以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は敷地を示す平面図であり、図2は敷地に設けられた建物を示す斜視図である。
図1に示すように、敷地11は、平面視において矩形形状をなしている。敷地11は、東西に長い長方形状をなしており、その南側で公道Rに隣接している。敷地11の外周部には例えば塀が設けられ、その塀により敷地11の内外が区画されている。
敷地11には、建物10が設けられている。建物10は、子世帯と親世帯とが居住する二世帯住宅となっており、敷地11において略中央部に設けられている。建物10は、図2に示すように、子世帯が居住する第1建物部15と、親世帯が居住する第2建物部16とを備えている。第1建物部15は、一階部分12、二階部分13及び三階部分14を有する三階建てとなっており、第2建物部16は、一階部分12及び二階部分13を有する二階建てとなっている。
第1建物部15と第2建物部16とは、互いに離間しかつ対向した状態で配置されている。建物10の二階部分13には、第1建物部15と第2建物部16との間に中間建物部17が設けられている。中間建物部17は、第1建物部15と第2建物部16とを互いに連結している。この中間建物部17の内部を通じて第1建物部15と第2建物部16との間の行き来が可能となっている。
第1建物部15と第2建物部16との間において中間建物部17の下方には車両を駐車可能な駐車スペース18(インナガレージ)とエントランススペース19とが設けられている。これら各スペース18,19は各建物部15,16の対向する方向と直交する方向に並んでいる。これら両スペース18,19により建物10は上記直交する方向に貫通されている。なお、エントランススペース19は駐車スペース18よりも幅広に形成されている。
第1建物部15には、その外周部に複数の出入口21(21a〜21c)が設けられている。これらの出入口21a〜21cを通じて敷地11から第1建物部15への出入りが可能となっている。これらの出入口21a〜21cには玄関口21aが含まれており、その玄関口21aはエントランススペース19に面している。また、各出入口21a〜21cにはそれぞれドア22a〜22cが設けられている。
第2建物部16にも、第1建物部15と同様、その外周部に複数の出入口23(23a〜23c)が設けられている。これらの出入口23a〜23cを通じて敷地11から第2建物部16への出入りが可能となっている。これらの出入口23a〜23cには玄関口23aが含まれており、その玄関口23aはエントランススペース19に面している。したがって、エントランススペース19には、各建物部15,16の玄関口21a,23aがそれぞれ面していることになる。また、各出入口23a〜23cにはそれぞれドア24a〜24cが設けられている。
また、建物10の二階部分には、第1建物部15と第2建物部16とに跨がる状態でバルコニー26,27が設けられている。これらのバルコニー26,27のうちバルコニー26が建物10の北面に設けられ、バルコニー27が建物10の南面に設けられている。なお、図1では、これらバルコニー26,27の外縁を仮想線(二点鎖線)で示している。
次に、敷地11の警戒を行う防犯システムについて図3に基づいて説明する。図3は、防犯システムが設けられた敷地を示す平面図である。
図3に示すように、本防犯システムでは、敷地11の警戒を行う上で、敷地11が便宜上複数の領域に区画されている。詳しくは、敷地11のうち、建物10が建築された建築スペースを除く領域(以下、屋外領域29という)が複数の領域に区画されている。屋外領域29は、建物10の外周側の領域29a(以下、外周側領域29aともいう)と、第1建物部15と第2建物部16との間の領域29b(以下、内側領域29bともいう)とを含んでいる。外周側領域29aは、建物10の外周部(換言すると敷地11の周縁部)に沿って複数の領域に区画され、具体的には6つの領域S1〜S6に区画されている。これら各領域S1〜S9のうち、領域S1,S2が建物10の南面に設けられ、領域S3が建物10の東面に設けられ、領域S4,S5が建物10の北面に設けられ、領域S6が建物10の西面に設けられている。また、内側領域29bは、第1建物部15と第2建物部16とが対向する方向と直交する方向に複数の領域に区画され、具体的には2つの領域S7,S8に区画されている。これら各領域S7,S8のうち、領域S7はエントランススペース19に対応しており、領域S8は駐車スペース18に対応している。なお、上記各領域S1〜S8は境界物等によって視覚的に区画されているわけではなく、システム構成上仮想的に区画されているだけである。
また、本防犯システムでは、敷地11の警戒を行う上で、敷地11(詳しくは屋外領域29)が第1エリアA1と第2エリアA2とに区画されている。図3では、これら各エリアA1,A2のうち第1エリアA1にドットハッチを付して示している。第1エリアA1は、建物10の各出入口21,23に隣接しかつ敷地11の外部から離間したエリアとなっている。第1エリアA1は、第1建物部15の各出入口21a〜21cに隣接し同建物部15を囲むように設定された領域A1aと、第2建物部16の各出入口23a〜23cに隣接し同建物部16を囲むように設定された領域A1bと、第1建物部15と第2建物部16との間に設定された領域A1cとを含んでいる。
領域A1aは、その外縁(換言すると第2エリアA2との境界)が第1建物部15から所定距離(例えば1m程度)離間した位置に設定され、領域A1bは、その外縁(換言すると第2エリアA2との境界)が第2建物部16から所定距離(例えば1m程度)離間した位置に設定されている。また、領域A1cは駐車スペース18とエントランススペース19との双方を含む領域となっており、詳しくはこれら各スペース18,19の全域を含む領域となっている。この場合、領域A1cは領域A1a及びA1bと一部重複している。
第2エリアA2は、敷地11の外部に隣接しかつ第1エリアA1を介して建物10から離間したエリアとなっている。したがって、第2エリアA2は、建物10の各出入口21,23からそれぞれ離間したエリアとなっている。また、第2エリアA2は、敷地11の外周部全域において敷地11の外部に隣接している。なお、第1エリアA1と第2エリアA2とは境界物等により視覚的に区画されているわけではなく、システム構成上仮想的に区画されているだけである。
続いて、防犯システムの構成について説明する。
敷地11(屋外領域29)内には、撮影手段としての監視カメラ31が複数箇所に設けられている。監視カメラ31は、敷地11内の各領域S1〜S8にそれぞれ設置され、その設置された領域S1〜S8を撮影領域として撮影を行う。監視カメラ31は、広角範囲での撮影が可能な広角カメラからなり、例えばデジタル式のカメラとなっている。各領域S1〜S8の監視カメラ31のうち、領域S6,S8の監視カメラ31は建物10(詳しくは第1建物部15)の外壁に取り付けられ、各領域S1〜S5の監視カメラ31はバルコニー26,27の下面に取り付けられ、領域S7の監視カメラ31は中間建物部17の下面に取り付けられている(図1も参照)。
敷地11内には、威嚇手段として、ライト32とスピーカ33とが設けられている。ライト32は、点灯又は点滅することで敷地11に侵入した不審者を威嚇する発光威嚇手段である。スピーカ33は、警報音を出力することで敷地11に侵入した不審者を威嚇する音威嚇手段である。スピーカ33は、例えば「敷地から立ち去りなさい」等の音声を出力することで不審者を威嚇する。ライト32及びスピーカ33は、敷地11内の各領域S1〜S8にそれぞれ設けられている。各領域S1〜S8のライト32及びスピーカ33は、例えば同じ領域S1〜S8に設置された監視カメラ31と同様の取付方法で建物10に取り付けられている。なお、図3では便宜上、ライト32及びスピーカ33を建物10から離して示している。
敷地11内には、小動物用の威嚇手段として超音波発生装置34が設けられている。超音波発生装置34は、猫等の小動物が嫌う所定周波数(例えば18〜22kHz)の超音波を発生することで小動物を威嚇するものである。超音波発生装置34は、敷地11内の各領域S1〜S8にそれぞれ設けられている。各領域S1〜S8の超音波発生装置34は、例えば同じ領域S1〜S8に設置された監視カメラ31と同様の取付方法で建物10に取り付けられている。なお、図3では便宜上、超音波発生装置34を建物10から離して示している。
続いて、本防犯システムの電気的構成について図4に基づいて説明する。図4は、防犯システムの電気的構成を示す図である。
図4に示すように、本防犯システムは、当該システムを統括管理する防犯管理装置35を備える。防犯管理装置35は、建物10内に設けられ、例えば第1建物部15の内部に設けられている。防犯管理装置35は、制御手段としてのコントローラ36を備える。コントローラ36は、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを有して構成されている。
コントローラ36には、各監視カメラ31が接続されている。各監視カメラ31により撮影される敷地11の各領域S1〜S8の画像はそれら各監視カメラ31よりコントローラ36に逐次入力される。
コントローラ36は、画像作成部37と画像記憶部38とIDコード記憶部39とを有している。画像作成部37は、各監視カメラ31からコントローラ36に入力される敷地11内の各領域S1〜S8の画像を基に、敷地11(屋外領域29)の俯瞰画像を作成する。敷地11の俯瞰画像とは、敷地11をその上方から見た画像のことであり、詳しくは敷地11全体をその上方から見た画像(平面視画像)のことである。画像作成部37では、各監視カメラ31から入力される敷地11内の各領域S1〜S8の画像をそれぞれ視点変換により俯瞰画像へと変換し、それら変換した各領域S1〜S8の俯瞰画像を合成することで敷地11の俯瞰画像を作成する。
画像記憶部38は、画像作成部37で作成された敷地11の俯瞰画像を記憶するものである。画像作成部37で敷地11の俯瞰画像が作成されると、コントローラ36は、その都度作成された俯瞰画像を画像記憶部38に記憶する。この場合、画像記憶部38には、最新の所定数分の俯瞰画像のみが記憶され、古い画像は順次上書きされて消去されるようになっている。
コントローラ36は、画像作成部37で作成された敷地11の俯瞰画像に基づいて、敷地11内を移動する移動対象が人であるか小動物であるかを判定する。また、コントローラ36は、移動対象が人である場合、敷地11の俯瞰画像に基づいて、その人が建物10の居住者であるか又は不審者であるかを判定する。
コントローラ36には、各ライト32と各スピーカ33と各超音波発生装置34とが接続されている。コントローラ36は、敷地11内の移動対象が不審者であると判定した場合に、ライト32及びスピーカ33による威嚇制御を行う。また、コントローラ36は、上記移動対象が小動物であると判定した場合に、超音波発生装置34による威嚇制御を行う。
防犯管理装置35は、上記コントローラ36に加えて、通信部41と表示部42とを備えている。通信部41と表示部42とはいずれもコントローラ36に接続されている。通信部41は、建物10の居住者が携帯する携帯端末44との間で無線通信が可能となっている。ここで、居住者の携帯端末44は、例えばスマートフォンや携帯電話機等からなり、画像を表示可能なディスプレイ部44aを有している。
コントローラ36は、必要に応じて、画像作成部37で作成された敷地11の俯瞰画像を通信部41を介して携帯端末44に送信する。この場合、敷地11の俯瞰画像が携帯端末44により受信されると、携帯端末44のディスプレイ部に敷地11の俯瞰画像が表示される。これにより、居住者が外出中である場合にも、敷地11の様子を把握することが可能となっている。
また、コントローラ36は、必要に応じて通信部41より敷地11にリクエスト信号を送信する。この場合、リクエスト信号の送信エリアは敷地11全体となっている。ここで、携帯端末44を携帯した居住者が敷地11に入ると、携帯端末44によりリクエスト信号が受信され、携帯端末44はそのリクエスト信号の応答としてIDコード信号を送信する。そして、通信部41がこのIDコード信号を受信すると、IDコード信号がコントローラ36に入力される。
コントローラ36のIDコード記憶部39には、識別情報としてのIDコード情報があらかじめ記憶されている。IDコード記憶部39に記憶されているIDコード情報は、携帯端末44に記憶されているIDコードに対応したものである。コントローラ36は、携帯端末44からIDコード信号が入力されると、IDコードの認証を行う。具体的には、コントローラ36は、入力されたIDコード信号がIDコード記憶部39に記憶されているIDコードと一致するか否かを判定する。
表示部42は、ディスプレイ等を有してなる。コントローラ36は、必要に応じて、画像作成部37で作成された敷地11の俯瞰画像を表示部42に表示させる。これにより、居住者は建物10内(詳しくは第1建物部15の内部)に居ながら敷地11の様子を把握することが可能となっている。また、第2建物部16側にも表示部を設け、その表示部に敷地11の俯瞰画像を表示させるようにしてもよい。
次に、防犯管理装置35のコントローラ36により実行される敷地警戒処理について図5に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、本処理は所定の周期で繰り返し実行される。
図5に示すように、まずステップS11では、画像作成部37にて敷地11の俯瞰画像を作成する。続くステップS12では、作成した敷地11の俯瞰画像に基づいて、敷地11内に当該敷地11内を移動する移動対象がいるか否かを判定する。この判定は、敷地11の俯瞰画像に移動対象が映っているか否かに基づき行う。敷地11内に移動対象がいる場合には、ステップS13に進む。
ステップS13では、敷地11内の移動対象が敷地11内に新たに現れたものであるか否かを判定する。具体的には、本ステップでは、画像記憶部38に記憶されている敷地11の俯瞰画像のうち最新の俯瞰画像を同記憶部38から読み出し、その読み出した最新の俯瞰画像に移動対象が映っているか否かに基づき上記判定を行う。最新の俯瞰画像に移動対象が映っている場合には、敷地11内の移動対象が以前から敷地11内にいたものと判定し、ステップS15に進む。一方、最新の俯瞰画像に移動対象が映っていない場合には、移動対象が敷地11に新たに現れたものと判定し、ステップS14に進む。
ステップS14では、移動対象判定処理を実施する。以下、移動対象判定処理について図6に示すフローチャートに基づいて説明する。図6に示すように、まずステップS41では、認証処理を実施する。認証処理では、通信部41より敷地11にリクエスト信号を送信し、そのリクエスト信号の応答として携帯端末44からIDコードを受信したか否かを判定する。そして、IDコード信号を受信した場合、そのIDコードに基づいてID認証を行う。IDコード信号を受信してそのIDコード信号がIDコード記憶部39に記憶されているIDコードと一致する場合には、ステップS42の判定を肯定してステップS51に進む。この場合、敷地11内の移動対象が建物10の居住者であるとみなすことができるため、居住者フラグをセットする。一方、携帯端末44からID信号を受信していない場合、又は、携帯端末44からのID信号が予め記憶されているID信号と一致しない場合には、ステップS42の判定を否定しステップS43に進む。
ステップS43では、敷地11の俯瞰画像に基づいて、敷地11に現れた移動対象が人であるか小動物であるかを判定する。この判定は、敷地11の俯瞰画像に映る移動対象の大きさに基づいて行う。俯瞰画像上の移動対象の大きさが所定以下である場合には、その移動対象を小動物であると判定する。この場合、ステップS50に進んで小動物フラグをセットし、その後本処理を終了する。一方、俯瞰画像上の移動対象の大きさが所定の大きさよりも大きい場合には、その移動対象を人であると判定し、ステップS44に進む。
ステップS44では、敷地11の俯瞰画像に基づいて、敷地11に現れた人が第1エリアA1及び第2エリアA2のうちいずれに現れたかを判定する。ここで、敷地11に現れた人が第1エリアA1、すなわち建物10の出入口21,23に隣接する第1エリアA1に現れた場合には、その人が建物10内から出入口21,23を通じて敷地11(屋外領域29)に出てきたとみなすことができる。そのため、この場合には、敷地11に現れた人を建物10の居住者であるとみなすことができる。したがって、この場合、ステップS51に進んで、居住者フラグをセットする。その後、本処理を終了する。
一方、敷地11に現れた人が第2エリアA2、すなわち敷地11外部に隣接する第2エリアA2に現れた場合には、その人が敷地11外部から敷地11内に入ったとみなすことができる。そのため、この場合には、敷地11に現れた人が居住者以外の者、例えば不審者である可能性がある。したがって、この場合、ステップS45に進んで、タイマによる計時を開始する。
続くステップS46では、敷地11の俯瞰画像を作成する。この処理は、図5中のステップS11と同様の処理である。次のステップS47では、作成した敷地11の俯瞰画像に基づいて、敷地11に現れた上記の人が敷地11内にまだいるか否かを判定する。敷地11に人がいない場合、つまり敷地11に現れた上記の人が敷地11から立ち去った場合には、本処理を終了する。一方、敷地11に現れた上記の人がまだ敷地11にいる場合にはステップS48に進む。
ステップS48では、タイマにより計時を開始してからの経過時間が予め定められた所定時間を経過したか否かを判定する。ここで、所定時間は、敷地11の外部から敷地11(第2エリアA2)に入った人(例えば居住者)が、敷地11に入ってから建物10内に入るまでに要する十分な時間に設定されており、例えば30秒に設定されている。タイマによる計時開始からの経過時間が所定時間を経過していない場合にはステップS46に戻り、再度ステップS46〜S48の処理を繰り返す。一方、タイマによる計時開始からの経過時間が所定時間を超えた場合、すなわち敷地11外部から敷地11に入ってからの経過時間(換言すると敷地11での滞在時間)が所定時間を超えた場合には、敷地11に現れた上記の人を居住者以外の者つまり不審者とみなすことができる。そのため、この場合には、ステップS49に進み、不審者フラグをセットする。その後、本処理を終了する。
図5の説明に戻り、移動対象判定処理(ステップS14)の後のステップS15では、小動物フラグがセットされているか否かを判定する。小動物フラグがセットされている場合にはステップS19に進み、小動物威嚇処理を実施する。ここで、小動物威嚇処理について図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
図7に示すように、まずステップS61では、敷地11の俯瞰画像に基づいて、小動物が敷地11内のいずれの位置にいるのかを検出する。具体的には、小動物が敷地11内の各領域S1〜S8のうちいずれの領域S1〜S8にいるかを検出する。
続くステップS62では、小動物が検出された領域S1〜S8にある超音波発生装置34より超音波を発生させ、小動物を威嚇する威嚇処理を行う。この場合、小動物が検出された領域以外の各領域S1〜S8に設けられた超音波発生装置34からは超音波を発生させず、小動物が検出された領域の超音波発生装置34からのみ超音波を発生させるようにする。その後、本処理を終了する。
再び図5の説明に戻り、ステップS15において小動物フラグがセットされていない場合、すなわち不審者フラグ又は居住者フラグがセットされている場合にはステップS16に進み、不審者フラグ及び居住者フラグのいずれがセットされているかを判定する。居住者フラグがセットされている場合には本処理を終了し、不審者フラグがセットされている場合にはステップS17に進む。
ステップS17では、敷地11内に不審者が侵入した旨を報知する報知処理を実施する。この処理では、敷地11の俯瞰画像を表示部42(報知手段に相当)に表示させることで報知を行う。これにより、居住者は建物10内に居ながら敷地11にいる不審者の位置を把握することができる。また、本ステップS17では、さらに、敷地11の俯瞰画像を通信部41より居住者の携帯端末44に送信する。この場合、携帯端末44により敷地11の俯瞰画像が受信されると、その俯瞰画像が携帯端末44のディスプレイ部44aに表示される。これにより、居住者は外出先からでも敷地11にいる不審者の位置を確認することが可能となる。
続くステップS18では、敷地11内の不審者を威嚇する不審者威嚇処理を実施する。以下、この不審者威嚇処理について図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
図8に示すように、まずステップS71では、不審者追跡タイマによる計時を開始する。なお、不審者追跡タイマによる計時がすでに実行されている場合には、そのまま計時を継続する。続くステップS72では、不審者追跡タイマによる計時を開始してからの経過時間が予め定められた所定時間taを経過したか否かを判定する。ここで、所定時間taは例えば3分に設定されている。不審者追跡タイマによる計時開始からの経過時間が所定時間ta以内である場合にはステップS73に進む。
ステップS73では、敷地11の俯瞰画像に基づいて、敷地11内において不審者がいずれの位置にいるかを検出する位置検出処理を行う。この処理では、不審者が敷地11内の各領域S1〜S8のうちいずれの領域S1〜S8にいるかを検出するとともに、不審者が敷地11内の各エリアA1,A2のうちいずれのエリアA1,A2にいるかを検出する。なお、かかる位置検出処理に先立ち、敷地11の俯瞰画像上に各領域S1〜S8と各エリアA1,A2とをそれぞれ認識させる認識処理を行う。そして、その認識処理により認識された各領域S1〜S8と各エリアA1,A2とを参照して、上記の位置検出処理を行う。
続くステップS74では、不審者追跡タイマによる計時開始からの経過時間が予め定められた所定時間tbを経過したか否かを判定する。ここで、所定時間tbは上記所定時間taよりも短い時間に設定され、例えば1分に設定されている。不審者追跡タイマによる計時開始からの経過時間が所定時間tb以内である場合にはステップS75に進む。
ステップS75では、不審者が検出された領域S1〜S8にあるライト32を点灯させ、不審者を威嚇する威嚇処理を行う。この処理では、不審者が検出された領域以外の各領域S1〜S8に設けられたライト32は点灯させず(換言すると消灯し)、不審者が検出された領域のライト32のみ点灯させる。
ステップS74にて、不審者追跡タイマによる計時開始からの経過時間が所定時間tbを超えた場合にはステップS78に進む。ステップS78では、不審者が検出された領域S1〜S8にあるライト32を点滅させ、不審者を威嚇する威嚇処理を行う。この処理では、不審者が検出された領域以外の各領域S1〜S8のライト32は点滅させず(換言すると消灯し)、不審者が検出された領域のライト32のみ点滅させる。
ステップS75又はステップS78の後、ステップS76に進み、不審者が敷地11内にて第1エリアA1及び第2エリアA2のいずれにいるかを判定する。不審者が第2エリアA2にいる場合には本処理を終了し、不審者が第1エリアA1にいる場合にはステップS77に進む。
ステップS77では、不審者が検出された領域S1〜S8にあるスピーカ33より警報音を出力し、不審者を威嚇する威嚇処理を行う。これにより、不審者が建物10に隣接する第1エリアA1にいる場合には、ライト32の点灯による威嚇に加え、スピーカ33からの警報音による威嚇が行われる。その後、本処理を終了する。
先のステップS72において、不審者追跡タイマによる計時開始からの経過時間が所定時間taを超えた場合にはステップS79に進む。ステップS79では、敷地11内の各領域S1〜S8に設けられたすべてのライト32を点灯させ、不審者を威嚇する威嚇処理を行う。これにより、不審者が敷地11内に長時間滞在している場合には不審者に対する威嚇効果が高められる。なお、この威嚇処理では、ライト32を全点灯させることに加え、例えば不審者の検出された領域S1〜S8にあるスピーカ33より警報音を出力するようにしてもよい。その場合、不審者に対する威嚇効果をさらに高めることができる。その後、本処理を終了する。
図5の説明に戻り、ステップS18の不審者威嚇処理、又はステップS19の小動物威嚇処理が終了した後、本処理を終了する。
先のステップS12において、敷地11内に移動対象がいないと判定された場合、例えば移動対象である不審者又は小動物が威嚇処理によって敷地11から立ち去った場合にはステップS21に進み、各種フラグ(すなわち不審者フラグ、居住者フラグ又は小動物フラグ)をリセットする。続くステップS22では、各種威嚇処理を停止する。例えば、発光威嚇処理(図8のステップS75、S78又はS79)が実施されている場合には、各ライト32を消灯させ、警報音威嚇処理(図8のステップS77)が実施されている場合には、各スピーカ33からの警報音の出力を停止させ、超音波威嚇処理(図7のステップS62)が実施されている場合には、各超音波発生装置34からの超音波の発生を停止させる。その後、本処理を終了する。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
建物10の居住者が建物10内から敷地11へ出る場合には建物10の出入口21,23より出ることになる。一方、不審者が敷地11に入る(侵入する)場合には敷地11の外部から入ることになる。そこで、上記の実施形態では、このような点に着目し、敷地11内に、建物10の出入口21,23に隣接し敷地11外部から離間する第1エリアA1と、敷地11外部に隣接し出入口21,23から離間する第2エリアA2とを設定した。そして、敷地11内の複数箇所に設けた監視カメラ31による撮影画像を合成して敷地11の俯瞰画像を作成し、その俯瞰画像に基づいて敷地11に現れた人が第1エリアA1及び第2エリアA2のうちいずれに現れたかを判定するようにした。そして、その判定結果に基づいて、威嚇手段(具体的にはライト32及びスピーカ33。以下、これらを略してライト32等という。)による威嚇制御を実施するようにした。具体的には、第1エリアA1に人が現れた場合には、その人を建物10内から敷地11に出た居住者であるとみなし威嚇制御を実施しないようにし、また第2エリアA2に人が現れた場合には、その人を敷地11外部から敷地11に入った不審者であるとみなして威嚇制御を実施するようにした。この場合、居住者が携帯端末44を携帯しなくても、その居住者に誤って威嚇制御が実施されてしまう事態を抑制することができる。つまり、この場合、利便性の向上を図りながら、居住者への誤警戒の発生を抑制することができる。
敷地11内に現れた人が第2エリアA2に現れた場合、つまり敷地11外部から人が現れた場合に、その人の敷地11での滞在時間を計測し、その滞在時間が所定時間を超えた場合にその人を不審者と判定するようにした。ここで、敷地11外部から敷地11内に入る者としては、上記不審者の他に、建物10へ帰宅する居住者が考えられるが、居住者の場合、敷地11内に入ってから短時間で建物10内に入ることが想定される。このため、かかる居住者が不審者であると誤判定され、その結果、誤警戒が発生してしまう事態が生じるのを抑制することができる。
第1エリアA1を、建物10に設けられたすべての出入口21a〜21c,23a〜23cに隣接させて設定したため、それら出入口21a〜21c,23a〜23cのいずれから居住者が敷地11に出たとしても威嚇手段(ライト32等)による威嚇制御が実施されないようにすることができる。これにより、誤警戒の発生をより一層抑制することができる。
第1建物部15と第2建物部16との間の中間スペース(エントランススペース19)に面して各建物部15,16の玄関口21a,23aが設けられた構成では、各建物部15,16(各世帯)の居住者が玄関口21a,23aから敷地11に出る際にはエントランススペース19に出ることとなる。そこで上記の実施形態では、そのエントランススペース19を含んで第1エリアA1を設定している。この場合、各建物部15,16(各世帯)から玄関口21a,23aを通じてエントランススペース19(第1エリア)に出る人を居住者とみなして威嚇制御を実施しないようにできるため、各世帯の居住者それぞれに対する誤警戒の発生を好適に抑制することができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
・上記実施形態では、敷地11内に現れた人が第2エリアA2に現れた場合に、その人の敷地11での滞在時間を計測し、その滞在時間が所定時間を超えた場合にその人を不審者と判定するようにしたが、これを変更してもよい。例えば、敷地11内に現れた人が第2エリアA2に現れた場合に、敷地11での滞在時間を問わず、その人を不審者と判定するようにしてもよい。この場合、不審者が敷地11内に侵入した場合に、不審者に対してライト32等による威嚇処理を即座に開始させることが可能となる。
・上記実施形態では、第1エリアA1を、第1建物部15を囲む領域A1aと、第2建物部16を囲む領域A1bと、各建物部15,16の間の領域A1cとを含んで構成したが、これを変更してもよい。例えば、第1エリアA1を、領域A1a及び領域A1bのみを含むエリアとしてもよい。この場合にも、第1エリアA1を建物10の各出入口21,23すべてに隣接するエリアとして設定することができる。
また、上記実施形態では、第1エリアA1を、第1建物部15及び第2建物部16のそれぞれを囲むようにして設定したが、第1エリアA1は必ずしも建物部15,16を囲むように設定する必要はない。例えば、図9に示す例では、第1エリアA1が、第1建物部15の各出入口21a〜21c周辺、及び第2建物部16の各出入口23a〜23c周辺にそれぞれ設定された複数(具体的には6つ)の領域A1dからなる。これら各領域A1dはそれぞれ出入口21a〜21c,23a〜23cと隣接している。かかる構成では、建物10内から出入口21a〜21c,23a〜23cを通じて敷地11に出る人を精度よく検出することができるため、出入口21a〜21c,23a〜23cに隣接する第1エリアA1に現れた人を居住者とみなして威嚇制御を実施しないようにする上で、好ましい構成とすることができる。なお、図9の例では、敷地11(屋外領域29)において各領域A1d(要するに第1エリアA1)を除いた領域が第2エリアA2となっている。また、各領域A1dがそれぞれ小エリア部に相当する。
なお、第1エリアA1は必ずしも建物10の各出入口21a〜21c,23a〜23cすべてに隣接させて設定する必要はなく、一部の出入口にのみ隣接させて設定してもよい。例えば、第1エリアA1を建物10の玄関口21a,23aにのみ隣接させて設定することが考えられる。
・上記実施形態では、不審者を威嚇するための威嚇手段として、ライト32及びスピーカ33を用いたが、これらの威嚇手段32,33のうちいずれか一方だけを用いるようにしてもよい。また、威嚇手段として、ライト32及びスピーカ33以外のものを用いてもよい。例えば、威嚇手段として、スプリンクラーを用いることが考えられる。
また、上記実施形態では、敷地11内に複数(8つ)の威嚇手段(ライト32,スピーカ33)を設けたが、例えば敷地11内に威嚇手段を1つだけ設けるようにしてもよい。この場合、例えば、敷地11内にスピーカ33を1つだけ設けることが考えられる。
・上記実施形態では、二世帯住宅(建物)の敷地11に本発明の防犯システムを適用したが、単世帯住宅の敷地や、マンション等の集合住宅の敷地に本発明を適用してもよい。