JP2021080429A - 潤滑油組成物 - Google Patents

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智也 小西
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Abstract

【課題】
本発明者らは、低摩耗、差動部耐焼き付性及び耐スコーリング性を有する潤滑油組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
(A) 潤滑油基油、
(B) 重量平均分子量10,000〜100,000を有する粘度指数向上剤、
(C) 硫黄系極圧剤、
(D) リン系極圧剤、及び
(E) 無灰分散剤
を含む潤滑油組成物であって、
前記(C)硫黄系極圧剤が(C1)チアジアゾールを含み、該チアジアゾールが硫黄原子を2つ以上有することを特徴とし、及び、100℃における動粘度2〜10mm/sを有することを特徴とする、前記潤滑油組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は潤滑油組成物、特に、自動車用として適用できる潤滑油組成物に関する。より詳細には、自動車用変速機用として好適な潤滑油組成物、自動車用ギヤ油用として好適な潤滑油組成物、さらにはハイブリッド自動車用として好適な潤滑油組成物に関する。
潤滑油組成物は自動車用及び機械用など多岐の用途に使用されている。近年、自動車用潤滑油組成物の低粘度化が、省燃費化の観点から求められている。しかし潤滑油組成物の低粘度化は油膜形成能に影響を及ぼす。低粘度化は、本来省燃費を実現させるためのものであるが、従来の潤滑油組成物として使用されたものをそのまま低粘度化しても、油膜形成能に劣るため、かえって摩擦が高くなることによって、省燃費を実現できなくなる場合がある。また、低粘度化によって、油膜形成能が低下すると、金属同士の直接的な接触が起こる結果、十分な潤滑がおこなわれなくなり、その結果として摩耗が激しくなるため、潤滑油組成物としての機能を十分に果たさなくなる。
特許文献1には、自動車用ギヤ油として好適に使用される潤滑油組成物が記載されており、基油、粘度指数向上剤、モリブデン系摩擦調整剤、ホウ素含有分散剤、並びに硫黄系極圧剤、リン系極圧剤、及び硫黄−リン系極圧剤から選ばれる少なくとも二種の極圧剤、又は硫黄−リン系極圧剤を含む潤滑油組成物が記載されている。特許文献1は、該潤滑油組成物は省燃費性と極圧性とを両立し、さらにはせん断安定性、酸化安定性、及び耐摩耗性を有すると記載している。
また特許文献2には、自動車用ギヤ油、とくにディファレンシャルギヤ油として好適な潤滑油組成物が記載されている。特定の硫黄系極圧剤を含む潤滑油組成物が、低粘度化してもベアリング摩耗、ギヤ歯面におけるスコーリングの発生を抑制できることを記載している。
特開2016−190897号公報 特開2017−132875号公報
上記特許文献はいずれも、低粘度化に伴う省燃費性に加えて、低摩耗、差動部耐焼き付性をさらに両立させることについては、課題として開示もなければ示唆もない。本発明者らは、低摩耗、差動部耐焼き付性及び耐スコーリング性を有する潤滑油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し、添加剤を特定することで低摩耗、差動部耐焼き付性及び耐スコーリング性を両立させることを検討したところ、特定構造のチアジアゾールを硫黄系極圧剤として使用し、さらに特定の重量平均分子量を有する粘度指数向上剤を含有する潤滑油組成物は、低摩耗、差動部耐焼き付性及び耐スコーリング性が低くなることを見出し、本発明を成すに至った。
即ち、本発明は、
(A) 潤滑油基油、
(B) 重量平均分子量10,000〜100,000を有する粘度指数向上剤、
(C) 硫黄系極圧剤、
(D) リン系極圧剤、及び
(E) 無灰分散剤
を含む潤滑油組成物であって、
前記(C)硫黄系極圧剤として(C1)チアジアゾールを含み、該チアジアゾールが硫黄原子を2つ以上有することを特徴とし、及び、100℃における動粘度2〜10mm/sを有することを特徴とする、前記潤滑油組成物を提供する。
本発明の好ましい態様は、以下のとおりである。
(1)前記(A)潤滑油基油が、ジエステル及びトリエステルから選ばれる少なくとも1種を含む。
(2)前記(B)粘度指数向上剤が、非分散型ポリメタクリレート又は分散型ポリメタクリレートから選ばれる少なくとも1種を含む
(3)前記(C1)2以上の硫黄原子を含むチアジアゾールが、2,5−ビス(ヒドロカルビルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(ヒドロカルビルチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−ヒドロカルビルジチオ−1,3−4−チアジアゾール又は2−メルカプト−5−ヒドロカルビルチオ−1,3,4−チアジアゾールから選ばれる少なくとも1種である。
(4)前記(C)硫黄系極圧剤が、さらに(C2)硫化オレフィン、(C3)硫化油脂、及び(C4)硫化エステルから選ばれる少なくとも1種を含む。
(5)前記(C)硫黄系極圧剤が活性硫黄量0.1〜40質量%を有する。
(6)前記(D)リン系極圧剤が、さらに(D1)リン酸エステルのアミン塩及び(D2)チオリン酸エステルアミン塩から選ばれる少なくとも1種を含む
(7)前記(D)リン系極圧剤が、(D3)リン酸エステル及び(D4)チオリン酸エステルから選ばれる少なくとも1種を含む
(8)前記(D)リン系極圧剤が、さらに(D5)亜リン酸エステル及び(D6)ホスホン酸エステルから選ばれる少なくとも1種を含む
(9)(D)リン系極圧剤が、さらに(D7)下記式(1)で表されるホスホン酸エステルオリゴマーを含む
Figure 2021080429
(式(1)中、Rは、互いに独立に、炭素数1〜20の一価炭化水素基であり、nは2〜10の整数である)。
(10)前記(E)無灰分散剤がポリアルキレンコハク酸イミドである。
(11)さらに(F)有機摩擦調整剤を含む。
(12)硫黄含有量が潤滑油組成物の全質量に対して0.3〜5質量%である。
(13)リン含有量が潤滑油組成物の全質量に対して1000〜2500質量ppmである。
(14)ホウ素含有量が潤滑油組成物の全質量に対して60〜400ppmである。
(15)ハイブリッド自動車用である潤滑油組成物。
(16)変速機油用である潤滑油組成物。
(17)ギヤ油用である潤滑油組成物。
本発明の潤滑油組成物は、低粘度した場合においても低摩擦を有し、且つ、ギヤ油に要求される摩耗防止性を有することができる。さらには、より低粘度化された条件において、前記効果に加えて、優れた耐スコーリング性及び差動部耐焼き付性を有する潤滑油組成物を与えることができる。本発明の潤滑油組成物は、特には、ハイブリッド自動車用、変速機用、及びギヤ油用として好適に使用することができる。
差動部耐焼き付性を測定するブロックオンリング摩擦試験の態様を示す模式図である。
(A)潤滑油基油
本発明における潤滑油基油は特に限定されることはなく、潤滑油基油として従来公知のものが使用できる。潤滑油基油としては、鉱油系基油、合成系基油、及びこれらの混合基油が挙げられる。
鉱油系基油の製法は限定されるものではない。鉱油系基油としては、水素化精製油、触媒異性化油などに溶剤脱蝋または水素化脱蝋などの処理を施した高度に精製されたパラフィン系鉱油(高粘度指数鉱油系潤滑油基油)が好ましい。また、上記以外の鉱油系基油としては、例えば、潤滑油原料をフェノール、フルフラールなどの芳香族抽出溶剤を用いた溶剤精製により得られるラフィネート、シリカ−アルミナを担体とするコバルト、モリブデンなどの水素化処理触媒を用いた水素化処理により得られる水素化処理油などが挙げられる。例えば、100ニュートラル油、150ニュートラル油、500ニュートラル油などを挙げることができる。
合成系基油としては、例えば、メタン等の天然ガスからフィッシャー・トロプシュ合成で得られたワックス等の原料を水素化分解処理及び水素化異性化処理して得られる基油(いわゆるフィッシャー・トロプシュ由来基油)、ポリ−α−オレフィン基油、ポリブテン、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、ポリグリコールエステル、エステル、リン酸エステル、及び、シリコン油などを挙げることができる。なお、ポリ−α−オレフィン(PAO)基油は、特に制限されるものではないが、例えば1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンオリゴマー、イソブテンオリゴマー並びにこれらの水素化物を使用できる。好ましくは本発明の(A)潤滑油基油は少なくとも1のエステルを含むのがよい。エステルを含むことにより耐スコーリング性を向上することができる。
エステルとしては、例えば、モノエステル、ジエステル、及びポリオールエステルが挙げられ、中でもジエステル、及びトリエステルが好ましい。ジエステルとしては、二塩基酸エステルが挙げられ、炭素数2〜30の二塩基酸エステルが好ましく、たとえば、ジオクチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、及びジトリデシルグルタレートを挙げることができ、特に、ジオクチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペートが好ましく、これらの混合物を使用することもできる。ポリオールエステルとしては、炭素数が6〜30のポリオールエステルが好ましく、たとえば、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、トリメチロールプロパンオレート、ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネートを挙げることができる。これらは2種以上の混合物であってもよい。好ましくは本発明の(A)潤滑油基油はジエステル及びトリエステルから選ばれる少なくとも1種を含むのがよい。
上記潤滑油基油は1種単独でも良いし、2種以上の併用であってもよい。2種以上の潤滑油基油を併用する場合は、鉱油系基油同士、合成系基油同士、または鉱油系基油と合成系基油の組合せであってよく、その態様は限定されない。
潤滑油基油の動粘度は、本発明の要旨を損なわない限り制限されることはない。特には、低粘度の潤滑油組成物を得るためには、潤滑油基油全体が100℃における動粘度1〜9mm/sを有することが好ましく、さらに好ましくは1〜8mm/s、一層好ましくは2〜6mm/sを有するのがよい。潤滑油基油の100℃における動粘度が前記上限値超であると、潤滑油組成物の低粘度化を図ることが困難となり、省燃費性を達成することが困難となる可能性がある。また100℃における動粘度が前記下限値未満であると、省燃費性は達成できるが、摩耗特性に悪影響を及ぼすことがある。
(B)粘度指数向上剤
本発明は、重量平均分子量10,000〜100,000を有する粘度指数向上剤を後述する特定の硫黄系極圧剤と併せて含有することを特徴とする。該重量平均分子量は、好ましくは10,000〜50,000であり、より好ましくは20,000〜50,000である。重量平均分子量が上記下限値未満であると、摩耗特性の改良が十分ではなくなる場合があり、上記上限値超では、耐焼き付性の改良が十分ではなくなる場合がある。
なお、粘度指数向上剤の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィ)を用いて、以下の条件により測定し、ポリスチレン換算したものである。
装置 :「HLC−802A」[東ソー(株)製]
カラム :「TSK gel GMH6」[東ソー(株)製]2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:100μl
検出装置 :屈折率検出器
粘度指数向上剤としては、例えば、非分散型ポリメタクリレート、分散型ポリメタクリレート、非分散型オレフィンコポリマー、分散型オレフィンコポリマー、ポリアルキルスチレン、スチレン−ブタジエン水添共重合体、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体、星状イソプレン等を含むものが挙げられる。さらに、少なくともポリオレフィンマクロマーに基づく繰返し単位と炭素数1〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに基づく繰返し単位とを主鎖に含む櫛形ポリマーを用いることもできる。この中では、非分散型ポリメタクリレート、分散型ポリメタクリレート、オレフィンコポリマー(ポリイソブチレン、エチレン−プロピレン共重合体)、分散型オレフィンコポリマーが好ましく、特に非分散型ポリメタクリレート及び分散型ポリメタクリレートから選ばれる少なくとも1種が好ましい。尚、分散型ポリメタクリレートとは含窒素極性モノマーを共重合させて成る分散性を有するポリメタクリレートであり、非分散型ポリメタクリレートとは、分子中に酸素または窒素を含んでおらず分散性能を有していないポリメタクリレートである。非分散型オレフィンコポリマーとしては、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられる。
分散型ポリメタクリレートとしては、メタクリレート単量体とエチレン性不飽和結合を有する含窒素単量体との共重合体を挙げることができる。前記エチレン性不飽和結合を有する含窒素単量体としては、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−メチル−5−ビニルピリジン、モルホリノメチルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレート、及びN−ビニルピロリドン及びこれらの混合物等を使用することができる。分散型ポリメタクリレートにおいて、全モノマー成分の合計質量に対する、前記エチレン性不飽和結合を有する含窒素単量体の仕込比率(質量比率)は特に限定されないが、モノマーの合計質量に対し0.5〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。本発明の潤滑油組成物においては、該分散型ポリメタクリレートを含有することが最も好ましい。これにより潤滑油組成物の差動部耐焼付性をより効果的に改善することができる。
粘度指数向上剤は通常、上記ポリマーと希釈油とから成る。粘度指数向上剤の量は、潤滑油組成物の全質量に対して0.001〜20質量%が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、2〜10質量%がさらに好ましい。
(C)硫黄系極圧剤
本発明の潤滑油組成物は、(C)硫黄系極圧剤が(C1)硫黄原子を2つ以上有するチアジアゾールを含むことを特徴とする。該(C1)成分は吸着性が高く、当該高吸着性チアジアゾールを後述する特定のリン系極圧剤と組合せて含むことにより、得られる潤滑油組成物の耐摩耗性、耐スコーリング性、及び差動部耐焼き付性を改良することができる。硫黄原子を2つ以上有するチアジアゾールを含まないと、差動部耐焼き付性の改良が不十分となるため好ましくない。該(C1)硫黄原子を2つ以上有するチアジアゾールとしては、硫黄原子を2以上含むチアジアゾールであれば、特に限定されることはないが、例えば、下記一般式(2)で示される1,3,4−チアジアゾール化合物、下記一般式(3)で示される1,2,4−チアジアゾール化合物、及び一般式(4)で示される1,4,5−チアジアゾール化合物が挙げられる。尚、本発明において(C)成分はリンを有する硫黄系極圧剤を包含しない。
Figure 2021080429
Figure 2021080429
Figure 2021080429
上記式(2)〜(4)中、R〜Rは、互いに独立に、水素原子、又は炭素数1〜30を有し、酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含むことができる、一価炭化水素基であり、a、b、c、d、e及びfはそれぞれ0〜8の整数であるが、a及びbのいずれかは1〜8の整数であり、c及びdのいずれかは1〜8の整数であり、e及びfのいずれかは1〜8の整数である。
炭素数1〜30の一価炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、及びアリールアルキル基を挙げることができる。
(C1)成分としては、上記の中でも特に一般式(2)で示される1,3,4−チアジアゾール化合物が好ましく、特には、2,5−ビス(ヒドロカルビルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(ヒドロカルビルチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−ヒドロカルビルジチオ−1,3,4−チアジアゾール又は2−メルカプト−5−ヒドロカルビルチオ−1,3,4−チアジアゾールから選ばれることが好ましい。
より詳細には、2,5−ビス(ジオクチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(ジ(2’−エチルヘキシル)ジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(t−ノリルチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(ジメチルヘキシルチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(オクタデセニルチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(メチルヘキサデセニルチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(2−ヒドロキシオクタデシルチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(n−オクトキシカルボニルメチルチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−(2−エチルヘキシルチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−(t−ノリルチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(t−ノリルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(ジメチルヘキシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(オクタデセニルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(メチルヘキサデセニルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(2−ヒドロキシオクタデシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(n−オクトキシカルボニルメチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−(2−エチルヘキシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−(t−ノリルジチオ)−1,3,4−チアジアゾールが挙げられる。中でも、2,5−ビス(ジオクチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(ジ(2’−エチルヘキシル)ジチオ)−1,3,4−チアジアゾールが好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、(C)硫黄系極圧剤として、さらに(C2)硫化オレフィン、(C3)硫化油脂、及び(C4)硫化エステルから選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
硫化オレフィン及びポリサルファイドは下記一般式(5)で表される。なお、後述するように、硫化オレフィンはオレフィン類を硫化して得られるものであり、ポリサルファイドはオレフィン類以外の炭化水素原料を硫化して得られる。
11−S−(R12−S−)−R13 (5)
上記式(5)中、R11及びR13は互いに独立に、一価の炭化水素基であり、例えば炭素数2〜20の、直鎖構造または分岐鎖を有する、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、及び、炭素数2〜26の芳香族炭化水素基等を挙げることができる。より詳細には、エチル基、プロピル基、ブチル基、ノニル基、ドデシル基、プロペニル基、ブテニル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、及びヘキシルフェニル基などがある。
上記式(5)中、R12は、炭素数2〜20の、直鎖構造または分岐鎖を有する、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、及び炭素数6〜26の芳香族炭化水素基等を挙げることができる。より詳細には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、及びフェニレン基などが挙げられる。
上記式(5)中、xは互いに独立に、1以上の整数であり、好ましくは1〜8の整数である。xが小さいと極圧性が小さくなり、xが大きすぎると熱酸化安定性が低下する傾向にある。極圧性及び熱酸化安定性を共に得るためには、括弧内に示される単位におけるxが1〜6の整数であるのが好ましく、より好ましくは2〜4の整数であり、特に好ましくは2または3である。
硫化オレフィンとしては、例えば、ポリイソブチレン及びテルペン類などのオレフィン類を、硫黄その他の硫化剤で硫化して得られるものが挙げられる。
ポリサルファイド化合物としては、例えば、ジイソブチルジサルファイド、ジオクチルポリサルファイド、ジ−tert−ブチルポリサルファイド、及びジ−tert−ベンジルポリサルファイドなどが挙げられる。
硫化油脂は、油脂と硫黄との反応生成物であり、油脂としてラード、牛脂、鯨油、パーム油、ヤシ油、ナタネ油などの動植物油脂を使用し、これを硫化反応して得られるものである。この反応生成物は、単一のものではなく、種々の物質の混合物であり、化学構造そのものは明確でない。
硫化エステルは、上記油脂と各種アルコールとの反応により得られる脂肪酸エステルを硫化することにより得られるものである。硫化油脂と同様、化学構造そのものは明確でない。
本発明において硫黄系極圧剤は活性硫黄を該極圧剤の質量に対して40質量%以下で有すること、好ましくは35質量%以下で有すること、より好ましくは33質量%以下で有することが好ましい。活性硫黄量が上記上限値超であると、金属腐食を起こすだけでなく、摩耗の発生を抑制することができなくなる。なお、活性硫黄量の下限値は、極圧性確保のためには、極圧剤の質量に対して0.1質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、一層好ましくは1質量%以上であるのがよい。
ここで、活性硫黄量とはASTM D1662に規定される方法により測定されるものである。ASTM D1662に基づく活性硫黄量は、より詳細には以下の手順により測定することができる。
1.200ml用のビーカーに硫黄系添加剤(活性硫黄系極圧剤)50gと銅粉5gを入れ、スターラで攪拌しながら温度を150℃まで上げる。
2.150℃に達したら、更に銅粉を5g加え、30分間攪拌する。
3.攪拌終了後、ASTM D130準拠の銅板をビーカーへ入れて浸漬させる。このとき、銅板に変色が見られたら、さらに銅粉を5g加えて30分間攪拌する(この操作を変色が認められなくなるまで続ける)。
4.銅板変色が認められなくなったら、ろ過により硫黄系添加剤中の銅粉を除去し、添加剤に含まれる硫黄量を測定する。
活性硫黄量は以下のように算出される。
活性硫黄量(質量%)=銅粉と反応前の硫黄量(質量%)−銅粉と反応後の硫黄量(質量%)
本発明の潤滑油組成物において上記硫黄系極圧剤の含有量は限定されることはないが、潤滑油組成物全体の質量に対して好ましくは0.1質量%〜15質量%、より好ましくは0.2質量%〜12質量%、さらに好ましくは0.3質量%〜10質量%である。含有量が上記上限値を超えると摩耗発生は抑制できるがスラッジが発生するようになり、場合により金属腐食を発生させることがあるため好ましくない。(C)硫黄系極圧剤は(C1)成分と他の硫黄系極圧剤との併用であってよく、特に好ましくは上述した(C2)硫化オレフィン、(C3)硫化油脂、及び(C4)硫化エステルから選ばれる少なくとも1種との併用である。(C1)硫黄原子を2つ以上有するチアジアゾールの量は、潤滑油組成物全体の質量に対して0.05質量%〜2質量%、より好ましくは0.1質量%〜1質量、さらに好ましくは0.12質量%〜0.5質量%であるのがよい。
本発明の潤滑油組成物において、硫黄含有量は限定されることはないが、潤滑油組成物全体の質量に対して好ましくは0.3〜5質量%、より好ましくは0.4〜4質量%、さらに好ましくは0.5〜3質量%である。含有量が上記上限値を超えると摩耗発生は抑制できるがスラッジが発生するようになり、場合により金属腐食を発生させることがあるため好ましくない。
(D)リン系極圧剤
本発明の潤滑油組成物においてリン系極圧剤の種類は特に制限されるものでない。好ましくは(D1)リン酸エステルのアミン塩及び(D2)チオリン酸エステルアミン塩から選ばれる少なくとも1種を含むのがよい。
(D1)リン酸エステルのアミン塩とは(RO)P(=O)(OH)3−b・(NH3−c3−bで表される、特に酸性リン酸エステルのアミン塩が使用される。前記式においてb,c=1又は2であり、b,cが異なる値を有する化合物の混合物であってもよい。上記式において、R及びRは、互いに独立に炭素数4〜30の一価炭化水素基であり、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。該一価炭化水素基としては、炭素数4〜30のアルキル基が好ましい。好ましくは炭素数4〜20のアルキル基であり、より好ましくは炭素数4〜16のアルキル基であるのがよい。(D1)成分は1種単独でも2種以上の併用であってもよい。
(D1)リン酸エステルのアミン塩の量は、特に限定されることはないが、潤滑油組成物全体の質量に対して、リン原子含有量として100〜1500質量ppmが好ましく、180〜1200質量ppmがより好ましく、200〜1000質量ppmがさらに好ましい。含有量が上記上限値を超えると、スラッジが発生する可能性があり好ましくない。含有量が上記下限値を下回ると、摩耗が高くなる可能性が高く、好ましくない。2種以上のリン酸エステルのアミン塩を併用する場合は合計としてのリン原子含有量が上記範囲を満たすように配合すればよい。
(D2)チオリン酸エステルのアミン塩とは、(RO)P(=X)(XH)3−d・(NH3−e3−dで表される。前記式において、d,e=1又は2であり、d,eが異なる値である化合物の混合物であってもよい。Xは酸素原子又は硫黄原子であるが、少なくとも1つは酸素原子である。上記式において、R及びRは、互いに独立に、炭素数4〜30のアルキル基であり、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。好ましくは炭素数4〜20のアルキル基であり、より好ましくは炭素数4〜16のアルキル基である。(D2)成分は1種単独でも2種以上の併用であってもよい。
(D2)チオリン酸エステルのアミン塩の量は、特に限定されることはないが、潤滑油組成物全体の質量に対して、リン原子含有量として100〜1500質量ppmが好ましく、180〜1200質量ppmがより好ましく、200〜1000質量ppmがさらに好ましい。含有量が上記上限値を超えると、スラッジが発生する可能性があり好ましくない。含有量が上記下限値を下回ると、摩耗が高くなる可能性が高く、好ましくない。2種以上のチオリン酸エステルのアミン塩を併用する場合は合計としてのリン原子含有量が上記範囲を満たすように配合すればよい。
本発明の潤滑油組成物は(D)リン系極圧剤として、(D3)リン酸エステル及び(D4)チオリン酸エステルから選ばれる少なくとも1種を含むこともできる。(D)リン系極圧剤は、該(D3)リン酸エステル及び(D4)チオリン酸エステルから選ばれる少なくとも1種のみであってもよいし、上述した(D1)リン酸エステルのアミン塩及び(D2)チオリン酸エステルアミン塩から選ばれる少なくとも1種との併用であってもよい。併用により材料適合性や酸化安定性がより向上する場合がある。
(D3)リン酸エステルは、(RO)P(=O)(OH)3−bで表される。特には、酸性リン酸エステが好ましい。前記式においてb=1又は2である。上記式において、Rは炭素数4〜30の一価炭化水素基であり、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。該一価炭化水素基としては、炭素数4〜30のアルキル基が好ましい。好ましくは炭素数4〜20のアルキル基であり、より好ましくは炭素数4〜16のアルキル基であるのがよい。(D3)成分は1種単独でも2種以上の併用であってもよい。
(D3)リン酸エステルの量は、特に限定されることはないが、潤滑油組成物全体の質量に対して、リン原子含有量として100〜1500質量ppmが好ましく、180〜1200質量ppmがより好ましく、200〜1000質量ppmがさらに好ましい。含有量が上記上限値を超えると、スラッジが発生する可能性があり好ましくない。含有量が上記下限値を下回ると、摩耗が高くなる可能性が高く、好ましくない。2種以上のリン酸エステルを併用する場合は合計としてのリン原子含有量が上記範囲を満たすように配合すればよい。
(D4)チオリン酸エステルとは、(RO)P(=X)(XH)3−dで表される。前記式において、d=1又は2である。Xは酸素原子又は硫黄原子であるが、少なくとも1つは酸素原子である。上記式において、Rは、炭素数4〜30のアルキル基であり、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。好ましくは炭素数4〜20のアルキル基であり、より好ましくは炭素数4〜16のアルキル基である。(D4)成分は1種単独でも2種以上の併用であってもよい。
(D4)チオリン酸エステルの量は、特に限定されることはないが、潤滑油組成物全体の質量に対して、リン原子含有量として100〜1500質量ppmが好ましく、180〜1200質量ppmがより好ましく、200〜1000質量ppmがさらに好ましい。含有量が上記上限値を超えると、スラッジが発生する可能性があり好ましくない。含有量が上記下限値を下回ると、摩耗が高くなる可能性が高く、好ましくない。2種以上のチオリン酸エステルを併用する場合は合計としてのリン原子含有量が上記範囲を満たすように配合すればよい。
本発明の潤滑油組成物は(D)リン系極圧剤として、上記(D1)〜(D4)成分から選ばれる少なくとも1種に加えて、さらに(D5)亜リン酸エステル及び(D6)ホスホン酸エステルから選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
(D5)亜リン酸エステルとは、例えば、下記式(6)又は(7)で表される化合物である。
(RO)P(=O)(OH)2−bH (6)
(RO)P (7)
上記式(6)においてb=1又は2であり、かつRは、互いに独立に、炭化水素基である。上記式(7)において、Rは、互いに独立に、炭化水素基である。R及びRの炭素原子数は特に制限されるものでない。
上記式(6)において、Rは、好ましくは炭素数4〜30のアルキル基であり、より好ましくは炭素数4〜20のアルキル基、さらに好ましくは炭素数4〜12のアルキル基、最も好ましくは炭素数4〜8のアルキル基であるのがよい。上記式(7)においてRは、好ましくは炭素数4〜30のアルキル基、より好ましくは炭素数4〜20のアルキル基、さらに好ましくは炭素数4〜12のアルキル基であり、最も好ましくは炭素数4〜8のアルキル基である。
上記亜リン酸エステルとしては、例えば、亜リン酸トリブチルエステル、亜リン酸ジブチルエステル、亜リン酸モノブチルエステル、亜リン酸トリペンチルエステル、亜リン酸ジペンチルエステル、亜リン酸モノペンチルエステル、亜リン酸トリヘキシルエステル、亜リン酸ジヘキシルエステル、亜リン酸モノヘキシルエステル、亜リン酸トリヘプチルエステル、亜リン酸ジヘプチルエステル、亜リン酸モノヘプチルエステル、亜リン酸トリオクチルエステル、亜リン酸ジオクチルエステル、及び亜リン酸モノオクチルエステルが挙げられる。中でも、亜リン酸トリブチルエステル、亜リン酸トリペンチルエステル、亜リン酸トリヘキシルエステル、亜リン酸トリヘプチルエステル、及び亜リン酸トリオクチルエステルが好ましい。
(D6)ホスホン酸エステルは、例えば、下記の式(8)で表すことができる。
(RO)(RO)(R10)P(=O) (8)
式(8)において、R及びRは、互いに独立に、水素原子又は一価炭化水素基であり、R及びRの少なくとも一方は一価炭化水素基であり、R10は一価炭化水素基である。R及びRは、互いに独立に、好ましくは、水素原子又は、炭素数1〜20の一価炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜12の一価炭化水素基であり、更に好ましくは炭素数1〜10の一価炭化水素基である。特に好ましくはアルキル基である。R10は、好ましくは炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、より好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数2〜20のアルキル基であり、最も好ましくは炭素数4〜18のアルキル基であり、特には炭素数8又は18のアルキル基である。
ホスホン酸エステルとしては、例えば、ブチルホスホン酸ジメチル、ブチルホスホン酸ジエチル、ブチルホスホン酸ジプロピル、ブチルホスホン酸ジブチル、ブチルホスホン酸ジペンチル、ブチルホスホン酸ジヘキシル、ブチルホスホン酸ジヘプチル、ブチルホスホン酸ジオクチル、ヘキシルホスホン酸ジメチル、ヘキシルホスホン酸ジエチル、ヘキシルホスホン酸ジプロピル、ヘキシルホスホン酸ジブチル、ヘキシルホスホン酸ジペンチル、ヘキシルホスホン酸ジヘキシル、ヘキシルホスホン酸ジヘプチル、ヘキシルホスホン酸ジオクチル、オクチルホスホン酸ジメチル、オクチルホスホン酸ジエチル、オクチルホスホン酸ジプロピル、オクチルホスホン酸ジブチル、オクチルホスホン酸ジペンチル、オクチルホスホン酸ジヘキシル、オクチルホスホン酸ジヘプチル、オクチルホスホン酸ジオクチル、デシルホスホン酸ジメチル、デシルホスホン酸ジエチル、デシルホスホン酸ジプロピル、デシルホスホン酸ジブチル、デシルホスホン酸ジヘキシル、デシルホスホン酸ジオクチル、デシルホスホン酸ジデシル、ドデシルホスホン酸ジメチル、ドデシルホスホン酸ジエチル、ドデシルホスホン酸ジプロピル、ドデシルホスホン酸ジブチル、ドデシルホスホン酸ジヘキシル、ドデシルホスホン酸ジオクチル、ドデシルホスホン酸ジデシル、ドデシルホスホン酸ジドデシル、テトラデシルホスホン酸ジメチル、テトラデシルホスホン酸ジエチル、テトラデシルホスホン酸ジプロピル、テトラデシルホスホン酸ジブチル、テトラデシルホスホン酸ジヘキシル、テトラデシルホスホン酸ジオクチル、テトラデシルホスホン酸ジデシル、テトラデシルホスホン酸ジドデシル、テトラデシルホスホン酸ジテトラデシル、ヘキサデシルホスホン酸ジメチル、ヘキサデシルホスホン酸ジエチル、ヘキサデシルホスホン酸ジプロピル、ヘキサデシルホスホン酸ジブチル、ヘキサデシルホスホン酸ジヘキシル、ヘキサデシルホスホン酸ジオクチル、ヘキサデシルホスホン酸ジデシル、ヘキサデシルホスホン酸ジドデシル、ヘキサデシルホスホン酸ジテトラデシル、オクタデシルホスホン酸ジメチル、オクタデシルホスホン酸ジエチル、オクタデシルホスホン酸ジプロピル、オクタデシルホスホン酸ジブチル、オクタデシルホスホン酸ジペンチル、オクタデシルホスホン酸ジヘキシル、オクタデシルホスホン酸ジヘプチル、オクタデシルホスホン酸ジオクチル、オクタデシルホスホン酸ジオクタデシルなどが挙げられる。
また、本発明の潤滑油組成物は(D)リン系極圧剤として、上記(D1)〜(D4)成分から選ばれる少なくとも1種、及び必要に応じて(D5)及び(D6)成分から選ばれる少なくとも1種に加えて、さらに(D7)下記式(1)で表されるホスホン酸エステルオリゴマーを含むことができる。
Figure 2021080429

(式(1)中、Rは、互いに独立に、炭素数1〜20の一価炭化水素基であり、nは2〜10の整数である)。
上記式(1)において、Rは、互いに独立に、炭素数1〜20の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜12の一価炭化水素基であり、更に好ましくは炭素数1〜10の一価炭化水素基であるのがよく、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、アルケニル基、及びアリール基を挙げることができ、より好ましくはアルキル基である。nは2〜10の整数であり、好ましくは 3〜6の整数であるのがよい。
潤滑油組成物中における(D)リン系極圧剤の総量は、特に限定されることないが、潤滑油組成物全質量に対するリン原子の合計含有量として1000〜2500質量ppmが好ましく、1100〜2300質量ppmがより好ましく、1300〜2200質量ppmがさらに好ましい。含有量が上記上限値を超えると、スラッジが発生する可能性があり、好ましくない。含有量が上記下限値を下回ると、摩擦が高くなる可能性が高く、省燃費に寄与しない可能性があり、好ましくない。2種以上を併用する場合は合計としてのリン原子含有量が上記範囲を満たすように配合すればよい。
(E)無灰分散剤
本発明において使用する(E)無灰分散剤は、従来公知のものであればよく、特に制限されるものでないが、ポリアルキレンコハク酸イミド又はそのホウ素化物であることが好ましい。
無灰分散剤は、ホウ素を有さなくてもよいし、ホウ素を有していてもよい。例えば、直鎖構造又は分枝構造を有する、炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物又はその誘導体、あるいはアルケニルコハク酸イミドの変性品等が挙げられる。無灰分散剤は1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、ホウ素化無灰分散剤を使用することもできる。ホウ素化無灰分散剤は潤滑油に用いられる任意の無灰分散剤をホウ素化したものである。ホウ素化は一般に、含窒素化合物にホウ酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和することにより行われる。
上記アルキル基又はアルケニル基の炭素数は、好ましくは40〜400であり、より好ましくは60〜350である。アルキル基及びアルケニル基の炭素数が前記下限値未満であると、化合物の潤滑油基油に対する溶解性が低下する傾向にある。また、アルキル基及びアルケニル基の炭素数が上記上限値を超えると、潤滑油組成物の低温流動性が悪化する傾向にある。上記アルキル基及びアルケニル基は、直鎖構造を有していても分枝構造を有していてもよい。好ましい態様としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマー、エチレンとプロピレンのコオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基又は分枝状アルケニル基等が挙げられる。
コハク酸イミドには、ポリアミンの一端に無水コハク酸が付加した、いわゆるモノタイプのコハク酸イミドと、ポリアミンの両端に無水コハク酸が付加した、いわゆるビスタイプのコハク酸イミドとがある。本発明の潤滑油組成物は、モノタイプ及びビスタイプのうちいずれか一方を含有してもよいし、あるいは双方を含有してもよい。
例えば、ホウ素化コハク酸イミドの製造方法としては、特公昭42−8013号公報及び同42−8014号公報、特開昭51−52381号公報、及び特開昭51−130408号公報等に開示されている方法等が挙げられる。具体的には例えば、アルコール類やヘキサン、キシレン等の有機溶媒、軽質潤滑油基油等にポリアミンとポリアルケニルコハク酸(無水物)にホウ酸、ホウ酸エステル、又はホウ酸塩等のホウ素化合物を混合し、適当な条件で加熱処理することにより得ることができる。この様にして得られるホウ素化コハク酸イミドに含まれるホウ素含有量は通常0.1〜4質量%とすることができる。特に、アルケニルコハク酸イミド化合物のホウ素変性化合物(ホウ素化コハク酸イミド)は耐熱性、酸化防止性及び摩耗防止性に優れるため好ましい。
ホウ素化無灰分散剤中に含まれるホウ素含有量は、特に制限はないが、0.01質量%〜7質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。ホウ素化無灰分散剤として好ましくはホウ素化コハク酸イミドであり、特にはホウ素化ビスコハク酸イミドが好ましい。ホウ素化無灰分散剤は、ホウ素/窒素質量比(B/N比)は特に制限されないが、0.1以上、好ましくは0.2以上を有するものであり、好ましくは0.5未満、より好ましくは0.4以下を有するものが好ましい。
(E)成分は、潤滑油組成物中に0.1〜3質量%有することが好ましく、0.1〜2質量%有することがさらに好ましく、0.2〜1質量%有することが最も好ましい。
なお、ホウ素化されたポリアルキレンコハク酸イミドを使用する場合、潤滑油組成物中に含まれるホウ素含有量は、特に限定されることはないが、60〜400ppmであることが好ましく、100〜380ppmであることがさらに好ましい。
(F)有機摩擦調整剤
本発明の潤滑油組成物は、必要に応じてさらに有機摩擦調整剤を含有することができる。有機摩擦調整剤を含むことにより、得られる潤滑油組成物の差動部耐焼付性をさらに改善することができる。有機摩擦調整剤とは、金属を有しない摩擦調整剤のことを意味する。例えば、アミン系摩擦調整剤、アミド系摩擦調整剤、エステル系摩擦調整剤及びエーテル系摩擦調整剤など、有機化合物により構成されるものである。特に好ましくはアミン系摩擦調整剤、エステル系摩擦調整剤であり、これにより、差動部耐焼付性をさらに改善することができる。潤滑油組成物中の有機摩擦調整剤の含有量は好ましくは0.1〜2質量%であり、より好ましくは0.2〜1.5質量%であり、さらに好ましくは0.2〜1質量%である。有機摩擦調整剤は、1種単独であってもよいし、2種以上の併用であってもよい。
アミン系摩擦調整剤としては、脂肪族アミン化合物が好ましい。該脂肪族アミン化合物としては、例えば、炭素数1〜30のアルキル基を有するアルキルアミン、炭素数2〜30のアルケニル基を有するアルケニルアミン、炭素数1〜30のアルキレン基を有するアルキレンジアミン、炭素数1〜30のアルキル基を有するポリアミン、及び脂環式アミンを挙げることができる。
炭素数1〜30のアルキル基を有するアルキルアミンにおいて、アルキル基は直鎖であってもよいし、分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素数は、好ましくは炭素数4〜28であり、より好ましくは炭素数6〜25である。
炭素数2〜30のアルケニル基を有するアルケニルアミンにおいて、アルケニル基は直鎖であっても分岐を有していてもよい。アルケニル基の炭素数は、好ましくは炭素数4〜28であり、より好ましくは炭素数6〜25である。例えば、エテニルアミン、プロペニルアミン、ブテニルアミン、オクテニルアミン、及びオレイルアミンが挙げられる。
炭素数1〜30のアルキレン基を有するアルキレンジアミンにおいて、アルキレン基は直鎖であっても分岐を有していてもよい。例えば、メチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、及びブチレンジアミンが挙げられる。
炭素数1〜30のアルキル基を有するポリアミンにおいてアルキル基は、直鎖であっても分岐を有していてもよい。例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及び、ペンタエチレンヘキサミンが挙げられる。
脂環式アミンとしては、シクロヘキシルアミン等を挙げることができる。アミド系摩擦調整剤としては、限定されることはないが、炭素数1〜30のアルキル基を有する飽和脂肪酸アミド、炭素数2〜30のアルケニル基を有する不飽和脂肪酸アミドを使用することが好ましい。これらは単独で使用してもよいし、混合して使用することもできる。
炭素数1〜30のアルキル基を有する飽和脂肪酸アミドとしては、エタン酸アミド、プロパン酸アミド、ブタン酸アミド、オクタン酸アミド、デカン酸アミド、ドデカン酸アミド、ヘキサデカン酸アミド、オクタデカン酸アミド、ドコサン酸アミドを挙げることができる。炭素数1〜30のアルキル基の炭素数として好ましくは炭素数4〜28であり、より好ましくは炭素数6〜25である。
炭素数2〜30のアルケニル基を有する不飽和脂肪酸アミドとしては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドを挙げることができる。炭素数2〜30のアルケニル基の炭素数として好ましくは炭素数4〜28であり、より好ましくは炭素数6〜25である。
エステル系摩擦調整剤としては、脂肪酸エステル系摩擦調整剤が好ましい。脂肪酸としては、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数2〜30のアルケニル基を有する脂肪酸が好ましい。アルケニル基は、直鎖であっても分岐を有していてもよいが、直鎖が好ましい。また、該脂肪酸エステルを調製するにあたり脂肪酸と反応させるアルコールは、1価アルコールでもよいし、多価アルコールでも良いが、多価アルコールであることが好ましい。例えば、2〜10価の多価アルコールである。
エステル系摩擦調整剤として、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸から選択される脂肪酸もしくはその混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンから選択されるアルコールもしくはその混合物を反応させて得られるエステルを挙げることができる。エステルの構造としては、多価アルコール中の水酸基全てがエステル化された完全エステルでもよく、水酸基の一部がエステル化されず水酸基のまま残存する部分エステルでもよい。中でも、炭素数16〜20の脂肪酸とグリセリンの部分エステルが好ましい。
エステル系摩擦調整剤として、より好ましくは、グリセリンモノオレート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、エチレングリコールモノオレート、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノラウレート等を挙げることができる。中でも、グリセリンモノオレート、グリセリンモノステアレート、及びグリセリンモノラウレートが特に好ましい。
更には、エーテル系摩擦調整剤としては分子内に水酸基を2つ以上有するエーテル化合物が挙げられ、好ましくは(ポリ)グリセリンエーテル化合物である。例えば下記式(9)にて表される。
11−O−(CH−CH(OH)−CH−O)−H (9)
上記式(9)において、R11は炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、例えば炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、及び炭素数7〜30のアラルキル基が挙げられる。該アルキル基及びアルケニル基は、直鎖、分岐、及び環状のいずれであってもよい。pは1〜10の整数である。特に好ましくはR11は、(ポリ)グリセリンエーテル化合物の性能及び入手の容易さなどの観点から、炭素数8〜20のアルキル基及びアルケニル基が好ましい。
上記(ポリ)グリセリンエーテル化合物としては、例えば、グリセリンモノドデシルエーテル、グリセリンモノテトラデシルエーテル、グリセリンモノヘキサデシルエーテル(「キミルアルコール」と同じ。)、グリセリンモノオクタデシルエーテル(「バチルアルコール」と同じ。)、グリセリンモノオレイルエーテル(「セラキルアルコール」と同じ。)、ジグリセリンモノドデシルエーテル、ジグリセリンモノテトラデシルエーテル、ジグリセリンモノヘキサデシルエーテル、ジグリセリンモノオクタデシルエーテル、ジグリセリンモノオレイルエーテル、トリグリセリンモノドデシルエーテル、トリグリセリンモノテトラデシルエーテル、トリグリセリンモノヘキサデシルエーテル、トリグリセリンモノオクタデシルエーテル、及びトリグリセリンモノオレイルエーテルが挙げられる。
上記有機摩擦調整剤の中でも、より好ましくはエステル系摩擦調整剤であり、グリセリンモノオレート、グリセリンモノステアレート、及びグリセリンモノラウレートが特に好ましく、潤滑油組成物の差動部耐焼付性をより効果的に改善することができる。
その他の添加剤
本発明の潤滑油組成物は、上記(A)〜(F)成分に加えて、その他の公知の添加剤を含有することができる。例えば、上記(F)成分以外の摩擦調整剤、摩耗防止剤、金属清浄剤、、酸化防止剤、金属不活性化剤、消泡剤、流動点降下剤、抗乳化剤、及び、防錆剤を挙げることができる。これらの添加剤は1種単独でも、2種以上の併用であってもよい。
上記(F)成分以外の摩擦調整剤としては、モリブデンを有する摩擦調整剤を使用することができ、モリブデンを有する摩擦調整剤としては、モリブデンジチオホスフェート(MoDTP)およびモリブデンジチオカーバメート(MoDTC)等の有機モリブデン化合物、さらに米国特許第5,906,968号に記載されている三核モリブデン化合物を使用することができ、有機摩擦調整剤としては、エステル、アミン、アミド、及び硫化エステルなどが挙げられる。上記のモリブデンを有する摩擦調整剤は、潤滑油組成物中に、モリブデン含有量として30〜800質量ppm配合することができ、上記の有機摩擦調整剤を使用する場合は、通常、潤滑油組成物中に0.01〜3質量%で配合される。
摩耗防止剤としては、従来公知のものを使用することができる。中でも、リンを有する摩耗防止剤が好ましく、特には下記式で示されるジチオリン酸亜鉛(ZnDTP(ZDDPともいう))が好ましい。
Figure 2021080429
上記式において、R及びRは、各々、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子または炭素数1〜26の一価炭化水素基である。一価炭化水素基としては、炭素数1〜26の第1級(プライマリー)または第2級(セカンダリー)アルキル基;炭素数2〜26のアルケニル基;炭素数6〜26のシクロアルキル基;炭素数6〜26のアリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基;またはエステル結合、エーテル結合、アルコール基またはカルボキシル基を含む炭化水素基である。R及びRは、好ましくは炭素数2〜12の、第1級または第2級アルキル基、炭素数8〜18のシクロアルキル基、炭素数8〜18のアルキルアリール基であり、各々、互いに同一であっても異なっていてもよい。特にはジアルキルジチオリン酸亜鉛が好ましく、第1級アルキル基は、炭素数3〜12を有することが好ましく、より好ましくは炭素数4〜10である。第2級アルキル基は、炭素数3〜12を有することが好ましく、より好ましくは炭素数3〜10である。上記ジチオリン酸亜鉛は1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。また、ジチオカルバミン酸亜鉛(ZnDTC)を組合せて使用してもよい。
摩耗防止剤を使用する場合は、潤滑油組成物中に、通常0.1〜5.0質量%で、好ましくは0.2〜3.0質量%で配合される。なお、潤滑油組成物中におけるリン量は、限定されないが、100〜1500ppmであることが好ましく、200〜1400ppmであることがより好ましく、300〜1300ppmであることが最も好ましい。
金属清浄剤としては、公知のものが使用できる。たとえば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を有する清浄剤を使用することができる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属としては、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びバリウムを使用することが好ましい。
金属清浄剤としては、例えば、ナトリウムサリシレート、ナトリウムスルホネート、ナトリウムフェネート、ナトリウムカルボキシレート、カルシウムサリシレート、カルシウムスルホネート、カルシウムフェネート、カルシウムカルボキシレート、マグネシウムサリシレート、マグネシウムスルホネート、マグネシウムフェネート、及びマグネシウムカルボキシレートが挙げられる。これらのうち、カルシウムサリシレート、カルシウムスルホネート、カルシウムフェネート、カルシウムカルボキシレート、マグネシウムサリシレート、マグネシウムスルホネート、マグネシウムフェネート、及びマグネシウムカルボキシレートが好ましく、カルシウムサリシレート、カルシウムスルホネート、マグネシウムサリシレート、及びマグネシウムスルホネートがより好ましい。これら金属清浄剤は、1種単独であっても、2種以上の併用であってもよい。2種以上を併用する場合は、同一の種類(たとえば、カルシウムサリシレート)で塩基価が異なるものを使用することもできる。また、併用する場合は、カルシウムサリシレート、カルシウムスルホネートから選ばれる1種と、マグネシウムサリシレート、マグネシウムスルホネートから選ばれる1種とを混合するように、カルシウム清浄剤とマグネシウム清浄剤との併用であってもよい。
上記金属清浄剤の塩基価は、5〜450mg/KOH・gが好ましく、70〜400mg/KOH・gがより好ましく、100〜400mg/KOH・gが最も好ましい。
金属不活性化剤は、公知の物を使用することができる。たとえば、ベンゾトリアゾール、1,3,4−チオジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメートなどが挙げられる。金属不活性化剤は、特に限定されないが、潤滑油組成物中に0.01〜5質量%で配合されることが好ましい。
消泡剤としては、例えば、25℃における動粘度が1000〜10万mm/sのシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリチレートとo−ヒドロキシベンジルアルコール等が挙げられる。消泡剤の含有量は、限定されることはないが、潤滑油組成物中に0.001〜1質量%で配合される。
流動点降下剤としては、例えば、使用する潤滑油基油に適合するポリメタクリレート系のポリマー等が使用できる。流動点降下剤の含有量は、限定されることはないが、潤滑油組成物中に0.01〜3質量%で配合されることが好ましい。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。抗乳化剤の含有量は、限定されることはないが、潤滑油組成物中に0.01〜5質量%で配合されることが好ましい。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられる。防錆剤の含有量は、限定されることはないが、潤滑油組成物中に0.01〜5質量%で配合されることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、省燃費性を確保するため、100℃の動粘度が2〜10mm/sであり、2〜8mm/sであることが好ましく、3〜8mm/sであることが好ましい。
潤滑油組成物中の硫黄含有量は0.3〜5質量%が好ましく、0.4〜4質量%がより好ましく、0.5〜3質量%がさらに好ましい。
潤滑油組成物中のリン含有量は1000〜2500ppmが好ましく、1100〜2300質量ppmがより好ましく、1300〜2200質量ppmがさらに好ましい。
潤滑油組成物中のホウ素含有量は60〜400ppmであることが好ましく、100〜380ppmであることがさらに好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、特に限定されることはないが、自動車用潤滑油、特にハイブリッド自動車用潤滑油として好適に使用することができる。また、本発明の潤滑油組成物は、特に、変速機油用潤滑油、ギヤ油用潤滑油として好適に使用することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例及び比較例の潤滑油組成物を構成する各成分は以下の通りである。
(A)潤滑油基油
(A−1)ポリα−オレフィン系基油(100℃の動粘度=40mm/s)(以下、PAO−1と称する)
(A−2)ポリα−オレフィン系基油(100℃の動粘度=600mm/s)(以下、PAO−2と称する)
(A−3)ジエステル(ジイソデシルアジペート)(以下、エステル−1と称する)
(A−4)トリエステル(トリメチロールプロパンと炭素数8〜12のカルボン酸とのエステルの混合物)(以下、エステル−2と称する)
(A−5)トリエステル(トリメチロールプロパンと炭素数8のカルボン酸とのエステル)(以下、エステル−3と称する)
(A−6)トリエステル(トリメチロールプロパンと炭素数12のカルボン酸とのエステル)(以下、エステル−4と称する)
(A−7)GTL基油(100℃の動粘度=3mm/s)(以下、GTL−1と称する)
(A−8)GTL基油(100℃の動粘度=4mm/s)(以下、GTL−2と称する)
(A−9)GTL基油(100℃の動粘度=8mm/s)(以下、GTL−3と称する)
(A−10)鉱油(100℃の動粘度=4mm/s、粘度指数=122)(以下、鉱油1と称する)
(B)粘度指数向上剤
(B−1)非分散型ポリメタクリレート(重量平均分子量 30,000)(以下、PMA−1と称する)
(B−2)非分散型ポリメタクリレート(重量平均分子量 45,000)(以下、PMA−2と称する)
(B−3)分散型ポリメタクリレート(重量平均分子量 45,000、メチルメタクリレートとジメチルアミノメチルメタクリレートとの共重合体、モノマー仕込比率95:5(質量比))
(以下、PMA−3と称する)
(B−4)非分散型ポリメタクリレート(重量平均分子量 200,000)(以下、PMA−4と称する)
(C)硫黄系極圧剤
(C−1)2,5−ビス(ジオクチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール(以下、高硫黄チアジアゾール−1と称する)
(C−2)2,5−ビス(ジ2’−エチルヘキシル)ジチオ)−1,3,4−チアジアゾール(以下、高硫黄チアジアゾール−2と称する)
(C−4)硫化オレフィン(活性硫黄量11質量%)(以下、硫化オレフィン−1と称する)
(C−5)硫化オレフィン(活性硫黄量32質量%)(以下、硫化オレフィン−2と称する)
(C−6)硫化油脂(活性硫黄量4.1質量%)
(C−7)硫化エステル(活性硫黄量1.4質量%)
(C’)比較用硫黄系極圧剤
(C−3)下記式で表される、2,5−ジメチル−1,3,4−チアジアゾール(以下、低硫黄チアジアゾールと称する)
Figure 2021080429
(D)リン系極圧剤
(D−1)チオリン酸エステルアミン塩(炭素数4〜12のアルキル基を有するものの混合物)
(D−2)リン酸エステルアミン塩(炭素数4〜12のアルキル基を有するものの混合物)
(D−3)チオリン酸エステル(炭素数4〜12のアルキル基を有するものの混合物)
(D−4)リン酸エステル(炭素数4〜12のアルキル基を有するものの混合物)
(D−5)炭素数18のアルキル基を有するホスホン酸エステル (以下、C18ホスホン酸エステルと称する)
(D−6)炭素数4のアルキル基を有する亜リン酸エステル(以下、C4亜リン酸エステルと称する)
(D−7)ホスホン酸エステルオリゴマー:一般式(1)において、Rが炭素数1〜4のアルキル基、nが3〜6である混合物(以下、ホスホン酸エステルオリゴマーAと称する)
(D−8)ホスホン酸エステルオリゴマー:
上述した一般式(1)において、Rが炭素数2〜5のアルキル基であり、nが2〜10である化合物の混合物(以下、ホスホン酸エステルオリゴマーBと称する)
(D−9)炭素数4のアルキル基を有する酸性リン酸エステル(以下、C4酸性リン酸エステルと称する)
(E)無灰分散剤
(E−1)ホウ素変性ポリイソブテニルコハク酸イミド(ビスイミドタイプ、ポリブテニル基の分子量2,000、窒素1.7質量%、ホウ素1.9質量%)
(F)有機摩擦調整剤
(F−1)グリセリンモノオレート
(F−2)グリセリンモノステアレート
(F−3)オレイン酸アミド
(G)モリブデン摩擦調整剤
(G−1)モリブデンジチオカーバメート (MoDTC、モリブデン含有量10質量%)
(H)その他の添加剤
流動点降下剤
実施例1〜23および比較例1〜5
表1〜3に示す量の各成分を混合して潤滑油組成物を調製した。
硫黄系極圧剤の量は質量部であり、括弧内に記載の値は潤滑油組成物全体の質量に対する硫黄の質量%である。
リン系極圧剤の量は質量部であり、括弧内に記載の値は潤滑油組成物全体の質量に対するリンの質量%である。
モリブデン摩擦調整剤の量は、括弧内に記載し、その値は潤滑油組成物全体の質量に対するモリブデンの質量%である。
有機摩擦調整剤、無灰分散剤及びその他の添加剤の量は質量部である。基油の量は、潤滑油組成物全体を100質量部とした質量部及び残部である。
得られた組成物について、以下の試験を行った。結果を表2及び4に示す。
(1)軸受側面摩耗:
ASTM D4172で規定される四球摩耗試験機を用い、以下の条件で試験を行い下球3球の摩耗痕径の平均値を算出した。油温:40℃、荷重:40kgf、回転数:100rpm、時間:60分。摩耗痕径が0.45mm以下となった場合を合格とした。
(2)シェルスコーリング特性
ASTM D4172で規定される四球摩耗試験機を用い、以下の条件で試験を行い、焼付きが発生した時の回転数を記録した。油温:室温、荷重:100kgf、回転数:30秒ごとに100rpmずつ増加。回転数(rpm)が1000以上となった場合を合格とした。
(3)差動部耐焼付き性
摺動面幅6mmのブロック試験片(鋼材(SAE O1)からなるFALEX社製標準試験片(硬さ RC58−63))と、相手となる外径35mm、幅9mmを有し鋼材からなるリング試験片(鋼材(SAE4620)からなるFALEX社製標準試験片(硬さ RC58−63))を用いて、ブロックオンリング焼付き試験を行った。回転数:1000rpm、油量:10μL、油温:室温として、44.5Nずつ荷重を増やし、焼付きが発生した際の面圧(GPa)を算出した。焼付き発生面圧が0.31(GPa)以上を合格とした。
Figure 2021080429
Figure 2021080429
Figure 2021080429
Figure 2021080429
Figure 2021080429
Figure 2021080429
Figure 2021080429
Figure 2021080429
Figure 2021080429
Figure 2021080429
表6に示す通り、比較例1に示す通り従来の潤滑油組成物をKV100=7mm/sまで低粘度化すると、油膜形成能が低いため摩耗が大きくなり、また耐スコーリング性、差動部耐焼き付性に劣る。該潤滑油組成物にホスホン酸エステルや亜リン酸エステル、及び酸性リン酸エステルを添加しても、耐摩耗性、耐スコーリング性、差動部耐焼き付性は改善されない(比較例2、3)。これに対し、上記表4〜6に示す通り、本発明の潤滑油組成物は、(B)特定の重量平均分子量を有する粘度指数向上剤及び(C1)高硫黄チアジアゾールを含むことで、組成物の粘度をKV100=7まで低粘度化しても、摩耗防止性に優れ、優れた耐スコーリング性及び差動部耐焼き付性を有することができる(実施例1〜23)。また当該差動部耐焼き付性は、粘度指数向上剤として分散型ポリメタクリレートを用い、有機摩擦調整剤をさらに含有することにより、より一層改善されることができる(実施例15〜23)。尚、本発明の粘度指数向上剤(B)を含むが、高硫黄チアジアゾールに替えて低硫黄チアジアゾールを含む比較例5の組成物では耐スコーリング特性に劣り、粘度指数向上剤の重量平均分子量が大きすぎる比較例4の組成物では差動部耐焼き付性に劣る。
本発明の潤滑油組成物は、特には、ハイブリッド自動車用、変速機用、及びギヤ油用として好適に使用することができる。
1 荷重
2 ブロック試験片
3 リング試験片
4 潤滑油組成物

Claims (18)

  1. (A) 潤滑油基油、
    (B) 重量平均分子量10,000〜100,000を有する粘度指数向上剤、
    (C) 硫黄系極圧剤、
    (D) リン系極圧剤、及び
    (E) 無灰分散剤
    を含む潤滑油組成物であって、
    前記(C)硫黄系極圧剤が(C1)チアジアゾールを含み、該チアジアゾールが硫黄原子を2つ以上有することを特徴とし、及び、100℃における動粘度2〜10mm/sを有することを特徴とする、前記潤滑油組成物。
  2. 前記(A)潤滑油基油が、ジエステル及びトリエステルから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1記載の潤滑油組成物。
  3. 前記(B)粘度指数向上剤が、非分散型ポリメタクリレート及び分散型ポリメタクリレートから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
  4. 前記(C1)硫黄原子を2つ以上有するチアジアゾールが、2,5−ビス(ヒドロカルビルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(ヒドロカルビルチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−ヒドロカルビルジチオ−1,3−4−チアジアゾール、及び2−メルカプト−5−ヒドロカルビルチオ−1,3,4−チアジアゾールから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  5. 前記(C)硫黄系極圧剤としてさらに、(C2)硫化オレフィン、(C3)硫化油脂、及び(C4)硫化エステルから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項4記載の潤滑油組成物。
  6. 前記(C)硫黄系極圧剤が活性硫黄量0.1〜40質量%を有する、請求項1〜5のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  7. 前記(D)リン系極圧剤が、(D1)リン酸エステルのアミン塩及び(D2)チオリン酸エステルアミン塩から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  8. 前記(D)リン系極圧剤が、(D3)リン酸エステル及び(D4)チオリン酸エステルから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜7のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  9. 前記(D)リン系極圧剤がさらに、(D5)亜リン酸エステル及び(D6)ホスホン酸エステルから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項7又は8に記載の潤滑油組成物。
  10. 前記(D)リン系極圧剤がさらに、(D7)下記式(1)で表されるホスホン酸エステルオリゴマーを含む、請求項7ないし9のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
    Figure 2021080429
    (式(1)中、Rは、互いに独立に、炭素数1〜20の一価炭化水素基であり、nは2〜10の整数である)。
  11. 前記(E)無灰分散剤がポリアルキレンコハク酸イミドである、請求項1〜10のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  12. さらに(F)有機摩擦調整剤を含む、請求項1〜11のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  13. 硫黄含有量が、潤滑油組成物の全質量に対して0.3〜5質量%である、請求項1〜12のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  14. リン含有量が、潤滑油組成物の全質量に対して1000〜2500質量ppmである、請求項1〜13のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  15. ホウ素含有量が、潤滑油組成物の全質量に対して60〜400質量ppmである、請求項1〜14のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  16. ハイブリッド自動車用である、請求項1〜15のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  17. 変速機油用である、請求項1〜16のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  18. ギヤ油用である、請求項1〜16のいずれか1項記載の潤滑油組成物。





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