JP6698278B2 - 遠心式ポンプ装置 - Google Patents

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Description

この発明は遠心式ポンプ装置に関し、特に、回転時の遠心力によって液体を送るインペラを備えた遠心式ポンプ装置に関する。
近年、隔壁によってモータ駆動室とロータ室とに分離した構造のキャンドモータが多く用いられている。このようなモータは、たとえば、粉塵をきらう環境下で使用される半導体製造ラインの化学液や純水の輸送用ポンプや、生体液を輸送するポンプに使用されている。
特開2010−261394号公報(特許文献1)には、流体動圧軸受によるインペラの非接触浮上と、キャンドモータ構造を特徴とするアキシアルギャップ型の遠心式ポンプが記載されている。流体動圧軸受によるインペラの非接触浮上を特徴とするアキシアルギャップ型の遠心式ポンプでは、インペラとモータとの間に働くアキシアル方向吸引力を相殺するように、インペラを挟んで反対側に配置されたリング状永久磁石等によりアキシアル方向の吸引力のバランスをとっている。
しかし、これらの永久磁石等による吸引力は、インペラが一方向へ近づくと、よりその方向へ近づこうとする負剛性(不安定要素)の成分である。
また、例えば流量が多い場合では、インペラは流体出口の位置の影響で周方向に圧力差が生じ、ラジアル方向へ偏心する。その結果、リング状磁石側の吸引力低下分とモータ側の吸引力低下分とに差が発生するため、アキシアル方向吸引力のバランスが変化し、インペラのアキシアル方向の浮上位置が中央からずれてしまう問題があった。
さらに、遠心ポンプでは流体入口がインペラ中心付近の一方側に設置されることが多い。この場合も流体力でインペラの浮上位置が定常浮上位置からずれてしまう問題があった。
このように、インペラの偏心により変化したアキシアル吸引力を制御する方法として、特開2010−261394号公報(特許文献1)では、モータ側吸引力がリング状磁石部の吸引力変化と釣合うように、モータ電流位相を調整することで対応していた。これにより、外乱や動作条件によりインペラがラジアル方向へ偏心しても、インペラのアキシアル方向の浮上位置を変化させずに安定回転を維持することが可能であった。
特開2010−261394号公報
上述のように、特開2010−261394号公報に記載されたような遠心式ポンプでは、外乱や動作条件によりインペラがラジアル方向へ偏心しても、インペラのアキシアル方向の浮上位置を変化させずに安定回転を維持するために、モータ側吸引力がリング状永久磁石部の吸引力変化と釣合うようにモータ電流位相を調整する等の対策が行なわれている。
しかしモータ電流位相を変化させるということは、種々の問題が生じるおそれがある。例えばモータを最大効率点で動作させていた状況から電流位相が変化してしまうと、モータ効率の低下を招く可能性がある。また例えば、最大トルク点で動作させていた状況から電流位相を変化させると、発生トルクが低下しポンプ出力の低下やモータの脱調の可能性があった。
クリーン状態が必須であるポンプ用途では、インペラとポンプ室の内壁との接触等による汚染物質の発生、およびその混入は確実に防ぐ必要がある。その一方で、モータの効率低下やポンプ出力低下はできる限り避けることが望ましい。
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、汚染防止と効率や性能の低下の防止とを両立することができる遠心式ポンプ装置を提供することである。
この発明は、要約すると、遠心式ポンプ装置であって、第1〜第3の室を含むハウジングを備える。第2の室は、第1の室および第3の室に挟まれて設けられる。第1の室および第2の室は第1の隔壁で仕切られる。第2の室および第3の室は第2の隔壁で仕切られる。
遠心式ポンプ装置は、さらに、第2の室内において第1および第2の隔壁に交差する軸を回転軸として回転可能に設けられ、回転時の遠心力によって液体を送るインペラと、第1の室内に設けられ、第1の隔壁を介してインペラを回転駆動させる第1の駆動部と、第3の室内に設けられ、第2の隔壁を介してインペラを回転駆動させる第2の駆動部と、第1の隔壁と対向するインペラの一方面に設けられた第1の磁性体と、第2の隔壁と対向するインペラの他方面に設けられた第2の磁性体とを備える。インペラの一方面またはそれに対向する第1の隔壁の壁面に第1の動圧溝が形成される。インペラの他方面またはそれに対向する第2の隔壁の壁面に第2の動圧溝が形成される。第1の駆動部および第2の駆動部の少なくとも一方は、ベクトル制御により、第1の磁性体および第2の磁性体のうち対応する磁性体に作用する吸引力調整することによって、インペラの位置を第2の室内における回転軸に沿う方向のインペラの可動範囲の中央に維持する。
好ましくは、第1の駆動部は、インペラの位置が第1の隔壁から遠ざかる方向に可動範囲の中央から変化した場合には、ベクトル制御における磁束電流を増加させる。
より好ましくは、第2の駆動部は、インペラの位置が第2の隔壁から遠ざかる方向に可動範囲の中央から変化した場合には、ベクトル制御における磁束電流を増加させる。
好ましくは、インペラの定常回転中において、第1の磁性体と第1の駆動部との間に作用する第1の吸引力と、第2の磁性体と第2の駆動部との間に作用する第2の吸引力とは、第2の室内におけるインペラの可動範囲の中央にインペラが位置するときに釣り合う。
好ましくは、遠心式ポンプ装置は、ベクトル制御に使用するためにインペラの回転角度を推定するための位相推定器をさらに備える。
より好ましくは、遠心式ポンプ装置は、インペラに作用する流体力を、インペラの回転速度、流量、吐出圧力、および流体の物性値のうちの少なくとも1つ以上をパラメータとして使用して予め測定し記憶する記憶部と、記憶部が記憶する値に応じて第1の吸引力を制御する駆動制御部とをさらに備える。
好ましくは、遠心式ポンプ装置は、ベクトル制御に使用するためにインペラの回転角度を検出するための回転検出器をさらに備える。
より好ましくは、回転検出器は、磁気センサであり、磁気センサによってインペラの浮上位置を検出する。
好ましくは、インペラの外周側の側面に第3の動圧溝が形成される。
好ましくは、第2の室の壁面であって、インペラの外周側の側面と対向する壁面に第3の動圧溝が形成される。
好ましくは、遠心式ポンプ装置は、食品を循環させるために使用される。
好ましくは、遠心式ポンプ装置は、医薬品を循環させるために使用される。
従来の構成では、駆動モータ側の吸引力や、それを相殺するためのリング磁石側の吸引力のアキシアル方向の負剛性成分が、インペラ挙動の不安定の原因となっていた。
本発明では、モータで発生する電磁力をトルク電流成分(Iq成分)と界磁電流成分(Id成分)とに分離(ベクトル制御)し、Id成分を積極的に変化させることで、インペラに働くアキシアル方向吸引力を制御することを可能とし、インペラの浮上回転時の安定性を高めることができる。
本実施の形態に係る遠心式ポンプ装置のモータ駆動システムの電気回路図である。 PWMドライバからインバータに出力される出力信号を説明するための波形図である。 モータ駆動システムにおけるモータコントロール部324とその周辺構成を示した制御ブロック図である。 図3の変形例であって、モータ駆動にセンサレス角度検出処理を使用した場合のモータ駆動システムにおけるモータコントロール部324Aとその周辺構成を示した制御ブロック図である。 モータの電圧方程式のブロック図である。 モータ制御のベクトル図である。 本発明の実施の形態の遠心式ポンプ装置のポンプ部1の外観を示す正面図である。 図7に示したポンプ部1の側面図である。 図8のIX−IX線断面図である。 図9のX−X線断面図である。 図10からインペラを取り外した状態を示す断面図である。 図9のXII−XII線断面図からインペラを取り外した状態を示す断面図である。 図9のXIII−XIII線断面図である。 永久磁石17Dおよび磁性体18D間の吸引力F1と永久磁石17および磁性体18間の吸引力F2との合力の大きさが、インペラ10のポンプ室7内の可動範囲の中央位置以外の位置P1でゼロとなるように調整した場合にインペラ10に作用する力を示す図である。 永久磁石17Dおよび磁性体18D間の吸引力F1と永久磁石17および磁性体18間の吸引力F2との合力の大きさが、インペラ10のポンプ室7内の可動範囲の中央位置P0でゼロとなるように調整した場合にインペラ10に作用する力を示す図である。 図13に示した断面図中に回転速度を検出するための磁気センサSの配置を示した図である。 図16で示した磁気センサの出力信号を示すタイムチャートである。 磁気センサの配置の変更例を示した図である。 磁気センサの出力をコイルの電流にフィードバックする制御を説明するための図である。 磁気センサ出力から角度の推測を行なう処理を説明するための波形図である。 センサレス制御をモータ駆動部で行なう場合の処理を説明するための概略ブロック図である。 インペラの回転中において流量と浮上位置との関係を示した図である。 インペラの回転中において吐出圧力と浮上位置との関係を示した図である。 回転数と浮上位置との関係を示した図である。 電流Idと吸引力との関係を示す図である。 図9に示した構成の変更例を示す図である。 図26のXXVII−XXVIIにおける断面図である。 インペラ10の外周面にさらにラジアル動圧溝を設けた変形例を示す図である。 ポンプ室内周面にさらにラジアル動圧溝を設けた変形例を示す図である。 シュラウドの外周面に形成された動圧溝の第1例を示す図である。 シュラウドの外周面に形成された動圧溝の第2例を示す図である。 ポンプ室内周面に形成されたラジアル動圧溝の具体的構成の第1例を示した図である。 ポンプ室内周面に形成されたラジアル動圧溝の具体的構成の第2例を示した図である。 インペラ10のシュラウドに埋設された磁石の詳細な配置を示す図である。 図34に示した永久磁石の配置の第1変形例である。 図34に示した永久磁石の配置の第2変形例である。 図34に示した永久磁石の配置の第3変形例である。 図34に示した永久磁石の配置の第4変形例である。 図34に示した永久磁石の配置の第5変形例である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[モータ制御回路の概要]
図1は、本実施の形態に係る遠心式ポンプ装置のモータ駆動システムの電気回路図である。図1を参照して、モータ駆動システム300は、バッテリ部310と、インバータ装置320と、モータ部331とを含む。
モータ部331は、3相の同期モータ、例えばSPM型(表面磁石型)同期モータ等であり、永久磁石を含むロータ332と、3相のステータコイルを含むステータとからなる。ロータ332の回転角は、角度検出器334によって検出される。
インバータ装置320は、バッテリ部310から与えられる直流電圧を平滑する平滑部328と、3相インバータ330と、演算部322とを含む。演算部322は、モータコントロール部324と、PWMドライバ326とを含む。
3相インバータ330は、半導体スイッチング素子である6つの駆動素子で構成され、モータの3相(U,V,W相)の各相の駆動電流をパルス波形で出力する。
図2は、PWMドライバからインバータに出力される出力信号を説明するための波形図である。例えば図2に示すように、PWMドライバ326は、3相インバータ330を正弦波駆動する電流出力が得られるように、入力された電流指令をパルス幅変調し、6つの駆動素子にオンオフ指令を与える。
図1に示す、PWMドライバ326とモータコントロール部324とで、インバータ装置320の弱電回路部分である演算部322が構成される。演算部322は、コンピュータとこれに実行されるプログラム、および電子回路により構成される。
図3は、モータ駆動システムにおけるモータコントロール部324とその周辺構成を示した制御ブロック図である。図3を参照して、モータコントロール部324は、電流指令演算部340と、トルク電流制御部341と、磁束電流制御部343と、αβ座標変換部350と、2相/3相変換部352と、検出側の3相/2相変換部354と、回転座標変換部356とを含む。
電流指令演算部340は、トルク電流指令部362と、磁束電流設定部364とを含む。トルク電流指令部362は、上位制御手段から与えられたトルク指令に従い、トルク電流の指令値Iqrefを出力する。トルク指令は、外部からの回転数もしくはトルク指令等により演算される。磁束電流設定部364は、磁束電流の定められた指令値Idrefを出力する。磁束電流の指令値Idrefは、モータの特性等に応じて適宜設定され、通常は「0」とされる。
トルク電流を、以下「q軸電流」と称す。また、磁束電流を、以下「d軸電流」と称す。磁束電流は、励磁電流または界磁電流とも呼ばれる。電圧についても、トルク電圧を「q軸電圧」と称し、磁束電圧を「d軸電圧」と称す。なお、q軸とはモータ回転方向の成分を示す軸であり、d軸はq軸に直交する方向の軸である。
トルク電流制御部341は、q軸電流指令値Iqrefからq軸電流検出値Iqを減算する減算部342と、減算部342の出力に対して定められた演算処理を行う演算処理部346を含む。演算処理部346は、図3に示す例では比例積分処理を行う。
トルク電流制御部341は、電流指令演算部340のトルク電流指令部362から与えられるq軸電流指令値Iqrefに対して、q軸電流検出値Iqが追随するように制御する。q軸電流検出値Iqは、モータの駆動電流を検出する電流検出器336,337の検出値Iu,Ivから、3相/2相変換部354および回転座標変換部356を介して得られる。トルク電流制御部341は、q軸電圧指令値Vqを出力する。
磁束電流制御部343は、d軸電流指令値Idrefからd軸電流検出値Idを減算する減算部344と、減算部344の出力に対して定められた演算処理を行う演算処理部348とを含む。演算処理部348は、図3に示す例では比例積分処理を行う。
磁束電流制御部343は、電流指令演算部340の磁束電流設定部364から与えられるd軸電流指令値Idrefに対して、d軸電流検出値Idが追随するように制御する。d軸電流検出値Idは、モータの駆動電流を検出する電流検出器336,337の検出値Iu,Ivから、3相/2相変換部354および回転座標変換部356を介して得られる。磁束電流制御部343は、d軸電圧指令値Vdを出力する。
3相/2相変換部354は、モータのU相,V相,W相を流れる電流のうち、2つ、または3つの相の電流、例えばU相の電流Iuと、V相の電流Ivの検出値を、静止直交2相座標成分の実電流(α軸上の実電流、およびβ軸上の実電流)の検出値Iα,Iβに変換する。
回転座標変換部356は、角度検出器334で検出されたモータロータ角度θmeaに基づき、前記静止直交2相座標成分の実電流の検出値Iα,Iβを、q,d軸上の検出値Iq,Idに変換する。
αβ座標変換部350は、q軸電圧指令値Vqおよびd軸電圧指令値Vdを、モータ角度検出器で検出されたモータロータ角度θ、つまりモータロータ位相に基づき、固定2相座標成分の実電圧の指令値Vα,Vβに変換する。
2相/3相座標変換部352は、αβ座標変換部350の出力する実電圧の指令値Vα,Vβを、モータのU相,V相,W相を制御する3相交流の電圧指令値Vu,Vv,Vwに変換する。
PWMドライバ326および3相インバータ330は、上記のようにして2相/3相座標変換部352から出力される電圧指令値Vu,Vv,Vwを電力変換してモータ駆動電流Iu,Iv,Iwを出力する。
図4は、図3の変形例であって、モータ駆動にセンサレス角度検出処理を使用した場合のモータ駆動システムにおけるモータコントロール部324Aとその周辺構成を示した制御ブロック図である。
図4には、位相推定器358が出力するモータロータ角度θestを用いて制御を行う様子が示されている。
以下に、位相推定器358が角度を推定する式の説明を行なう。
下記の(数1)に示すモータ等価回路方程式は、d-q座標系では、(数2)に示す式で表される。(数2)に示す式を更にα-β座標系に変換すると(数3)に示す式が得られる。
Figure 0006698278
Figure 0006698278
Figure 0006698278
ここで、(数3)に示す式をIqを用いて表すと以下の(数4)に示す式が得られる。この式に基づいて位相推定器358は、モータロータの角度(位相θ)の推定を行う。
Figure 0006698278
上記の式において、Rは電気子巻線抵抗値、Ldはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンス、KEは誘起電圧定数を示す。R、Ld、Lq、KEは既知の値であり、Iα、Iβは検出値であり、Vα、Vβはベクトル制御時の演算値であり位置推定時は既知である。したがって、モータロータの角度(位相)の推定が可能である。
ここで(数1)の式について、ブロック図とベクトル図とを示す。図5は、モータの電圧方程式のブロック図である。図6は、モータ制御のベクトル図である。
図6において、d軸およびq軸は永久磁石の磁極方向を示している。電気子鎖交磁束φaは、d軸上にある。また、LdidとLqiqは各軸の鎖交磁束成分で、モータの総鎖交磁束は図6からφ0になることが分かる。ここで、入力電流iaはidとiqの合成電流である。また、入力電流iaのq軸との位相角をβで表す。βは無負荷時の誘起電圧ωφaを基準にした電流位相差を示す。
端子電圧Vaは、V0に電気子巻線抵抗Raとの電圧降下Raiaを加えた電圧になる。V0は各軸の電気反作用電圧ωLdid、ωLqiqを誘起電圧ωφaに加えた電圧である。電圧V0とφ0との位相差は、90度である。
図6のベクトル図から、電気子鎖交磁束φaが永久磁石の界磁磁束であり、界磁磁束の大きさに影響を与える電機子反作用の磁束はLdidであることがわかる。d軸成分が吸引力に影響を与えるので、idをゼロに制御することは、吸引力の変化を抑制することになる。βがゼロでは、各相の電流位相を無負荷時の誘起電圧ωφaと一致させることになる。この場合、電流ベクトルiaは負荷状態に応じてq軸上を移動することになる。
d軸成分を変化させることによって吸引力を変化させることができることが分かる。ここではあえてd軸成分を制御し、アキシアル方向の吸引力をコントロールする。
この吸引力の制御の詳細を説明する前に、以下にポンプ部の基本構成について説明しておく。
[ポンプ部の基本構成の説明]
図1〜図6によって、本実施の形態の遠心式ポンプ装置のモータ制御について説明した。次に、本実施の形態の遠心式ポンプ装置のポンプ部の基本構成について説明する。ポンプ部は、以下に説明するように、2つのモータを搭載しているので、少なくとも1つのモータには、図1〜図6によって説明したモータのベクトル制御が適用される。
図7は、本発明の実施の形態の遠心式ポンプ装置のポンプ部1の外観を示す正面図である。図8は、図7に示したポンプ部1の側面図である。図9は、図8のIX−IX線断面図である。図10は、図9のX−X線断面図である。
図7〜図10を参照して、この遠心式ポンプ装置のポンプ部1は、非磁性材料で形成されたハウジング2を備える。ハウジング2は、円柱状の本体部3と、本体部3の一方の端面の中央に立設された円筒状の流入ポート4と、本体部3の外周面に設けられた円筒状の流出ポート5とを含む。流出ポート5は、本体部3の外周面の接線方向に延在している。
ハウジング2内には、図9に示すように、隔壁6および6Dによって仕切られたポンプ室7およびモータ室8および8Dが設けられている。ポンプ室7内には、図9および図10に示すように、中央に貫通孔10aを有する円板状のインペラ10が回転可能に設けられている。
インペラ10は、ドーナツ板状の2枚のシュラウド11,12と、2枚のシュラウド11,12間に形成された複数(たとえば6つ)のベーン13とを含む。シュラウド11は流入ポート4が形成された隔壁6D側に配置され、シュラウド12は隔壁6側に配置される。シュラウド11,12およびベーン13は、非磁性材料で形成されている。
2枚のシュラウド11,12の間には、複数のベーン13で仕切られた複数(この場合は6つ)の液体通路14が形成されている。液体通路14は、図10に示すように、インペラ10の中央の貫通孔10aと連通しており、インペラ10の貫通孔10aを始端とし、外周縁まで徐々に幅が広がるように延びている。換言すれば、隣接する2つの液体通路14間にベーン13が形成されている。なお、本実施の形態では、複数のベーン13は等角度間隔で設けられ、かつ同じ形状に形成されている。したがって、複数の液体通路14は等角度間隔で設けられ、かつ同じ形状に形成されている。
インペラ10が回転駆動されると、流入ポート4から流入した液体は、遠心力によって貫通孔10aから液体通路14を介してインペラ10の外周部に送られ、流出ポート5から流出する。
<動圧溝の説明>
図11は、図10からインペラを取り外した状態を示す断面図である。図12は、図9のXII−XII線断面図からインペラを取り外した状態を示す断面図である。
図11、図12に示すように、インペラ10のシュラウド12に対向する隔壁6の表面には複数の動圧溝21が形成され、シュラウド11に対向する隔壁6Dの表面には複数の動圧溝22が形成されている。インペラ10の回転数が所定の回転数を超えると、動圧溝21,22の各々とインペラ10との間に動圧軸受効果が発生する。これにより、動圧溝21,22の各々からインペラ10に対して抗力が発生し、インペラ10はポンプ室7内で非接触状態で回転する。すなわち、動圧溝21と動圧溝22によりインペラ10のアキシアル方向の位置が支持される。
詳しく説明すると、複数の動圧溝21は、図11に示すように、インペラ10のシュラウド12に対応する大きさに形成されている。各動圧溝21は、隔壁6の中心から若干離間した円形部分の周縁(円周)上に一端を有し、渦状に(換言すれば、湾曲して)隔壁6の外縁付近まで、幅が徐々に広がるように延びている。また、複数の動圧溝21は略同じ形状であり、かつ略同じ間隔に配置されている。動圧溝21は凹部であり、動圧溝21の深さは0.005〜0.4mm程度であることが好ましい。動圧溝21の数は、6〜36個程度であることが好ましい。
図11では、10個の動圧溝21がインペラ10の中心軸に対して等角度で配置されている。動圧溝21は、いわゆる内向スパイラル溝形状となっているので、インペラ10が時計方向に回転すると、動圧溝21の外径部から内径部に向けて液体の圧力が高くなる。このため、インペラ10と隔壁6の間に反発力が発生し、これが動圧力となる。
このように、インペラ10と複数の動圧溝21の間に形成される動圧軸受効果により、インペラ10は隔壁6から離れ、非接触状態で回転する。このため、インペラ10と隔壁6の間に液体流路が確保される。さらに、通常状態において、動圧溝21によるインペラ10と隔壁6の間の撹拌作用とポンプ動作で生じたインペラ内外径部の圧力差による液体の流れ(漏れ流量)とによって、両者間における部分的な液体滞留の発生を防止することができる。
また、動圧溝21の角の部分は、少なくとも0.05mm以上のRを持つように丸められていることが好ましい。
また、複数の動圧溝22は、図12に示すように、複数の動圧溝21と同様、インペラ10のシュラウド11に対応する大きさに形成されている。各動圧溝22は、ポンプ室7の内壁の中心から若干離間した円形部分の周縁(円周)上に一端を有し、渦状に(換言すれば、湾曲して)ポンプ室7の内壁の外縁付近まで、幅が徐々に広がるように延びている。また、複数の動圧溝22は、略同じ形状であり、かつ略同じ間隔で配置されている。動圧溝22は凹部であり、動圧溝22の深さは0.005〜0.4mm程度があることが好ましい。動圧溝22の数は、6〜36個程度であることが好ましい。図12では、10個の動圧溝22がインペラ10の中心軸に対して等角度に配置されている。
なお、動圧溝22の角となる部分は、少なくとも0.05mm以上のRを持つように丸められていることが好ましい。
このように、インペラ10と複数の動圧溝22の間に形成される動圧軸受効果により、インペラ10はポンプ室7の内壁から離れ、非接触状態で回転する。また、ポンプ部1が外的衝撃を受けたときや、動圧溝21による動圧力が過剰となったときに、インペラ10のポンプ室7の内壁への密着を防止することができる。動圧溝21によって発生する動圧力と動圧溝22によって発生する動圧力は異なるものとなっていてもよい。
ただし、インペラ10のシュラウド12と隔壁6との隙間と、インペラ10のシュラウド11と隔壁6Dとの隙間とが略同じ状態でインペラ10が回転することが好ましい。インペラ10に作用する流体力などの外乱が大きく、一方の隙間が狭くなる場合には、その狭くなる側の動圧溝による動圧力を他方の動圧溝による動圧力よりも大きくし、両隙間を略同じにするため、動圧溝21と22の形状を異ならせることが好ましい。
なお、図11および図12では、動圧溝21,22の各々を内向スパイラル溝形状としたが、他の形状の動圧溝21,22を使用することも可能である。
<永久磁石およびコイルの配置の説明>
再び図9および図10を参照して、シュラウド12には複数(たとえば8個)の永久磁石17が埋設されている。複数の永久磁石17は、隣接する磁極が互いに異なるようにして、等角度間隔で同一の円に沿って隙間を設けて配置される。換言すれば、モータ室8側にN極を向けた永久磁石17と、モータ室8側にS極を向けた永久磁石17とが等角度間隔で隙間を設けて同一の円に沿って交互に配置されている。
図13は、図9のXIII−XIII線断面図である。図9および図13を参照して、モータ室8内には、複数(たとえば9個)のコイル20が設けられている。複数のコイル20は、インペラ10の複数の永久磁石17に隔壁を挟み対向して、等角度間隔で同一の円に沿って配置される。コイル20は、磁性体などが配置されているコア部(磁性体18)の周りにコイル配線が巻回されている。
ただし、図13のコイル内部の磁性体は、積層鋼板であってもよいし、圧粉磁心やその他の磁性体であってもよい。
また、図示はしていないが、コア部が空芯であってもよい。
複数のコイル20の隔壁6の反対側にはバックヨークとなる磁性体19を配置し、コイル20の磁束を強めている。なお、バックヨークは無くてもよい。
9個のコイル20には、たとえば120度通電方式で電圧が印加される。すなわち、9個のコイル20は、3個ずつグループ化される。各グループの第1〜第3のコイル20には、U相,V相,W相の三相電圧VU,VV,VWが印加される。第1のコイル20には、0〜120度の期間に正電圧が印加され、120〜180度の期間に0Vが印加され、180〜300度の期間に負電圧が印加され、300〜360度の期間に0Vが印加される。したがって、第1のコイル20の端面(インペラ10側の端面)は、0〜120度の期間にN極になり、180〜300度の期間にS極になる。電圧VVの位相は電圧VUよりも120度遅れており、電圧VWの位相は電圧VVよりも120度遅れている。したがって、第1〜第3のコイル20にそれぞれ電圧VU,VV,VWを印加することにより、回転磁界を形成することができ、複数のコイル20とインペラ10の複数の永久磁石17との吸引力および反発力により、インペラ10を回転させることができる。
なお、シュラウド11にも複数の永久磁石17Dが設けられ、ハウジング2内のシュラウド11側にもモータ室8Dが設けられる。モータ室8Dとポンプ室7は、隔壁6Dで仕切られている。モータ室8D内には、複数の永久磁石17Dに対向して複数のコイル20Dが設けられる。複数のコイル20Dは、各々が磁性体18Dの周りに巻回されている。複数のコイル20Dの隔壁6Dと反対側にはバックヨークとなる磁性体19Dを配置し、コイル20Dの磁束を強めている。なお、バックヨークは無くてもよい。
なお、複数の永久磁石17Dの配置および複数のコイル20Dの配置は、基本的には図9および図10で示した永久磁石17およびコイル20の配置と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
図14は、永久磁石17Dおよび磁性体18D間の吸引力F1と永久磁石17および磁性体18間の吸引力F2との合力の大きさが、インペラ10のポンプ室7内の可動範囲の中央位置以外の位置P1でゼロとなるように調整した場合にインペラ10に作用する力を示す図である。ただし、インペラ10の回転数は定格値に保たれている。
図14の横軸はインペラ10の位置(図中の左側が隔壁6側)を示し、縦軸はインペラ10に対する作用力を示している。インペラ10への作用力が隔壁6側に働くとき、その作用力をマイナスとしている。インペラ10に対する作用力としては、永久磁石17Dおよび磁性体18D間の吸引力F1と、永久磁石17および磁性体18間の吸引力F2と、動圧溝21の動圧力F3と、動圧溝22の動圧力F4と、それらの合力である「インペラに作用する正味の力F5」を示した。
永久磁石17Dおよび磁性体18D間の吸引力F1が永久磁石17および磁性体18間の吸引力F2よりも小さく設定され、それらの合力がゼロとなるインペラ10の浮上位置はインペラ可動範囲の中間よりも隔壁6側にあるものとする。動圧溝21,22の形状は同じである。
図14から分かるように、インペラ10に作用する正味の力F5がゼロとなる位置で、インペラ10の浮上位置はインペラ10の可動範囲の中央位置から大きくずれている。その結果、回転中のインペラ10と隔壁6の間の距離は狭まり、インペラ10に対して小さな外乱力が作用してもインペラ10は隔壁6に接触してしまう。
これに対して図15は、永久磁石17Dおよび磁性体18D間の吸引力F1と永久磁石17および磁性体18間の吸引力F2との合力の大きさが、インペラ10のポンプ室7内の可動範囲の中央位置P0でゼロとなるように調整した場合にインペラ10に作用する力を示す図である。この場合も、インペラ10の回転数は定格値に保たれている。
すなわち、永久磁石17Dおよび磁性体18D間の吸引力F1と永久磁石17および磁性体18間の吸引力F2とは略同じに設定されている。また、動圧溝21,22の形状は同じにされている。図15に示した場合は、図14の場合と比較して、インペラ10の浮上位置に対する支持剛性が高くなる。また、インペラ10に作用する正味の力F5は可動範囲の中央でゼロとなっているので、インペラ10に対し外乱力が作用しない場合にはインペラ10は中央位置で浮上する。
このように、インペラ10の浮上位置は、永久磁石17Dおよび磁性体18D間の吸引力F1と、永久磁石17および磁性体18間の吸引力F2と、インペラ10の回転時に動圧溝21,22で発生する動圧力F3,F4との釣り合いで決まる。F1とF2を略同じにし、動圧溝21,22の形状を同じにすることにより、インペラ10の回転時にインペラ10をポンプ室7の略中央部で浮上させることが可能となる。図9および図10に示すように、インペラ10は2つのディスク間に羽根を形成した形状を有するので、ハウジング2の内壁に対向する2つの面を同一形状および同一寸法にすることができる。したがって、略同一の動圧性能を有する動圧溝21,22をインペラ10の両側に設けることは可能である。
この場合、インペラ10はポンプ室7の中央位置で浮上するので、インペラ10はハウジング2のポンプ室7の隔壁6および6Dから均等に離れた位置に保持される。その結果、インペラ10の浮上時にインペラ10に外乱力が印加されて、インペラ10の浮上位置が変化しても、インペラ10とハウジング2の内壁とが接触する可能性が小さくなる。
[ポンプ部のインペラ位置の制御]
次に、上記のような構造を有し、ポンプ室の内壁に動圧溝が形成されたポンプのインペラのアキシアル方向の位置を調整するためにベクトル制御を適用することを説明する。
図16は、図13に示した断面図中に回転速度を検出するための磁気センサSの配置を示した図である。図17は、図16で示した磁気センサの出力信号を示すタイムチャートである。
図16を参照して、3つの磁気センサSが9個の磁性体18のうちの隣接する4個の磁性体18の3つの間に設けられている。3つの磁気センサSは、インペラ10の複数の永久磁石17の通過経路に対向して配置されている。インペラ10が回転して複数の永久磁石17のS極とN極が交互に磁気センサSの近傍を通過すると、磁気センサSの出力信号のレベルは、図17に示すように、正弦波状に変化する。したがって、磁気センサSの出力信号の時間変化を検出することにより、複数の永久磁石17と複数の磁性体18との位置関係を検出することができ、複数のコイル20に電流を流すタイミングと、インペラ10の回転数を求めることができる。
また、インペラ10と隔壁6の間のギャップが広い場合は、磁気センサSの近傍の磁界が弱くなって磁気センサSの出力信号の振幅A1は小さくなる。インペラ10と隔壁6の間のギャップが狭い場合は、磁気センサSの近傍の磁界が強くなって磁気センサSの出力信号の振幅A2は大きくなる。
したがって、磁気センサSの出力信号の振幅を検出することにより、インペラ10のアキシアル方向の可動範囲内におけるインペラ10の位置を検出することができる。
図18は、磁気センサの配置の変更例を示した図である。この変更例では、9個のコイル20が3個ずつ3グループに分割され、3つの磁気センサSは3つのグループの3つの間にそれぞれ配置される。したがって、3つの磁気センサSの間の機械角は、それぞれ120度となるので、回転中のインペラ10の浮上姿勢を容易に演算することができる。9個のコイル20に電流を流すタイミングは、3つの磁気センサSのうちのいずれか1つの磁気センサSの出力信号に基づいて演算される。
図18のように磁気センサを配置することによって、インペラの回転(傾斜)と並進(並行移動)を分離し、より正確に浮上位置を検出することができる。
図19は、磁気センサの出力をコイルの電流にフィードバックする制御を説明するための図である。理解の簡単のため、図3を簡略化して図19においてポンプの断面図に併記している。コントローラ42は、位置演算器49と、回転数演算器50と、位置判定器51と、回転角度推定器48と、モータ制御回路43,43Dと、パワーアンプ44,44Dとを含む。回転数演算器50は、3つの磁気センサSの出力信号に基づいてインペラ10の回転数を求め、その回転数を示す信号φRを出力する。位置判定器51は、位置演算器49で生成されたインペラ10の位置を示す信号φPと、回転数演算器50で生成されたインペラ10の回転数を示す信号φRとに基づき、インペラ10の位置が正常範囲内か否かを判定し、判定結果を示す信号φDを出力する。判定時にインペラ10の回転数を参照するのは、インペラ10の回転数によって動圧溝21,22の動圧軸受効果が変化し、インペラ10の位置が変化し、かつ、回転数によってインペラに発生する流体力が変化するからである。なお、回転数が固定されている場合は、回転数演算器50を除去してもよい。
また、インペラ10の位置が正常範囲内か否かを判定する際に、インペラ10の回転数の代わりに、あるいはインペラ10の回転数に加え、液体の粘度情報を参照してもよい。これは、液体の粘度によって動圧溝21,22の動圧軸受効果が変化し、インペラ10の位置が変化するからである。
また、この遠心式ポンプ装置では、インペラ10が回転していない場合は動圧溝21,22の動圧軸受効果は発生しないので、永久磁石17Dおよび磁性体18D間の吸引力F1と、永久磁石17および磁性体18間の吸引力F2とによってインペラ10とハウジング2の内壁とは接触している。したがって、回転開始時および低速回転時では、インペラ10は正常なアキシアル位置で回転していない。したがって、回転数を示す信号φRを位置判定に使用しない場合は、回転開始から定格回転数に達するまでのある一定時間、位置判定器51の出力信号φDを強制的にインペラ10の位置が正常であることを示す信号にしてもよい。
図20は、磁気センサ出力から角度の推測を行なう処理を説明するための波形図である。図19に示す回転角度推定器48は、具体的には逓倍処理部を有し、磁気センサの少なくとも1つ以上の出力信号を使用し、例えば磁気センサ出力信号のゼロクロス位置を基準にして図20の回転同期パルスを生成し、それを逓倍して逓倍パルスを生成してモータロータの角度の推測を行なう。
そして、図17に示した関係に基づいて、磁気センサ出力信号の振幅からインペラ10のアキシアル位置を推定し、このアキシアル位置に応じて、モータ制御回路43またはモータ制御回路43Dを用いて吸引力を調整する。なお吸引力の調整は、以下の3パターンの制御が考えられる。
第1は、モータ制御回路43,43Dのいずれか一方のみのId成分を変化させて吸引力を下げる制御である。第2は、モータ制御回路43,43Dのいずれか一方のみのId成分を変化させて吸引力を上げる制御である。第3は、モータ制御回路43,43Dのいずれか一方のId成分を変化させて吸引力を下げるとともに、モータ制御回路43,43Dの他方のId成分を変化させて吸引力を上げる制御である。
図21は、センサレス制御をモータ駆動部で行なう場合の処理を説明するための概略ブロック図である。理解の簡単のため、図4を簡略化して図21においてポンプの断面図に併記している。図21を参照して、コントローラ42Aのインペラ姿勢判別部70に回転数N、流量J、吐出圧力P、および流体情報(物性値)Yの少なくとも1つ以上の情報を入力する。記憶部71には、予め各条件で測定されたインペラ挙動が記憶されている。記憶部71に記憶された情報に基づいて、インペラを略中央位置に浮上させ回転させるようにモータ駆動電流のId成分を制御する。
ポンプ動作を開始するとインペラには流体力が働く。図7〜図9に示す構成では、インレット(入口)が軸方向に対し、片側1箇所であることによる形状の非対称性で、流量、回転数が増加するとインペラはインレット側に移動する。
図10のようにアウトレット(開口部7a)が周方向に1箇所である形状の非対称性によるインペラ周囲の圧力バランスによって、インペラ10はアウトレット(開口部7a)側に移動する。この際、軸方向の吸引力がインペラ10の偏心によって異なる場合は、インペラは軸方向に変位する。
図22は、インペラの回転中において流量と浮上位置との関係を示した図である。予め、このような関係を調べておけば、流量J1がわかれば浮上位置のずれ量d1を得ることができる。図23は、インペラの回転中において吐出圧力と浮上位置との関係を示した図である。予め、このような関係を調べておけば、吐出圧力P2がわかれば浮上位置のずれ量d2を得ることができる。なお経験上、流量に対する影響が吐出圧力に対する影響より大きい。図24は、回転数と浮上位置との関係を示した図である。回転停止時には、動圧力が発生せず、インペラは隔壁のどちらか一方に接触しているが、インペラが回転を開始すると上下の動圧力と磁気吸引力のバランスによってインペラは中央位置に浮上する。この場合も回転数増加により、流量もしくは吐出圧力が大きくなるとインペラは軸方向に変位する。予め、このような関係を調べておけば、回転数N3がわかれば浮上位置のずれ量d3を得ることができる。
図25は電流Idと吸引力との関係を示す図である。本実施の形態のポンプ装置では、低流量時はId成分がゼロの時、上下の力バランスがとれインペラは中央位置に浮上する。Id成分がゼロの状態でも、モータ駆動部は磁気吸引力を発生している。流量増加に伴い、インペラ浮上位置がずれた場合、Id成分を増減させることで、モータ駆動部の吸引力を変化させることができる。図22〜図24の関係から、インペラ浮上位置のずれ量を推定し、これに対応するように吸引力を変化させるように、図25の関係に従ってId成分を増減させればよい。
[種々の変形例]
図26は、図9に示した構成の変更例を示す図である。図27は、図26のXXVII−XXVIIにおける断面図である。この変形例では、コア(磁性体18,18D)の先端にティース18A,18Bが配置される。図26には、図9の固定子において回転子と対向する側へ、更に面積を広げた磁性体を配置した構成が示されている。これにより回転子の永久磁石との対向面積を広く確保できるため、モータ出力、モータ効率の向上が図れる。
図28、図29にさらなる変形例を示す(ラジアル動圧溝を追加)。図28は、インペラ10の外周面にさらにラジアル動圧溝を設けた変形例を示す図である。図29は、ポンプ室内周面にさらにラジアル動圧溝を設けた変形例を示す図である。これにより、耐外乱性をより確保することができ、インペラの安定回転が可能となる。図28に示すようにインペラ10の外周面に動圧溝61,62を形成することは図29のようにポンプ室7の内周面に動圧溝161,162を形成する加工より加工性がよい。図28に示した例は、図29に示した例と同様に耐外乱性をより確保することができ、インペラの安定回転が可能となる。
<インペラのシュラウド外周面に設けたラジアル動圧溝の構成例>
図30は、シュラウドの外周面に形成された動圧溝の第1例を示す図である。図31は、シュラウドの外周面に形成された動圧溝の第2例を示す図である。
図30を参照して、動圧溝61,62は、それぞれシュラウド11,12の外周面に形成される。動圧溝61,62の先端は、インペラ10の回転方向と逆の方向に向けられている。インペラ10が矢印の方向に回転すると、動圧溝61,62の先端部に向けて液体の圧力が高くなる。このため、インペラ10とポンプ室7の内周面との間に反発力が発生し、これが動圧力となる。
図31に示した第2例でも、動圧溝64,65がポンプ室7の内周面側ではなく、それぞれシュラウド11,12の外周面に形成される。動圧溝64,65の各々の深さは、インペラ10の回転方向と逆の方向に向かって徐々に浅くなっている。この変形例でも、インペラ10が矢印の方向に回転すると、動圧溝64,65の先端部に向けて液体の圧力が高くなる。このため、インペラ10とポンプ室7の内周面との間に反発力が発生し、これが動圧力となる。
<ポンプ室内周面に設けたラジアル動圧溝の構成例>
図32は、ポンプ室内周面に形成されたラジアル動圧溝の具体的構成の第1例を示した図である。図32において、ポンプ室7の内周面のうちのシュラウド11の外周面に対向する領域には、V字型の動圧溝161がインペラ10の回転方向に所定のピッチで形成されている。V字型の動圧溝161の先端(鋭角部)はインペラ10の回転方向に向けられている。同様に、ポンプ室7の内周面のうちのシュラウド12の外周面に対向する領域には、V字型の動圧溝162がインペラ10の回転方向に所定のピッチで形成されている。V字型の動圧溝162の先端(鋭角部)はインペラ10の回転方向に向けられている。ポンプ室7の内周面のうちのシュラウド11,12の隙間に対向する領域には、所定深さの溝63がリング状に形成されている。インペラ10が矢印の方向に回転すると、動圧溝161,162の先端部に向けて液体の圧力が高くなる。このため、インペラ10とポンプ室7の内周面との間に反発力が発生し、これが動圧力となる。
図33は、ポンプ室内周面に形成されたラジアル動圧溝の具体的構成の第2例を示した図である。図33に示した変形例では、動圧溝161,162がそれぞれ動圧溝164,165で置換されている。動圧溝164,165の各々は、帯状に形成され、インペラ10の回転方向に延在している。動圧溝164,165の各々の深さは、インペラ10の回転方向に向かって徐々に浅くなっている。この変形例でも、インペラ10が矢印の方向に回転すると、動圧溝164,165の先端部に向けて液体の圧力が高くなる。このため、インペラ10とポンプ室7の内周面との間に反発力が発生し、これが動圧力となる。
最後に、本実施の形態について再び図面を参照しながら総括する。主に図9を参照して、本実施の形態に係る遠心式ポンプ装置は、ポンプ室7およびモータ室8、8Dを含むハウジングを備える。ポンプ室7は、モータ室8とモータ室8Dとに挟まれて設けられる。モータ室8およびポンプ室7は隔壁6で仕切られる。ポンプ室7およびモータ室8Dは隔壁6Dで仕切られる。
遠心式ポンプ装置は、さらに、ポンプ室7内において第1および隔壁6Dに交差する軸を回転軸として回転可能に設けられ、回転時の遠心力によって液体を送るインペラ10と、モータ室8内に設けられ、隔壁6を介してインペラ10を回転駆動させる第1の駆動部(コイル20)と、モータ室8D内に設けられ、隔壁6Dを介してインペラ10を回転駆動させる第2の駆動部(コイル20D)と、隔壁6と対向するインペラ10の一方面に設けられた永久磁石17と、隔壁6Dと対向するインペラ10の他方面に設けられた永久磁石17Dとを備える。
インペラ10の一方面またはそれに対向する隔壁6の壁面に第1の動圧溝(動圧溝21)が形成される。インペラ10の他方面またはそれに対向する隔壁6Dの壁面に第2の動圧溝(動圧溝22)が形成される。
第1の駆動部および第2の駆動部の少なくとも一方は、ベクトル制御により、永久磁石17および永久磁石17Dのうち対応する磁性体に作用する吸引力(たとえば図15のF2)を調整することによって、インペラ10の位置をポンプ室7内における回転軸に沿う方向のインペラ10の可動範囲の中央に維持する。これにより、流速、回転数、圧力などが変化した場合でも、モータの回転トルクの変化を抑えつつ、インペラ10のアキシアル方向の位置を調整することができる。
好ましくは、図22〜図25で説明したように、第1の駆動部は、インペラ10の位置が隔壁6から遠ざかる方向に可動範囲の中央から変化した場合には、ベクトル制御における磁束電流Idを増加させる。
より好ましくは、第2の駆動部は、インペラ10の位置が隔壁6Dから遠ざかる方向に可動範囲の中央から変化した場合には、ベクトル制御における磁束電流Idを増加させる。
なお、第1の駆動部で磁束電流Idを増加させるときには、第2の駆動部で磁束電流Idを減少させるなど、第1の駆動部と第2の駆動部に対して相補的な制御を行なっても良い。
これにより、駆動部の吸引力が増加するのでインペラ10のアキシアル方向の位置が中央に戻る。
好ましくは、図15に示したように、インペラ10の定常回転中において、駆動部が高効率駆動をしている場合には、永久磁石17Dと第2の駆動部との間に作用する第1の吸引力F1と、永久磁石17と第1の駆動部との間に作用する第2の吸引力F2とは、ポンプ室7内におけるインペラ10の可動範囲の中央(点P0)にインペラ10が位置するときに釣り合う。
好ましくは、図4に示すように、遠心式ポンプ装置は、ベクトル制御に使用するためにインペラ10の回転角度を推定するための位相推定器358をさらに備える。
好ましくは、図21に示すように、遠心式ポンプ装置は、インペラ10に作用する流体力を、インペラ10の回転数N、流量J、吐出圧力P、および流体の物性値などの流体情報Yのうちの少なくとも1つ以上をパラメータとして使用して予め測定した結果を記憶する記憶部71と、記憶部71が記憶する値に応じて第2の吸引力を制御する駆動制御部(Id成分指令生成部74)とをさらに備える。
好ましくは、遠心式ポンプ装置は、ベクトル制御に使用するためにインペラ10の回転角度を検出するための回転検出器をさらに備える。図16〜図18に示したように、より好ましくは、回転検出器は、磁気センサSであり、磁気センサによってインペラ10の浮上位置を検出する。
好ましくは、図28〜図29に示したように、インペラ10の外周側の側面には、動圧溝61,62または動圧溝64,65が形成される。
好ましくは、図30、図32、図33に示すように、ポンプ室7の壁面であって、インペラ10の外周側の側面と対向する壁面には、動圧溝161,162または動圧溝164,165が形成される。
<永久磁石の配置の構成例>
図36は、永久磁石の配置の具体的構成の第1例を示した図である。図36を参照して、シュラウド12には複数(たとえば8個)の永久磁石17が埋設されている。複数の永久磁石17は、隣接する磁極が互いに異なるようにして、等角度間隔で同一の円に沿って隙間を設けて配置される。換言すれば、モータ室8側にN極を向けた永久磁石17と、モータ室8側にS極を向けた永久磁石17とが等角度間隔で隙間を設けて同一の円に沿って交互に配置されている。
図37(a)(b)の変形例では、インペラ10に複数の永久磁石17と複数の永久磁石67とが設けられている。永久磁石67の数は、永久磁石17の数と同じである。永久磁石67は、円周方向(インペラ10の回転方向)に着磁されている。複数の永久磁石17と複数の永久磁石67とは、1つずつ交互に等角度間隔で同一の円に沿ってハルバッハ配列構造で配置されている。換言すると、隔壁6側にN極を向けた永久磁石17と、隔壁6側にS極を向けた永久磁石17とが等角度間隔で隙間を設けて同一の円に沿って交互に配置されている。各永久磁石67のN極は隔壁6側にN極を向けた永久磁石17に向けて配置され、各永久磁石67のS極は隔壁6側にS極を向けた永久磁石17に向けて配置される。複数の永久磁石17同士の形状は同じであり、複数の永久磁石67同士の形状は同じである。永久磁石17の形状と永久磁石67の形状は、同じでもよいし、異なっていてもよい。この変形例では、永久磁石17とコイル20との吸引力を抑制するとともに、トルクの起因となる磁束を強めることができるので、最も永久磁石を小型化することができる。つまり、インペラ10を最も軽量化することができ、かつモータギャップが広い場合でもエネルギ効率を高めることができる。
図38に示した他の変形例では、回転子(インペラ10のシュラウド12)は回転軸方向に着磁された永久磁石17Aと、周方向に着磁された永久磁石67Aと磁性体70Aを含んでいる。永久磁石17Aは隣り合う磁石の磁極の向きが異なるように配置され、さらに永久磁石17Aの隔壁6側端面に永久磁石67Aが永久磁石17Aと同じ磁極同士が近づくように配置される。
永久磁石17Aと永久磁石67Aは同じ数である。永久磁石67Aの着磁方向長さは、永久磁石17Aの幅より短く、永久磁石67Aの着磁方向長さの中央を永久磁石17Aの隣り合う磁石同士の境界と一致させると周方向に隙間ができ、その隙間に磁性体70Aを配置する。この場合、磁性体70Aに磁束が集束し、磁性体が無い場合や通常のハルバッハ配列の構成(図37)の構成と比べ、より強い界磁磁束が得られ高トルク化を図ることができる。さらに図38の配置では、永久磁石17A,67Aのパーミアンス係数の低下を抑制することができる。
図39は、図38の構成において、永久磁石17Aの隔壁6と反対側の端面に磁性体72を配置している。磁性体72の効果でさらに磁束を強めることができる。
図40は別の磁石配置を示す。固定子と回転子の間に隔壁6を備えたキャンドモータにおいて、回転子は回転軸方向に着磁された永久磁石17Bと、周方向に着磁された永久磁石67Bと磁性体70Bから成り、永久磁石17Bは隣り合う磁石の磁極の向きが異なり、隙間を設けて配置され、永久磁石67Bがその隙間に隔壁6側配置される。限られたスペースで磁石を配置する場合、この構成は永久磁石17Bの扁平率が小さくなるためパーミアンス係数を図38より大きくすることができる。永久磁石17Bと永久磁石67Bは同じ数である。永久磁石67Bは、円周方向(ロータの回転方向)に着磁されている。複数の永久磁石17Bと複数の永久磁石67Bとは、1つずつ交互に等角度間隔で同一の円に沿ってハルバッハ配列構造で配置されている。換言すると、隔壁6側にN極を向けた永久磁石17Bと、隔壁6側にS極を向けた永久磁石17Bとが等角度間隔で隙間を設けて同一の円に沿って交互に配置されている。各永久磁石67BのN極は隔壁6側にN極を向けた永久磁石17Bに向けて配置され、各永久磁石67BのS極は隔壁6側にS極を向けた永久磁石17Bに向けて配置される。複数の永久磁石17B同士の形状は同じであり、複数の永久磁石67B同士の形状は同じである。永久磁石17Bの軸方向長さは永久磁石67Bの幅より短く、配置したとき、隔壁6側に段差ができるようにし、その段差部に磁性体70Bを配置する。この場合も磁性体70Bに磁束が集束し、磁性体が無い場合や通常のハルバッハ配列の構成(図36)と比べ、より強い界磁磁束が得られ高トルク化を図ることができる。さらに永久磁石17B,67Bのパーミアンス係数の低下を抑制することができる。
図41に示した構成は、図40の構成において、永久磁石17Bの隔壁6と反対側の端面に磁性体72を配置している。磁性体72の効果でさらに磁束を強めることができる。
また、シュラウド12に埋設されている複数の永久磁石17は、隣接する磁極が互いに異なるようにして、等角度間隔で同一の円に沿って隙間を設けず配置されてもよい。
以上説明したように、本実施の形態では、流体動圧軸受によるインペラの非接触浮上を特徴とするアキシアルギャップ型の遠心式ポンプにおいて、モータ駆動方法としてベクトル制御を用いることで、トルク電流成分(Iq成分)と界磁電流成分(Id成分)とに分離した。
そして、モータの回転トルクを維持したまま界磁電流成分(Id成分)のみを積極的に変化させ、インペラに働くアキシアル方向吸引力を制御する。これにより、インペラの浮上位置を制御することができ、常に可動範囲の中央付近で安定浮上させることができる。
また、上記実施の形態では、2つの駆動部がインペラをはさむように配置されているので、駆動部が1つしかないものと比べると、より大きな回転トルクを発生することができる。また、第1の駆動部と第2の駆動部およびそれぞれに対向する磁性体(永久磁石)の構成を同じにすることによって、磁気吸引力のバランス調整が容易になる。
なお、上記実施の形態の遠心式ポンプ装置は、食品を循環させるために使用されてもよい。また、上記実施の形態の遠心式ポンプ装置は、医薬品を循環させるために使用されてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 ポンプ部、2 ハウジング、3 本体部、4 流入ポート、5 流出ポート、6,6D 隔壁、7 ポンプ室、7a 開口部、8,8D モータ室、10 インペラ、10a 貫通孔、11,12 シュラウド、13 ベーン、14 液体通路、17,17D 永久磁石、18,18D,19,19D 磁性体、18A,18B ティース、20,20D コイル、21,22,61,62,64,65,161,162,164,165 動圧溝、42,42A コントローラ、43,43D モータ制御回路、44,44D パワーアンプ、48 回転角度推定器、49 位置演算器、50 回転数演算器、51 位置判定器、63 溝、70 インペラ姿勢判別部、71 記憶部、74 成分指令生成部、300 モータ駆動システム、310 バッテリ部、320 インバータ装置、322 演算部、324 モータコントロール部、326 PWMドライバ、328 平滑部、330 インバータ、331 モータ部、332 ロータ、334 角度検出器、336,337 電流検出器、340 電流指令演算部、341 トルク電流制御部、342,344 減算部、343 磁束電流制御部、346,348 演算処理部、350 座標変換部、352,354 変換部、356 回転座標変換部、358 位相推定器、362 トルク電流指令部、364 磁束電流設定部、S 磁気センサ。

Claims (13)

  1. 第1〜第3の室を含むハウジングを備え、前記第2の室は、前記第1の室および前記第3の室に挟まれて設けられ、前記第1の室および前記第2の室は第1の隔壁で仕切られ、前記第2の室および前記第3の室は第2の隔壁で仕切られ、
    前記第2の室内において前記第1および第2の隔壁に交差する軸を回転軸として回転可能に設けられ、回転時の遠心力によって液体を送るインペラと、
    前記第1の室内に設けられ、前記第1の隔壁を介して前記インペラを回転駆動させる第1の駆動部と、
    前記第3の室内に設けられ、前記第2の隔壁を介して前記インペラを回転駆動させる第2の駆動部と、
    前記第1の隔壁と対向する前記インペラの一方面に設けられた第1の磁性体と、
    前記第2の隔壁と対向する前記インペラの他方面に設けられた第2の磁性体とを備え、
    前記第1の駆動部は、
    前記第1の磁性体と対向する複数の第3の磁性体と、
    前記複数の第3の磁性体の周りにそれぞれ巻回された複数の第1のコイルとを含み、
    前記第2の駆動部は、
    前記第2の磁性体に対向する複数の第4の磁性体と、
    前記複数の第4の磁性体の周りにそれぞれ巻回された複数の第2のコイルとを含み、
    前記インペラの前記一方面またはそれに対向する前記第1の隔壁の壁面に第1の動圧溝が形成され、前記インペラの前記他方面またはそれに対向する前記第2の隔壁の壁面に第2の動圧溝が形成され、
    前記第1の駆動部および前記第2の駆動部の少なくとも一方は、ベクトル制御により、前記第1の磁性体および前記第2の磁性体のうち対応する磁性体に作用する吸引力を調整する吸引力制御によって、前記インペラの位置を前記第2の室内における前記回転軸に沿う方向の前記インペラの可動範囲の中央に維持し、
    前記吸引力制御は、
    前記第1の駆動部、前記第2の駆動部のいずれか一方の界磁電流成分を変化させて吸引力を下げるとともに、前記第1の駆動部、前記第2の駆動部のいずれか他方の界磁電流成分を変化させて吸引力を上げる制御である、遠心式ポンプ装置。
  2. 前記複数の第3の磁性体の各々は、
    前記複数の第1のコイルのうちの対応する第1のコイルが巻回される第1のコア部と、
    前記第1のコア部の先端に設けられ、前記第1の磁性体と対向する面積が前記第1のコア部よりも広げられた第1のティースとを含み、
    前記複数の第4の磁性体の各々は、
    前記複数の第2のコイルのうちの対応する第2のコイルが巻回される第2のコア部と、
    前記第2のコア部の先端に設けられ、前記第2の磁性体と対向する面積が前記第2のコア部よりも広げられた第2のティースとを含む、請求項1に記載の遠心式ポンプ装置。
  3. 前記第1の駆動部は、前記インペラの位置が前記第1の隔壁から遠ざかる方向に前記可動範囲の中央から変化した場合には、前記ベクトル制御における磁束電流を増加させる、請求項1または2に記載の遠心式ポンプ装置。
  4. 前記第2の駆動部は、前記インペラの位置が前記第2の隔壁から遠ざかる方向に前記可動範囲の中央から変化した場合には、前記ベクトル制御における磁束電流を増加させる、
    請求項に記載の遠心式ポンプ装置。
  5. 前記インペラの定常回転中において、前記第1の磁性体と前記第1の駆動部との間に作用する第1の吸引力と、前記第2の磁性体と前記第2の駆動部との間に作用する第2の吸引力とは、前記第2の室内における前記インペラの可動範囲の中央に前記インペラが位置するときに釣り合う、請求項1または2に記載の遠心式ポンプ装置。
  6. 前記ベクトル制御に使用するために前記インペラの回転角度を推定するための位相推定器をさらに備える、請求項1〜のいずれか1項に記載の遠心式ポンプ装置。
  7. 前記インペラに作用する流体力を、前記インペラの回転速度、流量、吐出圧力、および流体の物性値のうちの少なくとも1つ以上をパラメータとして使用して予め測定し記憶する記憶部と、
    前記記憶部が記憶する値に応じて前記第1の吸引力を制御する駆動制御部とをさらに備える、請求項に記載の遠心式ポンプ装置。
  8. 前記ベクトル制御に使用するために前記インペラの回転角度を検出するための回転検出器をさらに備える、請求項1〜のいずれか1項に記載の遠心式ポンプ装置。
  9. 前記回転検出器は、磁気センサであり、前記磁気センサによって前記インペラの浮上位置を検出する、請求項に記載の遠心式ポンプ装置。
  10. 前記インペラの外周側の側面に第3の動圧溝が形成された、請求項1〜のいずれか1項に記載の遠心式ポンプ装置。
  11. 前記第2の室の壁面であって、前記インペラの外周側の側面と対向する壁面に第3の動圧溝が形成された、請求項1〜のいずれか1項に記載の遠心式ポンプ装置。
  12. 前記遠心式ポンプ装置は、食品を循環させるために使用される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の遠心式ポンプ装置。
  13. 前記遠心式ポンプ装置は、医薬品を循環させるために使用される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の遠心式ポンプ装置。
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