JP6674750B2 - 制輪子及びその製造方法並びに鉄道車両用踏面ブレーキ装置 - Google Patents

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Description

本発明は制輪子及びその製造方法に関し、特に鉄道車両の踏面ブレーキ装置に好適に用いられる制輪子及びその製造方法に関する。
鉄道車両における制動装置として、車輪の踏面に摩擦材を圧接させて摩擦力を発生させ、その摩擦力を制動力として利用する踏面ブレーキ装置が知られている。この踏面ブレーキ装置は、円弧状に形成された台金と、この台金における車輪側主面に貼付される摩擦材とを備えた制輪子を有し、車輪の踏面に摩擦材を圧接させることによって制動力を得ている。
摩擦材に求められる特性として、高摩擦係数(効き)、耐熱性、耐摩耗性(高寿命)、相手材に対する低攻撃性、低鳴き等が挙げられる。このような要求特性を満足させるために様々な技術が提案されている。例えば、制輪子に使用される摩擦材として、安定した摩擦係数を維持し、フェードやビルドアップの発生を抑えるために、繊維基材として生体溶解性繊維を含有する摩擦材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、車両等のブレーキ等に使用される摩擦材として、高摩擦係数と耐摩耗性とを両立するために、チタン酸化合物と酸化セリウムとを含有し、酸化セリウムの平均粒径が1μm以下である摩擦材が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
一般的に、ブレーキ装置の制輪子における摩擦材としては、鋳鉄系、合成樹脂系、焼結合金系の3種類が知られている。中でも鋳鉄系の摩擦材を備えた制輪子(鋳鉄制輪子)は、製造コストが低く、また車輪の踏面を粗面化することから車輪とレールとの摩擦係数を適度に保つことができるため、鉄道用車両として広く利用されている。特に、降雪地域や山間線区で用いられる鉄道車両、路面電車等では、雨や雪の影響を受けづらいため、鋳鉄制輪子が多用されている。
特開2011−16877号公報 特開2013−112712号公報
しかし、鋳鉄制輪子は上記のような利点がある反面、車輪転動音及び制動音が大きい、重い等の課題が存在する。そこで、鋳鉄制輪子に求められる諸特性を維持又は改善しながら該課題を解決し得る、鋳鉄系の摩擦材の替わりとなる摩擦材が求められている。
本発明の目的は、鋳鉄制輪子に求められる諸特性を維持又は改善しながら、該制輪子の代替となり得る摩擦材を備えた制輪子を提供することにある。具体的には本発明の目的は、ドライ及びウェット条件下での制動性を確保しつつ、鋳鉄系の摩擦材と同じレベルにまで摩擦係数を低下させた摩擦材を備えた制輪子及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、合成樹脂系の摩擦材を備えた制輪子(合成樹脂制輪子)において、摩擦材中に鱗状黒鉛と粒状黒鉛を併用して用い、かつ、この黒鉛成分の合計配合量を特定の割合とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記(1)〜(6)により達成されるものである。
(1)鱗状黒鉛及び粒状黒鉛を合計で20〜30体積%含む摩擦材を備えることを特徴とする制輪子。
(2)前記鱗状黒鉛及び前記粒状黒鉛の体積比(鱗状黒鉛:粒状黒鉛)が、1:2〜5:1であることを特徴とする前記(1)に記載の制輪子。
(3)前記摩擦材が、カシューダスト及びゴムダストのうちの少なくとも1つを4〜12体積%含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の制輪子。
(4)前記制輪子は鉄道車両用制輪子であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の制輪子。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の制輪子を製造する製造方法であって、鱗状黒鉛及び粒状黒鉛を合計で20〜30体積%含む摩擦材組成物を加圧成形し、予備成形体を得る予備成形工程と、前記予備成形体を熱成形型に投入し台金を重ねて加熱圧縮成形し、所望の形状を有する制輪子を得る加熱圧縮成形工程と、を含むことを特徴とする制輪子の製造方法。
(6)前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の制輪子を備えることを特徴とする鉄道車両用踏面ブレーキ装置。
本発明の制輪子によれば、摩擦材への鱗状黒鉛の添加により摩擦係数が低下し、かつ粒状黒鉛の添加により制動性能が確保されるため、制動のコントロールが十分に可能となる。
一般的に合成樹脂系の摩擦材は高い摩擦係数を有するため、これをそのまま鋳鉄系の摩擦材の代替として使用すると、制動力が強すぎるため制動時にレールと車輪との間で滑走が生じ、制動のコントロールが困難となる恐れがある。また、従来の鋳鉄制輪子を用いた場合と比べてブレーキ作動の効きが異なると、同じ制動距離で鉄道車両を停止させるには、運転士のブレーキ操作に高度な技術を求めることにもなる。しかし、上記したように、本発明の制輪子は低摩擦係数を実現できるため、従来の鋳鉄制輪子に替えて用いても操作技術を再習得することなく鉄道車両の運転を可能とすることができる。
したがって本発明によれば、ドライ又はウェット条件下での制動性を確保しつつ、鋳鉄系の摩擦材と同じレベルにまで摩擦係数を低下させた合成樹脂系の摩擦材を備えた制輪子及びその製造方法を提供することができる。また、本発明の制輪子は、車輪転動音及び制動音が大きい、重い等の鋳鉄系の摩擦材による課題を解決するとともに、鋳鉄系の摩擦材を備えた制輪子とほぼ同じ制動力を示すものであるので、運転士のブレーキ操作に高度な技術を求める必要もなく、従来の鋳鉄系の摩擦材を備えた制輪子の十分な代替となり得る。
本発明の制輪子の一実施形態の正面図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の制輪子の一実施形態の正面図である。制輪子1は、台金2、摩擦材3及び取付板4を基本として構成されている。台金2は、鉄道車両における車輪の円弧に沿った円弧状をなす略矩形の平板であり、その車輪側主面には、摩擦材3が貼付されている。取付板4は、図示しない車両側の制輪子頭に遊嵌し、制動時に生ずるトルクを受けるトルク受け部としての役割を担っている。このような制輪子1は、鉄道車両における制動装置における踏面ブレーキ装置を構成するものであり、制動時は、車輪の踏面に摩擦材3を圧接させて摩擦力を発生させ、その摩擦力を制動力として車両を停止ないし減速するものである。
本発明の制輪子における摩擦材は合成樹脂系の摩擦材であって、繊維基材、摩擦調整材及び結合材を含有する。本発明において、摩擦材には摩擦調整材として、鱗状黒鉛及び粒状黒鉛が合計で20〜30体積%含まれることを特徴とする。
黒鉛としては、鱗状黒鉛、粒状黒鉛の他、土状黒鉛、膨張黒鉛等が挙げられるが、本発明において、合成樹脂系の摩擦材における低摩擦係数の実現と制動性の確保の観点から、所望の摩擦係数を得るために、鱗状黒鉛と粒状黒鉛を混合して用いる。
鱗状黒鉛は、粒径が1〜200μmのものを用いることが好ましく、粒径が20〜60μmのものを用いることがより好ましい。粒径が前記範囲の鱗状黒鉛を用いることで、鉄道車両の車輪踏面等の相手材摺動面に対する潤滑性が向上し、摩擦係数を低減することができる。
粒状黒鉛は、その粒径は100〜1100μmであることが好ましく、より好ましくは400〜800μmである。粒径が前記範囲の粒状黒鉛を用いることで、成形性及び耐クラック性が向上できる。
なお、本願明細書中では、粒径は、レーザー回折式粒子径測定装置(例えば、ベックマン・コールター株式会社製「LS 13 320」(商品名))により測定された粒度分布から求めることができる。
鱗状黒鉛と粒状黒鉛は、摩擦材中、合計で20〜30体積%含む。鱗状黒鉛及び粒状黒鉛の合計が20体積%以上であると、ドライ時とウェット時における摩擦材の摩擦係数のバランスを良好に保ちつつ、鋳鉄系の摩擦材と同等のレベルまで摩擦係数を下げることができる。また、鱗状黒鉛及び粒状黒鉛の合計が30体積%以下であると、ドライ時とウェット時における摩擦材の摩擦係数のバランスを良好に保ちつつ、耐クラック性や相手材摺動面の清浄性を十分に保つことができる。鱗状黒鉛及び粒状黒鉛の合計は、22〜28体積%であるのが好ましい。
本発明において、鱗状黒鉛と粒状黒鉛の体積比(鱗状黒鉛:粒状黒鉛)は、1:2〜5:1であることが好ましい。この体積比の範囲内であれば、ドライ時とウェット時における摩擦材の摩擦係数のバランスを良好に保ちつつ、鋳鉄系の摩擦材と同等のレベルまで摩擦係数を下げることができる。また、相手材摺動面の清浄性に関する効果を一層高めることができる。鱗状黒鉛と粒状黒鉛の体積比(鱗状黒鉛:粒状黒鉛)は、3:1〜5:1であることがより好ましく、3:1〜4:1であることが更に好ましい。この好ましい範囲の体積比によれば、耐クラック性をさらに高めることができる。
本発明の制輪子における摩擦材は、摩擦調整材としてカシューダスト及びゴムダストのうちの少なくとも1つの有機充填材を含むことが好ましい。カシュ−ダスト及びゴムダストのうちの少なくとも1つを含有することで、ドライ条件下での軽負荷時の摩擦係数を確保することができる。
カシューダストは、カシューナッツの殻から採った油分を炭化し硬化させたものが挙げられる。カシューダストの粒径は、10〜500μmであることが好ましく、100〜300μmがより好ましい。
ゴムダストは、タイヤ用ゴム(例えば、トレッド用ゴム)を粉砕したものが挙げられる。ゴムダストの粒径は、10〜1500μmであることが好ましく、300〜600μmがより好ましい。
前記有機充填材の含有量は、摩擦材中、4〜12体積%であることが好ましく、6〜12体積%であることがより好ましい。
有機充填材の添加量が上記範囲内であれば、凝着摩擦力が高まり、ドライ条件下での軽負荷時の摩擦係数を確保でき、例えば車両の停止時の制動性を高めることができる。また、耐クラック性、相手材摺動面の清浄性に関する効果を一層高めることができる。
その他の摩擦調整材としては、例えば、硫酸バリウム、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、バーミキュライト、マイカ、板状チタン酸カリウム、鱗片状の、チタン酸リチウムカリウム又はチタン酸マグネシウムカリウム、不定形チタン酸カリウム等の無機充填材や、炭化ケイ素、アルミナ、シリカ、マグネシア、クロマイト、四酸化三鉄、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム等の研削材や、二硫化モリブデン、硫化錫、硫化亜鉛、硫化鉄等の潤滑材や、亜鉛、錫、銅、鉄、アルミニウム等の金属粉末、鱗状黒鉛及び粒状黒鉛以外の黒鉛等の固体潤滑材等が挙げられ、これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。その他の摩擦調整材の総含有量は、所望する摩擦特性に応じて、適宜調整すればよい。その他の摩擦調整材の含有量は所望する摩擦係数に応じて、摩擦材中、20〜61体積%とすることが好ましく、26〜52体積%とすることがより好ましい。
繊維基材は摩擦材としたときの補強用に用いられ、繊維基材としては、例えば、耐熱性有機繊維、無機繊維、金属繊維が使用される。耐熱性有機繊維としては、例えば、芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)、耐炎性アクリル繊維が挙げられ、無機繊維としては、例えば、チタン酸カリウム繊維やセラミック繊維(生体溶解性のものが好ましく用いられる)、ガラス繊維、カーボン繊維、ロックウール等が挙げられ、また、金属繊維としては、例えば、スチール繊維等が挙げられ、これらを単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。繊維基材の含有量は、十分な機械強度を確保するため、摩擦材中、1〜10体積%とすることが好ましく、2〜8体積%とすることがより好ましい。
結合材(バインダー)は、熱硬化性樹脂からなり、熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂、エポキシ樹脂や、これら熱硬化性樹脂をカシューオイル、シリコーンオイル、各種エラストマー等で変性した樹脂や、これらの熱硬化性樹脂に各種エラストマー、フッ素ポリマー等を分散させた樹脂等が挙げられ、これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。結合材の含有量は、制輪子としての十分な機械的強度、耐摩耗性を確保するために、摩擦材中、14〜28体積%とすることが好ましく、18〜26体積%とすることがより好ましい。
本発明の制輪子は、公知の製造方法により製造することができる。例えば、摩擦材を形成する摩擦材組成物の予備成形工程、予備成形工程で得られた予備成形体の加熱圧縮成形工程を含む製造方法により製造できる。以下、各工程について具体的に説明する。
まず、予備成形工程では、摩擦材を形成する原料を均一に混合し、得られた摩擦材組成物を加圧成形して予備成形体を得る。摩擦材組成物には、鱗状黒鉛及び粒状黒鉛を合計で22〜30体積%含み、その他に前記した有機充填材やその他の摩擦調整材、繊維基材、結合材等を含むことができる。
摩擦材組成物は金型に投入され、混合性の向上と加熱圧縮成形工程での作業性を向上させるために、6〜14MPaの条件下で加圧成形されることが好ましい。圧力が6MPa未満であると予備成形体の形成が困難となる虞があり、14MPaを超える場合には、予備成形体にヒビが入る場合があるため好ましくない。
加熱圧縮成形工程では、予備成形工程で得られた予備成形体を熱成形型に投入して台金を重ねて加熱圧縮成形を行い、所望の形状を有する制輪子を得る。
加熱圧縮の条件としては、140〜155℃の温度で、10〜20MPa、20〜60分程度加熱圧縮することが好ましい。
本発明の制輪子は高負荷条件下での摩擦係数が低く、具体的には、ドライ状態、120km/h、荷重60kNの条件での摩擦係数が、0.07〜0.13である。高負荷条件下での摩擦係数が前記範囲であると、鋳鉄系の摩擦材を備えた制輪子と同等のレベルとなり、制動性に優れた制輪子とすることができる。
本発明の制輪子は、ドライ又はウェット条件下での制動性を確保しつつ、鋳鉄系の摩擦材と同じレベルにまで摩擦係数を低下させた摩擦材を備えてなることから、特に鉄道車両用の踏面ブレーキ装置として有用である。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
各例に対して行った試験は以下の通りである。
(1)ドライ時の摩擦係数(軽負荷条件)
・相手材車輪:鍛鋼(Q3S)
・制動初速度:30、60、100、120km/時
・押し付け力:12、16、20kN
・相手材質量:2.5トン
上記の条件でダイナモメーター試験機を用い、上記の各初速度で上記の各押し付け力の試験を行い、相手材車輪に対するドライ時の軽負荷摩擦係数を測定した。
軽負荷摩擦係数μは0.20≦μ≦0.30であるものを「○」、前記範囲を外れるものを「×」と評価した。
(2)ウェット時の摩擦係数
・相手材車輪:鍛鋼(Q3S)
・制動初速度:30、60、100、120km/時
・押し付け力:12、16、20kN
・相手材質量:2.5トン
・水掛け量:14L/時
上記「(1)ドライ時の摩擦係数(軽負荷条件)」の測定に引き続き、同様に上記の条件でウェット時の摩擦係数を測定した。
また、以下の式に基づき、ドライ時の軽負荷摩擦係数に対する摩擦係数変化率を求めた。
摩擦係数変化率(%)={(ウェット時の摩擦係数/ドライ時の軽負荷摩擦係数)−1}×100
摩擦係数変化率は、±30%の範囲にあればドライ及びウェット条件下での制動性が確保されていると判断でき、−30≦摩擦係数変化率≦30であるものを「○」、前記範囲を外れるものを「×」と評価した。
(3)ドライ時の摩擦係数(高負荷条件)
・相手材車輪:鍛鋼(Q3S)
・制動初速度:30、60、100、120km/時
・押し付け力:20、60kN
・相手材質量:11.25トン
上記「(2)ウェット時の摩擦係数」の測定に引き続き、同様に上記の条件でダイナモメーター試験機を用い、ドライ時の高負荷摩擦係数を測定した。
高負荷摩擦係数μは0.07≦μ≦0.13であるものを「○」、前記範囲を外れるものを「×」と評価した。
(4)相手材車輪の摺動面の清浄性
上記(1)〜(3)の試験後、相手材車輪の摺動面の状態を目視で確認し、以下の評価基準で評価した。
○:良好(均一な移着面を形成していた)
×:悪い(不均一な移着面を形成していた)
<摩擦材の配合材料>
各例の摩擦材の作製に用いた材料は以下の通りである。
バインダー樹脂:フェノール樹脂
ゴムダスト :平均粒径=500μm
カシューダスト:平均粒径=200μm
鱗状黒鉛 :平均粒径=40μm
粒状黒鉛 :平均粒径=600μm
(実施例1)
摩擦材の配合材料を表1に示す配合処方(体積%)に従って混合機に投入し、ミキサーにて210秒間混合した。混合された摩擦材組成物を、圧力7MPaで15秒間予備成形し、予備成形体を作製した。次いで、予備成形体を145℃の熱成形型に投入し、台金を重ねて圧力15.0MPaで27分間、加熱圧縮成形を行った。その後、この加熱圧縮成形体に対し、溝の加工を実施して、制輪子を作製した。
得られた制輪子に対し、上記の試験(1)〜(4)を行った。結果を表1に示す。
なお、上記試験(1)〜(3)の終了後、耐クラック性の確認として摩擦材のカケ、クラックを目視で確認したところ、いずれも確認されなかった。
(実施例2〜7、比較例1〜2)
摩擦材の配合材料及び配合量を表1に記載のものに変更した以外は実施例1と同様に摩擦材を作製した。
得られた摩擦材に対し、上記の試験(1)〜(4)を行った。結果を表1に示す。
なお、上記試験(1)〜(3)の終了後、耐クラック性の確認として摩擦材のカケ、クラックを目視で確認したところ、実施例2〜5はカケ、クラックはいずれも確認されず、実施例6及び7はカケ、クラックが若干確認されたが実用上問題のないレベルであった。これに対し、比較例1及び2はカケ、クラックが数多く確認され、実用に適さないものであった。
(参考例1)
参考例1として、鋳鉄制輪子を作製した。
合金鋳鉄は、鉄(Fe)を含む合金である。当該鋳鉄の組成については、炭素(C)の含有量は2.5〜4.0質量%、ケイ素(Si)の含有量は1.0〜3.0質量%、マンガン(Mn)の含有量は0.01〜2.2質量%、リン(P)の含有量は0.01〜2.5質量%、硫黄(S)の含有量は0.0001〜1.0質量%の範囲で、残部がFeおよび不可避不純物となるように調整した。
上記合金鋳鉄の溶湯を鋳型内に注湯する、所謂鋳ぐるみにより鋳鉄制輪子を作製した。
得られた鋳鉄制輪子に対し、上記の試験(1)〜(4)を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006674750
表1の結果から分かるように、実施例1〜7の摩擦材は、ドライ又はウェット条件下での制動性を十分に確保できる。また、参考例1の鋳鉄系の摩擦材と同じレベルにまで摩擦係数が低下しているので、鋳鉄系の摩擦材を備えた制輪子の代替に十分になり得る。
これに対し、比較例1、2は、高負荷摩擦係数や摩擦係数変化率が目標値から外れるため、鋳鉄系の摩擦材を備えた制輪子の代替にはなり得ず、また、相手材車輪に不均一な移着面を形成していた。
1 制輪子
2 台金
3 摩擦材
4 取付板

Claims (6)

  1. 繊維基材、摩擦調整材及び結合材を含有し、前記摩擦調整材として平均粒径1〜200μmの鱗状黒鉛及び平均粒径400〜800μmの粒状黒鉛を合計で20〜30体積%含む合成樹脂系摩擦材を備えることを特徴とする制輪子。
  2. 前記鱗状黒鉛及び前記粒状黒鉛の体積比(鱗状黒鉛:粒状黒鉛)が、1:2〜5:1であることを特徴とする請求項1に記載の制輪子。
  3. 前記合成樹脂系摩擦材が、カシューダスト及びゴムダストのうちの少なくとも1つを4〜12体積%含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の制輪子。
  4. 前記制輪子は鉄道車両用制輪子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の制輪子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の制輪子を製造する製造方法であって、
    繊維基材、摩擦調整材及び結合材を含有し、前記摩擦調整材として平均粒径1〜200μmの鱗状黒鉛及び平均粒径400〜800μmの粒状黒鉛を合計で20〜30体積%含む合成樹脂系の摩擦材組成物を加圧成形し、予備成形体を得る予備成形工程と、
    前記予備成形体を熱成形型に投入し台金を重ねて加熱圧縮成形し、所望の形状を有する制輪子を得る加熱圧縮成形工程と、
    を含むことを特徴とする制輪子の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の制輪子を備えることを特徴とする鉄道車両用踏面ブレーキ装置。
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