以下、図面を参照して、実施例1のスイッチング回路10について説明する。図1に示すように、スイッチング回路10は、第1スイッチング素子11と、第2スイッチング素子12を有している。第1スイッチング素子11は、直流電圧を交流電圧に変換するインバータ装置等の電力変換回路に装備される。第1スイッチング素子11は、パワー半導体素子であり、具体的には、nチャネル型のMOSFETである。第1スイッチング素子11は、そのゲートg1に第1オフ電位Voff1が印加された状態(ゲートg1の電位が0V)では、オフしてソースs1とドレインd1の間が非導通状態となり、ゲートg1に第1オン電位Von1が印加された状態では、オンしてソースs1とドレインd1の間が導通状態となる。第1スイッチング素子11は、負荷(例えば、モータ)を介して電源に接続されている。第1スイッチング素子11と負荷の直列回路に対して電源電圧が印加される。電源電圧は、第1スイッチング素子11のドレインd1が、第1スイッチング素子11のソースs1よりも高電位となる向きで印加される。第1スイッチング素子11のゲートg1は、ゲート配線40に接続されている。また、第1スイッチング素子11に対して逆並列にダイオード21が接続されている。すなわち、ダイオード21のアノードが第1スイッチング素子11のソースs1に接続されている。ダイオード21のカソードが第1スイッチング素子11のドレインd1に接続されている。
第2スイッチング素子12は、第1スイッチング素子11と同一のチップに形成されている。第2スイッチング素子12は、nチャネル型のMOSFETである。第2スイッチング素子12のドレインd2は、第1スイッチング素子11のドレインd1に接続されている。すなわち、第2スイッチング素子12のドレインd2は、第1スイッチング素子11のドレインd1と同電位である。第2スイッチング素子12のゲートg2は、ゲート配線40を介して第1スイッチング素子11のゲートg1に接続されている。すなわち、第2スイッチング素子12のゲートg2は、第1スイッチング素子11のゲートg1と同電位である。第2スイッチング素子12のソースs2は、後述するダイオードD1と配線42を介して、第1スイッチング素子11のソースs1に接続されている。また、第2スイッチング素子12に対して逆並列にダイオード22が接続されている。すなわち、ダイオード22のアノードが第2スイッチング素子12のソースs2に接続されている。ダイオード22のカソードが第2スイッチング素子12のドレインd2に接続されている。第2スイッチング素子12は、第1スイッチング素子11に主電流が流れるときに、主電流よりも小さいセンス電流が流れる。第2スイッチング素子12のゲート閾値Vth2は、第1スイッチング素子11のゲート閾値Vth1と等しい。
第1スイッチング素子11のゲートg1と第2スイッチング素子12のゲートg2に、ゲート配線40が接続されている。また、第1スイッチング素子11のソースs1に、配線42が接続されている。
スイッチング回路10は、第3スイッチング素子13と、ダイオードD1〜D4と、コンデンサ34と、直流電源33と、定電流源32と、ゲート電位制御装置30を有している。
ダイオードD1は、第1スイッチング素子11のソースs1と配線42の間に接続されている。ダイオードD1のアノードが第2スイッチング素子12のソースs2に接続されており、ダイオードD1のカソードが配線42に接続されている。
直流電源33と定電流源32の直列回路が、ダイオードD1に対して並列に接続されている。直流電源33の正極端子が配線42に接続されている。直流電源33の負極端子が定電流源32の正極に接続されている。定電流源32の負極が第2スイッチング素子12のソースs2に接続されている。直流電源33と定電流源32は、第2スイッチング素子12のソースs2から配線42に向かって電流を流す。
ダイオードD2のカソードは、第2スイッチング素子12のソースs2、ダイオードD1のアノード、及び、定電流源32の負極に接続されている。
ダイオードD3とコンデンサ34が、配線42とダイオードD2のアノードの間に直列に接続されている。ダイオードD3のアノードが配線42に接続されている。ダイオードD3のカソードがコンデンサ34の一方の端子34Hに接続されている。コンデンサ34の他方の端子34Lが、ダイオードD2のアノードに接続されている。なお、後述するように、端子34Hは端子34Lよりも高電位となる。したがって、以下では、端子34Hを高電位端子といい、端子34Lを低電位端子という。
第3スイッチング素子13は、pチャネル型のMOSFETである。第3スイッチング素子13は、配線42とダイオードD2のアノードの間に接続されている。第3スイッチング素子13のソースs3が配線42に接続されている。第3スイッチング素子13のドレインd3がダイオードD2のアノードに接続されている。また、第3スイッチング素子13に対して逆並列にダイオード23が接続されている。すなわち、ダイオード23のアノードが第3スイッチング素子13のドレインd3に接続されている。ダイオード23のカソードが第3スイッチング素子13のソースs3に接続されている。
ダイオードD4は、コンデンサ34の高電位端子34Hとゲート配線40の間に接続されている。ダイオードD4のアノードがコンデンサ34の高電位端子34Hに接続されている。ダイオードD4のカソードは、ゲート配線40に接続されている。
ゲート抵抗Rgの一端は、ゲート配線40に接続されている。すなわち、ゲート抵抗Rgの一端は、ゲート配線40を介して、第1スイッチング素子11のゲートg1、第2スイッチング素子12のゲートg2及びダイオードD4のカソードに接続されている。
ゲート電位制御装置30は、ゲート抵抗Rgを介してゲート配線40に接続されている。ゲート電位制御装置30は、ゲート抵抗Rgとゲート配線40を介して第1信号Vin1をゲートg1及びゲートg2に入力する。第1信号Vin1は、0Vと第1オン電位Von1の間で遷移するパルス信号である。なお、本明細書において、0Vは、第1スイッチング素子11のソースs1と同電位を意味する。また、第1オン電位Von1は、第1スイッチング素子11をオンさせる電位である。また、ゲート電位制御装置30は、第3スイッチング素子13のゲートg3に接続されている。ゲート電位制御装置30は、第2信号Vin2をゲートg3に入力する。第2信号Vin2は、第2オン電位Von2と0Vの間で遷移するパルス信号である。第2オン電位Von2は、第3スイッチング素子13をオンさせる電位である。0Vは、第3スイッチング素子13をオフさせる電位である。
次に、本実施例のスイッチング回路10の動作を説明する。図2は、第1スイッチング素子11をオンさせるときのスイッチング回路10の各値の変化を示している。参照符号Vs2は、第2スイッチング素子12のソースs2の電位を示している。参照符号VcLは、コンデンサ34の低電位端子34Lの電位を示している。参照符号VcHは、コンデンサ34の高電位端子34Hの電位を示している。参照符号Idは、第1スイッチング素子11に流れる電流を示している。参照符号Vdは、第1スイッチング素子11のドレイン電位を示している。参照符号Vgは、第1スイッチング素子11のゲート電位を示している。
図2のタイミングt0においては、第1信号Vin1が0V(オフ電位)であるので、第1スイッチング素子11がオフしている。また、第2信号Vin2が0Vであるので、第3スイッチング素子13がオフしている。この状態においては、直流電源33と定電流源32によって第2スイッチング素子12のソースs2の電位Vs2が引き下げられるので、第2スイッチング素子12がオンしている。第2スイッチング素子12に流れる電流I1は、定電流源32と直流電源33を通って流れる。この電流の大きさは、定電流源32によってその設定値に制御される。このため、第2スイッチング素子12のゲート‐ソース間電圧Vgsは、第2スイッチング素子12に流れる電流I1に応じた電圧となる。第2スイッチング素子12のソース電位Vs2は、第2スイッチング素子12のゲート電位(すなわち、0V)よりも電圧Vgsだけ小さい電位−Vgsとなる。定電流源32によって電流I1の設定値が小さい値に設定されているため、第2スイッチング素子12のゲート‐ソース間電位Vgsは第2スイッチング素子12のゲート閾値Vth2と略同一の値となっている。コンデンサ34の低電位端子34Lは、ダイオードD2を介して第2スイッチング素子12のソースs2に接続されているため、低電位端子34Lの電位VcLは、−Vgs+VF2となっている。なお、電圧VF2は、ダイオードD2の順方向電圧降下である。一方、コンデンサ34の高電位端子34Hは、ダイオードD3を介して第1スイッチング素子11のソースs1(すなわち、0V)に接続されているので、高電位端子34Hの電位VcHは、−VF3となっている。なお、電圧VF3は、ダイオードD3の順方向電圧降下である。したがって、タイミングt0において、コンデンサ34の両端子間に印加される電圧VCは、Vgs−VF2−VF3となっている。上述したように、第2スイッチング素子12のゲート‐ソース間電位Vgsは、そのゲート閾値Vth2と略同一である。このため、コンデンサ34の両端間の電圧VCは、Vth2−VF2−VF3と略等しい。すなわち、電圧VCは、ゲート閾値Vth2より小さい。
その後、タイミングt1において、第1信号Vin1が0Vから第1オン電位Von1に上昇する。これにより、第1スイッチング素子11のオン動作が開始する。第1信号Vin1の上昇により、ゲート抵抗Rgを介してゲート電位制御装置30から第1スイッチング素子11のゲートg1に電流が流れ始める。同時に、第2信号Vin2が0Vから第2オン電位Von2に低下する。これにより、第3スイッチング素子13がオンする。すると、コンデンサ34の低電位端子34Lが第3スイッチング素子13を介して配線42に接続されるので、低電位端子34Lの電位VcLが第1スイッチング素子11のソースs1の電位(すなわち、0V)まで上昇する。タイミングt1直後は、コンデンサ34の両端間の電圧VCが保持される。したがって、低電位端子34Lの電位VcLの上昇分と略同じだけ高電位端子34Hの電位VcHが上昇する。つまり、高電位端子34Hの電位VcHは、Vgs−VF2−VF3まで上昇する。上昇後の電位VcH(すなわち、Vgs−VF2−VF3)は0Vよりも高い。このため、ダイオードD3のカソードの電位(すなわち、電位VcH)がアノードの電位(すなわち、0V)よりも高くなる。したがって、ダイオードD3には電流が流れない。また、ダイオードD4のアノードの電位(すなわち、電位VcH)がカソードの電位(この時点では、略0V)よりも高くなる。したがって、ダイオードD4に電流が流れる。つまり、コンデンサ34の高電位端子34Hから、ダイオードD4とゲート配線40を介して、第1スイッチング素子11のゲートg1と第2スイッチング素子12のゲートg2に向かってゲート電流が流れる。この電流は抵抗を介さずに流れるので、第1スイッチング素子11のゲートg1の電位Vg1が高速で電位Vgs−VF2−VF3−VF4まで上昇する。なお、電圧VF4は、ダイオードD4の順方向電圧降下である。上述したように、第1スイッチング素子11のゲート閾値Vth1は第2スイッチング素子12のゲート閾値Vth2と等しい。また、上昇後のゲート電位Vg1(=Vgs−VF2−VF3−VF4)は、ゲート閾値Vth2よりも小さい。したがって、上昇後のゲート電位Vg1は、ゲート閾値Vth1よりも小さい。したがって、タイミングt1においては、第1スイッチング素子11はまだオンしない。また、第2スイッチング素子12のゲートg2の電位も、ゲートg1の電位と同様に上昇する。
その後、ゲート電位制御装置30からゲート抵抗Rgを介してゲートg1に流れる電流によって、ゲートg1が緩やかに充電される。このため、タイミングt1以降に、ゲート電位Vg1が緩やかに上昇する。
その後、タイミングt2において、第1スイッチング素子11のゲートg1の電位Vg1が、第1スイッチング素子11のゲート閾値Vth1に達する。すると、第1スイッチング素子11がオンし、第1スイッチング素子11に電流Idが流れ始める。上述したように、第1スイッチング素子11のゲート閾値Vth1と第2スイッチング素子12のゲート閾値Vth2は等しい。したがって、第1スイッチング素子11のオンと同時に第2スイッチング素子12もオンする。このため、タイミングt2において、第2スイッチング素子12のソース電位Vs2が0Vまで上昇する。
タイミングt2以降も、第1スイッチング素子11のゲートg1は、ゲート電位制御装置30から供給されるゲート電流によって充電され続ける。このため、タイミングt2以降に、ゲート電位Vg1は、ミラー電圧Vmrを経て目標電圧Von1まで上昇する。
また、タイミングt2において第1スイッチング素子11がオンすると、電流Idが上昇する。電流Idは、タイミングt2の直後のタイミングt3においてピーク値Ipを形成し、その後、ピーク値Ipよりも低い値で略安定する。つまり、タイミングt3において、大きいサージ電流が瞬間的に流れる。サージ電流の大きさIp1は、第1スイッチング素子11がオンするタイミングt2におけるゲート電位Vg1の上昇速度によって変化する。タイミングt2におけるゲート電位Vg1の上昇速度が速いほど、サージ電流の大きさIp1が大きくなる。本実施例では、タイミングt2においてはゲート抵抗Rgを介してゲートg1が充電されているので、タイミングt2におけるゲート電位Vg1の上昇速度がそれほど速くない。したがって、サージ電流の大きさIpが比較的小さい。
以上に説明したように、このスイッチング回路10では、タイミングt1において、コンデンサ34の両端間に印加される電圧VCによってゲート抵抗Rgを介さずに第1スイッチング素子11のゲートg1を充電する。これによって、ゲート電位Vg1を高速で上昇させる。タイミングt0〜t1においてコンデンサ34の両端間に印加される電圧Vgs−VF2−VF3は、第2スイッチング素子12のゲート閾値Vth2より小さい。このため、タイミングt1において第1スイッチング素子11のゲート電位Vg1が高速で上昇しても、第1スイッチング素子11はオンしない。したがって、タイミングt1では、第1スイッチング素子11にはサージ電流が流れない。その後、ゲート電位制御装置30がゲート抵抗Rgを介して第1スイッチング素子11のゲートg1を充電する。タイミングt2において、第1スイッチング素子11のゲート電位Vg1がゲート閾値Vth1を超える。すると、第1スイッチング素子11がオンし、電流Idが流れる。タイミングt2においては、ゲート電位Vg1の上昇速度はあまり速くない。したがって、サージ電流を抑制することができる。このように、このスイッチング回路10では、第1スイッチング素子11のゲート電位Vg1をゲート閾値Vth1よりも低い範囲において高速で上昇させるため、ゲート抵抗Rgを介した電流のみによってゲートg1を充電する場合に比べて、ゲートg1を高速で充電することができる。また、第1スイッチング素子11のゲート電位Vg1がゲート閾値Vth1を超えるタイミングにおいては、ゲート抵抗Rgを介してゲートg1を充電するので、サージ電流を抑制することができる。
次に、実施例2のスイッチング回路について説明する。図3に示すように、実施例2のスイッチング回路は、実施例1のスイッチング回路10の構成に加えて、電圧監視装置50と抵抗Rsをさらに有している。それ以外の構成は、実施例1と同様である。
抵抗Rsは、ダイオードD1のカソードと配線42の間に挿入されている。
電圧監視装置50は、ダイオードD1のカソードと抵抗Rsの一端に接続されている。電圧監視装置50は、ダイオードD1のカソードの電位Vaを検出する。
図4は、実施例2のスイッチング回路の動作を示している。図4と図2を比較すると明らかなように、実施例2において、信号Vin1、信号Vin2、電圧VcL、電圧VcH、電流Id、電圧Vd及び電圧Vg1は実施例1と同様に変化する。このため、電位Va、Vs2について以下に説明する。
図4のタイミングt0からタイミングt2の間の期間においては、定電流源32と直流電源33によって第2スイッチング素子12のソースs2に0Vより低い電位が印加される。このため、ダイオードD1はオフしている。このため、抵抗Rsに電流が流れない。したがって、電位Vaは接地電位(0V)となっている。その後、タイミングt2において、第1スイッチング素子11がオンし、第2スイッチング素子12に第1スイッチング素子11に流れる電流Idに略比例する電流が流れる。この電流は、定電流源32の設定電流よりも大きい電流である。したがって、この電流は、主に、ダイオードD1と抵抗Rsを通って流れる。第1スイッチング素子11に流れる電流が増加するのに従って、第2スイッチング素子12に流れる電流も増加する。第2スイッチング素子12に流れる電流が増加すると、ゲート抵抗Rgの両端間に生じる電位差が増加し、電位Vaが上昇する。したがって、タイミングt2以降に、電位Vaが上昇する。また、第2スイッチング素子12のソース電位Vs2は、電位VaよりもダイオードD1の順方向電圧降下VF1だけ高い電位となる。したがって、電位Vaと電位Vs2が、電流Idに応じて変化する。電圧監視装置50は、電位Vaを監視する。上述したように、電位Vaは第2スイッチング素子12に流れる電流に比例し、第2スイッチング素子12に流れる電流は第1スイッチング素子11に流れる電流Idに比例する。すなわち、電位Vaは電流Idに比例する。したがって、電圧監視装置50によって、電流Idを検出することができる。
上述した実施例2において、電流Idが流れているときに第1スイッチング素子11のソース電位Vs1と第2スイッチング素子12のソース電位Vs2の差が大きいと、電圧監視装置50による電流Idの検出精度が悪化する。実施例2において、第1スイッチング素子11のソース電位Vs1は接地電位(0V)であり、第2スイッチング素子12のソース電位Vs2はダイオードD1の順方向電圧降下VF1と、抵抗Rsによる降下電圧との和である。実施例3では、ソース電位Vs2の電位がソース電位Vs1により近い電位とすることが可能な構成を提供する。
実施例3のスイッチング回路では、図5に示すように、実施例2のスイッチング回路のダイオードD1に代えて、第4スイッチング素子14が挿入されている。それ以外の構成は、実施例2と同様である。第4スイッチング素子14は、pチャネル型MOSFETである。第4スイッチング素子14のドレインd4は、第2スイッチング素子12のソースs2に接続されている。第4スイッチング素子14のソースs4は、抵抗Rsを介して配線42に接続されている。第4スイッチング素子14のゲートg4には、ゲート電位制御装置30が接続されており、第3信号Vin3が入力される。また、第4スイッチング素子14に対して逆並列にダイオード24が接続されている。すなわち、ダイオード24のアノードが第4スイッチング素子14のドレインd4に接続されている。ダイオード24のカソードが第4スイッチング素子14のソースs4に接続されている。なお、第4スイッチング素子14は、nチャネル型MOSFETであってもよい。
図6は、実施例3のスイッチング回路の動作を示している。図6と図4を比較すると明らかなように、実施例3のスイッチング回路では、ソース電位Vs2と電位Vaの波形が実施例2と異なっている。実施例3では、タイミングt0からタイミングt1の間の期間において第3信号Vin3が0Vとなっており、第4スイッチング素子14がオフしている。また、タイミングt1以降の期間において第3信号Vin3が第3オン電位Von3となっており、第4スイッチング素子14がオンしている。第4スイッチング素子14がオンしている期間は実施例2においてダイオードD1がオンしている期間と等しく、第4スイッチング素子14がオフしている期間は実施例2においてダイオードD1がオフしている期間と等しい。したがって、実施例3のスイッチング回路は、実施例2のスイッチング回路と略同様に動作する。
実施例3において、第1スイッチング素子11のソース電位Vs1は接地電位(0V)であり、第2スイッチング素子12のソース電位Vs2は第4スイッチング素子14による降下電圧と、抵抗Rsによる降下電圧との和である。第4スイッチング素子14の降下電圧は、実施例2のダイオードD1の降下電圧よりも小さい。したがって、実施例3では、実施例2よりも、ソース電位Vs2の電位をソース電位Vs1により近い電位とすることができる。このため、電圧監視装置50により監視される電位Vaから、第1スイッチング素子11を流れる電流Idの大きさを検出する精度を向上させることができる。
次に、実施例4のスイッチング回路について説明する。上述した実施例1では、タイミングt1において、第1スイッチング素子11のゲートg1を高速で充電する際にゲートg1に印加される電圧が、第2スイッチング素子12のゲート‐ソース間電位Vgsから、ダイオードD2〜D4の順方向電圧降下VF2〜VF4の分だけ低下する。このため、第1スイッチング素子11のゲートg1の電位Vg1を高速で上昇させる効率が悪化する。
実施例4では、図7に示すように、実施例1のダイオードD2,D3に代えて、抵抗R2,R3が挿入されている。それ以外の構成については実施例1と同様である。
図8は、実施例4のスイッチング回路の動作を示している。実施例4では、コンデンサ34の両端間に印加される電圧VCと第1スイッチング素子11のゲートg1に高速で充電される電圧の大きさが実施例1と異なっている。タイミングt0では、タイミングt0において、低電位端子34Lは、抵抗R2を介して第2スイッチング素子12のソースs2に接続されているため、その電位VcLは−Vgsとなる。高電位端子34Hは、抵抗R3を介して第1スイッチング素子11のソースs1に接続されているため、その電位VcHは、すなわち、タイミングt0においてコンデンサ34の両端間に印加される電圧VCはVgsとなる。0Vとなる。したがって、タイミングt1において、第1スイッチング素子11のゲートg1に印加される電圧はVgs−VF4となる。このように、実施例1と比較して、第1スイッチング素子11のゲートg1を高速で充電する際にゲートg1に印加する電圧をVF2+VF3の分、上昇させることができる。このため、実施例1と比較して、第1スイッチング素子11のゲートg1を高速で充電することが可能となる。なお、実施例4では、ダイオードD2,D3に代えて、抵抗R2,R3を用いたが、いずれか一方のみをダイオードから抵抗に代える構成としてもよい。
次に、実施例5のスイッチング回路について説明する。図9に示すように、実施例5では、実施例1のダイオードD2に代えて第5スイッチング素子15が、ダイオードD3に代えて第6スイッチング素子16が、ダイオードD4に代えて第7スイッチング素子17がそれぞれ挿入されている。それ以外の構成については、実施例1と同様である。
第5スイッチング素子15及び第7スイッチング素子17はpチャネル型MOSFETである。第6スイッチング素子16はnチャネル型MOSFETである。第5スイッチング素子15のソースs5は、第2スイッチング素子12のソースs2、ダイオードD1のアノード、及び、定電流源32の負極に接続されている。第5スイッチング素子15のドレインd5は、コンデンサ34の低電位端子34Lに接続されている。第6スイッチング素子16のドレインd6は、コンデンサ34の高電位端子34Hに接続されている。第6スイッチング素子16のソースs6は、配線42に接続されている。第7スイッチング素子17のソースs7は、ゲート配線40に接続されている。第7スイッチング素子17のドレインd7は、コンデンサ34の高電位端子34Hと第6スイッチング素子16のドレインd6に接続されている。また、第5スイッチング素子15に対して、逆並列にダイオード25が接続されている。第6スイッチング素子16に対して、逆並列にダイオード26が接続されている。第7スイッチング素子17に対して、逆並列にダイオード27が接続されている。第5スイッチング素子15のゲートg5には、ゲート電位制御装置30が接続されており、第4信号Vin4が入力される。第6スイッチング素子16のゲートg6には、ゲート電位制御装置30が接続されており、第5信号Vin5が入力される。第7スイッチング素子17のゲートg7には、ゲート電位制御装置30が接続されており、第6信号Vin6が入力される。なお、第5スイッチング素子15は、nチャネル型MOSFETでもよい。第6スイッチング素子16は、pチャネル型MOSFETでもよい。第7スイッチング素子17は、nチャネル型MOSFETでもよい。
図10は、実施例5のスイッチング回路の動作を示している。第1信号Vin1、第2信号Vin2及び第3信号Vin3の動作は、実施例1と同様に変化する。図10のタイミングt0からタイミングt1の間の期間においては、第4信号Vin4が第4オン電位Von4、第5信号Vin5が第5オン電位Von5、第6信号Vin6が0Vとなっている。このため、第5スイッチング素子15と第6スイッチング素子16がオンしており、第7スイッチング素子17がオフしている。したがって、コンデンサ34の低電位端子34Lの電位VcLが第5スイッチング素子15を介して−Vgsとなり、コンデンサ34の高電位端子34Hの電位VcHが第6スイッチング素子16を介して0Vとなる。すなわち、コンデンサ34の両端間に印加される電圧はVgsとなっている。
その後、タイミングt1において、第4信号Vin4が0Vに上昇し、第5信号Vin5が0Vに低下し、第6信号Vin6が第6オン電位Von6に低下する。これにより、第5スイッチング素子15と第6スイッチング素子16がオフし、第7スイッチング素子17がオンする。タイミングt1においては、同時に第3スイッチング素子13がオンする。このため、コンデンサ34の低電位端子34Lの電位VcLは接地電位(0V)まで上昇すると共に、高電位端子34Hの電位VcHも上昇し、その電位VcHがVgsとなる。その後、コンデンサ34の高電位端子34Hから、第7スイッチング素子17とゲート配線40を介して、第1スイッチング素子11のゲートg1と第2スイッチング素子12のゲートg2に向かってゲート電流が流れる。これにより、第1スイッチング素子11のゲートg1の電位Vg1が高速で電位Vgsまで上昇する。電位Vgsは第1スイッチング素子11のゲート閾値Vth1と略同一の値となっている。このため、タイミングt1において、第1スイッチング素子11がオンし、電流Idが流れ始める。その後、タイミングt1´において、第6信号Vin6が第6オン電位Von6から0Vに上昇する。これにより、再び第7スイッチング素子17がオフする。タイミングt1´以降は、第1信号Vin1によりゲート抵抗Rgを介して流れる電流のみでゲートg1が充電される。実施例5のタイミングt1以降の動作は、実施例1のタイミングt2以降の動作と略同様である。
実施例5では、コンデンサ34の両端間に印加される電圧が実施例4と同様にVgsとなる。加えて、実施例5では、タイミングt1において、ダイオードD4の代わりに第7スイッチング素子17を介して、この電圧Vgsが第1スイッチング素子11のゲートg1に印加される。このため、他の実施例と比較して、ゲートg1を高速で充電する際にゲートg1に印加する電圧をダイオードD4の順方向電圧降下VF4の分、上昇させることができる。したがって、第1スイッチング素子11のゲートg1の電位Vg1を高速で上昇させる効率を向上させることができる。なお、実施例5では、ダイオードD2,D3,D4に代えて、スイッチング素子15、16,17を用いたが、いずれか1つまたは2つをダイオードからスイッチング素子に代える構成としてもよい。
次に、実施例6のスイッチング回路について説明する。図11に示すように、実施例6では、実施例1の構成に加えて、直列に接続されたn個のダイオードD51〜D5nをさらに有している。それ以外の構成については、実施例1と同様である。ダイオードD51のアノードは第2スイッチング素子12のソースs2に接続されている。ダイオードD5nのカソードは、ダイオードD2のカソードと定電流源32の負極に接続されている。n個のダイオードD51〜D5nの順方向電圧降下VF5の和は、VF2+VF3+VF4より小さい。すなわち、n(VF5)<VF2+VF3+VF4の関係が成立している。
実施例6のスイッチング回路の動作について説明する。実施例6では、コンデンサ34の両端間に印加される電圧VCと第1スイッチング素子11のゲートg1に高速で充電される電圧の大きさが実施例1と異なっている。実施例6では、図2におけるタイミングt0からタイミングのt1の間の期間において、コンデンサ34の両端間に印加される電圧VCがVgs−VF2−VF3+n(VF5)となる。このため、タイミングt1において、第1スイッチング素子11のゲートg1に印加される電圧がVgs−VF2−VF3+n(VF5)−VF4となる。
実施例6では、実施例1と比較して、タイミングt1において、第1スイッチング素子11のゲートg1に印加される電圧がn(VF5)だけ高くなる。このため、第1スイッチング素子11のゲートg1の電位Vg1を高速で上昇させる効率を向上させることができる。
次に、実施例7のスイッチング回路について説明する。図12に示すように、実施例7では、実施例1のダイオードD2が直列にn個接続された構成となっている。それ以外の構成については、実施例1と同様である。
実施例7のスイッチング回路の動作について説明する。実施例7では、コンデンサ34の両端間に印加される電圧VCと第1スイッチング素子11のゲートg1に高速で充電される電圧の大きさが実施例1と異なっている。実施例7では、図2におけるタイミングt0からタイミングt1の間の期間において、コンデンサ34の両端間に印加される電圧VCがVgs−n(VF2)−VF3となる。このため、タイミングt1において、第1スイッチング素子11のゲートg1に印加される電圧がVgs−n(VF2)−VF3−VF4となる。
実施例7では、実施例1と比較して、タイミングt1において、第1スイッチング素子11のゲートg1に印加される電圧が(n−1)VF2だけ低くなる。このため、ダイオードD2の数を調節することで、第1スイッチング素子11のゲートg1の電位Vg1を上昇させる速度を制御することができる。
各実施例の構成要素と請求項の構成要素との関係について説明する。実施例の第1オフ電位Voff1は、請求項の第1電位の一例である。実施例の第1オン電位Von1は、請求項の第2電位の一例である。実施例1のダイオードD2,D3,D4及び第3スイッチング素子13は、請求項の切換回路の一例である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。