JP6689845B2 - パール柄付き樹脂板の製造方法、並びに、成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献4にはまた、透光性樹脂成形基体上に偏光性被覆層が形成されており、前記被覆層はイオン重合硬化性樹脂中に異方性顔料が添加されてなり、前記異方性顔料同士は前記樹脂中において略一方向を向いていることを特徴とする偏光性樹脂成形体が開示されている(請求項2)。
特許文献4において、異方性顔料としては、偏光パールまたは偏光メタリック顔料が挙げられている(請求項4)。
特許文献4において、異方性顔料の添加量は、好ましくは透光性樹脂成形体中の樹脂100質量部に対して0.1〜30質量部であり、より好ましくは1〜10質量部である(請求項5、6)。
特許文献5にはまた、透明または半透明の合成樹脂より表面層が形成され、該表面層の裏面に偏光パールまたは偏光メタリック顔料を含む偏光層を設けたことを特徴とする偏光性樹脂成形体が開示されている(請求項2)。
特許文献5において、偏光パールまたは偏光メタリック顔料の添加量は好ましくは樹脂100質量部に対して0.1〜30質量部であり、より好ましくは1〜10質量部である(請求項11)。
虹彩を発現する粒子(a)と基材樹脂(c)とからなる樹脂成形品であって、
樹脂成形品の有意面における粒子(a)の表面積の占有率が0.001〜50%であり、
有意面における基材樹脂(c)の無彩色である部分の表面積と有彩色であり且つマンセル明度2以下の部分の表面積とを合わせた表面積の占有率が50〜99.999%である意匠性のある樹脂成形品が開示されている(請求項1)。
基材樹脂(R)とパール柄材(E)とを含むパール柄付き樹脂板であって、
パール柄材(E)は長径が30μm以上であるパール柄材(EL)を含み、
板厚をtとし、一方の板面から厚み方向に見て、0.2t〜0.4tの深さの範囲内に存在するパール柄材(EL)の個数をN2とし、0.8t〜0.98tの深さの範囲内に存在するパール柄材(EL)の個数をN5としたとき、N2/N5が0.1〜0.9を充足するものである。
本発明のパール柄付き樹脂板は、好ましくはキャスト成形法によって製造される。
キャスト成形法で製造された樹脂板では、鋳型の底面側であった面が「裏面」であり、その反対側の面が「表面」である。
樹脂板の表面と裏面が判別できない場合、少なくとも一方の板面から厚み方向に見て、上述のN2/N5が0.1〜0.9を充足すればよい。
本発明の樹脂板は、板状のまま、使用することができる。この場合、使用者の視認側の面が、樹脂板の表面である。
本発明の樹脂板は、真空成形法等の公知の成形方法にて、任意形状の成形品に二次成形することができる。この場合、樹脂板において、二次成形品の表面となる面(使用者の視認側の面)が、樹脂板の表面である。
図1および図2を参照して、説明する。図1は裁断前の板片の模式斜視図であり、図2は試料の模式斜視図である。
はじめに、製造された樹脂板を裁断して、平面視50mm角の板片10を得る(図1)。このとき、製造された樹脂板の側面が板片10に含まれないよう、製造された樹脂板の中央部から板片を切り出す。
ダイヤモンドブレードを装着したマイクロカッタ(株式会社マルトー社製「MC−201」)を用い、上記板片10の一側面10S(図示例では、手前側の側面)から1mm離れたところを一側面10Sに沿って厚み方向に裁断して、横50mm×縦t×奥行き1mmの直方体状の試料20を得る(図2)。
研磨剤(石原薬品(株)社製「ユニコンFMC830−P(超極細コンパウンド)」)を布に付着させた研磨布を用いて、試験者が上記試料20の裁断面20Cを研磨する。裁断面20Cについては、図1を参照されたい。
上記試料20の研磨面をデジタルマイクロスコープ((株)キーエンス社製「VHX−900」)を用いて撮影し、50倍の画像を得る。
得られた画像において、一方の板面(表裏が明確な場合は、表面)20Sから厚み方向に見て、0.02t〜0.2tの深さの範囲内に存在するパール柄材(EL)の個数N11、0.2t〜0.4tの深さの範囲内に存在するパール柄材(EL)の個数N12、および、0.8t〜0.98tの深さの範囲内に存在するパール柄材(EL)の個数N15を目視にて数える。
図2には、試料20において、一方の板面20Sから深さ0.2t、0.4t、0.6t、0.8tの位置を破線で示してある。
なお、パール柄材(EL)の個数N11を求める際、境界線上(一方の板面20Sから厚み方向に見て、0.02tの深さ線上および0.2tの深さ線上)に位置するパール柄材(EL)は、個数N11に含めるものとする。N12およびN15についても、同様である。
次に、N1/N5として、N11/N15を求める。同様に、N2/N5として、N12/N15を求める。
なお、本発明者らは、ある任意の深さ位置におけるパール柄材(EL)の個数分布は、画像の横方向と奥行き方向との間で有意な差はないことを確認している。したがって、N1/N5=N11/N15、N2/N5=N12/N15と見なせる。
本発明のパール柄付き樹脂板において、基材樹脂(R)100質量部に対して、パール柄材(E)の含有量が0.001〜0.1質量部であることが好ましい。
本発明のパール柄付き樹脂板において、パール柄材(E)は、表面が金属および/または金属酸化物で被覆されたマイカであることが好ましい。
本発明のパール柄付き樹脂板において、基材樹脂(R)はメタクリル系樹脂を含むことが好ましい。
本発明のパール柄付き樹脂板において、基材樹脂(R)は架橋アルキルメタクリレート系重合体を含むことが好ましい。
本発明の成形品は、上記の本発明のパール柄付き樹脂板を成形してなる二次成形品である。
上記の本発明のパール柄付き樹脂板の製造方法であって、
少なくとも1種の重合体と少なくとも1種の単量体と重合開始剤(A)とパール柄材(E)とを含むシラップ(S)を鋳型に注入し、重合硬化するものである。
本発明のパール柄付き樹脂板の製造方法において、シラップ(S)の重合開始温度における粘度を10〜600mPa・sとすることが好ましい。
粘度計としては、E型粘度計(東機産業(株)社製「TV−25」、タイプH)を用いる。
はじめに、重合開始温度に保温された恒温器内に、上記粘度計の測定用カップとロータとを載置する。粘度計の測定用カップとロータとが恒温器の保温温度に到達した後、粘度測定を行う。シリンジを用いて1.1mlのシラップを上記測定用カップの中央部に入れた後、この測定用カップを粘度計に取り付け、ロータ回転数が30rpmの条件で粘度を測定する。
シラップ(S)はさらに架橋剤(B)を含むことが好ましい。
試料5gをクロロホルム200mlで抽出処理し、濾過して採取した濾液にメタノールを添加して沈殿物を生成させる。この沈殿物を真空乾燥した後、その0.12gをテトラヒドロフラン20mlに溶解して、測定サンプルを得る。分子量測定装置として、島津製作所製「LC−9A」を用い、カラムとして島津製作所製「GPC−802」、「HSG−30」および「HSG−50」および昭和電工株式会社製「Shedex A−806」を用いて、GPCによる分子量の測定を行う。
本発明は、基材樹脂(R)とパール柄材(E)とを含むパール柄付き樹脂板に関する。
パール柄材(E)は、表面がパール光沢性を有する鱗片状粒子である。
板厚をtとし、一方の板面(表裏が明確な場合は、表面)から厚み方向に見て、0.2t〜0.4tの深さの範囲内に存在するパール柄材(EL)の個数をN2とし、0.8t〜0.98tの深さの範囲内に存在するパール柄材(EL)の個数をN5としたとき、N2/N5が0.1〜0.9を充足する。N2/N5は、好ましくは0.1〜0.7である。
本発明のパール柄付き樹脂板を二次成形することで、任意形状の二次成形品を得ることができる。本発明によれば、表面から奥行き方向にパール光沢が増し、パール光沢の奥行き性が上品で美しい二次成形品を提供することができる。
詳細については後記するが、製造方法を工夫することで、パール柄材(E)の厚み方向の個数分布を制御することができる。
基材樹脂(R)としては特に制限されず、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、不飽和エステル系樹脂 、飽和エステル系樹脂、エポキシ系樹脂、およびメラミン系樹脂等の透光性樹脂が好ましい。基材樹脂(R)は、1種または2種以上用いることができる。
パール柄材(E)としては特に制限されず、公知のものを使用することができる。
パール柄材(E)は、表面がパール光沢性を有する鱗片状粒子である。
パール柄材(E)としては、表面が金属および/または金属酸化物で被覆されたマイカが好ましく、表面が酸化チタンおよび/または酸化鉄等で被覆されたマイカが好ましい。
パール柄材(E)としては、市販品を用いることができる。市販のパール柄材(E)としては、メルク(株)社製の「Iriodin(登録商標)」シリーズ等が挙げられる。
原料段階のパール柄材を100個程度大小均一に選択し、各々のパール柄材について顕微鏡を用いて長径と厚みを観察し、パール柄材(EM)の個数割合を算出する。
基材樹脂(R)100質量部に対して、パール柄材(E)の含有量は好ましくは0.001〜0.1質量部、より好ましくは0.005〜0.09質量部、特に好ましくは0.006〜0.08質量部である。基材樹脂(R)100質量部に対するパール柄材(E)の含有量を0.001〜0.1質量部とすることで、表面にぎらつきがなく、上品なパール光沢性を有するパール柄付き樹脂板を安定的に提供することができる。
本発明では、パール柄材(E)を奥行き方向に良好に分布させることで、従来よりも少ない量で、上品で良好なパール光沢性を得ることができる。
基材樹脂(R)とパール柄材(E)とを含む本発明のパール柄付き樹脂板の製造方法は、特に制限されない。本発明のパール柄付き樹脂板の製造方法としては、キャスト成形法が好ましい。すなわち、少なくとも1種の重合体と少なくとも1種の単量体と重合開始剤(A)とパール柄材(E)とを含むシラップ(S)を鋳型に注入し、重合硬化する方法が好ましい。
溶解シラップは、アルキルメタクリレートを含む少なくとも1種の単量体を用いて重合された非架橋の直鎖状アルキルメタクリレート系重合体(P)を、アルキルメタクリレートを含む少なくとも1種の単量体(M1)に溶解したものである。
一次硬化工程の重合時間は板厚等に応じて決定され、例えば4mm板の場合、好ましくは1.0〜5時間である。一次硬化工程の重合時間により、樹脂板の深さ方向のパール柄材(E)の個数分布を制御することができる。一次硬化工程の重合時間が長くなる程、底面側に沈降するパール柄材(E)の量が多くなる傾向がある。
二次硬化工程の加熱温度と重合時間は特に制限されず、好ましくは90〜130℃、0.5〜5時間である。二次硬化工程の実施により、樹脂板の重合率が向上し、耐熱性および耐薬品性等の耐久性が向上する。
なお、本明細書において、「重合率」とは、仕込みの単量体の量(質量)に対する、重合反応に使用された単量体の量(質量)の割合である。
予備重合シラップまたは溶解シラップ(SP)、単量体(M2)、および架橋剤(B)の合計量を100質量部とする。
予備重合シラップまたは溶解シラップ(SP)の量は、30〜98質量部が好ましく、50〜95質量部がより好ましい。
単量体(M2)の量(複数種の場合は合計量)は、70〜2質量部が好ましく、50〜5質量部がより好ましい。
架橋剤(B)の量(複数種の場合は合計量)は、0.01〜1.5質量部が好ましく、0.3〜0.8質量部がより好ましい。架橋剤(B)の量が1.5質量部超では、高い寸法精度での曲げ加工あるいは深絞り加工等が困難となる恐れがある。
連鎖移動剤(C)の量(複数種の場合は合計量)は、0〜0.2質量部が好ましく、0〜0.05質量部がより好ましい。連鎖移動剤(C)の量が0.2質量部超では樹脂板の耐薬品性等の耐久性が低下する恐れがある。
重合開始剤(A)の量(複数種の場合は合計量)は、0.005〜0.3質量部が好ましく、この範囲内で原料の配合比に応じて最適な範囲内に調整することがより好ましい。
紫外線吸収剤(D)の量(複数種の場合は合計量)は、0〜0.2質量部が好ましく、0〜0.1質量部がより好ましい。紫外線吸収剤(D)の量が0.2質量部超では、樹脂板が着色する恐れがある。
シラップ(S)中における非架橋の直鎖状アルキルメタクリレート系重合体(P)の重量平均分子量(MW)は特に制限されず、10万〜150万が好ましく、70万〜120万がより好ましい。重量平均分子量(MW)が10万未満では、耐薬品性等の耐久性が低下する恐れがある。
上記用途において、樹脂板中の非架橋の直鎖状アルキルメタクリレート系重合体(P)の濃度は、5〜40質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。
また、非架橋の直鎖状アルキルメタクリレート系重合体(P)の重量平均分子量(MW)は10万〜150万が好ましく、70万〜120万がより好ましい。重量平均分子量(MW)が10万未満では、耐薬品性等の耐久性が低下する恐れがある。
樹脂板から樹脂片を採取し、2〜3mmの粒状に砕き、砕いた試料を0.1mgの精度を持つ天秤にて計量する。その後、砕いた試料を円筒ろ紙に入れてソックスレー抽出器でクロロホルムを溶媒に溶質分を抽出し、抽出残渣含む円筒ろ紙を48時間真空乾燥し、不溶分の質量を天秤にて計量する。これにより、架橋アルキルメタクリレート系重合体の濃度を算出できる。
また、同様の手法で、非架橋の直鎖状アルキルメタクリレート系重合体(P)を抽出し、それにより、その濃度および重量平均分子量(MW)を測定することができる。
本発明の成形品は、上記の本発明のパール柄付き樹脂板を任意形状に成形してなる二次成形品である。
なお、加熱軟化温度は、非接触式赤外線放射温度計(株式会社チノー社製「IR−TA」)を用いて、測定することができる。
本発明のパール柄付き樹脂板およびこれを用いた二次成形品は、良好なパール光沢を有し、高度な意匠性が求められる用途に好ましく用いることができる。
用途としては、広告塔、スタンド看板、袖看板、欄間看板、および屋上看板等の看板部品またはマーキングフィルム;ショーケース、仕切板、および店舗ディスプレイ等のディスプレイ部品;蛍光灯カバー、ムード照明カバー、ランプシェード、光天井、光壁、およびシャンデリア等の照明部品;ゲーム機カバー、および弾球遊技機カバー等のアミューズメント用部品;家具、ペンダント、およびミラー等のインテリア部品;ドア、ドーム、安全窓ガラス、間仕切り、階段腰板、バルコニー腰板、およびレジャー用建築物の屋根等の建築用部品;航空機風防、パイロット用バイザー、オートバイ風防、モーターボート風防、バス用遮光板、自動車用サイドバイザー、リアバイザー、ヘッドウィング、ヘッドライトカバー、自動車内装部材、およびバンパー等の自動車外装部材等の輸送機関係部品;音響映像用銘板、ステレオカバー、テレビ保護マスク、自動販売機、携帯電話、およびパソコン等の電子機器部品;保育器、およびレントゲン部品等の医療機器部品;機械カバー、計器カバー、実験装置、定規、文字盤、および観察窓等の機器関係部品;道路標識、案内板、カーブミラー、および防音壁等の交通関係部品;温室、大型水槽、箱水槽、時計パネル、バスタブ等の浴室部材、サニタリー、デスクマット、遊技部品、玩具、壁紙、および熔接時の顔面保護用マスク等の表面に設けられる加飾フィルム兼保護フィルム等が挙げられる。
上記の湾曲部を有する本発明の二次成形品は、浴槽、浴室、および洗面所等のサニタリー分野、並びにシステムキッチンの天板等の厨房分野等に好ましく利用できる。
本発明によれば、表面から奥行き方向にパール光沢が増し、パール光沢の奥行き性が上品で美しい二次成形品を提供することができる。
[測定法]
以下の実施例および比較例における測定法は以下の通りである。
(1)重量平均分子量(MW):
重合体の重量平均分子量(MW)は、[課題を解決するための手段]の項に規定する方法にて、測定した。
(2)シラップ(S)の重合開始温度における粘度:
シラップ(S)の重合開始温度における粘度は、[課題を解決するための手段]の項に規定する方法にて、測定した。なお、以下の実施例および比較例では、重合開始温度は65℃とし、65℃でのシラップ(S)の粘度を求めた。
(3)パール柄付き樹脂板のN11、N12、N15、N2/N5、およびN1/N5:
パール柄付き樹脂板のN11、N12、N15、N2/N5、およびN1/N5は、[課題を解決するための手段]の項に規定する方法にて、測定した。
以下の実施例および比較例では基材樹脂(R)として透明樹脂を用いたため、パール光沢性を目視評価しやすくするために、パール柄付き樹脂板の裏面(鋳型の底面側であった面)に、市販のアクリル系白色塗料を20μm厚みで塗工し、常温で硬化させた。上記パール柄付き樹脂板の表側から、表面に対して20°、50°、および90°の角度方向から、目視観察を実施した。なお、樹脂板の表面に対して平行方向が0°方向であり、樹脂板の表面に対して垂直方向が90°方向である。各角度方向からの観察において、パール光沢性およびパール光沢の奥行き性を目視評価し、下記基準にて判定した。
<パール光沢性の判定基準>
○(良):上品で美しいパール光沢性を有する。
△(可):パール光沢が少し弱めである、あるいは、パール光沢が少し強めで少し上品性に欠ける。
×(不可):パール光沢がない、あるいは、パール光沢が強く、表面にぎらつきがある。
<パール光沢の奥行き性の判定基準>
○(良):表面から奥行き方向にパール光沢が増し、かつ、パール光沢の奥行き性が上品で美しい。
△(可):パール光沢の奥行き性が少しある。
×(不可):パール光沢の奥行き性がない。
(シラップ(S)の製造)
メチルメタクリレート(MMA)に重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを添加し、撹拌しながら加熱し、直鎖状メチルメタクリレート重合体(PMMA)の重量平均分子量(MW)が約80万となるまで重合を行い、予備重合シラップを得た。この予備重合シラップを充分に自然冷却した。次いで、上記の予備重合シラップ75質量部に対して、単量体(M2)として、19.6質量部のMMAと5.0質量部のブチルアクリレート(BA)とを添加し、さらに、0.4質量部の架橋剤(B)を添加し、混合した。架橋剤(B)としては、上記一般式(X)で表され、n=4であるポリエチレングリコールジメタクリレートを用いた。
次いで、予備重合シラップと単量体(M2)と架橋剤(B)との合計100質量部に対して、パール柄材(E)を0.006質量部添加した。パール柄材(E)としては、ゴールドパール(メルク(株)社製「Iriodin(登録商標) 300 Gold Pearl」)を用いた。このパール柄材(E)は、天然マイカの表面が酸化チタンおよび酸化鉄等で被覆されたもので、アスペクト比1.1〜20.0、厚み0.5〜5μm、長径10〜500μmの鱗片状粒子を含む。
さらに、予備重合シラップと単量体(M2)と架橋剤(B)との合計100質量部に対して、重合開始剤(A)として、0.03質量部の2,2’−アゾビス(イソブチルニトリル)と0.025質量部の2,2’−アゾビス(2,4’-ジメチルバレロニトリル)を添加し、シラップ(S)を得た。得られたシラップ(S)の65℃における粘度は、230mPa・sであった。
上記で得られたシラップ(S)を脱泡処理した後、一対の強化ガラスと軟質塩化ビニル製ガスケットで構成された鋳型(内寸法:500mm角)に流し込み、65℃で2時間加熱して一次硬化させた。さらに120℃で2時間加熱して二次硬化させ、約60℃に冷却後、鋳型から取り出した。以上のようにして、500mm角、厚さ4mm(t=4mm)のパール柄付き樹脂板(一次成形品)を得た。得られたパール柄付き樹脂板について、N11、N12、N15、N2/N5、およびN1/N5を求めた。また、パール光沢性およびパール光沢の奥行き性の評価を実施した。
シラップ(S)の配合組成を変更する以外は実施例1と同様にして、パール柄付き樹脂板を製造した。
実施例1〜6、比較例1、2の各例における配合組成と評価結果を表1に示す。
表1に示すように、シラップ(S)の重合開始温度における粘度を10〜600mPa・s(10〜500mPa・s)とした実施例1〜6では、N2/N5が0.1〜0.9(0.1〜0.7)であり、N1/N5が0.1以下であるパール柄付き樹脂板を製造することができた。実施例1〜6で得られたパール柄付き樹脂板はいずれも、パール光沢性およびパール光沢の奥行き性を有し、意匠性が良好なものであった。
基材樹脂(R)100質量部に対して、パール柄材(E)の含有量を0.1質量部超とした実施例5で得られたパール柄付き樹脂板は、実施例1〜4に比して、パール光沢性が強めであったが、奥行き方向のパール柄材の分布は良好であった。
シラップ(S)の重合開始温度(65℃)における粘度を600mPa・s超とした比較例1では、キャスト成形時に裏面側にパール柄材(E)が充分に沈降せず、裏面側のパール柄材(E)の量が不充分となった。
シラップ(S)の重合開始温度(65℃)における粘度を10mPa・s未満とした比較例2では、キャスト成形時に裏面側にパール柄材(E)が沈降しすぎて、表面側のパール柄材(E)の量が不充分となった。
実施例1において得られたパール柄付き樹脂板(500mm角、厚さ4mm)を真空成形機のヒータで180℃に加熱した後、上面に開口部を有する枡状の型(外寸で、縦775mm、横1350mm、高さ530mm)の上に載せ、樹脂板の全周をクランプで把持した。この状態で型を押し上げた後、真空ポンプを用いて型と樹脂板との間の空間内の空気を抜くことで、樹脂板を枡状の型の内形状に沿わせ、上面に開口部を有する箱型に二次成形した。これを送風機を用いて約70℃まで自然冷却し、冷えて固まった二次成形品を型から取り外した。以上のようにして、外寸で、縦775mm、横1350mm、高さ530mmの上面に開口部を有する箱型の二次成形品を得た。得られた二次成形品は、全体的に上品で美しいパール光沢性を有し、かつ、表面から奥行き方向にパール光沢が増し、パール光沢の奥行き性が上品で美しいものであった。
Claims (6)
- 基材樹脂(R)とパール柄材(E)とを含むパール柄付き樹脂板の製造方法であって、
パール柄材(E)は長径が30μm以上であるパール柄材(EL)を含み、
板厚をtとし、一方の板面から厚み方向に見て、0.2t〜0.4tの深さの範囲内に存在するパール柄材(EL)の個数をN 2 とし、0.8t〜0.98tの深さの範囲内に存在するパール柄材(EL)の個数をN 5 としたとき、N 2 /N 5 が0.1〜0.9であり、
少なくとも1種の重合体と少なくとも1種の単量体と重合開始剤(A)とパール柄材(E)とを含むシラップ(S)を鋳型に注入し、重合硬化する、パール柄付き樹脂板の製造方法。 - シラップ(S)の重合開始温度における粘度を10〜600mPa・sとする、請求項1に記載のパール柄付き樹脂板の製造方法。
- シラップ(S)の65℃における粘度を10〜600mPa・sとする、請求項1に記載のパール柄付き樹脂板の製造方法。
- シラップ(S)は、少なくとも1種の非架橋の直鎖状アルキルメタクリレート系重合体と少なくとも1種のアルキルメタクリレートとを含む、請求項1〜3のいずれかに記載のパール柄付き樹脂板の製造方法。
- シラップ(S)はさらに架橋剤(B)を含む、請求項4に記載のパール柄付き樹脂板の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のパール柄付き樹脂板の製造方法により得られたパール柄付き樹脂板を加熱して軟化させ、軟化させた前記パール柄付き樹脂板に対して型を押圧し、真空成形する、成形品の製造方法。
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