以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<実施の形態>
[構成例]
(全体構成例)
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像処理システム(画像処理システム1)の一構成例を表すものである。画像処理システム1は、画像処理装置10と、リーダライタ8と、パーソナルコンピュータ9と、スマートフォン40とを備えている。
画像処理装置10は、プリント、コピー、スキャナ、ファックスなどの機能を有する、いわゆる多機能周辺装置(MFP;Multi Function Peripheral)である。画像処理装置10は、有線ネットワークNETに接続され、この有線ネットワークNETを介してパーソナルコンピュータ9と通信を行う。有線ネットワークNETは、例えば、有線LAN(Local Area Network)を用いて構成されるものである。また、画像処理装置10は、例えばUSB(Universal Serial Bus)を用いてリーダライタ8に接続され、リーダライタ8とスマートフォン40との間で近距離無線通信(NFC;Near Field Communication)C1を行わせることにより、スマートフォン40と通信を行う。また、画像処理装置10は、スマートフォン40と、例えば無線LANを用いて無線ネットワーク通信C2を行うようになっている。
この画像処理装置10は、ログイン処理を行った後に、ユーザが画像処理装置10を使用できるように構成されている。ここで、ログイン処理とは、認証情報が入力されてから、ユーザが画像処理装置10を使用できる状態にするまでの一連の処理をいい、例えば、入力された認証情報に基づいて認証を行う認証処理と、使用権限の設定など、そのユーザに関する各種設定を反映する処理とを含む。
例えば、画像処理装置10は、図2Aに示す認証待機画面110を表示し、ユーザによる認証情報の入力を待つ。この例では、認証待機画面110には、ユーザ名入力欄111、パスワード入力欄112、および“ログイン”ボタン113が設けられている。そして、ユーザが、ユーザ名UNをユーザ名入力欄111に入力するとともにパスワードPWをパスワード入力欄112に入力し、“ログイン”ボタン113を操作することにより、画像処理装置10は、入力されたユーザ名UNおよびパスワードPWに基づいて認証処理を行う。そして、認証処理が成功すると、画像処理装置10は、そのユーザに関する各種設定を行い、表示画面を、認証待機画面110から、図2Bに示すメニュー画面120に切り替える。この例では、メニュー画面120には、複数の機能アイコン121、および“ログアウト”ボタン122が設けられている。メニュー画面120の左上には、ユーザ名UNが表示される。そして、ユーザが、機能アイコン121を操作して、使用したい機能を選択することにより、画像処理装置10は、ユーザの指示に基づいて処理を行う。例えば、使用権限が設定されている場合には、複数の機能アイコン121のうち、そのユーザが使用を許可されている機能に係るアイコンをカラーで表示し、使用を許可されていない機能に係るアイコンをグレースケールで表示してもよい。そして、ユーザが、“ログアウト”ボタン122を操作することにより、画像処理装置10は、ログアウト処理を行う。これにより、画像処理装置10は、表示画面を、認証待機画面110(図2A)に戻し、次のユーザによる認証情報の入力を待つようになっている。
また、この画像処理装置10では、画像処理装置10に認証情報を直接入力せずに、スマートフォン40を用いてログイン処理を行うことができるようになっている。具体的には、画像処理装置10では、図2Aに示したように、認証待機画面110に、”携帯端末による認証も可能です”とのメッセージ114が表示される。そして、ユーザが、スマートフォン40をリーダライタ8にかざすことにより、画像処理装置10は、スマートフォン40から近距離無線通信C1を用いてそのスマートフォン40の端末識別情報ID(後述)を受け取り、この端末識別情報IDに基づいて認証処理を行うことができるようになっている。
リーダライタ8は、近距離無線通信C1を用いてスマートフォン40と通信を行うものである。このリーダライタ8は、USBを用いて画像処理装置10に接続されている。なお、この例では、リーダライタ8を、USBを用いて画像処理装置10に接続したが、これに限定されるものではなく、例えば、有線ネットワークNETを介して画像処理装置10に接続してもよい。また、画像処理装置10にリーダライタを内蔵してもよい。
パーソナルコンピュータ9は、有線ネットワークNETに接続され、この有線ネットワークNETを介して画像処理装置10と通信を行うものである。この例では、パーソナルコンピュータ9は、ユーザが作成した文書や画像に基づいて印刷データDPを生成し、この印刷データDPを、有線ネットワークNETを介して画像処理装置10に供給する。また、パーソナルコンピュータ9は、例えばWEBブラウザを用いて、ユーザ操作に基づいて、画像処理装置10の各種設定を行うことができるようになっている。
なお、この例では、パーソナルコンピュータ9は、有線ネットワークNETを介して画像処理装置10と通信を行うようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、無線LANを用いて画像処理装置10と通信を行うようにしてもよい。
スマートフォン40は、携帯電話、カメラ、電子メールの送受信、WEBページ閲覧などの機能を有する、いわゆる高機能携帯電話である。スマートフォン40は、リーダライタ8と近距離無線通信C1を行うことにより、画像処理装置10に端末識別情報ID(後述)および無線情報要求フラグF(後述)を供給する。これにより、画像処理装置10では、端末識別情報IDに基づいて認証処理を行うことができる。また、スマートフォン40は、無線ネットワーク通信C2を用いて画像処理装置10と通信を行う機能をも有している。具体的には、後述するように、スマートフォン40が、画像処理装置10に、“ON”を示す無線情報要求フラグFを供給した場合には、画像処理装置10からネットワーク設定情報IN(後述)がスマートフォン40に供給される。スマートフォン40は、このネットワーク設定情報INに基づいて、ネットワーク設定を行い、無線ネットワーク通信C2を用いて画像処理装置10と通信を行う。これにより、スマートフォン40は、無線ネットワーク通信C2により、印刷データDPを画像処理装置10に供給することができるようになっている。
なお、この例では、スマートフォンを用いたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、タブレット端末などの様々な携帯端末を用いることができる。
この構成により、画像処理装置10は、例えば、有線ネットワークNETを介してパーソナルコンピュータ9から印刷データDPが供給された場合には、その印刷データDPに基づいて、記録媒体に画像を形成する。また、画像処理装置10は、ユーザがスマートフォン40をリーダライタ8にかざし、スマートフォン40から近距離無線通信C1により端末識別情報ID(後述)および無線情報要求フラグF(後述)が供給された場合には、この端末識別情報IDに基づいて認証処理を行う。そして、画像処理装置10は、この認証処理が成功した場合には、後述するように、無線情報要求フラグFに応じて、例えば、画像処理装置10の表示画面を認証待機画面110(図2A)からメニュー画面120(図2B)に切り替え、あるいは、表示画面を認証待機画面110に維持したまま、スマートフォン40から無線ネットワーク通信C2を用いて供給された印刷データDPに基づいて、記録媒体に画像を形成するようになっている。
(画像処理装置10)
画像処理装置10は、有線ネットワークインタフェース11と、無線ネットワークインタフェース12と、USBインタフェース13と、FAXインタフェース14と、タッチパネル15と、記憶部16と、画像読取部17と、画像形成部18と、制御部19とを有している。
有線ネットワークインタフェース11は、有線ネットワークNETを介してパーソナルコンピュータ9と通信を行うものである。無線ネットワークインタフェース12は、無線ネットワーク通信C2を用いてスマートフォン40と通信を行うものである。USBインタフェース13は、USBを用いてリーダライタ8と通信を行うものである。FAXインタフェース14は、電話回線を介して通信相手との間でデータを送受信するものである。
タッチパネル15は、例えば、液晶ディスプレイおよびタッチセンサを含んで構成され、画像処理装置10の動作状態などを表示するとともに、ユーザの操作を受け付けるものである。
記憶部16は、例えばROM(Read Only Memory)や不揮発性のメモリを用いて構成されるものである。記憶部16は、例えば、装置制御、通信制御、印刷制御などの各種制御に用いられる制御プログラム、画像処理装置10の設定情報、印刷データDP、印刷データDPに基づいて生成された中間画像データなどを記憶する。また、記憶部16は、ユーザ管理情報16Aおよびログ情報16Bを記憶する。
ユーザ管理情報16Aは、画像処理装置10を使用するユーザについての情報(ユーザ情報IU)が登録されたものである。
図3は、ユーザ管理情報16Aの一構成例を表すものである。ユーザ管理情報16Aは、ユーザ名UN、パスワードPW、端末識別情報ID、ユーザ種別UT、および使用権限情報IAについての情報を有している。ユーザ名UN、パスワードPW、端末識別情報ID、ユーザ種別UT、および使用権限情報IAは、互いに関連づけられて、ユーザ情報IUとして記憶されている。
ユーザ名UNは、画像処理装置10を使用するユーザを識別するための名前であり、互いに重複しないように設定されている。ユーザ管理情報16Aにおいて記憶されるパスワードPWは、例えばユーザが設定したパスワードそのものであってもよいし、ユーザが設定したパスワードを暗号化したものであってもよいし、ユーザが設定したパスワードのハッシュ値であってもよい。
端末識別情報IDは、スマートフォン40など、画像処理装置10と通信を行う携帯端末を識別するための識別情報である。端末識別情報IDは、例えば、スマートフォン40の無線ネットワークインタフェース42(後述)のMAC(Media Access Control)アドレスのハッシュ値であってもよい。また、例えば、インターネットに、端末識別情報IDを発行するサーバを設け、このサーバから端末識別情報IDを取得してもよい。
ユーザ種別UTは、ユーザが管理者であるか一般ユーザであるかを示すものである。この例では、ユーザが管理者である場合には、ユーザ種別UTは“A”に設定され、ユーザが一般ユーザである場合には、ユーザ種別UTは“U”に設定される。
使用権限情報IAは、ユーザに画像処理装置10の各機能の使用を許可するかどうかを示すものである。この使用権限情報IAを設定することにより、例えば、あるユーザに対して、“プリント”機能および“コピー”機能の使用を許可し、“スキャン”機能および“ファックス”機能の使用を禁止することができる。また、あるユーザに対して、白黒プリントを許可し、カラープリントを禁止することができる。
この例では、あるユーザ情報IUでは、ユーザ名UNが“admin”に設定され、パスワードPWが“pass_admin”に設定され、ユーザ種別UTが“A”(管理者)に設定され、そのユーザが所有する携帯端末の端末識別情報IDおよびそのユーザについての使用権限情報IA1が設定されている。同様に、他のユーザ情報IUでは、例えば、ユーザ名UNが“user1”に設定され、パスワードPWが“pass_1”に設定され、ユーザ種別UTが“U”(一般ユーザ)に設定され、そのユーザが所有する携帯端末の端末識別情報ID、およびそのユーザについての使用権限情報IA2が設定されている。
このユーザ管理情報16Aは、例えば管理者のみが編集できるようにすることが望ましい。例えば、初期状態では、ユーザ管理情報16Aには、例えば管理者のユーザ名UNおよびパスワードPWが登録されている。そして、管理者は、そのユーザ名UNおよびパスワードPWを入力し、ユーザ管理情報16Aに、画像処理装置10を使用するユーザを登録する。
ログ情報16Bは、画像処理装置10の処理履歴である。ログ情報16Bは、例えば、処理に係るユーザ名UN、ジョブ名、処理の内容、処理日時などについての情報を含んでいる。
画像読取部17(図1)は、紙などの読取媒体に印刷された情報を読み取るものであり、例えばCIS(Contact Image Sensor)を用いて構成される。画像形成部18は、紙などの記録媒体に画像を形成するものであり、例えば、電子写真方式を用いて画像を形成するようになっている。
制御部19は、各種プログラムを実行することにより、画像処理装置10内の各ブロックの動作を制御するものである。制御部19は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)などを用いて構成される。
図4は、画像処理装置10におけるソフトウェア構成の一例を表すものである。この図4は、印刷データDPに基づいて記録媒体に画像を形成する機能を実現するソフトウェアについて描いている。画像処理装置10は、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)有線通信部21と、有線通信設定部22と、TCP/IP無線通信部23と、無線通信設定部24と、TCP/IP通信制御部29と、USB通信部25と、リーダライタ制御部26と、タッチパネル制御部27と、WEBサーバ部31と、ユーザ情報設定部32、認証部33と、印刷データ解析部36と、印刷実行部37と、ログ出力部38とを有している。
TCP/IP有線通信部21は、有線ネットワークインタフェース11を用いて、パーソナルコンピュータ9と通信を行うものである。有線通信設定部22は、TCP/IP有線通信部21が通信を行う際のネットワーク設定を行うとともに、そのネットワーク設定を管理するものである。
TCP/IP無線通信部23は、無線ネットワークインタフェース12を用いて、スマートフォン40と通信(無線ネットワーク通信C2)を行うものである。無線通信設定部24は、TCP/IP無線通信部23が通信を行う際のネットワーク設定を行うとともに、そのネットワーク設定を管理するものである。無線通信設定部24は、ネットワーク設定情報INを記憶している。このネットワーク設定情報INは、TCP/IP無線通信部23がアクセスポイントとして動作したときに、スマートフォン40が無線ネットワーク通信C2によりTCP/IP無線通信部23に接続するための設定情報であり、例えば、SSID(Service Set Identifier)、パスワード、セキュリティの種類、IPアドレスなどについての情報を含んでいる。
TCP/IP通信制御部29は、TCP/IP有線通信部21およびTCP/IP無線通信部23における通信動作を制御することにより、画像処理装置10と外部機器との通信を管理するものである。
USB通信部25は、USBインタフェース13を用いて、リーダライタ8と通信を行うものである。
リーダライタ制御部26は、リーダライタ8とスマートフォン40との間の近距離無線通信C1における通信動作を制御するものである。また、リーダライタ制御部26は、スマートフォン40から端末識別情報IDを受け取った場合には、この端末識別情報IDを認証部33に供給して、認証部33に認証処理を依頼する。また、リーダライタ制御部26は、スマートフォン40から“ON”を示す無線情報要求フラグFが供給された場合には、無線通信設定部24からネットワーク設定情報INを取得し、そのネットワーク設定情報INをスマートフォン40に供給する。また、リーダライタ制御部26は、スマートフォン40との間の通信結果に基づいて、タッチパネル制御部27に対して画面の表示を指示する機能をも有している。具体的には、例えば、画像処理装置10のタッチパネル15が認証待機画面110(図2A)を表示しているときに、スマートフォン40から、“OFF”を示す無線情報要求フラグFが供給された場合には、その旨をタッチパネル制御部27に通知する。これにより、タッチパネル制御部27は、タッチパネル15の表示画面を認証待機画面110からメニュー画面120(図2B)に切り替えるようになっている。
タッチパネル制御部27は、タッチパネル15に対して画面の表示を指示するとともに、タッチパネル15が受け付けたユーザ操作についての情報を、画像処理装置10において実行される各種プログラムに引き渡すものである。例えば、タッチパネル制御部27は、タッチパネル15が認証待機画面110(図2A)を表示しているときに、ユーザがタッチパネル15を操作してユーザ名UNおよびパスワードPWを入力した場合には、そのユーザ名UNおよびパスワードPWを認証部33に供給して、認証部33に認証処理を依頼する。そして、認証処理が成功した場合には、タッチパネル制御部27は、タッチパネル15の表示画面を、認証待機画面110からメニュー画面120(図2B)に切り替えるように、タッチパネル15に対して指示を行う。また、例えば、タッチパネル制御部27は、タッチパネル15が認証待機画面110(図2A)を表示しているときに、リーダライタ制御部26がスマートフォン40から“OFF”を示す無線情報要求フラグFを受け取った場合には、タッチパネル15の表示画面を認証待機画面110からメニュー画面120に切り替えるようになっている。
WEBサーバ部31は、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)を用いて、ユーザ(例えば管理者)が画像処理装置10の設定を行うためのWEBページを提供するものである。これにより、ユーザは、例えばパーソナルコンピュータ9において、WEBブラウザを起動して、このWEBページにアクセスすることにより、画像処理装置10の設定を行うことができるようになっている。
ユーザ情報設定部32は、画像処理装置10の設定を行うためのWEBページを用いてユーザ(例えば管理者)が入力した情報に基づいて、認証部33に対してユーザ管理情報16Aの編集依頼を行うものである。具体的には、ユーザ情報設定部32は、WEBページで入力されたユーザ名UNおよびパスワードPWを認証部33に供給して、認証部33に認証処理を依頼する。そして、認証処理が成功した場合には、ユーザ情報設定部32は、WEBページで入力された情報に基づいて、認証部33に対してユーザ管理情報16Aの編集依頼を行うようになっている。
なお、この例では、WEBページを用いて、画像処理装置10の設定を行うようにしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、パーソナルコンピュータ9に、画像処理装置10の設定を行うためのユーティリティソフトウェアをインストールし、ユーザがそのユーティリティソフトウェアを用いて、画像処理装置10の設定を行うようにしてもよい。また、例えば、ユーザがタッチパネル15を直接操作することにより、画像処理装置10の設定を行うようにしてもよい。
認証部33は、認証処理を行うものである。認証部33は、認証実行部34と、ユーザ情報管理部35とを有している。
認証実行部34は、例えばリーダライタ制御部26から端末識別情報IDが供給された場合には、この端末識別情報IDに基づいて、ユーザ管理情報16Aを用いて認証処理を行う。具体的には、例えば、ユーザ管理情報16Aに、供給された端末識別情報IDを含むユーザ情報IUが登録されていれば、その認証処理は成功し、供給された端末識別情報IDを含むユーザ情報IUが登録されていなければ、その認証処理は失敗する。また、認証実行部34は、例えば、タッチパネル制御部27から、ユーザ名UNおよびパスワードPWが供給された場合には、このユーザ名UNおよびパスワードPWに基づいて、ユーザ管理情報16Aを用いて認証処理を行う。具体的には、例えば、ユーザ管理情報16Aに、供給されたユーザ名UNおよびパスワードPWを含むユーザ情報IUが登録されていれば、その認証処理は成功し、供給されたユーザ名UNおよびパスワードPWを含むユーザ情報IUが登録されていなければ、その認証処理は失敗する。また、認証実行部34は、ユーザ管理情報16Aを用いて、そのユーザに、各機能についての使用権限があるか否かを確認する機能をも有している。
ユーザ情報管理部35は、ユーザ情報設定部32からの編集依頼に基づいて、ユーザ管理情報16Aを編集するものである。
なお、この例では、認証処理を行う認証部33を画像処理装置10に設けたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、インターネットに、認証処理を行うLDAP(Lightweight Directory Access Protocol)サーバを設け、このサーバに認証処理を行わせるようにしてもよい。
印刷データ解析部36は、TCP/IP通信制御部29から供給された印刷データDPを解析するものである。具体的には、印刷データ解析部36は、印刷データDPが端末識別情報IDを含む場合には、この端末識別情報IDを認証部33に供給して、認証部33に認証処理を依頼する。また、印刷データ解析部36は、印刷データDPがユーザ名UNおよびパスワードPWを含む場合には、このユーザ名UNおよびパスワードPWを認証部33に供給して、認証部33に認証処理を依頼する。そして、認証処理が成功し、かつ、そのユーザに“プリント”機能を使用する権限がある場合には、印刷データ解析部36は、印刷データDPを印刷実行部37に供給するようになっている。
印刷実行部37は、印刷データ解析部36から供給された印刷データDPに基づいて、画像形成部18の動作を制御することにより、印刷を行うものである。
ログ出力部38は、印刷実行部37の処理結果に基づいて、ログ情報16Bを更新するものである。
(スマートフォン40)
図5は、スマートフォン40の一構成例を表すものである。スマートフォン40は、携帯電話通信ユニット41と、無線ネットワークインタフェース42と、NFC通信ユニット43と、タッチパネル44と、記憶部45と、撮像部46と、制御部49とを有している。
携帯電話通信ユニット41は、例えば、携帯電話の基地局との間で無線通信を行うものである。無線ネットワークインタフェース42は、無線ネットワーク通信C2を用いて画像処理装置10と通信を行うものである。NFC通信ユニット43は、近距離無線通信C1を用いてリーダライタ8と通信を行うものである。タッチパネル44は、例えば、液晶ディスプレイおよびタッチセンサを含んで構成され、スマートフォン40の処理内容などを表示するとともに、ユーザの操作を受け付けるものである。
記憶部45は、例えば不揮発性のメモリを用いて構成されるものであり、オペレーティングシステム、各種制御プログラム、各種アプリケーションプログラムを記憶している。この例では、スマートフォン40には、画像表示アプリケーション56、カメラアプリケーション57、メールアプリケーション58、および画像送信アプリケーション60がインストールされている。これらのアプリケーションについては、後ほど説明する。
撮像部46は、写真や動画を撮影するものであり、例えばCMOSイメージセンサなどを用いて構成されるものである。
制御部49は、各種プログラムを実行することにより、スマートフォン40内の各ブロックの動作を制御するものである。制御部49は、例えば、CPUやRAMなどを用いて構成される。
図6は、スマートフォン40におけるソフトウェア構成の一例を表すものである。スマートフォン40は、TCP/IP無線通信部51と、無線通信設定部52と、NFC通信部53と、エミュレーション制御部54と、タッチパネル制御部55と、画像表示アプリケーション56と、カメラアプリケーション57と、メールアプリケーション58と、画像送信アプリケーション60とを有している。
TCP/IP無線通信部51は、無線ネットワークインタフェース42を用いて、画像処理装置10と通信(無線ネットワーク通信C2)を行うものである。無線通信設定部52は、TCP/IP無線通信部51が通信を行う際のネットワーク設定を行うとともに、そのネットワーク設定を管理するものである。例えば、無線通信設定部52は、画像送信アプリケーション60からネットワーク設定情報INが供給された場合には、このネットワーク設定情報INに基づいてネットワーク設定を行うようになっている。
NFC通信部53は、近距離無線通信C1を用いてリーダライタ8と通信を行うものである。エミュレーション制御部54は、スマートフォン40が、いわゆるNFCタグとして振る舞うように、NFC通信部53の動作を制御するものである。
タッチパネル制御部55は、タッチパネル44に対して画面の表示を指示するとともに、タッチパネル44が受け付けたユーザ操作についての情報を、スマートフォン40において実行される各種プログラムに引き渡すものである。
画像表示アプリケーション56は、スマートフォン40のタッチパネル44に画像を表示する汎用のアプリケーションプログラムである。カメラアプリケーション57は、スマートフォン40の撮像部46の動作を制御する汎用のアプリケーションプログラムである。また、カメラアプリケーション57は、撮影した写真や動画を記憶部45に記憶させるとともに、過去に撮影した写真や動画を管理する機能をも有している。メールアプリケーション58は、電子メールを送受信する汎用のアプリケーションプログラムである。
画像送信アプリケーション60は、無線ネットワーク通信C2を用いて、画像処理装置10に対して印刷データDPを送信するためのアプリケーションプログラムである。画像送信アプリケーション60は、エミュレーション設定部61と、タグデータ書込部62と、タグデータ読出部63と、印刷プレビュー処理部64と、端末識別情報管理部65と、印刷データ生成部66と、印刷データ送信部67とを有している。
エミュレーション設定部61は、画像送信アプリケーション60がスマートフォン40にインストールされたときに、スマートフォン40においてエミュレートされるNFCタグの種別などの各種情報を、エミュレーション制御部54に登録するものである。
タグデータ書込部62は、スマートフォン40においてエミュレートされたNFCタグに、データを書き込むものである。具体的には、タグデータ書込部62は、例えば、NFCタグに、端末識別情報IDおよび無線情報要求フラグFを書き込むようになっている。
タグデータ読出部63は、スマートフォン40においてエミュレートされたNFCタグから、データを読み出すものである。具体的には、タグデータ読出部63は、例えば、NFCタグからネットワーク設定情報INを読み出す。そして、このタグデータ読出部63は、このネットワーク設定情報INを無線通信設定部52に供給するようになっている。
印刷プレビュー処理部64は、タッチパネル制御部55からの指示に基づいて、ユーザが選択した画像を、印刷対象画像としてタッチパネル44にプレビュー表示させるものである。また、印刷プレビュー処理部64は、印刷部数や記録媒体サイズなどの印刷パラメータをユーザに設定させる機能をも有している。
端末識別情報管理部65は、スマートフォン40の端末識別情報IDを管理するものである。また、端末識別情報管理部65は、タッチパネル制御部55からの指示に基づいて、この端末識別情報IDをタッチパネル44に表示させる機能をも有している。
印刷データ生成部66は、印刷プレビュー処理部64がプレビュー表示させた画像、およびユーザが設定した印刷パラメータに基づいて、印刷データDPを生成するものである。
印刷データ送信部67は、TCP/IP無線通信部51の動作を制御することにより、無線ネットワーク通信C2を用いて印刷データDPを画像処理装置10に送信するものである。
ここで、リーダライタ8は、本発明における「第1の通信部」の一具体例に対応する。無線ネットワークインタフェース12は、本発明における「第2の通信部」の一具体例に対応する。スマートフォン40は、本発明における「携帯端末」の一具体例に対応する。タッチパネル15は、本発明における「表示部」の一具体例に対応する。制御部19は、本発明における「制御部」の一具体例に対応する。メニュー画面120は、本発明における「第1の認証後画面」および「第2の認証後画面」の一具体例に対応する。印刷データDPは、本発明における「画像データ」の一具体例に対応する。無線情報要求フラグFは、本発明における「状態情報」の一具体例に対応する。端末識別情報IDは、本発明における「識別情報」の一具体例に対応する。ユーザ名UNおよびパスワードPWは、本発明における「認証情報」の一具体例に対応する。
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の画像処理システム1の動作および作用について説明する。
(全体動作概要)
まず、図1を参照して、画像処理システム1の全体動作概要を説明する。例えば、画像処理装置10のタッチパネル15が、認証待機画面110(図2A)を表示している状態において、ユーザが、ユーザ名UNおよびパスワードPWを入力すると、画像処理装置10は、入力されたユーザ名UNおよびパスワードPWに基づいて認証処理を行う。そして、認証処理が成功すると、画像処理装置10は、タッチパネル15の表示画面を、認証待機画面110からメニュー画面120(図2B)に切り替える。そして、ユーザが、機能アイコン121を操作して、使用したい機能を選択することにより、画像処理装置10は、ユーザの指示に基づいて処理を行う。そして、ユーザが、“ログアウト”ボタン122を操作することにより、画像処理装置10は、ログアウト処理を行う。
また、例えば、画像処理装置10が、パーソナルコンピュータ9から有線ネットワークNETを介して供給された印刷データDPを受け取ると、画像処理装置10は、その印刷データDPに基づいて、記録媒体に画像を形成する。具体的には、例えば、印刷データDPが、ユーザ名UNおよびパスワードPWを含む場合には、画像処理装置10は、このユーザ名UNおよびパスワードPWに基づいて認証処理を行う。そして、認証処理が成功し、かつ、そのユーザに“プリント”機能を使用する権限がある場合には、画像処理装置10は、その印刷データDPに基づいて、記録媒体に画像を形成する。
また、例えば、スマートフォン40がリーダライタ8にかざされ、スマートフォン40から近距離無線通信C1を用いて端末識別情報IDおよび無線情報要求フラグFが供給された場合には、画像処理装置10は、この端末識別情報IDに基づいて認証処理を行う。そして、認証処理が成功した場合には、画像処理装置10は、無線情報要求フラグFに応じて、タッチパネル15の表示画面を認証待機画面110(図2A)からメニュー画面120(図2B)に切り替え、あるいは、表示画面を認証待機画面110に維持したまま、スマートフォン40から無線ネットワーク通信C2を用いて供給された印刷データDPに基づいて、記録媒体に画像を形成する。
(ユーザ管理情報16Aの編集について)
画像処理システム1では、ユーザ管理情報16Aに登録されたユーザが、画像処理装置10を使用することができる。以下に、管理者がユーザ管理情報16Aを編集する場合における、画像処理装置10の動作について説明する。
図7A〜7Cは、管理者がユーザ管理情報16Aを編集する場合における表示画面の一例を表すものである。
まず、管理者は、パーソナルコンピュータ9でWEBブラウザを起動し、所定のURI(Uniform Resource Identifier)を入力する。これにより、画像処理装置10のWEBサーバ部31が、パーソナルコンピュータ9に、管理者認証画面210(図7A)を提供する。この例では、管理者認証画面210には、ユーザ名入力欄211、パスワード入力欄212、および“ログイン”ボタン213が設けられている。そして、管理者が、ユーザ名UN(この例では“admin”)をユーザ名入力欄211に入力するとともにパスワードPWをパスワード入力欄212に入力し、“ログイン”ボタン213を操作することにより、画像処理装置10のユーザ情報設定部32は、入力されたユーザ名UNおよびパスワードPWを認証部33に供給して、認証部33に認証処理を依頼する。具体的には、ユーザ管理情報16Aに、入力されたユーザ名UNおよびパスワードPWを含み、かつユーザ種別UTが“A”(管理者)であるユーザ情報IUが登録されていれば、認証処理は成功する。
認証処理が成功した場合には、WEBサーバ部31は、ユーザ管理情報16Aに基づいて、ユーザ管理画面220(図7B)を生成し、このユーザ管理画面220をパーソナルコンピュータ9に提供する。この例では、ユーザ管理画面220は、ユーザ管理情報16Aに登録されているユーザ情報IU(この例では、ユーザ名UN、ユーザ種別UT、および端末識別情報ID)についての情報を含んでいる。また、ユーザ管理画面220には、“追加”ボタン221、“変更”ボタン222、および“削除”ボタン223が設けられている。“追加”ボタン221は、ユーザを追加する際に用いるボタンであり、“変更”ボタン222は、登録されたユーザ情報IUを変更する際に用いるボタンであり、“削除”ボタン223は、ユーザを削除する際に用いるボタンである。
例えば、管理者が、ユーザ管理画面220(図7B)において、“追加”ボタン221を操作した場合には、WEBサーバ部31は、パーソナルコンピュータ9に、ユーザ情報編集画面230(図7C)を提供する。この例では、ユーザ情報編集画面230には、ユーザ名入力欄231、パスワード入力欄232、端末識別情報入力欄233、“ユーザ種別”ラジオボタン234、“実行”ボタン235、および“中止”ボタン236が設けられている。管理者は、このユーザ情報編集画面230を用いて、追加するユーザの、ユーザ名UN、パスワードPW、端末識別情報ID、およびユーザ種別UTを入力する。端末識別情報IDは、ユーザを追加する段階では未入力でもよい。この場合には、管理者は、ユーザ情報IUを変更することにより、端末識別情報IDを入力する。なお、パスワード入力欄232は、特定のシンボル(例えばアスタリスク)でマスキングして表示するのが望ましい。管理者が“実行”ボタン235を操作すると、ユーザ情報管理部35が、これらの情報をユーザ管理情報16Aに登録し、WEBサーバ部31は、パーソナルコンピュータ9に、ユーザ管理画面220(図7B)を提供する。また、管理者が“中止”ボタン236を操作すると、WEBサーバ部31は、ユーザ管理画面220(図7B)を提供する。
また、例えば、管理者が、ユーザ管理画面220(図7B)において、変更したいユーザのチェックボックスにチェックを入れて“変更”ボタン222を操作した場合も、WEBサーバ部31は、ユーザを追加する場合と同様に、ユーザ情報編集画面230(図7C)を提供する。この場合には、ユーザ名入力欄231、パスワード入力欄232、端末識別情報入力欄233、および“ユーザ種別”ラジオボタン234は、その変更したいユーザの、既に登録されている情報が表示される。なお、この場合も、パスワード入力欄232では、入力されたパスワードを、特定のシンボル(例えばアスタリスク)でマスキングして表示するのが望ましい。
なお、画像処理装置10は、ユーザ情報IUを変更することにより、ユーザ管理情報16Aに、ユーザ種別UTが“A”(管理者)であるユーザ情報IUがなくなる場合には、エラー表示を行い、そのユーザ情報IUの変更を受け付けないように動作する。
また、例えば、管理者が、ユーザ管理画面220(図7B)において、削除したいユーザのチェックボックスにチェックを入れて“削除”ボタン223を操作した場合には、ユーザ情報管理部35は、ユーザ管理情報16Aから、その削除したいユーザのユーザ情報IUを削除する。そして、WEBサーバ部31が、最新のユーザ管理情報16Aに基づいてユーザ管理画面220(図7B)を生成し、このユーザ管理画面220をパーソナルコンピュータ9に提供する。
(画像送信アプリケーション60)
次に、スマートフォン40にインストールされた画像送信アプリケーション60について、詳細に説明する。
図8A〜8Cは、画像送信アプリケーション60が動作する場合におけるスマートフォン40の表示画面の一例を表すものである。
ユーザが、スマートフォン40を操作して画像送信アプリケーション60を起動すると、タッチパネル44は、画像送信アプリケーション60からの指示に基づいて、ホーム画面410(図8A)を表示する。このホーム画面410には、“ファイル”メニュー411、“Web”メニュー412、“カメラ”メニュー413、および“端末識別情報を表示する”ボタン414が設けられている。
ユーザは、“ファイル”メニュー411、“Web”メニュー412、および“カメラ”メニュー413を操作することにより、画像処理装置10に印刷させる画像を選択する。
例えば、ユーザが、ホーム画面410(図8A)において、“ファイル”メニュー411を選択した場合には、スマートフォン40のタッチパネル44は、例えば、記憶部45に記憶された画像ファイルの一覧を表示する。そして、ユーザが画像ファイルを選択すると、タッチパネル44は、画像送信アプリケーション60の印刷プレビュー処理部64からの指示に基づいて、印刷プレビュー画面420(図8B)を表示する。この印刷プレビュー画面420には、選択された画像ファイルに係るプレビュー画像421が表示される。また、印刷プレビュー画面420には、“カラー区分”プルダウンメニュー422、“記録媒体サイズ”プルダウンメニュー423、印刷部数変更ボタン424が設けられている。ユーザは、“カラー区分”プルダウンメニュー422、“記録媒体サイズ”プルダウンメニュー423、および印刷部数変更ボタン424を操作することにより、印刷パラメータを設定することができる。
また、例えば、ユーザが、ホーム画面410(図8A)において、“Web”メニュー412を選択した場合には、タッチパネル44は、例えば、URIを入力するための画面を表示する。そして、ユーザがURIを入力すると、タッチパネル44は、印刷プレビュー処理部64からの指示に基づいて、印刷プレビュー画面420(図8B)を表示する。この場合には、入力したURIに対応したWEBページが、プレビュー画像421として表示される。
また、例えば、ユーザが、ホーム画面410(図8A)において、“カメラ”メニュー413を選択した場合には、カメラアプリケーション57が起動する。そして、ユーザがカメラアプリケーション57を操作して撮影を行うと、タッチパネル44は、印刷プレビュー処理部64からの指示に基づいて、印刷プレビュー画面420(図8B)を表示する。この場合には、撮影した画像が、プレビュー画像421として表示される。
この例では、図8Aに示した3つのメニューを用いて印刷プレビュー画面420を表示したが、これに限定されるものではない。例えば、画像表示アプリケーション56で画像を選択し、画像送信アプリケーション60を指定して共有操作を行うことにより、印刷プレビュー画面420(図8B)を表示することができる。この場合には、画像表示アプリケーション56で選択した画像が、プレビュー画像421として表示される。
このようにスマートフォン40のタッチパネル44が印刷プレビュー画面420(図8B)を表示している期間では、タグデータ書込部62は、スマートフォン40においてエミュレートされたNFCタグに、端末識別情報ID、および“ON”を示す無線情報要求フラグFを書き込む。そして、ユーザが、このスマートフォン40をリーダライタ8にかざすと、画像処理装置10は、端末識別情報IDに基づいて認証処理を行い、認証処理が成功した場合に、“ON”を示す無線情報要求フラグFに基づいて、リーダライタ8を用いてNFCタグにネットワーク設定情報INを書き込む。スマートフォン40のタグデータ読出部63は、このネットワーク設定情報INを読み出し、無線通信設定部52は、このネットワーク設定情報INに基づいてネットワーク設定を行う。
そして、スマートフォン40の印刷データ生成部66は、印刷プレビュー画面420(図8B)におけるプレビュー画像421に係る画像データ、およびこの印刷プレビュー画面420において設定された印刷パラメータに基づいて、印刷データDPを生成する。
図9は、印刷データDPの一例を表すものである。印刷データDPは、“ジョブ種別”と、“認証情報”と、“ジョブ名”と、“記録媒体サイズ”と、“印刷部数”と、“画像データ”とを含んでいる。
“ジョブ種別”は、例えば、認証処理を行わないで印刷を行う通常ジョブJ1、ユーザ名UNおよびパスワードPWを用いて認証処理を行うことにより印刷を行う認証ジョブJ2、端末識別情報IDを用いて認証処理を行うことにより印刷を行う認証ジョブJ3のうちのいずれかが設定される。
認証処理を行わない画像処理装置が、“ジョブ種別”が通常ジョブJ1に設定された印刷データDPを受信した場合には、この印刷データDPに基づいて画像を形成するが、“ジョブ種別”が認証ジョブJ2,J3に設定された印刷データDPを受信した場合には、この印刷データDPを破棄し、画像形成を行わない。
また、認証処理を行う画像処理装置が、“ジョブ種別”が通常ジョブJ1に設定された印刷データDPを受信した場合には、この印刷データDPを破棄し、画像形成を行わない。また、認証処理を行う画像処理装置が、“ジョブ種別”が認証ジョブJ2,J3に設定された印刷データDPを受信した場合には、認証処理が成功したときには、この印刷データDPに基づいて画像を形成し、認証処理が失敗したときには、この印刷データDPを破棄し、画像形成を行わない。
“認証情報”は、例えば、“ジョブ種別”が通常ジョブJ1に設定された場合には、ユーザ名UNが設定される。このユーザ名UNは、例えばログ情報を生成する際に用いられる。 また、“認証情報”は、例えば、“ジョブ種別”が認証ジョブJ2に設定された場合には、ユーザ名UNおよびパスワードPWが設定され、“ジョブ種別”が認証ジョブJ3に設定された場合には、端末識別情報IDが設定される。“ジョブ種別”が認証ジョブJ2,J3に設定された場合には、“認証情報”を暗号化することが望ましい。
“ジョブ名”は、例えば、印刷データDPを生成する際の元ファイルのファイル名や、印刷データDPを生成する日付に基づいて設定される。この“ジョブ名”は、例えばログ情報を生成する際に用いられる。
“記録媒体サイズ”、および“印刷部数”は、印刷プレビュー画面420(図8B)において設定された内容に応じて設定される。
“画像データ”は、印刷すべき画像データであり、印刷プレビュー画面420(図8B)において設定された“カラー区分”に応じて色情報が変更され、“記録媒体サイズ”に応じて画像サイズが変更された画像データが格納される。
印刷データ生成部66は、このような印刷データDPを生成する。そして、印刷データ送信部67は、その印刷データDPを画像処理装置10に供給する。画像処理装置10は、“認証情報”に基づいて認証処理を行い、認証処理が成功し、かつそのユーザが“プリント”機能の使用権限を有する場合には、その印刷データDPに基づいて、記録媒体に画像を形成する。
一方、タッチパネル44が印刷プレビュー画面420(図8B)を表示していない期間では、タグデータ書込部62は、スマートフォン40においてエミュレートされたNFCタグに、端末識別情報ID、および“OFF”を示す無線情報要求フラグFを書き込む。そして、ユーザが、このスマートフォン40をリーダライタ8にかざすと、画像処理装置10は、端末識別情報IDに基づいて認証処理を行い、認証処理が成功した場合に、“OFF”を示す無線情報要求フラグFに基づいて、タッチパネル15の表示画面を認証待機画面110(図2A)からメニュー画面120(図2B)に切り替える。そして、ユーザが、機能アイコン121を操作して、使用したい機能を選択することにより、画像処理装置10は、ユーザの指示に基づいて処理を行う。
また、例えば、ユーザが、ホーム画面410(図8A)において、“端末識別情報を表示する”ボタン414を操作した場合には、タッチパネル44は、画像送信アプリケーション60の端末識別情報管理部65からの指示に基づいて、端末識別情報表示画面430(図8C)を表示する。この端末識別情報表示画面430(図8C)では、スマートフォン40の端末識別情報IDが表示される。ユーザは、この端末識別情報IDを、画像処理装置10の管理者に伝える。そして、管理者は、ユーザ情報編集画面230(図7C)を操作して、端末識別情報IDをユーザ管理情報16Aに登録する。このようにして、ユーザ管理情報16Aに端末識別情報IDが登録される。
また、この例では、端末識別情報表示画面430に、“メール”アイコン431が設けられている。ユーザがこの“メール”アイコン431を操作することにより、メールアプリケーション58が起動し、例えばメール本文に、スマートフォン40の端末識別情報IDが記載されたメールが作成される。ユーザは、このメールを、画像処理装置10の管理者に送信することにより、例えば、ユーザ追加の依頼や、端末識別情報IDの登録を依頼することができる。
(エミュレーション動作について)
画像送信アプリケーション60のエミュレーション設定部61は、この画像送信アプリケーション60がスマートフォン40にインストールされたときに、スマートフォン40においてエミュレートされるNFCタグについての各種情報を、エミュレーション制御部54に登録する。これにより、スマートフォン40にインストールされた画像送信アプリケーションおよびエミュレーション制御部54は、NDEF(NFC Data Encoding Format)タグアプリケーション70として動作する。
図10は、NDEFタグアプリケーション70を模式的に表したものである。なお、この例では、NFCフォーラムが規定するタグのうちの、“NFC Forum Type 4 Tag”を用いるが、これに限定されるものではなく、他のタグを用いてもよい。
NDEFタグアプリケーション70には、他のアプリケーションプログラムと重複しない固有のアプリケーション識別情報AID(Application Identifier)が付されている。このNDEFタグアプリケーション70は、NDEFタグの情報を示す“CC(Capability Container) File”を有する。“CC_File”は、“CCLEN”フィールドと、“マッピングバージョン”フィールドと、“MLe”フィールドと、“MLc”フィールドと、“NDEF File Control TLV1”フィールドと、“NDEF File Control TLV2”フィールドとを有している。“CCLEN”フィールドには、“CC File”のサイズが格納される。“マッピングバージョン”フィールドの上位ニブルには、マッピングバージョンナンバーのうちのメジャーバージョンナンバーが格納され、下位ニブルには、マイナーバージョンナンバーが格納される。“MLe”フィールドには、1回のコマンドで読み出すことができる最大データサイズを格納する。“MLc”フィールドには、1回のコマンドで書き込むことができる最大データサイズを格納する。“NDEF File Control TLV1”フィールドには、“NDEF File1”が格納され、“NDEF File Control TLV2”フィールドには、“NDEF File2”が格納される。
“NDEF File1”は、リーダライタ8に読み出されるものである。“NDEF File1”は、“NLEN”フィールドと、“NDEFメッセージ”フィールドとを有している。“NLEN”フィールドには、この“NDEF File1”のNDEFメッセージのサイズが格納される。“NDEFメッセージ”フィールドには、スマートフォン40が画像処理装置10に供給する、例えば複数のレコードからなるデータ(NDEFメッセージ)が、画像送信アプリケーション60のタグデータ書込部62により書き込まれる。
図11は、“NDEF File1”のNDEFメッセージの一例を表すものである。このNDEFメッセージは、“端末識別情報ID”レコードと、“無線情報要求フラグF”レコードとを含んでいる。“端末識別情報ID”レコードには、端末識別情報IDが、テキスト形式で格納される。“無線情報要求フラグF”レコードには、“ON”または“OFF”がテキスト形式で格納される。
“NDEF File2”は、リーダライタ8により書き込まれるものである。“NDEF File2”は、“NLEN”フィールドと、“NDEFメッセージ”フィールドとを有している。“NLEN”フィールドには、この“NDEF File2”のNDEFメッセージのサイズが格納される。この“NDEFメッセージ”フィールドには、画像処理装置10がスマートフォン40に供給する、例えば複数のレコードからなるデータ(NDEFメッセージ)が、リーダライタ8により書き込まれる。
図12は、“NDEF File2”のNDEFメッセージの一例を表すものである。このNDEFメッセージは、“SSID”レコードと、“パスワード”レコードと、“セキュリティの種類”レコードと、“IPアドレス”レコードとを有している。すなわち、これらのレコードには、ネットワーク設定情報INが格納される。具体的には、“SSID”レコードには、画像処理装置10が無線ネットワーク通信C2におけるアクセスポイントとして動作したときのSSIDが、テキスト形式で格納される。“パスワード”レコードには、スマートフォン40が無線ネットワーク通信C2により画像処理装置10に接続する際に用いるパスワードが格納される。“セキュリティの種類”レコードには、無線ネットワーク通信C2を行う際に用いる、WPA2やTKIPなどの暗号化方式が格納される。また、“IPアドレスフィールド”には、無線ネットワーク通信C2における画像処理装置10のIPアドレスが格納される。
画像処理装置10は、スマートフォン40から、端末識別情報ID、および“ON”を示す無線情報要求フラグFが供給され、端末識別情報IDに基づいて認証処理を行い、その認証処理が成功した場合に、リーダライタ8がネットワーク設定情報IN(図12)を書き込むように制御する。
(動作例OP1)
次に、スマートフォン40をリーダライタ8にかざして、表示画面を認証待機画面110に維持したまま、スマートフォン40が画像処理装置10に印刷データDPを供給する場合の、画像処理システム1の動作について説明する。
図13A,13Bは、動作例OP1における、画像処理システム1の一動作例を表すものである。この図13A,13Bにおいて、破線の矢印は、近距離無線通信C1を用いたデータのやりとりを示し、実線の矢印は、無線ネットワーク通信C2を用いたデータのやりとりを示す。また、ユーザの操作を括弧書きで示している。
図13Aに示したように、まず、スマートフォン40では、NFCエミュレーションサービスを動作させる(ステップS101)。具体的には、スマートフォン40に画像送信アプリケーション60をインストールすると、エミュレーション制御部54は、例えばスマートフォン40がスリープ状態である場合を除き、スマートフォン40がNFCタグとして振る舞うように、NFC通信部53の動作を制御する。すなわち、スマートフォン40では、画像送信アプリケーション60を起動していない場合でも、NFCエミュレーションサービスが常に動作している。
一方、画像処理装置10のタッチパネル15は、認証待機画面110を表示する(ステップS102)。
そして、ユーザが、スマートフォン40を操作して、画像送信アプリケーション60を起動し、印刷したい画像を選択して、タッチパネル44に印刷プレビュー画面420(図8B)を表示させる。これにより、スマートフォン40は、無線情報要求フラグFを“ON”に設定する(ステップS103)。具体的には、画像送信アプリケーション60のタグデータ書込部62は、“NDEF File1”の“NDEFメッセージ”フィールドに、端末識別情報IDを書き込むとともに、“ON”を示す無線情報要求フラグFを書き込む。
そして、ユーザがスマートフォン40をリーダライタ8にかざす。これにより、画像処理装置10は、スマートフォン40を検出する(ステップS111)。具体的には、スマートフォン40がリーダライタ8の通信可能範囲に入ると、リーダライタ制御部26は、リーダライタ8からの通知に基づいて、スマートフォン40に対して、画像送信アプリケーション60のアプリケーション識別情報AIDをセレクトするコマンドを供給する。そして、リーダライタ制御部26は、スマートフォン40から、そのコマンドに対する所望の応答を得られるかどうかを確認する。スマートフォン40から、所望の応答を得られた場合には、次のステップに進む。また、スマートフォン40から、所望の応答を得られなかった場合には、画像処理装置10は、例えば、スマートフォン40を検出できなかったことを示すブザー音を発生させ、この処理を終了させる。
次に、画像処理装置10は、スマートフォン40から“CC File”を読み出す(ステップS112)。具体的には、画像処理装置10のリーダライタ制御部26は、“CC File”をセレクトし、この“CC File”を読み出し、“NDEF File1”および“NDEF File2”を得る。
次に、画像処理装置10は、“NDEF File1”から、端末識別情報IDおよび無線情報要求フラグFを読み出す(ステップS113)。具体的には、画像処理装置10のリーダライタ制御部26は、“CC File”のうちの“NDEF File1”をセレクトし、この“NDEF File1”を読み出し、端末識別情報IDおよび無線情報要求フラグFを取得する。
次に、画像処理装置10は、端末識別情報IDに基づいて認証処理を行う(ステップS114)。具体的には、画像処理装置10のリーダライタ制御部26は、ステップS113において取得した端末識別情報IDを認証部33に供給し、認証部33に認証処理を依頼する。認証部33は、この端末識別情報IDに基づいて認証処理を行う。そして、認証部33は、認証処理の結果を、リーダライタ制御部26に通知する。認証処理が成功した場合には、次のステップに進む。また、認証処理が失敗した場合には、画像処理装置10は、例えば、認証処理が失敗したことを示すブザー音を発生させ、この処理を終了させる。
次に、画像処理装置10は、無線情報要求フラグFを確認する(ステップS115)。具体的には、画像処理装置10のリーダライタ制御部26は、ステップS113において取得した無線情報要求フラグFが“ON”または“OFF”のどちらであるかを確認する。
この例では、無線情報要求フラグFが“ON”であるので、次に、画像処理装置10は、“NDEF File2”に、ネットワーク設定情報INを書き込む(ステップS116)。具体的には、画像処理装置10のリーダライタ制御部26は、無線通信設定部24からネットワーク設定情報INを取得する。そして、リーダライタ制御部26は、“CC File”のうちの“NDEF File2”をセレクトし、この“NDEF File2”にネットワーク設定情報INを書き込む。
次に、画像処理装置10は、スマートフォン40をリーダライタ8から外してもよい旨を示すブザー音を発生させる(ステップS117)。
そして、ユーザが、スマートフォン40をリーダライタ8から外す。これにより、スマートフォン40のエミュレーション制御部54は、近距離無線通信C1による接続が切断されたことを検出する(ステップS118)
次に、図13Bに示したように、スマートフォン40は、“NDEF File2”からネットワーク設定情報INを読み出す(ステップS121)。具体的には、画像送信アプリケーション60のタグデータ読出部63は、ステップS116において“NDEF File2”に書き込まれたネットワーク設定情報INを読み出す。
次に、スマートフォン40は、無線ネットワーク通信C2により、画像処理装置10に接続する(ステップS122)。具体的には、スマートフォン40の無線通信設定部52は、ステップS121においてタグデータ読出部63が読み出したネットワーク設定情報IN(SSID、パスワード、セキュリティの種類、IPアドレス)に基づいて、ネットワーク設定を行う。そして、TCP/IP無線通信部51は、無線ネットワーク通信C2により、画像処理装置10の所定のポート(例えばポート9100)に接続する。
次に、スマートフォン40は、機密保持のために、“NDEF File2”の情報を全て消去して初期化する(ステップS123)。
次に、スマートフォン40は、印刷データDPを生成する(ステップS124)。具体的には、画像送信アプリケーション60の印刷データ生成部66は、タッチパネル44が表示している印刷プレビュー画面420(図8B)におけるプレビュー画像421に係る画像データ、この印刷プレビュー画面420において設定された印刷パラメータ、および端末識別情報IDに基づいて、印刷データDPを生成する。この例では、印刷データDP(図9)において、“ジョブ種別”は認証ジョブJ3に設定され、“認証情報”は端末識別情報IDに設定される。
次に、スマートフォン40は、印刷データDPを画像処理装置10に送信する(ステップS125)。具体的には、画像送信アプリケーション60の印刷データ送信部67は、ステップS124において印刷データ生成部66が生成した印刷データDPを、無線ネットワーク通信C2により、画像処理装置10に送信する。画像処理装置10のTCP/IP無線通信部23は、この印刷データDPを受信する。
次に、画像処理装置10は、印刷データDPから端末識別情報IDを取得する(ステップS126)。具体的には、画像処理装置10の印刷データ解析部36は、印刷データDP(図9)の“認証情報”から、端末識別情報IDを取得する。端末識別情報IDが暗号化されている場合には復号化をおこなう。
次に、画像処理装置10は、端末識別情報IDに基づいて認証処理を行う(ステップS127)。具体的には、印刷データ解析部36は、ステップS126において取得した端末識別情報IDを認証部33に供給し、認証部33に認証処理を依頼する。認証部33は、認証処理を行い、その認証処理が成功した場合には、その端末識別情報IDに対応するユーザ名UNを取得し、そのユーザが“プリント”機能を使用する権限を有しているか否かを確認する。そして、そのユーザが“プリント”機能を使用する権限を有している場合には、認証部33は、認証処理が成功した旨を印刷データ解析部36に通知するとともに、取得したユーザ名UNを印刷データ解析部36に通知する。この場合には、印刷データ解析部36は、印刷データDP(図9)の“認証情報”を、端末識別情報IDからユーザ名UNに置き換える。また、認証部33は、認証処理が失敗した場合や、そのユーザが“プリント”機能を使用する権限を有していない場合には、その旨を印刷データ解析部36に通知する。この場合には、印刷データ解析部36は、印刷データDPを破棄し、画像処理装置10は、ブザー音を発生させ、この処理を終了させる。なお、この例では、ステップS114において、画像処理装置10は、端末識別情報IDに基づいて認証処理をおこなっているため、認証処理は成功する。
次に、画像処理装置10は、印刷データDPに基づいて、記録媒体に画像を形成する(ステップS128)。具体的には、画像処理装置10の印刷実行部37は、印刷データ解析部36から供給された印刷データDPに基づいて、画像形成部18の動作を制御する。その結果、画像処理装置10は、記録媒体に画像を形成する。そして、印刷実行部37は、印刷データDP(図9)に含まれる“認証情報”(ユーザ名UN)、“ジョブ名”、“記録媒体サイズ”、“印刷部数”などの情報を、ログ出力部38に供給し、ログ出力部38は、これらの情報に基づいてログ情報16Bを更新する。
そして、ユーザは、スマートフォン40の画像送信アプリケーション60を操作することにより、印刷プレビュー画面420の表示を終了させる。これにより、スマートフォン40は、無線情報要求フラグFを“OFF”に設定する(ステップS129)。具体的には、画像送信アプリケーション60のタグデータ書込部62は、“NDEF File1”の“NDEFメッセージ”フィールドに、“OFF”を示す無線情報要求フラグFを書き込む。
以上で、このシーケンスは終了する。
このように、画像処理システム1では、スマートフォン40のタッチパネル44に印刷プレビュー画面420(図8B)を表示させた状態で、スマートフォン40をリーダライタ8にかざすことにより、画像処理装置10の表示画面を認証待機画面110に維持したまま、印刷プレビュー画面420に係る画像を印刷することができる。
これにより、画像処理システム1では、ユーザの利便性を高めることができる。すなわち、例えば、ユーザが、認証待機画面においてユーザ名UN及びパスワードPWを直接入力し、表示画面をメニュー画面に切り替えてから、スマートフォンをリーダライタにかざすことにより印刷データDPをやりとりするように構成した場合には、ユーザは、スマートフォンと画像処理装置の両方を操作する必要があり、手間がかかる。また、ユーザは、画像処理装置を使用し終えた場合には、“ログアウト”ボタンを操作することにより、表示画面を認証待機画面に戻す必要があるため手間がかかる。また、仮に、ユーザが、画像処理装置を使用し終えた場合に、“ログアウト”ボタンを操作し忘れた場合には、第3者がそのユーザになりすまして画像処理装置10を操作することができるため、セキュリティが低下するおそれがある。
一方、本実施の形態に係る画像処理システム1では、スマートフォン40をリーダライタ8にかざすことにより、画像処理装置10の表示画面を認証待機画面110に維持したまま、印刷データDPをやりとりすることができるようにしたので、ユーザが画像処理装置10を直接操作しなくて済むため、ユーザの利便性を高めることができる。また、表示画面は認証待機画面110に維持されるため、第3者は画像処理装置10を操作することができず、セキュリティを高めることができる。
また、画像処理システム1では、スマートフォン40のタッチパネル44に印刷プレビュー画面420(図8B)を表示させた状態で、スマートフォン40をリーダライタ8にかざした場合に、ネットワーク設定情報INをやりとりするようにしたので、ユーザがスマートフォン40のネットワーク設定を行う必要がないため、ユーザの利便性を高めることができる。特に、例えば、画像処理装置10のネットワーク設定を変更した場合でも、最新のネットワーク設定情報INがやりとりされるため、ユーザがスマートフォン40のネットワーク設定を再度行う必要がないため、ユーザの利便性を高めることができる。
また、画像処理システム1では、端末識別情報IDを用いて認証処理を行うようにしたので、画像処理装置10のユーザ管理情報16Aを編集して、例えばユーザ名UNやパスワードPWを変更した場合でも、ユーザがスマートフォン40を操作して、ユーザ名UNやパスワードPWを再入力する必要がないため、ユーザの利便性を高めることができる。
(動作例OP2)
次に、スマートフォン40をリーダライタ8にかざして、画像処理装置10の表示画面を認証待機画面110(図2A)からメニュー画面120(図2B)に切り替える場合の、画像処理システム1の動作について説明する。
図14は、動作例OP2に係る、画像処理システム1の一動作例を表すものである。動作例OP1と同様に、まず、スマートフォン40では、NFCエミュレーションサービスを動作させる(ステップS101)。一方、画像処理装置10のタッチパネル15は、認証待機画面110を表示する(ステップS102)。
この動作例OP2では、動作例OP1(図13A,13B)と異なり、ユーザは、スマートフォン40のタッチパネル44に印刷プレビュー画面420を表示させない。この場合には、“NDEF File1”の“NDEFメッセージ”フィールドには、“OFF”を示す無線情報要求フラグFが書き込まれている。
そして、ユーザがスマートフォン40をリーダライタ8にかざすと、画像処理装置10は、スマートフォン40を検出し(ステップS111)、スマートフォン40から“CC File”を読み出し(ステップS112)、“NDEF File1”から、端末識別情報IDおよび無線情報要求フラグFを読み出し(ステップS113)、端末識別情報IDに基づいて認証処理を行う(ステップS114)。
次に、画像処理装置10のリーダライタ制御部26は、ステップS113において取得した無線情報要求フラグFが“ON”または“OFF”のどちらであるかを確認する(ステップS115)。
この例では、無線情報要求フラグFが“OFF”であるので、次に、画像処理装置10は、スマートフォン40をリーダライタ8から外してもよい旨を示すブザー音を発生させるとともに(ステップS131)、メニュー画面120を表示する(ステップS132)。具体的には、画像処理装置10のタッチパネル制御部27は、無線情報要求フラグFが“OFF”であるので、タッチパネル15の表示画面を認証待機画面110(図2A)からメニュー画面120(図2B)に切り替える。そして、画像処理装置10は、そのユーザに関する各種設定を行う。
そして、ユーザが、スマートフォン40をリーダライタ8から外すと、スマートフォン40のエミュレーション制御部54は、近距離無線通信C1による接続が切断されたことを検出する(ステップS118)
そして、ユーザは、画像処理装置10のタッチパネル15に表示されたメニュー画面120(図2B)において、機能アイコン121を操作して、使用したい機能を選択する。これにより、画像処理装置10は、ユーザの指示に基づいて処理を行う。
そして、ユーザが、メニュー画面120(図2B)において“ログアウト”ボタン122を操作する。これにより、画像処理装置10は、認証待機画面110を表示する(ステップS133)。具体的には、画像処理装置10は、ログアウト処理を行い、タッチパネル制御部27は、タッチパネル15の表示画面を、メニュー画面120から認証待機画面110(図2A)に切り替える。
以上で、このシーケンスは終了する。
このように、画像処理システム1では、スマートフォン40のタッチパネル44に印刷プレビュー画面420を表示させていない状態で、スマートフォン40をリーダライタ8にかざすことにより、画像処理装置10の表示画面を認証待機画面110(図2A)からメニュー画面120(図2B)に切り替える。これにより、画像処理システム1では、ユーザが、認証待機画面110においてユーザ名UN及びパスワードPWを直接入力する必要がないため、ユーザの利便性を高めることができる。
また、画像処理システム1では、スマートフォン40をリーダライタ8にかざしたときの、タッチパネル44の表示画面に応じて、画像処理装置10が異なる処理を行うようにした。これにより、画像処理システム1では、画像処理装置10がユーザの目的に応じた動作を行うことができるため、ユーザの利便性を高めることができる。すなわち、例えば、タッチパネル44に印刷プレビュー画面420(図8B)を表示させた状態で、スマートフォン40をリーダライタ8にかざした場合には、画像処理装置10は、ユーザが印刷プレビュー画面420に係る画像を印刷したいと判断し、印刷データDPのやり取りを行う。また、例えば、タッチパネル44に印刷プレビュー画面420を表示させない状態で、スマートフォン40をリーダライタ8にかざした場合には、画像処理装置10は、ユーザは、画像処理装置10の様々な機能を使用したいと判断し、表示画面を認証待機画面110(図2A)からメニュー画面120(図2B)に切り替える。これにより、画像処理システム1では、ユーザが画像処理装置10のタッチパネル15を直接操作する回数を効果的に減らすことができるため、ユーザの利便性を高めることができる。
[効果]
以上のように本実施の形態では、スマートフォンをリーダライタにかざすことにより、画像処理装置の表示画面を認証待機画面に維持したまま、印刷データをやりとりすることができるようにしたので、ユーザの操作回数を減らすことができるため、ユーザの利便性を高めることができる。
本実施の形態では、スマートフォンのタッチパネルに印刷プレビュー画面を表示させた状態で、スマートフォンをリーダライタにかざした場合に、ネットワーク設定情報をやりとりするようにしたので、ユーザがスマートフォンのネットワーク設定を行う必要がないため、ユーザの利便性を高めることができる。
本実施の形態では、端末識別情報を用いて認証処理を行うようにしたので、ユーザ管理情報を編集して、例えばユーザ名やパスワードを変更した場合でも、ユーザがスマートフォンを操作して、ユーザ名やパスワードを再入力する必要がないため、ユーザの利便性を高めることができる。
本実施の形態では、スマートフォンのタッチパネルに印刷プレビュー画面を表示させていない状態で、スマートフォンをリーダライタにかざすことにより、画像処理装置の表示画面を認証待機画面からメニュー画面に切り替えるようにしたので、ユーザが、認証待機画面においてユーザ名及びパスワードを直接入力する必要がないため、ユーザの利便性を高めることができる。
本実施の形態では、スマートフォンをリーダライタにかざしたときの、タッチパネルの表示画面に応じて、画像処理装置が異なる処理を行うようにしたので、ユーザが画像処理装置のタッチパネルを直接操作する回数を効果的に減らすことができるため、ユーザの利便性を高めることができる。
[変形例1]
上記実施の形態では、画像処理装置10のタッチパネル15が認証待機画面110(図2A)を表示しているときに、スマートフォン40をリーダライタ8にかざしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、画像処理装置10のタッチパネル15がメニュー画面120(図2B)を表示しているときに、スマートフォン40をリーダライタ8にかざしてもよい。
例えば、画像処理装置10のタッチパネル15が、あるユーザU1に係るメニュー画面120を表示している場合において、そのユーザU1が所有するスマートフォン40のタッチパネル44に印刷プレビュー画面420を表示させた状態で、ユーザU1がそのスマートフォン40をリーダライタ8にかざした場合には、画像処理装置10は、その印刷プレビュー画面420に係る画像を印刷することができる。
また、例えば、画像処理装置10のタッチパネル15が、あるユーザU1に係るメニュー画面120を表示している場合において、そのユーザU1とは異なるユーザU2が所有するスマートフォン40のタッチパネル44に印刷プレビュー画面420を表示させた状態で、ユーザU2がそのスマートフォン40をリーダライタ8にかざした場合には、画像処理装置10は、その印刷プレビュー画面420に係る画像を印刷することができる。
また、例えば、画像処理装置10のタッチパネル15が、あるユーザU1に係るメニュー画面120を表示している場合において、そのユーザU1とは異なるユーザU2が所有するスマートフォン40のタッチパネル44に印刷プレビュー画面420を表示させていない状態で、ユーザU2がそのスマートフォン40をリーダライタ8にかざした場合には、画像処理装置10は、ユーザU1に係るメニュー画面120から、ユーザU2に係るメニュー画面120に切り替えてもよい。この場合、例えば、画像処理装置10は、処理状況がビジーではない場合に、ユーザU1に係るメニュー画面120から、ユーザU2に係るメニュー画面120に切り替えてもよい。また、例えば、画像処理装置10は、処理状況がビジーではない状態が所定の時間(例えば30秒)以上継続した後に、スマートフォン40をリーダライタ8にかざした場合に、ユーザU1に係るメニュー画面120から、ユーザU2に係るメニュー画面120に切り替えてもよい。また、この例では、ユーザU1に係るメニュー画面120から、ユーザU2に係るメニュー画面120に切り替えるようにしたが、これに代えて、ユーザU1に係るメニュー画面120から、ユーザU2に係るメニュー画面120に切り替えなくてもよい。
[変形例2]
上記実施の形態では、画像処理装置10は、ネットワーク設定情報INをスマートフォン40に供給したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、画像処理装置10は、ネットワーク設定情報INに加えて、ユーザ名UNおよびパスワードPWをスマートフォン40に供給してもよい。以下に、本変形例に係る画像処理システム1Aについて詳細に説明する。
図15A,15Bは、動作例OP1における、画像処理システム1Aの一動作例を表すものである。まず、画像処理システム1Aのスマートフォン40Aでは、NFCエミュレーションサービスを動作させる(ステップS101)。一方、画像処理システム1Aの画像処理装置10Aのタッチパネル15は、認証待機画面110を表示する(ステップS102)。
そして、ユーザが、スマートフォン40Aを操作して、画像送信アプリケーション60Aを起動し、印刷したい画像を選択して、タッチパネル44に印刷プレビュー画面420(図8B)を表示させると、スマートフォン40Aは、無線情報要求フラグFを“ON”に設定する(ステップS103)。
ユーザがスマートフォン40Aをリーダライタ8にかざすと、画像処理システム1Aの画像処理装置10Aは、スマートフォン40Aを検出し(ステップS111)、スマートフォン40Aから“CC File”を読み出し(ステップS112)、“NDEF File1”から、端末識別情報IDおよび無線情報要求フラグFを読み出す(ステップS113)。そして、画像処理装置10Aは、端末識別情報IDに基づいて認証処理を行い(ステップS114)、無線情報要求フラグFを確認する(ステップS115)。
この例では、無線情報要求フラグFが“ON”であるので、次に、画像処理装置10Aは、“NDEF File2”に、ネットワーク設定情報IN、ユーザ名UN、およびパスワードPWを書き込む(ステップS146)。具体的には、画像処理装置10Aのリーダライタ制御部26Aは、無線通信設定部24からネットワーク設定情報INを取得する。そして、リーダライタ制御部26Aは、“CC File”のうちの“NDEF File2”をセレクトし、この“NDEF File2”に、図16に示すように、ネットワーク設定情報IN、ユーザ名UN、およびパスワードPWを書き込む。
次に、画像処理装置10Aは、スマートフォン40Aをリーダライタ8から外してもよい旨を示すブザー音を発生させる(ステップS117)。
そして、ユーザが、スマートフォン40Aをリーダライタ8から外す。これにより、スマートフォン40Aのエミュレーション制御部54は、近距離無線通信C1による接続が切断されたことを検出する(ステップS118)
次に、図15Bに示したように、スマートフォン40Aは、“NDEF File2”からネットワーク設定情報IN、ユーザ名UN、およびパスワードPWを読み出す(ステップS151)。具体的には、画像送信アプリケーション60Aのタグデータ読出部63は、ステップS116において“NDEF File2”に書き込まれたネットワーク設定情報INを読み出す。
次に、スマートフォン40Aは、無線ネットワーク通信C2により、画像処理装置10Aに接続する(ステップS122)。次に、スマートフォン40Aは、機密保持のために、“NDEF File2”の情報を全て消去して初期化する(ステップS123)。
次に、スマートフォン40Aは、印刷データDPを生成する(ステップS124)。具体的には、画像送信アプリケーション60Aの印刷データ生成部66Aは、タッチパネル44が表示している印刷プレビュー画面420(図8B)におけるプレビュー画像421に係る画像データ、この印刷プレビュー画面420において設定された印刷パラメータ、ステップS151において取得したユーザ名UNおよびパスワードPWに基づいて、印刷データDPを生成する。この例では、印刷データDP(図9)において、“ジョブ種別”は認証ジョブJ2に設定され、“認証情報”はユーザ名UNおよびパスワードPWに設定される。
次に、スマートフォン40Aは、印刷データDPを画像処理装置10Aに送信する(ステップS125)。
次に、画像処理装置10Aは、印刷データDPからユーザ名UNおよびパスワードPWを取得する(ステップS156)。具体的には、画像処理装置10Aの印刷データ解析部36Aは、印刷データDP(図9)の“認証情報”から、ユーザ名UNおよびパスワードPWを取得する。ユーザ名UNおよびパスワードPWが暗号化されている場合には復号化をおこなう。
次に、画像処理装置10Aは、ユーザ名UNおよびパスワードPWに基づいて認証処理を行う(ステップS157)。具体的には、印刷データ解析部36Aは、ステップS156において取得したユーザ名UNおよびパスワードPWを認証部33に供給し、認証部33に認証処理を依頼する。認証部33は、認証処理を行い、その認証処理が成功した場合には、そのユーザが“プリント”機能を使用する権限を有しているか否かを確認する。そして、そのユーザが“プリント”機能を使用する権限を有している場合には、認証部33は、認証処理が成功した旨を印刷データ解析部36Aに通知する。
次に、画像処理装置10Aは、印刷データDPに基づいて、記録媒体に画像を形成する(ステップS128)。
そして、ユーザは、スマートフォン40Aの画像送信アプリケーション60Aを操作することにより、印刷プレビュー画面420の表示を終了させる。これにより、スマートフォン40Aは、無線情報要求フラグFを“OFF”に設定する(ステップS129)。
以上で、このシーケンスは終了する。
[その他の変形例]
また、これらの変形例のうちの2以上を組み合わせてもよい。
以上、実施の形態および変形例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記の実施の形態等では、本技術を多機能周辺装置である画像処理装置10に適用したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば単機能のプリンタに適用してもよい。
また、例えば、上記の実施の形態等では、スマートフォン40のタッチパネル44に印刷プレビュー画面420を表示させた状態で、スマートフォン40をリーダライタ8にかざすことにより、印刷データDPのやりとりを行った。本技術は、印刷以外の様々な機能に適用することができる。例えば、本変形例に係るスマートフォン40Bのタッチパネル44に読取画面を表示させた状態で、スマートフォン40Bをリーダライタ8にかざすことにより、本変形例に係る画像処理装置10Bに対してプル型のスキャン処理を指示することができる。具体的には、スマートフォン40Bのタッチパネル44に読取画面を表示させると、無線情報要求フラグFは“ON”に設定される。このとき、スマートフォン40Bに表示される読取画面では、例えば、解像度や、カラー区分などの読取パラメータの設定を行うことができる。そして、画像処理装置10Bは、近距離無線通信C1により、端末識別情報IDおよび無線情報要求フラグFを取得する。そして、画像処理装置10Bは、端末識別情報IDに基づいて認証処理を行った後に、この“ON”を示す無線情報要求フラグFに基づいて、近距離無線通信C1により、スマートフォン40Bにネットワーク設定情報INを供給する。スマートフォン40Bは、このネットワーク設定情報INに基づいてネットワーク設定を行い、無線ネットワーク通信C2により画像処理装置10Bに接続し、読取パラメータを画像処理装置10Bに供給する。画像処理装置10Bの画像読取部17は、この読取パラメータに基づいて、読取媒体から情報を読み取り、読取データDRを生成する。そして、画像処理装置10Bは、その読取データDRを無線ネットワーク通信C2によりスマートフォン40Bに供給する。これにより、スマートフォン40Bのタッチパネル44には、読取データDRに係る画像が表示される。この場合にも、例えば、画像処理装置10Bの表示画面を認証待機画面110に維持したまま、スキャン処理を行うことができる。また、印刷データDPおよび読取データDRの両方をやりとりできるようにしてもよい。