JP6671845B2 - 液滴検知シート - Google Patents
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Description
また、非特許文献1には感水紙試験紙の取扱説明書についての記載、非特許文献2には感水紙の紹介記事、非特許文献3には感水紙を使用した農薬飛散状況に関する実証報告が記載されているが感水紙試験紙や感水紙の技術内容の詳細は開示されてない。
[1] シート状の基材と、該基材の表面に設けられて不可逆的な発色が可能な塗工層とを有する液滴検知シートであって、前記塗工層が、水分を含む液滴に接触すると不可逆的に発色する水溶性染料と水溶性及び/又は吸水性の接着剤(ポリビニルアルコールを除く)とを含有しており、前記接着剤は水系以外の溶媒に溶解する性質を更に備え、前記塗工層に含有される前記水溶性染料の粒径は、JIS K0069−1992に規定されるふるい分け試験法による公称目開き106μmのふるい残分が0.1%以下であり、かつ公称目開き45μmのふるい残分が95%以上の範囲にあり、前記水溶性染料が前記接着剤および溶媒中に分散・保持されている、ことを特徴とする液滴検知シート。
[2] 前記基材が白色または淡色であり、発色後の前記塗工層は濃色系であることを特徴とする[1]に記載の液滴検知シート。
[3] 前記塗工層に含有される前記水溶性染料と前記接着剤との配合比率が、水溶性染料:接着剤=1:99〜70:30(固形分の重量部)であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の液滴検知シート。
[4] 前記塗工層が、0.3〜3.0g/m2であることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載の液滴検知シート。
[5] 前記塗工層上に剥離可能な保護フィルムが積層してあることを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載の液滴検知シート。
[6] 前記塗工層を設けた面とは反対側の前記基材の表面に粘着剤層を設け、該粘着剤層上に剥離性シート材が積層してあることを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかに記載の液滴検知シート。
なお、本発明の液滴検知シートは感度が極めて良好であるので、手に付着した汗や測定環境の露等の水分で発色するため取り扱いには綿の手袋などで直接に接触しない様にして取り扱ことが望ましい。本発明の液滴検知シートの表面に保護フィルムを積層することで取り扱いを容易化できる。更にまた、測定時に垂直面や天井面など様々な場所に固定でき、固定する対象物も屋外ではフェンス、塀、外壁等の建造物、岩、樹木、枝葉等の自然物などに固定でき、風などで飛散しない様に裏面に粘着剤を積層した本発明の液滴検知シートによって作業性が格段に簡便化される。
本発明の液滴検知シートは、図1に示すように、シート状の基材1と、この基材1の表面に設けられて不可逆的な発色が可能な塗工層2とを有する液滴検知シートであって、前記塗工層2が、水分を含む液滴に接触すると発色する水溶性染料と水溶性及び/又は吸水性の接着剤とを含有することを特徴としている。そして、前記基材が白色または淡色であり、発色後の前記塗工層が濃色系であることが望ましいものである。
本発明の液滴検知シートは、雨や結露水など比較的大きな液滴(水滴)や、スプレーなどで噴霧された薬剤など比較的微細な液滴(薬剤などの化学成分を含む水滴)を高感度で検知するのに好適なシートである。本発明の液滴検知シートでは、液滴との接触によって塗工層内の水溶性染料が瞬時に溶解し、液滴の大きさに応じたスポットで発色する。よって、液滴の有無を検知できるというだけでなく、発生しているスポットの密度、大きさによって液滴の拡散状態等も確認することができる。
なお、不可逆的に発色する水溶性染料を使用することで、発色したスポットは水分が蒸発しても変色や消色する事はなく、目視で確認・判断でき、且つ証拠として保存することができる。このため、本発明の液滴検知シートは、雨、結露水、噴霧水などとの接触履歴や農薬など水分を含む各種薬剤散布時や撒水時の液滴飛散状況を目視で確認・判断できる液滴検知シートとして好適に使用できる。
1g/m2以下では絶対量が少なく濡れた時の発色が弱く、検知能力が劣るので好ましくない。3g/m2以上では水に濡れない状態で濃く着色し、地色と濡れた時の色のコントラスト差が小さくなり発色スポットの視認性が劣るので好ましくない。
なお、本発明で採用する水溶性染料については、当該染料自体は一般的な黒、赤、緑、藍等の濃色の化合物であるが、粒径を特定の範囲にすること、および、水溶性及び/又は吸水性の接着剤との配合比を特定の範囲にすることで接着剤と溶媒中に分散・保持されている形態では無色〜淡色を示すため、塗工層は未使用時(すなわち、液滴との未接触時)において、基材の色が反映される無色〜淡色となるのである。
従って発色前における本発明の液滴検知シートの塗工面の色は基材に基づいた色で、液滴に接触したときに水溶性染料が溶解して不可逆的に発色するのである。
本発明の液滴検知シートでは、前述したように淡色系の基材表面に、発色後に濃色系となる塗工層を設けた組み合わせとするのが好ましいものである、このような液滴検知シートは汎用性を備え、視認性が向上したものとなるからである。
しかし、これに限る必要はなく、本発明の液滴検知シートは、使用する環境に応じて発色を確認し易い色の組み合わせに適宜に設計してよい。例えば、基材の色を赤や黒の濃色として、塗工層が黄色、青色を発色させるものであってもよい。
塗工層上に積層する保護フィルムは、少なくとも片面に粘着剤層を有するもので、塗工層と接触する上記保護フィルムの粘着剤がその表面を侵すことが無く、且つ保護フィルムを剥がす時に上記粘着剤が塗工層表面を破壊することがないものであれば特に限定するものではなく、汎用の紙製マスキング用粘着シートやフィルム製マスキング用粘着シートが使用できる。ただし、塗工層を水分と接触させないようにするという耐水性の観点からフィルム製マスキング用粘着シートがより好適である。剥離力は特に限定するものではないが取り扱いの観点から20〜200g/15mm程度が好ましい。20g/15mm以下では取り扱い時に液滴検知シートから脱落する可能性があり好ましくない。また、200g/15mm以上では液滴検知シートから剥離する際に表面を破壊する可能性があり好ましくない。
上記好適な液滴検知シートにおいて、粘着剤層は、保護フィルムを積層した液滴検知シートの反対面に設け、剥離シートで保護した所謂、粘着シートの形状である。粘着剤は所望の粘着力が得られれば特に限定するものではなく、汎用のアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤が使用できる。粘着力はフェンス、塀、外壁等の建造物、岩、樹木、枝葉等の自然物、機械・装置等の人工物など固定する対象物に対して充分に接着し、風や振動・衝撃などで容易に剥離・脱落しない程度であれば特に限定するものではないが100〜1000g/15mm程度が好ましい。100g/15mm以下では対象物によって脱落する可能性があり好ましくない。また、1000g/15mm以上では対象物によって剥離不能になったり、対象物の表面を破壊する可能性があり好ましくない。
剥離性シート材は粘着剤に対し適度の剥離性を有するものであれば特に限定するものではなく、シリコーン系剥離剤を塗布した汎用の剥離紙や剥離フィルムを使用できる。
水溶性染料粉末(日本化薬製 カヤフェクトブルーNRE)をJIS K0069−1992に規定されるふるい分け試験法により分級し、公称目開き75μmのふるい残分が0.1%以下であり、かつ公称目開き53μmのふるい残分が95%以上の範囲の粉末を分取した。
ポリビニルピロリドン(日本触媒製 K-90)をイソプロピルアルコールに溶解して濃度10重量%のバインダー溶液を調製し、上記の水溶性染料粉末を分散し、イソプロピルアルコールで希釈して、水溶性染料:ポリビニルピロリドン=62:38(固形分重量比)で固形分濃度8.3重量%の水溶性染料分散液を調製した。
表面の平滑度が3000秒のキャストコート紙(日本製紙製 エスプリVW、坪量210g/m2)のキャストコート面に、上記水溶性染料分散液をマイヤーバーで固形分として0.6g/m2塗工し、本発明の液滴感知シートを作製した。
上記キャストコート紙は白色であり、水溶性染料分散液を塗工層として形成してある使用前の液滴感知シート表面の色の様子は若干青みを帯びた白色であった。
上記シートにマイクロシリンジで純水4μlを滴下したところ、水滴滴下部分は濃い青色に発色し、基紙への経時的な吸収、乾燥により水滴直径と同じ円形に青色発色部分が固定化し、水滴の接触を目視により視認でき、かつ発色部分は変形、変色することなく保存することができた。
実施例1において、水溶性染料分散液のポリビニルピロリドンと水溶性染料粉末の配合比を水溶性染料:ポリビニルピロリドン=55:45(固形分重量比)とした以外は実施例1と同様にして本発明の液滴検知シートを作製した。
実施例1において、水溶性染料粉末の粒子径をJIS K0069−1992に規定されるふるい分け試験法による公称目開き106μmのふるい残分が0.1%以下であり、かつ公称目開き45μmのふるい残分が95%以上の範囲とした以外は、実施例1と同様にして本発明の液滴検知シートを作製した。
粒子径がJIS K0069−1992に規定されるふるい分け試験法による公称目開き75μmのふるい残分が0.1%以下であり、かつ公称目開き45μmのふるい残分が95%以上の範囲である水溶性染料粉末(日本化薬製 カヤフェクトブルーNRE)をイソプロプロピルアルコールに分散した濃度48重量%の水溶性染料分散液と濃度10重量%のポリエチレンオキサイド架橋体(住友精化製 アクアコークTWB)の酢酸エチル溶液とを、水溶性染料粉末/ポリエチレンオキサイド架橋体=1/99(固形分重量比)で配合した固形分濃度10.4重量%の水溶性染料分散液を調製した。
表面の平滑度が3000秒のキャストコート紙(日本製紙製 エスプリV、坪量210g/m2)のキャストコート面に、上記水溶性染料分散液をアプリケーターバーで塗工し、固形分付着量が3g/m2の発色層を塗設し、本発明の液滴検知シートを作製した。
該シートにマイクロシリンジで純水4μlを滴下したところ、水滴滴下部分は濃い青色に発色し、水滴はシート中へ迅速に吸収され、乾燥により水滴直径と同じ円形に青色発色部分が固定化し、水滴の接触を目視により視認でき、かつ発色部分は変形、変色することなく保存することができた。更に、発色した染料はポリエチレンオキサイド架橋体内部に保持されるため発色した染料が手指等に付着することがなく、取扱い易いものであった。
実施例1の液滴検知シートの塗工表面に保護フィルム(サンエー化研製 サニテクトY)を圧着ロール方式で積層貼合した。この液滴検知シートの取り扱い時に、塗工層に指が接触するとその部分が手汗で指紋状に発色する虞(おそれ)があるので手袋を着用するのが望ましいものであるが、保護フィルムを積層した場合は直接素手で触っても全く問題が無く簡単に取り扱い作業することが出来た。この時の液滴検知シート表面に対する保護フィルムの剥離力は55g/15mmで表面を破壊することなく容易に剥離することが出来、且つ液滴検知シート表面を侵すことも無く何ら変化は見られなかった。
実施例5の液滴検知シートの塗工表面に保護フィルムを積層貼合した基材を表面基材として通常の粘着加工機で剥離紙(リンテック製EK100LT)に粘着剤(綜研化学製SKダイン1035)を塗工量25g/m2(乾燥重量)になるよう塗布し、転写法で液滴検知粘着シートを得た。この時の液滴検知粘着シートの粘着力は500g/15mmで金網フェンスおよびブロック塀の垂直面に充分に固着し、剥離する際には容易に剥離することが出来た。なお、固着対象物が機械装置の塗装面の場合は、液滴検知シートの密着性が高くなる傾向にあったが、この場合も剥離可能であった。
本発明の液滴検知シートの評価方法は無風の屋内において幅50mm×長さ1.5mのテープ状の液滴検知シートを床上に置き、水を入れたハンドスプレーで高さ1mの地点から液滴検知シートに向かって噴霧し、液滴が接触して発色する際の感度及び視認性、飛散分布状況を定性的に評価した。
○:発色スポットの大きさ、色調、コントラストなど感度や視認性の良いもの
×:上記以外のもの
2 塗工層
3 保護フィルム
4 粘着剤層
5 剥離性シート材
Claims (6)
- シート状の基材と、該基材の表面に設けられて不可逆的な発色が可能な塗工層とを有する液滴検知シートであって、
前記塗工層が、水分を含む液滴に接触すると不可逆的に発色する水溶性染料と水溶性及び/又は吸水性の接着剤(ポリビニルアルコールを除く)とを含有しており、前記接着剤は水系以外の溶媒に溶解する性質を更に備え、
前記塗工層に含有される前記水溶性染料の粒径は、JIS K0069−1992に規定されるふるい分け試験法による公称目開き106μmのふるい残分が0.1%以下であり、かつ公称目開き45μmのふるい残分が95%以上の範囲にあり、前記水溶性染料が前記接着剤および溶媒中に分散・保持されている、ことを特徴とする液滴検知シート。 - 前記基材が白色または淡色であり、発色後の前記塗工層は濃色系であることを特徴とする請求項1に記載の液滴検知シート。
- 前記塗工層に含有される前記水溶性染料と前記接着剤との配合比率が、水溶性染料:接着剤=1:99〜70:30(固形分の重量部)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴検知シート。
- 前記塗工層が、0.3〜3.0g/m2であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液滴検知シート。
- 前記塗工層上に剥離可能な保護フィルムが積層してあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の液滴検知シート。
- 前記塗工層を設けた面とは反対側の前記基材の表面に粘着剤層を設け、該粘着剤層上に剥離性シート材が積層してあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の液滴検知シート。
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