以下、図面を参照して、本発明に係る配線結束具の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1及び図2は、本実施形態の配線結束具1の斜視図である。なお、本実施形態の配線結束具1の使用時の重力方向に対する姿勢は特に限定されるものではないが、説明の便宜上、図1及び図2に示すように、上下方向、左右方向及び前後方向を規定する。なお、後述の保持ユニット2aが配列される方向を左右方向とし、折り曲げ前の後述のロック部の数字が形成された面が向く方向を前側、当該前側と反対側を後側、前側と後側とを繋ぐ方向を前後方向とし、左右方向及び前後方向と直交する方向を上下方向としている。図1は、本実施形態の配線結束具1を後側かつ斜め下方から見た斜視図である。また、図2は、本実施形態の配線結束具1を前側かつ斜め上方から見た斜視図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態の配線結束具1は、本体部2と、タグホルダ3(タグ取付部)と、識別部4とを備えている。本実施形態の配線結束具1は、全体が例えばナイロン樹脂等の可撓性を有する材料によって形成されており、本体部2、タグホルダ3及び識別部4が一体的に接続された構造を有している。
本体部2は、複数の保持ユニット2aと隣り合う保持ユニット2a同士を連結する連結部2bとを有している。保持ユニット2aは、各々が配線L1(後述の図7や図8を参照)を保持可能な部位であり、連結部2bを介して左右方向に直線状に複数配列されている。本実施形態の配線結束具1においては、保持ユニット2aは16個設けられている。ただし、保持ユニット2aの数は特に限定されるものではない。本実施形態の配線結束具1が結束しようとする配線が接続される電子機器の端子台には、所定数の端子部が直線状に配列されてなる端子列が1つあるいは複数設けられている。このため、例えば、保持ユニット2aの数は、上記端子列が備える端子部の数に合わせることが考えられる。また、保持ユニット2aの配置間隔については、上記端子列が備える端子部の配置間隔(すなわち配線の配置間隔)に合わせることが好ましい。
図3(a)は1つの保持ユニット2aを後側から見た拡大背面図である。また、図3(b)は図3(a)に示す保持ユニット2aを前側から見た拡大正面図である。また、図4(a)は、図3(a)のA−A断面図である。また、図4(b)は、図3(a)のB−B断面図である。これらの図に示すように、各々の保持ユニット2aは、配線保持部10と、ロック部11と、ヒンジ部12(接続部)とを有している。
配線保持部10は、基部10aと、右アーム部10b(アーム部)と、左アーム部10c(アーム部)と、右突起部10d(突起部)と、左突起部10e(突起部)と、係止爪10fとを有している。基部10aは、右アーム部10b、左アーム部10c及び係止爪10fが固定される部位であり、隣の保持ユニット2aの配線保持部10の基部10aと連結部2bを介して接続されている。つまり、本実施形態の配線結束具1においては、配線保持部10の基部10aに連結部2bが接続されており、隣り合う配線保持部10同士が互いに連結部2bを介して接続されることによって、保持ユニット2a同士が接続されている。
右アーム部10bは、基部10aの右下端に接続されており、基部10aから下方に向けて突出するようにして設けられている。この右アーム部10bは、左アーム部10cとの間に配線L1を収容可能な配線収容空間を形成するように、先端側が根元側に対して右側に膨出するように途中部位が湾曲されている。また、右アーム部10bの先端部には、左側に向けて突出する規制爪10b1が設けられている。この規制爪10b1は、配線収容空間から外に脱しようとする配線L1の移動を配線L1に当接することで規制する。このような右アーム部10bは、規制爪10b1が設けられた先端部よりも、基部10aに接続された根元側が左右方向に対して肉薄に形成されており、根元側を中心として右側に向けて湾曲変形可能とされている。
左アーム部10cは、基部10aの左下端に接続されており、基部10aから下方に向けて突出するようにして設けられている。この左アーム部10cは、右アーム部10bとの間に配線L1を収容可能な配線収容空間を形成するように、先端側が根元側に対して左側に膨出するように途中部位が湾曲されている。また、左アーム部10cの先端部には、右側に向けて突出する規制爪10c1が設けられている。この規制爪10c1は、配線収容空間から外に脱しようとする配線L1の移動を配線L1に当接することで規制する。このような左アーム部10cは、規制爪10c1が設けられた先端部よりも、基部10aに接続された根元側が左右方向に対して肉薄に形成されており、根元側を中心として左側に向けて湾曲変形可能とされている。
これらの右アーム部10bと左アーム部10cは、外側から配線収容空間に配線L1を収容する場合には、互いの先端が離間する方向(右アーム部10bは右側、左アーム部10cは左側)に向けて湾曲変形される。また、右アーム部10bと左アーム部10cは、配線収容空間に収容された配線L1を、規制爪10b1及び規制爪10c1を含めて囲うことによって保持する。つまり、本実施形態の配線結束具1は、配線L1を保持可能な可撓性を有する一対のアーム部(右アーム部10b及び左アーム部10c)を有する配線保持部10を備えている。
なお、図3(a)及び図3(b)に示すように、右アーム部10bに設けられた規制爪10b1は、外部から配線収容部に収容しようとする配線L1が当接される面(当接面10b2)を有している。この当接面10b2は、右アーム部10bの根元側に向かうに連れて左アーム部10cに近づく傾斜面とされている。また、左アーム部10cに設けられた規制爪10c1は、外部から配線収容部に収容しようとする配線L1が当接される面(当接面10c2)を有している。この当接面10c2は、左アーム部10cの根元側に向かうに連れて右アーム部10bに近づく傾斜面とされている。これらの傾斜された当接面10b2及び当接面10c2に配線L1が当接された状態で配線保持部10を配線L1に向けて押し込むことよって、右アーム部10bと左アーム部10cとに互いの先端が離間するように方向に力が作用する。このため、右アーム部10bと左アーム部10cとを容易に湾曲変形させることができ、配線L1を配線収容部に容易に収容することが可能となる。
また、右アーム部10bに設けられた規制爪10b1と、左アーム部10cに設けられた規制爪10c1とは、右アーム部10bと左アーム部10cとが復元形状(外力が作用していない場合の形状)であるときに、保持しようとする配線L1の直径寸法よりも互いの離間距離が短い寸法となるように形状設定されている。このため、配線収容部に収容された配線L1が右アーム部10bの規制爪10b1と左アーム部10cの規制爪10c1との間を意図せずに通過することを抑止することができる。
右突起部10dは、右アーム部10bから後側方向に向けて突設されている。後により詳しく説明するが、本実施形態の配線結束具1では、ロック部11が後側方向から前側方向に向けて配線保持部10に取り付けられる。つまり、右突起部10dは、右アーム部10bから配線保持部10に対するロック部11の取付方向に向けて突設されている。この右突起部10dは、図3(a)に示すように、上下方向に延びて形成されている。図5(a)は、図3(a)のC−C断面に相当する模式図である。この図に示すように、右突起部10dは、右アーム部10bの下部の右側端部に設けられており、右側面が右アーム部10bの右側面と面一となっている。つまり、本実施形態の配線結束具1では、右突起部10dは、右アーム部10bの外側端部に配置されている。また、図3(a)に示すように、右突起部10dの後側方向(すなわち右突起部10dの突出方向)の右先端部に面取加工が施されていることによって案内面10d1が形成されている。この案内面10d1は、ロック部11を配線保持部10に取付ける場合に、ロック部11の後述する右規制アーム部11bが摺動されると共に右規制アーム部11bを僅かに右側に向けて案内する。このような案内面10d1によって、ロック部11を配線保持部10に取付ける場合に、ロック部11の右規制アーム部11bが右突起部10dの角部に引っ掛ることを抑止することができる。
また、左突起部10eは、左アーム部10cから後側方向に向けて突設されている。つまり、左突起部10eは、左アーム部10cから配線保持部10に対するロック部11の取付方向に向けて突設されている。この左突起部10eは、図3(a)に示すように、上下方向に延びて形成されている。また、図5(a)に示すように、左突起部10eは、左アーム部10cの下部の左側端部に設けられており、左側面が左アーム部10cの左側面と面一となっている。つまり、本実施形態の配線結束具1では、左突起部10eは、左アーム部10cの外側端部に配置されている。また、図3(a)に示すように、左突起部10eの後側方向(すなわち左突起部10eの突出方向)の右先端部に面取加工が施されていることによって案内面10e1が形成されている。この案内面10e1は、ロック部11を配線保持部10に取付ける場合に、ロック部11の後述する左規制アーム部11cが摺動されると共に左規制アーム部11cを僅かに左側に向けて案内する。このような案内面10e1によって、ロック部11を配線保持部10に取付ける場合に、ロック部11の左規制アーム部11cが左突起部10eの角部に引っ掛ることを抑止することができる。
係止爪10fは、図4(a)及び図4(b)に示すように、基部10aの上端部から基部10aの後側の面よりも後側に突出して設けられている。この係止爪10fは、配線保持部10に装着されたロック部11に対して係止され、配線保持部10に対するロック部11の移動を規制する。なお、係止爪10fの下面は、後側に向かうに連れて下方に移動するように傾斜されている。この係止爪10fの下側にロック部11が潜り込むように配置された状態で、係止爪10fがロック部11に対して係止される。このようにロック部11が係止爪10fに係止されることによって、ロック部11が斜め上方から配線保持部10に向けて押さえ付けられるようにして固定される。
ロック部11は、ヒンジ部12を介して配線保持部10に対して回動可能に接続されている。このロック部11は、基部11aと、右規制アーム部11bと、左規制アーム部11cとを有している。基部11aは、右規制アーム部11bと左規制アーム部11cとを支持しており、図3(a)及び図3(b)に示すように、ヒンジ部12が下端部に接続されている。また、基部11aの下端部には、凹部11a1が形成されている。この凹部11a1は、ヒンジ部12を中心としてロック部11を回動させた場合に、配線保持部10の係止爪10fとの干渉を避けるための空間を形成している。このような基部11aにおいて、凹部11a1を挟んで係止爪10fと対向した箇所に位置する縁部は、係止爪10fが係止される被係止縁部11a2となっている。基部11aは、ロック部11がヒンジ部12を中心として回動されて配線保持部10に当接する際に、係止爪10fの極先端のみが被係止縁部11a2に干渉するように形状設定されている。
また、基部11aの前側の面には、数字11a3が付されている。この数字11a3は、他のロック部11と異なるものが付されている。本実施形態の配線結束具1においては、16個の保持ユニット2aを有しており、最も左側の保持ユニット2aの基部11aから順に連番で異なる数字(「1」〜「16」)が付されている。
右規制アーム部11bは、基部11aの右上端に接続されており、基部11aから後側方向に突出して設けられている。この右規制アーム部11bは、ロック部11がヒンジ部12を中心として回動されて配線保持部10に当接する際に、配線保持部10の右突起部10dの右側端部と当接される。また、右規制アーム部11bは、ロック部11が配線保持部10に装着された後は、配線保持部10の右アーム部10bに対して右側から当接し、右アーム部10bの変形を規制する。図5(b)は、図3(a)のD−D断面に相当する模式図である。この図に示すように、右規制アーム部11bは、基部11a側の根元部分よりも先端部が左右方向に薄肉化されることによって、左規制アーム部11c側に段部11b1が形成されている。これによって、右規制アーム部11bは、左規制アーム部11c側に、後側方向(左規制アーム部11cの先端側)に向けられた面を有している。この面は、ロック部11が配線保持部10に装着された場合に、配線保持部10の右突起部10dの後側に向く面に当接する当接面11b2として機能する。このような当接面11b2が配線保持部10の右突起部10dに当接することによって、ロック部11が配線保持部10に対して位置決めされる。
左規制アーム部11cは、基部11aの左上端に接続されており、基部11aから後側方向に突出して設けられている。この左規制アーム部11cは、ロック部11がヒンジ部12を中心として回動されて配線保持部10に当接する際に、配線保持部10の左突起部10eの左側端部と当接される。また、左規制アーム部11cは、ロック部11が配線保持部10に装着された後は、配線保持部10の左アーム部10cに対して左側から当接し、左アーム部10cの変形を規制する。図5(b)に示すように、左規制アーム部11cは、基部11a側の根元部分よりも先端部が左右方向に薄肉化されることによって、右規制アーム部11b側に段部11c1が形成されている。これによって、左規制アーム部11cは、右規制アーム部11b側に、後側方向(右規制アーム部11bの先端側)に向けられた面を有している。この面は、ロック部11が配線保持部10に装着された場合に、配線保持部10の左突起部10eの後側に向く面に当接する当接面11c2として機能する。このような当接面11c2が配線保持部10の左突起部10eに当接することによって、ロック部11が配線保持部10に対して位置決めされる。
このようなロック部11は、ヒンジ部12を中心として図4(a)及び図4(b)の仮想線で示すように配線保持部10に対して回動可能とされ、配線保持部10に対して着脱可能とされている。このようなロック部11は、配線保持部10の上方に位置する姿勢(図4(a)及び図4(b)の実線で示す姿勢)を開放姿勢とし、この開放姿勢から回動されて配線保持部10に装着される装着姿勢まで姿勢変更可能とされている。ロック部11を開放姿勢から装着姿勢に向けて回動させると、まずロック部11の基部10aの被係止縁部11a2が配線保持部10の係止爪10fの極先端に干渉する。さらに、ロック部11を装着姿勢に向けて押し込むと、係止爪10fと被係止縁部11a2とのいずれかあるいは両方が弾性変形することによって、係止爪10fが被係止縁部11a2を乗り越え、これによって係止爪10fが被係止縁部11a2に係止される。
また、係止爪10fが被係止縁部11a2を乗り越えてからロック部11が装着姿勢に向かう場合に、ロック部11の右規制アーム部11bは、配線保持部10の右突起部10dの右側端部に当接し、案内面10d1に案内されることによって、配線保持部10の右アーム部10bの右側に進入する。さらに、係止爪10fが被係止縁部11a2を乗り越えてからロック部11が装着姿勢に向かう場合に、ロック部11の左規制アーム部11cは、配線保持部10の左突起部10eの左側端部に当接し、案内面10e1に案内されることによって、配線保持部10の左アーム部10cの左側に進入する。このため、ロック部11が装着姿勢となった場合には、配線保持部10の右アーム部10bの右側に進入したロック部11の右規制アーム部11bは、右アーム部10bが変形することを規制する。また、ロック部11が装着姿勢となった場合には、配線保持部10の左アーム部10cの左側に進入したロック部11の左規制アーム部11cは、左アーム部10cが変形することを規制する。したがって、ロック部11が配線保持部10に装着されると、右アーム部10bと左アーム部10cとの間を配線L1が通過することができなくなる。
ヒンジ部12は、配線保持部10の基部10aとロック部11の基部11aとを接続しており、上述のようにロック部11を配線保持部10に対して回動可能に接続している。このヒンジ部12は、配線保持部10の基部10aとロック部11の基部11aよりも前後方向に対して薄肉化されており、容易に弾性変形可能とされている。このようなヒンジ部12は、左右方向に沿った回動軸芯を中心として、ロック部11を配線保持部10に対して回動可能に接続している。
図6は、本実施形態の配線結束具1の配線保持部10を上方から見た部分拡大図である。この図に示すように、連結部2bは、上方から見て略U型形状とされており、隣り合う保持ユニット2a同士を接続している。この連結部2bは、上述のようにナイロン樹脂等によって形成されており、可撓性を有している。このため、図6の仮想線で示すように、保持ユニット2aを隣接する保持ユニット2aに対して容易に傾動させることができる。また、本実施形態の配線保持部10では、全ての保持ユニット2a同士が可撓性を有する連結部2bで接続されているため、保持ユニット2a及び連結部2bを含む本体部2の全体を容易に湾曲させることができる。このため、例えば配線全体が大きくカーブしているような場合でも、柔軟に本体部2を変形させて、保持ユニット2aに配線L1を保持させることができる。
図1及び図2に戻り、タグホルダ3は、本体部2の左側端部に接続された円環状の部位である。このタグホルダ3は、作業者が必要に応じてタグを取り付ける箇所である。なお、タグホルダ3の形状は円環状に限定されるものではない。識別部4は、本体部2の右側端部に接続されており、記入可能な記入スペースを有する記入部4aと、記入部4aに切り離し可能に接続された複数(本実施形態では3つ)の記号部4bとを有している。記入部4aは、作業者が必要に応じて文字等を記入可能な記入スペースを有している。また、各々の記号部4bは、他の記号部4bと異なる英字が記載されている。このような記号部4bを作業者が必要に応じて切り離すことによって、複数の配線結束具1を用いる場合に、配線結束具1の別を容易に認識することが可能となる。
続いて、このような本実施形態の配線結束具1を用いた電子機器の交換作業について説明する。図7は、本実施形態の配線結束具1を用いて交換作業が行われる電子機器Xを含む模式図である。以下の説明では、図7に示す電子機器Xの交換作業を一例として説明する。ただし、本実施形態の配線結束具1は、図7に示す電子機器Xの交換作業のみに限定して用いられるものではない。
電子機器Xは、端子台Yを備えている。端子台Yには、16個の端子部Y1aが直線状に配列されてなる端子列Y1が設けられている。この端子列Y1には、複数の配線L1からなる配線列Lが接続されている。なお、図7に示すように、端子列Y1を構成する端子部Y1aのうち、一方側(タグホルダ3が配置されている側)から順に、2番目、3番目、4番目、5番目、7番目、8番目、9番目、10番目、12番目、14番目及び15番目に配線L1が接続されている。つまり、端子部Y1aのうち、1番目、6番目、11番目、13番目、16番目には配線L1が接続されていない。本実施形態の配線結束具1は、このような端子列Y1に接続される、1番目、6番目、11番目、13番目、16番目の配線L1が存在しない配線列Lの配線レイアウトを保持したまま、電子機器Xの交換作業を行うものである。
まず、図8(a)に示すように、ロック部11が開放姿勢とされた状態で、配線結束具1の配線保持部10を配線L1の軸芯方向と直交する方向から取り付ける。ここでは、右アーム部10bと左アーム部10cと間に配線L1を押し当て、配線結束具1を配線L1に向けて押し込む。これによって、右アーム部10bと左アーム部10cとが湾曲変形し、配線L1が右アーム部10bと左アーム部10cとの間を通過する。配線L1が右アーム部10bと左アーム部10cとの間を通過すると、右アーム部10bと左アーム部10cとが元の形状に復元し、図8(b)に示すように、配線保持部10に配線L1が保持された状態となる。
続いて、図8(c)に示すように、ロック部11を装着姿勢となるまで回動させる。これによって、上述したように配線保持部10の係止爪10fがロック部11の被係止縁部11a2に係止され、ロック部11が配線保持部10に対して固定される。このようなロック部11が配線保持部10に対して装着されることにより、右アーム部10bと左アーム部10cとの変形が規制され、配線L1が配線保持部10から外れることを防止することができる。
そして、全ての配線L1に対して、配線保持部10を取り付けると共に、配線保持部10にロック部11を装着する。このとき、保持ユニット2a(すなわち配線保持部10)の配置間隔が端子部Y1aの配置間隔と等間隔であることにより、図7に示すように、配線L1が接続された端子部Y1aの位置に合わせた箇所の保持ユニット2aに対して配線L1が保持されることになる。つまり、本実施形態においては、2番目、3番目、4番目、5番目、7番目、8番目、9番目、10番目、12番目、14番目及び15番目の保持ユニット2aに対して配線L1が保持される。
そして、配線L1を端子部Y1aから取り外し、電子機器Xを交換した後、交換後の電子機器Xの端子台Yに対して配線L1を接続する。このとき、配線列Lの配線レイアウトが本実施形態の配線結束具1によって保たれているため、交換後の電子機器Xの端子台Yに対して、配線列Lを容易かつ確実に接続することができる。その後、上記動作と逆の動作を行ってロック部11を開放姿勢に戻すことにより、本実施形態の配線結束具1を配線列Lから容易に取り外すことができる。
また、例えば、配線列Lを構成する配線L1のうち、いずれかのみを交換する場合には、交換対象の配線L1が保持された保持ユニット2aのロック部11のみを配線保持部10から取り外すことによって、その配線L1のみを他の配線L1のレイアウトを破壊することなく容易に交換することができる。
以上のような本実施形態の配線結束具1によれば、配線保持部10が有する一対のアーム部(右アーム部10b及び左アーム部10c)が可撓性を有している。このため、配線保持部10に対して配線L1を容易に着脱することができる。さらに、本実施形態の配線結束具1によれば、ロック部11を装着することによって、右アーム部10b及び左アーム部10cの変形が規制される。このため、ロック部11を配線保持部10に装着することによって配線L1が配線保持部10から外れることを防止することができる。つまり、本実施形態の配線結束具1によれば、ロック部11を配線保持部10に装着することで配線列Lを構成する配線L1のレイアウトを確実に保つことができ、ロック部11を配線保持部10から脱離することで配線列Lに対して容易に着脱しかつ配線L1の個別交換を容易に実施することが可能となる。
また、本実施形態の配線結束具1においては、ロック部11を配線保持部10に対して回動可能に接続したヒンジ部12を有している。このため、本実施形態の配線結束具1を、ロック部11を含めた1つの部品とすることができる。このため、作業中にロック部11を紛失することを防止することができ、ロック部11を確実に配線保持部10に装着することができる。さらに、本実施形態の配線結束具1は、配線保持部10ごとにロック部11が設けられている。このため、配線保持部10ごとにロック状態を解除することができ、配線L1の個別交換を容易に行うことが可能となる。
また、本実施形態の配線結束具1においては、配線保持部10が、連結部2bが接続された基部10aと、基部10aに根元が接続されると共に互いの先端が離間する方向に湾曲変形可能な一対のアーム部(右アーム部10b及び左アーム部10c)とを有している。さらに、ロック部11が、ヒンジ部12を介して基部10aのアーム部(右アーム部10b及び左アーム部10c)と反対側の端部に接続されている。さらに、ヒンジ部12が、右アーム部10bと左アーム部10cとの先端が離間する方向に沿った回動軸芯を中心として、ロック部11を配線保持部10に対して回動可能に接続している。このため、本実施形態の配線結束具1によれば、ヒンジ部12を中心にロック部11を回動させるのみで、ロックの状態を変更することが可能となる。
また、本実施形態の配線結束具1においては、配線保持部10が、右アーム部10bから配線保持部10に対するロック部11の取付方向に向けて突設され、右アーム部10bの外側端部に設けられた右突起部10dを有している。また、配線保持部10が、左アーム部10cから配線保持部10に対するロック部11の取付方向に向けて突設され、左アーム部10cの外側端部に設けられた左突起部10eを有している。このため、右アーム部10b及び左アーム部10cの全体を厚くすることなく、配線保持部10とロック部11との当接箇所を広く確保することができる。このため、右アーム部10b及び左アーム部10cの全体を厚くする場合よりも、配線保持部10の体積を減少させ、製造時のヒケ等による変形を抑止することができる。
また、本実施形態の配線結束具1においては、配線保持部10、ロック部11及びヒンジ部12は、同一材料により一体的に形成されている。さらには、連結部2b、タグホルダ3及び識別部4も同一材料により一体的に形成されており、配線結束具1の全体が同一材料によって形成されている。このため、射出成形等によって本実施形態の配線結束具1を容易に製造することができる。
また、本実施形態の配線結束具1においては、連結部2bが可撓性を有している。このため、保持ユニット2aを隣接する保持ユニット2aに対して容易に傾動させることができる。したがって、配線列Lに含まれる配線L1の径が異なる場合や、配線L1の配置間隔に乱れがある場合であっても、柔軟に本体部2を変形させて、保持ユニット2aに配線L1を保持させることができる。また、連結部2bが可撓性を有しているため、配線列Lから配線L1を1本のみ外すことや、配線列Lに1本のみ配線L1を追加する作業を容易に行うことができる。
また、本実施形態の配線結束具1においては、配線保持部10が、配線保持部10に装着されたロック部11に係止される係止爪10fを備えている。このため、係止爪10fがロック部11に係止されることによってロック部11を配線保持部10に対して確実に固定することができる。
また、本実施形態の配線結束具1においては、右アーム部10bが、保持した配線L1に当接しかつ配線L1の移動を規制する規制爪10b1を有している。また、左アーム部10cが、保持した配線L1に当接しかつ配線L1の移動を規制する規制爪10c1を有している。このため、規制爪10b1及び規制爪10c1によって、意図せずに右アーム部10bと左アーム部10cと間から配線L1が外れることを防止することができる。
また、本実施形態の配線結束具1においては、各々のロック部11に対して他のロック部11と異なる記号(数字11a3)が付されている。このため、本実施形態のように配線L1が部分的に抜けた配線列Lであっても、端子台Yから取り外した後に、どの部分が抜けた配線部分であるかを容易に認識することができる。
また、本実施形態の配線結束具1においては、タグホルダ3と、記入部4aを有する識別部4とを備えている。このため、複数の配線列Lが端子台Yに接続されている場合であっても、取り外し後にどの配線列Lの種類を容易に識別することが可能となる。
また、例えば、配線結束具としては、配線L1の配列方向にスライド可能な2つの部品を設け、各々の部品に対して配線L1の数に合わせたアーム部を設ける構成も考えられる。このような構成では、1つの部品をスライドさせることで、全ての配線L1を挟持することで配線L1を結束する。ただし、このような構成である場合には、大きな部品を2つ備えることになり、製造コストが増大する。また、配線列Lを保持した後に、配線L1を個別交換することができない。これに対して、本実施形態の配線結束具1によれば、上述のように1部品とすることができ、また配線L1の個別交換が可能となっている。
また、1つの配線列Lを構成する配線L1の全てを一度に挟持するクリップ状の配線結束具を用いることも考えられる。しかしながら、このようなクリップ状の配線結束具は、全ての配線L1を一度に挟み込む必要があることから、クリップ部が大型化する。このため、例えば端子台Yが端子列Y1を有している場合には、保持しようとする配線列Lと異なる配線列Lにクリップ部が干渉し、配線列Lを保持できなくなる可能性がある。これに対して、本実施形態の配線結束具1によれば、ロック部11の移動範囲が狭いため、端子台Yが他の端子列Y1を有していても、問題なく対象の配線列Lを保持することが可能となる。
また、配線結束具としては、配線L1の圧着端子を引っ掛ける突起部を有するものも考えられる。しかしながら、このような場合には、配線L1を1つずつ端子台Yから取り外し、配線結束具に付け替える必要があり、作業が煩雑化する。これに対して、本実施形態の配線結束具によれば、端子台Yに接続された状態のまま、全ての配線L1をまとめて保持することができるため、作業が簡素化される。
また、配線結束具としては、単に本実施形態の配線保持部10が連結され、ロック部11を備えない構成のカラーを用いることも考えられる。しかしながら、このような場合には、配線L1を端子台Yから取り外した後に、配線結束具から容易に配線L1が脱離してしまうため、配線レイアウトを保つことが困難となる。これに対して、本実施形態の配線保持部10によれば、ロック部11を備えるため、配線レイアウトを確実に保つことが可能となる。
また、配線結束具として、配線保持部10の剛性を高めて保持力を向上させる共に、配線保持部10の開閉を容易とするための摘み部を設ける構成を採用することも考えられる。この場合には、ロック部11を省略できるものの、ロック部11を備える場合と比較すると配線保持部10での保持力が低いため、配線レイアウトを確実に保つことは難しい。
また、配線結束具として、側方から配線の着脱を行うカラビナ型の配線保持部を備える構成を採用することも考えられる。しかしながら、このような場合には、配線L1の配置間隔が広くないと配線保持部に配線を着脱することができない。これに対して、本実施形態の配線結束具1によれば、配線L1の配置間隔が短くても容易に配線L1を配線保持部10に対して着脱することができる。一般的に、電子機器Xにおいては、筐体のカバーを開けた位置に、配線列が平面状に並べられている。このため、本実施形態の配線結束具1によれば、筐体のカバーを開けた正面側からそのまま筐体の内部に差し入れることで、全ての配線L1を保持することができる。このため、本実施形態の配線結束具1によれば、容易に配線L1に着脱を行うことができる。
また、配線結束具として、配線保持部10の先端に向けてスライドさせることによって、全ての配線保持部10のアーム部を閉じるロック部を用いる構成を採用することも考えられる。このような構成である場合には、ロック部が別部品となることで、製造コストが増大する。また、配線列Lを保持した後に、配線L1を個別交換することができない。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、ヒンジ部12を介してロック部11が配線保持部10に回動可能に接続された構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ロック部11と配線保持部10とは別体とされ、配線保持部10からロック部11を脱離可能な構成としても良い。
また、上記実施形態においては、配線結束具1の全体が同一材料により一体的に形成された構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、連結部2bのみ合成ゴムとする等、部分的に異種材料を用いることも可能である。
また、上記実施形態においては、ヒンジ部12によってロック部11が配線保持部10の上端部に接続された構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図9の変形例に示すように、ロック部11が配線保持部10の下端部にヒンジ部12を介して回動可能に接続された構成を採用することも可能である。なお、図9(a)は、本変形例においてロック部11が装着姿勢とされた状態を示す斜視図である。また、図9(b)は、本変形例においてロック部11が開放姿勢とされた状態を示す斜視図である。ただし、配線L1を保持している場合には、図9(b)に示すように、ロック部11を十分に広く回動させることはできない。このため、上記実施形態の配線結束具1のように、ヒンジ部12によってロック部11が配線保持部10の上端部に接続された構成の方が作業性は良い。
また、上記実施形態においては、電子機器Xの交換の際に本実施形態の配線結束具1を治具として用いる形態について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電子機器Xに接続された複数の配線L1を結束するために、恒久的に配線結束具を取り付けておく使用形態で用いることも可能である。このような場合には、通常時においてはロック部11を装着姿勢としておくことで配線レイアウトを保ち、配線L1の交換を行う際にロック部11を開放姿勢として配線L1を個別交換するように用いる。
また、上記実施形態においては、1つの電子機器Xに接続される複数の配線L1を結束するために配線結束具1を用いた。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、異なる電子機器Xに接続された複数の配線L1を結束するために用いることも可能である。