JP6692146B2 - 磁気粘性流体組成物 - Google Patents

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本発明は、建造物、自動車、建設機械、産業機械のダンパー、クラッチ、ブレーキ等に用いられる磁気粘性流体組成物に関する。
磁気粘性流体(Magneto Rheological Fluid;「MRF」又は「MR流体」ともいう。)は、炭化水素系合成油やシリコーンオイル等に数μm〜数十μmの磁性粒子を混合したもので、磁場によって非常に大きな応力を発生させる機能性流体である。MRFを用いると磁場により可逆的に粘度を大きく変化させることができるので、機器の制御幅を大きくすることができる利点があることから、ダンパー、クラッチ、ブレーキ等への応用が期待され、ダンパーとしては自動車用サスペンション、建築物の免震ダンパー等(非特許文献1参照)、あるいは家電製品のサスペンションにも実用化されている(非特許文献2参照)。
MRFを用いた装置の最大の特徴は、MRFに磁場を印加することにより、通常の流体では実現し得ない範囲でMRFの粘度を大きく変化させ、機器の制御幅を大きくすることができることにある。また、クラッチやブレーキ等では、効率的なトルク伝達のために、磁場印加時に発生する応力をより高くする必要がある。その場合、磁性粒子を多量に配合する必要があるが、基油である液体と磁性粒子の密度差が大きいことから、磁性粒子が沈降しやすくなる問題がある。
そこで、粘性調整剤として酸化ポリエチレンを配合することで、低粘度を維持しながら磁性粒子の沈降を抑制する技術が提案されている(特許文献1参照)。また、特定の基油と特定の増ちょう剤によってMRFをグリース化し、磁場印加時に発生する高い応力と分散安定性を両立する技術が提案されている(特許文献2参照)。
特開2006−303182号公報 特開2013−104037号公報
日本ロボット学会誌、「MRFダンパの応用事例」、PP483−485、Vol.31、No.5(2013年) 日本ロボット学会誌、「MRFアクティブサスペンションの洗濯機への応用」、PP488−489、Vol.31、No.5(2013年)
しかし、低粘度の流体状態を維持しながら、磁場印加時に高い応力を発生し、かつ分散安定性に優れたMRFはこれまで報告されていない。
MRFの性能としては、磁場オフ時にはより低粘度で、磁場印加時にはより高い応力を発生することが望ましい。一方、せん断粘度特性としては、静置状態のような低せん断時には高い粘度を示し、使用時のような高せん断時は低い粘度に変化する、という広義のチキソトロピー性を持たせることで、磁性粒子の沈降の抑制と、磁場オフ時の流動性の維持との両立が可能である。
そこで本発明においては、磁場印加時には高い応力を発生し、かつ、磁場オフ時において、低せん断時には高粘度を示し、高せん断時には低粘度を示す磁気粘性流体組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、磁性粒子、基油、特定の分散剤、レオロジーコントロール剤、を配合することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明の磁気粘性流体組成物を完成するに至った。
すなわち、上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の態様が含まれる。
<1>(1)磁性粒子と、(2)基油と、(3)2個以上の極性官能基を持つ化合物を含む分散剤と、(4)レオロジーコントロール剤と、を含有する磁気粘性流体組成物。
<2>前記2個以上の極性官能基を持つ化合物が、脂肪酸ビニル重合体、ヒドロキシル基含有脂肪酸モノマーの重合体、多価アルコールの部分エステル及び多価アルコールエーテルから選ばれる少なくとも一つである<1>に記載の磁気粘性流体組成物。
本発明によれば、磁場印加時には高い応力を発生し、かつ磁場オフ時における低せん断時には高粘度で、高せん断時には低粘度である磁気粘性流体組成物を提供することができる。よって、本発明の磁気粘性流体組成物は、回転型・往復動型ダンパー、クラッチ、ブレーキ等のMR装置に好適に用いられる。
以下、本発明の磁気粘性流体組成物について詳細に説明する。なお、本明細書中、数値範囲を表す「〜」はその上限及び下限の数値を含む範囲を表す。
本発明の磁気粘性流体組成物は、(1)磁性粒子と、(2)基油と、(3)2個以上の極性官能基を持つ化合物を含む分散剤と、(4)レオロジーコントロール剤と、を含有する。
(1)磁性粒子
本発明の磁気粘性流体組成物に含まれる磁性粒子としては、例えば、鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる1種以上の金属を(好ましくは主成分として)含む金属粒子、並びに窒化鉄、炭化鉄、フェライト及びマグネタイトから選ばれる1種以上の化合物を(好ましくは主成分として)含み、強磁性を示す金属化合物粒子から選ばれる1種以上の磁性粒子が挙げられる。この中でも、鉄を主成分とする金属粒子又は、フェライトを主成分とする金属化合物粒子が好ましく、鉄を主成分とする金属粒子が特に好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
ここで、金属粒子とは、基本的に、金属単体の粒子、2種以上の金属が結合した合金の粒子、2種以上の金属が結合せずに含まれる粒子等を意味するが、例えば後述するカルボニル鉄のように、金属を主成分とし、原料中の金属以外の残留成分も含まれる粒子も包含される。金属化合物粒子についても同様である。
また、「主成分」とは、磁性粒子を構成する成分のうち質量割合が最も多い成分を意味し、好ましくは、磁性粒子を構成する成分の50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。
本発明に用いる好ましい磁性粒子のうち、鉄を主成分とする金属粒子としては、鉄含有率が高く、不純物が少ないほど飽和磁化が高いので好ましい。鉄を主成分とする金属粒子の好ましい鉄含有率は98〜100質量%であり、特に好ましくは99〜100質量%である。このような磁性粒子として、カルボニル鉄が挙げられる。カルボニル鉄は鉄ペンタカルボニルの熱分解により製造される、高純度の金属粒子である。
本発明で用いる磁性粒子の累積50%粒子径は、好ましくは0.5μm〜50μmであり、より好ましくは1μm〜30μm、さらに好ましくは2.5μm〜20μmである。なお、累積50%粒子径は、レーザー回折散乱法で測定される粒子径である。累積50%粒子径が0.5μm以上であると、磁場印加時のせん断応力が高くなり、50μm以下であると、磁性粒子の沈降が早くなることがより抑制されるので、安定性が向上し、摺動時のフリクション増加を抑えるので好ましい。
本発明に用いる磁性粒子は、各種のカップリング剤や樹脂で表面処理したものでもよいし、未処理のものでもよい。各種のカップリング剤としてはシラン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、チタネート系カップリング剤が挙げられる。樹脂としては、炭化水素系樹脂、ワックス、ポリエチレン、ポリメタクリレート、等が挙げられる。
磁性粒子の含有割合が少な過ぎると、磁場印加時に必要なせん断応力が得られず、多過ぎると、流体ではなく半固体状となり、装置への充填が困難となるとともに、磁気粘性流体としての機能が得られ難い。かかる観点から、本発明の磁気粘性流体組成物における磁性粒子の含有割合は組成物全量に対して60〜94質量%、好ましくは70〜92質量%、更に好ましくは75〜90質量%である。
(2)基油
本発明の磁気粘性流体組成物に用いる、基油を構成する基油成分としては、特に制限されず、鉱油系基油成分であってもよく、合成系基油成分であってもよい。また1種単独でもよく、2種以上を混合してもよい。
鉱油系基油成分としては、溶剤精製鉱油、水素化精製鉱油、水素化分解鉱油などが挙げられる。このうち、水素化精製鉱油、水素化分解鉱油が好ましい。水素化精製鉱油及び水素化分解鉱油の製造方法は、特に限定されないが、好ましい製造方法としては、以下の方法が挙げられる。
水素化精製鉱油の好ましい製造方法としては、常圧蒸留により得られた残渣油を減圧蒸留したのち、潤滑油留分として得られた留分を溶剤抽出し、水素化精製と溶剤脱ろうする方法が挙げられ、その後、更に2回目の水素化精製を行う方法が挙げられる。
水素化分解鉱油の好ましい製造方法としては、まず、原油の常圧蒸留で得られた残渣油を減圧蒸留装置で処理し、そこで得られた減圧軽油を水素化処理及び水素化分解を行い、その後、軽質分、燃料分を減圧ストリッパーで除去した残渣物を得、この残渣物を減圧蒸留し、得られた潤滑油留分を水素化脱ろう処理又はワックス異性化処理し、安定化処理を行う方法が挙げられ、その際、ワックス異性化により高粘度指数化させる方法がより好ましい方法として挙げられる。さらに、溶剤脱ろうによるスラックワックス等の原料を水素化分解処理及び水素化異性化処理して得た基油も挙げられる。
合成系基油成分としては、フィッシャー・トロプシュ合成で得られたワックス等の原料を水素化分解処理及び水素化異性化処理して得られる基油、ポリ−α−オレフィン基油、アルキルベンゼンやアルキルナフタレン等の芳香族系合成油、エステル油、アルキル化フェニルエーテル油、ポリアルキレングリコール類等の合成系基油が挙げられる。ポリ−α−オレフィン基油の好適な製造方法としては、エチレンの低重合又はワックスの熱分解によって炭素数6〜18のα−オレフィンを合成し、このα−オレフィン2〜9単位を重合し、水添反応を行う方法が挙げられる。
上記エステル油の好適な例としては、1価アルコールとモノカルボン酸とから製造されるモノエステル、1価アルコールとジカルボン酸とから製造されるジエステル、ポリオールとモノカルボン酸とから製造されるポリオールエステル、またはポリオール、モノカルボン酸、ポリカルボン酸とから製造されるコンプレックスエステル等が挙げられる。
モノエステルとしては、分岐した構造を有する1価アルコール及びモノカルボン酸を原料とする合成法によって製造されるモノエステルが挙げられる。モノエステルの原料となる前記アルコールの具体例としては、2−ブチルオクタノール、2−ペンチルノナノール、2−ヘキシルデカノール、2−ヘプチルウンデカノール、2−オクチルドデカノール、2−ノニルトリデカノール、2−デシルテトラデカノール等が挙げられ、モノエステルの原料となるモノカルボン酸の具体例としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等が挙げられる。モノエステルの総炭素数は16〜50のものが好ましく、20〜40がさらに好ましい。
ジエステルとしては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の二塩基酸のエステルが挙げられる。二塩基酸としては、炭素数4〜36の脂肪族二塩基酸が好ましい。エステル部を構成するアルコール残基は、炭素数4〜26の一価アルコール残基が好ましい。このようなジエステルとしては、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジイソデシルアジペート、ジオクチルアゼレート等が挙げられる。
また、ポリオールエステルやコンプレックスエステルに用いられるポリオールとしては、具体的には、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール等のβ水素を持たないヒンダードアルコールが好適に用いられる。また、ポリオールエステルやコンプレックスエステルに用いられるモノカルボン酸としては、ヤシ脂肪酸、ステアリン酸などの直鎖飽和脂肪酸、オレイン酸などの直鎖不飽和脂肪酸、イソステアリン酸などの分岐脂肪酸等が好適に用いられ、ポリカルボン酸としてはコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの直鎖飽和ポリカルボン酸が好適に用いられる。
また、上記アルキル化フェニルエーテル油の好適な例としては、アルキル化ジフェニルエーテルや、(アルキル化)ポリフェニルエーテルなどが挙げられる。また、ポリアルキレングリコール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、またはエチレンオキサイド-プロピレンオキサイドコポリマー、プロピレンオキサイド-ブチレンオキサイドコポリマー、及びこれらの誘導体が挙げられる。
本発明の磁気粘性流体組成物における基油の含有量は、前記磁気粘性流体組成物全量に対して、7質量%〜50質量%が好ましく、8質量%〜40質量%がさらに好ましく、10質量%〜30質量%が最も好ましい。基油の含有量が7質量%以上であると、流動性に富みハンドリング性が向上し、基油の含有量が50質量%以下であると、磁場印加時のせん断応力が高くなるので好ましい。
本発明で用いる基油は、日本規格協会JIS K2283:2000動粘度試験方法による40℃における動粘度は、2mm/s〜1000mm/sが好ましく、好ましくは5mm/s〜700mm/s、特に好ましくは5mm/s〜500mm/sである。
基油の40℃における動粘度が2mm/s以上であると、引火点が高くなるので蒸発が抑えられ、MR流体として好ましい。また、基油の40℃における動粘度が1000mm/s以下であると、粘稠性が低くなり、磁気粘性流体組成物の製造時に基油中への磁性粒子の安定分散が容易になる。
(3)2個以上の極性官能基を持つ化合物を含む分散剤
本発明の磁気粘性流体組成物に用いる分散剤は、磁性粒子を基油中に分散させるために用いられる。本発明における分散剤は、2個以上の極性官能基を持つ化合物(以下、単に「化合物」という場合がある)を含み、前記化合物としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ニトリル基、アミノ基、アミド基、イミド基、スルホン酸基、チオール基、スルフィド基、リン酸基及びこれらの金属塩や金属錯体等の極性を有する官能基を有していればよい。
磁性粒子を分散させる分散剤としては一般に、種々の分散剤が存在するが、本発明の磁気粘性流体組成物においては、2個以上の極性官能基を持つ化合物を含む分散剤を用いることが重要である。すなわち、化合物中に極性官能基が1つしかないと、前記化合物の磁性粒子への吸着力が弱く、磁性粒子の分散性が不足するため、磁性粒子を高い割合で配合することが困難であり、磁性粒子を高い割合で配合すると磁場オフ時の粘度上昇を引き起こし、MRFとしての性能を高めることができなくなる。
本発明における分散剤が含む前記化合物としては、磁性粒子に吸着する官能基を2個以上持ち、かつ親油性を発現する部分を有するものであれば特に限定されず、種々の化合物が利用できる。
また、前記分散剤は前記化合物を主成分として含むことが好ましい。ここで、「主成分」とは、分散剤を構成する成分のうち質量割合が最も多い成分を意味し、好ましくは、分散剤を構成する成分の50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。
2個以上の極性官能基を持つ化合物を含む分散剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、顔料分散剤、多価アルコール類、ジカルボン酸、ポリカルボン酸、ヒドロキシル基含有脂肪酸、アミン類、アミド類、イミド類、金属せっけん、脂肪酸オリゴマー化合物、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、フッ素系界面活性剤及びホウ素系界面活性剤が挙げられる。これらの中では、磁性粒子に強く吸着し、親油性が高いという観点から、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、顔料分散剤、多価アルコール類、ジカルボン酸、ポリカルボン酸、アミド類、イミド類、金属せっけん、脂肪酸オリゴマー化合物が好ましく用いられる。さらに好ましくは、ノニオン系界面活性剤、脂肪酸オリゴマー化合物である。また、ノニオン系界面活性剤、脂肪酸オリゴマー化合物に、少量の多価アルコール類、脂肪酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸、アミン類及びアミド類を混合したものを用いてもよい。
2個以上の極性官能基を持つ化合物を含む分散剤として用いられるノニオン系界面活性剤の具体例としては、ソルビタンエステル、ソルビタン部分エステル、ソルビタンエーテル等のソルビタン化合物、モノグリセライド、ジグリセライド、ポリグリセリンアルキルエステル(フルエステル及び部分エステル)、グリセリルエーテル等のグリセリン化合物、ジエステル、ポリオールエステル等の多塩基酸のエステル、アルカノールアミド等が挙げられる。
ソルビタンエステルとは、ソルビタンの水酸基の一部がエステル化されたもの(ソルビタン部分エステル)又はすべてがエステル化されたものを意味する。また、グリセリンの水酸基の一部がエステル化されたものをグリセリン部分エステルと称する。
上記のノニオン化合物の中では、ソルビタン化合物、グリセリン化合物、アルカノールアミドが好ましく、ソルビタン部分エステルやグリセリン部分エステル等の多価アルコールの部分エステル、又はソルビタンエーテルやグリセリルエーテル等の多価アルコールエーテルが最も好ましく用いられる。
ソルビタンエーテルとは、ソルビタンの水酸基の一部がエーテル化されたもの又はすべてがエーテル化されたものを意味し、グリセリルエーテルとは、グリセリンの水酸基の一部がエーテル化されたもの又はすべてがエーテル化されたものを意味する。
ソルビタン部分エステルの具体例としては、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート等が挙げられる。グリセリン部分エステルの具体例としては、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノミリステート等が挙げられる。ソルビタンエーテルの具体例としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等が挙げられる。グリセリルエーテルの具体例としては、グリセロールモノオレイルエーテル及びグリセロールモノステアリルエーテルが挙げられる。
また、2個以上の極性官能基を持つ化合物を含む分散剤として用いられる脂肪酸オリゴマー化合物としては、脂肪酸ビニル重合体や、分子中にヒドロキシル基含有脂肪酸をモノマーとして重合させた脂肪酸オリゴマー化合物が用いられる。
また、上記脂肪酸オリゴマー化合物としては、脂肪酸ビニル重合体及びヒドロキシル基含有脂肪酸モノマーの重合体を挙げることができる。ここで、脂肪酸ビニル重合体とは、後述するように、脂肪酸ビニルモノマー(ビニル基を有する脂肪酸モノマー)の単独重合体及び脂肪酸ビニルモノマーと他のモノマーとの共重合体を含むことを意味する。また、ヒドロキシル基含有脂肪酸モノマーの重合体とは、ヒドロキシル基含有脂肪酸モノマーの単独重合体及びヒドロキシル基含有脂肪酸モノマーと他のモノマーとの共重合体を含むことを意味する。
脂肪酸オリゴマー化合物のうち、脂肪酸ビニル重合体としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
一般式(1)中、Rは、炭素数1〜24の炭化水素基であり、nは2〜100の整数である。
一般式(1)で表される化合物は、Rが炭素数2〜18の炭化水素基であるものが好ましい。重合度nは、4〜50が好ましい。
脂肪酸ビニル重合体は、脂肪酸ビニルモノマー単独でホモオリゴマーとして用いてもよいが、脂肪酸ビニルモノマー以外のモノマーとのコオリゴマー(共重合体)としてもよい。コオリゴマーの合成に用いる脂肪酸ビニルモノマー以外のモノマーとしては、例えば、オレフィンモノマーが挙げられ、具体的には、エチレンモノマー、プロピレンモノマー及びブテンモノマー等が挙げられる。
前記コオリゴマーを合成する場合の脂肪酸ビニルモノマーとオレフィンモノマーとのモル比は1:30〜30:1が好ましく、1:20〜20:1がより好ましい。また、前記コオリゴマーは、脂肪酸ビニルに由来する構成単位とオレフィンに由来する構成単位とのモル比は1:30〜30:1が好ましく、1:20〜20:1がより好ましい。
脂肪酸オリゴマー化合物のうち、ヒドロキシル基含有脂肪酸モノマーの重合体としては、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。

一般式(2)中、R、Rはそれぞれ炭素数1〜36の直鎖または分岐鎖を有する2価の炭化水素基であり、mは2〜15であり、X、Yはそれぞれ独立にカルボキシル基、ヒドロキシル基及び水素原子から選ばれるいずれか1つであり、X及びYの少なくとも一方はカルボキシル基またはヒドロキシル基である。なお、mが2〜15の場合、一般式(2)の共重合体部分(−R−COO−)mは、Rが異なる炭化水素基である2種以上の構成単位(−R−COO−)から構成されていてもよい。
一般式(2)において、X、Yはそれぞれ独立にカルボキシル基、ヒドロキシル基及び水素原子から選ばれるいずれか1つであり、X及びYのうち少なくとも一方はカルボキシル基またはヒドロキシル基である。X及びYは、1つのカルボキシル基と1つのヒドロキシル基を有することが好ましい。また、Xがカルボキシル基で、Yがヒドロキシル基であることが最も好ましい。
一般式(2)の化合物は、例えば、炭素数2〜37のヒドロキシカルボン酸をモノマーとして重合させることによって得ることができる。ここで、ヒドロキシカルボン酸とは同一分子内にヒドロキシル基とカルボキシル基の両方を有する化合物のことをいう。このようなヒドロキシカルボン酸としては、上記一般式(2)で表される化合物であれば特に制限はなく、例えば、3−ヒドロキシラウリン酸、3−ヒドロキシパルチミン酸、3−ヒドロキシステアリン酸、3−ヒドロキシアラキジン酸、8−ヒドロキシパルチミン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシラウリン酸、12−ヒドロキシパルミトレイン酸、12−ヒドロキシオレイン酸、16−ヒドロキシパルチミン酸等が挙げられる。また、Yがカルボキシル基であるものは、炭素数2〜36のジカルボン酸を、上記ヒドロキシカルボン酸の重合体にエステル結合させることで得ることができる。また、Xがヒドロキシル基であるものは、炭素数1〜36の2価のアルコールを、上記ヒドロキシカルボン酸の重合体にエステル結合させることで得ることができる。
本発明における2個以上の極性官能基を持つ化合物としては、脂肪酸ビニル重合体、ヒドロキシル基含有脂肪酸モノマーの重合体、多価アルコールの部分エステル及び多価アルコールエーテルから選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
本発明における分散剤は、極性官能基に由来する酸価、水酸基価又はアミン価のいずれかを有していてもよい。酸価を有する場合、酸価が1mgKOH/g〜150mgKOH/gのものが好ましく、5mgKOH/g〜120mgKOH/gのものがさらに好ましい。水酸基価を有する場合、水酸基価が50mgKOH/g〜500mgKOH/gのものが好ましく、100mgKOH/g〜450mgKOH/gのものがさらに好ましい。また、2個以上の極性官能基を持つ化合物と、脂肪酸及び/又はアルコールを混合させ、酸価及び/又は水酸基価を有する分散剤として用いてもよい。
本発明の磁気粘性流体組成物における分散剤の含有量は、磁気粘性流体組成物全量に対して、0.001質量%〜3質量%が好ましく、0.01質量%〜2質量%がさらに好ましく、分散剤の含有量は0.01質量%〜0.5質量%が特に好ましく、0.01質量%〜0.1質量%が最も好ましい。0.001質量%以上であると、磁性粒子の分散性が向上し、沈降後の再分散性も良好となり、分散剤の含有量が3質量%以下であると、レオロジーコントロール剤の効果を阻害せず、良好な沈降性が得られるので好ましい。
また、分散剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上で用いる場合は、合計の含有量が上記範囲内であることが好ましい。また、分散剤が、上記の2個以上の極性官能基を持つ化合物と、脂肪酸及び/又はアルコールとの混合物である場合は、混合物としての含有量が上記範囲内であることが好ましい。
(4)レオロジーコントロール剤
本発明の磁気粘性流体組成物に用いるレオロジーコントロール剤としては、種々のレオロジーコントロール剤が利用できる。ここでいうレオロジーコントロール剤は、せん断速度変化に対して非ニュートン性を与えるものをさし、低せん断速度域のせん断粘度を高くしつつ、高せん断速度域では、せん断粘度が低くなるような流動特性を付与する添加剤である。
このようなレオロジーコントロール剤としては、無機化合物系ではヒュームドシリカ、ベントナイト、雲母、カオリンが挙げられる。また有機化合物系では、ウレア変性ポリマー、ウレタン変性ポリマー、ひまし油ワックス、ポリエチレンワックス、ポリアマイドワックス、脂肪酸アマイドワックスが挙げられる。中でも、無機化合物系のレオロジーコントロール剤が好ましく、ヒュームドシリカ、ベントナイトが特に好ましい。ヒュームドシリカを用いる場合、シランカップリング剤やその他の表面改質剤により表面を疎水性としたものが好ましい。また、ベントナイトを用いる場合、4級アンモニウム塩やその他の有機改質剤により有機修飾した有機化ベントナイトが好ましく用いられる。
本発明の磁気粘性流体組成物におけるレオロジーコントロール剤の含有量は、組成物全量に対して、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.05質量%〜4質量%がさらに好ましく、0.07質量%〜3質量%が最も好ましい。レオロジーコントロール剤の含有量が0.01質量%以上であると、低せん断速度域での増粘効果が得られ、レオロジーコントロール剤の含有量が5質量%以下であると、磁場オフ時の適度な粘度が得られ、ハンドリング性も良好となり、好ましい。
またこれらのレオロジーコントロール剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上で用いる場合は、合計の含有量が上記範囲内であることが好ましい。
(5)その他の添加剤
また、磁気粘性流体組成物の各種の性能を確保するために、潤滑剤に一般に用いられている公知の添加剤、例えば金属型清浄分散剤、無灰型清浄分散剤、油性剤、摩耗防止剤、極圧剤、さび止め剤、摩擦調整剤、固体潤滑剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、消泡剤、着色剤、粘度指数向上剤及び流動点降下剤などを添加することもできる。
金属型清浄分散剤としては、金属成分がカルシウムやマグネシウムである、スルホネート、フィネート、サリシレート等が挙げられる。
無灰型分散剤としては、コハク酸イミド系無灰分散剤、コハク酸アミド系無灰分散剤、又はこれらのホウ素化誘導体などが挙げられる。コハク酸イミド系無灰分散剤としては、ビスポリプロペニルコハク酸イミド、モノプロペニルコハク酸イミド、ビスポリブテニルコハク酸イミド、モノブテニルコハク酸イミド、ビスポリペンテニルコハク酸イミド、モノペンテニルコハク酸イミドなどのポリアルケニルコハク酸イミドなどが挙げられる。コハク酸アミド系無灰分散剤としては、ポリプロペニルコハク酸アミド、ポリブテニルコハク酸アミド、ポリペンテニルコハク酸アミドなどのポリアルケニルコハク酸アミド等が挙げられる。通常、これらの無灰分散剤におけるポリアルケニル基の分子量(Mw)は、70〜50000程度である。また、これらのホウ素化誘導体としては、ポリアルケニルコハク酸無水物を、ホウ酸、ホウ酸エステル、ホウ酸塩などのホウ素化合物及びポリアミンなどと反応させることにより得られる無灰型分散剤が挙げられる。
油性剤としては、オレイン酸、ステアリン酸、高級アルコール、アミン、エステル、硫化油脂、酸性リン酸エステル、酸性亜リン酸エステルなどが挙げられる。
摩耗防止剤としては、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、各種のリン酸エステル、チオリン酸エステル、各種リン酸エステルのアミン塩などが挙げられる。
極圧剤としては、炭化水素硫化物、硫化油脂、硫黄、リン酸エステル、亜リン酸エステル、塩素化パラフィン、塩素化ジフェニルなどが挙げられる。
さび止め剤としては、カルボン酸やそのアミン塩、エステル、スルホン酸塩、ホウ素化合物などが挙げられる。
摩擦調整剤としては、有機モリブテン化合物、多価アルコール部分エステル系、アミン系、アミド系、硫化エステル、リン酸エステル、酸性リン酸エステルやそのアミン塩、ジオール類などが挙げられる。
固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、グラファイト、炭酸カルシウム、窒化ホウ素、雲母(マイカ)などが挙げられる。
酸化防止剤としては、アミン系、フェノール系、硫黄系の酸化防止剤などが挙げられる。アミン系としてはジフェニルアミン系、ナフチルアミン系の酸化防止剤が挙げられ、フェノール系としてはヒンダードフェノール系の酸化防止剤が挙げられる。
金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、アルケニルコハク酸エステルなどが挙げられる。
消泡剤としては、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン化合物、フルオロシリコーン化合物、エステル系などが挙げられる。
流動点降下剤としては、ポリアルキルメタクリレート系、塩素化パラフィン−ナフタレン縮合物、アルキル化ポリスチレンなどが挙げられる。
粘度指数向上剤としては、ポリアルキルメタクリレート系、ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系、スチレン−イソプレン共重合体系、スチレン−ブタジエン水添共重合体系、ポリイソブチレン系などが挙げられる。粘度指数向上剤として用いられるポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1万〜40万が好ましく、2万〜20万が特に好ましい。このような粘度指数向上剤の添加量は、組成物全量に対して0.1質量%〜10質量%が好ましい。
本発明の磁気粘性流体組成物の調製方法は、例えば以下の手順により行う。
<手順1:磁気粘性流体組成物用オイルの調製>
あらかじめ(2)基油と、(3)2個以上の極性官能基を持つ分子を含む分散剤とを混合した磁気粘性流体組成物用オイルを調製する。混合は、ビーカーとマグネチックスターラーを用い、温度は50℃〜80℃程度で行う。酸化防止剤や粘度指数向上剤等の油溶性の添加剤を加える場合は、このときに加える。
<手順2:磁性粒子の混合>
手順1により調製した磁気粘性流体組成物用オイルと(1)磁性粒子とを混合し、分散剤を磁性粒子に吸着させる。混合機としては、自転・公転型プロペラレスミキサーや、プラネタリーミキサー、ホモジナイザー等が使用できる。
上記混合する材料は、あらかじめ60℃〜100℃程度に加熱することが望ましく、加熱したものを混合機に投入してもよい。
<手順3:レオロジーコントロール剤、その他の添加剤の混合>
手順2で磁性粒子を均一に混合したあと、(4)レオロジーコントロール剤、(5)その他の添加剤を混合する。手順2と同様、混合機としては、自転・公転型プロペラレスミキサーや、プラネタリーミキサー、ホモジナイザー等が使用できる。混合する材料は60℃〜100℃程度に加熱することが望ましく、あらかじめ加熱したものを混合機に投入してもよい。
上記手順1〜3を経て、本発明の磁気粘性流体組成物を好適に得ることができる。なお、本発明の磁気粘性流体組成物の製造方法は上記方法に限定されるものではない。
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は、これらの例によって何ら制限されるものではない。
実施例及び比較例では、以下の手順により磁気粘性流体組成物を調合し、それぞれの性能を評価した。結果は表中に示す。
<調合法>
(1)表1及び表2に示す成分の含有量になるように、磁気粘性流体組成物用オイルを配合し、ビーカーとマグネチックスターラーを用いて60℃で混合した。
(2)上記磁気粘性流体組成物用オイルと磁性粒子とを、表1及び表2に示す割合で配合し、80℃に加熱した後、自転・公転式プロペラレスミキサー((株)シンキー製、ARE-500)にて均一に攪拌した。磁性粒子が均一に混合された後、レオロジーコントロール剤及びその他の成分を、表1及び表2に示す割合で配合し、80℃に加熱した後、自転・公転式プロペラレスミキサーにて均一に攪拌し、磁気粘性流体組成物を調合した。
実施例及び比較例の磁気粘性流体組成物の調合に用いた成分は次の通りである。
<磁気粘性流体組成物用オイル>
・基油A:ポリ−α―オレフィン、40℃動粘度が17.1mm/sのもの
・基油B:カプリン酸と2‐ヘキシルデカノールとから合成されるモノエステル、炭素数26、40℃動粘度が9.0mm/sのもの
・分散剤A(2個以上の極性官能基を持つ化合物を含む分散剤):グリセロールモノステアレート(ヒドロキシル基を2つ有し、水酸基価が321mgKOH/gのもの)
・分散剤B(2個以上の極性官能基を持つ化合物を含む分散剤):ブタン酸ビニルモノマー(a)とエチレンモノマー(b)との共重合体(aとbのモル比が1:12、重量平均分子量(Mw)が5580)とブタン酸との混合物(酸価が28mgKOH/gであり、分散剤Bの全質量に対する共重合体の含有量は、97質量%)
・分散剤C:エルカ酸(カルボキシル基を1つ持ち、酸価が161mgKOH/gのもの)
・分散剤D:オレイルアミン(アミノ基を1つ持つ)
・粘度指数向上剤:非分散型PMA(ポリメタクリレート)、重量平均分子量が(Mw)が10万、希釈油:27質量%
・酸化防止剤A:ジアルキル化ジフェニルアミン
・酸化防止剤B:2,6−ジ−tert−p−クレゾール(DBPC)
<磁気粘性流体組成物>
・磁気粘性流体組成物用オイル:上記で調合した磁気粘性流体組成物用オイル
・カルボニル鉄粉(磁性流子):鉄含有率が99.7質量%、累積50%粒子径が4.5μmのもの
・レオロジーコントロール剤A:ベントナイトを4級アンモニウムカチオンで親油化処理したもので、Al含有率5.9質量%、Si含有率15質量%の有機化ベントナイト
・レオロジーコントロール剤B:ヒュームドシリカをジメチルジクロロシランで表面処理したもので、BET比表面積110±20m/g、平均1次粒子径が16nmの疎水性ヒュームドシリカ
なお、磁性粒子の粒子径は、粒度測定装置(マイクロトラック社製、商品名:FRA)を用いてレーザー回折散乱法により測定し、全粒子の小径側から累積した50%体積に相当する粒子の粒子径を平均した平均値である。
実施例及び比較例の磁気粘性流体組成物は、次の方法で評価した。
1.磁場印加時せん断応力試験及び磁場印加時せん断粘度試験
アントンパール社製レオメーター「MCR101」に、同社製「磁気粘弾性測定セル」を装着し、以下の試験条件にて磁場印加時のせん断応力及びせん断粘度を測定した。
(試験条件)
・測定治具:φ20mmパラレルプレート
・GAP:0.5mm
・温度:20℃
・せん断速度:100s−1 一定
・磁束密度:0.4T、0.8T
本試験においては、磁束密度が低い領域から高い領域までの広い領域において高いせん断粘度を示すものが磁場印加時の発生応力が高く好ましいこととなる。
2.磁場オフ時せん断粘度−速度依存性試験
アントンパール社製レオメーター「MCR101」により、以下の試験条件にて磁場オフ時のせん断粘度を測定した。
(試験条件)
・測定治具:φ20mmパラレルプレート
・GAP:0.5mm
・温度:20℃
・せん断速度:0.01s−1、100s−1 定速
本試験においては、低せん断領域では高粘度であり、かつ高せん断領域では低粘度であることが好ましい。なお、低せん断域領域と高せん断領域の粘度比をチキソインデックス(TI値)として定義する場合があり、本試験においては以下の式(1)によりTI値を算出した。
TI値=(0.01s−1でのせん断粘度)/(100s−1でのせん断粘度)・・・式(1)
上記式(1)において、TI値が高い方が、静置状態での磁性粒子の沈降を抑えつつ、使用時の高いせん断時には低粘度とすることが可能となるため、MRFの性能が高いことを示す。
3.磁場オン−オフ時の粘度試験
以下の式(2)により、磁場オン−オフ時における粘度変化の値を算出した。
磁場オン−オフ時における粘度変化=(磁束密度0.4T又は0.8Tのせん断粘度)−(磁場オフでの100s−1におけるせん断粘度)・・・式(2)
上記式(2)において、磁束密度0.4T又は0.8Tにおけるせん断粘度は、上記の「1.磁場印加時せん断応力試験及び磁場印加時せん断粘度試験」での測定結果を用い、磁場オフ時での100s−1におけるせん断粘度は、上記の「2.磁場オフ時せん断粘度−速度依存性試験」での測定結果を用いた。
磁場オン−オフにおける粘度変化が大きい磁気粘性流体組成物である方が、MR装置のトルク制御幅をより大きくすることが可能となるため好ましいこととなる。


結果から、実施例における磁場印加時のせん断応力が比較例に比べて高く、さらに、実施例におけるTI値が比較例よりも高いことから、磁場オフ時において、実施例は比較例よりも、磁性粒子の沈降をより抑えつつ、高せん断時にはより低粘度であることが示された。また、磁場オン−オフ時の粘度変化において、実施例は比較例に比べて大きいことが示された。
このように、本発明の磁気粘性流体組成物は、磁場印加時のせん断応力が高く、磁場オフ時における高せん断時での粘度が低いので、MR装置等に用いた場合のトルク制御幅を広くすることができ、かつ静置状態での磁性粒子の沈降を抑制することができるので、各種ダンパー、トルク伝達装置、クラッチ、ブレーキ、振動吸収装置などに有用である。

Claims (1)

  1. (1)累積50%粒子径が1μm〜30μmである磁性粒子と、
    (2)基油と、
    (3)2個以上の極性官能基を持つ化合物を含む分散剤と、
    (4)レオロジーコントロール剤と、
    を含有し、
    2個以上の極性官能基を持つ化合物が、脂肪酸ビニル重合体、又は、炭素数1〜36の2価のアルコールを、ヒドロキシカルボン酸の重合体にエステル結合させた化合物である、磁気粘性流体組成物。
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