さを薄くすることができる。第2層体32を薄肉とするのは、火災の際に第2層体32が焼失した場合でも、その隙間から火炎の侵入や侵出を防ぐためである。
第3層体33は、第1層体31や第2層体32に比べて薄層であり、長手方向における両端からの引っ張りに強く、かつ弾性力を有している。そのため、第3層体33は、長手方向の垂直方向(積層方向)から圧力がかかって、一時的に撓んでも、その圧力がなくなれば元の水平状態またはそれに近い状態まで復元する性質を有する。第3層体33の一例としては、紙等のセルロース材で形成される薄い繊維状の部材が挙げられる。第3層体33は、例えば、粘着剤または接着剤を用いて、第1層体31の表面に貼付されている。
例えば、積層目地材30の長手方向の長さが1〜2m、積層目地材30の幅(奥行)が120mm〜300mm、積層目地材30の厚さが25〜50mmの範囲の場合、第3層体33の厚さは、0.05〜0.1mmの範囲であってもよい。例えば、より具体的には、積層目地材30の長手方向の長さが2m、積層目地材30の幅(奥行)が150mm、第1層体31の厚さが20mm、第2層体の厚さが5mmの範囲の場合、第3層体33の厚さは、0.08mmであってもよい。
例えば、積層目地材30は、初期状態として、図3の上図の状態にあるとする。この状態(図3の上図)で、積層方向から積層目地材30に圧力を加えると、図3の下図に示すように、第3層体33、第1層体31が下方に押しつぶされ、積層目地材30の上表面は曲がる。その圧力がなくなると、図3の上図に示すように、第3層体33、第1層体31は元の水平状態またはそれに近い状態まで復元する。このとき、第1層体31だけでは、元の水平状態またはそれに近い状態まで十分に復元できないが、第3層体33の弾性力で第3層体33が水平状態に戻るのに伴い、第3層体33が貼付している第1層体31の上表面も引っ張り上げられて元の水平状態またはそれに近い状態まで十分に復元される。
また、形状回復性能試験では、押し付けた目地材の表面部分が所定時間で元の平面形状の90%以上復元するという結果が得られた。
このように、積層方向の加圧に応じた第3層体33の復元しようとする動作に応じて、第3層体33が貼付された第1層体31も強制的に第3層体33の動作に追随する。その結果、積層方向から加えた圧力を取り除いた際に元の水平状態またはそれに近い状態まで早期に戻り易くなる。したがって、その押さえつけた跡が残り難くなり、目地材が重点されたスリットに空間ができにくく、火炎・水・塵・音等の侵入・侵出を防止することができる。
上記の実施例1では、第1層体31の上表面にのみ第3層体33を貼付した積層目地材30(片面貼り)について説明した。実施例2では、第1層体31の上下表面に第3層体33を貼付した積層目地材30(両面貼り)について説明する。
図4は、図1に示すX−X矢視断面図(実施例2)であり、積層目地材30の構成を説明する詳細図である。図5は、積層目地材30の長手方向に対する垂直方向から加えた圧力をなくした場合に、元の水平状態に戻る様子を説明する図(実施例2)である。
図4に示す積層目地材30は、図2の第1層体31と第2層体32との間に、第4層体34を挿入したものである。第4層体34は、第3層体33と同様に、第1層体31や第2層体32に比べて薄層であり、長手方向における両端からの引っ張りに強く、かつ弾性力を有している。なお、第3層体33と第4層体34とは、そのような性質が同じであれば、同一の材料であってもよいし、異なるものであってもよい。
例えば、積層目地材30の長手方向の長さが1〜2m、積層目地材30の幅(奥行)が120mm〜300mm、積層目地材30の厚さが25〜50mmの範囲の場合、第3層体33及び第4層体34の厚さは、0.05〜0.1mmの範囲であってもよい。例えば、より具体的には、積層目地材30の長手方向の長さが2m、積層目地材30の幅(奥行)が150mm、第1層体31の厚さが20mm、第2層体の厚さが5mmの範囲の場合、第3層体33及び第4層体34の厚さは、0.08mmであってもよい。
第4層体34は、例えば、粘着剤または接着剤を用いて、第1層体31と第2層体32との間に貼付されている。この状態(図5の上図)で、積層方向から積層目地材30に実施例1の時よりも高い圧力を加えると、図5の下図に示すように、第3層体33、第1層体31、第4層体34、及び第2層体32が下方に押しつぶされ、積層目地材30の上表面は曲がる。その圧力がなくなると、図5の上図に示すように、第3層体33、第1層体31、第4層体34、第2層体32は元の水平状態またはそれに近い状態まで復元する。
このとき、第1層体31だけでは、元の水平状態またはそれに近い状態まで十分に復元できないが、第3層体33及び第4層体34の弾性力で第3層体33及び第4層体34が水平状態に戻るのに伴い、第3層体33及び第4層体34が貼付している第1層体31、第2層体32の上表面も引っ張り上げられて元の水平状態またはそれに近い状態まで十分に復元される。
特に、実施例1と比べて、実施例2では、第3層体33に加え、第4層体34も用いているから、復元力も実施例1より強く、元の水平状態またはそれに近い状態までより早期に復元することができる。
このように、積層方向の加圧に応じた第3層体33、第4層体34の復元しようとする動作に応じて、第3層体33、第4層体34が貼付された第1層体31、第2層体32も強制的に第3層体33、第4層体34の動作に追随する。その結果、積層方向から加えた圧力を取り除いた際に元の水平状態またはそれに近い状態まで早期に戻り易くなる。したがって、その押さえつけた跡が残り難くなり、目地材が重点されたスリットに空間ができにくく、火炎・水・塵・音等の侵入・侵出を防止することができる。
なお、本実施形態では、第1層体31と第2層体32と第3層体33とからなる3層構造の積層目地材、及び第1層体31と第2層体32と第3層体33、第4層体34からなる4層構造の積層目地材を用いたがこれに限定されず、さらに異なる層を重ねても構わない。もちろん製作費用の面では、第1層体31と第2層体32,第3層体33(さらに、第4層体34)の3層または4層で構成することが望ましいが、さらに新たな層を層間に挿入したり、積層させても、本願発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
(構造とその施工方法)
次に、積層目地材30が設置されたスリット構造と、その施工方法について説明する。図6(a)〜(c)は、積層目地材30が設置されたスリット構造を施工する順序を示すステップ図であり、(a)は床スラブcが構築された段階を示す第1ステップ図、(b)は床スラブc上に積層目地材30が設置された段階を示す第2ステップ図、(c)は壁体aと柱部dが立ち上がった段階を示す第3ステップ図である。なお便宜上、型枠と鉄筋についてはその図示を省略している。以下、それぞれのステップ図について説明する。
図6(a)に示すように、まず床スラブcが構築される。この床スラブc構築にあたっては、所定の鉄筋が組み立てられ、型枠が設置され、コンクリートが打設される、という通常の工程を経て行われる。なお、コンクリート打設後は、その上面が金コテ等で入念に均される。しかしながら、人によって完全に均すことは不可能であり、床スラブ上面sには不陸(凹凸面)が残る。
床スラブcのコンクリートを十分養生した後、図6(b)に示すように、床スラブ上面sに積層目地材30を設置する「目地材設置工程」が実施される。このとき、第2層体32が下面となるように、つまり床スラブ上面s(積層目地材設置面)と第2層体32が接触するように積層目地材30は配置される。これは、第2層体32の材料が具備する高い弾性によって、床スラブ上面sの不陸に追随するためである。なお積層目地材30は、床スラブ上面sに単に載せるだけでも良いが、接着剤やコンクリート釘等を用いて固定することもできる。
床スラブ上面s(積層目地材設置面)に積層目地材30を設置した後、所定の鉄筋と型枠を組み立て、壁体aと柱部d(さらに、天井スラブbを加える場合もある)のコンクリートを打設する「コンクリート打設工程」を実施する。なお縦目地は、前面側(図面手前側)の型枠と背面側(図面奥側)の型枠との間に設置される。このとき床スラブcは既にコンクリート打設を終えているので「既構築コンクリート構造体」と呼び、これに対して、積層目地材30を設置した後に構築するものを「新設コンクリート構造体」と呼ぶ。すなわち、本願発明の積層目地材30は、既構築コンクリート構造体と新設コンクリート構造体との間のスリットeに設置されるものであって、既構築コンクリート構造体の積層目地材設置面(不陸発生面)に第2層体32が接触するように、換言すれば第1層体31の表面が新設コンクリート構造体の型枠面となるように設置されるものである。
最後に、図6(c)に示すように、天井スラブbのコンクリートを打設して、一連の構造を完成させる。図6(c)では、壁体aと床スラブcの間に空間が形成され、さらにこの空間に積層目地材30が設置されており、このような構造が本願発明の「積層目地材を備えたスリット構造」である。
本実施形態に係る目地材によれば、外部からの圧力により一時的に形状が変形してっも、元の状態に容易に復元することができる。
なお、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または実施形態を取ることができる。
10 水平スリット
20 鉛直スリット
30 積層目地材
31 第1層体
32 第2層体
33 第3層体
34 第4層体
40 普通目地材
a 壁体
b 天井スラブ
c 床スラブ
d 柱部
e スリット
f 目地材
f1 第1層体
f2 第2層体
s 床スラブ上面

Claims (5)

  1. 既に構築された既設コンクリート構造体である床スラブ、前記床スラブの上部に新たに構築される新設コンクリート構造体と間に設けられるスリット内に、設置される積層目地材であって、
    材質が異なる第1層と第2層と第3層を含んで構成される積層体であり、
    前記第1層は、前記第2層に比して高い耐火性能を備えた材料からなり、
    前記第2層は、前記第1層のうち、前記床スラブと接する側に積層され、前記第1層に比して高い弾性を備えた材料からなり、
    前記第3層は、前記第2層と積層された該第1層のうち、前記新設コンクリート構造体接する側に積層され、該第1層に比して引っ張り強度が強く、かつ加圧されて歪んだ状態から該加圧がなくなって元の平面状態へ戻る復元力が該第1層に比して強い性質を有する材料からなる
    ことを特徴とする積層目地材。
  2. 前記第3層は、前記第1層及び前記第2層のそれぞれに比して薄層である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の積層目地材。
  3. 前記積層体は、さらに、前記第3層と同一の前記性質を有する材料からなる第4層を含み、
    前記第4層は、前記第1層及び前記第2層のそれぞれに比して薄層であって、前記第1層と前記第2層との間に形成されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の積層目地材。
  4. 既に構築された既設コンクリート構造体である床スラブ、前記床スラブの上部に新たに構築される新設コンクリート構造体と間に設けられるスリット内に、積層目地材が設置されたスリット構造であって、
    前記積層目地材は、材質が異なる第1層と第2層と第3層とを含んで構成される積層体であって、第1層は前記第2層に比して高い耐火性能を備えた材料からなり、第2層は、前記第1層のうち、前記床スラブと接する側に積層され、第1層に比して高い弾性を備えた材料からなり、前記第3層は、前記第2層と積層された該第1層のうち、前記新設コンクリート構造体接する側に積層され、該第1層に比して引っ張り強度が強く、かつ加圧されて歪んだ状態から該加圧がなくなって元の平面状態へ戻る復元力が該第1層に比して強い性質を有する材料からなり、
    前記積層目地材で封止されたことを特徴とする積層目地材を備えたスリット構造。
  5. 既に構築された既コンクリート構造体である床スラブと、前記床スラブの上部に新たに構築される新設コンクリート構造体と、の間に設けられるスリットの施工方法において、
    前記床スラブに、積層目地材を設置する目地材設置工程と、
    前記目地材を設置した状態で、コンクリートを打設するコンクリート打設工程と、を備え、
    前記積層目地材は、材質が異なる第1層と第2層と第3層とを含んで構成される積層体であって、第1層は前記第2層に比して高い耐火性能を備えた材料からなり、第2層は、前記第1層のうち、前記床スラブと接する側に積層され、第1層に比して高い弾性を備えた材料からなり、前記第3層は、前記第2層と積層された該第1層のうち、前記新設コンクリート構造体接する側に積層され、該第1層に比して引っ張り強度が強く、かつ加圧されて歪んだ状態から該加圧がなくなって元の平面状態へ戻る復元力が該第1層に比して強い性質を有する材料からなり、
    前記目地材設置工程では、前記床スラブの目地材設置面に、前記積層目地材の第2層側の面が配置されることを特徴とするスリットの施工方法。
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