JP2008161899A - 重ね隅肉溶接継手の継手疲労強度を向上するプラズマアークハイブリッド溶接方法 - Google Patents

重ね隅肉溶接継手の継手疲労強度を向上するプラズマアークハイブリッド溶接方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガスシールドアーク溶接法を先行極とし、プラズマアーク溶接法を後行極として組み合わせて、自動車足回り部品の製造における重ね隅肉溶接において、足回り部品の継手疲労強度を向上する溶接法を提供する。
【解決手段】ガスシールドアーク溶接法を先行極7とし、プラズマアーク溶接法を後行極8として組み合わせて、プラズマ溶接法およびガスシールドアーク溶接法ともに正極とし、かつガスシールドアーク溶接法の電極7とプラズマ溶接法の電極8との溶接線方向の間隔を25mm以下とし、溶接ビード下板側止端部のフランク角を135°以上,曲率半径を0.45mm以上として上板2の板厚が6mm以下の重ね隅肉溶接を行なう。
【選択図】図3

Description

本発明は、ガスシールドアーク溶接法を先行極、プラズマアーク溶接法を後行極として組み合わせて、上板の板厚6mm以下の重ね隅肉溶接において継手疲労強度を向上する溶接方法に関するものである。
自動車の燃費効率を改善する効果的な方法の一つとして薄肉高張力鋼板を適用した構成部品の軽量化が挙げられる。最近では、自動車メーカは590〜780MPa級の熱延鋼板のサスペンションメンバー,サスペンションアーム,サブフレームなどの足回り部品への適用を進めている。これらの足回り部品は重要保安部品であるため長期間の使用に耐えうる高い信頼性が要求される。よって完成部品は耐食性や疲労特性といった長期間にわたって性能を保障する特性を備えていなければならない。
鋼板の疲労強度は静的強度(引張り強さ)の向上に伴い向上するが、溶接継手部の疲労強度は必ずしも母材(鋼板)の静的強度向上に伴い向上しないことが知られている。したがって高強度鋼板の足回り部品への適用は、溶接継手部の疲労強度の確保が課題となる。
継手の疲労特性を支配する要因の一つとして、溶接ビード形状に起因する溶接止端部への応力集中が挙げられる。溶接止端部は母材とは不連続な表面形状になるため応力集中が生ずると考えられている。図1は自動車足回り部品の組み立てに広く取り入れられている重ね隅肉アーク溶接継手における典型的な疲労亀裂の例を示す。これより疲労亀裂6は、最も応力が集中すると考えられる下板3側の溶接止端部から発生することが分かる。この疲労亀裂6が成長して継手の破壊に到る現象が疲労破壊である。よって重ね隅肉アーク溶接においては、この下板側溶接止端部の形状を平滑化し応力集中を防ぐことにより継手疲労強度を向上することが出来ることが知られている。溶接止端部の平滑さを表す指標としてフランク角と曲率半径がある。図2は重ね隅肉アーク溶接継手の断面を模式的に示した図であり、下板側溶接止端部5のフランク角と曲率半径は図中のように示される。フランク角がより大きくかつ曲率半径がより大きい溶接止端部はより平滑であり、すなわちより高い疲労強度を示す。
自動車足回り部品の製造における重ね隅肉溶接には、ガスシールドアーク溶接法が広く取り入れられている。ガスシールドアーク溶接法には、電極が溶けるか溶けないかによって、溶極式と非溶極式とに大別される。さらに、鋼の溶極式ガスシールドアーク溶接法には、不活性ガスでアーク点をシールドするミグ溶接法と活性ガスでアーク点をシールドするマグ溶接法とに大別され、溶極として用いられる溶接ワイヤには、ソリッドワイヤとフラックスコアードワイヤ(以下、FCワイヤという)がある。自動車足回り部品の製造に最も一般的に用いられているガスシールドアーク溶接法は、アークの安定性を目的として、溶極式溶接ワイヤを陽極とする逆極性のマグ溶接法である。
溶極式のガスシールドアーク溶接用シールドガスは、溶極の挙動や溶接金属の特性に悪影響を及ぼすことのない成分を適宜選択して、様々な種類のガスが使用される。特に、シールドガスとしてCO2ガスを用いる炭酸ガスシールドアーク溶接は、CO2ガスが安価であるとともに、能率の良い溶接法であることから、鉄鋼材料の溶接に広く使用されている。
炭酸ガスアーク溶接に使用される電極(すなわちワイヤ)は、ソリッドワイヤとFCワイヤに大別される。ソリッドワイヤは、鋼素線からなる溶接ワイヤであり、素材となる鋼素線の表面にめっきを施したり、あるいは潤滑剤を塗布したものもある。このソリッドワイヤは、強度と靭性に優れた溶接金属が得られることが知られている。一方、FCワイヤは、鋼製の外殻の内側に溶接フラックスを充填したワイヤであり、優れたビード形状が得られる。
FCワイヤがビード形状に優れる理由は、溶接ワイヤの先端から鋼板の溶融メタルに移行する溶滴が細かいので、溶融メタルの表面揺動が小さく抑えられ、かつ溶接用にフラックスに多量に含まれるスラグ形成剤によって生成したスラグが、ビードを覆うからである。
ソリッドワイヤでは、溶接ワイヤの先端から鋼板の溶融メタルに移行する溶滴が粗くかつ移行が不規則であるから、溶融メタルの表面揺動が大きく、鋼素線に含有される脱酸元素(すなわちSi,Mn,Ti,Zr,Al等)の酸化によってスラグが形成される。その結果、スラグが不均一に分布し、ビードを完全に覆うに至らない。また、ソリッドワイヤを使用した炭酸ガスシールドアーク溶接では、スラグがビードの端部に集積する。したがって、ソリッドワイヤを炭酸ガスシールドアークで使用すると、ビード形状は不安定になる。
特許文献1においては、炭酸ガスシールドアーク溶接において、希土類元素(以下、REMという)を0.015〜0.100質量%含有する鋼素線からなる溶接用鋼ワイヤを、通常とは逆の正極性(すなわち溶接ワイヤを陰極)として溶接することにより、スパッタ発生の低減のみならず、優れたビード形状が得られる溶接ワイヤおよびそのワイヤを用いた溶接方法として技術が開示されている。同技術により陰極すなわち溶接ワイヤ先端においてアーク発生点を集中かつ安定させることができ、安定な溶滴移行が確保されスパッタを低減しかつ良好な溶接ビード形状を得ることができる。しかしながら、溶接継手の疲労強度を向上することは目的としておらず、その効果も確認されていない。
通常、炭酸ガスシールドアーク溶接のみならず溶極式のガスシールドアーク溶接は、電極(すなわち溶接ワイヤ)を1本で行う。これに対して、複数の熱源を使用すれば、溶接施工の能率を高めることができる。そこで、多極化による高能率の溶接施工技術が種々提案されている。その中に、レーザ溶接法の特徴である高速かつ省入熱での溶接施工と、汎用性に優れたアーク溶接法とを組み合わせたレーザアークハイブリッド溶接法がある(特許文献2参照)。この方法は、高価なレーザ設備を使用するので、大きな初期投資がかかる。
また、溶極式のガスシールドアーク溶接法を多電極化した高能率溶接法が開発されている(特許文献3参照)この方法で得られた溶接ビード形状は、1電極での高電流溶接と比較して大きく改善されず、相互の干渉によるアーク不安定も生じやすい。
その他、溶接止端部の平滑化を行う手段として、止端部をティグ溶接、プラズマアーク溶接などの非溶極式溶接法で再溶融する方法があるが、自動車部品の実生産ラインにおいては工数が増えるためにコスト高となり採用は困難であると考えられる。実機採用を考慮すれば工数を増やさず、高能率で同程度の止端部形状が得られる溶接方法であることが必須である。
特許文献4に開示の溶極式のガスシールドアーク溶接法と非溶極式のプラズマアーク溶接法とを組み合わせたプラズマアークハイブリッド溶接法では、プラズマアーク溶接法およびガスシールドアーク溶接法ともに正極性とし、ガスシールドアーク溶接を先行極、プラズマアーク溶接を後行極とすることで、先行極のガスシールドアーク溶接によって鋼板側に形成した溶融プールの形状を後行極のプラズマアーク溶接で再加熱することにより、溶融池と溶接ビード形状を制御することができることを示した。特に、ガスシールドアーク溶接による溶融池とプラズマアーク溶接による溶融池とが分離すると溶接ビード形状を改善する効果がないため、この電極間の距離が50mm以下とすることでこれを防止できることを示した。さらに隅肉溶接において、下板(ウェブ)側へ2〜10mmプラズマアーク溶接電極をシフトさせることにより平滑なビードを得ることができ、さらにガスシールドアーク溶接に使用するワイヤのREM添加量を0.015〜0.100%とすることにより、アークの安定化によるスパッタ発生量を低減する効果と強いアークの指向性によってアークの干渉を防止する効果が得られることを示した。
しかしながら、特許文献4は、高能率で優れたビード形状を得ることを目的とした溶接方法を提供することが目的であり、高い疲労強度を示す溶接継手を提供する溶接法としての検討は行われていない。溶接継手疲労強度向上のためには止端部の平滑化、すなわち前記の溶接止端部のフランク角と曲率半径を大きくする必要があるが、特許文献4ではフランク角に関わる記述が実施例にあるのみで、曲率半径に関する記載は全く見られない。
特開2004-188428号公報 特開2002-288734号公報 特開平7-256455号公報 特開2005-230867号公報
本発明は、上記のような問題を解消し、ガスシールドアーク溶接法を先行極とし、プラズマアーク溶接法を後行極として組み合わせて、自動車足回り部品の製造における重ね隅肉溶接において、足回り部品の継手疲労強度を向上する溶接法を提供することを目的とする。
本発明者らは、溶極式のガスシールドアーク溶接法を先行極とし、非溶極式のプラズマアーク溶接法を後行極として組み合わせて、高能率1パス溶接が可能で、かつ上板の板厚が6mm以下の重ね隅肉溶接において高い疲労強度を示す平滑な溶接ビード形状が得られる溶接方法について鋭意検討した。その際、溶接アークの安定性,スパッタ発生といったアーク溶接の基本的な評価項目に加え、溶接継手止端部の平滑さを表す指標としてフランク角と曲率半径に注目し調査を行ったところ、以下に述べる知見を得た。
(1)溶極式のガスシールドアーク溶接法を先行極、非溶極式のプラズマアーク溶接法を後行極として組み合わせ、かつプラズマ溶接法およびガスシールドアーク溶接法ともに正極とすることにより、高速でも安定したビードを得ることができ、さらにガスシールドアーク溶接法の電極とプラズマ溶接法の電極との溶接線方向の間隔を25mm以下とすることにより、プラズマ溶接、ガスシールドアーク溶接それぞれによって形成される溶融池を一体化させることができた。
(2)前記後行極のプラズマアーク溶接電極の狙い位置、すなわち電極の中心からの延長線と部材が交わる点が、前記先行極のガスシールドアーク溶接電極の狙い位置から溶接方向に対し直角方向に下板側へ2〜7mmの範囲でオフセットするようにプラズマアーク溶接電極を配置することにより、得られた溶接継手のビード形状を制御することができ、下板側フランク角と曲率半径の双方を増大させることにより高い疲労強度を示す溶接継手が得られた。
(3)非溶極式のプラズマアーク溶接法で用いる入熱を1.0kJ/cm以上とすることにより下板側フランク角と曲率半径の双方を増大させることに効果が見られた。
(4)溶極式の正極性ガスシールドアーク溶接法と非溶極式の正極性プラズマアーク溶接法との組み合わせにおいて、希土類元素(以下、REMという)を0.015〜0.100質量%含有する鋼素線からなる溶接用鋼ワイヤを溶極式のガスシールドアーク溶接の電極として用いることでアークが集中するためアークが安定化し、溶融池の溶融メタルの揺動を低減するので、安定的に良好な溶接ビード形状を得ることができる。
(5)溶極式のガスシールドアーク溶接のシールドガスとしてCO2を60体積%以上を含有するガスを使用することにより、継手疲労強度を向上する溶接継手を得ることができるとともに施工コストを削減できる。シールドガスの残部(すなわち40体積%以下)は、Ar,He,H2およびO2のうち1種類以上を混合するのが好ましい。なお、100体積%CO2のシールドガスを用いても何ら問題はない。
(6)上記したプラズマアークハイブリッド溶接法を用い、下板側のフランク角が145°以上,曲率半径が0.6mm以上となる平滑な形状を持つ重ね隅肉溶接継手において、顕著に高い疲労強度が得られた。
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
すなわち本発明は、ガスシールドアーク溶接法を先行極とし、プラズマアーク溶接法を後行極として組み合わせて、プラズマ溶接法およびガスシールドアーク溶接法ともに正極とし、かつガスシールドアーク溶接法の電極とプラズマ溶接法の電極との溶接線方向の間隔を25mm以下として、上板の板厚が6mm以下の重ね隅肉溶接を行なうプラズマアークハイブリッド溶接方法である。
本発明のプラズマアークハイブリッド溶接方法においては、プラズマアーク溶接法の電極の狙い位置(すなわち電極の中心からの延長線と部材とが交わる点)が、ガスシールドアーク溶接法の電極の狙い位置から溶接線方向に対し直角に下板側止端部へ2〜7mmの範囲でオフセットするようにプラズマアーク溶接電極を配置することが好ましい。プラズマアーク溶接法で用いる入熱は、1.0kJ/cm以上であることが好ましい。
またガスシールドアーク溶接法で溶極として用いる溶接用鋼ワイヤが、希土類元素を0.015〜0.100質量%含有する鋼素線からなることが好ましい。ガスシールドアーク溶接法で用いるシールドガスは、CO2を60体積%以上含有するガスあるいは100体積%のCO2であることが好ましい。
本発明によれば、上板の板厚が6mm以下の重ね隅肉溶接に用いるプラズマアークハイブリッド溶接法において、溶極式のガスシールドアーク溶接法を先行極とし、非溶極式のプラズマアーク溶接法を後行極として組み合わせて、高能率で高い疲労強度を示す溶接継手を得ることができる。
まず本発明の、上板の板厚が6mm以下の重ね隅肉溶接に用いるプラズマアークハイブリッド溶接法において、溶極式のガスシールドアーク溶接法を先行極とし、非溶極式のプラズマアーク溶接法を後行極として組み合わせて、プラズマ溶接法およびガスシールドアーク溶接法ともに正極とし、かつガスシールドアーク溶接法の電極とプラズマ溶接法の電極との溶接線方向の間隔を25mm以下とする限定理由について説明する。
特許文献1に開示された炭酸ガスシールドガスアーク溶接法は、スパッタ低減と良好なビード形状の提供を目的とした技術であるが、高い疲労強度を持つ溶接継手の提供は目的としていない。また、特許文献2に開示されたレーザアークハイブリッド溶接法はそのレーザ装置が高価であり汎用性に欠ける。特許文献3に開示された溶極式のガスシールドアーク溶接法の多電極化は、溶接ビード形状を改善する効果はなく、かつ1電極で高電流とした場合と比較して大きなメリットはない。
特許文献4に開示のプラズマアークハイブリッド溶接方法においては、非溶極式のプラズマ溶接法と溶極式のガスシールドアーク溶接法における極性の最適化について検討し、ともに正極性とすることでアーク干渉を防止できることを見出した。しかしながら、特許文献4は、高能率で優れたビード形状を得ることを目的とした溶接方法を提供することが目的であり、高い疲労強度を示す溶接継手を提供する溶接法としての検討は行われていない。溶接継手疲労強度向上のためには止端部の平滑化、すなわち前記の溶接止端部のフランク角と曲率半径を大きくする必要があるが、特許文献4ではフランク角に関わる記述が実施例にあるのみで、曲率半径に関する記載は全く見られない。
これに対して本発明者らは、溶極式のガスシールドアーク溶接法を先行極とし、非溶極式のプラズマアーク溶接法を後行極として組み合わせて、プラズマ溶接法およびガスシールドアーク溶接法ともに正極とし、ガスシールドアーク溶接法とプラズマアーク溶接法の電極間を25mm以下とすることにより、溶接継手の下板側フランク角と曲率半径の双方を増大させることができ、高い疲労強度を示す溶接継手を得ることができることを見出した。
ところで、ここで説明するガスシールドアーク溶接法とプラズマアーク溶接法の電極間とは、ガスシールドアーク溶接法とプラズマアーク溶接法の各電極の狙い位置(すなわち電極の中心からの延長線と部材が交わる点)の、溶接線方向に対しての間隔とする。
この電極間の距離が25mmを超えて拡大すると、ガスシールドアーク溶接,プラズマアーク溶接による溶融池が一体化と分離を繰返し、溶接ビード形状が安定しない。したがって、電極間の距離は25mm以下とする必要がある。一方、電極間が小さすぎると、ガスシールドアーク溶接法で発生するアーク熱,スパッタの飛散によるプラズマアーク溶接電極の損傷が激しくなるため、好ましくは15mm〜25mmである。
さらに、後行極のプラズマアーク溶接電極の狙い位置(すなわち電極の中心からの延長線と部材が交わる点)が、先行極のガスシールドアーク溶接電極の狙い位置から溶接方向に対し直角方向に下板側へオフセットするようにプラズマアーク溶接電極を配置することにより、下板側フランク角と曲率半径の双方をより増大させることができ、より高い疲労強度を示す溶接継手が得られることを見出した。
この後行極のプラズマアーク溶接電極の狙い位置のオフセットが7mmを超えると、ガスシールドアーク溶接,プラズマアーク溶接による溶融池が一体化と分離を繰返し、溶接ビード形状が安定しない。もしくは、ガスシールドアーク溶接による溶融池とプラズマアーク溶接による溶融池とが完全に分離するため溶接ビード形状を改善する効果が得られない。したがって、7mm以下とする必要がある。一方、2mmより小さくなると下板側フランク角と曲率半径の双方をより増大させる効果に乏しい。以上よりその範囲を2〜7mmとした。効果を最大限かつ安定的に得るためには、好ましくは3〜5mmである。
さらに、後行極のプラズマアーク溶接法において用いる入熱を1.0kJ/cm以上とすることにより、下板側フランク角と曲率半径の双方を増大する上で顕著な効果が得られる。一方、4.0kJ/cmを超えると入熱が過多となり、溶接ビード形状制御を阻害するだけでなく溶接継手特性上の問題点も生じるので好ましくない。顕著な効果が得られる範囲としては、2.0〜3.0 kJ/cmが好ましい。
さらに、後行のプラズマアーク溶接トーチを部材に対して鉛直から溶接線方向に直角となる方向に下板側へ15°以下の範囲で傾けることにより、下板側フランク角と曲率半径の双方をより増大させることに効果がある。
さらに、ガスシールドアーク溶接トーチおよびプラズマアーク溶接トーチの径の太さの都合上、先行のガスシールドアーク溶接法の電極と後行のプラズマ溶接法の電極との溶接線方向の間隔が所望の間隔に出来ない場合、後行のプラズマアーク溶接トーチを部材に対して鉛直から溶接方向に20°以下の範囲で前進角をとり、所望の前記電極間隔を得ることにしても、実質的に得られる効果に変化はない。
後行のプラズマ溶接法のプラズマガスは、100体積%Arガス,HeあるいはH2が10体積%以下のAr−H2混合ガスを用い、その流量は0.6〜2.0liter/分が好ましい。また、後行のプラズマ溶接の溶接電流は100〜300A,電圧は12〜30V,電極-部材間ギャップは4〜10mmが好ましい。
次に、本発明は、基本成分としてC,Si,Mn,P,Sを下記の通り含有する鋼素線からなる溶接用鋼ワイヤに適用するのが好ましい。
C:0.20質量%以下
Cは、溶接金属の強度を確保するために必要な元素であり、溶融メタルの粘性を低下させて流動性を向上する効果がある。しかしC含有量が0.20質量%を超えると、正極性のガスシールドアーク溶接において溶滴および溶融メタルの挙動が不安定になるのみならず、溶接金属の靭性の低下を招く。したがって、C含有量は0.20質量%以下が好ましい。一方、C含有量を過剰に減少させると溶接金属の強度を確保できない。そのため、0.01〜0.10質量%の範囲内が一層好ましい。
Si:0.05〜2.5質量%
Siは、脱酸作用を有し、溶接金属の脱酸のために不可欠な元素である。Si含有量が0.05質量%未満では、溶融メタルの脱酸が不足し、溶融金属にブローホールが発生する。さらに、正極性のガスシールドアーク溶接におけるアークの広がりを抑え、溶滴を微細にし挙動を安定化する効果を有する。一方、2.5質量%を超えると、溶接金属の靭性が著しく低下する。したがって、Siは0.05〜2.5質量%の範囲内が好ましい。ただしSi含有量が0.65質量%を超えると、小粒のスパッタが増加する傾向が現れるので、0.05〜0.65質量%の範囲内が一層好ましい。
Mn:0.25〜3.5質量%
Mnは、Siと同様に脱酸作用を有し、溶融メタルの脱酸のためには不可欠な元素である。Mn含有量が0.25質量%未満では、溶融メタルの脱酸が不足し、溶接金属にブローホールが発生する。一方、3.5質量%を超えると、溶接金属の靭性が低下する。したがって、Mnは0.25〜3.5質量%の範囲内が好ましい。なお、溶融メタルの脱酸を促進し、ブローホールを防止するためには、0.45質量%以上が望ましい。そのため、0.45〜3.5質量%の範囲内が一層好ましい。
P:0.05質量%以下
Pは、鋼の融点を低下させるとともに電気的効率を向上させ、溶融効率を向上させる元素である。さらに正極性のガスシールドアーク溶接において、溶滴を微細化し、アークを安定化させる作用も有する。しかしP含有量が0.05質量%を超えると、正極性のガスシールドアーク溶接における溶融メタルの粘性が著しく低下し、アークが不安定となり、小粒のスパッタが多量に発生する。また、溶接金属に高温割れを生じる危険性が増大する。したがって、Pは0.05質量%以下とするのが好ましい。なお、0.03質量%以下が一層好ましい。一方、鋼素線の鋼材を溶製する製綱段階でPを低減するためには長時間を要するので、生産性向上の観点からは0.002質量%以上が望ましい。そのため、0.002〜0.03質量%の範囲がさらに好ましい。
S:0.02質量%以下
Sは、溶融メタルの粘性を低下させ、溶接用鋼ワイヤの先端に懸垂した溶滴の離脱を促進し、正極性のガスシールドアーク溶接においてアークを安定化する。また、Sは正極性のガスシールドアーク溶接においてアークを広げ溶融メタルの粘性を低下させてビードを平滑にする働きを有する。S含有量が0.02質量%以下とするのが好ましい。一方、鋼素線の鋼材を溶製する製綱段階でSを低減するためには長時間を有するので、生産性向上の観点から0.002質量%以上が好ましい。そのため、0.002〜0.02質量%の範囲がさらに好ましい。
REM:0.015〜0.100質量%
希土類元素(すなわちREM)は、製綱および鋳造時の介在物微細化,靭性改善に有用な元素である。ガスシールドアーク溶接においては、スパッタの発生を抑制する効果を有する。特に、正極性のガスシールドアーク溶接においては、溶滴の微細移行に不可欠な元素である。また、通常の多電極溶接ではアークが干渉して不安定になるが、鋼素線にREMを添加することによってアークを集中させ、アークの指向性を高めることによって、アークの干渉を防ぐことができる
本発明のプラズマアークハイブリッド溶接法では、溶極式のガスシールドアーク溶接を先行極とし、非溶極式のプラズマ溶接法を後行極とすることによって、溶極式のガスシールドアーク溶接によって鋼板側に形成した溶融プールの形状を後行極のプラズマ溶接法で再加熱することにより、溶融プールと溶接ビード形状を制御することができる。特に、重ね隅肉溶接において、下板側の2〜7mmシフトさせることによって、得られた溶接継手の下板側フランク角と曲率半径の双方を増大させることにより高い疲労強度を示す溶接継手を得ることができる。REM含有量が0.015質量%未満では、このアーク安定化によるスパッタ発生量を低減する効果と強いアークの指向性によってアークの干渉を防止する効果が発揮されない。
一方、0.100質量%を超えて添加すると溶接用鋼ワイヤの製造工程での割れ、溶接金属の靭性低下を招く。したがってREM含有量は0.015〜0.100質量%の範囲内が好ましい。なお、さらに好ましくは0.025〜0.050%である。
ここでREMとは、周期表の3族に属する元素の総称である。本発明では原子番号57〜71の元素を使用するのが好ましく、特にCe,Laが好適である。Ce,Laを鋼素線に添加する場合は、CeまたはLaを単独で添加しても良いし、CeおよびLaを併用しても良い。なお、CeおよびLaをともに添加する場合は、あらかじめCe:40〜90質量%,La:10〜60質量%の範囲内で混合して得られた混合物を使用するのが好ましい。
さらに、本発明では上記した組成に加えて、鋼素線がTi,Zr,O,Ca,Alを含有することが好ましい。
Ti:0.02〜0.50質量%およびZr:0.02〜0.50質量%のうち1種または2種
Ti,Zrは、いずれも強脱酸剤として作用するとともに、溶接金属の強度を増加する元素である。さらに溶融メタルの脱酸によって粘性を低下して溶滴の挙動を安定化し、ビード形状を安定化(すなわちハンピングビードを抑制)する作用も有する。このような効果を有するが故に350A以上の高電流溶接においては有効な元素であり、必要に応じて添加する。Tiが0.02質量%未満、Zrが0.02質量%未満ではこの効果が得られない。一方、Tiが0.50質量%を超える場合、Zrが0.50質量%を超える場合は、溶滴が粗大化して大粒のスパッタが発生する。したがって、Ti:0.02〜0.50質量%,Zr:0.02〜0.50質量%の範囲内が好ましい。
O:0.0080質量%以下
Oは、正極性のガスシールドアーク溶接において溶接用鋼ワイヤの先端に懸垂した溶滴に発生するアーク点を不安定にすると共に、溶滴の挙動を不安定にする作用がある。しかし、O含有量が0.0080質量%を超えると、350A以上の高電流の正極性ガスシールドアーク溶接におけるアークの安定力というREM添加の効果が損なわれ、溶滴の揺動が増大してスパッタが多量に発生する。また、Oは鋼素線の鋼材を溶製する段階でREMと激しく反応してスラグを形成する性質を有しており。O含有量が0.0080質量%を超えると、REMの歩留まりが著しく低下する。したがって、Oは0.0080質量%以下が好ましい。ただし、O含有量が0.0010質量%未満ではO添加の効果は十分に得られない。したがって、0.0010〜0.0080質量%の範囲内が一層好ましく、0.0010〜0.0050質量%の範囲内がさらに好ましい。
Ca:0.0008質量%以下
Caは、製鋼および鋳造時に不純物として溶鋼に混入したり、あるいは伸線加工時に不純物として鋼素線に付着する。正極性のガスシールドアーク溶接では、Ca含有量が0.008質量%を超えると、高電流溶接におけるREM添加のアーク安定化効果が損なわれる。したがって、Caは0.0008質量%以下が好ましい。
Al:0.005〜3.00質量%
Alは強脱酸剤として作用し、さらに溶接金属の強度を増加する元素である。さらに溶融メタルの脱酸による粘性を低下してビード形状を安定化(すなわちハンピングビードを抑制)する効果がある。逆極性のガスシールドアーク溶接では、明確な溶滴の安定化効果は認められないが、正極性のガスシールドアーク溶接では、350A以上の高電流溶接において溶滴移行の安定化効果が顕著に発揮される。一方、低電流溶接においては、短絡移行回数を増加させて溶滴移行の均一化とビード形状の改善を達成できる。また、Oとの親和力によって、溶接用鋼ワイヤの製造段階におけるREMの酸化ロスを低減する効果も有する。Alが0.005質量%未満では、このような効果は見られない。一方、Alが3.00質量%を超えると、溶接金属の結晶粒が粗大化し、靭性を著しく低下する。したがって、Alは0.005〜3.00質量%の範囲内が好ましい。
さらに必要に応じて下記の元素を添加しても、本発明の効果を減じるものではない。
Cr:0.02〜3.0質量%,Ni:0.05〜3.0質量%,Mo:0.05〜1.5質量%,Cu:0.05〜3.0質量%,B:0.0005〜0.015質量%,Mg:0.001〜0.20質量%
Cr,Ni,Mo,Cu,B,Mgは、いずれも溶接金属の強度を増加させ、耐候性を向上させる元素である。これらの元素の含有量が微少である場合は、このような効果が得られない。一方、過剰に添加すると、溶接金属の靭性は低下を招く。したがって、Cr,Ni,Mo,Cu,B,Mgを含有させる場合は、それぞれCr:0.02〜3.0質量%,Ni:0.05〜3.0質量%,Mo:0.05〜1.5質量%,Cu:0.05〜3.0質量%,B:0.0005〜0.015質量%,Mg:0.001〜0.20質量%の範囲内が好ましい。
Nb:0.005〜0.5質量%,V:0.005〜0.5質量%
Nb,Vは、いずれも溶接金属の強度、靭性を向上し、アークの安定性を向上させる元素である。これらの元素の含有量が微少である場合は、このような効果が得られない。一方、過剰に添加すると、溶接金属の靭性の低下を招く。したがって、Nb,Vを含有する場合は、Nb:0.005〜0.5質量%,V:0.005〜0.5質量%の範囲内が好ましい。
上記した鋼素線の成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。例えば、Nは代表的な不可避的不純物であり、鋼材を溶製する段階や鋼素線を製造する段階で不可避的に混入する。Nは、0.0200質量%以下に低減するのが好ましい。
次に、本発明のプラズマアークハイブリッド溶接法のガスシールドアーク溶接法で使用する溶接用鋼ワイヤの製造方法について説明する。
転炉または電気炉等を用いて、上記した組成を有する溶鋼を溶製する。この溶鋼の溶製方法は、特定の技術に限定せず、従来から知られている技術を使用する。次いで、得られた溶鋼を、連続鋳造法や造塊法等によって鋼材(たとえばビレット等)を製造する。この鋼材を加熱した後、熱間圧延を施し、さらに乾式の冷間圧延(すなわち伸線)を施して鋼素線を製造する。熱間圧延や冷間圧延の操業条件は、特定の条件に限定せず、所望の寸法形状の鋼素線を製造する条件であればよい。
さらに鋼素線は、焼鈍−酸洗−銅めっき−伸線加工−潤滑剤塗布の工程を必要に応じて順次施して、所定の製品すなわち溶接用鋼ワイヤとなる。なお本発明では、必ずしも鋼素線に銅めっきを施す必要はなく、鋼素線の表面に潤滑剤を塗布した溶接用鋼ワイヤであっても何ら問題なく使用できる。
鋼素線の表面に潤滑剤を安定して付着させ、給電の安定性を向上するために、鋼素線の平坦度(=実表面積/理論表面積)を1.0005以上1.0100未満とすることが好ましい。鋼素線の平坦度は、伸線加工で使用するダイスの管理を厳格に行うことによって、1.0005以上1.0100未満の範囲に維持することは可能である。
鋼素線の表面に銅めっきを施す場合は、厚さ0.6μm以上の銅めっきを施すことによって、溶接用鋼ワイヤの給電不良に起因するアークの不安定化を防止できる。なお、銅めっきの厚さを0.8μm以上とすると、給電不良防止の効果が顕著に発揮されるので一層好ましい。このようにして銅めっきを厚目付けとすることによって、給電チップの損耗も低減できるという効果も得られる。
本発明のプラズマアークハイブリッド溶接法において、先行極のガスシールドアーク溶接にこのようにして製造した溶接用鋼ワイヤを用いて正極性で溶接を行う際の好適な溶接条件について、以下に説明する。
シールドガスは、CO2を60体積%以上含有するガスを用いても良い。シールドガスの残部(すなわち40体積%以下)は、Ar,He,H2 およびO2のうち1種以上のガスを混合するのが好ましい。なお、CO2ガスを単独(すなわちCO2の混合比率:100体積%)でシールドガスとして使用しても、支障なくプラズマアークハイブリッド溶接を行うことができる。
また、先行のガスシールドアーク溶接の溶接電流は200〜350A、溶接電圧は25〜38V(電流とともに上昇)、突き出し長さは15〜30mm,ワイヤ径は0.8〜1.6mmが好ましい。
さらに、ビード形状を良好にするために、先行のガスシールドアーク溶接トーチを部材に対して鉛直から溶接線方向に直角となる方向に下板側へ45°以下の範囲で傾けてもよい。
溶接する母材(すなわち鋼材)の鋼種は、上板の板厚が6mm以下であること以外に特に限定されないが、Si-Mn系のJIS G3106に規定された溶接構造用圧延鋼材(SM材)やJIS G3136に規定された建築構造用鋼材(SN材)、もしくはJIS G3113に規定された自動車構造用熱間圧延鋼板、JIS G3134に規定された自動車用加工性熱間圧延高張力鋼板、JIS G3135に規定された自動車用加工性冷間圧延高張力鋼板やその他自動車用鋼板を適用するのが好ましい。したがって、これらの鋼板が自動車に使用されることを考慮して、上板の板厚は2〜6mmの範囲内が好ましい。
製鋼にて成分調整し、連続鋳造によって製造されたビレットを熱間圧延して、直径5.5〜7.0mmの素材とした。次いで冷間圧延(すなわち伸線)によって直径2.0〜2.8mmの鋼素線とし、必要に応じてこの鋼素線を窒素雰囲気中で焼鈍、酸洗、Cuめっきを施し、さらに冷間伸線を施して、直径1.2mmの溶接用鋼ワイヤを製造した。その成分(Cuめっきを含む)を表1に示す。
Figure 2008161899
重ね隅肉溶接におけるプラズマアークハイブリッド溶接法の条件範囲を表2に示す。なお、図3は、継手形状と電極配置を模式的に示す図であり、(a)は後面図、(b)は側面図である。
Figure 2008161899
表2のプラズマアークハイブリッド溶接の条件範囲内で各条件を設定して溶接実験を行った。その時の溶接条件を表3に示す。
Figure 2008161899
表3の条件で作製した溶接継手に対して、溶接ビード安定性,止端部形状,継手疲労強度を調査した。これらの結果は表4に示す通りである。ビード安定性はビード外観を観察し、溶接線方向に安定して形成されているものを「安定」とし、評価を良(○)とした。一方、ガスシールドアーク溶接,プラズマアーク溶接による溶融池が一体化と分離を繰り返す、もしくは完全に分離する状態となり溶接線方向に安定したビードが得られないものを「不安定」とし、評価を不可(×)とした。
さらに安定なビードが得られた溶接継手に関して、図2の重ね隅肉アーク溶接継手の断面の模式図に示すような溶接ビード下板側止端部のフランク角θ(°)と曲率半径(mm)を測定した。フランク角が145°以上かつ曲率半径が0.6mm以上となるものを良(○),フランク角が135°以上145°未満かつ曲率半径が0.45mm以上0.6mm未満となるものを可(△),フランク角が135°未満または曲率半径が0.45mm未満となるものを不可(×)とした。
なお、溶接ビード下板側止端部のフランク角,曲率半径の測定は、以下のように行なった。レーザ変位計により継手疲労試験片の溶接部の輪郭を溶接線に直角方向に0.5mmピッチで計測した。得られた結果よりフランク角と曲率半径を測定した。図5は、レーザ変位計による計測結果の例であり、フランク角と曲率半径を決定する方法を示す。図5中のy方向は溶接線に直角方向であり、z方向はビードの高さ方向である。溶接ビードの止端となる点(以下、止端点という)を、下板接線からz方向に0.01mm離れる点とした。この止端点からビード上1mmまでの計測値を最小2乗法で直線を描いてビード接線とし、下板接線となす角をフランク角とした。曲率半径は、止端点からビードと下板双方に0.25mmまでの計測値に対し最小2乗近似によって得られる止端部に接する円の半径とした。
また、安定なビードが得られた溶接継手に関して、図4に示す形状に加工し、東京衡機製造所製シェンク式疲労試験機を用い片振り平面曲げによる疲労試験を行い、溶接継手の疲労限を測定した。疲労限が200MPa以上のものを良(○),170MPa以上200MPa未満を可(△),170MPa未満を不可(×)とした。
Figure 2008161899
本発明の実施例である試験番号1〜9の溶接継手については、ビード安定性に関しては良,止端部形状と継手疲労強度に関しては良または可であった。一方、比較例である試験番号10〜15の溶接継手では、ビード安定性に関しては良または不可,ビード安定性が良であったものでも止端部形状と継手疲労強度に関しては不可となった。
重ね隅肉溶接継手の例を示す断面図である。 重ね隅肉溶接継手の例を模式的に示す断面図である。 継手形状と電極配置を模式的に示す図であり、(a)は後面図、(b)は側面図である。 疲労試験の試験片を模式的に示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。 レーザ変位計による計測結果の例であり、フランク角と曲率半径を決定する方法を示す断面図である。
符号の説明
1 溶接ビード
2 上板
3 下板
4 上板側溶接止端部
5 下板側溶接止端部
6 疲労亀裂
7 ガスシールドアーク溶接法の電極(先行極)
8 プラズマアーク溶接法の電極(後行極)

Claims (6)

  1. ガスシールドアーク溶接法を先行極とし、プラズマアーク溶接法を後行極として組み合わせて、前記プラズマ溶接法および前記ガスシールドアーク溶接法ともに正極とし、かつ前記ガスシールドアーク溶接法の電極と前記プラズマ溶接法の電極との溶接線方向の間隔を25mm以下とし、溶接ビード下板側止端部のフランク角を135°以上、曲率半径を0.45mm以上として上板の板厚が6mm以下の重ね隅肉溶接を行なうことを特徴とするプラズマアークハイブリッド溶接方法。
  2. 前記プラズマアーク溶接法の電極の狙い位置が、前記ガスシールドアーク溶接法の電極の狙い位置から溶接線方向に対し直角に下板側止端部へ2〜7mmの範囲でオフセットするようにプラズマアーク溶接電極を配置することを特徴とする請求項1に記載のプラズマアークハイブリッド溶接方法。
  3. 前記プラズマアーク溶接法で用いる入熱が1.0kJ/cm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマアークハイブリッド溶接方法。
  4. 前記ガスシールドアーク溶接法で溶極として用いる溶接用鋼ワイヤが、希土類元素を0.015〜0.100質量%含有する鋼素線からなることを特徴とする請求項1、2または3プラズマアークハイブリッド溶接方法。
  5. 前記ガスシールドアーク溶接法で用いるシールドガスがCO2を60体積%以上含有するガスであることを特徴とする請求項1、2、3または4に記載のプラズマアークハイブリッド溶接方法。
  6. 前記ガスシールドアーク溶接法で用いるシールドガスが100体積%のCO2であることを特徴とする請求項1、2、3または4に記載のプラズマアークハイブリッド溶接方法。
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