JP6700228B2 - 温熱具 - Google Patents

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Description

本発明は、温熱具に関する。
近年、被酸化性金属の酸化反応によって発熱する温熱具において、香料が施されることで使用時に芳香を呈するものが知られている。
このような被酸化性金属の酸化反応によって発熱する温熱具は活性炭を含む場合が多く、これにより、香り立ちが不十分になる、香りが変質するといった問題が生じており、これを解決するために種々の工夫が行われていた。
例えば、特許文献1には、温熱具の使用時の香り立ちをよくし、保存中の香りの変質を起こりにくくする観点から、鎖状モノテルペンアルコール類、セスキテルペンアルコール類、モノテルペンアルコール若しくは脂環式アルコールの酢酸エステル類、ジヒドロジャスモン酸メチル、ヨノン、またはダマスコンを含む香料組成物で賦香された温熱具が開示されている。
特許文献2には、使用時の香り立ちが良く、更に清涼感強度と香り強度のバランスを良好にする観点から、冷感剤と、セスキテルペン炭化水素とがそれぞれ所定量保持された温熱具が開示されている。
また、特許文献3には、使用時においても、良好な香りを呈する軽量化された発熱具を提供する観点から、特定の坪量の袋体を用い、特定量のダマセノンが含有された発熱具が開示されている。
特開2010−51690号公報 特開2014−128467号公報 特開2013−42963号公報
しかし、特許文献1〜3では、香りのバリエーションを増やしたり、あるいは嗜好性の高い香りや深みのある香りを呈する温熱具を開発する際に、十分に対応できない場合があった。本発明者らは、特許文献1〜3に開示された温熱具とは、異なる芳香を呈する新たな温熱具の開発に関し、鋭意検討を行った。その結果、特定の香り成分を温熱具に賦香すると、温熱具の製造後、実際に使用されるまでの間に、使用開始直後の温度上昇が不十分となる場合があるといった新たな課題を見出した。
本発明者らは、かかる課題を解決する観点から、さらに検討を進めたところ、上記のように使用開始直後の温度上昇に影響を与える香りの群を見出し、これに特定の香りの群を組み合わせることが有効であるという知見を得た。すなわち、特定の群に区分けされた2種類の香り成分を用いるといった新たな香りの組み合わせを考案し、その含有量比を制御することで、温熱具の良好な発熱特性が安定的に保持され、かつ良好な芳香が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
被酸化性金属、吸水剤および水を備える発熱部と、
少なくとも一部に通気性を有し、前記発熱部を収容する袋体と、
を有する温熱具であって、
該温熱具は、
(A)セスキテルペン炭化水素およびこの誘導体から選ばれる1種または2種以上であって、ビシクロ[7.2.0]ウンデカン骨格を有しない化合物
(B)テルペン骨格を有し、炭素数が10〜12である含酸素化合物
を含有する香料組成物にて賦香されており、
成分(A)の含有量が、前記被酸化性金属100質量部に対し、0.1質量部以上0.8質量部以下であり、成分(B)に対する成分(A)の質量割合((A)/(B))が、0.1以上4以下である、温熱具を提供するものである。
本発明によれば、良好な芳香が得られ、かつ良好な発熱特性が安定的に保持された温熱具を提供することができる。
実施の形態に係る温熱具を模式的に示した断面図である。 実施の形態に係る発熱部を模式的に示した断面図である。 実施の形態に係る発熱部を製造する方法を説明する図である。 本発明の温熱具の一例である蒸気温熱具を示す平面図である。 図4に示す蒸気温熱具の分解斜視図である。 図4に示す蒸気温熱具の長手方向に沿う断面図である。 蒸気温熱具の別の例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態において、通気度は、JIS P8117によって測定される値であり、一定の圧力のもとで100mlの空気が6.45cmの面積を通過する時間で定義される。通気度は、王研式通気度計もしくはそれに準じた測定機で測定することができる。
図1は、本発明の温熱具の一例を示す模式的な断面図である。温熱具1は、被酸化性金属、吸水剤および水を備える発熱部10と、発熱部10を収容する袋体30とを有する。温熱具1は、香料組成物により賦香されている。
温熱具1は、被酸化性金属の酸化反応によって発熱して十分な温熱効果を付与するものであり、JIS規格S4100に準拠した測定において、発熱温度38〜74℃の性能を有することができる。温熱具1は、水蒸気の発生を伴う蒸気温熱具であってもよいし、水蒸気の発生を実質的に伴わずに発熱する、いわゆる使い捨てカイロであってもよい。温熱具1は香料組成物により賦香されているため、使用時には、発熱とともに香料組成物により芳香する。
図2は、実施の形態に係る発熱部10を模式的に示した断面図である。図2に示すように、発熱部10は、基材層13と、発熱層11と、保水層12とが、この順で積層されてなる。すなわち、本実施形態において、発熱部10は、発熱層11を基材層13と保水層12とで挟み込まれたような、いわゆるサンドイッチ構造となっている。以下、図2を用いて、発熱部10の各層について、詳細を説明する。
図2に示すように、発熱層11は、被酸化性金属(図2中21)、吸水剤(図2中22)、および水を含有する。
発熱層11は、被酸化性金属、吸水剤および水を少なくとも含む発熱組成物を備える。
被酸化性金属は、酸化反応熱を発する金属であり、例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、およびカルシウムから選ばれる1種または2種以上の粉末や繊維が挙げられる。中でも、取り扱い性、安全性、製造コスト、保存性および安定性の点から鉄粉が好ましい。鉄粉としては、例えば、還元鉄粉、およびアトマイズ鉄粉から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
被酸化性金属が粉末である場合、酸化反応が効率的に行われるという観点から、その平均粒径が10〜200μmであることが好ましく、平均粒径が20〜150μmであることがより好ましい。なお、被酸化性金属の粒径は、粉体の形態における最大長さをいい、篩による分級、動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される。
同様の観点から、被酸化性金属の平均粒径は10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。また、平均粒径は、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましい。
被酸化性金属の含有量は、坪量で表して、100〜3000g/mであることが好ましく、200〜1500g/mであることがより好ましい。これにより、発熱部10の発熱温度を所望の温度に上昇させることができる。
同様の観点から、被酸化性金属の含有量は、坪量で表して、100g/m以上が好ましく、200g/m以上であることがより好ましい。また、3,000g/m以下であることが好ましく、1500g/m以下であることがより好ましい。
なお、発熱部10中の鉄粉の含有量は、JIS P8128に準じる灰分試験や、熱重量測定器で求めることができる。他に外部磁場を印加すると磁化が生じる性質を利用して振動試料型磁化測定試験等により定量することができる。
吸水剤は、保水能を有し、少なくとも炭素成分を含むものである。炭素成分の他、例えば、繊維材料、吸水性ポリマー、および吸水性の粉体から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
炭素成分としては、保水能、酸素供給能、および触媒能を有するものであり、例えば、活性炭、アセチレンブラック、および黒鉛から選ばれる1種または2種以上を用いることができるが、湿潤時酸素を吸着しやすいことや、発熱層11の水分を一定に保てる観点から、活性炭が好ましく用いられる。より好ましくは、椰子殻炭、木粉炭、およびピート炭から選ばれる1種または2種以上の微細な粉末状物または小粒状物が用いられる。中でも、発熱層11の水分を一定に保ち、良好な発熱特性を与える観点から、木粉炭がより好ましい。
炭素成分は、被酸化性金属と均一に混合される観点のみならず、発熱層11中の水分率を最適に保ち、良好な発熱特性を与える観点から、平均粒径が10〜200μmであることが好ましく、平均粒径が12〜100μmであることがより好ましい。
同様の観点から、炭素成分は、平均粒径が10μm以上であることが好ましく、12μm以上であることがより好ましい。また、炭素成分は、平均粒径が200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。
なお、炭素成分の平均粒径は、粉体の形態における最大長さをいい、動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される。炭素成分は、粉体状の形態のものを用いることが好ましいが、粉体状以外の形態のものを用いることもでき、例えば、繊維状の形態のものを用いることもできる。
繊維材料としては、親水性繊維、中でもセルロース繊維を用いることがより好ましい。セルロース繊維としては、化学繊維(合成繊維)や天然繊維を用いることができる。
吸水性ポリマーとしては、自重の20倍以上の液体を吸収・保持できる架橋構造を持つ親水性のポリマーが挙げられる。
吸水性の粉体としては、バーミキュライト、おがくず、シリカゲル、およびパルプ粉末から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
吸水剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、0.3〜20質量部であることが好ましく、1〜15質量部であることがより好ましく、3〜13質量部であることがさらに好ましい。こうすることで、得られる発熱部10中に、酸化反応を持続させるために必要な水分を蓄積できる。また、発熱部10への酸素供給が十分に得られて高い発熱効率が得られる。また、得られる発熱量に対する発熱部10の熱容量を小さく抑えることができるため、発熱温度上昇が大きくなり、所望の温度上昇が得られる。
また、吸水剤の含有量は、坪量で表して、4〜290g/mであることが好ましく、7〜160g/mであることがより好ましい。
なお、吸水剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、0.3質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることがさらに好ましい。また、吸水剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましく、13質量部以下であることがさらに好ましい。
また、吸水剤の含有量は、坪量で表して、4g/m以上であることが好ましく、7g/m以上であることがより好ましく、また、290g/m以下であることが好ましく、160g/m以下であることがより好ましい。
発熱層11中の水分を制御する点から、吸水剤中の炭素成分の含有量は、吸水剤の全質量に対して、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上であり、さらに好ましくは98質量%以上であり、吸水剤が炭素成分のみであることがよりさらに好ましい。
さらに、吸水剤中、吸水ポリマーの含有量は、吸水剤全体に対して10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることがさらに好ましい。得られる発熱量に対する発熱層11の熱容量を小さく抑えることができるため、発熱温度上昇が大きくなり、所望の温度上昇が得られる点から、発熱層11中に吸水性ポリマーを含まないことがことさら好ましい。
発熱層11において、吸水剤の含有量に対する水の含有量の質量比(水/吸水剤)が、0.8〜13であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1.5〜10であることがさらに好ましい。こうすることで、発熱部10の通気性が十分に確保されるため、酸素供給が十分に得られて発熱効率が高い発熱層11が得られる。また、得られる発熱量に対する発熱層11の熱容量を小さく抑えることができるため、発熱温度上昇が大きくなり、所望の温度上昇が得られる。
図2に示すように、本実施形態において、保水層12は吸水シート102から形成されている。
保水層12に含まれる水の含有量は、保水層12の最大吸水量の10〜45質量%であることが好ましく、12〜40質量%であることがより好ましく、13〜30質量%であることが、発熱部10の製造時、発熱組成物が1つの発熱部10に何らかの理由で多量に充填されたり、特定の箇所に多量に偏在したりする場合でも、異常発熱が防止され、良好な発熱特性が安定して得られる点でさらに好ましい。
なお、最大吸水量は、次のようにして測定することができる。
保水層12の最大吸水量(Wmax)は下記のとおり、JIS L1906の記載の測定方法を用いることができる。具体的には、保水層12の質量(W)を測定し、保水層12を5質量%塩化ナトリウム水溶液に5分間浸漬した後、ピンセットで取り出して、1分間空気中に吊り下げ放置して抱えきれない水分をしたたり落とした後、質量(W)を測定し、下記の式より最大吸水量(Wmax)を算出する。
max=W−W
保水層12は、最大吸水量の10〜45質量%の水を吸収保持できる吸水性が好ましく、通気性の有無を問わないが、通気性を有するものがより好ましい。
最大吸水量の10〜45質量%の水を吸収した状態での保水層12の通気度は、500秒/100ml以下が好ましく、1〜300秒/100mlがより好ましい。このような通気度とすることで、発熱部10の通気性が十分に確保されるため、酸素供給が十分に得られて高い発熱効率が得られ、被酸化性金属の酸化反応が良好となる上、多量の水蒸気を発生することを可能とし得る。また、300秒/100ml以下であることがより好ましく、過度な温度上昇を防止する観点からは、1秒/100ml以上であることがさらに好ましい。
また、本実施形態において、保水層12は、成分(a)繊維材料、および、成分(b)吸水性ポリマーを含む吸水シート102である。
保水層12は、成分(a)を含むシート、例えば、一層の繊維シートから構成されていてもよいし、二層以上が積層されていてもよい。繊維シートとしては、具体的には、後述する繊維材料から製造される紙、不織布、または紙と不織布の積層したものなどが挙げられる。成分(a)を含むシートとしては、具体的には、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシートなど吸水性のない素材に繊維材料を積層またはラミネートした紙、不織布などのシート材でもよく、パルプ繊維やレーヨン繊維などの繊維材料に、さらに別の繊維材料を積層または混合した抄紙、不織布などのシート材でもよい。保水層12に成分(a)を含むシートを用いることが、保水層12に含まれる水の含有量を適切にコントロールでき、発熱層11中の水分率を最適に保ち、良好な発熱特性を与える点で好ましい。
保水層12は、さらに成分(b)を含んでいてもよい。保水層12に成分(b)を含む場合、保水層12の形態は、以下のものを例示することができる。
(i)成分(a)および成分(b)が均一に混合された状態で1枚シートとしたもの。
(ii)成分(a)を含む同一のまたは異なるシート間に、成分(b)が配置されたもの。
(iii)成分(b)を散布してシート状としたもの。
中でも、発熱層11の水分率のコントロールを容易に行うことができる観点から好ましいものは、上記(ii)の形態のものである。なお、上記(ii)の形態の保水層12は、例えば、成分(a)を含むシート上に成分(b)を均一に散布し、その上から200g/mの量の水を噴霧した後、さらにその上に成分(a)を含む同一のまたは異なるシートを積層し、100±0.5℃、5kg/cmの圧力にてプレスして、含水率が5質量%以下になるまで乾燥して製造することが可能である。
成分(a)としては、親水性繊維および疎水性繊維のいずれをも用いることができるが、親水性繊維を用いることが好ましく、中でもセルロース繊維を用いることが保水層12への水分移動を促し、発熱層11中の水分率を最適に保ち、良好な発熱特性を与える観点でより好ましい。セルロース繊維としては、化学繊維(合成繊維)や天然繊維を用いることができる。
セルロース繊維のうち化学繊維としては、例えばレーヨンやアセテートを用いることができる。一方、セルロース繊維のうち天然繊維としては、例えば、各種の植物繊維、木材パルプ繊維、非木材パルプ繊維、木綿繊維、麻繊維、麦藁繊維、ヘンプ繊維、ジュート繊維、カポック繊維、やし繊維、いぐさ繊維から選択される1種または2種以上を用いることができる。これらのセルロース繊維のうち、木材パルプ繊維を用いることが、発熱層11中の水分率を最適に保ち、良好な発熱特性を与える観点で好ましい。
各種の繊維材料は、その繊維長が0.5〜6mmであることが好ましく、0.8〜4mmであることがより好ましい。なかでも繊維材料は、繊維長が0.5mm以上であることが好ましく、0.8mm以上であることがより好ましい。また、繊維材料は、繊維長が6mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがより好ましい。
保水層12には、親水性繊維に加え、必要に応じて疎水性繊維、中でも熱融着性繊維を含有してもよい。熱融着性繊維の含有量は、保水層12における繊維の全量に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
同様の観点から、熱融着性繊維の含有量は、保水層12における繊維の全量に対して0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、熱融着性繊維の含有量は、保水層12における繊維の全量に対して10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
成分(b)として、上述の成分(a)と同様、自重の20倍以上の液体を吸収・保持できる架橋構造を持つ親水性のポリマーを用いることで、保水層12に含まれる水の含有量を、適切にコントロールし、良好な発熱特性を与える観点で好ましい。
成分(b)の形状としては、球状、塊状、ブドウ房状、繊維状から選択される1種または2種以上が挙げられる。成分(b)の平均粒径は、1〜1000μmであることが好ましく、10〜500μmであることがより好ましい。成分(b)の平均粒径は、1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。また、成分(b)の平均粒径は、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましい。
なお、成分(b)の平均粒径は、動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される。
成分(b)の具体例としては、例えば、デンプン、架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸またはアクリル酸アルカリ金属塩の重合体または共重合体等、ポリアクリル酸およびその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体から選択される1種または2種以上が挙げられる。中でも、アクリル酸またはアクリル酸アルカリ金属塩の重合体または共重合体等、ポリアクリル酸およびその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体を用いることが、保水層12に含まれる水の含有量を適切にコントロールし、良好な発熱特性を与える観点で好ましい。
保水層12に占める成分(b)の割合は、乾燥状態で、10〜70質量%であることが好ましく、さらに20〜65質量%であることが、保水層12への速やかな水分移動を促し、保水層12に含まれる水の含有量を適切にコントロールし、良好な発熱特性を与える観点から、より好ましい。
同様の観点から、保水層12に占める成分(b)の割合は、乾燥状態で、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、一方、70質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましい。
保水層12は、保水層12に含まれる水の含有量を適切にコントロールし、良好な発熱特性を与える観点から、乾燥状態でその坪量が20〜200g/mであることが好ましく、35〜150g/mであることがより好ましく、50〜140g/mであることがさらに好ましい。
保水層12に含まれる成分(b)の坪量は、保水層12に含まれる水の含有量を適切にコントロールし、良好な発熱特性を与える観点でから、乾燥状態で5〜150g/mであることが好ましく、10〜100g/mであることがより好ましく、30〜90g/mであることがさらに好ましい。
図2で示すように、本実施形態において基材層13は、基材シート130から形成されたものである。
基材層13は、発熱部10の形成時に、発熱部10を支持するための基材として用いられる。基材層13としては、製造される温熱具1の用途に合わせて適宜設定できるが、例えば、繊維材料を含むシートや吸水性の乏しい材質にて構成されるシートが挙げられる。繊維シートとしては、具体的には、後述する繊維材料から製造される紙、不織布、または紙と不織布の積層したものなどが挙げられる。また、繊維材料はポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等の吸水性の乏しい素材でもよく、パルプ繊維やレーヨン繊維など吸水性素材でもよい。吸水性の乏しい材質にて構成されるシートとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、およびテフロン(登録商標)フィルム等の合成樹脂フィルムや、上述の繊維材料を含むシートにこれらの合成樹脂フィルムを積層またはラミネートしたシートが挙げられる。
本発明では、吸水性の乏しい材質にて構成されるシートが好ましく、繊維材料を含むシートに合成樹脂フィルムを積層またはラミネートしたシートがより好ましい。
以上、図2を用いて本実施形態の発熱部10について説明したが、発熱部10の構造は、これにかぎられるものではない。
例えば、発熱層11が保水層12の両面に形成されたものであってもよい。
また、例えば、保水層12が、第1吸水シートと、第2吸水シートとから形成されていてもよい。この場合、発熱部10は、第1吸水シートと第2吸水シートとの間に発熱層11が挟まれた構造、所謂サンドイッチ構造をとることができる。第1吸水シートと第2吸水シートとは、同一の材料からなるものであってもよいし、異なる材料からなるものであってもよい。
また、保水層12に含まれる水の含有量が10〜45質量%となる状態で、第1吸水シートおよび第2吸水シートは、いずれも、通気度が、500秒/100ml以下であることが好ましい。なお、下限値は例えば、1秒/100mlである。
発熱部10は、さらに、反応促進剤を含むことができる。反応促進剤は、被酸化性金属の酸化反応を持続させる目的で用いられる。また、反応促進剤を用いることにより、酸化反応に伴い被酸化性金属に形成される酸化被膜を破壊して、酸化反応を促進することができる。反応促進剤には、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属の硫酸塩、および塩化物から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。中でも、導電性、化学的安定性、生産コストに優れる点から、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、第一塩化鉄、第二塩化鉄等の各種塩化物、および硫酸ナトリウムから選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。
発熱部10中の反応促進剤の含有量は、十分な発熱量が長時間持続する点から被酸化性金属100質量部に対して2〜15質量部であることが好ましく、3〜13質量部であることがより好ましい。
同様の観点から、発熱部10中の反応促進剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して2質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましい。また、発熱部10中の反応促進剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して15質量部以下であることが好ましく、13質量部以下であることがより好ましい。
発熱部10は、さらに、増粘剤を含むことができる。増粘剤には主として、水分を吸収して稠度を増大させるか、チキソトロピー性を付与する物質を用いることができる。増粘剤としては、例えば、アルギン酸ソーダ等のアルギン酸塩、アラビアゴム、トラガカントゴム、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガムなどの多糖類系増粘剤;デキストリン、α化澱粉、加工用澱粉などの澱粉系増粘剤;カルボキシメチルセルロース、酢酸エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体系増粘剤;ステアリン酸塩などの金属石鹸系増粘剤;ベントナイトなどの鉱物系増粘剤等から選ばれた1種または2種以上の混合物を用いることができる。中でも、良好な塗工性能の点から多糖類系増粘剤が好ましく、分子量100万以上5000万以下の多糖類系増粘剤がより好ましく、分子量200万以上4000万以下の多糖類系増粘剤がさらに好ましく、加えて良好な塗工性能や耐塩性を有する観点から、キサンタンガムが好ましい。
発熱部10中の増粘剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、0.05〜5質量部であることが好ましく、0.1〜4質量部であることがより好ましい。この範囲とすることで、被酸化性金属や吸水剤等の固形分を安定に分散させることができる。また、チキソトロピー性を付与し、塗工性能をさらに向上させることができる。
発熱部10には、必要に応じて、界面活性剤、薬剤、凝集剤、着色剤、繊維状物、紙力増強剤、pHコントロール剤、および嵩高剤等を含むこともできる。
図3は、発熱部10の製造方法の一例を具体的に説明する図である。
まず、塗工槽301に、被酸化性金属、吸水剤、水を含む発熱粉体水分散物302を用意する。発熱粉体水分散物302は、攪拌器303により攪拌して、被酸化性金属、および、吸水剤、水に不溶な成分をより均一に分散させてもよい。発熱粉体水分散物302は、前述した成分を全て一度に混合することで調製されてもよいが、予め、増粘剤を水に溶解したものに反応促進剤を溶解して水溶液を準備し、次に被酸化性金属と吸水剤とをプレ混合したものを水溶液と混合してもよい。
ついで、ポンプ304により発熱粉体水分散物302をダイヘッド305までくみ上げる。くみ上げた発熱粉体水分散物302は、ダイヘッド305を用いて、加圧して押し出しながら吸水シート102に塗工する。このとき、発熱粉体水分散物302の塗工坪量は、160〜4,800g/mとすることが好ましく、320〜2,200g/mとすることがより好ましい。
なお、図3では、ダイコーティングによる塗工を例示したが、塗工方法は、これに限定されず、例えば、ロール塗布、スクリーン印刷、ロールグラビア、ナイフコーディング、カーテンコーター等などを用いることもできる。
以上の操作により、発熱層11と保水層12とを備える連続長尺物が得られるので、これを任意の大きさに裁断することで、発熱部10が形成される。
なお、上述の方法においては、製造過程での被酸化性金属の酸化を抑制するために、必要に応じて非酸化性雰囲気に保つ手段を用いてもよい。
次に、発熱部10を収容する袋体30について説明する。
袋体30は、少なくも一部が通気性を有するが、少なくともその一部が通気性のシートであることが好ましい。保温、保存中の結露防止、必要な香り強度を長時間持続できること、および、内部が透けて見えないようにすること等の観点から、袋体30の坪量が20g/m以上であることが好ましく、25g/m以上であることがより好ましく、30g/m以上であることがさらに好ましい。また、温熱具1の薄型化や軽量化を図り使用時の軽快さを向上させる観点や良好な芳香を安定的に得る観点から袋体30の坪量が90g/m以下であることが好ましく、85g/m以下であることがより好ましく、80g/m以下であることがさらに好ましい。
このようなシートとしては、例えば、不織布、編み物地、通気性シート(例えば、多孔質シート、通気孔を有するプラスチックフィルム)、不織布と通気性シートとをラミネートした積層シート、または、編み物地と通気性シートとをラミネートした積層シートを用いることができる。
図1には、第1袋体シート30aと、第2袋体シート30bとの周縁部をシールすることで袋体30を構成する例を示す。第1袋体シート30aおよび第2袋体シート30bは同種のものでもよく、あるいは異種のものでもよい。第1袋体シート30aおよび第2袋体シート30bのどちらか一方を通気性にしてもよいし、両方を通気性としてもよい。両方を通気性とする場合、どちらか一方をもう片方よりも通気性の低いものとしてもよい。
第1袋体シート30aおよび第2袋体シート30bの坪量は、本発明の効果を十分発揮させる点および保温・使用時の温感・使用感から、肌等の適用部位から遠い側の第2袋体シート30bが適用部位に近い側の第1袋体シート30aと同じかまたはそれよりも小さい方が好ましい。
第1袋体シート30aおよび第2袋体シート30bの通気性は、本発明の効果を十分発揮させる点および良好な発熱特性を奏させる観点から、肌に遠い側の第2袋体シート30bが肌に近い側の第1袋体シート30aと同じかまたはそれよりも低い方が好ましい。これにより、発熱部10中の吸水剤、特に炭素成分の香料組成物への影響を一層抑制することが可能になる。すなわち、第2袋体シート30bの通気度を第1袋体シート30aの通気度の2倍以上とすることが好ましく、5倍以上とすることがより好ましく、10倍以上とすることがさらに好ましい。
具体的には、第2袋体シート30bは、第1袋体シート30aよりも難通気性であるか、または非通気性であってもよい。
一方、第1袋体シート30aは、空気および水蒸気の透過が可能なように通気性を有していてもよい。第1袋体シート30aの通気度は、第2袋体シート30bが非通気性であるかまたは難通気性であるかを問わず、6,000秒/100ml以下である事が好ましく、1,000秒/100ml以下であることが好ましい。
次に、温熱具1に用いられる香料組成物について説明する。
成分(A)は、セスキテルペン炭化水素およびこの誘導体から選ばれる1種または2種以上であって、ビシクロ[7.2.0]ウンデカン骨格を有しない化合物である。成分(A)は、温熱具1の使用開始直後の温度上昇に影響を与える香りの群として、本発明者らが初めて特定したものである。
セスキテルペンとは、3つのイソプレンから構成された炭素数が15の化合物である。また、セスキテルペン炭化水素およびこれらの誘導体としては、セスキテルペン炭化水素の他、セスキテルペンアルコール、セスキテルペンエーテル、セスキテルペンエステル、およびセスキテルペンメチルケトン等が挙げられる。
セスキテルペン炭化水素としては、例えば、イソロンギフォレン、ファルネセン、ロンギフォレン、ビザボレン、サンタレン、ジンギベレン、クルクメン、カジネン、セスキベニヘン、セドレン、ファルネセン等が挙げられる。
セスキテルペンアルコールとしては、例えば、ファルネソール、およびネロリドール等の鎖状セスキテルペンアルコール類:サンタロール、セドロール、ベチベロール(混合体)、パチュリアルコール等の環状セスキテルペンアルコール類が挙げられる。
また、例えば、セドリルメチルエーテル等のセスキテルペンエーテル、ベチベリルアセテート、ファルネシルアセテート、セドリルアセテート等のセスキテルペンエステル、アセチルセドレン等のセスキテルペンメチルケトンが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なかでも、温熱具1の使用時における香り立ちを良好に保持する観点から、セスキテルペン炭化水素、セスキテルペンアルコール、セスキテルペンエーテル、セスキテルペンエステル、およびセスキテルペンメチルケトンの中から2種以上を組み合わせることが好ましく、セスキテルペン炭化水素およびセスキテルペンメチルケトンを組み合わせることがより好ましい。くわえて、良好な森林調の芳香を得る観点から、アセチルセドレン、イソロンギフォレン、およびファルネセンであることがさらに好ましい。
成分(B)とは、テルペン骨格を有し、炭素数が10〜12である含酸素化合物であり、成分(A)が温熱具1に含まれることにより生じる課題を解消する上で有効な成分である。すなわち成分(B)は、成分(A)と組み合わせることにより課題を解決できる香りの群として、本発明者らが初めて特定したものである。
例えば、リナロール、エチルリナロール、ジヒドロリナロール、ネロール、ミルセノール、ラバンジュロール、シトロネロール、ゲラニオール、メントール、テルピネオール、ボルネオール等といったモノテルペンアルコール類;シトロネラール、シトラール、サフラナール、フェランドラール、ペリルアルデヒド等といったモノテルペンアルデヒド類;酢酸リナリル、酢酸ゲラニル等といったテルペンアルコール酢酸エステル;カンファー、メントン、カルボメントン等といったモノテルペンケトン類;ローズオキシド、リナロールオキシド、メントフラン1,8−シネオール、1,4−シネオール等といったモノテルペンエーテル;シトロネル酸などのテルペンカルボン酸が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、温熱具1の使用時において安定的に良好な発熱特性を得る観点から、モノテルペンアルコール類であることが好ましく、リナロール、エチルリナロール、およびシトロネロールの中から選ばれる少なくとも1種または2種以上がより好ましい。
ここで、一般に、テルペンとは、イソプレンの重合体で、イソプレン単位の数に応じて、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン等に分類される。
すなわち、成分(A)は、セスキテルペンであって、3つのイソプレンから構成された炭素数が15の化合物であり、ビシクロ[7.2.0]ウンデカン骨格を有する化合物を除く化合物をいう。また、ビシクロ[7.2.0]ウンデカン骨格を有する化合物としては、カリオフィレン等がある。成分(B)は、イソプレンを構成単位とした構造を有し、炭素数が10〜12であって、少なくとも一つの酸素原子を有する化合物をいう。
成分(A)および成分(B)は、一般に入手できる香料組成物である。また、成分(A)および成分(B)は、成分(A)または成分(B)を含有する精油の形で用いられてもよい。
上記の成分(A)または成分(B)を含有する精油としては、例えば、ラベンダー油、ペチグレン油、ネロリ油、クラリーセージ油、ローズウッド油、パチョリ油、ベチバー油、セダーウッド油、サンダルウッド油。ユーカリ油、ベルガモット油、ハッカ油、ローズ油、ペパーミント油、スペアミント油などの各種の精油を例示することができる。これらは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
温熱具1においては、被酸化性金属100質量部に対する成分(A)の含有量は、0.1質量部以上0.8質量部以下である。
被酸化性金属100質量部に対する成分(A)の含有量は、温熱具1の使用時における良好な芳香と発熱をバランスよく得る観点から、好ましくは、0.20質量部以上であり、より好ましくは、0.28質量部以上である。
一方、被酸化性金属100質量部に対する成分(A)の含有量は、温熱具1の使用時における発熱温度の低下を抑制する観点から、好ましくは、0.65質量部以下であり、より好ましくは0.50質量部以下である。
また、被酸化性金属100質量部に対する成分(A)の含有量は、温熱具1の使用時における良好な芳香と発熱をバランスよく得る観点から、好ましくは、0.20質量部以上0.65質量部以下であり、より好ましくは、0.28質量部以上0.50質量部以下である。
温熱具1においては、成分(B)に対する成分(A)の質量割合((A)/(B))は、0.1以上4以下である。
(A)/(B)は、温熱具1の使用時における良好な芳香と発熱をバランスよく得る観点から、好ましくは、0.25以上であり、より好ましくは、0.45以上である。
一方、(A)/(B)は、温熱具1の使用時における発熱温度の低下を抑制する観点から、好ましくは、1.5以下であり、より好ましくは0.8以下である。
また、(A)/(B)は、温熱具1の使用時における良好な芳香と発熱をバランスよく得る観点から、好ましくは、0.25以上1.5以下であり、より好ましくは、0.45以上0.8以下である。
炭素成分100質量部に対する成分(A)の含有量は、温熱具1の使用時における良好な芳香と発熱をバランスよく得る観点から、好ましくは、1.2質量部以上であり、より好ましくは、2.4質量部以上であり、さらに好ましくは、3.3質量部以上である。
一方、炭素成分100質量部に対する成分(A)の含有量は、温熱具1の使用時における発熱温度の低下を抑制する観点から、好ましくは、10質量部以下であり、より好ましくは8質量部以下であり、さらに好ましくは、6.5質量部以下である。
また、炭素成分100質量部に対する成分(A)の含有量は、温熱具1の使用時における良好な芳香と発熱をバランスよく得る観点から、好ましくは、1.2質量部以上10質量部以下であり、より好ましくは、2.4質量部以上8質量部以下であり、さらに好ましくは、3.3質量部以上6.5質量部以下である。
被酸化性金属100質量部に対する成分(A)と成分(B)の含有量の合計質量部は、温熱具1の使用時における良好な芳香と発熱をバランスよく得る観点から、好ましくは、0.70質量部以上1.7質量部以下であり、より好ましくは、0.80質量部以上1.5質量部以下である。
炭素成分100質量部に対する成分(A)と成分(B)の含有量の合計質量部は、温熱具1の使用時における良好な芳香と発熱をバランスよく得る観点から、好ましくは、8.0質量部以上20質量部以下であり、より好ましくは、10質量部以上18質量部以下である。
香料組成物は、成分(A)と成分(B)が含まれていれば、どのような香りを呈するものであってもよいが、温熱具1の使用時の森林調などの良好な芳香を効果的に発現させる観点から、香料組成物中に成分(A)を比較的多く含むことが好ましい。香料組成物中に成分(A)を比較的多く含むときに得られる香調としては、森林の香り、ひのきの香り等のウッディ調の香りが挙げられる。言い換えると、森林の香り、ひのきの香り等のウッディ調の香りが挙げられる香料組成物は、成分(A)を比較的多く含むものといえる。
香料組成物全体に対する成分(A)の含有量は、森林調などの良好な芳香を効果的に発現させつつ、良好な発熱特性を安定的に得る観点から、好ましくは、5〜60質量%であり、より好ましくは、7〜50質量%であり、さらに好ましくは、10〜40質量%である。
香料組成物全体に対する成分(B)の含有量は、森林調などの良好な芳香を効果的に発現させつつ、良好な発熱特性を安定的に得る観点から、5〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。
なお、温熱具1中の成分(A)および成分(B)の含有量は、香料賦香時の含有量と溶媒抽出法により抽出した抽出液をガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)により定量した値との一致性が高い事から、溶媒抽出法により分析した抽出液をGC−MSで定量することにより求める。
具体的には、温熱具1と、温熱具1全体が浸かる量の溶剤と、を密封容器に入れ、室温で9時間放置する。その後、当該密封容器内の溶剤についてGC−MSにより定量する。
ここで、溶剤としては、発熱体から成分(A),(B)が溶離しやすいものであればよく、例えばエタノール、アセトン、ジクロロメタンが挙げられ、ジクロロメタンが好ましい。また、GC−MSのカラムは、例えば、キャピラリーカラム DB−WAX(J&W社製、長さ60m 直径0.25mm 膜厚0.25μm)を用いることができる。
GC−MSの分析条件は、各香料成分が測定できるものであればよいが、例えば、ガスクロマト機器:アジレント社製 6890N型、質量分析機器:アジレント社製 5973型であった場合には、注入温度250℃、カラム流量0.9ml/min,とし、初期温度は40℃であり、70℃までは6℃/min、70℃以上は2℃/minで昇温させ、240℃に到達したら20分保持する条件で測定をする。
なお、温熱具1が後述する包装材に収容されている場合には、製造から使用までの間に温熱具1中の成分(A)および成分(B)が包装材に付着する場合がある。このため、温熱具1が当該包装材に収容されている場合には、収容剤表面に付着した成分(A)および成分(B)も溶媒抽出法により抽出し、GC−MSで分析し、温熱具1から抽出した成分(A)および成分(B)との合計量を、温熱具1中の成分(A)および成分(B)の含有量とすることができる。
包装材表面に付着した成分(A)および成分(B)は、包装材内にも溶剤を20〜50ml滴下し、滴下した溶剤で該包装材内部を十分に濡らした後、該包装材を密封し、室温で9時間放置する。その後、包装材内の溶剤についてGC−MSを行う。
香料組成物は、他の香料をさらに含むことができる。
例えば、成分(A)および成分(B)を除く、炭化水素化合物、脂肪族および芳香族アルコール、脂肪族および芳香族アルデヒド、脂肪族および芳香族ケトン、環状または非環状エーテル、脂肪族および芳香族エステルなどが挙げられる。
炭化水素化合物としては、例えば、ミルセン、オシメン、リモネン、ピネン、テルピネン、テルピネノレン、ピネンおよびこれらの誘導体等が挙げられる。
脂肪族および芳香族アルコールとしては、例えば、ペンタノール、ヘキサノール、2,6−ノナジエノール、および2,4−デカジエノールなどの脂肪族アルコール;ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、パンプルフルール(2−メチル−4−フェニルペンタノール)、ジメチルベンジルカルビノール、およびフェニルヘキサノール(3−メチル−5−フェニルペンタノール)などの芳香族アルコールが挙げられる。
脂肪族および芳香族アルデヒドとしては、例えば、アセトアルデヒド、ヘキサナール、デカナール、および2,4−オクタジエナールなどの脂肪族アルデヒド;ベンズアルデヒド、シンナミルアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、フルフラール、およびヘリオトロピンなどの芳香族アルデヒドが挙げられる。
脂肪族および芳香族ケトンとしては、例えば、2−ヘプタノン、2−ウンデカノン、1−オクテン−3−オン、2,3−ペンタジオン等の脂肪族ケトン;シクロテン、マルトール、およびエチルマルトール、ジヒドロジャスモン酸メチル等の環式ケトン誘導体;ラズベリーケトンなどの芳香族ケトンが挙げられる。
環状または非環状エーテルとしては、例えば、テアスピランなどの環状エーテル類が挙げられる。
脂肪族および芳香族エステルとしては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソアミルなどの脂肪族酢酸エステル;酢酸ベンジル、サリチル酸メチルなどの芳香族エステルが挙げられる。
精油としては、例えば、カモミール油、バジル油、ジャスミン油、アニス油、クローブ油、ナツメグ油、ウイキョウ油、およびラブダナム油等が挙げられる。
香料組成物には、上記香料成分に加え、例えば「合成香料 化学と商品知識」(印藤元一著 化学工業日報社)に記載の香料成分を、本発明の効果を妨げない範囲で含有することもできる。
また、香料組成物は、本発明の効果を妨げない範囲であれば、溶剤を含むことができる。溶剤としては、ジプロピレングリコール、エチルジグリコール、イソプロピルミリステート、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレートおよびジエチルフタレートの1種または2種以上を用いることができる。
香料組成物の使用量は、その種類や温熱具1の具体的な用途等に応じ適切に選定することができる。香料組成物の種類にもよるが、一般的な範囲として、発熱部10の被酸化性金属100質量部に対して、0.5質量部以上であることが好ましく、0.7質量部以上であることがより好ましく、一方、6質量部以下であることが好ましく、4.5質量部以下であることがより好ましい。また、0.5〜6質量部であることが好ましく、0.7〜4.5質量部であることがより好ましい。
温熱具1を賦香する方法は、香料組成物が液体である場合は、温熱具1に対して香料組成物をスプレー等で直接添加する方法がある。また、シート材料や粉体や油脂の担体等に賦香して、賦香シートや粉末香料やペースト状の賦香物とし、温熱具1に添加する方法もある。香料組成物が固体である場合は、温熱具1に対して香料組成物を適宜添加する方法がある。
香料組成物は、袋体30の内側から発熱部10までの間に施されていることが、製品管理上、および効率よく香りを発現する観点から、好ましい。
香料組成物を発熱部10と袋体30との間に施す具体的な方法としては、例えば、袋体30の内側面に香料組成物を直接含浸させてもよいし、図1で示すように香料組成物にてシート材料を賦香してなる賦香シート15を間に配置して施してもよいし、粉体や油脂の担体に賦香して得られた粉末香料やペースト状の賦香物をシート状にして間に施してもよい。
賦香シート15を用いた場合は、具体的には、袋体30の内側面に隣接して配置することで施してもよいし、賦香シート15を接着剤により袋体30の内側面に接着して施してもよい。
なお、本明細書において「隣接して配置」とは、近くにあるが必ずしも接触していない状態、すなわち接触していてもしていなくてもよい状態を意味する。
賦香シート15は、紙、不織布、織布等の繊維材料を含むシート材料、または多孔質性フィルム等の吸湿・吸油性を有するシート材料を含むことが好ましい。
シート材料の材質は、例えば、シルク、コットン、ウール、およびセルロースなどの天然繊維、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル等の合成繊維とすることができる。
なかでも、セルロースを含有する紙、例えば、吸水紙であることが、温熱具1の使用時における良好な芳香と発熱特性のバランスを保持するとともに、温熱具1の軽量化を図ることが可能な点で好ましい。
袋体30内において、発熱部10は、図1で示すように、更に収容体20に収容されて発熱体14を構成してもよい。収容体20は少なくとも一部に通気性を有する。図1で示す例では、具体的には、収容体20は、第1収容体シート20aと第2収容体シート20bとの周縁部を互いに接合して形成された形状を有している。収容体20は、接合した周縁部よりも内側の部分において非接合状態になっており、それによって、発熱部10を収容する単一の空間が形成されている。
本発明では、第2収容体シート20bの通気度を、第1収容体シート20aの通気度よりも大きくすることもできる。これにより、発熱部10中の吸水剤の香料組成物への影響を一層抑制することが可能になる。すなわち、第2収容体シート20bの通気度を第1収容体シート20aの通気度の2倍以上とすることが好ましく、5倍以上とすることがより好ましく、10倍以上とすることがさらに好ましい。
第1収容体シート20aは、空気および水蒸気の透過が可能なように通気性を有していてもよい。一方、第2収容体シート20bは、第1収容体シート20aよりも難通気性であるか、または非通気性であってもよい。第2収容体シート20bが難通気性である場合、該第2収容体シート20bの通気度を、5,000秒/100ml以上とすることが好ましく、10,000秒/100ml以上とすることがより好ましく、20,000秒/100ml以上とすることがさらに好ましく、30,000秒/100ml以上とすることがことさら好ましい。一方、第1収容体シート20aの通気度は、第2収容体シート20bが非通気性であるかまたは難通気性であるかを問わず、1,000秒/100ml以上50,000秒/100ml以下であることが好ましい。
第1収容体シート20aおよび第2収容体シート20bの具体的な材料としては、通気度を支配しかつ粉体の漏れ出しを防止する等の点で、メルトブローン不織布や透湿性フィルム、通気性シート、難通気性シートが好適に用いられる。なお、透湿性フィルムとしては、例えば熱可塑性樹脂および該樹脂と相溶性のない有機または無機のフィラーの溶融混練物をフィルム状に成形し、一軸または二軸延伸して得られた微細な多孔質構造を有するものを用いることができる。
通気性シートとしては、樹脂製の多孔質シートや通気穴を有する樹脂製のシートを用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等を使用することができる。
樹脂製の多孔質シートとしては、具体的には、熱可塑性樹脂および該樹脂と相溶性のない有機または無機のフィラーの溶融混練物をフィルム状に成形し、一軸または二軸延伸して得られたものであり、微細な多孔質構造になっているものや、通気穴を有する樹脂製のシートとしては非通気性シートや難通気性シートに針等で微細穴を設けたものや、あるいは前述の通気性シートにさらに針等で微細穴を設けたものが好ましい。
通気性シートの厚みは、5μm以上200μm以下が好ましい。
難通気性シートとしては、実質的に酸素を透過しないものであればよく、例えば、ポリエチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニリデン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスルフォンおよびポリアミドから選択される1種または2種以上を使用することができる。難通気性シートの厚みは、5μm以上200μm以下であることが好ましい。
第1収容体シート20aおよび第2収容体シート20bは、1枚のシート材から構成されていてもよいし、複数のシート材の積層体から構成されていてもよい。
香料組成物は、前述のとおり、発熱部10と袋体30の内側との間に施されていると好ましいが、収容体20と袋体30の内側との間に施されているとより好ましい。また、香料組成物が収容体20の外側面に施されているとさらに好ましい。香料組成物と発熱部10との間に第2収容体シート20bが介在すると、香料組成物と発熱部10との距離が遠くなるため、吸水剤などによる香りや発熱特性への影響を物理的に抑制することができる。
香料組成物を収容体20の外側面に施す具体例としては、収容体20の外側面のシートに香料組成物を直接塗布してもよい。なお、収容体20の外側面のシートを賦香シートと同等のものとし、このシートに香料組成物を施してもよい。すなわち、接着剤や熱融着等の方法を用いて第2収容体シート20bの外側面に賦香シートと同等のシートを積層し、収容体20の外側面のシートを賦香シートと同等のものとしてもよい。これにより、香料組成物と発熱部10との距離が遠くなるためシートによる温度阻害をもたらさず十分な温熱効果を付与することができるとともに、賦香が容易であり、香料組成物の香り立ちが極めて高くなり、香りの変化を一層効果的に抑制することも可能となる。賦香シート15を用いた場合は、図示するように収容体20に隣接して配置することが好ましい。
第1収容体シート20aを肌等の適用部位に近い側に位置するものとし第2収容体シート20bを適用部位から遠い側に位置するものとした場合、賦香シート15を適用部位から遠い側に位置する第2収容体シート20b側の外側面に配する、あるいは香料組成物を外側面に施すことにより、使用時の軽快さを向上させると共に十分な温熱効果を適用部位に付与し、同時に良好な香り立ちを達成することが可能である。
温熱具1は、その使用前は、その全体が酸素バリア性を有する包装材(図示せず)で密封されることが好ましい。
次に、温熱具1による効果について説明する。
温熱具1は、被酸化性金属、吸水剤および水を備える発熱部10と、少なくとも一部に通気性を有し、発熱部10を収容する袋体30と、を有し、(A)セスキテルペン炭化水素およびこの誘導体から選ばれる1種または2種以上であって、ビシクロ[7.2.0]ウンデカン骨格を有しない化合物、および(B)テルペン骨格を有し、炭素数が10〜12である含酸素化合物を含有する香料組成物にて賦香されている。温熱具1においては、成分(A)の含有量が、被酸化性金属100質量部に対し、0.1質量部以上0.8質量部以下であり、成分(B)に対する成分(A)の質量割合((A)/(B))が、0.1以上4以下である。
ここで、成分(A)は、主に、森林調の芳香を発現できる香気成分として知られているが、本発明者らが、温熱具1の使用開始直後の温度上昇に影響を与える香りの群として見出したものである。すなわち、本発明者らによって、成分(A)のみを従来の温熱具に賦香すると、温熱具1の製造後、使用されるまでの間に、温熱具の発熱特性が低下するといったことが初めて見出された。
これに対し、温熱具1は、成分(A)に成分(B)を組み合わせたものである。すなわち、成分(A)による温熱具1の使用開始直後の温度上昇への影響を、香りの質を大きく変えることなく抑制し得る香りの群として成分(B)を特定し、成分(A)と成分(B)の組み合わせによって、良好な発熱特性を得るものである。
そして、これらの含有量が適切に制御されることで、温熱具1の発熱特性の低下を抑制でき、温熱具1の使用時において、良好な芳香が得られるともに、良好な発熱特性が安定的に保持されるようになる。かかるメカニズムの詳細は明らかではないが、温熱具1の製造後、使用されるまでの間に、成分(A)が発熱部10と相互作用を生じたことで、発熱特性が低下することが推測され、成分(B)を加えることで、成分(A)、成分(B)および発熱部10との間のバランスが取れ、香りの質に大きな影響を与えることなく良好な発熱特性が得られることが推測される。なお、本発明者らは、ビシクロ[7.2.0]ウンデカン骨格を有する化合物は、温熱具1の製造後、使用されるまでの間に、発熱部10との相互作用がほとんどないことを確認している。
ここで、温熱具1による良好な発熱特性とは、温熱具1の使用時において、発熱部10の空気中の酸素による酸化反応に伴う発熱が良好に発揮され、使用開始直後の温度上昇が十分であり、発熱部10の表面最高到達温度の低下が抑制されることをいう。
また、上述のように成分(A)による温熱具1の使用開始直後の温度上昇への影響を、香りの質に大きな影響を与えずに抑制するため、温熱具1においては、成分(A)および成分(B)を含有しつつ、以下の条件を満たすものであってもよい。
条件:温熱具1を、酸素遮断性袋に入れ、脱気状態で、50℃、30日間処理した後、温熱具1を、室温20℃、湿度60%の大気圧下で、空気中に開放したときの、発熱部10の表面最高到達温度が54℃〜72℃である。
温熱具1は、上記の条件を満たすことによっても、温熱具1の製造後、使用されるまでの間に、発熱特性が低下することを抑制でき、温熱具1の使用時において、良好な芳香が得られ、かつ十分な温熱を肌に付与できるといった芳香と発熱特性が優れたバランスで得られる特有の保持作用を得ることができる。
かかる理由の詳細は明らかではないが、本発明者らは研究を重ねている中で、温熱具1が成分(A)と成分(B)を有する場合において、50℃、30日間処理した後の発熱部10の表面最高到達温度が適切な範囲内になっていると、温熱具1の発熱特性に大きな影響を与えず、かつ温熱具1から所望の芳香が得られる事を知見した。そこで、さらに検討を進めた結果、温熱具1が、50℃、30日間処理した後、温熱具1を、室温20℃、湿度60%の大気圧下で、空気中に開放したときの、発熱部10の表面最高到達温度が54℃〜72℃であるという条件を満たした場合において、上記の特有の保持作用が得られることを見出し、上記の条件を特有の保持作用を表す指標とした。
また、上記の条件を満たすためには、温熱具1の製法上の工夫をすることが重要である。製法上の工夫としては、成分(A)および成分(B)を有する他、その賦香量、被酸化性金属および吸水剤の平均粒径、被酸化性金属、吸水剤および水などの含有量、および発熱部10の製造方法などを、調整し、適切に組み合わせることが挙げられる。
なお、上記の条件において、脱気は、酸素遮断性の袋の内部に温熱具1を入れ、当該袋を外側から押しつぶして、袋内部の空気を除去することによって行われ、その後、空気が入り込まないように密閉される。なお、このとき温熱具1は、外装袋に収容されていてもよく、収容されている場合は、外装袋とともに当該酸素遮断性の袋内部に入れられる。処理は、50℃の一定の温度下で、30日間行われる。その後、温度20℃湿度60%環境下で3日間順化し、袋から温熱具1を取り出し、温熱具1を室温20℃湿度60%の大気圧下で、空気中に開放することによって、発熱部10を空気中の酸素と反応させ、酸化反応による発熱を利用して、発熱部10を発熱させる。表面最高到達温度は、当該酸化反応による温度上昇による温度であり、発熱部10が発熱している間に測定される温度である。
また、温熱具1は、第2袋体シート30bの外面の最高到達温度が54℃以上であると、より効果的な温熱効果を使用者に付与することができる。
以上、図1〜3を参照して、温熱具1について述べたが、これは本発明の例示であり、温熱具1以外の様々な構成を採用することもできる。
〔蒸気温熱具100〕
次に、温熱具1のより具体的な一例として、蒸気温熱具100について以下に説明する。
図4には、蒸気温熱具100の平面図が示されている。この蒸気温熱具100は、いわゆるアイマスクタイプのものであり、ヒトの目およびその周囲に当接させて、所定温度に加熱された水蒸気(以下、「蒸気温熱」とも言う。)を目およびその周囲に付与するために用いられるものである。この蒸気温熱具100は前述の成分(A)および成分(B)を所定量で含有する香料組成物によって賦香されている。
蒸気温熱具100は、本体部101と、耳が挿入される孔104が形成された耳掛け部105とを有している。本体部101は、長手方向Xとこれに直交する幅方向Yを有する横長の形状をしている。本体部101は略長円形をしている。耳掛け部105は一対で用いられ、各耳掛け部105は本体部101の長手方向(X方向)の各端部にそれぞれ取り付けられている。蒸気温熱具100は、各耳掛け部105を着用者の耳に掛けて、本体部101を着用者の両目を覆うように装着される。この着用状態下、蒸気温熱具100から発生した蒸気温熱が着用者の目に施され、また香気成分が揮散し、森林調などの良好な芳香が好適に感じられる。
図5には、蒸気温熱具100の分解斜視図が示されている。また図6には、蒸気温熱具100のX方向に沿う断面図が示されている。蒸気温熱具100の本体部101は、発熱部121と、該発熱部121を収容する袋体110とを有する。発熱部121は、少なくとも一部に通気性を有する収容体122内に収容されて発熱体120を構成している。発熱部121は図1の発熱部10に対応し、発熱体120は、図1の発熱体14に対応し、袋体110が図1の袋体30に対応し、収容体122が図1の収容体20に対応する。
発熱部121は、発熱部10と同じ態様である。すなわち、発熱部121は、被酸化性金属、吸収剤および水を少なくとも含むが、さらに反応促進剤を含むことが好ましい。発熱部121は一層であっても積層構造であってもよいし、図1で示すような二層構造であってもよい。
蒸気温熱具100の賦香に用いられる香料組成物は、図1の温熱具1で使用しうる香料組成物と同様である。これにより、使用時に適切に蒸気温熱を発生させるとともに森林調などの良好な芳香をバランスよく発現できる蒸気温熱具100とすることができる。
蒸気温熱具100では、袋体110は、着用者の肌に近い側に位置する第1袋体シート110aと、着用者の肌から遠い側に位置する第2袋体シート110bとを有している。なお、第1袋体シート110aは図1の30aと、第2袋体シート110bは図1の30bと対応している。
使用時の温感および使用感を高める観点から、坪量は、肌に遠い側の第2袋体シート110bが肌に近い側の第1袋体シート110aと同じかまたはそれよりも小さい方が好ましい。第1袋体シート110aおよび第2袋体シート110bの厚み、構成繊維の太さは、適切に選択すればよい。
第1袋体シート110aおよび第2袋体シート110bは同形であり、略長円形をしている。そして、第1袋体シート110aおよび第2袋体シート110bの外形が本体部101の外形をなしている。第1袋体シート110aおよび第2袋体シート110bはそれらを重ね合わせ、それらの周縁部を接合し、かつX方向の中央部をY方向に沿って接合することで(図4の破線部分)、内部に2つの空間を有する袋体110が形成される。第1袋体シート110aおよび第2袋体シート110bを接合するためには、例えばホットメルト接着剤を用いることができる。
袋体110には、そのX方向に延びる2つの長辺の中央部の位置において、該長辺からY方向に沿って内方に切れ込んだ略V字形のノッチ部113a,113bが形成されている。ノッチ部113aは、蒸気温熱具100を装着したときに、着用者の眉間またはその近傍に位置する。ノッチ部113bは、蒸気温熱具100を装着したときに、着用者の鼻梁に位置する。したがって、ノッチ部113aよりもノッチ部113bの方が切れ込みの程度が大きくなっている。なお、図5に示すノッチ部113a,113bは、それらの少なくとも一方がスリットであってもよい。
図6には、発熱部121が、少なくとも一部に通気性を有する収容体122内に収容されて発熱体120を構成したものが、さらに袋体110に収容された蒸気温熱具100の例を図示する。この例では、具体的には、収容体122は、第1収容体シート122aと第2収容体シート122bとの周縁部を互いに接合して形成された形状を有している。収容体122は、接合した周縁部よりも内側の部分において非接合状態になっており、それによって、発熱部121を収容する単一の空間が形成されている。収容体122が図1の収容体20に対応し、具体的には、第1収容体シート122aが図1の第1収容体シート20aに対応し、第2収容体シート122bが第2収容体シート20bに対応する。
香料組成物は、袋体110の内側から発熱部121までの間に施されていると好ましく、袋体110の内側から収容体122までの間に施されているとより好ましく、収容体122の外側面に施されているとさらに好ましく、中でも第2収容体シート122bの外側面に施されているとことがさらに好ましい。香料組成物と発熱部121との間に第2収容体シート122bが介在すると、香料組成物と発熱部121との距離が遠くなるため、吸水剤による香りや発熱特性への影響を物理的に抑制することができる。
香料組成物を袋体110の内側から発熱体120の間に施す他の具体例としては、例えば、粉体や油脂の担体に賦香して得られた粉末香料やペースト状の賦香物をシート状にして間に施してもよいし、図6で示すように香料組成物にてシート材料を賦香してなる賦香シート150を間に配置して施してもよいし、袋体110の内側面に香料組成物を直接塗布してもよい。
香料組成物を収容体122の外側面に施す具体例としては、収容体122の外側面のシートに香料組成物を直接塗布してもよい。なお、収容体122の外側面のシートを賦香シートと同等のものとし、このシートに香料組成物を施してもよい。すなわち、接着剤や熱融着等の方法を用いて第2収容体シート122bの外側面に賦香シートと同等のシートを積層し、収容体122の外側面のシートを賦香シートと同等のものとしてもよい。これにより、シートによる温度阻害をもたらさず十分な温熱効果を付与することができるとともに、賦香が容易であり、香料組成物の香り立ちが極めて高くなり、森林調などの良好な芳香を一層効果的に発現させることが可能となる。賦香シート150は、賦香シート15と同じ態様である。賦香シート150を用いた場合は、具体的には、袋体110の内側面に隣接して配置することで施してもよいし、賦香シート150を接着剤により袋体110の内側面に接着して施してもよい。
第1収容体シート122aを着用者の肌に近い側に位置するものとし第2収容体シート122bを着用者の肌から遠い側に位置するものとした場合、賦香シート150を着用者の肌から遠い側に位置する第2収容体シート122b側の外側面に配する、あるいは香料組成物を外側面に施すことにより、使用時の軽快さを向上させると共に十分な温熱効果を着用者の肌へ付与し、同様に良好な香り立ちを達成することが可能である。
第1収容体シート122aおよび第2収容体シート122bの具体的な材料としては、第1収容体シート20a、第2収容体シート20bと同様なものを選択することができる。また、第1収容体シート122aおよび第2収容体シート122bの通気度は、第1収容体シート20a、第2収容体シート20bと同様に設定することができる。
図6には、袋体110と発熱体120との固定の状態が示されている。発熱体120は、第2袋体シート110bの内側面と、第2収容体シート122bの外側面とが固定部103a、103bにより接続されることで、発熱体120が袋体110の内部に固定される。固定部103a、103bは、例えば、接着剤やヒートシール等とすることができる。
蒸気温熱具100における耳掛け部105は、その使用前の状態では、図5および図6に示すように、本体部101における第1袋体シート110a上に配置されている。蒸気温熱具100を使用するときには、図4に示すように、耳掛け部105をX方向の外方へ向けて反転させて、開いた状態にする。使用前の状態、すなわち左右の耳掛け部105が本体部101上に位置している状態においては、左右の耳掛け部105によって形成される輪郭は、本体部101の輪郭とほぼ同じになっている。
本実施形態の蒸気温熱具100は、その使用前は、その全体が酸素バリア性を有する包装材(図示せず)によって包装されて、発熱部121が空気中の酸素と接触しないようになっている。この包装材を構成するフィルムは特に限定されないが、具体的にはアルミニウム等の金属フィルムや、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂フィルム、またはこれらの合成樹脂フィルムにセラミック若しくはアルミニウム等を蒸着したフィルムが挙げられる。また、包装材は、酸素透過係数(ASTM D3985)が、好ましくは10cm・mm/(m・day・MPa)以下であり、より好ましくは2cm・mm/(m・day・MPa)以下であるものを用いることができる。
図7には、蒸気温熱具100の別の例として、蒸気温熱具200を示す。蒸気温熱具100は、袋体の内側から発熱部までの間に、収容体122の外側面に賦香シート150を配する例を挙げたが、蒸気温熱具200では、袋体110の内側から発熱体220までの間に、収容体の外側に別途配されたシート材料に香料組成物が施された例を示す。具体的には、図7に示す蒸気温熱具200においては、袋体110の内側から発熱体220までの間に、賦香シート230が配されている。なかでも、袋体110における第2袋体シート110bと、発熱体220との間に、賦香シート230が隣接して配置されていると好ましい。賦香シート230には、前述の成分(A)、および成分(B)を所定量で含有する香料組成物が施されている。
賦香シート230は、第2袋体シート110bおよび発熱体220の収容体222と非接着状態になっており、隣接して配置された状態である。あるいは第2袋体シート110bと、位置ずれが起こらない程度に軽度に接着されている。賦香シート230を構成するシート材料としては、収容体222と同形でもよく、あるいは収容体222よりも小さな形状のものでもよい。中でも、発熱部221と同じ形状であると、発熱による香りの揮散が効率的で好ましい。
発熱部221は、発熱部10と同じ態様である。発熱部221は一層であっても積層構造であってもよいし、図1で示すような二層構造であってもよい。
発熱体220は、固定部203により袋体110に固定されている。上記説明した以外は、蒸気温熱具200は蒸気温熱具100と同様であり、蒸気温熱具100と同様な効果を得ることができる。例えば、第1収容体シート222aは第1収容体シート122aに対応し、第2収容体シート222bは第2収容体シート122bに対応する。
なお、蒸気温熱具100および蒸気温熱具200は、着用者の両目に当接させて使用するアイマスクを例に挙げて説明したが、これに代えて、これを着用者の身体、例えば肩、腰、肘、膝等に当接させて用いてもよい。あるいは衣類に貼り付けて用いてもよい。蒸気温熱具100を着用者の身体に当接させる場合には、耳掛け部105に代えて、粘着剤等の固定手段を設ければよい。すなわち、着用者の身体に当接させて用いる場合には、袋体110における第1袋体シート110aの表面に、粘着剤等の固定手段を設ければよく、着用者の衣類に貼り付けて用いる場合には、袋体110における第2袋体シート110bの表面に、粘着剤等の固定手段を設ければよい。
蒸気温熱具100、200によれば、前述した成分(A)、成分(B)を所定量で含有する香料組成物により賦香されているため、使用時において、良好な発熱特性が得られると共に森林調の芳香を発現できる温熱具となる。また、蒸気温熱具100、200は発熱特性の観点からも優れている。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の組成物、製造方法、或いは用途を開示する。
<1>
被酸化性金属、吸水剤および水を備える発熱部と、
少なくとも一部に通気性を有し、前記発熱部を収容する袋体と、
を有する温熱具であって、
該温熱具は、
(A)セスキテルペン炭化水素およびこの誘導体から選ばれる1種または2種以上であって、ビシクロ[7.2.0]ウンデカン骨格を有しない化合物
(B)テルペン骨格を有し、炭素数が10〜12である含酸素化合物
を含有する香料組成物にて賦香されており、
前記被酸化性金属100質量部に対する、成分(A)の含有量が、0.1質量部以上0.8質量部以下であり、
成分(B)に対する成分(A)の質量割合((A)/(B))が、0.1以上4以下である、温熱具。
<2>
好ましくは吸水剤が炭素成分を含むものである<1>に記載の温熱具
<3>
吸水剤中の炭素成分が好ましくは95%〜100%である<2>に記載の温熱具
<4>
前記炭素成分100質量部に対する成分(A)の含有量が、好ましくは、1.2質量部以上10質量部以下である、<1>ないし<3>のいずれかに記載の温熱具。
<5>
前記炭素成分100質量部に対する成分(A)の含有量が、好ましくは3.3質量部以上6.5質量部以下である、<1>ないし<3>のいずれかに記載の温熱具。
<6>
前記被酸化性金属100質量部に対する成分(A)と成分(B)の含有量の合計質量部が、好ましくは、0.70質量部以上1.7質量部以下であり、より好ましくは、0.80質量部以上1.5質量部以下である、<1>ないし<5>に記載の温熱具。
<7>
前記炭素成分100質量部に対する成分(A)と成分(B)の含有量の合計質量部が、好ましくは、8.0質量部以上20質量部以下であり、より好ましくは、10質量部以上18質量部以下である、<1>ないし<6>いずれかに記載の温熱具。
<8>
前記被酸化性金属100質量部に対する、成分(A)の含有量が、好ましくは、0.20質量部以上0.65質量部以下である、<1>ないし<7>いずれかに記載の温熱具。
<9>
前記被酸化性金属100質量部に対する、成分(A)の含有量が、好ましくは、0.28質量部以上0.50質量部以下である、<1>ないし<7>いずれかに記載の温熱具。
<10>
前記質量割合((A)/(B))が、好ましくは、0.25以上1.5以下である、<1>ないし<9>いずれかに記載の温熱具。
<11>
前記被酸化性金属の含有量は、坪量で表して、好ましくは100〜3000g/mである<1>ないし<10>いずれかに記載の温熱具。
<12>
成分(A)が、好ましくは、セスキテルペン炭化水素、セスキテルペンアルコール、セスキテルペンエーテル、セスキテルペンエステル、およびセスキテルペンメチルケトンの中から選ばれる少なくとも1種または2種以上である、<1>ないし<11>いずれかに記載の温熱具。
<13>
成分(A)が、好ましくは、アセチルセドレン、イソロンギフォレン、およびファルネセンから選ばれる少なくとも1種または2種以上である、<1>ないし<11>いずれかに記載の温熱具。
<14>
成分(B)が、好ましくは、モノテルペンアルコール類、モノテルペンアルデヒド類、テルペンアルコール酢酸エステル、モノテルペンケトン類、およびモノテルペンエーテルの中から選ばれる少なくとも1種または2種以上である、<1>ないし<13>いずれかに記載の温熱具。
<15>
成分(B)が、好ましくは、リナロール、エチルリナロール、およびシトロネロールの中から選ばれる少なくとも1種または2種以上である、<1>ないし<13>いずれかに記載の温熱具。
<16>
前記香料組成物が、好ましくは、前記袋体の内側から前記発熱部までの間に施されている、<1>ないし<15>いずれかに記載の温熱具。
<17>
前記温熱具は、好ましくは、さらに収容体を有し、
当該収容体が前記発熱部を内部に収容して発熱体を構成しており、
前記袋体の内側から、当該発熱体までの間に、前記香料組成物が施されている、<1>ないし<16>いずれかに記載の温熱具。
<18>
前記香料組成物が、好ましくは、前記収容体の外側面に施されている、<17>に記載の温熱具。
<19>
前記温熱具が、好ましくは、さらに賦香シートを有し、前記香料組成物が前記賦香シートに施されている、<1>ないし<18>いずれかに記載の温熱具。
<20>
前記賦香シートが、好ましくは、前記袋体の内側面に隣接して配置されている、<19>に記載の温熱具。
<21>
前記賦香シートは、好ましくは、前記香料組成物をシート材料に施したものである、<19>または<20>に記載の温熱具。
<22>
前記シート材料は、好ましくは、セルロースを含有するものであり、より好ましくは、吸水紙である、<21>に記載の温熱具。
<23>
前記袋体が、第1袋体シートと、第2袋体シートと、からなり、好ましくは、肌に遠い側の前記第2袋体シートが肌に近い側の前記第1袋体シートと同じかまたはそれよりも低い、<1>ないし<22>いずれかに記載の温熱具。
<24>
前記第1収容体シートは、好ましくは、1,000秒/100ml以上50,000秒/100ml以下である、<23>に記載の温熱具。
<25>
前記第2収容体シートは、好ましくは、5,000秒/100ml以上であり、より好ましくは、10,000秒/100ml以上であり、さらに好ましくは、20,000秒/100ml以上であり、ことさらに好ましくは、30,000秒/100ml以上である、<23>または<24>に記載の温熱具。
<26>
<1>ないし<25>の温熱具が以下の条件を満たすものである温熱具。
条件:当該温熱具を、酸素遮断性袋に入れ、脱気状態で50℃、30日間処理した後、当該温熱具を、室温20℃、湿度60%の大気圧下で、空気中に開放したときの、当該発熱部の表面最高到達温度が54℃〜72℃である。
<27>
被酸化性金属、吸水剤および水を備える発熱部と、
少なくとも一部に通気性を有し、前記発熱部を収容する袋体と、
を有する温熱具であって、
該温熱具は、
(A)セスキテルペン炭化水素およびこの誘導体から選ばれる1種または2種以上であって、ビシクロ[7.2.0]ウンデカン骨格を有しない化合物
(B)テルペン骨格を有し、炭素数が10〜12である含酸素化合物
を含有し、
以下の条件を満たす、温熱具。
条件:当該温熱具を、酸素遮断性袋に入れ、脱気状態で50℃、30日間処理した後、当該温熱具を、室温20℃、湿度60%の大気圧下で、空気中に開放したときの、当該発熱部の表面最高到達温度が54℃〜72℃である。
<28>
成分(A)と成分(B)の質量割合((A)/(B))が、好ましくは、0.25以上1.5以下である<27>に記載の温熱具。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」および「部」はそれぞれ「質量%」および「質量部」を意味する。
図4ないし図6に示す構造の蒸気温熱具を以下のようにして作製した。
〔発熱粉体水分散物の調製〕
表1で示す組成比で、材料を用意し、次の手順で調製した。キサンタンガムを水に溶解し、次いでリン酸3カリウム、水酸化カリウムを溶解して水溶液を用意した。一方で、鉄粉、活性炭をプレ混合した粉体を用意し、上記水溶液に、プレ混合粉体を入れ、ディスクタービン型攪拌羽根で150rpm、10分間攪拌してスラリー状の発熱粉体水分散物を得た。
Figure 0006700228
〔発熱部の作製〕
吸水層として、木材パルプ製の紙(坪量20g/m、伊野紙株式会社製)と吸水性ポリマー(球状、平均粒子径300μm、アクアリックCA、株式会社日本触媒製、坪量30g/m)と木材パルプ製の紙(坪量30g/m、伊野紙株式会社製)を積層して一体化したポリマーシート(最大吸水量の10〜45質量%の水を吸収した状態での通気度2秒/100ml)を用い、基材層として、ポリエチレンラミネート紙(ニットク株式会社製)を用いた。
基材層として用いるポリエチレンラミネート紙を用意し、前述のとおりに調製した発熱粉体水分散物を25cm(5cm×5cm)のポリエチレンラミネート紙の表面に厚み略3mm(塗工量1.7g)で塗工し、塗工面上に、食塩(日本薬局方塩化ナトリウム:富田製薬株式会社製)を0.089g散布し、塗工面をポリマーシート25cm(5cm×5cm)で被覆することで、発熱部を作製した。
〔発熱体の作製〕
収容体における第1収容体シートを、炭酸カルシウムを含む多孔質の延伸ポリエチレン透湿性フィルム(JIS P8117による通気度3,500秒)から構成した。第2収容体シートは、ポリエチレン製の非透湿フィルムから構成した。該第2収容体シートの一面に吸水紙(坪量35g/m)を積層して、上述のシート状発熱部の1枚を間にして、第1収容体シートと第2収容体シートとを、吸水紙が外方を向くように重ね、周縁部においてシートどうしを接合し、矩形の発熱体を得た。そして吸水紙に、以下の表2に示す組成(質量部)の香料組成物を含浸させた。香料組成物の含浸量は、発熱部の固形分量1.18gに対して12.6〜23.0mgとした。
〔蒸気温熱具の作製〕
第1袋体シートは、ニードルパンチ不織布(肌側、坪量80g/m)、第2袋体シートはエアスルー不織布(肌と反対側、坪量30g/m)を用い、図5に示すように、両袋体シートの間に、前記で得られた発熱体を2個挟み、周縁部および縦中心線近傍において第1袋体シート、第2袋体シートどうしを接合した。さらに、第1袋体シートの外側面に、図4に示すように不織布製の耳掛け部を取り付け、目的とする蒸気温熱具を得た。以上の各操作は、酸素が存在しない雰囲気下で行った。
得られた蒸気温熱具を用いて、以下の評価を行った。結果を表2に示す。なお、「保持作用」は、以下の発熱特性と香りの評価結果によって、評価したものとした。
・条件
蒸気温熱具を、酸素遮断性の袋にいれ、袋の外側から押しつぶして、袋内の空気を抜き、密閉して、50℃、30日間処理した後、20℃60%環境下で3日間順化し、20℃60%大気圧下、空気中に開放したときの、発熱部の表面最高到達温度を測定し、以下の基準に従い評価した。なお、表面最高到達温度の測定は、後述の「発熱特性」と同様の手順で行った。
1:表面最高到達温度が54℃以下である。
2:表面最高到達温度が54℃以上62℃以下である。
3:表面最高到達温度が62℃以上72℃以下である。
4:表面最高到達温度が72℃以上である。
・発熱特性
発熱部の表面最高到達温度(℃)は、JIS S4100に準拠した測定機を用いて、蒸気温熱具の第2袋体シートの外面のうち、発熱部がある領域に測定面を貼り付けて、酸素存在下で発熱部の発熱を開始させることによって、測定した。
なお、発熱特性は、蒸気温熱具の製造直後における表面最高到達温度(℃)から、蒸気温熱具を50℃で2週間保存したのちにおける表面最高到達温度(℃)を引いた差分(最高温度低下値)により、評価した。最高温度低下値が低いほど、良好な発熱特性が得られたことを示す。
・香り評価
蒸気温熱具を袋密閉封入して、50℃で2週間保存した。その後、袋を開封して蒸気温熱具を装着し、発熱および水蒸気の発生を開始させ、開封から5分後における香りについて、複数の香りの専門パネラーにより、以下の基準で評価し、平均値を算出し、この小数点第1位を四捨五入したものを結果とした。
<香り>
1:森林調の芳香のバランスが非常によい
2:森林調の芳香のバランスがよい
3:森林調の芳香のバランスが十分でない
4:森林調の芳香のバランスが極めて不足している
Figure 0006700228
1 温熱具
10 発熱部
11 発熱層
12 保水層
13 基材層
14 発熱体
15 賦香シート
20 収容体
20a 収容体シート
20b 収容体シート
21 被酸化性金属
22 吸水剤
30 袋体
30a 袋体シート
30b 袋体シート
100 蒸気温熱具
101 本体部
102 吸水シート
103a 固定部
103b 固定部
104 孔
105 耳掛け部
110 袋体
110a 袋体シート
110b 袋体シート
113a ノッチ部
113b ノッチ部
120 発熱体
121 発熱部
122 収容体
122a 収容体シート
122b 収容体シート
130 基材シート
150 賦香シート
200 蒸気温熱具
203 固定部
220 発熱体
221 発熱部
222 収容体
222a 収容体シート
222b 収容体シート
230 賦香シート
301 塗工槽
302 発熱粉体水分散物
303 攪拌器
304 ポンプ
305 ダイヘッド
L 中心線
X 長手方向
Y 幅方向

Claims (13)

  1. 被酸化性金属、吸水剤および水を備える発熱部と、
    少なくとも一部に通気性を有し、前記発熱部を収容する袋体と、
    を有する温熱具であって、
    該温熱具は、
    (A)セスキテルペン炭化水素およびこの誘導体から選ばれる1種または2種以上であって、ビシクロ[7.2.0]ウンデカン骨格を有しない化合物
    (B)テルペン骨格を有し、炭素数が10〜12である含酸素化合物
    を含有する香料組成物にて賦香されており、
    前記被酸化性金属100質量部に対する、成分(A)の含有量が、0.1質量部以上0.8質量部以下であり、
    成分(B)に対する成分(A)の質量割合((A)/(B))が、0.1以上4以下である、温熱具。
  2. 前記吸水剤が炭素成分を含むものである、請求項1に記載の温熱具
  3. 前記炭素成分100質量部に対する成分(A)の含有量が、1.2質量部以上10質量部以下である、請求項1または2に記載の温熱具。
  4. 前記被酸化性金属100質量部に対する成分(A)と成分(B)の含有量の合計質量部が、0.70質量部以上1.7質量部以下である、請求項1ないし3いずれか一項に記載の温熱具。
  5. 前記炭素成分100質量部に対する成分(A)と成分(B)の含有量の合計質量部が、8.0質量部以上20質量部以下である、請求項1ないし4いずれか一項に記載の温熱具。
  6. 成分(A)がセスキテルペン炭化水素、セスキテルペンアルコール、セスキテルペンエーテル、セスキテルペンエステル、およびセスキテルペンメチルケトンの中から選ばれる1種または2種以上である、請求項1ないし5いずれか一項に記載の温熱具。
  7. 成分(A)がアセチルセドレン、イソロンギフォレン、およびファルネセンから選ばれる少なくとも1種または2種以上である、請求項1ないし6いずれか一項に記載の温熱具。
  8. 前記香料組成物が、前記袋体の内側から前記発熱部までの間に施されている、請求項1ないし7いずれか一項に記載の温熱具。
  9. 前記温熱具はさらに収容体を有し、
    当該収容体が前記発熱部を内部に収容して発熱体を構成しており、
    前記袋体の内側から、当該発熱体までの間に、前記香料組成物が施されている、請求項1ないし8いずれか一項に記載の温熱具。
  10. 前記香料組成物が前記収容体の外側面に施されている、請求項9に記載の温熱具。
  11. 前記温熱具がさらに賦香シートを有し、前記香料組成物が前記賦香シートに施されている、請求項1ないし10いずれか一項に記載の温熱具。
  12. 前記賦香シートは、前記香料組成物をシート材料に施したものである、請求項11に記載の温熱具。
  13. 前記シート材料は、セルロースを含有するものである、請求項12に記載の温熱具。
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