以下、本発明の例示的な実施形態および変形例が開示される。以下に示される実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態および変形例に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
また、以下に開示される実施形態および変形例には、同様の構成要素が含まれる。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
[実施形態]
図1,2は、実施形態のエレベータ1の梯子装置10の斜視図であって、図1は、トーガード11が第一位置P1に位置された状態の図であり、図2は、トーガード11が第二位置P2に位置された状態の図である。なお、以下の説明では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。
X方向は、エレベータ1の昇降路3の前後方向(奥行方向)に沿うとともに、トーガード11の厚さ方向に沿う。Y方向は、昇降路3の左右方向(幅方向)に沿うとともに、トーガード11の長手方向(横幅方向)に沿う。Z方向は、昇降路3の上下方向(高さ方向)に沿うとともに、トーガード11の短手方向(縦幅方向)に沿う。
なお、以下の説明では、便宜上、X方向を単に前方と称し、X方向の反対方向を単に後方と称し、Y方向を単に右方と称し、Y方向の反対方向を単に左方と称し、Z方向を単に上方と称し、Z方向の反対方向を単に下方と称する場合がある。
図1に示されるように、エレベータ1の昇降路3における最下端のピット3rには、ガイドレール5や、緩衝器6等の機器類、梯子装置10が設けられている。ガイドレール5は、昇降路3に沿ってZ方向に直線状に延びており、乗りかご(不図示)の昇降をガイドする。緩衝器6は、ピット3rの底床3aに設けられ、乗りかごと底床3aとの間に介在される。
エレベータ1は、例えば、乗りかごと、つり合いおもりとしての不図示のカウンターウェイトとがメインロープで連結された、いわゆるつるべ式のエレベータとして構成されている。乗りかごが昇降路3内をZ方向に沿って昇降することにより、利用者が任意の目的階の乗場2に移動可能となっている。
乗場2には、乗場枠7や、乗場ドア8、乗場敷居9等が設けられている、乗場敷居9は、乗場2の床面に沿ってY方向に延びており、乗場ドア8を案内する。乗場ドア8は、Y方向に沿って、乗場2の乗降口を覆う閉位置と、乗場2の乗降口を開放する開位置(図1参照)と、の間で移動可能に乗場敷居9に支持されている。
乗場敷居9の下方には、梯子装置10が設けられている。梯子装置10は、ピット3rの側壁3b、具体的にはピット3rの四つの側壁3bのうち、ピット3rの底床3aと最下階の乗場2との間に亘って延びた側壁3bに支持されている。言い換えると、梯子装置10は、エレベータ1の点検時に、作業者が乗場2からアクセス可能な位置に設けられている。
梯子装置10は、例えば、トーガード11と、梯子12と、を備えている。トーガード11は、側壁3bに沿って延びた四角形状の板状に構成されている。トーガード11は、表面11cと、表面11cとは反対側の裏面11dと、を有している。裏面11dには、後述する梯子12が取り付けられている。エレベータ1の通常運転時において、裏面11dは側壁3bと面し、表面11cは昇降路3と面する。
また、トーガード11は、例えば、可動部11aと、固定部11bと、を有している。固定部11bは、可動部11aの右方に位置され、側壁3bに固定されている。可動部11aは、固定部11bの左端に、Z方向に沿って延びる回転中心Ax1を有したヒンジ13(図8参照)を介して、回転可能に支持されている。回転中心Ax1は、第一回転中心の一例である。
可動部11aは、例えば、回転中心Ax1回りに、側壁3bと重なる第一位置P1(図1参照)と、固定部11bと重なる第二位置P2との間で、回動可能に構成されている。第一位置P1では、可動部11aの表面11cが昇降路3と面し、第二位置P2では、可動部11aの裏面11dが昇降路3と面する。これにより、裏面11d上に位置された梯子12が昇降路3内に露出する。
なお、本実施形態では、可動部11aの第一位置P1に対する第二位置P2の回動角度が180°である場合が例示されるが、この例には限定されず、例えば90°等、その他の角度であってもよい。また、トーガード11は、固定部11bを有さず、可動部11aがヒンジ13を介して側壁3bに支持されてもよい。第一位置P1は、梯子12の収納位置等とも称され、第二位置P2は、梯子12の使用位置や設置位置等とも称される。
また、側壁3bには、梯子12を収納可能な凹部3b1が設けられている。凹部3b1は、側壁3bから前方に凹み、後方に向けて開放されている。凹部3b1のX方向の深さは、梯子12のX方向の厚さと略同じかあるいは僅かに深い。梯子12は、可動部11aが第一位置P1(図1参照)に位置された状態では、凹部3b1内に位置されている。
図3は、トーガード11の第一位置P1での固定方法を説明する斜視図であり、図4は、トーガード11の第二位置P2での固定方法を説明する斜視図である。図3,4に示されるように、梯子装置10は、例えば、固定手段14と、保持手段20と、を備えている。固定手段14は、可動部11aを第一位置P1で保持し、保持手段20は、可動部11aを第二位置P2で保持する。
図3に示されるように、固定手段14は、例えば、固定ステー15と、可動ステー16と、を有している。可動ステー16は、トーガード11と交差した板状に構成され、可動部11aの裏面11dに固定されている。可動ステー16には、固定ステー15(X方向)に向けて開放された略U字状の切欠部16aと、固定ステー15とは反対側に向けて開放された略U字状の切欠部16bと、が設けられている。
固定ステー15は、例えば、縦壁15aと、横壁15bと、傾斜面15cと、を有している。縦壁15aは、側壁3bに沿って延びた四角形状の板状に構成され、ネジやボルト等の結合具17によって凹部3b1の底面に固定されている。横壁15bは、縦壁15aの上端から後方に延びている。横壁15bは、可動ステー16と略平行な四角形状の板状に構成されている。
また、横壁15bには、可動ステー16の切欠部16aと係合可能な結合具18が仮止めされている。可動ステー16は、横壁15b上に重ねられた状態で、切欠部16aの周縁部が結合具18の頭部と横壁15bとの間に挟まれることによって、固定ステー15に固定される。これにより、可動部11aが第一位置P1で保持される。また、結合具18の締結を緩めることによって、可動部11aの保持状態が解除される。
傾斜面15cは、横壁15bの後端、すなわち縦壁15aとは反対側の端部に設けられている。傾斜面15cは、後方に向かうにつれて可動ステー16から下方に離れるように傾斜している。本実施形態では、傾斜面15cによって、可動ステー16および固定ステー15の係合時の互いの干渉が抑制されている。傾斜面15cは、ガイド面等とも称される。
図4に示されるように、保持手段20は、例えば、固定ステー21と、中間ステー22と、可動ステー16と、を有している。言い換えると、可動ステー16は、固定手段14と保持手段20とで共用されている。可動ステー16の上述した切欠部16bは、可動部11aが第二位置P2に位置された状態では、中間ステー22(X方向)に向けて開放されている。
固定ステー21は、例えば、縦壁21aと、横壁21bと、を有している。縦壁21aは、側壁3bに沿って延びた四角形状の板状に構成され、ネジやボルト等の結合具23によって凹部3b1の底面に固定されている。横壁21bは、縦壁21aの上端から後方に延びている。横壁21bは、可動ステー16および中間ステー22と略平行な四角形状の板状に構成されている。
中間ステー22は、横壁21b上に支持され、当該横壁21bから後方に延びている。中間ステー22には、可動ステー16の切欠部16bと係合可能な結合具19が仮止めされている。可動ステー16は、中間ステー22上に重ねられた状態で、切欠部16bの周縁部が結合具19の頭部と中間ステー22との間に挟まれることによって、中間ステー22ひいては側壁3bに固定される。これにより、可動部11aが第二位置P2で保持される。また、結合具19の締結を緩めることによって、可動部11aの保持状態が解除される。
また、中間ステー22は、固定ステー21に、Z方向に延びる回転中心Ax3を有した軸を介して、回転可能に支持されている。中間ステー22は、回転中心Ax3回りに回転することで、横壁21bから後方に延びた突出位置(図4参照)と、横壁21bから右方に延びた折り畳み位置との間で、回動可能である。これにより、中間ステー22の昇降路3内への突出が抑制され、ひいてはエレベータ1の通常運転時における乗りかごと中間ステー22との干渉が抑制されている。
なお、中間ステー22の後端、すなわち固定ステー21とは反対側の端部には、固定ステー15の傾斜面15cと同様の傾斜面が設けられている。
図5は、梯子装置10の斜視図であって、トーガード11が第一位置P1と第二位置P2との間の途中位置に位置された状態の図であり、図6は、図5の梯子12の一部の拡大図である。図5,6に示されるように、梯子12は、例えば、ベース部12aと、脚部12bと、を有している。
ベース部12aは、可動部11aの裏面11dに支持され、当該裏面11dから下方に延びている。脚部12bは、ベース部12aの下端に支持され、ベース部12aとともに梯子12の一部を構成している。脚部12bは、延長部や、可動部等とも称される。
ベース部12aおよび脚部12bは、例えば、一対の支柱12cと、踏段12dと、を有している。支柱12cは、可動部11aの長手方向(図5ではX方向)に間隔をあけて互いに平行に設けられている。支柱12cは、作業者が梯子12を昇降する際に手で把持する部分である。支柱12cは、把持部や、縦方向部材等とも称される。
踏段12dは、一対の支柱12cの間に亘って延びている。梯子12には、Z方向に互いに間隔をあけて複数の踏段12dが設けられている。踏段12dは、作業者が梯子12を昇降する際に足を掛ける部分である。踏段12dは、踏ざんや、横方向部材等とも称される。
脚部12bは、ベース部12aの下端に、可動部11aの長手方向(図6ではX方向)に延びる回転中心Ax4を有したヒンジ25を介して、回転可能に支持されている。脚部12bは、回転中心Ax4回りに回転することで、折り畳み位置(図1参照)と、展開位置(図2参照)との間で、回動可能である。脚部12bは、展開位置に位置された状態では、ベース部12aと一直線上に並んでいる。
また、梯子12には、ベース部12aおよび脚部12bに沿って一対のロープ26,27(図5,6参照)が設けられている。ロープ26,27は、ヒンジ25を間に挟んで互いに反対側に位置されている。ロープ26,27の一端は、脚部12bに固定され、ロープ26,27の他端は、ベース部12aの上端に仮止めされている。また、ロープ26,27の中間部は、ベース部12aおよび脚部12bに設けられたリング状の保持部12eに保持されている。
このような構成において、一方のロープ26を上方に引き上げると、脚部12bがベース部12aに対して回転中心Ax4回りに図6における時計回り方向に回転し、この回転に伴い脚部12bが折り畳み位置から展開位置へと移動する。展開位置では、脚部12bの上端面とベース部12aの下端面との当接によって、脚部12bの回転中心Ax4回りの時計回り方向への更なる回転が制限される。
また、他方のロープ27を上方に引き上げると、脚部12bがベース部12aに対して回転中心Ax4回りに図6における反時計回り方向に回転し、この回転に伴い脚部12bが展開位置から折り畳み位置へと移動する。折り畳み位置(図1参照)では、脚部12bの側面とベース部12aの側面との当接によって、脚部12bの回転中心Ax4回りの反時計回り方向への更なる回転が制限される。
なお、展開位置および折り畳み位置では、例えば、ロープ26,27の上端を支柱12cの上端等に巻き付けて固定すること等によって、脚部12bを保持(ロック)することができる。また、脚部12bを展開位置および折り畳み位置で保持するために、例えば、脚部12bの上端面およびベース部12aの下端面や、脚部12bの側面およびベース部12aの側面に磁石等を設けてもよい。
また、梯子12は、展開位置に位置された状態では、後述する回転中心Ax2(図7,8参照)回りに傾倒した姿勢で設置される。これにより、例えば、梯子12の自重や、作業者から踏段12dに入力される荷重が、脚部12bを折り畳み位置から展開位置に回動させる方向、すなわち図7における時計回り方向に入力されるため、脚部12bを展開位置でより安定して保持することができる。
図7は、梯子12の設置方法を説明する斜視図であり、図8は、梯子12の設置方法を説明する斜視図であって、図7よりも後の状態を示した図である。図7,8に示されるように、梯子12は、可動部11aの裏面11dに、リンク機構28を介して回転中心Ax2回りに回転可能に支持されている。回転中心Ax2は、裏面11dに沿うとともにZ方向と交差している。回転中心Ax2は、第二回転中心の一例である。
本実施形態では、例えば、梯子12を設置する場合、作業者は、まず可動部11aを第一位置P1から途中位置へと移動させる。そして、上述したロープ26を引き上げること等によって、リンク機構28を回転中心Ax2回りに回動させて梯子12を上方に持ち上げるとともに、脚部12bを折り畳み位置から展開位置へと移動させる(図7参照)。
次に、可動部11aを途中位置から第二位置P2へと移動させるとともに、梯子12を裏面11dに対して回転中心Ax2回りに傾倒させた姿勢でピット3rの底床3aに設置する(図8参照)。
そして、支柱12cの上端に設けられたロック部材29を、ロック解除位置(図5参照)からロック位置(図8参照)へと移動させる。これにより、リンク機構28がロックされ、ひいては梯子12が裏面11dに対して回転中心Ax2回りに傾倒した姿勢で保持される。
なお、本実施形態では、梯子12が回転中心Ax2回りに傾倒した姿勢で設置される場合が例示されたが、この例には限定されず、例えば、裏面11dに沿う姿勢で設置されてもよい。梯子12を収納する場合には、上述した手順と逆の手順を行うことによって、梯子装置10を通常時の状態に戻すことができる。
以上のように、本実施形態では、例えば、梯子装置10は、エレベータ1の通常運転時において昇降路3の側壁3bに面する裏面11dと、裏面11dとは反対側の表面11cと、を有し、通常運転時において側壁3bに沿う第一位置P1と、第一位置P1からZ方向(上下方向)に延びた回転中心Ax1(第一回転中心)回りに回動した第二位置P2と、の間で回動可能に側壁3bに支持されたトーガード11と、裏面11d上に位置するようトーガード11に設けられ、当該トーガード11とともに回動可能な梯子12と、を備える。
このような構成によれば、例えば、最下階の乗場2等から作業者がトーガード11を第一位置P1と第二位置P2との間で回動操作することによって、裏面11d上に位置された梯子12をより容易に設置できたり、あるいは収納できたりする。よって、例えば、梯子12の設置作業に要する手間が減りやすい。
また、本実施形態では、例えば、梯子12は、裏面11dに沿うとともにZ方向と交差した回転中心Ax2(第二回転中心)回りに回動可能にトーガード11に支持されている。
このような構成によれば、例えば、梯子12を回転中心Ax2回りに傾倒させた姿勢で設置できるため、梯子12が裏面11dに沿う姿勢(直角)に設置された場合と比べて、作業者が梯子12をより容易に、あるいはより円滑に昇降することができる。また、例えば、可動部11aが側壁3bと交差した位置にある状態で梯子12を回転中心Ax2回りに回動させることができるため、梯子12とガイドレール5(図2参照)や緩衝器6等の機器類との干渉を抑制できる。
また、本実施形態では、例えば、梯子装置10は、トーガード11を側壁3bに対して第二位置P2で保持する保持手段20を備えている。
このような構成によれば、例えば、保持手段20によって、第二位置P2におけるトーガード11ひいては梯子12の揺れやガタつきを抑制できるため、作業者が梯子12をより一層容易に、あるいはより一層円滑に昇降することができる。
[第1変形例]
図9は、第1変形例の梯子装置10Aの斜視図であって、トーガード11が第二位置P2に位置された状態の図である。梯子装置10Aは、上記実施形態の梯子装置10と同様の構成を備えている。よって、梯子装置10Aは、当該同様の構成に基づく上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
ただし、本変形例では、図9に示されるように、可動部11aが保持手段30によって第二位置P2で保持されている点が、上記実施形態と相違している。本変形例では、可動部11aの第一位置P1に対する第二位置P2の回動角度は、90°よりも大きく180°よりも小さい角度、例えば約135°である。なお、可動部11aの回動角度は、この例には限定されず、例えば、上述した範囲のその他の角度や、あるいは90°以下の角度であってもよい。
図10は、トーガード11の第二位置P2での固定方法を説明する斜視図である。図10に示されるように、保持手段30は、例えば、第一部材31や、第二部材32、第三部材33、第四部材34等を有している。保持手段30は、エレベータ1の通常運転時においては、可動部11aの裏面11dに支持(収納)されている。第一部材31、第二部材32、第三部材、および第四部材34は、支持部材や、保持部材等とも称される。
第一部材31は、可動部11aの裏面11dに沿って延びた長方形状の板状に構成されている。第一部材31の下端には、第二部材32を介して第三部材33が支持されている。第一部材31の上端は、裏面11dに、可動部11aと交差した回転中心Ax5を有した軸を介して、回転可能に支持されている。
第一部材31は、回転中心Ax5回りに回転することで、第三部材33が可動部11aの上端よりも下方に位置する収納位置(図10参照)と、第三部材33が可動部11aの上端よりも上方に位置する突出位置(図11参照)との間で、回動可能である。
図11は、トーガード11の第二位置P2での固定方法を説明する斜視図であって、図10よりも後の状態を示した図である。図11に示されるように、第二部材32は、第一部材31および第三部材33に沿って延びた略L字の板状に構成されている。第二部材32は、第一部材31に、回転中心Ax5と平行な回転中心Ax6を有した軸を介して、回転可能に支持されている。
第三部材33は、第一部材31と交差した長方形状の板状に構成されている。第三部材33の一端は、第二部材32に、Z方向に延びる回転中心Ax7を有した軸を介して、回転可能に支持されている。第三部材33は、回転中心Ax7回りに回転することで、可動部11aの長手方向に沿って延びた収納位置(図10参照)と、可動部11aと固定部11bとの間に亘って斜めに延びた保持位置(図11参照)との間で、移動可能である。
図12は、図11の第四部材34のXZ断面図である。図12に示されるように、第四部材34は、例えば、フック部34aと、ベース部34bと、を有している。フック部34aは、ベース部34bの上端に設けられている。フック部34aは、乗場敷居9の溝レール9aと係合可能に構成されている。
ベース部34bは、第三部材33の他端に、Z方向に延びる回転中心Ax8を有した軸を介して、回転可能に支持されている。ベース部34bは、回転中心Ax8回りに回転することで、フック部34aの溝レール9aに対する取り付け角度を調整可能である。
また、ベース部34bの下端には、結合具35が仮止めされている。結合具35は、ベース部34bをX方向に貫通し、トーガード11の固定部11bまで延びている。本実施形態では、例えば、結合具35の締結力(締付力)によって、フック部34aが溝レール9aと係合され、ひいては可動部11aが第二位置P2(図11参照)で保持される。また、結合具35の締結を緩めることによって、フック部34aと溝レール9aとの係合状態が解除される。
このように、本変形例では、例えば、梯子装置10Aは、トーガード11を第一位置P1に対して180°に満たない回動角度である第二位置P2で保持可能な保持手段30を備えている。
このような構成によれば、例えば、保持手段30によって、トーガード11ひいては梯子12を側壁3bに対して交差した姿勢で設置することができる。よって、例えば、作業者が乗場2から梯子12に乗り込む際に身体を後向きに反転させることなく前向きの姿勢で乗り込みやすくなり、ひいては作業者による梯子12の昇降がより容易に、あるいはより安全に行われやすい。
[第2変形例]
図13は、第2変形例の梯子装置10Bの斜視図であって、トーガード11が第二位置P2に位置された状態の図である。梯子装置10Bは、上記第1変形例の梯子装置10Aと同様の構成を備えている。よって、梯子装置10Bは、当該同様の構成に基づく上記第1変形例と同様の作用および効果を得ることができる。
ただし、本変形例では、図13に示されるように、保持手段30がトーガード11の第一位置P1に対する第二位置P2の回動角度を調整可能な角度調整機構30Aを有している点が、上記第1変形例と相違している。本変形例では、角度調整機構30Aによって、トーガード11ひいては梯子12の側壁3bに対する取り付け角度を調整可能に構成されている。
図14は、保持手段30の収納位置での斜視図である。図14に示されるように、保持手段30は、例えば、第一部材31や、第二部材32、第三部材36,37、第四部材34等を有している。言い換えると、保持手段30は、可動部11aの長手方向(図14ではX方向)に分割された二つの第三部材36,37を有している。第三部材36,37は、角度調整機構30Aの一部を構成している。なお、第三部材36,37の数は、二つには限定されず、例えば、三つ以上であってもよい。保持手段30は、上記第1変形例と同じ手順によって組み付けることができる。
図15は、保持手段30の保持位置での斜視図である。図15に示されるように、角度調整機構30Aは、例えば、第三部材36,37と、結合具38と、を有している。第三部材36,37には、それぞれ、当該第三部材36,37の長手方向に互いに間隔をあけて複数の開口部36a,37aが設けられている。開口部36a,37aは、例えば、第三部材36,37をZ方向に貫通した丸穴である。
結合具38は、例えば、ボルトおよびナットである。結合具38は、Z方向に並んだ二つの開口部36a,37aと結合される。
角度調整機構30Aは、二つの第三部材36,37を相対的に長手方向に移動させることによって、第三部材36,37の全長を伸縮可能である。そして、第三部材36,37の長さに応じて変化する開口部36a,37aのペアに結合具38が締結されることによって、可動部11aを複数の回動角度(第二位置P2)で保持することができる。
このように、本変形例では、例えば、保持手段30は、トーガード11の第一位置P1に対する第二位置P2の回動角度を調整可能な角度調整機構30Aを有している。
このような構成によれば、例えば、角度調整機構30Aによって、トーガード11ひいては梯子12の取り付け角度を調整できるため、梯子12をピット3rに配置されたガイドレール5(図2参照)や緩衝器6等の機器類とより離して設置することができる。よって、例えば、梯子12の設置に制約を受けるのが抑制されたり、作業者による梯子12の昇降がより安全に行われたりしうる。
[第3変形例]
図16は、第3変形例の梯子装置10Cの斜視図であって、トーガード11が第二位置P2に位置された状態の図であり、図17は、保持手段30の収納位置での斜視図である。梯子装置10Cは、上記第2変形例の梯子装置10Bと同様の構成を備えている。よって、梯子装置10Cは、当該同様の構成に基づく上記第2変形例と同様の作用および効果を得ることができる。
ただし、本変形例では、図16,17に示されるように、角度調整機構30Bの開口部36b,37bが長穴状に構成されている点が、上記第2変形例と相違している。本変形例では、長穴状の開口部36b,37bによって、トーガード11の回動角度を無段階で調整可能となっている。
図18は、保持手段30の保持位置での斜視図である。図18に示されるように、角度調整機構30Bは、例えば、第三部材36,37と、結合具38と、を有している。第三部材36,37には、それぞれ、開口部36b,37bが設けられている。開口部36b,37bは、第三部材36,37をZ方向に貫通するとともに第三部材36,37の長手方向に延びた長穴である。結合具38は、例えば、ボルトおよびナットであり、Z方向に並んだ二つの開口部36b,37bと任意の位置で結合される。
角度調整機構30Bは、二つの第三部材36,37を相対的に長手方向に移動させることによって、第三部材36,37の全長を伸縮可能である。そして、第三部材36,37は、開口部36b,37bの周縁部が結合具38のボルトの頭部とナットとの間に挟まれることによって、各長さで保持される。
このように、本変形例によっても、保持手段30は、トーガード11の第一位置P1に対する第二位置P2の回動角度を調整可能な角度調整機構30Bを有しているため、上記第2変形例と同様の作用効果を得ることができる。
[第4変形例]
図19,20は、第4変形例の梯子装置10Dの斜視図であって、図19は、トーガード11が第一位置P1に位置された状態の図であり、図20は、トーガード11が第二位置P2に位置された状態の図である。梯子装置10Dは、上記第1変形例の梯子装置10Aと同様の構成を備えている。よって、梯子装置10Dは、当該同様の構成に基づく上記第1変形例と同様の作用および効果を得ることができる。
ただし、本変形例では、図19,20に示されるように、可動部11aが保持手段40によって第二位置P2で保持されている点が、上記第1変形例と相違している。本変形例では、トーガード11は、可動部11aとは別の可動部11xをさらに有している。可動部11xは、可動部11aの左端に、Z方向に沿って延びる回転中心Ax1を有したヒンジ13(図21参照)を介して、回転可能に支持されている。可動部11aは、第一可動部等とも称され、可動部11xは、第二可動部等とも称される。
図21は、図20の保持手段40の拡大図である。図21に示されるように、保持手段40は、例えば、可動部11xと、可動ステー16と、固定ステー21と、中間ステー22と、を有している。本変形例では、可動ステー16は、可動部11xの裏面11dに固定されている。
可動ステー16は、中間ステー22上に重ねられた状態で、切欠部16b(図3参照)の周縁部が結合具19の頭部と中間ステー22との間に挟まれることによって、中間ステー22ひいては側壁3bに固定される。これにより、可動部11aが固定部11bに対して傾斜した第二位置P2で保持される。
このように、本変形例では、例えば、梯子装置10Dは、トーガード11を第一位置P1に対して180°に満たない回動角度である第二位置P2で保持可能な保持手段40を備えている。
このような構成によれば、例えば、保持手段40によって、より簡単な構成でトーガード11ひいては梯子12を側壁3bに対して交差した姿勢で設置することができる。
[第5変形例]
図22,23は、第5変形例の梯子装置10Eの斜視図であって、図22は、手摺部材50が収納位置P11に位置された状態の図であり、図23は、手摺部材50が突出位置P12に位置された状態の図である。梯子装置10Eは、上記実施形態の梯子装置10と同様の構成を備えている。よって、梯子装置10Eは、当該同様の構成に基づく上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
ただし、本変形例では、図22,23に示されるように、梯子12に手摺部材50が設けられている点が、上記実施形態と相違している。手摺部材50は、梯子12の上端に、Y方向に沿って延びる回転中心Ax9を有した軸52(図25,27参照)を介して、回転可能に支持されている。
手摺部材50は、回転中心Ax9回りに回転することで、梯子12の上端から下方に延びた収納位置P11(図22参照)と、梯子12の上端から上方に延びた突出位置P12(図23参照)と、の間で回動可能である。手摺部材50は、収納位置P11では、梯子12のY方向の両側に重ねられている。なお、手摺部材50は、この例には限定されず、例えば、収納位置P11と突出位置P12との間でZ方向にスライド可能に構成されてもよい。
図24は、手摺部材50の設置方法を説明する斜視図であって、図22の状態と図23の状態との間の状態を示した図である。図25は、手摺部材50の設置方法を説明する斜視図であって、図24の状態よりも後の状態を示した図である。図26は、手摺部材50の設置方法を説明する斜視図であって、図25の状態よりも後の状態を示した図である。
図24に示されるように、梯子12の上端には、手摺部材50を保持する保持金具51が設けられている。保持金具51の後端には、Y方向の中央部側に突出した爪部51a(図27参照)が設けられている。爪部51aは、手摺部材50の後面または前面との当接によって、手摺部材50の収納位置P11または突出位置P12における回転中心Ax9回りの回転を制限(ロック)する。
また、図25にも示されるように、手摺部材50には、軸52が挿入される開口部50aが設けられている。開口部50aは、手摺部材50をY方向に貫通するとともに、当該手摺部材50の長手方向(図25ではZ方向)に延びた長穴である。開口部50aは、軸52を相対的にスライド可能に支持している。開口部50aは、レール等とも称される。
本実施形態では、例えば、手摺部材50を設置する場合、作業者は、まず保持金具51を弾性変形させて爪部51aによる手摺部材50のロックを解除する。そして、手摺部材50を回転中心Ax9回りに、収納位置P11から突出位置P12に向けて回動させる(図25参照)。
次に、開口部50aの下端に位置された軸52が開口部50aの上端に位置されるよう、手摺部材50を下方に押し込む(図26参照)。これにより、手摺部材50が保持金具51に保持され、ひいては突出位置P12でロックされる。なお、手摺部材50を収納する場合には、上述した手順と逆の手順を行うことによって、手摺部材50を収納位置P11でロックすることができる。
このように、本変形例では、例えば、梯子装置10Eは、梯子12に、収納位置P11と、収納位置P11から梯子12よりも上方に突出した突出位置P12と、の間で移動可能に支持された手摺部材50を備えている。
このような構成によれば、例えば、作業者が乗場2から梯子12に乗り込む際に梯子12よりも上方に突出した手摺部材50を掴むことができるため、作業者による梯子12の昇降がより一層容易に、あるいはより一層安全に行われやすい。
なお、手摺部材50は、この例には限定されず、例えば、図27に示される第6変形例のように、突出位置P12においてねじ等の結合具53によって固定されてもよい。結合具53が保持金具51を間に挟んで開口部50aに結合されることにより、手摺部材50がさらに強固に保持され、ひいては手摺部材50のY方向に沿った移動(ガタつき等)を抑制することができる。
また、手摺部材50は、例えば、図28に示される第7変形例のように、Y方向に離間した一対の持ち手部分を連結する連結部材55を有してもよい。これにより、手摺部材50の一対の持ち手部分が連動して収納位置P11と突出位置P12との間で回転中心Ax9回りに回動することができる。なお、連結部材55は、突出位置P12において一対の持ち手部分の前面側の間に亘って設けられることにより、収納位置P11において梯子12の支柱12c等との干渉を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態および変形例が例示されたが、上記実施形態および変形例は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。