以下、本発明による経路教示装置、及び移動体について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態による経路教示装置は、移動体を用いないで、実際の移動経路上において経路の教示を行うものである。
図1は、本実施の形態による経路教示装置1、及び移動体2を示す模式図であり、図2は、経路教示装置1の構成を示すブロック図であり、図3は、移動体2の構成を示すブロック図である。
経路教示装置1は、移動体2の経路を教示するものであって、ユーザが移動可能なものであり、通常、持ち運ぶことができるものであることが好適である。経路教示装置1は、例えば、携帯可能な情報処理端末(例えば、携帯電話や、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等)であってもよく、または、経路の教示に用いられる専用の装置であってもよい。後者の場合には、経路教示装置1は、例えば、移動用の車輪等を有するものであってもよい。ただし、経路教示装置1は、通常、移動体2としては使用できないものである。本実施の形態では、経路教示装置1がタブレット端末である場合について主に説明する。経路教示装置1は、現在位置取得部11と、受付部12と、蓄積部13と、記憶部14と、出力部15とを備える。
現在位置取得部11は、経路教示装置1の現在位置を取得する。その現在位置を取得する方法は問わない。その現在位置の取得は、例えば、無線通信を用いて行われてもよく、周囲の障害物までの距離を測定することによって行われてもよく、周囲の画像を撮影することによって行われてもよく、現在位置を取得できるその他の手段を用いてなされてもよい。無線通信を用いて現在位置を取得する方法としては、例えば、GPS(Global Positioning System)を用いる方法や、屋内GPSを用いる方法、最寄りの無線基地局を用いる方法などが知られている。また、周囲の障害物までの距離を測定することによって現在位置を取得する方法としては、例えば、周囲の複数方向の障害物までの距離を測定するレーザーレンジセンサ(レーザーレンジスキャナ)を用いる方法などが知られている。その周囲の障害物までの距離を測定したり、周囲の画像を撮影したりすることによって現在位置を取得する方法としては、例えば、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)のように、現在位置の推定と地図作成とを同時に行う方法を用いてもよい。また、あらかじめ作成された地図(例えば、周囲の障害物までの距離の測定結果や撮影画像を有する地図など)が記憶されている場合には、現在位置取得部11は、周囲の障害物までの距離を測定し、地図を用いることによって、その測定結果に対応する位置を特定することによって現在位置を取得してもよく、周囲の画像を撮影し、地図を用いることによって、その撮影結果に対応する位置を特定することによって現在位置を取得してもよい。また、経路教示装置1が車輪を有する場合には、現在位置取得部11は、例えば、自律航法装置を用いて現在位置を取得してもよい。現在位置取得部11が取得する現在位置は、例えば、緯度と経度を示す座標であってもよく、その他の座標であってもよい。また、現在位置取得部11は、経路教示装置1の向き(方向)を含む現在位置を取得してもよい。その方向は、例えば、北を0度として、時計回りに測定された方位角によって示されてもよく、その他の方向を示す情報によって示されてもよい。現在位置取得部11は、経路教示装置1の向きを取得するために、電子コンパスや地磁気センサを備えていてもよい。現在位置取得部11が取得した現在位置は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。また、現在位置取得部11は、例えば、GPS機器や、レーザーレンジセンサ等を有していてもよく、あるいは、GPS等から現在位置を受け取るものであってもよい。
受付部12は、教示位置の蓄積を指示する教示指示を受け付ける。後述するように、その教示指示に応じて、教示位置の蓄積が行われることになる。また、受付部12は、教示位置に対応する移動体2の部位を示す部位情報をも受け付けてもよい。また、受付部12は、教示位置に対応する移動体2の方向を示す方向情報をも受け付けてもよい。
部位情報は、例えば、移動体2の外周の部位(例えば、前部中央、前部右端、前部左端、中央部右端、中央部左端、後部中央、後部右端、後部左端など)を識別する情報であってもよく、外周以外の部位(例えば、中央部など)を識別する情報であってもよく、または、移動体2における部位を移動体2のローカル座標系によって示す情報であってもよい。受付部12は、例えば、操作者が手入力した部位情報を受け付けてもよい。その部位情報の入力は、例えば、複数の部位情報からの選択によって行われてもよい。その部位情報の受け付けは、教示指示の受け付けと同時に行われてもよく、そうでなくてもよい。両者の受け付けが同時に行われる場合には、部位情報の示す部位が、その部位情報と同時に受け付けられた教示指示によって蓄積が指示された教示位置に対応する移動体2の部位となる。また、部位情報と教示指示とが別のタイミングで受け付けられる場合には、両者の対応が分かるようになっていることが好適である。また、その場合に、部位情報と教示指示とは、一対一の対応であってもよく、または、一対多の対応であってもよい。後者の場合には、例えば、部位情報Aが受け付けられた後に受け付けられた教示指示に対応する教示位置は、部位情報Aに対応する教示位置となり、その後に新たな部位情報Bが受け付けられると、それ以降に受け付けられた教示指示に対応する教示位置は、部位情報Bに対応する教示位置となってもよい。
方向情報は、実空間における移動体2の向きを示すものであり、例えば、北を基準(すなわち、0度)とする、時計回りの方位角を示す情報であってもよく、方向を示すその他の情報であってもよい。受付部12は、例えば、操作者が手入力した方向情報を受け付けてもよく、または、経路教示装置1の方向を電子コンパスや地磁気センサ等の方向測定手段を用いて測定することによって方向情報を受け付けてもよい。その方向測定手段は、例えば、現在位置取得部11が有するものであってもよい。その方向情報の受け付けは、方向測定手段等を用いた方向情報の取得であってもよい。その方向情報の受け付けは、教示指示の受け付けと同時に行われてもよく、そうでなくてもよい。両者の受け付けが同時に行われる場合には、方向情報の示す方向が、その方向情報と同時に受け付けられた教示指示によって蓄積が指示された教示位置に対応する移動体2の方向となる。また、方向情報と教示指示とが別のタイミングで受け付けられる場合には、両者の対応が分かるようになっていることが好適である。また、その場合に、方向情報と教示指示とは、一対一の対応であってもよく、または、一対多の対応であってもよい。後者の場合には、例えば、方向情報Aが受け付けられた後に受け付けられた教示指示に対応する教示位置は、方向情報Aに対応する教示位置となり、その後に新たな方向情報Bが受け付けられると、それ以降に受け付けられた教示指示に対応する教示位置は、方向情報Bに対応する教示位置となってもよい。
部位情報や方向情報をも用いるメリットについて簡単に説明する。例えば、ある程度の大きさのある移動体2であれば、中心の部位を教示したのか、端の部位を教示したのかに応じて、教示された経路に応じた移動を行っても、壁や障害物に衝突したりしなかったりすることが生じうる。特に、移動経路に狭い通路が存在し、例えば、壁にピッタリと沿った状態で移動体2を移動させたい場合などには、そのことが顕著となる。また、移動体2をステーションなどにピッタリと沿わせて停止させたい場合などもある。そのような場合に、部位情報や方向情報を用いることによって、より細かい制御が可能となりうる。また、監視ロボットなどのように、移動の途中に特定の方向に向くように設定したい場合には、方向情報を用いることによって、そのような設定が可能となる。
また、受付部12は、経路情報に対応する名称をも受け付けてもよい。その名称は、移動体2の操作者が、経路情報を選択する際に、経路情報がどの経路に対応しているのかを容易に把握できるようにするために用いられるものである。したがって、その名称は、例えば、経路の目的地を示す名称(例えば、組立位置、検査位置など)であってもよく、経路に対応する搬送対象を示す名称(例えば、ABC部品など)であってもよく、経路を特定可能なその他の名称であってもよい。また、受付部12は、経路の教示の一連の操作が終了した旨を受け付けてもよく、その他の入力を受け付けてもよい。
受付部12は、例えば、入力デバイス(例えば、タッチパネルやスイッチ、ボタンなど)から入力された指示等を受け付けてもよく、有線または無線の通信回線を介して送信された指示等を受信してもよい。なお、受付部12は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、入力デバイスや通信デバイスなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、受付部12は、ハードウェアによって実現されてもよく、または所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
蓄積部13は、現在位置取得部11によって取得された現在位置を教示位置として記憶部14に蓄積する。その蓄積のタイミングは、教示指示によって示されることになる。すなわち、蓄積部13は、受付部12によって教示指示が受け付けられた際に教示位置を記憶部14に蓄積する。また、蓄積部13は、受付部12によって受け付けられた部位情報と、教示位置とを対応付けて記憶部14に蓄積してもよい。また、蓄積部13は、受付部12によって受け付けられた方向情報と、教示位置とを対応付けて記憶部14に蓄積してもよい。なお、部位情報と教示位置とが対応付けられて蓄積されるとは、記憶部14において、両者の対応関係が分かればよいことを意味している。したがって、記憶部14において、例えば、部位情報と教示位置とを組として含む情報が記憶されてもよく、部位情報と教示位置とをリンク付ける情報が記憶されてもよい。方向情報と教示位置についても同様である。また、蓄積部13は、受付部12で受け付けられた名称をも記憶部14に蓄積してもよい。なお、SLAMによって現在位置の取得が行われた場合には、作成された地図の情報も蓄積されることが好適である。
記憶部14には、前述のように、蓄積部13によって、教示位置や部位情報、方向情報等が記憶される。なお、後述するように、その教示位置等によって経路情報が構成されてもよく、その教示位置等を用いて経路情報が生成されてもよい。記憶部14での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、または、長期的な記憶でもよい。記憶部14は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。
出力部15は、蓄積部13によって蓄積された教示位置に応じた経路情報を出力する。教示位置に応じた経路情報とは、教示位置を含む経路情報であってもよく、または、教示位置を補間して生成された経路を示す経路情報であってもよい。ここでは、主に前者の場合について説明し、後者の場合については、図9を用いて後述する。蓄積部13によって部位情報の蓄積が行われた場合には、経路情報は、部位情報に応じたものであってもよい。部位情報に応じた経路情報とは、部位情報を含む経路情報であってもよく、または、部位情報を用いて生成された経路を示す経路情報であってもよい。ここでは、主に前者の場合について説明し、後者の場合については、図9を用いて後述する。また、蓄積部13によって方向情報の蓄積が行われた場合には、経路情報は、方向情報を含んでもよい。また、受付部12によって名称が受け付けられた場合には、出力部15は、受付部12によって受け付けられた名称と経路情報とを対応付けて出力してもよい。経路情報に対応付けられて出力される名称は、その経路情報に対応する名称である。また、出力部15が出力する経路情報には、経路情報に対応する教示時点が含まれてもよい。その教示時点は、経路情報に対応する教示の行われた時点を示すものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、その教示時点は、経路情報の最初の教示位置に対応する時点から、最後の教示位置に対応する時点までのいずれかの時点を示すものであってもよく、実質的に両時点間の時点であるとみなすことができる時点であってもよい。具体的には、教示時点は、経路情報の最初の教示の行われた時点であってもよく、経路情報の最後の教示の行われた時点であってもよい。それらの教示時点は、例えば、経路情報の最初の教示位置や最後の教示位置を蓄積する際に、蓄積部13によって記憶部14に蓄積されてもよい。その場合に、教示時点は、例えば、受付部12によって受け付けられたものであってもよく、蓄積部13によって、図示しないカレンダー部や時計部から取得されたものであってもよい。また、最後の教示位置が蓄積された直後に経路情報が出力される場合には、出力部15が、その出力時点である教示時点を取得し、その教示時点を経路情報に含めて出力してもよい。その場合にも、その教示時点は、実質的に教示の行われた時点と大きく変わらないからである。また、教示時点は、例えば、年月日を示すものであってもよく、さらに時刻をも含むものであってもよい。そのことは、他の時点についても同様であるとする。本実施の形態では、経路情報に教示時点が含まれる場合について主に説明する。また、SLAMによって現在位置の取得が行われた場合には、作成された地図の情報も経路情報と一緒に出力されることが好適である。また、出力部15から出力された経路情報は、1個の移動体2によって用いられてもよく、2個以上の移動体2によって用いられてもよい。
ここで、出力対象の経路情報が最終的に移動体2で受け付けられるのであれば、出力部15は、どのような出力を行ってもよい。この出力は、例えば、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。具体的には、出力部15は、経路情報を移動体2に無線送信してもよく、有線送信してもよく、所定の記録媒体(例えば、USBメモリやRFID等)を介して経路情報を移動体2に受け渡してもよい。また、出力部15から出力された経路情報は、一度、所定のサーバ等において集められ、そのサーバから、各移動体2に渡されてもよい。なお、出力部15は、出力を行うデバイス(例えば、通信デバイス等)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、出力部15は、ハードウェアによって実現されてもよく、または、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
移動体2は、経路教示装置1から出力された経路情報を用いて移動するものであり、通常、ユーザによる操作がなくても自律的に経路情報に応じた経路を移動するものである。移動体2は、例えば、走行する走行体であってもよく、または、飛行する飛行体であってもよい。また、移動体2は、例えば、台車であってもよく、ロボットであってもよい。ロボットは、例えば、エンターテインメントロボットであってもよく、監視ロボットであってもよく、搬送ロボットであってもよく、清掃ロボットであってもよく、その他のロボットであってもよい。また、飛行体は、例えば、回転翼機であってもよく、飛行機であってもよく、飛行船であってもよく、その他の飛行体であってもよい。任意の位置に移動可能であるという観点からは、飛行体は、回転翼機であることが好適である。回転翼機は、例えば、ヘリコプターであってもよく、3個以上の回転翼(ロータ)を有するマルチコプターであってもよい。マルチコプターは、例えば、4個の回転翼を有するクワッドロータであってもよく、その他の個数の回転翼を有するものであってもよい。本実施の形態では、移動体2が搬送台車である場合について主に説明する。移動体2は、経路情報受付部21と、経路情報蓄積部22と、記憶部23と、指示受付部24と、出力部25と、移動機構26と、制御部27と、警告出力部28とを備える。
経路情報受付部21は、経路教示装置1から出力された経路情報を受け付ける。経路情報受付部21は、経路情報と共に、その経路情報に対応する名称をも受け付けてもよい。また、経路教示装置1においてSLAMによって現在位置の取得が行われた場合には、作成された地図の情報も受け付けられることが好適である。経路情報受付部21は、例えば、有線または無線の通信回線を介して送信された経路情報等を受信してもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリ、RFIDなど)から読み出された経路情報等を受け付けてもよい。なお、経路情報受付部21は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、通信デバイスなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、経路情報受付部21は、ハードウェアによって実現されてもよく、または所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
経路情報蓄積部22は、経路情報受付部21によって受け付けられた経路情報を記憶部23に蓄積する。経路情報受付部21が経路情報と共に名称をも受け付けた場合には、経路情報蓄積部22は、その経路情報と名称とを対応付けて記憶部23に蓄積してもよい。なお、経路情報と名称とが対応付けられて蓄積されるとは、記憶部23において、両者の対応関係が分かればよいことを意味している。また、SLAMによって作成された地図の情報も受け付けられた場合には、経路情報蓄積部22は、その地図の情報も記憶部23に蓄積することが好適である。
記憶部23では、経路情報や名称が記憶される。記憶部23では、1個の経路情報が記憶されてもよく、2個以上の経路情報が記憶されてもよい。記憶部23での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、または、長期的な記憶でもよい。記憶部23は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。
指示受付部24は、経路情報に応じた移動の指示を受け付ける。その指示は、経路情報に応じて移動するようにとの指示である。その指示が受け付けられることによって、移動体2は、経路情報に応じた移動を開始することになる。その指示の受け付けの際に、移動で用いられる経路情報が、複数の経路情報から選択されてもよい。その選択が行われる場合には、例えば、指示受付部24において、経路情報の一覧を出力する旨の指示が受け付けられ、その指示に応じて出力された経路情報の名称の一覧から、所望の名称が選択されることによって、その名称に対応する経路情報に応じた移動の指示が受け付けられてもよい。すなわち、経路情報の名称の選択が、その名称に対応する経路情報に応じた移動の指示であってもよい。
指示受付部24は、例えば、入力デバイス(例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなど)から入力された情報を受け付けてもよく、有線または無線の通信回線を介して送信された情報を受信してもよい。なお、指示受付部24は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、入力デバイスや通信デバイスなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、指示受付部24は、ハードウェアによって実現されてもよく、または所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
出力部25は、指示受付部24によって経路情報の一覧を出力する旨の指示が受け付けられた場合に、記憶部23から経路情報の名称の一覧を読み出して出力する。出力部25による名称の一覧の出力が行われた場合には、前述のように、指示受付部24は、その一覧における名称の選択を受け付けることになる。そして、その選択された名称に対応する経路情報に応じた移動の指示が受け付けられたことになる。ここで、この出力は、例えば、表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなど)への表示でもよく、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。なお、記録媒体への蓄積や他の構成要素への引き渡しが行われる場合であっても、最終的に、ユーザに対して、名称の一覧が提示されることが好適である。また、出力部25は、出力を行うデバイス(例えば、表示デバイスや通信デバイスなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、出力部25は、ハードウェアによって実現されてもよく、または、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
移動機構26は、移動体2を移動させる。移動機構26は、移動体2を移動させることができるものであれば、その方式を問わない。移動機構26は、例えば、走行部(例えば、車輪や無限軌道など)と、その走行部を駆動する駆動手段(例えば、モータやエンジンなど)とを有していてもよく、回転翼と、その回転翼を駆動する駆動手段とを有していてもよく、プロペラと、そのプロペラを駆動する駆動手段とを有していてもよい。この移動機構26としては、公知のものを用いることができるため、その詳細な説明を省略する。本実施の形態では、移動機構26が走行部と、その走行部を駆動する駆動手段とを有している場合について主に説明する。
制御部27は、指示受付部24によって受け付けられた指示に対応する経路情報に応じて移動するように移動機構26を制御する。すなわち、移動の指示に対応する経路情報に応じた経路を移動体2が移動するように、移動機構26を制御する。なお、経路情報に教示位置が含まれている場合には、制御部27は、その教示位置を補間した経路を生成し、その生成した経路を用いて制御を行ってもよい。また、経路情報に部位情報が含まれる場合には、制御部27は、その部位情報によって示される移動体2の部位の位置が、その部位情報に対応する教示位置となるように制御するものとする。また、経路情報に方向情報が含まれる場合には、制御部27は、移動体2がその方向情報に対応する教示位置の位置となったときに、移動体2その方向情報によって示される方向となるように制御するものとする。部位情報や方向情報は教示位置に対応したものであるため、通常、教示位置ごとの飛び飛びの情報となる。したがって、例えば、教示位置間については、部位情報や方位情報を適宜、補間して用いてもよく、または、教示位置Aから次の教示位置Bまでの部位や方位は、教示位置Aに対応する部位情報や方位情報で示されるものであると決まっていてもよい。なお、制御部27は、それらの制御において、移動体2の現在位置や現在方向を用いてもよい。したがって、制御部27は、移動体2の現在位置や現在方向が、教示された位置や方向となるように移動機構26をフィードバック制御してもよい。また、移動体2は、図示しない現在位置取得部を有していてもよい。その現在位置取得部は、例えば、移動体2の現在位置や、現在方向を取得するものであってもよい。その現在位置取得部は、例えば、現在位置取得部11と同様のものであってもよい。また、その位置の制御において、SLAMによって作成された地図の情報を用いてもよい。なお、移動体2の経路が設定されている場合に、その経路に沿って移動体2が移動するようにする制御はすでに公知であり、その詳細な説明を省略する。
警告出力部28は、指示受付部24によって移動の指示が受け付けられた際に、その指示に対応する経路情報に含まれる教示時点と、現時点との差があらかじめ決められた期間(例えば、1か月や1年など)以上である場合に警告を出力する。そのあらかじめ決められた期間は、図示しない記録媒体で記憶されていてもよい。また、警告出力部28は、図示しないカレンダー部や時計部から現時点を取得してもよい。このような警告を行うことによって、教示時点から現時点までの期間が長くなった場合に、そのことに関する注意喚起を行うことができるようになる。教示時点から現時点までの期間が長くなった場合には、移動現場に想定外の新たな障害物等が存在する可能性があるからである。なお、警告が出力された際に、指示受付部24で受け付けられた指示に対応する経路情報に応じた移動が一時的に停止されてもよく、または、停止されなくてもよい。前者の場合には、例えば、操作者によって経路情報に応じた移動が許可されたときに、経路情報に応じた移動が開始され、そうでない場合には、経路情報に応じた移動が開始されなくてもよい。なお、その許可や不許可の入力は、例えば、指示受付部24で受け付けられてもよい。
ここで、この出力は、例えば、表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなど)への表示でもよく、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、プリンタによる印刷でもよく、スピーカによる音声出力でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。なお、記録媒体への蓄積や他の構成要素への引き渡しが行われる場合であっても、最終的に、ユーザに対して、その警告が提示されることが好適である。また、警告出力部28は、出力を行うデバイス(例えば、表示デバイスや音声出力デバイスなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、警告出力部28は、ハードウェアによって実現されてもよく、または、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
次に、経路教示装置1の動作について図4のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)受付部12は、経路情報の名称を受け付けたかどうか判断する。そして、名称を受け付けた場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、名称を受け付けるまでステップS101の処理を繰り返す。
(ステップS102)蓄積部13は、受付部12が受け付けた名称を記憶部14に蓄積する。
(ステップS103)受付部12は、教示指示を受け付けたかどうか判断する。そして、教示指示を受け付けた場合には、ステップS104に進み、そうでない場合には、ステップS106に進む。なお、受付部12は、教示指示と共に、部位情報や方向情報を受け付けてもよい。
(ステップS104)現在位置取得部11は、その時点の経路教示装置1の現在位置を取得する。なお、現在位置の取得が繰り返して実行されている場合には、このステップS104の処理は、その最新の現在位置を読み出すことであってもよい。
(ステップS105)蓄積部13は、ステップS102で蓄積した名称に対応付けて、ステップS104で取得された現在位置である教示位置を記憶部14に蓄積する。また、教示指示と共に部位情報や方向情報も受け付けられている場合には、蓄積部13は、それらも一緒に蓄積する。そして、ステップS103に戻る。
(ステップS106)受付部12は、教示の操作を終了する旨の入力を受け付けたかどうか判断する。そして、終了する旨の入力を受け付けた場合には、ステップS107に進み、そうでない場合には、ステップS103に戻る。
(ステップS107)蓄積部13は、図示しないカレンダー部等からその時点を示す情報を取得し、その取得した情報を教示時点として記憶部14に蓄積する。
(ステップS108)出力部15は、教示位置や教示時点を含む経路情報と、その経路情報に対応する名称とを出力する。受付部12で部位情報や方向情報が受け付けられた場合には、その経路情報に、その部位情報等が含まれていてもよい。そして、ステップS101に戻る。なお、出力部15が出力した経路情報等は、直接的に、または間接的に移動体2に渡され、移動体2の経路情報受付部21で受け付けられることになる。
なお、図4のフローチャートにおける処理の順序は一例であり、同様の結果を得られるのであれば、各ステップの順序を変更してもよい。例えば、終了の旨が受け付けられた後に名称を受け付けるようにしてもよい。また、図4のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
次に、移動体2の動作について図5のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS201)経路情報受付部21は、経路情報や名称を受け付けたかどうか判断する。そして、経路情報等を受け付けた場合には、ステップS202に進み、そうでない場合には、ステップS203に進む。
(ステップS202)経路情報蓄積部22は、経路情報受付部21が受け付けた経路情報等を記憶部23に蓄積する。そして、ステップS201に戻る。
(ステップS203)指示受付部24は、名称の一覧の出力指示を受け付けたかどうか判断する。そして、その出力指示を受け付けた場合には、ステップS204に進み、そうでない場合には、ステップS201に戻る。
(ステップS204)出力部25は、記憶部23で記憶されているすべての名称を読み出し、その名称の一覧を出力する。
(ステップS205)指示受付部24は、その名称の一覧における名称の選択を受け付けたかどうか判断する。そして、名称の選択を受け付けた場合には、その名称に対応する経路情報に応じた移動の指示が受け付けられたとしてステップS206に進み、そうでない場合には、名称の選択が受け付けられるまでステップS205の処理を繰り返す。
(ステップS206)警告出力部28は、ステップS205で選択が受け付けられた名称に対応する経路情報に含まれる教示時点と、現時点との差があらかじめ決められた期間以上であるかどうか判断する。そして、両時点があらかじめ決められた期間以上である場合には、ステップS207に進み、そうでない場合には、ステップS209に進む。
(ステップS207)警告出力部28は、警告を出力する。
(ステップS208)指示受付部24は、経路情報に応じた移動の許可を受け付けたかどうか判断する。そして、移動の許可を受け付けた場合には、ステップS209に進み、移動を許可しない旨を受け付けた場合には、ステップS201に戻る。この場合には、経路情報に応じた移動は行われないことになる。なお、警告が出力されてから所定の時間が経過しても移動の許可が受け付けられない場合には、移動が許可されないときと同様に、ステップS201に戻ってもよい。
(ステップS209)制御部27は、指示受付部24が移動の指示を受け付けた経路情報を記憶部23から読み出し、その経路情報に応じて移動体2が移動するように、移動機構26を制御する。この制御によって、移動体2は、経路情報で示される目的地にまで移動することになる。そして、移動が完了すると、ステップS201に戻る。
なお、図5のフローチャートにおける処理の順序は一例であり、同様の結果を得られるのであれば、各ステップの順序を変更してもよい。例えば、警告の出力の有無に関わらず、経路情報に応じた移動の制御が行われてもよい。また、図5のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
次に、本実施の形態による経路教示装置1、及び移動体2の動作について、具体例を用いて説明する。この具体例では、経路教示装置1がタブレット端末であり、屋内GPSを用いて現在位置を取得するものとする。また、移動体2は台車であり、経路教示装置1と無線通信可能であるとする。
まず、経路教示装置1であるタブレット端末の操作者は、タッチパネルを操作することによって、経路教示を行うためのアプリケーションを立ち上げたとする。そして、今から教示を開始する経路の名称「ABC搬送」を入力する。すると、その名称「ABC搬送」が、受付部12で受け付けられ、蓄積部13に渡される(ステップS101)。蓄積部13は、受け取った名称を記憶部14に蓄積する(ステップS102)。その後、操作者は、図6で示される画面表示において、教示位置に対応する台車の部位を選択する。その選択は、9個のラジオボタン61〜69のいずれかを選択することによって行われる。具体的には、ラジオボタン61〜69はそれぞれ、台車の左前端、中央前端、右前端、中央左端、中央、中央右端、左後端、中央後端、右後端に対応している。図6では、台車の中央が選択されている。また、矢印51の向きが移動体2の前向き方向に対応しているものとする。そして、操作者が、タブレット端末1の位置(厳密には、タブレット端末1の中央の位置であってもよい)が教示位置となり、また、矢印51の向きが移動体2の前向き方向となるようにタブレット端末1を配置し、教示ボタン71をタップしたとする。すると、「中央」に対応する部位情報「P5」と、教示指示とが受付部12で受け付けられ、矢印51の方向を示す方向情報「θ1」が受付部12で取得され、それらが蓄積部13に渡される(ステップS103)。なお、方向情報「θ1」は、現在位置取得部11で取得された経路教示装置1の向きを用いて測定された矢印51の方向である。蓄積部13は、教示指示等を受け取ると、現在位置取得部11に現在位置を取得するように指示する。その指示を受け取ると、現在位置取得部11は、現在位置(X1,Y1)を取得して蓄積部13に渡す(ステップS104)。現在位置を受け取ると、蓄積部13は、その現在位置である教示位置(X1,Y1)と、部位情報「P5」と、方向情報「θ1」とを名称「ABC搬送」に対応付けて記憶部14に蓄積する(ステップS105)。その結果、記憶部14で記憶されている情報が、図7Aで示されるようになる。
その後、操作者は、次の位置に移動して、同様の教示の操作を繰り返す(ステップS103〜S105)。その結果、図7Bで示されるように、教示位置等が順番に蓄積されていくことになる。その後、操作者が経路の目的地の教示の操作を行って、終了ボタン72をタップしたとする。すると、経路の教示の一連の操作が終了した旨が受付部12で受け付けられ、蓄積部13と出力部15に渡される(ステップS106)。教示の操作が終了した旨を受け取ると、蓄積部13は、その時点の年月日「2016/1/15」を示す教示時点を図示しないカレンダー部から取得し、その教示時点を記憶部14に蓄積する(ステップS107)。その結果、記憶部14で記憶されている情報は、図7Cで示されるようになったとする。その後、出力部15は、記憶部14から、名称「ABC搬送」と、教示位置や部位情報、方向情報、教示時点を含む経路情報を読み出し、移動体2に無線送信する(ステップS108)。その無線送信の後、送信された名称や経路情報は、記憶部14から削除されてもよく、または、そうでなくてもよい。
経路教示装置1から送信された名称と経路情報とは、台車である移動体2の経路情報受付部21で受信され、経路情報蓄積部22に渡される(ステップS201)。経路情報等を受け取ると、経路情報蓄積部22は、その経路情報と名称とを対応付けて記憶部23に蓄積する(ステップS202)。
その後、台車2の操作者が、図示しないインターフェースを介して、経路の名称一覧の出力を指示したとする。すると、その名称一覧の出力指示が指示受付部24で受け付けられ、出力部25に渡される(ステップS203)。出力指示を受け取ると、出力部25は、記憶部23から名称の一覧を読み出し、図8Aで示されるように、ABC搬送ボタン81と、XYZ搬送ボタン82とを移動体2の図示しないタッチパネルに表示する(ステップS204)。その図8Aの表示において、操作者が、XYZ搬送ボタン82をタップしたとする。すると、「XYZ搬送」に対応する経路情報に応じた移動の指示が指示受付部24で受け付けられ、制御部27と、警告出力部28とに渡される(ステップS205)。警告出力部28は、その指示を受け取ると、記憶部23から、名称「XYZ搬送」に対応する経路情報に含まれる教示時点を読み出し、また、図示しないカレンダー部から、その時点の年月日を取得する。読み出した教示時点は「2014/10/10」であり、その時点の年月日は、「2016/1/18」であったとする。また、あらかじめ決められた期間が1年であったとすると、警告出力部28は、教示時点から現時点までの期間が1年以上であると判断し(ステップS206)、図8Bで示されるように、図示しないタッチパネルに警告を表示する(ステップS207)。その表示によって、台車2の操作者は、XYZ搬送の教示時点から1年以上経過していることを知ることができる。なお、例えば、その操作者が、XYZ搬送に対応する経路において、この1年間に大きな変化等がなかったことを知っており、図8Bで示される表示において、実行するボタン91をタップしたとする。すると、指示受付部24において、実行するボタン91が選択されたこと、すなわち、移動が許可されたことが受け付けられ、制御部27に渡される(ステップS208)。移動の許可を受け取ると、制御部27は、指示受付部24から受け取った名称「XYZ搬送」に対応する経路情報を用いた移動の制御を開始し、その制御に応じて、移動体2が移動することになる(ステップS209)。一方、図8Bで示される表示において、実行しないボタン92がタップされると、その旨が指示受付部24で受け付けられ、制御部27に渡される。その結果、指示受付部24が受け付けた名称「XYZ搬送」に対応する経路情報に応じた移動の制御は行われないことになる。
また、例えば、警告出力部28による判断において、教示時点から現時点までの期間が1年未満であった場合には、警告出力部28から制御部27に、その判断結果が渡されてもよい(ステップS206)。そして、制御部27は、その判断結果に応じて、受け付けられた名称「XYZ搬送」に対応する移動を行うように制御してもよい。
以上のように、本実施の形態による経路教示装置1によれば、移動体2を実際に移動させることなく、その移動体2が実際に移動する現場を確認しながら経路の教示を行うことができる。したがって、移動体2の稼働率を下げることなく教示を行うことができると共に、移動体2の移動現場に存在する想定外の障害物等を適切に回避できる経路を教示することができる。また、例えば、移動体2が1回しか通らない経路については、移動体2を用いた経路の教示を行うことは実質的に無意味である。なぜなら、教示を行うのではなく、実運用時にオペレータが移動体2を操作しても同じことになるからである。一方、本実施の形態による経路教示装置1のように、移動体2を用いないで教示できる場合には、その実運用時とは異なる時期、例えば、操作者にとって都合のよい任意の時期に教示を行うことができるようになり、操作者の利便性が向上することになる。また、部位情報や方向情報をも受け付けることによって、移動体2のより細かい位置や方向を教示することができるようになる。その結果、例えば、荷物の積み降ろしを行うステーションの縁に、移動体2の任意の辺がピッタリと沿うように移動体2を位置させることもできるようになる。また、経路情報に対応する名称をも受け付け、その名称と経路情報とを対応付けて出力することによって、移動体2を動作させる際の経路情報の選択を、その名称を用いて容易に行うことができるようになる。また、タブレット端末などの汎用の機器である経路教示装置1を用いて教示を行う場合には、専用の教示装置を用意しなくてよいというメリットもある。また、移動体2が警告出力部28を備えたことによって、移動体2が受け付けた移動の指示に応じた経路情報に含まれる教示時点から現時点までの期間が所定の期間以上である場合に、そのことの注意喚起を操作者に対して行うことができるようになる。教示時点から現時点までの期間が長くなればなるほど、その間に移動現場の状況が変わっており、想定外の障害物等が存在する可能性も高いからである。
なお、本実施の形態では、経路教示装置1が教示位置を含む経路情報を出力する場合について主に説明したが、上述のように、教示位置を補間して生成された経路を示す経路情報が出力されてもよい。その場合には、図9で示されるように、経路教示装置1は、経路生成部16をさらに備えていてもよい。経路生成部16は、記憶部14で記憶されている教示位置を用いて、教示位置に応じた経路を生成してもよい。その経路の生成は、例えば、教示位置を補間することによって行われてもよい。また、記憶部14において部位情報も記憶されている場合には、経路生成部16は、その経路の生成において、部位情報をも用いてもよい。通常、経路生成部16が生成する経路は、移動体2の特定部位(例えば、中心位置等)に対応するものとなる。したがって、部位情報をも用いる場合には、経路生成部16は、その部位情報の示す位置と、経路に対応する特定部位との差分を考慮して経路を生成してもよい。例えば、経路生成部16は、特定部位の位置と部位情報の示す位置と差を考慮して、蓄積部13によって蓄積された各教示位置を、特定部位の教示位置に修正し、その修正した各教示位置を用いて経路を生成してもよい。経路生成部16は、その生成した経路を記憶部14に蓄積する。そして、その経路を含む経路情報は、出力部15によって出力されることになる。なお、記憶部14において方向情報も記憶されている場合には、経路生成部16によって生成された経路と、方向情報とを含む経路情報が出力されてもよい。その方向情報は、生成された経路に対応付けられていることが好適である。具体的には、生成された経路の各区間に、方向情報が対応付けられていてもよい。
また、本実施の形態では、部位情報や方向情報が受付部12によって受け付けられ、部位情報に応じた経路情報や、方向情報を含む経路情報が出力される場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。その部位情報や方向情報の受け付けは行われなくてもよい。
また、本実施の形態では、受付部12が経路情報の名称をも受け付ける場合について説明したが、そうでなくてもよい。その場合には、経路情報のみが出力されてもよい。そして、経路情報を受け付けた移動体2やサーバ等において、経路情報に名称が付与されてもよく、または、そうでなくてもよい。
また、本実施の形態では、受付部12が教示指示を受け付ける場合について説明したが、そうでなくてもよい。その場合には、例えば、教示の開始時点から終了時点まで、一定の時間間隔ごとに、または、一定の移動距離ごとに、蓄積部13が教示位置を蓄積してもよい。また、その教示位置を蓄積する際に、時刻をも蓄積するようにしてもよい。その時刻は、絶対的な時刻(例えば、10時25分32秒など)であってもよく、相対的な時刻(例えば、1分2秒など)であってもよい。後者の場合には、時刻の値は、例えば、教示の開始時点からのタイマの値であってもよい。そのように、時刻も蓄積された場合には、経路情報は、その時刻に応じたものであってもよい。すなわち、経路情報は、時刻を含む情報であってもよく、時刻に応じた移動速度等の設定された経路を含む情報であってもよい。そのように、時刻に応じた経路情報が出力されることによって、移動体2の移動時には、経路教示装置1の教示の際と同様の移動スピードで移動することも可能となる。
また、本実施の形態では、移動体2が走行部を有する場合について主に説明したため、教示位置は、2次元平面上の位置であったが、移動体が回転翼やプロペラ等を有する飛行体である場合には、3次元空間上での位置を教示するようにしてもよい。その場合に、高度は、例えば、現在位置取得部11によって取得された高度にオフセット値(例えば、10メートルなど)を加算したものであってもよく、または、操作者が手動で入力したものであってもよい。また、高さ方向(鉛直方向)の位置は、例えば、海抜高度で教示されてもよく、地面からの高さで教示されてもよい。前者の場合には、飛行体である移動体は、気圧計などを用いて移動体の海抜高度を取得し、高さ方向の位置の制御を行ってもよい。また、高さ方向の位置が地面からの高さで教示される場合には、飛行体である移動体は、距離計などを用いて地面からの高さを取得し、高さ方向の位置の制御を行ってもよい。
また、本実施の形態による経路教示装置1において、ある教示位置から次の教示位置までの補間の種類を操作者が設定できるようにしてもよい。例えば、教示指示を入力する際に、教示位置の間の補間を、直線補間とするのか、円弧補間とするのか、曲線(ベジェやスプラインなど)補間とするのかなどを選択できるようにしてもよい。そのように補間の種類が指定されている場合には、経路教示装置1や移動体2において教示位置の間の補間を行う際に、その指定された種類に応じた補間を行うものとする。なお、それらの補間についてはすでに公知であり、その詳細な説明を省略する。
また、本実施の形態による経路教示装置1において、ある教示位置から次の教示位置までの移動スピードや、ある教示時点における停止時間を操作者が設定できるようにしてもよい。例えば、操作者は、路面の状態が粗い場所や、人間が通りうる場所については、移動体2のスピードを低く設定し、移動体2が高速で移動しても問題のない場所については、移動体2のスピードを高く設定してもよい。
また、本実施の形態では、経路情報に教示時点が含まれる場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。経路情報に教示時点が含まれていなくてもよい。経路情報に教示時点が含まれていない場合には、移動体2において、その教示時点を用いた警告を出力しないようにしてもよい。なお、経路情報に教示時点が含まれているかどうかに関わらず、移動体2において、経路情報に応じた移動が行われた際に移動時点を蓄積するようにし、その移動時点を用いた警告を行うようにしてもよい。以下、そのような移動時点を用いた警告を出力する移動体2について説明する。
図10は、移動時点の蓄積や、移動時点を用いた警告の出力を行う移動体2の構成を示すブロック図である。図10において、移動体2は、経路情報受付部21と、経路情報蓄積部22と、記憶部23と、指示受付部24と、出力部25と、移動機構26と、制御部27と、障害物検知部31と、移動時点蓄積部32と、警告出力部33とを備える。なお、障害物検知部31、移動時点蓄積部32、警告出力部33以外の構成及び動作は、制御部27が障害物の検知に応じた制御を行う以外、上述の通りであり、その説明を省略する。
障害物検知部31は、障害物を検知する。その障害物の検知は、通常、移動体2の移動中に行われる。障害物検知部31が障害物を検知する方法は問わない。例えば、障害物検知部31は、超音波センサや、レーザーセンサ等によって、障害物までの距離を測定し、その距離があらかじめ決められた閾値以下となった場合に、障害物を検知してもよい。そのレーザーセンサは、例えば、レーザーレンジセンサであってもよい。また、障害物検知部31は、移動体2の外周に取り付けられた感圧センサによって、接触を検知した場合に、障害物を検知してもよい。また、障害物検知部31は、その他の公知のセンサによって障害物を検知してもよい。
なお、制御部27は、移動中に障害物検知部31によって障害物が検知された際に、障害物の回避動作を行うように移動機構26を制御する。その回避動作は、例えば、移動体2の停止であってもよく、移動体2の減速であってもよく、移動体2の経路の変更であってもよい。その回避動作は、例えば、従来の自動搬送台車において障害物が検知された際に行われる障害物の回避動作と同様のものであってもよい。
移動時点蓄積部32は、障害物検知部31による障害物の検知が行われることなく、経路情報に応じた移動が完了した場合に、その移動の移動時点を経路情報に対応付けて記憶部23に蓄積する。移動が完了した場合とは、経路情報に応じた経路の目的地までの移動が行われた場合である。その移動時点は、例えば、移動の開始時点であってもよく、移動の終了時点であってもよく、開始時点から終了時点までの間の時点であってもよく、移動の終了の直後に移動時点が蓄積される時点であってもよい。その移動時点は、例えば、図示しないカレンダー部や時計部から取得されてもよい。移動時点を蓄積する際に、以前に蓄積した移動時点が存在する場合には、移動時点蓄積部32は、上書きで移動時点を蓄積してもよく、または、そうでなくてもよい。
警告出力部33は、指示受付部24によって移動の指示が受け付けられた際に、その指示に対応する経路情報に対応付けられた最新の移動時点と、現時点との差があらかじめ決められた期間以上である場合に警告を出力する。この警告出力部33による警告の出力は、比較対象が教示時点から最新の移動時点に変わった以外、警告出力部28と同様であり、その説明を省略する。
なお、図10で示される移動体2の動作は、警告を出力するかどうか判断する際の比較の対象が、教示時点から移動時点に変わった以外、図5のフローチャートと同様であり、その説明を省略する。ただし、図5のフローチャートにおけるステップS209の移動制御処理は、図11で示されるものであってもよい。以下、その移動制御処理を示す図11のフローチャートについて説明する。その移動制御処理が行われる際には、事前に、教示位置の間の補間が行われており、補間後の各位置に移動するように、制御部27によって移動機構26が制御されるものとする。
(ステップS301)制御部27は、現在の位置から補間後の次の位置に移動するように移動機構26を制御する。
(ステップS302)制御部27は、障害物検知部31によって障害物が検知されたかどうか判断する。そして、障害物が検知された場合には、ステップS303に進み、そうでない場合には、ステップS305に進む。
(ステップS303)制御部27は、障害物の回避動作を行うように移動機構26を制御する。
(ステップS304)制御部27は、経路情報に対応する経路に応じた移動に復帰できるかどうか判断する。そして、復帰できる場合には、ステップS305に進み、そうでない場合には、復帰できると判断するまでステップS304の処理を繰り返す。なお、例えば、障害物が検知されなくなった場合には、復帰可能であると判断されてもよい。具体的には、障害物が人間であり、その人間が移動体2から離れた場合には、障害物が検知されなくなるため、復帰可能であると判断されてもよい。また、検知された障害物を迂回するように移動できた際にも、復帰可能であると判断されてもよい。一方、障害物が検知された状況が所定の時間以上または所定の距離以上継続する場合には、制御部27は、移動を継続できないと判断し、例えば、管理サーバにその旨を送信すると共に、経路に応じた移動を終了するようにしてもよい。
(ステップS305)制御部27は、補間後の次の位置が存在するかどうか判断する。そして、次の位置が存在する場合には、ステップS301に戻り、そうでない場合には、経路情報に応じた移動が終了したことになるため、ステップS306に進む。
(ステップS306)制御部27は、経路に応じた移動の途中において障害物が検知されたかどうか判断する。そして、障害物が検知された場合には、移動の制御は終了となり、図5のフローチャートに戻り、障害物が検知されなかった場合には、ステップS307に進む。
(ステップS307)移動時点蓄積部32は、経路情報に対応付けて移動時点を蓄積する。そして、図5のフローチャートに戻る。
このように、移動時点と現時点との差があらかじめ決められた期間以上である場合に警告を出力することによって、最新の移動時点から現時点までの期間が長くなった場合に、そのことに関する注意喚起を行うことができるようになる。なお、警告に関する判断において、教示時点に代えて最新の移動時点を用いることにより、たとえ教示時点はあらかじめ決められた期間よりも以前の時点であったとしても、その期間以内に障害物の検知なしに移動を完了できている(すなわち、想定外の新たな障害物等が移動現場に存在していないことが確認されている)のであれば警告を出力しないようにすることができ、教示時点を用いた場合よりも、移動体2の運用の実態に沿った警告の出力を行うことができるようになる。また、このような警告の出力を行うことにより、教示時点を用いた場合よりも、警告の出力頻度が少なくなると考えられる。
なお、移動時点蓄積部32は、経路情報に応じた移動途中に、障害物検知部31によって障害物が検知された場合には、その時点を示す障害物検知時点を、その経路情報に対応付けて蓄積するようにしてもよい。そして、警告出力部33は、最新の移動時点と、現時点との差があらかじめ決められた期間以上である場合に警告を出力すると共に、最新の移動時点と、現時点との間に障害物検知時点が存在する場合にも警告を出力するようにしてもよい。
また、移動体2が、教示時点に応じた警告の出力と、移動時点に応じた警告の出力とのいずれか一方を行う場合について説明したが、移動体2は、両方の警告の出力を行うものであってもよい。
また、警告出力部33は、教示時点に応じた警告の出力や、移動時点に応じた警告の出力以外の警告の出力を行ってもよい。例えば、警告出力部33は、移動体2が経路情報に応じて移動中に、経路情報で示される経路と、移動体2の現在位置とがあらかじめ決められた長さ以上離れた場合に、警告を出力してもよい。例えば、経路情報に沿って移動するように制御が行われていても、車輪がスリップしたり、想定外の外力(例えば、強風等)が加わったりすることによって、また、各構成要素における誤差等が累積することによって、経路情報で示される経路と現在位置とがずれることがある。そのような場合に、警告出力部33が警告を出力してもよい。なお、この警告の出力は、移動体2の移動中に行われることになる。したがって、例えば、警告出力部33は、音や光、表示等によって警告を出力することによって、移動体2の周囲の者に注意喚起を行うようにしてもよい。また、例えば、警告出力部33が管理者等に警告を送信することによって、管理者が移動体2の移動状況を確認するきっかけを与えるようにしてもよい。なお、経路と現在位置とがあらかじめ決められた長さ以上離れた場合とは、経路と現在位置との最短の距離が、あらかじめ決められた長さ以上となった場合であってもよい。
また、上記説明では、障害物検知部31による障害物の検知が行われることなく、経路情報に応じた移動が完了した場合にのみ、その移動の移動時点が経路情報に対応付けられて蓄積される場合について説明したが、そうでなくてもよい。移動時点蓄積部32は、経路情報に応じた移動が完了した場合に、その移動の移動時点を経路情報に対応付けて蓄積してもよい。経路の移動途中で障害物が検知されたとしても、目的地にまで到達することができたのであれば、移動が無事に完了したと考えることもできるからである。このように、障害物の検知の有無にかかわらず移動時点の蓄積が行われる場合には、移動体2は、障害物検知部31を備えていなくてもよい。
また、本実施の形態では、経路教示装置1によって教示された経路情報を用いて移動する移動体2が、警告出力部28、33を備えている場合について説明したが、そうでなくてもよい。その経路情報を用いて移動する移動体は、警告出力部を備えていないもの、すなわち、教示された経路に応じて移動する従来の移動体であってもよい。
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、または、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、または、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、または長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、または、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、または、図示しない読み出し部が行ってもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、または、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
また、上記実施の形態において、経路教示装置1や移動体2に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、または、別々のデバイスを有してもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、または、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現されうる。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。また、そのプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。また、そのプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、または分散処理を行ってもよい。
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。