JP7422753B2 - メタクリル共重合体ならびにそれの製造方法および成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、メタクリル共重合体ならびにそれの製造方法および成形品に関する。より詳細に、本発明は、加熱成形時における流動性に優れ且つ金型汚れの少ないメタクリル共重合体、ならびにそれの製造方法、および耐熱性が高く且つ力学強度が高い成形品に関する。
メタクリル樹脂は、高い透明性を有し、光学部材、照明部材、看板部材、装飾部材等に用いる成形品の材料として有用である。メタクリル樹脂の成形品が用いられているいくつかの分野では、成形品の軽量化または薄肉化が要望されている。
薄肉の成形品を得るためには、メタクリル樹脂が溶融時に高い流動性を有することが必要である。樹脂の流動性を高める方策としては、軟化温度またはガラス転移温度を下げること、分子量を下げること、分子量分布を広くすることなどが、一般に知られている。しかし、これらの方策をメタクリル樹脂に適用すると、耐熱性の低下、力学強度の低下などを引き起こす。このようなことを考慮して、引用文献1~3は、様々なメタクリル樹脂およびその製造方法を提案している。
WO 2013/161265 A1 特開2017-178975号公報 WO 2017/146169 A1
本発明の課題は、加熱成形時における流動性に優れ且つ金型汚れの少ないメタクリル共重合体、ならびにそれの製造方法、および耐熱性が高く且つ力学強度が高い成形品を提供することである。
上記課題を解決するために検討を重ねた結果、以下の形態を包含する本発明を完成するに至った。
〔1〕 メタクリル酸メチルに由来する単量体単位85.0~93.5質量%、式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する単量体単位0.3~2.0質量%、およびアクリル酸メチルに由来する単量体単位5.0~13.0質量%を含んで成り、
重量平均分子量Mwが48000~59000で、
数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが2.1以下で、且つ
ガラス転移温度Tgの230℃および3.8kg荷重の条件におけるメルトフローレートRに対する比Tg/Rが4.0~1.5℃・10分/gである、
メタクリル共重合体。

Figure 0007422753000001

[式(1)中、R1は炭素数8~24の非環状アルキル基を示し、R2は水素原子またはメチル基を示す。]
〔2〕 R1が炭素数8~24の直鎖アルキル基である、〔1〕に記載のメタクリル共重合体。
〔3〕 メタクリル酸メチルに由来する単量体単位に対する結合硫黄原子の量が0.4mol%以下であり、メルトフローレートRが、25g/10分以上である、〔1〕または〔2〕に記載のメタクリル共重合体。
〔4〕 〔1〕~〔3〕のいずれかひとつに記載のメタクリル共重合体を含むペレット状の成形材料。
〔5〕 〔1〕~〔3〕のいずれかひとつに記載のメタクリル共重合体を含む成形品。
〔6〕 厚さが0.5mm以下の板状である、〔5〕に記載の成形品。
〔7〕 〔4〕に記載の成形材料を射出成形して得られる光学部材。
〔8〕 メタクリル酸メチル、式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル、およびアクリル酸メチルを含む単量体を塊状重合法で重合反応させることを含む、〔1〕~〔3〕のいずれかひとつに記載のメタクリル共重合体の製造方法。
〔9〕 メタクリル酸メチル79.0~93.2質量%、式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル0.3~2.0質量%およびアクリル酸メチル6.5~19.0質量%を少なくとも含む単量体100質量部、連鎖移動剤0.42~0.52質量部ならびに重合開始剤を連続流通式反応器に平均滞留時間1.5~3時間で供給して、温度110~140℃にて溶媒を用いずに、重合転化率35~65%で重合反応させ、
次いで220~260℃にて加熱脱揮して未反応の単量体を除去することを含む、
メタクリル酸メチルに由来する単量体単位85.0~93.5質量%、式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する単量体単位0.3~2.0質量%、およびアクリル酸メチルに由来する単量体単位5.0~13.0質量%を含んで成り、重量平均分子量Mwが48000~59000で、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが2.1以下で、且つガラス転移温度Tgの230℃および3.8kg荷重の条件におけるメルトフローレートRに対する比Tg/Rが4.0~1.5℃・10分/gであるメタクリル共重合体の製造方法。
本発明のメタクリル共重合体は、流動性に優れ、シルバーストリーク、クラック、ヒケ、フローマーク、樹脂焼け、ガス汚れ、着色等などの成形不良を生じ難い。本発明のメタクリル共重合体を含む成形材料は、射出成形に適する。本発明のメタクリル共重合体を含む成形材料は、薄肉の成形品、例えば厚さ0.5mm以下の板を得るのに適している。本発明のメタクリル共重合体を含む成形品は、耐熱性および力学強度が高く、着色などの外観不良が無い。本発明のメタクリル共重合体を含む成形材料は、射出成形時のせん断による発熱が低く、また低い温度で且つ高い射出圧力においても射出成形できるので、得られる成形品の外観が良好である。
本発明のメタクリル共重合体は、メタクリル酸メチルに由来する単量体単位、式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル(以下、単量体(I)ということがある。)に由来する単量体単位、およびアクリル酸メチルに由来する単量体単位を含んで成るものである。メタクリル酸メチルに由来する単量体単位の含有量は、85~93.5質量%、好ましくは87.5~93.5質量%、より好ましくは88~93.5質量%である。式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する単量体単位の含有量は、0.3~2.0質量%、好ましくは0.3~1.5質量%、より好ましくは0.3~1.2質量%である。アクリル酸メチルに由来する単量体単位の含有量は、5.0~13質量%、好ましくは5.0~12.0質量%、より好ましくは5.5~10質量%である。本発明のメタクリル共重合体においては、メタクリル酸メチルに由来する単量体単位、単量体(I)に由来する単量体単位、およびアクリル酸メチルに由来する単量体単位の合計が、99質量%以上であることが好ましく、100質量%であることがより好ましい。
Figure 0007422753000002
式(1)中、R2は水素原子またはメチル基を示す。
式(1)中、R1は炭素数8~24の非環状アルキル基、好ましくは炭素数10~22の非環状アルキル基、より好ましくは炭素数10~18の非環状アルキル基を示す。流動性向上の観点から、式(1)中、R1は、好ましくは炭素数8~24の直鎖アルキル基、より好ましくは炭素数10~22の直鎖アルキル基、さらに好ましくは炭素数10~18の直鎖アルキル基である。
単量体(I)としては、例えば、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ウンデシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸n-トリデシル、(メタ)アクリル酸n-テトラデシル、(メタ)アクリル酸n-ペンタデシル、(メタ)アクリル酸n-ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸n-オクタデシル、(メタ)アクリル酸n-ノナデシル、(メタ)アクリル酸n-エイコシル、(メタ)アクリル酸n-ヘンエイコシル、(メタ)アクリル酸n-ドコシル、(メタ)アクリル酸n-トリコシル、(メタ)アクリル酸n-テトラコシルなどの(メタ)アクリル酸C8~24直鎖アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸2,4,6-トリメチルヘプチル、(メタ)アクリル酸2-ブチルオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチル-n-ドデシル、(メタ)アクリル酸2-メチル-n-テトラデシル、(メタ)アクリル酸イソヘキサデシル、(メタ)アクリル酸2-n-オクチル-n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソオクタデシル、(メタ) アクリル酸1-n-ヘキシル-n-トリデシル、(メタ)アクリル酸2-エチル-n-ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸イソイコシル、(メタ)アクリル酸1-n-オクチル-n-ペンタデシル、(メタ)アクリル酸2-n-デシル-n-テトラデシル等の(メタ)アクリル酸C8~24分岐アルキルエステルが挙げられる。単量体(I)は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明のメタクリル共重合体は、メタクリル酸メチルに由来する単量体単位、単量体(I)に由来する単量体単位、およびアクリル酸メチルに由来する単量体単位以外の単量体単位を有していてもよく、そのような単量体としては、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸へプチルなどの(メタ)アクリル酸C2~7非環状アルキルエステル;(メタ)アクリル酸ビシクロ[3.2.1]オクチル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[3.2.1.02,7]オクチル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル、(メタ)アクリル酸3,9:8,10-ジメタノトリシクロ[4.2.1.12,5]デシルなどの(メタ)アクリル酸C8~24環状アルキルエステル;スチレン、メチルスチレンなどの芳香族ビニル等を挙げることができる。これらの単量体単位の含有量は、1質量%以下であるのが好ましい。
本発明のメタクリル共重合体は、重量平均分子量Mwが、48000~59000、好ましくは48000~55000、より好ましくは49000~53000である。
また、本発明のメタクリル共重合体は、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが、2.1以下、好ましくは1.7以上2.0以下である。
重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定されたチャートを標準ポリスチレンの分子量に換算して得られる値である。
本発明のメタクリル共重合体は、ガラス転移温度Tgの230℃および3.8kg荷重の条件におけるメルトフローレートRに対する比Tg/Rが、4.0~1.5℃・10分/g、好ましくは3.5~1.5℃・10分/g、より好ましくは3.3~1.5℃・10分/gである。
ガラス転移温度は、JIS K7121に準拠して、示差走査熱量測定装置(島津製作所製、DSC-50(品番))を用いて、230℃まで一度昇温し、次いで室温まで冷却し、その後、室温から230℃までを10℃/分で昇温させる条件にてDSC曲線を測定した。2回目の昇温時に測定されるDSC曲線に基づいて定まる中間点ガラス転移温度(Tmg)である。メルトフローレートは、JIS K7210に準拠して、230℃、3.8kg荷重、10分間の条件で測定した値である。
本発明のメタクリル共重合体の、230℃、3.8kg荷重で測定したメルトフローレートRは、成形性、靭性などの観点から、下限が、好ましくは15g/10分、より好ましくは25g/10分であり、上限が、好ましくは60g/10分である。
本発明のメタクリル共重合体は、メタクリル酸メチルに由来する単量体単位に対する硫黄結合量が、好ましくは0.40モル%以下、より好ましくは0.30~0.38モル%、さらに好ましくは0.31~0.36モル%である。硫黄結合量は、メタクリル共重合体に、良好な成形性、少ない金型汚れ、および高い流動性を付与することに関係する。
結合硫黄原子の量は次のようにして決定される値Spである。
メタクリル共重合体をクロロホルムに溶解させて溶液を得る。この溶液をn-ヘキサンに添加して沈殿物を得る。該沈殿物を80℃で12時間以上真空下で乾燥させる。得られた乾燥品を適量精秤して、硫黄燃焼装置にセットし、温度400℃の反応炉で分解させ、生成したガスを温度900℃の炉に通し、次いで0.3%過酸化水素水で吸収する。得られた液(分解ガス水溶液)を純水で適宜希釈し、イオンクロマトグラフィ(DIONEX製ICS-1500,カラム:AS12A)により硫酸イオンを定量する。乾燥品の質量あたりの硫黄原子の質量Wp(質量%)からメタクリル酸メチルに由来する単量体単位に対する結合硫黄原子の量(モル%)を算出する。
本発明のメタクリル共重合体の製造方法は特に制限されない。例えば、ラジカル重合反応、アニオン重合反応などの公知の重合反応によって製造することができる。本発明においてはラジカル重合反応が好ましい。重合反応は、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法、または乳化重合法によって行うことができる。これらの重合方法のうち、不純物の混入が少ないことから塊状重合法が好ましい。塊状重合法においては重合転化率を35~65%にすることが好ましい。塊状重合法は連続流通式で行うことが好ましい。連続流通式塊状重合法においては反応器における平均滞留時間を1.5~3時間にすることが好ましい。
本発明に用いられるメタクリル共重合体の製造方法は、メタクリル酸メチル、単量体(I)およびアクリル酸メチルを含む単量体、好ましくはメタクリル酸メチル79.0~93.2質量%、単量体(I)0.3~2.0質量%およびアクリル酸メチル6.5~19.0質量%を含む単量体を塊状重合法で重合させることを含むものが好ましい。(メタ)アクリル酸非環状アルキルエステルおよびアクリル酸メチルは、メタクリル共重合体に、高い流動性、および低いガラス転移温度を与えることに関係する。
重合反応は、重合開始剤と、所定の単量体と、必要に応じて連鎖移動剤などとを用いて行われる。重合時の温度は、好ましくは100~150℃、より好ましくは110~140℃、さらに好ましくは120~140℃である。重合温度を低くするほど、本発明のメタクリル共重合体の耐熱性が高くなる傾向がある。
本発明に用いられる重合開始剤は特に限定されない。例えば、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系重合開始剤;t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネートなどの過酸化物系重合開始剤などを挙げることができる。本発明に用いられる重合開始剤は重合時の温度における半減期が1秒間~1分間であるものが好ましい。重合開始剤の使用量を少なめにすると、本発明のメタクリル共重合体は金型汚れが小さくなる傾向がある。金型汚れを小さくすることの観点から、例えば、重合に供される単量体の合計100質量部に対し、アゾビスイソブチロニトリルを、好ましくは0.02質量部以下、より好ましくは0.002質量部以上0.01質量部以下で用いることができる。
本発明に用いられる連鎖移動剤は特に限定されない。例えば、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン系連鎖移動剤; α-メチルスチレンダイマー; テルピノレンなどを挙げることができる。連鎖移動剤の使用量は、重合に供される単量体の合計100質量部に対し、好ましくは0.42~0.52質量部である。メルカプタン系連鎖移動剤の使用量を増やすほどメタクリル酸メチルに由来する単量体単位に対する硫黄結合量が増える。例えば、重合に供される単量体の合計100質量部に対し、n-オクチルメルカプタンを、好ましくは0.3質量部以上0.6質量部以下、より好ましくは0.41質量部以上0.50質量部以下で用いることができる。
重合反応後、反応生成物から未反応の単量体を除去することが好ましい。未反応の単量体の除去は、温度220~260℃にての加熱脱揮法にて行うことが好ましい。
本発明の成形材料は、本発明のメタクリル共重合体を含有するものである。本発明の成形材料は、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、染顔料、光拡散剤、有機色素、艶消し剤、耐衝撃性改質剤、蛍光体などの添加剤をさらに含有していてもよい。
酸化防止剤は、酸素存在下においてそれ単独で樹脂の酸化劣化防止に効果を有するものである。例えば、リン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などを挙げることができる。これらの中、着色による光学特性の劣化防止効果の観点から、リン系酸化防止剤やヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤との併用がより好ましい。
リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤とを併用する場合、リン系酸化防止剤/ヒンダードフェノール系酸化防止剤を質量比で0.2/1~2/1で使用するのが好ましく、0.5/1~1/1で使用するのがより好ましい。
リン系酸化防止剤としては、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト(ADEKA社製;商品名:アデカスタブHP-10)、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(BASF社製;商品名:IRUGAFOS168)、3,9-ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサー3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(ADEKA社製;商品名:アデカスタブPEP-36)などを挙げることができる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(BASF社製;商品名IRGANOX1010)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF社製;商品名IRGANOX1076)などが好ましい。
熱劣化防止剤としては、実質上無酸素の状態下で高熱にさらされたときに生じるポリマーラジカルを捕捉することによって樹脂の熱劣化を防止できるものである。
該熱劣化防止剤としては、2-t-ブチル-6-(3’-t-ブチル-5’-メチル-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGM)、2,4-ジt-アミル-6-(3’,5’-ジ-t-アミル-2’-ヒドロキシ-α-メチルベンジル)フェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGS)などが好ましい。
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する能力を有する化合物であり、主に光エネルギーを熱エネルギーに変換する機能を有すると言われるものである。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、ホルムアミジン類などを挙げることができる。これらの中でも、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、または波長380~450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが100dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール類は紫外線被曝による着色などの光学特性低下を抑制する効果が高いので、本発明の成形品を光学用途に適用する場合に用いる紫外線吸収剤として好ましい。ベンゾトリアゾール類としては、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(BASF社製;商品名TINUVIN329)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール(BASF社製;商品名TINUVIN234)、2,2‘-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-t-オクチルフェノール](ADEKA社製;LA-31)などが好ましい。
また、波長380~450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤は、得られる成形品の変色を抑制できる。このような紫外線吸収剤としては、2-エチル-2’-エトキシ-オキサルアニリド(クラリアントジャパン社製;商品名サンデユボアVSU)などを挙げることができる。
これら紫外線吸収剤の中、紫外線被照による樹脂劣化が抑えられるという観点からベンゾトリアゾール類が好ましく用いられる。
また、波長380nm以下の短波長を効率的に吸収したい場合は、トリアジン類の紫外線吸収剤が好ましく用いられる。このような紫外線吸収剤としては、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン(ADEKA社製;LA-F70)や、その類縁体であるヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASF社製;TINUVIN477やTINUVIN460)などを挙げることができる。
なお、紫外線吸収剤のモル吸光係数の最大値εmaxは、次のようにして測定する。シク
ロヘキサン1Lに紫外線吸収剤10.00mgを添加し、目視による観察で未溶解物がないように溶解させる。この溶液を1cm×1cm×3cmの石英ガラスセルに注入し、日立製作所社製U-3410型分光光度計を用いて、波長380~450nm、光路長1cmでの吸光度を測定する。紫外線吸収剤の分子量(MUV)と、測定された吸光度の最大値(Amax)とから次式により計算し、モル吸光係数の最大値εmaxを算出する。
εmax=[Amax/(10×10-3)]×MUV
光安定剤は、主に光による酸化で生成するラジカルを捕捉する機能を有すると言われる化合物である。好適な光安定剤としては、2,2,6,6-テトラアルキルピペリジン骨格を持つ化合物などのヒンダードアミン類を挙げることができる。
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアロアミド酸、メチレンビスステアロアミド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、パラフィンワックス、ケトンワックス、オクチルアルコール、硬化油などを挙げることができる。滑剤の使用量を増やすと、本発明のメタクリル樹脂組成物のメルトフローレートRを大きくし、流動性を高くする傾向がある。
離型剤としては、成形品の金型からの分離を容易にする機能を有する化合物である。離型剤としては、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール類;ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステルなどを挙げることができる。本発明においては、離型剤として、高級アルコール類とグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用することが好ましい。高級アルコール類とグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用する場合、高級アルコール類/グリセリン脂肪酸モノエステルの質量比が、2.5/1~3.5/1の範囲で使用するのが好ましく、2.8/1~3.2/1の範囲で使用するのがより好ましい。
高分子加工助剤としては、例えば、0.05~0.5μmの粒子径を有する重合体粒子を用いることができる。該重合体粒子は、単一組成比および単一極限粘度の重合体からなる単層粒子であってもよいし、また組成比または極限粘度の異なる2種以上の重合体からなる多層粒子であってもよい。この中でも、内層に低い極限粘度を有する重合体層を有し、外層に5dl/g以上の高い極限粘度を有する重合体層を有する2層構造の粒子が好ましいものとして挙げられる。高分子加工助剤は、極限粘度が3~6dl/gであることが好ましい。具体的には、三菱レイヨン社製メタブレン-Pシリーズや、ダウケミカル社製のパラロイドシリーズが挙げられる。高分子加工助剤の使用量は、メタクリル樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上5質量部以下である。高分子加工助剤の使用量が0.1質量部以上であると良好な加工特性が得られ、高分子加工助剤の使用量が5質量部以下であると表面平滑性が良好である。
耐衝撃性改質剤としては、アクリル系ゴムもしくはジエン系ゴムをコア層成分として含むコアシェル型改質剤;ゴム粒子を複数包含した改質剤などを挙げることができる。
有機色素としては、樹脂に対しては有害とされている紫外線を可視光線に変換する機能を有する化合物が好ましく用いられる。
光拡散剤や艶消し剤としては、ガラス微粒子、ポリシロキサン系架橋微粒子、架橋ポリマー微粒子、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどを挙げることができる。
蛍光体として、蛍光顔料、蛍光染料、蛍光白色染料、蛍光増白剤、蛍光漂白剤などを挙げることができる。
これらの添加剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの添加剤は、メタクリル共重合体を製造する際に添加してもよいし、製造されたメタクリル共重合体に添加してもよい。添加剤の合計量は、成形品の外観不良を抑制する観点から、メタクリル共重合体に対して、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
本発明のメタクリル共重合体または成形材料は、輸送、貯蔵などの利便性などを高めるために、ペレット、顆粒、粉末などの任意の形態にすることができる。
本発明の成形品は、本発明のメタクリル共重合体または成形材料に成形を施すことによって得られる。成形は、射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、真空成形法、キャスト成形法などの公知の方法で行うことができる。これらのうち、射出成形法が好ましい。本発明のメタクリル共重合体は、低いシリンダ温度において高い射出圧力で射出成形した場合でも、残留歪みが少なく且つ着色が殆んどない薄肉且つ広面積の成形品を高い生産効率で提供することができる。本発明のメタクリル共重合体は、射出成形において使用可能な金型の、厚さに対する樹脂流動長の比の最大値が、好ましくは450以上である。厚さに対する樹脂流動長の比の最大値が上記のように大きいと、本発明のメタクリル共重合体は薄肉の成形品の製造に好適である。本発明の好ましい形態の成形品は、板状であり、その厚さが、好ましくは0.5mm以下、さらに好ましくは0.45mm以下、特に好ましくは0.4mm以下、最も好ましくは0.35mm以下である。
本発明の成形品としては、例えば、広告塔、スタンド看板、袖看板、欄間看板、屋上看板などの看板部品;ショーケース、仕切板、店舗ディスプレイなどのディスプレイ部品;蛍光灯カバー、ムード照明カバー、ランプシェード、光天井、光壁、シャンデリアなどの照明部品;ペンダント、ミラーなどのインテリア部品;ドア、ドーム、安全窓ガラス、間仕切り、階段腰板、バルコニー腰板、レジャー用建築物の屋根などの建築用部品;航空機風防、パイロット用バイザー、オートバイ、モーターボート風防、バス用遮光板、自動車用サイドバイザー、リアバイザー、ヘッドウィング、ヘッドライトカバーなどの輸送機関係部品;音響映像用銘板、ステレオカバー、テレビ保護マスク、自動販売機などの電子機器部品;保育器、レントゲン部品などの医療機器部品;機械カバー、計器カバー、実験装置、定規、文字盤、観察窓などの機器関係部品;液晶保護板、導光板、導光フィルム、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、各種ディスプレイの前面板、拡散板、偏光子保護フィルム、偏光板保護フィルム、位相差フィルムなどの光学関係部品;道路標識、案内板、カーブミラー、防音壁などの交通関係部品;自動車内装用表面材、携帯電話の表面材、マーキングフィルムなどのフィルム部材;洗濯機の天蓋材やコントロールパネル、炊飯ジャーの天面パネルなどの家電製品用部材;その他、温室、大型水槽、箱水槽、時計パネル、バスタブ、サニタリー、デスクマット、遊技部品、玩具、熔接時の顔面保護用マスクなどが挙げられる。これらのうち、本発明のメタクリル共重合体は光学部材に好適であり、光学部材のなかでも、導光体に好適である。
導光体は、例えば、液晶表示素子のバックライトの一部材として用いられる。側面または背面にある光源からの光を導き、板面全体から均一に光を放射できるようにするものである。導光体の板面には光を均一に放射するためのミクロンサイズの凹凸を設けることがある。本発明のメタクリル共重合体を用いると、薄く(0.5mm以下)且つ広い面積の導光体を得ることができる。また、本発明のメタクリル共重合体を用いると、金型スタンパに刻まれたミクロンサイズの凹凸微細形状を成形品の表面に忠実に再現することができる。
次に実施例を示して本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は実施例によって制限されるものではない。
物性等の測定は以下の方法によって実施した。
(アクリル酸メチルに由来する単位(MA単位)の割合)
樹脂ペレット1gをジクロロメタン40mlに溶解させた。得られた溶液25μlを白金ボードに採取した。ジクロロメタンを除去し、熱分解ガスクロマトグラフ(島津製作所社製 GC-14A、熱分解炉温度:500℃、カラム:SGE BPX-5、温度条件:40℃で5分間保持→5℃/分で280℃まで昇温)により記録したクロマトグラムに基づいてMA単位の割合を算出した。
(単量体(I)に由来する単位の割合)
樹脂ペレット20mgを重クロロホルム0.75mlに溶解させた。得られた溶液について、1H-NMR(Bruker社製 ULTRA SHIELD 400 PLUS、溶媒:重クロロホルム(TMS含有))により、室温、積算回数64回で、1H-NMRスペクトルを測定した。TMSのピークを0ppmとし、3.60ppmのピーク(共重合体中のMMAのエステル基に隣接したメチル基水素)の積分値を300とした。

<メタクリル酸n-オクタデシルに由来する単位(ODMA単位)>
3.93ppmのピーク(共重合体中のメタクリル酸-nオクタデシルのエステル酸素に隣接したメチレン基水素)の積分値をXODMAとした。
メタクリル酸n-オクタデシルに由来する単位の割合WODMA(wt%)を以下の式により算出した。
AODMA=[(XODMA/2)/((XODMA/2)+100)]×100
WODMA=[(AODMA×338.58)/((100-AODMA)×100.14+AODMA×338.58)]×100

<アクリル酸n-ドデシルに由来する単位(DDA単位)>
3.98ppmのピーク(共重合体中のアクリル酸n-ドデシルのエステル酸素に隣接したメチレン基水素)の積分値をXDDAとした。
アクリル酸n-ドデシルに由来する単位の割合WDDA(wt%)を以下の式により算出した。
ADDA=[(XDA/2)/((XDDA/2)+100)]×100
WDDA=[(ADDA×240.39)/((100-ADDA)×100.14+ADDA×240.39)]×100

<アクリル酸n-オクタデシル単位(ODA単位)>
3.95ppmのピーク(共重合体中のアクリル酸n-オクタデシルのエステル酸素に隣接したメチレン基水素)の積分値をXODAとした。
アクリル酸n-オクタデシルに由来する単位の割合WODA(wt%)を以下の式により算出した。
AODA=[(XODA/2)/((XODA/2)+100)]×100
WODA=[(AODA×324.55)/((100-AODA)×100.14+AODA×324.55)]×100

<メタクリル酸n-ブチル単位(BMA単位)>
3.99ppmのピーク(共重合体中のメタクリル酸n-ブチルのエステル酸素に隣接したメチレン基水素)の積分値をXBMAとした。
メタクリル酸n-ブチルに由来する単位の割合WBMA(wt%)を以下の式により算出した。
ABMA=[(XBMA/2)/((XBMA/2)+100)]×100
WBMA=[(ABMA×142.20)/((100-ABMA)×100.14+ABMA×142.20)]×100
(重合転化率)
島津製作所社製ガスクロマトグラフGC-14Aに、カラムとしてGL Sciences Inc.製INERTCAP1(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m)を繋ぎ、下記の条件にて分析を行い、それに基づいて算出した。
injection温度=250℃
detector温度=250℃
温度条件:60℃で5分間保持→10℃/分で250℃まで昇温→250℃で10分間保持
(重量平均分子量Mw、分子量分布Mw/Mn)
GPC(ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー)により測定されたクロマトグラフから標準ポリスチレンの分子量に相当する値を共重合体の分子量とした。
装置:東ソー社製GPC装置HLC-8320
分離カラム:東ソー社製のTSKguardcoIumSuperHZ-HとTSKgeIHZM-MとTSKgeISuperHZ4000とを直列に連結
溶離剤:テトラヒドロフラン
溶離剤流量:0.35mI/分
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率(RI)
(結合硫黄原子(結合S)の量)
メタクリル共重合体をクロロホルムに溶解させて溶液を得る。この溶液をn-ヘキサンに添加して沈殿物を得る。該沈殿物を80℃で12時間以上真空下で乾燥させる。得られた乾燥品を適量精秤して、硫黄燃焼装置にセットし、温度400℃の反応炉で分解させ、生成したガスを温度900℃の炉に通し、次いで0.3%過酸化水素水で吸収する。得られた液(分解ガス水溶液)を純水で適宜希釈し、イオンクロマトグラフィ(DIONEX製ICS-1500,カラム:AS12A)により硫酸イオンを定量する。乾燥品の質量あたりの硫黄原子の質量Wp(質量%)を算出する。メタクリル共重合体に対するメタクリル酸メチル由来の構造単位の質量WMMA (質量%)を用いて、次式にて、メタクリル酸メチル由来の構造単位に対する、結合硫黄原子の量Sp(モル%)を算出する。
p=Wp×(100/32)/(WMMA/100)
(メルトフローレートR)
JIS K 7210に準拠して、230℃、3.8kg荷重、10分間の条件で測定した。
(ガラス転移温度Tg)
実施例で得られたメタクリル共重合体を、JIS K7121に準拠して、示差走査
熱量測定装置(島津製作所製、DSC-50(品番))を用いて、250℃まで一度昇温
し、次いで室温まで冷却し、その後、室温から200℃までを10℃/分で昇温させる条
件にてDSC曲線を測定した。2回目の昇温時に測定されるDSC曲線から求められる中
間点ガラス転移温度を本発明におけるガラス転移温度とした。
(曲げ強度)
実施例、比較例で得られたメタクリル共重合体の曲げ強度。この試験片を用いて、JIS K7171に準拠し、試験片厚さ4mmで測定した。
(射出成形性)
射出成形機(住友重機械工業社製:SE-180DU-HP)を使用し、シリンダ温度280℃、金型温度75℃、成形サイクル1分間で射出成形して、長辺205mm、短辺160mm、厚さ0.4mmの平板Sを製造した。平板Sは、厚さに対するゲートからの樹脂流動長さの比が475(=190mm/0.4mm)である。
平板Sの外観を観察し以下の指標で評価した。
○ : 割れおよびヒケがともに無い。
△ : ヒケが有る。
× : 割れが有る。
(金型汚れ)
名機製作所社製「M-100C」射出成形機を用いて、平板金型(成形品寸法:40mm×200mm×2mm)で、成形温度260℃、金型温度60℃、成形サイクル26秒および保圧無し(ショートショット)の条件で、40ショットの射出成形を行なった。金型表面の汚れ具合を調べ、以下の指標で評価した。
○ : 金型汚れ無し。
× : 金型汚れ有り。
(流動性)
射出成形機(住友重機械工業社製:SE-180EV-A-C360LGP(サーボ15G、スクリュウφ28))を使用し、シリンダ温度305℃、金型温度80℃、成形サイクル45秒間で射出成形して、長辺180mm、短辺160mm、厚さ0.3mmの平板Sを製造した。
平板Sの外観を観察し以下の指標で評価した。
◎ : 完全充填されており、ヒケも無い。
〇 : 完全充填されているが、僅かにヒケがある。
× : 完全充填されていない
実施例1~4および比較例1~8
撹拌機付オートクレーブAに、精製されたメタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸n-ドデシル(DDA)、アクリル酸n-オクタデシル(ODA)、メタクリル酸n-オクタデシル(ODMA)、メタクリル酸n-ブチル単位(BMA)およびアクリル酸メチル(MA)、ならびに2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)およびn-オクチルメルカプタン(n-OM)を、表1および表2に記載の割合で仕込み、均一に溶解させて重合原料を得た。
重合原料を、オートクレーブAから1.5kg/hrで、温度140℃に制御された槽型反応器に連続的に供給し、平均滞留時間120分間で塊状重合法によって重合反応させ、槽型反応器からメタクリル共重合体を含む液を連続的に排出した。重合転化率は57質量%であった。
次いで、反応器から排出された液を230℃に加温し、240℃に制御された二軸押出機に供給した。該二軸押出機において未反応単量体を主成分とする揮発分を除去して、メタクリル共重合体をストランドにして押し出した。該ストランドをペレタイザーでカットし、樹脂ペレットを得た。樹脂ペレットを用いて、重量平均分子量Mw、分子量分布Mw/Mn、各単量体単位の割合、結合硫黄原子(結合S)の量、ガラス転移温度Tg、メルトフローレートR、および曲げ強度を測定した。さらに樹脂ペレットを用いて射出成形性、流動性、および金型汚れの評価を行った。その結果を表1および2に示す。なお、表中の「pts.」および「%」は、「質量部」および「質量%」である。
Figure 0007422753000003
Figure 0007422753000004
実施例1~4で得られた重合体は、流動性が高く、射出成形性に優れ、金型汚れを生じなかった。その結果、実施例1~4で得られた成形品は、透明性、耐熱性、力学的強度、外観などに優れていた。一方、比較例1~8で得られた重合体は、流動性が低かったり、射出成形性に劣ったり、金型汚れを生じたりした。その結果、比較例1~8で得られた成形品は、耐熱性、力学的強度、外観などのいずれか少なくともひとつにおいて劣るところがあった。

Claims (9)

  1. メタクリル酸メチルに由来する単量体単位85.0~93.5質量%、式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する単量体単位0.3~2.0質量%、およびアクリル酸メチルに由来する単量体単位5.0~13.0質量%を含んで成り、
    重量平均分子量Mwが48000~59000で、
    数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが2.1以下で、且つ
    ガラス転移温度Tgの230℃および3.8kg荷重の条件におけるメルトフローレートRに対する比Tg/Rが4.0~1.5℃・10分/gである、
    メタクリル共重合体。

    Figure 0007422753000005

    [式(1)中、R1は炭素数8~24の非環状アルキル基を示し、R2は水素原子またはメチル基を示す。]
  2. 1が炭素数8~24の直鎖アルキル基である、請求項1に記載のメタクリル共重合体。
  3. メタクリル酸メチルに由来する単量体単位に対する結合硫黄原子の量が0.4mol%以下であり、メルトフローレートRが、25g/10分以上である、請求項1または2に記載のメタクリル共重合体。
  4. 請求項1~3のいずれかひとつに記載のメタクリル共重合体を含むペレット状の成形材料。
  5. 請求項1~3のいずれかひとつに記載のメタクリル共重合体を含む成形品。
  6. 厚さが0.5mm以下の板状である、請求項5に記載の成形品。
  7. 請求項4に記載の成形材料を射出成形して得られる光学部材。
  8. メタクリル酸メチル、式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル、およびアクリル酸メチルを含む単量体を塊状重合法で重合反応させることを含む、請求項1~3のいずれかひとつに記載のメタクリル共重合体の製造方法。
  9. メタクリル酸メチル79.0~93.2質量%、式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル0.3~2.0質量%およびアクリル酸メチル6.5~19.0質量%を含む単量体100質量部、連鎖移動剤0.42~0.52質量部ならびに重合開始剤を連続流通式反応器に平均滞留時間1.5~3時間で供給して、温度110~140℃にて溶媒を用いずに、重合転化率35~65%で重合反応させ、
    次いで220~260℃にて加熱脱揮して未反応の単量体を除去することを含む、
    メタクリル酸メチルに由来する単量体単位85.0~93.5質量%、式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する単量体単位0.3~2.0質量%、およびアクリル酸メチルに由来する単量体単位5.0~13.0質量%を含んで成り、重量平均分子量Mwが48000~59000で、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが2.1以下で、且つガラス転移温度Tgの230℃および3.8kg荷重の条件におけるメルトフローレートRに対する比Tg/Rが4.0~1.5℃・10分/gであるメタクリル共重合体の製造方法。
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