図1は、本発明の実施例としての処理装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。図2は、モータMG1,MG2を含む電機駆動系の構成の概略を示す構成図である。図3は、モータECU40の構成の概略を説明するための説明図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図1に示すように、エンジン22と、プラネタリギヤ30と、モータMG1,MG2と、インバータ41,42と、バッテリ50と、昇降圧コンバータ55と、システムメインリレー56と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70と、を備える。
エンジン22は、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力する内燃機関として構成されている。このエンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24によって運転制御されている。
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM,データを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。
エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号、例えば、エンジン22のクランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ23からのクランク角θcrなどが入力ポートから入力されている。
エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。エンジンECU24は、クランクポジションセンサ23からのクランク角θcrに基づいてエンジン22の回転数Neを演算している。
プラネタリギヤ30は、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されている。プラネタリギヤ30のサンギヤには、モータMG1の回転子が接続されている。プラネタリギヤ30のリングギヤには、駆動輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動軸36が接続されている。プラネタリギヤ30のキャリヤには、ダンパ28を介してエンジン22のクランクシャフト26が接続されている。
モータMG1は、例えば同期発電電動機として構成されており、上述したように、回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されている。モータMG2は、例えば同期発電電動機として構成されており、回転子が駆動軸36に接続されている。インバータ41,42は、モータMG1,MG2と接続されると共に高電圧側電力ライン54aに接続されている。モータMG1,MG2は、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40によって、インバータ41,42の図示しない複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。
昇降圧コンバータ55は、インバータ41,42が接続された高電圧側電力ライン54aと、バッテリ50が接続された低電圧側電力ライン54bと、に接続されている。この昇降圧コンバータ55は、2つのスイッチング素子S1,S2と、リアクトルLと、を有する。スイッチング素子S1は、トランジスタT31と、トランジスタT31に逆方向に並列接続されたダイオードD31と、を備えている。スイッチング素子S1は、高電圧側電力ライン54aの正極側ラインに接続されている。スイッチング素子S2は、トランジスタT32と、トランジスタT32に逆方向に並列接続されたダイオードD32と、を備えている。スイッチング素子S2は、スイッチング素子S1と、高電圧側電力ライン54aおよび低電圧側電力ライン54bの負極側ラインと、に接続されている。リアクトルLは、スイッチング素子S1,S2同士の接続点と、低電圧側電力ライン54bの正極側ラインと、に接続されている。昇降圧コンバータ55は、モータECU40によってトランジスタT31,T32のオン時間の割合が調節されることにより、低電圧側電力ライン54bの電力を昇圧して高電圧側電力ライン54aに供給したり、高電圧側電力ライン54aの電力を降圧して低電圧側電力ライン54bに供給したりする。高電圧側電力ライン54aの正極側ラインと負極側ラインとには、平滑用のコンデンサ57が取り付けられており、低電圧側電力ライン54bの正極側ラインと負極側ラインとには、平滑用のコンデンサ58が取り付けられている。
モータECU40は、図3に示すように、モータ制御マイクロコンピュータ(以下、「モータ制御マイコン」という)40aと、昇圧制御マイクロコンピュータ(以下、「昇圧制御マイコン」という)40bと、水晶発振子40c,40fと、発振用電源40d,40eと、瞬断回路40gと、監視IC40hと、を備える。
モータ制御マイコン40aは、CPU(図示せず)を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM,データを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポート(いずれも図示せず),発振回路OSC1,を備える。発振回路OSC1は、発振用電源40dからの電力V5D1で駆動する。発振回路OSC1は、水晶発振子40cが正常に発振しているときには、水晶発振子40cからの外部クロック信号CLK1を用いて周波数f1の内部クロック信号を生成する通常動作モードで動作し、水晶発振子40cに何らかの異常が発生しているときには、図示しない自励発振器からの発振信号を用いて周波数f1より遅い周波数f2の内部クロック信号を生成する自励発振モードで動作する。発振回路OSC1により生成された内部クロック信号は、図示しないCPUやROM,RAMなどに供給される。
モータ制御マイコン40aには、モータMG1,MG2を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。モータ制御マイコン40aに入力される信号としては、例えば、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの回転位置θm1,θm2を挙げることができる。また、監視IC40hからのリセット信号RESET1や後述する昇圧制御マイコン40bからのタイマ信号WDT3も挙げることができる。
モータ制御マイコン40aからは、インバータ41,42の図示しないスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。モータ制御マイコン40aは、昇圧制御マイコン40bやHVECU70と通信ポートを介して接続されている。モータ制御マイコン40aは、回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を演算している。モータ制御マイコン40aは、昇圧制御マイコン40bからのタイマ信号WDT3の周期T3を計測している。
モータ制御マイコン40aは、内部クロック信号をカウントして、内部クロック信号のカウント値が所定値(例えば、値100,値200,値300など)となる毎にカウント値をクリアするウォッチドッグタイマとしても機能する。モータ制御マイコン40aは、ウォッチドッグタイマとして機能する際に、内部クロック信号をカウントしている間はハイとなり、カウント値がクリアされるとローとなり、クリアされた後に再びカウントを始めるとハイとなるタイマ信号WDT1,WDT2を出力ポートを介して出力している。
昇圧制御マイコン40bは、CPU(図示せず)を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理ログラムを記憶するROM,データを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポート(いずれも図示せず),発振回路OSC2を備える。発振回路OSC2は、発振用電源40eからの電力V5D2で駆動し、水晶発振子40fが正常に発振しているときには、水晶発振子40fからの外部クロック信号CLK2を用いて周波数f1の内部クロック信号を生成する通常動作モードで動作し、水晶発振子40fに何らかの異常が発生しているときには、図示しない自励発振器からの発振信号を用いて周波数f1より遅い周波数f2の内部クロック信号を生成する自励発振モードで動作する。発振回路OSC2により生成された内部クロック信号は、図示しないCPUやROM,RAMなどが動作する際のクロック信号として用いられる。
昇圧制御マイコン40bには、昇降圧コンバータ55を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。昇圧制御マイコン40bに入力される信号としては、例えば、コンデンサ57の端子間に取り付けられた電圧センサ57aからのコンデンサ57の電圧(高電圧側電力ライン54aの電圧)VHやコンデンサ58の端子間に取り付けられた電圧センサ58aからのコンデンサ58の電圧(低電圧側電力ライン54bの電圧)VL,リアクトルLの電流を検出する電流センサ55aからのリアクトル電流ILも挙げることができる。昇圧制御マイコン40bに入力される信号としては、モータ制御マイコン40aからのタイマ信号WDT2も挙げることができる。
昇圧制御マイコン40bからは、昇降圧コンバータ55のトランジスタT31,T32へのスイッチング制御信号やウォッチドッグタイマからのタイマ信号WDT3などが出力ポートを介して出力されている。昇圧制御マイコン40bは、モータ制御マイコン40aからのタイマ信号WDT2の周期T2を計測している。
昇圧制御マイコン40bは、内部クロック信号をカウントして、内部クロック信号のカウント値が所定値(例えば、値100,値200,値300など)となる毎にカウント値をクリアするウォッチドッグタイマとしても機能する。昇圧制御マイコン40bは、ウォッチドッグタイマとして機能する際に、内部クロック信号をカウントしている間はハイとなり、カウント値がクリアされるとローとなり、クリアされた後に再びカウントを始めるとハイとなるタイマ信号WDT3を出力ポートを介して出力している。
発振用電源40d,40eは、図示しない低電圧バッテリから供給される低圧電力による作動する電源用電子制御ユニット(以下、「電源ECU」という)からの所定電圧(例えば、3.3V,5Vなど)の電力をモータ制御マイコン40a,昇圧制御マイコン40bの発振回路OSC1,OSC2に供給している。なお、低電圧バッテリは、図示しないDC/DCコンバータを介してバッテリ50に接続されている。
瞬断回路40gは、図示しない電源ECUから発振用電源40dへの電力ラインに取り付けられている。瞬断回路40gは、昇圧制御マイコン40bにより制御されることにより、発振用電源40dから発振回路OSC1への電力の供給および電力の供給の遮断を行なう。
監視IC40hは、モータ制御マイコン40aからのタイマ信号WDT1の周期T1を計測している。
バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、低電圧側電力ライン54bに接続されている。このバッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52によって管理されている。
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM,データを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。バッテリECU52に入力される信号としては、例えば、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサからの電池電圧Vbやバッテリ50の出力端子に取り付けられた電流センサからの電池電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサからの電池温度Tbを挙げることができる。バッテリECU52は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。バッテリECU52は、電流センサからの電池電流Ibの積算値に基づいて蓄電割合SOCを演算している。蓄電割合SOCは、バッテリ50の全容量に対するバッテリ50から放電可能な電力の容量の割合である。
システムメインリレー56は、低電圧側電力ライン54bにおけるコンデンサ58よりもバッテリ50側に設けられている。このシステムメインリレー56は、HVECU70によってオンオフ制御されることにより、バッテリ50と昇降圧コンバータ55側との接続および接続の解除を行なう。
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM,データを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。
HVECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70に入力される信号としては、例えば、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号や、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPを挙げることができる。また、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vも挙げることができる。
HVECU70は、上述したように、エンジンECU24,モータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20では、ハイブリッド走行モード(HV走行モード),電動走行モード(EV走行モード),フェールセーフ走行モードなどの走行モードで走行する。HV走行モードは、エンジン22の運転とモータMG1,MG2の駆動とを伴って走行する走行モードである。EV走行モードは、エンジン22を運転停止すると共にモータMG2を駆動して走行する走行モードである。フェールセーフ走行モードは、主として、車両に何らかの異常が生じたときの走行モードである。フェールセーフ走行モードとしては、モータドライブ走行モード(MD走行モード)と、昇圧レス走行モードと、がある。MD走行モードは、エンジン22の始動を禁止してモータMG2のみを駆動して走行する走行モードである。昇圧レス走行モードは、昇降圧コンバータ55のトランジスタT31,T32のうちトランジスタT31をオンで固定すると共にトランジスタT32をオフで固定して昇降圧コンバータ55による昇圧動作を行なわずにエンジン22やモータMG1,MG2を駆動して走行する走行モードである。
また、実施例のハイブリッド自動車20では、昇圧制御マイコン40bの動作をモータ制御マイコン40aで監視している。モータ制御マイコン40aは、昇圧制御マイコン40bからのタイマ信号WDT3の周期T3を計測し、周期T3が所定周期Trefを超えるときには、昇圧制御マイコン40bに何らかの異常が生じたと判断して、昇圧制御マイコン40bにリセット信号RESET2を出力する。リセット信号RESET2を受信した昇圧制御マイコン40bは、内部のRAMを初期状態に戻すと共に起動処理をやり直す(リセットする)処理を実行する。ハイブリッド自動車20は、昇圧制御マイコン40bのみがリセットされたときには、昇圧レス走行モードで走行する。
さらに、実施例のハイブリッド自動車20では、モータECU40のモータ制御マイコン40aと昇圧制御マイコン40bとの間では、調歩同期式の通信でデータをやり取りしている。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、昇圧制御マイコン40bでモータ制御マイコン40aの動作を監視する際の動作について説明する。図4は、昇圧制御マイコン40bにより実行される監視処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。本ルーチンは、モータ制御マイコン40aから昇圧制御マイコン40bにタイマ信号WDT2が入力されたときに実行される。なお、監視IC40hからのリセット信号RESETは、計測したタイマ信号WDT1の周期T1が、モータ制御マイコン40aの発振回路OSC1が通常動作モードで動作しているときにおけるタイマ信号WDT1の周期と同一またはそれより若干長い所定周期Trefを超えたときに、すなわち、モータ制御マイコン40aに何らかの異常が生じたときに出力される。
本ルーチンが実行されると、昇圧制御マイコン40bは、モータ制御マイコン40aの発振回路OSC1が自励発振モードで動作しているか否かを判定する処理を実行する(ステップS100)。この処理では、モータ制御マイコン40aからのタイマ信号WDT2の周期T2が所定周期T2ref以上である第1条件と、モータ制御マイコン40aとの通信に異常が生じている第2条件と、の2つの条件が共に成立しているときに、発振回路OSC1が自励発振モードで動作していると判定する。所定周期T2refは、モータ制御マイコン40aの発振回路OSC1が自励発振モードで動作しているときにおけるタイマ信号WDT2の周期と同一またはそれより若干長い周期として予め定めれた値である。昇圧制御マイコン40bとモータ制御マイコン40aとの通信の異常は、データの受信側となったマイコンで演算したサム値と送信側のマイコンでの演算値とが一致していないときや、受信側となったマイコンで所定期間内にストップビットが受信できないオーバーランが発生したときに、異常が生じていると判定している。
ステップS100の処理で発振回路OSC1が自励発振モードで動作していないと判定されたときには、水晶発振子40cの異常とは異なる何らかの異常がモータ制御マイコン40aに発生していると判断して、モータ制御マイコン40aにリセット要求信号を出力し(ステップS110)、本ルーチンを終了する。モータ制御マイコン40aは、リセット要求信号RREQを入力すると、車両停止指令をHVECU70に送信し、内部の回路を初期状態に戻す(リセットする)処理を実行する。車両停止指令を受信したHVECU70は、車両を停止するための各種処理を実行する。こうした処理により、モータ制御マイコン40aをリセットすると共に車両を停止することができる。
ステップS100の処理で発振回路OSC1が自励発振モードで動作していると判定されたときには、発振用電源40dから発振回路OSC1への電力V5D1の供給が瞬断されるように瞬断回路40gを制御する(ステップS120)。このとき、各種故障診断に用いるために、電圧センサ57aからのコンデンサ57の電圧(高電圧側電力ライン54aの電圧)VHをRAMなどに記憶してもよい。
続いて、モータ制御マイコン40aの発振回路OSC1が通常動作モードへ復帰したか否かを判定する(ステップS130)。この判定は、モータ制御マイコン40aからのタイマ信号WDT2の周期T2が所定周期T2refを中心とする所定範囲TA内の周期である第3条件が成立し、且つ、ステップS100の処理で用いた第2条件が成立しないときに、発振回路OSC1が自励発振モードから通常動作モードへ復帰したと判定する。所定範囲TAは、モータ制御マイコン40aの発振回路OSC1が通常動作モードと復帰したと判定できるタイマ信号WDT2の周期T2の範囲であり、例えば、周期(T2−0.1・T2)から周期(T2+0.1・T2)の範囲などとしてもよい。
ステップS130の処理でモータ制御マイコン40aの発振回路OSC1が通常動作モードへ復帰していないと判定されたときには、発振回路OSC1の電源を落としても水晶発振子40cの異常が解消されていないと判断して、ステップS110の処理へ進み、リセット要求信号RREQをモータ制御マイコン40aへ出力し(ステップS110)、本ルーチンを終了する。これにより、モータ制御マイコン40aをリセットすると共に車両を停止することができる。
ステップS130の処理でモータ制御マイコン40aの発振回路OSC1が自励発振モードから通常動作モードへ復帰したと判定されたときには、ステップS120の処理を実行することにより水晶発振子40cの異常が解消されたと判断して、FS要求FSREQをモータ制御マイコン40aへ出力して(ステップS140)、本ルーチンを終了する。FS要求FSREQを入力したモータ制御マイコン40aは、FS走行指令をHVECU70に送信する。FS走行指令を受信したHVECU70は、上述したフェールセーフ走行で車両を走行させるための各種処理を実行する。これにより、モータ制御マイコン40aをリセットせずに車両を走行させることができるから、モータ制御マイコン40aの不要なリセットを抑制することができると共に、車両の走行を継続させることができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、タイマ信号WDT2の周期T2が所定周期T2ref以上であるときには、発振用電源40dが瞬断されるように瞬断回路40gを制御し、その後において、タイマ信号WDT2の周期が所定範囲TA外であるときにはモータ制御マイコン40aをリセットし、タイマ信号WDTの周期T2が所定範囲TA内であり且つモータ制御マイコン40aと昇圧制御マイコン40bとの通信に異常が生じていないときにはモータ制御マイコン40aをリセットしないから、モータ制御マイコン40aの不要なリセットを抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、ステップS130の処理で、モータ制御マイコン40aからのタイマ信号WDT2の周期T2が所定周期T2refを中心とする所定範囲TA内の周期である第3条件が成立し、且つ、ステップS100の処理で用いた第2条件が成立しないときに、発振回路OSC1が自励発振モードから通常動作モードへ復帰したと判定しているが、第3条件が成立したか否かのみを判定し、第3条件が成立したときに、発振回路OSC1が自励発振モードから通常動作モードへ復帰したと判定してもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、昇圧制御マイコン40bにより図4に例示した監視処理ルーチンを実行しているが、図5の変形例のモータECU140に例示するように、モータ制御マイコン40aでタイマ信号WDT2を生成しないものとすると共に、瞬断回路40gを監視ICで制御するものとし、監視IC40hにより監視処理ルーチンを実行してもよい。
図6は、変形例のモータECU140の監視IC40hにより実行される監視処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。本ルーチンは、図4に例示した監視処理ルーチンのステップS100の処理を実行しない点、ステップS130の処理に代えてステップS130Bの処理を実行する点を除いて図4に例示した監視処理ルーチンと同様の処理となっている。図6に例示した監視処理ルーチンは、監視IC40hにより計測したタイマ信号WDT1の周期T1が所定周期T2refを超えたと判定されたとき、すなわち、モータ制御マイコン40aの発振回路OSC1が自励発振モードで動作を開始したことを検出したときに実行される。
本ルーチンが実行されると、監視IC40hは、ステップS120の処理を実行して発振用電源40dから発振回路OSC1への電力の供給を遮断し、続いて、モータ制御マイコン40aの発振回路OSC1が通常動作モードへ復帰したか否かを判定する(ステップS130B)。この判定では、モータ制御マイコン40aからのタイマ信号WDT1の周期が所定周期T2refであるときに、通常動作モードへ復帰していると判定する。通常動作モードへ復帰していないときには、ステップS110の処理に進み、リセット要求信号RREQをモータ制御マイコン40aへ出力して、本ルーチンを終了する。これにより、モータ制御マイコン40aをリセットすると共に車両を停止することができる。ステップS130Bの処理で、通常動作モードへ復帰していると判定されたときには、ステップS140の処理へ進み、FS要求FSREQをモータ制御マイコン40aへ出力して、本ルーチンを終了する。これにより、モータ制御マイコン40aをリセットせずに車両を走行させることができるから、モータ制御マイコン40aの不要なリセットを抑制することができると共に、車両の走行を継続することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、図4に例示した監視処理ルーチンではモータ制御マイコン40aの動作を監視しているが、昇圧制御マイコン40bの動作を監視してもよい。この場合、図7の変形例のモータECU240に例示するように、モータ制御マイコン40aでタイマ信号WDT2を生成しないものとすればよい。そして、瞬断回路40gは、図示しない電源ECUから発振用電源40eへの電力ラインに取り付けられており、モータ制御マイコン40aにより制御されることにより、発振用電源40eから発振回路OSC2への電力の供給および電力の供給の遮断を行なうものとすればよい。
図8は、変形例のモータECU240のモータ制御マイコン40aにより実行される監視処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。本ルーチンでは、図4に例示した監視処理ルーチンにおいて、モータ制御マイコン40aを昇圧制御マイコン40bとし、昇圧制御マイコン40bをモータ制御マイコン40aとし、モータ制御マイコン40aの発振回路OSC1を昇圧制御マイコン40bの発振回路OSC2とし、タイマ信号WDT3をタイマ信号WDT2とし、発振用電源40dを発振用電源40eとして、ステップS110〜S140の処理を実行する。なお、図4に例示した監視処理ルーチンにおいてステップS100の処理については実行しないものとし、図8に例示した監視処理ルーチンを、モータ制御マイコン40aにより計測したタイマ信号WDT2の周期T2が所定周期Trefを超えたと判定されたときに実行する。こうした監視処理ルーチンを実行することにより、昇圧制御マイコン40bの不要なリセットを抑制することができると共に、車両の走行を継続することができる。この場合、ステップS110の処理で、昇圧制御マイコン40bにリセット要求信号RREQを出力したモータ制御マイコン40aは、昇圧レス走行指令をHVECU70に送信し、車両を昇圧レス走行モードにより走行させてもよい。こうすれば、車両の停止が抑制され、走行をより長く継続することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、監視IC40hを備えているが、監視IC40hを備えていないものとしてもよい。この場合、図4に例示した監視処理ルーチンに代えて、図9に例示する監視処理ルーチンを実行すればよい。図9に例示した監視処理ルーチンは、図4に例示した監視処理ルーチンのステップS100の処理でモータ制御マイコン40aの発振回路OSC1が自励発振モードで動作していないと判定されたときには、ステップS110の処理に進まずステップS100の処理を実行する点を除いて、図4に例示した監視処理ルーチンと同一の処理を実行する。
図9に例示した監視処理ルーチンは、イグニッションオンされてから所定の時間が経過したときに実行される。本ルーチンでは、ステップS100の処理でモータ制御マイコン40aの発振回路OSC1が自励発振モードで動作していないと判定されたときには、モータ制御マイコン40aが正常であると判断して、発振回路OSC1が自励発振モードで動作していると判定されるまでステップS100の処理を繰り返し実行する。こうすれば、監視IC40hを備えていない構成でも、昇圧制御マイコン40bでモータ制御マイコン40aの動作を関しすることができ、モータ制御マイコン40aの不要なリセットを抑制することができると共に、車両の走行を継続することができる。
実施例では、本発明をハイブリッド自動車20に適用する場合について例示しているが、クロック生成回路と、ウォッチドッグタイマと、を有するマイクロコンピュータを備える処理装置であれば如何なるものに適用しても構わない。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、発振回路OSC1が「クロック生成回路」に相当し、ウォッチドッグタイマが「ウォッチドッグタイマ」に相当し、モータ制御マイコン40aが「マイクロコンピュータ」に相当し、瞬断回路40gが「瞬断回路」に相当し、昇圧制御マイコン40bが「判定処理部」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。