JP6676553B2 - 高強度薄鋼板のmag溶接用ワイヤ及びこれを使用したパルスmag溶接方法 - Google Patents

高強度薄鋼板のmag溶接用ワイヤ及びこれを使用したパルスmag溶接方法 Download PDF

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Description

本発明は、引張強度が780MPa以上の高強度薄鋼板のMAG溶接用ワイヤ及びこれを使用したパルスMAG溶接方法に関し、特に板厚が1.2〜3.2mmの高強度薄鋼板の重ね継手部やT継手部を溶接するに際し、アークを安定させて、スパッタ発生量及びスラグ生成量が少なく、ギャップが大きい場合においても溶接金属の垂れ落ちが生じ難く、ビード外観が良好で、かつ良好な溶接金属の強度を得る上で好適な高強度薄鋼板のMAG溶接用ワイヤ及びこれを使用したパルスMAG溶接方法に関する。
近年、地球環境保全の見地から、自動車の燃費向上が重要な課題となっており、車体材料の高強度化のために使用鋼板の薄肉化が進められている。例えば特許文献1には、引張最大強度780MPa以上の高強度鋼板で衝突時の衝撃吸収能に優れた自動車用鋼板が開示されている。また特許文献2には、引張強さが980MPa以上の高強度鋼板で成形性の優れた自動車用鋼板が開示されている。
一方、溶接用ワイヤも前記高強度鋼板の溶接に適用するために高強度の材料が求められており、例えば特許文献3には、薄板高張力鋼板(690MPa鋼級)をワイヤ成分、アーク電圧、溶接電流、溶接速度及びシールドガスを限定して溶接し、溶接継手の疲労強度を向上する技術が開示されている。
また特許文献4には、引張強さ980MPa以上の高強度薄鋼板の溶接において、溶け込み深さ、溶接金属のビッカース硬さとワイヤのPcm値を限定することによって、溶接部の低温割れを抑制する技術が開示されている。
しかし、特許文献3及び特許文献4に記載の溶接用ワイヤを用いて、高強度薄鋼板をMAG溶接した場合、アークが不安定で溶接ビードの広がりがなく、ビード止端部のなじみが不良となりやすいという問題がある。
このため、高速度でアークが安定した溶接を行うためにパルスを付与したパルスMAG溶接が提案されている。
パルスMAG溶接とは、溶接電流として平均電流値より高電流となるピーク電流と平均電流値より低電流としたベース電流を周期的に流す溶接方法である。これによりピーク電流期間では一定に送給されている溶接用ワイヤを電磁ピンチ力などの作用で溶滴状態に溶融させ、ベース電流期間中にこの溶滴を溶融池に安定的に移行させるので、高速溶接時にアンダーカットを抑制するために溶接中のアーク電圧が低くなった場合においても溶滴が溶融池と短絡することなくスムーズに溶融池へ移行させることができる。
このように、パルス溶接電源を適用することにより、パルスMAG溶接においてピーク電流、ピーク時間、アーク電圧の積からなる溶融エネルギーに対応したワイヤ送給量毎の溶滴生成量にする。すなわち、1回のパルスピーク電流時に1個の溶滴を生成させ、ベース電流期間に溶滴を溶融池に規則的に移行させる1パルス−1ドロップ移行となるパルス条件とするにより、溶滴はスムーズに溶融池に移行してスパッタ発生量が低減される。このため溶接電源は、溶接用ワイヤの送給量に対応してパルスの周波数を数十Hz〜300Hz程度まで変化させることが可能となっている。
一方、ピーク電流、ピーク時間、アーク電圧の積からなるワイヤを溶融するエネルギーがワイヤ送給量と不均衡になると、溶滴の形成がベース電流期間となり、溶滴形成がピーク電流期間の初期時に終了した溶滴はスムーズに移行できなくなり、スパッタとして飛散する。また溶滴移行時期がベース電流期間およびピーク電流期間に不連続に発生することになり、スパッタとして飛散するばかりでなく不均一なビード形状となる。
特にガスシールドアーク溶接での高速度溶接においてはアンダーカットが発生し易く、これを抑制する方法としてはアーク電圧を低くした溶接条件を採用することが一般的であるが、アークの広がりが小さくなるのでビード幅も狭くなり、ビード幅の広い良好な継手の形成が困難となる。また薄鋼板の構造物の形状は複雑化し、溶接部においても継手部の形状は複雑で溶接狙い精度が要求され、ワイヤ狙い精度の不安定状態により鋼板の溶け落ちや溶け込み不良、さらにはアーク状態の安定性劣化によるスパッタの多発、ビード形状の不良などの要因となる。
図1(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に薄鋼板の重ね継手部の横向姿勢においてギャップがある場合のビード形成状態の例を示す。前板1に対して後側に後板2を位置させ、この前板1及び後板2にそれぞれ溶接金属3を形成させる。この前板1と後板2との間にはギャップGが形成されている。図1(a)は、溶け落ちやビードの垂れおよびアンダーカットがなくビード幅Wが大きく良好な溶接金属3が得られた例を示す。図1(b)は、アンダーカット4が生じた例を示す。図1(c)は、溶融金属3が前板1側に垂れた例を示す。図1(d)は、鋼板(後板2)が溶け落ちた例を示す。図1(e)は、溶融金属3が前板1と後板2の間のギャップG内に垂れ落ちた例を示す。
図1(b)に示すアンダーカット4は、アーク電圧が高い場合に生じる。図1(c)に示す溶接金属3の前板1側への垂れは、図3に示すワイヤ狙い位置6が前板1の前面側61になった場合に生じやすい。図1(d)に示す鋼板(後板2)の溶け落ちは、図3に示すワイヤ狙い位置6が後板側62になった場合に生じやすい。図1(e)に示す溶接金属3のギャップG内への垂れ落ちは、ギャップG自体が大きい場合に生じやすくなる。このように、ワイヤ狙い位置が変動した場合は、溶融金属3の垂れや、後板2側の鋼板の溶け落ちが生ずるばかりでなく、重ね継手部のギャップGが大きい場合、溶融金属3が前板1と後板2との間で架橋できなくなり、良好な溶接ビード形成が困難になるという問題点があった。
従来、高強度鋼板のパルスMAG溶接用ワイヤとして、例えば特許文献5には、薄板高張力鋼板(690MPa鋼級)をワイヤ成分、シールドガス組成及びパルス付与条件を限定して溶接し、溶接金属の機械的性質を良好にすることができると共にスパッタの発生量が少なく溶接作業性に優れる技術が開示されている。
しかし、特許文献5の開示技術においても、アークが安定して、スラグ生成量が少なく、ビード外観が良好な溶接金属を得ることができず、溶接金属の強度も低くなってしまう問題点があった。
特開2015−175061号公報 特開2015−175051号公報 特開平8−25080号公報 特開2010−214466号公報 特開平8−99175号公報
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、板厚が1.2〜3.2mmであり、引張強度が780MPa以上の高強度薄鋼板の重ね継手部やT継手部を溶接するに際し、アークが安定して、スパッタ発生量及びスラグ生成量が少なく、ギャップが大きい場合においても溶接金属の垂れ落ちが生じ難く、ビード外観が良好で、かつ良好な溶接金属の強度が得られる高強度薄鋼板のMAG溶接用ワイヤ及びこれを使用したパルスMAG溶接方法を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、
(1)厚さ1.2〜3.2mmである高強度薄鋼板のMAG溶接用ワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対する質量%で、C:0.05〜0.20%、Mn:1.5〜2.5%、Mo:0.4〜0.7%を含有し、Si:0.10%以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下であり、残部はFe及び不可避不純物からなることを特徴とする高強度薄鋼板のMAG溶接用ワイヤである。
(2)(1)に記載の高強度薄鋼板のMAG溶接用ワイヤを使用したパルスMAG溶接方法において、パルスピーク電流(Ip):400〜600A、パルスベース電流(Ib):30〜80Aとし、前記パルスピーク電流(Ip)とパルスピーク時間(Tp)が下記式(1)を満足するパルスを付加して溶接することを特徴とするパルスMAG溶接方法。
400≦Ip(A)×Tp(msec) ≦800・・・・・(1)
本発明の高強度薄鋼板のMAG溶接用ワイヤ及びこれを使用したパルスMAG溶接方法によれば、板厚が1.2〜3.2mmの引張強度が780MPa以上の高強度薄鋼板の重ね継手部やT継手部を溶接するに際し、アークが安定して、スパッタ発生量及びスラグ生成量が少なく、ギャップが大きい場合においても溶接金属の垂れ落ちが生じ難く、ビード外観が良好で、かつ良好な溶接金属の強度が得られるなど、高能率で高品質な溶接部が得られる。
(a)乃至(e)は、それぞれ薄鋼板の重ね継手の横向姿勢でギャップがある場合のビード形成状態を示す図である。 本発明の実施例に用いた横向重ね継手に試験板を示す図である。 本発明の実施例における横向重ね継手のワイヤ狙い位置を示す図である。
本発明者らは、上述した問題点を解決するために、薄鋼板の横向姿勢による重ね継手とし、各種成分のソリッドワイヤを用いてMAG溶接及び各種パルス条件で60cm/min以上の溶接速度で溶接を行い、アークの安定性、溶接ビード幅、溶接欠陥の有無及び溶接金属の硬さについて詳細に検討した結果、次の知見を得た。
(1)ワイヤ組成は、Mnの含有量の増加、Siの含有量の低減によって溶滴の細粒化、アークの安定性向上、溶融金属の粘性及び表面張力の適正化を図り、広幅ビードでスパッタ発生量及びスラグ生成量の少ない溶接ができ、ビード外観が良好で溶接欠陥の無い溶接金属が得られる。また、Cの含有量の適正化及びMoの添加によって高強度の溶接金属が得られる。
(2)上述した組成のワイヤを用いてパルス条件が1パルス−1ドロップの溶滴移行となる領域にすることで、80cm/min以上の高速度の溶接でアーク電圧を低くしても溶滴が溶融池と短絡することがなく移行でき、ギャップが大きい場合においても溶接金属の垂れ落ちが生じ難く、スパッタ発生量が少ないビードが得られる。
以下、本発明の高強度薄鋼板のMAG溶接用ワイヤ成分組成及びパルスMAG溶接条件の限定理由について説明する。
まず、高強度薄鋼板のMAG溶接用ワイヤ成分組成について説明する。なお、各成分の含有率は、ワイヤ全質量に対する質量%で表すものとし、その質量%に関する記載を単に%と記載する。
[C:0.05〜0.20%]
Cは、溶接金属の強度を確保し溶滴を細粒化する作用があるが、本発明においては溶滴の細粒化と広幅ビードを得ることを目的に脱酸元素であるSiの含有量を低くしており、溶融金属の脱酸は主にCによって行う。Cが0.05%未満では、脱酸不足となり溶滴の細粒化が困難となってアークが不安定でビード外観が劣化する。また、スパッタ発生量が多く溶融金属の垂れが生じる。一方、Cが0.20%を超えると、溶融金属の粘性が劣り耐垂れ性を確保できない。また、スパッタ発生量が増加するばかりでなく、溶接金属を著しく硬化させ耐割れ性が劣化する。したがって、Cは0.05〜0.20%とする。
[Mn:1.5〜2.5%]
Mnは、脱酸剤として作用するとともに溶接金属の強度確保と溶融金属の粘度及び表面張力を適正化させる効果がある。Mnが1.5%未満では、その効果が得られず、溶融金属の粘度及び表面張力が劣化することから、溶融金属が垂れ、十分な耐ギャップ性が得られない。また、強度不足となる。一方、Mnが2.5%を超えると、溶滴が大きくなり短絡しやすくスパッタ発生の要因となる。さらに溶接金属が硬化して耐割れ性が劣化する。したがって、Mnは1.5〜2.5%とする。
[Mo:0.4〜0.7%]
Moは、溶接金属の組織を微細化して強度を向上させる元素である。またMoを添加することにより、溶滴形成性が良くなり、移行が安定してスパッタ発生量が少なくなる。Moが0.4%未満では、上記効果が得られず、溶接金属の強度が低くなる。また、スパッタ発生量が多くなる。一方、Moが0.7%を超えると、溶接金属が硬化して耐割れ性が劣化し、かつ溶滴形成性が悪く、移行が不安定になりスパッタ発生量が多くなる。したがって、Moは0.4〜0.7%とする。
[Si:0.10%以下]
Siは、少量添加することによって溶融金属の粘度及び表面張力を適正化させる。また、少量添加によって溶滴を細粒化すると共にアーク電圧を低くした場合においても溶滴が短絡し難く電圧条件の拡大に寄与できる。しかし、Siが0.10%を超えると、溶滴が大きくなることから短絡しやすくスパッタ発生の要因になる。また、溶融地の溶融金属が溶接速度に追従できずハンピングビードとなりやすい。さらに、スラグが多く生成してビード外観を劣化させる。したがって、Siは0.10%以下とする。なお、下限は特に限定しないが製鋼コストから0.005%以上であることが好ましい。
[P:0.03%以下]
Pは不純物であり、Pの増加により溶接金属の割れを引き起こすので0.03%以下とする。好ましくは、0.010%以下である。
[S:0.03%以下]
Sは不純物であり、Sの増加により溶接金属の割れを引き起こすので0.03%以下とする。好ましくは、0.015%以下である。
さらに、80cm/min以上の高速度の溶接条件でビード幅が広く、しかも垂れ難い最適パルスMAG条件範囲を検討した結果、1パルス−1ドロップ領域であるパルスピーク電流Ipとパルスピーク時間Tpの領域において、短絡がし難くスパッタ発生量の少ない溶接となり、ワイヤ狙い位置が変動した場合においても広幅ビードが得られる最適のパルスMAG条件範囲を見出した。
[パルスピーク電流(Ip):400〜600A]
パルスピーク電流(Ip)が400A未満では、電磁ピンチ効果による溶滴の離脱がスムーズに行われなくなり、アークが不安定で、ビード幅が狭くなることから、十分な耐ギャップ性が得られない。一方、パルスピーク電流(Ip)が600Aを超えると、アーク力により溶融地が垂れ易くなる。したがって、パルスピーク電流(Ip)は400〜600Aとする。
[パルスベース電流(Ib):30〜80A]
パルスベース電流(Ib)は、ベース期間でアークを保持できる電流値が必要となる。パルスベース電流(Ib)が30A未満では、アークが不安定となり、80Aを超えると、溶滴の離脱が速やかに行われず、アークが不安定でスパッタ発生量が多くなる。したがって、パルスベース電流(Ib)は30〜80Aとする。
[400≦Ip(A)×Tp(msec)≦800]
下記式(1)で示すパルス電流(Ip)とパルスピーク時間(Tp)の積(Ip×Tp)で得られる値を限定することによって、ピーク時間の短い領域でアーク電圧が高い場合においても、溶滴の短絡がピーク時及びベース時に適度に生じて溶融金属の垂れが生じ難く、広幅ビードが得られる。パルスピーク電流(Ip)とパルスピーク時間(Tp)の積(Ip×Tp)が400未満では、ピーク電流期間で溶滴を形成するためのエネルギーが不足し十分な溶滴の形成ができず、ビード幅が狭くなることから十分な耐ギャップ性が得られない。またIp×Tpが400未満では、溶融金属が垂れやすくなる。一方、パルスピーク電流(Ip)とパルスピーク時間(Tp)の積が800を超えると、過度に成長した溶滴が短絡しやすくなり再点弧時のアーク力で溶融地が吹き飛ばされることからスパッタ発生量が多くなるとともに溶融金属が垂れやすく、十分な耐ギャップ性が得られない。従ってIp×Tpは、下記式(1)で示される範囲とする。
400≦Ip(A)×Tp(msec)≦800 ・・・・(1)
本発明を適用した高強度薄鋼板のMAG溶接用ワイヤの残部は、Fe及び不可避不純物である。
以下、実施例により本発明の効果をさらに具体的に説明する。
まず、原料鋼を真空溶解し、鍛造、圧延、伸線、焼鈍そして銅めっきした後、1.2mmのワイヤ径まで伸線、スプールに巻き取った試作ワイヤの化学成分を表1に示す。
Figure 0006676553
表1に示す試作ワイヤを用いて、MAG溶接による横向重ねすみ肉継手で溶接耐ギャップ性試験を行い、架橋可能なギャップ幅を調査した。試験体は、表2に示す化学成分、板厚1.6mm、溶接長500mmの980MPa級の高強度薄鋼板を使用した。耐ギャップ性試験は、図2に示すように前板1と後板2の間にスペーサ5を挟み、試験片長さ500mmの継手を形成した。この時、ギャップ長さG1=1mmからG2=3mmへと広がるようにして溶接を行った。溶接のスタートはギャップ長さG1=1mm側から表3に示すMAG溶接条件で行い、溶接金属が架橋できなくなるところまで溶接を実施した。なお、溶接は図3に示すように、前板1と後板2側の角を狙い位置にし、溶接トーチ7の角度θは30°として溶接した。この時の溶接可能なギャップを測定し、溶接可能なギャップが2.5mm以上を良好とした。またアーク状態、スパッタ発生量、スラグ生成量、溶融金属垂れの有無、ビード外観を調査した。さらに、溶接終了後マクロ試験片を溶接開始から200mmより採取しJISZ2244に準拠してビッカース硬さを測定し、10点の平均値が250〜400Hvを良好とした。それらの結果を表4にまとめて示す。
Figure 0006676553
Figure 0006676553
Figure 0006676553
表1及び表4中の試験No.1〜No.7は本発明例、試験No.8〜No.14は比較例である。本発明例である試験No.1〜No.7は、ワイヤ記号W1〜W7が本発明で規定した各成分範囲内であるので、MAG溶接による横向重ねすみ肉継手溶接のアークが安定して、スパッタ発生量及びスラグ生成量が少なく、溶融金属の粘性及び表面張力が適正で溶融金属垂れが無く、溶接可能ギャップが広く、良好なビード外観が得られると共に溶接金属のビッカース硬さも適正であり、極めて満足な結果であった
比較例中試験No.8は、ワイヤ記号W8のCが少ないので、アークが不安定となりスパッタ発生量も多く、溶接開始近傍で溶融金属の垂れも生じ、ビード外観が不良であった。
試験記号No.9は、ワイヤ記号W9のCが多いので、スパッタ発生量が多く、溶接開始近傍で溶接金属の垂れが生じた。また、溶接金属の硬さが高くクレータ割れも発生した。
試験記号No.10は、ワイヤ記号W10のMnが少ないので、溶接金属の硬さが低く、溶融金属の垂れが生じ、溶接可能ギャップが狭く、ビード外観が不良であった。
試験記号No.11は、ワイヤ記号W11のMnが多いので、溶接金属の硬さが高く、クレータ割れも発生し、スパッタ発生量も多かった。
試験記号No.12は、ワイヤ記号W12のMoが少ないので、溶接金属の硬さが低く、スパッタ発生量も多かった。
試験記号No.13は、ワイヤ記号W13のSiが多いので、ハンピングビードとなり、スパッタ発生量も多かった。また、スラグの生成量が多くビード外観が不良であった。
試験記号No.14は、ワイヤ記号W14のMoが多いので、溶接金属の硬さが高く、クレータ割れも発生し、スパッタ発生量も多かった。
表1に示す試作ワイヤを用いて、パルスMAG溶接による横向重ねすみ肉継手溶接の耐ギャップ性試験を行った。試験体は、実施例1と同一の試験体を使用した。溶接は、表3と表5に示す各パルスMAG溶接条件で実施例1と同一の溶接及び評価を行った。その結果を表5にまとめて示す。
Figure 0006676553
表5中の試験No.15〜No.20は本発明例、試験No.21〜No.26は比較例である。本発明例である試験No.15〜No.20は、ワイヤ記号W1〜W7が本発明で規定した各成分範囲内で、パルスMAG溶接条件が適正であるので、パルスMAG溶接による横向重ねすみ肉継手溶接のアークが安定して、スパッタ発生量が少なく、溶融金属の粘性及び表面張力が適正で溶融金属垂れが無く、溶接可能ギャップが広く、良好なビード外観が得られると共に溶接金属のビッカース硬さも適正であり、極めて満足な結果であった。
比較例中の試験記号No.21は、ワイヤ記号W13のSiが多いので、ハンピングビードとなり、スパッタ発生量も多かった。また、スラグの生成量が多くビード外観が不良であった。さらに、パルスベース電流Ibが低いので、アークが不安定であった。
試験記号No.22は、ワイヤ記号W3が本発明で規定した各成分範囲内であるが、パルスピーク電流(Ip)が高いので、溶接開始近傍で溶接金属の垂れが生じた。
試験記号No.23は、ワイヤ記号W11のMnが多いので、溶接金属の硬さが高く、クレータ割れも発生し、スパッタ発生量も多かった。また、パルスピーク電流(Ip)が低いので、アークが不安定となり、ビード外観が不良で、溶接可能ギャップが狭かった。
試験記号No.24は、ワイヤ記号W12のMoが少ないので、溶接金属の硬さが低く、スパッタ発生量も多かった。また、パルスピーク電流Ipとピーク時間Tpの積Ip×Tpが低いので、溶接可能ギャップが狭く、溶接開始近傍で溶融金属垂れが生じた。
試験記号No.25は、ワイヤ記号W4が本発明で規定した各成分範囲内であるが、パルスベース電流Ibが高いので、アークが不安定となりスパッタ発生量も多かった。
試験記号No.26は、ワイヤ記号W5が本発明で規定した各成分範囲内であるが、パルスピーク電流Ipとピーク時間Tpの積Ip×Tpが高いので、スパッタ発生量が多かった。さらに、溶接開始近傍で溶融金属垂れが生じ、溶接可能ギャップも狭かった。
1 前板
2 後板
3 溶接金属
4 アンダーカット
5 スペーサ
6、61、62 ワイヤ狙い位置
7 溶接トーチ
W ビード幅
θ トーチ角度
G ギャップ長さ

Claims (2)

  1. 厚さ1.2〜3.2mmである高強度薄鋼板のMAG溶接用ワイヤにおいて、
    ワイヤ全質量に対する質量%で、
    C:0.05〜0.20%、
    Mn:1.5〜2.5%、
    Mo:0.4〜0.7%を含有し、
    Si:0.10%以下、
    P:0.03%以下、
    S:0.03%以下であり、
    残部はFe及び不可避不純物からなることを特徴とする高強度薄鋼板のMAG溶接用ワイヤ。
  2. 請求項1に記載の高強度薄鋼板のMAG溶接用ワイヤを使用したパルスMAG溶接方法において、
    パルスピーク電流(Ip):400〜600A、
    パルスベース電流(Ib):30〜80Aとし、
    前記パルスピーク電流(Ip)とパルスピーク時間(Tp)が下記式(1)を満足するパルスを付加して溶接することを特徴とするパルスMAG溶接方法。
    400≦Ip(A)×Tp(msec) ≦800・・・・・(1)
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