JP2008115304A - 樹脂用ウレアグリース組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 優れた耐熱性、低トルク性及び樹脂の耐摩耗性を有する樹脂用ウレアグリース組成物を提供する。
【解決手段】40℃の動粘度が1〜2000mm2/sのポリアルファオレフィン及びシリコーン油から選ばれる少なくとも1種の基油と、特定のウレア系増ちょう剤を1〜20質量%、融点30〜120℃の脂肪酸アマイド、油脂系ワックス及びポリオレフィンワックスから選ばれる少なくとも1種の潤滑剤を1〜20質量%含有することを特徴とする樹脂摺動部で使用される樹脂用ウレアグリース組成物。
【選択図】なし
【解決手段】40℃の動粘度が1〜2000mm2/sのポリアルファオレフィン及びシリコーン油から選ばれる少なくとも1種の基油と、特定のウレア系増ちょう剤を1〜20質量%、融点30〜120℃の脂肪酸アマイド、油脂系ワックス及びポリオレフィンワックスから選ばれる少なくとも1種の潤滑剤を1〜20質量%含有することを特徴とする樹脂摺動部で使用される樹脂用ウレアグリース組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂摺動部の潤滑箇所へ適用でき、高温下での低トルク性と耐熱性に優れ、かつ樹脂の耐摩耗性に優れる樹脂用ウレアグリース組成物に関する。
樹脂を使用した軸受やギヤ等の樹脂摺動部に適用するグリース組成物には、潤滑膜を形成するZnDTP硫黄系及びリン系等の極圧添加剤を配合しても、金属表面と反応する等して潤滑効果が期待できないため、通常、固体潤滑剤を配合している。このような樹脂用グリース組成物に使用される固体潤滑剤としてはポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)粉末が最も多く用いられているが、その他の固体潤滑剤配合による潤滑性の向上についても試みられている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照。)。
一方、快適性及び省燃費の観点から、機器は低温から高温までスムーズに作動行うため、摺動部においては抵抗の低減、すなわち低トルク性が望まれている。
樹脂用グリースに使用される増ちょう剤としては、通常は、リチウム石けん等の金属石けん系を使用しているが、高温使用する場合には、ウレア系を使用することが多い。しかし、このウレア系増ちょう剤は、高温下で硬くなる性質があるために、抵抗が大きくなり、トルクが増大する傾向にある。
樹脂用グリースに使用される増ちょう剤としては、通常は、リチウム石けん等の金属石けん系を使用しているが、高温使用する場合には、ウレア系を使用することが多い。しかし、このウレア系増ちょう剤は、高温下で硬くなる性質があるために、抵抗が大きくなり、トルクが増大する傾向にある。
また、樹脂はその種類により摺動特性が異なるが、PTFE樹脂や高密度ポリエチレン樹脂(以下、高密度PE樹脂という。)は、特に低摩擦性に優れているため、低摩擦を目的とする摺動部に使用されている。そして、これらの樹脂は、摩擦時に分子配向をとった後、表面層が小片として剥離(摩耗)することにより低摩擦性を示す機構になっている。しかしながら、この剥離した摩耗粉が増えすぎると、グリースを硬化させ、本来の性能を充分に発揮できなくなる可能性がある。したがって、このような樹脂を使用する箇所では、樹脂の摩耗を抑制することが重要であり、樹脂の摩耗抑制効果に優れた樹脂用グリース組成物が要望されている。
本発明は、樹脂摺動部に適用する際に低トルク性、耐熱性及び耐摩耗性に優れた樹脂用ウレアグリース組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を達成するために、鋭意検討を重ねた結果、40℃の動粘度が1〜2000mm2/sのポリアルファオレフィン(以下、PAOという。)及びシリコーン油から選ばれる少なくとも1種の基油と、ウレア系増ちょう剤を1〜20質量%、及び、融点30〜120℃の脂肪酸アマイド、油脂系ワックス、ポリオレフィンワックスから選ばれる少なくとも1種の潤滑剤を1〜20質量%含有することことにより、ウレア系グリースの高温下での低トルク性を改善し、かつ、樹脂の耐摩耗性が向上することを見出した。
また、上記潤滑剤として、飽和脂肪酸アマイド又は油脂系ワックスを用い、基油としてシリコーン油を用いることにより、樹脂の耐摩耗性及び耐熱性がより一層向上することを見出した。また、上記組成物に、雲母、MCA(Melamine Cyanuric Acid)及び黒鉛から選ばれる層状構造を持つ化合物粉末の少なくとも1種を2〜40質量%含有し、上記ワックス系潤滑剤として、飽和脂肪酸アマイド又は油脂系ワックスを用い、基油としてシリコーン油を用いることにより、樹脂の耐摩耗性及び耐熱性がより一層向上することを見出した。
すなわち、本発明は、40℃の動粘度が1〜2000mm2/sのPAO及びシリコーン油から選ばれる少なくとも1種の基油と、一般式(1)で表されるウレア系増ちょう剤を1〜20質量%、及び、融点が30〜120℃の脂肪酸アマイド、油脂系ワックス及びポリオレフィンワックスから選ばれる少なくとも1種の潤滑剤を1〜20質量%含有することを特徴とする樹脂摺動部で使用される樹脂用ウレアグリース組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記樹脂用ウレアグリース組成物において、さらに、黒鉛、雲母及びMCA(Melamine Cyanuric Acid)から選ばれる層状構造を持つ化合物粉末の少なくとも1種を2〜40質量%含有する樹脂用ウレアグリース組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記樹脂用ウレアグリース組成物において、上記潤滑剤が、飽和脂肪酸アマイド又は油脂系ワックスである樹脂用ウレアグリース組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記樹脂用ウレアグリース組成物において、基油がシリコーン油である樹脂用ウレアグリース組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記樹脂用ウレアグリース組成物において、樹脂摺動部が、ポリテトラフルオロエチレン樹脂又は高密度ポリエチレン樹脂を使用している摺動部である樹脂用ウレアグリース組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記樹脂用ウレアグリース組成物において、基油がシリコーン油である樹脂用ウレアグリース組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記樹脂用ウレアグリース組成物において、樹脂摺動部が、ポリテトラフルオロエチレン樹脂又は高密度ポリエチレン樹脂を使用している摺動部である樹脂用ウレアグリース組成物を提供するものである。
本発明の樹脂用ウレアグリース組成物は、樹脂摺動部に適用する際に低トルク性、耐熱性及び耐摩耗性に優れている。従って、本発明の樹脂用ウレアグリース組成物は、実用上極めて有用である。
本発明に使用する基油は、PAO及びシリコーン油から選ばれる少なくとも1種である。
基油としてのPAOは、通常α−オレフィンの低重合体であり、α−オレフィンの10量体以下が好ましい。α−オレフィンとしては、炭素数が6〜18のα−オレフィンが好ましい。特に好ましいPAOは、炭素数10のα−デセン、あるいは炭素数12のα―ドデセンの3量体、4量体を中心に、それらの2量体や5量体以上のものを含有するものである。PAOの好適な製造例としては、炭素数が6〜18のαオレフィンを、低重合させ、水素添加処理する方法が挙げられる。
シリコーン油は、平均分子量3000〜15000のジメチルシリコーンあるいはフェニルメチルシリコーンを使用することが好ましい。
基油としてのPAOは、通常α−オレフィンの低重合体であり、α−オレフィンの10量体以下が好ましい。α−オレフィンとしては、炭素数が6〜18のα−オレフィンが好ましい。特に好ましいPAOは、炭素数10のα−デセン、あるいは炭素数12のα―ドデセンの3量体、4量体を中心に、それらの2量体や5量体以上のものを含有するものである。PAOの好適な製造例としては、炭素数が6〜18のαオレフィンを、低重合させ、水素添加処理する方法が挙げられる。
シリコーン油は、平均分子量3000〜15000のジメチルシリコーンあるいはフェニルメチルシリコーンを使用することが好ましい。
本発明で使用する基油は40℃における動粘度の値が、1〜2000mm2/sが好ましく、より好ましくは5〜1500mm2/s、特に好ましくは10〜1500mm2/sである。動粘度が、あまり小さすぎると耐摩耗性が低くなる傾向にある。動粘度が大きすぎると流動性が悪くなり、グリース本来の性能が出にくくなる傾向にある。
なお、本発明では、PAO及びシリコーン油から選ばれる少なくとも1種が必須成分であるが、性能を損なわない範囲で他の基油も適宜配合することができる。
具体例としては、通常グリースに使用される鉱油系潤滑油基油、合成系潤滑油基油又はこれらの混合系のもの、合成系基油としては、ジエステル類、ポリオールエステル類、ポリグリコール類、フェニルエーテル類等が挙げられる。
具体例としては、通常グリースに使用される鉱油系潤滑油基油、合成系潤滑油基油又はこれらの混合系のもの、合成系基油としては、ジエステル類、ポリオールエステル類、ポリグリコール類、フェニルエーテル類等が挙げられる。
本発明においては、PAO又はシリコーン油を使用することが好ましいが、耐熱性の観点から、シリコーン油を使用することが特に好ましい。
また、基油の含有量は、要求特性に応じて適宜選定することができるが、グリース全体量に対して通常55〜98質量%の範囲であり、好ましくは59〜95質量%の範囲である。
また、基油の含有量は、要求特性に応じて適宜選定することができるが、グリース全体量に対して通常55〜98質量%の範囲であり、好ましくは59〜95質量%の範囲である。
本発明の樹脂用ウレアグリース組成物は、融点が30〜120℃である脂肪酸アマイド、油脂系ワックス及びポリオレフィンワックスから選ばれる少なくとも1種の潤滑剤を含有する。ウレアグリースにこれらの潤滑剤を配合することで、高温下で生じるウレアグリースの硬化を抑制し、高温下での低トルク性を得られるとともに、良好な耐摩耗性をも得ることができる。
脂肪酸アマイドとして、炭素数14〜24の不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸が挙げられるが耐熱性の観点から飽和脂肪酸アマイドのほうが好ましい。脂肪酸アマイドの具体例としては、パルミチン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、エルカ酸アマイド等が挙げられる。
脂肪酸アマイドとして、炭素数14〜24の不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸が挙げられるが耐熱性の観点から飽和脂肪酸アマイドのほうが好ましい。脂肪酸アマイドの具体例としては、パルミチン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、エルカ酸アマイド等が挙げられる。
油脂系ワックスとしては、炭素数14〜24の脂肪酸を有するモノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライドが挙げられる。具体例としては、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、ステアリン酸トリグリセライド、硬化ひまし油等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスの具体例としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エチレンとプロピレンの共重合ワックス等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスの具体例としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エチレンとプロピレンの共重合ワックス等が挙げられる。
なお、これらの脂肪酸アマイド、油脂系ワックス及びポリオレフィンワックスの融点は30〜120℃であり、好ましくは40〜120℃であり、特に好ましくは50〜110℃である。融点が高いと、高温下でのウレアグリースの硬化を十分に抑制することができず、高温下で十分な低トルク性を得にくくなる。また、融点が低すぎても、所定のちょう度を得られない傾向にある。
また、これらの潤滑剤の好ましい含有量は1〜20質量%であり、より好ましくは3〜18質量%、特に好ましくは4〜15質量%である。
潤滑剤の含有量が少なすぎると、樹脂の耐摩耗性が低下する傾向にある。多すぎても、効果が飽和してしまう傾向にある。
また、本発明においては、潤滑剤として、脂肪酸アマイド及びワックス類使用するが、その中でも、樹脂の耐摩耗性の観点から脂肪酸アマイド、油脂系ワックスが好ましい。
また、これらの潤滑剤の好ましい含有量は1〜20質量%であり、より好ましくは3〜18質量%、特に好ましくは4〜15質量%である。
潤滑剤の含有量が少なすぎると、樹脂の耐摩耗性が低下する傾向にある。多すぎても、効果が飽和してしまう傾向にある。
また、本発明においては、潤滑剤として、脂肪酸アマイド及びワックス類使用するが、その中でも、樹脂の耐摩耗性の観点から脂肪酸アマイド、油脂系ワックスが好ましい。
本発明においては、さらに、雲母、MCA及び黒鉛から選ばれる層状構造を持つ化合物粉末から選ばれる少なくとも1種を配合することにより、より一層、耐摩耗性を向上させることができる。
雲母としては、下記一般式(2)で表されるものを使用することができる。
Al・Bm・C4・O10・D2 (2)
(式中、Aはナトリウム原子、カリウム原子、カルシウム原子、バリウム原子、ルビジウム原子及びストロンチウム原子から選ばれる1種以上、Bはマグネシウム原子、鉄原子、ニッケル原子、マンガン原子、アルミニウム原子及びリチウム原子から選ばれる1種以上、Cはケイ素原子、ゲルマニウム原子、アルミニウム原子、鉄原子及びホウ素原子から選ばれる1種以上、Dは水酸基又はフッ素原子であり、lは0.5〜1、mは2〜3である。)
雲母としては、下記一般式(2)で表されるものを使用することができる。
Al・Bm・C4・O10・D2 (2)
(式中、Aはナトリウム原子、カリウム原子、カルシウム原子、バリウム原子、ルビジウム原子及びストロンチウム原子から選ばれる1種以上、Bはマグネシウム原子、鉄原子、ニッケル原子、マンガン原子、アルミニウム原子及びリチウム原子から選ばれる1種以上、Cはケイ素原子、ゲルマニウム原子、アルミニウム原子、鉄原子及びホウ素原子から選ばれる1種以上、Dは水酸基又はフッ素原子であり、lは0.5〜1、mは2〜3である。)
雲母の具体例としては、白雲母KAl2(AlSi3O10)(OH)2、ソーダ雲母NaAl2(AlSi3O10)(OH)2、金雲母NaMg3(AlSi3O10)(OH)2、鱗雲母KLiAl(Si4O10)(OH)2等の天然雲母と、(OH)をFで置き換えたフッ素金雲母KMg3(AlSi3O10)F2 、フッ素四ケイ素雲母KMg2.5(Si4O10)F2、テニオライトKMg2Li(Si4O10)F2等のフッ素雲母が挙げられる。
上記MCAは、メラミンとシアヌル酸の付加物から成る白色微粉末である。MCA中のメラミンとシアヌル酸の割合は、0.7:1.3〜1.3:0.7(モル比)が好ましい。
上記グラファイト(黒鉛)は、大別して、人造黒鉛と天然黒鉛とに分けられる。人造黒鉛は、ピッチ・コークスをタール、ピッチ等により固めて1200℃位で焼成後、黒鉛炉で高温で処理することにより炭素の結晶が成長して造られたものである。また、天然黒鉛は天然の地熱と地下の高圧下で長い年月を経て黒鉛化したものである。本発明において用いる黒鉛としては、天然黒鉛が好ましい。また、天然黒鉛においては、その材質の違いにより鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土状黒鉛が挙げられるが、特に麟片状黒鉛又は鱗状黒鉛が好ましい。
上記グラファイト(黒鉛)は、大別して、人造黒鉛と天然黒鉛とに分けられる。人造黒鉛は、ピッチ・コークスをタール、ピッチ等により固めて1200℃位で焼成後、黒鉛炉で高温で処理することにより炭素の結晶が成長して造られたものである。また、天然黒鉛は天然の地熱と地下の高圧下で長い年月を経て黒鉛化したものである。本発明において用いる黒鉛としては、天然黒鉛が好ましい。また、天然黒鉛においては、その材質の違いにより鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土状黒鉛が挙げられるが、特に麟片状黒鉛又は鱗状黒鉛が好ましい。
上記の雲母、MCA、黒鉛の平均粒径は、0.1〜25μmが好ましく、2.1〜20μmがより好ましく、2.2〜15μmが特に好ましい。
特に、雲母の平均粒径は、0.8〜25μmが好ましく、2.1〜20μmが特に好ましい。また、MCAの平均粒径は、0.1〜3μmが好ましく、0.5〜3μmが特に好ましい。また、黒鉛の平均粒径は、1〜15μmが好ましく、2.1〜10μmが特に好ましい。特に、麟片状黒鉛及び鱗状黒鉛の平均粒径は、2.1〜10μmが好ましく、2.1〜8μmが特に好ましい。
特に、雲母の平均粒径は、0.8〜25μmが好ましく、2.1〜20μmが特に好ましい。また、MCAの平均粒径は、0.1〜3μmが好ましく、0.5〜3μmが特に好ましい。また、黒鉛の平均粒径は、1〜15μmが好ましく、2.1〜10μmが特に好ましい。特に、麟片状黒鉛及び鱗状黒鉛の平均粒径は、2.1〜10μmが好ましく、2.1〜8μmが特に好ましい。
上記の雲母、MCA、黒鉛の含有量は、これらの合計量で、その下限値は2質量%以上であるが、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは7質量%以上であり、特に好ましくは8質量%以上である。層状構造を持つ化合物粉末の含有量の上限値は、40質量%以下であるが、好ましくは25質量%以下であり、特に好ましくは20質量%以下である。上記含有量にすることで、より一層、耐摩耗性を向上させることができる。なお、上記含有量の上限値を超える量を配合しても、効果は飽和してしまう傾向にある。
本発明の樹脂用ウレアグリース組成物において使用される増ちょう剤は、ウレアである。
ウレアとしては下記一般式(1)のものが挙げられる。
ウレアとしては下記一般式(1)のものが挙げられる。
(式中、yは0〜3の整数であり、R1及びR4は炭素数1〜30の一価の炭化水素基であり、R2及びR3は炭素数1〜30の二価の炭化水素基である。)
一般式(1)において、yは0〜3の整数であり、好ましくは0又は1、より好ましくは0である。R1、R4は、炭素数1〜30の一価の炭化水素基であり、炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又はそれらの組み合わせであり、炭化水素基の炭素数は1〜30であり、好ましくは3〜22、より好ましくは6〜18である。R2及びR3は炭素数1〜30の二価の炭化水素基であり、炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又はそれらの組み合わせが挙げられる。炭化水素基の炭素数は1〜30であり、好ましくは3〜22、より好ましくは6〜18である。
一般式(1)のポリウレアは、通常はジアミンとジイソシアネートの反応により得られる。
一般式(1)において、yは0〜3の整数であり、好ましくは0又は1、より好ましくは0である。R1、R4は、炭素数1〜30の一価の炭化水素基であり、炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又はそれらの組み合わせであり、炭化水素基の炭素数は1〜30であり、好ましくは3〜22、より好ましくは6〜18である。R2及びR3は炭素数1〜30の二価の炭化水素基であり、炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又はそれらの組み合わせが挙げられる。炭化水素基の炭素数は1〜30であり、好ましくは3〜22、より好ましくは6〜18である。
一般式(1)のポリウレアは、通常はジアミンとジイソシアネートの反応により得られる。
ここで、R1、R4が脂肪族炭化水素基であるものを脂肪族ポリウレア化合物といい、R1、R4が脂環式炭化水素基であるものを脂環式ポリウレア化合物といい、R1、R4が芳香族炭化水素基であるものを芳香族ポリウレア化合物という。
上記増ちょう剤は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の樹脂用ウレアグリース組成物において使用される増ちょう剤は、本発明にちょう度を付与させるもので、好ましい含有量は1〜20質量%、より好ましくは2〜20質量%である。含有量が少なすぎると、グリース状にならずに所定のちょう度が得られない傾向にある。また、多すぎると、低トルク性が低下する傾向にある。
上記増ちょう剤は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の樹脂用ウレアグリース組成物において使用される増ちょう剤は、本発明にちょう度を付与させるもので、好ましい含有量は1〜20質量%、より好ましくは2〜20質量%である。含有量が少なすぎると、グリース状にならずに所定のちょう度が得られない傾向にある。また、多すぎると、低トルク性が低下する傾向にある。
また、本発明の樹脂用ウレアグリース組成物は、上記各成分の基油と増ちょう剤を配合するものであるが、必要に応じて、各種添加剤を適宜配合することができる。
添加剤としては、例えば、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレートなどの金属系清浄剤;アルケニルこはく酸イミド、アルケニルこはく酸イミド硼素化変性物、ベンジルアミン、アルキルポリアミンなどの分散剤、亜鉛系、硫黄系、リン系、アミン系、エステル系などの各種摩耗防止剤;ポリメタクリレート系、エチレンプロピレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体の水素化物あるいはポリイソブチレン等の各種粘度指数向上剤;2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどのアルキルフェノール類、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのビスフェノール類、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピオネートなどのフェノール系化合物、ナフチルアミン類やジアルキルジフェニルアミン類などの芳香族アミン化合物などの各種酸化防止剤;硫化オレフィン、硫化油脂、メチルトリクロロステアレート、塩素化ナフタレン、ヨウ素化ベンジル、フルオロアルキルポリシロキサン、ナフテン酸鉛などの極圧剤、ステアリン酸などのカルボン酸、ジカルボン酸、金属石鹸、カルボン酸アミン塩、重質スルホン酸の金属塩、多価アルコールのカルボン酸部分エステルなどの各種錆止め剤;ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾールなどの各種腐食防止剤などが挙げられる。
添加剤としては、例えば、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレートなどの金属系清浄剤;アルケニルこはく酸イミド、アルケニルこはく酸イミド硼素化変性物、ベンジルアミン、アルキルポリアミンなどの分散剤、亜鉛系、硫黄系、リン系、アミン系、エステル系などの各種摩耗防止剤;ポリメタクリレート系、エチレンプロピレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体の水素化物あるいはポリイソブチレン等の各種粘度指数向上剤;2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどのアルキルフェノール類、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのビスフェノール類、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピオネートなどのフェノール系化合物、ナフチルアミン類やジアルキルジフェニルアミン類などの芳香族アミン化合物などの各種酸化防止剤;硫化オレフィン、硫化油脂、メチルトリクロロステアレート、塩素化ナフタレン、ヨウ素化ベンジル、フルオロアルキルポリシロキサン、ナフテン酸鉛などの極圧剤、ステアリン酸などのカルボン酸、ジカルボン酸、金属石鹸、カルボン酸アミン塩、重質スルホン酸の金属塩、多価アルコールのカルボン酸部分エステルなどの各種錆止め剤;ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾールなどの各種腐食防止剤などが挙げられる。
添加剤は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1〜7及び比較例1〜5)
実施例及び比較例では、以下に示す*1〜*18成分を表1〜2に示した配合量(質量)の割合で含有させたグリース組成物を調製した。*1〜*18のうちの増ちょう剤は、その増ちょう剤の原料を基油に混合して、基油中でその原料を反応させて増ちょう剤にして、結果として*1〜*18の各成分を含有するグリース組成物を調製した。なお、グリース組成物は、*1〜*18の各成分を適宜混合し、ミル処理を行ってグリース中に増ちょう剤を均一に分散させ、調製した。
得られたグリース組成物は、それぞれ樹脂の耐摩耗性評価を行った。
実施例及び比較例では、以下に示す*1〜*18成分を表1〜2に示した配合量(質量)の割合で含有させたグリース組成物を調製した。*1〜*18のうちの増ちょう剤は、その増ちょう剤の原料を基油に混合して、基油中でその原料を反応させて増ちょう剤にして、結果として*1〜*18の各成分を含有するグリース組成物を調製した。なお、グリース組成物は、*1〜*18の各成分を適宜混合し、ミル処理を行ってグリース中に増ちょう剤を均一に分散させ、調製した。
得られたグリース組成物は、それぞれ樹脂の耐摩耗性評価を行った。
*1:脂肪族ジウレア(耐熱容器に表中の各基油とジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを投入し、加熱し、次に、オクチルアミンを約60℃付近で添加し、約40分間反応させ、その後、撹拌しながら170℃に加熱し、基油で冷却を行い、ミル処理を行うことによりジウレアの結晶を最適なものとし、基油中に混合分散させたグリースを調製した。)
(一般式(1)中、yは0であり、R1及びR4は炭素数8の一価の脂肪族炭化水素基であり、R2は炭素数13の二価の芳香族炭化水素基である。)
(一般式(1)中、yは0であり、R1及びR4は炭素数8の一価の脂肪族炭化水素基であり、R2は炭素数13の二価の芳香族炭化水素基である。)
*2:脂環式ジウレア(耐熱容器に表中の各基油とジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを投入し、加熱し、次に、シクロヘキシルアミンを約60℃付近で添加し、約40分間反応させ、その後、撹拌しながら110℃に加熱し、基油で冷却を行い、ミル処理を行うことによりジウレアの結晶を最適なものとし、基油中に混合分散させたグリースを調製した。)
(一般式(1)中、yは0であり、R1及びR4は炭素数6の一価の脂環式炭化水素基であり、R2は炭素数13の二価の芳香族炭化水素基である。)
(一般式(1)中、yは0であり、R1及びR4は炭素数6の一価の脂環式炭化水素基であり、R2は炭素数13の二価の芳香族炭化水素基である。)
*3:リチウム−12−ヒドロキシステアレート(耐熱容器に表中の各基油とリチウム−12−ヒドロキシステアレート(堺化学製;商品名;S7000H)を投入して加熱し、約200℃付近で溶解させ、基油で冷却を行い、ミル処理を行うことによりリチウム−12−ヒドロキシステアレートの結晶を最適なものとし、基油中に混合分散させたグリースを調製した。)
*4:リチウム−ステアレート(耐熱容器に表中の各基油とリチウムーステアレート(堺化学製;商品名;S7000)を投入して加熱し、約200℃付近で溶解させ、基油で冷却を行い、ミル処理を行うことによりリチウム−ステアレートの結晶を最適なものとし、基油中に混合分散させたグリースを調製した。
*5:鉱油系潤滑油基油(40℃動粘度:100mm2/sの水素化精製鉱油系潤滑油基油)
*6:PAO(40℃の動粘度:60mm2/sのポリアルファオレフィン)
*7:シリコーン油(40℃動粘度:380mm2/sのジメチルシリコーン)
*8:ステアリン酸アマイド(融点102℃)
*9:エチレンビスステアリン酸アマイド(融点145℃)
*10:ポリエチレンワックスA(融点98℃)
*11:ポリエチレンワックスB(融点136℃)
*12:硬化ひまし油(融点85℃)
*6:PAO(40℃の動粘度:60mm2/sのポリアルファオレフィン)
*7:シリコーン油(40℃動粘度:380mm2/sのジメチルシリコーン)
*8:ステアリン酸アマイド(融点102℃)
*9:エチレンビスステアリン酸アマイド(融点145℃)
*10:ポリエチレンワックスA(融点98℃)
*11:ポリエチレンワックスB(融点136℃)
*12:硬化ひまし油(融点85℃)
*13:ステアリン酸モノグリセライド(融点68℃)
*14:平均粒径5μmの鱗状黒鉛
*15:MCA(三菱化学社製:MCA)、平均粒径1μm
*16:雲母(コープケミカル社製:ミクロマイカSIMK<フッ素雲母>)、平均粒径2.5μm
*17:PTFE(ダイキン社製:ルブロン)
*18:酸化防止剤(ジフェニルアミン)
*14:平均粒径5μmの鱗状黒鉛
*15:MCA(三菱化学社製:MCA)、平均粒径1μm
*16:雲母(コープケミカル社製:ミクロマイカSIMK<フッ素雲母>)、平均粒径2.5μm
*17:PTFE(ダイキン社製:ルブロン)
*18:酸化防止剤(ジフェニルアミン)
(測定方法)
(1)温度−ちょう度特性
常温(25℃)のちょう度においてはJIS K2220に準拠し、不混和ちょう度を測定した。
また高温ちょう度(120℃)においてはISO13737に規定される試験方法で120℃におけるちょう度を測定した。
評価は、常温ちょう度と高温ちょう度の差(高温ちょう度−常温ちょう度)で行った。高温ちょう度−常温ちょう度の値がマイナスになると、高温下で硬くなる傾向を示すことになる。すなわち、高温下での低トルク性が劣ることを示す。
(1)温度−ちょう度特性
常温(25℃)のちょう度においてはJIS K2220に準拠し、不混和ちょう度を測定した。
また高温ちょう度(120℃)においてはISO13737に規定される試験方法で120℃におけるちょう度を測定した。
評価は、常温ちょう度と高温ちょう度の差(高温ちょう度−常温ちょう度)で行った。高温ちょう度−常温ちょう度の値がマイナスになると、高温下で硬くなる傾向を示すことになる。すなわち、高温下での低トルク性が劣ることを示す。
(2)樹脂の耐摩耗性試験
ファレックス型摩擦試験機を用いて行った。試験は、鋼製のピンとPTFE樹脂製ブロックを用いて摺動部にグリースを0.5g塗布し、ピン回転数500rpm、温度は成りゆきの下で、締め付け荷重50Nで5分間ならし運転を行い、次いで100Nで55分間本運転を行った。評価は、試験前後のブロックの重量減(摩耗量)を測定した。この摩耗量が少ないものほど、耐摩耗性が良好であることを示す。
ファレックス型摩擦試験機を用いて行った。試験は、鋼製のピンとPTFE樹脂製ブロックを用いて摺動部にグリースを0.5g塗布し、ピン回転数500rpm、温度は成りゆきの下で、締め付け荷重50Nで5分間ならし運転を行い、次いで100Nで55分間本運転を行った。評価は、試験前後のブロックの重量減(摩耗量)を測定した。この摩耗量が少ないものほど、耐摩耗性が良好であることを示す。
(3)耐熱性
薄膜加熱試験により行った。本試験は、鋼板にグリースを2mmの厚さに均一に塗り、150℃の恒温槽で96時間放置した。評価は、試験前後の全酸価を測定し、全酸価の増加度合いにより、以下の基準で行った。
◎:全酸価増加が1.0mgKOH/g未満である。
○:全酸価増加が1.0mgKOH/g以上、4.0mgKOH/g未満である。
△:全酸価増加が4.0mgKOH/g以上、6.0mgKOH/g未満である。
×:全酸価増加が6.0mgKOH/g以上である。
薄膜加熱試験により行った。本試験は、鋼板にグリースを2mmの厚さに均一に塗り、150℃の恒温槽で96時間放置した。評価は、試験前後の全酸価を測定し、全酸価の増加度合いにより、以下の基準で行った。
◎:全酸価増加が1.0mgKOH/g未満である。
○:全酸価増加が1.0mgKOH/g以上、4.0mgKOH/g未満である。
△:全酸価増加が4.0mgKOH/g以上、6.0mgKOH/g未満である。
×:全酸価増加が6.0mgKOH/g以上である。
本発明の樹脂用ウレアグリース組成物は、種々の樹脂摺動部に適用できるが、自動車、家電製品、OA機器等における樹脂摺動部の潤滑箇所に好適に適用できる。
Claims (5)
- さらに、雲母、MCA(Melamine Cyanuric Acid)及び黒鉛から選ばれる層状構造を持つ化合物粉末の少なくとも1種を2〜40質量%含有する請求項1に記載の樹脂用ウレアグリース組成物。
- 上記潤滑剤が、飽和脂肪酸アマイド又は油脂系ワックスである請求項1又は2に記載の樹脂用ウレアグリース組成物。
- 上記基油が、シリコーン油である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂用ウレアグリース組成物。
- 樹脂摺動部が、ポリテトラフルオロエチレン樹脂又は高密度ポリエチレン樹脂を使用している摺動部である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂用ウレアグリース組成物。
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