JP6694317B2 - 積層体および成形体、ならびにそれらの製造方法 - Google Patents

積層体および成形体、ならびにそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、積層体および該積層体を有する成形体に関する。
(メタ)アクリル系樹脂は透明性等の光学特性および耐光性に優れ、美麗な外観を有していることから、従来より家電製品、電子部品、機械部品、自動車部品等、様々な物品の加飾用途に用いられてきた。しかしながら、(メタ)アクリル系樹脂は非常に脆いため、切断(トリミング)や被着体との貼り合わせ等、二次加工の際に割れることがあった。
(メタ)アクリル系樹脂の割れやすさを改善する方法として、各種材料をアロイまたはブレンドした(メタ)アクリル系樹脂組成物が提案されている。例えば特許文献1には、(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロックおよび共役ジエン重合体ブロックを含有するブロック共重合体ならびにメタクリル系樹脂を含有するメタクリル系樹脂組成物からなる基材と、アクリル系ブロック共重合体からなる粘接着層とを有する複層フィルムが記載され、ブロック共重合体の含有によりメタクリル系樹脂組成物からなる基材の靭性向上が開示されている。
また、基材および粘接着層を有する積層体を3次元形状の被着体に接着して成形体を得る方法として3次元表面加飾成形(以下、「TOM成形」と称する)が近年用いられているが、使用される積層体は延伸されて被着体に接着されるため、延伸前よりも粘接着力が低下することがある。
そこで、特許文献2には、100〜140℃において1×10〜1×10Paの貯蔵弾性率を有する基材および(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロックを含有する粘接着層を有する加飾シートが開示されており、TOM成形でアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)被着体に接着させた場合に該加飾シートが粘接着性に優れることが開示されている。
特開2012−213911号公報 特開2012−077177号公報
しかしながら、特許文献1に記載の複層フィルムは延伸成形された場合の粘接着力について検討されておらず、特許文献2に記載のアクリル樹脂基材を有する加飾シートは延伸成形後のトリミング作業時に割れが生じ取扱性および生産性に劣るという課題がある。また、これらのフィルムをポリカーボネート等の樹脂からなる被着体と貼り合わせて得られる成形体は、100℃以上の高温環境に置かれると粘接着力が低下するという課題があった。
本発明の目的は、粘接着性およびトリミング性に優れる積層体ならびに耐熱性に優れる成形体を提供することである。
本発明によれば、前記の目的は、
[1] ガラス転移温度が50℃以上である(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a1)5〜45質量%およびガラス転移温度が20℃以下である(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a2)55〜95質量%を含有する(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a)を含有する熱可塑性樹脂組成物(A)からなる接着層と、
メタクリル酸メチルに由来する構造単位を80質量%以上含有するメタクリル樹脂(b)およびゴム成分(c)を含有するメタクリル樹脂組成物(B)からなる基材を有する積層体、
[2] 前記ゴム成分(c)が、メタクリル酸エステル重合体ブロック(d1)10〜45質量%と、芳香族化合物に由来する置換基を有しないアクリル酸エステルに由来する構造単位50〜90質量%および芳香族化合物に由来する置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位10〜50質量%を含有するアクリル酸エステル重合体ブロック(d2)55〜90質量%を含有するブロック共重合体(d)である、[1]の積層体、
[3] 前記ゴム成分(c)が、メタクリル酸エステル80〜100質量%を含有する外層(e1)と、アクリル酸エステル70〜99.8質量%および架橋性単量体0.2〜30質量%を含有する内層(e2)を有する多層構造体(e)である、[1]の積層体、
[4] 前記熱可塑性樹脂組成物(A)および前記メタクリル樹脂組成物(B)を共押出しする、[1]〜[3]のいずれかの積層体の製造方法、
[5] [1]〜[3]のいずれかの積層体および被着体をチャンバーボックスに収容する工程;
前記チャンバーボックス内を減圧する工程;
前記積層体により前記チャンバーボックス内を二分する工程;および
前記被着体を有しない方のチャンバーボックス内の圧力を前記被着体を有する方のチャンバーボックス内の圧力よりも高くして前記被着体を前記積層体で被覆する工程;
を有する成形体の製造方法、
[6] 前記積層体を90〜150℃の範囲まで加熱して軟化させる工程をさらに有する、[5]の成形体の製造方法、
[7] 前記被着体がポリカーボネート樹脂、ABS樹脂またはABS/ポリカーボネート樹脂である、[5]または[6]に記載の成形体の製造方法、
[8] [1]〜[3]のいずれかに記載の積層体および被着体を有する成形体、
[9] [5]、[6]または[7]の方法で得られる[8]の成形体、
を提供することにより達成される。
本発明の積層体は粘接着性およびトリミング性に優れ、また本発明の積層体を有する成形体は耐熱性に優れる。
[熱可塑性樹脂組成物(A)]
熱可塑性樹脂組成物(A)は(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a)を1種以上含有する。熱可塑性樹脂組成物(A)における(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a)の含有量は、粘接着性および成形体の耐熱性の点から好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a)は、ガラス転移温度が50℃以上である(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a1)を1以上、ガラス転移温度が20℃以下である(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a2)を1以上有することが好ましい。このような(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a)を含有する熱可塑性樹脂組成物(A)からなる接着層は粘接着性に優れる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a1)に用いられる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステル;アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステルが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも接着層の成形性および粘接着性の点からメタクリル酸メチルがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a2)に用いられる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸2−メトキシエチル等のメタクリル酸エステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチル等のアクリル酸エステルが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、接着層の粘接着性の観点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチルが好ましい。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a1)および(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a2)の他に、他の重合体ブロックを有してもよい。他の重合体ブロックとしては、例えばメタクリル酸、アクリル酸、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチレン、プロピレン、イソブテン、ブタジエン、イソプレン、オクテン、酢酸ビニル、無水マレイン酸、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の単量体単位から構成される(共)重合体ブロックおよび/またはこれらの水素添加物;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサンからなる重合体ブロック等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a1)および(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a2)の結合形態は特に限定されないが、製造が容易である点、接着層の膠着性の点から、(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a1)−(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a2)−(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a1)のトリブロック共重合体が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a1)および(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a2)のガラス転移温度は、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a)を示差走査熱量計(DSC)により分析して得られる曲線において認められる、(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a1)および(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a2)の転移領域の外挿開始温度である。DSC測定で得られる曲線に基づけば、本発明で用いる(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a)では、(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a1)および(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a2)に由来する複数のガラス転移温度が認められる。(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a1)および(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a2)に由来するガラス転移温度は、それぞれの重合体ブロックと同様の化学構造(単量体組成、立体規則性等)を有する重合体のガラス転移温度と同一の温度または近い温度のため、これらのガラス転移温度がどの重合体ブロックに由来するものか容易に帰属できる。なお、(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a1)および(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a2)と同様の化学構造を有する重合体は、アクリル系ブロック共重合体(C)をH−NMRや13C−NMR等で分析し、(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a1)および(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a2)の単量体組成や立体規則性等の化学構造を求め、その化学構造が再現されるように適宜重合を行うことで製造できる。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a)の重量平均分子量は特に限定されないが、接着層の成形性の観点から、好ましくは10,000〜500,000の範囲であり、より好ましくは50,000〜200,000の範囲である。なお係る重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、「GPC」と称する)分析により標準ポリスチレンを検量線作成に用いた換算値として算出した値である。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a)は、接着層の膠着性および成形加工性の観点から、重量平均分子量/数平均分子量の値(以下、「分子量分布」と称する)が1.01〜2.20の範囲であることが好ましく、1.05〜1.50の範囲であることがより好ましい。分子量分布が前記範囲より大きい場合、接着層の膠着が増大する傾向となる。また、分子量分布が前記範囲より小さい場合は延伸成形性が悪化する傾向となる。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a)の製造方法は特に限定されず、例えば特開2012−213911号公報や特開平11−335432号公報に開示されているリビングアニオン重合が挙げられる。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a)は(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a1)5〜45質量%および(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a2)55〜95質量%を含有し、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a1)20〜30質量%および(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a2)70〜80質量%を含有する。(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a1)が5質量%より少ない場合には取扱性が低下する傾向となり、45質量%より多い場合は接着層の粘接着性が低下する傾向となる。
熱可塑性樹脂組成物(A)は、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a)以外の重合体や軟化剤、可塑剤、滑剤、粘着剤、粘着付与剤、加工助剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤、着色剤、染料、顔料、フィラー等の添加剤を含んでもよい。
接着層の厚さは好ましくは10〜300μmの範囲であり、より好ましくは25〜200μmの範囲である。300μmより厚いと柔軟性および成形加工性が低下する傾向となり、10μmより薄いと粘接着性が低下する傾向となる。
接着層の成形方法としては、例えば溶融押出成形法、溶融射出成形法、溶液キャスト法等が挙げられ、生産性の点から溶融押出成形法が好ましい。
[基材]
基材はメタクリル酸メチルに由来する構造単位を80質量%以上含有するメタクリル樹脂(b)およびゴム成分(c)を含有するメタクリル樹脂組成物(B)からなり、メタクリル樹脂(b)50〜95質量%およびゴム成分(c)5〜50質量%を含有するメタクリル樹脂組成物(B)からなることが好ましく、メタクリル樹脂(b)70〜90質量%およびゴム成分(c)10〜30質量%を含有するメタクリル樹脂組成物(B)からなることがより好ましい。メタクリル樹脂(b)はメタクリル酸メチルに由来する構造単位を80質量%以上、好ましくは90質量%以上含有する。
メタクリル樹脂(b)がメタクリル酸メチル以外に含有する単量体としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−へキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸テトラデシル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、アクリル酸シクロへキシル、アクリル酸ノルボルニル、アクリル酸イソボルニル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−へキシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸ノルボルニル、メタクリル酸イソボルニル等のメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−オクテン等のオレフィン;ブタジエン、イソプレン、ミルセン等の共役ジエン;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等が挙げられる。
メタクリル樹脂(b)の製造方法は特に限定されず、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば「パラペットH1000B」(MFR:22g/10分(230℃、37.3N))、「パラペットGF」(MFR:15g/10分(230℃、37.3N))、「パラペットEH」(MFR:1.3g/10分(230℃、37.3N))、「パラペットHRL」(MFR:2.0g/10分(230℃、37.3N))、「パラペットHRS」(MFR:2.4g/10分(230℃、37.3N))および「パラペットG」(MFR:8.0g/10分(230℃、37.3N))[いずれも商品名、株式会社クラレ製]等が挙げられる。
ゴム成分(c)は共役ジエン化合物に由来する構成単位からなる重合体ブロックを含まないブロック共重合体または多層構造体であることが好ましく、基材の耐光性、トリミング性、延伸成形性、耐衝撃性の点から、ブロック共重合体(d)または多層構造体(e)であることがより好ましい。共役ジエン化合物に由来する構成単位からなる重合体ブロックを含むブロック共重合体は耐光性に劣るため好ましくない。
ブロック共重合体(d)は、メタクリル酸エステル重合体ブロック(d1)と、芳香族化合物に由来する置換基を有しないアクリル酸エステルに由来する構造単位50〜90質量%および芳香族化合物に由来する置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位10〜50質量%を含有するアクリル酸エステル重合体ブロック(d2)を含有する。ブロック共重合体(d)におけるメタクリル酸エステル重合体ブロック(d1)の割合は、基材の延伸成形性の点から、好ましくは10〜45質量%の範囲であり、より好ましくは20〜30質量%の範囲である。また、ブロック共重合体(d)におけるアクリル酸エステル重合体ブロック(d2)の割合は、基材の柔軟性、延伸成形性、耐衝撃性の観点から、好ましくは55〜90質量%の範囲であり、より好ましくは70〜80質量%の範囲である。なお、ブロック共重合体(d)にメタクリル酸エステル重合体ブロック(d1)およびアクリル酸エステル重合体ブロック(d2)が複数含まれる場合、前記割合はすべてのメタクリル酸エステル重合体ブロック(d1)またはアクリル酸エステル重合体ブロック(d2)の合計質量に基づいて算出する。
メタクリル酸エステル重合体ブロック(d1)は、基材のトリミング性を向上させる点から、メタクリル酸エステルに由来する構造単位を好ましくは80質量%以上、より好ましくは98質量%以上含有する。
メタクリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリル等を挙げることができ、基材のトリミング性を向上させる点からメタクリル酸メチルが好ましい。
メタクリル酸エステル重合体ブロック(d1)は、例えばアクリル酸エステル、不飽和カルボン酸、芳香族ビニル化合物、オレフィン、共役ジエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のメタクリル酸エステル以外の単量体に由来する構造単位を含有してもよい。
アクリル酸エステル重合体ブロック(d2)は、基材のトリミング性の点から、芳香族化合物に由来する置換基を有しないアクリル酸エステルに由来する構造単位50〜90質量%および芳香族化合物に由来する置換基を含有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位10〜50質量%を含有することが好ましく、芳香族化合物に由来する置換基を有しないアクリル酸エステルに由来する構造単位60〜80質量%および芳香族化合物に由来する置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位20〜40質量%を含有することがより好ましい。
芳香族化合物に由来する置換基を有しないアクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル等が挙げられる。
芳香族化合物に由来する置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸スチリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸スチリル等が挙げられ、トリミング性の点から、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸ベンジルが好ましい。
ブロック共重合体(d)の製造方法は特に限定されず、各重合体ブロックを構成する単量体をリビング重合する方法等、公知の方法を採用できる。
多層構造体(e)は内層(e2)および外層(e1)の2層を有することが好ましく、内層(e2)および外層(e1)が、中心層から最外層方向へこの順に配されている層構造を少なくとも一つ有することがより好ましい。多層構造体(e)は内層(e2)の内側または外層(e1)の外側にさらに架橋性樹脂層(e3)を有してもよい。
内層(e2)は、アクリル酸アルキルエステル70〜99.8質量%、架橋性単量体0.2〜30質量%および他の単官能性単量体0〜29.8質量%からなる混合物を共重合してなる架橋弾性体から構成される層であることが好ましい。
係るアクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が2〜8の範囲である、例えばアクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸1−メチルヘプチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。トリミング性の点から、係るアクリル酸アルキルエステルは内層(e2)の架橋弾性体を形成させるために使用される全単量体混合物中70〜99.8質量%の割合で使用されることがより好ましい。
架橋性単量体は1分子内に重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有するものであればよく、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート等のグリコール類の不飽和カルボン酸ジエステル;アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリル等の不飽和カルボン酸のアルケニルエステル;フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の多塩基酸のポリアルケニルエステル;トリメチロールプロパントリアクリレート等の多価アルコールの不飽和カルボン酸エステル;ジビニルベンゼン等が挙げられ、不飽和カルボン酸のアルケニルエステルや多塩基酸のポリアルケニルエステルが好ましい。架橋性単量体の量は、基材の耐衝撃性および表面硬度を向上させる観点から、全単量体混合物中0.5〜10質量%の範囲で用いられることがより好ましい。
アクリル酸アルキルエステルと共重合する他の単官能性単量体は、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ミリスチル、メタクリル酸パルミチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン等が挙げられる。基材のトリミング性を向上させる観点から、他の単官能性単量体は内層(e2)の重合体を形成させるために使用される全単量体混合物中24.5質量%以下が好ましい。
外層(e1)は、基材のトリミング性の点から、メタクリル酸メチルを80質量%以上、より好ましくは85質量%以上含有する単量体混合物を重合してなる熱可塑性樹脂から構成されることが好ましい。また、係る単量体混合物は、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸;メタクリル酸等の他の単官能性単量体を好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下の範囲で含有してもよい。
多層構造体(e)を構成する内層(e2)および外層(e1)が多層構造体(e)に占める割合は、得られる基材のトリミング性の観点から、多層構造体(e)の質量(例えば2層からなる場合は内層(e2)および外層(e1)の総量)を基準として、内層(e2)が40〜70質量%の範囲であることが好ましく、外層(e1)が30〜60質量%の範囲であることが好ましい。
多層構造体(e)の製造方法は特に限定されないが、多層構造体(e)の層構造の制御の観点から、乳化重合により製造されることが好ましい。
メタクリル樹脂組成物(B)において、メタクリル樹脂(b)の割合は好ましくは50〜95質量%の範囲であり、より好ましくは70〜90質量%の範囲である。また、ゴム成分(c)の割合は好ましくは5〜50質量%の範囲であり、より好ましくは10〜30質量%の範囲である。メタクリル樹脂(b)およびゴム成分(c)の割合が係る範囲にあることで、メタクリル樹脂組成物(B)からなる基材はトリミング性に優れる。
メタクリル樹脂組成物(B)は各種の添加剤、例えば膠着防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、老化防止剤、可塑剤、熱安定剤、滑剤、加工助剤、帯電防止剤、酸化防止剤、着色剤、染料、顔料、耐衝撃助剤等を含有してもよい。
メタクリル樹脂組成物(B)は、各構成成分の分散性を高めるため、例えばニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー等の既知の混合または混練装置を用いて溶融混練することが好ましい。
また、メタクリル樹脂(b)を構成するメタクリル酸メチルの溶液にゴム成分(c)を溶解させ、係るメタクリル酸メチルを重合して、ゴム成分(c)を含むメタクリル樹脂組成物(B)を調製することもできる。
基材はTダイ法、インフレーション法、溶融流延法、カレンダー法等の公知の方法で製造できる。
基材の厚さは500μm以下であることが好ましく、50〜200μmの範囲であることがより好ましい。500μmより厚くなると取扱性およびトリミング性が低下する傾向となる。
基材は着色されていてもよい。着色法は特に限定されず、例えばメタクリル樹脂組成物(B)に着色剤を含有させる方法や、着色剤が分散した液中に基材を浸漬して着色させる染色法等が挙げられる。
基材の表面は、耐擦傷性の点から、厚さ75μmの基材をJIS−K5600に準じて測定した鉛筆硬度がBよりも硬いことが好ましく、Fよりも硬いことがより好ましい。
[積層体]
本発明の積層体は熱可塑性樹脂組成物(A)からなる接着層およびメタクリル樹脂組成物(B)からなる基材を各々少なくとも1層有する。取扱性の点から積層体の厚さは500μm以下であることが好ましい。
本発明の積層体は金属層および/または金属酸化物層を有してもよい。前記金属としては、例えばアルミニウム、珪素、マグネシウム、パラジウム、亜鉛、錫、ニッケル、銀、銅、金、インジウム、ステンレス鋼、クロム、チタン等を使用できる。また前記金属酸化物としては、例えば酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化カルシウム、酸化カドミウム、酸化銀、酸化金、酸化クロム、珪素酸化物、酸化コバルト、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化白金、酸化パラジウム、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化バリウム等を使用できる。これらの金属および金属酸化物は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。これらの金属層および/または金属酸化物層を設ける方法としては真空蒸着法が通常用いられるが、イオンプレーティング、スパッタリング、CVD(ChemicalVapor Deposition:化学気相堆積)等の方法を用いてもよい。
本発明の積層体は絵柄層を有してもよく、基材と接着層の間に絵柄層を有することが好ましい。絵柄層は、例えばグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷、昇華転写印刷、インクジェット印刷等の公知の印刷法により形成される。
積層体を製造する製法は、例えば熱可塑性樹脂組成物(A)からなるフィルムまたはシートと基材を加熱ロール間でラミネートする方法、プレスで熱圧着する方法、圧空成形または真空成形またはTOM成形すると同時に積層する方法、粘接着層を介在させてラミネートする方法(ウェットラミネーション);基材に対してTダイから溶融押出した熱可塑性樹脂組成物(A)をラミネートする方法;熱可塑性樹脂組成物(A)およびメタクリル樹脂組成物(B)を共押出しする方法等が挙げられる。これらの方法のうち、基材を別に成形する工程が不要である点から、熱可塑性樹脂組成物(A)およびメタクリル樹脂組成物(B)を共押出しする方法が好ましい。
本発明の積層体は、耐薬品性および耐擦傷性の観点から、基材の表層に硬化樹脂層を有することが好ましい。硬化樹脂層は硬化性樹脂を硬化したものである。硬化性樹脂は、例えばアクリル系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、シリコーンアクリレート系樹脂、エポキシ系樹脂、エステル系樹脂等を使用できる。
硬化樹脂層を形成する方法は、生産性の点から、印刷法またはコート法が好ましい。この場合、硬化性樹脂を溶剤に溶解または分散させて塗料を調製し、これを基材に塗布し、加熱乾燥を行うことで硬化樹脂層が形成される。
印刷法としては、例えばグラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等の公知の印刷方法が挙げられる。コート法としては、例えばフローコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、キスリバースコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ロッドコート法、ロールドクターコート法、エアナイフコート法、コンマロールコート法、リバースロールコート法、トランスファーロールコート法、キスロールコート法、カーテンコート法、ディッピングコート法等、公知の方法が挙げられる。
硬化性樹脂を溶解または分散させる溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジアセトンアルコール、2−メトキシエタノール(メチルセロソルブ)、2−エトキシエタノール(エチルセロソルブ)、2−ブトキシエタノール(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコール、アセトシアノヒドリン等のアルコール;キシレン、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素;クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;フェノール、クレゾール等のフェノール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等のケトン;ジエチルエーテル、メトキシトルエン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、1,1−ジメトキシメタン、1,1−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸;無水酢酸等の酸無水物;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸ブチル、ギ酸ブチル、1−アセトキシ−2−エトキシエタン、2−アセトキシ−1−メトキシプロパン等のエステル;エチルアミン、トルイジン、2−アミノエタノール、ジエタノールアミン、モルホリン等のアミン;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;チオフェン、ジメチルスルホキシド;水等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
[成形体]
本発明の成形体は本発明の積層体および被着体を有する。被着体を構成する材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、セラミックス、金属、木材および非木質繊維等が挙げられ、成形性の観点から熱可塑性樹脂が好ましい。
被着体を構成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ABS樹脂、ABS/ポリカーボネート樹脂等が挙げられ、成形性、耐衝撃性、耐熱性の点から、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂またはABS/ポリカーボネート樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。非木質繊維としては、例えばケナフ基材等が挙げられる。
被着体を構成するセラミックスは、非金属系の無機材料を意味し、例えば金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物等が挙げられる。具体的にはガラス、セメント類、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛系セラミックス、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、炭化ケイ素、窒化ケイ素、フェライト類等が挙げられる。
被着体を構成する金属は、例えば鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、クロム、亜鉛、およびそれらを成分とする合金が挙げられる。また、銅メッキ、ニッケルメッキ、クロムメッキ、錫メッキ、亜鉛メッキ、白金メッキ、金メッキ、銀メッキ等のメッキによって形成された金属の表面を持つ成形品であってもよい。
本発明の積層体は、実施例に後述する方法で110℃でTOM成形したときの剥離強度が好ましくは10N/25mm以上であり、より好ましくは20N/25mm以上であり、さらに好ましくは25N/25mm以上である。積層体がこのような性質を有することで、例えば炎天下の車内等、成形体が加熱された場合でも積層体と被着体の間に浮きや剥がれが生じ難くなる。
本発明の成形体は被着体の表面に本発明の積層体を有し、それによって表面硬度、表面光沢、耐熱性等に優れる。また、積層体が印刷層を有する場合は絵柄等が鮮明に表示され、積層体が金属層を有する場合は金属のような鏡面光沢が得られる。
積層体を被着体の表面に接着し本発明の成形体を得る方法としては、例えば射出成形法、真空成形法、圧空成形法、圧縮成形法、TOM成形等が挙げられ、中でも積層体の賦形性の観点からTOM成形が好ましい。
好ましい形態としてTOM成形で成形体を製造する方法を例示する。積層体をTOM成形するための真空成形装置は、例えば特開2002−067137号公報に記載の真空成形装置または特開2005−262502号公報に記載の被覆装置を好適に使用でき、該真空成形装置は積層体および被着体を設置して閉塞し減圧することが可能なチャンバーボックスを備える。
TOM成形により成形体を製造する方法は、積層体および被着体をチャンバーボックスに収容する工程;前記チャンバーボックス内を減圧する工程;前記積層体によって前記チャンバーボックス内を二分する工程;および前記被着体を有しない方のチャンバーボックス内の圧力を前記被着体を有する方のチャンバーボックス内の圧力よりも高くして前記被着体を前記積層体で被覆する工程;を有する。なお、積層体および被着体をチャンバーボックスに収容する工程において、積層体によってチャンバーボックス内を二分する工程を同時に実施してもよい。
チャンバーボックス内を減圧する工程において、チャンバーボックス内の圧力は0.1〜20kPaの範囲であることが好ましく、0.1〜10kPaの範囲であることがより好ましい。圧力が20kPaよりも高い場合、被着体を積層体で被覆する工程において正確に積層体を賦形することが困難となり、圧力が0.1kPa未満の場合、成形に要する時間が増加し、生産性が低下する傾向となる。
上述の成形体の製造方法は、前記積層体を加熱して軟化させる工程をさらに有することが好ましい。この工程において、積層体の温度は90〜150℃の範囲まで加熱することが好ましく、110〜140℃の範囲まで加熱することがより好ましい。積層体の温度が90℃未満の場合、十分に積層体が軟化せず成形不良となったり、成形体における積層体の粘接着力が低下する傾向となる。一方150℃を超える場合、積層体の過剰軟化や変質が生じ、成形体の品位が低下する傾向となる。なお、チャンバーボックス内を減圧する工程および積層体を加熱して軟化させる工程は同時に実施してもよい。
被着体を有しない方のチャンバーボックス内の圧力を被着体を有する方のチャンバーボックス内の圧力よりも高くして被着体を積層体で被覆する工程において、被着体を有しない方のチャンバーボックス内の圧力は50〜500kPaの範囲にすることが好ましく、100〜400kPaの範囲にすることがさらに好ましい。係る工程において被着体を有しない方のチャンバーボックス内の圧力が50kPa未満の場合、被着体を積層体で被覆する工程において積層体を正確に賦形することが困難となる。被着体を有しない方のチャンバーボックス内の圧力が500kPaよりも高い場合、成形体をチャンバーボックスから取り出す際に大気圧(約100kPa)とする時間が掛かり、生産性が低下する傾向となる。
被着体を有しない方のチャンバーボックス内の圧力を被着体を有する方のチャンバーボックス内の圧力よりも高くする方法としては、例えば被着体を有しない方のチャンバーボックスを大気圧に開放したり、被着体を有しない方のチャンバーボックスに圧縮空気を供給する方法等が挙げられる。圧縮空気を供給することにより、積層体をさらに正確に被着体の形に延伸成形することができる。
本発明の積層体および成形体は、積層体の優れた延伸成形性、トリミング性、粘接着性、耐熱性を活かして、意匠性の要求される成形体、特に加飾成形が求められる、例えば広告塔、スタンド看板、袖看板、欄間看板、屋上看板等の看板部品;ショーケース、仕切板、店舗ディスプレイ等のディスプレイ部品;蛍光灯カバー、ムード照明カバー、ランプシェード、光天井、光壁、シャンデリア等の照明部品;家具、ペンダント、ミラー等のインテリア部品;ドア、ドーム、安全窓ガラス、間仕切り、階段腰板、バルコニー腰板、レジャー用建築物の屋根等の建築用部品、自動車内外装部材、バンパー等の自動車外装部材等の輸送機関係部品;音響映像用銘板、ステレオカバー、自動販売機、携帯電話、パソコン等の電子機器部品;保育器、定規、文字盤、温室、大型水槽、箱水槽、浴室部材、時計パネル、バスタブ、サニタリー、デスクマット、遊技部品、玩具、楽器、壁紙;マーキングフィルム、各種家電製品等に好適に用いられる。
次に、本発明を実施例等によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらによってなんら限定されない。なお、本発明における各評価は、以下の方法で行った。
[数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)]
ゲルパーミエーションクロマトグラフ分析は、東ソー社製のTSKgel G2000HHR1本および東ソー社製のGMHHR−M2本を直列に連結したカラムを備えるゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー社製;HLC−8020)を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを1.0ml/分で流し、カラム温度を40℃に設定して行い、示差屈折率(RI)計で測定した。検量線は標準ポリスチレンを用いて作製した。
[単量体の重合転化率]
各単量体の重合転化率は、GL Sciences Inc.製のINERT CAP 1(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m)をカラムとして備えるガスクロマトグラフ(島津製作所製;GC−14A)を用い、injection温度180℃、detector温度180℃の条件で分析した。カラム温度は測定開始後5分間60℃で保持し、その後10℃/分で昇温し、200℃に到達後10分間保持した。
[(メタ)アクリル酸エステルブロックの構成割合]
各重合体ブロックの構成割合は、試料を重水素化クロロホルムに溶解させ、核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製;JNM−LA400)を用いてH−NMR(H−核磁気共鳴)測定によって求めた。
[ガラス転移温度(Tg)]
ガラス転移温度(Tg)は、DSC測定装置(メトラー社製;DSC−822)を用いて昇温速度10℃/分の条件でDSC測定して得られた曲線における外挿開始温度とした。
[剥離強度]
後述の方法で作製した成形体の被着体側をステンレス鋼材(SUS)板に強粘着テープ(日東電工社製;ハイパージョイントH9004)で固定して、接着層と被着体の間の剥離強度を、卓上精密万能試験機(島津製作所社製AGS−X)を使用しJIS K 6854−1に準じて剥離角度90°、引張速度300mm/分、環境温度23℃の条件で測定し、成形体における積層体の粘接着性を評価した。
[トリミング性]
後述の方法で作製した成形体をはさみで切断し、切断方向に対して20〜170°の方向における、切断部分からの割れの伝播を目視で確認した。
○:割れが切断部分から伝播していない。
△:割れが切断部分から3mm未満伝播している。
×:割れが切断部分から3mm以上伝播している。
[耐熱性]
後述の方法で作製した成形体を、3漕式恒温槽(三田産業株式会社製;DE−303)を用いて100℃で48時間放置した後、成形体の外観を目視で観察した。
○:積層体と被着体の間に浮きや剥がれが見られない。
×:積層体と被着体の間に浮きや剥がれが見られる。
《合成例1》(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a−1)
内部を脱気し窒素置換した反応器に25℃にて乾燥トルエン1040質量部、1,2−ジメトキシエタン52.0質量部、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム40.2mmolを含有するトルエン溶液60.0質量部、sec−ブチルリチウム2.98mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液5.17質量部、メタクリル酸メチル25.0質量部をこの順に加え、25℃で1時間反応させた。このとき、メタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。次に反応液を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル204.0質量部を2時間かけて滴下し、滴下終了後−30℃にて5分間撹拌した。このときのアクリル酸n−ブチルの重合転化率は99.9%以上であった。続いてこの反応液にメタクリル酸メチル35.0質量部を加え、一晩25℃にて撹拌後、メタノール3.50gを添加して重合反応を停止させた。このときのメタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を大量のメタノールに注ぎ、濾物を80℃かつ1torr(約133Pa)の条件で12時間乾燥させて(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a−1)のペレットを得た。
H−NMR測定およびGPC測定を行った結果、得られた(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a−1)はポリメタクリル酸メチル−ポリアクリル酸n−ブチル−ポリメタクリル酸メチルからなるトリブロック共重合体であり、二つのメタクリル酸メチル重合体ブロックの質量は等しく、メタクリル酸メチル重合体ブロック22.5質量%およびアクリル酸n−ブチル重合体ブロック77.5質量%を有していた。また、重量平均分子量(Mw)は115,000、数平均分子量(Mn)は104,500、分子量分布(Mw/Mn)は1.10であり、メタクリル酸メチル重合体ブロックのTgは110℃、アクリル酸n−ブチル重合体ブロックのTgは−47℃であった。
《合成例2》(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a−2)
メタクリル酸メチルおよびアクリル酸n−ブチルの量を変更し、合成例1と同様の操作を行い、ポリメタクリル酸メチル−ポリアクリル酸n−ブチル−ポリメタクリル酸メチルからなるトリブロック共重合体であり、メタクリル酸メチル重合体ブロック23.7質量%およびアクリル酸n−ブチル重合体ブロック76.3質量%を有し、Mwが81,000、Mnが73,000、Mw/Mnが1.11である(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a−2)のペレットを得た。
《合成例3》(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a−3)
メタクリル酸メチルおよびアクリル酸n−ブチルの量を変更し、合成例1と同様の操作を行い、ポリメタクリル酸メチル−ポリアクリル酸n−ブチル−ポリメタクリル酸メチルからなるトリブロック共重合体であり、メタクリル酸メチル重合体ブロック50質量%およびアクリル酸n−ブチル重合体ブロック50質量%を有し、Mwが70,000、Mnが63,000、Mw/Mnが1.11である(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a−3)のペレットを得た。
《合成例4》ゴム成分(c−1)
内部を脱気し窒素置換した反応器に25℃にて乾燥トルエン776質量部、1,2−ジメトキシエタン46.0質量部、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム8.8mmolを含有するトルエン溶液19.6質量部、sec−ブチルリチウム1.8mmol、メタクリル酸メチル45.3mlをこの順に加え、25℃で1時間反応させた。反応液の温度を−15℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル53.9mlおよびアクリル酸ベンジル11.3質量部の混合液を1時間かけて滴下した。続いてメタクリル酸メチル18.8質量部を加えて反応液を25℃に昇温し、5時間攪拌した。この反応液を大量のメタノールに注ぎ、濾物を80℃かつ1torr(約133Pa)の条件で12時間乾燥させてゴム成分(c−1)を得た。
《合成例5》ゴム成分(c−2)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、単量体導入管および還流冷却器を備えた反応器に、イオン交換水1050質量部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.5質量部および炭酸ナトリウム0.7質量部を仕込み、容器内を窒素ガスで十分に置換した後、内温を80℃に設定した。同反応器に過硫酸カリウム0.25質量部を投入して5分間攪拌した後、メタクリル酸メチル:アクリル酸メチル:メタクリル酸アリル=94:5.8:0.2(質量比)からなる単量体混合物245質量部を50分かけて連続的に滴下し、滴下終了後、さらに30分間重合反応を行った。
次いで同反応器にペルオキソ2硫酸カリウム0.32質量部を投入して5分間攪拌した後、アクリル酸n−ブチル80.6質量%、スチレン17.4質量%およびメタクリル酸アリル2質量%からなる単量体混合物315質量部を60分間かけて連続的に滴下し、滴下終了後、さらに30分間重合反応を行った。
続いて同反応器にペルオキソ2硫酸カリウム0.14質量部を投入して5分間攪拌した後、メタクリル酸メチル:アクリル酸メチル=94:6(質量比)からなる単量体混合物140質量部を30分間かけて連続的に滴下し、滴下終了後、さらに60分間重合反応を行って、ゴム成分(c−2)を得た。
《製造例1》メタクリル樹脂組成物(B−1)
メタクリル樹脂(b−1)(クラレ社製;パラペットHRS)80質量部および合成例4で得たゴム成分(c−1)20質量部を二軸押出機(東芝機械社製;TEM−28、以下の製造例において全て同様)を用いて230℃で溶融混練した後、ストランド状に押出して切断し、メタクリル樹脂組成物(B−1)のペレットを製造した。
《製造例2》メタクリル樹脂組成物(B−2)
メタクリル樹脂(b−2)(クラレ社製;パラペットEH)88質量部および合成例5で得たゴム成分(c−2)12質量部を二軸押出機を用いて230℃で溶融混練した後、ストランド状に押出して切断し、メタクリル樹脂組成物(B−2)のペレットを製造した。
《製造例3》メタクリル樹脂組成物(B−3)
メタクリル樹脂(b−2)72質量部およびゴム成分(c−2)28質量部を二軸押出機を用いて230℃で溶融混練した後、ストランド状に押出して切断し、メタクリル樹脂組成物(B−3)のペレットを製造した。
[実施例1]
合成例1で得た(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a−1)のペレットおよび製造例1で得たメタクリル樹脂組成物(B−1)のペレットをそれぞれL/Dが32のスクリューを有する単軸押出機(G.M.ENGINEERING社製;VGM25−28EX)のホッパーに投入し、押出温度を240℃に設定したマルチマニホールドダイを用いた共押出法により、2層からなる幅30cm、厚さ230μmの積層体を得た。積層体の各層の厚さは押出流量により制御し、接着層の厚さを80μm、基材の厚さを150μmとした。得られた積層体の評価結果を表1に示す。
続いて得られた多層フィルムを用いて成形体を製造した。すなわち、チャンバーボックス(C1)とチャンバーボックス(C2)を閉めることでチャンバーボックス(C)を形成する成形機(布施真空株式会社製;NGF−0406−T)を使用してTOM成形を行った。係る成形機のチャンバーボックス(C2)に、凹型の金型(縦250mm×横160mm×深さ25mm)、ポリカーボネート樹脂(旭硝子社製;カーボグラスCGPC20)からなるシート状の被着体(幅25mm×長さ150mm×厚さ0.3mm)および得られた積層体を入れ、金型内の底部に被着体を設置し、積層体の接着層が金型および被着体に面するよう積層体を配し、積層体がチャンバーボックス(C)を二分するようにチャンバーボックス(C1)およびチャンバーボックス(C2)で積層体を挟みチャンバーボックス(C1)およびチャンバーボックス(C2)を閉めてチャンバーボックス(C)を形成した。その後、90秒間でチャンバーボックス(C)内を0.5kPaに減圧した。このとき、減圧度の非平衡および積層体の自重によって積層体がたわむため、チャンバーボックス(C1)およびチャンバーボックス(C2)内の圧力を適宜調整して積層体を平行に保った。減圧と並行して赤外線加熱装置により積層体を加熱し、積層体の温度が110℃に到達したとき速やかにチャンバーボックス(C1)内を大気圧に戻すことで被着体を積層体で被覆し、積層体が被着体に延伸接着された成形体を成形した。なお、積層体の温度は放射温度計で測定した。その後、チャンバーボックス(C)を開放し、金型および成形体をチャンバーボックス(C2)から取り出した。得られた成形体の評価結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、ポリカーボネート樹脂からなる被着体の代わりにABS樹脂(住友ベークライト社製;タフエースEAR802)からなる被着体(幅25mm×長さ150mm×厚さ0.3mm)を用いた以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
[実施例3]
実施例2において、積層体の加熱温度を110℃から100℃に変更した以外は実施例2と同様にして成形体を得た。
[実施例4]
実施例2において、積層体の加熱温度を110℃から130℃に変更した以外は実施例2と同様にして成形体を得た。
[実施例5]
実施例1において、ポリカーボネート樹脂からなる被着体の代わりにABS/ポリカーボネート樹脂(日本A&L社製;H−270)からなる被着体(幅25mm×長さ150mm×厚さ0.3mm)を用いた以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
[実施例6]
実施例1において、メタクリル樹脂組成物(B−1)の代わりに製造例2で得たメタクリル樹脂組成物(B−2)を用いた以外は実施例1と同様にして積層体および成形体を得た。
[実施例7]
実施例1において、メタクリル樹脂組成物(B−1)の代わりに製造例3で得たメタクリル樹脂組成物(B−3)を用いた以外は実施例1と同様にして積層体および成形体を得た。
[実施例8]
合成例1で得た(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a−1)のペレット、製造例3で得たメタクリル樹脂組成物(B−3)のペレットおよび製造例1で得たメタクリル樹脂組成物(B−1)のペレットをそれぞれL/Dが32のスクリューを有する単軸押出機(G.M.ENGINEERING社製;VGM25−28EX)のホッパーに投入し、押出温度を240℃に設定したマルチマニホールドダイを用いて共押出法により3層からなる幅30cm、厚さ305μmの積層体を得た。積層体の各層の厚さは押出流量により制御し、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a−1)からなる接着層の厚さを80μm、メタクリル樹脂組成物(B−3)からなる基材の厚さを150μm、メタクリル樹脂組成物(B−1)からなる基材の厚さを75μmとし、この順で積層した。また、得られた積層体を用いて実施例1と同様にして成形体を得た。
[実施例9]
実施例1において、接着層の厚さを80μmから30μmに変更した以外は実施例1と同様にして積層体および成形体を得た。
[実施例10]
実施例1において、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a−1)の代わりに合成例2で得た(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a−2)を用いた以外は実施例1と同様にして積層体および成形体を得た。
[比較例1]
実施例1において、メタクリル樹脂組成物(B−1)の代わりにメタクリル樹脂(b−2)を用いた以外は実施例1と同様にして積層体および成形体を得た。
[比較例2]
実施例1において、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a−1)の代わりに合成例3で得た(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a−3)を用いた以外は実施例1と同様にして積層体および成形体を得た。
[比較例3]
実施例5において、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a−1)の代わりにアルキルアクリレートに由来する構造単位を有するランダム共重合体で構成される熱可塑性樹脂組成物(A’−1)(日栄化工社製;MHM−FWD50)を用い、接着層の厚さを80μmから50μmに変更した以外は実施例5と同様にして積層体および成形体を得た。
[参考例1]
実施例1において、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a−1)およびメタクリル樹脂組成物(B−1)からなる積層体の代わりに、厚さ30μmのアクリル系樹脂(A’−2)からなる接着層および厚さ90μmのポリ塩化ビニル系樹脂(B’−1)からなる基材を有する3Mラップフィルムシリーズ1080(3M社製;1080−G54)を用いた以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
Figure 0006694317

表1より、本発明の積層体は延伸成形後も粘接着性およびトリミング性に優れることが分かる。また、比較例3から、ポリカーボネート樹脂からなる被着体を用いた場合、剥離強度が十分大きくても成形体を加熱すると被着体と接着層の間に浮きや剥がれが生じることがあるが、実施例1〜8に係る本発明の積層体を有する成形体は加熱しても浮きや剥がれを生じず、耐熱性に優れることが分かる。
以上の結果から、本発明の積層体は粘接着性およびトリミング性に優れ、また本発明の積層体を有する成形体は耐熱性に優れるため、本発明の積層体は意匠性に優れる加飾成形品の製造に好適に使用できる。

Claims (9)

  1. ガラス転移温度が50℃以上である(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a1)5〜45質量%およびガラス転移温度が20℃以下である(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a2)55〜95質量%を含有する(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a)を含有する熱可塑性樹脂組成物(A)からなる接着層と、
    メタクリル酸メチルに由来する構造単位を80質量%以上含有するメタクリル樹脂(b)およびメタクリル酸エステル重合体ブロック(d1)10〜45質量%と、芳香族化合物に由来する置換基を有しないアクリル酸エステルに由来する構造単位50〜90質量%および芳香族化合物に由来する置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位10〜50質量%を含有するアクリル酸エステル重合体ブロック(d2)55〜90質量%を含有するブロック共重合体(d)であるゴム成分(c)を含有するメタクリル樹脂組成物(B)からなる基材を有する積層体。
  2. ガラス転移温度が50℃以上である(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a1)5〜45質量%およびガラス転移温度が20℃以下である(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロック(a2)55〜95質量%を含有する(メタ)アクリル系ブロック共重合体(a)を含有する熱可塑性樹脂組成物(A)からなる接着層と、
    メタクリル酸メチルに由来する構造単位を80質量%以上含有するメタクリル樹脂(b)およびメタクリル酸メチル80〜100質量%を含有する外層(e1)と、アクリル酸アルキルエステル70〜99.8質量および架橋性単量体0.2〜30質量%を含有する内層(e2)を有する多層構造体(e)であるゴム成分(c)を含有するメタクリル樹脂組成物(B)からなる基材を有する積層体。
  3. 前記多層構造体(e)の質量を基準として、多層構造重合体(e)の内層(e2)が40〜70質量%、多層構造重合体(e)の外層(e1)が30〜60質量%である、請求項に記載の積層体。
  4. 前記熱可塑性樹脂組成物(A)および前記メタクリル樹脂組成物(B)を共押出しする、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の積層体および被着体をチャンバーボックスに収容する工程;
    前記チャンバーボックス内を減圧する工程;
    前記積層体により前記チャンバーボックス内を二分する工程;および
    前記被着体を有しない方のチャンバーボックス内の圧力を、前記被着体を有する方のチャンバーボックス内の圧力よりも高くして、前記被着体を前記積層体で被覆する工程;
    を有する成形体の製造方法。
  6. 前記積層体を90〜150℃まで加熱して軟化させる工程をさらに有する、請求項5に記載の成形体の製造方法。
  7. 前記被着体がポリカーボネート樹脂、ABS樹脂またはABS/ポリカーボネート樹脂である、請求項5または6に記載の成形体の製造方法。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載の積層体および被着体を有する成形体。
  9. 請求項5、6または7の方法で得られる請求項8に記載の成形体。
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