JP2017170114A - 温熱具 - Google Patents

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奈津子 今井
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Abstract

【課題】気持ちのよい温感のなかで冷感を付与できる温熱具を提供する。【解決手段】温熱具50は、被酸化性金属、炭素成分及び水を含有する発熱部10と、発熱部10を収容する収容体20とを有する発熱体100を備え、冷感剤としてメントールが保持され、発熱体100の発熱開始後のメントールの揮散量が、0.04mg/30min以上、0.30mg/30min以下であり、発熱体100の発熱開始後の水蒸気発生量が、40mg/10min以上、3,000mg/10min以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、温熱具に関する。
従来、鉄粉等の被酸化性金属、塩化ナトリウム等の電解質及び水を含んで構成され、被酸化性金属の酸化反応により生じる酸化熱を利用した蒸気温熱具が利用されている。また、蒸気温熱具の多様化に伴い、冷感剤としてメントールを含む蒸気温熱具の開発がなされている。
特許文献1には、夏場の暑い時期に蒸気温熱具を使用した場合に生じやすい暑熱感を抑制する観点から、被酸化性金属、反応促進剤、電解質及び水を含み、冷感剤としてメントールを含む発熱具が記載されている。そして、当該発熱具を用いることで、皮膚温が高くなることによる暖かい刺激と清涼感を同時に付与することが開示されている。
特開2014−205072号公報
しかしながら、近年の使用者の要求の高水準化に伴い、特許文献1に記載された技術のように暖かい刺激と清涼感を同時に付与するだけでは、使用者を充分に満足させることはできなくなってきた。本発明者らは、使用者の高い要求に応えるべく、鋭意検討を行った結果、単に暖かい刺激と清涼感を与えるのではなく、気持ちのよい温感のなかで冷感を付与するといった新たな課題を見出した。
本発明者らは、当該課題を解決する手段として、メントールの揮散量と水蒸気発生量といったパラメーターを組み合わせて制御することが有効であるという知見を得た。
すなわち、本発明は、
被酸化性金属、炭素成分及び水を含有する発熱部と、前記発熱部を収容する収容体とを有する発熱体を備え、
冷感剤としてメントールが保持され、
前記発熱体の発熱開始後の前記メントールの揮散量が、0.04mg/30min以上、0.30mg/30min以下であり、
前記発熱体の発熱開始後の水蒸気発生量が、40mg/10min以上、3,000mg/10min以下である、温熱具を提供する。
本発明によれば、気持ちのよい温感のなかで冷感を付与できる温熱具を提供することができる。
実施の形態に係る温熱具の平面図である。 実施の形態に係る温熱具の分解斜視図である。 実施の形態に係る発熱体の一例を示す平面図である。 図3のA−A断面図である。 実施の形態に係る発熱体の収容体のシート面と直交する方向の断面図である。 実施の形態に係る発熱体の変形例を模式的に示した断面図である。 実施の形態に係る発熱体の表面最高温度と水蒸気発生量を測定する装置を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
[温熱具]
まず、本実施形態に係る温熱具50の一例について、図1および図2に基づいて説明する。図1は温熱具の平面図、図2は温熱具の分解斜視図である。
本実施形態に係る温熱具50は、いわゆるアイマスクタイプのものであり、一対の発熱体100が、それぞれ着用者の目や瞼を覆い、所定温度に加熱された水蒸気を目及びその周囲に付与するために用いられるものである。また、本実施形態において、発熱体100の発熱開始後のメントールの揮散量、および発熱体100の発熱開始後の水蒸気発生量は、温熱具50全体の数値を示す。
本実施形態の温熱具50は、
被酸化性金属、炭素成分及び水を含有する発熱部10と、発熱部10を収容する収容体20とを有する発熱体100を備え、
冷感剤としてメントールが保持され、
発熱体100の発熱開始後のメントールの揮散量が、0.04mg/30min以上、0.30mg/30min以下であり、
発熱体100の発熱開始後の水蒸気発生量が、40mg/10min以上、3,000mg/10min以下である。
温熱具50は、図1に示すように、本体部51と、耳が挿入される孔54が形成された耳掛け部52とを有している。
本体部51は、長手方向Xとこれに直交する幅方向Yを有する横長の形状をしている。本体部51はたとえば略長円形をしている。耳掛け部52は一対で用いられ、各耳掛け部52は本体部51の長手方向(X方向)の各端部にそれぞれ取り付けられている。温熱具50は、各耳掛け部52を着用者の耳に掛けて、本体部51で着用者の両目を覆うように装着される。この着用状態下、後述する発熱体100から発生した蒸気温熱が着用者の目に施される。
図2には、温熱具50の使用前の状態の分解斜視図が示されている。同図においては、耳掛け部52は温熱具50中最上部に配置されており、使用時には中央部を切り離して左右に開き、外方に向けて反転させて図1の状態とする。
温熱具50は、さらに袋体53を備えている。
袋体53は、着用者の肌面に近い側に位置する袋体第1シート55と、着用者の肌面から遠い側に位置する袋体第2シート56とを有している。ここで、後述する発熱体100を挟み込むように、これらの袋体第1シート55と袋体第2シート56とが設けられる。
袋体第1シート55と、袋体第2シート56のそれぞれの坪量は、内部が透けて見えてしまうことを防止する観点や、保温性、柔軟性、厚み等の観点から20g/m以上が好ましく、40g/m以上がより好ましい。また、同様の観点から、袋体第1シート55および袋体第2シート56のそれぞれの坪量は、200g/m以下が好ましく、110g/m以下がより好ましい。
また、袋体第1シート55は発生した水蒸気を着用者に適用するため、袋体第2シート56は、発熱体100に対して酸素を円滑に供給するために、ともに透気性を有することが好ましい。
具体的に、これらの袋体シートの透気度(JIS P8117、2009年改訂版、以下本明細書中の「透気度」について同じ)は、6,000秒/100mL以下であることが好ましく、1,000秒/100mL以下であることがより好ましく、500秒/100mL以下であることがさらに好ましく、0秒/100mLであることがことさら好ましい。
袋体第1シート55及び袋体第2シート56は同形であり、略長円形をしている。そして、袋体第1シート55及び袋体第2シート56の外形が本体部51の外形をなしている。袋体第1シート55及び袋体第2シート56はそれらを重ね合わせ、それらの周縁部を少なくとも一部接合し、かつX方向の中央部をY方向に沿って接合することで、袋体53となる。袋体第1シート55及び袋体第2シート56を接合するためには、例えばホットメルト接着剤を用いることができる。なお、発熱体100は接着剤やヒートシール等(図示略)により、袋体53に固定されていてもよい。
袋体第1シート55及び袋体第2シート56としては、たとえば、不織布をはじめとする繊維シートを使用できる。たとえば、ニードルパンチ不織布、エアスルー不織布及びスパンボンド不織布から選択される1種又は2種以上を使用できる。
袋体53には、そのX方向に延びる2つの長辺の中央部の位置において、該長辺からY方向に沿って内方に切れ込んだ略V字形のノッチ部53A、53Bが形成されている。ノッチ部53A、53Bは、切れ込みの程度が異なっている。ノッチ部53Aは、温熱具50を装着したときに、着用者の眉間又はその近傍に位置する。ノッチ部53Bは、温熱具50を装着したときに、着用者の鼻梁に位置する。したがって、通常、ノッチ部53Aよりもノッチ部53Bの方が切れ込みの程度が大きくなっている。
温熱具50における耳掛け部52は、その使用前の状態では、図2に示すように、袋体第1シート55上に配置されている。温熱具50を使用するときには、耳掛け部52を外方へ向けて反転させて、開いた状態にする。使用前の状態、すなわち左右の耳掛け部52が袋体第1シート55上に位置している状態においては、左右の耳掛け部52によって形成される輪郭は、袋体第1シート55の輪郭とほぼ同じになっている。なお、耳掛け部52は、袋体53と同様の材料を用いることができる。
[発熱体]
続いて、温熱具50に備えられる発熱体100について説明する。本実施形態において、一対の発熱体100が、温熱具50に配され、それぞれの発熱体100が着用者の目を覆うこととなる。
図3は、本実施形態の発熱体100の一例を示す平面図である。また、図4は、図3のA−A断面図である。本実施形態の発熱体100は、被酸化性金属、炭素成分及び水を含む発熱部10と、この発熱部10を収容する収容体20とを有する。
ここで、発熱体100を構成する発熱部10について説明する。
この発熱部10は、被酸化性金属と、炭素成分と、水とを含む発熱組成物から形成されるものである。
具体的には、発熱部10は、被酸化性金属の酸化反応によって発熱して温熱効果を付与するものであり、JIS S4100に準拠した測定において、発熱温度30℃以上70℃以下の性能を有するものを使用することができる。また、発熱部10は含まれる水が加熱されることにより、水蒸気を発生するという作用をもたらす。
被酸化性金属は、酸化反応熱を発する金属であり、例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、及びカルシウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上の金属の粉末や繊維等が挙げられる。なかでも、取り扱い性、安全性、製造コスト、保存性及び安定性の点から鉄粉が好ましい。鉄粉としては、例えば、還元鉄粉、及びアトマイズ鉄粉からなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
被酸化性金属は、酸化反応が効率的に行われるという観点から、粉末状にした場合の平均粒径が好ましくは10μm以上であり、より好ましくは15μm以上であり、さらに好ましくは20μm以上である。同様の観点から、被酸化性金属の平均粒径は好ましくは200μm以下であり、より好ましくは180μm以下であり、さらに好ましくは150μm以下である。
なお、被酸化性金属の粒径は、粉体の形態における最大長さをいい、篩による分級、動的光散乱法、レーザー回折法等により測定することができるが、なかでもレーザー回折法により測定することが好ましい。
発熱部10中における被酸化性金属の含有量は、発熱体100の表面温度を所望の温度に上昇させることができる観点から、坪量で表して、好ましくは100g/m以上であり、より好ましくは200g/m以上であり、さらに好ましくは300g/m以上である。また、同様の観点から、発熱部10中における被酸化性金属の含有量は、好ましくは3,000g/m以下であり、より好ましくは2,000g/m以下であり、さらに好ましくは1,500g/m以下である。
ここで、発熱部10中の被酸化性金属の含有量は、JIS P8128に準じる灰分試験や、熱重量測定器で求めることができる。他に外部磁場を印加すると磁化が生じる性質を利用して振動試料型磁化測定試験等により定量することができる。なかでも、熱重量測定器で求めることが好ましい。
炭素成分は、保水能、酸素供給能、及び、触媒能を有するものであり、たとえば、活性炭、カーボンブラック、アセチレンブラック、及び黒鉛からなる群から選ばれる1種又は2種以上の材料を用いることができる。なかでも、湿潤時に酸素を吸着しやすいことから、活性炭が好ましく用いられる。また、椰子殻炭、木粉炭、及びピート炭からなる群から選ばれる1種又は2種以上の微細な粉末状物又は小粒状物がより好ましく用いられる。発熱体100の表面温度を所望の温度に上昇させやすくする観点から、木粉炭がさらに好ましい。
炭素成分は、被酸化性金属と均一に混合される観点から、平均粒径が好ましくは10μm以上であり、より好ましくは12μm以上であり、さらに好ましくは15μm以上である。また、同様の観点から、炭素成分の平均粒径は好ましくは200μm以下であり、より好ましくは150μm以下であり、さらに好ましくは100μm以下である。
なお、炭素成分の平均粒径は、粉体の形態における最大長さをいい、動的光散乱法、レーザー回折法等により測定することができるが、なかでもレーザー回折法により測定することが好ましい。炭素成分は粉体状の形態のものを用いることが好ましいが、粉体状以外の形態のものを用いることもでき、たとえば、繊維状の形態のものを用いることもできる。
発熱部10中における炭素成分の含有量は、発熱部10への水分供給が十分に得られる観点から、被酸化性金属の含有量100質量部に対して、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは3質量部以上であり、さらに好ましくは6質量部以上である。また、発熱部10中における炭素成分の含有量は、発熱部10への酸素供給が十分に得られる観点から、被酸化性金属の含有量100質量部に対して、好ましくは40質量部以下であり、より好ましくは15質量部以下であり、さらに好ましくは12質量部以下である。
なお、発熱部10中における炭素成分の含有量は、坪量で表して、好ましくは10g/m以上であることが好ましく、より好ましくは20g/m以上であり、さらに好ましくは25g/m以上である。また、炭素成分の含有量は、坪量で表して、好ましくは400g/m以下であり、より好ましくは250g/m以下であり、さらに好ましくは120g/m以下である。
発熱部10中の水の含有量は、被酸化性金属の酸化反応を良好に進行させる観点から、被酸化性金属の含有量100質量部に対して、好ましくは20質量部以上であり、より好ましくは30質量部以上であり、さらに好ましくは40質量部以上である。発熱部10中の水の含有量は、最高到達温度を一定温度以上とする観点から、被酸化性金属の含有量100質量部に対して、好ましくは100質量部以下であり、より好ましくは90質量部以下であり、さらに好ましくは80質量部以下である。発熱部10中の水は、被酸化性金属の酸化反応による発熱に伴う温度上昇により、その一部が水蒸気となる。
発熱部10中には、水分を保持し、被酸化性金属の酸化反応を効率よく進行させるため、吸水剤を含ませることができる。吸水剤として、吸水性を有するポリマーや、吸水性を有する粉体を用いることができる。
吸水性を有するポリマーとしては、自重の20倍以上の液体を吸収・保持できる架橋構造を有する親水性のポリマーが挙げられ、吸水性を有する粉体としては、例えば、バーミキュライト、おがくず、シリカゲル、及びパルプ粉末からなる群から選ばれる1種又は2種以上の粉体が挙げられる。吸水剤を含ませる場合の含有量としては、発熱部10中の水100質量部に対して2質量部以上であることが好ましく、また、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましい。
発熱部10は、さらに、反応促進剤を含むことができる。反応促進剤を含ませることで、被酸化性金属の酸化反応を持続させやすくすることができる。また、反応促進剤を用いることにより、酸化反応に伴い被酸化性金属に形成される酸化被膜を破壊して、酸化反応を促進することができる。反応促進剤には、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属の硫酸塩、及び塩化物からなる群から選ばれる1種又は2種以上の材料が挙げられる。中でも、導電性、化学的安定性、生産コストに優れる点から、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄等の各種塩化物、及び硫酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上の材料を用いることが好ましい。
発熱部10中の反応促進剤の含有量は、十分な発熱量を長時間持続させる点から、被酸化性金属の含有量100質量部に対して、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは3質量部以上であり、さらに好ましくは6質量部以上である。
また、同様の観点から、発熱部10中の反応促進剤の含有量は、被酸化性金属の含有量100質量部に対して、好ましくは25質量部以下であり、より好ましくは20質量部以下であり、さらに好ましくは15質量部以下である。
本実施形態においては発熱部10がシート状である態様を示したが、この発熱部10は、粉体状であってもよいし、シート状であってもよい。しかしながら、使用感に優れる点から、シート状であることが好ましい。シート状の発熱部10としては、発熱組成物を湿式抄造してなるもの、発熱組成物を紙等の基材で挟持してなるもの、発熱組成物を紙等の基材に塗布してなるもの等が挙げられる。なかでも、発熱部10は、発熱組成物を湿式抄造してなるもの、発熱組成物を紙等の基材に塗布してなるものであると、使用感に優れる点、容易に製造できる点から好ましい。
発熱部10が発熱組成物を紙等の基材に塗布してなるものである場合、発熱組成物中に増粘剤、リン酸塩を含有させることが好ましい。
発熱組成物中に増粘剤を含有させると、発熱体100の保管中おける発熱特性低下を抑制することができる。
発熱組成物中に含まれる増粘剤としては主として、水分を吸収して稠度を増大させるか、チキソトロピー性を付与する物質を用いることができ、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸塩、アラビアゴム、トラガカントゴム、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガムなどの多糖類系増粘剤;デキストリン、α化澱粉、加工用澱粉などの澱粉系増粘剤;カルボキシメチルセルロース、酢酸エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体系増粘剤;ステアリン酸塩などの金属石鹸系増粘剤;ベントナイトなどの鉱物系増粘剤等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
増粘剤の含有量は、被酸化性金属の含有量100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上であり、より好ましくは0.08質量部以上であり、さらに好ましくは0.1質量部以上である。
また、増粘剤の含有量は、被酸化性金属の含有量100質量部に対して、好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは4.5質量部以下であり、さらに好ましくは4質量部以下である。
発熱組成物中にリン酸塩を含有させると、発熱組成物の流動性を上げる効果があるため、紙等の基材に塗布して発熱部10を製造する場合に製造が容易となる点から好ましい。リン酸塩としては、第一リン酸カリウム塩、第二リン酸カリウム塩、第三リン酸カリウム塩の他、第一リン酸ナトリウム塩、第二リン酸ナトリウム塩、から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。リン酸塩の含有量は、被酸化性金属の含有量100質量部に対して、リン酸基として0.1質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましく、0.5質量部以上であることがさらに好ましく、また、2質量部以下であることが好ましく、1.5質量部以下であることがより好ましく、1.1質量部以下であることがさらに好ましい。
発熱部10は、例えば、上記成分の混合物を紙等の基材に塗工することで作製することができる。塗工方法は、とくに限定されず、例えば、ダイコーティング、ロール塗布、スクリーン印刷、ロールグラビア、ナイフコーティング、カーテンコーター等などを用いることができる。
発熱部10の厚みは、好ましくは0.2mm以上であり、より好ましくは0.4mm以上であり、さらに好ましくは0.5mm以上である。また、発熱部10の厚みは、好ましくは5mm以下であり、より好ましくは3mm以下であり、さらに好ましくは2mm以下である。
発熱部10の厚みを上記範囲とすることで、発熱効果を高めつつ、発熱体100を使用しやすいサイズにすることができる。
なお、この発熱部10の厚みは平均厚みを示す。
発熱部10には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、界面活性剤、薬剤、凝集剤、着色剤、紙力増強剤、pHコントロール剤、嵩高剤等を含むこともできる。
つづいて、発熱体100を構成する収容体20について説明する。
収容体20は、少なくとも一部が透気性であり、発熱部10を収容するものである。収容体20は、たとえば、図4に示すように2枚のシート(収容体第1シート201、収容体第2シート202)の周縁部203を貼り合せて構成することができるが、このようなシートとしては、透気性を有する部分として、透気性シート、不織布と透気性シートとをラミネートした積層シート、編み物地と透気性シートとをラミネートした積層シート等を用いることができる。
なお、ここで収容体第1シート201は発熱部10よりも着用者の肌側に位置されるものであり、収容体第2シート202は発熱部10よりも着用者の肌から遠い側に位置されるものである。
透気性シートとしては、樹脂製の多孔質シートや通気穴を有する樹脂製のシートを用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン酢酸ビニル共重合体の1種又は2種以上を使用することができる。その厚みは、5μm以上200μm以下が好ましい。樹脂製の多孔質シートとしては、具体的には、熱可塑性樹脂及び該樹脂と相溶性のない有機又は無機のフィラーの溶融混練物をフィルム状に成形し、一軸又は二軸延伸して得られたものであり、微細な多孔質構造になっているものや、通気穴を有する樹脂製のシートとしては非透気性シートや難透気性シートに針等で微細穴を設けたものや、あるいは前述の透気性シートにさらに針等で微細穴を設けたものが好ましい。
なお、本実施形態において、前述の収容体第1シート201は、透気性に長けているシートであることが好ましく、一方、収容体第2シート202は、透気性に乏しいシートであることが好ましい。
より具体的に、収容体第1シート201の透気度は、着用者に適度な温感をもたらす観点から、好ましくは10,000秒/100mL以下であり、より好ましくは7,000秒/100mL以下であり、さらに好ましくは5,000秒/100mL以下であり、ことさらに好ましくは4,000秒/100mL以下である。
一方、収容体第1シート201の透気度は、発熱部10中における酸化反応を適切な速度とする観点から、好ましくは100秒/100mL以上であり、より好ましくは300秒/100mL以上であり、さらに好ましくは400秒/100mL以上であり、ことさらに好ましくは500秒/100mL以上である。
一方、収容体第2シート202の透気度は、発熱部10で発生した水蒸気を着用者に効果的に適用する観点から、好ましくは10,000秒/100mL以上であり、より好ましくは20,000秒/100mL以上である。
また、収容体第2シート202の透気度の上限値は、特に限定されるものではないが、シートの入手容易性の高さ等の観点から、好ましくは100,000秒/100mL以下である。
なお、収容体第2シート202としては、実質的に酸素を透過しないものを用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニリデン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスルフォン及びポリアミドの1種又は2種以上を使用することができる。その厚みは、5μm以上200μm以下が好ましい。
また、収容体第1シート201の透湿度は、着用者に水蒸気をもたらす観点から、その透湿度が一定の数値以上に調整されていることが好ましい。一方、水蒸気として放出される量を調整し、発熱体100としての高温度を保持する観点からは、この収容体第1シート201の透湿度が一定の数値以下に調整されていることが好ましい。
より具体的に、収容体第1シート201の透湿度は、水蒸気により十分な温感を感じる観点から、好ましくは800g/m・24hr以上であり、より好ましくは1000g/m・24hr以上であり、さらに好ましくは1300g/m・24hr以上であり、冷感の低下を抑制する観点から、好ましくは8000g/m・24hr以下であり、より好ましくは6000g/m・24hr以下であり、さらに好ましくは5000g/m・24hr以下である。
なお、透湿度は、JIS Z0208(1976年制定)に基づいてカップ法により測定を行うことができる。
一方、収容体第2シート202の透湿度は、着用者に効果的に水蒸気をもたらす観点から、その透湿度が一定の数値以下に設定されていることが好ましい。
収容体第2シート202の透湿度は、発熱部10で発生した水蒸気を着用者に効果的に適用する観点から、好ましくは750g/m・24hr以下であり、より好ましくは540g/m・24hr以下である。
また、収容体第2シート202の透湿度の下限値は、特に限定されるものではなく、0g/m・24hrとすることもできる。
その他、図6に示すように、収容体20を、さらに、使用感を高めるため風合いの良好なシート材料である不織布製の第二収容体40に収容した構成としてもよい。第二収容体40は、好ましくは坪量5g/m以上、より好ましくは10g/m以上のシートにより構成される。また、好ましくは200g/m以下、より好ましくは120g/m以下のシートの周縁部を貼り合せて構成させることができる。
これらのうち、軽量化等の観点から、坪量20g/m以上120g/m以下のシートであることが好ましい。このようなシートとしては、不織布、編み物地等が挙げられる。
不織布としては、1種又は2種以上の繊維を用いて、エアスルー法、スパンボンド法、ニードルパンチ法、メルトブローン法、カード法、熱融着法、水流交絡法、溶剤接着法により製造されたものを用いることができる。なかでも、風合いや、弾力性の観点から、伸縮性を有する不織布を用いることが好ましい。伸縮性を有する不織布としては、構成繊維として弾性繊維(例えば、ポリウレタン、ポリエステル)や立体捲縮性繊維を含む不織布が好ましく、例えばエアスルー不織布やスパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布等がより好ましい。
具体的な不織布の材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、エチレンプロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリアクリル等を含む合成繊維;セルロース、シルク、コットン、ウール等を含む天然繊維;あるいはそれらを複合した繊維の1種又は2種以上が挙げられる。
なお、本実施形態の発熱体100は、酸素により酸化される被酸化性金属を有するため、通常、酸素遮断袋に封入されて保管される。
本実施形態の温熱具50は、その構造中の発熱体100に冷感剤を含有することを特徴とする。より詳細には、温熱具50に備えられる発熱体100には冷感剤としてメントールが含まれる。
なお、本明細書において、「メントール」はl−メントールのほか、dl−メントールも合わせたものとして、その量などを特定することができる。また、本明細書において、冷感剤とは、着用者の皮膚、粘膜等に作用して着用者に冷たい感覚、すなわち冷感を与えるものである。
冷感剤としては、メントール以外の冷感剤も、さらに含むことができる。含ませることのできる冷感剤としては、入手容易性等の観点から、1,8−シネオール、乳酸メンチル、酢酸メンチル、コハク酸モノメンチル、3−(l−メントキシ)−1,2−プロパンジオール、N−エチル−3−p−メンタンカルボキサミドよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を挙げることができる。これにより、冷感を持続させやすくなったり、香気の組み合わせにより冷感の感覚の改良などができるようになる。
発熱体100中の冷感剤の含有量は、発熱部10全体の質量に対して、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、さらに好ましくは0.4質量%以上である。冷感剤の含有量を上記下限値以上とすることにより、充分な冷感を付与する事ができる。
一方、発熱体100中の冷感剤の含有量は、発熱部10全体の質量に対して、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1.7質量%以下であり、さらに好ましくは1.5質量%以下である。
発熱体100中における冷感剤の賦香量は、同様の観点から、発熱部10の全体の質量に対して、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、さらに好ましくは0.4質量%以上であり、また、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1.7質量%以下であり、さらに好ましくは1.5質量%以下である。
また、メントールの賦香量は、水蒸気量とメントール揮散量とのバランスの観点から、発熱部10全体の質量に対して、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.15質量%以上であり、また、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.8質量%以下であり、さらに好ましくは0.6質量%以下である。
この冷感剤を担持させる形態としては、例えば以下のような形態がある。
(1)冷感剤が発熱部10内に含まれる形態
(2)収容体20の内部に、冷感剤が付されたシートが配置される形態
(3)収容体20を構成する収容体第1シート201および収容体第2シート202の少なくともいずれか一方に冷感剤が付される形態
(4)収容体20の外部に、冷感剤が付されたシートが配置される形態
これら冷感剤を担持させる形態のうち、(4)収容体20の外部に、冷感剤としてメントールが付されたシートが配置される形態が好ましい。これにより、安定した発熱特性が得られると共に、メントールを効率よく揮散させることができ、気持ちの良い温感のなかで冷感を付与できる。また、温熱具50の製造工程を簡略化する観点からも好ましい。収容体20の外部とは、発熱体100の外部であって、温熱具50のいずれか一部を意味する。収容体20の外部は、好ましくは発熱体100からの発熱が伝わる領域であり、より好ましくは、発熱体100の外面に接する領域である。
収容体20の外部に冷感剤が付されたシートを配置する場合、冷感剤が、発熱部10の平面視における面積に対し、好ましくは0.15g/m以上担持されており、より好ましくは0.5g/m以上担持されており、さらに好ましくは0.8g/m以上担持されている。
また、収容体20の外部に冷感剤が付されたシートを配置する場合、冷感剤が、発熱部10の平面視における面積に対し、好ましくは15g/m以下担持されており、より好ましくは10g/m以下担持されており、さらに好ましくは8g/m以下担持されている。
収容体20の外部に冷感剤が付されたシートを配置する場合、発熱体100より発生する水蒸気を、目や目の周りの皮膚に効率よく供給できる観点から、着用者の肌から遠い側に位置する収容体第2シート202の側に配置することが好ましい。また、冷感剤を効果的に揮発させる観点から、シートは収容体20の外面に設けられていることが好ましい。
図5は、発熱体100の収容体20のシート面と直交する方向の断面図である。図5に示すように、本実施形態において、温熱具50が有する発熱体100は、収容体20の外部に、冷感剤が付されたシート212が配置されている。
本実施形態において、シート212は、収容体第2シート202の外面に接着剤等を介して設けられている。そして、本実施形態では、シート212と収容体第2シート202とは同じ大きさ、形状であり、収容体第2シート202の外面全面を被覆している。シート212は収容体第2シート202よりも小さいものであっても大きいものであってもよいが、好ましくは収容体第2シート202と同形であることが好ましい。
シート212には、冷感剤が担持されている。収容体20の外側に配置されるシート212に冷感剤を担持させることで、冷感剤を使用者に効率よく供給することができる。
シート212としては、冷感剤を担持できるものであればよく、紙、不織布、多孔質フィルム、織布のいずれかが挙げられる。
冷感剤は、シート212に滴下、スプレー、塗布、または含浸等の手段で担持させることができる。
また、本実施形態において、気持ちよい温感及び冷感を両立する観点から、温熱具50における発熱体100の発熱開始後30分あたりにおけるメントールの揮散量は、0.04mg以上0.30mg以下に設定される(本明細書では、これらを「0.04mg/30min」あるいは「0.30mg/30min」と表記する。)。
このように温熱具50におけるメントールの揮散量が、0.04mg/30min以上に設定されることで温熱具50を着用した者に対し、適度な冷感を与え、また、発熱部10に起因する温感ももたらされる。一方、温熱具50におけるメントールの揮散量が、0.30mg/30min以下に設定されることで、着用者にメントールに由来する刺激を過度にもたらすことを抑制することができる。
メントールの揮散量は、適度な冷感を付与する観点から、好ましくは0.05mg/30min以上であり、より好ましくは0.06mg/30min以上であり、さらに好ましくは0.10mg/30min以上であり、ことさら好ましくは0.11mg/30min以上であり、冷感による刺激を抑制する観点から、好ましくは0.24mg/30min以下であり、より好ましくは0.2mg/30min以下であり、さらに好ましくは0.16mg/30min以下である。
なお、温熱具50において、メントールは、一対の発熱体100それぞれに保持されているため、メントール揮散量は、これらを合わせた数値となる。温熱具50がアイマスクタイプの場合、着用者の目それぞれに対して、同量のメントールが付与されることが好ましい。具体的には、一方の目に対するメントールの揮散量は、好ましくは0.02mg/30min以上であり、さらに0.025mg/30min以上、0.03mg/30min以上、0.050mg/30min以上、0.055mg/30min以上の順でより好ましく、また、好ましくは0.15mg/30min以下であり、より好ましくは0.12mg/30min以下であり、さらに好ましくは0.1mg/30min以下であり、ことさらに好ましくは0.08mg/30min以下である。
メントールの揮散量は、以下のように測定することができる。
まず、発熱体100が酸化反応を行う程度に充分な量の空気が入った15cm×25cmのポリフッ化ビニル樹脂の気体捕集バッグ(テドラー(商標登録)バッグ、デュポン社製)を用意し、気体捕集バッグの一方の端部を空気供給源に接続し、他方の端部の吐出口又は吐出口に連結したチューブの先端をエタノール中に浸漬させる。
次に、メントールがシート212に保持された発熱体100を酸素遮断袋から取り出し、当該気体捕集バッグにいれて、35℃に設定したホットプレート上に30分間載置する。ホットプレート上に載置している間、空気供給源から気体捕集バッグ内に一定スピードで(100mL/min)空気を流入させ、気体捕集バッグの他方の端部の吐出口又は吐出口に連結したチューブの先端から空気を排出させることで、発熱体100から揮散したメントールをエタノール中に捕集する。また、気体捕集バッグ内に流入した空気が適切に排出されるよう、気体捕集バッグ上に重りを載せ、気体捕集バッグの周囲は、ホットプレートによる加温が保持されるように、断熱材により断熱する。
30分間の載置後、気体捕集バッグから発熱体100を取り出し、気体捕集バッグ内をエタノールで洗浄し、洗浄に用いたエタノールも捕集して、メントールの揮散量に合計する。メントールの捕集量の分析は、ガスクロマトグラフィーにより行う。
これらの作業は全て大気圧下で行う。
また、本実施形態の温熱具50における水蒸気発生量は、着用者に適度な蒸気感を与える観点から、40mg/10min以上であり、好ましくは100mg/10min以上であり、より好ましくは140mg/10min以上である。
また、本実施形態の温熱具50における水蒸気発生量は、温熱具50中の結露を抑止する観点から、3,000mg/10min以下であり、好ましくは1,600mg/10min以下であり、より好ましくは500mg/10min以下である。
なお、本実施形態において、発熱体100の発熱開始後の水蒸気発生量は、一対の発熱体100それぞれから発生する水蒸気量を合わせた、温熱具50全体の数値を示す。温熱具50がアイマスクタイプの場合、着用者の目それぞれに対して、同量の水蒸気量が供給されることが好ましい。具体的には、一方の目に対して、発熱体100の発熱開始後10分あたりにおける水蒸気発生量が、好ましくは20mg/10min以上であり、より好ましくは50mg/10min以上であり、さらに好ましくは70mg/10min以上であり、また、好ましくは1,500mg/10min以下であり、より好ましくは800mg/10min以下であり、さらに好ましくは250mg/10min以下である。
また、本実施形態の温熱具50は、発熱体100の発熱開始後のメントールの揮散量が、0.04mg/30min以上、0.30mg/30min以下であり、かつ、発熱体100の発熱開始後の水蒸気発生量が、40mg/10min以上、3,000mg/10min以下であることにより、気持ちのよい温感のなかで冷感を付与できるものである。
より高水準で気持ちのよい温感のなかで冷感を付与する観点から、当該メントールの揮散量が、好ましくは0.05mg/30min以上であり、より好ましくは0.06mg/30min以上であり、さらに好ましくは0.10mg/30min以上であり、ことさらに好ましくは0.11mg/30min以上であり、また、好ましくは0.24mg/30min以下であり、より好ましくは0.2mg/30min以下であり、さらに好ましくは0.16mg/30min以下であり、かつ、当該水蒸気発生量が、好ましくは100mg/10min以上であり、より好ましくは140mg/10min以上であり、好ましくは1,600mg/10min以下であり、より好ましくは500mg/10min以下である。
ここで、本発明者らは、温熱具50が、上記のような特定量の水蒸気発生量及びメントール揮散量とするためには、従来とは異なる製法上の工夫をすることが重要であることを見出した。具体的には、収容体20の構成、材料、収容体20の透気度及び透湿度、発熱部10に含まれる被酸化性金属、炭素成分及び水の配合量及び材料の選択、メントールの賦香量等の因子を高度に制御することが重要となる。すなわち、単に、メントールの賦香量や被酸化性金属の量を制御すればよいのではなく、各種因子を適切に組み合わせることによって初めて、特定量の水蒸気発生量及びメントール揮散量を得ることができる。
本実施形態の発熱体100の表面最高温度は、後述する装置30を用いて測定できるものであるが、この発熱体100の表面最高温度は、着用者に気持ちよい温感と冷感を両立させる観点から、好ましくは35℃以上であり、より好ましくは40℃以上であり、さらに好ましくは45℃以上である。
また、発熱体100の表面最高温度は、着用者に心地よい温感を与える観点から、好ましくは70℃以下であり、より好ましくは65℃以下であり、さらに好ましくは60℃以下である。
ここで、発熱体100の表面最高温度と水蒸気発生量は、図7に示す装置30を用いて、次のように測定される数値である。図7に示す装置30は、アルミニウム製の測定室(容積4L)31、測定室31の下部に除湿空気(湿度2%未満、流量2.1L/分)を流入させる流入路32、測定室31の上部から空気を流出させる流出路33、流入路32に設けられた入口温湿度計34と入口流量計35、流出路33に設けられた出口温湿度計36と出口流量計37、測定室31内に設けられた温度計(サーミスタ)38からなっている。温度計38としては、温度分解能が0.01℃程度のものを使用する。
発熱体100の表面最高温度の測定は、測定環境温度30℃(30±1℃)において発熱体100を酸素遮断袋から取り出し、発熱体100の肌側に位置する面、たとえば水蒸気が放出しやすい面を上にして測定室31に載置し、金属球(質量4.5g)をつけた温度計38をその上に載せて計測する。
また、この状態で下部より除湿空気を流し、入口温湿度計34と出口温湿度計36で計測される温度及び湿度から測定室31に空気が流入する前後の絶対湿度の差を求め、さらに入口流量計35と出口流量計37で計測される流量から発熱体100が放出した水蒸気量を算出する。
なお、本明細書における表面温度とは、発熱体100を酸素遮断袋から取り出した後、すなわち水蒸気発生後の発熱体100表面の最高到達温度をいい、本明細書における水蒸気発生量とは、発熱体100を酸素遮断袋から取り出した時点、すなわち水蒸気発生時を起点とし、10分後までに測定された水蒸気量の総量をいう。
また、本実施形態の発熱体100、一つのセルに着目した場合において、その水蒸気発生量をα[mg/10min]、セルあたりのメントール賦香量をβ[mg]、メントール揮散量をγ[mg/30min]としたとき、β/αの値およびγ/αの値が以下の範囲となることが好ましい。
具体的に、メントール賦香量β[mg]の、水蒸気発生量α[mg/10min]に対する比β/αの値としては、着用者に適度に冷感剤を含む水蒸気を施す観点から、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.015以上であり、さらに好ましくは0.02以上であり、よりさらに好ましくは0.025以上である。
同様の観点から、β/αの値は、好ましくは0.1以下であり、より好ましくは0.08以下であり、さらに好ましくは0.06以下であり、よりさらに好ましくは0.05以下である。
また、メントール揮散量γ[mg/30min]の、水蒸気発生量α[mg/10min]に対する比γ/αの値としては、着用者に適度に冷感剤を含む水蒸気を施す観点から、好ましくは0.05×10−3以上であり、より好ましくは0.1×10−3以上であり、さらに好ましくは0.15×10−3以上である。
同様の観点から、γ/αの値は、好ましくは1.5×10−3以下であり、より好ましくは1×10−3以下であり、さらに好ましくは0.8×10−3以下である。
温熱具50の製造方法は、以下の工程を含む。
被酸化性金属、炭素成分及び水を含有する発熱部10を準備する工程と、
発熱部10を収容体20により収容し、発熱体100を形成する工程と、
シートにメントールを賦香する工程と、
収容体20の外部にメントールが賦香されたシートを配置する工程と、を含む。
シートにメントールを賦香する際、メントールの賦香量β[mg]の、水蒸気発生量α[mg/10min]に対する比(β/α)が、0.01以上0.1以下となるようにすることが好ましい。これにより、温熱具50が気持ちのよい温感のなかで冷感を付与することができる。
本実施形態の温熱具50の作用効果について説明する。
本実施形態の温熱具50は、発熱体100中にメントールが含まれ、発熱体100の発熱開始後のメントールの揮散量が、0.04mg/30min以上、0.30mg/30min以下であり、発熱体100の発熱開始後の水蒸気発生量が、40mg/10min以上、3,000mg/10min以下である。すなわち、温熱具50は、特定時間内におけるメントールの揮散量と水蒸気発生量というパラメーターを制御することで、これらの相乗効果により、気持ちのよい温感のなかで冷感を付与することができる。ここで、気持ちよい温かさとは、単に、熱による暖かい刺激を感じるものとは異なり、優しく穏やかな温感であり、温かい蒸気の量が適切であって、かつメントールによる刺激が緩和された冷感とが組み合わせられることによって初めて感じられるものである。そして、メントールによる冷感が適度に加わることにより、従来にはない気持ちよい温かさと冷感が両立した効果となる。また、メントールの揮散量と水蒸気発生量というパラメーターを特定時間内に制御することで、使用者に対し効果的に気持ちよい温かさと冷感を付与することができる。
以上、図面を参照ながら本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
たとえば、上記実施形態では、収容体20の外側にシート212が配置され、このシート212に冷感剤が担持されていたが、これに限られるものではない。たとえば、発熱部10に冷感剤を含有させてもよい。さらには、収容体20を構成する収容体第1シート201および収容体第2シート202のいずれか一方、あるいは両方に冷感剤を担持してもよく、収容体20の内側に、冷感剤が担持されたシートを配置してもよい。
また、上記実施形態では、シート212を配置したのは、収容体第2シート202の外側であったが、収容体第1シート201の外側に冷感剤が担持されたシートを配置してもよい。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の温熱具、或いは用途等を開示する。
<1> 被酸化性金属、炭素成分及び水を含有する発熱部と、前記発熱部を収容する収容体とを有する発熱体を備え、
冷感剤としてメントールが保持され、
前記発熱体の発熱開始後の前記メントールの揮散量が、0.04mg/30min以上、0.30mg/30min以下であり、
前記発熱体の発熱開始後の水蒸気発生量が、40mg/10min以上、3,000mg/10min以下である、温熱具。
<2> 前記メントールが、前記収容体の外部に配置されたシートに担持されていることを特徴とする、<1>に記載の温熱具。
<3> 前記冷感剤として、さらに、1,8−シネオール、乳酸メンチル、酢酸メンチル、コハク酸モノメンチル、3−(l−メントキシ)−1,2−プロパンジオール、N−エチル−3−p−メンタンカルボキサミドよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を含む、<1>または<2>に記載の温熱具。
<4> 前記収容体は、前記発熱部よりも着用者の肌側に位置する第1シート及び前記発熱部よりも前記着用者の肌から遠い側に位置する第2シートを備える、<1>ないし<3>のいずれか一つに記載の温熱具。
<5> 前記第1シートの、JIS P8117に準拠して測定される透気度が、好ましくは10,000秒/100mL以下であり、より好ましくは7,000秒/100mL以下であり、さらに好ましくは5,000秒/100mL以下であり、ことさらに好ましくは4,000秒/100mL以下であり、また、好ましくは100秒/100mL以上であり、より好ましくは300秒/100mL以上であり、さらに好ましくは400秒/100mL以上であり、ことさらに好ましくは500秒/100mL以上である、<4>に記載の温熱具。
<6> 前記第1シートの透湿度が、好ましくは800g/m・24hr以上であり、より好ましくは1000g/m・24hr以上であり、さらに好ましくは1300g/m・24hrであり、また、好ましくは8000g/m・24hr以下であり、より好ましくは6000g/m・24hr以下であり、さらに好ましくは5000g/m・24hr以下である、<4>または<5>に記載の温熱具。
<7> 前記第2シートの透気度が、好ましくは10,000秒/100mL以上であり、より好ましくは20,000秒/100mL以上である、<4>ないし<6>のいずれか一つに記載の温熱具。
<8> 前記第2シートの透湿度が、好ましくは750g/m・24hr以下であり、より好ましくは540g/m・24hr以下である、<4>ないし<7>のいずれか一つに記載の温熱具。
<9> 前記メントールが、前記第2シート側に配置されたシートに担持されていることを特徴とする、<4>乃至<8>いずれか一つに記載の温熱具。
<10> 前記発熱体による水蒸気発生開始から10分間における前記発熱体の表面温度が好ましくは35℃以上であり、より好ましくは40℃以上であり、さらに好ましくは45℃以上であり、また、好ましくは70℃以下であり、より好ましくは65℃以下であり、さらに好ましくは60℃以下である、<1>ないし<9>のいずれか一つに記載の温熱具。
<11> 前記発熱体の水蒸気発生量が、好ましくは40mg/10min以上であり、より好ましくは100mg/10min以上であり、さらに好ましくは140mg/10min以上であり、また、好ましくは3,000mg/10min以下であり、より好ましくは1,600mg/10min以下であり、さらに好ましくは500mg/10min以下である、<1>ないし<10>のいずれか一つに記載の温熱具。
<12> 前記発熱部は、さらに、反応促進剤を含む、<1>ないし<11>のいずれか一つに記載の温熱具。
<13> 前記発熱部の厚みが、好ましくは0.2mm以上であり、より好ましくは0.4mm以上であり、さらに好ましくは0.5mm以上であり、また、前記発熱部の厚みが、好ましくは5mm以下であり、より好ましくは3mm以下であり、さらに好ましくは2mm以下である、<1>ないし<12>のいずれか一つに記載の温熱具。
<14> 前記発熱体中の冷感剤の含有量は、前記発熱部全体の質量に対して、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、さらに好ましくは0.4質量%以上であり、また、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1.7質量%以下であり、さらに好ましくは1.5質量%以下である。<1>ないし<13>のいずれか一つに記載の温熱具。
<15> 前記発熱体の前記冷感剤の揮散量は、好ましくは0.05mg/30min以上であり、より好ましくは0.06mg/30min以上であり、さらに好ましくは0.010mg/30min以上であり、ことさらに好ましくは0.011mg/30min以上であり、また、好ましくは0.24mg/30min以下であり、より好ましくは0.2mg/30min以下であり、さらに好ましくは0.16mg/30min以下である、<1>ないし<14>のいずれか一つに記載の温熱具。
<16> 被酸化性金属、炭素成分及び水を含有する発熱部を準備する工程と、
前記発熱部を収容体により収容し、発熱体を形成する工程と、
シートにメントールを賦香する工程と、
前記収容体の外部にメントールが賦香されたシートを配置する工程と、を含み、シートにメントールを賦香する前記工程において、メントールの賦香量β[mg]の、水蒸気発生量α[mg/10min]に対する比(β/α)が、0.01以上0.1以下である、温熱具の製造方法。
<17> 前記発熱体が、冷感剤として、さらに、1,8−シネオール、乳酸メンチル、酢酸メンチル、コハク酸モノメンチル、3−(l−メントキシ)−1,2−プロパンジオール、N−エチル−3−p−メンタンカルボキサミドよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を含む、<16>に記載の温熱具の製造方法。
<18> 前記収容体は、前記着用者の肌側に位置する第1シート及び前記着用者の肌から遠い側に位置する第2シートを備える、<16>または<17>に記載の温熱具の製造方法。
<19> 前記第1シートの、JIS P8117に準拠して測定される透気度が、好ましくは10,000秒/100mL以下であり、より好ましくは7,000秒/100mL以下であり、さらに好ましくは5,000秒/100mL以下であり、ことさらに好ましくは4,000秒/100mL以下であり、また、好ましくは100秒/100mL以上であり、より好ましくは300秒/100mL以上であり、さらに好ましくは400秒/100mL以上であり、ことさらに好ましくは500秒/100mL以上である、<18>に記載の温熱具の製造方法。
<20> 前記第1シートの透湿度が、好ましくは800g/m・24hr以上であり、より好ましくは1000g/m・24hr以上であり、さらに好ましくは1300g/m・24hrであり、また、好ましくは8000g/m・24hr以下であり、より好ましくは6000g/m・24hr以下であり、さらに好ましくは5000g/m・24hr以下である、<18>または<19>に記載の温熱具の製造方法。
<21> 前記第2シートの透気度が、好ましくは10,000秒/100mL以上であり、より好ましくは20,000秒/100mL以上である、<18>ないし<20>のいずれか一つに記載の温熱具の製造方法。
<22> 前記冷感剤を、前記発熱部の面積に対し、好ましくは0.15g/m以上、より好ましくは0.5g/m以上、さらに好ましくは0.8g/m以上担持させることを特徴とし、また、好ましくは15g/m以下、より好ましくは10g/m以下、さらに好ましくは8g/m以下担持させることを特徴とする、<16>ないし<21>のいずれか一つに記載の温熱具の製造方法。
<23> 前記発熱体の前記冷感剤の揮散量は、好ましくは0.06mg/30min以上であり、より好ましくは0.07mg/30min以上であり、さらに好ましくは0.074mg/30min以上であり、また、好ましくは0.24mg/30min以下であり、より好ましくは0.2mg/30min以下であり、さらに好ましくは0.16mg/30min以下である、<16>ないし<22>のいずれか一つに記載の温熱具の製造方法。
<24> <1>乃至<15>のいずれか一つに記載の前記温熱具をアイマスクとして着用する使用。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
・実施例1〜4,及び比較例1,2
以下の手順に従い、表3または表4に示す構成の温熱具を作製した。
<発熱部10の作製>
・発熱部A
木材パルプ製の紙(20g/m、伊野紙株式会社製)と吸水性ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、球状、平均粒子径300μm、50g/m、アクアリックCA、株式会社日本触媒製)と木材パルプ製の紙(30g/m、伊野紙株式会社製)を積層してなるポリマーシートを基材とし、上記基材の片面に、以下の表1に示す成分を混合したものをダイコーティング法にて、鉄量が372g/mとなるように塗工し、シート状塗工物を作製した。
上記シート状塗工物を50mm×50mmの大きさに裁断し、塗工面上に、食塩0.084g(局方塩化ナトリウム(大塚製薬株式会社製))を均一に散布して、厚さ0.6mmの発熱部Aを得た。
・発熱部B
木材パルプ製の紙にポリエチレンをラミネートしたラミネート紙を基材とし(30g/m)、その一方の面に以下の表2に示す成分のうち吸水ポリマー以外を混合したものとダイコーティング法にて、鉄粉が372g/mとなるように塗工し、さらに吸水ポリマーを塗工面に散布し、シート状塗工物を作成した。上記シート状塗工物を50mm×50mmの大きさに裁断し、塗工面上に、食塩0.084g(局方塩化ナトリウム(大塚製薬株式会社製))を均一に散布して、50mm×50mmの大きさの木材パルプ製の紙(20g/m)を載せて、厚さ0.5mmの発熱部Bを得た。
・発熱部C
鉄粉100質量部に対して、パルプ繊維9.6質量部、活性炭10.8質量部、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(星光PMC株式会社製、商品名「WS4020」)0.8質量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム0.22質量部を混合し、更に水を固形部濃度12%になるまで添加してスラリー化した。このスラリーを抄紙機の抄紙ヘッドへ送られる直前で0.3%となるように水希釈し、抄紙機により抄紙シートを作成した。前記の抄紙シートを50mm×50mmに切り取り、3枚を重ねあわせ、これらの抄紙シート100部に対して5%食塩水を45部注入し、メントール溶液(l−メントール:20質量%、ポリエチレングリコール400:80質量%)を注入して発熱部Cを得た。なお、注入されたメントールの濃度は発熱部Cの全質量中0.9質量%であり、一つの発熱部Cにおけるメントール量は15.3mgである。
Figure 2017170114
Figure 2017170114
<発熱体100の作製>
以下の手順に従い、図5に示される形態の発熱体100を作製した。
発熱部Aは、収容体第1シート201として、炭酸カルシウムを含む多孔質の延伸ポリエチレン透湿フィルム(透気度3,500秒/100mLであって、透湿度1,500g/m・24hr)を用い、発熱部Bは、収容体第1シート201として、炭酸カルシウムを含む多孔質の延伸ポリエチレン透湿フィルム(透気度500秒/100mLであって、透湿度4,700g/m・24hr)を用い、発熱部Cは収容体第1シート201として、炭酸カルシウムを含む多孔質の延伸ポリエチレン透湿フィルム(透気度15000秒/100mLであって、透湿度650g/m・24hr)を用いた。また、発熱部A,B,Cはいずれも、収容体第2シート202として、ポリエチレン製の非透気フィルム(透気度100,000秒/100mL以上であって、透湿度0g/m・24hr)を用いた。発熱部A、Bの収容体第2シート202の外側面には、シート212となる吸水紙(坪量35g/m)を予め接着剤でラミネートした。
発熱部AまたはBそれぞれを、収容体第1シート201と収容体第2シート202との間に挟み込み、収容体第2シート202にラミネートした上記吸水紙が外方に向くように重ね、周縁部203において上記2枚のシート(収容体第1シート201、収容体第2シート202)どうしを接合し、発熱部AまたはBを備える発熱体100を得た。発熱部Cを、収容体第1シート201と収容体第2シート202との間に挟み込み、周縁部203において上記2枚のシート(収容体第1シート201、収容体第2シート202)どうしを接合し、発熱部Cを備える発熱体100を得た。
発熱体100は、後述する評価を実施するまで、酸素遮断袋に入れて保存した。
<冷感剤の保持>
実施例1〜4,比較例1の発熱体100において、以下のようにして冷感剤を保持させた。
エタノールを溶媒とし、l−メントールとユーカリ油を8:21の質量比(l−メントール:10.3質量%、ユーカリ油:26.9質量%)となるよう溶解させた冷感剤溶液を調製した。実施例1及び実施例4は、得られた発熱体100の収容体第2シート202の外側にラミネートされたシート212に、上記冷感剤溶液39mgを塗布することで、発熱体100に冷感剤を保持させた。エタノールは揮発させ、シート212に、発熱体100一つあたりとしたとき、メントール4mg、ユーカリ油10.5mgを担持させた。なお、ユーカリ油の70質量%が1,8−シネオールであり、冷感剤として、合計11.36mgが担持され、メントール賦香量は、4mgとした。
すなわち、例えば、実施例1の発熱部10の全質量に対しては0.61質量%(l−メントールとユーカリ油の合計量は0.78質量%)の冷感剤を施した。
また、実施例2は、シート212に上記冷感剤溶液19.5mgを塗布し、実施例3は、シート212に上記冷感剤溶液78mgを塗布し、比較例1は、シート212に上記冷感剤溶液9.75mgを塗布し、各々エタノールは揮散させた。発熱体100一つあたりのメントール賦香量は、実施例2は2mg、実施例3は8mg、比較例1は1mgとした。
なお、以下に説明する温熱具50における(発熱体100を2つ用いたもの)のメントール賦香量は、表3に示す通りである。
<温熱具50の作製>
表3または表4に示す構成となるように、上記で得られた発熱体100を2つ用い、図1に示されるアイマスク形状の温熱具50を作製した。袋体第1シート55として、坪量80g/mのポリプロピレン不織布(ニードルパンチ法)を、袋体第2シート56として、坪量30g/mのポリエチレンテレフタレート不織布(エアスルー法)を用いた。
表3または表4に示す構成の各温熱具について、以下に示す測定及び評価を行った。結果を表3または表4に示す。
・測定
<メントール揮散量>
まず、発熱体100が酸化反応を行う程度に充分な量の空気が入った15cm×25cmのポリフッ化ビニル樹脂の気体捕集バッグ(テドラー(商標登録)バッグ、デュポン社製)を用意し、気体捕集バッグの一方の端部を空気供給源に接続し、他方の端部の吐出口又は吐出口に連結したチューブの先端をエタノール中に浸漬させた。
次に、メントールがシート212に保持された発熱体100を酸素遮断袋から取り出し、当該気体捕集バッグにいれて、35℃に設定したホットプレート上に30分間載置した。ホットプレート上に載置している間、空気供給源から気体捕集バッグ内に一定スピードで(100mL/min)空気を流入させ、気体捕集バッグの他方の端部の吐出口又は吐出口に連結したチューブの先端から空気を排出させることで、発熱体100から揮散したメントールをエタノール中に捕集した。また、気体捕集バッグ内に流入した空気が適切に排出されるよう、気体捕集バッグ上に重りを載せ、気体捕集バッグの周囲は、ホットプレートによる加温が保持されるように、断熱材により断熱した。
30分間の載置後、気体捕集バッグから発熱体100を取り出し、気体捕集バッグ内をエタノールで洗浄し、洗浄に用いたエタノールも捕集して、メントールの揮散量に合計する。メントールの捕集量の分析は、ガスクロマトグラフィー(Agilent 6890N、アジレント・テクノロジー株式会社製)により行った。
これらの作業は全て大気圧下で行った。
なお、温熱具50は発熱体100を2つ用いているため、温熱具50のメントール揮散量は、発熱体100一つあたりで測定された量の2倍とした。
<水蒸気発生量>
図7に示す装置30を用いて測定した。発熱体100を酸素遮断袋から取り出し、発熱体100の肌側に位置する面(収容体第1シート201)を上にして測定室31に載置し、金属球(質量4.5g)をつけた温度計38をその上に載せて計測した。この状態で下部より除湿空気を流し、入口温湿度計34と出口温湿度計36で計測される温度及び湿度から測定室31に空気が流入する前後の絶対湿度の差を求め、さらに入口流量計35と出口流量計37で計測される流量から水蒸気発生温熱具100が放出した水蒸気量を算出した。水蒸気発生量は、温熱具50を酸素遮断袋から取り出した時点を起点とし、10分後までに測定された総量とした。
なお、温熱具50は発熱体100を2つ用いているため、水蒸気発生量は、発熱体100一つあたりで測定された量の2倍とした。
<表面最高温度>
発熱体100の表面最高温度の測定は、図7に示す装置30を用いて測定した。すなわち、測定環境温度30℃(30±1℃)において発熱体100を酸素遮断袋から取り出し、発熱体100の肌側に位置する面(収容体第1シート201)を上にして測定室31に載置し、金属球(質量4.5g)をつけた温度計38をその上に載せて計測し、発熱体100を酸素遮断袋から取り出した後の発熱体100表面の最高到達温度を測定値とした。
・評価
熟練したパネリスト3名で各温熱具を30分間着用し、以下の評価基準のどの位置に該当するかを協議し決定した。
[冷感]
5:刺激を感じる
4:やや刺激を感じる
3:適度な冷感がある
2:わずかに冷感を感じる
1:極めてわずかな冷感がある
0:冷感がない
[温感]
5:熱い
4:やや熱い
3:気持ち良い暖かさを感じる
2:やや暖かさを感じる
1:極めてわずかに暖かさを感じる
0:暖かくない
Figure 2017170114
実施例1〜4は、比較例1に比べて十分なメントール揮散量が得られ、比較例1に比べて気持ちの良い温感を感じながら冷感を得ることができた。なお、実施例3及び実施例4は、発熱体の表面温度が実施例1,2に比べて低いものの、暖かい水蒸気による心地よい温感が得られ、温熱具の着用後の冷感が比較例1及び実施例1,2に比べて良好であった。
Figure 2017170114
比較例2は、メントールによる刺激が強すぎ、温熱具を着用し続けることが困難であったため、評価を行うことができなかった。
10 発熱部
20 収容体
30 装置
31 測定室
32 流入路
33 流出路
34 入口温湿度計
35 入口流量計
36 出口温湿度計
37 出口流量計
38 温度計
40 第二収容体
50 温熱具
51 本体部
52 耳掛け部
53 袋体
53A、53B ノッチ部
54 孔
55 袋体第1シート
56 袋体第2シート
100 発熱体
201 収容体第1シート
202 収容体第2シート
203 周縁部
212 シート

Claims (8)

  1. 被酸化性金属、炭素成分及び水を含有する発熱部と、前記発熱部を収容する収容体とを有する発熱体を備え、
    冷感剤としてメントールが保持され、
    前記発熱体の発熱開始後の前記メントールの揮散量が、0.04mg/30min以上、0.30mg/30min以下であり、
    前記発熱体の発熱開始後の水蒸気発生量が、40mg/10min以上、3,000mg/10min以下である、温熱具。
  2. 前記メントールが、前記収容体の外部に配置されたシートに担持されている、請求項1に記載の温熱具。
  3. 前記冷感剤として、さらに、1,8−シネオール、乳酸メンチル、酢酸メンチル、コハク酸モノメンチル、3−(l−メントキシ)−1,2−プロパンジオール、N−エチル−3−p−メンタンカルボキサミドよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を含む、請求項1または2に記載の温熱具。
  4. 前記収容体は、前記発熱部よりも着用者の肌側に位置する第1シート及び前記発熱部よりも前記着用者の肌から遠い側に位置する第2シートを備える、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の温熱具。
  5. 前記第1シートの、JIS P8117に準拠して測定される透気度が100秒/100mL以上10,000秒/100mL以下である、請求項4に記載の温熱具。
  6. 前記第1シートの、JIS Z0208に準拠して測定される透湿度が800g/m・24hr以上8,000g/m・24hr以下である、請求項4または5に記載の温熱具。
  7. 前記メントールが、前記第2シート側に配置されたシートに担持されていることを特徴とする、請求項4ないし6のいずれか一項に記載の温熱具。
  8. 前記発熱体による水蒸気発生開始から10分間における前記発熱体の表面最高温度が、35℃以上70℃以下である、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の温熱具。
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